第1回エックス線装置に係る放射線障害防止対策に関する検討会議事録

労働基準局安全衛生部労働衛生課

日時

令和6年2月21日(水)13:30~

場所

中央合同庁舎5号館15階 専用第12会議室

議題

  1. (1)エックス線装置の点検作業中の被ばく事故発生状況等について
  2. (2)関係団体における取組について
  3. (3)エックス線装置に係る放射線障害防止対策について(フリーディスカッション)
  4. (4)その他

議事

議事内容
○大内専門官 定刻となりましたので、ただいまより「第1回エックス線装置に係る放射線障害防止対策に関する検討会」を開催いたします。構成員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきありがとうございます。座長の選任までの間、進行を務めます安全衛生部労働衛生課電離放射線労働者健康対策室の大内と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 初めに、出席者を御紹介いたします。資料1、開催要綱の2ページに、参集者名簿がありますが、この名簿の順に紹介をさせていただきます。まず初めに、国立大学法人東京大学環境安全本部教授の飯本様です。ポニー工業株式会社執行常務取締役技術本部副本部長の釜田様です。日本基幹産業労働組合連合会事務局次長の黒島様です。三菱重工パワー検査株式会社高砂事業部検査部技術グループ技術チーム主任チーム統括の郡様です。国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構量子生命・医学部門放射線医学研究所計測・線量評価部物理線量評価グループのグループリーダーの古渡様です。株式会社IHI検査計測検査事業部横浜検査部品質管理グループ主幹の田北様です。株式会社島津製作所分析計測事業部営業統括部産学官プロジェクト推進室特任部長の夏原様です。日本マテック株式会社会長の松島様です。日本労働組合総連合会労働法制局長の山脇様です。
 続いて、事務局を紹介いたします。小林安全衛生部長です。松岡労働衛生課長です。宇野電離放射線労働者健康対策室長です。東室長補佐です。私は中央放射線管理専門官の大内です。よろしくお願いいたします。
 それでは、開催に当たり、安全衛生部長の小林より御挨拶申し上げます。
○小林部長 安全衛生部長の小林です。構成員の皆様方におかれましては大変お忙しいところ、本日のこの検討会にお集まりいただきまして本当にありがとうございます。また、日頃より、労働衛生行政に御理解と御協力を賜りまして厚く御礼申し上げます。
 さて、電離放射線は医療における診断や治療、工業用の非破壊検査などに利用されているほか、原子力発電の燃料などから発生するなど、様々な産業分野で利用されているところです。一方で、令和3年5月には、エックス線装置を点検中の作業員が被ばくをする事故が発生しておりまして、国際原子力機関のINESの評価ではレベル3、重大な異常事象として公表されております。このような災害の再発防止をしっかり図っていく必要があると考えております。
 本検討会におきましては、災害の発生状況やエックス線装置の使用状況なども踏まえて、電離放射線障害防止規則の改正など、必要な安全衛生対策について御議論を頂くこととしております。働く方、エックス線装置のメーカー、ユーザーの事業者、電離放射線に関する専門家の皆様方に、そのためにお集まりいただいたところです。それぞれ専門の視点、御知見を基に、電離放射線による健康障害防止に向けた忌憚のない御意見、御議論を頂くように心からお願い申し上げます。以上、簡単ではありますが、検討会に当たっての挨拶とさせていただきます。本日はよろしくお願いいたします。
○大内専門官 報道関係者の方にお願いいたします。カメラ撮りはここまでとさせていただきます。続きまして、資料の確認をさせていただきます。本日の資料は、机上に配布しておりますとおり、議事次第、座席表、資料1~7までと参考資料1となります。資料に不足がありましたら、適宜事務局までお申し出いただくようにお願いいたします。
 それでは、座長の選出を行います。事務局としては、飯本構成員を推薦したいと思いますが、皆様いかがでしょうか。
                                   (異議なし)
○大内専門官 それでは、以降の進行を座長にお願いいたします。
○飯本座長 ありがとうございます。御指名いただきました東京大学の飯本です。座長を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。最近の状況や現場の今の考え方、動きなどを適切に共有させていただきながら議論させていただきたいと思いますので、どうぞ御協力のほどよろしくお願いいたします。
 本日の議事に早速入らさせていただきます。お手元の議事次第に沿って進めてまいります。まずは事務局から議事の1番についての御説明をお願いいたします。
○東補佐 事務局から説明させていただきます。資料2を御覧ください。エックス線装置の点検作業中の被ばく事故発生状況という資料になります。
 1ページ目は、その災害の概要となっております。2021年5月にエックス線装置点検中の作業員が被ばくする事故が発生し、INES評価レベル3として、2022年5月にIAEAに報告されているものです。下のほうを少し読ませていただきます。こちらは公表されているINES評価の記載を抜粋したものです。IAEAの報告や公表については、英語でされているものを日本語に直しただけのものです。
 1つ目のポツですが、2021年5月29日に日本製鉄で、鋼板表面のメッキの厚みを測定するために使用している蛍光エックス線式付着量計、50kV×40mAの点検・校正作業を行われていたところです。
 こちらでエックス線を照射するには、電力を供給し、エックス線間の電圧・電流を上昇させ、照射窓のシャッターを開けるということになります。これらの操作は、通常は装置が設置してある照射室の外にある制御盤で行われているものです。この作業に当たっていた2名の方は、当初は照射室の外にある制御盤で作業を行っていたところですが、校正用サンプルの測定値に異常が認められたことから、その原因を解消するために、装置に電力が供給された状態のままで照射室に入ったと。参考までに、こちらの施設にはインターロックの設置についての法令上の要求はないものとなっております。
 照射室に入った2名に関しては、装置のエックス線照射窓に付着物があることを確認して、1名が手工具で除去し、1名がその補助を行っていたということです。この2名は、照射窓のシャッターを落としたつもりだったが、結果としてシャッターは閉じられておらず、作業中、装置から照射されるエックス線に被ばくしている状態であったということです。翌日の5月30日に、この作業員は腕や顔面に発赤、非致死的な確定影響が出るなどの体調不良を訴えて入院治療を受け、2021年12月末日までに退院しています。2023年11月までに実施された専門家による生物学的線量評価、異常染色体の発生頻度の測定の結果、1名については400~500mGy、もう1名については100mGy未満と評価されたという概要です。
 続いて、2ページを御覧ください。この災害は、先ほどお話したとおり、電源が入ったまま、また照射窓のシャッターが開いたまま、こちらの室に入ったことが、直接的な要因であると考えられるところ、説明した経緯に加えて、何点か事務局で補足させていただきます。
 まず、エックス線検出器室、照射室への入室手順、こちらは事業場で定められていた入室手順等についてということで3点ほどあります。入室手順については、①この室の外側にあるエックス線発生装置の電源をOFFに、遮蔽シャッターを閉じるということと、その確認。②制御盤の安全スイッチをOFFにした上で、安全札を取り付ける。③こちらの室の外側の表示灯、緑色や白色であることを確認する。という手順が定められているところです。
 こちらのエックス線装置の警報装置については、電源が入っている、切れているという表示灯、シャッターの開閉表示灯が照射室出入口の外側に設置されていたものです。また、こちらの室の入口の扉には、扉を開けると、この付着量計の電源が遮断されるインターロック機能が設置されていたところですが、その機能は災害発生時、無効の状態であったというものです。
 作業員の作業経験・労働安全衛生法関係の資格についてということで記載しております。Aの方に関しては、エックス線作業主任者をお持ちで、16年ほどの経験があった。Bの方については、2か月の作業経験だったというところです。
 3ページ目になりますが、INES、国際原子力評価尺度について、一般的な説明事項を参考に付けております。INESについては、IAEA、OECDにおいて策定された、事故がどのようなレベルであるか、一般にも分かるようにするための国際的な指標として開発されたツールで、我が国でも運用しているところです。下のほうに、各国におけるINES評価の例とありますが、こちらは例示になっておりまして、全てではないですが、このようなものが挙げられております。今回の事故についてはレベル3というところです。
 続いて資料3についても説明させていただきます。放射線による健康障害防止に関する法令に関して、簡単ですが説明させていただきます。
 1枚目のスライドですが、放射線関係法令について示しております。赤い囲みになりますが、関係事業者、労働者、全体を対象にした職場における労働者の安全と健康を確保するという観点で、労働安全衛生法があるほか、原子力基本法に基づいて原子炉等規制法やRI法があります。規模の大きな放射線発生装置や放射性同位元素及び装備機器の管理という観点でRI法や、一部医療法にも関係してきますし、放射性医薬品医療機器といった観点では医療法と薬機法がかかってきます。
 次のページ、労働安全衛生法に関しての概要については、労働安全衛生法の中では、真ん中から少し下ぐらいの囲みになりますが、「講ずべき措置」とありまして、災害防止のための措置の危険防止措置、健康障害防止措置ということが規定されているほか、安全管理者、衛生管理者、産業医の事業場における安全衛生管理体制の確立に関する規定。安全衛生教育、就業制限という就業に当たっての措置に関する規定。さらには、作業環境測定、健康診断といった健康の保持増進のための措置について、法律の中で規定されております。また、それぞれについて具体的に省令という形で右上にありますが、特別規則という形で、より具体的な措置が規定されております。その中の1つに、電離放射線障害防止規則も位置付けられております。
 次のページ、ここから2枚ほどは、電離放射線障害防止規則、いわゆる電離則について簡単にお話ししたいと思います。
 法的位置付け、基本原則、規制の内容がこちらにあります。4番目、規制内容に関して申し上げますと、皆様十分御承知かと思いますが、管理区域と線量限度が第3条以降に定められております。実効線量が3か月で1.3mSvを超える区域等を管理区域に設定するとか、実効線量限度と等価線量限度というものが規定されております。第8条、第9条では、線量の測定について規定されていて、管理区域内に立ち入る労働者の方の被ばく線量の測定、あるいは記録といったことが規定されているものです。
 4枚目のスライドは、その他の措置についてです。主に今回エックス線装置の関係の話になりますので、その辺りを中心に、特に(3)外部放射線の防護が第10条~第19条に定められておりまして、その中でエックス線装置の使用に関する措置、規定がアからキにあります。特にオでは放射線装置室に関する規定や、カでは警報装置、インターロックについて規定されていたり、室を設けない場合での電離放射線、エックス線装置の使用等に関しては、立入禁止の措置も規定されております。また、右側の作業主任者、特別教育も、このエックス線装置の使用に関するところになっております。エックス線作業主任者の選任、職務、特別教育の内容等について規定されているものです。簡単になりますが、私から取り急ぎここまで御説明いたしました。
○飯本座長 ありがとうございました。大変コンパクトではありましたが、丁寧に説明いただきました。まずここまでで、資料の2番、3番の中で御質問があれば頂きたいと思います。いかがですか。よろしいですか。よろしければ先に進みますが、必要に応じてこの資料に戻ることもあろうかと思いますので、またそのときに何かあれば挙手いただければと思います。
 それでは、次の議事に入ります。関係団体における取組について、幾つかの団体から最近の様子を御紹介いただいて内容を深めてまいりたいと思います。最初は日本検査機器工業会様から、資料4を使って夏原構成員からの御紹介になります。簡単で結構ですので、自己紹介や組織の御紹介を頂いてから説明をお願いします。
○夏原構成員 では、私、夏原から御説明申し上げます。資料を順番にめくりながら御覧いただければと思います。まず最初に、日本検査機器工業会(JIMA)の団体の動きとして、展示会をやったり、エックス線の取扱主任者講習会を行ったりしています。団体自身は、エックス線装置を製造・販売している企業と輸入代理店、総代理店の集まりです。一般の一個人とか、使っておられるユーザーさんは加入されておりません。先に飛んでしまいますが、3ページに組織図があり、非破壊検査のいろいろな種類、電磁部会、磁粉・浸透部会、放射線部会、超音波等がございまして、今日来ている私が、放射線部会の部会長を担っております。
 4ページで、いわゆる製造販売の台数統計を年間通して1年間ずつ、統計処理をしています。分類が分かりにくいのですが、専門用語が並んでいます。いわゆる持ち運びをして検査場所ですぐエックス線を出すタイプを、一般的にポータブルと総称していますが、それが1番目です。あとはここ近年、10年20年前から、マイクロフォーカスという、焦点を小さく絞ったタイプのエックス線で見る透視装置と、組み合わせて断層を撮るCT装置、それ以外に現場で食品の全数検査、皆さんが日々食べておられる食品を全自動で行う装置の分類、その種類の中には靴や医薬品やほかの物も含んでおります。それから、医療用の発展型で出力の大きくなったミニフォーカス、台数は少ないのですが、血液照射とか、発芽防止、応力測定などの分類がまだ残っております。それ以外にも、ガンマ線等の放射線機器も分類として統計しており、日本国内における金額及び台数を集計して、上部である経済産業省に年次報告として出しているのが実情です。
 今回の事故を踏まえて、全部の話を今ちょっとパラパラ申し上げましたが、それぞれの立ち位置で思っていることが違いますので、整理をして今回臨んでいます。その整理というのは、大きく3つの分類にしたほうが、話が分かりやすいのではないかなと。①がいわゆるエックス線照射室で、人が入れる構造のものが今回、事故が起きているものです。そうではなくて、人が入れない構造の、いわゆるボックスのタイプがあります。それから、持ち運んで、先ほどポータブルと総称を申し上げましたが、そういうものがあります。
 解釈として、パネルというのも、コンクリート遮蔽しているものも従来ありますし、専用の鉛を使ったパネルでボックスを作っているもの等がありますので、それの区分というのはなかなか難しいかなと。あと、自動運転するタイプは人がずっとそこにおられませんので、どういう分類にするべきかなと、それは今悩んでいるというか、論点かなと思います。
 その次のページに協会における論点として、今回の事故①が起きているものに対して、我々工業会が活動している企業のほうにヒアリングをしましたところ、実際に安全対策として、二重のリミットスイッチを備えているとか、人の入る入り口に安全プラグがあって、そのプラグを抜かないとドアが開かない。逆に、閉じ込められたときに知らせるための非常停止ボタンであったり、エックス線を照射していますという赤い表示灯を室内に付けていたりという報告がありました。
 エックス線装置の対策として、作業をする方の特別教育をどう扱うかというのはなかなか難しいのです。エックス線作業主任者を取ってから私も40年近く経ちます。こういう仕事をしていますから、いろいろしゃべれるのですが、取っただけで終わってしまうと、それがよく分からなくなってしまうのではないかなと。期限というのは今はないです。
 あとは、どうしても国の法律で1.3mSv/3か月という被ばく線量だけがカチッと決まっていて、それをどう解釈するかとか、装置の漏えい線量に置き換えて算数するような世界がありますので、そこら辺を今回、どう解釈するのが望ましいか、いろいろ御相談したいなと思いました。
 具体的に、①の人が入れるタイプというのは次の6ページにあります。これは会員企業のほうから許可をもらっているのですが、大きな扉があって、人がそこに入っていけるという遮蔽のタイプ、次の7ページは、食物がコンベアの上を動いて、人が当然そこへ入れるような空間はありませんので、物が流れて全自動で、口の中を切るような異物があったら自動的に跳ねるという信号が出るタイプ、それから8ページのほうは、エックス線装置、検出器が中に入っていて、CT装置、人が入れないボックスタイプの種類です。
 それから、次の9~10ページは参考として付けましたが、次の非破壊検査工業会さんのほうが報告されるのとかぶりますので、省略させていただきます。法律も先ほどの厚労省さんの説明とかぶりますので省略させていただきます。足早ですが、以上でございます。
○飯本座長 ありがとうございました。まず、お話いただいた内容に関して、何か御質問があれば頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。内容についてはよろしいですか。頂いた資料の中で、この点についてもう少し深めたいというところも何点かあったと思いますので、それは後ほど扱わせていただきたいと思います。今回だけではないかもしれませんが、全体の委員会を通して、議論させていただければと思います。
 それでは、この資料についてよろしければ、2つ目の御紹介に移らせていただきます。2つ目は日本非破壊検査工業会様から、資料5を使って釜田構成員からの御説明になります。よろしくお願いいたします。
○釜田構成員 非破壊検査工業会の中に、放射性同位元素等安全取扱委員会というのがあります。そこで今期から委員長をやらせていただいています。そういう立場でやっております。放射性同位元素等と「等」がついておりまして、実はアイソトープのほうが主ではありますが、エックス線、加速器も含めようということで「等」が付いているという格好で、少し広げて活動を行っております。
 2ページ目、非破壊検査工業会の成り立ちのほうから、少し説明させていただきます。一般社団法人非破壊検査工業会というのは、非破壊検査業及び非破壊検査機器及び材料等の製造販売業者で構成する企業団体です。1972年に社団法人として非破壊検査振興協会ということで設立し、今現在に至っております。
 目的といたしましては、プラントであったり、製造されている建築などの社会的なインフラの施設において非破壊検査技術を利用して、構造物、設備等を破壊しないで検査をし、製造時の品質、使用中の安全確保に貢献するというようなことです。
 次のページ、構成会社というのは、非破壊検査業の全国で164社、非破壊検査機器並びに材料の製造・販売等の業者が33社、全部で197社が加盟して活動を実施しております。
 4ページ目の所で、ここはざっと見ていただいたらいいのですが、会員の産業の売り上げ比率です。鉄鋼、石油・科学・ガス、電力・原子力、建築・土木、その他ということで、年間1,375億円/年のマーケットスケールを持っています。
 5ページです。会員の非破壊検査売上高比率はどれだけの検査量があるかということになるのですが、超音波、放射線、浸透、磁気、その他です。その中の放射線は約16%で、そういうものが売上高比率ということで、放射線を使った検査をしていると。これは残念ながらアイソトープを使ったものも含まれておりますし、エックス線を使ったものも含まれています。
 6ページですが、先ほどもちょっと出てきましたが、一般的に非破壊検査で使われているポータブル型は、1,633台ぐらいです。それとプラス設置型ですが、設置型というのはどちらかというと、照射室の中で使うと。ポータブルのほうは持ち出して使ったり、その部屋の中で使ったり、どちらでも使えるというものです。その他27というのは蛍光エックス線分析計で、食べ物になると思うのですが、そういうものが27です。あと、ガンマ線は、ちらっと見ていただければいいのですが、Ir-192が311台、Co-60は26台、その他が3台という形で、ガンマ線も使われています。
 7ページですが、エックス線装置の使用例ということで、どちらかというと照射室の中ではございません。プラントの中へ持ち込んで検査をしている状況だというようにお考えいただければいいと思います。工場内でこういう管を造っていて、溶接があって、そこにフィルムを貼って、その溶接部の検査をしています。左側の図は製造ですね。右側の図は逆にプラントでも、組み上げられたプラントの中で、溶接部がちゃんとなっているか、エックス線装置をぶら下げてといったらおかしいですが、そういった所で検査をしています。こういうような使い方をしています。これに関してはフィールドで使うという格好になりますので、ある程度の距離をとって使います。
 エックス線装置の使用例ということで、8、9ページにわたって同じような図があるのですが、まず8ページに関しましては、どちらかというと管理区域が設定はされていますが、これはフィールドだというように考えていただければいいと思います。フィールドの中で、ある距離をとって、ある遮蔽体を置いて使っている例ということで、エックス線があって、対象物があって、フィルム、若しくは検出器を置いています。あと、エックス線の発生の警告等があります。こういった形で使っています。
 それに対して9ページのほうは、ボックス型も照射室も同じような形になると思うのですが、エックス線装置があって、外側に照射室の遮蔽です。そういうものがありますよと。1.3mSv/3か月にできるような遮蔽能力を持ったものです。あと、扉の所には、ドアリミットが付けられています。そのドアリミットが開いていると、エックス線は出ない、若しくはエックス線が発生しているときにはドアリミットが切られると、エックス線がすぐ止まるというような対策を取っています。それプラス表示灯です。電源電動になっています。エックス線の設置のほうで出てきていますけれども、電源が入ったとともに表示をすると。この表示灯では実際、エックス線が出ているかどうか分からない。要は、電源が入ってエックス線が出せる状態になります。それとは別に、部屋の中というか、エックス線装置から出して、照射ランプが付けられるタイプもあります。全数ではないと思うのですけれども、一部そういうものもありますので、そういうものを使えば、エックス線が出ていますよということはランプで分かるというようなものもあります。それと、インターロックキーと書いてありますけれども、電源スイッチの所にキースイッチがあって、それを抜いていけばエックス線は出せないとか、いろいろな対策が取られていますけれども、こういうものが使われているということです。
 10ページになりますけれども、エックス線安全取扱いに関する活動ということで、エックス線安全作業基準というものを出版しております。この中にいろいろと書いていますけれども、今やっているようなこと、安全のための点検ルールであったり、検査表であったり、法の解釈であったりとか、こういうものをまとめたものを作って、関連企業に配布をしています。
 11ページに、その活動を通じて、今回のものを受けてですが、やはり安全の教育、講習をしないといけないだろうということで、24年度になっていますが、これから計画を立ててやっていこうということです。エックス線、放射線業務従事者向けに、安全教育をやりましょうということで、今プログラムを作成してやっていこうとしております。その中で、透過写真撮影業務特別教育規定がありますので、それに準拠した講習を、なかなか集まっていただいてやるのが難しいので、e-ラーニング形式等を使ってやれたらいいなということで、これに関しては今のところ準備中です。24年度から開始をしたいということです。
 12ページ、4月からこのようなプログラムをやりたいなと。関係法令、電離放射線の生体に与える影響、エックス線装置の構造及び取扱い、透過写真の撮影の作業方法等を、各先生方にお話を頂いてやっていこうと計画をしています。
 13ページに、放射性同位元素等安全管理委員会の紹介をさせていただいています。これは最初、非破壊検査をやっているときに、線源の紛失、被ばく事故もあり、やはりそれでは駄目だということで、監督官庁のほうから行政指導を頂きました。その中で1972年、設立をしたと同時に、ガンマ線使用に関する懇談会であったり、これを通じて放射性同位元素等安全管理委員会が設立をして、活動しております。これに関してはガンマ線の話になるのですが、取扱主任者の集まりです。各企業から取扱主任者が代表として出てきて、活動を行っております。その中で監督官庁との意見交換、どちらかというと厚生労働省さんというよりは、原子力規制委員会さんのほうが多いのですが、非破壊検査業界の放射線管理上の窓口として外部団体への対応、外部専門家を招いて放射線管理の最新の把握、これは我々の中の勉強会です。あとは委員会内での情報共有をやっています。
 14ページで、謝辞ですが、今後ともエックス線装置に関わる放射線障害の防止に努めてまいります。御指導、御鞭撻のほうを、よろしくお願いいたしますということで、発表を終わらせていただきます。
○飯本座長 御紹介ありがとうございました。日本非破壊検査工業会さんからの御紹介でした。御質問等がありましたら頂きたいと思います。よろしいですか。最近の教育の動き等もお示しいただきましたので、この後、全体としてどういう方向性がいいかというところの具体例として、議論をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。よろしければ、次に進ませていただきます。
 それでは、3つ目です。これが紹介の最後になります。私から御紹介させていただきます。私は、日本保健物理学会エックス線被ばく事故検討ワーキンググループを率いた経緯がありますので、その御紹介ということで、資料6-1と資料6-2を使って、お話をさせていただきます。お手元に2つの資料を御用意ください。
 資料6-1で、今申し上げた日本保健物理学会の説明をさせていただいてから、中身に入りたいと思います。まず上のほうですが、日本保健物理学会は1961年にアメリカの保健物理学会(Health Physics Society)の日本支部の意味合いを含む自主的性格の日本保健物理協議会としてスタートしました。当時は、米国の保健物理学会と非常に強いコネクションがあったわけです。現在は緩いですが、コネクションは続いていることと、アメリカだけではなくて、イギリス、あるいはアジアにある保健物理関係の学会との連携を強めた形で、現在も学術的な活動を続けている団体です。
 1965年、IRPAとありますが、国際放射線防護学会でありまして、68の国から53団体が集まった放射線防護に関する国際学術団体、その日本の窓口として参加しています。各国から原則1つの学会が加盟している、そのような国際学会になります。
 皆様にとっては、保健物理という言葉はなじみがないかもしれません。下のほうに青く抜き出してきている部分は、学会のホームページからそのままコピーペーストしたものです。「Health Physicsとは」とありますが、いわゆる放射線防護であるとか、放射線安全とほぼ同義の意味で、保健物理という言葉が使われています。ですから、なじみの言葉としては、放射線防護、放射線安全という意味合いだと御理解いただいて結構かと思います。そのようなチームである日本保健物理学会学術団体の中に、大きな文字で書いてあります、「エックス線被ばく事故検討ワーキンググループ」が設置されたということになります。
 2ページ目を御覧ください。そのワーキンググループの趣旨と活動経緯について、簡単に御説明させていただきます。2021年の事故で発生した状況を受けて、専門チームとして何ができるかということで、議論を続けてきました。趣旨としては4つあるのですが、主に④が最終的な目標で、今回のきっかけとなった事故だけではなくて、エックス線の利用に関する広い視野での管理上の問題点とか、あるいは課題をしっかりと整理して、学術団体として我々が何ができるかということを考えていきたいというのが、大きな目的だったと思います。その内容をこれから御紹介することになります。
 2021年8月に活動を開始して、経過報告書をホームページ上で現在公開しておりますが、その後、3つの分科会を作りました。第1分科会は、エックス線利用上の安全規制と現場管理を見よう。第2分科会は、エックス線の被ばく線量に関する測定と評価について見る。第3分科会は、事故に関する情報の発信と教訓をどうやって水平展開するか。この辺りを、3つのグループにメンバーを分けて議論を深めてきて、全体としては合計で25回の会議を経て、約1年半の活動だったのですが、レポートをまとめたということになります。そのレポートは、後ほど簡単に御紹介させていただきますが、3ページを御覧ください。このような構成員で、この学会の中でエックス線に関する議論を1年半かけてやってきたということになります。
 当時、私は学会の副会長を務めておりましたので、そのような経緯もあって委員長を務め、このワーキンググループを率いることになりました。隣に座っておられるQSTの古渡先生が、このワーキンググループの副委員長ということで、本当にたまたまなのですが、この2人がこの学会のワーキンググループのコアメンバーでした。ほかにもいろいろな方々17名で構成していましたが、その議論の内容を今から御紹介するわけです。20歳代から80歳代まで、大変幅広い年代の委員と、所属も学術チーム、現場に近いような、実務に近いようなメンバーもいたり、あるいは右側にいくと、学会の中の近しい委員会の委員長もこのメンバーに入って、学会全体として取り組んだ活動だということを見ていただけますし、あるいは下のほうにいきますと、日本放射線安全管理学会という、私ども日本保健物理学会と非常に近しくて、一緒になってシンポジウムや研究発表会を開催するような管理学会さんからも委員を出していただいて、学会の枠組みを超えて学術チームとして何ができるかということを議論してきたということになります。それから、一番下には日本非破壊検査工業会さんや千葉県の環境研究センターさんの名前も出てきますが、幾つかの学会を超えたような方々からも情報あるいは御意見を頂きつつ、我々としての見解、あるいはまとめの作業を進めてきたということで、改めてここで御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
 4ページを御覧ください。第1分科会で安全規制であるとか、現場管理であるとかという辺りに踏み込んでいますので、今日は第1分科会のまとめを中心に御紹介させていただきます。
 第1分科会の中での議論では、最終的には4つの観点についてメッセージがまとめられています。エックス線の利用と安全管理に関して、組織体制あるいは責任の所在をどのように明確化していくか、あるいは明確になっている部分とそうでないものがないだろうかという辺り、あるいはエックス線の安全な利用を推進して適切な管理を実現するための教育あるいは人材育成がどうなっていて、これからはどうするべきか、あるいは装置の届出や点検等に関して、法的な位置付けは今はどうなっていて、それらの理解が関係者はどのようになっているだろうかという辺りを整理してきました。また、4つ目としては、安全文化という切り口で、業界を超えて関係者全体として、何がこれからできそうかという辺りを、学術チームの視点ではありますが、まとめてきたということになります。
 そこで、この中身に入るに当たり、資料6-2を御覧ください。少々厚めになっていますが、このワーキンググループの中で3つの分科会がまとめた内容が、レポートとして、3分冊で整理されています。ですので、ページをめくっていただくと、第1から第2分科会、第3分科会というように、それぞれの分科会のまとめがあり、これら全体として、学会のワーキンググループとしての報告書ということで公表させていただいたということになります。
 そこで、今日はこの資料6-2の第1分科会、エックス線の利用上の安全規制と現場管理という観点でまとめられたものを斜めに皆さんに見ていただきつつ、先ほど申し上げた資料6-1の1ページ目に、どのような経緯で至ったかという辺りを見ていただきたいと思います。そこで資料6-2になりますが、このメンバーでレポート第1分科会はまとめられたということです。
 次のページです。背景がずっと書いてあります。2ページ目の右側の下の辺りですが、想定外のエックス線被ばくが当然あるわけで、これが事故やトラブルということだと思います。大半はエックス線は発生していない、あるいはインターロック等の安全装置が働いていると思い込んだものが多いだろうというようなことです。技術者の過信がトラブルの背景の一つとしてあるかもしれなくて、エックス線作業に伴う被ばくリスクへの配慮が欠けていたかもしれない、電子顕微鏡など、エックス線が2次的に発生する装置については、どうやって見ているだろうかという辺り。先ほど申し上げたとおり、今回直接のターゲットとなった事故だけではなくて、もっと広く一般にエックス線装置、あるいはエックス線利用に関して、どのような論点がありそうかという辺りがまとめられていると御理解いただけると思います。
 黄色の部分を中心にお話させていただきたいと思いまして、4ページを御覧ください。レポートとしては144ページです。照射線量の誤認、あるいは医療放射線の技師と放射線科医のコミュニケーションエラー、これは医療の世界で放射線を使っているときのトラブルの原因ということで出てきている文言です。4ページ目の右側に入りますが、医療の装置を除く非密閉型の装置では、国家資格であるエックス線作業主任者の免許取得者を選任して、管理させることが法的な義務、そのような状況です。密閉型については、その部分は法的には要求されていないというわけで、適切な知識、あるいは技術によって、現場管理がなされているかというのは、実はよく分からないということで、この辺りも皆さんと情報共有させていただきながら、現場の感覚を持ちながらディスカッションを深めていければと思っています。
 5ページ目に移ります。「しかしながら」の所です。一部の古いエックス線装置や自作の装置には、大学を中心とする研究の場では、エックス線装置を自作するケースはもちろんありますので、そういうこともスコープに入るわけです。エックス線の照射下でインターロックを解除できるもの、あるいは安全装置そのものがないものもある。あるいは熟練の管理者が定年退職、転職、転籍などがあって、管理者がどんどんシフトしていくと、だんだんと上手な技術の伝承、知識の伝承ができなくなることもあり得る。これが議論になった1つとして、最近、本当にメーカー側等の努力によって、装置自体の安全性がどんどん上がっているのです。一方で、若い管理者たちは安全な装置しか使ったことがなくて、古い装置がたまたま自分の管理下にパッと入ってきたときに、管理者としての技術の伝承がないと、エックス線装置は安全なものだと思い込んでいますので、なかなか事故が想像できないこともあるということが、意見として出てきたという辺りが、ここに書いてあります。
 右側の下のほうです。今度はユーザーに関する教育になります。ユーザーへの教育で、電離則の規定で、先ほど出てきましたが、透過写真の撮影をする場合にとどまっているという辺りをどう考えるか。あるいは右側のほうですが、教育訓練の話で、具体的な法的要件がないということを背景に、教育訓練が実施されるケースそのものがまれかもしれなくて、実施されていたとしても、その内容であるとか、実際の効果はどうだろうかということが、検証の対象になるだろうという意見です。
 5ページ目の右の下、今度は装置管理者です。教育ですので、ユーザーだけではなくて、管理者も大変重要だということで、能力向上のための教育が、一般的な労安法の中で規定されているわけですが、実際にどのような教育がエックス線の管理者に行われて、それが実効性を伴っているか。特に主任者ではない、実務的な管理者、あるいは担当者の教育については、どのような内容がやられているか、あるいはやられていないのかという辺りが、はっきりしないということになります。
 それから、右下を御覧ください。危険や健康障害を防止するために必要な措置が求められるわけですが、次のページに入りまして、そのような措置があったにしてもなかったにしても、法令や安全規則等で求められている事柄をうっかり忘却することなく、意識し続けることで、しっかりと安全文化を守っていけるだろうか。あるいはエックス線のエネルギーが極度に低くて、構造上被ばくのリスクが全くない装置というのも増えてきているわけですが、その届出に対する規制担当者の見解が分かれているケース。届出が必要なのですが、どういう装置を届けるのか届けないのか、安全性がかなり高かったり、あるいは被ばくのリスクがないだろうといったものに対して、まだまだコンセンサスが得られた形になっていないかもしれないという辺りです。ステークホルダー間での法令の適用、あるいは現場管理の在り方に関して、全体としての見解が一致していないかもしれないというような意見が委員の中から出てきています。
 使用頻度の高い電子顕微鏡の中には、電離則の法令による縛りは直接はないかもしれないのですが、実態としてエックス線が強く出てくるものもあるだろうと。これは電顕だけではなくて、電子が動き出せばエックス線は出てくるので、世の中のものには副次的にエックス線が出てくるものがあって、そういうものをどのように捉えるかというのは、実は明快ではないということだと思います。現存する法令だけにとらわれることなく、我々が目指す合理的な被ばく防止、実態として健康を守る、仲間たちを守るという意味で、何が安全上必要なのかという辺りの議論が要るのではないかというのが、学術チームからの意見で、ここはそのようにまとめられております。
 これを背景に、先ほどの資料6-1の4ページにつながる部分になりますが、今の資料の見ていただいている所でいくと、青い部分が主に抜き出した部分に相当します。そこで、資料6-1に戻っていただいて、それの4ページが第1分科会のまとめに至る部分で、先ほどの青い部分の更に抜粋になります。1つずつ御説明させていただきます。
 1番ですが、利用と安全管理に関する組織の体制、責任の所在の明確化ということです。作業主任者には、環境安全の整備と維持についてのより強い権限が付与され、責任を伴うリーダーシップが期待されていることが多いだろうと。ほかの作業主任者とのバランスも非常に重要で、考慮しなければいけないのですが、被ばく線量の評価であるとか、記録、緊急時の措置、特別な教育、作業環境測定など、安全管理上の実務取りまとめを伴う安全に関する責任者としての位置付けを、この作業主任者に与えることも、もしかしたらあり得るかもしれないというトーンです。
 2番は、エックス線の安全な利用を推進し、適切な管理を実現するための教育あるいは人材育成に関連して、電離則ではユーザーに対する特別教育が、いわゆる透過写真に限定されているということは、先ほど出てきたとおりで、ただ、IAEAの関連のガイドラインを踏まえると、管理区域内、あるいはその周辺での業務を伴う全てのユーザーに、実務的な安全教育が届く仕組みが求められているわけです。法令規定とするかどうかは議論が分かれるかもしれませんが、そのような仕組みが必要ではないですかというのが、この報告書に書かれています。
 また、ユーザーにとどまらず、作業主任者と、主任者ではないいわゆる現場管理者、担当者への更なる教育も、全体として考えていかなければならないだろうということです。
 3番目は、エックス線装置の届出や点検等に関する位置付けの明確化です。安全管理の観点から、関連法令下で届出を要する機器について、ステークホルダー間の共通理解が必要だと。これは規制側もユーザー側も、もしかしたら作る側もということになりますが、必要だということで、また、装置の点検の在り方についても、ステークホルダー間での共通理解が求められて、点検に関する作業規程の準備も重要かもしれません。
 4点目は、エックス線利用に伴う安全文化の醸成に関する支援の仕組みの構築です。装置の小型化や安全性能の向上もあって、先ほど申し上げましたが、全体としてエックス線装置がそれほど危なくないという意味での危機意識の低下があり得る。機器の特性やトラブルシューティング、ヒヤリハット事例を多く集めて、それを世代を超えて、あるいはステークホルダーのチームを超えて水平展開したりすることが非常に重要だろうということで。あくまでもこれは学術チームとして、こういうことがあるのではないかということを、ある部分は想像も入っているかもしれませんし、ある部分は自分たちの組織、あるいは現場に近い所の感触でまとめたものです。主に、学術団体として、これから何ができるのかということを自分たちに対してのイメージでまとめた報告書ですので、是非こういう機会に見ていただけたら有り難いと思います。産業会の皆さん、あるいは規制当局の方も含めて、いろいろな議論をして、中身を深めていただければと思います。
 以上、少し長くなりましたが、資料6-1、資料6-2を使って、日本保健物理学会の活動から、関連の情報を整理させていただきました。
 さて、御質問があれば頂きたいと思います。いかがでしょうか。資料自体のボリュームがありますし、第2分科会の被ばく線量評価、計測のところは古渡先生が中心になってまとめたもの、あるいはそういう事故・トラブルが起きたときに、どのようにその情報を水平展開するかの辺りは第3分科会。ある部分は今回のこの委員会に関係あるとは思いますが、主には第1分科会を中心にお話をさせていただきました。是非皆さんに読んでいただいて、また次回以降にでも御意見、コメントを頂ければ有り難いと思います。よろしいでしょうか。何かございますか。それでは、紹介は以上にさせていただきます。
 次は、議事3です。皆様からいろいろと御意見を頂くという時間に入っていきます。まず最初に、今回取り上げられた災害と同様の災害防止の観点を中心に、エックス線装置に係る対策について、皆さんとディスカッションする時間を始める前に、事務局から資料7の御説明を頂いてきたいと思います。よろしくお願いします。
○東補佐 資料7「論点(案)について」を御覧ください。これからフリーで御意見を頂くに当たって、その際に特に御意見を頂きたい事項ということで、何点か挙げております。災害の発生状況について、我々事務局でも確認しまして、また、先ほどお話いただいた保健物理学会のワーキンググループ報告なども拝見しまして、主に、この災害の再発防止という観点では、以下の観点があるのではないかということで、書かせていただいているものです。
 1つ目の話ですが、同様の災害の再発防止の観点から、主に以下についてどのように考えるか。1つ目として、エックス線装置又は放射線装置室へのハード面の対策ということで、主にインターロック、警報装置に関する機能について、どのように考えられるか。
 2つ目は、作業の管理についてということで、エックス線作業主任者の職務等についてです。
 3つ目としては、ユーザーに対する教育についてということで、特別教育の対象、その内容、あるいは作業主任者に対する継続的な教育、もちろんユーザーに対しての継続的な教育もあろうかと思います。
 その他、もちろんここにある内容にとどまらず、基本的には、今回の災害と同様の災害の再発防止という観点を中心に御意見を頂きたいと思っておりますが、その他、放射線障害防止に向けた対策についてということで、御意見を伺いたいと思っております。
 2ページ目以降、参考に、先ほど1ページ目で話した主な事項についての、現行の電離則の関係条文について記載しております。まず警報装置、インターロックについては、電離則第17条になります。この1号、2号、3号、エックス線装置又は荷電粒子を加速する装置に電力が供給されている場合等において、その旨関係者に周知させる措置を講じなければならないとなっています。インターロックについては、第2項ですが、荷電粒子を加速する装置又は百テラベクレル以上の放射性物質を装備している機器の放射線装置室の出入口で、人が通常出入りするものについて、インターロックを設けることとされているところです。また、安衛則で、このような安全措置等について、有効、保持、点検という規定があるところです。
 3ページ目です。エックス線作業主任者の職務の関係について記載しております。電離則の第47条です。第3条第1項の管理区域、第18条の立入禁止の標識の措置についてとか、エックス線装置の照射と、ろ過板の適切な使用に関してとか、第12条の撮影の関係の措置、第13条は透視を行うときの措置といったことですが、そういったことに規定する措置の関係の規定、これら照射条件を調整することが、第4項にあるということです。エックス線作業主任者の職務については、こういったところになります。
 4ページ目は、特別教育についてです。特別教育については、もともと安衛法の第59条第3項によるもので、安衛則第36条での各号で、具体的に特別教育の対象になる業務が規定されておりまして、エックス線装置又はガンマ線照射装置を用いて行う透過写真の撮影の業務という形になっております。その下は、こちらの特別教育を行う場合の科目内容です。私からは以上です。
○飯本座長 各構成員から、これから御意見等を頂くことになると思います。今、事務局から資料7の議論の大きな方向性についての御説明を頂きましたが、その内容に関して御質問があれば、頂きたいと思います。1ページに、「特に御意見を頂きたい事項」ということで項目が挙がっています。
○古渡構成員 事務局の方に、この議論に先立って補助線を引いていただいてありがとうございました。
 まず、構成員の先生方に是非お伺いしたいのが、私は、今回エックス線装置で被ばくされた方の事故の再発防止という観点では、この3つは非常に重要なのかなと思うのですが、大きく全体を通じて、これ以外にも、何かお気付きのことがあるのかなと思っていて、もしあれば、そういったところを是非御教示いただきたいと思いました。
 私のほうでこの資料を拝見したときに考えたのが、今回、事故を起こした会社があって、その会社が再発防止をどうお考えになるとか、そういった点と、あと、事故が起きたときに、どのように連絡をしたり、通報をしたり、報告をしたりと。確かに、それは電離則の中に書いてあるのですが、具体的にどうしたらいいのかがあやふやと言うか、分かりにくいと言うか、そういったことがあると考えています。
 そこはその他エックス線装置の使用等に当たっての放射線障害防止に向けて必要な取組ということでカバーされていると思うのですが、ここの部分も同じようにブレイクダウンして、ポツを作って、議論の補助線を作るといいのかなと考えました。私はそういったことを思い付いたという次第です。
○飯本座長 事務局はいかがでしょうか。
○東補佐 今の古渡先生のお話は、事故が後こった後の企業の再発防止の在り方とか、対策の取り方とか、そういう。
○古渡構成員 そういったことも入ってもいいのかなと考えました。
○東補佐 事故が起きたときに、どのように連絡していくかとか、ものすごく狭い範囲と言うか、その瞬間のところの話。
○古渡構成員 それもあるのですが、事故が起きました、どうしましょうというところもありますし、事故が起きてしまうのはよくないことなのですが、よくない状態をよりよい状態にして、事業者が労働者をきちんと守れるような仕組みとか、体制を改善していけるといったことも視野に入れてもいいのかなと感じたところです。
○東補佐 そういうことに関しては、非常に有意義なところがあろうかなと思いますし、電離則自体が、電離放射線障害防止規則というようになっていて、具体的な規定を1個1個見ると、作業を行うときの規定で、作業を行う際には事前にこういうことをやっておきましょうという感じの規定が多いと思いますが、その後の話からしっかりやっていくことで、そういうものにつなげていくということは、十分にあり得る話かなと思いますので、有り難いなと思っております。
○飯本座長 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。1ページの所で、「同様の災害の再発防止の観点から、主に」と書いてあるのですが、未来指向で、これからどのようなことという議論をするに当たっては、非常に幅広く情報が集まってきて、あるいは意見が集まらないと、こういう話はできにくいのだと思います。
 ただ、項目が発散すると難しそうだということもあって、ここでは3点挙げていただいたと思います。私としては、今日は第1回の委員会ですし、いろいろな御経験と御知見、あるいは御意見をお持ちだと思いますので、ある意味ではざっくばらんに、個人の立場もあるかもしれませんし、もちろん組織の立場もあるかもしれませんが、その辺りも上手に明らかにしていただきつつ、お話を頂いて、次の委員会、あるいは議論を深める材料に使わせていただければというように思います。よろしいでしょうか。
 せっかくの機会ですので、皆さん全員に何らかのお話をいただきたいと思っています。飯本と釜田構成員、夏原構成員は1度語っていますので、後半で皆さんにはお話いただきたいと思います。手元に構成員名簿がございますので、この順番で3人を飛ばした形で指名させていただきます。お一人が長いと皆さんに届かなくなってしまいますので、3分ぐらいのイメージで1回まわしたいと思います。よろしくお願いいたします。それでは、黒島構成員からお願いいたします。
○黒島構成員 基幹労連という労働組合の団体から選ばれているのですが、出身は日本製鉄でして、正に事故を起こした企業の出身です。今回の事故というのは大変重く受け止めておりますし、再発防止という意味では、我々働く側としては労働者を守るということが大切だと思っています。専門家の皆様がお集まりですから、是非とも労働者を保護するという観点で、インターロックとか警報器の実効性や、作業主任者と言いながらも、そこの装置であったり管理というところの職責が大きいと思いますので、職場の現場実態に即した形での作業主任者の在り方、それの教育の在り方、これについて私も議論に参加させていただければと思っていますので、是非ともよろしくお願いいたします。今日は1回目ということですので、具体案はございませんけれども、是非とも積極的に参加してまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
○飯本座長 次は郡構成員にお願いします。
○郡構成員 私どもの会社は装置の、主に使用するエンドユーザーとしての立場として、今回参加させていただいているかなと思います。実際、エックス線に関する被ばく事例というのは当社では少ないのですが、放射性同位元素を使用したときの事故事例は、何点か報告させていただいていることもありまして、似たようなことで対策を幾つか行ってきた経緯があります。そのときに、非常に有効かなと思ったのは、線源が実際に発生しているところで、本当に今発生しているというのを知覚させるシステムが重要かなと思っております。具体的には、音量を出すような、アラームを出したり、あるいは実際にエックス線源のそばに光を発生させるライトを、検査機構業界さんからも意見がありましたが、室内に照射ランプを付けるとか、そういった具体的な対策を、我々としては抜けがないように議論できればなと思いますので、よろしくお願いします。
○飯本座長 古渡構成員、どうぞ。
○古渡構成員 私は普段は研究を行っていまして、どのような研究かと言いますと、正に被ばくした患者の治療のための線量評価をやる、特に外部被ばくです。正に今回のようなケースの被ばく線量の評価を担当させていただいております。毎日毎日、こういう事故の論文を検索して、見て、自分でまた再構成して、そのようなことを普段やっております。兼務という形で建物の管理もさせていただいておりまして、そこは非密封のRIと核燃料物質を扱う施設です。エックス線については、前職で使っておりまして、大変お世話になったところではあります。
 今回、事務局から資料7の1ページ目で補助線を引いていただいた点については、何個か考えたところがあります。例えばエックス線の装置を使って何か仕事をするという場合、プレイヤーは大きく、事業者、エックス線作業主任者、実際に使うユーザー、その「ユーザー等」という部分ですが、そこをどれぐらいきちんと定義できるのかというのは、一つ大事な点だと思っております。
 先ほど、夏原先生から御紹介いただいたと思うのですが、例えば空港の荷物の検査をやるときに、装置を動かしている方と、実際に荷物を流している方、どこまでがユーザーなのですかとか、そういった部分も議論に含んでいけると、あなたの責任はこういうことだから、こういうことを学んでおく必要があると思うから、こういう勉強をしてくださいという話になるのかなと考えたところです。これ以外にもたくさん考えましたが、取りあえずここまでということにいたします。ありがとうございます。
○飯本座長 田北構成員、どうぞ。
○田北構成員 弊社としましては使用者がメインなのですが、税関向けのエックス線装置、手荷物検査などがありますが、その製品を出して、それをメンテナンスするというような業務もありまして、社内では、その辺の取扱いも今後どうなるのかということを心配されております。実際には、エックス線作業主任者は付いていないのではないかとか、あそこに手を入れて作業している人がたまにいるのだけれども、あれはどうなっているのかとか、そういう細かいことまで社内では疑問が上がってきているところです。今回の事故、被ばくの後、そういうような話が出てきました。
 私自身も検査員として実際にエックス線装置を使って検査をして、指先を被ばくしたとか、そういうこともございます。例えば我々は業務従事者なのですが、被ばくしていい線量というのはある程度法令で決まっています。一般の個人に対してももちろん決まっていますが、その辺の取扱いに対して、工場内でエックス線装置で検査している横に普通の人がいるというような状況があるわけです。そういうときに、例えば夜間に作業をしてくれとか、そういう意見も最近は出てきています。昼間はやらないでくださいとかです。その辺がありまして、使用者から、そういう目で見ていけたらなと思って、参加させていただいた次第です。よろしくお願いします。
○飯本座長 松島構成員、お願いいたします。
○松島構成員 日本マテック株式会社の松島ですが、JIMA、日本検査機器工業会の会長を務めております。今回のことでお話を始めた段階で非常に感じたことは、エックス線の装置が3種類に分かれているということで、これによって、実は使う人の技術レベルも、危険度も全然違うのです。今回の事故の対策ということで考えますと、防護室というところに尽きると思いますので、この3つをはっきりと認識して、区分けして、論議をしていただきたいと思います。極端な話、ボックス型ですと、操作者はパートタイマーということもあり得ます。ほかの分野では、そのようなことは一切ないのですが、エックス線に関する知識が乏しい人が使うという装置でもあります。ですから、これを同じ括りでやろうとしても無理な話ですので、これは分けていただきたいと思います。
 それから、そこを中心とした対策というものの1つが、安全講習会、教育の問題です。これは非常に重要だということで、先ほどお話しましたように、エックス線に関する知識が乏しい人に対して、主任者資格の講習会を受けろと言っても、全然役に立たないわけです。そこでJIMAでは、随分前から、安全講習会を独自で開いております。これは主任者資格を取るためではないと最初から銘打っておりまして、先ほど夏原構成員から説明があったように、統計を取っていると、売上台数が増えていくのです。食品検査装置は、ピークで1年間に2,500台が売れるような状態になりました。ということは、大手の雪印さん、明治さん、ニチレイさんのような所が、ちゃんと管理して使うのはいいのですが、お弁当屋、総菜屋、パン屋、ハム屋、こういった所まで使われるようになってきました。そうすると、エックス線に関する知識が乏しい人も装置を使用することになります。そこで、そういった方に、基本的な安全知識を持ってもらおうということで、安全講習会を30回ほど開催しています。これは非常に意義があることでして、利益は上がりませんので赤字なのですが、工業会の1つの義務という意味も兼ねて、継続して頑張っております。
 そのようなことで、まずは3つ、開放型、照射室型、ボックス型の3つを御認識いただいて、論議を進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○飯本座長 山脇構成員、お願いいたします。
○山脇構成員 まず今回の事故で被災された2名の労働者に、心からお見舞い申し上げたいと思います。一日も早く回復されることを心からお祈りしております。今回の事故を教訓として、二度と同種の事故を起こさないという観点から、再発防止のための規制の在り方に関わってまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回の事故を振り返ると、幾重にもミスが重なった結果生じたものではないかと受け止めています。1つ目は、定められた手順どおりに装置の確認を行っていれば、あるいは手順を逸脱したとしても、インターロックが機能していれば、あるいは警報装置に気付くことができれば、事故は防げたのではないか。これらが幾つも重なった結果として、事故につながってしまったものと思います。今回の検討にあたっては、こうしたミスが重なったとしても、事故を防ぎ、労働者を守ることができる仕組み作りを検討していくことが必要と思っています。そういった意味では、座長から先ほど御説明いただいた中には、かなり広範にわたって専門家のお立場で方向性を示していただきました。これらも参考に、一定まとめていければよいのではないかと感じたところです。
 また、今回、放射線装置室内で起こった事故であるので、当然検討の中心はその部分になると思いますが、作業主任者とか、教育などのソフト面に関しては、必ずしも放射線事故室に限定せずに、他の形態のエックス線装置に関わる方に対しても適用できるのかどうか、議論していくことが必要ではないかと思います。
 その上で、事務局からお示しいただいている3つの論点について、私の所感を簡単に申し述べておきたいと思います。まず、ハード面からですが、先ほど申し述べたように、今回の事故を見ると、警報装置とインターロックに課題があったことは明らかですので、これについて規制を検討していくべきだと思っております。
 まず警報装置ですが、作業者から見えるように、室の外側だけではなくて中側に設置することを検討すべきと思いますし、今回は光による警報だけだったと思いますので、音でも気付きを促すことも必要ではないかと思っております。
 2点目はインターロックについてです。今回の事故のようなエックス線装置においては、必ず義務付けるということと、常に有効な状態で使用されるように担保すること、勝手に切れないようにしていくことも必要ではないかと思っております。
 次に作業主任者に関してです。座長からの報告にもありましたが、他の作業主任者で規定されるような職務も参考にしながら、いわゆるトップランナー方式で、いいところは取り入れるという考え方で、強化策を検討していくことが必要ではないかと思っています。事故の教訓を踏まえると、警報装置、インターロックの点検も、この職務の内容に含めていく必要があるのではないかと思っています。
 最後は教育です。4ページを見ると、安衛則と電離則では、エックス線装置又はガンマ線照射装置を用いて行う透過写真の撮影の業務に限定されています。少なくとも今回の事象を踏まえると、今日的に、透過写真の撮影に限定する理由はないと思いますので、ここについては拡大していく必要があるのではないかと思います。
 その上で、これは装置室、ボックス型など3種類に分けて議論が必要だと思いますが、本当に特別教育で足りるのか、場合によっては一段高い技能講習まで実施することも含めて、検討していってはどうかと思います。
○飯本座長 大変明快に頂きました。それでは、後半に回してしまいましたが、釜田構成員、お願いします。
○釜田構成員 ちょっと肝心な所というか、我々は、実はガンマ線の装置を造っているメーカーです。その中で、インターロックの鍵というのは必ず付けます。というのは、鍵を持って照射室の中に入る、それがなかったら照射できませんというインターロックシステムを、法令で定められているわけではないのですが、安全の意味から使いましょうということで造っていますけれども、慣れてくると面倒くさいから切るのです。切るだけでも切ってくれれば、絶対に照射できないことにはなりますので、それは一ついいことと、ガンマ線と比較して申し訳ないのですが、ガンマ線というのは線源が動くとガラガラと音がします。逆に言うと、音がするということは、線源が出てきたということで気が付くと。エックス線の場合は音も何もしないと思いますので、エックス線が出ていても分からない。
 音と言いますが、音の場合はどうしても環境によるので、聞こえる聞こえないというのがあります。例えば、照射灯にランプがつくとかというシステムは、簡単にできると思いますので、そういうインターロックというか、警報システムを作るというのも一つなのかなと。それとともに、例えば、今回の事故の想定を考えると、ボックスの外に人がいるという大前提なのです。中のことは全く考えられていなかったのではないかなと考えますので、逆に、もしもインターロックを切ってやらないといけないのだったら、内側に何かそういうシステムを付加すべきだと。付加してあげれば、仮に少しエックス線がついていたねということで、入ったとしてもすぐに出てくるということで、そんなに大きな被ばくにならなかったのではないかと感じます。
 私も詳細は存じ上げていなくて、そんなに長く被ばくしていたのかと驚いている状態です。ただ、そんなに長く検知できなかったというのは、一つ問題かなと。というのは、被ばくする可能性がある所に検知するシステムがなかったというのは、非常におかしな話なのかなと感じました。意見というよりは感想ですが、よろしくお願いいたします。
○飯本座長 ありがとうございます。では、夏原構成員、お願いいたします。
○夏原構成員 資料3の1枚めくった所が、まず一番頭の痛い話のスタートで、何が言いたいかというと、関係する法律がいろいろありすぎて、ここにおられる釜田さんも昔から知っているのですが、古くやっている人は大体分かっているのです。これは何とか法だ、これはあれだといって分かっているのですが、今回こういう委員会が始まって、厚労省さんの方ともいろいろ事前にお話させていただいているのですが、それは厚労省だけでは決められないと。それはどこどこに行かないと分からないとか。でも実際、現場で事故が起きているので、引っ張り合いもあるかもしれないのですが、新たに非破壊検査及びエックス線の業界に入ってくる方が分かりやすい法律になるように、すぐは無理だとしても大きく取組をやってほしいなというのがお願いです。だから、労働安全衛生法を見て、電離則を見てというのがメインなのですが、いろいろ見ていくとそうではなくてというのが絡んでいます。
 私が言うとまたいろいろ問題があるのですけれども、特別の教育のいわゆる写真撮影という業務が規定されているのですが、これは、規定したときには写真撮影しかなかった時代の規定なのです。それが進歩して、今はイメージ管からデジタルパネル、それからイメージングプレート等にどんどん進化していっているのが実は法律に載っていないので、新たに業界に入ってきた方は、これは撮影業務ではないから関係ないということを言い切っている方が登場してきているのです。そういう人がまた変なことをやるのです。余り具体的には言いませんが、そういうのが起きています。
 もう1つは、一番拾うのは、先ほど私の発表のときに申し上げましたが、3か月に1.3mSvだけが独り歩きしていて、1mSvをちょっとぐらいだったら浴びても別にいいのだとか、免許が要らない装置の定義というのが、人が容易に入れなければ免許は要らないという解釈をしているのです。そのときに、数値の話が、実はいろいろ解釈が分かれていて、薄い鉄板でも1.3mSv/3か月を超えなければ免許は要らないのだということを堂々と言っている企業が登場しているのです。でも、法律をよく読んでいっても、なんてことを言っているのだということを、いわゆる罰則規定もないですし、法律も何々に違反しているということも今は言えない状況なのです。
 そこが長年続けている人間から見ると、むちゃくちゃするなとなるのですが、そういう会社が安価なエックス線装置を売り始めると、値段だけが魅力で買ってしまうのです。買ってみて針が振れて、これは大丈夫なのですかと聞いたら、1.3mSv以下だから大丈夫だとメーカーが堂々と答えてしまうと。今回の話が出てきたときに、一応、事例として起きていますよという話は厚労省の方にも説明はしているのですが、具体的に事故は起きていません。事故の報告は上がっていませんけれども、現実にそういうのがあります。何が言いたかったかというと、法律の解釈が分かりにくい立て付けになっているのを、是非こういう審議がせっかく、事故で被ばくされた方には申し訳ないですけれども、それを基点にして、法律の中身、立て付けを年単位で掛かると思いますが、議論していただきたいなと。よろしくお願いいたします。
○飯本座長 ありがとうございました。明快にお話いただきました。一巡しています。飯本は先ほどの第一分科会の御説明で大分お話させていただきましたので、またその局面でと思っています。山脇構成員から「透過写真だけ」という御説明があったのですが、厚生労働省さんからもし可能であれば、なぜこれだけになっているか、その後についての考え方も含めて関連の情報があれば、是非、御紹介いただければと思います。今回の法令の立て付けのベースとなっている背景がもしあれば、お願いいたします。
○東補佐 事務局です。先ほど夏原構成員からもお話がありましたとおり、昭和50年頃の災害を契機に規定されたものだと承知しております。詳しい所は今、手元にない所ですので、また改めて整理して報告させていただきたいと思います。
○飯本座長 では、第2回以降で結構ですので、この法令がどうしてこういう立て付けになっているかというところを、もう少し歴史を勉強させていただいて、それでまた議論させていただければと思います。可能な範囲で結構ですので、よろしくお願いいたします。
 さて、一巡したのですが、ほかの先生方の御意見あるいは立ち位置を含めてお聞きになったところで、もう一度御発言があれば挙手いただきたいと思います。事務局、どうぞ。
○東補佐 意見というよりは、先ほどの夏原構成員の話について、皆様に分かりやすいように補足させていただきます。今、手元にないので正確なところではないかもしれませんが、免許の話が出てきたかと思います。これは、エックス線作業主任者の選任の話でして、エックス線作業主任者は、法令上の規定としては、医療用エックス線装置を除くエックス線装置の使用のときに作業主任者を置くことになっています。あとは、RI法の対象になっている1MeV以上のものも同様に除くことになっていたかと思います。それ以外は作業主任者を置くということになっているのですが、一方で行政の解釈例規のほうで、こういうボックス型のようなもので、機器の外側に管理区域が生じないものを使用しているのみである場合には、作業主任者の選任は必要ないということを過去に示していたというところがあり、その辺りの話です。具体的に、ボックス型で管理区域が外に生じないというのがどういうところなのかというので、判断がいろいろあるのではないかというお話だったと承知しております。補足ですが、以上です。
○飯本座長 ありがとうございます。本件のみならず、法令に書いてある内容をどのように読むか。あるいは、それをどうやって現場適用にして、自ら管理するかもそうですし、ルール化をしていくか。先ほどの第一分科会の話からすると、3番の所になるのですが、ステークホルダー間、あるいは、同じようなチームのステークホルダーの中でも、理解と解釈が違うと今のようなことが起こるので、いろいろな部分でそういう局面がありそうだなというところも、だんだん感じ始めているのだと思います。それに関してはまず項目を挙げて、すり合わせていく作業がないと前に進めないだろうと思ったりいたします。今、事務局から御説明いただいた内容も含めて、また次回、少し具体的にまとめていただけると、より明快な状況で議論が進められると思いますので、よろしくお願いいたします。
 構成員の先生方、どうでしょうか。まだ追加であれば挙手いただきたいと思います。では、山脇構成員、どうぞ。
○山脇構成員 夏原構成員のお話を伺っていて、ちょっと衝撃だったのですが、資料3の3ページです。ここに御参集の皆様は当然のことですが、放射線障害防止の基本原則に書いてあるとおり、事業者は、放射線を受けないように、できるだけ少なくするよう努めなければならないと書いてあるにもかかわらず、そういう事業者がいるという話が衝撃で、仮にそういう事業者が本当にいるのであれば、余り声高に規制強化ということを叫ぶつもりはありませんが、やはり規制の在り方は根本から考えていく必要があるのではないかと思います。実態があるのであればつまびらかにして、そのことを基点として議論していく必要があるのではないかと思ったところです。以上です。
○飯本座長 ありがとうございます。今の点でも結構ですし、別の視点でも結構です。ほかに構成員の先生方からないでしょうか。先ほど途中で止められたとおっしゃいましたか。何か追加でありますか。大丈夫ですか。
○古渡構成員 いや、止められたというか。
○飯本座長 古渡構成員、どうぞ。
○古渡構成員 量研機構の古渡です。私もこの委員に臨むに当たって、幾つか勉強させていただいて、せっかく引いていただいた補助線に乗らないのは絶対よくないと思いましたので、それはいろいろ考えさせていただいたのですが、今、こちらに御参集の先生方から非常に示唆に富む御意見を頂戴したなと考えています。法の立て付けうんぬんもそうなのですが、やはり現場におられる方が、できることをきちんとできるような落とし込みというか、まず実装がないといけないという原理原則の部分を大切にして、議論が進められればなと思いつつ、先ほども山脇先生からありましたけれども、法の精神はすごく大事だと思います。労働者を守れなかったというのがこの委員会に皆が集まっている契機なわけですから、それをちゃんと念頭に置きつつ議論を進められればなと思ったところです。
 インターロックうんぬんでお話させていただきますと、先ほど来よりインターロックの構造とか、このように改良すればというお話もあったかと思います。線量評価をさせていただいている者としては、放射線を測らないのかというところは、やはり気にはなります。でも、夏原先生がおっしゃいましたとおり、そもそも電離放射線障害防止規則の立て付けで、例えば第8条では、事業者は労働者に線量計を着けさせなければならないという規定はありますが、場をモニタリングしなければならないというのはどこにもないのです。実際、装置があって溶接部を見ていると。実は、去年アメリカであった事故で71mSv被ばくされた方がいるのですが、そういう出ている状態で今ここの線から向こうは50mSvだねとか、そういうのをやれていれば違うというのはあります。だから、そういった機能まで法令の中で要求するのかどうかというのは、厳しい部分もありつつも、頭の中で考えた理想で言うと、やはり放射線は測りたいなというのがあります。
 作業の管理、ユーザーの管理については、法令が最初に出来たところから、労働安全衛生マネジメントの部分はすごく進展したし、いろいろな学術的な進歩もあったと思います。そういったところがしっかり反映できるような、PDCAサイクルなども古くからありますが、今でも有効だと思います。それが法令というわけではなくて、現場の皆さん、あるいは、エックス線作業主任者が現場のユーザーさんに、このように自分の仕事を改善して被ばく線量を下げようねとか、そういったことができるような、それがやりやすいようなツールのようなものをこの場で提案するということではなくて、そういうのがあるといいよね、例えばこういうのがあるよということができると、ゴールとしてはいいのかなと考えた次第です。すみません、長くなりました。
○飯本座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。関連でも結構ですし、より広い視点で結構ですが、いかがでしょうか。釜田構成員、どうぞ。
○釜田構成員 夏原さんのほうが詳しいのかもしれないのですが、海外におけるエックス線の販売許可制というか、届出制のようなところがありますよね。
○夏原構成員 国によって法律がいろいろ厳しくて、当社は輸出をたくさんしていますので、当然、漏えいしないように重量も重くなります。それが各国いろいろな規制なのです。日本の法律が1.3mSvしか規定がないから、先ほどのような変な装置も売られてしまっているのです。だから今、工業会としては、松島さんの努力で何だかんだで会員数が増えて、どういう計算で鉛を遮蔽したらいいのだという声が会員から当然上がりますので、一応1.3mSvを1日8時間、週5日40時間で13週で割り算して、2.5μSv/時、1時間当たり2.5μSv以下にしましょうというのを工業会で申合せしています。これは厚労省さんの法律の話ではないです。あくまでも統一基準でやろうということで言っている数字があります。
 ただ、海外の法律を見ると、1μSvというのが規定されている法律が国によっては出てきていますし、先ほどサーベイメータの話がありましたが、サーベイメータを必ずその装置に付けておきなさいという法律の国もあります。日本はそこまで厳しい法律になっていませんので、サーベイメータで定期的に測ればいいという解釈をしております。だから、せっかく法律を見直すのであれば、海外に足並みをある程度そろえていただくと、輸出している会社は有り難いかと思います。
○飯本座長 両構成員、ありがとうございました。これから前向きに安全のことを考えるに当たり、我々日本の中での歴史とか状況ももちろん大事なのですが、海外の近しい分野でどうなっているかというのも是非勉強させていただけると、より良いものになるだろうと思います。事務局、いかがでしょうか。特に御意見と3点書いてある所がありますが、そういう所を中心に海外の情報を集めていただくことは可能でしょうか。
○東補佐 そうですね、夏原構成員、釜田構成員等と連携しながら、うちも法令であったり運用レベルであったり、いろいろ示しているところもあるし、海外もそういう状況はあるのかなと思いますので、業界関係の皆様と是非協力して、情報を収集させていただきたいと思います。
○飯本座長 是非よろしくお願いいたします。それぞれの国には、それぞれの国の事情があって、規制に掛けたり自主規制に任せたり、いろいろあると思います。そういう意味でも、どのような形でやっているかという例題があると、我が国にとって規制になじむものが何か、自主的あるいは業界的な安全文化の醸成のところに任せるのに向いているか辺りも現場感覚につながると思いますので、是非よろしくお願いいたします。
 ほかにいかがでしょうか。先生方からはよろしいですか。私からなのですが、一通り皆さんから、非常に重要な点をたくさん頂いたと思うのです。主に2つ取り上げたいと思います。1つ目は、ユーザーあるいは装置には、いろいろなタイプがあるということで、先ほど装置は3種類と整理なされましたが、もちろんユーザーもいろいろなタイプ、装置もいろいろなタイプ、それを運用する会社もいろいろなタイプ、業界もいろいろなタイプ、見方が違うということです。我々は、やはりリスクマネジメントをしっかりしたいということですので、リスクに応じた適切な管理あるいはやり方はどうかという視点が大事だなと個人的には思っていて、グレーデッドアプローチを忘れずに、我々の間でコンセンサスを取りながらしっかりと議論ができればいいなと思いました。装置から見ると例えば3種類ということになると思いますが、全てがそういう形になっているのではないかなと思ったりしています。それが1つ目です。
 2つ目は、これも似たような着地点なのですが、ハードウエアの御指摘がありまして、インターロックの話、鍵をどうやって使うかという話、それから警報装置も、とありました。これもやはりグレーデッドアプローチにつながる話で、どういう状況であれば上手に機能し、どういう状況であれば何が必要でという形で仕分けることは、きっとできるだろうと思います。事例を集めることによってどこに大きなリスクがあるのかを整理し、資材、人材がきちんと投入できるようにやれればいいかなと思います。そういう意味での規制になじむもの、規制になじまずに業界、あるいは自主的に何かできそうではないかと、それを支援するには、どのメンバーが何をすればいいかという辺りにだんだんと議論が行くのではないかなと考えているところです。これが飯本の個人的な意見です。
 いかがでしょうか。よろしいですか。第1回ということで、どのような話の流れになるか構成員も含め、私も含め手探りで進めてきたわけですが、しっかりこの資料に基づいて、皆さんから御意見を頂けたと思います。第2回以降に、今日の議論を受けて、あるいは、今日初めて見た資料もあろうかと思います。特に私の資料などはたくさんありましたので、是非皆さんにお読みいただいて、お気付きの点があれば事務局に送っていただいて、それをベースに次に深める流れに乗せさせていただきたいと思います。是非よろしくお願いいたします。
 それでは、おおよそ一通りの話は終えたと思いますので、事務局、議題終了でよろしいですか。よろしければ事務局にお返しいたします。よろしくお願いいたします。
○東補佐 ありがとうございます。今、飯本先生からもおっしゃっていただいたとおり、2回目に議論を深められるように、我々のほうでも論点をしっかり整理していきたいと思います。1回目はフリーという形でお願いしたところもあって、意見が言いにくいところもあったかと思います。申し訳ございませんでした。2回目は是非、今回の再発防止という観点に、範囲を絞ったところの話での必要な対策、それは法令もあれば運用もあれば、取組のようなものもあるかと思います。そこから少し広げた観点での話も幾つか頂いたところもありますので、考えられる対応はどういうところがあり得るか等も含めて整理して、対応させていただきたいと思います。一方で、後でまたお話するかと思いますが、2回目は時期が割と近いというところもありますので、できる限り頑張って取りまとめたいと思います。ありがとうございます。
○大内専門官 次回の検討会の日程ですが、3月13日(水)13時30分からを予定しています。正式な御案内については、近々事務局から御連絡差し上げたく思います。以上です。
○飯本座長 では、本日はありがとうございました。また引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。お疲れさまでした。ありがとうございました。