第157回先進医療技術審査部会 議事録

日時

令和6年1月18日(木)16:00~18:00

場所

日比谷国際ビルコンファレンススクエア「8ABC」(オンライン)

出席者

竹内座長、天野構成員、一家構成員、伊藤構成員、上村(夕)構成員、掛江構成員、
後藤構成員、坂井構成員、真田構成員、飛田構成員、平川構成員、平田構成員、
松山構成員、山本構成員、渡辺構成員、南技術専門委員


(事務局)
医政局研究開発政策課長
医政局研究開発政策課 治験推進室長
医政局研究開発政策課 課長補佐
医政局研究開発政策課 治験推進室長補佐
保険局医療課 先進・再生医療開発戦略専門官
医薬・生活衛生局医薬品審査管理課 審査調整官

議題

  1. 1.継続審議の評価を受けた技術の再評価結果について
  2. 2.試験実施計画の変更について
  3. 3.協力医療機関の追加について
  4. 4.先進医療の取下げについて
  5. 5.その他
     

議事

 

○竹内座長
 
定刻となりましたので、「第157回先進医療技術審査部会」を開催いたします。御多用の折、お集まりいただき誠にありがとうございます。本日はオンラインでの開催となります。
 本日の構成員の出欠状況ですが、上村尚人構成員、北川座長代理、戸高構成員より御欠席の連絡を頂いております。また、本日は技術専門委員として南委員に御出席を頂いております。どうもありがとうございます。本日は、18名の構成員のうち15名の構成員にお集まりいただいておりますことから、本会議が成立していることを申し添えます。
 早速ですが、配布資料と本日の審査案件の確認を事務局からお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 よろしくお願いいたします。傍聴者の方の撮影は、ここまでとさせていただきます。御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 配布資料について確認させていただきます。議事次第から、座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿と続きます。
 続いて、先進医療技術審査部会にて継続審議の評価を受けた技術の再評価について資料1-1~資料1-5、試験実施計画の変更について資料2、協力医療機関の追加について資料3-1~資料3-2、先進医療Bの取下げについて資料4、令和6年度先進医療技術審査部会開催予定表資料5、会議資料の最終ページは43ページとなります。お手元の資料に乱丁、落丁等ありましたら、事務局までお知らせください。
 続いて、利益相反の確認です。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業について、事務局から事前に確認させていただいております。今回、整理番号137の技術、名古屋大学医学部附属病院からの新規申請技術について、平田構成員から御報告がありましたが、50万円以下でしたので、当該技術の議事取りまとめ及び事前評価に加わることができます。事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がありましたら、この場で御報告をお願いいたします。それでは、該当なしということで、承知いたしました。
 また、今回は資料を事前にメールでお送りしております。会議資料と区別して、構成員・事務局限りの届出書類等を「タブレット資料」と御案内します。なお、会議資料とタブレット資料の内容は異なっておりますので、発言者は会議資料の何ページ、若しくはタブレット資料の何ページと、あらかじめ御発言を頂けますと、議事の進行上助かります。
 本日はオンラインでの開催となり、構成員の先生方には大変御不便をお掛けいたします。御発言いただく際には、初めにお名前をおっしゃっていただくようにお願いいたします。また、Web会議ソフトには手挙げ機能が付いておりますので、こちらも適宜御活用ください。以上でございます。

○竹内座長
 それでは、早速議事に入りたいと思います。先進医療技術審査部会にて継続審議の評価を受けた技術の再評価について、事務局から説明をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料1-1の15ページを御覧ください。先進医療Bとして再度御評価いただく技術は、整理番号137、タミバロテン内服投与及びペムブロリズマブ静脈内投与の併用療法です。申請医療機関は名古屋大学医学部附属病院です。審査担当構成員は、主担当が平田構成員、副担当が一家構成員、飛田構成員、技術専門委員が南委員、池田委員となっております。
 本技術は第155回先進医療技術審査部会で審議されましたが、懸念事項が多いことから継続審議となっております。審議に先立ち、第155回先進医療技術審査部会にて御質問いただいた事項について、事務局より回答させていただきます。
 1点目、臨床使用実績の効率化、いわゆるゼロ例特例の解釈について御照会いただいたところです。本件について回答いたします。通常、未承認若しくは適応外の医薬品、医療機器又は再生医療等製品を用いる医療技術の申請に当たっては、当該施設において数例以上の臨床使用実績があること、及びその1症例ごとに十分な検討がなされていることが必要です。ただし、これを満たさない場合であっても、臨床研究中核病院等の高度で質の高い臨床研究を実施することができる保険医療機関であって、当該医療機関において整備する臨床研究支援部門が、試験実施計画書等の作成及び試験の実施等に携わっている場合には、数例以上の臨床使用実績がない場合であっても申請を可能としております。また、ゼロ例特例を活用する場合には、中間段階での初期的な有効性・安全性の評価方法等を申請書類に記載するよう求めております。このように、ゼロ例特例は特定の医療機関の権利として申請ができるものとなります。御存じのとおり、あくまでも申請ができるということだけですので、数例の臨床使用実績の効率化を適用できるかについては、当部会にて御審議いただきたく存じます。
 2点目、ゼロ例特例として認められた案件はどういったものがあるのかを示してほしいという御要望がありました。事務局にて、一覧にしてタブレット資料の73ページにお示ししております。審議に当たっての参考としていただければと存じます。
 それでは、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について、事務局より御説明いたします。資料1-5の31ページを御覧ください。
まず、1番目の実施責任医師の要件ですが、診療科は消化器内科、消化器外科又は化学療法部、資格は日本膵臓学会認定指導医及び日本消化器病学会指導医が必要となっています。当該診療科の経験年数は5年以上、当該技術の経験年数は不要、当該技術の経験症例数は不要、その他としてタミバロテンの投与経験並びに免疫チェックポイント阻害剤の投与経験をいずれも有するとなっております。
 2番目の医療機関の要件ですが、診療科は消化器内科又は消化器外科が必要、実施診療科の医師数は経験年数5年以上の医師が2名以上必要、他診療科の医師数は経験年数5年以上の循環器内科、内分泌内科、脳神経内科、呼吸器内科、血液内科、眼科の医師が1名以上必要、その他医療従事者の配置は薬剤師、看護師が必要、病床数は200床以上が必要、看護配置は7対1看護以上が必要、当直体制は消化器内科又は消化器外科医師1名が必要、緊急手術の実施体制は必要、院内検査の24時間実施体制は必要、他の医療機関との連携体制は不要、医療機器の保守管理体制は不要、医療安全管理委員会の設置は必要、医療機関としての当該技術の実施症例数は不要となっております。
 3番目、その他の要件として、頻回の実績報告は3症例までは報告となっており、具体的には、1例目、2例目の1コース目の評価がそれぞれ終了した時点で、2コース目開始日の評価まで(1コース目で中止した場合は、治療終了・中止時の評価)の研究実施計画書「安全性評価項目」の項のデータをそれぞれまとめ、安全性評価委員会に報告する。研究責任医師は、安全性評価委員会から勧告された内容を先進医療技術審査部会事務局に報告する(なお、本臨床研究では、3例目の2コース目開始日の評価に基づき、安全性評価委員会で審議し、安全性評価委員会で審議された結果を先進医療技術審査部会に報告し、先進医療の継続可否について評価を受ける)となっております。事務局からは以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。大変深い議論がなされ、また、申請機関とのやり取りもあり、様々な変更を経た上で、この様式第9号が再提出されたという背景です。これらの要件について、何か御意見等はありますか。よろしいでしょうか。特にⅢのその他の要件、頻回の実績報告については「要」としていただき、その他について3症例までは報告ということで、※に書いてあるとおりの記載を頂戴しております。それでは、この様式第9号は、今回お認めするということでよろしいでしょうか。
                                   (異議なし)
○竹内座長
 ありがとうございます。御意見がないようですので、それではこれはお認めするということで進めたいと思います。
 次に、技術の概要と実施体制の評価について、主担当の平田構成員より御説明をお願いいたします。

○平田構成員
 平田です。よろしくお願いいたします。私からは、試験概要について御説明させていただきます。タブレット資料1の343ページを御覧ください。本試験は、二次治療抵抗性(2種類の標準治療に対して抵抗性)又は不耐性の治癒切除不能膵がんの症例を対象として、タミバロテン内服投与及びペムブロリズマブの静脈内投与の併用療法を実施し、その有効性と安全性を評価する探索的な位置付けにある単施設の非盲検非対照臨床試験になります。
 試験薬として用いるタミバロテンは、白血病のみに現在適応がある薬剤で、一方、ペムブロリズマブは悪性リンパ腫や複数の固形がんに適応がありますが、今回の試験の対象となる膵臓がんには両薬剤とも適応がない状況になります。ただ、先行する非臨床試験の結果から、タミバロテンを事前投与することによって、膵臓がんに特徴的な高度がん関連線維芽細胞の形質だけではなく、腫瘍免疫の環境も変化させ、免疫チェックポイント阻害剤の抗腫瘍効果を増強させる可能性が示唆されましたので、今回新たな治療の選択肢を広げる目的で、本試験が立案されております。
 本試験では、タミバロテンを7日間経口投与した後に、ペムブロリズマブの静脈内投与を3週間間隔で8コースまで投与する試験となっております。主要評価項目としては奏効率を設定されており、副次評価項目としては無増悪生存期間及びこれら安全性のエンドポイントが上がっております。
 先ほど、様式第9号でもありましたが、前回の評価の際に議論になりましたこれらの併用療法に関しては、ヒトでのデータは存在しないということから、慎重に臨床試験を実施する必要があるだろうということで、先ほど事務局からも御説明がありましたように、1例ずつ安全性評価を行った後に次の症例が登録できるというように、3例目まで行う方針で変わっております。この点が今回追加となった部分です。安全性評価委員会で3例の審議がなされた結果、先進医療技術審査部会にも報告され、先進医療としての継続審議が評価を受けることによって継続できるかというところは、前回と同様となっております。
 次のページのロードマップですが、今回は探索的な位置付けにある単施設の非盲検非対照試験となっており、12例を症例登録する予定となっております。本試験の成績をもって、次相の探索的な多施設共同医師主導治験を行い、その後に検証的治験を行うということで、薬事承認を目指すという流れとなっております。以上が試験概要となります。
 それでは、評価に移りたいと思いますが、引き続きよろしいでしょうか。

○竹内座長
 はい、よろしくお願いします。

○平田構成員
 はい、ありがとうございます。先ほど試験概要でも申し上げましたように、本試験において登録初期3例までは1症例ごとに安全性評価をした後に、その上で次の症例を組み入れるという研究計画に修正されましたので、前回の指摘事項に対応いただいているということから、実施責任医師等の体制の所は、今回「適」とさせていただきました。ただ、この部分が、研究計画書の21の項目にまだ記載されておりませんでしたので、その点は追記をお願いできればと思います。それ以外に関しては、前回の評価と変わらず、「適」と判断しております。私からは以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。それでは、引き続き南技術専門委員より、実施体制の評価について御評価をお願いしたいと思います。南先生、よろしくお願いいたします。

○南技術専門委員
 私は、今回全て「適」とさせていただきました。今までの何度かのやり取りの中で、大分ブラッシュアップされたと思います。特に1例ずつ安全性を検討するということであれば、今回のこの組合せに限って言えば、それぞれの薬剤の至適用量同士少量を組み合わせることも可能であろうと思います。1例ずつ評価をしていただけるということであれば、可能だと判断して「適」と付けました。
 ただ、細かいことですけれども、臨床計画書の中でもそうなのですが、用法・用量の頭に原則これこれをこのように投与するという記載があって、この「原則」という記述が必要なのかどうか。もし、この原則を適応する場面が想定されているのであれば、それはプロトコールに明記しておくべきだろうと。やはり用法・用量に関しては、この「原則」を外していただいたほうがいいかと思います。
 それから、説明文書で、例えば免疫チェックポイント阻害薬による心筋炎や神経障害などの重篤性が伝わらない部分が少し気になっています。それから、ICFの中に「原疾患」という単語が出てくるのですが、これは一般の人にはやはり理解できないだろうと思いますので、今回は膵がんと記載すべきだと思います。ただ、これに関しては、本来は各施設の倫理審査の時点で修正が加わっていてほしかった内容かと思います。これらの点が改善されれば、私は「適」でよいと判断しています。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。続いて、薬学的観点からの評価について、技術専門委員の池田先生が本日御欠席ですので、事務局より代読をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 当該臨床研究で使用するテムリック社の「1カプセル中にタミバロテンとして1mgを含むカプセル剤(軟カプセル)」は未承認薬であるため、剤形変更による薬学的視点での審査という観点から、池田先生に御評価を依頼いたしました。御評価を代読させていただきます。
 「本審査におきましては、剤形変更に伴う薬学的評価について依頼を頂きましたので、その内容に特化してコメントさせていただきます。本試験と同じ軟カプセル1mg製剤によるヒトの薬物動態パラメータが得られている再発小児固形がんを対象とした試験では、同一投与量のCmax、Tmaxはアムノレイク錠で得られている数値と同程度であり、その他の薬物動態パラメータからも大きな問題点は見当たらないと考えます。また、2023年10月6日付け照会事項の回答として提出された再発肝細胞がん患者に対するZ-208(軟カプセル2mg製剤)の血中濃度推移は投与量が異なるため単純な比較はできませんが、軟カプセル剤への剤形変更による影響は小さいと思われます。限られた情報からの考察になりますが、試験を止めるほどの安全性上の懸念があるとは言えないと思われます」。以上でございます。

○竹内座長
 ありがとうございました。続いて、副担当の一家構成員より、倫理的観点からの評価について御説明をお願いいたします。

○一家構成員
 私は、説明文書について主に担当いたしました。前回のこの会議で出た意見に対して、研究者の側でおおむね対応されたということを評価して、今回は「適」という意見を付けております。ただ、この実施条件欄の所を御覧いただけたらと思うのですが、昨年12月26日に指摘した事項というのは、我々担当評価委員4名から出した意見について、回答いただいていない、あるいは修正されていない点が2つ残っておりましたので、これについては再検討していただきたいと、再検討した結果をもって実施してくださいと意見を付けております。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。続いて、副担当の飛田構成員より、試験実施計画書の評価について御説明をお願いいたします。

○飛田構成員
 私のほうで、プロトコールの計画書の評価を行わせていただいていますが、前回評価された試験デザインから大幅な変更があるわけではありませんので、前回と同様に、いずれも「適」と判断させていただいています。
 今回大きく追加された内容に関しては、今までの先生方が説明されているように、登録初期3例の時点で安全性評価を行う計画に加えて、1例目、2例目の安全性も評価するという計画に、より安全性を重視して修正されていますので、私の評価としてはこれまでどおり「適」でよろしかろうと思っています。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。それでは1~16の総評につきまして、主担当の平田構成員よりお願いいたします。

○平田構成員
 私のほうから総合評価を申し上げます。前回の本技術の評価の際の指摘事項として、頻回の実績報告を必須とすること、PIとしての資格・適切性の確認、実施医療機関としての的確性・臨床研究中核病院としての本研究のサポート体制の確認、薬力学的な観点からの検討、前の抗がん剤治療からの間隔の修正、用量に関する修正、有害事象で中止となる試験薬の投与に関する修正、そして患者説明文書等の修正が挙がりました。
 今回、申請医療機関から再評価ということで提出された資料では、各構成員及び技術専門委員の先生から頂いた御指摘を修正いただきまして、評価としての「不適」はなくなりました。ただ、実施条件欄の記載については、先ほど各委員からありましたように、修正がまだ必要であるということを考えますので、それらが御対応いただけるのであれば、前回の指摘事項は全て対応いただけたものと考えております。
 また、本技術の評価の際に議論になりました先進医療技術という制度において、先進医療機関においてそれ以上の臨床使用実績がない場合、有効かつ安全に実施できることが明らかである場合はこの限りではないと規定されている点については、これまで当該疾患に対して臨床使用実績がない場合、他の疾患での実績があるなど、ヒトでのデータが存在していると、この部分に関しては現在私はこのように書いておりますけれども、先ほど事務局から冒頭に過去のゼロ例特例のことについて御案内があったと思いますけれども、私のほうで事前に事務局から確認させていただいた内容によりますと、過去、先進医療においても、医療機器ではありますけれども、ヒトでのデータが存在しない場合でもゼロ例特例が実施されている先進医療があったようですので、この部分は記載を訂正させていただきたいと思います。
 ただ、この組合せに関するヒトでのデータがないということには間違いはありませんので、本技術において両薬剤を併用した場合でのデータが存在しないのは事実ですけれども、前回の評価の際にも部会で出た御意見ではありますけれども、先ほど南委員からもありましたように、今回のペムブロリズマブのような免疫チェックポイント阻害剤は、従来の抗がん剤と副作用が重なることが少ないので、フルドーズ同士をいきなり組み合わせることもあり得ると。そして、そのデザインが許容できないわけではないという御意見も頂きましたし、そもそも各薬剤について1剤1剤はヒトでの投与、もちろん日本人でのデータもしっかりありますし、薬剤の毒性、これらを併用した非臨床試験の結果などを総合的に考えると、一定の有効性・安全性が推定できると判断します。
 これらが、先ほど申し上げた先進医療の規定に大きく逸脱するものでなければ、「条件付き適」も考えうると判断しました。しかし、この点については、過去に例がないということから、慎重な議論が必要だろうということで、今回は総合評価としては保守的に「継続審議」と付けさせていただきましたけれども、最終的には部会での判断を踏まえて最終決定させていただきたいと思います。私からは以上になります。

○竹内座長
 ありがとうございました。それでは、これにつきまして、皆様から御討議をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。平田先生からは堅く考えれば継続審議、ただしこれまで先進医療技術審査部会からリクエストされた幾つかの要望に関してはお答えいただいていると。ただし、南先生、一家先生からは修正いただきたい点というのが指摘されております。
 その修正をしていただいた上で「条件付き適」とするかどうか。また、継続審議とするならば、何を今後継続して審議の対象とするかということも同時に考えると、そういう状況だと思います。何か御意見等ございますでしょうか。渡辺委員から手が挙がっています。渡辺構成員、お願いします。

○渡辺構成員
 前回からの経緯を踏まえて意見を述べさせていただきたいと思います。
 前回議論になった論点については、一応回答を頂いているように思います。不備な点はまだありますけれども、その不備な点というのは余りメジャーな問題ではないと思います。こういった点からは「継続審議」と少し抑えて評価されておりますけれども、今、座長が言われたように、「条件付き適」とさせていただくのが妥当ではないかと判断いたしました。
 当然ですけれども、修正されるべき点というのは幾つか委員の先生から出されておりますので、それを確認した上で「適」とされるのが妥当ではなかろうかと思います。特にこういう非常に条件が悪い疾患に対して新しい治療を行う際に、安全性を十分確保するということは大切ではありますけれども、それを100%保証するということは無理ではないかと思いますので、できるだけそういう新しいチャレンジができる可能性を残すという意味で、今回できれば「条件付き適」にしていただきたいと思います。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。松山構成員から手が挙がっています。松山先生、お願いいたします。

○松山構成員
 ありがとうございます。私も今、渡辺先生がおっしゃった「条件付き適」という形でも構わないのではないかと、まず考えています。ただ、今回の名古屋大学様は臨床中核病院ということで、ゼロ例特例で出してきているというところがあって、それにもかかわらず、いまだにレスポンスがないQAがあるというのはいかがなものかと。ですので、ここはやはりもうちょっとしっかり橋渡し機関に支援をしてもらわないと、臨床中核としての意義がないのではないか。それはもしかしたら、やり取りしているのが研究代表者だから、研究代表者が大学病院の中央部と情報をシェアしていないという可能性はあるのですけれども、この部分は「条件付き適」となればどう条件を付けるかという議論になると思うのですが、もう少し臨床中核なのだから橋渡し機関にしっかりとサポートしてもらってくださいと。
 そうでないと、将来的に何かトラブルがあったとき、患者さんに大きなアドバースイベントがありました、大学の本体、病院の本体は何も知りませんという話になりかねなくて、かなり不安ではあるので、その部分を条件のほうに付すのか、議事録として残っているからよしとするのか、そこは御判断はお任せしますが、ちょっと申し上げさせていただきました。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。大変重要なポイントであるかと思います。それ以外に御意見はございますか。基本的にはこれまでの議論を踏まえて、この部会からの御意見に対応していただいたと、ただし対応していただいていない点もありまして、今回その点を整理してもう一度そこを御対応いただきたい。それにつけても、今回ゼロ例特例を適用するに当たって、やはり臨床研究中核病院という非常に高いハードルがある施設からの様々なやり取りに対して、今、松山構成員から少し物足りなさがある、何らかの形できちんとこの部会からもメッセージを送りたいということでした。これに関して何か御意見がありますか。
 私が座長の立場でお話申し上げていいかどうか分かりませんけれども、1つのやり方は、先ほどの様式第9号です。これは資料の31ページ、資料1-5にありますが、この中で、どこかのタイミングで私が申し上げたのですが、「Ⅱ.医療機関の要件」の中に、例えば臨床研究中核病院などに設置されている臨床研究推進センター、その機関の臨床研究を取りまとめる部門の関与というのはどこにも規定されていないので、この様式第9号の、例えば「Ⅱ.医療機関の要件」の「その他」の中に、今回は「特になし」となっていますが、ここに当該医療機関の臨床研究推進センター等の中核機関の関与を明確にすることなど、ここに規定することも1つかなと考えております。松山構成員、いかがでしょうか。

○松山構成員
 正にすばらしい御判断ありがとうございます。感謝します。

○竹内座長
 そのようなことを明記していただいた上で、医療機関として臨床研究を取りまとめる部門の関与というのを明確にしていただいて、そしてこの試験について安全性をきちんと評価していただいた上でお進めいただくということも1つかなと思います。ありがとうございました。
 これを踏まえて、改めて渡辺委員からは、疾患が非常に予後の悪い疾患であって、患者さんも新しい治療法を求めている中で、このゼロ例特例を適用して、新しい治療法ではありますが、安全性に十分配慮をした上でこれを進めていただくということも、先進医療の1つの枠組みとして進めていくことがよろしいのではないかという御意見も頂いていますが、いかがでしょうか。
 今回挙がった点は修正いただく、また、それは研究代表者だけではなくて、機関として、臨床研究中核病院としての機関としてサポートしていただくということを様式第9号に明記していただく、それらを元に「条件付き適」とここで判断させていただくという考え方ですが、何かこれに対して御意見等ございますか。よろしいでしょうか。平田構成員、いかがでしょうか。

○平田構成員
 ありがとうございます。今の御指摘を頂けるのであれば、「条件付き適」で私も問題ございませんので、どうぞよろしくお願いいたします。

○竹内座長
 ありがとうございました。それでは、そのような形で進めていただきたいと思います。整理番号137番につきましては、今のような点を申請医療機関に報告していただき、「条件付き適」とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 南技術専門委員におかれましては、以降は御退席いただいて結構でございます。本日は大変御多忙の中、御出席いただきまして誠にありがとうございました。

○南技術専門委員
 ありがとうございます。ただ1点、一言だけ、先ほどの施設要件に関することなのですが、責任医師の要件で技術、例えば医療機器だとかこういうものに関しては、経験年数が重要だと思うのですけれども、こういった薬物について当該診療科の経験年数だけを求めているのですが、やはり臨床研究ですので、その領域での臨床研究の実績も今後は示していただければいいのではないかと感じていますので、今度御検討いただければと思います。以上です。今日はどうもありがとうございました。
                              (南技術専門委員退出)

○竹内座長
 貴重なコメントをありがとうございました。検討させていただきます。それでは、今の点を事務局のほうで記録に留めておいていただいて、これから医療機関の施設認定についての要件というのを、また改めて整理させていただければと思います。
 それでは、続きまして試験実施計画の変更につきまして、事務局から御説明をお願いします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料2の33ページを御覧ください。国立がん研究センター中央病院からの申請で、告示番号58、ラメルテオン経口投与療法です。適応症は悪性腫瘍です。御審議いただく主な変更内容につきまして、34ページを御覧ください。
 主な変更内容として、1つ目、研究実施期間を変更した。2つ目、除外基準に「登録時にECOG PS4の患者」を追加した。3つ目、中止基準に下線部の記載を追加した。4つ目、曖昧な定義だった次に記載のある内容等について明確にした。5つ目、試験実施計画書の逸脱を固定する方法を追記した。6つ目、J-SUPPORTの当該試験メンターを修正したとなっています。
 変更申請する理由としましては、1については、国立がん研究センター中央病院において、本試験の疾病等報告に伴い一時的に登録中断したことに加えて、登録再開時に外科医から本試験に登録可能と御紹介いただける候補者が試験開始時の想定より減少したため、登録機関の登録再開後の2023年10月の1か月当たり19例に基づき、9か月間延長する。2と3については、適切な有効性評価と安全性評価のために追記を行った。4から6については、研究を行う上で明確に定義されていなかった項目や変更された項目について、追記・修正を行った。以上でございます。

○竹内座長
 ありがとうございます。本変更内容につきまして、御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。御意見ないようですので、告示番号58の変更につきましては認めることといたします。
 続きまして、先進医療Bの協力医療機関の追加について、事務局から説明をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 資料3-1の37ページを御覧ください。告示番号48について2施設の協力医療機関の追加申請がありました。資料3-2、39ページ以降を御覧ください。事務局において、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件(様式第9号)を満たしていることを確認いたしました。協力医療機関の追加として御了承いただきたく存じます。特に御意見がなければ、手続を進めさせていただきます。以上でございます。

○竹内座長
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、事務局は手続を進めていただくようお願いいたします。
 続きまして、先進医療Bの取下げにつきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料4の41ページを御覧ください。先進医療の取下げとして、告示番号17の1件申請がございました。取下げの理由としましては、研究資金の調達ができず、研究の継続が不可能となったため、予定症例数に未達で終了いたしました。なお、総括報告書を追って提出いたします。
 また、登録症例7例の長期予後については観察研究を行い、その結果を先進医療技術審査部会に報告いたします。以上について特に御意見がなければ、手続を進めさせていただきます。以上でございます。

○竹内座長
 ありがとうございます。よろしいでしょうか。それでは、事務局は手続を進めていただきますようお願いいたします。
 続きまして、令和6年度先進医療技術審査部会開催予定表について、事務局から説明をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料5の43ページを御覧ください。令和6年度の先進医療技術審査部会の開催予定をお示ししています。来年度についても、引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。

○竹内座長
 ありがとうございました。本日の議題は以上でございますが、構成員の皆様、全体を通して何か御意見、御質問等ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。今日は議事がスムーズに進行しまして、時間が比較的残っておりますが、よろしいですか。
 ありがとうございます。それでは、ないようでございましたら、次回の日程を事務局から御案内しておりますが、改めてお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 はい。次回は令和6年2月16日(金)の開催とさせていただきます。時間は16時から18時までの予定で、詳細につきましては別途御連絡させていただきます。また、本日の議事録については、作成次第、構成員の皆様に御確認をお願いし、その後公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。

○竹内座長
 ありがとうございます。それでは、第157回先進医療技術審査部会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。
(了)