第3回救急医療の現場における医療関係職種の在り方に関する検討会ワーキンググループ(議事録)

医政局地域医療計画課 災害等緊急時医療・周産期医療等対策室

日時

令和6年3月7日(木)
10:00~12:00

場所

一般財団法人主婦会館プラザエフ スズラン

議事

下記のとおり

2024-3-7 第3回救急医療の現場における医療関係職種の在り方に関する検討会ワーキンググループ
 
○東専門官 それでは、時間になりましたので、ただいまから第3回「救急医療の現場における医療関係職種の在り方に関する検討会ワーキンググループ」を開催いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中御出席いただき、誠にありがとうございます。
 本来であれば構成員の皆様方の御紹介と事務局の紹介をさせていただくところですが、時間の関係上、構成員名簿と座席表の配付をもって紹介に代えさせていただきます。
 今回のワーキンググループにつきましては、公開のワーキンググループとして実施、資料や議事録については厚労省ホームページで公開、事前に御希望があった方の傍聴あり、YouTubeライブ配信ありという形での開催としております。構成員の皆様におかれましては、あらかじめこの点について御了承ください。
 今回は、会場にお越しいただいた構成員の方とウェブで参加される構成員の方がいらっしゃいます。ウェブには佐々木構成員、田邉構成員、細川構成員が参加されます。その他の構成員の方には会場にお越しいただいております。
 本日は、淺香構成員から欠席、本多構成員からは遅れての出席との御連絡をいただいております。
 また、参考人として、会場には岡山大学より高崎特任教授、岡山大学病院より吉備中央町デジタル田園都市推進協議会アーキテクトの牧講師、救命救急科の上田助教にお越しいただいております。ウェブには吉備中央町より岡田副町長、岡山大学より那須学長が参加されております。
 また、オブザーバーとして、ウェブには総務省消防庁救急企画室の飯田救急専門官、会場には内閣府地方創生推進事務局の髙橋参事官補佐に御出席をいただいております。
 まず、御発言の方法から確認させていただきます。オンライン参加されている構成員の方々におかれましては、御発言の際は、Zoom画面の下部にございますリアクションボタンまたは参加者一覧の下部から「手を挙げる」をクリックし、指名を受けてから、マイクのミュートの解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにし、「手を挙げる」を解除していただきますようお願いいたします。「手を挙げる」ボタンがない場合は、代わりに画面に向かって手を挙げていただくなどでの表明をお願いいたします。
 続きまして、お手元の資料を御確認ください。議事次第、出席者名簿、座席表のほか、資料1から4、参考資料1及び2をお配りしております。不足等がございましたら、事務局までお知らせください。傍聴の方におかれましては、厚労省ホームページより資料のダウンロードをお願いいたします。
 報道の方で冒頭カメラ撮り等をしておられる方がおられましたら、ここまででお願いいたします。
 それでは、児玉座長に以後の議事進行をお願いいたします。
○児玉座長 そうしたら、始めたいと思います。
 まず、議題1「救急救命士のエコー検査について」です。
 本議題について、今回のワーキンググループで議論し尽くせればと考えておりますので、活発な議論をよろしくお願いいたします。
 まず、資料1について、事務局より説明をお願いいたします。
○東専門官 それでは、資料1について説明させていただきます「前回ワーキングでの主な指摘事項と今年度のスケジュールについて」というタイトルのものです。お手元に御用意ください。
 前回のワーキングにおいては、本日もお越しいただいている岡山大学の先生方に加えまして、提案自治体である吉備中央町長、そして、岡山市消防局の方にも御参加いただきました。その上で、効果(利点)、頻度、難易度、侵襲度、危険度といった項目を基に、構成員の方々と提案者の方々の間で質疑を行っていただきました。構成員の方々からの指摘事項について、事務局側で少し整理させていただきましたので、一緒に見ていきたいと思います。
 資料の1ページですが、実施処置、プロトコルについて、病院前でエコーをやったといって、病院到着後にすぐに治療開始というフローは現実的に可能なのかといった御意見や、既存の救急救命処置、例としてショックに対する輸液や心筋梗塞などが挙がりましたが、これらのプロトコルの中にどのように位置づけるのか、また、ほかの特定行為の指示と比較して対応時間が長くなるのではないかという懸念から、現場の医師が対応する時間をどのように確保するのか、指示要請が重なった際のバックアップ体制をつくるべきではないかといったご指摘や、所見を見落としたときの責任の所在についても御意見をいただきました。この処置により助かる方が増えるのであれば、方法論や対象についてはさらなる検討が必要ですが、実証を進めていただきたいといった御意見もありました。
 次に、難易度について、救急車内の人員が限られる中で、痛みなどにより静止できない傷病者を介助しながら、さらに走行中揺れる車内で手技を行うことは、健康な者や模擬人形に対して行うよりも困難であり、こうした点を確認した上で実証研究を行うべきではないか、また、なるべく単純化した形としてやるのがよいのではないかといった御意見をいただきました。
 次に、2ページ目に移ります。教育体制につきましては、技術・手技に関してはきちんと時間をかけてしっかりやれば質の担保は出来得るが、目的を細かくして、症例、対象者は限定するのがよいのではないかといった御意見や、その下の2つに関しましても、対象とする疾患や所見等をより明確化及び限定すべきではないか、必要な教育や時間数はそこで固まってからでないと判断できないのではないかといった御意見をいただきました。
 また、引用文献につきましても、エコーの実施主体について、また、論拠との対応関係について整理されたいとの御指摘をいただきました。
 そして、処置の利点、頻度につきましては、本提案のユースケースである超音波検査を実施していれば転院搬送にならなかったという症例数について、また、ドクターカーのある都市や搬送時間が著しく短い都市部であったり、そもそも地域に医療機関が少なく搬送先が既に特定されているような地域においては、本提案は必ずしも必要性が低いのではないか、地域特性に左右されるニーズと有効性をしっかりと検証する必要があるのではないかといった御指摘をいただきました。
 このほかにも、非常に広く様々な観点から御意見をいただくことができました。限られた時間の中でしたが、直接提案者の方にどのような処置や効果を想定しているのか、その詳細を伺えたと同時に、構成員の方々の懸念点を正確に御理解いただける場となったかと思います。
 第2回ワーキングの場において、構成員の方々からの質問に対し、その場で御回答いただけたものもあれば、検討項目としてお持ち帰りいただいたものもあり、本日はその宿題返しの場として設定させていただきました。
 最後に、今年度のスケジュールについて、資料の3ページを御覧ください。第1回、昨年の8月はキックオフとして本提案の頭出しをさせていただきました。そして、第2回の場で質疑を行い、第3回は回答の場として設定しております。前回時間の関係で挙げられなかった指摘などもあるかと存じますので、それらも含めまして、現時点での課題、論点について全て出し尽くしていただき、3月中に今年度の取りまとめという形でそれに反映させたいと考えておりますので、本日も何とぞよろしくお願いいたします。
 事務局からの資料1の説明は以上となります。
○児玉座長 ありがとうございました。
 続きまして、本日欠席の淺香構成員より御意見をいただいておりますので、これも事務局より御紹介をお願いいたします。
○東専門官 資料3「淺香構成員意見書」をお手元に御用意ください。
 代読させていただきます。
 医師がエコーをしようとする対象(症状、受傷・発送機転により出血等の液体貯留が考えられる対象)にエコー陰性が確認できた場合は、岡山大学等の体制の整った(24時間医師が2人体制をとれるとの回答を頂いています)施設以外に搬送するという提案ですが、エコーの精度や陰性判断の後の陽性変化への対応のリスクは必ず存在しますので、医師がエコーを必要とする患者は岡山大学等の体制の取れる施設を第一搬送先にすることで、車中のエコー実施をせずに問題が解決できると考えます。腹腔内出血等のリスクがあればエコーをせずに岡山大学等への搬送を特区内で検討いただくことを検討いただきたいと思います。
 腹腔内出血を認める病態の対応ができない病院に対応が必要な患者を搬送しないようにする対応は、吉備中央地区のみならず、現行の救急搬送業務として行われているものと考えますので、それらの参照を提案したいと思います。
 腹痛を主訴とする患者対応に関して、搬送問題や受け入れ病院の負荷問題を軽減する取り組みは重要であると考えます。しかし、本来業務外の実施をやってみたらできるので、実装しましょうといった検討方法は専門職の在り方、倫理性の観点から懸念を感じます。搬送問題や病院の負荷問題に対して違った改善策も合わせて検討していく必要性を感じております。
淺香 えみ子
○児玉座長 ありがとうございました。
 続きまして、一般社団法人日本救急救命士協会より意見書が提出されておりますので、これも事務局より御紹介をお願いいたします。
○東専門官 資料4の「一般社団法人日本救急救命士協会意見書」を御参照ください。
 代読させていただきます。
救急医療の現場における医療関係職種の在り方に関する検討会ワーキンググループ
児玉 聡 座長
一般社団法人 日本救急救命士協会
鈴木 哲司
 
日本救急救命士の救急車内での超音波検査施行に関する意見書
 平素より日本救急救命士協会(以下、本会)の活動にご理解とご協力を頂きありがとうございます。
 この度、「救急医療の現場における医療関係職種の在り方に関する検討会ワーキンググループ」において検討されている救急救命士が行う救急救命処置範囲の拡大を特例的に行うこと(救急救命士によるエコー検査)について下記のとおり意見を申し上げます。
 ぜひとも慎重な議論を頂き国民の救急医療安全がおびやかされることのないようにお願いいたします。

1.医行為が拡大されることに伴う教育年限の不足が明確である。超音波検査の施行資格を得るには他の教育内容も含めたカリキュラムにて最低3年の教育課程を修了したものとすべきである。
2.救急車内で測定したバイタルサインは、救急医療機関等の到着時に再度測定し直しているという現実が在る中で、超音波検査を救急車内で施行したならばそのまま手術室に入室でき治療を開始するというのは極めて非現実的である。
3.本会「救急救命士の倫理綱領」にも「5 救急救命士は、国憲の堅持、国法の遵守をもって、日本国民たる責務を果たし…」
との記載も在る。現行法令を遵守することが大前提であり、新たな行為の実施には系統的教育を経たものとすべきである。
以上
○児玉座長 ありがとうございます。
 この2つの意見も参考に、議論を進めたいと思っております。
 続きまして、吉備中央町、岡山大学より資料が提出されておりますので、岡山大学より資料2について御説明をお願いいたします。
○那須参考人 それでは、牧講師からの御説明に先立ちまして、吉備中央町チーフアーキテクトであります岡山大学学長より一言御挨拶いたします。
 2月7日に引き続き、このたび御議論いただく機会を設定いただきましたこと、感謝申し上げます。
 前回御指摘いただいた点を中心に、先ほど事務局から宿題返しというお言葉をいただきましたが、その宿題返しとしてしっかり御報告、御説明をさせていただきますので、御審議、御議論のほど何とぞよろしくお願いします。
 以後は牧から説明をさせていただきます。
○牧参考人 那須学長、ありがとうございました。
 岡山大学病院の産婦人科医師で、吉備中央町のアーキテクトの牧でございます。
 第2回に関しましても忌憚のない御意見と、その後もどこが懸念点なのだということを本当に忠実にしっかり記載いただいたことを感謝申し上げます。今日はこのような機会を持たせていただくことを改めて感謝申し上げます。
 そうしましたら、皆様、こちらの資料はお手元にございますでしょうか。先ほど那須学長からも宿題返しというお言葉がありましたので、我々がこの期間、いろいろと調査してきた内容を皆様にお示しいたします。
 1ページめくっていただきまして、構成員の皆様の御懸念点に関しましては、このエコー検査の実施方法、対象者等についてということがございました。その内容に関しまして、内閣府、厚労省の皆様とも我々は協議を重ねまして、以下のような資料に改定をさせていただいております。
 救急救命士が遠隔地の医師に判断を仰ぎながら、このプローブを当てる箇所等々は、医師の責任の下、エコー検査を実施するというのは、前回申し上げたとおりでございます。
 また、路面の状況等が揺れが大きい等々、患者を静止することが困難など、まさにあくまで対応の選択肢を増やすということで、マストではなく、医師の判断により救急救命士と対応を行うという資料でございます。
 第2回のワーキングでの御指摘もございました、エコー検査をよりまず簡便なものからという御発言もありまして、エコー検査の対象を限定し、以下に示すような内容に変えさせていただいております。対象とする状況は、腹腔内液貯留においての肝破裂や脾破裂等ということでございます。関連する診療科は、以下に示すとおりでございます。
 搬送先病院においても、確認結果に基づいて関連する施設科を特定し、事前準備をするというのは、今の医療体制でも行っていますし、その中で情報連携、また、情報が増えることによって、その場での準備がより整うことになります。
 また、一定以上の規模の病院でありますとオーバートリアージによって事前準備が可能なのですが、中山間地区のような救急体制が脆弱な地方の場合は、そういった人員、そして、人的資本などを集めていくというのも判断が難しい状況があり、エコー検査の映像がMCによって共有されるというのは有効であるかと考えております。
 病院到着後の検査については、必ずしも省略するものではないですが、様々なケースを実証を通じて確認していくことをさせていただければと思っております。
 そうすることで、救急医療における対応の幅の拡大と搬送先病院や救急隊が速やかに患者情報を共有できるような社会が構築でき、適切な搬送先選定・早期の処置実現を催していきたいということでございます。
 2ページは、前回にもお出しさせていただいた資料の一部に黄色のコメントをつけさせていただいておりますので、御確認のほどよろしくお願いいたします。
 3ページ以降は、前回もいろいろな質疑がございましたが、研究のデザインやどのような実証をするのかというお言葉がございましたので、2つのデザイン案を今回用意させていただきました。
 1つ目は、研究デザイン案は以下のとおりであるということで、確度を高めるため、今後これでやるのですよということではなく、またここから議論を重ねて最もよい計画とし、実証、また、研究とさせていただければと思っております。
 目的、方法は以下のとおりでありまして、対象は吉備中央町内で救急要請した患者のうち、腹痛が主訴の者(状態としては、腹腔内液貯留等を念頭)としております。協力が得られない患者は除外といたします。症例数は、吉備中央町で腹痛を主訴に搬送される方が年間30名弱ということでございますので、このような程度の想定をしております。手順は省かせていただきますが、この手順に基づいて行わせていただきます。
 4ページを御確認ください。もう一つのデザイン案は、まずフェーズ1で精度評価を実施し、救命士が実際の搬送者へ遠隔でエコー検査をした際の映像の確認などの状況をまず調査すると。そして、その後、フェーズ2で搬送先選定の適正化や早期の処置着手の効果を確認するという状況になります。
 収集するデータは、現存の医療におかれまして、過去のデータ等とも比較できるようなデータを集めておりますし、このたび日本で初めてこういったエコー伝送などもされるわけでございますので、そういった前向きな情報も集めていくということでございます。
 結果は、先ほど前半に申しましたフェーズ1、フェーズ2に分かれており、それぞれの実証においてプライマリーアウトカムを設定させていただいております。御確認をいただいて、御質疑があれば御回答させていただきます。
 5ページは、前回2分という一つの言葉が出てまいりましたので、その2分間というところの中で、より簡単に、簡便に、そして、リスクが少なくできる最小限だけれども最大限の情報ということで、3番、5番、6番のこの3つの箇所に当てて調査をすることによって、システムを起動し医師が確認するまでの時間を2分以内という形で作成させていただきました。現存の論文を参考につくらせていただいております。
 1ページおめくりください。こちらも構成員の先生から御質疑がありました引用論文に対しての宿題を、今回再整理という形で訂正させていただいております。病院前救急におけるエコー検査については、海外の先行研究において、医師等による実施ではありますが、搬送時間に負の影響を与えずに十分に実施可能であります。時間短縮、治療変更等の効果があったことが確認されており、以下、6つのポツの部分の赤字の部分でしっかりと言葉を追加させていただいて、主語を明確にさせていただいたりしております。御確認いただければと思います。
 また、腹部エコーに関する感度の御質疑もございましたので、POCUSのデータからこのように感度・特異度が出ております。超音波できっちりとこのような疾患を描出できるというような感度・特異度のデータを御参照ください。
 8ページを御覧ください。構成員の皆様からは、このシステムの保守、仕様、そして、導入に関する経済的な部分であったり、どういった安全性なのだというシステムの御質問もありました。エコー検査の映像の伝送システムは、医療情報を取り扱うシステムとしての3省2ガイドラインに準拠して作成しておりまして、通信は全て暗号化されているというのは、前回申し上げたとおりでございます。
 そして、下に参考として情報伝送システムの構成を示しておりますが、こちらは令和5年度の先端的実証調査業務におかれまして、この3月に救急車内に吉備中央町は2個導入が完了する状況でございます。超音波の金額についても御質疑がありましたので、こちらに示させていただいております。これは令和3年度の先端的実証調査において4つの機種の中から選定し、この2種が以下に示すような我々の調査によって高水準であると確認し、実際に使わせていただいているものでございます。御参考いただければと思います。
 9ページを御覧ください。最後のページでございます。御指摘事項はほかにこのポツ3つの質問がございましたので、これに関しても文章として返答させていただいております。
 まず、転院搬送件数については、前回お示しをしました。救急搬送に関するデータにおいては、御質疑があった転院搬送のその後の状況は、岡山市の消防のデータだけでは最後まで追うことができずに抽出することができませんでした。このような回答にさせていただきます。
 消防車及び搬送先病院における導入・ランニングコストでございます。救急車1台当たりの機器購入の費用は100万円を下回ります。これは超音波エコー検査装置は別途でございます。また、機器の設置については、そのポイントを明確にして、設置を簡便なものとしております。安価な作業費になることをもちろん目指しておりまして、比較的ランニングコストはかからないということでございますが、これは正式な金額が決まるのはまず企業がそれをサービス化したときでございます。現在の状況で病院側のコストについては、それぞれの病院の状況と普及状況によって異なりますが、既に情報連携システムを導入している場合には、その活用で対応ができます。例えば岡山県の場合は救急車が120台ございまして、それにこの情報連携システムを導入した場合は、導入費は1000万円を割り込む程度、ランニングは年間600万程度が、現在の見積りですと出せる状況のようです。保守・運用費については、システムの点検等の回数を抑えること等によってコスト低減は考えられるということで、なるべく簡便で安全で強いシステムにしていくということで考えております。
 中山間地域以外での有効性については、吉備中央町のような搬送時間が長くない都市部等においても、治療可能な医療機関が限定される疾患が疑われる場合には、搬送中のエコー検査が搬送先選定の適切化に資すると我々は考えております。
 以上が、吉備中央町が宿題返しにおきまして作成いただいた資料でございます。御清聴ありがとうございました。
○児玉座長 御説明ありがとうございました。
 それでは、構成員の皆様から御意見を伺えればと思います。
 御発言の際には、議論を円滑に進める観点から、御意見か、御質問か、質問の際はどなたに対する御質問かを明確にして御発言をお願いいたします。特に活発に議論できればと思っておりますので、手短に質問していただいて、手短にお答えいただければと思っております。
 それでは、早速どうぞよろしくお願いします。
 深澤構成員、お願いいたします。
○深澤構成員 確認をさせていただいてよろしいでしょうか。先日、厚労省からこちらのエクセルの表が皆様方に展開されたと思っております。その後、回答いただいたということなのですけれども、今回これは議論の場にのらないものでしょうか。
○児玉座長 事務局、よろしいでしょうか。
○森室長 今、構成員から御指摘いただきました資料は、あくまでも前回の議論の整理をまとめた内部資料としてお渡ししているものでございまして、それを基に今回提出資料を作成等いただいたと認識しております。不足点がありましたら、本日御質問いただければと考えております。
○深澤構成員 では、こちらについても検討の俎上にのせてもよろしいということでよろしいですか。
○森室長 御認識のとおりです。
○深澤構成員 ありがとうございます。
 引き続きよろしいでしょうか。
○児玉座長 お願いいたします。
○深澤構成員 ありがとうございます。
 まずは、このワーキンググループに対する意見、質問等ということでございます。本日3回目のワーキンググループにおいて、様々な情報を岡山大学様、吉備中央町様からいただいたところでございます。ただ、いろいろと私たちのほうでも少し検討させていただいた上で、意見、そして、質問について述べさせていただきたいと思っております。
 意見としては、今回救急救命処置の範囲の拡大における新しい処置の要望、提案として、規制改革実施計画・特区要望に関する事項、それについて救急救命士にエコーの検査ということが挙げられたということでございます。これについては、私たちほぼ超音波検査を実施している者からすると、この超音波検査に関しては医行為の中でも技術面において難易度が高い、または現場実践可能な人間として育てるためには知識・技能においてかなりの必要な要素があるということで、2回目の話でもさせていただきましたけれども、実際には実施を認められている医療関係職種に制限がかかっているところでございます。
 そのような中で、今回俎上にのっている救急救命士が実施することについて、御提案では教育はVR、ハンズオンでの講習会2時間で可能という記載がございますが、先ほどお話をしたとおり、人材育成、技術取得実績、検査技能の認定事業における経験等の私たちの見解としても、安全性、必要性、精神性、難易度、必要となる教育体制と技能の維持、質の管理の観点から、非常にその部分が重要であると認識をしておりますので、今回御説明をいただいた資料についても、なお疑問が払えないところでございます。
 ここまでは意見なのですけれども、まず、質問でございますけれども、1ページ、実際にエコー検査の実施方法、対象者等についてというところで御回答いただきました。2つ目のポツのところで、路面の状況等により揺れが大きい場合、患者を静止することが困難な場合、エコーを実施することが困難または実施したとしても十分に患者状態を確認できないと医師が判断した場合は、エコーを実施することなく通常のプロトコルに従って対応するということでございますけれども、実際にエコーを実施しないということで本当にいいのかということの質問でございます。
 また、今回その話の中で最後のポツから2つ目のところ、一定規模の病院であればオーバートリアージにより事前準備が可能であるが、協力体制が脆弱な地方の場合、事前に人員や資材をどの程度集めるかの判断が難しく、エコー映像の共有が有効であるとお話をしております。実際にオーバートリアージをすることを想定するのであれば、エコーを実施しないでそのまま迅速に送り、院内での適切な検査に迅速に進めるというのが、我々実際に超音波に携わっている人間からすると、非常にそのほうが適切な救急医療につながるのではないかと考えているところでございます。
 3つ目でございますけれども、これは厚労省にお聞きさせていただきたいと思っております。私どもの団体の中の一般社団法人救急救命士協会からの意見書ということで、今回鈴木会長から意見書が出ておりますけれども、この意見書について厚労省としてはどのような見解をお持ちなのかをお聞きしたいかと思っております。
 質問については以上でございます。
○児玉座長 ありがとうございます。
 まず、御意見として、エコーの難易度が高いので教育が十分にできるのかという、前回も問題になった点の御指摘がありました。
 質問に関しまして、先に岡山大学からよろしいでしょうか。特に2点あったかと思います。このいただいた資料2の2ページのところで、2つ目のポツの「エコー検査を実施することなく」とあるので本当にエコーをしなくてよいのかという話と、同じページのオーバートリアージのところに関して、もう少し明確にしていただければと思います。オーバートリアージするのであれば、そもそもエコー検査を搬送中にしなくてよいのではという指摘があったかと思います。お答えいただけますでしょうか。
 本多構成員、もし関係する質問であれば、お願いいたします。
○本多構成員 深澤構成員の話は非常に多岐にわたっているので、一気にやると議論が薄れていくと思うのです。今の話は3つあります。
救命士会の話は別にしておき、オーバートリアージの件とエコーの件、これは技術的な面で救急医としての立場も質問に補足しようと思ったところです。搬送先のオーバートリアージに関して、なぜ、今回これを取り上げたかという根本的な話になると思います。他の委員が話された内容と同じ意見で、救命士がオーバートリアージと判断したのであればもう運んだほうがいいのではないかというのは、当然出てくる議論だと思います。
 それは現場でやっている先生たちが苦労しているのは理解します。今回、研究の動機となった搬送先の決定に関して、実はもっと根本的な問題があって、別にオーバートリアージしなくても、直近の病院でまず受け入れて、初期判断および初期対応をしてするという手順も今までやってきた経緯があります。今回の検討の中で、その流れがそれがなぜ問題なのかもう一度考える必要があります。今後、救命士が超音波を検査をやっては絶対駄目とか、禁忌行為ではないと思っています。しかし、現状で行われている病院前救護の活動の中で搬送先を決めるのにエコーが要るのかという問いかけと、現行の救急搬送の問題の解決に救急救命士の超音波検査実施が直接関係するのかという議論が最初から抜けていたと思っています。それゆえに、なぜエコーをしないと搬送先が決められないのかという根本的な疑問、これまでの地域医療体制、救急診療の受入れ体制は、エコーの実施有無よりも一次診療、二次診療を含めて、重症、軽症を問わず一旦受け入れる救急外来のシステムをまず整備すべきではないか。それをきちんとやったほうが、結果的にはよいわけで、病院前のエコー実施という目先のことではなく、全体のシステムをきちんと考える、つまり急がば回れできちんとものごとを進めるべきと考えます。
 こえらをふまえて、そのシステムの検討を行う議論をあえて抜きして、取りあえずこの画像転送システムで何かあるのか考える必要があります。現場からの意見でやってみようかという試みは否定しませんけれども、そこの点に関してWGでどのように考えたかは、大切です。救急外来のシステムに関して、岡山県の話だけではなくて全国につながる話なので、これまでの議論は搬送受け入れ先に大きな制限があるので、現行の救急医療機関の体制を全否定して、エコーで搬送先を決めれば病院内での流れがスムーズになるという点は、今まで救急医療に従事してきた人々に逆に捉えられる可能性もあります。その辺りを明確にして、そして、オーバートリアージの話を議論したほうがいいかと思います。オーバートリアージに関しては、私の立場からすると、救急医療体制を整備するほうが先ではないか、そして、今、やっている体制に何か大きな問題があるのであればそれを指摘して、その改善策を示すほうが実は先かということを追加したいと思います。
○児玉座長 ありがとうございます。
 それでは、資料2の2ページの実施することが困難なときはエコーをしなくてよいのかという話とオーバートリアージのところ、そこがかなり議論になるかと思いますので、この2点、岡山大学様からお答えいただけますか。よろしくお願いします。
○上田参考人 岡山大学病院の救命救急科の上田といいます。よろしくお願いします。
 オーバートリアージの件について、私からお話しさせていただきます。私も日頃診療しておりまして、何科の先生を呼ぶとか、診療を整える、救急を整えるときに、例えば腹痛ショックバイタルというだけでいろいろな先生を集めるというよりは、腹腔内出血がエコー上で確認できますので外科の先生を呼びたい、輸血の準備をしたいという形で非常に明確に人を集めることができますし、そういった体制を整えることで、即時の救急患者さんに対応できる体制がつくれると思っています。
 なかなか現場の情報が足りない状況、確かにバイタルと症状で当たりはつけるのですけれども、もう少し明確にそういうことの判断ができるようになりますし、こちらにも書いていますけれども、大きな都市部の病院の直近のところでそれが起こってという状況であれば人員も確保できますしというところはありますけれども、地方の病院になると、例えばかなり離れたところにお住まいの先生方もいらっしゃいますし、そういう方に御連絡するときなどにも受け手としても非常に神経を使うところではあります。救急隊からの前の情報でそういう情報があれば、私としてはスイッチを押せるものの一つとして、おなかの腹腔内出血があるのかないのかは非常に有用な情報だと感じておりますので、オーバートリアージに関しては、私としてはその情報があったほうがみんなのスイッチを押せる、救急でのそういうところが有用ではないかと考えております。
 もう一点については牧から回答させていただきます。
○牧参考人 深澤構成員、そして、本多構成員、ありがとうございます。
 1つ目の深澤構成員の御質問であります道の状況や安全性が保てないならばエコーしなくていいのかについては、例えば災害医療においても、自分の今の現場の部分におけるアナリシスをしまして、自分が今、安全を保てないというときに、その場に入っていくような状況はしないわけでございます。ですから、以前も申し上げたとおり、吉備中央町の救急車が通る車道においても電波がすごく悪い場所などは全部調査済みでございまして、そういったときにエコーができないのにするというほうが時間もかかり、搬送時間を延長させてしまう可能性もございます。ですから、このようなコメントを書かせていただきました。
 吉備中央町のアーキテクトとして本多構成員の御質問に答えるとするならば、そもそも医療体制においては、現在、医者の偏在や、救命士、看護師さん、いろいろな方の地方での病院での勤務の体制を整えることはかなり逼迫している状況があります。それは本多構成員のほうがお詳しいかもしれませんが、そういった状況の中で、吉備中央町のようなそれさえもできないところ、こういった自治体は1,700以上ある自治体の中で多くあると私は昔から聞いております。そういう状況の中で少しでも先に情報を仕入れることは、我々にとっては、岡山の県北などを考えたときには、いつも先にできたらいいのにというところから始まりました。
 そして、救急車の中で情報を取るにしても、病院で取るにしても、搬送受入れ施設側は情報連携と情報共有が最も必要であると。これは麻酔科医も、救急科医も、我々の調査によると多くのそういったコメントをいただいております。ですから、先に得られる情報を先に得る、そして、スクリーニングの一つであるおなかの出血があるのかないのか、液がたまっているのかたまっていないのか、それだけでも情報として見ることによって、その後の診察、鑑別、そして、診断推論が、そこの場で医者にそれをつなげられる状況がつくれるかということで、今回こういった提案をさせていただいている経緯でございます。
 以上でございます。
○児玉座長 ありがとうございます。
 1点目、2点目について、ほかに御質問、御意見はありますでしょうか。
 深澤構成員、よろしいでしょうか。
○深澤構成員 ありがとうございます。
 路面の状況と患者が静止できない状態ではエコーをやらないということで、そのような御回答をいただきましたけれども、実際に超音波検査に関していうと、患者によっても千差万別というところもございます。当然エコーの入らないような患者さんもいらっしゃいますが、そういった場合にどのような御対応をされるのか。それはもうやらなかったよ、結局ネガティブ判定という形で報告されるということでしょうか。
○牧参考人 こちらも牧がお答え申し上げます。
 これは臨床検査技師の深澤先生でありましたらよく分かるかと思いますが、診断にpoorと書かれていて、それだけでは判断できないので追加の検査を考えてくださいと、我々はよく皆様のそういった検査の結果書などを見せていただいております。そのように救命士さんにしていただいて、我々が診断のために指示をしていただいた所見が我々の診断に資するものにならないのであれば、それは一つのデータとして持っておくということで、またそこから診断ができる根拠を見いだしていくということであるかと思っております。
○深澤構成員 おっしゃる意味はよく分かるのですけれども、そうであったらある程度のレベルの一定のレベルまで達するような方にやっていただいたほうが、私は患者様の安全を守るためにはいいのではないかと思ってはいるのです。なおかつ迅速に、おっしゃるところがどうもオーバートリアージということで、三次救急にすぐ運ぶというお話を私たちは聞いております。言葉の中では。
 資料の中で救急体制が脆弱な地方の場合というお話があるのですけれども、今回想定されているのは救急体制が脆弱な地方、吉備中央町ですか、そういうところとは考えていますけれども、実際に岡山市内、岡山のほうに恐らくそれを運んでいくのではないかと思います。そうなった場合、全てオーバートリアージということですので、そういった場合でしたら、全てそちらにお運びいただくのがよろしいのではないでしょうかと、私たちはそのように思っております。
 以上です。
○児玉座長 では、お答えいただけますでしょうか。
○本多構成員 座長、ちょっといいですか。
○児玉座長 では、どうぞ。
○本多構成員 僕が入ってくる理由は一つあって、救急領域で行うエコー検査とは何ですかということを少し整理しないと難しい。超音波検査というのは、救急医療の領域であれば、補助的検査であり、確定診断として用いる手段にはならないということです。超音波検査手技の難しさや検査結果の解釈は簡単ではないという点は、深澤さんがおっしゃるとおりです。ベッドサイドで超音波検査を行って、そこで全ての診断が決まるかというものではなく、今後の検査計画や診療の方向性、追加の検査が必要かなどは決まることであるし、超音波検査だけで行う質的診断に関しては、難しいところがある。今回のWGの結論を考えるとと、僕も救命士があえて法律を犯してやるものではないという話に終わってしまいます。取りあえず皆さんに理解してほしいのは、エコーはあくまでも補助的検査であり、その結果解釈によって搬送先決定する決断には限界があることを確認しておいたほうが良いと考えます。
 そして、2ページの資料を見ると、病着後に「必要に応じて検査」と書いてあります。救急診療の現場では、超音波検査を用いて搬送先を決定しているので、追加の超音波検査が不要であるわけでなく、本来の診療であれば、必要と判断して行うのではなく、今回の検討のような経過で搬送された患者であれば、全ての患者に対して超音波検査を行います。このような診療の流れもきちんと整理していくことが必要です。また、病院前の超音波検査で搬送先を最終決定するという少し強引なアウトカムのほうに持っていく今回の検討では無理があります。今回のワーキングでの検討結果から全国に広げていく場面になれば、今度はもっと大きな意見の論争になります。今回のWGが、、論争の火つけ役になるわけにはいかないので、本日も論点整理をしたほうがいい。まず、牧先生の主張される超音波検査の必要性も分かりますが、深澤先生のおっしゃる超音波検査の技術的な面も、十分なトレーニングが必要な手技であることを理解した上で、どのように進めていくのか議論すべきと思います。
 また、オーバートリアージに戻ります。資料2ページの記載にある、救急外来に到着後を「必要に応じて検査を行う」という点を指摘します。上田先生がおっしゃっている今回の計画では、救命士がエコーを使うことによって、これまで行っていた診療の流れ、救急患者に診療を行うことを検討する際に、一番大事なことが抜けていて、救急医あるいは救急診療をする医者という存在を抜かしています。さらに問題は、救急診療を担当する医師の判断を飛ばして、次の治療段階となる手術できる先生を呼ぶ話になっている。我々が上田先生の話を聞くと、そのような印象を受けます。
上田先生の提示された計画は、救命士が「行うエコー検査によって、救急外来診療の領域は救急医は要らないのではないですかというように捉えられます。本WGで第2回、第3回の中で検討する背景となっている救急医の不足も検討する必要があると考えます。、確かに救急医は全国でまだ少ないし、各地域においてどの病院に救急医がいますかという問いには十分な数はいない、この解決困難な問題を整理して、救急外来を含めた診療体制をきちんとする必要がある。
岡山県内で救急体制を考えたとき、腹痛を訴える患者さんを少なくともまずは受け入れることが優先すべきと考えます。搬送時間を10分以内、20分以内を目標とすることや時間短縮は大事だと思います。しかし、、地域で現場出発から30分以内に初期診療を提供できる医療体制を構築することが、ゴールになると思っています。このシステムを提案することに関して、救急医がいないところでやるだけの話ですよとなってしまう。その結論では全国に救急車搬送時の改善策を広めていくにしても、今回の検討で導き出される結果から、局所的でこの地域独自の環境からできた形だねで終わってしまいます。それはそれで一つの結論で良いと思うのですけれども、その地域が改善することに効果がゼロではないと思いますが、、どうも救急医が不在であることが改善される見込みがないという前提での検討と感じます。上田先生、その点はどうですか。
 では、返します。
○児玉座長 幾つかの論点が出てきて、深澤構成員がおっしゃっていた話も忘れてしまったかもしれませんが、牧参考人が先ほどお答えしようとしていたこと、お答えいただいてよろしいですか。その後に今、本多構成員にご指摘いただいた2ページの図も含めた話もできればと思いますが、よろしいですか。
○牧参考人 本多構成員に少し私の無礼をサポートしていただきましたので、申し訳なかったと思います。
 深澤構成員の言っておられることは分かるのでございますが、要は、肥満などといった状況があるだとか、機器として超音波の音波が入らないような方に対して、もともとそれを診断する能力があろうがなかろうが、機器的に機器としてそれができるレベルがございますので、そこの部分を考えますと、今の世界で売られている超音波でも太っている人にできるものもありますが、そういったものは実際にああいったポータブルではありませんので、そもそもやれるやれないというのはその判断で、そこの部分でできることかと思っておりますということでございます。
○児玉座長 深澤構成員、それでよろしいでしょうか。
○深澤構成員 まだまだ今のお話を聞いても、そうであれば必要ないのではないかと私たちは思っているところでございます。淺香先生がこの意見書の中で最後のほうでおっしゃっていると思います。腹痛を主訴とする患者対応に関して、先ほど本多先生からもお話をいただきました搬送の問題や受入れの問題ですね。そういったところが私たちも重要だと、その辺を解決するのが非常に重要かと考えているところでございます。
 医療体制が脆弱な地方では救急体制が十分ではないという先ほどの言葉をつなげてしまいますけれども、脆弱なのは吉備中央町で、搬送先は三次医療のできる岡山市内に送るしかないとの発言を以前いただいていたということでございます。搬送先の岡山市内の三次医療機関は医療体制が脆弱ではないのかという追加の質問となるのですけれども、その辺はいかがでしょうか。
○児玉座長 搬送先の岡山大学病院の方が脆弱かどうかということですか。
○深澤構成員 搬送先の岡山市内の三次医療機関の医療体制は、岡山市内が充実しているのであれば、基本的には吉備中央町が脆弱なのですねというお話でございますけれども、その辺はいかがですか。
○児玉座長 よろしいですか。
 では、加納構成員、お願いします。
○加納構成員 ありがとうございます。
 整理させていただきたいと思うのですけれども、今の質問にもつながるかと思うのですが、前回は大動脈瘤という一つの大きな想定される疾患があったかと思うのですけれども、それがなくなってしまったと。大動脈瘤に関しましては、三次救急においてもいろいろなスペシャリストの存在、準備があることは、この前もお聞きしたわけなのですが、そうすると、今回は肝破裂と脾破裂が主体、また、女性の婦人科的なものは出血があればということでありますけれども、肝破裂、脾破裂となると外傷性の場合が多いかと思うのです。おなかが痛いだけで肝破裂、脾破裂を起こしている症例はなかなか想像しにくいのですが、そういう症例であればやる必要はなくて、そのまま二次救急にでも運べると思います。
 三次救急が脆弱かどうかというのは、この前のお話では、大動脈瘤の治療が時間的に用意ができないできるという、岡山大学よりも他の心臓関係の専門施設の方がよいだろうといった例もあるという話をされていたかと思います。そういう脆弱性があるのかということで気になっていたのですが、これをやる意味はあくまでも行き先のトリアージをいかに速やかにするかが最終的な目的だと思っておりますので、肝破裂、脾破裂という状況が起こるような外傷性のものであれば、この前もお聞きしたのですが、どうも岡山ではドクターヘリは夜は使えないのは分かるのですけれども、昼間も使えないのですか。
○牧参考人 使えます。
○加納構成員 使えるわけでしょう。そういう症例があれば、まずはドクターヘリが飛ぶなり、いろいろな形で対応できるのではないかと思いますし、ここで適応とされる肝破裂、脾破裂はどういうものを指すのかを教えていただければと思うのです。もし外傷性でそういう肝破裂、脾破裂があれば、普通は三次救急へと決めていいと思うのです。救急の仕組みは、二次救急で診られるものは二次救急で診て、二次救急で手に負えないものは三次救急へと診断を経てやる場合が普通であり、最後のとりでが三次救急でありますので、三次救急では多くが我々二次救急の病院で診られない患者と思っております。そういう意味では、そういう症例があれば三次救急へ一目散に運んでいただくのが一番いいのかと。そうすると、一々こういう仕組みをつくってどうのこうのよりは早く着いたほうがいいわけなので、そういう流れの中での今回の先生のおっしゃるストーリーを教えていただきたいかと思います。
○児玉座長 ありがとうございます。
 今の幾つかのお話の中でも、三次救急にエコー検査をせずに運ぶほうがいいのではないか、その場合、例えば岡山大学病院のほうで体制が十分かということかと思います。
○加納構成員 もう一点だけ。これは診断するのがドクターですが、エコーで診断は下さない、診断に通じるある程度の判断材料を探すということだったと思うのですが、それをやるにしろ、24時間365日張りつけてその地域で担当する人を決めていかないといけないということになるかと思うのです。岡山大学は2人常勤でずっと夜もいらっしゃるからできるよという話ですが、今回のシステムを全国へ広めなければいけない、もしこれを全国に広めるとなると、今の流れも含めてそこまでやる必要があるのかどうかにも通じるかと思っております。
○児玉座長 岡山大学病院の体制が、こういうエコー検査を仮にしなくても全部搬送することはどうかということが問題になっていたかと思いますけれども、その点、いかがでしょうか。
○牧参考人 牧でございます。ありがとうございます。
 本研究は、まず、地域MCの制度体制の下に、従来どおり基本的にはその搬送先選定をした後に、岡山大学の医師がエコー検査の指示等をするというところまでが1つのチャプターでございます。ですから、医師の評価・確認などは、まずはMCによってなされるところから足が出ない状況です。その後に、そこによって様々な先ほど示しましたようなフェーズ1、フェーズ2のような実証の内容が出てきて、そこからまた御議論をさせていただいて、加納先生がおっしゃるような規制改革特区を出たところでのトライアルフィールドから出た部分をやっていくという流れをくみたいと思っている次第でございます。
 また、肝破裂、脾破裂は、加納先生のおっしゃるとおりで、症例数としては物すごく少ない、そして、外傷に起因することを私たちも熟知しております。基本的に2ページの参考資料などを見ていただきますと、黄色の枠、第2回ワーキング資料からの追加部分ということで、対象患者は主に腹痛、下腹部痛を訴えている傷病者、事故等により外傷が生じている負傷者で、腹腔内液貯留という形ですね。それにおいて例えば疑われる疾患は肝破裂、脾破裂等ということで書かせていただいたということでございます。これは前回のエクセルの皆様に配付させていただいた質疑の中にも御回答がございますので、またぜひ見ていただけたらと思っている次第でございます。
○児玉座長 ありがとうございます。
 先ほど本多構成員のお話にあった同じ2ページの図の右のほうの「必要に応じて検査」の点についてはいかがでしょうか。ここは先ほど救急医が要らなくなるのではないかというお話もありましたけれども、この必要に応じてというものをもう少し説明していただいてよろしいでしょうか。本多構成員からは必要に応じてではなくて基本的に常に検査するのではないかというお話でした。
○牧参考人 これは「必要に応じて検査」という言葉が少し全体をまとめて、これはフローチャートのような資料でございますので、細かく書いていなかったためでございます。検査には横の広がりと縦の深くやっていく検査の2つがございまして、救急ではトリアージをするような救急外来などもございます。そういった場所では網羅的に全部検査をするような形もございますし、そこから何かの疾病、疾患、そして、腹腔内の状況が分かってくると、担当科がより細かなサードサージェリーのような形をして診断推論をしていくという流れでございますので、必要の幅に応じた検査を到着後にしていくということでございます。
○児玉座長 よろしいですか。
○本多構成員 分かりました。おっしゃる言葉の中身は我々も分かりますので、救急外来での診療の流れをつくっている中で「必要に応じて検査」と書いてあります。恐らく今回の救急救命士が病院前で超音波検査を行うと。その評価をその場で医師がリアルタイムで評価しないといけないし、さらに救急救命士に判断と指示をフィードバックしないといけない状況となります。つまり、オンラインメディカルコントロールの範疇となり、医師側の体制整備が必要です。
特定行為を含む病院前診療では、直接メディカルコントロールというものがあり、我々指導医がリアルタイムで指示および指導する。救急隊が搬送時に行う超音波検査に対してもリアルタイムに行うオンラインメディカルコントロールと病院到着後に行う指導があります。今回の検討でも両方が必要であり、ここは2つの意味があって、病院到着後に超音波検査を必要に応じて行うのではなくて、まず、到着後速やかに医師が超音波検査を行い、を救命士がやったことを確認する必要があります。
救急救命士が行った結果と医師が行った結果を比較しないと実施結果が適切かどうかが分からないので、救急外来ではエコーを医師が必ずやる形は必要です。救急救命士の特定行為の中で、低血糖による意識障害の傷病者を搬送する際に行う血糖測定では、患者を病院に到着した際の血糖は必ず測定してフィードバックします。病院到着後、医師が超音波検査で再評価するというのは理想的な形だろうと思う。
 もう一つは、病院前救護の問題解決の手段をエコーだけになっているから議論がややこしいというか、誤解が生じていると考える。今回、画像伝送システムの活用を先行していく中で、転送する映像の情報のひとつということであれば受け入れる余地があると考えます。例えば、病院前救護活動では救急救命士の継続観察や全身観察などといった項目があります。そういった救命士が救急車内で観察した所見をまず画像で送り、転送された画像を医師が総合的に判断して、超音波検査を必要に応じてやるという手順が必要と思う。今回の提案内容ではエコーをやることありきのデザインになってしまっていますので、実際の救急診療の流れとはかけ離れたように見えてしまう。
検討するシステムの中には通信環境と情報共有の手段と考えます。その議論で進めるとなれば、今回の場合も、病院側と共有するものはエコー検査結果だけではないですよね。
我々が行う身体所見を得るために、視診、聴診、打診、触診などある中で、視診所見が重要と考えるが、実際には視診がプレホスピタルの段階で抜けてしまう。それゆえに画像転送システムは現場に我々が行って直接見て判断することを補うと同時に、救命士が実際に患者さんの全身の状況、体表所見などを口頭で伝える難しさを権限できる可能性がある。診察や観察の結果、医学的判断の補完する情報を得るために超音波検査が要るのだよという手順を決めることが必要と考える。こういった話の流れで、きちんと丁寧にやるほうが望ましい。本WGの結果が、将来的に新たな手順を付け加えるかどうか影響を及ぼすので、その検討作業を系統的に順序良くやってくださいという話は出ていると思うし、僕もそう思います。
 喫緊の課題に解決を急ぐことも必要だとは思うのですけれども、本事案は丁寧にやるということが、ワーキングの役割と考えます。、私は救急医ですので、救急医療の質を向上させるためのアドバイスはしたいと思っています何でもかんでも駄目というわけではありません。本日の議論がエコー実施ありきの議論になってしまうと、全て一旦止めましょうという話が出てきます。地域でエリアを限定してやってみることに関しては、特区というエリアで検証する場なのでやっていいと思います。検証方法を丁寧に行い、や実際の臨床医が行う身体診察、所見の評価、それを共有するという流れを、プロトコールにも肉づけしたほうがいいのではないかと思います。
○児玉座長 牧参考人、よろしくお願いします。
○牧参考人 本多構成員、ありがとうございました。
 前回の第2回の資料の7ページを御覧いただきますと、本多構成員がおっしゃっているエコーだけではないというところが、実はもうシステムとして明記されてございます。エコー検査の実施方法ということですが、この資料もエコー検査の実施方法と書かれてしまうとエコーだけに目がいってしまうのですけれども、実は救急車と搬送先病院での同一の統合ビューアの中に⑤のチャット機能というものがありまして、これがそもそもこういった情報連携システムの最初にあったシステムでございます。岡山県で2019年から動いているシステムの一つです。このチャットシステムの中に、傷病者疾病連絡カードだとか、その状況だとかを事細かくしゃべりながらチャット機能もできたりという形があるもので、これがまさにそういったシステムの一端を担っていて、こういったやり取りの中でエコーをしましょうという未来をつくっていくことが我々の形でございました。補足でございます。
○本多構成員 その画像伝送システムに関して、過去に我々の地域でも横須賀市にあるNTT通信研究所や東京大学と一緒に行った経験があります。、画像は暗号化されリアルタイムに転送して救急車内と病院側で動画を共有します。しかも、横須賀市消防局といった市がかかわる事業ですので、市議会での議論、市の個人情報保護規則などを全部クリアした上でやっていました。今回提案された画像転送システムはどこでも使っているというか、特に目新しいものではないと思います。問題はそのシステムを維持管理、アップデートすることが大変です。
 ただ、このようなコストがかかるシステムを用いて、どうしてもエコーでの検討をやるとすれば、いくつか提案があります。特別に搬送中の実施ではなくても、現場で出発前に1回ワンポイントでやって十分ではないかと。いろいろなことを組み入れようとすると難しいので、出発前の1分間あるいは患者さんの情報を電話している間に1分間やって、画像を転送して、体表所見を見て、この状況を見て、痛がっている様子を見て、これは無理だからやめようねとか、当然中止の判断はあると思います。
地域の特性でどうも搬送が長いから、空いている時間があるから、その間を有効に使いましょう、エコーをしましょうという議論とは違うと思います。超音波検査は補助的診断のツールとして、先に述べた基本的な視診、聴診、打診、触診の中に追加できる補助的な超音波をする、それを結果を踏まえた上で判断することをちゃんと明確にすればよいと思います。やり方としては搬送中にやるというのは、いろいろな議論になってしまうし、敢えて踏み込むのは余計苦しくなるのではないか。と現場出発前の2分間をうまく使えばできるのではないかという気がします。
○児玉座長 ありがとうございます。
 取りあえずここで一旦次の質問に移りたいと思うのですけれども、先ほど深澤構成員から日本救急救命士協会の御意見を事務局側がどう考えるかという話がありましたけれども、事務局、これはどのようにいたしましょうか。
○森室長 ありがとうございます。
 事務局としてお答えします。こちらの御意見書に関しましては、当然今回のワーキングの意見として参考資料という形で、これを踏まえて検討していくものになると考えております。
○深澤構成員 ありがとうございます。
 そういった現場の声も実際に御調査いただいて、本当に現場の日本全国の救急救命士の先生方はみんな非常にお忙しいと私は思っています。そういった中の声も当然反映させた上で、こういった俎上にのせることが必要ではないかと私たちも思っていますので、その辺も少し御検討いただければと思っております。
 以上でございます。
○児玉座長 ありがとうございます。
 この意見書にありますように、「国民の救急医療安全が脅かされることのないよう」にというのは非常に重要な点だと思います。1つ目のカリキュラムの件も少し長期的な話になるかと思いますけれども、今回の岡山で試験的に行うとされているエコーの検査をもし仮に全国的にやるとするとどうなるか、という話があるかと思います。
 2つ目も、特に重要な点として、今、お答えいただければ少しお答えいただきたいと思いますけれども、救急車内で測定したバイタルサイン等々というところ、極めて非現実的ではないかという話は先ほどもあったかもしれませんけれども、もしよろしければ改めてお答えいただければと思います。
 3つ目は、法令遵守というのは非常に重要だというので、これは同意いただけるのではないかと思います。
 もし岡山大学の牧参考人あるいは上田参考人、2点目にお答えいただければと思いますけれども、いかがでしょうか。
○上田参考人 私もドクターヘリ、ドクターカー等、乗った経験もありますし、最初のところですけれども、救急車内で測定したバイタルサインは救急医療機関等の到着時に再度測定し直している現状があるというところでございますが、確かに測定し直す必要はあると考えております。ただ、脱線するかもしれませんが、この考え方は救急医療体制をどう考えていくかというのが一つかというところで、今までは救急・消防という考え方と病院という考え方の2つに区切られているような印象を私は受けるところであります。これは個人的感想であります。ただ、今後は患者さんが発症してから治療までという一連の流れで救急医療を考えていかなくてはいけませんので、測定し直すというか、これは必要なことではありますけれども、救急車の情報からそのまま連動するような体制が、一番僕らが目指す構築していくべき救急医療なのではないかとは考えています。
 超音波検査を救急車内で施行したならば、そのまま手術室に入室でき、治療を開始するというのは、極めて非現実的であるという御意見をいただいておりますけれども、例えば先ほど本多先生からもお話がありましたけれども、決して救急医が不在でもいいというわけではなくて、救急医の仕事は患者さんの治療に入るというところと、もう一点、一歩引いてというか、鳥の目になっていろいろな科の先生たちだったりとか、その物資をどのように患者さんに投入していくか、治療を投入していくかを考えるのも一つの仕事であります。例えばすぐ手術室というのも、手術室にもいろいろなタイプがございますので、ハイブリッドの手術室を麻酔科の先生に準備してくれということであれば、そのままその場合は救急医が救急外来に立って患者さんを診ながら手術室まで搬送して、いろいろな科の先生とお話ししながらハイブリッド手術室等でCTや透視が撮れる環境に患者さんをそのまま連れていって治療も可能だとは思いますし、ほかにもハイブリッドERを備えているような施設であれば、そういったところへの搬入もしていけるとは考えておりますので、通常の手術室だけで考えることはできないかと思います。実際にドクターヘリやドクターカーで搬送して、医師が判断して、そういった手術室に搬入するケースもありますので、私としてはそういうケースはありますというところのお答えかと思います。
○児玉座長 ありがとうございます。
 そうしますと、あと45分ぐらいになりますので、ぜひ構成員の方、みなさん一度は発言していただきたいと思っております。質問等、回答も含めて手短にお願いできればと思います。
 そうしましたら、植田構成員、お願いいたします。
○植田構成員 先ほどの本多構成員からの発言に対して、私も賛成です。実は違和感を感じるのは、2ページのエコー検査実施の流れというところなのですが、現在のプロトコルでは、患者の状態を確認した時点で既にショックかどうかの判断をして、ここでショックであれば救急車内に入ってすぐに輸液という流れになっていると思うのです。ところが、お示しいただいた前回資料のプロトコルの案を見ますと、まずは患者の状態を観察して、エコー検査が必要かどうかを判断することになっています。これは現状がショックのバイタル、もしくは受傷機転から判断するのですけれども、そのときには既にショックであるから輸液をすると決めて活動しているわけですね。そこに対してここの鑑別診断のエコー検査が入ってしまうと、そのプロトコルが少しいびつになってしまう。これは患者に対しては処置を遅らせる原因にもなり得るのではないかと思うのですが、この辺に関して御説明いただければと思います。
○児玉座長 よろしいでしょうか。
○上田参考人 上田です。ありがとうございます。
 輸液をするというのは、そのとおりだと思います。ただ、輸液速度であったりとか、例えば低血圧をどこまで許容するのかとか、そのような判断はこちらでできるかと考えます。ですから、腹腔内出血があって、例えばショックバイタルで血圧が90ぐらいというところがあると思いますけれども、そのときに全開投与するのか、それとも輸液速度を抑えるべきなのかを、超音波で確認することで腹腔内出血があってということであれば全開投与よりはもう少し抑えた管理にしてくれという話が、そういうことは調整できるかと思います。
○植田構成員 ただ、ショックの状態と判断して輸液をした場合で、三次に行かない選択もあるということですか。
○上田参考人 それはないと思います。
○牧参考人 牧でございます。
 この資料の見方というものだと思います。先ほど移動車内でという話がありましたけれども、本多先生から御指摘をいただいた実際に動く前にやったっていいではないかという価値観はぜひ持ち帰らせていただいて、我々が実証させていただくときには、最初にやるには、植田構成員がおっしゃったこととの両方を鑑みましても、そういった形にするほうがいいのではないかと、今、まさにここでそういった感覚が少し生まれてきてもいますので、そのように考えたいと思っております。バイタルが不安定で、ショックで、もう輸液も行こうと言っている最中でまた超音波をしましょうというよりは、先に一連の流れで超音波もして輸液が必要だという流れで移送しましょうという形に持っていくほうが極めて合理的なのではないのというのは、本多先生がおっしゃっていた流れにも通じますので、そのような有意義な御意見をいただきましたことを感謝申し上げます。
○植田構成員 ぜひ検討ください。
○児玉座長 ありがとうございます。
 この2ページの流れをもう少し再検討するということでよろしいですか。
○牧参考人 この研究の流れになったときに、基本的にはこういった研究の場合には救命士さんにそういった形を取っていただく流れがありますので、その方向を決める際に考えさせていただきたいと思います。
○児玉座長 分かりました。ありがとうございます。
 井本構成員、お願いします。
○井本構成員 日本看護協会の井本でございます。
 本日は御提案に関する宿題返しとして御回答いただきまして、ありがとうございます。
 資料を拝見したときも、今の質疑を聞いていても、私の中ではさらに混乱するばかりというところが本音でして、御提案に納得するものにはなっていないことをお話しした上で、前回の意見と重複する部分もあるのですが、今回の御提案及び御回答を含めて7つぐらいの質問と意見をお話しさせていただきます。少々お時間いただきますけれども、早口で申し上げます。
 まず、7つのうち幾つかは今のディスカッションでお答えがあったものと思っておりますけれども、1ページの超音波の検査について、患者の状態によって医師が実施できないとしたときにはエコー検査を実施しないということを御回答いただいたと思っております。しかし、この点はもともと搬送中にエコーの実施をすることに意味があり、それを実施することについての御提案だったと考えているので、そもそもの御提案の趣旨と離れてしまうのではないかということに加え、実施できたのに実施しないと判断した場合等の責任も背景にリスクとして生じてしまうのではないかですとか、プロトコルの中で患者さんに同意を取るということで、その後に例えばやらないというときに、倫理的な課題は生じないのかということが質問としてございます。
 2点目については、今回対象箇所を限定するということで御提案をいただいているのだと思うのですけれども、脾腎境界面に超音波をしておられる場面を想定すると、仰臥位で実施することはなかなか難しい。先ほど加納構成員もおっしゃっていましたけれども、交通外傷でこういった症例もある中で、どうやって超音波を実施されるのか。例えば救急車に乗車する場合に、転倒・転落防止のベルトなども実施すると思うのですけれども、搬送中にやるということであれば外してやるのかとか、そういったことをどのように想定されているのかを聞きたいというのが2点目でございます。
 3点目は、「必要に応じて検査」ということについては、先ほどの質疑で一定回答があったと思っておりますが、「必要に応じて検査」という表記自体についても現実的にはかけ離れていると考えています。
 5ページになりますけれども、地域への展開時は、地域内の複数病院での対応ルールをあらかじめ定めておくという記述がありますが、どのような対応ルールを考えておられるのかをお伺いしたいと思っております。
 また、転院搬送に関して、ケースは抽出できなかったという御回答をいただいたところでございますが、そもそもはこういったところに問題の所在があったから提案しているという御説明が前回あったと思っております。抽出できなかったことは承知したのですが、症例の中で超音波検査ができないことで患者さんの生命に影響があった具体的なケースがあれば教えていただきたい。つまり、先ほどから何度もディスカッションになっておりますけれども、こういった症例は高次に送るのだと思っているので、そういった症例が実際にあったのかについては少し教えていただきたいと思っております。
 最後になりますけれども、今回文献について追記なり修正なりいただいたことを確認させていただきました。これは前回FASTの病院前救急における有効性についてのエビデンスだということで御提示いただきましたけれども、前回も申し上げたのですが、この幾つかの中には研究の限界等で言及がされています。そういったことがここには書かれていないと思っています。例えば4つ目の中では結論として経験のある超音波検査技士が実施することを推奨するような結果ということが言及されていたり、5つ目ではセレクションバイアス、つまり、対象事例の選定に課題があったということが書かれていたりとか。6つ目については、書かれているとおりではあるものの、患者のアウトカムが改善されたことは示されなかったと文献上の記述にあったと思っています。ですから、海外で実施された場合のアウトカムも、FASTの有用性という意味でも先ほど資料1で前回議論になってこの超音波検査を行うことの意義についてもしっかり整理が必要という中で、引用文献の精査といいますか、記述されていることがしっかり記述されるべきではないかと考えております。いかがでしょうか。
○児玉座長 ありがとうございます。
 6つでよろしいですか。7つですか。
○井本構成員 1個は解消されたので。
○児玉座長 承知しました。
 では、手短にお答えいただけますでしょうか。1つ目からよろしいですか。先ほどもありましたエコー検査をしない場合もあるというところに関して、その場合の責任あるいは患者の同意の有無という点などが指摘されました。
○牧参考人 牧でございます。ありがとうございます。
 1ページのエコー検査をする、2個目のポツの部分の御質疑だったと思いますが、救急救命士によるエコーはマストではなく、対応の選択肢を増やすものであり、移送中に様々な路面の状況下等々でできない場合には、これは医師が指示をする状況でありますので、それを担保できないような状況ではしないということは、こちらに書いたとおりでございます。
 次の質問は何でしょうか。
○児玉座長 けがの具合等で実際にエコーができるのかと。
○上田参考人 岡大の救急の上田といいます。
 これに関しては、ドクターカー、ドクターヘリ等で乗車したときに、確かに左側は非常に救急車の中でも柵があったりで見にくいところではあるのですが、寄せるというか、患者さんをそのスペースに入れて診るということはしております。検証のときにも、今回の令和5年度の事業のときにも1回バックボードに全部固定した形でこの超音波プローブを使って当てられるかを私のほうで確認はしております。ただ、体格が非常に大きい方、先ほどもありましたけれども、超音波の映像がそもそも入らないような方等に関しては、なかなか手技として難しいことはあるとは思います。ただ、ケース・バイ・ケースにはなってきますので、全ての患者さんにできないということではありませんし、外傷で固定した状況でも実施することは可能な場合があります。
○児玉座長 ありがとうございます。
 3つ目は済みということで、4つ目の5ページの3点目、地域内の複数病院での対応ルールをあらかじめ定めておく必要があるというご指摘だったかと思います。これはどのようなことを考えられているのかということだったかと思います。
○牧参考人 吉備中央町に関しましては、確かに南東部MCの中の岡山大学が全ての超音波というところに関してはMCの指示になるということですが、その地域を外れてしまったり、ほかの病院へという状況になったときに、超音波を医師がまず指示をする体制自体がまだ整っていない状況でもあります。各病院の先生方には、先ほど本多先生もおっしゃっていましたが、情報連携システムは確かにありますが、超音波というものはまだ規制改革特区の中での話でございますので、これからそういった体制を定めていくことが必要だという位置づけでございます。
○児玉座長 ありがとうございます。
 9ページの転院の件だったと思いますけれども、これはいかがでしょうか。
○牧参考人 転院搬送の件数に関しては、前回の資料でもおつけいただいたとおりでございます。年間に1件から4件程度ございました。ただ、通常の入院患者または外来に来ていた方がその場で処置困難になって、診療所から岡山大学病院とか、さらに高次医療機関のようなところに搬送した件数として件数が定められていたりしまして、実際に吉備中央町であったものを域外の別の救急医療機関に運んだ症例がその後にどうなったかというところまで見つけることができなかったところがございました。
 ですから、もう一度申し上げますと、吉備中央町で起こった事象に対して救急搬送事例として搬送した後に、岡山消防としてそれ以降どうなったかという情報を持ち合わせていなかったということでございますので、そういった経緯から、細かく一例一例を井本構成員がお求めになった状況まで定めることができなかったということでございます。
○児玉座長 承知しました。
 最後、6ページの文献についてですけれども、この限界等の記述が少し不足している可能性があるというお話だったかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
○牧参考人 ありがとうございます。牧でございます。
 こちらに関してもリミテーションというものは全ての論文に記載がなされてございます。選択的バイアスは多くの論文の一つの限界ということで記載されている内容であると存じ上げております。もちろん我々が教育でやった論文も先日アクセプトされましたけれども、それに対しても一つの集団の中でやったというリミテーションを書かせていただいていますし、多くのリミテーションの中で研究はあくまでなされているものだと思っておりますので、そういったところを記載しますと分量が多くなってしまうので、今回は除かせていただいておりますが、もちろん把握した状態で我々は臨んでいる次第でございます。
○児玉座長 ありがとうございます。
 その場合に、6ページの一番上にまとめてあるような「時間短縮、治療変更等の効果があったことが確認されている」とお書きになっているところは、そういう限界を踏まえてこのように言える、ということでよろしいでしょうか。
○牧参考人 こちらの論文のアブストラクトや論文の要旨の部分、そして、論文のリザルトの部分には、筆者らが言いたい部分はそういうところでございまして、それに対して謙虚にリミテーションをつけているという内容かと思っております。
○児玉座長 ありがとうございます。
○井本構成員 御回答ありがとうございました。
 ということは、ここに示されている文献、これは海外の文献で当然日本の文献のレビューはないことは承知の上なのですが、海外の救急救命士の救急車内においてのエコー検査を実施することについてのエビデンスは、今のところはないという理解でいいのかを最後に確認したかったところです。
 救急隊員が行う応急処置は、今まで短時間かつ効果をもたらすことが客観的に認められている処置ということで実施されていると承知しているところですが、今までの議論のように、様々な懸念やその意義、効果みたいなところが十分了解されない中で提案されていることや実施することの必要性を、実質、私は了解できないと思っているところでございます。
 重度傷病者の安全を担保することを重々配慮して、救命士は車内で様々な処置や対応をされていると思っております。先ほど来、話にありますけれども、難易度の高い超音波検査を救急救命士が実施されるほどの必要性は、いまだ私としては納得できません。
 加えて、全国に整備するための救命士への教育や、先ほど意見書にもありましたけれども、搬送件数に対する費用対効果、資材にかかる経費等を鑑みると、この提案を許容することは私の中では難しいというところが意見としてあります。
 また、先ほど救命士協会からの意見書が提出されており、しっかり踏まえて議論していくのだということがありますけれども、救急救命士の中でもこのような意見がある中で実証を進めることはどうかと思います。
 以上のことから、繰り返しになりますけれども、本件に関しては、必要性や、様々な周囲の状況からすると、むしろ患者さんにとって医療安全を担保できるとは、まだ納得がいかないことをお伝えしたいと思いました。
 以上です。
○児玉座長 御意見として承ろうと思います。ありがとうございます。
 そうしますと、あと25分ぐらい、もう少しありますけれども、横野構成員、お願いいたします。
○横野構成員 実際のフローについてお伺いしたいのですけれども、先ほど本多先生から医師の関与がどうなっているのかということについての御指摘があったと思います。前回資料の9ページにフローがあって、その中で通常の救急搬送の場合が上の段に、それから、下の段に今回の実証試験で目指すところの救急車内でエコー検査が実施できた場合が示されています。このフローでは、上の通常の救急搬送の場合には診断というポイントがあって、その診断後に場合によっては転送・転院する場合があるとなっているのですけれども、下の場合には検査、確認、それから、搬送中の患者の情報を搬送先病院の医師が参照、患者の状態を把握となっておりまして、これは実際には診断ということが入るのだろうと思うのですけれども、どのポイントで誰が何に関してどういう責任を持って関わるのかがこの中から具体的に見えてこなかったかというところがあるので、今回の資料の中で2ページにフローを出していただいているのですけれども、その辺りを明確にしていただくとよいのではないかと思っております。
 今度は今回の資料に関してなのですけれども、2ページのフローで、この一番上のラインに出てくる病院Aというのは、今回の研究デザイン案の中では、これは岡山大学に限定をされるということでよろしいのですね。岡山大学が全ての報告と指示についてそこで完結できるということについては、メディカルコントロール体制の中で担保されているということでよろしいでしょうか。
 あと、搬送先ですね。今回実施主体が岡山大学病院と医療機関としては限定されていると思うのですけれども、搬送先については実施の組織の中に入ってくるのかどうかということと、また、搬送先でも先ほどのような診断が生じてくると思いますので、その辺りのデータはこの計画の中に組み入れられてくるのか。それから、それに関しては、メディカルコントロール体制の中ではある程度連携して完結できるのかと思うのですけれども、搬送先がそれ以外になることがあるのかどうか分からないのですけれども、外に出た場合にはそこまででそれ以降は脱落という形になるのでしょうか。そういうところまでお伺いできればと思います。
○児玉座長 よろしいでしょうか。
 お願いいたします。
○牧参考人 牧でございます。
 御質問ありがとうございました。
 前回のワーキングの2の資料の御説明も兼ねてさせていただくのですが、診断という部分に関しては、メディカルコントロールとして超音波をしてみてということで、今、超音波のシステムが入っているのは岡山大学病院のみでございますので、岡山大学病院がその画像を見て、その疑いがあるという診断推論をするということでございます。実際にこの疾患がこう診断されますというのは、超音波で疑いと可能性をつくって、その後に病院に到着して、先ほど端的な言葉で申し訳なかったのですが、必要ならば検査というところに入ってきます。そこではもちろん超音波をもう一回することもあると思いますし、より詳しい深い検査に、CT等にもつながっていく流れかと思っています。
 メディカルコントロールとしては、2024年の4月から岡山大学病院が全てのメディカルコントロールを請け負うという形の体制で南東部MCはスタートしていく次第でございます。ですから、岡山大学病院が超音波の指示を出すと。ただ、その後に、MCからほかの岡山大学以外の病院に行くように指示があることもあり得るとは思います。そういった場合に、この研究対象症例からいくと、その後のデータの全てを回収する場合には、多施設共同研究という枠組みをつくる必要性がございますので、そこについては、今後研究のプロトコルをつくる際の参考にさせていただきますし、検討させていただきたいと思っている次第です。
○横野構成員 ありがとうございます。
○児玉座長 ありがとうございます。
 そうしましたら、オンラインで佐々木構成員から手が挙がっておりますので、よろしく御発言をお願いいたします。
○佐々木構成員 仙台市消防局の佐々木と申します。
 私からは、確認と研究の際の要望について2点発言させていただきます。
 初めに、このエコーのプロトコルに流れる際の判断は誰が行うのかについて確認させていただきます。今日お配りいただいた資料の2ページ、救急救命士によるエコー検査の流れというフローがございますが、こちらを基に説明させていただきます。これを見ると、まずは救急救命士が現場で患者の状態を確認して、A病院の搬送が適切だろうと判断したら、A病院に通信する。多分これはスマートグラスか何かで通信するのだというイメージですけれども、そこで医師に傷病者の状態を伝えて、エコー実施の判断というのは、救急救命士ではなくて傷病者の状態を聞いた医師Aがジャッジするイメージです。これは3ページの研究デザイン案についての下の(手順)の1に救急救命士が医師に傷病者情報を伝えて、2の部分でエコーについては医師が判断するとあります。ここではプロトコルに行く判断は医師に委ねられているように見えます。
 他方、前回の資料の部分で、13ページにエコーの検査実施プロトコルという緑の枠のフローチャートを見ると、最初の四角の部分が高エネルギー外傷もしくは腹痛を伴うショックに至る可能性が高い症例があった場合、現場の救急救命士が超音波検査の適応をジャッジすることとなる。次に、リアルタイム画像伝送による指示要請をするとあるので、エコー伝送の判断の要否やエコー伝送可能な医療機関へ電話するか否かのトリガーは、こちらのプロトコルを見ると、現場の救急救命士に委ねられているように見えます。今回岡山大学で行う研究は、収容依頼を行ったところ、医師からエコーを指示されたのではなくて、救急救命士がエコーの電送の必要性を感じたら岡山大学に連絡するような流れになっていると思ったのですが、そうすると、エコー伝送のトリガー、エコー伝送の適応症例は救急救命士が判断することになるのかと思いました。
 何が問題になってくるかというと、エコー伝送を行うその判断を救急救命士に求めた場合に、例えば腹痛を主訴とすれば、腹腔内の液体貯留の判断は難しい部分があって、救急救命士個々の判断に差が生じる可能性があるのではないかと考えます。明確な観察基準がないと、現場の救命士は、最終的にオーバートリアージになって、腹痛イコールほとんど、もしくは全ての症例がエコー伝送になってしまうのではないかという心配がございます。
○児玉座長 ありがとうございます。
 取りあえずその点を牧参考人から答えていただければと思います。
○牧参考人 佐々木構成員、詳細に資料を拝見いただきまして、本当にありがとうございました。
 前回のこの資料を見ていただいた部分との相違があるのではないかということで、我々は今回の第3回が開かれるまで、かなりこのプロトコルに関しては熟考しまして、前回の資料とは違い、今回のこちらのプロトコルで動かせていただきたいということでございまして、今回の第3回の資料、実証するという意味では、そちらでさせていただきたいと。そうしますと、佐々木構成員の御質問にあります、救命士が超音波をしたほうがいいのではないかという状況はつくらない、これはあくまで医者が行う状況になるのかと思います。そうしますと、本当に搬送中がいいのかという話になってくるので、植田構成員や本多構成員がお話しになっていたとおり、発車前にやったほうがいいのではないかという新たな知見もいただきました。そうしますと、井本構成員が話していた途中でやったときの道の状況などを判断することもなく、安全な、要は、止まっている状況で行う、しかも短時間で2分以内という状況にすることを、さらにプロトコルに盛り込む流れにつながるかもしれないと一意見として考えておりますので、持ち帰ってそこの部分の改変をさせていただく検討を進めたいと思っている次第でございます。
○児玉座長 承知しました。
 佐々木構成員、それでよろしいですか。質問が続けてありましたらよろしくお願いします。
○佐々木構成員 そうすると、岡山大学に連絡するような症例は現場の救急救命士が判断して連絡するようになるということになると思うのですが、今までの救急救命処置だと、例えば低血糖だと定量的な数値があって特定行為に進んでいったり、心肺停止のように誰もが判断に迷わないような観察所見に基づいて特定行為が進んでいくような流れでしたので、ぜひ今回の検証をするときに、誰もが判断に迷わないような観察所見があってエコーのプロトコルに行けるようなものを、平行して検証していただければいいと思います。
 以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
 これまでの救急車内でのプロトコルとの整合性というか、そことの兼ね合いも必要になってくるかと思います。佐々木構成員、ありがとうございます。
 そうしますと、田邉構成員、お願いいたします。
○田邉構成員 救急救命東京研修所の田邉晴山です。
 私からはコメント2つ、そして、今後の御検討いただきたいものについて3つお話ししたいと思います。
 宿題返しの件ですけれども、超音波検査、深澤構成員がおっしゃったとおり、幅広い奥深い検査かと思いますので、どこまで幅広く奥深く実施するかによって、難易度あるいは検査に必要な時間、あるいはそれに要する教育時間、これは大きく異なってくる中で、今回は腹部に限定して3か所のみで比較的同定可能な液体貯留だけを見るといった点は、前回より現実的な案を出していただいたのではないかと思います。
 また、対象についても、意識障害なども含めて幅広く対象にするといったことが前回の御提案でしたけれども、腹痛に限定するといったより実現しやすい妥当なものを御提案いただいているのではないかと思います。
 もう一つ、医師の働き方改革が求められる中で、重症患者を待ち受けるにしても、重症患者が来るので多数の医師に待機をお願いするというのもなかなかいかなくて、超音波検査の結果に基づいて限定した、先ほどは外科と上田先生がおっしゃいましたけれども、外科など限定した先生にお声がけしたいといった上田先生のコメント、救急医としてもよく分かる御発言ですので、そういった点では検証する価値はあるかと思うところです。
 その上で、幾つかお願いなのですが、これは井本構成員からもございましたが、搬送先選定の適正化がこの処置実施の目的にある中で、転院搬送にどのような影響があるかは重要な情報かと思います。そういった中で、このデータを把握できませんでしたよ、こういう理由でという理由もおっしゃいましたけれども、そういったデータも含めて収集できるような体制を経てから次のステップに行く必要があるのではないかと思います。
 それと、これも前回お伝えしたのですが、超音波に必要な時間2分ということですが、検査が始まる前に医師に電話をして、医師がそれに応答するといった簡単にできそうなところも実態としては数分かかっている現状がございますので、先ほど佐々木構成員からもありましたが、救命士が適応だと判断して、その上で医師に連絡をする、それに対して医師がすぐに出られるかというと、医師もほかに処置をしながらやっている現状があるので、救命士が現場から発信した時点から電話を切れるまでといったところでもう一回検証していただくと、なかなか2分では済まないのかと思います。これも事前の準備としてぜひ進めていただきたいと思います。
 最後、これは植田構成員からもございましたが、既存の処置があります。腹痛を訴えてショックになっているとなれば、今、行っている救急救命処置と今回の超音波検査をどういった順番でどっちを優先してやるのかをあらかじめ決めてからでないと進めづらいところがありますので、検査だけのために救急隊員が業務を行っているかというと全くそうではなく既存の処置の対応と今回のことをどう加えていくか、プロトコルという形で現実的な書面として見せていただくといった準備も必要かと思っております。
 以上です。ありがとうございました。
○児玉座長 貴重な御意見ありがとうございます。承りましたので、よろしくお願いします。
 そうしますと、ほかの御質問は。
 喜熨斗構成員、お願いします。
○喜熨斗構成員 御説明をありがとうございました。
 まず、1ページの「救急救命士によるエコーは、マストではなく」という文章、書き方のことでもあるかもしれませんが、救急救命処置というのは、重度傷病者に対して、生命の危険がある、また、症状の著しい悪化がある状況において実施がされるものですので、基本的には考え方としてはマストに実施されるべきものかと思います。ただし、例えば静脈路確保もそうですが、実施はしなければならないのですが、静脈路確保が成功しなかった場合に、さらにそこに時間をかけると状況が悪化する可能性があるので搬送を優先することはあるかもしれませんが、基本的にはマストの行為かと思っておりますので、そういったことを前提として対象やプロトコルを御検討していただければと思っております。今回様々な御意見が出ましたので、少し変更する箇所も出てくると思いますので、それも踏まえて改めて教育時間の再検討をお願いしたいと思っております。
 もう一つは、研究の実施方法として、これが例えばトータル的な治療が短時間になったですとか、傷病者の救命につながったというエンドポイントがあるかと思いますが、そのコントロール群はどのように設定されるのか。今でなくてもいいのですが、改めてこの点も御検討いただければと思っております。
 以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
 1点目、今回の議論を踏まえてさらにもう一度教育時間を検討しないといけないかということ、重要な論点かと思います。
 2点目のコントロール群については、もしありましたらいかがでしょうか。よろしいですか。
○牧参考人 本当に御質問いただきまして、ありがとうございます。
 コントロール群については、実は深く熟考させていただいていて、やり方も幾つかの統計解析方法を見いだしながらモデルを考えております。ただ、今回はそこまで行くとまた深くなってしまうので、そういった資料は省かせていただいている状況です。皆様の状況を得まして、そういった形ができるようであれば、もちろん倫理委員会等にはそういった状況を出させていただいて、モデル検討をさせていただこうと思っております。ありがとうございます。
○児玉座長 ありがとうございます。
 あと5分ほどになりましたので、もし発言がほかにありましたら手短にお願いします。
 では、井本構成員と深澤構成員、お願いいたします。
○本多構成員 間に合いそうでしたら、私も。
○児玉座長 分かりました。
○井本構成員 ありがとうございます。井本でございます。
 資料3で淺香構成員から意見書が出ていまして、今の議論に上がらなかったのですけれども、4行目あたりのエコーの精度や陰性判断の後の陽性変化への対応のリスクは必ず存在しますので、その対応ができるような施設を第一搬送先にすることで、車中のエコー実施をせず問題が解決できると考えますという意見があります。先ほど来も高次に送るべきではないかという意見も出ている中で、こういったことに関して再検討はしていただけるのでしょうか。この陰性判断後の陽性変化、確かに私も救急外来で搬送されてきて補液などをして様子を見ている間にもう一度検査をしたときに体液貯留があって手術になる対象患者さんを看護したことがある。この場合の車中の対応ですとか、そういったところは今回の提案の中になかったように思うのですけれども、1回実施したらもうしないという御提案なのか。今日ではなくてもいいと思うのですけれども、これは入れていただく必要があるのではないかという意見を持ちました。
○上田参考人 ありがとうございます。
 通常我々も容体変化した場合には、初期評価からまた始まって、エコー検査も当然我々の救急の診察の中ではFASTという形で入っておりますし、繰り返し検査することで分かってくるケースは経験がありますので、そこは盛り込むべきだと思います。今回の御提案では吉備中央町という搬送時間が長いところになりますので、何回か施行が必要になる患者さんも当然いらっしゃると思いますし、そこは盛り込んで今後検討させていただきたいと思います。
○児玉座長 よろしいですか。ありがとうございます。
 では、深澤構成員、お願いします。
○深澤構成員 ありがとうございます。
 私は1点意見なのですけれども、本多先生のせっかくの御提案に対して異論を申し述べたいと思うのですけれども、先ほど本多先生から救急車内でエコーをやるのではなく現着したところでエコー検査をやって、それから救急車に運ぶというお話がございました。そもそも救急救命士という名称、こちらは恐らく厚労省から救急救命士という名称が与えられたと私たちは聞いております。この名称に関して、基本的に救急というものが先についておりますので、いかに傷を受けた患者さんを適切な医療機関に素早く運ぶかが救急救命士の大きな役割だと私たちは聞かされております。現着した現場でエコーを行うのでは1分2分を競い適切な医療機関に患者さんを搬送し救命を行う救急救命士の本来業務を損なう恐れがあります。現場に到着したら、患者さんを素早く適切な医療機関に搬送するというのが救急救命士の本来の役割ではないかと思っておりますので、今回の本多先生の御提案に対しては、異論を述べさせていただきます。
 以上でございます。
○児玉座長 ありがとうございます。
 では、ちょうど本多構成員の手が挙がっていましたので、よろしくお願いします。
○本多構成員 もっともな意見だと思います。ロードアンドゴーという言葉もありますので、第一印象の所見と受傷機転で運ぶというもっと簡素化した搬送判断もありますので、本来そこをやるべきだろうと思います。
言いたかったのは、移動する車内とか、そういうことが厳しいので、安定した場所でやることをどう考えたらいいかという提案だったと思いますので、それでいいと思います。
 僕が最後に聞きたかったのは、今回の試行を提案するにあたり、どこかにきっかけ、あるいはニーズがあると思うのです。今回、医師なのか救急隊員なので、今回の提案に関して誰が発端者なのかはなかなか言いづらいとは思います。社会のニーズとして、救急患者さんはいろいろなことをして助けてほしい、プラスになることをしてほしいと思っているでしょうし、あるいは、医師サイドから発展してきた事案なのか、それとも救命士側が超音波検査をやりたいとなったのかを確認したいと思っています。
 もう一回確認という意味で、こういった何とか役に立つ事業をやりたいということを進めるために立ち止まり、確認作業が必要と考えます。地域で何が問題でこの研究を企画したのかという始まりであり、始まりはヒトであると思います。フロー図もそうですけれども、人が抜けているのですね。やることはいっぱい書いてありますが、やりたいことが先に来て、誰が何のために行う必要であるのか抜けています。これは単純に、救急医療体制の問題があって生じた企画案であり本企画が救急医が思いついたのか、一般の救急医以外の医者が思ったのか、この点について答えていただきたい。
あるいは救命士側からの意見でこれがスタートしたのか、原点に立ち返る意味で、そこもう一回確認させてください。
○児玉座長 ありがとうございます。
 今、ご指摘いただいた原点に立ち返るというのは重要かと思います。岡山大学の方から、そもそもの問題意識をもう一度お答えいただけますでしょうか。
○牧参考人 これは私、牧がお答えします。
 1点目の本多構成員や植田構成員がおっしゃっていたその場、最初に搬送する前にというのは、私もそういう考えもあると思った理由は、6ページの最後の6個目のポツでございます、現場滞在時間に有意な差が見られない、これは救命士が実際に当てているeFASTなのですけれども、この論文があるために、私もそこに対しては考える必要性があると思ったことを最初に付け加えさせてください。
 続きまして、最後の本多構成員の御質問なのですが、これはアーキテクトである私がしっかりと答える必要があると思います。まず、吉備中央町でスーパーシティ特区を申し込むときに、町民、多くの方々にアンケートを取りました。そうしますと、産婦人科や救急科、そして、小児科等の医療体制をまず整備してほしいというアンケート事案がございまして、その回答から我々はこのスーパーシティ特区に応募しました。スーパーシティ特区というのは、規制改革に準ずるようなとがった意見ですね。そういったことをやれる特区であるために、その中で最も吉備中央町のお金がかからず事業を永続的に自治体が助けられる状況に持っていく、また、住民の方の理解を得られる施策はこの救急救命士の状況だと、その場の協議会、そして、それは企業体も入っていますし、医師も入っていますし、そういった全体の会議の中で決まっていった流れがございます。最後に、2021年の11月、前回の資料の3ページに当たりますけれども、この資料のところで岡山市消防局に持っていったという流れでございますので、本多構成員の御質問に答えるとするならば、最初にそこに対してコメントしたのは我々医師でございます。そして、その後に協議会がそれを後押しした。これは住民も入っていますので、その後押しがあり、最終的にこの岡山市の救命士に規制改革が整った折には協力をしっかりしていきますという言葉をいただいたという、前回のワーキングに参加していただいたという流れでございます。
 以上でございます。
○本多構成員 そういった主体がはっきりすれば、一番は、救命士側も思いはあるけれども引っ張っていくリーダー的というか指導する側が明確でないと、どっちの責任というのは当然進める中で必要だと思うのですけれども、明らかに今回は医師が問題意識を持った、これに対してどういう手がないかということをやった、これがうまくいくかどうかはやってみないと分からないけれども、そういった意味で特区で試すということであれば、いわゆる意義というか理由は成立するかと。ただ、結果に関しては、これまた中で十分に検証する必要があるので、当然やらないと分からないこともありますのでというのは理解しました。ありがとうございました。
○児玉座長 ありがとうございます。
 司会の不手際で定刻を過ぎて、まだまだ議論はあるかと思いますけれども、取りあえずここで締めさせていただきたいと思っております。
 本日はかなり議論を深掘りできたと考えております。今後ですけれども、事務局から説明がありましたように、本年度の議論の取りまとめをしていく必要がございます。事務局におかれましては、本日の意見も踏まえた上で、取りまとめに向けた論点整理をお願いいたします。
 最後に、事務局から何かありますでしょうか。
○東専門官 次回のワーキンググループにつきましては、日程が決まり次第お知らせいたしますので、皆様よろしくお願いいたします。
○児玉座長 それでは、これにて本日のワーキンググループを終了いたします。
 皆様、お忙しい中をありがとうございました。

照会先

医政局地域医療計画課

災害等緊急時医療・周産期医療等対策室
病院前医療対策専門官 東(2628)