2024年2月15日 第3回 健康・医療・介護情報利活用検討会 医療等情報の二次利用に関するWG 議事録

日時

令和6年2月15日(木)15:00~17:00

場所

WEB開催
TKP新橋15A(15階)

出席者

構成員(五十音順、敬称略)

議題

(1)これまでのワーキンググループで頂いた主なご意見について
(2)仮名化情報のユースケース等について
(3)医療等情報の二次利用に係る基本的な考え方、論点について

議事

議事内容
【医政局企画官】事務局でございます。定刻になりましたので、ただいまより「第3回 健康・医療・介護情報利活用検討会 医療等情報の二次利用に関するワーキンググループ」を開催いたします。皆さまにおかれましては、ご多用のところ本ワーキンググループにご出席をいただき、ありがとうございます。
 本日は、構成員の皆さまにおかれましては、対面とオンラインの併用による開催とし、会議の公開につきましては、YouTubeのライブ配信で行うこととしております。オンラインでご参加の構成員の皆さまは、会議中ご発言の際は手を挙げるボタンをクリックし、カメラをオンにしていただきますよう、お願いいたします。座長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、ご発言をお願いいたします。ご発言終了後は再度マイクをミュートにしてくださいますよう、お願いいたします。
 次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は落合構成員からご欠席とのご連絡を頂いております。また、井元構成員は途中でご退席される旨のご連絡を頂いております。
 次に、資料の確認をさせていただきます。まず議事次第、それから資料1、資料2-1~2-3まで、資料3、それから参考資料の1~4まででございます。不備等ございましたら事務局までお申し付けください。
 事務局からは以上でございます。森田主査、議事進行をよろしくお願いいたします。
【森田主査】皆さま、こんにちは、森田でございます。花粉の季節になりましたが、よろしくお願いいたします。
 それでは早速ですが、議事に入りたいと思います。本日の議題は3つございます。1が「これまでのグループで頂いた主なご意見について」、2番目が「仮名化情報のユースケース等について」、3番目が「医療等情報の二次利用に係る基本的な考え方、論点について」でございます。この議題1~3が審議事項となっております。
 まず、議題の1及び2を一括してご議論いただきたいと思います。資料1~資料2-3まで、それでは、事務局のほうからご説明をお願いいたします。
【医政局企画官】事務局でございます。それでは、まず資料1についてご説明をさせていただきます。
 資料1は、これまでのワーキングで頂いた主なご意見につきまして、事務局の責任でまとめたものでございます。前回のワーキングで基本的な考え方や論点の資料をお出ししておりましたので、その論点ごとにご意見を分類して、まとめさせていただいております。青字になっていますのが、前回のワーキングで頂いたご意見でございます。
 まず1ページ目が基本的な考え方についてということで、①~④までの基本的な考え方を提示をさせていただいておりました。④の公正かつ適正な利活用に関する努力というところで、国がガバナンス体制を構築することが非常に重要というご意見を頂いたところであります。次の2ページをお願いします。
 2ページ目は論点の1つ目、公的データベースで仮名化情報を利用・提供する場合の法制的な論点というところでございます。(1)の利用場面・利用目的のところで、いくつかご意見を頂いております。
 下半分の青字のところを見ていただければと思いますけれども、まず公益性の話の議論の中で、高い・低いについて区別するのはどうかと思うが、必要性の高いものについて議論を行うという前提を持っておくことが重要というご意見。
 それから、その次ですけれども、匿名化と仮名化の違いをきちんと整理することが必要。利用者が、なぜ仮名化情報が必要なのかを、理由を整理し申請を行って、審査を行う場合にも重要になるというご意見がございました。
 また、公益性の範囲については抽象的なままでは論じにくいので、具体的なケースを基に評価ができるような議論をしたほうがいいのではないかというご意見。
 それから、その下も同趣旨のご意見かと思いますが、公益性の中身を具体的なユースケースを踏まえて整理をする必要があるという意見がございました。
 最後は、このワーキンググループだけでは終わらない話であり、医学研究や創薬、新たなテクノロジーの発展なども踏まえて、継続して議論するべきというご意見を頂きました。
 次は3ページでございます。法制的な論点の続きでございます。本人関与の機会の確保への配慮というところで、下の3つが前回頂いたご意見でございます。二次利用につきましては、入り口の段階で一括して同意することには無理があると。出口規制とし、様々な専門家、一般の外部委員なども含めた審査体制でしっかりと審査する方法がよいというご意見でございました。
 それから、その下につきましては、公的データベースでは既に集積しているデータがあると。既に集積されたデータを使えるようにするロジックを整理したほうがよいというご意見がございました。
 また、最後のところですけれども、顕名データベース以外のデータベースに利用停止の請求をかけて、公的データベースの悉皆性をなくすのが本当によいのかという議論があると。そういったことも踏まえて、本人関与につては議論する必要があるというご意見でございました。
 次は4ページでございます。保護措置のところで5点ほどご意見を頂いておりました。目的外使用はしっかり管理するという方法で抑えるのがよいのではないか、というご意見がございました。
 また、仮名化によってリスクがどう低減されているのか、実態に応じて評価を行い、議論をしていくことが重要というご意見でございました。
 また、患者、国民、医療現場にとって、匿名化と仮名化にどのような違いがあって、仮名化によってどのようなリスクが増大するのか、適切な措置を講ずるのかを示すことが重要というご意見。審査をしっかり行うこと、Visiting環境での利用に限り、持ち出しできないようにすることなどが重要というご意見がありました。
 また、個人の権利の保障、監督機関の監督権限というのが非常に重要というご意見も頂きました。
 それから最後ですけれども、元のデータに戻るリスク、元のデータが参照されるリスクがどの程度あるのか、加工ではない技術的な措置も考える必要があるというご意見がありました。
 次の5ページをお願いいたします。(4)の医療現場・患者・国民の理解、利活用の促進というところで、前回2点ご意見を頂きました。医療現場や患者・国民の理解促進につきまして、例えば医療機関のサイネージ、流せるコンテンツを国が作成して提供する、YouTubeで配信するということが考えられるのではないか。また、教育とか自己の情報管理にも、二次利用における留意点などを入れていくことが考えられるのではないか、というご意見がございました。
 また、仮名化情報の第三者提供というところで、国民・患者・医療現場の十分な理解が非常に重要で、これが大前提であるというご意見でございました。
 (5)、(6)については、前回ご意見がありませんでした。
 次の6ページ、7ページをお願いいたします。6ページから、論点の大きな2つ目の、情報連携基盤の整備の方向性についてというところでございました。下のほうにあります5点ほどのご意見を頂いたところでございます。
 Visiting環境が実際利用に耐えうる環境になっているのか、利用に1年もかかるということでは手を出しにくいというようなご意見。
 また、今後検討していくに当たって、オンプレミス前提でないような形で整理できるようなメンバーの構成、そういう議論ができるようなメンバー構成が必要というご意見。
 また、Visiting環境について、どの程度リスクを下げることができて、分析を行う環境によって利活用が促進されるのか、具体的なイメージを踏まえて議論すべきというご意見がございました。
 また、セキュリティレベルを標準化して、リモート環境上で使用できるようにしてほしいというご意見がございました。
 さらに、データはVisiting環境の中で取り扱うが、解析環境は自分のものを使用できるような技術も出てきていると。こういったことについても技術作業班で調査をしていただければと思うというご意見がございました。
 次の7ページでございます。同じく情報連携基盤に必要となる要件のところでございますけれども、先ほど法制的な論点でも出ました、入口規制にするには無理がある、出口規制の中でしっかりと審査をするという体制がいいというご意見。
 それから、審査を丁寧に行うことは大切だが、時間がどんどんかかると機会がロスされるので、なるべく時間をかけないように配慮をする必要があるというご意見。
 また、先ほども出たVisiting環境の要件、環境についてのご意見がございました。
 それから8ページ、9ページも、先ほどの再掲のご意見でございました。
 9ページのところで、電子カルテ情報のデータベースを整備していくという方向性についても、いくつかご意見を頂いております。ここでは基本的に一次利用と二次利用を、接続を意識してやっていくということが重要というご意見でございました。
 その他、10ページにも関連するご意見を頂いた点を並べさせていただいております。資料1は以上でございます。
 続きまして資料2-1でございます。先ほどご説明しました前回のご意見の中で、匿名化情報と仮名化情報の違いをしっかり理解をすることが重要だと。また、それを国民も、医療現場も理解をしていくということが大変重要というご意見がございました。これまでも、このワーキングの中でご説明をしてきたところではありますが、改めまして仮名化のメリットについて整理をしたところでございます。
 1ページ目で、主に3点で整理をさせていただいております。1つ目が、同一対象群に関する追加データの取得・解析が可能ということでございます。基本的に匿名化情報の場合は、元データに復元できない形で匿名化をするということが必要でありますので、同一対象群について追加でデータを求めても、これを取得するということは基本的にできないということであります。他方、仮名化情報の場合は、元データとの対応表を保持するということになっておりますので、同一対象群での追加のデータの取得解析は可能になるということであります。
 2番目が、特異な値や記述の削除・改変が不要ということでございます。仮名化情報の場合は匿名化情報と異なりまして、特異な検査値ですとか記述の削除・改変は不要ということでございます。
 2つ目の白丸に書いてありますとおり、例えばですけれども、身長2m以上、体重150kg以上、年齢100歳以上とか、血圧が200以上というような、検査値などの特異な値の改変などが不要になるということであります。ただしこれは、いかなる場合もこういった記載の改変が不要というわけではありませんので、提供する時の条件に応じて必要なマスクとかをするというのは、当然あり得るということであります。
 それから3つ目が、他の仮名化情報との連結解析が可能ということであります。先般の次世代医療基盤法の改正によりまして、仮名加工医療情報の第三者提供の枠組みが創設されたところであります。また今般、公的データベースについても着々と整備が進んできておりまして、特に臨床情報につきましては、仮名化情報の利用提供の期待が大きいところであります。そうしますと、この仮名化情報との連結をする場合、その相手方についても仮名化情報である必要がありますので、そういうところで、仮名化情報同士の連結解析というところにメリットがあるというふうに考えております。
 2ページ目は、今申し上げた特異な値とか記述の削除不要のイメージを、第1回目のワーキングで出させていただいた資料を再度掲載させていただいております。
 次に3ページをお願いいたします。匿名化情報の利活用の実際と更なる成果への期待ということで、これも前回のご意見の中で、匿名化情報の利活用でどこまでできていて、どこに限界があるのかというのを、きちんと整理する必要があるというご意見がございました。今回事務局のほうで、PubMedからNDBを利用した研究論文をいくつか分析をいたしまして、その論文の中で、実際どこまで成果として認識して記載されていて、どこからができなかったというふうに分析されているかを、ここにある4点を挙げさせていただいております。
 下の枠の中の1つ目ですけれども、この研究は、新型コロナウイルスの感染症流行前後での乳がんの手術件数の動向をレセプトデータから分析したものであります。全年齢で、腋窩リンパ節の郭清を伴わない乳房温存手術の件数が減少してきていたということで、新型コロナの中で乳がんの手術機会が失われた可能性が、レセプトデータから分かったということでありました。ただ、レセプトデータだけでは乳がんのステージ分類ですとか、術前補助療法の有無などが分かりませんでしたので、ここにその研究の限界があったということが指摘されていました。
 その次の白丸ですけれども、これは眼科領域の手術件数の動向をレセプトから分析をした論文でございました。白内障とか緑内障に対する手術などには傾向があるということを、明らかにした論文でございました。ただ、同一の手術コードの中に、複数の手技の異なる手術が同じ一つのコードで分類されておりまして、従来型の手術と、より低侵襲の手術との違いといったものを比較して分析するということができなかったというような指摘もございました。
 それから3つ目は、歯の本数と前糖尿病、糖尿病予備群の発症との関係を解析したということでございまして、歯の本数が少ないことと糖尿病の発生率が高まるという関連性を示したという論文でございました。ただレセプトデータでは、当然ながら教育レベルですとか世帯の収入、家族歴ですとか、糖尿病はサブタイプ1型、2型、その他の糖尿病、こういったものが明らかでなかったので、ここら辺にも研究の限界があったというようなことでございました。
 ですので、臨床情報がレセプト単体ではないということを研究の限界として指摘するものもありました。また、ここには書いておりませんけれども、一部件数が少ないものをマスクしていたので、そこにも限界があったという指摘。また、長期間での追跡もできていなかったということでの限界を指摘するものもありました。
 続きまして、5ページをお願いいたします。医療等情報の活用拡大によって想定されるユースケース(2)ということでございます。前回のワーキングで6ページのユースケースをお示ししておりました。医薬品の研究開発で少し偏っているのではないかというご指摘がございました。もっと臨床利用ですとか行政利用についてのユースケースがあるのではないかというご指摘がございましたので、5ページで、この情報利活用による臨床利用ですとか行政利用のユースケースを追加で示させていただきました。
 まず、1番の臨床利用のところですけれども、大きく3点ほど挙げさせていただいております。先ほど申し上げたような、仮名化情報で特異な検査値や記述を含めて分析をするということで、希少疾患の臨床像の解明ですとか、長期の観察をすることで、医薬品の未知の副作用の発見につながるということが期待されるのではないかということが挙げられると思っています。
 2つ目ですけれども、こちらも患者の背景情報ですね、年齢とか基礎疾患とか喫煙歴や飲酒歴。そういった背景情報をそろえて長期の臨床データを分析することで、今まで想定していなかった要因が出てくる可能性もあるということでございます。こうしたことで疾患の早期診断とか、治療効果予測とかがさらに精度高く可能になるのではないかということが期待されるのではないかと思っております。
 それから3つ目ですけれども、今申し上げたような分析に加えて、さらに死亡情報などとの連結解析をするということで、様々な因果関係を明らかにできる。また、そうした中で予後予測とか治療効果予測の、より精緻なモデルを作っていくこともできるのではないかということ。これはひいては個別化医療の加速化、本人にもそのメリットが得られるという可能性があるのではないかというふうに考えております。
 それから、2番目の行政利用のところでございます。既にNDBや介護データベースなどを使って、医療費適正化計画などの行政利用をやっているところでございますが、そこにさらに大規模な臨床情報のデータベースが加わることで、医療の質を評価していくと。科学的根拠に基づいた効果的な支援といったことを分析するという行政利用が可能になるのではないかというふうに思っております。
 また、その臨床情報をさらに長期間分析をするということで、予防医療の現状ですとか、その成果といったものを分析するということもできるのではないかというふうに思っております。
 最後の3つ目ですけれども、これは感染症流行時とか災害発生時の話でございます。これも臨床データベースから診療行為ですとか、その後の転機、または基礎疾患の有無などの重症化リスク因子などを関連付けて分析すると。また、特定な重症化リスクを持った患者さんが感染症に罹患した後の予後を分析していくということで、医療提供体制の整備ですとか感染症対策についての立案、政策の立案などにつなげていくことができるのではないかというふうに考えております。資料2-1は以上でございます。
 次に資料2-2をお願いいたします。これは、現在の公的データベースでの利用・提供で求められる公益性についてということでございます。前回のご意見の中で、仮名化情報を利用する際の公益性をどう考えるかというところの中で、なかなか抽象的なままでは議論しにくいというご意見がございました。これは、現在NDBや介護データベースなどで求めている公益性のある業務の範囲について、具体的にお示しをしたものでございます。これらは、高齢者医療確保法や関連法、または関連するガイドラインの中で具体的に規定をされているものをまとめたものでございます。
 具体的には下半分の表のところ見ていただければと思いますが、例えばNDBであれば左のところですが、①医療分野の研究開発に資する業務。②適正な保健医療サービスの提供に資する施策の企画及び立案に関する調査。③疾病の原因並びに疾病の予防、診断及び治療の方法に関する研究。④保健医療の経済性、効率性及び有効性に関する研究。などとされております。
 逆に公益性を有するものと認められない業務につきましては、その下の黒丸の付いた3点が具体的に書かれておりまして、特定の商品や役務の広告または宣伝(マーケティング)に利用するために行うもの。また、企業の組織内部での業務上の資料としてのみ利用されるもの。特定の顧客に対するレポート作成の基礎資料としてのみ利用されるもの。というふうになっております。
 また、現在構築中の障害福祉データベースですとか、難病データベース、感染症、予防接種のデータベースについても、こうしたNDBや介護データベースの公益性を有する業務の範囲を念頭に、今、ガイドラインを整備中でございます。
 2ページ目以降は、今申し上げたガイドラインですとか、高齢者の医療の確保に関する法律の該当部分の抜粋でございます。特に2ページ目でございますけれども、上半分のNDBデータの利用提供に関するガイドラインのところを見ていただければと思いますけれども、上から3行目、4行目あたり、「具体的には」と始まるところですが、製薬企業をはじめとする民間事業者などによる医薬品安全性調査、市販後の有害事象のエビデンス収集などの研究、医薬品や医療機器の創出または改善に資する調査、研究または開発などに利用可能である。というふうにされているところでございます。資料2-2は以上でございます。
 次に資料2-3でございます。クラウドでのVisiting解析環境についてという資料でございます。前回のワーキングのご意見の中で、Visiting環境の安全性ですとかセキュリティ要件などについて、もう少し整理をしてもらったほうが議論しやすいというご意見がございましたので、改めてVisiting環境のメリットを整理した資料になります。
 1ページ目の左の表のところを見ていただければと思います。上から2つ目、Visiting解析環境のメリットを主に4点まとめさせていただいております。
 まずデータのアクセシビリティということでございます。一定の要件を満たせば、場所を問わずクラウド環境にリモートアクセスをして、データを利用することができるというのが1つ目のメリットでございます。
 2つ目がデータの円滑利用ということでございます。データ自体をDVDなどの媒体に移し替えて受け渡しをする手間が必要ありませんので、利用許可がなされた後、速やかにデータ解析に移ることができるというメリットがあります。
 それから、3点目がセキュリティでございます。基本的には権限が付与された利用者のみが、このクラウド環境にアクセスをして利用するということでございます。また、提供データ自体を、ローデータ自体をダウンロードできない、相手に渡さないというところで、このセキュリティの非常に大きなメリットがあります。またその際も、研究目的の達成に必要な最小限のデータのみを提供していくということでございます。
 4点目の透明性というところですが、このクラウド環境での利用者のデータ解析のログを記録・監視をするということができますので、不正利用を監視する機能も実装することができるというところでメリットがございます。
 このVisiting環境の技術的なところを、厚生労働省の技術参与の葛西先生に少し補足説明をしていただきたいと思います。森田先生、よろしいでしょうか。
【森田主査】はい。それでは葛西参与、お願いいたします。
【葛西参与】ありがとうございます。少し補足をさせていただきます。厚生労働省の技術参与をしております葛西と申します。私、データヘルス改革に関わる公的データベースであったり、一次利用、二次利用を含めて、技術的なところのアドバイスを厚生労働省にしております。
 このVisiting環境についてなんですが、実はいくつかのサービスとして厚生労働省内での検討が進んでいるものがございます。一つは、HICと呼ばれているNDBの提供を中心としたもので開発をしているもの。それともう一つが、全ゲノム解析実行計画に基づいて、遺伝子データであったり臨床情報を提供するために活用するものと、今のところ2種類、全く違う製品群で構成をして検討を進めております。
 実際にはクラウドを活用するものなので、いろいろな例えばセキュリティの設定の仕方であったり、データをダウンロードできるようにもできますし、もちろんダウンロードできないようにもできるわけでなんですが、今のところ今回の検討会も含めて、あとこれに関係する技術検討班のほうでもそうなんですけれども、実際にはいろんな使い方がありますので、ただ一側面だけ見て使えなかったとか、使えたっていう意見というよりは、まだ発展途上でございまして、実際には巨大な遺伝子データを扱う場合もあれば、ものすごく小さなデータを扱う場合もあります。
 あと、予防的にセキュリティを監視する場合もありますし、実際に発見的に何か問題があったら即座に遮断するというような方法も取れますので、いろいろなセキュリティの設定の仕方を検討しながら、ある程度の方向性ですね。技術的な標準仕様を作って、国としては提供を安心して使っていただけるようにするといいな、ということを検討しているという状況でございます。
 補足までに、ご説明をいたました。
【医政局企画官】残りの資料の説明を続けさせていただきます。参考資料3をお願いいたします。海外事例の追加の資料でございます。まだ調べ途中の未定稿の資料でありますので、参考資料3というふうにして、お出しをさせていただいております。
 前回、倫理審査の英国ですとかフランスの事例をお出ししておりました。その中でもいくつかご質問・ご意見を頂きましたので、英国のところの倫理審査のところを、少し補足をさせていただきたいと思います。
 まず1ページ目の表の英国という欄を見ていただければと思いますけれども、英国の場合、RECというところで倫理審査をやっております。研究者はIRASと言われる申請システム上で、自分の研究についての倫理審査の申請をすることになっております。そこにいくつか項目を入力しまして、その研究内容に応じて担当のRECが割り振られて、そこで審査を受けることになっております。
 RECでの審査につきましては、審査方法の欄を見ていただければと思いますが、標準作業手順書が設定をされております。審査期間は60日以内ということでございます。
 また、管理監督というところですけれども、RECに対して半年に1度、英国社会保健省が監査を実施することになっています。その上で、各RECについて3段階での評価をする仕組みが導入されております。また、RECに任命された新人メンバーに対しては、英国社会保健省が人材トレーニングなども提供をしております。
 そうした形で英国のRECは運営されているというところでございます。以降、2ページ目、3ページ目も英国、フランスの補足資料を付けさせていただいております。
 次に参考資料4をお願いします。前回のワーキングのご意見で、今の公的データベース同士のデータ連結をどのようにしているのかというところも、分かったほうがいいというご意見がございました。こちらは、ナショナルデータベースと介護データベースとの連結のイメージを示した資料でございます。上半分がナショナルデータベース、レセプトデータの流れで、下のほうが介護レセプトのデータの流れでございます。
 どちらも支払基金が運営しています履歴照会・回答システムに、個人の一番最古の被保険者番号を照会して、入手します。この最古の被保険者番号を基に、ここで言うID5''というのを作成いたします。このID5でもって、そのレセプトデータ、介護レセプトデータを匿名化する、ハッシュ化していく形になります。このハッシュ化を何回か複数回行いまして、NDB、介護データベースにそれぞれデータが格納されていく形になります。
 研究者は、このNDBのレセプトデータ、それと介護DBと介護レセを連結したいという時には、両方から同じID5の提供を受けるということが可能になっています。同じID5ですので、同じ人物のレセプトデータと介護レセプトデータを研究者の手元で、このID5を基に連結することができるようになっているということでございます。ただし、別の研究者の場合には、また異なるID5でもってそのデータを提供することになりますので、別の研究者同士のデータと連結することはできないという形になっております。
 簡単ですが、参考資料4の説明は以上です。議題の1~2の資料の説明は以上でございます。
【森田主査】ありがとうございました。それでは、ただ今頂きましたご説明につきまして、これからご質問、コメント等、ご議論いただきたいと思いますけれども、非常に論点が多岐に及んでいると思いますので、ある程度関連したご質問があれば優先的に指名させていただきたいと思います。そして、まとめて回答いただいてから、次の論点に移りたいと思いますが、それではいかがでしょうか。ご質問、ございませんか。オンラインのほうも、まだ。では、会場は山口さんが2人いらっしゃいますけど、PMDAの山口さん、お願いいたします。
【山口(光)構成員】ご説明ありがとうございます。資料を分かりやすくまとめていただき、よく理解できるようになりました。前回の会議で私がコメントした内容も反映いただき、ありがとうございます。
 その上で一つコメントです。資料2-1において新しいユースケースとして、臨床・研究利用と行政利用を追加いただいたところです。
 一方、前回のユースケースに関する資料ではそのようなまとめ方がされておりません。このままの資料でまとめられると、行政利用の用途が限定的になってしまうような気がします。お示しいただいた行政利用以外にもありますので、最後まとめる際にうまくまとめていただきたくお願いします。特に、医薬品の安全対策については、現在も実施している行政利用になりますので、あわせてまとめていただきたくお願いします。
 次に資料2-2については、法令的な観点で、公益性をまとめていただいたと思います。すごく分かりやすくまとまっていると思います。この中でNDB等を法令の観点で整理いただいて、公益性ってこのように考えるのだなというのがよく分かるようになりました。
 一方、私の業務視野で見てみると、医薬品の開発という記載が抜けていると思います。NDBに限らず、疾病の原因並びに疾病の予防、診断・治療の方法に関する研究という記載が入るのですが、医薬品の開発という記載がないのです。医薬品の開発であれば何でもよいというわけではないかも知れませんが、少なくとも、希少疾病薬の開発は公益性に近い開発になるため、うまく使えるように明確に記載いただいたほうがいいのではないかと思います。おそらく、この記載が前例になり、この後、公益性についていろんなことをまとめられると思いますが、医薬品の開発が抜けないようにしていただけると助かります。
 以上でございます。
【森田主査】ありがとうございました。関連して、ご質問いかがでしょうか。清水構成員がオンラインで手を挙げておられるようです。どうぞ。
【清水構成員】映ってますでしょうか。
【森田主査】はい、お願いいたします、どうぞ。
【清水構成員】はい、すいません。大変まとまっているご説明をいただいたので理解が深まりました。ありがとうございます。
 先ほど、葛西さんのほうからご説明があったところに関してなんですけれども、今回構築に向けて話が進んでいるVisiting環境について質問させていただきます。現在NDBのほうでHICという形で試行が始まっているということと、それから、こちらは私は存じ上げなかったんですけど、遺伝子のほうで何かやろうとしているっていうお話がありました。
 これらのVisiting環境は現時点ではそれぞれ独立して2つあると思うんですけれども、今回検討するものは、技術的な観点は、これらをいろいろ参考にはするけれども、全く別物として第三のシステムを作るという話なのか、それとも最終的には厚生労働省さんとして、あるいは国として一つの大きなものを作ってこうという中で、取りあえずは今HIC、遺伝子のものをベースにしながら、これからわれわれが考えていくものはこれらを統合して構築していく、という方向なのか。その辺をちょっと、目安を教えていただければと思ってご質問させていただきます。
【森田主査】山口構成員の質問とちょっと趣旨が違う、別な質問かと思いますけれども。
【清水構成員】すいません。
【森田主査】特に関連して他にご質問ございますでしょうか、ご発言。なければ、一つずつ回答していただけますか。
【医政局企画官】はい、ご質問ありがとうございました。まず山口先生から頂いたご意見・ご質問の点。ユースケースのところは、すいません、ご指摘を踏まえまして、まとめ方を工夫させていただきたいというふうに思います。
 それから、公益性のところですけれども、この1ページ目は、確かにこのような書き方になっておりますけれども、実際のガイドラインの2ページ目のところですけれども、広く利用が可能であるというふうにされておりまして、具体的には、3行目の最後のほうですけれども、医薬品や医療機器の創出または改善に資する調査、研究または開発などに利用可能である、ということでありまして、医薬品の開発についての利用も認められているところでございます。
 それから、清水先生の今のご質問のところで、Visiting環境は全く別物を作るのかどうかというところでございます。これについては、どういったものを作るかというのは、まだ政府として決めているわけではございません。まさにHICですとか全ゲノムデータでこれから作っていこうとされているものを参考にしながら、考えていくということだろうと思いますが、通常、いくつかある中で、全く一から新しいものを作るというのは、なかなか効率的でないだろうと思いますので、現在HICでNDBを試行的にやられているということであれば、それを拡充していくというのも一つのやり方だろうと思いますので、そういった可能性も含めて、いくつかやり方を政府としては検討していきたいというふうに考えております。
【森田主査】よろしいでしょうか。山口構成員。
【山口(光)構成員】明確に回答いただき、ありがとうございます。NDBについては、調査、研究または開発が含まれているということは理解しています。一方、薬事申請が含まれるか否か、可能か否かについては、いつも論点になっています。開発イコール薬事申請であるかについては、いつも議論になっておりますので、本日、答えを出さなくても構いませんが、この検討会の最後には、そういう結論も出していただきたくお願いします。よろしくお願いいたします。
【森田主査】では、それはテイクノートしておいてください。それでは次のご質問ですが、オンラインのほうで山本構成員、井元構成員、それから山口構成員、お願いたします。
【山本構成員】既に事務局からお答えいただいたのですけども、私は長い間NDBのお世話をしていまして、当然ながら創薬は公益的な利用に入っております。これは①の、医療分野の研究開発に資する分析の中に全部含まれていると考えていただいて結構ですし、実際にNDBのデータを薬事申請に使うとは思えないのですけれども、仮に使えることがあれば、使えることも当然ながらターゲットに入っていると私自身は考えていますし、NDBの事務局も考えているというふうに思います。
 以上です。
【森田主査】ありがとうございました。それでは井元構成員、どうぞ。
【井元構成員】ご説明ありがとうございました。私、ちょっと途中で抜けなくてはならなくすみません。質問ではないのですがコメントです。
 資料2-1の5ページにユースケースをまとめていただきました。カテゴリーについて議論がありましたけれども、非常に広範囲かつ重要なユースケースが考えられていると思います。
 ただ、これだけのユースケースが書かれている中で、ゲノムのゲの字も出てこないというのは、私から見ると、無理のある書き方になっているんじゃないのかと思います。ゲノムは医療、研究共に、secondary dataを使った活用が考えられます。ゲノム研究に対するユースケースや、ゲノム情報をさらに医療に応用してユースケースの双方向で考えられると思います。そのことが全く書かれてないというのは、少し違和感がございます。
 もう一つ、コメントを付けさせてもらおうかと思います。資料2-3のVisiting環境のところです。非常に分かりやすい説明を頂いたと思います。Visiting解析環境のメリットを4点書いていただいていますが、セキュリティのところに「研究目的の達成に必要なデータのみが提供される」というのは、別にこれはVisiting環境だからそういうわけではないと思います。例えば今までと同様に、ハードディスクなどの物理メディアにデータを書き出して研究者に渡す際にも、研究目的の達成に必要なデータのみをお渡しすることはできます。どちらかというとデータのミスユースを防止するということなのかなと思います。
 一方、この「研究目的の達成に必要がデータのみが提供される」というのは、ミスユースを防ぐという面では安全な対応と考えられますが、研究の発展という観点からは、限定的なデータからは新しい発想は生まれません。提供の方法については、新しい研究の発想を促進するという観点で考えることができないかと思います。ここではあまり関係のないコメントでした。
 以上です。
【森田主査】大変貴重なご指摘だった思います。ありがとうございました。それでは山口さん、どうぞ。
【山口(育)構成員】はい、山口でございます。メインの資料については、今までの意見もきれいに整理していただいて、非常に分かりやすくまとめていただいたと思っております。
 メイン以外のところで、参考資料3、イギリス、英国のことについてさらに詳しく調べていただいて、資料を出していただいているのですが、2点ちょっと教えていただきたいことがあります。英国で統一的なSOPということで、標準作業手順書が設けられていて、日本の場合は倫理審査委員会ごとにされているのが、統一されているということです。私は、日本ではあまりにも多くの倫理審査委員会ができていて、非常にばらつきがあるというところに問題があると思っているんですけど、イギリスで統一的なSOPがあることで、日本で起きている課題で、もしこれを日本に導入するとしたら、こんなことが解決できるんじゃないかと思われるようなものがあるのかどうか、ということを教えていただきたいのが一つです。
 それから、人材トレーニングの提供ということが書かれているんですが、トレーニングの前の選別についてはどのようにされているのかということが、もし分かっていれば教えていただきたいと思いました。
 以上です。
【森田主査】はい、ありがとうございました。それではもう一人、日置構成員、手が挙がっているようですので、ご質問を伺って、それから回答していただきたいと思います。
【日置構成員】ありがとうございます。
 まず、参考資料を含めて、お願いしていたものをお出しいただいて、ありがとうございました。それで、参考資料4からなんですが、ID5を使ってハッシュ化してなど、ID5を使っていくというところは、これは今後確定ということでよろしいでしょうか。
 というのと、あと、データの連携の話が出てきているのですが、ID5をハッシュ化するとか、そういう加工方法とかはどこまで共有されるんでしょうか。
 あと、この次世代医療基盤法のデータと結合するようなことが、資料2-1などにも出てきているんですけれども、じゃあ、次世代医療基盤法の認定事業者等に対して、加工方法であるとかID5を渡したりとか、何かそういう施策が打たれるんでしょうかという。実際、どこまで実現可能なのかというのと、参照情報というのはどの程度発生し得るのか。要はプライバシーのリスクというのがどの程度あるのかというのを考えたいので、教えていただければというのが1点目でございます。
 次は資料2-1のほうなんですが、連結解析が可能となっているんですけれども、次世代医療基盤法における仮名加工医療情報というものと、各公的データベースに関する各法の仮名化情報というのは、必ずしも同じ制度の下にあるものではないので、果たしてそれを結合することというのは当然できますか、というのは、ケースバイケースで何かしら考えながらやっていかなきゃいけないところなんだと思うんです。なので、このまま連結解析可能なのかというところは、分からないなとは思っているんですが、制度的な整理として、どういう形で対応していく予定なのかというご質問になるんですかね。というところがちょっと気になっておりますというのが、もう一点。
 もう一点が、資料2-3のクラウドでのVisiting解析環境についてなんですが、リスクの評価の観点から申し上げると、例えば連携可能なデータがありますよと。それ自体は利用者側のほうが持っていますといった時に、どのような形で連結させるのかというお話と、厚労省側がデータオーナーではないデータが、解析のためにどこかから入ってきますよという話の時に、じゃあ、このVisiting環境を運用している厚労省はデータの受託者になるんですか、責任の分配はどうするんですか。という論点もあるような気がいたしましたので、そういったところの観点も入れていただきつつ、今の想定として、どういう整理をなされているのかというところお伺いできればと思います。
 以上でございます。
【森田主査】ありがとうございました。いくつか質問が出ましたので、ここのあたりで回答をお願いできますか。
【医政局企画官】はい、ありがとうございます。山口育子先生から2点、ご質問を頂きました。英国の標準作業手順書のようなものを導入することで、日本でどんな課題が解決できるかというところは、すいません、ちょっと今手元に資料がありませんので、少しお調べさせていただきたいと思います。
 また、英国の倫理審査委員会のトレーニングのところで、そもそもどういうふうに選抜しているのかという話がありました。ここも、メンバーは18名以内とされておりまして、科学的な専門家と、それ以外の、非科学的な分野の専門家で構成されるということは分かっていますけれども、具体的にどういう基準で選抜されるかというところは、すいません、今は分かっておりませんので、可能な範囲で調べさせていただいて、またご回答申し上げたいと思います。
 それから、日置先生からいくつかご質問を頂きました。参考資料4の関連でありますけれども、今、参考資料4でお示しをしたのは、ナショナルデータベースと介護データベースとの連結のイメージということで、これについては既に連結が始まっておりますので、このような形で連結をしていっているということでございます。
 また、このやり方、このID5でどこまで共有されるのかということでございましたが、現在、他のデータベースとナショナルデータベースとの連結についても法整備がされておりまして、これから始まっていく予定でございます。まだ、どういった形で連結させていくかどうかというのは検討中のところがございますが、参考資料4の左の下のほうにありますが、障害福祉のデータベースについてはID5の利用を検討中というふうに書いておりまして、この連結については、今お示ししたのと同じようなID5を使ってやっていくという方向性で、今、検討がされているところでございます。
 それから、次世代医療基盤法の認定事業者のデータベースとナショナルデータベースについても、連結をするということで法整備がされております。これについても、連結方法については現在検討中ということでございます。
 それから、仮名化同士のデータの連結をどうしていくのかということであります。もちろん、各データベースとして、これからその仮名化情報を提供していくという時に、その加工基準をどういったものにするかというところから、考えないといけないかなというふうに思っております。現在そこはまだ決まっておりませんので、当然ながら次世代医療基盤法の仮名加工医療情報とはまた定義が異なる可能性もありますし、連結させる時には同じような加工基準でやるのか、そうでないのかというところから、おっしゃるとおり、その検討をする必要があるだろうというふうに考えております。
 それから、最後のVisiting環境のところで、厚労大臣が保有主体となっていないデータの場合というところのご質問だったかと思っております。これは、Visiting環境の論点のところにも挙げさせていただいておりますが、公的なデータベース以外にも、一定の要件を満たす民間データベースであれば、このVisiting環境、公的に整備する情報連携基盤の中で利用することとしてはどうか、というところを論点として挙げさせていただいております。
 この様々ある民間データベースの中で、どういったものであれば、この情報連携基盤の中で一緒に利用させていいのか。また、先生ご指摘のような法的な関係ですとか、責任の分界点みたいなのがどこにあるのかというところも、同じように整理をしていく必要があるだろうと思っておりますので、その点も含めて、今後、検討する必要があるかなというふうに思っております。
 以上でございます。
【森田主査】日置構成員、よろしいでしょうか。それでは長島構成員、そして石井構成員で、そこまでで一応このセッションは終わりにして、また後で時間がありましたら、ご発言いただきたいと思います。それでは長島構成員、どうぞ。
【長島構成員】はい、日本医師会の長島でございます。2点質問させていただきます。
 一つが資料2-2の公益性に関連することですが、実際には、この公益性を判断するのが現況の審査の場になると思います。特に今後はデータベースの連結及び仮名化情報の提供ということになると、公益性と個人特定性というのが大きな課題になるかと思います。その際に、一つは、将来的にはこの審査の仕組みを一元化していくということが望ましいと思いますが、いきなりは難しいので、まずは公益性などを審査する基準の一元化、共通化というのがなされる必要があるのではないかと思いますが、そのあたりはどうお考えなのか。
 それから、審査の仕組みの一元化ということで既に検討が始まっておりますけれども、いきなりの一元化は無理ということで、例えば模擬審査などを行うというようなことが始まってますが、そのような模擬の審査、あるいは実際の提供の申請だったら、一つ一つの審査をだんだん積み重ねていって、そこである程度知見がたまったところで、順々に一つにまとめていくという方向性でないと難しいのではないかと思うのですが、そのあたりはどのようなお考えなのかということです。
 2つ目ですけれども、参考資料の3で、医学研究の倫理審査に伴う審査体制という資料が提供されておりますが、ここのところで、日本の現在の倫理審査の体制を今後どうするかというのを考える場所は、本ワーキンググループなのでしょうか。あるいは他のところ、あるいはそこと連動してやるというようなことなのでしょうか。
 以上2点、教えてください。
【森田主査】どうぞ、回答をお願いいたします。
【医政局企画官】はい、事務局でございます。ご質問ありがとうございます。まず公益性の判断、その審査委員会の一元化というところでございます。今ご指摘いただいたとおり、いきなり全てを一元化するというのは、なかなか難しいところがございます。今は各データベースの審査に当たっても、利用提供のガイドラインというのはそれぞれ定められておりますので、こうしたものも今は、実はそれぞれ定められていて、内容も微妙に書き方が違っていたりしているのが実際でございますので、こうしたガイドラインも、統一化をしていくというところもやっていかなければならないというふうに思っておりますので、いきなり一元化というよりかは、やりやすそうなものから始めていくと。
 また、がんとか難病とか、それぞれ特有の事情があるものもありますので、そういったものは、それぞれ、どこまでできるかというのも考えながらやっていくという形になろうかと思っております。
 それから、参考資料3の倫理審査のところでございますけれども、日本の倫理審査委員会の在り方など、そういうものをどう考えるかという。それはこのワーキングの場なのかということですけれども、倫理審査委員会の在り方自体を、このワーキングでご議論いただくということではないというふうに思っております。それはまた厚生労働省の別の担当部署とも相談しながら、また別のところでやっていく必要があるというふうに思っております。
 なお、この後の資料3のところでも論点に書かせていただいておりますが、このデータベースを利用した研究の中で、一元的な審査体制をつくっていくと。そうした中で、この倫理、社会面も含めて審査を行うという時に、今までやっていたような各研究機関ですとか大学等での倫理審査を不要にすることは、一定できるのではないかというところは、このワーキングとしても方向性としてまとめていただければというふうに思っておりますので、その辺は、この後でもご意見を頂ければというふうに思っているところでございます。
 以上です。
【森田主査】それでは石井構成員、このセッション最後になりますけれども、よろしくお願いします。
【石井構成員】はい、質問の機会を頂きまして、ありがとうございます。
 先ほどの長島委員のご指摘に関係するところになります。資料2-2の最初のページに、公益性についておまとめいただいていたページがあったかと思います。公益性の解釈を考えると、実際に審査を行う上で、それが個別のケースで判断にぶれが生じそうな、非常に難しい論点だというように感じております。
 例えばですが、個人情報保護法の学術研究目的での個人情報の取り扱い、これはまさに公益目的による取り扱いだと認識しておりますが、解釈上、大学等の学術研究機関等と、民間企業、私立病院などが、学術研究目的の研究を共同で行う場合の個人情報の取り扱いに関する留意点として、共同研究を行うとしても、営利事業への転用にその目的が置かれているなど、必ずしも学術研究目的とはみなされない場合には、あらかじめ本人の同意が必要という解釈が示されていたりします。公益目的と言っても、どこかで商用利用に転用する段階があるのではないかというのが、情報の取り扱いの難しい点ではないかと思っています。
 医薬品や医療機器の開発の分野は、特にそういう情報の使い方になるものではないかと思っておりまして、公益性の評価を利用申請の段階で行い、その後、商用転用をしていく時に、公益性をどのように見ていくのか。やはり、公益性があるのかないのかの評価のところで、論点になり得るのではないかと思いました。
 解釈は、いずれにしても、できるだけ明確に示していく必要があると思います。審査基準の統一化のご意見等あったところだと思いますが、少しブレークダウンした議論が必要になってくるかと思いました。これが1点目です。
 2点目は、統計解析ツールのところで、Visiting環境のご説明を頂いたスライドについてです。資料2-3の1ページ目になると思いますが、「Visiting環境上で統計解析ツールが格納されており、利用者はツールを利用してデータ分析を行うことができる」と記載されているところについて、利用者からこういう統計解析ツールを使いたいんだということで、持ち込みの余地があるのかないのかということ。それから、持ち込みの希望があった時に、統計解析ツールのリスク評価を行うような仕組みが想定し得るのかどうかについて、ご検討状況をお聞かせいただければと思います。
 よろしくお願いします。
【医政局企画官】ご質問ありがとうございます。1点目は公益性のところでございます。ご指摘のとおり、審査基準を明確にしていく必要があるだろうと思っております。現在のNDBの運用ということで言いますと、利用申請の段階から、明らかに特定の商品や、役務の広告・宣伝を目的にしているようなものは、認めていないということであります。ただし、研究の結果としての成果物について、これを例えば自社の紹介に使っていくというようなことは、実際、今もされているところであります。
 ですので、利用申請の段階から、マーケティング目的というものは認めていない段階でありますが、その成果物については一定の利用がされているというところが、現状ではあるというところでございます。
 それから2つ目の解析ツールのこと、もしよろしければ、葛西参与から少し補足を頂けるとありがたいのですが、いかがでしょうか。
【森田主査】葛西参与、お願いいたします。
【葛西参与】もう一度、途中で聞き逃したので、ご質問いただけますでしょうか。
【石井構成員】はい、よろしいでしょうか、石井ですけれど。
【葛西参与】はい。
【石井構成員】ありがとうございます。統計解析ツールというのが、Visiting解析環境で用意されたものを使ってくださいという前提の仕組みかなという理解でおりますが、利用者のほうで、こういう解析ツールを使いたいというふうに申し出てくる場合があるんじゃないかと思いまして。持ち込んできた統計解析ツールのリスク評価を行ったりですとか、どういう余地があるのか。どういうふうに統計解析ツールを使っていくのかというところに関わりますが、持ち込みができるのかどうかとか、持ち込んだ時のリスク評価ができる、そういう仕組みも考えられるのか。ということについて、教えてください。
【葛西参与】はい、ちょっと正確にお答えしたかったので、もう一度お伺いしたんですが、現状のHICのほうは、持ち込みのツールはできない。もちろん技術的にはできるんですけれども、できないようになっています。全ゲノムのほうに関して言うと、まだこれから研究中なんですけれども、エアロックセキュリティという、どういうことかというと、持ち込む際にそのツールに問題がないかとか、そういったものをチェックして、かつ、それが本当に必要なツールなのかを審査して持ち込むという、そういう技術があります。
 それは、この資料の後に付いているイギリスなどは、それを使ってるんですけれども、そういったエアロックセキュリティを入れることによって、少し研究者の、先ほど井元先生が、もう少し緩いという発言をされてましたけど、いろいろなツールを持ち込めないとゲノム解析なんかはできない部分がありますので、そこに対応できるかということは研究をしておりまして。
 一方でNDBのような疫学の場合ですと、いろんなツールを使いたいという要望があまりなくて。それは、やっぱり研究ごとにおおむねこのツールがあればいいですっていう場合は、やたらとインストールさせるということは、ちょっと考えにくいかなと思いますが、そういう現状でございます。
 ただ、そういった観点も今回のワーキングで、例えばご要望であったり、もしくはこういうルールを決めるべきだっていうご意見があるようであれば、頂ければ、当然そのHICを使いましょうとか、全ゲノムのものを必ず使いましょうと言ってるわけではないですし、そちらも運用のルールを変えられますので、現状はそういった状況でございます。
【石井構成員】ありがとうございました。よく分かりました。
【森田主査】ありがとうございました。少し時間が押しておりますので、それでは、この議題はこれくらいにいたしまして、次、議題の3に入りたいと思います。これは本ワーキンググループのメインの検討事項となりますので、前回に引き続きまして、ご議論していただきたいと思います。まずは事務局から資料3の説明をお願いいたします。
【医政局企画官】はい、事務局でございます。資料3をお願いいたします。この資料3は、前回のワーキンググループとほぼ同じ資料でございます。前回お出しをして、いくつかご意見を頂いたところでございますが、まだご意見を頂けなかった項目、またはその深掘りが必要な項目もあるかと思いますので、今一度ご議論を賜れればというふうに思っております。
 まず1ページ目の基本的な考え方でございます。①~④の4点を大きく挙げさせていただいておりました。④のところでは、国のガバナンス体制の構築というのが非常に重要だというご意見を頂いたところでございます。全体的にこの基本的な考え方については、おおむね前回お認めいただいたのではないかなと思っておりますが、もし追加でご指摘・ご意見などがあれば、お願いしたいと思います。
 それから2ページ目でございます。公的データベースで仮名化情報を利用・提供していく場合の論点ということでございます。(1)の利用場面・利用目的のところ、これは今もいくつかご意見・ご指摘ありましたが、「相当の公益性がある場合」というところの現状を、お示しをさせていただきました。その現状も踏まえまして、この仮名化情報を利用する場合の公益性についてもどう考えるかということでございます。
 今、匿名化情報の利用・提供で認めている公益性の範囲、これを、仮名化情報になった時も同様にしっかりと審査をして、審査委員会のほうで判断をしていただくということが必要ではないかというふうに考えておりますが、この辺についてもご意見があれば頂きたいというふうに思います。
 (2)の本人関与の機会の確保への配慮というところでございます。現在、各公的データベースにつきましては、データ取得時については、患者の同意を得ていないデータベースがほとんどでございます。これを仮名化情報で提供していく場合も、改めて同意を取得するということもなかなか現実的ではないというふうに思っております。
 個人情報保護法では、行政機関の長が保有する個人情報については、利用目的の範囲またはその法に基づく場合には、必ずしも同意を前提とせずとも第三者への提供が可能とされておりますので、本人の同意取得を前提とせず、仮名化情報を第三者提供していくということが基本的な方向かなというふうに考えておりますが、その場合にも本人への利用目的とか利用方法の明示など、本人の何らか適切な関与の機会に配慮するといったことについて、どう考えるかという点にご意見を頂ければというふうに思っております。
 (3)の保護措置でございます。前回のワーキングで資料としてお示しをいたしましたが、現在の公的データベースについては、照合の禁止ですとか、データ消去の義務、または各種安全管理措置などを細かく定めているところでございます。
 仮名化情報を扱う時にも、この公的データベースの悉皆性というところが、まず重要だというところ。または、その利用者の迅速かつ簡便な利用というのも促していかないといけないというところも踏まえて、どのような保護措置を設けることが適切かと。先ほどもご議論ありましたが、仮名化情報の場合、Visiting環境での利用を原則とするということで、ローデータを相手に渡さない、ダウンロードをさせないというような仕様にするということも可能でありますので、こういった形で保護措置を設ける。または審査体制を一元化する中で、共通の基準でもって審査をするというところで保護を図っていくということも考えられると思いますが、この点についてもご意見を頂ければというふうに思っております。
 次は3ページでございます。(4)医療現場・患者・国民の理解促進というところで、前回もこの点については具体的なご意見を頂いたところでありますが、さらにもしご意見があれば頂きたいと思います。
 (5)の仮名化情報の連結、(6)の研究者や企業等の公正かつ適切な利用環境の整備というところは、前回明示的なご意見がなかったところでありますので、今回ご意見を頂ければ幸いであります。
 それから4ページ目をお願いします。情報連携基盤の整備の方向性に係る論点というところでございます。(1)の取扱う情報範囲ということで、基本的に今申し上げた、クラウドでのVisiting環境を情報連携基盤としてつくっていきたいというところでございます。その中で、公的データベースだけではなくて、一定の要件を満たす民間のデータベースも解析可能、扱えるようにしてはどうかというふうに考えておりますが、この方向性についてもご意見を頂ければというふうに考えております。
 それから、(3)のその他というところでございます。これについて、前回のワーキングで明示的にご意見がなかったところでございます。元々書いていましたのは、この情報連携基盤においては、どのようなデータベースが利用可能かという、その一覧を公表する、可視化するという機能を持たせてはどうかというところが一点。
 もう一点は、簡易なデータの集計や分析にできるようなダッシュボード機能を、この情報連携基盤では備えてはどうかという論点でございます。これについてもご意見を頂ければ幸いでございます。
 説明は以上でございます。
【森田主査】ありがとうございました。それでは、ただ今のご説明につきまして、意見・コメント、お願いいたします。たくさんあろうかと思いますので、先ほどのような形で、まとめて回答をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。ございませんか。はい、PMDAの山口構成員。
【山口(光)構成員】山口です。ご説明ありがとうございます。3ページの(5)、仮名化情報の連結については、ハッシュ値同士で連結していくと思われます。全てのデータが同じ場所に保管されていればや可能であると思うのですが、違う場所に保管されているのでどうやってやるのかなって思いました。理論的にはできそうだけど、本当にできるのかっていうのを今一度整理したほうがいいかなと思いました。
 連結に際し、外部データベースから解析対象の100人分のデータを持ってくる際、その100人のデータをどのように抽出し、どうやって持ってくるのかがイメージつかなかったので、一回整理したほうがいいのではないかと思いました。外部データベースにある対象データと合わせるデータをどのように選んで持ってくるのかっていうのは、本当にできるかなと思いました。
【森田主査】ありがとうございます。それから、言い忘れましたけれども、この論点のかっこのいくつというのを、最初に言っていただいてきたいと思います。
【山口(光)構成員】すいません。
【森田主査】いえ、今おっしゃいましたので大丈夫でけども。でないと、混乱すると思いますが。関連していかがでしょうか。高倉構成員、関連してでございますね、どうぞ。
【高倉構成員】すいません、関連してないんで、後に回してください。
【森田主査】そうですか。それでは、よろしいですか。では、回答いただけますか。
【長島構成員】長島すいません、関連してお願いします、長島です。
【森田主査】分かりました、どうぞ、長島構成員。
【長島構成員】(5)の仮名化情報の連結に関しては、一つは、少し具体的なユースケースで、これとこれを結び付けることで、このように役に立つのではないかというのを、少し示していただくということが、具体的なイメージが湧くかと思います。
 それから一方、先ほど申しましたが、連結する場合に公益性と個人特定性へのリスクというのは、やはり、そこのガイドラインというのをきちんと整備していくという必要がある。つまり審査体制が最も重要になるので、これに関してどのように審査を整備していくのかというところ。これが重要だと思っています。
 以上です。
【森田主査】ありがとうございました。今のご意見、コメントも踏まえまして、それでは、他に特に関連してご発言がなければ、事務局のほうから回答をお願いできますか。
【医政局企画官】はい、事務局でございます。仮名化情報同士の連結について、具体的なユースケースはまた別途お示しをしたいと思いますけれども、今回で言いますと資料の2-1のところで、匿名化情報と仮名化情報の違い、また、あと匿名化での研究でどこまでできているかというところを、お出しをさせていただきました。
 その中でも、レセプトデータの研究だけでは一定の限界があって、特に臨床データとぶつけることで、できることが指摘をされていたところであります。ですので、仮名化の臨床情報、検査値など、アウトカム情報の入ったデータとレセプトデータ。こちらも仮名化のレセプトデータをぶつけるということで、より研究利用の価値が高まるのではないかというふうに考えておりますが、具体的なところは、また少し検討してお示しさせていただきたいというふうに思います。
 もう一つ、山口先生がおっしゃった、実際の連携をどうするのかというのは、技術的なところもあると思いますので、もう少し整理をさせていただきたいというふうに思います。
【森田主査】よろしいですか。
【山口(光)構成員】ユースケースとして整理したほうがいいと思います。同じデータベースのデータであれば、連携って考えやすいと思いますが、管理者が異なるデータベースのデータ連携になるため、うまくできるのかなって気になりました。次回、ユースケースを示していただいて、説明いただけると助かります。よろしくお願いいたします。
【森田主査】それでは他のテーマでということで、高倉構成員、どうぞ。
【高倉構成員】よろしいですか。すいません、高倉です。私のほうは、5ページのVisiting環境のセキュリティに関して、資料3のほうですが。参考資料ですね、ごめんなさい。資料3のほうです。
【森田主査】すいません、何ページですか。
【高倉構成員】すいません、4です。
【森田主査】4ページですね、はい、分かりました、どうぞ。
【高倉構成員】Visitingに関しては、先ほどの資料2-3に関連するので、ちょっとお尋ねしたいんですが、Visiting環境にあるデータは持ち出せないっていうご説明を、私は受けた記憶があるんですが、一方で、今日データを持ち出したいというご発言もあったように、ちょっと記憶してます。それはどちらが正しいのかっていうのがまず一点。
 それから、もう一個なんですけども、データそのものはVDI環境だから、画面に表示されるから大丈夫という言い方をされてるんですが、データはどのようなものが表示されるのか。仮名化されてるデータそのものであれば、私自身が既にやってますけども、画像で出てるデータをAIに読み取らせて文字化して分析に回すとか、普通にやってます。医療のほうじゃなくて、サイバーセキュリティのほうでやってますので、Visiting環境でデータが表示されているだけから大丈夫っていう説明は、非常に危険な言い方をしてるなっていうふうに印象を持ちました。
 もちろん、これを技術で守ることは不可能ですし、あまりがちがちにルールを決めてしまうと、他の委員の方々が心配されてるように、使えないシステムになってしまいますので、そのバランスをどうするのかっていうのが非常に気になりました。
 以上です。
【森田主査】ありがとうございました。この点について関連して。中島構成員から手が挙がっておりますけど、関連したテーマでしょうか、お話でしょうか。
【中島構成員】関連しないため、後でまたお話しします。
【森田主査】はい。今の高倉構成員のテーマに関連して、ございませんか。それでは、お願いします。
【医政局企画官】事務局でございます。Visiting環境の説明の中で、データを持ち出さないように、相手に渡さないように、ダウンロードできないようにすることもできるということで、ご説明をさせていただきました。
 技術上、そういうふうに、渡さないようにできるということでありまして、あとは政策上、本当に完全に渡さないようにする。それだけにするのか、一部の場合については渡してあげるということも可能にするのかというところは、政策論として決めていくということだろうというふうに思っております。
 技術論のこの表示、どのようなものが表示されるのか。それが表示されるだけだから大丈夫だという説明はちょっと違うというところで、もし葛西参与から補足が何かあれば、お願いをしたいと思います。
【葛西参与】まず、当然、高倉先生はご存じだとは思うんですけど、いわゆるVDIで画面に表示されてるだけから安全だという、そういう認識は多分持っていないと思います。どちらかというと、もちろん当たり前なんですけど、そこで写真撮られたら、もうそもそも駄目じゃないかとか、そういう話はかねてから結構議論がありまして。まず、当然利用者が限定されることであったり、あと、当然顕名のデータがそこに出ているなんてことは、これはあり得ないという、まずデータの加工としてのセキュリティが保たれてるかというのは、これは一定必要だと思っています。
 それ以外に、例えば公的な場ですね。HICは、先日もご説明があったかもしれないですけど、公的な場で、例えばどこかの喫茶店とか、そういうところでされるのは駄目ですということがあったりとか。全ゲノムの場合は必要に応じてGPSで、どこでこれを使っているのかまで見たほうがいいのかという議論は、今、行われてまして、やはりまだ技術的に検討するルール。実際には扱うデータのリスクに対して、どのぐらいのセキュリティを保つかという考えが妥当なんだと思いまして。そちらは、最後、高倉先生がおっしゃった意見と同じような話で、省内でも検討しているというところだと思います。
 以上です。
【森田主査】ありがとうございました。高倉構成員、さらに、よろしいですか。
【高倉構成員】大丈夫です。ありがとうございました。
【森田主査】では、お待たせいたしました、中島構成員、お願いいたします。
【中島構成員】はい、よろしくお願いします。資料3の5ページ、最後のページです。医療DXの推進に関する論点ですが、この全国医療情報プラットフォームというのは、現在、政府の医療DX推進本部が強力に進めているもので、データ一次利用の仕組みなのですが、2030年度ぐらいまでに進められる予定です。今回の診療報酬改定でも、医療DX推進体制整備加算という名の、新しい診療報酬を創設するほど推進していますけども、これが実際に始まるとなると、質が高いデータがたまってくることになると思います。これは一次利用としての仕組みではあるにしても、二次利用としてどのように使うかということも想定して検討を今のうちから始めるべきだろうと思います。
 例えば、これはレセプトデータだけではなく、構造化データだけではありますが電子カルテのデータとして有用であり、地域連携をする時、あるいは患者さんにデータを渡す時、あるいはこれを、将来的には介護情報とも連携できるようにすると決まってますので、それらの二次利用について、ぜひ検討を進めていただければと思います。
 以上です。
【森田主査】ありがとうございました。ご意見ということで承っておきたいと思います。それでは、他にいかがでしょうか。じゃあ、山口育子構成員。
【山口(育)構成員】はい、2ページの(2)の、本人関与の機会の確保への配慮ということですけれども。これについてずっと考えていたんですが、そもそも国民の多くが、公的データベースとは何かということについて、イメージできる人が多いとは思えないのです。参考資料2にいろんな公的データベースが書かれていて、この中に、データ取得時の本人の同意を取得してないものが挙げられています。
 今回、3ページの(4)の、医療現場・患者・国民の理解や利活用の促進という項目と併せて、まず改めて公的データベースとは何かということと、データ取得時に同意を得ていない、それはどうしてなのか。そして仮名化情報を第三者提供するということについては、改めて同意を得るというのも非現実的なんだと。その上で、そういった仮名化情報の説明もまた難しいとは思うんですけど、本人が特定できないようにした上で第三者に提供するということを、国民が身近に考えられるユースケースを複数出して、それを改めて、こういったことに使っていくんですよと公表するというか、周知していくというようなことで、これを解決していくということができるのではないかなと思いました。
 もう、一から始めようぐらいの状況で知らせないといけないのではないでしょうか。そうすることで、理解につなげていくっていうことが必要だと思いました。
 以上です。
【森田主査】ありがとうございます。ご意見として承っておきます。それでは他に、長島構成員、どうぞ。
【長島構成員】はい。まず5ページの、先ほどの全国医療情報プラットフォームに関しては、やはり標準型もしくは標準仕様の電子カルテをしっかりと提供して、それを使えば、まずは一次利用で標準的な情報が作成できると。これをしっかり確保すれば、当然それは二次利用に十分使える、簡単に移行できるということになるので、ここのところを、まず出力のところをしっかり標準化するということが重要だと思っています。
 別の点です。4ページ、(3)その他で、公的データベースで利用可能な情報の一覧を公表すると。これは非常に重要かと思いますが、その際には、やはり連結が非常に前提となるので、これとこれを連結する場合に、どのように役に立つのかというのが分かるような見せ方が重要かと。そういう意味で特に、NDB、介護データベースなんかに含まれていないような、例えば検査値とかアウトカムというのは、それぞれのデータベースでどのような形で利用可能なのかというようなことは、さっき言ったユースケースなんかとも絡ませて提供していただくということが重要だと思います。
 以上です。
【森田主査】ありがとうございます。今のもご意見だと思います。それでは、清水構成員から手が挙がっているようです、どうぞ。
【清水構成員】はい、清水です、ありがとうございます。別の観点ですけど、よろしいでしょうか。
【森田主査】はい、どうぞ。
【清水構成員】はい。今のこの出ているページです。②の1のところと3のところに関してなんですけれども、民間のデータベースについても連結・解析可能とすることについて、どう考えるか。これは、私どもが提案させていただいた内容かとも思うんですけれども、民間のデータベースを基盤上で解析可能とするというのは、論理的には可能だと思うんですけども、「連結」となると技術的にも、いろんな意味で課題が出てくるかなと思ってまして、ここでどのような意味で言ってるのか。
 民間のデータベースっていろいろありますけれども、私、技術班のほうでもちょっとお話しさせていただきましたが、民間のデータベースは総じて使い勝手も非常にいいですし、実際によく使われています。ですけれども、公的なものとはいろんな意味での背景も違いますし。そういうものを情報連携基盤上で解析可能とするということ、この文言自体はとてもいい方向だとは思うんですけれども、技術的な課題であったり、ここで論じるべき課題も増えてくると思うので、そのあたりは、あまり安易にこういう話をできないかなというふうに思ったので。私自身が言い出しっぺだと思うんですけれども、ちょっと気になったのでコメントさせていただきました。
 この3番の「その他」のところにある、それぞれのデータベースから実際にどんなことが分かるのかをリスト化するっていうことはとっても大事だと思います。一方で、いろんなデータベースがあって、こういう項目が分かるよってことは、もちろん最低限の情報として必要なんですけれども、このリストがあって、それら複数のデータベースが患者IDで連結されたからといって、簡単に解析できるわけではないっていう現実がありまして。
 その辺も含めて、こんなデータベースがあるよっていうリスト化することと、そういう解析が進むっていうこととは、かなりギャップがあると思うので、技術班のほうでも検討課題になってますけれども、やはりマスターを統一するとか、そういうようなことも全部含めてやっていかないといけないかと思います。民間のデータベースも含めていろいろなデータベースを連結して使えるようにする、という方向性はとてもいいと思うんですけども、そこにはいろんな技術的な課題や難しい問題も絡んでくるので、前向きに検討しつつ、その辺の考慮をしていければなというふうに思っています。
 以上コメントです。ありがとうございました。
【森田主査】貴重なコメントありがとうございました。それでは、他にいかがでしょうか。はい、もう一度、PMDAの山口構成員。
【山口(光)構成員】資料3の5ページの③、プラットフォームについてコメントです。先ほど来、何回かあがっていますが、二次利用を可能とすることについては、もちろん賛成です。その上で、清水構成員からもあげられましたが、電子カルテ内のデータ収集については、一次利用で正確になると思いますが、二次利用のデータベースについては標準化及び正確なデータ収集をしながらデータベースを作り上げるというところが肝になると思います。
 プラットフォームの構想については賛成ですが、標準化及び正確なデータ収集を考えて進めていくことが重要かなと思います。標準化については、一次利用の段階から標準コードを入れていくかということが鍵になると思います。この検討会か技術検討会なのか分かりませんけども、検討したほうがいいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【森田主査】ありがとうございました。それでは、松田構成員から手が挙がっているようですし、その後でまた長島構成員、お願いいたします。どうぞ、松田構成員。
【松田構成員】今の清水構成員のお話に関係するんですけれども、僕も民間のデータベースにつなぐっていうのは、多分、次の段階だろうと思います。
 まず、ひも付けをどうするかというところで、格段に個人が特定される可能性が高まってきてしまうと思いますので。あと、各種のマスターについて、民間データベースの場合にはいろいろと知的財産が発生する場合もありますので、なかなかそれもクリアするのが難しいと思います。
 まずは、これだけたくさんある公的なデータベースをきちんとつないで、何ができるのか。そこを整理した上で、次の段階で民間のデータベースとつなぐことも考えるという、そういう2段階でいったほうがいいのではないかなと思いました。
 以上です。
【森田主査】ありがとうございます。では長島構成員、どうぞ。
【長島構成員】はい。3ページの(6)、研究者や企業等の環境整備の、業界の自主的な取り組みに関しては、やはり相当な公益性をどうやって担保するのかということで、得られた結果の特に商用利用などについては、このような形でそういうものができないように対応しますというような、業界の指針なりガイドラインというのをしっかり決めていただくということが重要だと思います。
 以上です。
【森田主査】ありがとうございます。それでは、他にいかがでしょうか。まだ全然触れられてない論点というのは、今の(6)でなくなったのでしょうか。事務局、確認をしていただきたいと思いますが。前回も含めて言いますと、かなりのところについて一応、ご発言があったと理解しておりますけれども、3ページあたりで、大丈夫でしょうか。
【医政局企画官】はい、今ので一通りは触れていただいたかなと思っておりますが、さらに深掘りする点など、追加の意見などあれば頂きたいと思います。
【森田主査】ということでございますが、他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。日置構成員、どうぞ。
【日置構成員】はい、ありがとうございます。今、映していただいているページの(5)と、(6)も関連するのですが、プライバシーであるとか、再識別リスクを考えた時には、どのような来歴で入ってくるデータなのかというところが、一つポイントにはなりますので。先ほどちょっとご確認させていただいた、IDの共有範囲であるとか加工方法というのは、個別に頂けるということなので、それも踏まえてですが、再識別リスクというのを考える時に連結をどうするのか。ルールをどうするのかというのは、一つ考えなきゃいけないところかと思います。
 あとは、誰がデータオーナーなのかというところと、どんな義務があるのかというところは、やはり考えていかなきゃいけないもう一つのところかと思います。例えば公的データベースの各法で対応しているところは、各法令に基づく義務が誰にかかっていて、その義務の内容はどうなのかっていうところ。で、そこに連結するデータが入ってきた時には、また別の法令のほうも、相手方のデータオーナーが、もし、いたとしたら、そことそこで両方面から、両義務をどう課されているのかと、どう対応すれば適切に対応できるのかというのを見なければいけないので、そのあたりはちょっと気にしなきゃいけないとは思いますというのと。
 そうなってきた時に、(6)もそうなんですけど、義務が複雑化したりとか、責任が曖昧になったりするっていうところが、一つ問題として生じ得るのかなと思いますので、今後、深掘りしていく際には、そういった観点も踏まえた上で、ご検討いただくのがよろしいのかなと思っております。
 以上でございます。
【森田主査】ありがとうございます。その辺も事務局のほうでテイクノートしといていただきたいと思います。それでは、他によろしいでしょうか。ご発言のない方は、よろしいですか。ならば、僭越ですが、私もコメントを述べさせていただきます。
【事務局】すいません、落合先生が手を挙げていらっしゃいます。
【森田主査】あれ、落合先生……
【落合構成員】森田先生の後でお願いします、そうしましたら。
【森田主査】いえいえ、ご欠席のリストに上がってるものですから、失礼いたしました。では、どうぞ。
【落合構成員】すいません、ちょっと通信環境の関係でアクセスできない可能性がありましたので、それで欠席の見込みということでお伝えしておりましたが、接続ができそうでしたので、コメントをさせていただければと思います。
【森田主査】よろしくお願いします。
【落合構成員】まず、何点か、時間がありそうなので、それぞれの項目についてコメントさせていただきます。
①の(1)についてですが、2ページです。こちらのほうにつきましては、一つ可能性として考えておかないといけないこととしては、やはり海外への移転の可能性というものについても、明示的に事前に議論しておくことが必要ではないかと思っております。独立行政法人などの持たれてるデータベースなどの関係で、やはり海外も含めて広範に展開をしないと、適切な医薬品開発につながらない場合もあるということで、越境移転について、かなり喧々諤々と整理をしたこともありました。もちろん、個人情報の保護や、また、場合によっては安全保障の観点もあり得るかもしれませんが、こういった点で考慮をしつつ、明示的に議論を進めていくことが必要ではないかと思います。
 2点目は、①の(2)についてです。この部分について、同意を取得しているかどうかということで、法令に基づくような場合などで、元々十分に同意が取られていないこともあると思います。なかなかこのような形で、情報の連携自体は法令上、進めていく整理ができるかなと思う一方で、規律が全体として緩くなるという形ですと、やはり様々な、患者の方々や、場合によっては海外などから見た場合も含めて、理解を得にくい場合もあるかとは思います。出口規制ということで前回までも議論されてたかと思いますし、(3)以降で保護措置の許可ということも議論されているかと思いますので、監督体制の強化も含めて十分議論をして進めていくということが必要かと思います。場合によっては、法整備も含めて考え、体制の強化という意味も含めて考えておくことは、重要ではないかと思っております。
 3点目としては、①の(5)についてです。こちらは、仮名化のほうでコメントですが、「連結により本人の照合につながるリスク」とありますが、恐らくこれは連結しなくても容易照合の可能性は、仮名化ですので元々あり得るのかとは思います。もちろん、そのリスクが高まるという意味とは思いますが、概念的に気付いたところをコメントさせていただきました。
 4点目としまして、①の(6)で、業界の協力ということです。ただ、この部分も、単純に業界に協力をしてください、自主規制を何となく作ってくださいということでもなく、やはり制度などを整備していく中で、その根拠になるような基本的な部分や、民間側への授権関係に関わるような内容は、整備をしておいたほうがいいとも思っております。その上で、マルチステークホルダーで議論をしながら業界ルールを形成することも、全体として適切なガバナンスがかかるような形で、議論を進めていくことが重要ではないかと思います。
 いろいろ申し上げて恐縮ですが、次に、②の(1)についてです。こちらは、公的データベースの用語の使い方によるかと思いますが、この公的データベースとして指されているものが、厚労大臣が持たれてるデータベースだけなのかどうかがあると思っております。これまで民間も含めてという議論もありますが、他省庁であったりですとか、独立行政法人などが持たれているような場合というのが、ここのこの書きぶりで含まれているのかどうかがあるようには思います。その点について、含まれていないようであれば、民間もということもあると思いますが、その他のいわゆる公的という定義が厚労省のみだとするのであれば、その他の公的というか準公的な性質を持つものについても、議論をしていくことが必要ではないかと思います。
 続きまして、(2)の①についてです。Visiting環境についてですが、やはり持ち込みの部分というのが重要ではないかと思われます。先ほどまでも議論されておりましたが、例えばコンテナなどの中に解析ツールの、その当時コンテナが作られていた時の相応するバージョンの例えば分析ツールを持ち込んだほうが、正確な結果が再現されるような場合などもあり得るかと思います。ここの部分については、例えば同じソフトウエアをこちらのVisiting環境上のほうで準備していたとしても、解析の手法とかデータの対象にもよるとは思いますが、さらに解析の正確性のために持ち込みをしたほうがいいというような場合もあり得るかとは思います。
 そういう場合も含めて考えますと、データの内容も踏まえてリスク分析をという話もございましたが、例えばコンテナ内だけで作動するようにしてるような場合だとか、実際に、取り扱いデータについて具体的なリスクがどうなっているのかも踏まえて、審査において議論されることが重要ではないかと思います。
 また2の(2)の②ですが、倫理審査委員会について、前の会議体の時にも議論されていたとは思いましたが、医療情報の利用、保護については、少なくとも専門性を持つということは、行っていただいたほうが宜しいかと思います。その他の医学的な視点や、純粋な倫理的な視点をどこまで持てるのかは、そこは議論があり得るかと思いますが、可能であれば、できる限りワンストップになるような形のほうが、データを利用しようとする方にとっては使いやすい環境なのであろうとは思います。
 ただ、全ての専門性を持ってくださいというふうに言いますと、そんなことできる人選はできないとなるかもしれませんので、どこまで医療情報以外を考えるかはあろうかと思いますが、可能な範囲でワンストップを目指していくことが重要ではないかと思います。そちらの倫理審査委員会で議論したことは、個別の倫理審査、医療情報等の項目については、少なくても、審査を省略できるようにしておくことが必要ではないかと思います。
 最後ですが、5ページの点ですが、やはり一次医療を最優先で、電子カルテについては考えていくことが大事かと思います。一方で、この一次利用側の整備と併せて、二次利用につながる情報連携基盤におけるアーキテクチャーの整理を進めていくことは、極めて重要ではないかと思います。
 この際に電子カルテの標準化が非常に重要でありまして、規制改革推進会議でも意見書の中で、ベンダー側の供出データの義務化の点についても議論していたところありました。長島先生も先ほど、情報の吐き出しのところで標準化、重要ではないかというお話をされておりまして、全くもって、そういった取り組みが進むことが重要ではないかと思いました。
 海外で移動中のため画面オフで、うるさかったかもしれませんが、私のほうからは以上でございます。
【森田主査】遠方からありがとうございました。いずれも重要なご指摘だというふうにいます。私も一言だけコメントというか、解説をさせていただきますと、私もだいぶ前、10年ぐらい前まで研究者をやっておりまして、研究というのはどういうものかということについて、それなりに考えてきたつもりでございます。
 医学系、自然科学系の研究をされる方と違うかもしれませんけれども、やはり研究といいますのは、いろいろな情報を集めてきて、それを結び付けることによって、新しい知見を生み出すというものだと思います。医学の場合ももちろん、病気を治す、今まで治らなかった病気が治るということもありますし、そのための新しいお薬を発見するとか、あるいは今まで全く気が付かなかったリスクを発見するとか。このような知見を見出すことが、われわれの将来の医療といいましょうか、人類にとってもすごく価値があると思っておりまして、二次利用というのは、そのためにデータをどういうふうに利用するかということを、まず考える必要があるのではないかと思っております。
 その場合に、どういうデータをどういうふうに結び付けるか、結合していいかとか、加工の形態というご議論がございましたけれども、例えばですけれども、資料2-1の3ページで、匿名化情報についての利活用のところですが、上から3番目の、歯の本数と糖尿病の関係と書いてありますけれども、これはNDBデータだとどうしても限界があるということで、その後、真ん中から、健康行動、教育レベル、世帯収入、糖尿病の家族歴、あるいは糖尿病のサブタイプ等が明らかでなかったということですが、教育レベル、世帯収入、家族歴も、これらを一つの資料として結合することによって、糖尿病の発生の確率であるとか。逆に言いますと、それを予防するための知見というものが得られるとしますと、こういう研究はどういうふうに考えたらいいんでしょうか。ということについて、ここを見ていて、また、後のお話を聞いていて、感じたところです。
 あくまでも、データ利用をきちんと管理するために、こういう研究はすべきでないか、あるいは、みんな同意を取れという話なのか。あるいは可能な限りセキュリティを高めた上で、こういう研究もチャレンジすべきというふうに考えるのか。どちらかというわけではありませんけれども、一つの例として今こういうケースが考えられるし、井元先生がおっしゃったところとつながってくると思いますけれども、研究者の観点から言いますと、これはすごく重要なことではないかと思っております。
 そういう観点から見て、この二次利用のための制度をどう考えるかということですけれども、先ほどから出ているところで言いますと、やはり公益性をどうするかという議論があったと思います。これも、ヨーロッパもそうですけれども、基本的に二次利用で、そうした、先ほどもありましたけれども、完全なプライベートなマーケティングに使うとか、保険に使うとか、私的な特定の個人の利益のために使うとか、そういう、明白に公益に反するものは別として、一応と言いましょうか、一定のこうした医学であるとか、国民の健康の増進に結び付くようなものは、広く公益と認めるという考え方もあると思います。
 先ほど石井先生がおっしゃいましたけども、創薬、新しいお薬を、今まで治らなかった病気を治すためとか、そのために開発するということは、これは公益に結び付くわけですけれども、製薬メーカーは当然ですが、そのお薬で利益を上げることを目的にして新薬の開発を行うわけです。利益を上げるというインセンティブがあるからこそ、大きな投資をして研究開発に取り組むわけですので、その間でどういう形で線を引くのか。現実に今、製薬メーカーの間でも起こってると思いますけれども、そういうことも見ながらと言いましょうか、考えながら、この公益性の範囲というのを考えていく必要があるのではないかと思います。
 法律論のほうは、法律のご専門の方がいらっしゃいますので、細かい検討はお任せしたいと思いますけれども、公益性を考える時に一つのキーワードになるのが、個人情報保護法もそうですが、利用目的という概念だと思います。これの粒度とその内容をどういうふうな形で整理をしていくのか。研究目的なら何でもいいという、学術利用の場合、それでいいと広く取るのか、あるいはそこをどう絞り込んでいくのか。それもメインの利用目的と派生的な利用目的と。そういったことについて、もう少しきめ細かく見ていく必要があるのではないかと思っておりまして、事務局のお仕事を増やすようで恐縮ですけれども、ご検討をぜひお願いしたいと思います。
 長々とお話をしてしまいました。だいぶ時間が押してまいりましたが、よろしいでしょうか。
 清水構成員から手が挙がっているようですので、清水先生、お願いいたします。
【清水構成員】どうもありがとうございます。今、森田先生がおっしゃっていた糖尿病の例についてです。
 例えば患者さんの背景情報をたくさん集めるほど研究として価値のあるものになるということは、そのとおりだと思います。一方で当然のことながら、情報を寄せるほど個人が特定できてしまう可能性が高まるというところでのせめぎ合いになるかと思います。
 そのことに関して、資料の別のところに確か書いてあったと思うんですけれども、個人が特定できてしまう可能性についてですが、本当に個人が特定できるのかっていったら、元々その患者さんのことを知ってる人以外は特定しようがない。もちろん、最初から個人を特定しようという目的でそのデータを取得するということは認められていません。
 という中で、実際に個人が特定できてしまう可能性があるから、患者さん本人から全てについて承認を取りましょう、とかって話に今までなりがちだったんですけれども、当初よりその個人を特定しようという目的でない限り、研究の幅を広げるために、いろんな情報を集めていく、そのためにはどうしたらよいのか、そもそもそこから議論が始まるべきではないかと。
 森田先生のおっしゃった例に関しては、できたら今回のこの議論の中で、じゃあ全員から許可を取れば、患者さん本人から許可を取ればいいでしょう、それが難しいならそういう研究は無理です、という話ではなく、そういう研究を可能にするために、どういう規制をかけたらいいか、あるいはどういうような罰則を設けたらいいかっていう形での前向きな議論にできたらいいなというふうに、今、先生の例を聞いて改めて思いましたので、ぜひそういう方向でいければなと思っております。
 最後、コメントでした。
【森田主査】ありがとうございました。それでは落合構成員、どうぞ。
【落合構成員】ありがとうございます。先ほどの座長のお話を伺いまして、それに関するコメントです。
 公益性の捉え方について、座長がおっしゃられた点、非常に重要ではないかと思っております。実際に、公益ということで不相当に絞り過ぎてしまうと、やはり、何度も議論を繰り返してしまうことにもなりかねないと思います。
 また、一点、多分考えていかないといけないこととしましては、ベース・レジストリなどの関係で、個人情報保護委員会とデジタル庁で議論した会議に参加していたこともございました。そこでは、もちろん行政機関側の持っている個人情報の利用目的というのについては、その範囲であれば提供できるし、場合によってその変更ということもあろうかとは思いますが、それが本当にできるのかどうかということで、例えば登記簿情報などについても、かなり個情委とデジタル庁との間で議論になったこともございました。
 そういう意味では、もしかすると単純に目的の解釈であったりですとか、目的変更ということで理由がつけにくいこともあるかとは思います、そういった場合には必要性を、先ほど座長がおっしゃられたような例も踏まえながら考慮しつつ、その部分については、法的手当てをすることも含めて考えていくことが重要ではないかと思いました。利用できるようにするために必要であれば、ということであります。
 ただ、いずれの場合でも、先ほど申し上げましたとおり、個人情報保護の水準であったりですとか、安全保障であったり、必要な観点については手当てをしながら、利用はできるようにしていくということだと思っております。
 以上です。
【森田主査】ありがとうございました。ご発言が続いているうちに、時間がほぼ予定の終了時間になりましたが、もうよろしいでしょうか。
 それでは、ただ今構成員の方からいろいろな意見、あるいはコメント、質問も頂きましたが、それを踏まえまして、これから事務局と相談して、これまでの議論を整理をしていきたいと思っております。
 以上で本日の議論は終了とさせていただきたいと思いますが、最後、よろしいですね。ありがとうございました。
 それでは、進行を事務局のほうにお返しいたしますので、よろしくお願いいたします。
【医政局企画官】はい。事務局でございます。活発なご議論を頂きましてありがとうございました。次回の開催は改めて事務局からご案内をさせていただきます。よろしくお願いいたします。また本日の議事録につきましては、作成し次第、ご発言の構成員の皆さま方にご確認をいただきまして、その後、公開をさせていただきます。
 事務局からは以上になります。
【森田主査】ありがとうございました。それでは最後にもう一つ、余計なことを言わせていただきますと、山口構成員、清水構成員も参加されておりますけれども、このワーキングの下に技術作業班がございまして、そちらのほうではいろいろと、先ほどのデータベースの話もそうですが、技術的なご専門の方の議論が進められておりまして、ここでの議論にとっても大変参考になると思いますので、事務局のほうからご案内があるそうですけれども、サイトのほうから入っていただいて、傍聴していただければ、非常にこの議論が実り多くなると思っております。
 それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。どうも活発な議論をありがとうございました。
一同:ありがとうございました。
―― 了 ――