2024年1月30日 令和5年度第2回中央職業能力開発促進協議会議事録

人材開発統括官付訓練企画室

日時

令和6年1月30日(火) 10:00~

場所

中央合同庁舎第5号館 専用第21会議室

議題

  1. (1)中央職業能力開発促進協議会開催要綱の改正について
  2. (2)令和5年度第1回地域職業能力開発促進協議会における協議状況について
  3. (3)令和6年度全国職業訓練実施計画(案)について
  4. (4)教育訓練給付制度の指定講座拡大について
  5. (5)今後の人材ニーズに関する関係省庁からの報告
  6. (6)その他

議事

○藤村座長 皆さん、おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから「令和5年度第2回中央職業能力開発促進協議会」を開催いたします。構成員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。本日の協議会は対面方式、オンライン形式を組み合わせて開催をいたします。また、傍聴を希望される方々には全て公開としております。冒頭の撮影を御希望の場合、本協議会は人材開発統括官からの開会挨拶までとさせていただきます。
 まずは構成員の交代がありましたので御紹介をさせていただきます。今回から独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構より姫野誠一求職者支援訓練部長に御参加を頂くことになっております。姫野構成員、よろしくお願いいたします。
○姫野構成員 よろしくお願いいたします。
○藤村座長 本日は日暮構成員が11時頃から出席の予定ですが、その他の構成員には御出席を頂いております。なお、岸本人材開発統括官は、公務により途中から退席の予定です。原口審議官は所用のため欠席となります。政府からは、厚生労働省に加えまして、総務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省及び国土交通省がオブザーバーとして出席。そのほかにオブザーバーとして3団体に出席を頂いております。それではまずはじめに、岸本人材開発統括官から御挨拶をお願いいたします。
○岸本人材開発統括官 人材開発統括官の岸本でございます。本日は本協議会に御多忙の中御参加いただきまして誠にありがとうございます。本協議会ですが、御案内のとおり、一昨年10月に法定化されました、地域職業能力開発促進協議会に合わせてリニューアルをいたしまして2年度目を迎えております。今年度、昨年10月から11月にかけて全国47都道府県で開催された地域協議会において、新たにワーキンググループによる訓練効果の検証も踏まえた改善案について意見交換を行っていただきました。
 後ほど御説明いたしますが、デジタル分野において、教育訓練の内容にグループによる開発の演習を加えるといったことですとか、あるいは就職率・就職促進効果を高めるために、訓練期間におけるキャリアコンサルティングの方法についてマニュアルを整備するとか、そういった、非常に建設的な御提案を頂いて実施に移していこうということになっております。本日、昨年9月の第1回中央協議会で協議いただいた、全国職業訓練実施計画の策定方針を踏まえまして、令和6年度の全国計画の案について御協議を頂くことが本日の主要議題でございます。本日の協議会終了後、各地域でも協議会を開催していただきまして、前回の改善案に関する協議内容、それから本日の御議論を踏まえまして地域のニーズに応じた訓練コースの設定に向けて、来年度の地域計画を策定していただくという流れになっております。
 また併せまして、これも後ほど御議論を頂ければと思いますが、地域協議会において、新たに教育訓練給付制度における講座指定の拡大について、地域の訓練ニーズを把握する取組を開始してはどうかと考えております。これについても御議論いただければと思っております。本日の議論の内容については、地域の協議会の方にもフィードバックをいたしまして、中央それから地方、双方向のやり取りの中で、令和6年度以降、更に実行ある職業能力開発を推進していきたいと考えておりますので、どうか皆様、本日も幅広い御意見を頂ければと思います。よろしくお願い申し上げます。
○藤村座長 どうもありがとうございました。では、議題に入ります前に、本日の注意事項につきまして事務局より説明がございます。
○桃井人材開発統括官付訓練企画室長 事務連絡申し上げます。報道関係者の方々の撮影はここまでとなります。よろしくお願いいたします。構成員の皆様におかれては、御発言を希望される場合、会場内の方は挙手で、オンライン参加の方はZoomの手を挙げる機能により意思表示を頂き、座長から指名された後に、会場内の方はお手元のマイクボタンを押してから御発言をお願いいたします。また、オンライン参加の方においては、Zoom接続、音声等に問題が生じたとき、事前に送付したマニュアルに沿ってその旨をチャット機能かメール又は電話で御連絡をお願いいたします。
○藤村座長 では、議題に入りたいと思います。まずは議題1、中央職業能力開発促進協議会開催要綱の改正についてです。事務局から説明をお願いいたします。
○桃井人材開発統括官付訓練企画室長 訓練企画室長桃井です。議題1について説明いたします。資料は1-1と1-2となります。今回、中央協議会の開催要綱の協議事項に、(6)として教育訓練給付制度の実施状況等に関することを項目に追加しております。資料1-2は、中央協議会のポンチ絵となります。左下の囲みの所に教育訓練給付制度の実施状況等に関することとして、全国の実施状況や、地域協議会における協議内要の報告等と追加をしております。議題4が教育訓練給付制度の指定講座の拡大についてですので、教育訓練給付制度の説明については議題4で改めて行いたいと思っております。議題1の説明は以上となります。
○藤村座長 協議事項として追加をされました教育訓練給付制度については、今、御説明ありましたように、議題4で取り上げたいと思いますので、そのときにまとめて御議論を頂きたいと思います。次に議題2の第1回地域職業能力開発促進協議会における協議状況についてという項目です。事務局から説明をお願いいたします。
○桃井人材開発統括官付訓練企画室長 議題2の地域協議会における協議状況については、5ページの資料2-1となります。令和5年10月、11月に全都道府県で開催された第1回地域協議会の協議結果について、主なものを概要としてまとめたものとなります。地域協議会において、来年度の職業訓練実施計画の策定に向けて、職業訓練の実施状況や、地域の人材ニーズを踏まえた訓練コースの設定方針、訓練効果の把握・検証などについて話し合いがなされております。
 別添1を御覧ください。こちらは、令和4年度の職業訓練の実施状況を踏まえた訓練コースの設定方針の協議となります。分析の結果、多くの地域で応募倍率が高く、就職率が低いという課題があるデジタル分野や、営業・販売・事務分野が取り上げられました。始めの青森の事例では、営業・販売・事務分野について実施状況の分析だけではなく、ワーキンググループの改善促進策を踏まえて、協議会の場において議論した結果、デジタルリテラシーの習得や実務に役立つ知識をカリキュラムに盛り込むことを推進していく方針としております。次の富山では、デジタル分野についてハローワークの相談窓口において、リスキリング能力や理解を促す働きかけを推進する方針としております。
 次ページの大阪です。スキルアップへのモチベーション、チームスキル、社会人基礎力を習得できるカリキュラムの工夫を推進していく方針としております。次の島根では、キャリアコンサルティングマニュアルの作成などの方針を記載しております。
 8ページの別添2は、地域の人材ニーズを踏まえた訓練コースの設定方針の協議として、5つの県の事例を挙げております。上の新潟と石川が、IT分野などで、訓練修了者の採用について事業所に理解を求めていく方針としております。真ん中の福井については、観光人材の育成や、中高年齢者の就職につながる訓練コースの設定について、来年度の計画に反映を検討する方針としております。京都では、企業訪問の際のニーズの把握に努めていることや、有識者の委員会で意見を頂きながら訓練内容等を決めていくとしております。最後の熊本では、昨年度に引き続き、半導体関連の人材育成について今年度もポリテクセンターのカリキュラムを変更したところですが、次年度で更にカリキュラムの変更を予定しております。
 9ページの別添3は、訓練効果の把握・検証についての協議で、ワーキンググループから報告があった改善案について、地域協議会における意見を踏まえて、次年度の計画への反映方針などについて整理したものとなります。デジタル分野については茨城、千葉、富山、大分の内容を取り上げております。右の対応方針として、ジョブ・カードを活用した訓練修得度の見える化の推進、コミュニケーション能力の向上のほか、求職者支援訓練と委託訓練の差別化として、求職者支援訓練は基礎的な内容のコースを中心にして、委託訓練は5か月から12か月の応用・実践まで学べるコースを中心に実施するといった方針がありました。
 11ページは、ITの分野として秋田、広島の内容を取り上げております。対応方針として、公的職業訓練に幅広く情報リテラシーを盛り込むことや、企業の人材像や訓練の仕上がり像の見える化、レベル別のコース設定の工夫などの方針がありました。
 12ページの別添4は、協議会の招聘や連携の事例を挙げております。小樽商科大学の介護マネージャー育成プログラムにおけるVR技術の活用の事例や、東北大学ナレッジキャスト株式会社による「東北大学データサイエンスカレッジ」の取組の情報共有がありました。また、生活困窮者自立支援部局、教育委員会事務局、地方経済産業局からの情報共有などもありました。
 13ページの資料2-2は、訓練効果の把握・検証のために各協議会の下に設置し、今年度から開催されたワーキンググループによるヒアリング結果や地域協議会に報告した改善策の案を概要として取りまとめたものとなっております。ワーキングでは、訓練実施機関、訓練修了者、修了者を採用した企業にヒアリングを行い、訓練効果を把握・検証し、訓練カリキュラム等の改善を図ることを目的としております。主な対象分野は、デジタル分野が24県、IT分野が7県、営業・販売・事務分野が12県となっております。
 14ページは、デジタル・IT分野の訓練実施機関へのヒアリングの内容や改善案を取りまとめたものとなっております。右欄のヒアリングを踏まえた改善案としては、演習でコミュニケーション能力を高めていくこと、自ら主体的に学び続けていく能力を身に付けさせていくこと、ハローワーク職員やキャリアコンサルタントのデジタル分野の知識習得、訓練施設見学会、周知用リーフレットの作成・事業主へ配付などが挙げられております。15ページは、訓練修了者へのヒアリングについてです。改善案としては、グループワークなどの導入の提案、レベル別の訓練コースの設定などが挙げられております。16ページが、採用企業へのヒアリングについてです。改善案としては、スキルをいかせる求人の確保、企業実習などで実践的な能力を養うことなどが挙げられております。
 17ページからが、営業・販売・事務分野となります。訓練修了者のヒアリングについて改善案としては基礎的なデジタルリテラシーの習得、具体的な業務を想定した実践的な内容を盛り込むことなどが挙げられております。18ページは、企業へのヒアリングとなっております。改善案としては簿記・給与制度・労働保険等の内容をカリキュラムに盛り込むことなどが挙げられております。
 各県の主な事例を御説明しましたが、参考資料4、参考資料5として全ての県の概要を添付しているところです。こうした各地域の取組を中央でまとめて、各地域にフィードバックすることにより、よりよい来年度の訓練実施計画の策定や、訓練の運営に資するものとなることを期待しております。議題2の説明については以上となります。
○藤村座長 どうもありがとうございました。ただいま御説明いただきました件について御質問、御意見をお願いしたいと思います。各都道府県での取組ということで、やはりここは河島さんに一言お願いします。
○河島構成員 おはようございます。ありがとうございます。京都府での話としては、資料に記載のとおり、やはり職業訓練を実施するに当たって、産業界のニーズをきめ細かく常時聴取していくことは大前提の話ではありますが、そこをしっかりやっていこうということを確認しました。具体的な内容としては、やはりほかの府県でも多く取り上げられているように、IT、あるいはデジタル系の訓練については、人によって捉え方、技術訓練の熟度など様々なものがありますので、そこの目合わせ、判断合わせをした上で、それを産業界にもしっかり説明し、どういう人材を欲しているのかということをしっかりつかんで、訓練に反映していく方向性でやっていこうという議論でした。簡単ですが以上です。
○藤村座長 企業の採用担当と話をしておりますと、どんな人が欲しいのですかと言うと、「良い人」を欲しいと。「良い人」とはどんな人ですかという具体的な項目が、なかなか出てこない。例えばデジタル人材が必要だ。では、デジタルといってもいろんな分野があり、どういう人たちを御社は求めているのですかということが、きちんと説明できていないことにも問題があるのかなと思います。そのほか御質問、御意見はいかがでしょうか。
○山脇構成員 連合の山脇です。説明を伺い、各地域においてワーキングの改善策等に基づいて訓練コースの設定等が策定されるなど、工夫をこらして取り組んでいただいていることがよく分かりました。前回も申し述べたところですが、この中央協議会の役割は、各地域の好事例や改善策を他の地域にも水平展開して、活用していくことだと思っています。こうした視点をもって地域協議会との緊密な連携の下、中央協議会に報告をお願いしたいと思います。
 次に、先ほど御報告いただいた各地域の改善策の中には、例えば、情報リテラシーあるいはハローワーク職員の知識向上などが含まれていますが、これは後ほど議論があります令和6年度の実施計画案にも反映されているものと承知しています。各地域の取組の中で、この中央の計画に反映できるものは積極的に取り入れていくことが以降の地域の取組の活性化につながっていくものと考えます。引き続き双方向で良いものは取り入れていくようお願いいたします。以上です。
○藤村座長 今の点、事務局から何かありますか。
○桃井人材開発統括官付訓練企画室長 山脇構成員、どうもありがとうございます。正に御指摘いただいたとおり、地方での様々な御議論を中央で取りまとめて地域協議会にフィードバックしていくのが、この中央協議会の重要な役割の1つかと考えておりますので、本日の議論も含めて地域の協議会に迅速にフィードバックをしていきたいと考えております。
 また、2点目について、地域にフィードバック、横展開するだけではなく、地域の取組で良いものとしては、中央としても是非取り上げて進めていきたいと思います。今後とも、中央協議会でしっかりやっていきたいと思います。御意見を頂き、ありがとうございました。
○藤村座長 そのほか、ございますか。
○平田構成員 ご説明ありがとうございます。各地域の取組を興味深く聞きました。この場で共有も大事ですが、それぞれの地域においても、他の地域の好事例、良い取組は参考にしていただきたいと思っていますので、意見として申し上げておきます。以上です。
○藤村座長 いろいろな試みに学んでいくことが必要ですね。そのほか、ございますか。よろしいですか。
 では、次に議題3にいきたいと思います。令和6年度全国職業訓練実施計画(案)についてです。事務局から説明をお願いいたします。
○桃井人材開発統括官付訓練企画室長 それでは、議題3の令和6年度全国実施計画(案)についてですが、実施計画については資料3-1と3-2となっておりますが、先に他の資料から説明させていただきたいと思います。
 35ページの資料3-3は、ハロートレーニングの令和4年度の実績の確報値となります。離職者訓練について分野ごとに人数や就職率の実績が示されており、受講開始者数の合計は12万4,500名となっております。第1回の中央協議会のときに、速報値として示したものから若干の数値の変更だけで、傾向は変わっていません。
 38ページの資料3-4は、令和6年度の予算案です。第1回の中央協議会では、概算要求の段階の資料を示しておりましたが、今回は予算案になります。概算要求値からほぼ変更はなく、予算全体では1,186億円、訓練規模では41万人程度となっております。重点を置いているデジタル推進人材の育成のポンチ絵なども添付しております。
 41ページの資料3-5が第1回中央協議会で示した資料です。全国計画の策定に向けた方針として4つの課題を挙げて、それぞれの課題に対する実施方針案を御提示したものとなります。
 以上の令和4年度の実績、令和6年度予算、全国計画の策定方針を踏まえて、令和6年度全国職業訓練実施計画(案)を御説明いたします。27ページの変更箇所を赤字で示した資料3-2を御覧ください。第1は計画の目的や期間で、第2が計画策定の前提となる労働市場の動向と課題、直近の職業訓練の実施状況について記載をしています。今年度11月までの状況となりますが、離職者に対する公共職業訓練については、前年同期と比べて9%の減少、求職者支援訓練については、前年同期と比べて23%の増加で、合わせると2%の減とほぼ前年並みとなっております。在職者訓練については、前年同期と比べて13%の増となっております。
 第3の令和6年度の公的職業訓練の実施方針については、資料3-5の4つの課題と実施方針案について記載しています。①は応募倍率が低く就職率が高い分野である、介護・医療・福祉分野で、引き続き訓練コースの内容や効果を踏まえた受講勧奨の強化を行うとしております。
 ②は応募倍率は高く、就職率が低い分野であるIT分野、デザイン分野で、一層のコース設定の促進を図ることや、求人ニーズを即した訓練内容になっているか検討を行うこと、またハローワーク職員の知識の向上、説明会や見学会の機会確保、訓練修了者歓迎求人の確保に取り組むとしています。こうした取組の方針については、先ほどの地域協議会の事例でも御紹介したところです。
 ③が委託訓練の計画数と実績の乖離が課題で、受講者数増加のための取組を行うとしております。④がデジタル人材の質・量とも不足、都市圏偏在が課題ということで、職業訓練のデジタル分野への重点化を進め、一層のコース設定の促進を図るとしております。
 第4からは、この実施計画について具体的に訓練の設定に反映させ、来年度、実際にどのように訓練を実施していくか、対象者の数や内容について記載をしております。1の(1)アの離職者に対する公共職業訓練の対象者数については、前年度から1,000人減の2万3,000人、目標が就職率82.5%としております。委託訓練については、対象者が前年度から2,500人減の11万8,599人、就職率は75%となっております。こちらは実績を踏まえて若干対象者を減らしています。
 イは職業訓練の内容、留意事項等となります。まず①訓練の内容等ですが、官民の役割分担や国の施設内訓練については、ものづくり分野で実施することを明記しております。3ポツ目は、受講者に対する就職支援を記載しております。4ポツ目がデジタル人材の育成の観点で、デジタル技術の利活用ができるように、デジタル分野のコース以外の受講者にも、デジタルリテラシーを身に付けていただくために、委託訓練においてデジタルリテラシーの向上促進を図ることと記載しています。デジタルリテラシーを盛り込むという方針は、先ほどの地域協議会の事例でもございました。
 最後のポツが必要に応じて職業能力評価制度との連動をより意識した内容とすることを記載しております。もともと職業訓練と技能検定などの職業能力評価制度とは関わりが深いものですが、今年度中に、新たに国の職業能力評価制度として、事業主団体等が実施する団体等検定が創設される予定であることを鑑み、職業能力評価制度との連動という記載を追加したものです。
 ②の分野に応じた訓練コースの設定等ですが、先ほどの4つの課題と実施コースについて具体的に記載したものです。1ポツ目はデジタル分野の重点化についてです。ITやWebデザイン関連の資格取得を目指すコース等については、委託費の上乗せをするなどによって訓練コースの設定を推進するとしております。2ポツ目、3ポツ目はIT分野、デザイン分野の就職率向上のため、求人ニーズに即した訓練コースの設定促進、ハローワークと連携した就職支援を実施するとしております。
 4ポツ目は、ものづくり分野についてです。DXに対応したコースを充実させるとしております。5ポツ目は、介護分野の職場見学等を組み込んだコースの委託費の上乗せ措置により、訓練コース設定を促進するとしております。6ポツ目は介護・医療・福祉分野について、応募倍率の向上のため、応募・受講しやすい募集・訓練日程を検討した上で実施するとともに、訓練コースの内容や効果を踏まえた受講勧奨を実施するとしております。
 最後のポツは委託訓練についてです。計画数を踏まえ、十分な訓練機会の確保に努めるとともに、開講時期の柔軟化、受講申込み締切日から受講開始日までの期間の短縮、効果的な周知広報等、受講者数増加のための取組を行うとしております。
 ③の対象者に応じた訓練コースの設定等については、特別な配慮が必要な方々に対する対応策について、具体的に記載をしています。
 (2)が求職者支援訓練となります。対象者数は4万8,261人、その方々に訓練機会を提供するための認定規模の上限は、6万4,348人としております。目標が雇用保険の適用される就職率で、基礎コースが58%、実践コースが63%としております。
 イの職業訓練の内容、留意事項については、①実践コースの訓練の認定基準の70%程度と昨年度より10%引き上げるとともに、それに伴いまして、基礎コースは40%から30%としております。また、デジタル分野については重点化の観点から、下限の目標を前年の20%から30%に引き上げております。介護分野については20%、地域枠についても20%としております。次に、新規参入の上限は、基礎コースが30%で、実践コースについては、コースの設定や実施機関の参入も進んできたことから、前年度より引き下げて10%としております。
 ②の分野に応じた訓練コースの設定等については、先ほどの離職者に対する公共職業訓練とほぼ同じ内容となっております。③の対象者に応じた訓練コースの設定等については、いろいろな事情を抱えた方がいらっしゃいますので、その方に応じた訓練の設定を推進することとしております。
 2の在職者に対する公共職業訓練については、公共職業訓練の対象者が前年度より1,000人増の6万5,000人、生産性向上支援訓練が前年度より3,000人増の4万8,500人と、ニーズや実績を踏まえて前年度より対象者を増やしております。
 (2)の職業訓練の内容については、高度なものづくり訓練を実施すること、生産性向上人材育成支援センターにおいては、事業主に対する相談に対応するとともに、課題解消に向けた支援を実施すること、ものづくり分野において、DX等に対応した訓練コースの開発・充実を図っていくこと等を記載をしております。
 3の学卒者に対する公共職業訓練については、対象者が5,800人、目標が就職率95%としております。訓練の内容については、高度なものづくり人材を養成するもので、特にDX等に対応した訓練コースを充実させるとしております。
 最後に、4の障害者に対する公共職業訓練については、施設内訓練の対象者数が2,930人、目標が就職率70%としております。委託訓練については対象者、3,380人、就職率55%としております。職業訓練の内容については、職業能力開発校においては、精神障害者をはじめとする、職業訓練上特別な支援を要する障害者を重点的に受け入れて、個々の方々の障害に応じた訓練を一層推進することとしております。議題3の全国計画についての説明は以上です。
○藤村座長 どうもありがとうございました。令和5年度との対比をしやすくするために、見え消しで案を作成していただいております。この来年度、令和6年度全国職業訓練実施計画(案)について、御意見、御質問を受けたいと思います。よろしくお願いいたします。
○清田構成員 日本商工会議所の清田でございます。まず、御説明いただいた予算案について、いわゆる増額という扱いになっているかと思います。大変有り難いと思っております。今、人手不足という声がよく聞こえていると思います。中小企業の約7割が人手不足ですという話が出ている中で、今後もまた人が採れないことを考えますと、やはり一人一人の能力を高めていく。そうした中で、地方を含めて育成の機会というのをしっかりと作っていくということは重要だと思いますので、公的職業訓練というのがますます重要になっていると感じております。そうした中で、JEEDさんが行っていらっしゃる生産性向上訓練の人数を増やしていただいたり、在職者も含めて予算を拡充いただいているという点、この点を非常に有り難いと思っております。
 その上で、1つ質問です。実施計画の中で、ハローワーク職員の知識向上といった言葉がよく入っていらっしゃると思うのですが、例えば相談に来た求職者とか、求人を出してくる企業に対してマッチングの質を高めるための知識の向上という理解で問題ないのか。もし、それで問題ないのであれば、具体的にどのような形で知識向上を図っていくのかという点を、現状でお分かりになるところがあったら御教示いただければと思います。以上です。
○藤村座長 では、お願いいたします。
○桃井人材開発統括官付訓練企画室長 ハローワーク職員の知識向上について御質問いただきました。清田構成員がおっしゃるとおり、正にマッチングの質を高めることが重要な目的です。マッチングについては、企業とのマッチングもありますし、適切な訓練コースを紹介するという、訓練コースのマッチングもございます。内容としては、特にデジタル分野の知識などがハローワークの職員に不足しているという声もございますので、職員、相談員に対するデジタル分野の研修もあれば、実際に訓練機関でどういう訓練をやっているのか見学会をやったり、意見交換会をやったりすることもあります。
 また、実際に企業訪問に行って、企業の現場を拝見させていただくという取組も実施しているところです。そうした様々な取組を通じて、職員の知識向上を図っているところです。
○清田構成員 非常に重要だと思いますので、是非、引き続きよろしくお願いしたいと思います。以上です。
○藤村座長 北村さん、どうぞ。
○北村構成員 全産能連の北村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。ピンポイントに32ページの中段、追加いただいた2つ目のポチですかね、「経済社会が急速に変化する中」という所で、職業能力評価制度とのリンク、そこを意識したということで、御案内のとおり各産業別に全部、職業能力評価制度というのはあると思っています。そこを意識しながらというところを十分にということで、それをするために、その上の段にありますいわゆるキャリアコンサルタントとかコーディネーターの所、ここも是非強化していきながらということで、様々な分野でこれをいかしていく方法を、是非考えていただければと思っています。
 もう1つ、全般を通してなのですが、最近、テレビコマーシャルもそうですし、職業訓練に入る手前で多様性が出てきて、かつ企業側もそうですし、個人もそうですけれども、自ら職業を探すということをせずにコンサルを得たり、各会社に紹介を入れてということで、そこにコーディネーターが全部入ってくるという形で、自ら会社を訪問して仕事を探すとか。ここに転職の団体もいらっしゃいますが、そういった所を全部使って、自らではなくてその情報をもって、コーディネーターによって仕事先を探す。そこで、様々な分析をされているということがすごく進んできているような気がして、ここ2、3年変わってきているなと思っています。そこについても是非、職業能力訓練の手前の所ではありますが、何か工夫が必要なのだろうという気がしております。是非その辺も御検討いただきながら、私ども団体も様々に御相談していきたいと思っている次第です。以上です。
○藤村座長 今の御意見に、事務局から何かございますか。
○桃井人材開発統括官付訓練企画室長 北村構成員、貴重な御意見を頂き、ありがとうございます。おっしゃるとおり、職業能力評価制度は重要ですし、それと結び付けていく、またマッチングを図っていくために、キャリアコンサルティングも重要だというのは、重々承知しておりますので、そちらの部分もしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。訓練に入る前のマッチングの所も、先ほどのハローワーク職員の知識向上の所でも申し上げたとおり、マッチングの前段階の所も非常に重要だと認識しておりますので、そこについても引き続き取り組んでまいりたいと思います。どうもありがとうございます。
○北村構成員 よろしくお願いいたします。
○藤村座長 今、北村さんがおっしゃった点でいうと、転職するのがいいことだというような風潮は、私は問題だと思っています。というのは、私の友人で、長くキャリアコンサルタントをやっている人に聞くと、相談に来た人の8割は、考え方を変えて同じ職場、同じ会社にいたほうがいいと言います。2割ぐらいの人は転職するのが適切だという、彼の15年ぐらいやっている経験としてそのように言うのです。でも、いわゆる人材紹介系の会社に行くと、そういう会社は人が動けば動くほどもうかりますから、本来は同じ会社にいたほうがいい人にも転職を勧めると。その結果いい方向に行けばいいのですが、そうではない場合もしばしばあるようです。そのため今の風潮は危ないなと感じています。
 では、重里さん、どうぞ。お願いいたします。
○重里構成員 御指名ありがとうございます。全国専修学校各種学校総連合会の重里でございます。聞こえておりますでしょうか。
○桃井人材開発統括官付訓練企画室長 はい。
○重里構成員 資料3-2の33ページになるでしょうか、3の学卒者訓練に対しての質問です。これもピンポイントで恐縮です。職業教育を実践する専修学校という立場から、官民の役割分担等を毎回のように申し上げて恐縮ですが、前回の9月の第1回の本協議会において、概算要求段階の学卒者訓練について、このような質問をさせていただきました。次の資料に飛んで恐縮ですが、資料3-4、39ページの予算案として左側、学卒者訓練は約2.1万人と記載されております件で、前回このような御質問をしました。私ども専修学校は、特に公共職業能力開発施設等における社会人入校率の低さを定期的に御指摘させていただいております。直近では、社会人の入校率は8%だったと記憶しておりますが、ほぼ新規の高校卒業者の入校で占められているというのが現実だと認識しております。それに対して、本来の趣旨から、新規の高校卒業者ではなく社会人の入校率を上げるようにということを御要望申し上げております。
 今回の学卒者訓練というのは、もちろん高校既卒者、見込み者も含まれていると思うのですが、この2.1万人の中で、例えば高校既卒者あるいは見込み者などという詳細な内訳があれば、御教示いただきたいということを前回お願い申し上げましたところ、訓練企画室長からは、学卒者訓練の訓練規模2.1万人の中で社会人の部分がどうかということについては、予算上のことであるので、内訳に社会人が何人かというものの色分けは特にはないという御回答を、前回は頂戴いたしました。今回の令和6年度全国職業訓練実施計画(案)の、先ほどの3の学卒者訓練に対する公共職業訓練(1)対象者数及び目標では、対象者が5,800人、専門課程が4,000人から3,900人、応用課程は1,700人から1,800人と記載があります。
 一方、先ほどの資料3-4の現時点での予算案の学卒者訓練においては、2.1万人となっております。先ほどの全国職業訓練実施計画(案)の5,800人というのは、国だけの実施分だということは事前の御説明の段階で確認させていただきました。それ以外の約1万5,000人は、都道府県の訓練施設だと認識しておりますが、今回、国の実施分5,800名の内訳として、主に新卒高校生を多く入校されておられる専門課程の目標を100名減少させ、応用課程を100名増やしたということに、結果的にはなっていると認識しております。先ほどは、ここの辺りの増減についての詳細な御説明がございませんでしたので、どのような理由からか御説明を頂戴できればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○藤村座長 御質問ありがとうございます。では、事務局からお願いいたします。
○桃井人材開発統括官付訓練企画室長 重里構成員、御質問いただき、ありがとうございます。学卒者訓練の対象者数ですが、2年制の専門課程の定員を100名減らして、より高度なものづくり人材を養成する応用課程の方を100名増やしているところです。学生のニーズ、企業のニーズなどを踏まえて、この辺りの対象者については変更しているところです。御指摘いただいておりますとおり、専修学校各種学校と公的職業能力開発機関はすみ分けをして、両者相まって引き続き能力開発に努めていく必要があると認識しております。国の職業訓練についても、引き続き社会人の入校を進めていきたいと考えております。ありがとうございます。
○藤村座長 重里さんの御趣旨は、民業圧迫するなということだと思うのですが、重里さん、いかがですか。
○重里構成員 もちろん、おっしゃるとおり民業の圧迫という点でということになりますが、先ほどの質問、もちろん、いろいろと御配慮いただき、御検討いただいているというのは承知しておりますけれども、やはり、前回の協議会のときも根拠というか、数字の背景に色分けはないというような御回答でした。今回も今の御回答では、企業のニーズという形での御回答だったと思うのですが、結果としては社会人の入校率が8%で、高校3年生の卒業見込み段階から、オープンキャンパス等でいざなって、結果的に入校者のほとんどは高校卒業者であるということが、ある意味でいうと税金の使途という点でも正しいのか。雇用保険を原資としているという前提からすると、個人的には少し疑問を感じているところもあります。ですから、競合回避あるいは官民圧迫という点を本気で考えるのであれば、もう少しこの辺りの根拠を明確にした上で、具体的な方策というのを講じていただくことを改めて希望申し上げたいと思います。以上です。
○藤村座長 分かりました。ありがとうございます。そのほか御質問、御意見はございますか。
○山脇構成員 2つ質問と、2つ意見を申し上げたいと思います。まず質問ですが、資料3-1の3ページに記載の「離職者に対する公共職業訓練の対象者数」が、令和6年度計画では、前年度と比べ、施設内訓練で1,000名、委託訓練で約2,500名ほど減員となっていますが、これは訓練を希望する方が十分に受け入れられる人数となっているのかどうか、改めて確認したいと思います。
 もう1つは、能登半島地震により被災した訓練施設について伺いたいと思います。まず、被災された皆様には、心からお見舞い申し上げたいと思います。その上で、公共職業訓練施設も被災したと伺っておりますが、令和6年度の訓練に影響はないのかどうかを伺いたいと思います。
 次に、意見を申し上げます。前回の協議会でも申し上げた委託訓練機関の地域偏在の課題はまだまだ解消に至っていないと思います。課題には地域偏在を書いていただいていますが、取組には記載がありません。計画にも、課題解消に向けて取り組むことを明記してはどうかというのが意見の1つ目です。
 もう1つは、数値目標についてです。現在、数値目標は、就職率のみが記載されておりますが、雇用の質の向上という観点から見ると、やはり職場定着というのも重要な観点であると思います。就職率と同列で年度目標にすることは難しいとしても、定着率について収集・分析をし、参考資料として公表するとともに、訓練内容や就職支援などに反映していくということを検討してはどうかと考えております。以上です。
○藤村座長 分かりました。ありがとうございます。今の御意見、御質問はいかがでしょうか。
○桃井人材開発統括官付訓練企画室長 山脇構成員、ありがとうございます。まず、1つ目の御質問ですが、3ページの離職者に対する公的職業訓練、施設内と委託訓練は、昨年度よりも対象者が減っているが、十分な人数であるかという御質問を頂いたところです。こちらは、実績を勘案して目標を設定しておりますので、この目標で離職者訓練や委託訓練を受けたいという方は全員受けられる人数になっていると考えております。
 2つ目は、能登半島で被災した訓練施設についての御質問を頂いたところです。確かに、一部まだ訓練を再開できていない施設もありますが、訓練を受講されている方々が適切に訓練を受けられるように、計画を立てているところです。こうした被災されている訓練生の方も、しっかりと今年度、来年度の訓練を受けられるように考えておりますので、こうした計画に対する影響はないと考えております。
 あと、委託訓練の地域偏在の解消について盛り込むべきではないかという御指摘を頂きました。都市圏偏在の課題は書いてあるけれども、しっかりとした取組としては明記されていないのではないかという御指摘を頂きました。デジタル分野について重点化の観点から進めていくということで、その辺の地域偏在解消というのも含まれているのではないかと考えていたところですが、山脇構成員の御指摘としては、地域偏在の解消というものを明確にこの計画の中に文言として入れたほうがいいのではないかという、そういった御指摘でよろしいでしょうか。特に、デジタル分野などは、地域偏在の御指摘がありますので、今頂いた山脇構成員からの御指摘については、また座長と御相談させていただきたいと考えております。
 最後の定着率についても、参考の目標とするべきではないかという御意見を頂きました。訓練については、対象者と就職率ということで、これまで取組を進めてきたところです。山脇構成員がおっしゃるとおり、就職だけではなく、その後の定着というのも非常に重要だというのは、重々認識しているところです。ただ、定着率を取るというのも、ずっとその人を追いかけて把握していくのは難しい面はあるかと思いますので、今すぐはどのような策があるのか思い浮かばないところではありますが、引き続き検討させていただきたいと思います。
○藤村座長 どうぞ。
○松瀨人材開発統括官付参事官(人材開発政策担当) 山脇構成員の御質問と御意見について補足させていただきます。1つ目ですが、予算上の人員の見込みです。繰り返しになりますが、単に実績ではなくて、トレンドも踏まえて、十分見込みを立てておりますので、これで足りるであろうという前提でやっております。2つ目のポリテクカレッジ石川については、現在、継続的に訓練を実施するために、関係自治体といろいろな協議をしておりますので、今はっきり申し上げられないのですが、いずれにしろ、訓練生には御迷惑がかからないように、令和6年度はしっかりと訓練が開始できるように、今、調整中ですので、そのことだけ申し述べさせていただきます。
 御意見の方ですが、訓練計画については、変えることの是非も含めて検討させていただき、後ほど追って御説明させていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。以上です。
○藤村座長 山脇さん、いいですか。
○山脇構成員 はい。
○藤村座長 分かりました。定着率は確かに大事です。就職はしたもののすぐに辞めるというのは、御本人にとってももちろん良くないですし、企業にとっても、せっかく採用したのにというところで、ダメージも大きいと思います。定着率を高めるためにも、事前の相談とか、いわゆるコンサルティングの部分を大事にしていく必要があると思っております。
○佐久間構成員 全国中央会の佐久間です。先ほど藤村先生がおっしゃったように、私も労働移動の観点は、労働者が企業に定着をしていくというというのは、必要だと思いますので、先生の御意見には賛成です。どの業界でも中小企業は人手不足が激しい中で、それでまた従業員を鍛えたら他社に移動してしまうのは非常に企業にとってつらいところです。それによって、給与などを良い条件にしていかなければいけないということは分かるのですが、やはり、せっかく鍛え、投資をしてきた人にいてもらいたい、せっかく人材が増えてきたのだから、企業を一緒に盛り上げていただきたいというのがあります。その上で、どうしても他社に移動をしてしまうことはやむを得ないことかもしれませんが、私もそういうスタンスだと思います。
 この職業訓練の実施計画については、今回、見え消しで出していただいて、非常にどこの部分を重点に記載をしていただいているか、分かりやすくなっていると思います。おおむね、こちらの計画で私はよろしいと思います。ありがとうございます。数字等を拝見しますと、どうしてもマッチングの難しさというのが現れてくるのだと思います。本当にどういう企業がその人に合うか、また働く人も企業の中に入ってみないと実際分からないということがあると思うのです。そこで、ハローワークとの連携とか、そういうのがどうしても必要になってくると思います。是非、このマッチングの充実を図っていただきたいと思います。
 この中で、例えば、36ページの表に、分野別の実施状況で、就職率などが載っています。就職率、応募側が多くて就職が低いとか、そういう統計も出していただいているのですが、この定員充足率とか、就職率に至るまでに、途中で辞めてしまう方がどれぐらいいらっしゃるのか、これも正確な数字が分からないかもしれませんが、どのぐらいいるかどうか、感覚的でよいので教えていただきたいと思います。
 もう一点は、外国人の関係です。外国人も公共の職業訓練は、雇用保険を払っているから受講できる訓練ももちろんあると思います。今、新聞等でも特定技能2号の分野が追加されるとか、技能実習制度や特定技能制度見直しが図られようとしておりまして、議論が進んでおります。実際には、見直しの施行の時期はもう少し先だと思いますが、特定技能の2号が1号から増えてきたときに、外国人が入った企業で在留期間中いる場合と、在留期間を満了してやめる場合、または他企業に移動してみたいとかというときには、在留資格の問題で労働移動は簡単にはできないということがあるかもしれません。ですが、特定技能の2号が増えてきたときに、または1号の方たちも試験組が結構多くなってきておりますので、公共職業訓練の関係では訓練の受講が可能なのかどうか、その点を教えていただきたいと思います。以上、質問は2点です。よろしくお願いします。
○藤村座長 佐久間構成員の質問について、いかがですか。
○桃井人材開発統括官付訓練企画室長 途中で辞めてしまう人がどのぐらいいるのかということですが、修了率については、最後まで修了した人は9割程度ということになっております。
○佐久間構成員 そうですか。大体1割が、訓練を途中で辞めてしまうということですか。感覚的なもので構いませんが。
○桃井人材開発統括官付訓練企画室長 ただ、途中で辞める場合でも、早期に企業が見つかって、訓練の修了の前に就職をして途中で辞める方も当然いらっしゃいますので、必ずしも全員がある意味リタイアをしているイメージというよりも、早期就職が決まったので、修了までいかないという方も一定程度含まれているということで。
○佐久間構成員 そちらの割合の方が高いですか。就職を決めてしまう割合の方が高いですか。
○桃井人材開発統括官付訓練企画室長 正確な数字は手元にないのでうろ覚えの記憶で申し訳ありませんが、就職が決まって辞める方の方が多かったような気がします。
○佐久間構成員 ありがとうございます。
○藤村座長 外国人の方はいかがですか。
○宇野人材開発統括官付参事官(人材開発総務担当) 総務担当の宇野でございます。今の2点目の質問に対しては、確かに外国人は雇用の働き方、雇用保険被保険者ですので、当然雇用保険のいろいろなサービスの一環として受けられることはあります。
 ただ、在職者訓練のようなものについては受けられるのですが、先ほど佐久間構成員もおっしゃったとおり、こと外国人労働者については、在留資格との関係がありますので、失業という段階を、在留資格上どういうふうに位置付けるのかという部分において、離職者訓練で受けられるかどうかについては、入管庁と御相談しながら決めないと、今、にわかにはお答えできない状況ですので、また、こちらの方も中で検討させていただきながら、しかるべき時期に御回答させていただきます。
○佐久間構成員 ありがとうございます。外国人の問題も、全てを受け入れた方がいいという意見と、ある程度とは絞ったほうがよいという意見、いろいろ意見があると思いますので、またその辺は検討いただければと思います。
○藤村座長 訓練途中で就職が決まって、それはそれでめでたいことです。実は、大分前に法政大学で、失業者の委託訓練を受けたことがあるのです。例えば、3か月の訓練で、それを前提に収入を見込み、講師とかも手配しました。しかし、途中で、例えば、1か月修了時点で就職が決まって訓練コースを卒業していかれると、その人の2か月目、3か月目の訓練費用は払われないのです。良い教育訓練をすればするほど、途中で抜けていく人が増えて、収入が減るという経験をしたことがあります。何とかならないかと、当時、厚生労働省の係官と話したのですが、いかんともし難いという、そういうこともありました。そのほかはありますか。
○河島構成員 京都府から、ほかの自治体の声も含めて、4点ほど質問と意見を述べさせていただきます。
 まず、質問ですが、28ページ、直近の公的職業訓練をめぐる状況で、昨年度に比べて、離職者の公共職業訓練者数は減少し、求職者支援訓練の方は、前年を上回っています。前にこの会議の場でも申し上げたかと思いますが、御承知のとおり、令和4年7月から、いわゆる求職者支援訓練と離職者訓練の関係の取扱いが変わってきました。この両制度は根拠法令も違えば、制度も違うのですが、我々は特に関西のエリアの自治体と話をしておりますと、非常に求職者支援訓練の方に訓練生が流れて、離職者訓練の受講生が減少しているということが起こっております。
 先ほどの話の中にもありましたが、委託訓練の地域偏在を助長しかねない状況なのかと、自治体としては危惧しております。まずは、この部分についての分析はいかがかということが1点目の質問です。
 2点目は意見ですが、29ページの課題の解消を目指して、以下の方針を下に実施をするということの中で、2つ目のIT分野、デザイン分野等々については、非常に具体的な方策も含めて書き込まれていることに対して、①の所で、いわゆる出口は就職率が高いのですが、なかなか応募者が集まらない。福祉系の部分だと思いますが、①については、引き続き、訓練コースの内容や効果を踏まえた受講勧奨の強化を行うという一文で括られておりまして、少し、具体性に欠けるのではないかと、少し具体的な肉付けも含めて整理をしていただいた方がいいのではないかと感じたところです。
 3点目は、我々自身も、かくあるべしだと思っているのですが、30ページの①職業訓練の内容のポツ4つ目です。当然のことながら、デジタル分野以外の全ての訓練コースにおいても、デジタルリテラシーの向上促進を図るということで書いてあります。これは本当に非常に重要なポイントかと思っております。何か具体的にこういう講座に対して、こういうような要素で盛り込むのだよという何かイメージがあれば、参考までに御教示いただければと思います。
 4点目は総論的な話ですが、もしかしたら違うかもしれませんが、先ほども北村構成員がおっしゃったように、今回、訓練費の増額もしていただきましたし、この計画の中身を見ますと、デジタル分野への比重を移していただいたり、訓練評価制度との連動も、今回初めて盛り込んでいただきました。非常に重要な視点で、これを地域の職業訓練計画にもいかしていきたいと思っているところです。中身が非常に素晴らしいと思っております。やはり、地域においても、一番問題になっているのは、今、人手不足の中で、訓練を受けずとも、すぐに就職が可能な状況が現出しております。これが中期的にどういう影響が出てくるかというのは定かではありませんが、ここで求職者の方にはもう一度しっかり立ち止まっていただいて、自分が中長期的に安定した仕事に就くために、こういう訓練が自分にとって必要だということの入口の部分についても、今もいろいろと取組みはされていると思いますが、この訓練計画の中でも、そういった入口の部分、出口の部分を意識して計画を立案していただけると、さらにいいものになるのかと思いましたので、意見として申し添えさせていただきます。以上です。
○藤村座長 分かりました。ありがとうございます。4点について、いかがですか。
○桃井人材開発統括官付訓練企画室長 1点目が、離職者の訓練と求職者支援訓練の実績の増減の御質問がありました。求職者支援訓練は、かなり受講しやすい形態を設定していただいているとともに、訓練についてのPRもしっかりとやっておりますので、そこで受講者数が増えている要因ももちろんありますが、河島構成員がおっしゃるとおり、委託訓練を受けずに求職者支援訓練を選ぶ方も一定数いらっしゃるので、委託訓練の対象者が少し減少している傾向は、御指摘のとおりだと思います。
 そういった点も踏まえて、全国計画の方に、委託訓練の実績との乖離を解消するために柔軟な設定や周知広報など、受講者増の取組を行うということで対策を書かせていただいております。
 2点目は、介護分野について具体策が少ないのではないかということでした。確かにITデザイン分野は就職支援ということで、いろいろなことを書いておりますが、介護については、就職率は高いので、たくさんの方に応募いただけるように受講勧奨を強化ということで、まとめて記載をしております。
 3点目、委託訓練や求職者支援訓練のデジタルリテラシーの向上・促進については、デジタル分野はもちろんのこと、それ以外の全てのコースで、デジタルの利活用は必要になりますので、デジタルリテラシーの重要性など、訓練機関の方に周知していただくとともに、できる訓練機関には、訓練のカリキュラムの中にもデジタルの要素を組み込んだ訓練をしていただくことを想定しております。介護や事務系とか、デジタルの要素というのはどの産業でも必要になりますので、そういった訓練カリキュラムに取り組むことを考えていただくことを予定しております。
 最後は、入口の部分や出口の部分の中長期的な話を頂きました。正に受講者の方に対して、訓練の修了の前から就職まで一貫して支援を行うために、ハローワークと訓練機関が連携してキャリアコンサルティングなども含めて、就職支援をしていくということが、その御指摘に対して非常に重要な対策なのかと考えているところです。私からは以上です。
○藤村座長 補足をお願いします。
○宇野人材開発統括官付参事官(人材開発総務担当) 総務参事官です。1点目の分析については、本来、求職者支援訓練の実践コースと委託訓練とが、それほど分野が異なっているわけではありませんし、レベル感もそんなに実際には違いがない。そういう中で、今回制度改正の影響もあったときに、まず、求職者が委託訓練を選ばずに求職者支援訓練を選んでいるところを、是非、地域協議会でもそうですし、特に都道府県の方々も分析を頂きたいと思っております。
 我々の答えとしては、29ページの②に書いてあるとおり、どうも実際に応募したときから、コースが始まるまでの期間が求職者支援訓練と委託訓練では違いがあるらしいとか、受講時期について、例えば、求職者支援訓練が開始時期に比べて、委託訓練の方は少し硬直的ではないかとか。どうも訓練のレベルに関係なく、手続面やその辺りの部分の違いが、実際には影響している可能性があるところもありました。そういうところも踏まえて、今回ここにお書きしましたが、多分、いろいろ都道府県は都道府県の御事情もありますし、求職者支援訓練の制度と委託訓練の制度の違いから出てくる部分もありますので、まずはそういった方の中により求職者のニーズ、選択しやすいような形で訓練の設定というか、訓練コースの手続、受講までの手続とかも工夫していただくことで、まずはこの減少を食い止めたいと我々としては考えております。
 最後の4点目の「選ぶ」、正に訓練を受けて何がメリットなのかについては、最終的には、求職者の選択になってくるのではないかと思います。
 確か、人材開発分科会で、訓練コースの実証といいますか、実際にどんな効果があったかというのは、数字的に分析したところ、ハローワークで普通に行くにも、訓練を受けていたほうが就職率は高いとか、数字的に7割ぐらいでお出ししております。そういう形で、求職者の方々から、やはり訓練を受けてよかったというところを、もっと実感してもらうように、そこは数字もそうですし、また、今回のワーキンググループを通じて、中身をきちんとブラッシュアップしていくことは重要だと思っておりますので、そこは引き続き都道府県の御協力がないと、なかなかこれは難しいと思います。そういう意味では、協議会の場を使って、都道府県の取組、もちろん機構は機構でまた取り組むと思いますので、そこは引き続き御協力していただきたいとお願いしたいと思います。以上です。
○藤村座長 河島さん、よろしいですか。特に、4番目の点は、就職先がある。ということは、すぐに給料をもらえるということですから、訓練を受けてからといっても、なかなかそこは背に腹は代えられないところがあるかと思います。そういう観点からいっても、働きながら学べるという制度が有効であり、御本人の意欲とか、会社の理解、そういうのがもっと必要かと思っております。そのほかにありますか。
○平田構成員 人手不足が大変厳しい状況にある中、人材の量の確保に加えて、質の向上は大事ですので、この計画にのっとって、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 先ほど人材の定着の話がありました。我々も円滑な労働移動の促進を訴えておりますが、それは必ずしも社外だけはなくて、社内もあると思います。また、労働移動はあくまでも手段であって目的ではないということがポイントだと思っておりますので、補足をしておきます。以上です。
○藤村座長 大体よろしいですか。ただいまいろいろな御意見を頂きました。特に、山脇さんの御意見、河島さんの御意見については、その趣旨を取りまとめにいかしていきたいと思っております。どういうふうに修正するかは、座長一任ということでお願いをしたいと思いますが、よろしいですか。どうもありがとうございます。次に議題4になります。教育訓練給付制度の指定講座拡大についてです。事務局から説明をお願いします。
○谷口人材開発統括官付参事官(若年者・キャリア形成支援担当) 担当参事官の谷口でございます。私から議題4、教育訓練給付制度の指定講座拡大につきまして、資料4に基づいて御説明いたします。資料4の2ページ目、教育訓練給付制度の概要です。労働者が主体的に厚生労働大臣が指定する教育訓練講座を受講し修了した場合にその費用の一部を雇用保険により給付する制度です。この教育訓練給付制度については、今回の協議会から議題に追加いたしておりますけれども、制度の概要と、地域の訓練ニーズを踏まえた指定講座拡大に新たに取り組みますので、これについて御説明します。
 教育訓練給付制度は、講座の訓練期間ですとか、レベルにより給付内容の異なる3つの類型があります。2ページの左から給付率の高い順に並んでいまして、左から専門実践教育訓練給付が受講費用の50%、上限年間40万円、プラス追加で受講費用の20%、上限年間16万円、合計で年間56万円、受講費用の最大70%が給付されるというものです。真ん中の特定一般教育訓練給付は受講費用の40%、上限20万円というものです。右側が一般教育訓練給付で、受講費用の20%、上限10万円が支給されるというものです。
 事業規模として、指定講座数については全体で約1万5,000講座となっております。また受給者数については、2022年度の実績ですが、全体で約11万7,000人となっております。
 続いて3ページを御覧ください。教育訓練給付の講座指定の対象となる主な資格試験などを整理したものです。分野ごとに整理しておりますが、例えば左から、大型自動車免許など輸送・機械運転関係ですとか、その横、キャリアコンサルタントですとか社会保険労務士など専門サービス関係といったもの。あるいは真ん中辺りにある、介護福祉士ですとか看護師といった医療・福祉関係といったような、様々な公的職業資格ですとか民間で実施される資格試験まで、かなり広い範囲でこの対象講座が実施されている状況となっております。
 4ページ目は指定講座の状況を、都道府県別、分野別に整理したものです。地域によって指定講座数には非常にばらつきが見られますが、最も多い東京都が約2,300講座となっていまして、全体の約15%を占めています。特に分野別で見ていきますと、専門的サービス関係ですとか情報関係、技術関係といったものは、指定講座の4割から5割が東京の教育訓練機関により実施されているということです。
 このグラフについては、訓練実施者の住所ごとに指定講座数を集計しているものでして、例えば東京の企業がオンライン講座を開講している場合ですとか、東京の企業がほかの県に開講している場合であっても、東京にカウントされているということに御留意いただけたらと思います。
 5ページ目は、教育訓練給付の受給者数と支給額について、受給者の居住する都道府県別に見た状況です。都道府県名の隣に「専門実践(初回受給者数)」とありますが、専門実践については6か月ごとに給付されるものですが、こちらについて、2022年度中に初回の支給を受けた人数に当たります。これは全国計で約3万6,000人となっております。また、一度きり支給される特定一般と一般教育訓練給付について合わせますと、全国計で約8万1,000人となっておりますので、専門実践と合わせますと全体で11万7,000人の規模となっております。
 全体で最も多い東京では約1万8,000人で、受給者数全体に占める割合としては、約15%となっております。
 続いて6ページを御覧ください。今回の取組の背景について御説明します。政府の閣議決定文書などにおいて、主体的なリスキリングによる労働者の能力向上支援の充実に向けて、教育訓練給付制度の指定講座の拡大が求められております。一方で労働政策審議会では、指定講座について地域ごとに偏っているということが指摘されているところです。
 こうした状況を受けて、新たな対応として地域職業能力開発促進協議会において、地域ごとの訓練ニーズ等を把握し御議論いただくとともに、これらの結果を訓練ニーズの高い分野や地域の教育資源が十分に活用されていない分野の業界団体や教育訓練機関に対して、厚生労働省から教育訓練給付制度の周知広報ですとか、講座指定の申請勧奨などを実施することで、指定講座の拡大を図っていきたいと考えております。
 7ページは具体的な取組についてです。地域職業能力開発促進協議会の議題として、地域の訓練ニーズを踏まえた教育訓練給付制度による訓練機会の確保等を追加しております。この地域協議会において、労働局から教育訓練給付制度について、全国やその地域内における講座指定の状況ですとか、受給者の状況を説明するとともに、構成員である教育訓練機関や都道府県、あるいは労働者団体、事業主団体の方から、同制度を活用した訓練機会の確保についての御意見をいただきたいと考えております。
 今年の2月から3月に各地で開催される地域協議会で、さっそく議論いただくこととしております。地域協議会における協議内容について、労働局から厚生労働省の本省に報告することとしておりますので、次回の中央協議会において、この状況を共有させていただく予定です。
 これらの議論を踏まえて、今後、教育訓練給付制度の周知広報ですとか、講座指定の申請勧奨などを実施していくことで、指定講座の拡大を図っていきたいと考えております。今回御参加の各団体の皆様におかれても、都道府県の支部など関係機関が地域協議会に参画いただいていることと存じますので、組織内で共有いただくとともに地域協議会においても、忌憚のない御意見をいただきますよう、御協力をお願い申し上げます。私からの説明は以上です。
○藤村座長 どうもありがとうございました。ただいまの説明について、御質問、御意見をお願いします。いかがでしょうか。
○平田構成員 単純な質問なのですが、48ページの支給額について、都道府県別で東京が15%ということでしたけれども、これは東京に住んでいる人ベースということなのですか。そこだけ教えてください。
○谷口人材開発統括官付参事官(若年者・キャリア形成支援担当) はい、受給者数については、居住地での数ということです。
○藤村座長 ネット参加の方から手が挙がっています。まずはJILPTの堀さん、どうぞ。
○堀構成員 どうもありがとうございます。御説明どうもありがとうございました。地域偏在については大変重要なテーマだと認識しているところです。ところで確認なのですけれども、地域の訓練ニーズを反映していくという点で、これまでは割と質的な側面が主にフォーカスされていたように思うのですけれども、お話を伺っていますと、今回量的な側面も把握されると解釈してよろしいのでしょうか。教えていただければ幸いです。よろしくお願いします。
○藤村座長 どうぞお願いします。
○谷口人材開発統括官付参事官(若年者・キャリア形成支援担当) 御質問ありがとうございます。資料の4ページに、指定講座の状況ということで都道府県別に分野別の指定状況を示しておりますが、やはり非常に地域的に偏っているということがあります。こちらについては、eラーニングとか通信講座といったもので、この指定の地域とは異なる所から受けることもできるということではありますが、分野によってはそういった対応ができないところもあろうかと思います。
 そういった中で、まだ指定を受けていないような分野がありましたら、その地域の中で、より労働者の方がこういった訓練を受けやすくなるという点がありますので、ニーズを踏まえて講座の指定を増やしていけたらということを考えております。
○藤村座長 堀さん、よろしいですか。
○堀構成員 はい、ありがとうございます。既に行われている何らかの講座を指定していくという方向で、増やしていくということでよろしいですか。
○谷口人材開発統括官付参事官(若年者・キャリア形成支援担当) そうですね。まず取り組みやすい勧奨を考えますと、既にある教育訓練講座でこの教育訓練給付の指定講座となっていない所がありましたら、指定を受けてはどうかということを勧めるということもありますし、もしかしたら講座自体がその地域にないという場合には、業界団体ですとか企業等に働きかけて、この講座をこの地域で開設してはどうかということを勧めるということも、今後考えられます。
○藤村座長 では重里さん、どうぞ。
○重里構成員 ありがとうございます。教育訓練給付の指定講座についての要件の緩和について、一点御要望を申し上げたい。資料4の2ページ目に専門実践教育訓練給付の中の一番下、講座指定要件の②で、専門学校の職業実践専門課程も挙げていただいています。これは一定のスキームを超えた学科に対して文部科学大臣が認定をするというものですが、今現在この専門実践教育訓練給付の対象となっているのは、2年制の専門学校の学科に対してです。
 職業実践専門課程は2年制だけではなくて、3年制も文部科学大臣から認定を受けている学科があります。そういう点では、特にIT系なども高度化という点では2年制だけではなく3年制の学科を有している学校も幾つかあります。今後DX人材等、地域のニーズという点を鑑みると、専門学校のこの講座における指定要件を2年制あるいは3年制にも拡大するということも、是非御検討いただければ幸いです。以上です。
○藤村座長 はい、どうですか。
○谷口人材開発統括官付参事官(若年者・キャリア形成支援担当) 御意見ありがとうございます。この要件につきましても、御意見を踏まえまして今後検討していきたいと思います。
○藤村座長 そのほかありますでしょうか。
○山脇構成員 先ほど議題3でも発言しましたが、今回指定講座の拡大は、こうした地域偏在の課題解決に資するものだと受け止めており、期待しています。
 ただ、地域だけに任せるのではなく、厚生労働省としても地域の訓練ニーズ等を十分に把握していただき、東京に本社がある訓練機関などへの働きかけや、更には新規開設に向けた取り組みも含めて、積極的に取組をお願いしたいと思います。以上です。
○藤村座長 はい、よろしいですか。
○谷口人材開発統括官付参事官(若年者・キャリア形成支援担当) 御意見ありがとうございます。一番最後、7ページにも書いてありますとおり、地域協議会で御議論いただいた内容について、本省に報告していただきまして、その議論を踏まえて今後は指定申請の勧奨ですとかを厚生労働省本省の方においても取り組んでいきたいと考えていますので、御意見を踏まえて進めていきたいと思います。以上です。
○藤村座長 こういう制度があるということ自体、働いている人が知らないというのが割とあるように思いますので、東京のようにいろいろな人がいると、そういう人から聞いて、あるのだなということで自分でもそういった訓練を受けるという方がいらっしゃると思うのですが、特に地方はなかなかその辺の情報が届きにくいというのがあると思いますので、是非各都道府県の協議会で宣伝をしていただければと思います。
 では、次の議題にまいりたいと思います。議題5、今後の人材ニーズに関する関係省庁からの報告についてです。文部科学省から説明をお願いします。
○文部科学省西総合教育政策局生涯学習推進課リカレント教育・民間教育振興室長 文部科学省です。本日はこのような機会を頂きまして、誠にありがとうございます。資料5に沿って御説明申し上げます。最初のページ、文科省におけるリカレント教育推進施策の背景ということで、通しでは53ページですが、資料5の2ページ目を御覧ください。便宜的にですが、リカレント教育という言葉自体が何かの法令で規定されているわけではなくて、この連図で書いてありますが、最近とても取り沙汰されておりますリスキリングというのは、基本的には職業を念頭に置いています。アップスキリングというものは、その中で、特に今の正に仕事をアップデートする上で必要なものをアップスキリングと呼んでいる例が多いようです。
 このほかに、職業とは直接的に結び付かない技術や教養等を身に付けることも、学びの中にはありまして、こういったものを包含してリカレント教育と便宜的に呼びたいと思っております。文部科学省がリカレント教育というと、特に③の部分が従来とても強く強調されていて、公民館で余生を楽しむための囲碁教室をやっていますとかいうことが、どちらかというと中心的に取り組まれていたようなところはあるのですが、昨今の情勢を踏まえて、リカレント教育という言葉自体を、もう少しリスキリングと遠からず、近からずというところではありますが、例えば大学でその対人コミュニケーション能力のチームスキリを学ぶとか、クリティカルシンキングについて学んでいくとか、統計の基礎を学ぶとかいったことも、必ずしもリスキリングの中に入らないようなものであっても、身につけておくと必ず業務上役に立つ知識とかといったことが、大学ならではの学びとして提供できるのではないかと思っております。
 3ページを御覧いただきますと、なぜリカレント教育は必要かということですが、言わずもがな人工減少というのは著しく拡大しますということ。生産年齢人口の急激な落ち込みでありますとか、あるいはDXの到来によって、デジタルスキルを身に付けていかないと、仕事の半分がなくなるという統計もありますし、そういったことで学び続けていくことが極めて重要であると。
 学び続けると何が良いかといいますと、4ページを御覧いただきますと、成人学習の参加率が高い国は、労働生産性が高いというデータがあります。人工が減っていくのは不可避ですので、労働生産性を高めていくと、若しくはリタイアされた方々にしっかりリスキルをしていただいて、更に活躍の場を提供していくことが、労働政策上、我が国の経済政策上必要なことであろうと思っております。
 5ページ目ですが、翻って日本の状況はと見ますと、左側を御覧いただきますと、OJT以外の人材投資の国際比較です。日本のデータで見ると、アメリカの約20分の1程度しか人材投資がされていない。右側、個人に着目しますと、社外学習とか自個啓発を行っていない人が圧倒的に多いのが現状となっています。
 6ページを御覧いただきますと、更に個人で見ますと、かつては愛社精神とか忠誠心というようなことが、常に日本型の労働者の特徴といわれた時代もあったようですが、御覧いただきますとおり、大体継続して働きたいと思っている人が52%と。このグラフはアジアを中心に取っていますのでインドが一番高いのですが、7ページを御覧いただきますと、では、今の仕事で働き続けたいなあ、働きたくないなあと思っている人は、半分いるにもかかわらず、日本の場合は、では転職したいですかというと、いや、したくないですと。独立したいですかというと、それも嫌ですという割合が、日本の労働者像の大きな、大勢を占めていると。
 この辺は、例えばインドを見ていただきますと、今の仕事にもすごく満足しているし、隙あらば転職をしたい、若しくは独立をしたいという労働者は、極めて高いという状況にありまして、そういった極めて前向きに働くという状況の国々と比べて、今後、経済的にも闘かっていかなくてはいけないということを考えると、かなり厳しい状況にあるといわざるを得ないと思っております。
 8ページを御覧いただきますと、一旦便宜的にまた整理をしましたが、現状、我が国では、企業とか、個人とか、教育機関というのが三すくみの状態にあるのだろうと思っています。大学や大学院等、ここには高等専門学校や専修学校も入るかもしれませんが、企業ニーズや社会人ニーズが分かりませんとか、夜間、土日の教育にはコストが掛かりますとか、なかなか社会人向けのマーケットがまだ確立していないということ。企業から見ると、社員にスキルを身につけさせると、転職させる、退職されるのではないかと。学ぶ時間があるのだったら、人が足りないので働いてもらいたいとか。だから、社外でどのような教育が行われているか分からないと、学ぶと何が良いか全然分からないと、経営者自身がそういった経験がないということです。
 そのような状況にあって、社会人の方も、何となく学んだ方がいいなと、リスキルと最近いわれるので、何かやらなくてはいけないのだろうが、何をすればいいか分からないとか、学んだところで給料が上がるわけでもないしとか。そのようなことをしているのだったら働けと言われるとか、別にクビになるわけでもないということで、三者、どこも動けていないという状況にあって、これを打破していくことが、我が国の経済成長とか、労働生産性とか、あるいは働きがい、生きがいみたいなものの実現にとっても極めて重要であると思っております。
 この辺、大学とか教育機関に魅力的なプログラムがないから、なかなか手を出しづらいのだという御意見もありまして、コロナ以降、文部科学省としては、大学や専修学校に対して、先ほど来御紹介いただきました教育訓練給付との連動とか、社会人向けの魅力的なプログラムを開発という予算を立てて実施してまいりました。ただ、先週、私はとある政令市に行って、こういった連携の話を一生懸命やってきたのですが、その政令市が企業ニーズを巴握しようと思って、インターネットで市内の企業にアンケートを取ったそうなのですが、約1万4,000社に対してアンケートを取って、回答率が2%だったと。その2%の回答の中でリカレント教育、リスキリングという言葉を聞いたことがないとか、聞いたことはあるけれども、何のことか分からないという回答が7割を占めたということの回答が返ってきておりまして、これはかなり危機的な状況だと私は思っております。
 他方、労働者のほうで、また、これもやや脱線しますが、とある最近の新規学卒者との連動という話で聞いたのですが、新卒で入社してくるタイミングで、既に転職する先の内定を持っているというのです。ある意味、新しい安定指向だと言っておりましたが、1社でずっと勤め続けるのが我々の感覚の安定指向だと思いますが、何か嫌なことがあったらとか、この企業は駄目だと思ったら、すぐ転職するという準備を常に備えておくのが、最近の学卒者のはやりだと聞いて、それもまた大変愕然としたわけです。そういう意味で言いますと、個人を成長させ続けるというか、成長の機会を与えるということが、企業にとっても人材獲得をする上で、かつ企業成長をする上で、必要な人的投資を行っていくということは、もはや避けられない時代になっているのだと思っております。
 そのような観点で、企業に対して厚生労働省で人材開発支援助成金とか教育訓練給付金の手当てをしていただいて、非常に有り難いと思っておりますが、先ほど座長のお言葉にもありましたように、そういった制度がきちんとあるのだということを、現場にきちんと周知をしていただいて、一緒に企業も個人も教育機関も、成長していこうという気運を強くつくっていくことが、必要不可欠だと思っておりますので、このような場もそうですが、地域協議会にも、文部科学省、協力機関もお声掛けを頂いて、一生懸命努力をしていきたいと思っているところです。
 12ページ目、先ほど来少し御紹介はありましたが、BPという大学等が行う職業に結び付いた実践的なプログラムということを、文部科学大臣が認定をしますと、13ページにありますように、厚生労働省でやっていただいている教育訓練給付制度との連結を図られて、比較的スムーズに対象講座として認定いただけるとか、企業に対して人材開発支援助成制度の連携を図っていくということがあります。こちらは大学だとBPといっていますが、専修学校ではCP(キャリアアッププログラム)と呼んで実施を展開しているところです。
 14ページに、これは青山学院の例ですが、DXの知識を身につけようということであれば、何もわざわざ大学に行く必要はないわけで、そこである程度SDGsを対応したDXとは何かとか、もう少し更に深く自律的に学ぶとか、物事を深く洞察するということを、大学の強みとしてセット販売していくという動きが出てきております。
 15ページにありますのは名古屋大学の事例ですが、こちらは大学院です。修士課程レベルの知識を身に付けていただくというプログラムになっております。
 話が駆け足で大変恐縮ですが、17ページ目です。私どもとしても地域ニーズに応える産学官連携を通じたリカレント教育プラットフォーム構築支援事業ということで、なかなか大学が地域にとってハードルが高いとか、あの人たちは何を考えているか分からないということは非常にいわれますので、大学がむしろオープンマインドに地域に出掛かけていって、企業の方々とか自治体の方々に、いや、我々はこういう教育ができるのですと、こういう貢献ができるのですという場をつくっていただくことを想定しまして、産学官プラス金融機関にも入っていただいて、リカレント教育のプラットフォームを構築してもらおうという事業の実施をしております。
 具体的には、18ページにありますような北海道から大分まで、全国12か所で、今、展開をしておりまして、令和5年度の補正予算事業でも引き続き支援してまいりたいと考えております。
 例えばですが、20ページを御覧いただきますと、北海道国立大学機構、先ほどの地域協議会の事例でも小樽商科大学の話がありましたが、一生懸命取り組ませていただいております。プラットフォームだけではなくて、真ん中にあるような3~15時間程度のオンデマンド型リカレント教育、DXの基礎みたいなところから始まって、一番上まで行きますと、大学院の修士・博士まで一体的に取り組めるというスキームを作っていきたいと思っております。
 最後になりますが、21ページを御覧いただきますと、こちらは文科省が今からやろうと思っている調査研究事業です。先ほど来産業界のニーズという言葉が飛んでおりますが、実態、具体的で特定できるニーズが本当にみんな持っているのかということ自体が、かなり疑問がありまして、総論ではかなりこういうことは大事だというのですが、では、どの大学、どの教育機関に対して、何人ぐらい、どの期間、幾らを出してそれを養成してほしいというところまで結び付かないと、教育機関としては安定的に良い教育を提供するのは難しいですので、実施内容の右上の目的にありますが、大学の勉強が役に立たないとかいうこともよくいわれますので、きちんと企業の成長に直結すること、かつ、高等教育機関にしかできないというVUCAの時代といわれておりますが、そういった時代に必要なスキルを学んでいくという場を作っていきたいと思っています。
 文部科学省から民間の調査企業等に委託をして、例えば自動車、物流、建設、福祉、金融、観光とか、いろいろな業界はありますが、業界ごとに、今、求められる人材ニーズとか企業の動向をきちんと分析して、そこに対して、ではどのぐらいの投資ができるのかということを大学とのマッチングを図っていきながら、良質な教育プログラムを作っていこうという調査研究事業です。大変駆け足で恐縮でした。文部科学省からは以上です。
○藤村座長 どうもありがとうございました。ただいまの文科省の説明に対して、御意見、御質問があればお願いをします。平田さん、どうぞ。
○平田構成員 ありがとうございました。単純な質問です。18ページのプラットフォームの件ですが、これは地域的に中国、四国がないように見受けますが、何かその辺りは背景について教えていただければと思います。
○文部科学省西総合教育政策局生涯学習推進課リカレント教育・民間教育振興室長 御質問ありがとうございます。全国に対してプラットフォームといいますか、そういう受皿がある所に対して、幅広く募集をかけました。実際、中国地方からも出てきたことは出てきたのですが、審査の過程で採択しきれなかったというのが実態です。
○藤村座長 そのほかいかがでしょうか。よろしいですか。私は、最近の政府の文書というのは、片仮名がやたら多くて、これが定着しない理由だと思っています。普通の日本語にならないことは定着しないのが、過去のいろいろな施策を見ても言えると思うのです。文科省のもそうだし、厚生労働省もそうですが、もう少し普通の日本語を使いませんかと前から申し上げています。今後も、そこをお願いしたいと思います。
 では、最後の議題になります。議事次第6その他となっています。事務局から何かありますか。
 
○桃井人材開発統括官付訓練企画室長 最後に189ページの参考資料8、民間教育訓練実施機関からの主な御意見・御要望に対する回答を紹介いたします。これは第1回のときに簡単にまとめたものをお示ししておりますが、今回、上半期分がまとまったので、ホームページに掲載予定の全体版を参考資料として付けております。事務局から、参考資料を御紹介いたしました。
○藤村座長 それぞれで御覧いただきたいということになります。この資料も含めて、最後に全体を通して御質問、御意見があれば、お願いをしたいと思います。いかがでしょうか。
○重里構成員 1点戻って大変恐縮なのでずか、資料3-4の予算案についての御要望を1点失言していましたので、すみません、最後に1つだけ申し上げたいと思います。こればかりこだわって大変恐縮なのですが、資料3-4の公共職業訓練の学卒者訓練ですが、機構と都道府県を合わせた訓練数ということで、ここ5年間の在学者数は大体1万5,000~1万6,000人が推移をしていると認識をしています。予算案については、2.1万人、2万1,000人。少なくとも私は、ここ5年ぐらいは変わってないと認識をしています。そういう点では、予測があって、結論がある以上は、そもそも2万1,000人の予算の見直しをすべきではないかということを、次の再来年度以降の課題として是非御検討をよろしくお願いしたいと思います。すみません、戻っていただいて恐縮です。ありがとうございました。
○藤村座長 検討をお願いしたいということですね。そのほかありますか。よろしいですか。では、本日の議題は以上です。これをもちまして第2回中央職業能力開発促進協議会を終了とします。では、事務局、お願いします。
○桃井人材開発統括官付訓練企画室長 藤村座長、どうもありがとうございました。また、御参加の皆様におかれては、長時間にわたりありがとうございました。本日の御意見を踏まえて、全国職業訓練実施計画の策定作業を進めてまいりたいと思います。頂いたご意見については、藤村座長と御相談しながら進めさせていただきたいと思います。本日の議事については、構成員の皆様の確認を経た後、資料とともに厚生労働省ホームページで公開することとしております。併せて、本日の資料と協議内容については、地域で開催されます地域協議会でも情報共有をいたします。次回の開催については、本年9月頃を予定しており、別途、事務局から御連絡いたします。本日はどうもありがとうございました。
○藤村座長 どうもお疲れさまでした。