技能実習評価試験の整備等に関する専門家会議(第74回)議事要旨

人材開発統括官海外人材育成担当参事官室

 

日時:令和6年1月24日(水) 15:00~17:00
場所:Web会議
出席者:市田委員、岩崎委員、漆原委員、大迫委員、後藤委員、當間委員、花山委員、堀委員
厚生労働省人材開発統括官付海外人材育成担当参事官室、出入国在留管理庁在留管理支援部在留管理課、外務省領事局外国人課、外国人技能実習機構
(林業職種関係)林業技能向上センター、林野庁林政部経営課林業労働・経営対策室
(陶磁器工業製品製造職種関係)日本陶業連盟、経済産業省製造産業局生活製品課
(牛豚食肉処理加工業職種関係)全国食肉学校、農林水産省畜産局食肉鶏卵課
 
議題
(1)林業職種の職種追加について(試行試験の結果確認)
(2)陶磁器工業製品製造職種の試験の実施・運営状況の報告について
(3)牛豚食肉処理加工業職種の試験の実施・運営状況の報告について
 
【概要】
(1)林業職種の職種追加について(試行試験の結果確認)
○ 林業職種(育林・素材生産作業)の試行試験結果について、林業技能向上センターから説明が行われ、主として以下のような質疑が行われた。
・運営委員会における試行試験の検証の議論において、保護メガネを装着すると周囲が見えにくくなるとの意見が出たとのことであるが、周囲が見えなくなるような保護メガネを作業に使っていること自体が安全の観点から問題であるため、周囲が見やすい保護メガネの推奨製品を示すべきではないかとの意見があった。これに対し、保護メガネを装着したまま移動すると足下が見えづらい場合があり、保護メガネの装着はチェーンソーで切った破片が目に入るのを防ぐためのものであることから、保護メガネの装着の採点については、移動中は対象外とし、鋸断中に限定してはどうかとの意見であるとの回答があった。
・運営委員会における試行試験の検証の議論において、経費の関係もあり、技能レベルを落とさない程度に難易度を軽減してはどうかとの意見があったとのことであるが、最終的にどのように対応したのかとの質問があった。これに対し、試験用材料費は受検料に反映されるため、受検料が高額とならないよう、難易度を落とさない程度に丸太輪切りの試験用材料の円柱加工材を細いものに変更したとの回答があった。
・受検案内に、「※3:軍手や簡易な手袋は避けてください」とあるが、林野庁が作成している「林業労働における安全衛生確保のための遵守事項等」の中に、「防振及び防寒に役立つ厚手の手袋を用いること」と記載されていることから、試験の際に手袋についても確認すべきとの意見があった。これに対し、不適切な軍手を使用していた場合については、試験前に、適切なものに取り換えるよう指導するとの回答があった。
・実技試験問題において、保護帽は厚生労働省告示66号の規格に適合し、型式認定を受けたものを使用するとのことであれば、受検案内などの該当箇所にも記載すべきとの意見があった。これに対し、保護帽を含め安全な保護具を使用するよう、試験前に注意していきたいとの回答があった。
・試行試験の結果において、失格や不合格が多かった理由として、受検生の試験に臨む心構えに問題があったという説明があったが、具体的には、どういうことなのかとの質問があった。これに対し、アンケート等により確認したところ、試行試験の意義が受検生に十分に伝わっていなかったことから、今年度は、技能を高めて安全にも寄与して、労働者の地位向上を図るために技能検定を整備するといった趣旨を説明し、試行試験の意義を理解いただいた中で適切な試行試験が実施できているとの回答があった。
・試行試験において、技能を教える側や試験会場によりバラツキが発生することはなかったのかとの質問があった。これに対し、試験監督者に対して集合研修を行い、実際にチェーンソーを用いて何度も繰り返し研修を行っているため、試験監督者のレベルはそろっていること、また、試験会場についても、試験条件が同等に設定できる場所が確保できているとの回答があった。
・林野庁から、技能実習生に受講を義務付ける予定の研修について、これまでの議論でいただいた意見も踏まえ、研修のテキスト、習熟度の確認のためのチェックリストなどの準備を進めていることの説明があった。
○ 検討の結果、林業職種(育林・素材生産作業)については、技能検定の対象となることを前提に、移行対象職種・作業に追加することについて了承された。また、技能実習生への研修及び習熟度確認に関する具体的な内容について、後日、準備ができ次第、林野庁から報告することとなった。
 
(2)陶磁器工業製品製造職種の試験の実施・運営状況の報告について
○ 陶磁器工業製品製造職種の試験の実施・運営状況の報告について、日本陶業連盟から報告があり、主として以下のような質疑が行われた。
・実技試験の試験時間について、57分や59分という時間設定があるが、きりの良い時間となっていない理由について質問があった。これに対し、日本人で計った平均的な作業時間を基に、現在の時間設定にしているとの回答があった。
・試験問題について、漢字の送り仮名など表記が統一されていない部分は統一すべきとの意見があった。これに対し、御指摘のとおり修正するとの回答があった。
○ 報告の結果、陶磁器工業製品製造職種の技能実習評価試験について、試験実施機関は会議で受けた指摘に対応し、より一層適切な実施に努めることとされた。
 
(3)牛豚食肉処理加工業職種の試験の実施・運営状況の報告について
○ 牛豚食肉処理加工業職種の試験の実施・運営状況の報告について、全国食肉学校から報告があり、主として以下のような質疑が行われた。
・外国人技能実習生が母国に帰った後に、修得した技能を活かすことができているのかとの質問があった。これに対し、日本と同様な作業手順であり、同様な技能を必要としていることについて、現地調査により確認しているとの回答があった。
・ベトナムでは牛肉を食べないのではないかとの質問があった。これに対し、ベトナムでの現地調査においては、豚肉の取扱量が多いものの、牛肉も十分に流通していることを確認しているとの回答があった。
・牛肉、豚肉に加え、鶏肉の処理加工についても一緒に実習することはできるのかとの質問があった。これに対し、日本国内では、牛豚と鶏とでは、業界が異なっており、事業所も別であり、牛豚と鶏の両方を取り扱っている事業所はないとの回答があった。事務局から、移行対象職種については、牛豚食肉処理加工業職種とは別に、食鳥処理加工業職種が設定されているとの説明がなされた。
・今後、送出国において、牛豚処理加工が増える見通しがあるのかとの質問があった。これに対し、近年、ベトナムにおいて、日本商社も関与している稼働予定の近代的な食肉センターにおいて、日本の技能実習で学んだ人たちを雇用したいという動きが出ていること、また、ベトナム政府としては衛生的な食肉センターに絞り込んでいきたいという動きがあり、そのような近代的な食肉センターにおいて、日本の技能実習で学んだ人たちが今後活躍できるのではないかと考えているとの回答があった。
○ 報告の結果、牛豚食肉処理加工業職種の技能実習評価試験について、試験実施機関は会議で受けた指摘に対応し、より一層適切な実施に努めることとされた。
 
(以上)