2024年1月19日 第10回毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループ 議事録

政策統括官付参事官付統計企画調整室

日時

令和6年1月19日(金) 10:00~10:55

場所

厚生労働省政策統括官(統計・情報システム管理、労使関係担当)内会議室

出席者

構成員(五十音順、敬称略、◎:主査)
  •  稲葉 由之
  • ◎加藤 久和
  •  高橋 陽子
  •  樋田 勉
構成員以外の関係者
  •  西郷 浩(早稲田大学政治経済学術院教授)
事務局
  •  森川政策統括官
  •  青山政策立案総括審議官
  •  飯島統計企画調整室長
  •  長山審査解析室長
  •  角井統計管理官
  •  前原雇用・賃金福祉統計室長補佐
  •  境谷雇用・賃金福祉統計室長補佐

議題

  1. 前回ワーキンググループで御指摘いただいた事項及びベンチマーク更新時の公表方法について
  2. 毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループ報告書(案)について
  3. その他

議事

議事内容

○飯島統計企画調整室長
 定刻になりましたので、ただいまから第10回毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループを開催させていただきます。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。本日の出席状況ですが、風神委員からは御欠席の御連絡をいただいております。なお、本日は審議協力者として、早稲田大学政治経済学術院教授の西郷先生に御出席いただいております。また、政策立案統括審議官の青山ですが、別の公務のため、途中退席させていただく予定となっており、企画調整担当参事官の石津も別の公務のため、欠席となっております。
 それでは、本ワーキンググループの再開に当たりまして、政策統括官の森川より御挨拶を申し上げます。
 
○森川政策統括官
 政策統括官の森川です。本日はお忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 前回のワーキンググループにおきまして、報告書案について御議論いただいたところですが、母集団推計の補正方法について貴重な御指摘がございました。御指摘を踏まえまして、事務局において追加の分析を行ったところ、一部の産業で母集団の推計結果と実態との乖離が大きく生じる可能性が示唆されたこともありまして、今後行う予定のベンチマーク更新時の対応策について、委員の皆様に御議論、御意見を頂戴いたしたく、改めてお集まりいただきました。御指摘いただきました委員の皆様方の高い見識に敬服いたしますとともに、心より感謝申し上げる次第です。急な開催となりまして、大変恐縮ですが、どうぞ御審議のほど、よろしくお願いいたします。
 
○飯島統計企画調整室長
 それでは、以後の進行につきましては、加藤主査にお願いいたします。
 
○加藤主査
 おはようございます。皆様、本日はお忙しい中お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。それでは、議事を進めてまいりたいと思います。本日の議題ですが、「1.前回ワーキンググループで御指摘いただいた事項及びベンチマーク更新時の公表方法について」、「2.毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループの報告書(案)について」、「3.その他」となっております。なお、本日のワーキンググループは12時までを予定しておりますが、予定時間を若干過ぎる可能性もあるかと思います。そのような場合、御予定のある方は御退席をいただいても結構です。
 それでは、まず1つ目の議事の「前回ワーキンググループで御指摘いただいた事項及びベンチマーク更新時の公表方法について」ですが、こちらは前回ワーキンググループでの御指摘等を踏まえ、事務局のほうで資料を準備していただきました。それでは、事務局から御説明をお願いいたします。
 
○角井統計管理官
 雇用・賃金福祉統計室の角井と申します。資料1に沿って説明いたします。資料1につきましては、前回ワーキンググループで御指摘いただいた事項及びベンチマーク更新時の公表方法について説明いたします。
 1、2、3ページ目は前回のもので、経済センサスの結果と雇用保険データの集計値の比較です。
 4ページ目ですが、経済センサスと労災保険データの比較をしたらどうかという御指摘がありましたので、同様に、経済センサスと労災保険のデータについて、表とグラフで事業所数の構成比比較をしたものです。
 5ページは、それぞれの労働者数の比較です。労災保険のほうが少し多めに出ています。なお、産業別ですが、労災保険の集計をしている産業ですが、ぴたっと経済センサスに合っていないものもありましたので、合うものについて表示しております。
 次に事業所規模の変更による母集団労働者数の補正の状況です。6ページ目が前回のもので、7ページ目が、増加・減少の対象となる事業所の条件における閾値の幅をなくした場合の結果です。現行のものに比べまして、数については事業所数も労働者数も少し増えています。右下の赤字の所は、「流入」-「流出」ですが、現行と傾向は同じですが、少し数が多めに出ていることが分かります。
 8ページ以降につきましては、適用率のKやLについて、もう少し細かい刻みで見たらどうかという御指摘についての分析です。8ページ目は前回のもので、9ページ目はKを0.1刻みにしたものです。0.1刻みにしても、下の表を見ていただくと分かるとおり、K=0.5、L=0.5の乖離が比較的小さくなるという結果になっております。こちらは産業計です。
 10ページ以降は産業別にしたものです。10ページ目が製造業です。少し形が変則的になっていますが、製造業については雇用保険の数の出入りが他の産業に比べて非常に少ないことが特徴的となっています。平成16年から少し上がっている所について分析はしてみましたが、なぜこういう形になっているのかというのは明確には分かりませんでした。
 11ページ目が卸売業、小売業です。12ページ目は、宿泊業、飲食サービス業です。こちらが少し特徴的で、特に平成30年のギャップですが、現行の推計方法では、どんどん数が増加する傾向にあります。こちらは雇用保険の制度の改正が行われたことにより、加入者数が増え、その結果雇用保険データによる補正により数が増えたということが分かりました。適用率0.5がかかっているのですが、それでも増えたということです。一方で、この黒ポツが基準値で経済センサスの数字から算出しているのですが、平成30年では下の方になっているのが分かります。令和6年1月のベンチマーク更新のときは、令和3年経済センサスを使うのですが、この基準値が少し低めに出る可能性があることが分かりました。そうしますと、雇用保険データによる補正により数が増えているいる中で、基準値が下側に出てしまいますと、そこでギャップが出ます。その結果、ベンチマークの更新時に乖離が出るのですが、この産業につきましては、少しギャップが大きいのではないかということが、この分析で分かりました。13ページ目が医療,福祉です。以上、Kを0.1刻みにした細かい分析の中で、そういうことが分かってきたということでした。
 14ページ以降は、Lを変更して刻んでみたものです。
 16ページ以降は、Lを0.1刻みにしたものです。ただ、実際にKも一緒に動くので、本来は、Kを0.1刻みにしますと100通りは出てきます。一応、分析はしたのですが、傾向がそれほど変わらなかったので、K=0と0.5と1との中で、Lを0.1刻みにしております。
 16ページ目は、産業計、Kを0、Lを0.1刻みにしたものです。以下、産業別になっています。21ページ目は、Kを0.5にしたものです。以下、同様です。
 26ページ目から、K=1にしたものです。少し細かいのですが、産業とK、Lの関係で、どういう動きをしたかということが、我々としても、今回初めて分かった結果です。
 こういう細かい分析の中で分かったことで、31ページ目になりますが、K、Lを変化させてみて詳細な試算を行った結果、1番目として、これは前回もここで話したのですが、K、Lを0.5に設定してきたことにつきましては一定の合理性があるということが分かりました。これは遡って、過去を見てということです。
 一方で、今申し上げました詳細な分析を行った結果、産業別に見ると必ずしも0.5というのが最適なものではないということも分かりました。雇用保険の制度変更を始めとする政策の影響を受けることが分かりましたし、この経済センサスも含めた各種統計調査については、経済センサスは令和3年なので、ちょうど新型コロナウイルスの関係で、様々な要因の影響を受けるということもありますので、こういうことも含め、結果的に実態と適合する適用率(K、L)につきましては、過去のほうは分析ができるのですが、事前にこれからのものについて設定するということは困難であるということも分かりました。したがいまして、一定の期間が経つにつれて、毎月の推計における乖離が蓄積されていくということもあり、ベンチマーク更新時に一定の断層が生じることは避けられず、ベンチマーク更新で断層が生じれば、それに伴って、賃金等にも断層が生じるということになりますので、やはりこの辺は利用者に混乱を与える可能性があるのではないかと、我々は考えました。
 32ページ目になりますが、今後行われるベンチマーク更新時の公表方法について考察したものです。賃金等の変化につきましては、景気の指標として活用されることもありますので、伸び率についての公表方法をどうすべきかということを検討しています。なお、括弧書きにありますように、平成30年からは、かつて行っていた指数の遡及改定をしないという前提になりますので、それを踏まえて、対応案丸1と丸2を考えています。丸1は従来方法です。イメージ図でいいますと、例えば令和5年1月に、既に公表されているものがあります。こちらは「旧ベンチ」という言い方もしますが、前のベンチのもので集計しているということで、指数を100.0にしています。丸2の令和6年の1月分につきましては、公表は「新ベンチ」になりますので、下側の更新後の値、指数は102.3になります。したがいまして、従来ですと、これらの差なので2.3%の変化率になります。これまでもそうなのですが、ベンチマーク更新前の値(参考値)が101.2とあり、これとの差が1.1%とありますが、こういう情報につきましては、全て公表しています。少し細かくて申し訳ないのですが、※に公表値の伸び率につきましては2.3%。ただし、参考値は参考情報として、e-Stat等に別途、公表していると記載しています。
 これに対して、対応案丸2につきましては、ベンチマーク更新の影響を取り除いたもの同士の比較であり、イメージ図でいいますと、既に公表されているベンチマーク更新前の値、指数は100になっておりますが、これは「旧ベンチ」ということです。その下側の「新ベンチ」、更新後の指数が101.0を参考値として算出しておきまして、R6の1月分の新ベンチ、指数が102.3とありますが、これと参考値の101.0と比較すると、1.3%になり、これを伸び率とします。※も同じですが、公表値の伸び率は1.3%。ただし、参考値等につきましては、別途、e-Stat等に掲載します。
 留意点ですが、これで利用者の混乱が生じにくいと考えられるのが1つです。2つ目は、どうしても、現在公表している令和5年の1月の指数と令和6年の1月の公表値、それぞれの指数を計算しても、伸び率については、ここでいうところの1.3%にはならないということで、関係性が崩れるというのが留意点としてあります。
 ということで、対応案丸2としては、ベンチマーク更新の影響を取り除いた伸び率を公表するということで提案させていただいています。
 33ページ以降は、参考として付けています。こういうやり方につきまして、ほかの調査でもやっているのか調べたもので具体的に、ベンチマークということでもないものもあるのですが、ウエイト等、調査の骨格を成すものが、新基準に変更した場合は、同じ基準にして伸び率を計算しているという意味で、消費者物価指数とか、家計調査、サービス産業動向調査、賃金構造基本統計調査などがあります。
 最後に、34ページ目につきましては、現在もホームページには掲載しているのですが、これまでの「サンプル入替え」とか、「ベンチマーク更新」によるギャップについてです。赤で囲っている所が「ウエイト更新」で、大体1,000円前後が毎回出ています。私からの説明は以上になります。
 
○加藤主査
 御説明どうもありがとうございました。KとLの試算については、非常に大変な作業をやっていただいたと思います。また、ベンチマーク更新時の公表方法についてというところが大きな課題かと思います。それでは、ただいま御説明のありました事項について、御意見、御質問等がございましたら、委員の皆様、どうぞ御自由に御発言いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。前回のワーキンググループの御指摘事項をいただいて、このようなシミュレーションをしていただいたということでもあります。よろしいでしょうか。
 
○樋田委員
 では、よろしいでしょうか。
 
○加藤主査
 樋田先生、お願いいたします。
 
○樋田委員
 御説明ありがとうございました。前回、私からKとLの検討をお願いして、それを細かくやっていただいたということで感謝申し上げます。先ほどの説明の中で、KとLの100通り程度の組み合わせを計算したが、特にKとLの関連性はなかったので、幾つかの固定した値を表示しているということでした。もし、この枠組みの中でKとLを検討する場合には、KとLは独立に扱っても問題なさそうだという解釈してもよさそうだと理解いたしました。そのような解釈でよろしいのか教えてください。
 それから、閾値の件なのですが、閾値を除いた場合にどのぐらいの事業所が移動するのかを見せていただきました。かなり動いているなという印象です。動いているということも、もちろん大事なのですが、動いたときに集計値がどのぐらい変化するのかということのほうがより重要かなと思うので、その辺りの試算というのは是非していただきたいなと思います。その試算をした上でも特に結果が変わらないというのであれば、現行の集計方法で良いかなと思うのですが、もし大きく変わるということがあった場合には、どちらの取扱いがよろしいのかというのは検討する必要があるのかなと考えます。
 それから、最後のまとめの件なのですが、私の理解ができていないところもあると思うので確認させていただきたいと思います。今回、対応案丸2というものが出てきて、検討する時間が少ないので心配な気もするのですが、幾つか確認させてください。X年の1月の変化率を計算するときに、X-1年の1月のベンチマーク更新後の数字を使うということは、X年に更新されたベンチマークから、X-1年の1月の労働者数を逆のほうに推計していって賃金の平均値を出すという理解でよろしいのでしょうか。この理解が正しいなら、逆向きの推計でどのような方法を使うのかというのを教えてください。
 次に、まとめの31ページの2番目の件です。1番目については、私も合理性があると思います。2番目の件なのですが、結果的にうまくいくような適用率を事前に設定することは確かに困難だと思うのですが、現状は0.5という数字を使っていて、現在の母集団推計の方法では、何らかの数字が必要です。いまは0.5を使っていて、全体としてはうまくいっているのだけれども、産業別に見るとうまくいっていない所もあるということです。もちろん、未来を見通すことはできないわけなのですが、過去のデータを使って、推計精度の向上の可能生がある数字を作る努力は必要なのかなと思いますので、この2番目の所は余り合意できないかなというところで、是非この辺りは検討する余地や、検討の方向性を示していただきたいなと思います。私からは以上です。よろしくお願いいたします。
 
○加藤主査
 ありがとうございます。事務局からお願いいたします。
 
○角井統計管理官
 どうもありがとうございました。御質問は4つありました。1番目ですが、先ほど申しましたように、100通り程やっておりましたが、ここではKを0と0.5と1にしています。0と0.1がそれほど大きく変わるというのではなくて、少しずつ連続的に変わっていったものですから、0と0.5と1で大体の傾向が出るかなということで、この3つにしています。
 
○樋田委員
 分かりました。
 
○角井統計管理官
 それから、7ページの所は、おっしゃるとおり、これは、あくまでも数だけです。実際に、これで推計してみて、どれぐらいの乖離が出るかということまでは、実はそこまではやっていませんでした。当然、こういう分析は、ここで終わりではなくて、続けていきたいと考えておりますので、先生がおっしゃったように、実際に賃金などを出してみて、乖離等があるかないかということは引き続き検討していきたいと考えております。
 3つ目ですが、32ページです。X-1年のベンチマーク更新後の参考値についての算出方法については、単純に、X年1月で使用するベンチマーク更新で使うギャップの比率を、そのままX-1年の1月分に掛けて母集団を推計しています。X年1月の母集団数を遡って推計していって何かやっていくということは、考えておりません。X-1年1月でベンチマーク更新を決めて、後の動きについては通常のやり方で推計していきますが、そういう意味では、遡って何かをすることはないと考えております。
 4つ目については先生がおっしゃるとおりで、K、Lはある程度の予測はできるかもしれませんが、現時点ではそこまでは考えておりませんので、これは今後の課題と考えております。実際にK、Lを産業や規模で動かしてみて、どれが最適になるかということは、過去のものから推計しながらやっていけるのかもしれません。一方で、先ほど申しました政策の影響や、各種統計調査が何らかの影響を受けてしまいますと、結局それも合わなくなる可能性もありますので、ここはなかなか難しいのかなと考えております。先ほど申しました検討・分析については、今後もやっていく予定ですので、こういうことも念頭に置きながらやっていきたいと考えております。
 
○樋田委員
 説明ありがとうございました。そうですね、今後も検討していただけるということですので、是非、詳細な検討をお願いしたいと思います。それと、ベンチマーク更新時の対応案丸2の、X-1年の1月の数値の作り方なのですが、こちらはもう少し検討したほうが良いのではないかなと思うのです。先ほど御説明いただいたのは、旧ベンチマークとの変化率を計算して、毎年当たりの変化の仕方というのを計算していくような御説明だったと思うのですが、その理解でよろしいのですか。
 
○角井統計管理官
 そうですね。
 
○樋田委員
 そのやり方というのは、新ベンチに完全に移行しているというわけではないと思うのです。新ベンチから過去に遡っていく数値と、比率で割り戻した数値というのは、どちらがより適当なのかはすぐに判断できないのですが、一度、試算をしてみて、どのくらいずれるのかということを確認した上で作業を進めておく必要はあると思っています。もし今回から対応案丸2を使うことになった場合に、新ベンチのベースとなる数字になりますので、その辺りの試算は必要なのではないかなと思います。以上です。
 
○角井統計管理官
 ありがとうございます。おっしゃるとおりで、ざっくりとした試算ではそんなに差はなかったように記憶しているのですが、新しいデータが出てきていますので、この辺は再度、確認してやっていきたいと考えております。ありがとうございました。
 
○樋田委員
 以上です。
 
○加藤主査
 ありがとうございました。もちろん、KとLの問題、それから閾値の問題は、このワーキンググループで全ておしまいではないと伺っております。やはり、毎勤は生き物と言いますか変わっていきますので、今後も是非、今の樋田先生のお話も踏まえながら、毎勤のワーキンググループ終了後にも継続的に研究を続けていただければということだったと思います。今の対応案丸2についても、もしこの形でやるのであれば、また改めてというか、更に深めていただきたいということで、基本的には対応案丸1なのか丸2なのか、どちらが更新時の影響を取り除くのか取り除かないのかという意味で言えば、対応案丸2で進めていきたいなとは思っているのですが、樋田先生、その点についてはよろしいでしょうか。
 
○樋田委員
 はい。この部分はもう少し議論したほうが良いのではないかなと思いますが、対応案丸2という方針については、事務局で検討した上で作業を進めるということであれば、よろしいのではないかなと思っています。
 
○加藤主査
 ありがとうございます。ほかの先生方、御意見、御質問等はございませんか。
 
○稲葉委員
 稲葉です。よろしいでしょうか。
 
○加藤主査
 稲葉先生、お願いいたします。
 
○稲葉委員
 実は私、先ほどの説明で勘違いをしていたことがありまして、ちょっとお伺いしたいことがあります。対応案丸2なのですが、今のお話ですと、ベンチマーク更新後に計算をし直すというわけではないのですね。
 
○角井統計管理官
 いえ、計算をし直します。
 
○稲葉委員
 新しいベンチ、はい。
 
○角井統計管理官
 新しいベンチでもって、令和5年の1月の個票を用いて再集計することになります。
 
○稲葉委員
 分かりました。ありがとうございます。式で書いていただいたほうが分かりやすいのかなと思ったのですが。
 
○角井統計管理官
 そうですね、分かりやすさの観点で検討してみます。
 
○稲葉委員
 対応案丸2の「留意点等」の1番目の項目なのですが、少し違和感のある表現が含まれています。読みますと、「ベンチマーク更新の影響が含まれず、基準を揃えた値同士を比較していることから、より実感に近く」という表現をされているのですが、「より実感に近い」という表現は、主観的な表現になってしまいますので、そうではなくて、比較の考え方を示すというような記述に変えたほうが良いのではないかと考えました。
 例えば、計算をし直すという前提で考えると、ベンチマーク更新後の参考値に基づく母集団労働者数のほうが、実態に近い可能性が高いと言えるのではないかと。計算した値を見てみないと分からないのですが、そのように書いたならば比較の考え方、「実感に近い」という主観的な表現ではなくて、こういうような比較の考え方、基準を同じくして比較をしたほうが、正しい変化率であるというように示したほうが、報告書等に記載する上においては良いのではないかと考えました。
 細かな点を1点だけ申し上げますと、これは別の事項ですが、変化を表現する用語として、資料では伸び率、変化率という言葉を使っていますが、毎月勤労統計調査では、変化を表す言葉は、前年比とか前年同月比という言葉を使っていますので、用語が幾つか出てくるよりも、統一して記述したほうが良いのではないかというところです。細かな点ですが報告いたします。以上です。
 
○角井統計管理官
 ありがとうございました。御指摘を踏まえて、資料や報告書の文言について修正して分かりやすい文言にしていきます。御指摘ありがとうございました。
 
○稲葉委員
 ありがとうございました。
 
○加藤主査
 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。御質問、コメント等をどうもありがとうございました。前回、ワーキンググループでの御指摘を踏まえ、より詳細な分析・検証を、御説明いただいたように実施していくことができました。また、この詳細な分析・検証とともに、ベンチマーク更新時の公表方法についても御議論いただいたところです。
 毎月勤労統計調査の母集団労働者数については、毎月の調査結果や雇用保険データにより推計していること、推計に用いている雇用保険データが雇用保険の制度変更を始めとする政策の影響を受けることもあり、毎月、乖離が発生し、ベンチマーク更新時の賃金等に一定の断層が生じることは避けられないと思います。
 毎月の勤労統計調査が景気指標として活用されていることや、ユーザーを混乱させることのないようにすることにも留意が必要だと思います。また、消費者物価指数や家計調査など、他の調査においても同様の手法が用いられているということですので、本ワーキンググループとしては、ベンチマーク更新時の公表方法の対応案丸2のとおり、ベンチマーク更新の影響を取り除いた伸び率を公表する方法が、より適切と考えております。それに加えて、今、御議論いただいたように、このワーキンググループはこれでおしまいではないということですので、閾値の問題、K、Lの問題等についても、また樋田先生、稲葉先生の御指摘等も踏まえながら、修正するということも踏まえた上で、対応案丸2のとおり、こうした形で公表する方法にしたいと考えておりますが、それでよろしいでしょうか。
 
○加藤主査
 どうもありがとうございます。それでは、このような形で進めさせていただきたいと思います。どうも御議論のほど、ありがとうございました。
 続いて、議題2の「毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループ報告書(案)について」ですが、本日の議題や前回ワーキンググループでの御意見等を踏まえた「報告書(案)」の修正案ということです。事務局より前回からの変更点について御説明いただいた後、改めて、当ワーキンググループとして報告書の取りまとめを行いたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。それでは、事務局から御説明をお願いいたします。
 
○角井統計管理官
 それでは、ワーキンググループ報告書(案)ということで、資料2です。最初に目次があります。前回9月にお示ししたものと少し順番を変えております。1.は、季節調整法について書いてあります。2.は、今、御議論いただきました公表方法も含めて、労働者数の変化に伴う課題として、(1)がベンチマーク更新、(2)が母集団労働者数の推計、(3)はベンチマーク更新時の公表方法となっております。中身の文言については、それほど大きな変更はありません。特に、主な変更点についてだけ、私から説明したいと思います。また、御指摘いただきました今回の資料1に載っております分析の結果については、全て盛り込んでおります。
 39ページ目を御覧ください。こちらにベンチマーク更新時の公表方法の検討の必要について追記していますす。全部黒字になっていますので分かりにくいかもしれませんが、上から2行目に、「一方で」とありますが、ここからが追記している所です。今申し上げましたK、Lの値について、事前に決定するのは困難であると記載しています。
 65ページは、今、御議論いただいたものです。(3)ベンチマーク更新時の公表方法についてということで、ここは全部新規の追記になります。内容については、先ほど説明したものをそのまま記載しています。丸1現状と課題、66ページ目が丸2検討の方向性になります。
 それから、図表(4)-1ですが、先ほど稲葉先生から御指摘があったとおり、文言についてはここで修正したいと考えております。
 67ページ目は、検討結果です。下から4行目辺りに、対応案丸2のベンチマーク更新時の影響を取り除いたものにするというものが適当と考えられるとしております。ただ、これまでと同様ですが、参考値も含めて我々が分析したもの、あるいはその要因については、利用者に対して全て情報提供するということは考えております。
 一番下の脚注にありますように、いつからするのかということがなかったものですから、ここに記載しました。予定どおりいきますと、次の令和6年1月分の確報になります。確報値の公表については、4月8日を予定しています。私からは以上です。
 
○加藤主査
 それでは、ただいま御説明のありました事柄について、御意見、御質問等がありましたら、よろしくお願いいたします。
 
○樋田委員
 御説明ありがとうございました。私から4点、追加のお願いをしたいと思っています。1点目は、これまでのワーキンググループの中で母集団の推計の方法について、母集団労働者数自体が推計値なので、比推計の適用が適切であるのかという意見がありました。私が見落としているのかもしれないのですが、それについての記述がないように見えるので、中長期的な課題としては、そのような問題も指摘されているのだということは書いておいていただきたいと思います。
 2点目は、先ほどのKとLを事前に設定できるのかという問題なのですが、困難であるというだけではなくて、今後の検証課題なのだというようなことが分かるような表現で、報告書をまとめていただきたいと思います。
 あと1つは、最後の対応案丸2の適用方法について、先ほど稲葉先生から数式での説明の必要性について御指摘がありましたが、そういったものも盛り込んだ形で書いていただきたいということが3点目です。最後に、事業所の閾値の問題のときに、かなり動きがあることが分かりました。閾値を設ける場合と設けない場合とで推計値がどのぐらい変わるのかというのも、今後の検討課題として、あるいはもし対応できるのであれば、どのような数字になるかということを報告書に盛り込んでいただけたらと思います。以上です。よろしくお願いいたします。
 
○加藤主査
 ありがとうございます。
 
○角井統計管理官
 ありがとうございました。1つ目ですが、いろいろ御意見があったというのは、39ページ目のなお書き以下に書いたのですが、ここ以外にという御指摘でしょうか。それとも、まだ足りないという感じでしょうか。もし、この内容について、もう少し書いたほうが良いということがありましたら、追記したいと考えます。
 
○樋田委員
 そうですね。
 
○角井統計管理官
 もし追記したほうが良いという内容がありましたら御指摘いただければと思います。
 
○樋田委員
 分かりました。
 
○角井統計管理官
 はい。それから2つ目ですが、その上の今後の検討課題の、K、Lについては、おっしゃるとおり、検討してみて追記できれば修正したいと考えます。
 それから、66ページ目の、稲葉先生から御指摘があった数式等でできるかという所ですが、数式のほうが見やすいということでしたら、数式にしたいと思います。ちょっと作ってみて、分かりやすい資料ができましたら追記したいと思います。
 それから、最後の閾値については、これから検討をしていくということについて、もし結果が出れば、書き加えたいと思います。御指摘ありがとうございました。
 
○樋田委員
 よろしくお願いいたします。以上です。
 
○加藤主査
 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
 
○稲葉委員
 稲葉です。よろしいでしょうか。
 
○加藤主査
 はい、お願いいたします。
 
○稲葉委員
 私からは2点ほどあります。1点目は、報告書の内容に付け加えていただきたい点と、2点目については追加的な意見として申し上げたいと思います。まず1点目は、資料2の66ページを御覧ください。こちらに、先ほどの御指摘にありました検討結果の対応案丸2の話があります。こちらの下から2行目の所で、「利用者に対して情報提供を行うことが必要である」と示されているわけですが、今回対応案丸2で実施をする際に説明にもありましたように、指数と前年同月比といったものの整合性が取れない、整合性が崩れるといったことがありました。そのことを、もう少しより具体的に、この報告書の66ページに書いておいたほうが良いのではないかと考えました。
 公表した指数と前年同月比との関係が崩れるため、参考値等の利用上の注意点を示す必要があるというような、情報提供の必要性といったこと、原因についても含めて、報告書に記述しておいたほうが良いのではないでしょうかということです。
 2点目は、39ページに戻ります。2回ほど前のワーキンググループでの意見を記述していただいた所があります。今回、対応案丸2で実施するということから考えますと、労働者数のウエイトを、ベンチマーク更新時に固定して、基準年を明記したような賃金指数を公表するというようなことも検討する価値があるのではないかということが考えられると思います。現状の計算方法であるウエイトについても、毎月更新するという方法を使い続ける限りにおいては、産業別の労働者数が大きく変化するような時期には、それに伴いベンチマーク更新時に大きな断層が生じる可能性は高くなるのではないかと考えます。
 他の統計の公表事例でも挙げられています消費者物価指数のウエイトは、基準年のものを品目のウエイトとしておいて、それを固定して価格の変化のみに基づいた指数を計算しています。こちらの賃金指数、あるいは労働時間指数についても、ベンチマーク更新時の基準年に固定して指数を計算するという方法を検討する価値があるのではないかということが挙げられると考えます。これは、もう報告書に記載されている事項ですので、付け加える必要はなく、追加的にもう一度申し上げたいといった面で申し上げさせていただきました。以上2点です。よろしくお願いいたします。
 
○角井統計管理官
 ありがとうございました。最初の66ページ目の、利用者に対して情報提供の「情報提供」の所を、もう少し分かりやすくというか、より具体的に書いたほうが良いという御指摘であったかと思います。そこは、図表に記載があるので、本文にも書いたほうが良いと思いますので、検討させてください。ありがとうございました。
 それから39ページ目ですが、推計の方法については、いろいろな御意見をいただいております。今後の検討課題の1つとして、先生がおっしゃったように、こういう形でも検討できるか、推計できるかということもありますので、分析の1つとして承りました。御指摘ありがとうございました。
 
○稲葉委員
 ありがとうございます。
 
○加藤主査
 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
 
○樋田委員
 樋田ですが、よろしいでしょうか。
 
○加藤主査
 はい、お願いいたします。
 
○樋田委員
 先ほど私が申し上げた比推定の件ですが、確かに39ページで、表現は違うのですが同じ意図だと思いますので、このままで結構です。
 
○角井統計管理官
 はい、分かりました。ありがとうございました。
 
○加藤主査
 ほかによろしいでしょうか。ありがとうございます。今、樋田先生から、大きく分けると実際に3つの視点、KとLの話を更に検討すること、また対応案丸2では数式での説明が加えられたらということ。それから、閾値の更なる検討ということだと思います。稲葉先生からは、利用者への情報提供で指数と前年度比の関係性の問題について伺いました。こういった御指摘事項をいただきました。
 こういった御意見については、報告書への反映ということで、引き続き検討させていただきたいと思いますが、いただいた御意見の報告書への反映については、主査の私に御一任をいただき、後日、先生方、委員の皆様方については、その結果を御報告させていただくというような形で進めさせていただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、今いただきました御意見を踏まえて、報告書をまた更に検討させていただくことになります。前回もお伝えいたしましたように、本日、大筋で御了承いただきました報告書については、修正をした後に検討会開催要綱に基づき、今後開催されます厚生労働統計の整備に関する検討会において御報告をさせていただくことになりますので、御承知置き願えればと思っております。どうもありがとうございました。
 それでは、最後に、議事3として、その他となっておりますが、事務局から何かありますか。
 
○飯島統計企画調整室長
 事務局からは特段ございません。
 
○加藤主査
 それでは、本日予定しておりました議題は以上となります。今まで御意見等いただきました全体を通して、更に何か御意見や御感想等ありましたらお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。
 ありがとうございます。特に御意見がないということで、閉じさせていただきたいと思っております。先ほど、樋田先生、稲葉先生からもお話がありましたように、このワーキンググループでの検討課題はこれが最後ということではないと、私も理解しております。まだまだ議論が続くということを前提として、本日の議題は以上で終了となりますし、ワーキンググループとしても、一応これで閉めるということになるかと思います。委員の皆様方、御多忙の中、これまで御議論いただきまして、どうもありがとうございました。
 それでは、ここからは事務局にお返しいたします。よろしくお願いいたします。
 
○飯島統計企画調整室長
 皆様、本日はお忙しい中御出席いただき、ありがとうございました。また、急なワーキンググループの開催となりましたが、御出席いただきまして誠にありがとうございました。
 これまで10回にわたって御議論いただきました結果を報告書としておまとめいただき、感謝申し上げます。本日おまとめいただきました報告書は、後日、厚生労働省ホームページへ掲載いたしますので、掲載した際には改めて御連絡申し上げます。また、繰り返しにはなりますが、本報告書は検討会の開催要綱に基づき、今後、開催されます厚生労働統計の整備に関する検討会に御報告させていただきます。
 それでは、今回で本ワーキンググループは終了となりますので、政策統括官の森川から一言御挨拶申し上げます。
 
○森川政策統括官
 政策統括官の森川です。本日も大変貴重な意見をたくさん賜りまして、ありがとうございます。先ほど樋田先生からもありましたが、私としても、KとLの設定の仕方を実務に落とし込むのはなかなか難しいなと感じている次第です。
 今日も説明させていただきましたが、雇用保険はセイフティーネットとして適用対象を拡大していくという政策がある中で、機械的に0.5でやっていくと、ギャップがどんどん広がっていく部分があったということです。
 御承知かもしれませんが、雇用保険制度は労働政策審議会で議論されており、また適用対象を広げるという方向で議論がなされております。そういうことも考えますと、先ほどいただいた宿題というのは、そんなにゆっくりやっておられるものではなくて、割と真剣に早くから取り組んでいかないといけない課題かと感じておる次第です。
 そういうことで、取りあえず今年度は、今日で一旦、このワーキンググループは閉じさせていただきますが、今後とも、また先生方から御意見を賜るような機会もあるといいますか、間違いなくまたお世話になると思っております。今後とも引き続きお力添えいただければ幸いです。長い間ありがとうございました。
 
○飯島統計企画調整室長
 それでは、これをもちまして、第10回毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループを閉会いたします。お忙しいところ、ありがとうございました。
                                                  (了)

照会先

政策統括官付参事官付統計企画調整室

電話:03-5253-1111(内線7373)