第8回 創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会 議事録

日時

令和6年2月8日(金)18:00~

場所

厚生労働省 専用第21会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

議事

議事録

○医薬品審査管理課長 それでは、時間は若干早いのですが、皆様お集まりいただきましたので、第8回「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」を開催させていただきます。
 本日は、お忙しい中を御参集いただきまして、どうもありがとうございます。
 初めに、事務局から連絡事項を申し上げます。
 本日の会議は対面の会議とウェブ会議を併用しております。会議の内容はYouTubeでのライブ配信を行っております。発言される際は、オンラインで傍聴されている方に発言者が分かるよう、冒頭に名前をおっしゃってから発言をお願いいたします。
 続きまして、本検討会の構成員の出席状況ですが、本日は全員御出席いただく予定でありますけれども、永井構成員より遅れての御参加との御連絡をいただいております。
 最後に、資料の確認ですが、議事次第にお示しのとおり、資料1から2、参考資料1から8があります。ウェブで御参加の構成員におかれましては、ウェブ掲載された資料を御覧いただければと思います。直接お越しいただいている構成員におかれましては、お手元のタブレットを御確認ください。
 それでは、以後の議事進行は清田座長にお願いいたします。
○清田座長 皆さんこんにちは。清田でございます。
 これより本日の議事に入りますので、カメラ撮りはここまでといたします。御協力のほどよろしくお願いいたします。
(カメラ撮り終了)
○清田座長 それでは、議題1「新規モダリティにおけるドラッグラグ・ロスの現状」につきまして、柳本構成員からの御発表になります。
 その前に、議題の趣旨について、城医薬局長から御説明をいただきます。
○医薬局長 城でございます。
 今日はちょっと毛色の違う議題を設定させていただいたので、そういう意味で私から趣旨の御説明をさせていただければなと思っています。
 この検討会を振り返りますと、去年の6月にまとめられた全体の有識者検討会が別のところでありましたが、そこでパッケージとして出されたいろいろな課題の中で薬事に関することについて検討をお願いするということで、一つずつ議題をこなしてきたということであります。したがいまして、主なところとしては、ドラッグラグ・ロスの解消とか、安定供給とかの確保、あくまでも我々は薬事の観点で、薬事でできることでありますがそういったものに資するようなもの、薬事でも時代に合わせて常に見直しをしていくことが必要で、その中で、そういったことに資するものがあるかという観点で改めて切り取ってきたということであります。
 そういう意味でいきますと、別に有識者検討会から我々に宿題を出されていたわけではありませんが、この検討会の議題にもしております「創薬力の強化」という文脈の中でも、薬事で考えていくべきことが多分あるだろうということでございます。ただ、そうは言っても、前の有識者検討会で整理されたものがあるわけでもないですし、これからどういう創薬の新しい流れがあるのかということについて分かりませんので、どういう対処をすればいいか今決められるものはないのですが、少なくともこれからどんなフェーズになるのか、どんな課題があるのか、そういったものや将来の見通しについて、ある程度一定の整理、共有に着手できればいいな、答えまでではなくても、こういったものを検討するという方向性を考えられたらいいなと、そういう趣旨で、そういうことに多分詳しそうな柳本構成員にプレゼンをお願いした、そういう経緯であります。ですので、今日は、認識と、それから、構成員の皆様の御見識も御披露していただけるなら、そういったことをお願いしたいですし、ざっくばらんな質疑とか意見交換とかいうのができればと、そういう趣旨でありますので、あまり構えずに、この議題は進めていただければと思っております。
 どうぞよろしくお願いいたします。
○清田座長 ありがとうございます。
 それでは、柳本構成員から御説明をお願いいたします。
○柳本構成員 どうもありがとうございます。ボストンコンサルティンググループ柳本でございます。皆様の温かいほほ笑みに見守られながら、場を進めていきたいと思っております。
 本日、3つお持ちしております。1ページお願いします。
 新規モダリティというもの、今、お話もありましたとおり、「創薬力強化」の文脈で語られることが多い。ただ一方で言うと、我々が今まで議論してきたドラッグラグ・ロスという観点でも課題がまだあるのではないかというところから入らせていただければと思っております。その上で、新規モダリティにおけるドラッグラグ・ロスが発生している要因が何なのかというものを考察してまいりました。最後は、今、城局長からありましたとおり、今回、我々として、解決策を御提案しているわけではございません。ぜひ、皆さんといろいろな議論をできればなという中で、我々として幾つか考えられる打ち手の方向性をたたき台としてお持ちしております。こういった3つのトピックで、今日はお話しできればなと思ってございます。
 次、お願いします。1つ目は、今まで皆さんと議論してきた既存のモダリティ、低分子とか抗体でのドラッグラグ・ロスという話と、その中で新規モダリティというものを切り取った場合のドラッグラグ・ロスというところを比べております。
 左側は既存モダリティになりますけれども、518という2014年以降、米欧で承認・上市されたものに対して日本がどうかというところ、左から2番目で、日本で上市済みなものが275、日本で臨床試験中のものが85、ここまではドラッグラグで済む可能性があるものと。残るもののうち、日本に原則として存在しない疾患、オピオイド中毒治療薬とか、そういった17あるものを除いて、残り141、全体の27%が、今、日本においてドラッグロスの状態にあるというところ。もちろん、将来的には、新たに開発されて、ドラッグスロスではなく、ドラッグラグになる可能性もありますけれども、現時点ではロスになっているもの。
 右側は新規モダリティになります。同じ立てつけで、米欧で承認済みのものが71、それに対して日本で上市済みのものが32、臨床試験中が14、残る25製品、全体の35%が現時点で開発未着手、ロスになっているというところかなと思っております。27%、35%というところで、全体の母集団が大きいわけでもないので、ここまでであれば、一過性のものではないかと言えることもあるのかなと思うのですけれども。
 次ページで、そのさらに先を見据えてというところの分析もお持ちしております。左側は、今見てきた上市済みのもの、71の上市済みのうち、25%、35%がロスになっていますよというもの。右側は、将来起こり得るドラッグロスです。何かと申しますと、現在、米欧でPhase3もしくは申請中の製品137に対して、いかほど日本でドラッグロスが発生したかというところ、137のうち30のみが日本で臨床の後期試験中だと。5が臨床の前期だと。残る102、全体の75%が、現在、日本で開発未着手になっております。もちろん、米欧で上市してから日本で開発するという製品も多くあると思いますので、これらが全てロスになるとは考えておりませんが、それなりの数がロスになってくる。さらに広がっていきそうだということが見てとれるのかなと思っております。
 次お願いします。それらロスの中身を疾患ごとに見たときにというので、同じ並びで、左側が現時点でのロス、右側が将来のロスというところ。現時点で言いますと、半分以上が希少疾患になっております。希少疾患というくくりであれば、もう既に我々は議論してきたところですので、我々の議論の中でしっかりカバーできているところなのかなと理解をしております。
 ただ、それが将来となったときに、希少疾患の割合が29%、3割程度に下がってしまい、がんとか、それ以外の希少ではない疾患の割合が高まってくると。そうなってくると、我々の議論の中で網がかかってない可能性があるのかなと思ってございます。これも当然これから開発が進んでいく中で、場合によっては、今は希少疾患ではないサイズ感で試験をしていながらも、最終的には希少疾患の位置づけとしてラベルがつくことはあり得ると思うのですけれども、それがこの割合を大きく変えるところまではいかないと考えております。
 次お願いします。新規モダリティの中の個別のモダリティの内訳になります。左側の明るい緑が現在のロス、右側の濃い緑が将来のロスというところを、モダリティ別に見たときに、基本的に、全てのモダリティにおいて、何らかのロスが大きくなっていくことが見えるのかなと思っております。
 次、6ページですね。だからといって、全てのロスをなくすことが必要なのかというと、そうではないと思っております。特に新規モダリティの製品に関しては、どうしてもコストが高くなりがちだという中で、不要なものをあえて一生懸命日本に持ち込む必要はないのかなというところ。これを、我々として3つの分類をしております。
 1つ目が「深刻度A」で、代替薬がないものですね。2つ目が「深刻度B」として、代替薬はあるけれども、欧米での承認時もしくは開発時に優先審査の対象となっているというもの。最後、「深刻度C」は、相対的に低いというところで、代替薬もあり、特に欧米で優先審査の対象になってないものを取り上げております。
 左側の現時点と将来と見たときに、現時点で見ますと、先ほど円グラフで見たとおり、先天性の希少疾患が比較的多いのかなというところで、日本における患者数も深刻度Aで言うと、全部合わせても1万1000人程度。深刻度Bであっても4万7000人程度、決して軽い数字ではございませんけれども、それほど多くはないと言えるのかなと。
 一方で、それが将来となったときには、トリプルネガティブのbreast cancerとか、糖尿病性腎症のような、一定以上の患者数がいる適応症をターゲットにしたものが挙がってくるというところで、深刻度Aですと57万人程度、深刻度Bで240万人と、それぞれの患者さんが新しい治療を受けられないことになる可能性があるというところかなと思っております。
 次お願いします。既に生じているものと将来の中で、具体的にどんな製品があるのかというものをそれぞれ取り上げております。
 左側、既に生じているものというところで、βサラセミアの適応症、国内での患者数73人と推計されておりますけれども、現在の治療であれば、骨髄移植もしくは生涯にわたる輸血というところ。これが今のZYNTEGLO社の製品によると、1回限りの投与で根治すると、そこまで実現しています。右側、将来のところですね。これは糖尿病性腎症というところで、ずっと透析で、生涯透析をしないといけないというところが、自家細胞を活用した腎機能保全というところで透析不要になるというところ、これがうたわれているということになりますので、それぞれ相当な効果があるものが控えてきていると言えるのかなと思っております。
 ここから2つ目のトピックで、なぜそういったロスが起きているのかというところ、城局長もおっしゃっていましたけれども、当たり前ですけれども、決して薬事面だけの問題ではございませんというところを、研究開発からは償還のところまでのプロセスに少し分解して表現しております。研究開発のところで言うと、御存じのとおり、新規モダリティを手がけるベンチャーの数が、欧米に比べると、特に米国に比べるとかなり少ないというところで、そもそも日本ではなく、海外で開発されているものが多いというところで、母集団の割合自体が海外に増えているというところ。
 製造・流通のところで言うと、ここは特に新規モダリティならではになりますけれども、国内で新規モダリティの対応ができるCDMOが多く存在していないというところ。御存じのとおり、先行する新規モダリティの代表としてのカーティなどは、各社、製品ローンチをする際に、まずはCDMOの育成が必須だったということもありますので、そのうち一部は撤退されたりもしていて、基本的に、日本での新規モダリティに対応したCDMOはまだまだ未成熟な状況で、海外から一部持ってくると言っても、低分子のように低いコストでいけるかというと、しっかりコールドチェーンを組まないといけないというところもあって、コストがどうしても高くなってくるというところ。
 薬事承認のところは、新規モダリティの前例が少ないというところで、当然ですけれども、どうしても時間がかかってしまうとか、これはモダリティ共通ですけれども、日本対応が必要というところ。
 あとは、保険償還という中で、特にこれまでのところは、患者数がどうしても少なくなりがちです。あとは、薬価面でも、十分なリターンが得られないというところ。先行するカーティにおいても、4製品がほぼ同じ薬価がついていると。欧米ですと、それなりに薬価差があるものに関しても、国内ではほぼ同じ薬価というところで、それぞれの工夫が十分評価されないこともあるのかなと思っております。
 そういったことで、必要な投資が膨らんだりとか、投資の回収が困難だ、リターンが得られないというところが、ドラッグラグ・ロスをほかのモダリティよりも増やしている要因なのかなと思っております。
 続きまして、これに対してというか、あくまでもアイデアというところになりますけれども、どのような打ち手がありそうなのかっていうところになります。
 研究開発のところで言うと、今、政府で司令塔機能、創薬力強化をうたわれて、いろいろな手を打たれていますけれども、その中で、しっかり新規モダリティのエコシステムを構築するというところ。
 製造流通のところでは、先ほどお話を申し上げたようなCDMOの機能強化とか、あとは、細胞取扱いの施設の統一認定のような、隅々まで行き渡らせるような仕組みは必要なのかなと。
 我々の一番の本丸、薬事のところで言いますと、大きく2つ新たな評価法をしっかりと確立していこうというものと、その運用もしくはその検討をしっかりできる体制を整えていこうということになります。評価法で言うと、RCTが難しい新規モダリティに対してリアルワールドデータとか、間接比較試験をより活用した、そういったものをエビデンスとしてしっかり見ていくようにしましょうとか、あとは、多くのものは海外から来るという中で、日本に来てから、日本でやるよとなってから、それをどうしようかとするのではなく、海外で先行している段階で、日本に来た場合はどうしようかというものを前倒しで検討していくようなもの。体制面で言うと、治験というところで、ベンチャーなども惑いがちですし、大手であっても、その評価法が確立しないという中で、治験デザインをどうするかというところで苦慮しがちというところは、しっかりと伴走していきましょうというところ。加えて、新しい評価法下における支援とか評価というところをしっかりできるように、PMDAの体制を拡充していこうというところかなと思っております。
 PMDAの体制に関して言うと、これまでも何度か議論になっていて、なかなか難しいなというところだとは思うのですけれども、ここは、これまでも出ていたとおり、PMDA単体で考えるわけではなく、必要に応じて、企業のリソースを使うという形でも進めていけるといいのかなというところ。この評価法の確立と体制の拡充というところは、2つ両輪として必須なのかなと思っております。
 当然ですけれども、そういった新しいエビデンス、新しい評価に基づいての薬価ところもしっかりと見ていかないと、評価はされるけれども、薬価には反映しないという形だと、結局、ドラッグロスはなくなってこないですし、日本での研究開発活動も進みづらく、結果として、海外に日系の企業もしくはスタートアップであっても、海外で研究開発を推進するという創薬の空洞化につながるのかなと思っております。
 10ページは、参考として、再生医療イノベーションフォーラム(FIRM)が、これまで提言されているものを掲げさせていただいております。一つ一つ読み上げませんが、より実際に事業をされている研究開発に取り組んでいる事業者の皆さんが考えられた、今、課題として捉えているものになりますので、この後の皆さんの議論の参考になるかなと思い、FIRMに御提供いただいた資料を掲載しております。
 最後の「まとめ」ですね。これまで見てきたとおり、ドラッグラグ・ロスと議論してきていますけれども、新規モダリティという観点で言うと、これまでの議論では網がかかってない部分があるのではないかというところを、しっかり見ていく必要があるというところ。ただ一方で、全てのラグを解消しに行くというよりも、深刻度なり何なりの尺度で必要なものを優先して見ていく、そういったものが必要なのかなというのが1点目。
 2点目は、薬事以外の市場環境全体のところをしっかりと新規モダリティへ適応させていく必要があるだろうというところ。先ほど申したとおり、それはドラッグラグ・ロスの解消だけではなくて、日本のプレーヤーがしっかりと日本でやる、もしくは海外のプレーヤーが日本で研究開発を推進するというようなところに向けても、必要な措置なのかなと思ってございます。
 最後は、本日、皆さんと意見交換・議論がしっかりできればなと思っているのですけれども、きっと、ここですぐに解決策が見いだせるようなお題ではないかなと思いますので、継続して検討していけるといいのかなと思っているというところになります。
 私からは、以上でございます。
○清田座長 ありがとうございました。
 すばらしい御発表だったのですけれども、御質問・御意見。
 では、花井構成員からお願いします。
○花井構成員 質問ですが、新規モダリティと既存の間の線が十分分からなくて。例えば私どもが使っているのだったら、バイスペシフィック使っています、組換え使っています、遺伝子治療、これはin-vivoですけれども、そういう再生医療等製品、細胞医療製品とか、遺伝子治療とかいう区切りでやれば分かるのですけれども、既存のモダリティと新規モダリティというところを線引く、その価値。例えば、この前のファイザーワクチンなどは完全に新規モダリティで、新しいものだと思うのですけれども、そのモダリティという概念で新・旧と分ける利益はどこにあるのか。
○柳本構成員 まずそもそもで言うと、13ページ、Appendixの1枚目にございます。今おっしゃられたバイスペシフィックとか、日本でもADCとかは新規モダリティになっていて、逆に、新規でないモダリティで言うと、低分子とか抗体とかたんぱくとかそういったものが入っているところになります。
 そこで線引きをしないといけない理由といったときに、先ほどいろいろな課題として御紹介したようなものが、何割かはモダリティ共通のものはありますけれども、新規モダリティという軸で見たときに、個別に手当てする必要があるものがあるというだけで、それが特になければ、別にモダリティでいちいち差別化する必要はないのかなと思っております。
○花井構成員 何となく分かりました。有効性は、患者からすると、高分子だろうが低分子だろうが、効いたか効かないか、副作用があるかないかなので、普通のRCTでも、普通にできますね。
○柳本構成員 はい。
○花井構成員 ただし、安全性を見るときには、モダリティによって、例えば潜在的リスクはどうかとか、核侵入するのかしないのかとか、そういうところは別の専門性が要ると思うので、プログラムデバイスのようなものでもそうですけれども、そこはPMDAの専門性が多岐にわたるので、人材の育成は要ると思うのですけれども、何となく概念は理解しました。ありがとうございます。
○清田座長 ほかに御質問。
 どうぞ。
○芦田構成員 芦田です。ドラッグラグ・ロスの問題を分析して、分かりやすく説明していただきまして、ありがとうございました。
 日本で新規モビリティの開発が遅れている点については、一昨日行われた政府の「健康医療戦略推進専門調査会」でも、重要な課題として取り上げられているところでございます。
 8ページと9ページで、バリューチェーンに従って要因と打ち手の方向性を整理していただきました。今、御説明にありましたように、それはドラッグラグ・ロスに限らず、日本の創薬の課題と理解をいたしたところです。
 今後、この議論をさらに進める上で、例えばもう一つの軸として、開発候補品が、日本オリジンで、日本で開発を始めるものなのか、それとも海外オリジンで、既に海外で治験などの開発が進んでいるのかということは、分けて整理をしてもいいと思ったところです。例えば、治験環境や、薬事承認、薬価については、日本オリジンなのか、海外オリジンなのかにかかわらず、共通する課題だと思います。一方で、例えば御指摘のあったエコシステムという観点で、基礎研究から創薬技術の確立ということを指摘していただいていますけれども、これはどちらかというとどうやって日本オリジンをつくっていくかということに関わる点だと思います。
 また、先ほど御質問・御回答があったことに関わりますけれども、製造についても、CMO/CDMOの国内拠点の整備については、全く異論はございません。一方で、新規モダリティの中でも、例えば、地産地消が主となるような再生医療等製品であれば、国内オリジンか海外オリジンにかかわらず、大きな共通の課題だと思います。一方で、保存や輸送が比較的容易なモダリティについては、海外オリジンであっても、海外でつくったものを日本へ持ってくることは比較的容易にできると思いますので、その点も程度の違いが生じていると思います。その辺は、少しきめ細かく見ていく必要があると感じました。
 コメントは以上です。
○清田座長 その点に対して、どうですか。
○柳本構成員 ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。
 まず、ラグ・ロスの話と創薬力の話を丁寧に分けずに御説明をしてきたというところで、そこを、特に創薬力強化という観点で分解いただいたのかなと思っておりますし、その観点において、特に日本オリジンをどうつくっていくのかという話と、海外にあるものを日本でもしっかりと使えるようにするのかという分析は、追加でやっていくべきなのかなと思って、お伺いしました。ありがとうございます。
○清田座長 どうぞ。
○柏谷構成員 たくさんの資料ありがとうございました。興味深く拝見させていただきましたけれども、新規モダリティを医療用に出していくためには、評価手法の確立は1日でも早くと。欧米で新規モダリティになればなるほど差が開いてくるのは、恐らく評価手法が日本では充実しないことも考えられると思います。
 そこで、提案になっていますけれども、RSセンターの拡充という記載がありますけれども、この辺のところは、発表にもありましたように、民間の例えばグローバル企業ですと、欧米で開発しているものの評価手法に関しては、恐らく日本と欧米でコミュニケーションをとっているはずなので、どういう考えに基づいてそういうガイドラインとか評価手法ができているのかということを、民間の力もぜひお借りいただいて、PMDAの中でもいち早くその評価手法を確立すると、そういうところに向いていただければと思います。
○清田座長 PMDAはいかがですか。
○PMDA執行役員 新薬審査等部門担当執行役員の田宮です。
 御指摘ありがとうございます。まさに、今、柏谷構成員から御指摘あった点、それから、柳本構成員から御説明があったように、PMDAとしても、今年の4月から第5期中期計画を新たに策定して、活動に取り組んでいくこととしておりますけれども、その計画の案の中で、革新的技術の実用化や医薬品の開発評価に当たっての論点等について、欧米で言うとEarly Considerationとか、Points to Considerに該当するものですが、そういった新規モダリティの技術、あるいは、臨床試験の新たなデザイン等も含めた開発上の留意点等について、PMDAとして、製薬企業の方、アカデミアの方とも議論しながら、できるだけ早く考え方を示していくことを積極的にやっていきたいと考えております。まずPMDAで考え方を示した上で、さらに、様々なステークホルダーの方とも意見交換しながら、ブラッシュアップしていく、そうした考え方を出していくことが、新規モダリティの開発も含めて、日本の創薬力の開発支援というか、そういった後押しにつながっていくのではないかと考えているところでございます。
○清田座長 どうぞ。
○中村構成員 中村です。
 先月、ちょっと欧州を幾つか視察をした際に、ERICA、European Rare Disease Research Coordination and Support Actionというコンソーシアムがあって、そこに登録していると、例えばバイオマーカーの検討を、いろいろな希少疾病領域でやっているものを全てそこでまとめていて、メンバー同士はそれを確認することができて、これは自分たちも一緒に協力するよと言うと、共同の検討ができるというシステムがあるという話を聞きました。アメリカはこれから視察に行くのですけれども、ヨーロッパはそういったいろいろな希少疾病の評価指標とかも含めて、垣根を越えて検討しようというものが進んでいるというのが、非常に印象的だったので、PMDAでももちろんそういったことをお考えいただくのが大事だと思いますけれども、世界とも連携して、アカデミアも参加して、総力を挙げてやらないと、海外にとても追いつけないなという印象を持ちました。
 例えば新生児でもそうなのですよ。新生児は新生児のコンソーシアムで、疾患の基準が国内外で違わないように、国際的な基準を作ったりとか、それから、評価指標を標準化していたりとかということもしていますし、そういうグローバルなコンソーシアムに、PMDAとかアカデミアとか企業がもっと入っていかないと、海外で決まった後で参加したら、もう遅いのですよね。二、三年かけて議論して、そこでいろいろなことが共有されていくので、日本側からもそういったものにもっと参加する、あるいはカウンターパートとして、日本だけでやるのはとても無理だと思うのですけれども、そこにうまく参加して、ノウハウをもらえるような仕組みをつくらないと、とても厳しいなという印象を持っています。
○清田座長 どうぞ。
○花井構成員 2点ほど意見があります。
 まず、患者の参画というところで、PPIというところでは、欧米のほうが先行していると。私どもの患者会も、似たような活動はしていますけれども、患者・疾病ごとに体力も違うし、その患者会が言うことが妥当かどうかすら怪しい場合もあるわけで、ヨーロッパでは、一定程度患者会を評価して、一定程度ストックして、それで、PPIという制度に実装しているので、単純に、患者の意見を聞いてみましょうみたいな感じで、今はやっているところがあって、簡単なトライでは、一部難病とか、うちのような凝固異常障害やっていますけれども、世界会議を開いてやっている、この凝固異常症領域であっても、こっちは桃色吐息でやっている感じであって、患者が参画できる環境をつくらないと、なかなかPPIとかPCEとかいうことが進まないので、そこは必要だと。
 それからもう一つは、この議論と関わるのですが、制度設計で、今、再生医療等製品の中に、例えばin-vivoは取り込んでいるわけで、増築してるいわけですね。御案内のとおり、研究のほうは、再生医療等があり、また、臨床研究法とかあって。こっちで生物由来(生原基)とかそういうものがあるけれども、その基準は別に薬事だけの基準で、こっちは違いますとか、いろいろな基準があって、向こうでは、臨床研究も医師主導治験から地続きで治験となっていても、患者からすれば、みんな治験で同じだけれども、その法律の立てつけが分散していて、レギュレーションも微妙に違って、臨床研究ではそこまで生原基ほどは厳しくできないよねとか、そういう実態に合わせて、カット・アンド・トライでやっているところがあるのですね。
 だから、再生医療等製品などは、今後、薬機法を改正するのであれば、再生医療プラス遺伝子治療製品と言うのかとかね。そのときには新しいモダリティを一定程度包含した形で法の立てつけをしないと、結局、再生医療等製品があるから、in-vivoはそれに入れておきましょうという形で。今、事実ではそうしているのですけれども、ベクターはそこで見ているわけですけれども、そういった制度がちょっと複雑になり過ぎるというところはあると思うので、臨床研究のほうは医政行政かもしれませんけれども、患者からすれば、地続きで薬事と同じなので、そこの整合性を考えて、法的な統制を、全体設計図をちょっと考えたほうがよりよいかなと思いました。
 以上2点、意見でした。
○清田座長 ありがとうございます。
 成川構成員。
○成川構成員 ありがとうございます。
 柳本構成員におかれましては、興味深いデータと重要な問題提起をいただいたと思います。冒頭、局長もおっしゃっていたように、この問題の背景や原因は様々でございますので、その対応策も多面的に考えていく必要があると思います。この場は薬事の検討会なものですから、薬事という面で、これまで議論されていないこととして、今、中村先生のお話を聞いていて思ったのですけれども、審査における国際協調の促進というか、そういう枠組みへの参加とかそういったことかなと思います。
 例を挙げれば、FDAがやっている「プロジェクトOrbis」みたいなことで、要するに、抗がん剤について、たしか、今、6か国か7か国が参加して、同時申請、同時審査の枠組みをつくっております。実際、それらの国では、抗がん剤の申請とか承認までの期間が早くなったというデータも出ていますので、そういったことを考えると、効果があるのかどうかとか、あるいは現実的なのかということも含めて、状況をちょっと伺いたいなと思っています。
 将来、再生医療等製品についても、そういう枠組みができるという話も聞いたことがあるものですから、それでしたら、日本も遅れずに、そういうところに入っていくというのも一つの解決策になるのかなと思っております。
○清田座長 ありがとうございます。
 PMDのほうからどうぞ。
○PMDA執行役員 田宮です。
 成川構成員からの御指摘、ありがとうございます。御紹介ありましたように、抗がん剤領域では、「プロジェクトOrbis」という、アメリカが中心となって数か国が参加している共同審査の枠組みがございます。そこに、私どもPMDAもオブザーバーとして参加しておりまして、申請の内容やどういった審査が行われているか、また、その論点とかクリティカルなポイントとか、そういったことは全て把握しており、実際に、私どもの承認審査の中で活用させていただいています。そのことによって、製薬企業、申請者側からすると、フォーカスを絞った照会事項等をPMDAが発出することができますので、そういった効率的な審査にもつながるということでやっております。
 ただ、「プロジェクトOrbis」自体は共同審査の枠組みであり、一つの申請データパッケージで各国が審査することになるので、特に抗がん剤領域の安全性とか、あるいは用法・用量の面で、日本人のデータを基にいろいろディスカッションするというところが欠けています。そのため、単に分担して審査をして早期承認につなげていく、というのはなかなか難しいと思っているのですけれども、先程説明したように、実質的には、この共同審査の状況も踏まえて、日本の審査にも生かして、効率的にやっているということになります。
 そのほか、個別の審査品目においても、非常に難しい論点があるような場合ですと、FDAやEMAとの間で個別に連絡を取りまして、協議をして、お互いどういう考え方なのかを確認し、そうしたことを踏まえて、審査に生かしておりますので、そうした活動というか、FDAとかEMAなどの規制当局との連携もしっかり進めていきたいと思っております。
○清田座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○柏谷構成員 柏谷です。
 田宮さんからお話しいただきましたけれども、業界の中でも、PMDAが、最近、FDAとかEMAと協調しながら、ディスカッションしながら審査を進めていただいていることは聞いております。しかし、「プロジェクトOrbis」になりますと、先ほど言いましたように、オブザーバーという形で日本は入っているのみで、これは、何が怖いかというと、欧米、カナダ、シンガポール、どんどん参加国が増えてきて、そこに、また、アジア圏の国が入ってくることになると、日本はずっとオブザーバーでいいのかと。世界から見てどんどん遅れているのではないかと。オブザーバーになったのは早かったけれども、結局、ずっとオブザーバーでは、それはそれで、日本の審査はどうなのかなという見方が世界からされてしまいますので、ぜひとも、ランゲージバリアとか、情報の管理とか、守らないといけないところはいっぱいあると思いますけれども、その点を踏まえても、ぜひとも、一日でも早く正式参加というか、実際に「プロジェクトOrbis」に参画して、審査していただきたいと、そう思っております。よろしくお願いします。
○清田座長 どうぞ。
○PMDA執行役員 柏谷構成員からの御意見、ありがとうございます。
 今、御指摘いただいた点ですけれども、日本以外の規制当局が、実際に同時審査を行うためには、申請をほぼ同時期にしていただかないとできないということもございます。ですから、そのためには、製薬企業側も、世界同時で、3極同時で申請するとか、そういう形の環境が整わないと、なかなかそういった議論には載ってこないのかなというところもありますので、引き続き、議論をしていきたいと思います。
○清田座長 どうぞ。
○佐藤座長代理 国衛研の佐藤です。
 新しいモダリティは、実は規制当局にとっても新しくて、品質評価の考え方とか、臨床評価の考え方をどうしたらいいかというのは、非常にいろいろな課題があると思います。
なので、PMDAに相談が来るか来ないにかかわらず、新しいモダリティが世の中に登場してきたら、情報収集して、品質評価や臨床評価の在り方について、いかに対応すべきなのかというのを早め早めに議論する必要があると思のですね。
 要するに、申請が来てから考えるのではなくて、特に今日御発表のあったように、海外で開発が進んでいたものが来てからだと、要するに、海外では、品質評価の考え方とか臨床評価の考え方、もう既に議論していて、その後に申請が来て、おもむろに考えるというと、そこでもタイミングがずれてしまう。そこが、ラグが生じてしまうので、できるだけその情報を早めにキャッチした上で、品質評価の上で、何が問題なのか、臨床評価の上で問題なのかというのを、国内の関係者の間で共有しておく必要があると思います。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 宮川先生、どうぞ。
○宮川構成員 今、お話があったように、誰が評価するのか、どういう機構が評価するのかということになります。先ほど私も言おうと思ったのですけれども、日本に導入される前に、海外で起こっている動きはみんな見えるわけですよね。でも、それが入ってくるだろうということを、誰が手を挙げて、誰と一緒になって、その評価方法を確立するのかという、これがないのですよ。
 もう一つは、PMDAが、先ほどのいろいろなディスカッションの中で入ってきて、いろいろお答えがあったけれども、PMDAにとっても、何ができて、何ができないのか、今、何をやっているのかという、情報の可視化ができてないのです。だから、議論の中で質問をしてみても、「はい、ここまではやっています」とオブザーバーとしてのお答えしか返ってきません。情報の可視化ができていないという問題点があるということはもともと分かっていることなので、情報の可視化をきちんとしないと、議論のベースができてないのです。今日、柳本構成員が資料を出してくれたので、議論の素地がやっとできてきた。関係者としては、ある程度情報の共有化はできたけれども、これからディスカッションをして、物事を進めていく、誰がどうやってというものを、国として、厚労省として考えていかなければいけない。国策として考えていかなければいけない。でも、こういう議論でいろいろな意見が出て、「いいですね」「悪いですね」と言うけれども、時たま、勝手にいろいろな場所や形で、横やりというわけではないですが、異論が入ってくる事がままあります。
 だから、アカデミアとして、そういう方たちがどういうふうにやるのですかとなったときに、自らが、その形を、ある程度の基礎をつくって、そこにみんなが集まってくるという環境をつくらないといけない。それは、多分、厚労省も含めてのお考えがきちんとされないと、集まるところがないと思います。いろいろな意見がそこに入ってきてしまって、利害ある人がいろいろなこと言ってしまうことで曲がってきてしまう。だから、情報の可視化、それから、議論する場を、今、佐藤座長代理がおっしゃったように、早くつくっていただいて、確立することが物すごく重要になっています。それができると、今日、柳本構成員がおっしゃったものが出来上がっていくのではないかなと思っています。
○清田座長 ありがとうございます。
 ウェブのほうで、眞島構成員から手が挙がっています。眞島先生。
○眞島構成員 ありがとうございます。
 柳本構成員の御発表、ありがとうございます。
 我々は、希少がんの世界で、お薬が全然ないということで、15万人から20万人の、毎年発症する希少がんの患者さんが非常に困っているわけです。御発表の中のページ6にありますように、特に深刻度Aで代替薬なしというのは、本当に希少がんの患者さんはこの状態が多いので、その数を入れたら1万1,000どころではなくて、もっと増えるのだろうなと思ってこれを見ていたのです。
 それから、この間、我々のほうから、希少がんのお薬の中で、特に安定供給も問題があって、日本はサイクロトロンが結構あるので、創薬しようと思えば、アルファ線の核医薬品などできると思うのですけれども、そういった観点から見れば、この中の項目を見ていますと、核医薬品という項目がなかったので、ぜひ、そういうところも入れていただいて、ドラッグロスにならないようにしていただければなと思います。日本の創薬力に期待したいので、ぜひこういうところも入れていただいた上で、希少がんが入っているのかどうか、小児がんを入れたのかどうかについて、コメントいただければと思っています。この辺り、柳本構成員、いかがなのでしょうか。
○柳本構成員 ありがとうございます、眞島先生。
 もともとのデータベースの中の分析になっていますので、入っている入ってないというのは、戻ってちょっと確認しないといけないところですので、特に気になっているポイントに関しては、別途、オフラインでいただけましたら、それがどこに該当するのかというのを共有させていただいて、この後、皆さんへの提示の方法を考えられればなと思って、お伺いしておりました。
○眞島構成員 ありがとうございます。
○清田座長 石井構成員、どうぞ。
○石井構成員 国衛研の石井でございます。
 この検討会の目的である創薬力の強化という観点では、長い目で見ますと、日本オリジンのものの開発をしっかり推進していくことも重要ではないかと考えております。少し前の佐藤先生の御意見とも関連するのですが、国内での新しいものの議論に関しまして、PMDAなどで、ホライゾン・スキャニングや科学委員会での議論など、既になされている仕組みもあると思うのですけれども、既存のそういった活動の中で、もう少し充実させられるようなものはございますでしょうか。
○清田座長 PMDA、どうぞ。
○PMDA執行役員 ありがとうございます。
今、石井構成員から御指摘あったとおり、ホライゾン・スキャニングと、それに基づいて科学委員会で最先端の技術、まだ実用化されてない段階での技術等について、考え方を示す。それはまさにアカデミアの先生方、最先端の研究をなさっている先生方を中心に、御意見を伺いながら議論をしてまとめるということをやっております。
 例えば、マイクロバイオームの関係の考え方とか、あるいはちょっと領域が違いますけれども、最近ですと、プログラム医療機器の関係で報告書をまとめたりとかしておりますけれども、そういった非常に最先端の領域のこともPMDAとしてやっています。それに加えて、先ほどEarly Considerationと申し上げましたのは、臨床開発にかなり近づいている、あるいは開始されたようなものとか、そういったもう少し開発が進んだものについて、ただ、実際、開発者からすると、開発するに当たってどういったところに気をつけなければいけないとか、そういう指針みたいな考え方があるとやりやすいのではないかと考えられるものについて、そういった観点で、新たな取組としてしっかりやっていきたいという趣旨でございます。
○清田座長 ありがとうございます。
 今の御説明に対して、いかがでしょう。
 よろしいでしょうか。
 ほかに御質問ございますでしょうか。
 私から、企業のほうもグローバル化している。あちこちに拠点がある中で、その企業から見て、欧米と日本の付き合い方は違うのですよね、きっと。
○柏谷構成員 柏谷です。
 付き合い方が違うというのは、なかなか難しい御質問ですけれども。
○清田座長 そういうことになるのではないかと思って、聞いていたのですが。
○柏谷構成員 企業の場合は、一つの企業ですので、グローバルに拠点が点在していても、新規モダリティとか薬剤に関しては、世界での承認申請に向けて、要は、うちだとワン・タケダという形で一つの方向に向かっていくというところがあります。
 ただ、審査に関しましては、審査当局はそれぞれのお考えがあって、長い歴史の中で、FDAもEMAもPMDAも厚生労働省もあるわけですから、そこのところが企業と同じような考え方ができるかというと、それはまた違うような気はします。
○清田座長 柳本構成員。
○柳本構成員 恐らくお答えされづらいところかなと思いますので、少し助け船を出しますと、実際違うと思っております。もちろんモダリティとは違うというところが、これまで見てきたところではあるのですけれども、特に新規モダリティという文脈になりますと、途中で申し上げたような、研究開発の時点、そういったプレーヤーがいないとか、あとは、細胞なり何なりの流通が難しいというところなどで、やはりアメリカのほうがいいね、欧州のほうがいいねと言って、研究拠点自体を海外に持っていくプレーヤーも、日本のプレーヤーの中にはいらっしゃいますし、そこで、日本に持ってこようとしたときに、より海外のほうが、臨床試験のクライテリアもきれいに定まりつつある。もしくは定まってないけれども、より早く適用してくれようとしているというところを、当然ですけれども、より優先して、やりやすいのは当たり前ですけれども、製品を開発する場所として選んで、実際の製品開発、上市を進めているというところは実態かなと思いますので、既存のモダリティと以上に新規モダリティのほうが、放っておくと、日本のプレーヤーも、日本を劣後させて海外でとかいう形になるでしょうし、当然、グローバルプレーヤーはその傾向がより大きいのかなと思っております。
○清田座長 PMDAは、当然、危機感機を持っていらっしゃるのですね、今の御説明では、欧米とちょっと違っているぞみたいな認識感と言うのかな、それはあまりないですかね。
○PMDA執行役員 田宮です。
 認識感といいますか、今までのPMDAの活動の中で、リソース不足もあって、なかなか着手できなかったというのが、例えば新規モダリティとか、あるいは新たな治験デザインとか、そういったところに関して、開発者が非常に悩みながら開発を進めていくときに、FDAとかEMAではそういったガイダンスが先に出ているがPMDAからは示せていないとか、そういったようなケースがありました。そうした点についてPMDAとしては、国内の創薬力の強化を後押しするという観点も含めて、そういう活動、アウトリーチというか、そういったことはしっかりやっていきたいと、そういう思いで次期の中期計画について、現在、検討しているということでございます。
○清田座長 ありがとうございます。
 中村構成員、どうぞ。
○中村構成員 質問させていきたいのですけれども、臨床試験に多様化、エコシステムが未熟で云々というところは、恐らく、特に新規モダリティの開発についてはそうだと思うのですけれども、臨床試験に対応可能施設が少なく、試験実施コストが高いというのはずっと言われてきて、臨床研究中核病院ができたりとか、いろいろな試みがされていると思うのですけれども、今、レートも、円が安くなり、これ、どこまで本当なのかなということと。
 それから、こう言ってしまうと、ある意味元も子もなくて、日本は、国内でそれなりに努力はしてきているけれども、どうやったらいいのかというところで、何かありますでしょうか。ヨーロッパの皆さんと議論していると、ヨーロッパってすごく複雑で、日本よりもはるかに人口が少ない国がいっぱいあって、やっていることが全部ばらばらで、一緒にやるのを物すごく苦労しているのですよ。それからすると、日本ぐらいの人口で、一遍でぽんとできる。例えば小児治験ネットワークで、共通手順書で、共通の契約でやっている、共通の点数表でやっていると言うと、ヨーロッパの人は驚くのですね。そういった彼らから見て進んでいるところもあると思っているのですけれども、どこら辺りをやったら、ご指摘の点が解決するかというのはちょっと分からないです。そこは何かアイデアはおありでしょうか。
○柳本構成員 多分、次回以降のテーマにも入っていくのかなという気はいたしますけれども、まず、治験のコストが依然高いかというところで言うと、おっしゃるとおり、レートの問題でかなり改善はしているとは思うのですけれども、一方で言うと、もともと高いところが、日本のほうが安いよと言えるところまで行っているかというと、そうではないのかなというのが、直近のレートの中で試算したときの現状でございます。
 臨床拠点の分散が一番大きな要因なのかなと思っておりまして、いわゆる大規模なセンターがない中で、いろいろなところでちょっとずつの患者さんを集めないといけない。しかも、その施設ごとにやり方も違い、リクルーティングにかかる手間も違えば、申請も別々になっていて、審査を別々になっているという中で、一個一個のコストが積み上がってきた結果として、全体のコストがかかっているというようなところになるのかなと思いますので、多分、特に新規モダリティに関しては、そもそも患者数も少ないというところで、より薄まりがちなところかなと思いますので、そこは何らかの集約はしっかり図っていかないといけないのかなと思っております。
○清田座長 大事な御提案だと思います。
 どうぞ。
○宮川構成員 そういう意味では、日本医師会では、私も担当していましたが、治験促進センターを設置していたのですけれども、すごくコストかかるのですよ。そして、いくらインフォメーションしても乗ってこない。日本は、国民皆保険のこういう制度の中なので治験に患者が集まりにくいわけですね。私たちのところもセンターを持てなくなったので、誰か引き受け手がいないのですかと言って公開したのですけれども、誰も引き受けてくれない。そういうような日本の状況ってあるのではないですか。
 ですから、いくらPMDAが背中を押しても駄目なのだというところもありますよね。つまり、その環境をどうやってつくっていくのかというもともとのところがすごく問題なのですよ。それは新規であろうが既存であろうが、乗ってくるところがないし、まとめるところがないし、それを管理・監督する、そして、そういう試験をやっていくところもない。今言ったように、規模が小さいところが集まっているから、それは治験と言うべきことではないかもしれない。そういうセンターへ初めて来るところのセンター入り口のところからやっているところ、そして、出口も一気通貫するような国のシステムという、あらあらでいいけれども、そういうものを構想として立ち上げなければ無理なのではないでしょうか。
 コストがかかる、外国ではこのようだと、いろいろな意見が出てきますが、非常に難しい問題を今日投げかけられているので、頭の整理をしていくのにはちょうどよかったのではないかなと思います。これからそういう整理をして、どういうふうにまとめ上げていくのかというのは、今日、城局長からこう打ち出されています。もともとずっと議論してきたけれども、突きつけられている問題はもっと本質的なところだろうと考えます。
○清田座長 ありがとうございます。
 城局長から、何か一言あれば。
○医薬局長 城でございます。
 冒頭申し上げたように、薬事でこれを全て解決するということではないということで、厚労省も創薬に向けていろいろな取組を並行で今やっていますので、それぞれとつなぎながらになりますが。ただ、薬事の目だけで見ても、我々が次に向かう方向というか、検討しなければいけないものを見落としがあってもいけないということもあって、実際にまず課題を出してみるというところが切り口になればということで、さっき申し上げましたように、検討に着手できればということもございます。おっしゃったように、多分、全体の一気通貫の仕組みがあると、これは薬事ではありませんが、一気通貫でファーストインヒューマンから出口まであるような仕掛けが日本にあるとやりやすいとは思いますが、現状、そうなっていない中でどうするかという、これは、また別の議論があると思います。
 それも含めて、我々はまずどういった方向にやっていくべきか。少なくとも新規モダリティ、既に治験が行われている新規モダリティは、今、見せていただいたものですが、さらに、ここにないものが、また将来出てくるのであろうから、それに対応できる体制を用意することの検討を始めるということでございます。正直申し上げて、今回、この検討会で、去年の6月の宿題を返すときに、一緒にこの答えが出るとまでは正直思っていないのですが、そういったことの必要性についての提起ができるといいなと、そういうことでございます。ですので、今お話があったみたいに、我々のほうのシステムとして考えなければいけないということかもしれませんし、その辺りの議論ができればと:そういう趣旨でございますので、そこはしっかりと受け止めたいと思います。
○清田座長 どうぞ。
○宮川構成員 そうすると、今日も、柳本構成員の資料に書いてある表題に、ドラッグラグ、ドラッグロスと書いてあるわけです。最初にやらなければいけないことは、ラグはもうないよというところまで持っていってロスの話をしないと、この2つのことを一緒に検討するわけにはいかないわけですよ。だから、日本において、ラグはほとんどないよというところまで持っていけるだけの議論は、早急にというわけではないけれども、差し迫って、できることはそこです。
 ロスに関しては、非常に大きな視野で、様々な方々が入ってこなければいけないというところなので、分けてきちんと考えていただいて、議論は、もうラグはないというところまで早く持っていって、ロスのことだけを考えるというふうになるべくしていくことができないかどうかということで、局長にお願いしたいと思います。
○清田座長 ありがとうございます。
 今日は、本当に、柳本構成員には面白い観点から提示していただいて、それぞれ皆さん受け止めることがいろいろあったと思います。今後の話題の中できっと生かされると思いますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、議題2に移らせていただきたいと思います。議題2につきましては、事務局から資料の御説明をいただいて、それから、ディスカッションしていきたいと思います。お願いいたします。
○事務局 事務局でございます。
 それでは、資料2について、簡単に御説明をさせていただければと思います。
 まず、2ページ目ですけれども、これは、前回、昨年12月13日の検討会の主な御意見をまとめさせていただいております。御紹介を割愛させていただければと思いますが、3ページ目の条件付き承認制度の関係の御意見の中で、成川構成員からありました、米国承認から日本承認までの日数につきましては、この点線の中に、正確なものを、その後、研究班からいただいていますので、補足としてつけさせていただいております。
 それから、4ページ目ですが、これは、前回の議論の中で、少数の日本人症例の成績が求められた事例について具体例をといったお求めがありましたので、製薬企業にヒアリングをした結果、2例御紹介しております。
 1例が、アトガムという品目で、再生不良貧血に対するウマ免疫グロブリンの品目。海外では、1985年に承認されて、国内で開発要請されたというものです。日本人データとして、56例に投与した論文情報があったということですが、ファイザー社としては公知申請を希望したが、PMDAからは、日本人症例が必要との見解が示されて、追加で3例の非盲検非対照試験を実施したといった事例でございました。
 続いて、レカルブリオですけれども、これは、カルバペネム耐性菌に対する抗菌薬でありまして、イミペネム耐性菌による感染症患者を対象とする50例の国際共同第3相試験が行われています。これについては、日本人の組み入れは難しいのではないかといったことで、企業から日本人なしの実施が主張されたが、組み入れ努力はするべきとの方針で、日本も対象に実施がされました。ただ、結果として、日本での組み入れはなかったということです。
 加えて、イミペネム非感性菌に限らないHABP/VABP患者537例を対象とする試験も行われて、これは日本人43例組み入れられています。
 加えまして、4ポツ目にありますcIAIまたはcUTI患者を対象とした、この場合は83例を対象とした非盲検非対照試験を実施されたということで、この部分が国内でのローカル試験であったということでした。
 結果として、承認の時期に少しのずれが生じているという事例でございました。
 これは、事例の御紹介でございます。
 それから、次の5ページ目です。これは、米国の迅速承認(Accelerated Approval)の取消品目のうち、日本で製造販売中の品目はどういったものがあるかということで、事例を研究班に挙げていただきました。具体例として、まず、AA承認が取り消されたものが35品目あり、そのうち7品目は日本で製造販売をしている。1品目は薬価削除済みなので、残り6品目がここに挙げている品目になります。5品目は抗がん剤、1品目は炭疽菌に対するものということです。個別の医薬品についてどうだったかという議論は難しいと思っていますが、これだけの品目があったということで、事例として御紹介でございます。
 その上で、こうした事実や前回の御意見を踏まえまして、6ページ以降、対応の方向性をまとめさせていただいております。
 まず日本人データ関係として、基本的考え方ですが、1ポツ目。まず、前提といたしまして、日本が参加した国際共同治験または国内試験の結果に基づいて、日本の医療環境下の日本人での有効性及び安全性を評価することが基本であるとする考え方に変更はないということを書かせていただいております。
 その上で、「ただし、」としていますが、追加で、日本で試験を求めることによって、アクセスに時間を要するといったことや、開発を断念するといったケースがあるということですので、このため、3ポツ目ですが、日本人での有効性・安全性を確保するとともに、このアクセスが遅れる、不利益を最小化するという観点から、日本人患者において臨床試験成績がなくとも薬事承認を行うことが適切だと考えられる場合を整理する必要があるということで、これを次のページのスライドで整理させていただいております。
 その上で、4ポツ目に、「ただし、」としていますが、日本人患者の成績がなく申請を行う場合であっても、申請と並行して治験を開始することが重要ではないかということも書かせていただいております。
 ただ、「また、」としていますが、製造販売後調査等の実施で、この治験を実施せずとも日本人の情報が得られると判断される場合もあると付記させていただきます。
 5ポツ目、なお書きとしていますが、ここまでのことは日本人試験に関することを記載しておりましたが、国際共同治験につきましては、少数であっても、一定の多角的評価によってある程度の比較検討は可能といったこともございますので、日本が参加する意義はあると考えられるとしております。
 併せて、国内試験についても、同様に意義があるということを付記しております。
 この3ポツ目の具体的な事例について、次のページにまとめさせていただいております。このマル1、マル2、マル3全てに該当する場合があるのではないかということで記載していますが、これに限るものではないとしています。
 まず、マル1としては、海外で臨床試験完了していること。マル2としては、極めて患者数が少ないなどによって、臨床試験の実施が困難と考えられる。マル3として、得られている有効性・安全性に係る情報からベネフィットがリスクを上回ると見込まれるといったことではどうかと考えております。
 中の小さなポツに、それぞれ補足を細かいですが、記載をしておりますが、特にマル2につきましては、前回の御意見でも多くございました、極めて患者数が少ないなどといったところは、具体的にどういうものかという御意見が多くございましたので、構成員の中の御発言ございました、例えば抗がん剤において、国内の患者数が1,000人程度であれば、一定程度は実施可能、500人を下回ると困難といった御意見についても付記させていただいております。
 それから、マル2の3ポツ目にございますが、致死的な疾患や、急速・不可逆的な進行性の疾患などにつきましては、これは追加の臨床試験を実施することによって、承認までに時間を要する場合の患者の不利益が大きいことから、必ずしも患者数によらず、国内での臨床試験の実施は困難と判断される場合もあるのではないかということも記載させていただいております。
 マル1からマル3までございますが、その次のポツのところ、共通することとして、なお書きを記載しておりますが、日本人における民族差があることが具体的に示唆されるような場合には、臨床試験の実施が必要と判断される場合があることは、共通事項として記載させていただいております。
 ここまでが日本人データの関係の対応の方向性です。
 最後のページは、条件付き承認関係でございます。このような日本での臨床試験の結果を承認後に求める場合には、これは原則として、条件付き承認を活用することとしてはどうかと考えています。
 加えまして、この小さなポツで書いておりますが、米国で迅速承認の対象となったものについて、日本では第2相試験の結果によって、通常承認されているものがありますが、こういったものも、今後は条件付き承認制度を活用することについて、どう考えるかについては、これは本日御意見をいただければと思っております。
 一方で、米国におきましても、多くの品目では、承認後の検証的試験では、迅速承認の際とは異なる治療ラインを対象とするものであることも鑑みまして、日本ではこれまでと同様に、通常承認により対応していくことが適切という考え方もあろうかと思いますので、これがどうあるべきかについて、御意見いただければと思っております。
 2ポツ目ですけれども、条件付き承認の運用に関するところですが、その要件の1つとして、検証的臨床試験の実施が困難といった要件がございます。これについては、日本人の追加データが必要となる場合も該当することとしてはどうかと考えています。また、致死的な疾患や、急速かつ不可逆的に進行する疾患などについても、患者への不利益の程度が大きい場合には、要件に該当することとするといった、幅広い解釈ができることとしてはどうかと考えております。
 3ポツ目ですが、条件付き承認において承認後に実施する検証的臨床試験の対象患者につきましては、これは必ずしも条件付き承認を受けた範囲と完全に一致する必要はなく、異なる治療ラインでも認められる場合があるといった解釈としてはどうか。また、この場合、必ずしも日本人が含まれる必要はないといったことも明記してはどうかと考えています。
 4ポツ目は、なお書きとしておりますが、この要件のあり方とか、承認後の取消のあり方といったことを含めた条件付き承認の制度的枠組みのあり方については、これはこの検討会の場の議論も含めまして、引き続き、法改正の要否についての検討が必要と思いますので、法改正の要否を含めた検討を進めてはどうかと考えております。
 また、その際、併せまして、PMDAの体制強化についても、検討を進めてはどうかと思っております。
 最後、5ポツ目に、「加えて、」と記載しておりますが、これは、今後の将来的な検討課題と思っておりますが、条件付き承認の活用を図るために、例えば、この試行的なパイロット事業として、審査の過程でアカデミアや患者団体の意見を反映する仕組みについて、研究を進めてはどうかと考えております。
 先ほど、構成員の方から御意見あったように、PPIと呼ばれる患者参画の仕組みは、海外では盛んに行われていると伺っているところもございますので、そういった観点も含めて、我が国においても、患者団体の意見あるいはアカデミアの意見を反映しながら審査を行っていくことを、試行的に検討を進めてはどうかと考えております。
 以上でございます。
○清田座長 ありがとうございます。
 事務局から、割と大胆な案をお示しいただきまして、スライドの6ページ目以降で、御意見があれば承りたいのですが、まず、6ページの基本的な考え方ですね。これは、何か御異議のある方はいらっしゃいますでしょうか。
 どうぞ。
○柏谷構成員 柏谷です。
 4つ目のポツになります。その後半ですね。承認申請と並行して治験を開始し……とあって、医療現場へ情報提供することが重要であるということで、必ず承認申請と並行して治験をやりなさいとは書いてないのですけれども、もし、このような指導をされるということであれば、従前、我々がPMDAから御指導いただいていました、日本人データの投与実績を積むための治験を求められている。これはあくまでも患者数が少ない領域に限っての話だと思いますので、そういう点から考えると、本当にサイエンスの観点ではなく、単にデータの投与実績を求めていることも考えられます。重要であるということで書かれていますけれども、できれば、このような考え方を示さない方向で、最終的に通知等を出される場合は考えていただきたいというのが1点。
 2つ目は、このページで一番最後5つ目のポツで、同じことですけれども、少数例の国内試験についても、同様に、一定程度の意義はあると考えるとされているのですけれども、もちろん、我々も意義があると理解しています。しかし、これでは、先ほど申し上げたように、1例でも2例でも組み入れたらどうかという理解につながってしまいますので、我々は、科学的観点から意義あるデータを得るべく、症例への組み入れに努力するのですけれども、フィージビリティの観点からして、前回も言いましたけれども、できないものはできないというところがございますので、この辺の書き方に関しても、再考いただければと思っております。
 以上です。
○清田座長 具体的に、どこをどう直せばいいか、御指摘いただくと、ありがたいです。
○中村構成員 中村ですけれども、私は、最後の「少数例の国内試験についても同様に一定の意義はあると考えられる」は削除していいのではないかと思っていて。むしろ、必要なことがあるかもしれないけれども、数例でやってもさほど大きな情報は加わらないよねという議論がこの会でされてきたと認識しているので、わざわざここに書いてしまうと、結局、これまでと同じになってしまう。
 それから、その1つ前の日本が参加する意義はあると考えられると書くよりも、観点からも日本の参加を促すべきであるとか、もうちょっと前向きに、むしろ、国際治験に入ることを勧めるという書きぶりにしたほうがいいのかなと思いました。
○清田座長 事務局、いかがですか。
○次世代ワクチン等審査推進室長 ありがとうございます。事務局からお答えいたします。
 最後のなお書きのところは、少数例であっても日本人での有効性・安全性等について、総合的に評価するような考え方で、一定の意義はあるということで、こういうふうに書かせていただいています。ただ、この議論として、日本人の症例を求めることによって、開発が遅れたり、あるいはドラッグロスにつながったりとか、そういったケースにおいてまで、承認時までに求めることは、そこまでは必要ないだろうということで、この基本的考え方の、それよりも上のほうに書いてある、主には3つ目のポツですかね、こういった考え方を、次のスライドにも書いてあるような考え方で進めてはどうかということですので、一番最後のポツは、上の考え方を打ち消すものではなくて、日本人データの意義について、それが収集できる場合はもちろん収集してもらうという前提の下、ただ、それが難しい場合には、この次のスライドに記載したような考え方で対応していけばよいという、そういう位置づけで書かせていただいております。
○清田座長 最後のポツを削除するのは無理なのでしょうかね。
 どうぞ。
○成川構成員 私も、このポツが気になって読んでいまして、前々回の議論を思い出してみたのですけれども、必ずしもそういうコンセンサスまで至ってないのではないかなという認識を私はしております。
○清田座長 ほかの方はどう思われますか。
 小川構成員、どうぞ。
○小川構成員 私も、最後のポツの最後の1行が気になって、考えていましたけれども、過去に行われていた国内試験で、少数例の症例が入ったことの意義を否定するものではないとは思いますが、ここにこの1行を付け加えることによって、既に、海外で例えば承認になっていて、ラグが既に生じているものに関して治験を求めることになりはしないかということを非常に危惧しておりまして、やはり、この1行を削除していただきたいと考えております。
○清田座長 大体、構成員の意見ですけれども、それを御考慮いただいて。
○次世代ワクチン等審査推進室長 重要な点なので確認をさせていただきたいと思うのですが、今は、ロスにつながるような場面においてまで、日本人データを少数例であっても求める必要はないというところについては、コンセンサスがあるのかなと思っているのですが、それよりもさらに広げて、日本人データを承認が遅れることなく取得しようと思ったらできるような場面、こういったより一般化したような場面においても、少数例であれば取得する必要はないという、そういった御意見なのか。それとも、あくまでロスを避けるという文脈の中でのことなのか。そこを皆様に確認をさせていただきたいと思っております。
○清田座長 いかがでしょう。前者でしょうか。後者でしょうか。
○中村構成員 前者というか、順番が、最後にこれが来ているもので、ここをすごく強調しているように見えて、やはり少数例の試験はしようねというふうに見えるのですけれども、これが、3ポツの手前の前段にあって、でも、不利益を最小化する観点からは、やらなくていい場合は、やらないほうにしようねという流れにすれば、誰も文句を言わないのが、一番最後に1行ぽんと出ているので、これが結論っぽく見えてしまうのですよね。順番からして、みんな、下がすごく気になると思います。
○清田座長 そうですね。
○中村構成員 認識は一緒だと思います。
○清田座長 どうぞ。
○佐藤座長代理 最後のポツの最後の一文は、むしろ、柏谷構成員のお話とかも含めると、科学的観点から意義があって、実現可能であるならば、少数例でも国内試験が必要だということになると思うのですよね。だから、その科学的意義を説明してくださいとか、実現可能性を説明してくださいというところが論点になるということではないかと思います。
 あと2つ追加で質問ですけれども、3つ目のポツの薬事承認を行うことが適切というのが、この7ページのつながりからはちょっと変な気がしていて、これは薬事申請ではないですか。
 それから、関連して、7ページの1から3で、申請した後、審査の結果、今、一番最初に申し上げたとおり、科学的に意義がなくて、フィージビリティがないような場合は、審査の結果、日本人データなしで承認することもあり得ることがここに書かれてないので、ちょっと分かりにくいかなと思います。
 以上です。
○清田座長 そうしましたら、まず、6ページの5ポツの最後の行は前に持っていけばいいのではないか。それはいかがですか。
○次世代ワクチン等審査推進室長 すみません、事務局からよろしいですか。
 記載場所が文脈上混乱をもたらしてしまったのかもしれません。このなお書きについては、1つ目のポツに続くような位置づけで書いた上で3ポツへ続くような形であれば、文脈上も誤解はないのかなと思っておりますし、通知化する際には、そういった文脈構成で、分かりやすく表現できるようにしたいと思います。
○清田座長 よろしいでしょうか。
○柏谷構成員 5ポツ目の点では、先ほど佐藤座長代理からもお話がありました点を踏まえて、修正いただくということで、大丈夫かと思います。
 4つ目のポツのところがちょっと置き去りになっているのですけれども、承認申請と並行して治験は、これがone of themだと思うのですね。追加の安全性監視活動の中でフォローできるものもありますし、そういうことが分かるような記載にして、これだけ読んでしまうと、やはり厚労省は承認申請と同時に治験を求めるのかということにミスリーディングしてしまいますので、そういう意図でなければ、何とか記載の書き方といいますか、工夫していただければと思います。あくまでもone of themだと思います。
 以上です。
○清田座長 そうすると、佐藤先生みたいに、承認申請ということでよろしいのですか。
○次世代ワクチン等審査推進室長 すみません。事務局から、今の柏谷構成員の御指摘に対して。
○清田座長 どうぞ。
○次世代ワクチン等審査推進室長 必ずしも全てで治験というわけではなくて、当然、治験として実施が求められる場合もあるでしょうし、あるいは別の代替的な手段で必要な情報が得られるケースもあろうかと思っておりますし、そこは、承認の時点において、承認後にどういった追加的なデータが必要になるかとか、あるいはそれぞれのデータ収集の方法にどれぐらいのフィージビリティがあるかとか、そういった要素を考慮しながら、ケースごとに判断していくのかなと思っております。
○清田座長 どうぞ。
○柏谷構成員 柏谷です。ありがとうございます。
 ただ、全体的に、この資料の6ページ、7ページ、8ページ、特に、なぜか、条件付き承認制度の活用を積極的に後押ししているような記載にも見受けられますので、ここに来て、急に条件付き承認制度をプッシュする必要はないのかなと思っていますので、あくまでもone of themという形で条件付き承認制度を考えていただければと思います。
○清田座長 いかがでしょう。
 そういうふうに取れるのではないかと私は思いますけれども。
○中村構成員 柏谷さん、製薬企業側が条件付き承認制度を活用をすごく強調されることに反対されている理由を、ちょっと御説明いただいていいですか。
○柏谷構成員 反対するわけではないのですけれども、条件付き承認制度は、今、ここの検討会で急に出てきた制度ではなくて、従前からあった制度でもありますので、今、ここに来て、なぜ条件付き承認制度をそれだけプッシュするのかが分からないですし、プッシュが強過ぎて、ほかの方法があるのにもかかわらず、条件付き承認だけが目立つような記載になっていますので、そこのところは、いろいろな方策があるうちの1つだよということで分かるように記載していただければ、通知上も助かります。
○清田座長 どうぞ。
○次世代ワクチン等審査推進室長 従前であれば、日本人のデータを承認時までに求めていた。その結果としてロスにつながるようなケースにおいては、承認した上で、事後の提出をしていただくという、そういったやり方をとっていけばいいのではないかというのが今回の提案です。
 そのときに、そのやり方として、条件付き承認という形で出していただくことが、自然な対応として考えられるということで提案しておりますけれども、業界の皆様にとっては、そのことが何か弊害があるということなのでしょうか。
○柏谷構成員 弊害は全くないです。繰り返しなりますけれども、従前からある制度ですので、ここに来て、強調するのではなくて、日本にある各種制度を活用しながら申請するという文言でもいいのかなと。条件付き承認制度をクローズアップする必要はないと。通常の治験をやる場合もありますし、さっきから申し上げていますように、追加の安全性監視活動の中でデータを取ってくることもできますし、いろいろな方策がございますので、ここで条件付き承認と書かれてしまうと、その制度に基づかないといけないのかなという、そういう思いもありますので、one of themという形で示していただくと、納得感はあります。
○清田座長 国語の問題みたいになってきましたけれども、どのように表現するかですね。
 どうぞ。
○成川構成員 成川です。
 前々回ですか、条件付き承認について前向きな発言したものですから、その責任もあって、コメントしますけれど、私も、趣旨としては、例えばFDAが迅速承認した品目を、全て日本でも条件付き承認にすればいいという立場ではございません。ただ、フェーズ2などで探索的試験の結果に基づいて承認したものの中でも、真のエンドポイントでの結果に不安がある場合は、きちんと承認条件をつけて、市販後に検証していただくことが必要だと思っています。
 そのときには、今まで議論があるように、必ずしもRCTとか介入研究だけを念頭に置いているわけではなくて、製造販売後調査とか、あるいは患者レジストリを使ってフォローアップをするとか、そういったものもメニューに入ってきていいと思っています。
 あとは、そういう宿題をやった結果、クリアに有効性が示されなかったとしても、必ずしも、例えば承認取消とか、そういう必要はないと思っているので、そこはケースに応じた判断が必要だと思うのです。ただ重要なのは、そのプロセスをきちんと踏んでおくことだと思うのですよ。検証度合いが低いものについては、きちんと法律に基づいて条件つけて承認をして、そこを後からフォローすると。そこは文書化をして、説明責任を取れるようにしておくことが、規制当局にとってもいいことなのではないかなと思っての発言でございました。要するに、あまりにも活用が少ないものですから、変な話ですけれども、法制化以降、0件なものですから。年間5件から10件程度の条件付き承認を、アメリカ、ヨーロッパ以外の諸外国でもしているという事実も知っているので、そういう面から見ても、運用がうまくいってないのかなということです。
 もう一点だけ、逆に、探索的なデータで通常承認するケースがあってもいいと思っているのです。そのときには、審査報告書にその合理性をきちんと書いておくべきだと思っています。今の審査報告書の記載には、私はあまり満足していなくて、いつもあるようなフレーズが書かれているだけですね。その辺のめり張りがついてないというのがあるので、ぜひ御検討いただきたいなと思っております。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございました。
 宮川構成員、どうぞ。
○宮川構成員 物事の基軸は、今、成川構成員が言ったように、何のためにこの承認をしているのか、それは患者さんのためです。患者さんのためにあるということを考えて、しっかりと構築をしていかなければいけない。それに対して、後で企業がある程度いろいろなことを調べなければいけない。探索だろうが何だろうが、やれることはやらなければいけないのでしょう。そこのところをきちんと踏まえて構築をしていかなければいけない。患者さんのためにこれを今やっているのかということをしっかりと考えていただきたい。そうでないと、企業の論理だけで、この文言は後にしてくれとか、前に持ってきてくれというのは、私は納得できない。発言は十分分かっています。だけど、その前に、患者さんのためにこういうことがあることをしっかりと踏まえていかなければいけないことは確かだろうと思います。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○中村構成員 中村です。
 成川先生、原則として条件付き承認制度を活用することにするというのは、「原則として」までは言わなくていいという認識でしょうか。
 全部条件付き承認制度にすると、多分、企業は全部治験か製造販売後臨床試験を求められて、それはあんまりじゃないのということを暗におっしゃったのかなとちょっと思ったのですけれども、場合によっては、製販後の調査特別調査みたいなことで対応できる例もあるよねということをお二人の話からちょっと感じたのですが、そうではないのですか。この文言をどうするかというところがちょっと曖昧に皆さん発言を避けておられると思います。
○花井構成員 正直申しますと、条件付き承認制度を推しと言われていますので、推してもいいのではいなかと僕はこの前でき議論でちょっと思っていて。というのは、確かに、承認、同時治験で、例えば組み入れとかも、市販されているのに、拡大治験という、いわゆるコンパッショネート制度みたいな形で、地続きでもう使っていて、もしくはシングルラグでよかったりするのですけれども、そういう継続して使っている患者側がいつから使えるのかという話と、それから、チェックが重なっていて、今まで、承認条件とか、再審査制度とか、あとは市販後調査制度がいろいろ走っていて、私どもも半分偏見が入った印象を申しますと、1回承認されたら、その後のフォローが何かなおざりになっていて、全然フィードバックがないようなケースがあって、条件付き承認といったらきちんと出せと、がちっとやっているので、それなりにきちんとした制度かなと思っていて。
 だから、条件がついて、普通の承認の承認条件であろうが、それから、いわゆる市販後調査的なものであろうが、治験という名前であろうが、きちんと決められたことが、期間内にフィードバックされて、きちんと責任を持って確認されているのであればいいけれども、今までの感じからすると、ちょっとそこが曖昧なところがあって、もしくはRMPで記述されたことを、みんなきちんと実施していか、それすらちょっとえっというところもあって、承認条件が守られ方に温度差があるように、今は見えるわけですよ。
 条件付き承認制度は、そういう意味では、がっつりと、これは、これを調べなさいとなっているので、割と立てつけがきれいなもので。今までの条件付き承認制度からちょっと拡大したら、今、制度設計上はどういうふうに法律で決まっているかは別ですけれども、条件付き承認制度というものが、アメリカのAAのように、日本型AAみたいなイメージで、どうやっていくかということを含めて、積極的に既存の制度を推していってもいいのではないかと、今は、印象として思っています。制度設計をどうしたらいいかというのは、今すぐにはまとまらないですけれども、推しはそんなに間違い方向ではないような印象を私は持っていたのです。
○柏谷構成員 柏谷です。
 花井構成員、どうもありがとうございました。
 もちろん反論ではないのですけれども、企業側が申し上げているのは、あくまでもサイエンスベースで考えたときにどうかと。サイエンスベースで考えたときに、条件付き承認制度を活用するのがベストであろうということであれば、もちろん条件付き承認制度でできます。また、そこまでしなくても、追加の安全性情報で情報を収集することで、例えば海外で検証データがある場合などは、そこまで日本で条件付き承認制度を活用するかは、また、ちょっと考えないといけないところも出てきますので、ケース・バイ・ケースで、サイエンスに基づいた判断で試験を実施していくと、そういうことで考えていきたいと思います。
○花井構成員 おっしゃる趣旨は賛同しますし、それから、こういった制度ができる前から、実は審査当局は、1996年のエイズから私付き合っていますから、いろいろな形でケース・バイ・ケースで、そういうことをやってきているわけですね。ところが、それをきちんと制度として明示的にオープンにしていこうというのが、この辺のいわゆる先駆けも含めた流れの中でやっていると思います。
 条件付き承認制度については、今後、ケース・バイ・ケースと言われているのですけれども、つまり、患者会からどうなるかというと、緊急承認だろうが、条件付きだろうが、特例承認だろうが、承認された医薬品として出てくるのですよ、これが。そのときに、これは条件付きでこうなっていますという個々のものは分からないし、逆に言えば、医療現場のICに全部依存しているということですよ。インフォームド・コンセントする責務を書いていますよね。これは条件付き承認制度で、この辺がまだ探索的で終わってないから、有効性についてはちょっと曖昧なんですよと、完全に説明しなくてはいけないことであって、制度上かっちりしてなければ、医療現場がその差異とか情報について全部インフォームド・コンセントをしろという話にも、今、事実なっていると思うのですよ。
 そういう意味では、ちょっとかっちりしたAAとかいろいろな制度がありますけれども、医療現場なり患者なりが、これはこういう確認がされているというところが、もうちょっと明らかなほうがいいかなと。ケース・バイ・ケースは、ずっと20年ぐらいケース・バイ・ケースをやっていますよ。PMDAはむちゃ言って、これはもう絶対承認しないとか言ってないし、これは公知でねというのも全部やってきているけれども、それが必ずしも明示的制度ではなかったので、企業からすれば、予見可能性は常におっしゃっていて、これでいけると思ったら、実は、現場で、今はこれ駄目ですと言われて、話が違ったとかそういうことが企業としては一番心配されていると思うので、逆に言えば、条件付きを活用すれば、こういうふうにできると、逆に明確にしたほうが、そちらでも有利になるのではないですかね。逆に言えば、条件付きをもうちょっと広げるとか、何かそうしないと、ますます現場と承認後の扱いの違いが、結局、現場にしわ寄せが来るような制度になるのではないかというのをちょっと懸念しているのですね。
○宮川構成員 宮川です。
 そうなのです。私が、最初に患者さんが基軸と言ったのは、患者さんに対してどうやって説明するのかということを、医療現場はいつも求められるからです。それをしっかりやらなければいけない。薬剤師さんも同じです。みんなそこが基軸なのですよ。企業としては、最初にやるのはちょっと面倒くさいから、早くやらせてくれ、こうなったら、後の調査も嫌だみたいなことを言われているような気がしてならないのです。
 だから、みんなできちんとやらなければいけない。きつい話として非難しているわけではなくて、そういうふうに聞こえてしまうことがやはり嫌なことなのですね。患者さんにとっては、どのような思いでも、この薬を有効に使って、それに対して答えを出していかなければいけない。現場で出してきた答えが、それは承認前であろうが承認後であろうが、同じなのですよね。そこのところの制度をきちんと確かめられるようにしてほしいというのが、この制度の中身だろうと思います。その後の今言った言葉の使い方というよりは、この中身だけはしっかり検証していきたいと考えていただければと思います。
○清田座長 ウェブでお二人手が挙がっています。多分、これに関する御意見だろうと思いますけれども、中島構成員お願いします。
○中島構成員 よろしくお願いします。
 現在の非常に大きく進展した医療情報環境の中に、データベースの活用による解析が大分進んできたわけですね。特にMID-NETが2018年に始まって、非常に変わってきたと思います。
 私も、日本人データなしに承認することには賛成ですが、日本人データがたくさんあって承認したものに比べて、全く同じ承認なのかというと、ここは差をつけるべきだと思います。そうすると、言葉の問題になるのですが、純粋に条件が付いた承認とならないといけないと思うのですね。ただ、条件付き承認制度があるので、そこをすぐ想起してしまうことが問題で、言葉の問題かなと思うのですが、例えば、後日確認必要承認みたいな、何らか違う意味合いの言葉で、後日、十分にデータがそろったら、後ろ向きの解析によって、例えばビジュアルシンキングまで行きますので、そういう承認を先ほどの後日なんたらというのを外すとかということをしていけばいいのかなと思います。
 例えば5ページに、FDAで承認取消があったけれども、日本では承認のまま続いているというようなものも、例えばFDAで承認取消があったときに、同じような確認、必要性承認みたいなことに格下げとすると、それはFDAが何らかの理由で、承認を取り消したので、日本でもう一回確認することもできるので、条件付き承認制度を拡大するというのも一つの案かもしれないのですけれども、別の意味で、もっとピュアな日本語で、そういう条件付き承認というものを、もう一つ別カテゴリーをつくってもいいかなと思いました。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 続きまして、眞島構成員。
○眞島構成員 ありがとうございます。
 私も希少がんをやっておりますので、治験をやるにしてもなかなか大変だということが今まであったわけですけれども、C-CATが出てきたおかげで、希少がんもC-CATを見れば、製薬企業の方は、どこの施設でこういうバイオマーカーが陽性の患者さんが治療されたのかと分かりますから、治験はやりやすくなってきたのかな思います。希少がんの患者さんは少ないので、条件付き承認制度をうまく活用していただいて、もっと迅速に、ドラッグラグ、ドラッグロスがなくなるように治験を進めていきたいいうのが我々の希望です。
 ページ8の一番最後の5ポツ目に、条件承認制度の活用を図るためにと書いてありまして、アカデミアや患者団体の意見を反映する制度があります。ぜひ、これを進めていただきたいなと我々思います。今、3学会でもって、がん患者団体のレベルアップを図るために、様々な取組が始まっておりますし、それから、厚生労働省の研究で有賀班でも同じような仕組みがありますので、ぜひ、この点を活用して、今のPPIという流れに沿った形でもって、迅速承認ができるような体制づくりを、患者会またアカデミアとともに進めていただければありがたいと思います。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 お二人の御意見に対して。
 どうぞ。
○PMDA審査マネジメント部長 PMDAの審査マネジメント部です。
 中島先生のおっしゃられたことは、非常にそうなのかなと思いました。実は、アメリカのAccelerated Approvalの制度と、今、先生方がおっしゃられた条件とはかなり違っております。今、事務局の資料の5ページに出ていますAccelerated Approvalで、アメリカで取消というか、否定的な意見があって、ほとんどのものが自主的に取り下げておるのですが、Accelerated Approvalの部分については、その時点でのエビデンスで承認をされ、日本も承認をしております。
 企業は、承認条件としての試験として、さらに早い段階の患者さんで、市場が大きいところで開発をするとか、あるいはスタンダードになっているお薬との上乗せで、さらに対象患者を拡大するために治験を行うことが多く、それが失敗したためやめたということです。日本で、今、承認がされているものについては、米国での承認条件で行われた試験とは患者層や使用条件などが異なるため、承認時のエビデンスについては、基本的には、有効性・安全性の観点から有効性が優れているということは変わらない、有効性が否定されたものではないということで、承認が継続されているということです。
 これは、フル承認の位置づけをどう考えるのかと。あくまでも企業として最終的に自主的な取り下げもしておりますので、それと、行政的に、これは有効性が安全性よりも劣っているという判断を明確にすること、つまり医薬品としてダメとすることとは違うということだけ少し分かっていただきたいと思います。
 その上で、先生方が言われていた、承認条件でいろいろ後からの調査について、しっかり調査を出していただこうという制度が、いわゆる条件付き承認という話になってきますと、有効性については調査で得られるエビデンスは治験で得られたものより劣っていますのですが、承認をされた適応疾患の範囲においては、調査ではこれ以上のエビデンスが出てこないので有効性の承認自体を見直すのは難しいのです。
 具体的に言いますと、ここに出ています6品目のうち、上から2つ目につきましては、Accelerated Approvalで承認をされて、フル承認を目指したときの検証的試験が失敗しておりますけれども、これは承認時と同じような患者層で行われました。日米ともに、その審議がなされた結果、承認の内容を変えるよう日本でも対応しておりますので、そういう意味では、珍しいケースですが、早期で承認をした段階での治験と、承認後にさらに高いエビデンスで治験をしているところの患者さんが重なるのは非常にまれです。そういう場合は、我々、情報を得ていますので、そこはきちんと評価をして、審査報告書として公開しています。
 それと、今、先生方が調査とかをいろいろして、それをきちんと出さなければいけないのかというものと、意味合いが少し違うのではないかという中島構成員のお言葉は、そのとおりだなと思いまして。そういうふうに制度の違いがちょっとあることだけ御理解の上、御議論を進めていただければと思っております。
○清田座長 ややこしいですね。
○PMDA審査マネジメント部長 条件付き早期承認制度といいますと、アメリカのものを皆さんイメージいたしますと、当然、それよりも高いレベルのエビデンスが求められて、その結果が出たら、きちんと審議されるというようなことで、承認された内容に、条件がついていると思ってしまいますので。そうすると、その条件が付いた承認事項の見直しをするためには、基本的には、それよりも高いエビデンスの治験を求めていて、その結果があるから、仮に承認をしたところのエビデンスがどうだったのかという評価ができるのですが、承認されたときの治験よりも、調査とかいろいろなところで劣っている場合については、恐らくその承認の取消というところはなかなか難しいのかもしれませんので、それこそ医療現場で、これは条件付きだと言って説明をするときには、これは有効性はまだ分からないのかなとか、有効性はそのレベルでは分かるのですけれども、それと、調査を条件をつけて、一定期間に回収をして、きちんと医療現場に届けるというものと内容が少し違うのかなと思いましたので、中島構成員が言われたように、文言はちょっと変えたほうが、混乱はないのかなということで、制度の違いというところを少し御説明さしあげました。
○清田座長 どうぞ。
○中村構成員 中村です。質問してよろしいですか。
 条件付き承認制度は、条件付き承認と言ったら、ほぼ必ず治験か製造販売後臨床試験を求めることと同義でしょうか。
 そうでなくて、そこで、いわゆるリアルワールドデータの活用でやっているものよりも、全て臨床試験をすればいいかというと、患者さんは実施施設に行かないといけなくて、逆に、アクセシビリティが悪くなりますし、それが果たして本当にいいか、物によってはちょっと疑問だなと感じているのですが、そこら辺りはどうなのでしょうか。そこがさっきおっしゃったサイエンスベースと言って、治験、市販後臨床試験という守られた環境でやらないと危ないぐらい大変なのか、そうではないのかというところで切り分けるのだという認識だと思ったのですが。
○次世代ワクチン等審査推進室長 条件付き承認制度の条件としては、必ずしもクリニカルトライアルをやっていただくというわけではなくて、例えば、これまで条件付き承認されたものの中でも、レジストリデータを用いて評価したものもございますので、そこはクリニカルトライアルでなければいけないという限定はされていません。
○中村構成員 柏谷さん、それでは駄目ですか。
○柏谷構成員 柏谷です。
 その理解であれば、納得します。
 6ページのところでは、「承認申請と並行して治験」と書かれているのが、ちょっと気になるというところです。この資料のところが、ちょっと前後したりしますので、もう少し整理していただければ、理解しやすかったかも知れないです。
○清田座長 どうぞ。
○成川構成員 今の御議論に賛同します。
 私の記憶ですと、これまで5品目条件付き承認していますけれども、医療機関・医師の限定という意味での条件がついた抗がん剤や、お決まりの全例調査がついたものばかりで、要するに、条件付き承認品目の承認条件と、通常の新薬で付される承認条件の違いが、私にはよく分からないというのが正直なところです。
 先ほど、PMDAからお答えをいただいたことは理解するのですけれども、抗がん剤についてはお答えいただきましたが、アメリカの例えば抗がん剤以外で、遺伝性の代謝疾患とかそういったもので、迅速承認は、たんぱく質の量とか、バイオマーカー的なもので承認をしておいて、その後の宿題で、長期の予後とか、6分間歩行の距離とか、そういったイベント的なデータをきちんと出していただいているケースがあるのです。
 私が心配しているのは、そういったケースで、日本で、バイオマーカー的なもので、通常承認してしまうと、その後のフォローデータがきちんと出てくる保証がなくなるのですよね。そこは先ほど議論の中であるように、患者さんのためにならないということなので、宿題としてとても重いことを想定しなくてもいいのですけれども、つけられた条件、宿題は返していただくというプロセスは、きちんと法律に基づいて踏んでおいたほうが、私はいいのではないかという考えであります。
 以上です。
○清田座長 どうぞ。
○宮川構成員 清田座長が一番御存じだと思うのですが、つまり、承認というのは、どんな形でも、小さかろうが大きかろうが、通常だろうが何だろうが、みんな条件はついているのです。だから、その中でどういうふうなグレードをつけていくのかという、その中に重みをつけて、どのように考えていくのかという整理が、この中でまだ十分できてないから、こういうことになっている。でも、みんな条件はついていますよね。その中で、どのようにこれを運用していくのかという話になるので、もう少し柔軟な、それから、きちちんと分けた考え方を、成川構成員が言ったように、しっかりとつけていくことが、患者さんのためになるわけです。医療現場で運用しやすく、そして、活用できるというところを考えていただければ、一番いいのかなと思います。だから、あんまり、米国のことを云々ということではなくて、日本の中での考え方をしっかりと定めていただいて、議論していくのが一番いいのではないかなと思います。
○清田座長 そろそろ出尽くしたのではないかなと。
 どうぞ。
○次世代ワクチン等審査推進室長 ありがとうございます。
 表現ぶりについては、実際に通知化するときに誤解のない表現を使いたいと思いますが、条件付き承認制度は、これは制度の名称ですので、制度の名称としては、それを使わざるを得ないみたいなところはあります。その上で、実際の中身のところは分かりやすく説明をしていきたいと思っております。
 柏谷構成員が心配されているところに対してお答えすれば、どういった条件を付すのか、そこは科学的に合理的な判断になるでしょうし、また、その条件として課したもののデータが事後的に出てきたときに、それを踏まえて、その承認の維持とか見直しをどう判断するのかというのも、これも科学的に合理的に判断すればいいことだと思っておりますので、そういう前提で御理解をいただければよいのかなと思っております。
 先ほど私が申し上げたことでちょっと不正確なことがあったので、訂正をさせていただくと、今まで条件付き承認されたものの中で、レジストリデータで評価をしたものもあったということで、それは確かにあったのですけれども、クリニカルトライアルにプラスして、レジストリデータといったような形で課されていたというのが正確なところです。
 ただ一般的には、先ほど申し上げたように、必ずしもクリニカルトライアルという形式でなければいけないという立てつけではございません。
○清田座長 よろしいでしょうか。
 どうぞ。
○花井構成員 先ほど成川構成員がおっしゃられたことは、非常に僕も賛同するところで、今、審査報告書の書き方はもうちょっと考えてほしいと。今、承認条件は、一般ではRMPで丸めてしまっていて、RMP全体が条件のように読めるように書いてあるのですね。その中に書いてある。RMPは、完全にそれを遵守して承認条件を守っているかというと、そうではないのです。企業によって温度差があって、承認条件違反ではないかということも何度か、ちょっとクレームというか、RMPにこう書いてあるけれども、皆さんこれを全然やってないのではないか。承認条件がRMPだと、それは承認条件違反だろうという話にもなるけれども、だから、審査報告書の書き方は、これはこういう調査をきちんとして、返すとか、そういう形で書いて帰ほしい。あと、もうちょっと詳しくというか、こういう説明があったので、これを承認したみたいなところのその理論が全部飛んでいて、本当の意味での審査報告書を読み下していると、審査報告書を最初に読むマニアな患者は僕ぐらいしかいないかもしれませんが、でも、そういう意味では、承認条件とかPMDAが疑問に思ったことに対する応答に対して、はいと言っていけれども、どういう理論でそれオーケーしたのかというところとか、それをもうちょっと検討してほしいかなと思いました。海外のものがどう書かれているかはよく知らないのですけれども、その辺も含めて検討していただけたらと思いました。
 以上です。
○清田座長 ぜひ、お願いしたいと思います。
 どうぞ。
○柏谷構成員 2点だけ。7枚目のところで1つ確認ですけれども、1つ目のポツの最後「ただし、必ずしもこれらに限られるものではない」とお書きかになっているのですけれども、これは読み方としては、マル1、マル2、マル3のうち、基本は、マル1、マル2、マル3がそろうことが基本だけれども、読み方としては、「限らない」ということは、マル1、マル2でも充足するという読み方が正しいのか。それとも、1、2、3、4、5、6みたいな、後から増えてくるぞみたいな、そういうことを示唆されているのか。この文章ではよく分からないと。この辺は、通知化されるときには多分明確になると思いますので、その辺のところで、また、議論させていただければと思っておりますというのが1点目です。
 もう一つが、マル2のところのポツの2つ目ですね。「なお、抗がん剤においては、国内の患者数が1000人程度あれば」と意見があったということですけれども、この辺のところは、企業側としては、患者数というよりは、前回も申しましたように、フィージビリティという観点がございますので、ここの患者数に限った話ではなくて、フィージビリティの観点から論じていただければと思っております。以上です。
○清田座長 もうちょっと具体的な御提案をできますか。
○柏谷構成員 マル2の2つ目のポツを削除していただいて、数字を出さないというところが。通知上もですね。通知上、もし数を出すのであれば、サイエンスに基づいた数字の記載が必要になってきますし、フィージビリティという観点から論じていただければ、我々としては、臨床試験もやっていきやすいと、そういうことになると思います。
○清田座長 事務局、いかがですか。
○次世代ワクチン等審査推進室長 まず、1点目のただし書きについては、特に具体的にこういうケースを想定しているという意味で書いたわけではなくて、このマル1、マル2、マル3を満たす場合のみに限定した場合に、それ以外が含まれる余地を一切なくしてしまうことにならないように、一応このただし書きをつけさせていただいていると、そういうものと理解をしていただければと思います。
 それから、患者さんの人数のところですけれども、こちらは一つの目安という形で示させていただいています。おっしゃるとおり、フィージビリティを考慮して判断するのはそのとおりだと思っているのですけれども、一方で、目安となる数字がない場合に、自由に議論して判断しましょうとなったときに、どうしてもコンサバティブな判断になりやすいのかなというところもあって、こういった目安となる数字があったほうが、むしろ業界の皆様にとって対応しやすいのかなという思いもあって書いたのですが、逆に、不要ということであれば、特に目安を示さないということでもよろしいかと思います。そこはほかの構成員の皆様から御異議がなければ、そのような形にさせていただきます。
○清田座長 小川先生、どうですか。
○小川構成員 100という数字が出された際に、100以下でないと駄目では困ると考え、試験ができそうな数字を出させていただいておりますが、目安がなくてもよろしいようでしたら、特に異議はございません。
○清田座長 ありがとうございます。よろしければ、目安なしということでよろしいですか。
○次世代ワクチン等審査推進室長 承知いたしました。
○清田座長 ほかに。
 どうぞ。
○芦田構成員 今までの議論と少し毛色の違うコメントしてよろしいですか。
 前半の柳本構成員のお話とも少し関連するのですけれども、今日の議論を踏まえて、製薬業界といいますか、国内に拠点を持つ製薬企業の皆さんに対して、お願いをしたいことがございます。
 本日議論されているように、日本の薬事承認制度が変われば、ドラッグロスの要因の一つがクリアされて、ドラッグロスの解消に向けた前進につながるのだろうと理解しています。しかし、ドラッグロスを解消するには、日本で誰が承認を取得し、販売するのかという論点がまだ残っていると思います。皆さん御案内のとおり革新的新薬、先ほどもありましたが、新規モダリティのような革新的新薬の多くが、日本に拠点を持たないアメリカのいわゆるバイオテック企業が開発し、まず、アメリカで承認を取得して、アメリカで販売をしているという状況だと思います。そういったバイオテック企業が、日本に自ら拠点を設けて、日本で開発をするということになれば、ドラッグロスの解消につながるのでしょう。しかし、そうでないケースは今後もあるだろうと予想されます。
 アメリカのバイオテック企業も、十分な体制を持っているところばかりではありませんので、日本に拠点を設けるかどうかというのは簡単な話ではないと思います。とすると、そのような場合に、解決の一つの方法としては、日本に拠点を持つ製薬企業が、そういったアメリカのバイオテック企業からライセンスを導入して、日本で開発し、日本の承認を取得し、日本で販売をするということになるのだろうと思います。もちろん、薬事制度だけが変わっても、薬価とか他の論点が残っていることは理解しています。また、そのライセンス導入には、ライセンス料という初期投資が必要になるのは分かっているのですが、承認制度が変われば、日本国内で開発する時間とコストが低減されるということも事実だと思います。
 ということがありますので、国内の製薬企業には、ぜひ、海外から導入をして、日本で承認を取って、日本で販売するということをより積極的に考えていただきたいと思います。
○清田座長 了解しました。
 では、そのように。
○柏谷構成員 柏谷です。
 もちろん了解いたしましたというお答えですけれども、バイオベンチャーから導入するだけではなくて、自社で開発していくというところが、一義的には本当はあるべき姿なのかなと思っております。また、海外から導入となってくると、今は円安ということもあって、非常に厳しいという状況もありますけれども、そこで、この会議ではないのですけれども、迅速承認加算という形で、薬価上もインセンティブを与えていただいていますけれども、それでも、欧米で承認を取ったものと比較して、日本の薬価非常に低いこともありますので、その辺、いろいろな要旨を考えた上で、もちろん審査スピードが速くなって承認を取りやすいとか、全部英語で資料を受け付けてくれとか、いろいろなことが改善していけば、日本でどんどん承認申請をやっていくのは主軸になっていくのではないかなと思っております。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。そうなることを期待しております。
○次世代ワクチン等審査推進室長 すみません。この議題で1点、構成員の皆様の御意見を確認させていただきたいところが、あと一つだけあります。スライドの8ページの1つ目の丸のさらにその下の小さいポツです。「加えて、」で始まるところで、先ほど御説明させていただいたとおり、米国で迅速承認の対象となり承認後の検証的臨床試験の実施が求められている品目であって、日本では第2相試験の結果により通常承認されているような品目は、結構数はあるのですけれども、これについて、今後は、条件付き承認制度を活用することについてどう考えるか。
 一方で、米国でも多くの品目では、承認後の検証的臨床試験は、迅速承認の際に根拠とされた臨床試験とは治療ライン等が異なる被験者を対象とするものであることにも鑑み、日本においてはこれまで同様に通常承認により対応していくことが適切であるか。
 2つの考え方を並列で提示をさせていただいております。先ほど清原部長からも説明があったように、米国のAAと日本の条件付き承認はイコールではありませんし、また、日本で2相の試験の結果に基づいて承認されているものは、これは、通常承認に値しないものを無理やり通常承認にしたわけではなくて、その時点での科学的な判断として、通常承認することができるとして承認をされているものでもあります。
 そういった前提事実を踏まえていただいた上で、今後、こういったものについて、条件付き承認に当てはめて、事後的にその条件としたものを確認していくという形にするのか、そこまでは必要ないのかというところの御意見を最後にいただければと思っております。
○清田座長 いかがでしょう。
 どうぞ。
○柏谷構成員 柏谷です。
 条件付き承認制度の活用を一つの選択肢と捉えるという形で収めればいいのではないかなと思いますけれども、そうしたら収まりがいいと思います。
○清田座長 どうぞ。
○成川構成員 成川です。
 私も二者択一の問題ではないと思っていて、過去を振り返ると、恐らく条件付き承認をやっておいたほうがよかったものもあると思いますし、今までどおりのものでもよかったものもあると思うので、両論だと思います。
 ですけれども、その判断の根拠は審査報告書にきちんと書いておかないといけないと、私は思っています。
○清田座長 ほかに御意見はございますか。
 いかがですか。
○次世代ワクチン等審査推進室長 ありがとうございます。そうしたら、必ずしも画一的に決めるというわけではなくて、個別の品目の中で適切に考えていくという御意見かと承知いたしました。
 ありがとうございます。
○花井構成員 これも何か混ぜ返すような議論ですけれども、要するに、3相をしてないで、2相でというのは、そういうものはあって、特に抗がん剤中心だったと思うのですね。僕の理解は、抗がん剤はそういうのがあるみたいな感じでずっと考えていたのですけれども、つまり、この前の緊急承認の議論でも、2相で有効性を確認した、有効性を推定したみたいな、制度上は分けているではないですか。だけど、これまでは、推定と確認は、必ずしもどこまでが確認されたかというのが、ケース・バイ・ケースと言えばケース・バイ・ケースだし、きっちりと線もないので、だから、そこのところは、ユーザー側からすると、2相でまあまあ有効性を確認された、安全性も問題ありませんという判断というところが、3相をしなくてもそれができたことを、ある程度きちんと示すような、明示的に示すような形でないと、形式的に2相まででは確認できてないのだから、3相は基本だと言わざるを得ないところがあるので、今まで、何となく相場感は私もちょっと理解はするのですけれども、それだけではちょっと足りないような気がしていて、2相で済ますことはどういうことですかというところを、もうちょっと患者側にも分かりやすく、何か明示的な線ができればなと、かねがね思ったのですが、難しいのですかね。
 そもそも有効性の推定と確認の差も、今まで私は理解できてないのですけれども、その辺はケース・バイ・ケースと言えばケース・バイ・ケースですけれども、この2相でというときに、抗がん剤は仕方ないのよねみたいな感じでざくっと理解していたところがあって、何でも2相でいいというわけではないのは当然ですけれども、では、何がそれに値するのかというのは、一般人でも分かる説明があるでしょうか。
○次世代ワクチン等審査推進室長 事務局です。
 何が2相承認でも十分かどうかというのを、何か分かりやすい線引き的なものを、今、私はお示しできないのですけれども、そこは本当に科学的な判断というか、その時点の科学的判断としていくしかないのかなと。あとは、その判断した理由とかそういうのを分かりやすく伝えていくという形で、医療現場にも伝わるようにしていくことかなと、今は理解しております。
○花井構成員 分かりました。すみません。むちゃな話をしているのは承知して言っています。例えば再生医療等製品に関して言えば、立てつけを分けているので、どう考えたても、症例数も少ないし、それで承認している。あれは一応仮承認という体裁にもなっていますし、それは特別な場合みたいなっているのですけれども、再生医療等製品でなくても、同じような少数の患者でやらざるを得ずというところは、そういった対応をしてきていると思うのですよね。そうすると、その理由は、患者さんが少なく、ほかに治療法がないから、一定程度このくらいの症例で、患者の期待も大きいし、これは承認しなければまずいよねという感覚は分かるので、2相で承認されたなというのは分かるのですよ。
 ただ、それでもってどんどん拡大していって、2相でいいみたいな話が広がるのは、ちょっと危険な気がして。疾病の状態とか、予後とか、患者の立場とか、そういうのがあるからだという説明がないと、なまじ制度がどんどん緩くなっているという印象を受けかねないし、事実、私のほうのグループで、厳しい人は後ろから石が飛んでくるような、花井、甘いことばかり言っているのではない、RCTこそが原則なのであって、それを緩めるような話をするのは、薬害被害者としてなっとらんとか言って怒られるときもあるのですが、そこまでのRCT至上主義みたいなことはないと思うのですけれども、一定の基準がもうちょっと分かるようにしていただきたい。もちろん、医療現場も困ると思うのですけれども、私も、はい、そうですかと言えないところはそこにあります。曖昧な意見で申し訳ないのですが。
○清田座長 お答えください。
○次世代ワクチン等審査推進室長 事務局です。ありがとうございます。
 今、花井構成員が最後におっしゃられたようなケースであれば、それは条件付き承認とかに比較的なじみやすいようなケースなのかなと思いますし、そういった要素を考慮して、どの制度に当てはめていくかというのを考えていくしかないのかなと思っております。
○清田座長 眞島先生からお手が挙がっています。
○眞島構成員 ありがとうございます。
 我々がこの会議で目指しているのは、ドラッグラグの解消で、いかに有効な医薬品を迅速に患者さんのもとに届けるかだと思うのですね。我々、難治がんと希少がんの患者会をやっていますけれども、本当に皆さんお薬がなくて困っている方がたくさんいらっしゃいます。そういう方たちにいち早く有効なお薬を届ける。そういった観点から、条件付き承認制度をもっと活用していただいて、より早く日本の制度下でもって有効なお薬を患者さんに届けていただきたいというのが我々の願いですので、ぜひ、これは前向きに、よりよい制度として、皆さんと一緒に構築できればなと思っていますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
○清田座長 ありがとうございます。
 分かりやすくアナウンスしていただくことに尽きると思うのですけれども、そこの工夫をぜひお願いできればなと思います。
 この辺でよろしいでしょうか。
 また、御意見があったら、どんどんお寄せいただいて、それで、骨子が出来上がりましたら、我々にお届けいただけるのですよね。
○次世代ワクチン等審査推進室長 承知いたしました。案の段階で、また、皆様には見ていただきます。
○清田座長 表現も微妙なところがあると思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 それでは、その方向で御了承いただけたと御理解いただいて結構だと思います。
 議題3「その他」ですね。御説明お願いします。
○事務局 議題3「その他」ですが、参考資料を幾つかつけさせていただいておりまして、これまで御議論いただいた議題のものが通知化して発出しておりますので、御紹介だけさせていただければと思います。
 参考資料3、4、5、6が、希少疾病医薬品の指定に関する議題、昨年の7月の議題で御議論いただいた内容を通知化させていただいたものです。
 参考資料7は、同じく7月に御議論いただいた小児の関係の議論について通知化させていただいたものです。
 また、参考資料8は、日本人の第1相の議論に関連して、バイオ後続品に関する日本人のデータに関する事務連絡、こちらも資料として出させていただきました。御議論ただきまして、ありがとうございました。
 それから、加えまして、今、議論が進捗している議題ですけれども、昨年の第4回のときに御議論いただいた、製造方法の関係の御議論の中で、医薬品の製造方法等の記載事項のあり方については、通知の全面改正を含めて、引き続き、製薬業界等と議論をしていくといった結論をいただいておりましたが、この進捗についてですけれども、現在、2月10日通知について、全面改正の仕方を含めて、現在、製薬業界、関連行政で議論を進めているところです。具体的には、通知改正の具体的要望について、日薬連、製薬協といった製薬団体の皆様から、厚生労働省、国衛研、また、PMDAに対して要望いただきましたので、その内容を確認させていただいております。ですので、今後、また、新たな通知を作成して、製薬業界との協議を進めていきたいと考えております。
 以上でございます。
○清田座長 ありがとうございました。
 本日の検討会は以上ですが、そのほかのアナウンスはございますでしょうか。
○次世代ワクチン等審査推進室長 次回の検討会につきましては、日程確定次第、皆様に御案内をさせていただきたいと思います。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
○清田座長 ありがとうございます。
 それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。お疲れさまでした。ありがとうございました。