2023年10月2日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

日時

令和5年10月2日(月)17:00~

場所

厚生労働省専用第21会議室

出席者

出席委員(18名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理

他参考人1名出席


欠席委員(5名)五十音順


行政機関出席者
  • 城克文(医薬局長)
  • 吉田易範(大臣官房審議官)
  • 中山智紀(医療機器審査管理課長)
  • 野村由美子(医薬安全対策課長) 他

議事

○医療機器審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会を開催いたします。私は、医療機器審査管理課長の中山です。よろしくお願いいたします。
 委員の皆様方におかれましては、御多用の中、御出席くださりありがとうございます。本日の委員の出欠状況について御報告します。現時点で、医療機器・体外診断薬部会委員23名のうち17名に御出席いただいておりますので、薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしていることを御報告いたします。なお、10名の委員におかれましてはWebシステムにて出席いただいております。
 次に、本日の審議に参考人として御出席いただいている先生を紹介します。議題2について、医療法人社団高邦会福岡山王病院血管外科部長の星野祐二先生に御出席いただきます。なお、星野先生におかれましては、Webシステムにて御出席いただきます。
 続いて、議事に先立ち、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告します。薬事分科会規程第11条において、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。」と規定しております。今回、全ての委員の皆様から、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出していただいており、御負担をおかけいたしますが、引き続き、御理解、御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。続いて、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて、事務局から説明いたします。
○事務局 本日の議題の公開・非公開の取扱いについて御説明いたします。平成13年の薬事・食品衛生審議会決議に基づき、議題1については会議を公開で行い、議題2以降は、医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため非公開といたします。これより議事に入りますので、カメラ撮りはここまでです。御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 続いて、配付資料の確認をさせていただきます。会場の皆様のお手元には、資料が格納されたタブレットのほか、議事次第及び座席表を紙でお配りしております。また、Webにて御参加されている委員の先生方におかれましては、事前にお配りした資料1~8をお手元に御用意ください。なお、資料2の一部に修正がありましたので、当日配付資料として正誤表をお配りしております。資料3にも一部修正がありましたので、修正版を事前にお送りしております。
タブレットの操作について御不明点等がある場合には、お近くの事務局員までお声かけいただければと思います。
 次に、Web会議で御参加される委員の先生方へ注意事項を御説明いたします。審議中はマイクをミュートにし、通信環境等に支障がない限りカメラはオンでお願いいたします。御発言の際は、画面右下の顔のマークのアイコンをクリックして手のマークを押して挙手いただき、部会長から指名された後に、マイクのミュートを解除し、お名前をおっしゃっていただいた後に、御発言いただきますようお願いいたします。また、接続トラブルが発生した場合は、チャット欄を御利用いただくか、事前にお送りした事務局連絡先まで御一報いただければと思います。
○医療機器審査管理課長 事務局からは以上です。以降の進行については、小野部会長、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 ただいまの事務局の説明について、何か御意見、御確認はございますか。よろしければ、これから議題に入ります。本日は、議題2及び議題3が審議事項、議題1及び議題4~6が報告事項となっております。
 それでは、議題1「医療機器の性能試験方法案について」です。事務局より、御説明をお願いします。
○事務局 事務局より、議題1について御説明いたします。革新的医療機器等国際標準獲得推進事業におけるワーキンググループ及び日本医療研究開発機構医薬品等規制調和・評価推進事業における研究班の成果に基づき策定された医療機器の試験方法について、通知にて公表することを考えておりますので、当議題にて御報告させていただきます。
 一つ目は、革新的医療機器等国際標準獲得推進事業におけるワーキンググループの成果に基づき策定された試験方法です。厚生労働省では、革新的な医療機器・再生医療等製品の有効性・安全性に係る試験方法等を策定して試験方法等の国際標準化を図ることにより、世界に先駆けた製品の早期実用化及びグローバル市場における日本発の製品の普及を推進するため、革新的医療機器等国際標準獲得推進事業を実施しています。今般、代表者、早稲田大学理工学術院教授の岩﨑清隆先生のワーキンググループにて、医療機器に関する2試験方法、腸骨静脈ステントの局所圧縮負荷に関する耐久性試験方法と、深部静脈血栓除去デバイスの血栓除去性能に関する試験方法が、策定されました。
 一つ目の腸骨静脈ステントの局所圧縮負荷に関する耐久性試験方法については、2~7ページを御覧ください。当試験方法では、腸骨静脈圧迫症候群に伴う動脈と腰椎によって圧迫される腸骨静脈に適用する永久留置型腸骨静脈ステントのin vitroにおける局所圧縮負荷の耐久性試験方法について提案しております。二つ目の深部静脈血栓除去デバイスの血栓除去性能に関する試験方法については、8~13ページを御覧ください。当試験方法では、深部静脈血栓除去デバイスの血栓除去性能に関するin vitro試験方法を提案しております。
 続いて、日本医療研究開発機構医薬品等規制調和・評価推進事業における研究班の成果に基づき策定された医療機器の試験方法について、御説明いたします。日本医療研究開発機構医薬品等規制調和・評価推進事業においては、科学的合理性と社会的正当性に関する根拠に基づいた審査指針や基準等の策定又は最先端の技術を活用した医薬品、医療機器等に係る評価法の開発を実施し、世界に先駆けた国際規格・基準の策定の提案等を目指すことを目的に、レギュラトリーサイエンス研究に特化した公募研究を実施しております。
 今般、代表者、早稲田大学理工学術院教授の岩﨑清隆先生の研究班にて、医療機器に関する2試験方法、冠動脈石灰化病変拡張デバイスの性能試験方法と、血管塞栓用デバイスの血栓塞栓性能に関する試験方法が、策定されました。
 一つ目の冠動脈石灰化病変拡張デバイスの性能試験方法については、14~18ページを御覧ください。当試験方法では、冠動脈石灰化病変を拡張するバルーン式血管形成術用カテーテルのin vitroにおける性能試験方法を提案しております。次に、二つ目の血管塞栓用デバイスの血栓塞栓性能に関する試験方法については、19~24ページを御覧ください。動静脈に経皮的に留置し、血栓を形成させ、血流を遮断・改変させるために使用される血管塞栓用デバイスの血栓塞栓性能に関するin vitro試験方法を提案しております。
 以上が、通知にて公表される予定の4試験方法です。なお、これら4試験方法については、現時点で考えられる評価法の一例として示したものであり、製造販売承認申請において必ずしも当該試験方法による試験の実施が求められるものではありません。事務局からの報告は以上です。
○小野部会長 ありがとうございました。委員の皆様から、御意見、御質問等はございますか。
○田中委員 よろしいでしょうか。奈良医大の田中です。
○小野部会長 よろしくお願いします。
○田中委員 どれも非常によく考えられた試験方法で、これから標準化という意味で期待できると思います。まず、お聞きしたいのが、この試験は、各企業若しくは開発者が、これに準じてシステムを組んで、それぞれが評価することを想定されているのか、どこか決まった、委託する、試験するような場所があるのか、お聞きしたいです。
○事務局 御質問いただき、ありがとうございます。事務局より御回答いたします。こちらにつきましては、前者の、各企業がこちらの試験方法を参考に、各社で試験を実施していただくことを想定しております。
○田中委員 分かりました。後で審議に入ると思いますが、例えば血栓除去は、ユーザー、臨床医からすると、比較という意味で、事前にこういう情報があることで非常にデバイスのセレクトがしやすいかと思いますので、任意ということですが、できるだけそういうことを推進していただけると役に立つのかなと思いました。
 ほかに、少し各論的な細かい話なのですが、冠動脈の石灰化病変なのですけれども、冠動脈のみならず末梢血管でも石灰化病変で複数のデバイスが薬事承認されており、現在も施設限定で全症例調査に入っているデバイスもあったかと思います。恐らく同じモデルで想定されている「冠動脈及び末梢血管」という形の方が伝わりやすいし、末梢血管のデバイスにも使っていただけるかと思いますので、御検討いただければと思います。
 もう一つ、塞栓です。24ページの図1を拝見すると、内腸骨動脈モデルとなっているのですが、内腸骨動脈モデルは非常に難しくて、ここに限定すると非常に複雑な血行動態を示します。総腸骨から外腸骨、内腸骨の2本に分かれていて、上側が内腸骨で下側が外腸骨となっているのですが、本来、内腸骨を塞栓するときには二つの目的があって、順行性血流を止める役割をする場合と、内腸骨を止めた後に逆行性フローで入り込んでくる血流を止める場合と、2種類が想定されます。むしろ最近は、順行性はステントグラフトでカバーしてしまって、逆行性を止めるために使われることが多いので、これを内腸骨モデルとして、順行性フローだけを止めるというシェーマにされると、少し用途としては臨床から離れてしまうかと思います。意図は非常にすばらしくて、今まで順行性フローを止めるモデルは決まったものが余りなかったように思いますので、血管塞栓物質の評価という意味では、コイルにしてもプラグにしても一般的にはいいのですが、このように部位を特定したようなシェーマにすると、少し違和感を感じました。これについても、また御検討いただければと思います。
○事務局 事務局よりお答えいたします。初めに、冠動脈のみならず末梢血管でもという点について、御意見を頂きましてありがとうございます。今回、4試験ともそうなのですが、これから開発が進むと想定される製品群にフォーカスを当てて、試験方法を提案しております。先生がおっしゃるとおり、この試験方法をほかの領域の製品に対しても、参考にして適用を検討していくということは可能かと思いますので、今後、検討されていくものと考えております。
 また、後半の内腸骨動脈の件についても、御指摘いただきありがとうございます。こちらについても、今回は例示として、このモデルが提案されているところですが、今後、この試験方法は更に転用されていくことが期待されるものと考えております。先生から御指摘いただいた点については、ワーキングの先生にもお伝えいたします。ありがとうございます。
○田中委員 ありがとうございました。
○小野部会長 ありがとうございました。私から少し付け加えさせていただきますと、内腸骨動脈の閉塞、順行性と逆行性の件は正にそのとおりです。多分、耐圧性という観点から言うと、順行性の方が当然圧は高いので、逆行性の場合はいわゆる側副血行路からの比較的低圧の血流ということになるので、多分、広く言えば、高圧でいわゆる閉塞機能が十分ある場合には、より低圧のものには有効であろうという外挿的な考え方はできるのかなと、先生の御指摘を拝聴して感じたところです。事務局からは、是非ともまたお伝えいただければと思っております。ありがとうございます。ほかに、御質問、御確認、御意見はございますか。
 それでは、委員の先生方にも少し、この新しい評価機構が、今後どう日本の中で、最終的には国際規格化を目指すということで、ISOを目指すということになるわけですが、ISOを目指すためには、まず、日本の中で規格化をしていくということで、ただ、これから開発される新規のデバイスを対象にするということで、まだ一般化するところには早いだろうというところですが、こういった新しいデバイスの評価機構というのは、まずは参考程度に試験を行って、評価データをとった上で、医薬品医療機器総合機構などでの申請、いわゆるin vitroでの機能評価試験のデータとして、参考程度に出すというような方向性で検討されていると思います。今後、もう少し標準化が進んだ場合、JIS化を目指していくようなことまで、どのようなスキームで臨まれていくのか、何か、機構、厚労省の方で、何らかのデザイン、方向性がございましたら、少しサジェスチョンいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○事務局 先生、ありがとうございます。事務局から回答させていただきます。先生のおっしゃるとおり、正に、これから新規にどんどん開発が進むような領域については、日本が先駆けて規格化を進めることが非常に重要だと考えております。今回の試験方法についても、将来的には可能性があるものと考えておりますが、まだデバイスもあまり承認がとれていないような、正にこれから開発が進むような新規性の高い製品群ですので、今後、機器の開発状況を見ながら、ISO化、JIS化というところを見据えて、進めていきたいというふうに考えております。
○小野部会長 ありがとうございます。そのようなスタンスで、今後臨んでいかれるということのようです。
ほかに、委員の先生から、御質問、御確認はございますか。Webの先生方、何か御意見がある場合には、挙手ボタン、あるいはチャットでお願いします。よろしいでしょうか。それでは、特にこれ以上御意見がございませんので、議題1を終了したいと思います。
── 傍聴者退室 ──
○医療機器審査管理課長 それでは、これからの議論は非公開ということとさせていただきます。準備は整ったと思いますので、審議等を再開させたいと思います。よろしくお願いいたします。
○事務局 それでは、準備が整いましたので部会を再開いたします。
本部会の利益相反について、報告いたします。資料7「競合品目・競合企業リスト等一覧」をお開きください。Webにて御参加されている皆様は、共有画面を御覧ください。少々お待ちください。共有画面を御覧ください。1ページに「ClotTriever血栓除去システム」について、2ページ以降に一般的名称に係る影響企業のリストがございますので、必要に応じて御覧ください。
 委員の皆様に、資料8に示す企業について寄附金・契約金等の受取状況をお伺いしましたが、薬事分科会審議参加規程第12条「審議不参加の基準」に該当する委員はいらっしゃいませんでした。また、薬事分科会審議参加規程第13条に基づく、議決に参加できない委員もいらっしゃいませんでした。
○医療機器審査管理課長 報告は以上です。以降の進行につきましては、また小野部会長、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 ただいま事務局から御説明がありましたが、何か御確認、御意見はございますか。よろしければ、議題2の方に入りたいと思います。事務局、よろしくお願いします。
○事務局 参考人の星野祐二先生に御入室いただいたことを確認できております。
○小野部会長 それでは、議題2「医療機器「ClotTriever血栓除去システム」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の要否について」に入ります。本議題の参考人として、ただいま御紹介のあった星野祐二先生に御出席いただいております。それでは、引き続き、事務局より御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
まず、資料2の1ページ、専門協議委員一覧を御覧ください。本審査に当たり3名の専門委員から御意見を頂きました。
 はじめに、本品の概要を御説明いたします。画面のスライドを御覧ください。本品は、深部静脈血栓症(以降「DVT」と呼ぶ)における静脈血栓を経皮的に除去する機械的血栓除去カテーテルシステムです。本品の主な構成品は、図にお示しするClotTrieverシースと、ClotTrieverカテーテルです。ClotTrieverシースは、先端にニチノール製の自己拡張型のメッシュファンネルを有する構造で、ClotTrieverカテーテルは、先端にニチノール製の自己拡張型のコアリングエレメント及びコレクションバッグを有する構造となっています。
 次のスライドをお願いします。本品の使用方法は、まずマル1、患者にシースを挿入し、シースを通してカテーテルを血管に挿入します。マル2、カテーテル先端が血栓を超えるまで進め、コアリングエレメントとコレクションバッグを展開します。そしてマル3、カテーテルを引き血栓を回収し、マル4、カテーテルを抜去します。
 次に、開発の経緯です。以降の説明は、資料2の2ページからの審査報告書に基づいて御説明いたします。ページ番号は緑色の通し番号また審査報告書のページ番号、及び左に記載の行番号を用いて、御説明いたします。なお、事前にお配りした審査報告書に一部修正がございましたので、当日配付資料の正誤表にてお示しいたします。この度は修正がございますことをお詫び申し上げます。
 それでは、資料7ページ、審査報告書6ページの27行目からを御覧ください。DVTは、四肢や骨盤内などの深部静脈に血栓が生じた状態であり、この血栓が血流によって肺に運ばれ、肺血栓塞栓症の主な原因となります。血栓症の部位が膝窩静脈から中枢側の中枢型DVTのうち、腸骨静脈領域で急速に発症した広範閉塞の場合には、動脈虚血を伴い、静脈性壊死となることもあります。DVTの主な合併症には、急性期には最も重篤な病態となる急性肺血栓塞栓症、慢性期には静脈うっ滞性の症状の所見を呈する血栓後症候群(PTS)が挙げられます。
 DVTに対する治療法の第一選択は抗凝固療法であり、禁忌でない限り、全例に対して使用されます。また、急性期の重症DVTに対しては、抗凝固療法に加え、高濃度の血栓溶解薬を血栓部位に直接投与する、カテーテル的血栓溶解療法(CDT)が選択される場合もあります。血栓摘除後に狭窄病変が残存する場合には、バルーンカテーテルや静脈用ステントを用いて狭窄病変を拡張します。
 CDTに使用されるウロキナーゼの供給停止が令和4年2月に発表され、国内でCDTが実施できなくなる状況を踏まえ、同年8月に、関連する4学会から静脈血栓除去デバイスの早期導入に関する要望書が厚生労働省に提出されました。これを受け、申請者は、特に急性期の重症DVTにおけるCDTの代替となる治療法として、本品を承認申請いたしました。
 続きまして、外国における使用状況について、資料8ページ、審査報告書7ページ、35行目から御覧ください。本品は、米国においては、2017年に末梢血管における血栓及び塞栓の除去を主な使用目的として510(k)を取得し、2020年にDVTに対する適応を追加で取得しています。欧州では、2020年にCEマークを取得しています。2023年の7月末時点で、米国では○○○○○○○個、欧州では○○○○個の販売実績があります。
 続いて、本品の非臨床試験については、特段の問題は認められませんでしたので、臨床試験成績について御説明いたします。資料15ページ、審査報告書14ページの冒頭から御覧ください。本申請では、臨床評価資料として、米国で実施されたCLOUT Registryに基づく臨床試験成績が提出されました。CLOUT Registryは中枢型DVT患者における本品の使用状況を把握するために多施設で実施された前向き試験であり、米国におけるDVTへの適応拡大を目的として、本品の有効性及び安全性を仮説検証するためのコホートが設定されました。以降、このコホートに基づき評価解析した試験を「本臨床試験」と呼びます。
本臨床試験には、過去3か月以内にCDT等で治療しておらず、摘出された血栓年齢が概算で6週以内と判断された片側性の中枢型DVTの91例が登録されました。
 本臨床試験における主要評価項目の結果について御説明いたします。資料16ページ、審査報告書15ページの6行目からを御覧ください。主要有効性評価項目は「技術成功」が設定されました。技術成功は、静脈の開存性を評価するMarderスコアにより、75%以上の血栓が除去された患者の割合と定義されました。また、16行目、主要安全性評価項目は「手技後30日間の主要有害事象、MAEの複合の発生率」が設定されました。MAEは「全死因死亡、大出血、CTによる肺動脈造影で診断された新たな症候性肺塞栓症、標的血管セグメントの再血栓症のうちの一つ以上の発現」と定義されました。
 主要評価項目に関する達成目標は、CDT等によるDVTの治療成績を示した七つの海外文献を参照して設定されました。有効性は文献報告を基に算出した加重平均39.3%に対し10%のマージンを取って30%、安全性は加重平均23.8%に対し10%のマージンを取って34%と設定されました。
 試験成績については、資料18ページ、審査報告書17ページの12行目からを御覧ください。主要有効性評価項目の成績は76.4%、95%信頼区間の下限値は66.2%となり、事前に設定した達成目標を達成しました。主要安全性評価項目の成績については、資料21ページ、審査報告書20ページの冒頭から御覧ください。登録症例のうちデータが得られた76例で解析が実施され、成績は20%、95%信頼区間の上限値は30.8%であり、事前に設定した達成目標を達成しました。
 以上の試験成績を踏まえ、機構における審査の概要を御説明いたします。まず、本品の臨床的位置づけについてです。資料25ページ、審査報告書24ページの22行目から御覧ください。本品は、CDTの代替となる治療法として承認申請されました。CDTが標準療法の一つである動脈虚血を伴う重症DVTの急性期治療については、血流を再開させることの臨床的意義は確立していると考えます。また、発症早期の症状が強い重症DVTについても、抗凝固療法などの適切な保存療法を行っても強い症状が継続する場合にはCDTが行われています。CDTの実施が困難な現状を踏まえると、CDTによる治療が必要となるようなこれらの患者に対し、本品の有効性と安全性がCDTと比べ臨床的に許容可能であれば、本品をCDTの代替として導入する有用性はあると考えます。
 続いて、本臨床試験のデザインについて、資料25ページ、審査報告書24ページの37行目から御覧ください。本臨床試験は、動脈虚血の有無の判別が困難、ベースライン時に重症以外の症例も含まれるなど、先ほど御説明した本品の対象患者とは完全には一致していないものでした。しかしながら、治験の実施可能性と本品の医療ニーズを踏まえると、本品の対象患者は血栓除去により血流再開することの臨床的意義が確立していること、本臨床試験においてCDT等との比較に基づく仮説検証が実施されたこと、本臨床試験で回収された血栓性状は、本品の対象患者におけるものと共通していることが想定されることなどから、本臨床試験成績を用いて本品の対象患者に対する有効性及び安全性を評価することは可能と判断しました。
 続いては、本品の有効性及び安全性についてです。資料29ページ、審査報告書28ページの16行目からを御覧ください。本臨床試験の主要有効性評価項目はCDT等の文献成績を基に設定された達成目標を達成しました。国内外におけるCDT等の文献成績と比較して、本臨床試験で得られた成績に大きな乖離はなく、本品はCDTと同等の有効性を有すると判断しました。
 安全性に関する機構の見解は、資料32ページ、審査報告書31ページの14行目から御覧ください。主要安全性評価項目が事前に設定された達成目標を達成したことに加えて、手技後2年までに報告された死亡のうち、本品又は手技に関連すると判定された事象はなく、機器又は手技関連の重篤な有害事象についても、国内外のCDT等の文献と比較して発生率の高い事象は認めませんでした。なお、本臨床試験では手技後30日間に13例に再血栓症が認められましたが、本品で取り切れなかった血栓が再血栓症の主な原因である可能性は低く、DVTの患者では一定の確率で再血栓症が発生することも踏まえると、抗凝固療法を含めた適切な術後管理がリスク低減に重要であると考えます。したがって、抗凝固療法の実施については、製造販売後の安全対策として、適切に注意喚起するとともに、トレーニング等での周知徹底が重要と判断しました。
 続いては、本品の適正使用を含めた製造販売後安全対策について、資料33ページ、審査報告書32ページの8行目から御覧ください。本品は、CDTの代替となる治療法として本邦に導入される機器です。したがって、本品を有効かつ安全に本邦に導入するためには、13行目よりお示しする5点、すなわち、対象疾患に対する標準治療に十分な経験と実績のある医師又は医療チームが、本品の適応対象となる患者の病態を十分に理解し、本品や手技に関する必要な知識、技術を修得した上で、本品を用いた治療が行われること、加えて、静脈用ステントの留置や肺塞栓症などの合併症に対しても適切に対応できる体制の整った医療機関において、本品を用いた治療が行われることが重要と判断いたしました。これを踏まえ、機構は、表19にお示しするトレーニングを実施するとともに、表20にお示しする関連学会が作成する適正使用指針の施設基準や医師基準の遵守が必要と考え、これらを承認条件として付すことが妥当と判断しました。
 最後に、使用成績評価について、資料34ページ、審査報告書33ページの11行目から御覧ください。機構は、国内における本品の有効性及び安全性を確認する必要があることから、使用成績調査により情報を収集し確認する必要があると考え、使用成績評価に関する承認条件を付すことが妥当と判断しました。使用成績調査は、表21にお示しするとおり、追跡調査期間完了例が100例に達するまでは全例を調査対象とし、本臨床試験と同様の調査項目を収集するとする申請者の計画は適切と判断しました。
 以上の審査を踏まえ、機構は、資料36ページ、審査報告書35ページの36行目より記載します「使用目的」にて本品を承認して差し支えないと判断し、本医療機器・体外診断薬部会で、御審議いただくことが適切と判断しました。本品は使用成績評価の対象に指定し、使用成績評価の評価期間を5年とすることが妥当と判断しました。また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しました。なお、薬事分科会では報告を予定しております。機構からの報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 ありがとうございました。新しいCDTができないということで、代替となる深部静脈血栓症の治療デバイスについて、一定の施設要件、トレーニング条件と、市販後調査を5年ないしは100例行うという条件付きの承認を検討しているということでした。
 それでは、参考人の星野先生から、何か追加の御発言、御説明はありますか。
○星野参考人 一つ確認したいのですが、適正使用指針案ですが、これは実は、つい最近までいろいろ議論されていて、ばたばたになってしまっていたのですが、患者条件のところだけ、私が持っている資料と最終的に変更があったかどうかを確認したいのですが、適正使用指針案の患者条件のところだけ確認させてもらっていいですか。
○小野部会長 事務局の方で、画面上で共有できますか。そうすれば、簡単に確認できますが。
○医薬品医療機器総合機構 今、手元に資料がありませんので、簡単に口頭での御説明でも大丈夫ですか。
○星野参考人 はい、OKです。
○医薬品医療機器総合機構 現時点版ですと、まず患者条件の1番に、「発症後3か月以内」というものが入ります。2番のマル2に、「VCSS pain score 2かつVillalta scale 15」が、一応、最新の記載になっております。
○星野参考人 そこが後半になって変更になったところですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○星野参考人 了解です。最後までばたばたしていたので、すみません。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
○星野参考人 では、私から本品への期待や、医療ニーズへの説明をさせていただきます。
今、機構からお話がありましたように、現在、DVTの治療は、積極的治療、やはり重症なものに対しては血栓を減らしたほうがいいので、積極的にカテーテルで取らなければという状態が、重症例にはあります。しかし、以前のCDTデバイスでは、ウロキナーゼがどうしても必要になってくる。けれども、ウロキナーゼが、今、供給停止になってしまって、さあどうしましょうという状態になってしまっていて、このときに出てきたClotTrieverというものが、ウロキナーゼを必要とせずに血栓を除去できる新たなカテーテルデバイスとして、我々はとても期待しているものです。
 ただ一方で、急性DVTの治療というのは、現在では、内服治療、飲み薬だけでも、結構そこそこ成績は良いとされています。昔はワルファリンという古い薬、今でも使っている人はいるのですが、それから最近では、近年DOACという新しい薬が出て、このDOACの成績も結構良いので、飲み薬だけで血栓がしっかり溶ける、また、治療成績もそこそこ良いと、今、そういう現状になっているので、海外のガイドラインでは、普通のDVTだったら飲み薬のDOACでいいでしょう、しかし、重症のものに対しては、早めに血栓をカテーテルで取ったほうがいいですねという形になっているのが現状です。
 では、なぜこういう状況になっていったかと言いますと、やはり今まで、ClotTrieverの前のカテーテルデバイスは、今までいろいろなデバイスがあったのですが、そのデバイスと飲み薬単独の治療が比較検討されて、患者適応を決めていたのです。そうすると、普通のDVTに対しては、飲み薬だけでもそこそこ良いという成績が出たので、やはり、今までの既存のデバイスでは、飲み薬だけに対して明確な有意性を示されていなかったという現状があります。だから、普通のDVTに関しては飲み薬にしましょうというのが、今のガイドライン上なのです。これは今も変わっていないと思います。
 そこで、今回のClotTrieverシステムですが、先ほどお話したとおり、ウロキナーゼなしで出来るという利点もありますし、あと、このClotTrieverは、今までのカテーテルデバイスよりも、もっと血栓をこそぎ取ってくるような強いものになるので、よりしっかり取れるというメリットもあります。あとは、先ほどのCLOUT Registryにありましたように、この利点としては、出血の合併症が結構少ない。今までのカテーテルデバイスは、ウロキナーゼで積極的に薬で溶かしにいっていたので、結構出血の合併症が多かったのですが、今回のClotTrieverは出血の合併症が少ないので、そういったものがすごくアドバンテージにある良いデバイスだと思います。
 ただ、一方で、一番大きな問題点としては、かつてあったデバイスは、必ず保存的治療と比較研究されて、患者適応が決められていました。しかし、今回のClotTrieverの一番のマイナス面は、やはり、普通の飲み薬とどちらが良いか、実は比較検討されていないのです。今、エンロールされている状態とは聞いていますが、やはり今の時点で、比較研究がないのが一番のマイナス面です。
 ですので、言ってみたら、このデバイスは良いデバイスかもしれませんが、どの患者に使用するべきかどうかの線引きがまだよく分からないというのが現状です。
 これらを総合的に考えますと、やはり、本品は非常に高い期待が持てる新規デバイスではありますが、一方で、保存的治療との比較研究が行われていないという面から考えますと、カテーテルの使用に関しては、使用患者適応や基準というのが、今までのエビデンスやガイドラインを参考にして、慎重に、つまり、重症の症例のみに限った形でしっかりとこの治療が行われるように、ある程度の基準を決めていったほうが、より安全で理想的かと考えます。以上です。
○小野部会長 御説明ありがとうございました。なぜ、このClotTrieverが必要かということと、またこのデバイスの限界というか、比較試験を得ていないというところにおける、いわゆるエビデンスの弱さというところは、正直に正しくそれを知った上で使うということで、重症のDVTを、まずはそれのみを対象としたわけで、言ってしまえば慎重に、こういったデバイスを様々な条件に基づいて使用していくという御説明だったと理解しました。どうもありがとうございました。
それでは、委員の先生方から、何か御質問、御意見はありますか。
○田中委員 奈良医大の田中です。ウロキナーゼが供給停止で、CDTができなくなってから二つ目の、前々々回でしたかINDIGOの審査がありましたけれども、この海外のデータを見ても、デバイスの構造を見ても、ClotTrieverは非常に大量の血栓が1回で取れると考えられていますし、非常に期待されると思います。
 そこで、先ほど公開事案であった性能試験の、そういうもののデータ、どの程度取れるのかというデータは、非常にユーザー、臨床医にとっては興味深いところですし、どちらを選ぶのかというのがこれから議論になってくるかと思いますので、そういう情報があってもいいのかなと思います。それが一つ目です。
 それから、先ほど星野先生がおっしゃっていた適応についてですが、重症というのは間違いないところですので、そのように明記されていますが、もう一つ気になるのが、妊婦さんのことです。私が説明するまでもないのですが、妊娠中はやはり圧迫されて腸骨静脈の血流が不随になるということ、プラス、凝固亢進に傾くということで、血栓が非常に問題になるのは臨床上経験されていますし、中には重症の静脈血栓症を来たすということが言われています。ただ、このレジストリーを見ていても、一般的に臨床試験は妊婦さんを除外することが多いのですが、静脈血栓については、17ページの表6を見ても、適応も18歳でエントリーされているようですが、妊婦さんについてはどうだったのかというデータがあるのかということと、あと、本邦でこれが適応になったときに、妊婦さんは除外されていないので、臨床で使うことになると思うのです。やはり、妊婦さんの手技の問題は、胎児への影響もそうですし、胎児への影響としては放射線被ばくの問題が最も危惧されますので、その辺の知識も踏まえてトレーニングに含んでいただけたらと思いました。
 あとはもう一つ、適応の追加の範囲として、小児ですね。CLOUT Registryでは18歳で適応と書いてありますが、本邦のところは年齢が書かれていないので、小児も恐らくされるのではないかと。一方で、かなり広径のもの、13フレンチ若しくは16フレンチですから、広径のデバイスですので、その辺で縛りを入れるのか、年齢制限を付けないのかということも、御検討いただければと思います。以上です。
○小野部会長 ありがとうございます。事務局からお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構より回答いたします。
まず1点目に御指摘いただいた、取れる血栓量の非臨床の評価のところを補足で御説明いたします。審査報告書に詳細までは書き切れていないのですが、緑の番号で12ページ、審査報告書の11ページの下の3行目から、性能試験について、非臨床試験に関しての概要を記載しております。今回、in vitroで、○○○○を用いた試験と、○○を用いた○○○○○○○○○○○○○するという、二つの非臨床試験が行われて、そこで○○○○○○○を用いた試験では、それを○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○を行ったという試験成績を確認しております。あと、○○○○○に関しても同様の考え方で、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○という評価でした。
 それから、2点目に御指摘いただいた妊婦さんに関しましては、まず、CLOUT Registryの中に妊娠されていた患者さんが含まれていたかという詳細な情報は、緑の31ページ、審査報告書30ページの上側にある表18を御確認ください。こちらには、手技後30日間で手技を行った血管セグメント、ここではTVSと書いていますが、これに再血栓症が発生した症例の詳細を記載しております。そのうちの11番目の方が、再血栓症の原因が妊娠であったという報告を受けておりますので、CLOUT Registryには妊婦さんも入っていたと推察しております。
 トレーニングで、こういった方に対する被ばくの影響や、適切に使用するようにということを、きちんと含めるように検討させていただきたいと思います。企業にもお伝えしたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 小児に関しましては、先生のおっしゃるとおり、このシースとカテーテルは、かなり太い広径のものですので、小児に使えるかどうかは恐らくサイズが一番重要になってくるかと思っておりますので、その辺もCLOUT Registryのほうに、全体のRegistryとしては年齢制限を設けず米国でのオールの成績を集めておりますので、その点はもう少し企業に問合せした上で、必要な注意喚起がないかとか、今どういう成績が出ているのかについては、トレーニングできちんと使用される先生方に情報提供できるように準備したいと思います。
 あと、先ほどの妊婦さんの成績についても、成績を確認した上で、関連学会の先生方と、妊婦さんに対する考え方をどうするかということについては、よく検討した上で、必要であれば添付文書等できちんと注意喚起していきたいと思っております。
 もう一つ、先生から御指摘いただいた最初の、血栓量がどのくらい取れるかについては、非臨床試験では確かにやって、先ほど説明させていただいたとおりの試験をやっているのですが、実際にこの企業さんが米国で臨床で使ったときにどのくらい血栓が取れているのかというデータをかなり持っているというお話を頂いていますので、この情報については、余り過大な、先生方が期待されるような情報ではないように、きちんとトレーニングの方で、そのデータは示して、使う先生の御参考になるように、情報はきちんと周知していくように準備したいと思います。御質問ありがとうございました。
○田中委員 承知しました。ありがとうございました。
○小野部会長 ほかに、御質問、御確認はありますか。Webの先生方、もしありましたら、手挙げボタンを押していただくか、チャットの方で入力をお願いします。はい、富田先生お願いします。
○富田委員 小児の話なので、一言申し上げます。この場でこういうことを申し上げるのは余り適切ではないのかもしれませんが、こういうデバイスが出ると、必ず先天性心疾患は漏れてしまうのです。こういうデバイスが必要な状況は必ずあります。先天性心疾患でも必ずあります。femoral領域ではなくて、もっと中枢型の血栓で、しかもこのサイズのカテーテルが入る年齢層の方に血栓ができて致死的になる状況が、必ずあります。すごく少ないので治験が全然成り立たないので、そういう状況が起きたときに、こういうデバイスを先天性心疾患の専門医がどうやったら使えるのかという、命に係わる患者さんがほとんどですので、何かそういう枠組みがあると、例えば、この資格を持っている方にコンタクトをとれば、資格のない医師の施設でも何かできるとか、この場でオフィシャルにできる話ではないとは重々承知しておりますが、必ずこういうデバイスが出てくると、先天性心疾患の治験は全く成り立たないので、全然対象になってこないのですが、必要な状況は必ずあって、しかもそのときは命がかかっているということだけ、御理解いただければと思います。
○小野部会長 ありがとうございました。オーファン指定を含めて、何か事務局の方から回答はありますか。
○医薬品医療機器総合機構 機構から回答させていただきます。今回の、この品目については、さすがに開発のコンセプトからも考えて、腸骨静脈の方に使うという適応にならざるを得ないのですが、最近、このデバイスも含めて、血栓吸引カテーテルとか、血栓を除去するデバイスについては、世界的にも開発が進んでいる状況ではあります。先生がおっしゃったように、先天性心疾患は希少疾病に値しますので、多分、開発の最初の入口で、申請のときには漏れてしまう可能性もあります。ただ、こちらとしても、FDAでもそうですが、必ず申請した際に、小児とか、実際に見送られがちな年齢の患者さんがどうなのかというのは、こちらも審査のときに気にして取り組んでおりますので、先生がおっしゃるような、もし、同じ成績をもって評価して適応に含めることができるのであれば、なるべくそれが可能になる方向で考えたいと思いますが、それ以外の場合については、小野部会長がおっしゃったように、オーファン指定の指定を受けるとか、様々な開発支援策を受けて、きちんと必要な患者さんに届くように、我々も努力というか注目していきたいと思いますので、今後とも何か御指摘がありましたら、御助言をよろしくお願いいたします。
○小野部会長 事務局の方、ありがとうございます。ほかに、委員から、御質問、御確認はありますか。永井先生、よろしくお願いします。
○永井委員 はい。チャットで送らせていただきました。
○小野部会長 チャットでお送りいただきましたので、事務局で読み上げていただけますか。
○事務局 承知いたしました。少々お待ちください。代読させていただきます。
審査報告書33ページ、使用成績調査計画では、全例調査は100例まで行うとし、その根拠として、30日間のMAEの各事象について、1/100発現割合の精度と粒度を検出するためとされています。これが複合MAEのことを言っているのか、それを構成する全死亡、大出血、症候性PE等のことを言っているのか、はっきりしません。100症例で良いことを判断するための数字も記載されていません。申請者には、数字に基づいてきちんと記載していただきたく思います。
 また、星野先生の御発言にもありましたとおり、市販後には、学会ないし企業主導による、薬剤との比較検討をすべきかと思います。
○小野部会長 では、事務局の方から、これに対して答えていただけますか。
○医薬品医療機器総合機構 まず、使用成績調査の症例数に関してですが、こちらはMAE主要安全性、MAEの各項目を意図しております。今回の臨床試験でのMAEの発生率が、資料の21ページ、審査報告書20ページの表11にあります。こちらで、死亡率が2.6%、症候性のPEが1.4%、再血栓症が17.8%ということで、PEはやはり少し発現率が低くなってしまうので、この症例数で検出するのは少し難しいかと思いますが、基本的に2.6%、17.8%は拾えるようにというところを考えております。また、PEに関しましては、重篤な症状になることが多いということですので、市販後の安全のGVPの方で、しっかりと評価していくことを考えております。
 こちらの審査報告書の記載が少し不明瞭であった点に関しては、大変申し訳ありません。こちらは少し内部でも検討して、修正を検討したいと思います。ありがとうございます。
○医薬品医療機器総合機構 あともう一点、御質問いただいた比較試験に関しましては、今回申請された資料では、あくまでも既存のウロキナーゼがなくなることによるCDTの代替ということで、使用目的を承認することとさせていただいておりますが、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○と思っております。
○小野部会長 ありがとうございます。ウロキナーゼが使えなくなった状況で、抗血栓療法としてはDOACですが、これがどのくらいの重症度のDVTにおいて有効かという、そういう基本的な考え方というかベースがあるので、軽症と重症とで、このClotTrieverをどの程度の重症のDVTの患者さんに使うのかという、適応とも少し関わってくる問題かなと、今の御質問を解釈しました。永井先生、ありがとうございました。
 ほかに、何か御質問はありますか。よろしいですか。
それでは、医療機器「ClotTriever血栓除去システム」について、本部会として、承認を与えて差し支えないものとして、生物由来製品及び特定生物由来製品として指定しないという進め方でよろしいですか。もう一点、使用成績の評価期間は、今も出ましたように100例という数字もありますが、期間は5年としてよろしいかどうかということです。この2点について、何か御異議はございますか。よろしいですか。特に御異議がなさそうですので、そのように議決したいと思います。本件は、さらに分科会の方でも報告を行うこととなっております。
以上で議題2を終了したいと思います。星野先生、御参加いただき、どうもありがとうございました。
── 星野参考人退室 ──
○小野部会長 それでは、議題3「医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否について」に入ります。それでは、事務局から御説明をお願いします。
○事務局 それでは、事務局より、議題3について、資料3に基づいて御説明いたします。
既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器があり、新たに一般的名称を新設する際には、「いずれのクラス分類に該当するかについて」、また、「その保守管理に専門的な知識を要するものとして、特定保守管理医療機器に指定するか否か」について、御審議いただいております。
 今回は、医療機器の承認等に際し、一般的名称の新設が必要なものが2品目ございます。なお、事前資料でお送りしておりました「家庭用耳洗浄キット」につきましては、今回、議題から落とさせていただいております。
 それでは、1ページの「新設する一般的名称(案)について」を御覧ください。新設予定の一般的名称は「頭部用経皮末梢神経電気刺激装置」、その定義は「経皮的に末梢神経を電気刺激することによって、頭痛の治療に用いる装置をいう。電気刺激を供給する電極を含むものもある。」です。
 3ページに、「新一般的名称が付される予定の品目概要」がございます。本品の外観図は、下段にお示ししておりますとおり、頭部の表層にある三叉神経及び後頭神経を刺激するように設計されたヘッドセット型の外部神経刺激装置です。こちらの品目については、11月以降の部会にてその製造販売承認の可否を御審議いただく予定です。
 類似する一般的名称に「低周波治療器」がございますが、本品は筋刺激を目的とせず頭部表層の末梢神経を刺激することで、頭痛の治療を行うという点で異なります。また、「経皮末梢神経電気刺激用電極」にも類似しますが、本品は電極のみならず刺激装置を含む点で異なりますので、今回、一般的名称を新設することとなりました。
本品は、クラスII、管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については、該当と考えております。
 続いて、4ページの「新設する一般的名称(案)について」を御覧ください。新設予定の一般的名称は「家庭用腱膜瘤防護具」、その定義は「親指の基底に形成された腱膜瘤を防護するために用いる家庭用の器具をいう。なお、患部の変形や矯正を意図したものは除く。」です。
 5ページに「新一般的名称が付される予定の品目概要」がございます。本品は、親指の基底に形成された腱膜瘤を防護し、靴との擦れ、圧迫感を緩和するものです。現在は、医科向けの一般的名称「腱膜瘤防護具」がございますが、一般家庭での使用を可能とするため、一般的名称を新設することとなりました。
本品は、クラスI、一般医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については、不要と考えております。
事務局からの説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○小野部会長 ありがとうございました。事務局からの説明に対して、委員の皆様方から、何か御質問、御確認はありますでしょうか。宮川委員、お願いします。
○宮川委員 宮川です。教えていただきたいのは、一つ目のところなのですけれども、「本品は筋刺激を目的とせず」と、目的とせずというのは分かるのですけれども、この調節オプションとしてパルスの周波数から持続時間というのが書いてあるのですけれども、このぐらいの程度の刺激ということになると、筋刺激もしてしまうのではないかなと懸念します。目的のある神経刺激だけではなくて、筋刺激もある程度してしまうのではないかと思うのですが、それは目的としないからいいかという、そういうような表現でよろしいのでしょうか。それを目的とせずと書いてあることがよく分からないのですが、教えていただけますでしょうか。
○事務局 御質問いただきましてありがとうございます。この製品については、おっしゃるとおり、電気刺激をいたしますので、同時に周辺の筋肉部分が刺激を受けることは想定されますけれども、その電気刺激自体は非常に小さなものでして、いわゆる家庭で使うような低周波治療器よりも非常に低い出力値で刺激を行いますので、たとえ筋肉が刺激されたとしても、それによって何か治療効果が期待されるほどの筋刺激はないものと考えております。したがって、おっしゃるとおり、同時に何か筋刺激をしてそれが治療目的につながるような刺激をされるようなものであれば、こちらの一般的名称には該当するものとは考えておりません。あくまでも、末梢神経を電気刺激することによって、頭痛の治療などの治療効果が出る、そういう製品を対象とする一般的名称という意図でございます。
○宮川委員 ありがとうございます。では、周波数帯域とかそういうことは別に記載をされなくてもいいのかどうか、今後になりますが、そこだけ検討しておいてください。
○事務局 ありがとうございます。
○小野部会長 ほかに、御意見、御質問はありますでしょうか。Webの先生方は何かありますか。特にこれ以上の御意見はなさそうですので、議決に移りたいと思います。
 まず、「頭部用経皮末梢神経電気刺激装置」を管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定するということでよろしいでしょうか。御異議のある委員はいらっしゃいますか。よろしいでしょうか。特に御異議がないものとみなさせていただきます。
 続いて、「家庭用腱膜瘤防護具」を一般医療機器として指定し、特定保守管理医療機器としては指定しないということでよろしいでしょうか。御異議のある委員の方は、挙手、御意見をお願いいたします。よろしいでしょうか。特に御異議がないものとして判断させていただきます。
御異議がないということで、議決させていただきます。本件も、分科会にて文書報告を行うことになっております。
以上で、議題3を終了したいと思います。ありがとうございました。
 それでは、続いて議題4「医療機器の使用成績評価の報告について」に移りたいと思います。まずは、事務局より御説明をお願いします。
○事務局 事務局です。議題4について御説明いたします。
使用成績評価は、薬機法第23条の2の9の規定に基づき、新医療機器などを対象として、使用成績評価期間を定め、承認後の使用成績等の調査を行わせるもので、その調査結果に基づいて有効性及び安全性の再確認を行うことを目的とした制度です。
 資料4の1ページを御覧ください。今回の議題に当たる販売名は「CorPath GRXシステム」です。申請者は、Corindus, Inc.です。この品目は、経皮的冠動脈形成術(以下「PCI」という。)において使用されるガイディングカテーテル、ガイドワイヤ、ラピッドエクスチェンジ型冠血管向けバルーン拡張式血管形成術用カテーテル及びラピッドエクスチェンジ型冠動脈ステントカテーテルの操作及び保持を心臓カテーテル検査室内において遠隔的に行うカテーテル操作装置で、平成30年6月7日に初回承認されています。本品は、手術台と離れた場所に、モニターとコンソールがあり、術者は遠隔でカテーテルを操作いたします。承認当時の評価の際には、本品の前世代品である「CorPath200 システム」を用いて米国で実施された臨床試験が提出されました。臨床試験による評価は妥当であると判断されましたが、本邦における市販後の本品使用時の安全性及び有効性を確認することを目的として、承認日から令和3年6月6日まで使用成績調査が行われました。
 4ページの図1を御覧ください。当該図は、使用成績調査において、調査対象となった患者背景を示しております。国内8施設において、253例の被験者候補が調査の組入れのためにスクリーニングされ、うち13例が基準を満たしておらず、1例は本品準備中の誤動作により本品が使用されなかったため、本品で治療を開始した病変が一つ以上ある239例を安全性及び有効性評価の解析対象としました。
 主な患者背景を表1に示しておりますが、被験者の平均年齢は70.6歳であり、PCIの適応症は主に慢性安定狭心症50.6%、慢性冠動脈疾患54.8%でした。5ページの表2では、ベースラインの病変背景を示しており、解析対象集団において、冠動脈病変は左前下行枝が最も多く、平均病変長は20.8mm、平均狭窄率は86.3%でした。また、PCIの治療難度を4分割したACC/AHA病変分類において中等度の難易度であるタイプB1が最も多く、続いて最も難易度の高いタイプCが施設報告から上がっております。
 続きまして、解析結果に移ります。まず安全性について御説明いたしますので、7ページを御覧ください。 表4にありますとおり、解析対象集団の239例における重篤な不具合・有害事象は冠動脈損傷3例・血流不良3例・冠動脈閉塞1例・胸痛よる入院期間の延長1例・心室細動1例の合計9例で認めましたが、いずれも本品使用との因果関係が低いあるいは因果関係を認めないことを確認しており、その後に回復したことを確認しています。また、これら9例について、本品の添付文書において注意喚起が実施されている事象であり、未知の不具合は確認されなかったことが確認されています。本品の不具合は、表6にありますとおり、10件報告されましたが、本品の不具合に起因した重篤な有害事象は報告されなかったことを確認しており、本品使用中に不具合が生じた症例についても用手的PCIに移行して問題なくPCI処置が完了していることから特段の問題はないものと考えております。また、本品の安全性に関する評価項目として、PCI処置後72時間又は患者の退院のいずれか早い時点までに生じた心臓死等の院内主要心血管イベントが評価されましたが、こちらについては、表7に示しており、イベントの発生はありませんでした。
 本品の承認時に用いた前世代品の臨床試験では、院内主要心血管イベントの発生率が2.4%で、本品では0%となっております。また、重篤な有害事象の発生率は、前世代品の臨床試験では16.5%、本品では3.8%と報告されており、本調査における安全性の成績は、特段の問題はないと考えております。また、臨床試験の機器の不具合は12.8%と報告されており、本調査では4.2%と発生頻度が低く、こちらについても特段の問題はないと考えております。以上から、安全性について特段の対応は不要と判断しております。
 続いて有効性について御説明いたします。10ページ、(3)有効性についてです。本調査では、本品の有効性に関する評価項目として、二つの設定をしております。一つ目は臨床的成功です。臨床的成功は、「本品によるPCI処置後の残存狭窄率が30%未満であり、院内主要心血管イベントが生じないこと」と定義しております。二つ目としては、手技的成功です。手技的成功は、「計画外の用手的手技に移行せずに、PCIが正常に完了したこと」としております。こちらの二つの成功率については、表8に評価結果を示しております。解析対象集団における臨床的成功は、コアラボ評価で、被験者の97.5%に認めており、解析対象集団における手技的成功は、被験者の89.1%で認めました。
 なお、冒頭より御説明しております承認時の前世代品の臨床試験では、コアラボに基づく臨床的成功率は97.0%であり、本調査結果の臨床的成功率97.5%は、当該海外臨床試験の結果と比して同程度の有効性が示されました。一方、手技的成功率については、承認時の臨床試験では98.8%と報告されており、本調査結果の手技的成功率89.1%は承認時の臨床試験に比べて低い傾向が見られました。
 この理由は、12ページにて御説明いたします。この原因としては、冒頭で御説明した、ACC/AHA病変分類が影響していると考えております。承認時の臨床試験では、比較的治療難易度の低いタイプAとタイプB1の症例が多く登録されたことに対して、本調査では比較的難易度の高いタイプB2とタイプCの病変の症例数が多かったです。また、その裏付けとして、海外で行われた本品を用いた市販後調査の結果との比較を表11にまとめております。海外で行われた本品の市販後調査では、病変の難易度のレベルが、今回の本邦で行われた市販後調査と同程度であり、本調査と比較して、手技的成功率と臨床的成功率は同程度であることを確認しております。このことから、本調査における手技的成功率が承認時の臨床試験と比べて低い傾向がみられた理由は、主に難易度の高い病変が多く含まれていたことが原因と考えておりますが、本調査における手技的成功率は臨床的に許容可能であると考えております。
 次に、13ページの表12に示しているとおり、従来の用手的PCI手技と本品によるPCI手技を比較したところ、手技時間、X線透視時間、造影剤量、被ばく量について両群間で有意な差はみられず、各々の項目について増加するリスクは低いと考えております。以上のことから、有効性について、特段の対応は不要と判断しております。
 これらの有効性と安全性の判断を踏まえ、総合評価として、薬機法第23条の2の5第2項第3号のいずれにも該当しないと判断しております。
 なお、14ページに記載されておりますとおり、初回承認時には二つの承認条件が付されており、一つ目は適正使用指針の周知等に関するもの、二つ目は本調査の実施に関するものです。この二つ目については、本調査をもって解除といたしますが、一つ目の適正使用指針の周知等に関するものについては、本調査終了後においても、安全性及び有効性の確保のために継続する必要があると考えております。
以上で、議題4の説明を終了いたします。
○小野部会長 御説明ありがとうございました。委員の皆様方から、何か御質問、御確認はございますか。よろしいでしょうか。日本の市販後の観察データだと、やはり病変の複雑性の関係で、相対的には手技的成功が少し低いけれども、病変別の評価をした場合には遜色はなかったといったようなところがポイントではなかったかと思います。特には御質問、御意見はございませんか。それでは、議題4を終了させていただきたいと思います。ありがとうございました。
 続きまして、議題5「医療機器の承認条件一部解除について」に入ります。事務局より御説明をお願いします。
○事務局 議題5について御説明いたします。医療機器の承認条件の一部解除ですが、今般、「ニューベイシブ刺激電極」の承認条件の一部解除について、御報告するものです。こちらは資料5の1ページ、「筋肉内刺激用プローブ」です。側方又は前方側方侵入椎体間固定術(以下「XLIF」という。)において、組織及び神経に電気刺激を伝え、神経を探知するために使用される機器です。
 次に、承認条件について御説明いたします。承認条件の記載ですけれども、本品を用いてXLIFを行う際には、以下の条件が満たされるよう必要な措置を講ずること、また承認条件の遵守状況を定期的に報告することとして、一つ目が、XLIFの施術に関連する教育プログラム等であって関連学会が指定するものを受講し、本品の有効性及び安全性に関する情報を理解した上で、本品の適切な取扱いに習熟した医師のみが使用すること。二つ目が、XLIFに伴う腸管損傷等の合併症への緊急対応が可能な知識を有する医師及び設備を有する施設、又はこれらの体制を有する医療機関との緊急対応に関する連携が整備された施設で本品が用いられることとされており、XLIFの施術に関する教育プログラムを受けること及びXLIF実施で生じる合併症への緊急対応の体制確保が承認条件では求められており、これに加えて、本条件の遵守状況の定期的な報告が求められているものです。また、承認年月日は、平成28年12月27日となっております。
 2ページを御覧ください。こちらのニューベイシブ刺激電極の外観図のとおり電極が並べられております。IIの「提出された資料の概略及び医薬品医療機器総合機構における評価の概要」を御覧ください。本品は、平成28年12月27日に製造販売承認されており、今般、定期的な報告については、承認から約6年が経過して、毎月実施された手術の症例数と書面データの厚生労働省への提出等が行われており、適切な実施や不具合事象への対応等も十分に報告されていることから、承認条件の一部である「また、承認条件の遵守状況を定期的に報告すること」を解除してほしいという要望があったものです。
 具体的な内容について、IIの「提出された資料の概要」以下に基づき御説明いたします。「(1)これまでの経緯」ですが、平成28年の承認条件の付与から、関連学会とのガイドラインの策定及び遵守、厚生労働省への定期報告を約6年にわたり行っております。これらの活動の結果、XLIFを実施する医師や対応できる施設も増えて、広く認知された手技となっています。
 「(2)定期報告の概要」ですが、XLIFの実施にあたり、承認条件を遵守していることを宣言した書面等にて事前確認を行った上で医療現場に製品を供給し、毎月実施された手術の症例数と書面が保存された電子データが、厚生労働省に提出されております。2017年1月から2023年1月までの6年間にわたり、637名の医師により、385施設において、1万8,169症例に対して、XLIF手術が行われました。承認条件1の医師要件については、この施術を担当した637名の医師全員が、手術の実施前に関連学会で承認されたトレーニングを受講したことを確認しております。また、承認条件2の施設要件は、手術が実施された385施設全てが、合併症発生時に緊急対応が可能な施設であること、又は緊急対応が可能な他の施設と連携を結んでいる医療機関であるということを事前に書面で確認しております。
 「(3)不具合・有害事象の報告」ですが、ニューベイシブ刺激電極、及び、併せてXLIF手術で用いる脊椎ケージの、機構の不具合・有害事象報告について、御説明いたします。ニューベイシブ刺激電極については、2017年の1月から2023年の4月までの有害事象の報告ですけれども、機構に報告されるような不具合及び有害事象の案件は発生しておりませんでした。また、脊椎ケージですが、2017年1月から2018年7月までがXLIFの施術として報告されているものですが、重篤又はそのおそれがあるものとして、機構に報告された案件ですが、不具合としては破損が9件、移動が6件、設置不良が2件、沈み込みが1件、留置困難が1件、緩みが1件です。4ページ、有害事象としては、再手術となったのが10件、体内遺残が9件、組織損傷(靭帯)が6件、隣接部位における傷害が6件、死亡1件を含む血管損傷が3件、麻痺が3件、骨折が2件、尿管損傷が1件、肺塞栓が1件、その他(術式変更、手術時間の延長)が2件となっております。
 これらの報告事項を受け、また申請者からは、今後の対応の報告として、関連学会と連携し、承認条件及び承認条件に基づき関連学会と協力して策定したガイドラインに基づく手術の実施は、今後も引き続き遵守していくこと。また、承認条件遵守に関する社内体制については、こちらも引き続き維持し、実施記録を引き続き保存していく、というように今後の対応を報告されております。
 機構の評価として、これらの報告を踏まえ、承認取得者が、承認条件に基づき学会と協力してガイドラインを策定したこと、及び当該ガイドラインが適切に運用されていることを確認しております。また、これまでの定期報告において、新たな安全対策上の措置が必要とされる事象の発生がないことを確認しております。これらより、適正使用に必要な措置を講じるための体制が構築されていると判断し、今後も承認条件を遵守することによって、本品の適正使用に関する措置を講じることで差し支えないと考え、「また、承認条件の遵守状況を定期的に報告すること」について、解除することが適切であると判断しております。
 厚生労働省としても、同様に差し支えないと考えていることから、承認条件の一部である「また、承認条件の遵守状況を定期的に報告すること」を解除し、今後も承認条件の遵守を引き続き行うことをもって、本品の適正使用に関する措置を講じることで差し支えないと考え、本部会にて承認条件の一部解除を報告するものです。以上です。
○小野部会長 御説明ありがとうございました。それでは、委員の皆様方から、御意見、御質問はございますか。6年間、385病院、637医師、1万8,169名の患者さんの使用報告が上がってきて、ただいま御説明があったとおりの不具合・有害事象があったけれども、実際、この使用に支障があるような大きな問題はないので、PR(Professional Autonomy)に基づいて承認条件を守っていただくということを条件に、報告を解除するということです。よろしいでしょうか。それでは、御質問、御意見がございませんので、議題5を終了したいと思います。
続きまして、議題6「部会報告品目について」に移りたいと思います。事務局より御説明をお願いします。
○事務局 資料6、横向きの資料を御覧ください。こちらの資料では、令和5年5月1日から令和5年7月末までの3か月間に承認された品目のうち、クラスIVの医療機器、臨床評価が必要な医療機器、承認基準外の体外診断用医薬品など、本部会への報告対象となっている品目の概要を記載しております。
 医療機器については、59品目が該当しております。まず1ページからは、臨床試験の試験成績が提出され、審査し、承認した医療機器7品目について、それらの一般的名称、販売名、クラス分類などとともに概要をお示ししております。4ページからは、臨床試験成績を必要とせず、審査・承認した52品目の一覧で、14ページまで続いております。15ページでは、プログラム医療機器1品目をお示ししております。最後に、16ページから、該当する体外診断用医薬品14品目をお示ししております。新規検査項目に該当するものについては、一般的名称欄にそれらの別を記載しております。
 これら報告品目については、事前送付をもって報告とさせていただいておりますので、この場での個別の説明は割愛させていただきます。資料6の説明は以上です。
○小野部会長 ありがとうございました。それでは委員の皆様方から、御質問、御意見等ございますか。報告される数が多いので、事前にじっくり見ていないと、今ここで見ても、なかなか何も言いようがないという、いつものことでございますけれども。先生方は非常に御熱心に、事前に閲覧されているというように理解しております。お忙しい中、時間をお作りいただいて、大変感謝申し上げます。
何かございますか。Webからの先生方、何か委員の先生方からございますか。特には御意見、御質問等はないというようですので、以上で議題6を終了したいと思います。
 本日の用意した議題は以上でございますが、事務局から、そのほかに連絡事項等、追加でございますか。
○医療機器審査管理課長 ありがとうございます。本日はお忙しい中、委員の皆様方、審議に御参加いただきまして本当にありがとうございました。次回の部会は11月16日(水)16時からを予定しております。審議の内容など詳細については、後日、メールにて御連絡させていただくこととしたいと思います。連絡事項としては以上です。
○小野部会長 ただいま11月16日というように。15日ですね。
○医療機器審査管理課長 ごめんなさい。15日です。すみません。水曜日です。16時からです。
○小野部会長 それでは、以上をもちまして、本日の医療機器・体外診断薬部会を閉会したいと思います。本日は御協力ありがとうございました。
○事務局 Web参加の先生も、ありがとうございました。
( 了 )
 
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。

照会先

医薬局

医療機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室長 井上(内線4226)