中央社会保険医療協議会薬価算定組織 資料令和5年度第6回、第7回、第8回

日時

第6回:令和5年11月21日(火)
第7回:令和5年11月28日(火)
第8回:令和5年12月5日(火)

場所

オンライン開催

出席者

<委員>
第6回
前田愼委員長、小方賴昌委員、弦間昭彦委員、幸原伸夫委員、齋藤信也委員、下井辰徳委員、田﨑嘉一委員、深山治久委員、眞野成康委員、森山光彦委員

第7回
前田愼委員長、幸原伸夫委員、齋藤信也委員、下井辰徳委員、深山治久委員、眞野成康委員、諸井雅男委員

第8回
前田愼委員長、弦間昭彦委員、幸原伸夫委員、齋藤信也委員、田﨑嘉一委員、深山治久委員、眞野成康委員、森山光彦委員、諸井雅男委員
         
<事務局>
安川薬剤管理官 他

議題

市場拡大再算定の要件該当性等について
補正加算率適用の該当性について
有用性系加算に相当する効能追加による新薬創出等加算要件該当性について
新薬の薬価算定について
新薬と市場拡大再算定の不服意見陳述について

 

議事

 

<市場拡大再算定品目>
リンヴォック錠7.5mg、リンヴォック錠15mg、リンヴォック錠30mg、リンヴォック錠45mg
(類似薬:オルミエント錠2mg、オルミエン錠4mg、サイバインコ錠50mg、サイバインコ錠100mg、サイバインコ錠200mg、ジセレカ錠100mg、ジセレカ錠200mg、スマイラフ錠50mg、スマイラフ錠100mg、ゼルヤンツ錠5mg)
日時:令和5年11月21日(火)
 
○薬価算定組織委員長
 市場拡大再算定候補品目のリンヴォック錠です。事務局から、欠席委員の御意見を含め、説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、再算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
 それでは、本件に対する御意見をお願いいたします。何かございますでしょうか。
 それでは、特にないようですので、本品目について薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「結構です」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、再算定案のとおりといたします。

 
ステラーラ皮下注45mgシリンジ
日時:令和5年11月21日(火)
 
○薬価算定組織委員長
 市場拡大再算定候補品目のステラーラ皮下注について、事務局から、欠席委員の御意見を含め、説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、再算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
 それでは、本件に対する御意見をお願いいたします。何かございますでしょうか。
 それでは、特にないようですので、本品目について薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「結構です」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、再算定案のとおりといたします。
 
 
プラリア皮下注60mgシリンジ
日時:令和5年11月21日(火)
 
○薬価算定組織委員長
 市場拡大再算定候補品目のプラリア皮下注について、事務局から、欠席委員の御意見を含め、説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、再算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
 それでは、本件に対する御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。
 特にないようですので、事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「結構です」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、再算定案どおりといたします。
 
 
イクスタンジ錠40mg、イクスタンジ錠80mg
(類似薬:アーリーダ錠60mg、ニュベクオ錠300mg)
日時:令和5年11月21日(火)
 
○薬価算定組織委員長
 市場拡大再算定候補品目のイクスタンジ錠です。事務局から、欠席委員の御意見を含め、説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、再算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
 それでは、本件に対する御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。
 事務局、類似薬のニュベクオ錠については補正加算がないということなのですけれども、これは企業の主張がないからとされているのですが、真の臨床的有用性がデータとしてないのか、それとも企業が主張しなければそもそも検討の対象にしないのでしょうか。
○事務局
 補正加算につきましては、基本的に主張があった場合にのみ検討しておりますので、企業から何も主張がなければ、加算はなしという判断になるのが基本でございます。
○薬価算定組織委員長
 類似薬として再算定の対象になったものの、この品目だけ補正加算がないというのは、類似薬になった側の企業としてはデータがないのであろうと考えられますけれども、特に事務局から、データを求めたりはしないということですね。
○事務局
 はい。これまでも、再算定の類似薬に当たらないという主張をしつつも、補正加算の主張もしてきていると認識しているところでございまして主張がない場合は、補正加算に該当しうるデータを持ち合わせていないと判断しております。ただ、薬価算定組織で類似薬に該当するとの結論を出した後に、不服という形で、何らかのデータをもって補正加算の主張されることはあり得るとは考えております。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 そのほか、御意見、よろしいでしょうか。
○□□委員
 ニュベクオに関しては、Overall Survivalの結果もポジティブに出ている薬剤ではありますので、加算の検討対象になる可能性はあるとは思いましたが、まだ企業が主張していないということかと思います。
○薬価算定組織委員長
 年間販売額も大きいですし、恐らく何らかのデータがあるのではないかという気はするのですけれども、企業から何か不服があれば検討、ということだと思います。
 そのほか、よろしいでしょうか。
 それでは、本品目について薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「結構です」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、再算定案のとおりといたします。
 
 
ニュベクオ錠300mg
日時:令和5年12月5日(火)※企業陳述あり
 
○薬価算定組織委員長
 それでは、市場拡大再算定候補品目「イクスタンジ錠」の類似品である「ニュベクオ錠300mg」です。事務局から今回の不服意見と事務局の見解について、欠席委員の御意見を含め、説明をお願いいたします。なお、本件は企業の意見陳述がございます。
○事務局
(事務局より、不服意見及び再算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
 それでは、本件に対する御意見をお願いいたします。よろしいでしょうか。
 前回、特に補正加算の希望がなかったということですね。
○事務局
 はい。市場拡大再算定候補品目に該当した場合には、該当しないという主張をしつつも、併せて補正加算の主張をしていただく企業が多いですし、そのほうが効率的だと思いますが、本品目は今回が初めての補正加算の主張になります。
○前田委員長
 不服になって初めて主張していますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、企業から意見の聴取を行いたいと思います。事務局は企業を入室させてください。
(申請者入室)
○薬価算定組織委員長
 最初に、ニュベクオ錠についての御意見を10分以内で御説明をお願いいたします。なお、終了1分前にベルを1回、終了時にベルを2回鳴らします。続いて、委員側から質問させていただきますので、御回答をお願いいたします。それでは、よろしくお願いします。
○申請者
 よろしくお願いいたします。バイエル薬品の□□でございます。本日は、意見陳述の機会をいただき、誠にありがとうございます。このたび、市場拡大再算定の対象品の類似品と判断されました、弊社ニュベクオ錠について意見を述べさせていただきます。
 次のページ、お願い申し上げます。本剤は、市場拡大再算定の対象品、イクスタンジ錠の薬理作用類似薬であるため、再算定の対象となりました。つきましては、このたびは本剤の真の有用性加算の該当に伴う、当該再算定の引下げ率の緩和を主張いたします。
 これより、本剤が真の有用性加算に該当する論拠を述べます。本剤は、2020年4月に薬価収載されましたが、当時の評価対象であった国際共同第Ⅲ相試験(ARAMIS試験)の評価データは主要解析結果であり、OSを含む最終解析結果については、まだ結果が出ていなかったため、薬価算定において評価されませんでした。
 その後、事前に規定されていたARAMIS試験のOS最終解析の結果により、OSが有意に延長したことが認められ、2020年9月10日に、医学誌New England Journal of Medicineに掲載されました。
 このとおり、OSの最終解析結果が承認後に得られ、OSの有意な延長が新たに認められたため、本剤は真の有用性加算に該当し、市場拡大再算定の引下げ率が緩和されることが妥当だと考えております。
 次のページ、お願いいたします。これより詳細な説明をいたします。まず、こちらが本剤の承認時に評価されたデータです。本剤は、承認時に遠隔転移の出現リスクが高い、遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺がん患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験の主要評価項目である無転移生存期間に基づいて評価されました。本試験において、無転移生存期間のプラセボ群に対するニュベクオ群の優越性が示され、かつ臨床的に意義がある効果の大きさが認められました。
 次のページ、お願いいたします。次に、本剤承認後の最終解析について御説明いたします。本剤承認後の最終解析において、プラセボ群に対する本製剤群のOSハザード比は0.69でした。当該解析は事前に定めた統計学的な基準を満たしており、ニュベクオ群で有意なOS延長が認められました。なお、OSの中央値は両群ともに未到達で、3年時の全生存率は、ニュベクオ群が83%、プラセボ群が77%でした。本結果は、2020年9月10日に、医学誌New England Journal of Medicineに掲載されております。
 次のページをお願いいたします。こちらがまとめとなります。
 以上のとおり、本剤は、当初評価対象とならなかったOSの最終解析結果が承認後に発表され、OSの有意な延長が認められたため、真の有用性加算に該当し、再算定の引下げ率は緩和されると考えます。本件を何とぞ御検討のほど、よろしくお願い申し上げます。
○薬価算定組織委員長
 それでは、委員の先生方から何か御質問があれば、お願いいたします。よろしいでしょうか。特にないでしょうか。
 前回の薬価算定組織会議の中で、この主張がなかったのは何か理由がございますか。
○申請者
 御質問ありがとうございます。前回の薬価算定組織会議では、類似薬に該当しない旨の主張をしておりましたので加算については触れておりませんでしたが、類似薬に該当するとのご判断を受け、今回新たに主張をさせていただいた次第です。
○薬価算定組織委員長
 分かりました。
 何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 事務局、何かございますか。
○事務局
 事務局からは特にございません。
○薬価算定組織委員長
 皆さん、内容についてはよろしいでしょうか。
 特に質問がないようですので、企業の意見陳述はこれで終了したいと思います。企業の方、御退室をお願いいたします。
(申請者退室)
○薬価算定組織委員長
 それでは、委員の先生方から御意見あれば、お願いいたします。よろしいでしょうか。
 今回、主張された内容は、New England Journal of Medicineに出ているような内容で、真のエンドポイントと言えるということでいいと思うのですけれども、企業から主張がなければ加算がつかないというところがちょっと解せないのですが、それでいいのでしょうか。
○事務局
 事務局といたしましても、企業から主張してもらわないと評価のしようがないというところでございます。
○薬価算定組織委員長
 この市場拡大再算定をするときに、こちらで真の臨床的有用性が示されたかどうかという調査はしないということですね。
○事務局
 企業からの主張がなければ、事務局側から情報を集めるということは、基本的にはしておりません。
○薬価算定組織委員長
 何か御意見、御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、特段ないようですので、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。本剤については、真の臨床的有用性としてA=5%と認める等の事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。
 
 
イムブルビカカプセル140mg
(類似薬:カルケンスカプセル100mg、ベレキシブル錠80mg)
日時:令和5年11月21日(火)
 
○薬価算定組織委員長
 市場拡大再算定候補品目のイムブルビカカプセルについてです。事務局から、欠席委員の御意見を含め、説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、再算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
 それでは、本件に対する御意見をお願いいたします。何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 特にないようですので、本品目について薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「結構です」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、再算定案のとおりといたします。
 
 
エンスプリング皮下注120mg
日時:令和5年11月21日(火)
 
○薬価算定組織委員長
 市場拡大再算定候補品目のエンスプリング皮下注です。事務局から、欠席委員の御意見を含め、説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、再算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
 それでは、本件に対する御意見をお願いいたします。何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 御意見はないようですので、本品目について薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「結構です」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、再算定案のとおりといたします。
 
 
ボックスゾゴ皮下注用0.4mg、ボックスゾゴ皮下注用0.56mg、ボックスゾゴ皮下注用1.2mg
日時:令和5年11月21日(火)
 
○薬価算定組織委員長
 市場拡大再算定候補品目のボックスゾゴ皮下注です。事務局から、欠席委員の御意見を含め、説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、再算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
 それでは、本件に対する御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。
○□□委員
 年間販売額が大幅に上回ったので、今回、再算定の対象とすることでいいと思うのですが、例えばこれがぎりぎりのところでちょっと上回る程度だった場合、例えば2週間処方が切れたというような事情は考慮されることはあるのでしょうか。
○事務局
 薬価改定のタイミングにおける市場規模の判断というのは、よほどの事情がない限りは薬価調査の結果で判断することが基本です。本品につきましては、薬価調査の結果、明らかに基準を超えておりますので、今回は対象としたものです。
○□□委員
 了解しました。
○薬価算定組織委員長
 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、ないようですので、本品目について、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「結構です」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、再算定案のとおりといたします。
 
 
レンビマカプセル4mg、レンビマカプセル10mg
(類似薬:ネクサバール錠200mg、カプレルサ錠100mg)
日時:令和5年11月21日(火)
 
○薬価算定組織委員長
 市場拡大再算定候補品目のレンビマカプセルです。下井先生におかれましては、御退出をお願いいたします。
(下井委員退室)
○薬価算定組織委員長
 それでは、レンビマカプセルについて、事務局から、欠席委員の御意見を含め、説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、再算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
 それでは、本件に対する御意見をお願いいたします。何かございますでしょうか。
○□□委員
 質問なのですけれども、適応拡大により市場規模が大幅に大きくなっていますね。このような場合、当然、大きくなった額で市場拡大再算定の対象の有無を判断するということが企業側とコンセンサスがとれていないのですか。今回このような主張をしてきているということはいかがなのでしょうか。
○事務局
 御指摘いただいたとおり、効能追加等で市場規模が広がった場合は、広がった額で考えるというのがルールでございますので、ここは企業も当然理解した上で、主張していると考えております。あくまでもルールになっておりますので、業界全体で理解していただいているものと考えております。
○薬価算定組織委員長
 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 特にないようですので、本品目について薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「結構です」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、再算定案どおりといたします。
 
 
レンビマカプセル4mg、レンビマカプセル10mg
日時:令和5年12月5日(火)※企業陳述あり
 
○薬価算定組織委員長
 市場拡大再算定候補品目のレンビマカプセル4mg、同カプセル10mgです。事務局から、今回の不服意見と事務局の見解について、欠席委員の御意見を含め、説明をお願いいたします。なお、本件は企業の意見陳述がございます。
○事務局
(事務局より、不服意見及び再算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
 今回の不服に対する事務局算定案のポイントはどこでしょうか。
○事務局
補正加算率は、肝細胞がん、腎細胞がん、子宮体がん、それぞれにつきまして延長試験などでOSを示してきたというところを評価しまして、これまでは継続試験でOSを見てきたというものについては、A=5をつけてきましたので、A=5としておりましたけれども、企業の主張は、今回は3つ、肝細胞がん、腎細胞がん、子宮体がんという、複数のがん種についてもOSの結果を示したのだから、そこを評価してほしいというものでございます。企業の主張を踏まえまして、2つ目以降の効能につきましては、効能ごとに2.5ポイントの加算という形で、A=10とすることとしてはどうかと事務局から御提案しているところでございます。このような取扱いは令和6年度薬価制度改革の検討において、新薬の有用性の評価を充実させる方針が了承された場合という条件付きとなりますが、そのような点に留意してご議論をお願いします。
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局算定案に対する御意見をお伺いいたします。いかがでしょうか。
 事務局、最後の2つ目以降の効能については、「効能毎に2.5ポイントの限定的な評価とし」というのは、今回決めたことですか、それとも今までもあることでしょうか。
○事務局
 これにつきましては、今回、こういう考え方を新しく導入させていただいているところでございます。といいますのも、抗がん剤、本来であればOSの結果を踏まえて承認されるのが望ましいですが、新薬を早く上市するという観点から、薬事の上では無増悪期間をエンドポイントとして評価して承認し、市販後にOSを確認することが比較的多いかと思います。市販後にOSを確認するというのは、ある意味で真のエンドポイントを示しているので評価すべきと思うのですけれども、一方で、当然OSは臨床試験で確認すべき項目で、本来、承認のときにあってしかるべきデータというところでもございますので、ある程度限定的に評価する必要があるのだろうというところもありまして、これまで加算率A=5%としてきたというところでございます。
 本剤につきましては、複数がん種を見てきたというところでございますので、たくさんあるということは、それだけ費用もかかっているだろうということは想像に難くございませんので、そこは評価しても良いのではないかと考えております。
 市場拡大再算定における加算率Aの値というのが、5から10の範囲になっていますので、3つなので、それぞれ5として、×3して15として、実際には上限の10を適用することでもいいのですけれども、先ほど申し上げたとおり、OSというのは当然見てきてしかるべきデータでもございますので、2つ目以降はある程度限定的な評価としまして、最初の効能に関しては5、2つ目以降の効能に関しては2.5、2.5で、トータルとしては10という形で評価してはどうかという御提案でございます。
○薬価算定組織委員長
 委員の皆様から御意見いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、企業からの意見の聴取を行いたいと思います。事務局は企業を入室させてください。
(申請者入室)
○薬価算定組織委員長
 最初に「レンビマカプセル」についての御意見を10分以内で御説明をお願いいたします。なお、終了1分前にベルを1回、終了時にベルを2回鳴らします。続いて、委員側から質問させていただきますので、御回答をお願いいたします。それでは、よろしくお願いします。
○申請者
 よろしくお願いいたします。エーザイ、□□でございます。
 「レンビマ」の市場拡大再算定の該当性につきまして、弊社の意見、その根拠を申し述べます。
 まず、レンビマでございますが、市場は拡大しておらず、要件イ及び要件ハを満たさないことから、市場拡大再算定には該当しないと考えております。その根拠は記載のとおりでございますが、順に御紹介いたします。
 スライド2をお願いいたします。レンビマと薬理作用類似薬を合わせました市場全体の販売額でございます。グラフの上段で示すとおり、レンビマが収載されて以降、横ばいの状態が続いております。この市場の年平均成長率は、下記に記載のとおり、複数の切り口から比較した、いずれの市場よりも低い値となっております。
 その理由は、グラフの下段で示すとおり、薬理作用類似薬であるネクサバールからレンビマへ市場が置き換わっていることと、レンビマの1日薬価はネクサバールの1日薬価の4割程度であるということでございます。薬理作用類似薬を含めた市場全体は拡大していないことが明らかであることに加えまして、レンビマが医療費の低減に貢献しているということを踏まえれば、価格を調整する必要性は乏しいと考えております。
 スライドの3をお願いいたします。こちら、レンビマの売上高の推移です。中央の濃い青が本剤の主たる効能である肝細胞がんによる販売額です。①として示すとおり、肝細胞がんでの本剤の売上高は大きく減少しております。これは最新のガイドラインで別の治療方法が推奨されたためでございます。肝細胞がん治療薬の市場におきましては、レンビマは今後の拡大は期待できず、保険医療財政に影響を与える可能性は否定されるものと考えます。
 ②で示す淡いオレンジと濃いオレンジが子宮体がんと胸腺がんでございます。いずれも希少疾病用医薬品としての指定を受けております。肝細胞がんにおける売上高が減少しておりますが、希少疾病用医薬品として指定を受けた適応症を追加したことで売上高の減少分を補塡し、再算定の基準となる150億円を超えていることが分かります。希少疾病に係る開発を阻害しない観点からは、希少疾病の適応症を追加したことによる販売額の増加分は、推定年間販売額から除かれるべきと考えております。レンビマの場合、これらを除くと、売上高は150億円を超えず、要件ハに該当しないと考えております。
 スライド4を御覧ください。類似薬効比較方式で行われました品目の場合、収載時に選定された比較対照薬との類似性が損なわれた場合に、市場実態の著しい変化として市場拡大再算定が適用されます。レンビマと選定比較薬ネクサバールを比べた場合、ネクサバールが有さない効能は、右下の赤枠で示すとおり、胸腺がんと子宮体がんです。これらは、いずれも希少疾病用医薬品としての指定を受けた適応症です。これらの適応症が全体に占める販売額の割合は限定的であり、加えまして、希少疾病用医薬品の指定を受けた適応症を追加したことをもって類似性が損なわれた、もしくは使用実態が著しく変化したと判断されるべきではないことから、要件イにも該当しないと考えております。
 スライドの5をお願いいたします。先生方も御承知のとおり、骨太方針2020の記載をはじめ、現在進められております薬価制度改革は、ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの解消の観点から議論が進められており、希少疾病用医薬品に対する配慮が進んでいると理解しております。レンビマは、希少疾病に係る効能を追加しておりますが、それをきっかけとして市場拡大再算定に該当すると判断することは、ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスを解消するという方向性とそぐわないのではないかと考えております。このような観点も踏まえまして、レンビマの市場拡大再算定への該当性につきましては、慎重に御検討いただきたいと考えております。
 スライドの6をお願いいたします。一方、仮に再算定の該当性を否定できないという結論に至るのであれば、市販後の真の臨床的有用性の検証に係る加算につきましては、希少疾病を含む3つの適応症について、全生存期間の延長が直接的に検証されているということから、A=10%を希望いたします。
 以上、御説明申し上げました。
○薬価算定組織委員長
 それでは、委員の先生方から何か御質問等があれば、お願いいたします。いかがでしょうか。
 □□先生、どうぞ。
○□□委員
 適応拡大されて、当該疾患の患者さんが使えるようになったのは非常にいいことだと思うのですけれども、適応拡大に係るコストとはどれぐらいの規模感であったのか、教えていただきたいと思います。例えば、子宮体癌ではいかがでしょうか。
○申請者
 子宮体癌でございますと、グローバルの第Ⅲ相試験を実施しておりまして、片群で約400人、両群で827人の試験で、金額で申しますと□□□円と思われます。
○□□委員
 ありがとうございました。
○薬価算定組織委員長
 そのほか、いかがでしょうか。
 私から、会社としては、今後も希少疾病の開発を進めていくのか、恐らく世の中のニーズも高いと思いますので、企業としてはどんどん進めていきたいという方向性なのでしょうか。
○申請者
 我々、患者への貢献を企業理念にも掲げておりますので、患者さんのためにぜひやっていきたいと考えております。一方で、こういうことが再算定のトリガーになってしまうということになりますと、様々な企業の考え方によると思いますが、希少疾病の開発に二の足を踏む企業も出てくるのではないか。そうすると、日本のドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスに非常に悪影響を及ぼしてしまうのではないかということを懸念しているということでございます。
○薬価算定組織委員長
 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 事務局、いかがですか。
○事務局
 事務局からは特にございません。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 委員の皆様、よろしいでしょうか。
○□□委員
 肝細胞癌に関しては、ほかの治療が推奨されたことで売上が落ちてきたということですけれども、その他の希少疾患については、そういうことになりそうなことはないですか。
○申請者
 御質問ありがとうございます。
 □□□□□□□□□□□□□□□につきましては、現在、新しいレジメン、メカニズムで申し上げますと、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□が承認予定と認識しているところでございまして、こちらが直近での競合薬剤ということになりますので、今後のレンビマの□□□における売上げは低下していくと想定しております。
○□□委員
 ありがとうございました。
○薬価算定組織委員長
 そのほか、いかがでしょう。
 肝細胞癌に対するレンビマの使用実態は恐らく少なくなるのではないかと私は思っているのですけれども、例えば1年後とかの企業予測はあるのでしょうか。
○申請者
 正確な数字は今、持ち合わせてはございませんけれども、先生おっしゃったとおり、切除不能の肝細胞癌に対する1次治療の患者数、treatableな患者数は年々減ってきている状況と認識しております。
○薬価算定組織委員長
 企業としての予測は今のところない。
○申請者
 予測としては、今後売上げが伸びることはもう見込めないと予想している状況でございます。
○薬価算定組織委員長
 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、これで企業意見の聴取を終了いたします。企業の方は御退室をお願いいたします。
(申請者退室)
○薬価算定組織委員長
 それでは、企業の意見を踏まえ、御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。
○□□委員
 薬剤管理官にお伺いしたいのですけれども、企業が言っている希少疾病で適応を取得した品目で、市場拡大再算定をされたらドラッグ・ロスになる、日本市場は魅力がないというのはある程度理解できるのですけれども、今後、薬価制度見直しの中で、そういうことも近い将来、考えていく方向に行くのか、あるいは、企業がかなり無理なことを言っていると現時点で捉えるべきなのか、どちらもあり得る感じがしたので、お伺いできたらと思うのですけれどもいかがでしょうか。
○薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。
 企業の主張としては、確かにそういった面もあると思います。希少疾病用医薬品の開発をしっかり頑張ったのに、というところがあるのは理解できるのですけれども、現時点でそこを明確に整理するルールがないというのが実情でございます。確かにいろいろなケースがあるのですが、一方で皆保険制度の中の市場規模が拡大したことに対する価格調整という視点は避けて通れないところもある中で、どのように開発意欲を持ってもらいながら進めるかという非常に難しいバランスが必要になります。
 そこをどうするかというのは、補正加算の引下げ率の緩和といった点も含め、希少疾病用医薬品の開発への評価に対してどのようなメッセージを出していくか、ということかと思っております。
○□□委員
 この後も2.5%ずつつけるみたいなロジックが出てきて、先ほど□□先生も質問してくださったのですけれども、初めてこういうことをやるのではないですかというのがありましたし、個別に判断している旨もよくご説明いただくのですが、ドラッグ・ロス対策として10%を認めてあげよう的なものが上手に工夫されているのかなと思って伺ったのです。ニュアンスは理解できます。ありがとうございました。
○薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。
 この件に限らず、今回、まさにイノベーション評価という点が薬価制度の改革の中でも大きな視点になっております。そこでの象徴的な話としては、特許期間中の薬価を維持するといったものがあるのですけれども、こういう個々の評価という運用上の対応も大事なポイントで、そういったところは事細かにルールを決められるわけではないのですけれども、いろいろな価値判断をどうするかというところについても、今までどんなにやっても5%とか、低めの評価が多かったところを、状況に応じて柔軟に評価するという方向性についても、まだ薬価制度改革の方針自体が了承されているわけではありませんけれども、DPOの裁量の範囲で今後どのように評価していくかということも課題となっております。
 そういった中で、このような評価の仕方というのもあり得るのかなと思っているところであり、さきほどの薬価制度改革の検討の方向性を前提にして対応案を示したものでございます。
○薬価算定組織委員長
 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、御意見はないようですので、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。
 
 
バベンチオ点滴静注200mg
(類似薬:オプジーボ点滴静注20mg、オプジーボ点滴静注100mg、オプジーボ点滴静注120mg、オプジーボ点滴静注240mg、キイトルーダ点滴静注100mg)
日時:令和5年11月21日(火)
 
○薬価算定組織委員長
 市場拡大再算定候補品目のバベンチオ点滴静注用です。弦間先生におかれましては、本件の検討の間、御退出をお願いいたします。よろしいでしょうか。
(弦間委員退室)
○薬価算定組織委員長
 それでは、事務局から欠席委員の御意見を含め、説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、再算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
 それでは、本件に対する御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。
 これは年間販売額が大幅に伸びているのですけれども、最初はメルケル細胞癌だけで承認されたのですか。
○事務局
 最初はメルケル細胞癌だけで承認されて、その後、腎細胞癌と尿路上皮癌の追加がなされております。
○薬価算定組織委員長
 そうですよね。こういうのはやはり収載時は年間販売額0.4億円と出さざるを得ないですね。
○事務局
 そうですね。効能は希少なものしか持っていないということであると、予測販売額はそのように出すしかないというところでございますし、当然、そこから効能追加して対象患者を広げれば、こういった市場拡大再算定にかかりやすくなるということは企業も承知していると思いますが、どの効能を先に取っていくかというのは企業の開発戦略によるかと思います。
○薬価算定組織委員長
 他に何か御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、本品目について薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「結構です」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、再算定案のとおりといたします。
 
 
バベンチオ点滴静注200mg
日時:令和5年12月5日(火)※企業陳述あり
 
○薬価算定組織委員長
 市場拡大再算定候補品目のバベンチオ点滴静注200mgです。今回の不服意見と事務局の見解について、欠席委員の御意見も含め、説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、不服意見及び再算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
 今回の不服の論点はどこでしょうか。
○事務局
本剤についてはメルケル細胞癌、腎細胞癌、尿路上皮癌の3つにつきましてOSの延長データを示してきましたので、A=10としてはどうかという事務局案となってございます。
○薬価算定組織委員長
 それでは、本件に対する御意見をお願いいたします。
 当初の収載時の基準年間販売額が0.4億円と書いてあって、それが□億円になってしまって、すごいですね。ここは企業の戦略なのか、たまたまということはないと思いますけれども、こういうのは収載時にはどうにもならないですし、薬価をつけるほうとしてはどうなのですか。
○事務局
 本剤については、最初に承認された効能・効果がメルケル細胞癌ということもありまして、かなり規模が小さかったと思われます。その後に腎細胞癌、尿路上皮癌と、がん種が追加されてきたので、0.4億円の市場規模予測であったところ、□□億円になった状況でございます。メルケル細胞癌で薬価収載するときに、将来のまだ取得もしていない効能についての規模を含めるのはなかなか難しいと考えてございます。
○薬価算定組織委員長
 何か御意見、いかがでしょうか。これから企業の陳述がございますので、またその後に意見を伺いたいと思います。
 それでは、事務局は企業を入室させてください。
(申請者入室)
○薬価算定組織委員長
 最初に、バベンチオ点滴静注についての御意見を10分以内で御説明をお願いいたします。なお、終了1分前にベルを1回、終了時にベルを2回鳴らします。続いて、委員側から質問させていただきますので、御回答をお願いいたします。それでは、よろしくお願いいたします。
○申請者
 このたびは、意見陳述の機会をいただき、ありがとうございます。本日は、バベンチオの真の臨床的有用性加算について陳述をさせていただきます。前半部分は、薬価担当である私、□□が、後半部分は、同じく薬価担当の□□がメインでお話しさせていただきます。
 2ページ目を御覧ください。初めに、内示結果に関する弊社の見解を述べさせていただきます。
 バベンチオは、再算定対象品目として選ばれたことについて異論はありません。
 また、本剤は、根治切除不能なメルケル細胞がんで承認されて以降、根治切除不能又は転移性の腎細胞がん、根治切除不能な尿路上皮がんにおける化学療法後の維持療法を追加しています。市販後に得られた試験結果より、これら全ての適応症で、比較対照群に比べ、高い臨床的有用性が統計学的優越性をもって示されました。
 アンメットニーズの高い重篤な疾患を対象とし、いずれの効能・効果でも良好な市販後データが得られている医薬品の評価結果として、A=5は不十分だと考えます。バベンチオが提供する真の臨床的有用性について改めて御評価いただき、A=10以上の補正加算率適用をお願いします。
 では、3つの適応症、それぞれについて御説明します。3ページ目を御覧ください。まずは、メルケル細胞がんです。5年フォローアップデータにおいて、セカンドラインでは、OS中央値12.6か月を示し、既存の化学療法よりOSを大幅に延長しました。
 次に、スライド右側、ファーストラインでは、1年生存率は60%で、OS中央値が20.3か月と、こちらも大幅な延長を示しました。
 4ページを御覧ください。腎細胞がんです。
 4年フォローアップにおいて、3つのグラフのうち一番左になりますが、全体集団の経時的なカプラン・マイヤー曲線の差は開いたままです。
 また、中央のグラフ、サブ解析においては、非常に予後が悪いと言われるプアリスク群においてOS中央値を比べると、比較対照群11か月に対し、本剤群で21.3か月を示しました。
 最後に、右のグラフですが、日本人67例のPFS中央値は16.6か月、ハザード比は0.66と、全体解析と同じような傾向を示しました。
 5ページ目は、腎細胞がん、PMS日本人サブ解析データです。日本人データで生存率は6か月で□□□、12か月で□□□でした。このデータは、今年10月の癌治療学会で発表され、現在、論文投稿準備中です。
 6ページは、尿路上皮がんです。他のPD-1/PD-L1では予後が悪い患者さんに対し、本剤では2年フォローアップにおいてOS中央値は、対照群15か月に対し、本剤群□□□でした。
 7ページです。尿路上皮がん2年フォローアップにおいて、副次評価項目としてEQ-5D-5Lのベースラインからの変化量を確認したところ、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。長期間にわたり生活の質が維持されることにより、患者さんもやりたいことを諦めず、前向きに治療を継続できることが示唆されます。
 以上、有効性データをまとめます。8ページを御覧ください。
 本剤が有する全ての適応症において、新たな臨床的有用性データが報告されました。以下、2から4点目については、先ほどグラフをお示しした各スライドで御説明いたしましたので、省略します。
 5点目ですが、お示しした臨床データの裏づけもありまして、全ての適応症において国内外のガイドラインで強い推奨を受けています。
 最後の点ですが、弊社としては、引き続きフォローアップデータに基づく各種のサブ解析結果の発表を継続し、臨床現場への貢献と日本人患者さんの治療成績向上を目指していきます。
○申請者
 では、9ページ目から研究開発の状況について御説明させていただきます。
 左側、表1を御覧ください。赤枠で囲まれているところが本剤です。類似薬は全て適応追加に向けた開発が進行中ですが、本剤の開発予定はありません。
 右側、表2ですけれども、3月時点の弊社開発パイプラインになります。□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。
 ここで、□□□□□□□より一言コメントをさせていただきます。
○申請者
 よろしくお願いいたします。
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。この点をぜひ御配慮いただければと存じます。
○申請者
 では、次に10ページ目を御覧ください。本剤の市場における位置づけです。
 本剤は、オプジーボを比較薬として類似薬効比較方式により算定・収載されました□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。
 市場シェアについてですが、折れ線グラフを見ていただければと思いますが、緑色のラインは、現在ピークに達している市場シェア□□%の本剤です。3月に上市されたオレンジ色のセミプリマブを除けば、多くの効能を有する類似薬の市場占有率が非常に高いことが示されています。
 また、右側、表3ですけれども、こちらは類似薬の効能・効果の範囲です。市場規模、対象がん種という観点で、本剤がいわゆるメガファーマが供給するほかの類似薬と比較して、大きく異なる位置づけにあることがお分かりいただけるかと思います。
 11ページ目が最後のスライドになります。弊社主張のまとめです。
 まず、1点目。承認を有する全ての効能・効果において有意な生存延長を示す結果が得られています。
 2点目、本剤はアンメットニーズが高い領域における大幅な予後の改善やQOLの維持をもたらす医療的価値に加えまして、患者さんや御家族にとって大きな希望をもたらす革新的な価値を有していると考えます。
 本剤は、補正加算A=10、またはそれ以上に値すると考えます。
 最後に、□□□□□□□□□□□より一言コメントさせていただきます。
○申請者
 よろしくお願いします。
 メルケル細胞がん、腎細胞がん、尿路上皮がん、いずれの適応症でも長期フォローアップデータによって、その価値が再確認されたということに大きな意義があると考えております。特に、メルケル細胞がんにおいては、本剤は唯一承認されている薬剤であり、また尿路上皮がんにおいては、過去約20年間、ファーストライン治療において新薬がなかったことから、この薬剤の患者さんにとって非常に大きな価値があると考えています。
 また、本剤は他のPD-1/PD-L1抗体と比較し、財政影響は限定的でありますが、この再算定は弊社においては経営的には非常に大きなものとなります。改めて本剤の真の臨床的有用性を御評価いただき、A=10以上の補正加算をいただけますよう、何とぞよろしくお願いいたします。
○薬価算定組織委員長
 それでは、企業の意見を踏まえ、御意見をお願いいたします。御質問等ございますでしょうか。どうぞ。
○□□委員
 御説明ありがとうございました。
 企業が力を入れているところと、ちょっとずれるかもしれないですけれども、EQ-5D-5LでQOLを取って低下がないというのを示されて、すごくいいデータだなと思ったのですけれども、ベースラインをそろえなかったときは、この薬の群のほうが高かったのでしょうか。
○申請者
 ありがとうございます。
 こちら、ベースラインをそろえさせていただいて、今回、BSC群でもございますので、それに対して薬剤の負荷をかけても下がらなかったというところが有用性なのかなと思っています。これをそろえなかった場合というデータを持ち合わせておりませんので、申し訳ございません。
○□□委員
 ベースラインがそろわないことが割合多く、ベースラインをそろえたほうがいいということが最近、言われているので、これはちゃんとそろえていらっしゃるなと思ってお伺いしました。ありがとうございました。
○薬価算定組織委員長
 そのほか、いかがでしょうか。
 長期のフォローアップは、全部会社のほうでフォローアップされたもの、治験の継続試験ということでよろしいですか。市販後調査ということですか。治験のフォローアップということですか。
○申請者
 日本人も含まれた治験におきまして、3年間もしくは4年間以上、メルケル細胞癌ですと5年間以上のフォローアップをそのまま継続して、会社の主導でさせていただきました。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 メルケル細胞癌のセカンドラインのデータは結構すごいですね。
○申請者
 メルケル細胞癌は、本当に予後が不良の疾患ということで、今までの化学療法だけですと12か月生存がぎりぎりだと言われていたところが、こちらのところでICIの開発をさせていただくことで、5年6年、もしくは年齢も非常に高いものですから、寿命まで全うできることを狙えるということで、先生方にも御評価いただいております。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 そのほか、先生方いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 事務局、何かございますか。
○事務局
 事務局からは特にございません。
○薬価算定組織委員長
 よろしいでしょうか。
 それでは、これで企業意見の聴取は終了いたします。企業の方は御退室をお願いいたします。
(申請者退室)
○薬価算定組織委員長
 それでは、企業の意見を踏まえて御意見をお願いいたします。
 加算率Aを5%から10%にということだと思いますけれども、その点に関してはよろしいでしょうか。特に御意見はないですね。
 そのほか、いかがでしょうか。
 それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。
 
 
オプジーボ点滴静注20mg、オプジーボ100m、オプジーボ120mg、オプジーボ240mg
日時:令和5年12月5日(火)※企業陳述あり
 
○薬価算定組織委員長
 市場拡大再算定候補品目バベンチオ点滴静注の類似品である、オプジーボ点滴静注20mg、同点滴静注100mg、同点滴静注120mg、同点滴静注240㎎です。
 事務局から、今回の不服意見と事務局の見解について、欠席委員の御意見を含め、説明をお願いいたします。なお、本件は企業の意見陳述がございます。
 弦間先生におかれましては、御退出をお願いいたします。
(弦間委員退室)
(事務局より、不服意見及び再算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
 論点はどこでしょうか。
○事務局
本剤とバベンチオの市場における競合性が乏しいのかどうか、が論点と考えられます。
本剤とバベンチオの重複効能は腎細胞癌のみであるというのは企業の主張のとおりでございますけれども、現在の考え方といたしましては、この重複効能の有無や数のみによって類似性を判断しているものではないということと、市場における競合性についても、オプジーボ全体の売上げの約□%にしかバベンチオの売上げが満たないという主張がなされておりますけれども、3効能しか持たないバベンチオ側からしますと、□□□□に係る効能というのは主たる効能ではないものの、一定の売上げがあると想定されまして、オプジーボとの競合性が乏しいとまでは言いがたいのではないかと考えております。
○薬価算定組織委員長
 それでは、本件に対する御意見をお願いいたします。
○□□委員
 これは補正加算に関する主張はないということですけれども、それは該当するようなことはなかったのですか。
○事務局
 今回は、初回においても、不服においても補正加算の希望はございませんでしたので、主張するものがないものと理解しております。
○□□委員
 バベンチオ側から見たら大きな損失だと思うのですけれども、その辺をどう考えるかだと思います。
○薬価算定組織委員長
 いかがでしょうか。企業側からすると、もともとのバベンチオとパーセントで同じだけ下がるとしても、ニボルマブのほうが全体としての下がる額は大きいですね。もともとの再算定の対象となる品目に比べると、類似薬のほうが下がる額が大きくなってしまうのかなというのが、企業としても何となく納得感が出ないのかなという気がするのですけれども、事務局いかがでしょう。
○薬剤管理官
 まさに課題として我々も認識している点で、中医協でもお示ししているという状況でございます。適応拡大によって類似品として再算定の対象となるというところが、今の開発動向からいくと、特に課題になっている点だろうと思います。ただ、今の段階では、主たる効能で判断するという取扱いではなく、双方の効能の範囲から判断するかしかないので、今のルールの中で判断せざるを得ないと思います。
 令和6年度薬価制度改革の中でどういうルールになるかというところもあるのですけれども、先週、中医協において薬価制度改革の論点提示をさせていただいたときに、こういった一部の領域をあらかじめ特定して再算定の適用を除外することとしてはどうか、ということを示しております。ただ、この点については了承が得られておらず方針もまだ確定していないという状況でございますし、今回は既に薬価調査を終えて関係するデータを把握し、こういった手続も進めているという状況下でもありますので、今回の改定時点では現行のルールに従って進めて、今後どうするかという整理をするのが適当なのかなと思っております。
 この辺りの薬価制度改革の議論の状況によっては、今後改めて検討が必要になることもあるかもしれませんけれども、現時点では今のルール下で判断していただきたいということで、このようにまとめているものでございます。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。いかがでしょうか。
 それでは、これに対して企業の意見を聞いてみたいと思います。それでは、事務局は企業を入室させてください。
(申請者入室)
○薬価算定組織委員長
 最初に、オプジーボ点滴静注についての御意見を10分以内で御説明をお願いいたします。なお、終了1分前にベルを1回、終了時にベルを2回鳴らします。続いて、委員側から質問させていただきますので、御回答をお願いいたします。それでは、よろしくお願いします。
○申請者
 それでは、よろしくお願いいたします。オプジーボの市場拡大再算定類似品、いわゆる共連れへの該当性について意見を述べさせていただきます。
 スライド1を御覧ください。まず初めに、本剤のこれまでの改定経緯について触れさせていただきます。本剤は、日本発の革新的医薬品として弊社が世界に先駆けて開発を成功させたPD-1/PD-L1阻害薬でございますが、これまで度重なる薬価改定を受け、イノベーションが反映されない薬価になってきているものと考えております。グローバルに展開するメガファーマに対して、弊社は全社売上げの約3分の1をオプジーボに依存している現状であり、今回、再び薬価引下げを受けることとなりますと、その影響は極めて甚大なものとなります。
 スライド2を御覧ください。こちらは、オプジーボ及びバベンチオのこれまでの1日薬価推移をお示ししております。再算定の対象品であるバベンチオの現行の1日薬価は約3.5万円であるのに対し、オプジーボの1日薬価は約2.6万円であり、現行ルールでのバベンチオの再算定後の1日薬価は、なおオプジーボのそれよりも高額となることが見込まれております。
 スライド3を御覧ください。こちらは、薬価算定基準での市場拡大再算定に関する記載の抜粋でございます。薬価算定基準においては、市場規模、薬価基準への収載時期、適応の範囲等を考慮し、市場拡大再算定対象品と市場における競合性が乏しいものは共連れの対象外とされております。そこで、次のスライド以降、共連れ適用可否の考慮事由である適応範囲及び市場規模に関して意見を述べさせていただきます。
スライド4を御覧ください。まず、主たる効能に係る適応範囲から見た競合性についてです。グラフは、バベンチオの癌種別売上げ推移をお示ししております。バベンチオの主たる効能は、□□□□□□□□□□であり、この効能追加が再算定の要因となっております。
 左上の3つのボックスにありますように、オプジーボの主たる効能は胃癌である一方、バベンチオの主たる効能は□□□□□□□□□□であり、両剤はお互いの主たる効能を有しておらず、主たる効能に係る適応範囲の観点から、両剤の市場における競合性は乏しいと考えております。
 スライド5を御覧ください。次に、重複効能に係る適応範囲から見た競合性についてです。表は、両剤の適応癌種をお示ししております。先ほど述べましたとおり、オプジーボの主たる効能は胃癌、バベンチオの主たる効能は□□□□□□□□□□である中、両剤の重複効能は腎細胞癌のみでございます。このように重複効能である腎細胞癌は、両剤の□□□□□でもなく、重複効能に係る適応範囲の観点からも両剤の市場における競合性は乏しいと考えております。
 スライド6を御覧ください。また、市場規模から見た競合性についてです。グラフは、両剤の癌種別売上げをお示ししております。両剤の重複効能である腎細胞癌について、バベンチオの売上げは□□□□□□□□であり、これはオプジーボ□□□□□□□□□にも満たず、市場規模の観点からも両剤の市場における競合性は乏しいと考えております。
 なお、薬価算定の基準にもありますとおり、共連れは競合性がない場合に除外されるのではなく、乏しい場合に除外されることとなっており、このようなごくわずかな重複を捉えて共連れを適用するといったルールにはなっていないことを申し述べさせていただきます。
 スライド7を御覧ください。これまで両剤の市場における競合性について述べてまいりましたが、先日の中医協において、市場拡大再算定の類似品の取扱いについての対応の方向性(案)が示されました。具体的には、類似品の取扱いについて、企業の予見性への配慮や近年の競合性の複雑さを踏まえ、取扱いを見直すこととしてはどうかとされ、特に、特定の領域では、類似薬であっても品目によって効能が様々であり、効能が一つでも重複すれば類似薬として再算定の対象となる状況があることを踏まえ、あらかじめ中医協で領域を特定して、当該領域については類似品の適用を除外することとしてはどうかと提案されております。
 また、中医協において、この提案に賛同する意見があり、また、重複している効能が主たる効能であれば、類似薬として対象とすべきとした上で、状況は様々であり、明文化することは難しく、薬価算定組織で検討された結果を中医協で判断するのが適当といった趣旨の指摘もございました。これについては、事務局より提案された課題や、それに対する対応そのものを否定するものではなく、あくまでも様々なケースに対して個別に判断すべきとの御指摘であったと理解しております。
 さらに、重複効能である腎細胞癌は、両剤の□□□□□でもなく、対象とすべきと指摘されたものにも該当いたしません。PD-1/PD-L1阻害薬である両剤は、まさに特定の領域に該当し、主たる効能も異なる上、お互いの主たる効能を有しておらず、重複効能は両剤の□□□□□ではないこと等を踏まえますと、オプジーボは対象品であるバベンチオによる共連れの適用を除外することが適当であると考えております。
 スライド8を御覧ください。まとめでございます。適応の範囲、市場規模のいずれの観点からも競合性は乏しいものと考えております。さらに、本日の資料には記載しておりませんが、競合性が乏しいとされた事例について述べさせていただきます。
 平成28年度改定時には、幅広いてんかんに対する効能を有するラミクタールが再算定対象品となりました。これに対し、薬理作用類似薬としてイノベロンがありましたが、イノベロンの効能は、てんかんのうちレノックス・ガストー症候群に限られており、競合性が乏しいとされました。また、平成30年度改定時には、痙性斜頸のほか、上肢・下肢痙縮など、様々な効能を有するボトックスが再算定対象品となりました。これに対して、薬理作用類似薬としてナーブロックがありましたが、ナーブロックの効能は痙性斜頸に限られており、競合性が乏しいとされました。
 薬価は製品全体に設定されていることからも、過去の事例同様に製品全体から見た競合性の御判断をお願いいたします。
 加えて、先日の中医協において、特定の領域については共連れの適用を除外することが提案され、提案そのものを否定する意見はなく、また両剤は特定の領域に該当することから、オプジーボは共連れの対象外とする御判断をお願い申し上げます。
○薬価算定組織委員長
 それでは、委員の先生方から何か御質問あれば、お願いいたします。いかがでしょうか。
 事務局、いかがでしょう。
○事務局
 事務局からは特にございません。
○薬価算定組織委員長
 今、中医協で議論されている内容等も御紹介いただいて、そのとおりかと思うのですけれども、議論されていて結論が出ていないというところも実際ある。競合性が乏しいという判断をどのようにするかということだと思うのですけれども、どれぐらいあると競合性があるかというのは、我々の中でも意見が割れるところかなと思うのですけれども、何か皆様、企業に対して御質問とか御意見とかございますでしょうか。特にございませんか。
 企業が仰られた内容は、恐らく皆さん、理解されていると思いますので、よろしいですかね。
○□□委員
 補正加算の適用になるような新しいことはないのですか。
○薬価算定組織委員長
 いかがでしょうか。
○申請者
 ありがとうございます。
 この2年間の間に原発不明癌というオーファンの効能は追加させていただいておりますので、今日の資料では特に述べてはおりませんが、もしその点、御配慮いただけるのであれば幸いでございます。
○薬価算定組織委員長
 それは、いわゆる真の臨床的有用性というのが示されているということなのでしょうか。
○申請者
 何をもって真の臨床的有用性とするかというところがあるかと思うのですが、ほかにその領域に対して効能を有しているものはございませんので、その点をもし御配慮いただけるのであればといったところです。
○薬価算定組織委員長
 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、意見がないようですので、これで企業意見の聴取を終了いたします。企業の方は御退室をお願いいたします。
(申請者退室)
○薬価算定組織委員長
 それでは、企業の意見を踏まえ、御意見をお願いいたします。
 先ほど管理官が言われたことを結構勉強されて、そのまま仰っていたような感じもあるのですけれども、現行のルールということで判断するしかないのかなと思います。現状、1つでも競合する疾患があるというのが判断基準の一つになってしまっているかと思うのですけれども、これは何か明記されていないのですか。
○事務局
 特段明記はされておりませんで、過去、1つでも効能が同じであれば、類似薬として再算定の対象にしており、それに倣って判断しています。ただし、個々の品目に応じて判断しており、対象外と判断した品目もあります。
 □□□□□品目と□□□□□□□品目とで、重複しているといえば一応重複しているのですが、その重複のシェアの度合いというのも□□□□□□□□□□□みたいな数字もございましたので、そちらはさすがに外すという御判断をいただいたところではございます。本剤のように、バベンチオ側から見ても1割程度は競合しているということであれば、これまで対象としてきたかと思います。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。いかがでしょうか。
○□□委員
 会社が言っていたボトックスと、もう一つのときは、どのような事情があったのですか。
○事務局
 恐らく、その際も、効能の重複はあれども、その重複の度合いがあまりにも少なかったので、類似薬として再算定の対象にしなくてもいいだろうという判断がそれぞれ個別になされたものと考えています。
○□□委員
 そのような例があるのだったら、一律1割で線引きしてきたということではないのですね。どう考えるかですけれども、小野薬品にとって15%はかなり大きいですね。あるいは、さっきの補正加算の適用ができるかどうか、言っていたのですけれども、ああいうものがあったとしたら、次にもう一回主張してくることになるのですか。
○事務局
 今回が不服の回になってございますので、今回の御議論の上での結果というのが決定になり、これ以上、企業としては不服を言うタイミングはないというものになります。先ほど企業から希少疾病の効能追加がありましたということで、オーファンの補正加算というのをつける可能性というのはあるのですけれども、本剤がPD-L1ということもありまして、これまでPD-L1の効能追加による補正加算というのは認めてきておりません。
 と言いますのも、免疫系に働く薬でございますので、どんながん種にでも基本は効くと想定されるので、開発のリスクが相当程度には低いだろうという判断で、そういったものは評価しないという判断になってございます。オーファン効能の補正加算を希望してきたところで、それをつけるという判断は恐らく難しいと考えております。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 先ほど企業が示していたとおり、薬価がだいぶ違う、例えば、同じ腎細胞癌に使うに当たっても、あれだけ値段が違うものなのかというのはいいのかなという気もしないでもないですけれども、ルール上、ああいう額になってしまうということだと思うので、それをよしとするかどうかですけれども、特に反対意見等はないでしょうか。いかがでしょうか。
○□□委員
 さきほど中医協の議論について紹介があって、それはそうですねという意見が多かったと言っていたけれども、それは決定ではないから、今回、これには適用できないという理解でいいですか。
○薬剤管理官
 薬剤管理官です。
 中医協の議論は、まだ決定していないということがまず1つあります。論点整理をして意見をいただいた段階です。しかもその内容の了承が得られたものではなく、業界の意見を踏まえて、また改めて議論するということになっているものです。
 もう一つ、さらに言えば、中医協において、類似品に係る論点に関してはルールで除外しなくても、個別判断できる規定が今もあるのだから、わざわざこういった特例的な領域を特定しなくても良いのではないかという指摘もあり、まだ意見が集約されていない状況でございます。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 御意見いかがでしょうか。特にないでしょうか。現状では、事務局案を変えるというほどの説得、納得感のある御意見はないということだと思いますので、よろしいでしょうか。
 それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。
 
 
エンハーツ点滴静注用100mg
日時:令和5年11月21日(火)
 
○薬価算定組織委員長
 市場拡大再算定候補品目のエンハーツ点滴静注用でございます。下井先生におかれましては、御退出をお願いいたします。
(下井委員退室)
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局から欠席委員の御意見を含め、説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、再算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
 それでは、本件に関する御意見をお願いいたします。よろしいでしょうか。
 特に御意見なさそうですが、よろしいでしょうか。
 それでは、本品目について薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「結構です」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、再算定案のとおりといたします。当該企業が了承すれば中医協に報告いたします。
 
 
ベクルリー点滴静注用100mg
日時:令和5年11月28日(火)
 
○薬価算定組織委員長
 市場拡大再算定候補品目のベクルリー点滴静注用100mgとなります。
 事務局から、欠席委員の御意見を含め、説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、再算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
 それでは、皆様から御意見をいただきたいと思いますけれども、御発言があればお願いいたします。
 補正加算のところだけだと思いますけれども、こちらは5%ということでよろしいでしょうか。特に論点もないでしょうか。
 特段御意見はないようですので、よろしいでしょうか。
 事務局、特に追加はございませんか。
○事務局
 特にございません。
○薬価算定組織委員長
 それでは、御意見はないようですので、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
 資料の事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば中医協に報告いたします。
 
 
アドセトリス点滴静注用50mg
日時:令和5年11月28日(火)
 
○薬価算定組織委員長
 市場拡大再算定候補品目のアドセトリス点滴静注用50mgです。
 退出委員は下井先生です。
(下井委員退室)
○薬価算定組織委員長
 それでは、事務局から、欠席委員の御意見を含め、説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、再算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
 それでは、皆様からの御意見をいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
 事務局、これはOSの評価を前回収載時にもある程度していたということなのですが、ある程度というのはどの程度なのでしょうか。
○事務局
 よくあるパターンといたしましては、OSの結果が最終解析までは出ていないけれども、中間解析ではこれぐらいですという結果を、承認のときにも見ていたというようなケースがあります。
 また、抗がん剤の領域では特に多いですけれども、承認においては無増悪期間で評価し、OSの検証は市販後に評価することが多いです。
 その辺りを踏まえて、今回、真の臨床的有用性ということで、OSを検証してきたものについては評価するというのが、特に抗がん剤における真の臨床的有用性の評価にあたっての考え方と理解しております。
○薬価算定組織委員長
 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 特に御意見がないようですので、それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。
 
 
<小児適応又は希少疾病の効能追加等並びに真の臨床的有用性の検証に係る加算>
○薬価算定組織委員長
 それでは、続きまして「補正加算率の適用の該当性について」、改定時加算の候補品目の要件該当性等についての検討を行います。まず、事務局から加算のルールなどについて御説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、加算のルール等について説明。)
○事務局
 加算率Aについて補足説明させていただきます。
 加算率Aにつきましては、5%から30%の範囲となっておりまして、これまでの算定では5%がつくものが大半であったところです。
 一方、小児適応と希少疾病関連の加算につきましては、現在、中医協においてより柔軟な評価を可能とすることについて議論がなされているところでございます。今回、事務局が用意しました案につきましては、これまでどおりの考え方で加算する案と、より柔軟な評価が可能となった場合の案、2つの案をお示ししているところでございます。中医協での議論の行く末次第ではございますけれども、この両案を御審議いただきまして、中医協の結論に応じて加算を適用させていただければと思います。
 今回、この案を作成するに当たって、具体的に考慮した点としましては、ドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスの解消の観点から、欧米との開発の時期が大きく異ならないもの、国際共同試験に参加しているもの、こういったものを評価しまして、より高い加算率を認めるという案を用意しております。
 当方からの説明は以上でございます。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 ただいまの御説明について何か御質問がございましたら、お願いいたします。よろしいでしょうか。特にないでしょうか。
 よろしければ、個別品目の検討に入りたいと思います。
 
 
ジャカビ錠5mg、ジャカビ錠10mg
ソグルーヤ皮下注5mg、ソグルーヤ皮下注10mg
オノアクト点滴静注用50mg、オノアクト点滴静注用150mg
フェブリク錠10mg、フェブリク錠20mg、フェブリク錠40mg
キュビシン静注用350mg
日時:令和5年11月21日(火)
 
○薬価算定組織委員長
 小児適応の効能追加等に対する加算の1品目目から5品目目まで、事務局から、欠席委員の御意見を含め、説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、小児適応の効能追加等に対する加算の該当性について説明。)
〇事務局
 補足説明させていただきます。
 1品目目のジャカビ錠については、GVHDの効能・効果の追加がなされておりますが、急性GVHD及び慢性GVHDのそれぞれについて12歳以上の小児を含む国際共同治験を実施しており、急性GVHDと慢性GVHDが同じタイミングでの承認であったため、2つの効能をまとめて「GVHD」として適応追加を受けたものでございます。先ほど説明させていただきましたとおり、今後の中医協の議論において開発状況等に基づく加算率の評価の考え方が変わった場合には、慢性GVHDにつきまして、海外と同時に開発が進められまして、国内外で共通の申請資料に基づき承認されましたことを踏まえて、加算率を10%にすることでどうかと考えております。
 2品目目のソグルーヤは、骨端線閉鎖を伴わない成長ホルモン分泌不全性低身長症の効能追加がなされておりまして、小児患者を対象とした国際共同試験を実施して適応追加を受けたものでございます。今後の中医協の議論において開発状況等に基づく加算率の評価の考え方が見直された場合には、国内外で同時開発がなされておりまして、国際共同試験に日本から参加して海外に遅れることなく開発が進められたということを踏まえまして、加算率を10%にすることではどうかと考えております。
 3品目目のオノアクトは、小児の心機能低下例における頻脈性不整脈の効能追加がなされておりまして、小児患者を対象とした国内試験を実施して適応追加を受けたものでございます。今後の中医協の議論において、先ほどと同様に加算率の評価の考え方が見直された場合においては、海外では承認された国がないということを踏まえまして、加算率15%にすることではどうかと考えております。
 4品目目のフェブリクは、痛風、高尿酸血症に係る小児の用法・用量の追加がなされておりまして、小児患者を対象とした国内試験を実施して適応追加を受けたものでございます。今後の中医協での議論におきまして、加算率の評価の考え方が見直された場合におきましては、海外において小児に対する用法・用量が承認されていないことを踏まえますと、本邦で小児の用法・用量をつけたということに一定の評価をいたしまして、加算率10%とすることではどうかと考えております。
 5品目目のキュビシン静注用は、MRSAに係る小児の用法・用量の追加がなされておりまして、小児患者を対象とした国内試験を実施して適応追加を受けたものでございます。今後、中医協の議論において、加算率の評価の考え方が見直された場合でございますが、本剤については、小児に対する適応について既に海外では50以上の国で承認されておりまして、海外と比較すると、日本での開発が海外より遅れることなく進められたとは言い難いと考えておりますので、加算率はこのまま5%が妥当ではないかと考えております。
 以上でございます。
○薬価算定組織委員長
 それでは、今の5品目の御意見を頂きます。今後の中医協との議論についてというところは評価がなかなか難しいと思うのですけれども、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 特に御意見はないようですので、これまでの5品目について薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「結構です」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、加算案のとおりといたします。
 
 
デュピクセント皮下注300mgシリンジ、デュピクセント皮下注300mgペン
フィラジル皮下注30mgシリンジ
ソリリス点滴静注300mg
アイリーア硝子体内注射液40mg/mL2mg0.05mL、アイリーア硝子体内注射用キット40mg/mL2mg0.05mL
トビエース錠4mg、トビエース錠8mg
日時:令和5年11月21日(火)
 
○薬価算定組織委員長
 それでは、小児適応の効能追加等に対する加算の6品目目から10品目目まで、事務局から、欠席委員の御意見を含め、まとめて説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、小児適応の加算の該当性について説明。)
〇事務局
 補足説明させていただきます。
 6品目目のデュピクセントは、アトピー性皮膚炎に係る小児の用法・用量の追加がなされておりまして、小児患者を対象とした国内臨床試験を実施して適応追加を受けたものでございます。今後の中医協の議論におきまして、加算率の評価の考え方が見直された場合におきましては、本邦よりも先行して海外では6か月以上の小児のアトピー性皮膚炎患者に対して既に承認されていたということを踏まえまして、加算率はこのまま10%がよいのではないかと考えております。
 7品目目のフィラジルは、遺伝性血管性浮腫の急性発作に係る小児の用法・用量の追加がなされておりまして、小児患者を対象とした国内臨床試験を実施して用法・用量の追加を受けたものでございます。今後の中医協の議論におきまして、加算率の評価の考え方が見直された場合におきましては、海外では既に2歳以上の小児における遺伝性血管性浮腫の急性発作に対して承認されていたことを踏まえまして、このまま加算率は5%でどうかと考えております。
 8品目目のソリリスは、全身型重症筋無力症の効能追加が行われておりまして、小児を含む国際共同第Ⅲ相試験を実施して適応追加を受けたものでございます。今後の中医協の議論におきまして、加算率の評価の考え方が見直された場合、全身型重症筋無力症に対する小児の用法・用量に関しまして、国内外で同時の開発が進められておりまして、また本邦と同時期に申請がなされていることなどを踏まえまして、加算率は10%にすることではどうかと考えております。
 9品目目のアイリーアは、未熟児網膜症患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験を実施しまして、小児の適応追加と小児の用法・用量の追加がなされたものでございます。今後の中医協の議論におきまして、開発状況等に基づく加算率の評価の考え方が見直された場合におきましては、国内外で同時に開発が進められましたことを踏まえまして、加算率は10%とすることが適当ではないかと考えております。
 10品目目のトビエースは、過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁に係る小児の用法・用量の追加がなされておりまして、小児患者を対象とした国内臨床試験を実施して適応追加に至ったものでございます。今後の中医協の議論におきまして、加算率の評価の考え方が見直された場合におきましては、臨床試験の実施時期を踏まえますと、国内外で同時期に着手しておりまして、海外に遅れることなく日本でも開発が進められているということを踏まえまして、加算率を上げて10%とすることではどうかと考えております。
 以上でございます。
○薬価算定組織委員長
 それでは、本件に対する御意見をお願いいたします。何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 特に何もないようですので、こちらの5品目について薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「結構です」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、加算案のとおりといたします。
 
 
レットヴィモカプセル40mg、レットヴィモカプセル80mg
アドセトリス点滴静注用50mg
日時:令和5年11月21日(火)
 
○薬価算定組織委員長
 それでは、小児適応の効能追加等に対する加算の11品目目と12品目目について事務局から、欠席委員の御意見を含め、説明をお願いいたします。下井委員は、御退出をお願いします。
(下井委員退室)
○事務局
(事務局より、小児適応の加算の該当性について説明。)
〇事務局
 補足説明させていただきます。
 レットヴィモカプセルは、RET融合遺伝子陽性の根治切除不能な甲状腺がん及びRET遺伝子変異陽性の根治切除不能な甲状腺髄様がんの効能追加がなされておりまして、小児を含む国際共同第Ⅲ相試験を実施して適応追加を受けたものでございます。今後の中医協の議論におきまして、加算率の評価の考え方が変わった場合におきましての対応でございますけれども、国際共同試験に日本からも参加して、海外に遅れることなく開発が進められたということは評価してよいだろうと考えております。その上で、日本人小児の被験者数が0例であったことを踏まえまして、限定的な評価とし、加算率7.5%とすることでどうかと考えております。
 アドセトリスは、CD30陽性のホジキンリンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫に係る小児の用法・用量の追加がなされておりまして、小児患者を対象とした国内試験を実施して適応追加を受けたものでございます。今後の中医協の議論におきまして、加算率の評価の考え方が見直された場合でございますが、本剤の審査時点においてまだ海外では小児に対する承認がなされていなかったということを踏まえまして、加算率を10%にすることでどうかと考えております。
 御説明は以上でございます。
○薬価算定組織委員長
 それでは、本件に対する御意見をお願いいたします。何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 特にないようですので、本品目について薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「結構です」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、加算案どおりといたします。
 
 
ジャカビ錠5mg、ジャカビ錠10 mg
キムリア点滴静注
イムブルビカカプセル140mg
ユニタルク胸膜腔内注入用懸濁剤4g
ハイヤスタ錠10mg
プレセデックス静注液200µg「ファイザー」、プレセデックス静注液200µg/50mLシリンジ「ファイザー」
日時:令和5年11月21日(火)
 
○薬価算定組織委員長
 次は、希少疾病の効能追加等に対する加算についてです。候補品目の要件該当性などについての検討を行います。まずは6品目です。事務局から、欠席委員の御意見を含め、説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、希少疾病等の加算の該当性について説明。)
〇事務局
 補足説明させていただきます。
 1品目目のジャカビ錠は、先ほどの小児加算でご説明しましたとおり、急性GVHDと慢性GVHD、それぞれについて国際共同治験を実施しておりまして急性GVHDと慢性GVHDの2つの効能を併せて「GVHD」として適応追加された品目です。急性GVHDについて、臨床的位置付け等を踏まえますと、加算率A=10%が妥当と考えております。こちらも今後の中医協次第でございますけれども、急性GVHDの開発については、国際共同試験に参加して開発がなされているというところを踏まえまして、その場合は15%が妥当ではないかと事務局としては考えているところでございます。
 6品目目のプレセデックスは、小児における非挿管での非侵襲的な処置及び検査時の鎮静という形で効能が追加されているものでございます。今後の中医協の議論次第でございますけれども、加算の考え方が見直された場合につきましては、海外では当該効能・効果で承認を有している国はなく、本邦における承認申請と同時期に米国でやっと申請がされたというタイミングでございましたので、こちらは評価ができると考え、その場合はA=15%としてはどうかと事務局としては考えているところでございます。
 以上でございます。
○薬価算定組織委員長
 それでは、事務局案に対する御意見をお願いいたします。
○□□委員
 ユニタルクの医師主導治験について、相対的な企業の負担が少ないということだったのですけれども、実際にかかる治験と比べてどのぐらい少ないのですか。
○薬価算定組織委員長
 事務局、いかがでしょう。なかなか難しいかもしれません。
○事務局
 御指摘いただいた費用の点としまして、全体像でどれくらいかはなかなか難しいところがありますが、製造販売業者の負担が相当程度低いと認められるものは加算の対象外とされているところですので、基本的には医師主導治験、これ一本で承認申請されたものについては認めるのは難しいかと考えているところでございます。
○□□委員
 自ら実施した治験ではないのに、加算を申請してくるのは認められないという考えですね。
○事務局
 そうですね。企業の主体的な開発というところが、ある意味で加算というのはインセンティブになっているのかなと考えていますので、そういうものを促進する観点からは、医師主導治験でやってきましたというのは、企業の姿勢を評価するというのは難しいと考えています。
○□□委員
 それは確かにそうだと思います。どうもありがとうございました。
○薬価算定組織委員長
 医師主導治験自体のハードルが少し下がりつつあるところで、確かに医師主導で治験をやった人には何も戻ってこないので、企業が得するだけになってしまう。この辺、どこにインセンティブがやってくるのだろうというのは、医師主導治験をやる側になるかもしれない我々には少し制度を考えてもらったほうがいいのかなと、思います。研究者はやはり努力しているので。なかなか難しいところだと思うのですけれども、事務局、何か御意見はないですか。
○事務局
 まさに御指摘のとおりでございまして、企業が自ら実施していない部分で、特に薬価で上乗せするというのはかなり難しいと考えているところでございます。また、医師主導治験の促進も厚労省としては進めている部署もございますので、そういったところでの制度があるのかなと思うのですが、御指摘いただいたことを踏まえまして、関係部局には御連絡させていただこうと思います。
○薬価算定組織委員長
 よろしいでしょうか。
 それでは、特に御意見はないようですので、6品目についての薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「結構です」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、加算案どおりといたします。
 
 
レンビマカプセル4mg、レンビマカプセル10mg
エンハーツ点滴静注用100mg
キイトルーダ点滴静注100mg
日時:令和5年11月21日(火)
 
○薬価算定組織委員長
 それでは、レンビマ、エンハーツ、キイトルーダの希少疾病の効能追加等に対する加算についてです。下井委員は御退出いただければと思います。
(下井委員退室)
○事務局
(事務局より、希少疾病の効能追加等に対する加算の該当性について説明。)
〇事務局
 補足説明させていただきます。
 2品目目のエンハーツは、中医協の議論の次第でございますけれども、開発状況等に基づく加算率の評価の考え方が見直された場合には、国際共同試験に日本からも参加しまして、海外に遅れることなく開発が進められてたという点を評価しまして、加算率A=10%としてはどうかという事務局の案とさせていただいております。
 説明は以上です。
○薬価算定組織委員長
 それでは、本件に対する御意見をお願いいたします。何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。特に御意見ないですか。
 それでは、特に御意見はないようですので、本品目について薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「結構です」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、加算案のとおりといたします。
 
 
ベクティビックス点滴静注100mg、ベクティビックス点滴静注400m
日時:令和5年11月21日(火)
 
○薬価算定組織委員長
 それでは、真の臨床的有用性に対する加算に関しまして、まず、ベクティビックスについて検討を行います。
 事務局から、欠席委員の御意見を含め、説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、真の臨床的有用性の加算の該当性について説明。)
○薬価算定組織委員長
 それでは、事務局案に対する御意見をお願いいたします。何かございますでしょうか。
 特にないようですので、それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「結構です」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、加算案どおりといたします。
 
 
エンハーツ点滴静注用100mg
日時:令和5年11月21日(火)
 
○薬価算定組織委員長
 続いて、エンハーツ点滴静注の真の臨床的有用性に対する加算について、事務局から、欠席委員の御意見を含め、説明をお願いいたします。
 下井先生は退出をお願いします。
(下井委員退室)
○事務局
(事務局より、真の臨床的有用性の加算の該当性について説明。)
○薬価算定組織委員長
 それでは、本件に対する御意見をお願いいたします。何かございますでしょうか。どうぞ。
○□□委員
 エンハーツは何度も出てくるのですけれども、結局どうなるのでしょうか。
○事務局
 エンハーツは、まず市場拡大再算定の対象品になっております。続いて、希少疾病の効能追加等に対する加算、そして真の臨床的有用性に対する加算の対象になっております。市場拡大再算定と改定時加算に該当した場合は、市場拡大再算定が優先されて適用されます。ただし、市場拡大再算定の中で下がり幅を緩和する仕組みとして補正加算というものがございます。改定時加算分をそちらの補正加算として、下がり幅を緩和するというような運用になっております。
○薬価算定組織委員長
 よろしいでしょうか。
○□□委員
 ありがとうございました。よく分かりました。
○薬価算定組織委員長
 その他、御意見いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 特にないようですので、本品目について薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「結構です」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、加算案のとおりといたします
 
 
<新薬創出・適応外薬解消等促進加算の対象品目>
リンヴォック錠7.5mg、リンヴォック錠15mg、リンヴォック錠30mg、リンヴォック錠45mg
日時:令和5年11月21日(火)
 
○薬価算定組織委員長
 次は、新薬創出等加算の対象品目の要件該当性等についての検討を行います。まず、リンヴォック錠について、事務局から、欠席委員の御意見を含め、説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、新薬創出等加算の対象品目の要件該当性について説明。)
○薬価算定組織委員長
 それでは、本件に対する御意見をお願いいたします。よろしいでしょうか。
 特に御意見はないようですので、それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「結構です」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、資料の案のとおりといたします。
 
 
ニュベクオ錠300mg
日時:令和5年11月21日(火)
 
○薬価算定組織委員長
 次に、新薬創出等加算のニュベクオ錠です。事務局から、欠席委員の御意見を含め、説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、新薬創出等加算の対象品目の要件該当性について説明。)
○薬価算定組織委員長
 それでは、本件に対する御意見をお願いいたします。特にございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 特にないようですので、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「結構です」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、資料の案のとおりといたします。
 
 
タリージェ錠2.5mg、タリージェ錠5mg、タリージェ錠10mg、タリージェ錠15mg、
タリージェOD錠2.5mg、タリージェOD錠5mg、タリージェOD錠10mg、タリージェOD錠15mg
日時:令和5年11月21日(火)
 
○薬価算定組織委員長
 次は、新薬創出等加算のタリージェ錠、タリージェOD錠です。
 事務局から、欠席委員の御意見を含め、説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、新薬創出等加算の対象品目の要件該当性について説明。)
〇事務局
 補足説明させていただきます。
 タリージェ錠につきまして、本年4月のDPO、5月の中医協を経て、四半期再算定の対象となっております。その際に、神経障害性疼痛においてNSAIDs単独群との比較で、本剤とNSAIDs群併用の群におきまして、QOLに有意な改善を示したということで、真の臨床的有用性として評価しております。四半期再算定のタイミングにおきましては、真の臨床的有用性として評価した品目を新薬創出等加算の対象品目とする規定はございませんが、本剤が真の臨床的有用性に関する加算に該当するということは変わりないことから、今回の改定において新薬創出等加算の対象品目とすることが適当ではないかと考えております。
○薬価算定組織委員長
 それでは、本件に対する御意見をお願いいたします。よろしいでしょうか。
 それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「結構です」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、資料の案のとおりといたします。
 
 
カルケンスカプセル100mg
日時:令和5年11月21日(火)
 
○薬価算定組織委員長
 新薬創出等加算のカルケンスカプセルです。
 事務局から、欠席委員の御意見を含め、説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、新薬創出等加算の対象品目の要件該当性について説明。)
○薬価算定組織委員長
 それでは、本件に対する御意見をお願いいたします。よろしいでしょうか。
 特にないようですので、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「結構です」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、資料の案のとおりといたします。
 
 
<新薬の薬価算定について>
レケンビ点滴静注200mg、レケンビ点滴静注用500mg
日時:令和5年11月28日(火)
 
○薬価算定組織委員長
 レケンビ点滴静注200mg及び同点滴静注500mgです。事務局から、欠席委員の御意見を含め、説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬剤管理官
 補足させてください。
 私のほうから本剤の背景等を御説明いたします。
 参考資料5-1を御覧ください。
 このレケンビに関しましては、「令和4年度薬価制度改革の骨子」に基づき、年間の市場規模が1,500億円を超えると見込まれるもの、高額医薬品に該当するということで、薬価算定の手続に先立って中医協で薬価算定方法等について議論を行ったものでございます。
 中医協の取りまとめが11月15日になされ、対応の方向性についてまとめられました。具体的には、薬価収載の関係につきましては、1ページ目の後半部分の1ポツの(1)で「算定方法及び薬価算定にあたり用いるデータ」ということで示しており、算定方法は通常どおりの方法、類似薬効方式か原価計算方式で算定するということ、補正加算は既存のルールに従って評価するということとされましたので、本日事務局のほうでこのような形で案をまとめたというものでございます。
 今回、この取扱いに当たって1つだけ補足をしますと、この2つ目の○にありますけれども、企業のほうからは介護費用に基づく内容のデータも提示されておりました。こちらについて、こういう介護費用の関係のところも薬価収載時の有用性評価の中でどういうふうに判断するかという議論もできなくはないのですけれども、ただ一方で、薬価収載をするためには薬事承認から90日以内に収載するという手続の中で判断しなくてはならないこと、また、介護費用の取扱いについては、費用対効果評価の枠組みの中で議論していたということもございますので、ここの部分の評価は費用対効果評価の枠組みで検討するということが別立てで示されたというものでございます。この費用対効果評価における考え方については、費用対効果評価専門部会のほうで引き続き議論されているところです。
 その他、中医協の総会に本剤の薬価算定案を諮るときには、算定に当たっての考え方を説明するということで、先ほどの取りまとめの資料の3ページ目の最後に「3.本剤の薬価の議論」という項目がございますけれども、中医協総会での審議に当たってはこういった点も含めて議論することとしているものでございます。
 本剤の薬価収載については、通常であれば薬事承認から60日以内で処理することになるのですが、この中医協の議論が必要でしたので、薬価算定組織も含めて90日以内に収載できるように取り扱うということを中医協で了承いただいております。
 また、関連して、先ほど補正加算については既存のルールに従って評価するということを紹介しましたけれども、その中で有用性加算の要件のロに関して、企業の主張の中でQALYを増加させるとか、そういう介護費用に関連する内容も判断要素として示されているものがあるのですけれども、先ほど紹介したように収載時には評価し切れない部分があるというところは、一つの我々として考えた論点でございます。
 そういった背景も含めて御審議いただければ幸いでございます。
○薬価算定組織委員長
 それでは、本日も委員の皆様から御意見をいただくのですけれども、まず御意見のある方、お願いいたします。
○□□委員
 このお薬については神経領域の世界で話題になっている薬で、アルツハイマー病に対する初めての根本的な進行を抑制する可能性があるという意味では、これは本当に画期的で、また、今までアミロイドβに対する抗体医薬というのは副作用で失敗してきたのです。今回のも脳浮腫を起こすような症例も認められたりして、かなり気をつけて使わなくてはいけないことは事実なのですが、ただ、今の段階では有用性は認められるであろうという推定です。つまり、病気の進行を抑制できるかどうかが最終的な問題なのだけれども、そこまで期間が経っていないわけです。アルツハイマー病というのは5年、10年という進行の病気ですから、正直なところ分からないのです。PET上でアミロイドβが減ったことはみられたと思うのですけれども、だから、これを本当にすごく今、有効な薬だというふうにまで認めることはできない。ただ、将来的には認められるかもしれないので、将来的にまた再評価のときにそこは判断すればいいと思うのですけれども、現時点では事務局の判断ぐらいが妥当だと思います。
 それともう一つ、算定方法は原価計算方式が採られていますが、これは当然、ほかの類似薬は考えられないと思うのですが、そこは恐らく皆さんもそう思われると思います。その辺が私の意見です。
 つまり、今、ご説明がありましたけれども、これをどこまで画期的な薬だと認めるかという点においては、まだやはり様子を見るというか、実際に市場に出てからの判断を待つ必要があると思っています。
○薬価算定組織委員長
 真の臨床的有用性の判断というのはまだこれから先だということだと思いますけれども、ほかにいかがでしょうか。
 では、□□先生、どうぞ。
○□□委員
 お伺いしたいのは、最終的に実際にアルツハイマー病の診断を行う医師要件みたいなものは関連学会がつくっておられるのかという質問でありまして、事務局案に特に異論はないのですけれども、今回の臨床試験の301試験等の選択基準にございますような、あくまで患者さんのCDRスコア等をしっかり評価して、アルツハイマー型の認知症であるという評価ができる必要があるということかと思います。恐らくあまり髄液検査はなされないのかなと思うので、PET検査は外注で検査されるとなると、アルツハイマー病患者を抱えておられる御家族も検査を受けたいと希望される可能性はありますので、しっかりと専門医のほうで評価ができるとか、もしくは、アミロイドPETがすぐに評価できるような施設というようなところが関連学会等で縛られてくるのか、使い方の運用に関して教えていただけませんでしょうか。
○薬価算定組織委員長
 事務局、いかがでしょうか。
○薬剤管理官
 御指摘は非常に重要な点でございます。
 先ほどの中医協における取りまとめを御覧ください。1ページ目の最後の行から次のページにかけて記載されているように、まさにこの薬剤については、適切な患者選択ということも重要ですし、安全性の観点、特にARIAと呼ばれる重篤な副作用をいかに早期に発見して対応するかといったところの体制をしっかり確保している医療機関で適切に対応してもらう必要がありますので、最適使用推進ガイドラインを策定して、医師、施設、そして、患者について、様々な要件を設定する予定でございます。
 2ページ目の囲みで書いているところは、その概要を示しているものですが、実際にはもう少し詳細に規定する予定でございます。ですから、患者要件自体として認知症のスコア評価をしっかりやる。そして、アミロイドβ病理を示唆する所見をちゃんと確認する。そういったところも含めてきちんと患者選択を行った上で、医師の要件としても、学会の専門医であり、かつ各種研修を受講していることとか、施設の要件として、必要な検査体制が確保できる施設、チーム体制が整っている施設であることが必要になりますので、そういったところも含めると、実際に使える施設というのはかなり限られてくることになろうかと思います。
 また、投与開始後も、定期的な有効性、安全性の確認も行う必要があります。
 ただし、大事なのは、先ほども御指摘がありましたが、こういったお薬を使いたいという患者さんを医療提供体制の中でどのように支えていくかというところが重要なテーマでして、どこでも使えるお薬でない一方で、どこに行けば使えるという環境を、認知症の全体の医療提供体制の中で関係者が理解した上で、どういうふうに誘導していくかとか、そういったところも含めて、関係部署とも連携して、本剤が薬価収載された後の体制面を含めて調整しながら、実際に収載されるタイミングにきちんとした対応ができるように、我々としても準備しているところでございます。
○□□委員
 ありがとうございました。
○薬価算定組織委員長
 そのほか、いかがでしょうか。
○□□委員
 今のお話なのですけれども、我々の施設も既に準備していまして、PETに関しても、全てどこのPETでも大丈夫ではないのです。ですので、最初はすごく間口は狭くなると思います。また、軽症例しか適応がないので、周囲の人が完全に気づくような時点では、恐らくその点数を既に超えてしまっています。最初は少しずつという感じで使われていくのではないかなとは思っています。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。
 どうぞ。
○□□委員
 まず確認したいのは適応のところで、アルツハイマー病というのとアルツハイマー障害というのはどういうふうに使い分けるのでしょうか。
○事務局
 本剤の対象疾患は、アルツハイマー病による軽度認知障害、それから、軽度の認知症の2つになってございます。
○□□委員
 認知症と認知障害の違いですね。
○事務局
 認知障害のほうが、いわゆる認知症と診断される一歩手前のMCIと呼ばれている方々と考えてございまして、認知症より一歩手前の段階にいる人たち、そして、認知症と診断された方の中でも軽度の方々というのが本剤の対象疾患となってございます。
○□□委員
 もう一点なのですが、先ほど有用性加算③-eについて、既存薬は症状の進行を抑制しているということは認められているけれども、このお薬は疾患そのものの進行を抑制すると言われたのですが、疾患そのものと症状の違いというのは、疾患というのはこのアミロイド仮説に基づいて、多分これが原因だろうから、そこを抑えているから疾患そのものということなのでしょうか。それとも複合的な症状、一部だけ抑えるのではなくて、全部抑えるから疾患の進行を抑えているという考えなのでしょうか。
○事務局
 本剤の承認に当たって、アミロイドβに作用するお薬ですので、その量というのは経時的に測定がなされているところでございます。
 一方で臨床症状の評価とアミロイドβの減少というところが必ずしも相関はしていないというような評価になってございます。ですので、アミロイドβが減ったことをもって本疾患に対して臨床上の有用性があるかどうかと問われると、なかなか難しいところではあるのですけれども、ただ、本剤を投与した群においては、認知症の評価スコアでございますCDRのスコアで、数が多いほど重症度の高いものになるのですが、そちらが数値でいうと0.45低くなるというような評価もなされておりまして、アミロイドβが減ったことがどう作用しているかというところは明確にはなっておりません。けれども、少なくとも本剤を投与すると認知症の総合的な評価スコアであるCDRを減少させることができたというところを示してきた医薬品になってございます。そこをもちまして、症状の進行抑制ではなく認知症というものそのものの進行を抑えているという評価につながっていると理解しております。
○□□委員
 ですから、既存薬はCDRの上がりが遅れるとかそういうものは示せていなくて、認知症の何かの症状を抑えるみたいなことですよね。要は今回は、CDRスコアに効果が出たからということが今おっしゃった疾患そのものの進行抑制というところを評価したということになるということですね。分かりました。
 一方で、アミロイドPETによるアミロイドβの蓄積量の変化と症状が必ずしも相関していないから、加算の要件は満たさないと言われたので、アミロイド仮説との関係はどうなのかなと思ってお伺いしました。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
○□□委員
 □□先生が言われるように、アミロイドのことはまだ仮説なのですよね。だから、本当にそれを抑えれば進行が止まるかどうかまでは分からないと思います。確かに認知症の人はひどくなればアミロイド量が多くなることは事実なのですけれども、逆に言えば、この薬がよく効けば、多分その仮説はメインストリームだろうという今の考えが正しいということにはなると思うのですけれども、それもやはりこれから、そういう意味でも期待はできるのではないかなとは思います。
○薬価算定組織委員長
 その他、いかがでしょうか。
 論点は原価計算方式か類似薬効比較方式かという点と、補正加算と思いますけれども、まず原価計算方式とすることに関しては、皆さん、特に御意見はないですよね。これに対して何か御意見がある方はいらっしゃいますか。
○□□委員
 意見ではないのですけれども、原価計算方式しかないと思うのですが、すごく開示率が高いです。今まで開示率が非常に低くて、せっかくついた加算が適用されないものがとても多かったような気がするのですけれども、その違いを教えていただけたらと思います。
○薬価算定組織委員長
 事務局、どうぞ。
○事務局
 本剤につきましては、極めて開示率が高くなってございます。
 これまで開示率が低かった品目というのを振り返ってみますと、外国から導入して、それを製品化するといった品目が開示率が低くなるという傾向があるようです。といいますのも、やはり外国から買う際に、その内訳というのを必ずしも海外の企業が示してくれるわけではないというところもあって、なかなか開示率が上がらないというところでございました。
 一方、本剤につきましては、エーザイ自らが開発してきたというところでございまして、米国の企業との共同開発と聞いておりますけれども、エーザイがメインプレーヤーとして開発してきたというところもありまして、開示できる部分がかなり多くなっているということと事務局としては理解しております。
○□□委員
 ありがとうございました。
○薬価算定組織委員長
 それでは、原価計算方式に関しては特に問題なしということで、あと、加算に関してですが、先ほどから議論になっているのは有用性加算①-cのところですけれども、こちらに関しては先ほど事務局から説明があったと思いますが、何か追加で御質問とか御意見はございますでしょうか。
 この辺は、有用性加算①-cの標準治療が確立されていない重篤な疾病というところで説明があったかと思うのですけれども、これはどうですか。
 □□先生、重篤な疾病というのはなかなか定義が難しいのですけれども。
○□□委員
 これはとにかく軽症で、中にはあまり進まない人がいるわけです。あまり進まない人もいるし、もちろん重症になる可能性のある人もいる。
○薬価算定組織委員長
 ただ、適応の患者さんが重篤の疾病とまでは言えない段階であるということではよろしいかなと。
○□□委員
 そういう人しか対象に、要するに悪くなった人のアミロイドβが減るわけではないですから、増えていかないということがこの薬の肝なわけですから、悪い人に使ってもあまり意味がないわけですよね。だから、悪くしないのがどのぐらい悪くしないのかというのは分からないので、まだ何とも言えないと思います。
○薬価算定組織委員長
 今まではがんの治療とかそういうもので治すというほうを主眼に置いていたので、この有用性加算①-cはこういう形に示されているのかなと思うのですけれども、今回はどちらかというと重症化、重篤になるのを予防するというか防ぐということなので、実はそういうのを評価する項目があまりないのではないかなという気もするのです。現在のルール上ではこれはお認めできないのかなということだと思うのですが、こちらは事務局案でよろしいでしょうか。
 では、有用性加算①-cに関しても特に問題ないかと思います。
 あとは有用性加算③-eですかね。こちらは特に著しい治療法の改善というところだと思うのですけれども、先ほど□□先生からも御意見があったように、今のところ、将来的に重篤になるかどうかというのを防げるかどうかはまだ分からないというか、真の有効性に関してはまだ示されているわけではないということだと思いますので、現段階では著しい治療改善というのは示せないのかなとは思うのですけれども、この辺はどうでしょうか。そのような考え方でよろしいでしょうか。
○事務局
 有用性加算③-eにつきましては、まさに今、委員長から御指摘をいただいたように、本当にこれが臨床上の有用な医薬品なのかというところはまだまだこれからの評価という段階なのかなとは思います。一方で、本剤は薬事承認において、既収載品では症状の進行抑制であったところが、認知症、軽度認知障害そのものの進行を遅らせるというところを認めた初めての薬剤ですので、そこは評価ができるかなと考えています。
 したがいまして、有用性加算③-eにつきましては、薬事上の評価を踏まえて、治療方法は改善を示せる薬剤だろうと。今までと違う作用点を示す薬剤であろうという、既収載品とは違う位置づけになる薬剤であろうというところは評価ができるのかなというところで、これはつけてもよいのではないかという提案をさせていただいております。
○薬価算定組織委員長
 それでお認めするということになっているのですね。分かりました。
 それはよろしいでしょうか。
 あとは、有用性加算の要件ロに関しては、先ほど事務局から説明があったように、特にお認めしないということだと思いますけれども、こちらに関して何か御意見はございますでしょうか。
 プラセボ対照試験と思いますので、もちろん対象になるようなお薬がないのかもしれないですけれどもよろしいでしょうか。
 そのほか、全体を通して、事務局の案で大体よろしいとは思います。あと、これはたしか予測患者数がピーク時3万人でしょうか。
○事務局
 市場規模予測、企業の予測ではおおよそ3万人ぐらいでございます。
○薬価算定組織委員長
 適応になる患者さんは比較的少ないのではないかと□□先生がおっしゃっていましたけれども、それでもこれぐらいの人数にはなるのではないかという企業予測は正しいのでしょうか。
○□□委員
 今、アルツハイマー病で医療機関を受診している人が全国で大体90万人ぐらいおられるのです。そうすると、そのうちの1割ぐらいがこういうふうな治療に対して関心を持つというか適応があるとして、3万人というのが年間の最高でどうなるかというのはよく分からないです。ただ、先ほど言ったようにいろいろな制約があるので、それこそ住んでいる場所によってそういう治療を受けられるかとかということもあるでしょうし、医療機関が近くにあるかどうかとか、いろいろなことが影響すると思いますから、それほどめちゃくちゃな予測ではないと思います。
○薬価算定組織委員長
 今回の金額は、事務局案ですと大体1,000億円になるかなと思いますので、これが世間でどのような評価というか評判を呼ぶかどうかは分かりませんけれども、今までの薬剤でも1,500億円から2,000億円売れている薬剤もあったかと思いますので、何とか許容範囲なのかなという気はします。
 どうぞ。
○薬剤管理官
 補足させていただきます。
 我々もこの市場規模が大事なポイントと認識しておりまして、だからこそ高額医薬品の議論というのはあったのですけれども、今回、最適使用推進ガイドラインでかなり施設も限定して使うというところもありますし、最初の段階では患者数はある程度絞られていくだろうと前提には立っています。ただ、もともとの潜在的な患者数の多さもありますので、多分この辺りというのは医療機関の使用実態がどう変わっていくかとか、実際にどのくらいの期間使われていくのかとか、また、検査方法のところが、今の段階ではまだPET検査とか脳脊髄液の検査だけですけれども、もっと簡易的な検査が出てくると患者選択がしやすくなるとか、そういったことを考えると、いろいろ変化の要素は多い。そこで、中医協でも、取りまとめの中で使用実態の変化等が生じた場合等には改めて検討するといったことも含めて、まとめられているものでございます。
 本剤については、薬事承認の条件として全症例を対象に調査を行うこととしております。ですから、投与患者の実際の数とかスコア評価とか様々な安全性の観点も含めて、データが収集できる、企業のほうで収集していただくことになりますので、使用実態とか変化とかもある程度把握できますので、そういった状況に応じて対応することになるものと考えているところでございます。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。
 それでは、御意見をもう一度伺いますが、よろしいでしょうか。
○□□委員
 アメリカと日本だけで承認されているので、アメリカの価格があるのですけれども、調整の対象とならないのか、教えていただけたらと思います。
○事務局
 お示ししている米国の価格につきましては、外国平均価格調整に用いる価格リストに掲載されているものではないということで、参考としてお示しさせていただいております。このため、外国平均価格調整は今回適用されないという形になってございます。
 額自体も近しい額になっておりますので、仮にこれが価格調整の対象となるものだった場合であっても、恐らく調整の対象にはならないものかと考えております。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
○□□委員
 メーカーがアメリカで小売希望価格をつけるときに、かなり高い価格をつけて、それから妥当な価格を割り出したようなことが報道レベルでなされていたように記憶しています。スタートの価格がこれくらいで、この後恐らく費用対効果評価のほうに行くと思うのですけれども、そもそもアメリカでは、費用対効果に基づいて普通の閾値の3倍ぐらいの数字で割り出した価格、バリューベーストプライシングでつけたというような報道もあったので、スタート価格が高いとどうなるのかなというのがちょっと気になっています。だからどうかしてくださいというのではなくて、緻密に算出された薬価ですので、これはこのままお認めしますけれども、そういうアメリカとの違いというのが気になったのでコメントしました。
○薬価算定組織委員長
 事務局、アメリカでのこの薬は現地で作られているものなのでしょうね。分からないですかね。国産だからといって、こちらから輸出しているわけではない。
○事務局
 米国での製品がどこで作られているかという情報は持ち合わせていないところでございます。本剤はエーザイが共同して開発している相手の会社は米国の会社になってございますが、いかんせん情報がなく、分からないというお答えになります。
○薬価算定組織委員長
 分かりました。ありがとうございます。ちょっと余計な質問だったかもしれません。
 それでは、いかがでしょうか。議論はし尽くしたということでよろしいでしょうか。
○□□委員
 1つだけ、この保険の収載価格でいいのですけれども、これはアルツハイマーですから、恐らくこの適応基準を外れた人で、お金のある人だと自費診療したいというような人が出てくる可能性があると思うのですが、そういう場合、そういうことに対する対応というのは考えられているのかどうか。これはあまり価格のことに直接関係ないかもしれないのですけれども、それはいかがでしょうか。
○事務局
 基本はここで算定している価格というのは、保険診療の中で使われる場合が大前提でございます。日本におきましては、基本的には保険診療の中で行われているとは理解してございますけれども、先生の御指摘のとおり、そういう希望をされる方が一定数はいらっしゃるかもしれないとは思います。
○薬剤管理官
 補足すると、これは薬事のほうで全例調査が課されており、恐らく最適使用推進ガイドラインに基づいた流通ルートでしか流通しないので、自由診療の中で投与されるというのは通常想定しにくいのかなと思っています。
○薬価算定組織委員長
 よろしいでしょうか。
 それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
 算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば中医協に報告いたします。
 
 
レケンビ点滴静注200mg、レケンビ点滴静注用500mg
日時:令和5年12月5日(火)※企業陳述あり
 
○薬価算定組織委員長
 「レケンビ点滴静注200mg、同点滴静注500mg」です。
 事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見を含め、説明をお願いいたします。
 なお、本件は企業の意見陳述がございます。
○事務局
(事務局より、不服意見及び薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
 それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 有用性加算①-c「進行が不可逆的で、日常生活に著しい影響を及ぼす疾患」ですけれども、例えばコリン、ドネペジルは、確かに効能・効果のところに認知症状の進行抑制と書いてあるのですけれども、添付文書の中に効能・効果に関連する注意というのがあって、その中に病態そのものの進行を抑制するものではないと書かれているのです。だから、全体を見れば、そもそもないと考えるのが普通であって、そういった状態から治療法がないとまでは言えないかもしれないですけれども、その症状を改善する薬はあるかもしれないですけれども、それは進行を抑制していないということになりますので、その部分をどう評価するかという点。
 あと、もう一つ、ほかの認めた疾患とは重篤性が違うということですけれども、アルツハイマー病はすごく長い期間かかって進行して重篤になるわけで、急激に悪化するものと同列に扱ってよろしいのかという点。アルツハイマー病は治りませんので、最終的には重篤になるわけです。そういった点からは、長期にわたる神経変性疾患に対する評価がどうしても厳しくなってしまうのではないかという懸念が1つございます。
 ただ、確かに今、説明にあったように、重篤な状態で効くかどうかというのが示されていませんので、そういったところはちょっと弱いかなと私自身も考えています。
○薬価算定組織委員長
 そのほか御意見いかがでしょうか。
 では、企業の意見を伺ってから、また後ほど議論したいと思います。
 それでは、事務局は企業を入室させてください。
(申請者入室)
○薬価算定組織委員長
 最初に「レケンビ点滴静注」についての御意見を10分以内で御説明をお願いいたします。なお、終了1分前にベルを1回、終了時にベルを2回鳴らします。続いて、委員側から質問させていただきますので、御回答をお願いいたします。
 それでは、よろしくお願いいたします。
○申請者
 よろしくお願いいたします。エーザイの□□と申します。本日は、陳述の貴重な機会をいただきまして、ありがとうございました。先生方におかれましては、本剤の御評価をいただいておりますことに心より御礼申し上げます。本剤は、既存の薬剤とは異なりまして、アルツハイマー病の原因物質であります脳内アミロイドβに直接作用し、疾患の進行を抑制する画期的な薬剤と考えております。本剤の有用性につきまして、ぜひとも画期性加算をもって御評価いただけないかと考えまして、今回、陳述申し上げることとさせていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
 スライドをお願いいたします。2ページ目を御覧ください。レケンビは、画期性加算の適用を希望しておりました。しかしながら、有用性加算(Ⅰ)と御評価いただいております。本剤の有用性につきましては、当社といたしましては画期性加算に相当するのではないかと考えております。
 本剤は、医薬品優先審査品目に該当しておりまして、①-cに該当いたします。加えまして、第Ⅲ相試験の結果から、本剤の新規作用機序が著しく有用である旨、すなわち本剤が①-dに該当すると御判断いただけないかと考えております。さらに、フェーズⅡ試験の結果から、本剤は既存治療に比した高い有効性が示されており、要件のロを満たすと考えております。第2回薬価算定組織でいま一度御検討いただけないかと考えております。
 次のスライドをお願いいたします。3ページ目です。まず、①-cについてでございます。レケンビの適応症でございます早期アルツハイマー病が重篤な疾患であるということは、先生方にも御承知いただいているかと存じます。提出いたしました算定用資料でもお示しいたしましたけれども、重篤性に関しては、本剤が優先審査に該当するという御判断をいただいた際のPMDAの報告書、医薬品優先審査品目該当性相談報告書に記載のとおりでございます。
 そのアルツハイマー病の治療におきまして、既に収載されている品目は、本剤が初めて適用となったアルツハイマー病による軽度認知障害の段階では、治療を行うことができません。すなわち、本剤により標準的な治療が確立されていない早期の段階から、アルツハイマー病の治療が可能となっております。加えて本剤は、早期ADに対する新たな治療法として、臨床現場に提供する意義はあるとされていることからも、本剤は①-cの要件に該当すると考えております。
 次、お願いします。次に、①-dについて、ぜひ御検討いただけないかと考えております。本剤のピボタルスタディー、フェーズⅢのスタディーでございますが、主要評価項目並びに全ての重要な副次ポイントを達成しております。主要評価項目であります臨床評価指標CDR-SBの変化量が、プラセボに比して0.451改善しているということでございます。悪化抑制は27.1%、P値は0.00005ということでございます。
 スライド、次、お願いいたします。301試験におきます平均のCDR-SBでございますが、平均が3点強でございますが、プラセボ群は1.66悪化しております。これは例えばCDRは6個項目があるのですけれども、その3つが0.5悪化したと考えることができまして、それに対しまして、本剤は1.21であり、その差が0.45ということでございます。CDRの6つの項目のうち1つの項目は、元のステージにとどまったと考えることができるのではないかと考えております。
 次のスライド、お願いします。こちらが以上、御説明したピボタルスタディー、第Ⅲ相試験に対する審査報告書の機構見解でございます。
 スライド、お願いします。7ページでございます。こちらがフェーズⅢの試験、301からアルツハイマー病の病期の進展、あるいはアルツハイマー病による認知症における重症度の進行が抑制されるということが示されております。有効性は、症状改善剤による対症療法にとどまる既存の治療にはない有効性と考えております。
 この2枚のグラフでございますが、いずれも301試験の主要評価項目のデータを基にしております。
 左の図でございますが、上に行くほどアルツハイマー病の病期が進展する、あるいは認知症の重症度が進行しております。緑で示しております本剤投与群ですが、病態の進行リスクは31%減少しております。
 右の図です。こちらは301の観察期間であります18か月時点の臨床評価指標の結果を、線形で引き延ばした図でございます。下に行くほど臨床症状は悪化いたしております。18か月でございますが、悪化抑制が5.3か月分に相当しているということでございまして、これを同程度の悪化を示すまでの期間を考えますと、7.5か月遅延されると推定することができます。
 なお、ここで示しました5か月から7か月の進行抑制は、18か月という評価期間に対するものでございまして、より長期の観察では、重度のステージに移行するのを約3年遅らせるという予測もされております。既に御検討いただきました本剤の希望資料、それから算定用資料では、本剤は複数の臨床評価項目で症状の悪化を抑制させたことなどを述べましたけれども、以上、説明いたしました第Ⅲ相試験の結果を踏まえまして、本剤の作用機序が著しく有用であるという評価をいただくことはできないかと考えておりまして、本日御説明した次第でございます。
 次でございます。要件ロでございます。本剤は、臨床症状の悪化抑制が休薬後も維持されるという既存治療にない有効性を示しております。
 左の図は201試験のデータです。こちらは上に行くほど症状悪化を示しております。横軸は月数でございます。真ん中のGAPと書かれている期間がありますけれども、こちらが平均24か月の本剤の休薬期間となっております。休薬前のプラセボに対する臨床症状の悪化抑制効果が、休薬期間後も維持されているというところが特徴でございます。
 一方、右の図でございます。症状改善剤アリセプトのデータです。こちらは、下に行くほど認知機能の悪化を示しているということで、横軸は週、ウイークということでございます。黒がプラセボ、白抜きがアリセプト群でございます。アリセプト認知機能改善は、24週まで有意に認められております。しかしながら、エンドポイント24週から6週後の30週に至りますと、実薬群のアリセプトはプラセボと同レベルまで下がっているという状況でございます。
 つまり、アリセプトのような既存の症状改善剤の効果は治療継続中のみに認められ、一時的である。投与後には臨床症状が自然経過と同程度まで悪化してしまうということに対しまして、本剤は臨床症状の悪化抑制が休薬後も維持されるということでございます。以上のデータが既存のアリセプトの治療ではない、異なる高い有用性を示すと考えております。ぜひ要件ロの該当を御考慮いただけないかと考えております。
 次のスライドをお願いします。9ページです。算定案では、本剤が既存との比較試験を行っていないことから、要件ロには該当しないという判断だったと理解しております。こちらに示しておりますとおり、アルツハイマーの治験におきましては、既存薬あるいは既存の治療と対比させることは、本剤群の被験者から既存薬・既存治療の機会を奪ってしまうことになりますので、本剤の対象群をプラセボ群とすることはやむを得ないと考えております。
 また、本剤と症状改善薬の治療目標でございますが、本剤は病態進行の抑制、既存治療は症状の進行抑制ということでございまして、治療目標が異なるということです。さらに、症状改善薬には、本剤が有する軽度認知障害の適応はありません。
 これらを総合的に考えますと、本剤と症状改善薬との直接比較試験を実施することは適切ではないと考えられました。したがって、直接試験を行っていないことから、直ちに要件ロには該当しないということではなく、本剤は既存治療に比して高い有効性を示すことが示されるという点を御評価いただけないかと考えております。
 最後のスライドでございます。さらに、301試験から本剤による臨床症状の悪化抑制に加えまして、患者や介護者のQOLの低下を抑制することも示されております。これらを含めまして、本剤の有効性・安全性を用いて、日本の医療システム下における社会的価値の推計が行われているということでございます。
 表の上の段がQALYでございます。下の段が総費用でございます。一番右の列に標準治療と本剤の差が示されております。3つ、いずれの観点でも本剤はQALYを増加させ、総費用を減少させております。このことから、本剤が日本の医療システム下において、既存治療に対する有効性を示すことが示唆されているのではないかと考えております。
 以上でございます。本剤は、画期性加算に該当すると考えております。ぜひ要件ロへの該当、そして要件イにつきましても、①-c、①-dへの該当を再度御検討いただけますようお願い申し上げます。
○薬価算定組織委員長
 それでは、委員の先生方から何か御質問があればお願いいたします。
○□□委員
 企業の方にお伺いしたいのですけれども、301試験の主要評価項目CDR-SB、ベースラインからの変化を見ていますが、レカネマブを使った群は確かに有効性を示していますけれども、ぐっと下がっていきます。これは時間がずっとたつとどんどん悪化していくという、薬を使っていても完全には止められないということでしょうか。
○申請者
 □□□□□□□□□□□□□と申します。御質問ありがとうございます。
 御指摘のとおり、今回、レカネマブの治験におきましては、レカネマブ投与群におきましても疾患は進行しております。これはアミロイドがADの病理の上流にあると考えておりますけれども、アミロイドのみならず、例えば今、注目されておりますタウとか、ほかの病理的な因子が既に脳の中でも病理変化が起こっていると考えております。したがいまして、アミロイドのみをもって100%進行を止めるということは難しいのではないかということは、この結果からも分かっております。私ども、継続してほかのアプローチも進めております。
○□□委員
 もう一点、重症化しても有効性は、重度の場合でも有効性は考えられると考えてよろしいでしょうか。
○申請者
 □□が御回答いたします。
 過去にほかの抗Aβ抗体の開発が行われておりましたけれども、当時は軽度から中等度のADの方を対象に治験が実施されておりました。しかしながら、病理の進展を考えますと、より早期のほうがターゲットとしては適切であろうと考えておりまして、私ども、今回、早期ADということで、軽度認知機能障害、軽度のADの方を対象にしております。
中等度以降の方につきましてはデータを持ち合わせておりませんが、恐らくアミロイドのほかに、ほかの病理も混ざってきている可能性もありますので、有効性を検証する場合でもかなり難しい治験になるかと思っております。
○□□委員
 ありがとうございました。
○薬価算定組織委員長
 そのほか、いかがでしょうか。
○□□委員
 アリセプトはもちろん対症療法だということは認識していると思うのですけれども、アリセプトの治験の対象群と今回の試験の対象群は、どの程度かぶっていて、どの程度かぶらないのですか。
○申請者
 □□が回答申し上げます。ありがとうございます。
 アリセプトの治験対象は軽度から中等度、その後に高度ADも対象とした治験を実施しております。今回のレカネマブの治験と重なる部分は軽度のADの方ですけれども、今回の対象は軽度ADの中でも比較的軽度な方を選択基準に含めております。すなわち、MMSEにして22点以上ということで比較的軽度の方を対象としておりますので、対象としてはあまりかぶっていないというのが私どもの答えです。
 一方で、実際にアセチルコリンエステラーゼ阻害剤等を併用されている方が半数ぐらいおられましたので、そういった方は実際、治療の対象になっていると考えております。
○□□委員
 アリセプトによる軽症群の改善度と比べて、もちろんやめたら元に戻るのかもしれませんけれども、取りあえず飲んでいる間の改善度というのと、今回の薬の改善度というのは、程度で見たらどうなのですか。
○申請者
 ありがとうございます。
 直接比較は難しいというのが、まず結論でございます。1つは、今回は資料のほうで御覧いただきましたように、プラセボ群も実薬群も進行しているという病態でございます。それを18か月間追っております。アリセプト等の症状改善薬につきましては、一時的な改善が見られますので、大体24週間、半年の評価期間で評価しております。それ以上の長い期間での評価というものは、基本的には行っていないという状況でございました。
○□□委員
 分かりました。
○薬価算定組織委員長
 そのほか、いかがでしょうか。
○□□委員
 最後のスライドで、QALYがよくなって総費用が下がっているというのを出されているのですけれども、既存治療の費用は計算できると思うのですけれども、このときの費用はどういうふうに計算したのですか。例えば、アメリカの価格で計算したのですか。
○申請者
 こちら、担当の□□から回答させていただきます。
 こちらの試算に関しましては、医療費、介護費、インフォーマル・ケアを計算しておりますけれども、レカネマブの薬剤費そのものは対象としておりません。薬剤費を抜いた形での計算となっております。
○□□委員
 既存治療に比べて、この薬は非常に画期的なのは何となく分かるのですけれども、画期的な分、それを作るのに非常にお金もかかっているので、こっちのほうが費用もかかるかなと思いました。分かりました。薬価は入らない、薬価以外のところで比べるとコストセービングになっているということですね。
○申請者
 そうなります。
○□□委員
 ありがとうございました。
○薬価算定組織委員長
 そのほか、いかがでしょうか。
○□□委員
 今のことなのですけれども、そうしたら、この抑止効果というのがどの程度続くという前提に立っての計算ですか。
○申請者
 □□から回答させていただきます。
 こちらに関しましては、治療を開始してから生涯の期間にわたりましての試算を行っております。したがいまして、それぞれケースによって投与期間も変わってきますので、そこは総合して勘案した結果として、今回、この試算が平均値として出されています。ケースによっては、この使用期間というのが変わってくると考えております。
○□□委員
 つまり、この薬は、初期のうちはある程度の抑止効果はあるかもしれないけれども、恐らく進行していくとなかなか難しくなりますね。そうすると、あるところでキャッチアップしてしまって変わらないのではないか。そこは、そのままラインを延長したら、そうなるかもしれないけれども、本当にそうだろうかという気がするのですけれども、その辺のシミュレーションはどういうふうになっていますか。
○申請者
 こちらも□□が回答させていただきます。
 今回はあくまでもシミュレーションでございますので、アルツハイマー病の方々の疾患推移のデータとしまして、今回のレカネマブのデータ、例えばClarityADの301試験の結果でありますCDR-SBの効果27%。こちらを用いまして、疾患がどの程度抑制されるかをこのシミュレーション上で表したものになりますので、基本的には治験結果を用いて、この計算が行われております。
○□□委員
 ありがとうございました。
○薬価算定組織委員長
 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、私から質問ですけれども、なかなかこういう神経難病の世界で真の臨床的有用性を示すのは難しいと思うのですけれども、今回の治験では、ある意味たかだか2年ぐらいという感じだと思うのですが、最終的には進行して非常に重篤になると思うのですけれども、何年ぐらい見たら、本当にこれが効果があるかというのを評価できるというのは、この世界では一般的にはどのように考えられているのでしょうか。
○申請者
 開発の□□より御回答いたします。
 非常に難しい御質問ですけれども、先ほど申し上げましたように、もともと症状改善薬が半年の臨床評価でございました。それが、このような病理に作用しまして進展を遅らせるというコンセプトの薬剤では、6か月では難しいということで、1年半まで延長して評価しております。これはほかの同様の薬剤も同じでございます。それ以上、どこまでが真の評価かというのは非常に難しいところではございますが、1つだけ申し上げさせていただきますと、今回、承認に際しまして全例調査を私ども、実施いたします。その中では、最大3年までの有効性のフォローもする予定でございます。
○薬価算定組織委員長
 あと、これは個人差が結構あると思うのですけれども、先ほどのグラフを見せていただくと何となく平均値だけなのですけれども、かなり効く方というか、全く進行しなくなるような方は存在するのですか。それとも、平均的に進行は緩徐になるけれども、進んでいくということなのでしょうか。
○申請者
 ありがとうございます。□□でございます。
 おっしゃるとおり、個人のばらつきはかなり大きいと考えております。1つだけ事例を申し上げますと、実はこの治験の中で日本人の集団では、薬剤とのエフェクトサイズはそれほど大きくございませんでした。それは、実薬が効かなかったというよりも、プラセボ群のほうの進行がグローバルの集団に比べて遅かったといった背景がございます。J-ADNI報告も踏まえて、これはプラセボ群の影響があったのではないかと考察しておりますけれども、例えばそういうふうなことがございます。ですので、個別に評価することは大変難しいです。予測も難しいと思っております。これはアミロイドの蓄積の程度も個人ごとに違いますので、そういったものについても進行は変わってくるかと考えております。
○薬価算定組織委員長
 そのほか、いかがでしょうか。
○薬剤管理官
 すみません、薬剤管理官でございます。
 最後のページのところ、今まで評価していない分野のデータの評価の仕方というのは、事務局としても今後の課題というか、悩ましいところもある中で、ここのデータの見方について教えてもらいたいのです。先生方の御質問にも関連するのですが、今回、この薬剤自体は軽度の方に対しての薬剤でございます。一方で、症状がどんどん進行していくことを想定した上でシミュレーションしてデータを出さざるを得ないところは理解できるのですけれども、そういったときに軽度の段階で抑えたことが、本当にどこまで先々のところまで立証できるのかというのが、現時点で我々もどうちゃんと受け止めていけばいいのか、なかなか難しいところがあるかなと思っています。
 そういった中で、こういった疾患は、ようやく開発に成功した薬がゆえに、疾患領域に対して蓄積されたデータがなかなかないと思うのですけれども、現時点もこういったシミュレーションでしか判断できないので、費用対効果でも医療と介護のデータをどうするかという議論もありますが、こういうモデル的な話とかは、症例を積んでいく中で、そういうものをよく確立していく、軽度の段階を抑えることが将来的にこれだけの有用性があるといったところが、もっとクリティカルに出てくることが期待できるものなのかどうか、開発に携わっている方々、教えていただけますか。
○申請者
 ありがとうございます。
 薬剤の開発におきましては、何をもって、この薬剤の有効性を検証するかというところが議論になります。そういった意味では、今、管理官の御指摘されている真の目標というのは非常に評価が難しいところでございます。なので、今回はサロゲートとは言いませんけれども、ある一定の期間で評価できることを目指して、当局のほうと話をさせていただいております。例えば、抗がん剤ですと生存期間とか、そういった真のエンドポイントというのは何かということになりますけれども、私ども、この疾患におきましては、次のステージへの進行をどれだけ遅らせるか。これはある意味、1つの真の目標ではないかと考えております。その一部は、この試験の中でも見られていると考えております。
○薬剤管理官
 抗がん剤とかですと、ある程度限られている期間の中の検証で、それですら難しいけれども、この疾患だともっと長い年月をかける話なので、どこまでこれをそういうものなのだと受け止めていいのかというのは、行政上、なかなか判断に迷うところがあるので、お聞きしました。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
○□□委員
 私は神経難病をたくさん見ていますから、こういう薬の評価というのは、再評価というか、何年後かに加算をつけてあげるとか、そういう形での評価の仕方というシステムを考えていかないといけないなと思うのです。最初の段階で全て予測することはなかなか困難じゃないかなと思いますね。
○薬価算定組織委員長
 恐らく、こういう画期的な薬が出てきて、今後、同じようなアミロイドβだけじゃなくて、先ほどタウのこととかおっしゃいましたけれども、そういうものに対する薬が出てきたときにどうやって評価するかというところの最初の例だと思いますので、我々も事務局もすごく大変なのですけれども、企業の方の考え方はよく分かったと思います。ありがとうございます。
 何か追加でございますでしょうか。
○申請者
 お時間頂戴いたしまして、ありがとうございました。追加はございません。
○薬価算定組織委員長
 それでは、企業の意見の聴取は終了したいと思います。企業の方は御退室をお願いいたします。
(申請者退室)
○薬価算定組織委員長
 それでは、企業の意見を踏まえ、御意見をお願いいたします。
 □□先生、いかがですか。
○□□委員
 非常に難しいなと思っていまして、もちろん先生方の御意見次第ですが私自身はいまだに①-cはつけてもいいのではないかと思っているのです。結局、進行抑制というのはないし、ドネペジルの添付文書にも病態の進行抑制はないと書かれている点から考えても、それは考えていいのではないかと思っています。ただ、確かに先ほど□□先生がおっしゃられたように、何年か使った後に加算をつけるような仕組みを今後つくっていくということで、そういう方向に行くということであれば、現時点での判断ということでもよろしいかなと思います。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 □□先生、いかがでしょう。
○□□委員
 ずっと考えていたのですけれども、確かにこの薬は、これまで全くないのです。アルツハイマー病に限らず、神経難病の中で、初めてこういう本質的なところに来るかもしれない。遺伝子治療でも少しあるのですけれどもね。だから、これについてはつけてもいいかもしれない。加算は5%ですからね。
○薬価算定組織委員長
 ①-cは5%ということで、トータルでは何%になるのですか。
○事務局
 仮に①-cをお認めいただくと、今まで45%だったところ、プラス5%されて50%になります。
○□□委員
 だから、①-cはドネペジルと一緒かと言われると、1段階ステップアップした薬だと思うので、認めてもいいかなと、気持ちがそっちに変わりました。
○薬価算定組織委員長
 そのほか、いかがでしょうか。
○薬剤管理官
 事務局からよろしいでしょうか。薬剤管理官でございます。
 判断に非常に迷う薬でございまして、確かに今まで評価されている範囲ではないというところがあるので、これをどういうふうにそれぞれの観点で評価するかというのは、価値判断が結構様々なのかなと思っております。今までなかった分野だっただけに。そういった中で、ある程度客観的に判断しなければいけません。あとは、先ほどのように、収載時までに評価されている範囲でどう考えるか、あるいは収載後の課題としてどういうふうに整理するかというところもあるのかなと思いまして、私も先ほど質問したところでございます。
 先ほどの①-cのところに関しまして、重篤性をどのように考えるかというところはあるのですけれども、疾患全体を指しているような治療効果があるのであれば考える余地があるのかなと思う一方で、今回は軽度という最初の段階のところの効果で検証されている範囲ということになってくると、それをもとに疾患を全体的に評価されていると言うのもなかなか難しいのかなと事務局では思っています。それをやっていくと、いろいろな疾患を全部評価しなければいけないのではないかということになってしまいます。
 ただ、薬価収載までの範囲で検証できる、評価できる範囲というのは当然限られてしまう。収載後、全例調査とか、いろいろな検証の結果も出てくるかもしれませんけれども、そういった中でどういう評価をするか。今、改定時加算としては、真の臨床的有用性の判断があると思いますし、8月にまとめていただいたDPOの意見の中でも、新しいデータの評価・判断は難しいので収載後の評価も考え得るのではないかということもご指摘いただいておりますし、そういうことも含めて、いろいろ考えていかなければいけない課題なのかなと思います。
 そういったことで、別にこの薬を収載後に評価しますよということを決定づけるものでは当然ないのですけれども、薬価制度改革について中医協で議論している中でも、新規モダリティも含め、革新的新薬の評価をどうするかという議論をしているところでございます。
 ということで、いろいろな論点があるのですけれども、①-cについては現状の評価基準に基づいて判断せざるを得ないのかなと思います。一方、今後どういうふうに整理していくのかは、事務局としても課題として受け止めているということでございます。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。
 □□先生、どうぞ。
○□□委員
 ほかの薬でもお話ししたことがあるのですけれども、薬価算定における体重の基準が50kgというのはちょっとどうなのかなという気がします。
 また、この薬がすごく有名な薬になっていますので、我々が薬価をつける上できちんと外部に対して説明できるようにしておかないといけないかなと思います。私の意見としては、確かに①-cの加算をつけてあげてもいいかなと思うのですけれども、それをつけるには、まだちょっと症例数が少ないかな。ですから、もう少し症例を集積した時点で、再度、有用性の加算をつけるという考え方でもいいのかなという気がしました。
○薬価算定組織委員長
 そのほか、いかがでしょうか。どうぞ。
○□□委員
 前回も少し指摘したのですけれども、アメリカのWACは、今日のスライドの一番最後に出てきたように、ICER(増分費用効果比)という、比べる相手よりも増えたコストと増えた効果が、ある基準よりもどうかというのを見ています。我が国はそれが500万円/QALYぐらい、つまり、もう1年元気で生きるのに500万円ぐらいが1つの目安です。これが公表されている資料を見ると、20万ドル/QALYとなっています。画期的な薬だからということで、かなり高い設定になっています。だから、今の為替で言うと3,000万円ぐらいから、逆に薬価を割り出したと書いてあるわけで、それに比べても我が国の方が、高い値段がつくというのは、かなり高くついているのかなという印象を前回受けました。
 私、勘違いしていたら申し訳ないですけれども、プレスリリースがそういうのがあったので、そういうふうにやっているんだなと思っていたので、前回お伺いしました。
○薬価算定組織委員長
 事務局、何か御意見ありますか。
○事務局
 今回、原価計算方式で算定させていただいておりまして、なおかつ、本剤については極めて開示率が高くなってございます。実際にこの開示率という形で証拠を持って積み上げてこられた費用というものを、我々のほうでも査定しまして積み上げた結果でもございますので、ある意味でこの価格が日本において、この制度で供給する上でかかる原価になっているのだろうと考えられます。
 原価をきちんとん積み上げた結果でございますので、これはこれで妥当な算定と事務局としては考えているところでございます。
○薬価算定組織委員長
 そのほか御意見ございますでしょうか。
 まとめなければいけないのですけれども、疾患全体から見ると、今回の軽症から軽度のところへの進行抑制というのは、先ほど企業も何となく言っていたサロゲートマーカーみたいな感じで、この疾患が本当によくなるか、最終的に重篤にならないかどうかということは、なかなか示せていないということもございますので、そこが今までの既存の薬剤との差も出せていないということもありますので、現時点では①-cはつけなくてもよろしいのではないかと私は思います。
 ただ、事務局、いわゆる真の臨床的有用性という評価を、この領域、今後きちんとしてあげないと、企業もどういうデータを出したら、そういう加算がついてくれるのかというのが恐らく分からない状態で、こちらとしても示せない状態なので、それは検討をここでするのか、中医協でするのだと思いますけれども、きちんと示してあげるのがよろしいかなと私は思います。
 いかがでしょうか。①-cは現時点ではつけない方向で行きたいなと思いますけれども、□□先生、□□先生、いかがですか。
○□□委員
 それでいいですけれども、今後のことについてメッセージをつけておかないと、企業のほうも納得できないのではないかという気はします。
○薬価算定組織委員長
 事務局、いかがでしょう。
○薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。
 御指摘のとおり、今後、こういった新しい領域に関しての有用性の判断をどうするかというところは、薬価収載の時点で完結できるものではないところでもございます。一方で、どういった評価がいいのか、さっきの真の臨床的有用性というところも含めてですが、中医協での議論というか、もしかしたら研究班で検討をいただいたりしながら、どういうふうに運用していくかというところも課題かと思っております。
 いずれにしても、こういった新しい評価の仕方の観点というのは、今後の検討課題の一つとして、我々としても認識しながら整理していければと思っているところでございます。
○薬価算定組織委員長
 それでは、①-cはつけない方向でということで薬価算定組織としての意見はまとめたいと思います。算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりとします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。
 
 
フェトロージャ点滴静注用1g
日時:令和5年11月28日(火)

○薬価算定組織委員長
 フェトロージャ点滴静注用1g、特に意見を伺う委員として、弦間先生、眞野先生にお願いしています。
 事務局から、欠席委員の御意見を含め、御説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
 それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 ハの③-bで評価するかどうかということですが、事務局から説明がありましたように、既に比較薬で評価しているということですので、これはつけなくていいと思います。
 レカルブリオ自体も割と新しい薬と思いますし、おそらく薬価は今まで下がっていないですよね。そういう対象にはなっていないと思いますので、このまま既に評価済みという考え方でよろしいのではないかと思います。
○薬価算定組織委員長
 そのほか、いかがでしょうか。
 恐らく今の点だけで、有用性加算が申請者希望の40%から35%になったということだと思いますので、それ以外のことに関してはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 事務局、何か補足はございますか。
○事務局
 □□先生から御指摘をいただきましたとおり、レカルブリオにつきましては収載が令和3年8月です。過去、令和4年と令和5年の薬価改定を経ておりますけれども、レカルブリオは新薬創出等加算の対象品目でもあり、薬価は維持されています。
○薬価算定組織委員長
 よろしいでしょうか。
 特に御意見はないようですので、それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
 算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば中医協に報告いたします。