2024年2月15日 第19回新型インフルエンザ対策に関する小委員会 議事録

健康・生活衛生局感染症対策課パンデミック対策推進室

日時

令和6年2月15日(木)10:00~12:00

場所

Web開催
事務局:航空会館ビジネスフォーラム 7階

議題

新型インフルエンザ等対策政府行動計画の改定に向けた議論

議事

議事内容
○竹下パンデミック対策推進室長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「厚生科学審議会感染症部会第19回新型インフルエンザ対策に関する小委員会」を開催します。
 構成員の皆様方におかれましては、御多忙にもかかわらず、御出席いただき誠にありがとうございます。
 私は、本日の議事進行を務めさせていただきます、健康生活衛生局感染症対策課パンデミック対策推進室の竹下と申します。よろしくお願いいたします。
 傍聴の方におかれましては、傍聴に関しての留意事項の遵守をお願いいたします。なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音することはできませんので、御留意をください。
 なお、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
 なお、本日はウェブ会議での開催となりますので、御発言の際は挙手機能を用いて挙手いただくか、チャットに発言される旨のコメントを記載いただき、座長の指名の後に御発言ください。
 なお、ウェブ会議ですのでタイムラグが生じるかと存じますが、御了承をお願いします。会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、あらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
 続きまして、委員の出欠状況について御報告いたします。御出席の委員につきましては、通信の確認も踏まえてお名前を呼ばせていただきます。
 五十音順に、釜萢委員。
○釜萢委員 釜萢です。よろしくお願いいたします。
○竹下パンデミック対策推進室長 よろしくお願いいたします。
 齋藤昭彦委員。
○齋藤(昭)委員 齋藤です。どうぞよろしくお願いいたします。
○竹下パンデミック対策推進室長 よろしくお願いいたします。
 坂元委員。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。よろしくお願いいたします。
○竹下パンデミック対策推進室長 よろしくお願いいたします。
 谷口委員。
○谷口委員長 谷口です。よろしくお願いします。
○竹下パンデミック対策推進室長 よろしくお願いいたします。
 田村委員。
○田村委員 田村です。よろしくお願いいたします。
○竹下パンデミック対策推進室長 よろしくお願いします。
 中島委員。
○中島委員 中島です。よろしくお願いします。
○竹下パンデミック対策推進室長 よろしくお願いいたします。
 信澤委員。
○信澤委員 信澤です。よろしくお願いいたします。
○竹下パンデミック対策推進室長 よろしくお願いいたします。
 長谷川委員。
○長谷川委員 長谷川です。よろしくお願いします。
○竹下パンデミック対策推進室長 よろしくお願いいたします。
 なお、大曲委員、川名委員、吉川委員、齋藤智也委員、中里委員からは御欠席の連絡を受けております。
 現在、委員13名のうち8名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会の規定により、本日の会議は成立していることを御報告いたします。
 続きまして、開会に当たりまして、佐々木感染症対策部長より御挨拶申し上げます。
○佐々木感染症対策部長 厚生労働省感染症対策部長の佐々木です。
 本日はお忙しいところ、本小委員会に御出席くださり誠にありがとうございます。
 さて、新型コロナウイルス感染症対策におきましては、感染拡大の防止と社会経済活動の維持のバランスを図りつつ、科学的知見やエビデンスを重視し、専門家の皆様とも連携させていただきながら、様々な対策を講じてきたところでございます。その中では、次の感染症を見据えた危機管理対策における様々な課題も浮き彫りになりました。
 こうした中、政府全体として昨年9月に設置された内閣感染症危機管理統括庁を中心として、次を見据えた政府の行動計画、新型インフルエンザ等対策政府行動計画の見直しに取り組んでいるところでございます。
 この政府行動計画は、多くの部分で厚生労働省が担当する部分が含まれることになります。本日御出席の委員の先生方におかれましては、ぜひそれぞれの専門的な見地から、コロナを踏まえ、一方でコロナにより過ぎず、次の感染症対策の危機管理がどうあるべきかを議論いただきたいと思って本小委員会を開催したところでございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
○竹下パンデミック対策推進室長 それでは、申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
 なお、これ以降は写真撮影、ビデオ撮影、録音することはできませんので、御留意ください。
(カメラ撮り終了)

○竹下パンデミック対策推進室長 それでは、議事に入る前に、資料の確認をさせていただきます。資料は、議事次第、委員名簿、資料1-1から1-3、資料2になります。不備等がございましたら、事務局にお申し出ください。
 それでは、ここからの進行は谷口委員長にお願いいたします。
○谷口委員長 皆様、お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。早速ですが、議事に入っていきたいと思います。
 まずは資料1につきまして、事務局から御説明いただけますでしょうか。
○竹下パンデミック対策推進室長 ありがとうございます。それでは、私、竹下から資料の御説明をさせていただきます。
 資料1-1をまず見ていただきたいと思います。本資料につきましては、令和5年12月19日に新型インフルエンザ等対策推進会議から意見書として出されたものについてのポイントでございます。なお、これは2023年9月から12月にかけて政府行動計画の改定の考え方を整理するために8回にわたって集中的に議論を行ったものの取りまとめでございます。
 それでは、次をお願いいたします。今回の意見の大きなポイントとしましては、今回のコロナの対応について主に3つの大きな課題があっただろうということになっております。一つは平時の備えの不足、もう一つは変化する状況への対応の課題、これは例えば変異株の複数の波があったといったものであったり、長期化したということ、または対応の切替えのタイミングや社会経済活動とのバランスが非常に難しかったということでございます。また、情報発信の課題というのもございました。これは可能な限り科学的根拠に基づく情報発信であったり、行動制限を伴う対策の意図の伝達といった内容。一方で、感染症に係る差別・偏見等の発生などもございました。先ほど私の説明が漏れましたが、平時の備えにおいては新型インフルエンザを想定した計画のことが中心になっていたということで、今回のコロナに対してはどうだったのかということ、あとは検査体制、医療提供体制の立上げの問題、また、都道府県等との連携の課題といったものがあったというふうになっております。
 こういった課題を踏まえた上で、感染症危機に対し強靱な社会の構築に向けた3つの目標というのが提案されております。1つ目は、感染症危機に対応できる平時からの体制づくりということでございます。これにつきましては、平時から十分に備えを充実させて、備えを維持していくこと、そして迅速に初動対応するということ、また、こういった事前の備えや計画というものに対して、訓練を通じて不断の点検と改善をしていくということでございます。また、国と地方自治体、行政と医療機関との間の情報収集・共有・分析の基盤となるDXの推進や人材育成といった対応能力全体の底上げを図るような対応能力の強化というものも提案されております。
 もう一つが、国民生活・社会経済活動への影響の軽減ということでございます。これにつきましては、国民の理解の増進ということに加えて国民生活や社会経済活動への影響の軽減といったこと、また、身体、精神、社会的に健康であることの確保といったものがあるという提案が出ております。
 さらに、基本的人権の尊重としまして、必要最小限の行動制限や感染症についての差別・偏見の防止、患者や家族、医療関係者への安心の確保、社会的弱者への配慮といったものが提案されております。
 次をお願いします。そういったことを踏まえて、政府行動計画の改定については4つの基本的な考え方というのが総論として提案されております。一つは平時の備えの整理と拡充。これにつきましては、初発の感染症事例の探知能力の向上と迅速な初動の体制の整備、あとは国民等への普及啓発と訓練等を通じた不断の点検・改善といったものに加えて、DXの推進、人材育成といったものが挙げられております。
 また、有事のシナリオの再整理ということでございます。これは過去の経験を前提としない幅広い感染症危機を想定したシナリオとしたほうがいいのではないのかということが提案されております。また、病原体の特性や感染状況等に基づくリスク評価に基づく対策というのも提案されております。
 また、3つ目の考え方としては、感染症拡大防止と社会経済活動のバランスを踏まえた対策の切替えでございます。これは先ほど申し上げたように、科学的根拠に基づいた対策の切替えということに加えて状況の変化に基づく柔軟かつ機動的な対策の切替えというものが重要だということが提案されています。また、国民の理解・協力を得るための情報発信と共有等も重要ということになっています。
 こういったことを踏まえまして、対策項目の拡充ということで、現状のガイドラインよりも増やした形で対策項目を13項目へ拡充し、また、それぞれの対策項目について、人材育成、地方等との連携、DXの推進、研究開発支援、国際連携という5つの横断的な視点をそれぞれに加えるという形での構成が提案されております。
 また、感染症危機管理能力を高めるポイントということで、国立健康危機管理研究機構を令和7年度以降に設置予定でございますが、そこに対する期待の役割や、政府行動計画等の実効性の確保というものについての提案というのも出ております。
 次をお願いします。行動計画の改定のポイントの各論について、13項目について記載をすべき内容というのがここにあります。それぞれのところに先ほど申し上げた基本的な方針や提案の目標に基づいた内容というのが記載されております。
 その次をお願いします。横断的な5つの視点についても、先ほど述べた内容についてのちょっと詳細な内容についてこちらのほうで記載がありますので、こういったものが提案された内容になります。この意見書の全体像が資料1-2になりますので、こういった内容の詳細のところが書いてあります。
 続いて、資料1-3をお願いいたします。こういった状況を踏まえまして、新型インフルエンザ等対策政府行動計画の検討状況の方向性が示されております。これは昨年12月に行われました感染症部会で示した内容でございますが、改めて先生方に御説明させていただきたいと思います。
 政府行動計画の位置づけというものは、新型インフルエンザ等対策特別措置法の規定に基づいて、新型インフルエンザ等の発生に備え、平時の準備や感染症発生時の対応の内容を示すとともに、都道府県行動計画の基準となるべき事項を定めたものでございます。これが平成25年に作成された後、先生方にもこれまで御審議いただいておりますが、平成29年にも治療薬の確保量などの一部の改定が行われて、現在の政府行動計画となっております。感染症発生時には、この政府行動計画に基づき、ウイルスの特性等に応じた必要な対策が柔軟に選択され、基本的対処方針を定めて対応を行うこととなっております。
 計画改定に向けた検討状況でございます。令和5年9月に感染症に係る危機管理の対応方針の企画立案、各省の総合調整を一元的に所掌する内閣感染症危機管理統括庁が発足しております。その後、政府行動計画の改定に着手されておりますが、先ほど御説明した資料1-1がそこの会議体として行われている新型インフルエンザ等対策推進会議のほうで8回行われまして、今回、12月に意見書を取りまとめられて公表されたという状況でございます。
 今後の進め方としましては、年明け以降の推進会議で対策項目13項目について順次議題として議論をしていくということになっております。厚生労働省においても感染症部会等で議論し、その結果を推進会議に報告することで具体的な内容を反映させていくということを考えております。目標としましては、令和6年夏頃に政府行動計画とガイドラインの改定を予定しております。
 以上でございます。
○谷口委員長 ありがとうございました。
 全体の総論的な概略について御説明をいただきました。事務局の都合によって、続いて資料2の全体像と水際対策について御説明をいただくということですので、お願いします。
○竹下パンデミック対策推進室長 それでは、資料2については私のほうで先に説明させていただいたのですけれども、その方向性のところを今、御説明させていただきましたので、資料2に全体像がありますけれども、1ページ目に行っていただきたいのですけれども、この13項目のうち、今回の議題の中では情報収集・分析、サーベイランス、水際対策の3項目について本小委員会で御意見をいただきたいと考えております。各行動計画につきましては、準備期、これは感染症が発生する前の段階(平時)に必要な対応等の記載、そして初動期における感染症発生初期に必要な初動対処の記載、対応期については感染症の蔓延以降、収束するまでに必要な対応等の記載ということを記載する方向で検討を進めたいと考えております。
 続きましては、先に水際対策のほうを説明させていただきたいと考えております。
○川崎検疫所管理室長 厚生労働省の検疫所管理室長をしております、川崎でございます。よろしくお願いいたします。
 資料2の8ページ、5番の水際対策でございますが、従来の行動計画においては「予防・まん延防止」の中に含まれておりましたが、今回の改定において新たに「水際対策」というのを章立てしたいと思っております。水際対策の章では、基本理念として、水際対策、は病原体の国内侵入を完全に防ぐことは困難であることを前提といたしまして、国内への新型インフルエンザ等の病原体の進入をできる限り遅らせることが目的であるということを明記したいと考えております。
 また、質問、診察・検査、隔離・停留、待機要請、健康監視等の検疫措置、それから検疫飛行場及び検疫港の集約化等について大まかな方針を記載したいと考えております。検疫措置、それから検疫飛行場及び検疫港の集約化等に係る細かい運用面につきましてはガイドラインに記載することといたしまして、政府行動計画の3つのフェーズに準じて記載したいと考えております。
 まず、準備期、これは水際対策の実施に必要な体制の整備。それから初動期といたしまして、情報収集、検疫措置の実施・強化について。それから対応期といたしまして、感染拡大等の状況を踏まえた水際対策の強化又は緩和についてという形で考えております。
 今回の主な論点といたしましては、特定検疫港というのを定めることができるのですけれども、これまで「5空港4海港」としていたところですが、今回の改定におきまして「7空港4海港」に変更したいと考えております。これは従来、成田、羽田、関空、中部、福岡の5空港だったわけですが、これに次ぐ国際線の発着実績があります北海道新千歳、それから沖縄那覇の2か所を受入枠の増加ということで追加したいと考えております。
 海港のほうは横浜、神戸、関門、博多ということで従来と変更はしない予定でございますが、本来、感染症対策といたしましては、集約化するわけですから間口を広げるというのはどうかなというのもあるのですが、コロナに関しましては5空港で対応したわけですけれども、病原体の性質等にもよると思いますので、いわゆる国際線の発着実績の多い7大空港を行動計画上は特定検疫飛行場という形で指定して対応していければと考えております。
 確かに沖縄、北海道に関しましては追加することによって医療資源の枯渇の懸念というのがあるわけですが、これは病原体の性質等にもよると思いますので、ケースに応じて運用していくことになろうかと思っております。
 水際に関しましては、今の特定検疫港の変更を主な論点とさせていただければと考えております。
 以上でございます。
○谷口委員長 ありがとうございました。
 それでは、これまでの御説明の全体像と本小委員会での対象となる部分、あと水際対策の御説明をいただきましたけれども、それに関しまして、委員の先生方から御意見をいただければと思います。挙手にてお願いできればと思います。
 信澤先生、お願いします。
○信澤委員 ありがとうございます。
 今の水際対策のところなのですけれども、論点の変更については異存ございません。いいのではないかと思います。
 その上で、水際対策の中に入るのかちょっと分からないのですけれども、こういう対策を実施するためには検査体制などが確立していないといけないと思うのですけれども、海外で発生したパンデミックの場合にどの時点で出入国を止めるのか。水際対策が完全に実施できる状況であれば、対策しながら人の出入りを許すことは可能だと思うのですけれども、出入国を止めたり、あるいはまた再開したり、検査体制が整ったら再開するとか、そこら辺の議論というのはされているのでしょうか。
○谷口委員長 ありがとうございます。
 最初に御質問を受けましょうか。中島先生、いかがですか。
○中島委員 ありがとうございます。
 全体像に関するコメントさせていただければと思います。まず、これまで多くの議論と多大な御努力をいただいたこと、ありがとうございます。資料の説明もよく理解できるところです。
 冒頭、全体の中で3つの課題を示されていますが、それに加えてというか、これはお願いというかコメントとして記録に残していただければと思いますけれども、今回の新型コロナ対策を振り返った場合でも、例えば全体のパンデミック対策の目標というか、よくいうサプレッションなのかミティゲーションなのか、これがなかなか多くの方に伝わる機会が乏しかったのかなと思います。パンデミックのときにはどの辺りを対策の目標にするのかということの見極めは難しいところだと思いますけれども、今回の新型コロナの経験から、サプレッションというのも一つ重要な視点だということをどこかで可視化して見えるようにしていただくのは大事かなと思います。
 加えて、目指す将来のパンデミック対策の危機管理体制の目指す姿というのを見えやすいように可視化するということも大事かなと思いました。資料1-2でも幾つか詳しく書かれていますけれども、リスクアセスメント・リスクマネジメント・リスクコミュニケーションというのは危機管理で非常に重要なドメインだと言われていますけれども、これをオーガニグラムという組織図の中でどう実現するのかというところも併せてポンチ絵などを使って示していくと、体制がより見やすくなっていくのではないかなと思いました。
 その中で、例えば令和7年から新しく体制が構築される機構がリスクアセスメントのこういうところに関与するとか、その辺りも見える形にしていただけるとよいのではないかなと思いました。
 もう一つ、水際対策に関しては、お示しいただいた論点のところに異論はございません。ただ、今回のことを振り返っても、特に初動のときに検疫体制やそこから入ってくる情報がどういうふうにリスクアセスメントの中に活用されていくのかという流れも大事だと思いますので、その辺りも記載していただけるとありがたいなと思います。
 以上です。
○谷口委員長 ありがとうございます。
 では、坂元先生、お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。
 今回のコロナ対策で、実際に現場としては、空港検疫で陽性と出た方は検疫のほうで症状がない方も含めてホテルで待機とかされ、ところが、そこの濃厚接触というのは保健所が健康観察という形で全部フォローするという形なので、現実に水際といってもその後が非常に裾野が広くて、膨大な業務が伴うというのが現実であるということがなかなか一般の方には理解できない。現実的にはある時期になるともうほとんど意味がなかったかなということもあって、空港での検疫、空港で感染者を見つけるというのはいいのですけれども、その後のバックアップ体制というのが結構ちゃんとロジカルに組まれていないという点の問題というのはむしろ今回、かなり問題ではなかったかという意見を申し上げたいと思います。
 以上でございます。
○谷口委員長 ありがとうございます。
 では、田村先生、お願いします。
○田村委員 自治医科大学の田村です。発言の機会をいただきましてありがとうございます。
 1点確認というか、どういう考え方か教えていただきたいのですけれども、今回の準備期、初動期、対応期という水際対策における3つのフェーズにおいて考えを行動に移していくということですけれども、例えばこのフェーズごとの考え方においてどんなものを指標として考慮して動いていくのか。例えば特定検疫飛行場にしても、ほとんどのパンデミックは海外から起きてくることが想定されてくるので、これはもしかしたらガイドラインに運用面として記載するものなのかもしれないのですけれども、ざっくりと行動計画上のどういった状況のときに、例えばWHOがこういう状況を出してきたときにこういった運用を開始するとか、ある程度諸外国の状況を見ながらとか、どういったものの対応として検疫のフェーズを移していくのかといったある程度指標となるものがもしお分かりであれば、教えていただきたいと思います。
 以上です。
○谷口委員長 ありがとうございます。
 齋藤先生、お願いします。
○齋藤(昭)委員 皆さん、おはようございます。齋藤です。
 私は小児科医で、子どもたちを感染症から守るという観点から1つだけコメントさせてください。今回のコロナに対して、特にワクチンにおいて成人では非常に高い接種率が達成されたわけですが、小児では接種率は極めて低く、日本小児科学会からもいろいろなメッセージを出したのですが、失敗に終わりました。そこにはSNSでいろいろな形でワクチンに対するデマであるとか、噂が流されて、我々もその対応に非常に時間を割き、また、いろいろな誹謗中傷などもありました。
 リスクコミュニケーションからは少し離れるのかもしれないのですが、情報収集や分析、サーベイランスを含めて、どうしたらアップデートされた正しい情報を提供できるのか。厚生労働省からも様々な情報発信をされましたが、子どもには特に届きにくかったと思います。この辺りは今後の課題としてぜひ取り上げていただきたい点です。
 以上です。
○谷口委員長 ありがとうございます。次項のサーベイランス、情報収集にも関わってくる、そして最終的には情報のコミュニケーションにも関わってくる御意見だと思います。
 ほかに現時点でなさそうであれば、これまでいただいた御質問、御確認、あるいは御意見に対して事務局から御対応をお願いできますでしょうか。
○森田企画・検疫課長 ありがとうございます。企画・検疫課長の森田です。
 順次御説明させていただきたいと思いますけれども、信澤委員からは入国制限のお話がございました。これは当然今の新型インフルエンザ等政府行動計画でも記載がございまして、重要なポイントになります。今回、厚生労働省所管関係の論点ということでお示しはしておりませんけれども、当然見直しの中でも記載をきちんとしていくということで、入管の関係、あるいは外務省や国交省の水際対策というくくりにするとかなり多様な省庁が関係しますので、そこはきちんと整理していくということになっております。
 それから、中島委員からは空港での検査結果といったものをどういうふうにリスク評価につなげるか。実は今も、昨年5月8日に5類感染症になってからも5つの空港で入国者の方で熱がある方、せきがひどい方などにお声がけしまして、入国時のゲノムサーベイランスを続けております。これも継続的に公表していまして、今後も続けていく予定にしております。そういう意味では現状でも入国者の感染状況というものは確認しておりますので、これは当然継続していきますし、当然海外でさらに有事ということになれば、それを強めていくということかと思っております。
 それから、田村委員から運用面のお話がありまして、これは資料の10ページを見ていただければと思いますけれども、政府行動計画では特定検疫港などの記載というのは簡単な記載になっていまして、基本はガイドラインのほうで記載していきます。ガイドラインでもおっしゃられるようなことまで事細かに書けるかどうかというのはありますので、基本的な考え方はガイドラインの中で整理しながら、実際の運用に関しては恐らくは統括庁と共に訓練などを毎年継続していく中で初動ができるようにしていくということではないかと思っております。ガイドラインの中では必要な記載はしていく必要があると思っております。
 それから、坂元委員から実際の水際の経験としての空港から入られた濃厚接触者のような方、あるいは無症状の方を含めて全ての方を一定期間空港の周りにとどめ置くことは当然できませんので、ここは必要な自治体の皆さんとの連携をしていくということが実際にあったわけです。ここは3年を超える中で必ずしもうまくいっていなかった部分もあったというのは御指摘のとおりなのだと思いますけれども、後半は特にデジタルを活用した対応ということも一緒にさせていただいたと思います。この辺りを次の有事に向けてどういうふうにうまく対応できるようにしていくかというところは平時からの準備をしっかりしていき、自治体の皆さんと一緒に考えていく部分かなと思っております。
 以上です。
○谷口委員長 ありがとうございます。
 事務局のほかのメンバーからはよろしいでしょうか。
 では、私から1つだけお伺いしたいのですけれども、今回の特定空海港の変更というのは基本的に門戸を広げているわけですけれども、例えばよく引き合いに出されるのが、空飛ぶエボラとよく言うのですけれども、つまり致死率90%の新興感染症であれば門戸を広げるのか。これは恐らく先ほどの話にあるように、リスクアセスメントによって考えるというふうに理解してもよろしいでしょうか。
○川崎検疫所管理室長 川崎でございます。
 当然、今、谷口先生の御指摘のとおり、そのような形で運用することになります。今回は行動計画上7空港という形で広げることにしておりまして、実際の運用面に関しましては、当然病原体の種類や性質にもよると思いますので、それをガイドラインでどこまで示すかというのはありますけれども、ケース・バイ・ケースで対応していくような形になると考えております。
○谷口委員長 ありがとうございます。書いてあるからとにかく広げるという形にだけはなっていただくと困るなと思っただけでございます。
 ほかの委員の先生方から追加していただくようなことはありますでしょうか。
 中島先生、どうぞ。
○中島委員 先ほどの私のコメントですけれども、回答ありがとうございます。真意の部分で少し補足させていただきますと、これは必ずしも検疫だけではないのかもしれませんが、検査で陽性になった方だけではなくて、その分母になる情報、例えば出入国の数だったり、地域ごとだったり、海外の状況であったりというのは検疫体制や水際のリスク評価ですごく重要だと思いますので、これは外務省管轄の情報かもしれませんし、法務省の出入国管理になるかもしれませんけれども、そういう検疫体制のリスク評価をする場合に海外の状況であったり、出入国の状況であったりというのは臨機応変にきめ細やかに情報収集して分析できる体制と併せて検疫の状況、対策を考えるということが重要だと思いますので、その意味で関連する情報の収集とリスク評価ということが大事だということで先ほどコメントさせていただいた次第です。
 ありがとうございました。
○谷口委員長 ありがとうございます。結局リスク評価にはふだんからのベースラインが分からないことにはどうしようもないので、現在行われているように平時からいろいろな分母付の情報で継続していただくことが大事だろうと思います。
 坂元先生、お願いします。
○坂元委員 感染のごく初期の頃はやはり皆さん非常に緊張して、行政機関に非常に素直に従って行動していただけるのですけれども、そのうち時間がたつと、現実を言えばここから濃厚接触者であって保健所職員が連絡してもうるさいと言われたり、全く協力してくれない人がだんだん増えてきてしまったりした。それから、空港から入ってきて2週間自宅にいてくださいと言って国のほうから携帯でフォローをしているのですけれども、聞くと、一回も応じない人だけホームページに名前が出るのですけれども、それもホームページのどこに出ているか分からないような、しかもアルファベットで短期間しか出ないとか、応じなくても大したことないよというものがSNSで流れてしまうのです。
 だから、実質的に形骸化したような制度を続けるのではなくて、もうちょっと何か効率的なものをやっていかないと、保健所の職員や自治体の職員がそのために電話でどなられたり、無視されたり、疲弊していくことになる。法的には、応えなかった人に関してはそれなりに過料が課せられるというのですけれども、一体それは誰が課しに行くのか。まさか保健所職員がそこの家まで行ってだと、あまりにも現実的に制度と現実が乖離しているというのはコロナで保健所の職員等が疲弊した大きな原因だと思っています。
 私は何もヨーロッパなどみたいに法的に厳しくしろと言っているのではなくて、本当に現実的にこの方法は価値があるのかどうかというのをしっかり見極めてやっていく必要があると思う。それでもうちょっと現場の市町村の職員、保健所の職員を有効活用していくということを今後はしっかり制度として考えていってほしいと思っております。
 以上です。
○谷口委員長 ありがとうございます。私も同意しますし、先ほどの齋藤先生のワクチンの話もそうですけれども、例えばニュージーランドやカナダなどだと、間違った情報を伝えた医師というのは実際に医師免許停止になっているのですね。日本は何を言おうとどうもない。それどころか大きな顔をしてテレビで言っているという話もありますので、日本はやはりもう少しやるべきところはきちんとやる、あと、合理的な方法をやるというのを考えていただくのはとてもいいことなのだろうと思います。ありがとうございました。
 ほかにはよろしいですか。
 検疫につきましては、リスクに応じて門戸はもちろん広げていくのだけれども、実際のリスクに応じていろいろなことを柔軟に考えていくということで皆さん合意されているのかなと思いますが、特に対策によっては本当に実行できる合理的な対策をやっていただくということと、あと、やるべきところはきちんとやりましょうということなのだろうと思います。よろしいでしょうか。
 では、続きまして、資料2の残りの部分、つまり情報収集・分析、サーベイランスの部分について事務局から御説明をいただけますでしょうか。
○竹下パンデミック対策推進室長 それでは、私から説明させていただきます。
 資料2の2ページを見ていただきたいと思います。情報収集・分析に関しましては、従来の政府行動計画では章立てが「サーベイランス・情報収集」でありました。今回の改定については「情報収集・分析」と「サーベイランス」に分けるものと考えております。ガイドラインについても、政府行動計画の章立てに沿って「情報収集・分析」と「サーベイランス」に分けて作成をしたいと考えています。
 情報収集の章とサーベイランスの章というのが非常に重なりやすいところもございますので、そこについては後ほど詳細の区分けというか、関係性を説明したいと思いますけれども、「情報収集・分析」においては国内外の感染症の発生状況や対応状況、国民生活及び国民経済に関する情報等から得られる情報の収集・分析について記載するものとし、感染症サーベイランスについてはサーベイランスの章に記載するということを考えております。
 政府行動計画の3つのフェーズにおいては、情報収集・分析については、準備期について平時及び有事に行う情報収集・分析の考え方、初動期においては感染症発生初期から行うべき情報収集・分析やリスク評価に基づく情報収集・分析の考え方、対応期については感染状況や国民生活及び国民経済に関する分析等に基づく情報収集・分析の考え方を記載したいと考えています。このほか、横断的なテーマについても記載をしていく方向で考えております。
 論点としては、病原体リスクや保健医療体制に関する指標、国民生活及び国民経済の指標としてガイドラインに記載すべき指標の種類と範囲についてというのが挙げられると考えております。
 続きまして、サーベイランスのポイントと論点について御説明をしたいと思います。サーベイランスについては先ほど申し上げたのと重なりますが、現行では「サーベイランス・情報収集」だったところから分けるということになっております。したがって、このサーベイランスのところでは、3つの段階ではそれぞれ以下のように考えたいと思っております。準備期については平時及び有事に行うべきサーベイランスの考え方、初動期については感染症発生初期から行うべき重層的なサーベイランスやリスク評価に基づく感染症対策等の考え方、対応期については流行状況及び感染症リスク評価等に基づき柔軟に実施するサーベイランス、感染症対策等の考え方になると考えております。このほか、横断的なテーマについても記載する方向と考えております。
 主な論点としては、今後目指すべきサーベイランスの全体像、ガイドラインに掲載すべきサーベイランスの種類と実施の目的、平時から有事への各サーベイランスの位置づけと対応の切替えについてということが挙げられると考えております。
 続きまして、先ほど御説明したとおり「情報収集・分析」と「サーベイランスの考え方と範囲」というのがあると思いますので、そこの関係性について御説明したいと思います。「情報収集・分析」では、国内外の感染症の発生状況や対応状況、感染症サーベイランス等から得られた国内の患者の発生動向の推移、病原体の型・亜型の性状、臨床像や治療効果等、国民生活及び国民経済から情報等の収集について取り扱うということで全体を示しておりますが、サーベイランスはこの中にもちろん入ってきて、サーベイランスの結果も含めて総合的にリスク評価を行うと考えておりますので、こういった関係性であるということをここでは記載しております。
 サーベイランスの例はこの後、詳細を御説明させていただきますけれども、患者発生サーベイランスやウイルスサーベイランスといった感染症に関係する、経時的に追っていって数がどう変化していくかというのを見ていくもので、感染症に関する情報というのは国内外の感染者発生状況、対応状況などだけではなくて、各国の情報やポリシー、ガイドラインでどういうことが記載されているのかとか、研究情報に伴う新しい知見といったものが主になってくると考えております。こういった中でむしろすごく重要だということについては、感染症サーベイランスのところのサーベイランスの項目の変更等を行うといった形で反映しながら追加的に行っていくものと承知しております。
 次のページをお願いします。具体的なサーベイランスの種類と実施目的というものをここで挙げさせていただいております。これが全体像ということで考えているのですが、サーベイランスの種類を左、その横に実施の時期、平時から有事として記載しております。この有事というところのいわゆる初動期から対応期のところは平時からグラデーションをかけて状況に応じて変えていくものだと思っておりますので、このところを準備期、初動期、対応期に合わせて記載していくものと考えております。
 例えば感染症発生サーベイランスについては感染症発生の傾向を把握することを目的に、平時から全数把握、定点把握をしている感染症がございます。これは病原体の種類等によって異なりますので、それぞれの感染症に合わせて全数であったり定点というふうになっております。これが急激な増加があるのかどうかといったことを見ていくということと、急性呼吸器感染症サーベイランスも導入することを今、検討しておりますので、そういったものも行うことで急性呼吸器感染症の早期探知というものを行っていくと考えております。
 有事の際には、既に定点で把握している感染症について全数把握に切り替えるということや、これは全数把握へ移行するというほうがいいのかもしれませんが、こういった形に変更していくということや、また、新型インフルエンザ等感染症や指定感染症に指定された場合には、全数把握を必ず行うという形になると考えております。
 今、病原体サーベイランス等でやっておりますウイルスサーベイランスですが、こちらについても状況に応じてゲノムサーベイランスといったさらに病原体の詳細を調べることも行うことを想定しております。病原体の型・亜型や性状を把握することを目的に平時から実施するものでございます。有事においては検体提供対象医療機関を増やしたり、検体提出数を拡大することで対応していくことを考えております。
 入院サーベイランスにつきましては、入院者数の把握とともに重症化の状況を把握することを目的に平時から実施することを考えております。有事の際には全数把握に拡大し、転帰状況を把握することを目的に退院届の提出を開始することを考えております。
 また、疑似症サーベイランスについては次の項目、法14条第1項に基づくものと、下から4つ目に書いてあります法14条第7項第8項に基づく疑似症サーベイランスがございます。この14条1項のものに関しましては、疑似症患者の早期探知を目的に平時から定点で行っているものでございます。有事においては14条7項から8項の疑似症サーベイランスに移行するものと考えております。この14条7項8項というものはどういうものかというと、全数把握を目的に全国で行うものになっています。なお、それ以外のサーベイランスで言うと、抗体保有割合の調査になります。これは感染症流行予測調査等で予防接種事業でやっておりますが、こういったもの以外にも、今回のコロナにおいては研究や事業等を用いて多角的な観点から行いましたので、こういった形で感染拡大の際には様々なやり方での追加が行われることを検討されると考えています。
 また、いわゆる学校サーベイランスと言われているインフルエンザ様疾患発生報告ということで、保健所、幼稚園、小・中・高等学校における休校、学年閉鎖、学校閉鎖、学級閉鎖した施設数や、当該措置を取る直前の学校、学年、学級における在籍者数、患者数、欠席者数の推移というのは平時から確認することが行われています。これも継続して実施していくものと考えています。
 また、次の地域ごとの事情に応じたサーベイランスというものは、都道府県知事の判断において、平時から何か問題が起きたときには地域の流行状況等に応じて疫学調査を実施することができますので、こういったものは当然有事にも行われることが想定されますので、ここに記載をしております。
 一方で、有事においては国が直接疫学調査をするということもございますので、下から3つ目と下から2つ目のところに国による疫学調査やクラスターサーベイランスというものが記載されております。
 また、病原体の動物での感染状況ということで、ヒトではないですけれども、そういったものを追っていくことも必要でございますので、こういったものも流行予測調査において、例えば今は豚や鶏などでのインフルエンザウイルスの感染状況を見ておりますので、こういったものを見ていくと考えています。
 また、今回、コロナでも非常に重要視された下水サーベイランスですが、こういったものも今後、非常に重要なものと考えておりますので、現在の研究や事業で実施しておりますが、こういったものも今後、継続して実施していこうと考えております。
 先ほど水際対策の話題が少し出ましたけれども、入国時のサーベイランスというものも、今、継続して行っているところでございますが、こういったものもこのまま継続していくことを考えております。これは平時からどのような呼吸器感染症が国内に入っているかを調査することでも行います。有事の際には検疫措置に切り替わることが想定されると考えております。
 なお、一番下に死亡例の把握というのがございますが、有事の際には必要に応じて療養中の死亡事例の発生状況の把握ということで、人口動態統計を利用した超過死亡や死亡診断書等を用いた疫学調査等を踏まえた包括的な把握というのを検討することを想定しております。
 情報収集とサーベイランスにつきましてはこういった内容で考えております。こういった内容で議論いただいて、政府行動計画、ガイドラインのほうで記載をしていくというところになっていき、その中でさらに例えば感染症の法律事項やそういった事業の内容というものは、詳細について改めて感染症部会等でもまた御審議いただく形になると思いますので、今回は行動計画、ガイドラインに書くような内容という方向性としての大きな項目の目出しということで御説明させていただきました。
 以上でございます。
○谷口委員長 ありがとうございました。
 今回もいろいろな情報なしにしていろいろな対策が行われたということもありましたので、いかに情報をきちんと把握してというのが大事だと思います。
 長谷川先生、お願いします。
○長谷川委員 ありがとうございます。竹下先生、御説明ありがとうございます。
 1つお願いしたいことがありまして、サーベイランスと検査というのをきちんと区別して考えていただきたいというのがありまして、といいますのは、前回、コロナのときにサーベイランスとしてコロナとインフルエンザの重感染を調べようと、検体を用いてやろうとしたときに、既に検査で陰性と出ているものを再度調べることが許されなかったということがあって、検査は対応を求められたり、診断で使われる目的なので、後でプラスになったときに対応できないということを言われたのですけれども、サーベイランスの場合には対応や診断などではなくて全体を把握するという目的であるということを理解していただいて、そういった検体が有効に使えるようにできたらなというのが一点です。
 あともう一つ、流行予測調査において、例えばインフルエンザだったら鳥類や豚といったところの流行を把握するのは非常に重要なのですけれども、地方衛生研究所においては県単位になっているので、県の別の農水系のところが調べているから衛生研究所のほうでは行わなくていいというところが大多数でして、そういったところはそれぞれの県に垣根を払って情報なり検体なりの融通をしていただけるように働きかけていただけたらなと思います。そうでないと、農水系のほうの情報は行くけれども、直接衛生研究所までは来ないという状況が起こってしまっております。
 あと、入国時のサーベイランスの病原体のサーベイランスに関しては始めていただいて、特にインフルエンザなどが世界から日本に入ってきたときの部分での解析とウイルスの分離ができるというのは非常にメリットになりますし、それがワクチンにもつながっていきますので、ぜひ続けていっていただきたいと思います。
 以上です。
○谷口委員長 ありがとうございました。
 では、最初に先生方から御意見をいただこうと思います。釜萢先生、お願いします。
○釜萢委員 ありがとうございます。
 今回のこの検討の中で、従来の「サーベイランス・情報収集」という章立てであったものを「情報収集・分析」と「サーベイランス」に分けるということについては、これまでいろいろな議論がある中でこのような整理が私も適切ではないかなと感じています。
 その中で、今日の資料2の4ページに「情報収集・分析」と「サーベイランス」をこのように分けて示していただいています。このような形での整理でよいかどうかは、また今日御出席の先生方からもう少し御意見が出るのではないかなと考えていますが、サーベイランスについては谷口先生も常々おっしゃっているように、決してただ発生の数を届け出るものがサーベイランスではないということで、これらのいろいろな目的に伴った様々なものがあるのだということをきちんと整理しておくことが必要だと思います。
 それから、5ページについてちょっと指摘したいのは、コロナの我が国での第一例の発生報告は、疑似症サーベイランスで武漢から入ってくる肺炎という形での定義で引っかけてきたと記憶していますが、これは非常に大事なことであったので、法第14条7項8項に基づく疑似症サーベイランスというのが有効に機能するということはすごく大事で、特に早期に発見をするという場面においては非常に大事だなと強く感じておりまして、そのことを指摘しておきたいと思います。
 それから、5ページの中の下水サーベイランスについて御質問ですが、下水サーベイランスの検査法、あるいは検体の採取について、自治体ごとに少しやり方が違ってなかなか比較ができないという状況であったと思います。国全体で下水サーベイランスの検査方法を統一して比較ができるようになる時期等の見通しについて、現時点でお分かりであれば、教えていただきたいと思います。
 私からは以上です。
○谷口委員長 釜萢先生、ありがとうございます。
 続きまして、中島先生、お願いできますか。
○中島委員 ありがとうございます。
 最初に事務局に、今回、重層的サーベイランスという表現でいろいろな情報を集めて複合的に評価するということを明記いただいたのは非常に大事だと思います。さらに、疑似症サーベイランスなど、これまで日本ではいわゆる重症呼吸器感染症サーベイランスがないというのが大きな課題でしたけれども、それを含めた症候群サーベイランスも今回、課題の表の中に入れていただいたというのはとても大事だと思いますので、この点、まず感謝したいと思いますし、今の議論を歓迎したいと思います。
 その上で5点ほどコメントさせていただければと思いますが、一つは情報収集とサーベイランスをどう整理するのかということも関係しますけれども、全ての情報は対策につなげるリスク評価に活用するということをとても明示的にというか、ポンチ絵などを使って示すということが大事だと思います。そうすれば、お互いのグループ、いわゆる情報収集とサーベイランスの分類やすみ分けということ以外に、これは結局つなげて評価するのだということが分かると思います。
 その際に、例えば横軸に時系列で初動の頃や対策の頃などのいろいろなフェーズを書かれていますけれども、そういう時間軸を横軸にして、例えば縦軸を機能別にグループ分けをして整理していただくと全体がとても見やすくなると思いますので、そういうポンチ絵が一つあるととても理解が進むのではないかなと思います。これは検疫でもありましたように、横軸は平時とか、初動期とかでありましたので、その辺りを意味しています。
 続いて2点目ですけれども、細かいことになりますが、ゲノム分析のところで明記がなかったのですけれども、分子疫学解析というのは今回、とても力を発揮した部分ですし、WHOが示すフューチャーサーベイランスのドキュメントにも改めて書かれていますので、ゲノム分析の細かいところですけれども、分子疫学を何かのところで明示していただくとありがたいなと思います。
 3点目ですけれども、これはサーベイランスの目的ごと、機能ごとの分類の一つですが、目に見えない感染を可視化する方法が幾つかあって、それを改めて示すというのはとても大事かなと思います。つまり、今回の新型コロナでも感染前や不顕性感染の方もトランスミッションに寄与していて、その対策を考えなければ蔓延防止対策がなかなか考えられないということがありましたので、目に見えない感染を可視化する方法としての一つはスクリーニングで、症状のない方の検査をする。これは特定のグループであったり、ランダムに取ったり、あと、接触者の中で行うという方法もありますけれども、一つはスクリーニング。もう一つが、血清疫学調査があるわけですけれども、これも陽転化する人、陰性化する人がいますので、時間間隔を定期的に行うということがとても大事だと思います。これも目に見えない感染の可視化の一つです。
 さらに、先ほど申し上げました分子疫学です。感染が見えないところをつないでいくというので分子疫学は大事ですし、感染症状の可視化の一つとして下水サーベイランスもありますので、こういう機能的に同じような共通目標がある部分に関してはドメイン化する、固まりとして示すというのはとても大事かなと思います。
 あと、異常な出来事を見つけるサーベイランスとして、今回、クラスターサーベイランスが発生時のところに丸がついていますけれども、実は発生前に異常な出来事を見つける方法としてイベントベースサーベイランスがありますし、これは例えば国際的には国際保健規則(IHR)の報告というのはイベントベースサーベイランスとして行われていますので、今回、新型コロナでも高齢者施設での異常探知ということで一度通知が出ていますけれども、改めてイベントベースサーベイランスというのをクラスターサーベイランスと共に示していくということは大事かなと思います。
 最後の5つ目ですけれども、高齢者施設の発生状況が十分モニターできないということが今回のコロナでの課題だったと思いますので、今回は高齢者施設でしたけれども、特定のグループで重症者が増えることがあった場合には、ターゲットを設定したサーベイランスというのが重要になると思います。ですので、高齢者施設などのターゲットを設定したサーベイランスというのも重要かなと思います。
 以上です。
○谷口委員長 ありがとうございました。
 では、坂元先生、お願いします。
○坂元委員 1点目は、先ほど釜萢先生がおっしゃった下水サーベイランスなのですけれども、研究者によって方法論がかなり違っているいろいろなやり方で、しかも研究者がそれぞれ自治体に協力を求めてフィールドを確保してやっているという段階です。これは釜萢先生のおっしゃるようにある程度どこかで統一化していかないと、それぞれのシステムが出来上がってしまってお互いに互換性がないということもあります。川崎市も羽田に近いとか、いろいろあって、研究者からこれに入ってくれないかとか、協力はいろいろ求められるのですけれども、一旦入ってそこでシステムができてしまったときに後でどうするのだろうということがあるので、これは釜萢先生のおっしゃるとおりしっかり今後の統一化をお願いいたしたいと思います。
 それから、クラスターサーベイランスなのですけれども、現実にクラスターサーベイランスというものが独り歩きして、マスコミはどこで幾つ出たかということを毎回自治体のほうにうるさく聞いてくるのですけれども、正直言ってそんなに法的義務があるというほどのものでもないし、我々としても全部把握しているわけではないとはまさか言えないし、ちょっとここの定義づけというのが非常に曖昧になってしまったということと、国のほうで高齢者施設の従業員もコロナの検査をやって、ある程度出たら報告してくれと言うのだけれども、これに対応する施設もばらばらだったり、その意味でクラスターサーベイランスという概念的には間違っていないと思うのですけれども、その方法論においてかなり大きなばらつきがあったと認識しておりますので、もしこれを今後やっていくという意味においてはちゃんとした仕組みを考えていく必要があるだろうと思っております。
 以上でございます。
○谷口委員長 ありがとうございます。本来イベントベースサーベイランスですからね。
 齋藤先生、お願いします。
○齋藤(昭)委員 ありがとうございます。
 今回の新型コロナウイルス感染症において、これも小児に特化した話題ですが、最初、起源株ウイルスでは子どもの感染者数は非常に少なかったのですが、オミクロンの流行で爆発的に患者数が増えて、重症例・死亡例が増えました。この時点で、小児の感染者の臨床像の把握を目的とするサーベイランスはなかなか難しく、結局、学会ベースでデータベースを作り、日本小児科学会が行ったものと、重症例に関しては日本集中治療医学会が行ったものがありました。
 これは実際の臨床の現場では、かなりの負担で、一方でその情報は非常に大事で、我々がワクチンを推奨する上で非常に重要なデータになりました。やはりこの辺りのデータは国がリードしていただいて、平時からデータが集められるようなシステムをぜひ今後、構築していただけたらなと考えています。一方で、死亡例に関しては国レベルの調査が国立感染研の調査でできましたので非常によかったと思うのですが、小児の臨床像、そして重症例に関するサーベイランスは今後も非常に重要になってくると思います。
 あと、下水サーベイランスの話題ですが、今、これは海外で非常に多く実施されていて、特に新型コロナウイルス感染症でいろいろな制度、拠点も多く作られ、米国では1,600か所の下水サーベイランスの拠点が設けられています。患者さんのサーベイランスはあくまで患者さんが発症して検査を受けた方のみのサーベイランスですから、環境中の病原体をリアルタイムで把握するという意味では非常に今後のポテンシャルがある検査であると思います。
 特に今回の新型コロナウイルス感染症だけではなくて、例えば新型トリインフルエンザなど、環境中にその様なウイルスが存在し、それがどの様な増減を示しているのかを知ることが出来ます。また、下水サーベイランスによってウイルスの遺伝子解析なども可能です。書面には有事の際にはと書いてありますけれども、平時からその様なウイルスをモニタリングしながら、患者の呼吸器感染症もモニタリングし、その2つをリンクできるようなシステムを作ると、これも非常に有用なサーベイランスの一つになるのではないかと思います。
 以上です。
○谷口委員長 ありがとうございました。
 田村先生、お願いできますか。
○田村委員 質問というよりもコメントということでさせていただきたいのですけれども、まず今回の章立てが以前は「サーベイランス・情報収集」だったのが、「情報収集・分析」とサーベイに分けるということで、もともとすごく情報がリッチだったのがこれで整理できて分かりやすくなるのかなと思って聞いておりました。これは非常にいいものかなと思いました。
 あと、4ページ目のポンチ絵で、サーベイランスでどういったものを考えていて、情報収集・分析でよりどういったものの情報が必要なのかというところのすみ分けを分かりやすく記載されているので、非常に情報の整理がよく分かりました。ありがとうございます。
 一方で、「情報収集・分析」のところに書いてある四角の下から3つ目の「コールセンターやSNS発信等」といったところというのは恐らく情報提供や共有のほうにも少しオーバーラッピングするのかなと思うので、これは考え方によるのですけれども、このポンチ絵自体はその考え方を反映していて分かりやすいかなと思いました。
 あと、最後になるのですけれども、今回の「情報収集・分析」の準備期では、平時に行う情報収集だったり分析をどのように行うか。実際、法的整理やほかの資料を見てみると、いわゆる流行が国外で起こって国内に流入してきて、それが国内で大きく感染を拡大していくときにどういった法的根拠を持って対応するのかとか、どういったアクションを起こしていくのかということが具体的に書かれてはいるのですけれども、実際、準備期の段階では、WHOであったり、OIEであったり、農水や文科省などの各省庁との連携などが非常に重要になってくると思うので、準備期における記載の考え方、記載のまとめ方についてもより厳密に行っていったほうがいいのかなと思いました。
 以上です。
○谷口委員長 ありがとうございました。
 ほかにございませんでしょうか。
 中島先生、どうぞ。
○中島委員 再びすみません。ちょっとコメントし忘れたので、1つコメントさせていただきますが、こういう重層的なサーベイランスを実現していくときに、いわゆる大きな課題となるのが情報のリンクなのですけれども、異なる情報源であったり、異なる法律に基づいたり、事業だったりということで、集めてきている情報をお互い連結して分析するということが極めて重要になるのですが、時には個人レベルでリンクさせようとすると個人情報保護、プライバシーの問題等の課題が出てくるので、この辺りはちょっと時間がかかると思いますけれども、しっかり事前にどうリンクを可能にするのかという議論を進めていく必要があるのかなと思います。
 例えば今回、英国の状況をちょっと視察してきましたけれども、ワクチンの接種、レジストレーションや外来、入院後の患者の情報、死亡記録のような様々な情報を個人レベルでIDで連結して分析するという仕組みができていて、そのための法的な基盤というのが整備されているのですね。今回の経験でもかなり課題がたくさんあったと思いますけれども、こういう重層的なサーベイランスを分析する際のリンクに関してはとても大事だと思いますので、コメントさせていただきます。
 関連して、この表の中に予防接種の接種記録、接種情報がサーベイランスとして書かれてはいないのですけれども、今、国で予防接種とレセプトの結合のデータベースの構築について準備が進んでいると思いますが、こういうものもとても大事なサーベイランスの一つですので、何らかの形でのワクチン接種情報というのも大事かなと思います。
 以上です。ありがとうございました。
○谷口委員長 ありがとうございました。
 ほかによろしいですか。
 信澤先生、どうぞ。
○信澤委員 ありがとうございます。
 ちょっと皆さんとは違った観点からの意見になるかもしれないのですけれども、今、情報を集める側からの検討項目についてお話しされていたと思うのですけれども、情報を提供する側の現状把握というのも必要ではないかと思います。もちろん対策推進会議のメンバーとして保健所長や地方自治体の長が参加されて意見も聞かれているようではありますけれども、今回のコロナのときも、保健所や地衛研、医療機関ごとに状況がそれぞれ異なっていて、地衛研ですと、例えば1人でバクテリアとウイルスの両方を担当しているというところもあるという話も聞きますので、もらいたい側にとっては必要な情報がいろいろあるかもしれませんが、果たしてそれがパンデミックが起きたときに提供できるのかということも考える必要があると思いました。最低限提供できる情報というのをまず固めて、それ以外の必要な情報を提供できないというところに対しては何かサポートを検討しないと、先ほど坂元先生もおっしゃったように、ちょっと内容は違いますけれども、制度と現実が乖離ということにもつながりかねないのかなと思いました。
 以上です。
○谷口委員長 ありがとうございます。
 まさに最後の点は、今回、我々は昼間に患者を診て、夜中にHER-SYSに入力して、症例レジストリに入力して、都道府県からあれこれ出せと、あちこちに入力させられたわけで、本来の業務は何なのだという話ですので、やはりこれはデジタルトランスフォーメーションも考えた上でやっていただかなくてはいけないことだろうと思います。
 ほかはよろしいですか。
 私も2点ほどお願いしたいのですけれども、先ほどのサーベイランスと情報収集の円グラフがございましたが、あれは学問的に言うとパブリックヘルスサーベイランスというものに全て入ると思いますけれども、パブリックヘルスサーベイランスの中にソーシャルやエコノミック、ビヘービア、インフェクシャスディジーズというサーベイランスが入ってくるわけですし、パブリックヘルスサーベイランスの中にはサーベイというのも入ってきますので、これを見ると非常にサーベイランスというのが小さく見えるのですけれども、これはサーベイランスの教科書を見ていただくと分かるのですが、実はこんなに小さいものではないので、少しこのグラフ自体は、日本はサーベイランスについてこういう考え方をしているのかというのもちょっと困りますので、少しお考えいただければと思います。
 そして、これまで先生方がいろいろおっしゃって見えたように、サーベイランスには原則というものがあります。継続的というのが原則として大きなものですけれども、平常時のベースラインが分からない限りは健康危機時の異常は絶対に判断できないのですね。基本的に継続していただく必要があると思いますし、コロナもコロナウイルスそのものによってではなくて、フレイルとか基礎疾患の悪化などで高齢者がたくさん亡くなっている。これはコロナによってではないという議論もあったみたいですけれども、これは平常時に高齢者がどのぐらい亡くなっているかというデータがない限りはそんな判断はできないわけです。
 先ほどもターゲットを絞ったサーベイランスということもありましたし、小児の臨床症状というお話もありました。これは欧米では全て垂直サーベイランスとしてやっているわけです。日本では学会や研究というのでやったわけですけれども、普通の国は垂直サーベイランスとして、国のシステムとして一定の集団、一定のグループ、一定の地域によってその詳細な情報を取っているわけですから、それも原則の一つです。それも一緒に国全体で全数でやらないとサーベイランスではないと言われても、実際にはできないわけです。また、そんな必要もないわけです。みそ汁の味見をするのにみそ汁を全部飲む人はいないわけです。なくなってしまいますからね。そこも一緒に考えていただければと思いました。
 以上です。
 これまでいろいろ御確認、御質問事項がございましたので、事務局から御対応をお願いできますか。
○杉原エイズ対策推進室長 ありがとうございます。事務局の杉原でございます。
 先ほど釜萢委員を含め御質問がございました下水の件なのですけれども、これまで研究ベースのものと事業ベースのものがございましたが、特に今後、感染研等の感染症のサーベイランスの中の一環としてやっていくということで、来年度からはそういった事業化を見据えてやっていきたいということで、現在、予算要求等を行っているところでございますので、その中で標準化というものを進めていければと考えています。なので、現在行っているものとして、ポリオに関してはもう事業化されていますけれども、コロナに関してもそういった形で進めていきたいというのが我々の考えでございます。
 もう一方で、下水を使ってコロナ以外も調べるということなのですけれども、こちらも海外を含めて非常に注目が高くて、様々な研究が行われているところでして、それに関しましても厚生労働科学研究であったりAMEDの研究の中でどういったものが適切であるのか、公衆衛生上のニーズの部分と、実際に下水でどういったものが検出に適しているかというところの評価がまず必要ですので、その辺も含めて研究ベースで進めていきたいと考えております。
 以上です。
○竹下パンデミック対策推進室長 それでは、ほかのところについて私、竹下から回答させていただきます。
 まずは、長谷川先生から御質問のあったサーベイランスと検査の区別ということで、今回、検査ということで医療機関等における検査においては両方検査することが特に認められてはいましたので、実施はしていたということになっていると思うのですけれども、恐らくその後の調査や研究目的で実施するときにどうだったのかということだったと思いますので、ここは平時のサーベイランスをどういうふうにやるのかということになってくると思いますので、実際、今日、提示させていただいたサーベイランスの案をさらにどういう設計でやっていくのか、対象や目的や条件といったところを整備するときにまた改めて御相談させていただきたいと考えております。
 また、地方衛生研究所と農水関係の機関のものといったものに関しましては、私たちも引き続き連携を平時からきちんとできるような形で進めさせていただきたいと考えております。
 釜萢先生から御相談のあった情報収集・サーベイランスの書き分けのところですけれども、先ほど谷口先生からもお話があったところでございますので、ここのサーベイランスというところの定義をどうするのか。例えばサーベイランスというところにもう少し枕詞をつけるのか、それともサーベイランスをもっと大きいところで切り分けて、パブリックヘルスのサーベイランスの内容もサーベイランスのほうに記載するのかというところに関しましては、統括庁とも相談をして構成をどうしていくのかというのを考えたいと思います。
 また、重層的なサーベイランスのところにより分かりやすい絵をつけたほうがいいのではないかと中島先生から御提案がありましたので、こういったものに関しましては事務局のほうで少し検討したいと考えています。
 また、ゲノムサーベイランスの位置づけといったものに関しましては、これも詳細を記載するときにどう決めていくかということになると思いますので、まず詳細を決めるところで、これがガイドラインになるのか、さらに具体的な手順みたいなところになっていくのかといったところになるとは思いますけれども、そういったところで記載を検討することになるのではないかと考えています。
 また、目に見えない感染症の可視化ということでございますが、血清疫学調査に関しましては、今、抗体保有割合というところで記載をしていますので、ここのところの定義のときに目的といったところをもう少し具体的に書いていくと考えております。
 また、無症状スクリーニングなど、今回のコロナでも対応した幾つかの調査がございますので、そういったものはここには今回記載できませんが、どういった位置づけで記載をしていくのかというのを引き続き検討させていただきたいと考えております。
 クラスターサーベイランスの位置づけといったところに関しても、坂元先生からも御意見をいただいておりますので、こういったところは今回、ここでは目出しさせていただいていますけれども、詳細を記載するときにどうしていくのか、より使いやすい現実的な方法というのを記載したいと思います。
 いずれのサーベイランスに関しましても、信澤先生からも坂元先生からも御提案があったように現場の負担というのが非常に出てくると思います。こういったものはDX化といったものを使っていきながら、現場の負担が過重にならないような形にしたいと思っています。これは谷口先生から以前、別のところでも言われていますけれども、重複入力を何とか削除してほしいといったものは私たちもきちんと認識しておりますので、そういった位置づけでやっていきたいと考えております。
 また、垂直サーベイランスの話でのより具体的な症例の事例をどう調査していくのかということで、臨床事例の調査というのは今回、幾つかのスキームも動いてはいたのですけれども、そこのところがより機動的に運用できるような形にできるよう、引き続き検討していきたいと思っています。これは今回の議題のところからはちょっと外れてくるところではあるのですけれども、実際に臨床研究をどう進めていくかといったところとも重複していくところだと考えていますので、そういったところで引き続き検討していきたいと思っていますし、今回、学会等に大きな支援をいただいたことに関しましては非常に感謝しております。
 あとは、幾つかの情報を連結して解析するということも、今回、非常に大きな課題だったということは承知しております。この点に関しましても、幾つか連結をしながら感染症法に基づいて実施した調査として対応したこともございました。こういった際に問題になったことなどもございますので、そういったところをさらに整理して、次回、何か問題が起きたときにも対応したいと思っていますし、平時の感染症対策においてもそういった視点で対応できるように整備を進めていきたいと考えております。
 以上でございます。
○杉原エイズ対策推進室長 連結解析の件で追加なのですけれども、今回、新たな小委員会の立上げを昨年12月の感染症部会で2つ決定しておりまして、一つが感染症対策の医薬品の関係のところで、もう一つが匿名感染症関連情報の提供に関する議論でございます。後者のほうの中で、これは昨年度の感染症法の改正で新たに加えられたものですけれども、こちらはそういった連結解析を行っていくということができるようにという目的で新たにつくられているものでございますので、そういった枠組みの中でできるような形を整えていきたいと考えております。
○荒木感染症対策課長 あと一点だけ、長谷川先生から御指摘いただいた、地域においても地衛研などの情報の連携というのが必要だということで、こちらは貴重な御提案でございますし、田村先生からは逆に準備期においては例えば農水なのか、あるいは文科省の学校保健なのかという各省の観点の情報というのもしっかりと一緒に連携させてこれをサーベイするということが重要だという御指摘を受けましたので、こちらについても統括庁と相談しながらどういう形でできるかということを検討したいと思います。
 ありがとうございます。
○谷口委員長 ありがとうございます。
 いろいろな御意見をいただきましたが、事務局からも適切に御対応いただけておりますし、現在の課題というのは共有できているものかなという感想を持ちました。
 ほかにこの御対応を受けて追加の御意見や御質問はございますでしょうか。
 信澤先生、どうぞ。
○信澤委員 ありがとうございました。
 今の議論になっている情報とサーベイランスに直接関係している話ではなくて、今日の議題にはなっていないのですけれども、一言、二言よろしいでしょうか。
 ワクチンのことなのですけれども、プレパンデミックワクチンは、私は以前から不要と考えていましたけれども、今回改定される行動計画でも従来どおり備蓄を維持されるということを伺いましたので、幾つかお願いがあります。プレパンの備蓄の目的というのは、パンデミックが起きたときに備蓄ワクチンの中でも有効性が高いワクチンを事前に希望していた特定接種者に接種するというものですけれども、有効性が高いかどうかというのはもちろん事前にプレパンを接種した人の血清を取っておいて、パンデミックウイルスを認識するかを調べて判断するわけですね。
 ですので、プレパンを備蓄するということは、ワクチンの製剤化とプレパンを接種した人の血清の保存というのがセットでないといけないわけなのですけれども、私が情報をちゃんと入手していないだけかもしれませんが、最近もちゃんと製剤化とワクチン接種者血清が保存されているのかというのがちょっと気になりました。あえて御回答いただかなくても構わないのですが、その点はちゃんと維持していいただきたいと思います。
 それから、プレパンの製造というのは、そういう実際に使う目的以外にも、パンワク用の製造ラインの維持をするために必要だということも従来から言われていることで、それは必要だと思うのですけれども、実際には使わないプレパンを製造するよりかは、本来でしたら季節性の細胞培養ワクチンを製造して製造ラインを維持するほうがいいはずなのですが、実際にはそうなっていないので仕方がないというのが現状ですね。
 パンワクの製造というのはメーカー3社が一応することになっていますけれども、プレパンを作って製造ラインを維持しているのが3社ともそうであればいいのですけれども、必ずしも3社が常に毎年そのプレパンを作っているわけではないのかどうか、そこら辺も正しい情報を持っていませんが、そうでないのであれば、製造ライン維持ということも平時に努めておいていただきたいことだと思います。
 もう一点だけ、パンワクに関してお願いしたいことなのですけれども、一応今は3社が細胞培養の不活化ワクチンを6か月以内に製造可能になったということになっていますけれども、そのうちの1社は恐らくパンデミックウイルスがH5N1のときはワクチン製造できて、ほかの亜型の場合にはまだ製造できない状況になっているのではないかなというのをちょっと危惧しています。もし違えば構わないのですけれども。また、3社のワクチンの中でも剤型がそれぞれ異なって、アジュバントを使う・使わないということによって免疫原性が違っているということもたしか6~7年前のこの審議会でも私は意見として述べさせていただいた覚えがあるのですけれども、そこら辺をメーカーさんのほうでも改善しつつあるということも以前聞きましたけれども、平時にやっておくべきこととして3社のワクチンの免疫原性がある程度同じ程度になっていることが重要ではないかと思っています。
 ちょっと議題から外れた意見で申し訳ありませんでしたけれども、気になることでしたので、竹下室長には本当に釈迦に説法になることだというのは重々存じているのですけれども、あえてお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○谷口委員長 ありがとうございました。
 竹下先生、あえて御対応が何かありますか。
○竹下パンデミック対策推進室長 竹下です。信澤先生、ありがとうございます。
 基本的に信澤先生に御説明していただいた内容は、これまで審議会等で議論していただいて公表している内容ですので、そのとおりではございますが、現状として血清などを保存するといったものもこれまでどおり対応させていただいておりますので、これを継続していくことになると考えております。
 プレパンデミックワクチンの現状と今後のワクチンをどうしていくのかということに関しましては、今後、MCM検討会で議論することになっていますが、今のような論点なども含めて継続して議論していくことになると思います。
 また、今回のコロナにおけるワクチン等、いろいろできたものもございますので、新しい技術との関係性といったことも含めて総合的に考えていくものと承知しております。
○信澤委員 ありがとうございます。
○谷口委員長 ありがとうございました。
 現在、プレパンデミックワクチンの議論をした頃は科学的なところも変わってきていますし、製造体制も変わってきていますし、今回、メッセンジャーRNAワクチンも出ましたし、あと、かなりいろいろなモダリティーのものが出てきていますので、今後、再度お考えいただくものだろうと思います。
 ただ、この委員会としては次も単一のワクチンではなくて今回のようにいろいろなワクチンが出てくると思うのですね。そうした場合にきちんとその効果と副反応を評価できるようなサーベイランスシステム、アメリカのVSDのラピッドサイクルアセスメントみたいなものをちゃんとつくっておかないと、また今回のようにデマがまかり飛んで接種率が落ちるということになりますから、そこはきちんとしておかねばならないのだろうなと思いました。
 ほかによろしいでしょうか。
 今日のお話をお伺いしますと、基本的なところは、サーベイランスと情報収集・分析というのはどういった定義に基づいて、どう分けられるのかというのはきちんとしておいたほうがいいかもしれないけれども、やはり結局はいかに必要な情報をどう整理しておくか、そしてその中で高齢者や小児の臨床症状、あるいは下水サーベイランスといったものをいかに標準化して事業化・システム化していくか。いざとなってばっとやるのではなくてあらかじめ国のシステムとして整理しておく。そういったことを踏まえて、今回のサーベイランス、あるいは情報収集という枠組みのところでおおむね合意できているのかなと思いますけれども、ただ、この中には情報のリンク、連携、あるいはデジタルトランスフォーメーション、あるいは現場の負荷といった、まだまだきちんと考慮しておくところもありますので、そこを踏まえて今後、具体に入っていければいいのかなと思われました。
 委員の先生方からここをもう少し強調しておきたいというのがございましたら。よさそうですかね。
 おおむね意見は出て、中島先生が一瞬ミュートを外しましたけれども、大丈夫ですか。
○中島委員 今、谷口先生がおっしゃられた現場の負荷に関しては、これもサーベイランスなのか情報収集なのか、システマティックに情報を収集するという仕組みが必要かなと思いました。補足です。
 今回も医療現場の医療負荷や保健所の逼迫が実際の対策に大きな影響を与えている一方で、なかなか現場のつらさというのが指標化されていない、モニターを十分にできていないというところがあったと思いますので、その辺りは谷口先生の御意見を伺いして思い出しましたので、コメントいたしました。
 ありがとうございます。
○谷口委員長 ありがとうございました。
 医療負荷も、ベースラインが分からないとふだんどのぐらい外来を見ていて、それがどのぐらいになったのかというのが分からないと評価できないので、これはやはりベースラインが必要ということでサーベイランスという形でやっていかないといけないのではないかなと思いました。
 ほかはよろしいですか。
 いろいろな議論をいただきましてありがとうございました。
 事務局、いかがでしょうか。
○竹下パンデミック対策推進室長 ありがとうございます。
 本日は活発な御議論をいただき、大変ありがとうございました。委員の皆様の御意見を踏まえ、進めさせていただきたいと思います。
 また、次回日程につきましては、事務局より改めて御連絡させていただきます。
 本日はお忙しい中、誠にありがとうございました。