第174回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和6年1月19日(金)14:59~16:56

場所

全国都市会館 大ホール

議題

  1. 1.マイナ保険証の利用促進等について
  2. (報告事項)
  3. 1.こども・子育て支援について
  4. 2.令和6年度予算案(保険局関係)の主な事項等について
  5. 3.「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」、「新経済・財政再生計画 改革工程表 2023」について

議事

議事内容
○池上課長 定刻より少し前ではございますけれども、御参加いただける方はおそろいですので、ただいまより第174回「医療保険部会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、御多忙の中、御参加いただきまして大変ありがとうございます。
 まず、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
 本日は、菊池部会長代理、内堀委員、河野委員より、御欠席の御連絡をいただいております。
 また、池端委員、横尾委員より、途中退席なさるとの御連絡をそれぞれいただいてございます。
 なお、会議冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきますので、御退席をお願いいたします。
(冒頭カメラ撮り終了)
○池上課長 それでは、以降の議事運営は田辺部会長にお願いいたします。
○田辺部会長 まず、欠席、途中退席される委員の代わりに御出席なさる方についてお諮り申し上げます。
 内堀委員の代理として、伊藤賢一参考人の出席につき御承認いただければと思いますが、いかがでございましょう。よろしゅうございますか。
(異議なしの意思表示あり)
○田辺部会長 ありがとうございます。
 それでは早速、議事のほうに入ってまいります。
 本日は「マイナ保険証の利用促進等について」を議題といたします。
 では、まず「マイナ保険証の利用促進等について」、事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。
 では、よろしくお願いいたします。
○竹内課長 医療介護連携政策課長でございます。
 資料1「マイナ保険証の利用促進等について」御説明申し上げます。
 3ページを御覧いただきたいと思います。
 健康保険証の廃止を定めるマイナンバー法等の一部改正法につきまして、施行期日を令和6年12月2日とする施行期日政令が昨年公布をされました。本年12月2日以降、健康保険証の新規発行は行われず、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行していくこととなります。
 このため、国が先頭に立って医療機関、薬局、保険者、経済界が一丸となり、より多くの国民の皆様にマイナ保険証を利用し、メリットを実感していただけるよう、あらゆる手段を通じてマイナ保険証の利用促進を図っていくこととしております。
 4ページを御覧いただきたいと思います。
 こちらは、昨年12月までの「オンライン資格確認の利用状況」でございます。マイナ保険証の利用件数及び薬剤情報等の閲覧件数につきましては、昨年12月、前月から増加はしていますけれども、さらなる利用促進が課題となっている状況でございます。
 5ページを御覧いただきたいと思います。
 「災害時における薬剤情報・診療情報・特定健診等情報の閲覧」についてお示ししております。災害時につきましては、特別措置といたしまして、マイナンバーカードによる本人確認ができなくても、御本人の同意の下、オンライン資格確認等システムを利用して薬剤情報・診療情報・特定健診等情報の閲覧を可能としております。
 今回の能登半島地震に際しましても、この災害時モードを一部地域に開放しておりまして、1月16日時点で石川県、富山県を中心に約1万2300件の閲覧がございました。
 6ページを御覧いただきたいと思います。
 上の段のグラフでございますが、年代別のマイナンバーカードの保有率とマイナ保険証の利用率をお示ししております。棒グラフがマイナンバーカードの保有率、折れ線グラフがマイナ保険証の利用率でございます。
 マイナ保険証の利用率につきましては、65歳から69歳が最も多く、受診機会の少ない若年層のマイナンバーカードの保有率、マイナ保険証の利用率が低いことから、現役層への周知強化が必要であると考えております。
 グラフの下の段でございます。マイナ保険証の利用率の推移を施設別に見たものでございます。病院・診療所において低下傾向にある一方で、薬局については、やや増加傾向にございまして、これは一部の薬局グループにおきまして、グループ全体で声かけに取り組んでいただいている効果によるものではないかと考えております。
 7ページを御覧いただきたいと思います。
 こちらは、マイナ保険証の利用率の分布を施設別に見たグラフとなっております。
 グラフの一番左側、「全体」でございますけれども、こちらを見ますと利用率が3%未満の施設が占める割合が50%となっておりますが、一部の医療機関、薬局におきましては、利用率が60%を超えるようなところも見られるところでございます。
 右側ですが、施設ごとに見ましても、例えば、右上の「医科診療所」では利用率が3%未満の施設が占める割合が44.9%となっておりますが、利用率が比較的高い施設も一定数見られるところでございまして、こうしたところではマイナ保険証の利用促進に向けて取組を行っていただいているのではないかと考えております。
 次に8ページを御覧いただきたいと思います。
 「マイナ保険証の利用促進について」で、「普及しない要因」と「対策」を記載しております。
 左上でございますが、マイナ保険証が普及しない要因といたしまして、医療提供側におきましては、医療機関等の窓口で「保険証をお持ちですか」と聞いている。また、ホームページでマイナンバーカードの持参を案内していない。診察券との一体化や会計システムとの連携の改修費用等にコストがかかる。こういったことがあると考えております。
 また、左下の患者側におきましては、特に、若年層でマイナンバーカードの持参・携行習慣がない。また、別人への紐付け問題などトラブルへの不安、保険証廃止の現実感がないといったことがあると考えております。
 こうした要因を踏まえまして、右側に「対策」を記載してございますが、詳細につきましては、次のページで御説明を申し上げたいと思います。
 9ページを御覧いただきたいと思います。
 「マイナ保険証の利用促進対策」でございます。
 まず上の段、「医療機関・薬局」でございますけれども、【利用率目標の設定・インセンティブ等】について記載をしてございます。今年度補正予算におきまして、利用率増加に応じた支援・診察券との一体化等への補助金を計上しているほか、令和6年度診療報酬改定におきまして、医療DXの推進体制について新たに評価を行う中で、利用実績に応じた評価を検討しています。
 また、全医療機関・薬局に対しまして、利用率の自主的な目標として活用できるよう、今月からマイナ保険証の利用実績を通知することとしております。
 加えまして、厚生労働省を含む国が所管する団体が開設する公的医療機関等に対しましては、令和6年5月末、11月末の利用率の目標設定を要請するとともに、厚労省所管独法におきましては、年度計画に医療機関が設定した利用率に係る目標を反映すること、さらに厚労省所管法人の病院には専用レーンの設定及び説明員の配置を要請しております。
 また、マイナ保険証を利用できなかった事例への対応につきましては、コールセンターに寄せられた情報提供に基づきまして地方厚生局から事実調査等を行うほか、オン資未導入施設への集団指導を行う予定としております。
 さらに、窓口対応の見直しといたしまして、窓口における「マイナンバーカード、お持ちですか」の声かけ、マイナ保険証の利用を促すチラシ、ポスター等の院内配布、掲示、医療機関ホームページの外来予約等の案内におきまして「マイナンバーカード」の持参を記載、こうした取組を要請し、2月から診療報酬のオンライン請求時に取組状況をアンケート調査する予定としております。
 また、下の段、「保険者・事業者」における利用促進策でございます。
 保険者におきましても、マイナ保険証の利用率の目標を設定いただいた上で、その実績を保険者インセンティブ制度・業績評価等で評価することを予定しております。
 また、利用者の意識転換を促す統一的なメッセージを込めた動画等によりまして集中的な広報を展開していくこととしているほか、③のアからエに記載しているような保険者による加入者に向けた利用勧奨等の実施状況につきまして、今後、調査をさせていただくこととしております。
 さらに、国保直営診療施設におきましては、マイナ保険証の利用率目標を設定いただくほか、マイナ保険証の専用レーン設定等の費用を財政支援することとしております。
 なお、利用率の目標設定に必要となる各保険者の直近の利用率の状況や目標設定に当たっての考え方、その他具体的に取り組んでいただきたい内容につきまして、本日の御議論を踏まえ、保険者に対し、早急に通知をする予定でございます。
 さらに、保険者だけでなく、事業者による呼びかけも重要であると考えており、経済産業省とも連携をしながら、事業者を通じた取組といたしまして、①として健康経営優良法人認定制度においてマイナ保険証の利用促進等の取組状況を評価する。また、②として、政府・経済団体等のイベント・会合で、事業主・医療保険者に利用促進を呼びかけるなどを予定しております。
 資料10ページを御覧いただきたいと思います。
 10ページは、「患者向け周知広報物のご紹介」となります。厚生労働省ホームページよりダウンロードしていただけますので、ぜひ御活用いただければと思います。
 続きまして、11ページでございますが、「マイナ保険証への円滑な移行に向けた対応」について御説明いたします。
 資料12ページを御覧いただきたいと思います。
 こちらは、マイナ保険証への円滑な移行に向けた工程表をお示ししております。
 まず、今年の3月以降、各保険者が最後の保険証を発行していきますけれども、その際、保険者から加入者にリーフレット等を通じまして、保険証の廃止とマイナ保険証の利用について周知をしていく予定でございます。そして、今年の12月2日に新規の保険証の発行は終了し、いわゆる保険証の廃止が施行されることとなります。
 その上で、施行時点で発行済みの保険証につきましては、最大1年間有効となる経過措置期間が設けられております。また、施行後、有効な保険証もマイナ保険証もお持ちでない方に対しましては、申請によらず資格確認書を交付することとしております。
 地域保険における発行済み保険証の有効期間が主に到来する令和7年8月以降、資格確認書の発行が増加してくるものと見込んでおります。
 さらに、御本人の資格情報を通知するお知らせを順次お送りしていく予定でございます。
 資料の13ページを御覧いただきたいと思います。
 健康保険証の廃止に際しましては、マイナ保険証を保有しない方に、申請によらず資格確認書を発行することとしており、今後、必要なシステム改修を行うこととしております。
 まずAでございますけれども、マイナンバーカードを取得していない方、健康保険証の利用登録をしていない方につきましては、対象者の情報を実施機関から保険者に定期的に通知し、保険者から資格確認書を交付することとしております。
 また、Bでございますけれども、マイナンバーカードの健康保険証としての利用登録の解除についてでございます。この利用登録につきましては、任意で行われる手続であることを踏まえまして、今後、御本人から保険者に対して申し出ていただいた上で、保険者から中間サーバーを通じて実施機関に対象者の方の情報を登録していただき、利用登録を解除できるようにする予定でございます。保険証の廃止後は、保険者は希望者から解除の申請を受け付けた時点で資格確認書を交付することとなります。
 最後に、Cでございます。Cは電子証明書の更新を失念した方及びマイナンバーカードを返納した方でございます。こうした方々の情報につきましても、実施機関から定期的に保険者へ情報連携を行い、保険者が対象者に資格確認書を交付できるようにいたします。
 14ページを御覧いただきたいと思います。
 安心してマイナ保険証を御利用いただけるように「登録済データ全件のチェック」を行ったところでございます。
 具体的には資料に記載のとおり、登録済みデータ全件をJ-LISに照会、突合し、不一致があったものにつきましては、昨年11月末までにその内容に応じまして情報の閲覧を停止しております。これらのデータにつきましては、原則4月までに保険者等による確認を終了し、確認ができたものから順次閲覧停止を解除しております。
 その進捗状況が資料の下半分の図の中に記載してございますけれども、昨年12月25日時点で51.5万件が確認済みであり、この過程で検知された誤登録は試行実施の際に検知されたものも含めまして71件となっております。
 その上で、資料の上から2つ目の◯に書いてございますけれども、3月以降、被用者保険におきましては主に資格情報のお知らせを送付する際に、また地域保険におきましては主に保険証の更新時に、保険者が把握している加入者情報、具体的には個人番号の下4桁等を送付することとしております。
 これまで、保険者等による確認作業を行ってまいりましたが、このように加入者の方々御本人に登録されている情報を提供し、安心してマイナ保険証を御利用いただけるようにしてまいりたいと考えております。
 資料15ページにお進みいただきたいと思います。
 登録済みデータの正確性の確保に加えまして、新規登録データの正確性を確保するため、現行の誤入力チェックシステムを改修し、保険者が中間サーバーに登録するデータ全体を住民基本台帳データと照合する予定としております。住民基本台帳データとの不一致があった場合については、保険者による確認・修正が行われるまで、オンライン確認等システムでの閲覧を停止することとしております。
 なお、この改修につきましては、令和6年5月上旬から運用開始予定としております。
 最後に「オンライン資格確認の用途拡大」について御説明いたします。
 17ページを御覧いただきたいと思います。
 こちらは令和4年8月の医療保険部会の資料を一部加工したものでございますけれども、保険医療機関の指定を受けていない、いわゆる職域診療所に対しても、現在、保険医療機関の外来に導入されているものと同様のオンライン資格確認の仕組みを導入していくこととしております。対象施設数は約2,200施設でございまして、本年7月からの運用開始を予定しております。
 18ページを御覧いただきたいと思います。
 職域診療所へのオンライン資格確認の導入に当たりましては、顔認証付きカードリーダーの導入、資格確認端末の用意、ネットワーク環境の整備、レセプトコンピューター、電子カルテシステム等の既存システムの改修に対して補助を行うこととしております。具体的な補助内容については、資料に記載のとおりでございます。
 19ページでございますけれども、こちらは導入に向けた「今後のスケジュール」となってございます。
 20ページを御覧いただきたいと思います。
 こちらは、医療機関等の窓口におきまして資格確認ができない場合の居宅同意取得型の活用についてお示しをしております。
 居宅同意取得型のオンライン資格確認は、訪問診療等の場面でモバイル端末を用いてマイナ保険証による資格確認を可能とするものでございますが、発熱外来や入院時など、医療機関等の窓口において資格確認ができない場合においてもこうしたオンライン資格確認の活用が可能であることについて、今後、医療現場へ周知してまいりたいと考えております。
 21ページを御覧いただきたいと思います。
 こちらは(参考)でございますが、医療機関等が資格確認端末を操作して居宅同意取得型の機能を利用できる状態にする方法として、医療現場への周知に用いている資料となっております。
 また、次の22ページでございますが、居宅同意取得型で利用する「マイナ在宅受付Web」として医療機関別に設定されるURLの発行方法についてお示しをしております。
 資料1の御説明については、以上でございます。
○田辺部会長 御説明どうもありがとうございました。
 それでは、御意見、御質問等ございましたら挙手にてお願いいたします。オンラインで御参加の委員におかれましては、挙手ボタンでお知らせください。いかがでございましょうか。
 では、佐野委員と思いましたけれども、申し訳ありません、横尾委員が早期に御退室ということで、まず横尾委員のほうにお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○横尾委員 恐縮です。ありがとうございます。
 説明ありがとうございました。マイナンバーの利用促進、マイナンバーカードを保険証として利用促進ということで、細かい分析をしていただいてお礼を申し上げたいと思います。
 ただ、気づきがありますので幾つか申し上げます。
 1つは、大臣を囲んで、マイナンバー利用促進についての会議がございましたが、その際に武見大臣からも強くお話をされ、お願いをされたことに、三師会、特に医師会、歯科医師会、薬剤師会の会長の方々にお願いがありました。特にお医者様方ですね。この皆様方が直接患者の方などにお話をしてくださるともっともっと利用が進みますよというふうなお願いがございました。ぜひこのことを生かしていただきたいなと心から思っています。
 先日、ある方とお会いしたら、医療機関に行かれて、たまたま窓口で両方を出したそうです。一般の保険証とマイナンバーカード保険証ですね。
 ところが、医療機関のほうは一般の保険証を取られてマイナカードは取らなかったということで、あれっというふうにおっしゃったんですね。まさにそういったことにならないようにお願いしたいと思っています。
 その際に、マイナンバーカードをこのまま作らない、持たないでいると先々こういうデメリットもありますよということも今後の政府広報の中で加えていただくといいのではないかなというふうに改めて思います。
 このことについては、資料の8ページで「保険証お持ちですか?」と尋ねることなどを大切な要因の一つのチェック項目に入れていただいているように、ぜひそういったこともしていただくことが大切と思っています。
 2つ目は、今回の能登半島地震に関して、既に1月16日時点で1万2300件の照会が行われているということが5ページに書かれているわけですね。このように必要なものとしての存在が明らかになってきているわけですから、こういったことも政府の広報の中で、お知らせをいただくといいのではないかと改めて感じました。
 また、資格確認書などのことですけれども、これもやはりマイナ保険証本体を持つようにしたほうがいいですよということを、ぜひ厚生労働省や政府の広報の中で早めに、またきめ細かくお伝えいただくことが大事だと思います。
 その上では、9ページ目に対策についてということで書かれている記述がありまして、細かいことを記載していただいたので全ての実行が必要と思いますが、併せて今後継続していただく取組の中に各保険者なども含めた現場を担う各組織がございます。その組織の現場での、改善のための気づき、アイデアがありますので、ぜひ引き続きこれらも収集をして、対策の充実、磨き上げに生かしていくということもしていただくと、よりよい展開ができるのではないかと強く感じているところです。
 特に保険者としては広報物を定期的に送ったりしているものがありますので、必ずこのことに関する記述、あるいはマイナ保険証に関する利用促進の啓発を意識的に行うことがとても大切だと思っています。
 最後に13ページでございますが、資格に関する確認書のことがあるのですけれども、これについてマイナカードは先々必要になりますよということも、併せて説明を細かく重ねていく必要があると思っています。こういった資格確認書を利用されるなどの方々へも啓発を怠らないことがとても重要だと思います。
 例えば、マイナンバーカードが途中で必要になったといっても、時期を逸してしまいますと有料になるというルールになっていますし、早く気づくことによって、より医療とか健康にアクセスができるというメリットもあります。こういったことをぜひ伝えていただきたいと思います。
 たとえば、避難所にカードリーダーがあれば、その方が来られたことのチェックをオンラインで、全ての避難所について、被災地エリアでの避難者確認を広域で把握ができます。しかも、その際に避難者のことに関する医療データ、健康データがあれば、いち早く救急的な対応、健康増進の対応の際に、また医療ということに関しても健康データに基づく対応が可能になります。こういったメリットがあるということをぜひ政府としてもお伝えいただきたいというふうに改めて感じました。どうぞよろしくお願いします。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、池端委員も早期に御退室とお伺いしておりますので、池端委員よろしくお願いいたします。
○池端委員 ありがとうございます。私からも、推進に向けてのお話を少しさせていただこうと思います。
 まずその前に今、横尾委員もおっしゃったように、私は福井県なのですけれども、隣の石川県の能登半島地震において、まさにこれはマイナンバーカードがなくてもという対応は取れたのですけれども、非常に有用だったということをJMATからもお聞きしています。当県からも今、順次JMATを派遣しているのですけれども、なおさらこういうことをきっかけにこれがどんどん進んでいくことが非常に重要ということを、皆さん全国的にも認識していただける機会にもなると思いますので、ぜひこれを進めていければと思います。
 今ほど横井委員からも、医師会もぜひ窓口で声をかけるようにということでいただいています。これも医師会の重要な役目だと思っていますので、それも医師会を通して各会員の先生方に勧めさせていただこうと思っています。
 その上で、方策として私が思っていることを少しお話ししたいと思うのですけれども、オン資確認の端末をそろえることに対して療担規則になるということがあって、慌てて皆さんそれぞれ頑張って、今ほぼ100%近くなったと思うのですが、そのときに私自身、県の医師会を預かる立場で、都道府県別のオン資確認の達成率というのを出していただきました。
 そこで、そう出されると、やはりうちはちょっと遅れているねとか、歯科医師会が頑張っているのに医師会は駄目だということを認識すると頑張ろうという気になりますので、こういうそれぞれの変な意味ではなくて競争心をあおるような地域別とか、あるいは機関別とか、そういうデータももし出せるのであれば出していただくと、お互いに頑張ろうという気持ちになるのではないか。
 それから、ちょっと失礼な言い方になるかもしれませんけれども、せっかくこれは全国的に進めていくことなので、もちろんそれぞれみんなが頑張らなければいけないのですけれども、やはり公僕と言われる行政とか官公庁の方々が、自らもそれを持って、どの課の方でもそれを持ってやっていくということが地域住民にとっては非常にインパクトがあると思いますので、その辺のいわゆる官公庁の病院だけではなくて、逆に利用者としての行政の方とか官公庁の方々、全員に原則持ちましょうということで進めていただくのも一つの方策ではないかと思います。もう既におやりになっていらっしゃるのではないかとは思いますが、そういうことも自治体全体で取り組んでいただけると一気に進む可能性もあるのではないかということで、今そういうことが進んでいるかどうか、分かればお聞きしたいと思います。
 いずれにしても、もう期限が決まった話なので、これはそれぞれの保険者も診療側も、そして国民側も行政側も一体となって取り組んで、何とか12月2日までに達成できるように頑張っていきたいと思います。医師会も努力を惜しみませんので、どうかよろしくお願いいたします。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 官公庁のほうは1点御質問がございましたけれども、回答をお願いいたします。
○中園室長 御質問いただき、ありがとうございます。
 各保険者でありますとか、あるいは国法人所管の公的医療機関などに対しまして、私ども8ページ目の資料に挙がっておりますような利用率の達成目標などの要請などを行っているところです。
 加えて、それぞれの保険者や医療機関等ごとに、今後、例えばマイナ保険証の利用件数やその利用率といった実績などについても個別に通知などを行って、利用促進の後押しをしていきたいと考えております。
 そうした取組を通じて、保険者別、医療機関等別の動向でありますとか、あるいは委員から御指摘がありましたように、地域別での利用率や利用件数の動向なども、それぞれデータとして把握していって、それぞれの地域や現場における取組の参考になるような材料を今後も示していきたいと考えております。 
◯田辺部会長 では、局長から補足をお願いいたします。
○伊原局長 保険局長でございます。
 ちょっと補足させていただきますと、さっき公務員から自ら使っていくべきではないかというお話もございまして、例えば厚生労働省では今年の仕事始めの日に、事務次官が厚生労働省の共済組合の理事長なものですから、次官のほうから全組合員に対しましてマイナ保険証を今年しっかり使っていきましょうというメールを送付しました。その一貫として私も大臣もマイナちゃんを名刺に刷って、今年はマイナ保険証を使いましょうとPRをしております。
 こうした取組は、実は厚生労働省だけではなくて霞が関全体で広げるということで今、全省庁で取組を進めておりまして、御指摘のように国家公務員、我々は身分証としても今、使っているということもありますので、しっかりと普及を進めていきたいと、このように考えてございます。
○田辺部会長 池端委員、よろしゅうございますでしょうか。
○池端委員 ありがとうございました。
 先ほど御説明がありましたように、中医協でもこの利用実績に応じた加算というのも検討されていますし、これは両方相まってかなり一気に進む可能性が出てくるのではないかと思いますので、引き続き我々も頑張っていきたいと思いますので、どうかよろしくお願いします。ありがとうございました。
○田辺部会長 それでは、お待たせいたしました。佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。目次に沿って意見を申し上げたいと思います。
 まず1点目の「マイナ保険証の利用促進」でございますけれども、今お話があったように保険証の発行は今年の12月2日で終了し、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行する方針とともに、資格確認書等の取扱いに関する通知が発出されました。厚労省においても、様々御配慮いただきありがとうございます。健保連・健保組合としても、マイナ保険証の移行にしっかり対応していきたいと思っております。その際、大きな課題になりますマイナ保険証の利用促進についても、保険者として可能な限り実行・協力をしていきたいと考えています。
 9ページに書いておりますけれども、既に健保連としては外国人も含めた加入者向け、または事業主向けのリーフレット等も作成して全国の健保組合に活用いただき周知広報に努めております。さらに先般、武見大臣のほうから要請いただきました「マイナ保険証、1度使ってみませんか」キャンペーンの一環として、国と協力をして広く国民に向けたCM動画の作成も準備をしております。12月に向けて国民の皆様にマイナ保険証を利用いただくよう、引き続き国や関係団体の皆様とも協力しながら進めていきたいと考えます。
 そういった中で、保険者による取組として挙げられている「限度額適用認定証の取得申請手続等が不要になる」点について具体的な話を申し上げますと、今までは医療機関による患者への説明、また患者が保険者に対する連絡、申請、これを経て保険者による交付ですとか医療機関への提示等、いわば多くのキャッチボールの手続が必要だったわけでございます。これがマイナ保険証を利用すれば全て不要になるというもので、大変関係者のメリットが大きいものだと思います。
 保険者としてもこの取組についてはしっかりと対応していきたいと思っておりますが、一方で、医療機関においてはまだ入院窓口等で紙ベースでの限度額証の取得手続を必要としているようなところもありますので、ぜひともここは医療関係者の皆さんにおいてもマイナ保険証であればこういう限度額証の手続が全く不要になるということのアナウンスをお願いしたいと思います。
 また、マイナンバーカードと保険証の一体化については、当然事業主との連携も大変重要だと思っておりますし、そういった中で今般事業者を通じた取組として示していただいたところの健康経営優良法人認定制度の活用というのはもともと事業主、企業と健保組合が連携して行っている取組でございまして、マイナ保険証の利用促進が図れると思いますので、ぜひとも強く推進をお願いできればと思っております。
 それから、大きな2点目の「マイナ保険証への円滑な移行に向けた対応」でございます。これまでも申し上げておりますけれども、保険証廃止に伴い、「資格確認書」や「資格情報のお知らせ」が新たな事務になりますので、この交付についてもスケジュール等を示していただいておりますが、実務対応を考えた場合にはまだまだ詰めなければならない点が多くあると思っております。
 また、最後に記載がございますが、全加入者に対する個人番号下4桁の送付については、現場の健保組合から事務負担に対する質問や不安の声等が寄せられていますので、円滑な事務遂行のための対応を、早期にお願いしたいと思います。
 最後に、大きな3点目の「オンライン資格確認の用途拡大」でございますけれども、やはりこのオンライン資格確認の用途拡大については患者、国民がメリットを感じる項目のさらなる拡充が不可欠だと考えます。
 その意味において、本日の資料には記載がございませんが、例えば健保組合から見ても大変期待の大きい電子処方箋の拡大等の取組などについては、ぜひとも加速化させながら強力な取組をお願いしたいと思います。
 また、新たに発生する事務に関するシステム改修等については国の補正予算等で措置をいただき感謝を申し上げたいと思います。一方で新たに開始されるところのJ-LISチェックにかかる費用等も発生してくる状況がございますので、引き続き国のご支援をお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、伊藤参考人よろしくお願いいたします。
○伊藤参考人 ありがとうございます。福島県保健福祉部政策監の伊藤でございます。よろしくお願いいたします。
 議題のマイナ保険証の利用促進等につきましては、マイナンバー制度が安全、安定的に運用され、国民が安心してサービスを利用できる環境を構築することが第一と考えます。紐付け誤りに係る総点検の実施結果を踏まえ、速やかな再発防止対策の構築と信頼回復に向けた取組を進めるようお願いいたします。
 また、マイナ保険証の一層の利便性向上を図ることも大変重要であり、医療費助成の受給者証としての利用など、利活用範囲の拡大に向けた取組について、セキュリティー確保や個人情報保護との両立を図りながら着実に進めるようお願いいたします。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、猪口委員よろしくお願いします。
○猪口委員 ありがとうございます。
 繰り返しとなりますけれども、マイナ保険証による受診、これは今後の医療DXの基盤となる第一歩ですので、日本医師会としましても利用促進に取り組んでまいります。
 そして、その利用に当たりまして医療現場の働きかけはもちろんですけれども、やはり政府の皆様、行政、それから保険者の皆様と力を合わせてそれぞれの立場から丁寧かつ真摯な説明、そしてマイナ保険証を利用することによってどういう利便性があるのかということをよく理解いただくことが重要であると考えております。これから我々も適宜努力してまいりたいと思っております。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、横本委員よろしくお願いいたします。
○横本委員 経団連の横本でございます。
 医療DXの推進による医療の質の向上や効率的、効果的な医療提供体制の構築に当たっては、マイナ保険証の利用促進が必要不可欠であると考えております。健康保険証の廃止まで1年を切る中、経済界といたしましても保険者とともにマイナ保険証の利用促進の取組に協力してまいりたいと思います。
 なお、14ページでは登録済みデータ全体のチェックとして、全加入者に対して個人番号の下4桁を送付するというふうに記載がございます。DXを進めていくという観点から、こうした手続においてもデジタル化を進めていただきまして、事務作業の軽減を図っていただくということも求められるのではないかと考えております。
 また、加入者情報を送付する際に、仮に事業主の協力が求められるのであれば、余裕を持ったスケジュール、事務作業の軽減など、企業の実務対応がスムーズに行えるよう検討をお願いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、前葉委員よろしくお願いいたします。
○前葉委員 部会長、ありがとうございます。
 9ページの保険者インセンティブ制度で評価するというマイナ保険証の利用率について、この点について発言をさせていただきます。
 国保の保険者としては、当然のことながら一生懸命頑張りますし、被保険者へアピールするということでございます。
 あとは、国保直診がありますので、現場でも頑張りたいと思っております。
 ただ、その上で、最終的に現場でこれまで議論になっておりますようにアピールしていただくというのは非常に有効でありますし、その意味で私どもが保険者として結果責任まで、この数字で出てきたものを仮にペナルティー的な措置でこのインセンティブ制度を活用されるのはちょっといかがかと思っております。もちろん努力をいたしますが、結果責任まで負わされるのはちょっときついかなと。
 何となれば、実際にマイナ保険証として使うかどうかは被保険者次第でもございますし、現場は圧倒的に医療界、あるいは薬務、歯科医師会さんのほうでございますし、病院でございますから、現場の御尽力に本当にお願いをしていく部分が多うございますので、私どもももちろん保険者として一生懸命頑張りますが、このインセンティブ制度での評価については、保険者インセンティブ制度の強化については何とぞリーズナブルな御対応をお願いできればと、このように発言させていただきます。
 以上です。ありがとうございました。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、袖井委員よろしくお願いいたします。
○袖井委員 6ページの利用状況について申し上げたいと思うのですが、若年層のマイナカードの保有率とかマイナ保険証の利用率が低いというのですが、カードを持つということ自体かなりアナログではないか。若い人の場合はみんなスマホなので、どうしてスマホに取り込むようにしていないのか、あるいはいつ頃からそれができるのか、若い人の利用を促進するためにはやはりスマホに入れないと無理ではないかと思うんです。
 それからもう一つ、マイナ保険証ですが、やはり広報が足りないと思うんですね。私の周囲でもポイントがつくときに、役所に行くのが面倒くさくてやらなかったからもう駄目かなとか言っている人がいます。
 医療機関でカードリーダーにかざせばそのままできるということをほとんどの人は知らないんですね。ですから、利用しよう、利用しようと言うよりも、どうやってしたらいいかとか、その辺の広報が非常に足りないと思います。どういう方法が一番簡単なのか、例えば医療機関に行ってマイナカードをかざせばいいとか、コンビニでできるとか、そういうことを広報していただきたい。マイナ保険証にしていない人がかなりいるということをぜひ御理解いただきたい。
 それで、最初の質問のスマホへの取り込みはどういう状況になっているのかを教えていただきたい。
○田辺部会長 では、回答のほうをお願いいたします。
○中園室長 御質問ありがとうございます。保険データ企画室長です。
 現在、スマートフォンにおいては、AndroidとiOSの2種類のOSのスマートフォンがございます。Androidにおいては、利用者証電子証明書を機能として搭載することを昨年の5月から開始しております。
 一方で、iOSにおいては、そのスマートフォンに利用者証電子証明書を搭載するかどうかについて、現在、apple社とデジタル庁との間で、検討がなされていると承知しております。
 私ども、AndroidとiOSのスマートフォン、それぞれの利用者証電子証明書の実装の技術的内容をきちんと踏まえた上で、医療現場におけるマイナンバーカードの代わりとしての利活用を検討していきたいと考えております。
○田辺部会長 袖井委員、よろしゅうございますか。
○袖井委員 若い人はiPhoneのほうが多いのではないかと思うので、ぜひ進めていただきたいと思います。
○田辺部会長 ほかはいかがでございましょう。
 では、藤井委員よろしくお願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。
 まず、資料1の3ページに、経済界を含む関係者が一丸となって利用促進を行っていく方針が示されておりますが、私ども商工会議所としても、既にホームページや機関誌での周知はもとより、機会を設けて必要性を訴えてきておりますし、今後も継続したいと思っております。その上で、PRのやり方について、幾つかコメントしたいと思います。
 まず、資料1の6ページですね。先ほどお話がありましたけれども、マイナンバーカードの保有率とマイナ保険証の利用率が低い現役層へのPRが課題とされておりますが、こういう世代があまり医療機関に行かないのではないかということでございますが、若年層だから怪我や病気に見舞われないということはないのですね。
 逆に行動的な年代というのは、そういうリスクもはらんでいるわけですから、若い方こそ自分の命を救うためにこういったことが必要なのだということを、ぜひ訴えていただきたいと思っております。
 それから、9ページの②で意識転換を促すような動画広告、これはぜひ国民が危機感を持つようなコンテンツをつくっていただければいいのではないかと思います。
 それから、この動画でございますが、私も個人的にテレビCMを幾つもつくったことがございますので申し上げますと、こういうときはやはり国民を引っ張るような、模範となるべき方々をキャスティングして、そういう方が自ら使っていただく。そして、自らの医療履歴を管理して医療費の適正化も実施しているということをはっきり言っていただく。それは有権者にも刺さるはずなんですね。私だったらそういうつくり方をすると、あくまでも個人的な意見でございますが、もしやるとしたら、そういうことが非常に効果的なのではないかと思った次第でございます。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、村上委員よろしくお願いします。
○村上委員 ありがとうございます。
 マイナ保険証の活用、普及に向けた課題として、先ほど藤井委員からもございました資料1の6ページに現役層への促進が課題とされております。
 今後の対策としては、安全性の担保はもちろんですが、やはりメリットを分かりやすく周知し、さらにメリットを拡大していくということが重要と考えます。
 例えば、先ほども御発言がありましたけれども、資料の5ページには能登半島地震における災害時の情報の閲覧件数が記載されております。マイナ保険証を活用すれば、通常の受診時や緊急搬送時だけでなく、災害時にも役立つということも合わせてしっかりと伝えていただくことが必要かと思っております。
 また、8ページにございますように、こども医療費などの受給者証との一体化なども進めていただくと、よりメリットを感じやすくなると思います。将来的には全ての自治体、医療機関で対応いただけるよう進めていただければと思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、渡邊委員よろしくお願いします。
○渡邊委員 ありがとうございます。薬剤師会の渡邊です。
 マイナ保険証の利用促進については、日本薬剤師会としても現場での声かけ、または掲示物という取組について各都道府県薬剤師会へ通知を発出、また併せて各地域の会議においてもお願いをして会員への普及啓発に努めているところであります。今後もこの啓発等は進めてまいりたいと思っています。また、そのような中でスライド6に示されておりますが、薬局においても利用率が少しずつ微増しているものと受け止めております。
 従来、薬局では、処方箋において被保険者番号を確認して保険証自体の提示を求めてこなかったという経緯もありますので、今後は電子処方箋や電子カルテ共有サービス等の稼働も視野に入れて、医療DXの推進に向けて医療情報の取得、活用という部分を根幹となるマイナ保険証の使用促進につなげていければと思っています。
 それと、オンライン資格確認の用途拡大についてですけれども、これは追加機能として今、医療扶助や在宅への対応、そして公費というふうに順次進んでいっていますが、頻回なシステムの改修が大変現場に負担がかかって煩雑な状態になっています。ぜひベンダーとの調整の部分も含めて、厚生労働省においては医療DX全体像として各関係部署と連携していただいて、また関係者とも連携いただいて丁寧な対応を図っていっていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 私から以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、北川委員よろしくお願いします。
○北川委員 ありがとうございます。
 マイナ保険証の利用促進等につきましては、本年12月のマイナンバーカードと健康保険証の一体化が今後の医療DXを発展させるためのスタートラインだと認識しております。協会けんぽとしましても、この普及促進は最大のテーマであると認識しております。
 私自身も全国の支部長会議や年末年始の全職員向けの挨拶など、機会があるたびに個人レベルでの利用促進も含めて、最重要課題として取り組むことを発信しているところであります。
 一方で、加入者の皆様に対しては様々な不安払拭のための取組としまして、協会ホームページでマイナ保険証についての特設ページを設けたり、加入事業所にお送りする納入告知書や医療費通知にマイナ保険証の利用を呼びかけるリーフレットを同封したりと、利用促進に向けた取組をきめ細かく推進しているところです。
 ただ、保険者の呼びかけのみでは限界がございます。先ほど御指摘がありましたが、実際の利用の現場においてなかなか保険者の呼びかけでは力を発揮することはできません。8ページに掲げられているとおり、医療機関、薬局の受付でぜひマイナ保険証をお持ちですかとお声がけしていただくことや、様々な周知手段を御活用いただくことをお願いしたいと考えております。
 本件については広く国民に伝え、広める一大キャンペーンであると認識しておりますが、国におかれましては先ほど御指摘のあった使い方も含め、これから新しく導入されます資格確認書や資格情報のお知らせなどの新しい仕組みについての全体像を理解しやすい形で、体系的かつ一元的な周知広報に早期に着手していただくなど、効果的な媒体を選定の上、何回かのピークを設定するなど、より一層積極的、集中的な取組をお願いしたいと思っております。
 マイナ保険証の一層の利用促進に向けましては保険者として全力で取組を進めていく所存ではありますが、先ほどお話もありましたとおり、利用率についてはどうしても結果としての側面が強いものと認識をしております。保険者が主体的に目標設定するということは、若干なじまないのかなと考えております。
 9ページにありますマイナ保険証の利用率目標に関しては、まずは関係機関が設定される目標等を踏まえ、国において具体的な数値をお示しいただければ、我々は保険者としてそこに向けて全力で取り組むというように考えておりますので、御検討をお願いしたいと思っております。
 また、今後、資格確認書等の発行に当たっても迅速、正確に届く体制の整備に注力してまいりたいと考えております。
 他方、マイナンバーカードにより支障なく医療機関等の受診を行える仕組みの構築も重要と考えております。17ページにありますように、「職域診療所におけるオンライン資格確認の仕組み案」等について、オンライン資格確認が広く利用できるようになることは大変喜ばしいと考えております。
 一方、オンライン資格確認については当初、保険者に実施義務のある特定健診の情報をマイナポータルで閲覧できるようにするとのお話でございました。その後、レセプト情報や電子処方箋情報が追加されるなど、オンライン資格確認等のシステム基盤の新たな活用方策が次々に打ち出されております。都度、個別に費用負担についての議論が行われております。
 今回のお話も含め、オンライン資格確認については今後も医療DXの流れの中で電子カルテの情報の活用など、さらなる拡充が図られていくことが想定されております。システム構築に当たっては大きなシステム投資が必要となることから、その利用の実態をきちんと踏まえた費用負担の在り方が議論されなければなりません。検討に当たっては、まず全体像を示した上で御議論いただき、利活用の場面、ユースケースを整理し、その役割や受益等を踏まえて検討を進めていただくよう、改めてお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、伊奈川委員よろしくお願いします。
○伊奈川委員 ありがとうございます。
 このいただいた資料の6ページを見まして私は少し驚いたところでありまして、先ほど来御指摘があるように、若者のマイナンバーカードの保有率が低いというところが特に目に留まりました。そういう点では、たしか厚生労働省においては、以前から社会保障教育ということに力を入れてきておられると承知しておりまして、やはりそういった場面などを活用するというようなことも重要かなと思った次第であります。
 日頃、大学で教えておりますと、年金の加入についてはかなり今、若者も承知しています。当然ながら保険料のことがありますので承知をしているわけですけれども、そういった点でちょうどこれを拝見しますと大学生辺りの年代層でありますので、そういった取組も大事ではないかと思った次第であります。
 以上であります。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
 では、ほかに御意見がないようでございますので、本議題についてはこれまでとしたいと存じます。
 次に、事務局から別途、報告事項があるとのことですので、まずはこども家庭庁長官官房参事官支援金制度等担当の方から御報告をお願いいたします。
 では、よろしくお願いいたします。
◯田中参事官 こども家庭庁長官官房参事官でございます。
 私からは、資料の2に基づきましてこども・子育て支援につきまして、昨年12月22日に「こども未来戦略」といたしまして閣議決定された事項のうち、こども家庭庁で検討を進めておりますこども・子育て支援金制度(仮称)を中心に御報告を申し上げたいと思います。
 1ページでございますけれども、こども未来戦略「加速化プラン」がございます。御案内のとおり、2022年の出生数は77万人余りとなってございまして、近年、特に少子化のスピードが加速をしてございまして、また人口減少も加速化をしている状況でございます。政府といたしましては、少子化は我が国が直面する最大の危機であると捉えまして、スピード感を持ってこれまでにない規模の対応を講ずることとしてございまして、この3.6兆円の施策の充実につきまして昨年末に閣議決定したところでございます。
 柱が3本ございまして、1つ目が「若い世代の所得向上に向けた取組」ということで、この中では児童手当の抜本的な拡充といったものが入ってございます。
 2つ目の柱が「全てのこども・子育て世帯を対象とする支援の拡充」ということで、「こども誰でも通園制度(仮称)」といったものの創設が入ってございます。
 3点目には「共働き・共育ての推進」ということで、男性の育休取得目標の大幅な引上げを目指しまして育休制度の拡充などを掲げておるというところでございます。
 次の2ページでございますけれども、この加速化プランの財源につきましては2ページの下のほうに図がございますが、既定予算の最大限の活用等ということで1.5兆円程度、歳出改革の徹底等による公費節減の効果ということで1.1兆円程度のほか、歳出改革と賃上げによって実質的な社会保険負担軽減の効果を生じさせ、その範囲内で支援金制度1.0兆円程度というものを構築することとしてございます。
 3ページでございますが、この加速化プランの実施に当たりまして、こども家庭庁の下に2025年度にこども・子育て支援特別会計(仮称)、いわゆる「こども金庫」というものを創設いたします。中ほどに絵がございますけれども、既存の2つの特別会計の事業を統合いたしまして、こども・子育て政策の全体像と、こども・子育て支援金(仮称)をはじめとする費用負担の見える化を進めることとしてございます。この下の絵の歳出のところに※印がついておるものに支援金を充当するというふうに予定をしてございます。
 4ページでございますけれども、今般の少子化対策につきましては、財源確保は令和10年度までかけて積み上げてまいります一方で、例えば児童手当については本年10月分から拡充を実施するなど「給付先行型の枠組み」となっておりまして、それまでの間につきましてはつなぎとして「こども・子育て支援特例公債」(仮称)というものを発行するということにしてございます。
 5ページからが「こども・子育て支援金制度」の御説明になります。
 実効性のある少子化対策の推進が高齢者を含みます全ての国民、企業を含む全ての経済主体にとって極めて重要な受益となることから、今回のこども・子育て支援金制度につきましては少子化対策に受益を有する全世代、全経済主体が子育て世帯を支える「新しい分かち合い、連帯の仕組み」と考えてございます。左の下にイメージ図を載せておるとおりでございます。
 次の6ページでございますが、支援金と医療保険の関係についてでございます。
 下のほうに絵を載せてございますけれども、支援金制度につきましては充当対象事業に係る費用の拠出のため、医療保険者の皆様に被保険者等から保険料とあわせましてこども・子育て支援金を徴収していただきまして、国にこども・子育て支援納付金(仮称)という形で納付をすることをお願いする仕組みとしてございます。
 考え方につきましては箱の中にまとめてございまして、繰り返しになりますが、少子化、人口減少に歯止めをかけることが医療保険制度を含む社会保険制度の持続可能性を高め、その存立基盤に係る重要な受益となること、または医療保険制度は他の社会保険制度に比べて賦課対象者が広く、支援金制度と同様、全ての世代による分かち合い・連帯の仕組みとして一定の広がりを持った制度であることなどを挙げておるところでございます。
 次の7ページでございますが、支援納付金、こども・子育て支援納付金についてまとめてございます。
 各年度、毎年度におきます支援納付金の総額につきましては充当事業の所要額の変動に対応いたしますため、毎年末の予算編成過程におきましてその見込み額を基にこども家庭庁が支援金を拠出する立場にある関係者等の意見を聴取しつつ、その年度までに生じた実質的な社会保険負担軽減の効果の範囲内で決定することにしてございます。
 支援納付金総額に対する医療保険者間での費用負担の分担については左下の図のとおり、後期高齢者医療制度とその他の医療保険制度の間は医療保険料の負担に応じて按分、被用者保険と国民健康保険の間は加入者数に応じて按分、被用者保険者間、被用者保険の間は総報酬に応じて按分としたいと考えてございます。
 支援納付金の医療保険者からの徴収に係る事務につきましては介護納付金の事務を参考としつつ、国の事務につきましては社会保険診療報酬支払基金において実施をすることを予定してございます。
 次の8ページでございますが、支援金の徴収等についてまとめてございます。
 1点目でございますが、医療保険者の皆様に被保険者から徴収いただく支援金につきましては医療保険料の賦課・徴収の方法を踏まえ、各医療保険者の支援納付金の額に照らしまして保険者において設定いただくことといたします。
 ただし、注1にございますとおり、被用者保険者につきましては実務上、国が一律に示すことといたします。
 2点目でございますが、国民健康保険及び後期高齢者医療制度におきましては低所得者に対する応益分の支援金の軽減措置ですとか、被保険者の支援金額に一定の限度額を設ける措置等を講じることといたしております。詳細につきましては、現行の医療保険制度に準ずる形で実施をしてまいりたいと考えております。
 3点目でございますが、国民健康保険における支援金につきましては本制度が少子化対策に係るものであることに鑑みまして、こどもがいる世帯の支援金の金額が増えないよう、18歳に達する日以降、最初の3月31日以前までのこどもに係る支援金の均等割額の10割軽減の措置を講じたいと考えております。
 注の2に記載してございますが、この軽減の財源につきましては未就学児の5割分は公費負担といたしまして、未就学児の残りの5割分及び6歳から18歳までのこどもに係る分につきましては対象となるこども以外の国民健康保険被保険者の支援金で支えることにしたいと考えてございます。
 上の四角の4点目でございますが、国民健康保険、後期高齢者医療制度における支援金の賦課に当たって、負担の効率性の観点から金融所得を勘案するということにつきまして引き続き検討を行ってまいりたいと考えてございます。
 5点目でございます。医療保険者への財政支援としまして、医療保険制度における介護納付金の例を参考にしまして、注3に詳細を記載してございますけれども、保険者の支援納付金の納付業務に係る事務費の国庫負担等、または国民健康保険に関する定率負担・補助等の措置を講じることといたします。
 9ページでございますが、実施時期等についてでございます。前のページまでの内容に沿いまして、本年の通常国会の法案提出に向けまして引き続き検討を進めてございます。
 2点目、実施時期についてでございますが、医療保険者の皆様、または支払基金等における準備作業は必要でございますので、支援金制度につきましては2026年度から開始をしまして2028年度までに段階的に構築することにしてございます。
 併せて、法律の中で支援金制度は実質的な社会保険負担軽減効果の範囲内で構築することや、2028年度までの各年度の支援金総額、または歳出改革の推進の基本的考え方など、必要な事項を規定することとしてございます。
 この後ろのページにつきましては、参考資料といたしまして閣議決定されました「こども未来戦略」の抜粋をおつけしておりますけれども、説明は省略をさせていただきます。
 先ほど申し上げましたとおり、こども・子育て支援金制度につきましては本年通常国会に法案を提出いたしまして、成立をしましたら再来年、令和8年度の施行を予定しておりますが、制度の詳細の詰め、またはシステム改修の進め方など、医療保険関係者の皆様の御意見をよくよく伺いながら、また保険局の皆様とも連携しながら進めてまいりたいと考えておりますのでよろしくお願い申し上げます。
 私からの御報告は以上でございます。
◯田辺部会長 御説明ありがとうございました。
 それでは、報告事項ではございますけれども、御意見、御質問等ございましたらよろしくお願いいたします。
 では、佐野委員よろしくお願いします。
◯佐野委員 ありがとうございます。
 まず、こども・子育て支援については現役世代が加入している健保組合にとっても極めて重要な課題であって、健保組合もその役割をしっかり果たしていきたいと考えております。
 そういう中で、今回こども家庭庁の支援金制度等の具体的設計に関する大臣懇話会においても我々の要望の相当部分を取り入れていただいたということでございまして感謝申し上げたいと思います。
 その上で2点、確認も兼ねて質問させていただきたいと思います。
 まず1点目ですけれども、こども家庭庁の「大臣懇話会」や、昨年の医療保険部会でも申し上げたのですが、社会保険料と「こども・子育て支援金」は異なる性質のものであって、医療保険の徴収ルートを活用するとしても説明責任を国が負うとともに、医療保険者の役割は代行徴収にとどめるべきだと考えております。
 その上で、今回お示しいただいた資料では、今、御説明がありましたように、「被用者保険については実務上、国が一律に示す」とされております。これは我々の要望を踏まえたものと理解しておりますけれども、具体的にはどのような運用を想定されているのでしょうか。
 併せて、健保連としては支援金の料率設定については組合会の議決事項の対象外とするようにお願いをしてきたところでございまして、その検討状況についても教えていただければと思っております。
 それから、2点目でございます。今回、支援金制度とは別な話でございますが、同じく代行徴収の意味合いが強いにもかかわらず、医療保険者が説明責任を負っている介護保険料の在り方についても、一律の率を示すなどの要望をしてまいりました。この要望について、現時点で厚労省の御見解、また検討状況もお伺いしたいと思います。
 以上でございます。
◯田辺部会長 2点御質問がございました。1点目は被保険者のところの具体策、それから組合議決権の対象外という認識だということでございますけれども、この点の御回答をお願いいたします。
◯田中参事官 こども家庭庁参事官でございます。
 こども・子育て支援金制度では被用者保険につきましては令和8年度、制度導入当初から総報酬割で拠出をお願いするということも踏まえまして、こども家庭庁におきまして実務上、一律の支援金率というものを設定いたしまして、健保組合を含む被用者保険者にお示しすることを想定してございます。
 各健保組合におかれましては健康保険法の規定に基づき支援金率を設定いただくことを想定してございますが、国から示された料率を原則そのまま設定いただきまして、その場合には組合会での支援金の料率の議決は必要としないということを明確化する方向で、健保連の御意見も伺いながら、健康保険法の所管課である保険課と調整をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
◯田辺部会長 2点目は介護保険ですけれども、お願いします。
◯山下課長 保険課長でございます。
 被用者保険の保険者によります支援金の率の設定、及び、その取扱いにつきましては今こども家庭庁から発言のありました方向でよく調整をしてまいります。
 また、併せまして、こども・子育て支援金制度の創設を契機としまして、健康保険組合の介護保険料の料率設定に関しましても組合会での議決、これに関しまして、一定の整理を行うことを検討しております。これにつきましては、健康保険組合連合会の意見も伺いながら、支援金関連法案の成立を受けまして具体的にお示しができるよう、こども家庭庁とともに、介護納付金の話は老健局も関係しますので、よく調整をしてまいります。
◯田辺部会長 佐野委員。
◯佐野委員 ありがとうございます。
 今後、当然この率等の細部の検討に当たっては、我々医療保険者との協議もぜひお願いしたいと思います。
 また、いずれにしても加速化プランの実行に当たっては歳出改革とセットとなっておりますので、現役世代の負担軽減に向け、改革工程で示された取組の徹底した歳出改革も着実に進めていただきたいと思っております。
 以上でございます。
◯田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、原委員よろしくお願いいたします。
◯原委員 ありがとうございます。
 こども・子育て支援策を強化して少子化の流れを反転させるということは我が国の社会保障制度にとっても大変重要な意義があると思っておりますので、関係者はできるだけ協力をしていくということであろうと思います。
 そういう中で、医療保険関係者の中でも特に都道府県や市町村におきましては近年、自治体システムの標準化への対応だとか、あるいは今日の議題になっていますマイナ保険証の利用促進、それから医療・介護DXというものが今どんどん進んでおりまして、大変業務が過重になっております。
 特に国保においては被用者保険と異なりまして、保険料を給与から源泉徴収できないという仕組みがございまして、支援金の賦課徴収業務の負担や、あるいは保険財政への影響ということが心配されるところでございます。このため、先ほどから出ていますこども家庭庁が主催されました懇談会の場でも発言をさせていただきましたけれども、支援金制度の創設に伴い生じる事務負担や財政負担については十分な配慮をお願いしたいということでございます。
 特に心配しているのは、実施スケジュールの関係でございます。令和8年度からの実施ということでございますが、国における予算措置は早くても来年度補正予算対応と聞いております。実施に向けての準備期間は1年足らずというふうに限られてきますので、非常にタイトなスケジュールとなることが予想される点について御留意願いたいと思います。
 具体的には、都道府県、市町村においては先ほど申し上げた多くの課題に対応しなければならない中で、国保保険者として各種条例や規則の改正作業、新たな仕組みによる支援納付金や保険料の算定作業、被保険者への周知、様々なシステムの改修など、現場レベルにおいて多大な事務負担が加わることとなります。
 国におかれましては、こうした状況を勘案して準備のための情報提供を早め、早めに行っていただきながら、制度実施までの準備期間を十分に確保していただくとともに、必要となる費用について都道府県、市町村の追加負担が生じないよう、国の責任で財政支援を行っていただくようお願いを申し上げます。
 特にシステム改修につきましては、私ども国保中央会が国からの依頼に基づいて実施をすることになろうかと思いますが、保険者、被保険者の皆様に御迷惑がかかることがないように、早め、早めの情報提供を行っていただくとともに、十分な準備期間と必要な財源が確保されるよう御配慮をいただきたく、重ねてお願いを申し上げる次第でございます。よろしくお願い申し上げます。
◯田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、前葉委員よろしくお願いします。
◯前葉委員 ありがとうございます。
 2点発言しますが、前段はこども家庭庁へのお尋ねも含めて発言させていただきます。それで、後段は社保審医療保険部会の委員としてのコメントになります。
 前段で、こども政策充実強化に力を入れている市長の一人として、この加速化プラン、そしてそれを支える安定的な財源3.6兆を確保するということは極めて重要だと思っておりますし、これまでこども家庭庁さんがそれに向けて努力をなさってきたということは大変ありがたいことだと敬意を表します。
 その上で、この3.6兆が新たな実質的な負担がない形で、国民が実施的に負担を増やさない形で確保されるということについて、そのように巷間言われているのですが、これが具体的な議論になってきたときに支援金という言葉で出てくるんです。保険からの支援金です。
 支援金ということは、結局はお金が出ていくわけで、被保険者の追加負担になるのではないかという印象になりますので、こういうスキーム自体がこれから国会の法案審議でもいろいろと議論になるのかもしれませんが、令和10年までにこの3.6兆をしっかり生み出すんだということ、そのことをこども政策に充てていくんだということを不退転の決意で政府としては示したわけなので、そのことをこども家庭庁さんはどういうふうに国民に知らせていきますかということですね。そのこと自体を広くきちんと知らせていかないと、なかなか国民が理解しにくいと思います。
 特に後から支援金の話がどんどん様々議論になっていくと、結局我々の負担ではないかということになりませんか、そう受け取られませんかというお尋ねも含めて、そう受け取られることがないように、やはりこのスキームそのものをかなり丁寧に国民に説明をなさる必要が国としてあるのではないでしょうか。そのプランをお示しください。
 2点目は、それを受けて社保審として、この社会保障改革の中で1兆円を生み出しますよという議論に医療保険部会としては関わっていくわけなのですが、これはなかなか大変だと思うんです。改革により、生み出していく。これは丁寧な議論が必要でございますし、ある意味、1兆円を生み出すというためになされる議論ということではなくて、そもそもこの社会保障制度の在り方そのものの中でしっかりした議論をしていく。それにこの審議会の医療保険部会がしっかりと関わっていくということが重要かと思いますので、その点、発言をさせていただきました。
 前段は、ぜひお答えをよろしくお願い申し上げます。
◯田辺部会長 では、よろしくお願いします。
◯田中参事官 こども家庭庁参事官でございます。
 御質問いただきました実質的な負担がないというところでございますけれども、支援金制度につきましては今日の資料で申し上げますと9ページにございますが、実質的な社会保険負担軽減の効果の範囲内ということについては、実質的な負担が生じないということについては全体、マクロの話としての社会保障に係る国民負担率の話であるというふうに国会等でも答弁させていただいておるところでございます。
 具体的な制度設計としまして、この2つ目のポツにございますけれども、法律の中で実質的な社会保険負担軽減の効果の範囲内で構築するということを規定していくという方向で検討してございます。まだ中身については検討中でございますけれども、そうした形で政府として法律的な形でお約束することを考えてございます。
 また、実際の支援金の負担につきましては所得に応じた負担ということを予定してございます。低所得の方の軽減もするということでございますけれども、実際に所得、または世帯の状況によって、個々の被保険者の方の御負担というのは様々であろうということも想定されますので、しっかり制度の趣旨、または御負担いただくことについて国民の皆様が御理解いただきますように周知広報、御説明に努めてまいりたいと考えてございます。
◯田辺部会長 前葉委員、よろしゅうございますか。
◯前葉委員 ありがとうございます。
 国民に対してそのようにぜひしっかりと周知広報をお願い申し上げますが、法律が通る以上、我々市長たちというのはそれをしっかり自分たちのいるところで説明する責任もあり、かつ、そういう役割もありますので、全国市長会に節目、節目に丁寧な御説明をよろしくお願い申し上げて、市長の理解を深めていくということは大切かと思いますので、ぜひこども家庭庁さんよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
◯田辺部会長 それでは、中村委員よろしくお願いします。
◯中村委員 こちらはどうして税金ではなくて医療保険の仕組みを通じて財源を求めるのかというのがどうも分かりにくい気がいたしまして、税ではない形で財源を求める理由というのをより明確に示していただく必要があるのではないかと思います。個人的には、これは本当は税金でやるべきではないかという意見に対して明解な反論をするのは経済学的に考えても、法的に考えても、法律については分かりませんが、難しいのではないかと思っております。
 それから、細かいことで言いますと、9ページの丸ポツの下から2つの「国民健康保険及び後期高齢者医療制度における支援金の賦課に当たっては、負担の公平性の観点から、金融所得を勘案することについて、引き続き検討を行う。」とありますが、金融所得を勘案するというのは経済学的に考えてよい考えではないかと思いました。
 以上です。
◯田辺部会長 ありがとうございました。
 前半は御質問だとすると、答える方はいらっしゃいますか。
 では、お願いいたします。
◯田中参事官 こども家庭庁参事官でございます。
 少子化対策は今回3.6兆円ということでございますけれども、財源調達につきましては歳出改革、または既定予算の活用というのは様々に入ってございますが、当然公費も含めた上での財源調達をしていくということになりますけれども、この支援金制度につきましては少子化、または人口減少が進んでいくということが我が国の社会保険、または医療保険の存続にとっての重大な存続基盤への影響を与えるということをもって「新しい分かち合い・連帯の仕組み」として今回検討して、これから国会のほうで法案を御提出して御議論いただきたいということでございまして、公費による財源調達をやらなくていいというわけではなくて、今回組合せの中でのこういった御提案、または閣議決定がされているというふうに承知をしてございます。
◯田辺部会長 では、兼子委員よろしくお願いいたします。
◯兼子委員 ありがとうございます。
 私の前の委員の方の御発言と似たような形になるのですが、要するにこども・子育ての問題は社会的に支えていかなければならないというのは分かるわけですけれども、税負担、それから保険などを組み合わせることによって非常に分かりづらい。事務局の方も大変な御苦労をされたのではないかと思いますけれども、やはり税の場合は基本的には消費税を除けば緩やかな累進的な形で財源が捻出されるわけですが、保険料の場合は上限額が設定されていますので、そういう意味では税の負担とは全く違った形での負担になるわけですね。こういった組合せが、本当に国民に分かりやすいのか。
 それと、私ども高齢者のところですけれども、年金生活者は多いわけです。所得もそういう意味では低い層になりますが、やはり保険料での負担でいきますと、どちらかといえば今、言った上限設定がありますので、割合からいきますと所得の低い人に過重な、かなり低いところについては特別な配慮はされているわけですけれども、全体的に見た場合、やはり高齢者のところは所得の低いところの負担で支えられているのではないか。そういう意味で、どこまで高齢者の理解が進むのか。この辺については大きな疑問がございます。
 そういう意見ですので、この場での御回答といってもちょっと難しい点もあろうかと思いますので、意見として申し上げました。
 以上でございます。
◯田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、袖井委員。
◯袖井委員 私はなかなかこれが理解できないのですが、一番気になるのは歳出改革というか、社会保障改革を徹底してということですが、これはどうやってやるのかが非常に気になるところです。
 介護保険につきましては今回は通らなかったのですが、軽度の人たちを介護保険から外すとか、ケアマネを有料化するとか、個人負担を1割から2割にするという話がずっと出てきているわけですね。それで、医療保険についても底流としてそういう考え方があるのか、厚労省の方にお聞きしたい。
 介護と違って医療の場合、命に関わるという問題があるので、どこを歳出削減するのか、とても分かりづらい。いろいろな意味で無駄もあるかもしれませんが、せいぜい薬価を下げるとかジェネリックを使うということくらいかと思うのですが、そこから出てくる額というのは全然大したことはないんですね。
 この歳出削減ということによって医療サービスを減らすということ、あるいはなるべく国民に医療を使わないようにしましょうとか、そういうようなお考えがあるのかどうか、お聞きしたいのですが。
◯田辺部会長 では、回答をよろしくお願いします。
◯池上課長 保険局総務課長の池上でございます。
 ただいまの御指摘、子育て支援に係る支援金分の社会保障の削減をどういうふうに考えていくのか、あるいは公費の部分の削減をどう考えていくのかという御質問かと思います。
 これは後ほど少しお時間をいただきまして資料4-1で御説明さしあげますけれども、その中でまさに次元の異なる少子化対策を行うためも相まって、今後、全世代型社会保障構築をどういうふうに進めていくのか、その制度改革の部分も含めて年末にまとまったものがございますので、この後の時間で御説明させていただこうと思います。よろしくお願いいたします。
◯田辺部会長 ほかはいかがでございましょうか。
 では、村上委員お願いいたします。
◯村上委員 ありがとうございます。
 こども・子育てを社会全体で支えることは重要だと考えていまして、そのための財源確保策として提案されている支援金制度につきましては、様々な課題があると考えております。その点は以前この部会でも申し上げましたし、意見聴取の場である大臣懇話会でも述べたとおりです。
 この制度に関する具体的な議論の場はこの場ではないと考えておりますが、2点お伺いしたいと思います。
 1点目は7ページの上のほうにありますが、「各年度における支援納付金の総額は、充当事業の所要額の変動に対応するため、毎年末の予算編成過程において、その見込み額を基に、こども家庭庁が支援金を拠出する立場にある関係者等の意見を聴取しつつ、その年度までに生じた実質的な社会保険負担軽減の効果の範囲内で決定。」と記載されているところについてです。ここで書かれている「支援納付金の総額に関して、支援金を拠出する立場にある関係者等の意見を聴取」するという部分は、具体的にどのような姿をお考えなのでしょうか。
 2点目は、社会全体で広くということに照らしてみたときに、被扶養者の負担をどう考えるのかという点について、現時点の考えを教えていただきたく思います。お願いいたします。
◯田辺部会長 2点ほど御質問がございましたので、回答のほうをお願いいたします。
◯田中参事官 こども家庭庁参事官でございます。
 まず、7ページの「関係者等の意見」というところでございますけれども、こちらにつきましては具体的には法律、法案の中でどういった場でということを規定いたしまして、その施行に向けて検討ということでございますが、拠出する立場にあるということでございますので、労使、または自治体の関係者、または医療保険関係の方々などということを想定してございますけれども、具体的には制度の施行に向けて検討していくというふうに考えてございます。
 2点目の被扶養者でございますけれども、今回支援金につきましては保険料とあわせて医療保険の賦課徴収の方法を踏まえてということでございますので、被用者保険の保険料の賦課徴収についても基本的には現在の医療保険の賦課徴収と同じくということでございますので、被保険者に御負担いただくということになるのではないかと考えてございます。
◯田辺部会長 では、村上委員どうぞ。
◯村上委員 ありがとうございます。
 1点目につきましては、労使や自治体、医療保険者の方々ということでしたけれども、そういった関係者から、納付金の総額に関して年に1、2回程度意見を聴取する場があれば足りるというものではないと考えております。その使途であるとか、適切に使われているのかなどを説明いただき、拠出者の意見を反映する場は、ガバナンスの視点からも、真に国民的な合意を形成するという意味からも、必要不可欠と考えております。
 また、被扶養者の考え方についてですが、こちらは政府の「全世代型社会保障構築会議」の報告書にも掲げられております「働き方に中立的な社会保険制度の構築」に照らして、それに逆行することのないようにすることが必要と考えております。
 以上です。
◯田辺部会長 ありがとうございました。
 では、伊奈川委員よろしくお願いします。
◯伊奈川委員 ありがとうございます。
 私はこども家庭庁の懇談会の委員でございましたので、そこでは租税法律主義の関係については意見を申し上げたのですけれども、今回は医療保険の関係で何点かコメントをさせていただきたいと思います。
 特に6ページの資料の記述が重要なのではないかと思った次第であります。特に目に留まりますのは人口減少、少子化に歯止めをかけるということで、国民全体にとって重要な受益を持つという点が1つと、もう一つはその次にあります持続可能性という点、そして3点目が少し飛びますけれども、特に近年、一定の広がりを医療保険制度が持っている。この3点かなと思いました。
 その点に関していいますと、やはり医療保険の特質というのはまさに全世代型社会保障という点では生まれてから亡くなるまで全部をカバーしているということで、そういう点ではほかの社会保険にはない特徴を有しているというふうに思う次第であります。
 しかも、少子化ということを考えた場合、年金制度の場合はある程度、積立金というものを用意しているわけですけれども、医療保険のような短期保険はそういうことがありませんで、まさに人口構造の変化ということが保険料負担にも跳ね返ってくるということでありますので、そういう点ではこの問題というのは医療保険にとってはむしろ影響が大きいのではないかと思うわけであります。そういう点で、まさに持続可能性という点に関わると思った次第であります。
 また、最後の広がりという点に関しても考えてみますと、介護保険という形で医療保険は既に高齢者の医療とか福祉と接点を持っているわけでありますけれども、子どもに関してもここに書いていただいているように出産育児支援金という形で広がりを持つようになり、そしてさらにこういう形でまさに子どもの場合は将来の労働力でもありますので、見方によっては保険料の負担者ということでありますから、そういう点では将来の労働力に期待して一種の先行投資として医療保険からも負担をするということかなと私は理解しております。
 以上であります。
◯田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、北川委員よろしくお願いします。
◯北川委員 ありがとうございます。
 大臣懇話会におきましても発言させていただきまして、この場では繰り返しになりますので簡単に申し上げたいと思います。
 私ども保険者としましては、先ほど御指摘もありましたとおり、今回の支援金制度は全世代を対象とする医療保険制度の仕組みを援用し、少子化対策という国の重要施策を充実させるための支援金を国からお願いされて、医療保険者がいわば代行的徴収を行うものであって、医療保険者としての自主的・自律的な財政運営に影響を及ぼすものではないと理解しております。
 今後、本年の通常国会への法案提出に向けて検討を進められると思いますが、全国民に支援金の負担を求める理由や、その際、医療保険の賦課徴収ルートを活用する理由については引き続き国として責任を持って説明し、関係者の理解を得ていただくようお願いいたします。
 また、8ページ、保険者の支援納付金の納付業務に係る事業費の国庫負担等の措置を講ずると記載されておりますけれども、この点、今後の予算措置の中で確実に必要な費用を措置いただくよう、併せてお願いしたいと思います。
 以上でございます。
◯田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
 引き続いて総務課長のほうから報告事項があるようでございますので、お願いいたします。
◯池上課長 総務課長、池上でございます。
 私のほうから、資料3と資料4-1、4-2の3点を御説明させていただきます。
 まず資料3「令和6年度予算案(保険局関係)の主な事項等について」でございます。こちらにつきましては、1月26日からの通常国会に提出予定の予算案の内容の御説明となってございます。
 2ページ目からが診療報酬改定・薬価改定等についての御説明でございます。
 3ページを御覧ください。
 令和6年度の診療報酬改定等に関する大臣折衝事項ということで、昨年12月20日に厚労大臣、財務大臣の折衝が行われました。そのときの決定事項を御説明させていただきます。
 まず「診療報酬」、こちらは本体の部分になりますけれども、改定率はプラスの0.88%、本年6月1日の施行となってございます。
 内容的には①から④で構成されておりまして、まず①看護職員、病院薬剤師その他の医療関係職種について、令和6年度にベア2.5%、令和7年度にベア2.0%を実施していただくための特例的な対応としてプラス0.61%となっております。それから②入院時の食費基準額の引上げとしてプラス0.06%、③生活習慣病を中心とした管理料、処方箋料等の再編等の効率化・適正化としてマイナス0.25%。
④は①から③以外の改定部分ということになりますけれども、プラスの0.46%となっております。この中には※印で書いてありますけれども、40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師・薬局の勤務薬剤師、事務職員、歯科技工所等で従事する方の賃上げに資する措置分、プラス0.28%程度を含むものとなってございます。
 それから、2番は「薬価等」で、①薬価ですが、マイナス0.97%、これは4月1日の施行となります。②材料価格、マイナス0.02%、こちらは6月1日の施行となります。
 そのほか、3といたしまして「診療報酬・薬価等に関する制度改革事項」が掲げられておりますけれども、医療DXの推進による医療情報の有効活用等、それから調剤基本料等の適正化が挙げられているところでございます。
 それから、4といたしましては「医療制度改革」として長期収載品に関する記載がございます。後ほどの資料で御説明いたします。
 4ページは「令和6年度薬価制度改革の概要」となっております。
 主な改革事項として2つの箱が書いてありますけれども、まず1つ目「イノベーションの評価、ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロス解消に向けた対応」といたしまして、革新的新薬の特許期間中の薬価維持や、日本に迅速導入された新薬の評価などの対応が行われることとされております。
 それから右側、「医薬品の安定供給の確保」でございます。安定供給が確保できる後発品企業の評価、それから薬価を維持する「基礎的医薬品」の対象拡大などに取り組むということになってございます。
 5ページには、その詳しい資料をさらにおつけしてございます。
 6ページにいっていただきまして、長期収載品の保険給付の在り方の見直しについてでございます。こちらは、医療保険部会でも御議論いただいてきた事項になっております。
 1番目の「保険給付と選定療養の適用場面」、それから2番目の「選定療養の対象品目の範囲」につきましては、基本的に御議論いただいた方向での取りまとめとなってございます。
 3番の「保険給付と選定療養の負担に係る範囲」についてでございます。こちらの部会でも様々な御議論をいただいたところでございますけれども、患者負担での影響などを考慮いたしまして◯の1つ目にございますように、後発医薬品の最高価格帯との価格差の4分の3までを保険給付の対象とするとしてございます。
 それから、選定療養に係る負担は上記価格差の4分の1相当分とすることとしてございます。
 7ページ、「入院時の食費の見直しについて」でございます。こちらについても医療保険部会での御議論を踏まえましての対応となってございます。
 ◯の1つ目です。食材費等の高騰を踏まえた対応を行う観点から、入院時の食費を1食当たり30円引き上げることといたします。
 ただし、住民税非課税世帯の場合には20円、所得が一定基準に満たない場合には10円の自己負担引上げとする予定でございます。施行日は本年6月1日となってございます。
 8ページ以降は、その他令和6年度予算案の主な事項についての御説明でございます。
 9ページ、「安定的で持続可能な医療保険制度の運営確保」ということで、各医療保険制度などに関する医療費国庫負担、10兆1598億円となってございます。
 その内容としましては、診療報酬改定・薬価等改定が入りますほか、9ページの一番下に書いてありますけれども、18歳未満までの子ども医療費助成に係る国民健康保険の減額調整措置の廃止を6年度から実施することとしておりまして、その費用として39億円の国費を計上しているところでございます。
 10ページは「安定的で持続可能な医療保険制度の運営確保」で、「国民健康保険への財政支援」、それから「被用者保険への財政支援」、それぞれ掲げてございます。
 「被用者保険への財政支援」におきましては、昨年の制度改正に伴って行うこととされました430億円の支援が追加となってございます。
 以降、「医療分野におけるDXの推進」「予防・重症化予防・健康づくり」、それから13ページで「医療保険制度における被災者の支援」の項目を掲げてございます。
 14ページからが「令和6年度税制改正」に関する資料でございます。
 15ページを御覧ください。
 下から2つ目、「国民健康保険団体連合会の積立資産に係る見直し」、国民健康保険団体連合会が特定の者から委託を受けて行う請負業でその委託が法令の規定に基づき行われるものであること等の一定の要件に該当する事業につきまして、法人税法上の収益事業から除外することとなりました。
 それから、最後のところ、「賃上げ促進税制における看護職員処遇改善評価料等の取扱」でございます。こちらは、給与の増額を行うことがこの賃上げ促進税制の活用の前提となりますけれども、その増額の範囲から控除される分がございます。「給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額」がそれですけれども、それに看護職員処遇改善評価料などの役務の提供の対価の額が含まれないこととするというふうになりました。
 したがいまして、今回の診療報酬改定で加算等の措置が今、中医協で議論されておりますけれども、それによる賃上げもこの税制の活用の対象となってくるということでございますので、活用できる場合には活用いただくことで賃上げを支援する趣旨でこのような見直しが行われたところでございます。
 続きまして、資料4-1を御覧いただきたいと思います。
 先ほど袖井委員のほうからお話がございましたものに関係する資料になってございます。
内閣官房の全世代型社会保障構築会議で議論が行われまして、昨年12月22日に閣議決定されたものでございます。「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」という資料でございます。
 1ページ目、「今後の基本的な方針」の関係部分を抜粋しておりますけれども、3つに分けて議論するというふうになっております。「時間軸」といたしましてまず①来年度に実施する取組、②「こども・子育て支援加速化プラン」の実施が完了する2028年度までに実施について検討する取組、それから③2040年頃を見据えた中長期的な課題に対して必要となる取組の3段階に分けて実施していくことが考えられるとされてございます。
 ②に記載の取組については、2028年度までの各年度の予算編成過程において実施すべき施策の検討・決定を行い、全世代が安心できる制度を構築し、次の世代に引き継ぐための取組を着実に進める必要があるとされてございます。
 続きまして2ページでございます。
 「今後の取組」の1項目めとして「1.働き方に中立的な社会保障制度等の構築」が挙げられてございます。
 ②として2028年度までに実施について検討する取組として、短時間労働者への被用者保険の適用に関する企業規模要件の撤廃ですとか、あるいは3ページにいっていただきまして2つ目の◆ですけれども、「年収の壁に対する取組」が挙げられてございます。当面の対応策である「年収の壁・支援強化パッケージ」を着実に実行するとされてございます。
 4ページにいっていただきますと、「今後の取組」の2番目の項目になります「医療・介護制度等の改革」の部分でございます。
 <①来年度(2024年度)に実施する取組>については、昨年の制度改正の内容ですとか、あるいは来年度予算の編成過程で固まった事項が挙げられてございます。前期財政調整における報酬調整の導入などが掲げられてございます。
 続いて6ページにいっていただきまして、こちらは同じく2の「医療・介護制度等の改革」に関する事項ですけれども、②で2028年度までに実施について検討する取組となってございます。
 まず(生産性の向上、効率的なサービス提供、質の向上)の分野ですけれども、「医療DXによる効率化・質の向上」、それから7ページにいきまして一番下のところ、薬の関係ですが、「イノベーションの推進、安定供給の確保と薬剤保険給付の在り方の見直し」などが掲げられております。
 8ページですと、2つ目の◆で「国保の都道府県保険料水準統一の更なる推進」も掲げられてございます。
 それから9ページ、(能力に応じた全世代の支え合い)についての部分になります。
 1つ目の◆で「医療・介護保険における金融所得の勘案」、それから3番目の項目で「医療・介護の3割負担(「現役並み所得」)の適切な判断基準設定等」などが挙げられてございます。
 10ページ、(高齢者の活躍促進や健康寿命の延伸等)の分野でございます。
 「疾病予防等の取組の推進」が1つ目、それから3番目は「経済情勢に対応した患者負担等の見直し」といたしまして「高額療養費自己負担限度額の見直し」などが掲げられているところでございます。
 そのほか、11ページは<③2040年頃を見据えた、中長期的な課題に対して必要となる取組>が記載されてございます。
 最後に資料4-2でございますが、「新経済・財政再生計画 改革工程表2023」というものでございます。こちらは昨年の12月21日に決定されてございます。
 社会保障の分野では医療・介護分野におけるDXの推進等といった効果的・効率的で質の高い医療・介護サービスの提供体制の構築、働き方に中立的な社会保障制度の構築や予防・健康づくりの推進、医薬品をめぐるイノベーション推進と国民皆保険の持続可能性の両立といったテーマに沿いまして、全世代型社会保障構築に向けた改革工程と連携しつつ、効果的な歳出改革のための取組が記載されてございます。内容は多岐にわたりますので、ここでの御説明は省略させていただきます。
 御説明は以上でございます。
◯田辺部会長 御説明ありがとうございました。
 こちらも報告事項ではございますけれども、御意見、御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。
 では、佐野委員よろしくお願いします。
◯佐野委員 ありがとうございます。
 今、御説明がありました令和6年度予算案につきましては健保組合の支援を増額いただいたことについて感謝を申し上げたいと思います。この追加支援は、制度改革に伴う現役世代の負担増を抑制するものと理解しております。
 と言いつつも、一方、健保組合は現在、令和6年度に向けて予算編成を行っておりますけれども、拠出金ですとか、または足元の医療費の増加等によって料率引上げを迫られる健保組合が相当数見込まれるなど、大変厳しい状況にあると聞いております。
 今般の増加についても、令和6年度から特例的にとなっておりますけれども、こうした厳しい状況を踏まえて7年度以降もぜひ継続実施いただくとともに、支援の増額も併せて検討いただければと思っております。
 以上でございます。
◯田辺部会長 ありがとうございます。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、原委員よろしくお願いします。
◯原委員 ありがとうございます。
 まず初めに予算で言いますと国保総合システムに対する国庫補助の確保、それから税制改正で言いますと国保連合会に係る積立資産の見直し、保険局の皆さんに御尽力いただいて確保していただきましたことは大変感謝を申し上げたいと思います。
 あとは、社会保障の全世代型の改革工程の関係で、これは多分この医療保険部会でも今後具体的に個別に議論がされていくのだろうと思いますけれども、今回見まして国保制度あるいは後期高齢者医療制度関係で幾つか指摘が出ております。
 特に気になっているのが、これは前から財政制度審議会等から指摘があるのですけれども、生活保護受給者を国保制度に加入させてはどうかと、介護保険などを見ながら言っておるのかもしれませんけれども、このところが我々としては大変問題ではないかと考えております。我が国の国民皆保険体制やその基盤となっている国保制度の重要性についてはほとんどの方が認めておられるかと思いますけれども、国保制度は高齢化や産業構造の変化、それから地方の過疎化などの進行によって被保険者の平均年齢が高くて、その上、年金受給者や無職者など、所得水準が低い被保険者が多くを占めております。このような保険者の責に帰せられないような構造問題によって、事業運営が大変不安定になっているということでございます。
 こういった状況の中で、生活保護受給者の国保制度への加入ということは事業運営をさらに不安定化させるものであり、保険料を主たる財源として、しかも被保険者の健康づくりなど、保険者機能の発揮ということを前提とした社会保険の基本理念からしますと、いろいろ多くの問題があるのではないかと考えております。
 それからもう一点、似たような趣旨になりますけれども、現在政府が進めております勤労者皆保険、被用者保険の適用拡大、これも今回の改革工程にかなり具体的に出てきておりますけれども、これは労働行政という観点ももちろんありますが、社会保険でいいますと年金制度サイドから見ますと、年金額が少ない国民年金のみの受給者対策等としては一定の成果があると思いますが、医療保険サイドから見た場合にはメリットももちろんあると思いますが、課題もあるのではないかと考えております。
 被用者保険の適用拡大を進めていくことは、勤労所得を有する国保の被保険者が被用者保険に移ることを意味することになるわけでございまして、国保制度の財政基盤に影響を与えないか、懸念をされるところでございます。被用者保険の適用拡大については、こうした国保制度の財政基盤への影響に十分留意した上でいろいろと知恵を出し合って、その在り方について検討を進めていただければと考えております。
 これ以外にも、国保の普通調整交付金の配分方法の見直しでありますとか、国保制度等における金融所得、あるいは金融資産の勘案といったような項目についてもやはり制度の財政基盤や運営の在り方に大変大きな影響を及ぼすものでありますので、その検討に当たっても保険者の皆様方の意見を十分聞いていただいて、十分な検討を進めていただければと考えているところでございます。
 以上でございます。
◯田辺部会長 ありがとうございました。
 では、横本委員よろしくお願いします。
◯横本委員 経団連の横本でございます。
 全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋につきまして、1点発言したいと思います。
 政府におきましては、昨年末、全世代型社会保障の構築に向けて、社会保障の制度改革及び歳出の見直しとして改革工程が取りまとめられました。現役世代が減少する中で、医療、介護保険制度をはじめとする社会保障制度の持続可能性の確保は喫緊の課題であります。本工程の早期実現を図るとともに、その際にはぜひ現役世代の保険料の負担増の抑制につながるような施策に注力いただくようお願いいたします。
 私からは以上です。
◯田辺部会長 ありがとうございました。
 では、猪口委員よろしくお願いします。
◯猪口委員 ありがとうございます。
 全世代型の社会保障を構築するためには、社会保障の財源をしっかりと確保することがやはり不可欠だろうと考えております。
 しかし、その確保のために疾病とか障害、こういうものに苦しんでいる人のための財源を決して切り崩してはならないということを日本医師会としては主張してまいりました。政府には必要な医療を制限することがないよう、議論と協議を丁寧に重ねながら進めていっていただきたいことを要望いたします。
 以上です。
◯田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。
 では、藤井委員よろしくお願いします。
◯藤井委員 ありがとうございます。
 昨年の12月にすばらしい改革工程が決定されましたので、ぜひ取組を進めていただければと思います。
 なお、医療・介護に係る自己負担割合3割の対象拡大をはじめとする応能負担拡大への改革など、その工程に縛られず、前倒しで結論を得るよう議論を進めて、速やかに実施に移るべきだと考えます。
 また、自助の取組の促進を強調したいと思います。国民がヘルスリテラシーを向上させ、セルフメディケーションを実践できるよう、コラボヘルスや健康経営推進の後押しと支援強化をお願いしたいと思います。要するに、つくれないレベルまで薬価を下げても、これは将来性が非常に危険なわけですから、そういうことに頼るよりも自らの健康になる努力の後押しを是非していただきたいということでございます。
 最後に、先ほどのお話にも関連しますが、こども未来戦略ですね。これについては医療・介護等の歳出改革で2028年までに1.1兆円の公費削減の確保を図ることが明記されておりますが、具体的な削減策について情報共有いただきつつ、議論をさせていただければと思います。
 以上です。
◯田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。
 では、伊奈川委員よろしくお願いします。
◯伊奈川委員 ありがとうございます。
 全世代型社会保障改革工程の関係で発言させていただきます。今日の御説明資料の中にはないのですけれども、参考資料2の5ページを拝見しますと、医療・介護の関係ではこの5ページの下から10行くらいでしょうか。各地域で直面している状況が異なるということが書かれておるわけであります。人口減少社会において医療に対する需要というのも恐らく地域によってかなり異なるでしょうし、また供給体制も異なるわけでありまして、そういった点からいうとこの資料では時間軸ということが非常に強調されておりますけれども、やはり地域軸ということも重要ではないかと私は考えております。
 そういう点でいいますと、本体のほうの資料にも出ていますけれども、医療DXというものはどちらかというと医療の効率化とか、あるいは質の向上ということが前面に出ておりますけれども、それだけではなくてやはりこういった2040年に向けての医療需要に対応していく中で地域をつなぐといったような点でも重要なのではないかと考えております。そういう点で、人口減少の中で今後とも国民皆保険体制とか、あるいは医療の均てん化という視点からも、医療DXの重要性ということを私は強調しておきたいと思います。
 以上です。
◯田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。
 では、村上委員よろしくお願いします。
◯村上委員 ありがとうございます。
 資料4-1の6ページの医療DXで標準規格に準拠したクラウドベースの電子カルテの整備を行うことについて1点要望いたします。
 現在、電子カルテの保存期間は5年間とされておりますが、原因が明確でない疾患の研究が進んでいく中で、5年を過ぎてもカルテを見られるということで多くの患者を救えることにもつながるのではないかと思います。また、薬害被害者の方からの要望も出されているところでございます。今回の医療DXの推進に併せまして、電子カルテの長期保存についても検討を進めていただくよう要望いたします。
 以上です。
◯田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、ほかに御意見等ないようでございますので、本日はこれまでとしたいと存じます。
 次回の開催日につきましては、追って事務局のほうより御連絡申し上げます。
 本日は御多忙の折、御参加いただきまして誠にありがとうございました。それでは、これで散会いたします。