第11回職場適応援助者の育成・確保に関する作業部会(議事録)

日時

令和5年12月26日(火)13:00~15:00

場所

オンラインによる開催(厚生労働省仮設第3会議室)

議事

○小森地域就労支援室室長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会 第11回職場適応援助者の育成・確保に関する作業部会」を開催いたします。本日の作業部会は、こちらの会場とZoomを使ったオンラインで開催いたします。開催に当たりまして、簡単ではありますが、オンラインの操作方法のポイントを御説明させていただきます。
作業部会の進行中は皆様のマイクをオフとさせていただきますが、御発言をされる際にはサービス内の「手を挙げる」ボタンをクリックし、主査の許可があった後に、マイクをオンにして、聴覚・視覚障害者の方々への情報保障という観点から、名前を名乗ってから発言をお願いいたします。
会議進行中、トラブルがありましたら、事前にメールでお送りしております電話番号まで御連絡をお願いします。通信遮断等が生じた場合には一時休憩とさせていただくこともございますので、御容赦くださいますようお願いいたします。
なお、本作業部会は、御希望の方に傍聴いただいております。あらかじめ御了承いただければと思います。本日、田村構成員におかれましては、所用のため1時間程度遅れる予定です。
続いて、資料の確認になります。本日の資料は、議事次第のほか、資料1~3、参考資料1及び2を御用意しております。
それでは、議事に入ります。以後の進行は、小川主査にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○小川主査 大妻女子大学の小川です。本日もよろしくお願いいたします。本日の議題は(1)上級JC研修の在り方について、(2)資格化に向けた課題の整理、(3)その他となっております。それでは、議題1について、事務局から御説明をお願いいたします。
○小森地域就労支援室室長補佐 障害者雇用対策課の小森です。資料1、資料2を用いて、議題1について御説明させていただきます。まず、資料1です。こちらには論点を提示させていただいております。まず、上級JC研修で実施すべき内容で、(1)モデルカリキュラムになります。上級JC研修におけるカリキュラムにつきましては、前回、事務局から案を提示させていただき、種々御議論いただいたところです。それを踏まえて、事務局で一部修正させていただいた事務局案を再度提示していますので、こちらも御議論を頂戴できるかと思います。また併せて、通常のJC要請研修でも、各カリキュラムごとの各科目の講師の要件を設定させていただいておりますので、上級JC研修の講師の要件についても、事務局案を提示しております。そちらのほうについても御議論をお願いできればと考えております。
それでは、資料2を御覧ください。こちらは上級JC研修モデルカリキュラム(案)になります。赤字の部分が前回から追記・修正させていただいた部分です。
まず、科目4は、「障害者雇用に向けた支援のプロセス」という科目です。授業内容への障害者雇用の組み込みという点に関して少し分かりやすく表現を追記させていただいております。「インクルーシブな雇用の実現のため」と表記させていただいておりますが、この事業内容への障害者雇用の組み込みの意図するところは、今、障害者雇用を外に出したり、そういったような動きがあるのですが、そうではなくて、きちんと本業の中で障害者雇用を進める、若しくは本業と併走するような形で障害者雇用を進めるといった事業内容を本業のほうに組み込んでいく。そういったところの助言が、JCをやっていけるのではないかなと期待したいということで、インクルーシブな雇用の実現のためということを追記させていただいています。
科目6は、JC支援におけるスーパーバイズの基礎を学んでいただく科目となっております。支援事例に関して、編集機関側のほうからモデル事例を提示して、それに対して、自らそれがどのようなスーパーバイズを行うのかというところを行うための演習を実施していただき、学んでいただくということを想定しております。
また、科目7は、「JC支援におけるスーパーバイズの実際」ということで、当初は、支援手法としての言語化・一般化とさせていただきましたが、もう少し一般的に分かりやすい表現法として、「支援事例の言語化」と、自ら行った支援であったり、その効果や結果の因果関係を分析して、それを客観的・理論的に説明できるようにすると。こういった支援を行った結果、なぜそういった良い効果があったのか、若しくは失敗したのか、そういったような因果関係を自ら分析して、それを他者に説明できるようにすると、そういったことを想定しております。その上で、支援手法やノウハウを共有していくと。この科目7については、受講者御自身の支援事例について、支援手法をノウハウとして共有できることを研修として学んでいただくこととしています。
また、科目6と科目7の時間なのですが、当初は科目6については60分とさせていただいておりましたが、科目6のほうはスーパーバイズの基礎に関する講義とモデル事例に基づく演習を行っていただきますので、そういった場合60分では少し少ないのではないかという御意見をいただきました。それで、科目7から30分を削って、科目6に足して90分とさせていただいて、科目7を330分とさせていただいています。
次に、科目9です。こちらは「企業における支援の実際」で、企業実習になるのですが、企業が抱える問題について、研修機関から事前課題を設定したり、それを踏まえて雇用現場での支援体験を行う。また、その実習が終わった後の事後の振り返りを皆さんで行っていただいて、問題解決に向けた一連の流れを経験・実演するなど、各研修機関によって実施目的を明確にした上で実践的な内容を設定してはどうか。そもそも、この上級JC研修では、企業実習は任意とさせていただいておりますが、それはJC養成研修が終わった後、一定の実務経験が終わった方を、この上級JC研修の受講者として想定しておりますので、更に重ねて実習を行う目的というのは、各研修機関で明らかにした上で、より良い内容を設定していただくことを想定しております。
続いて、2ページと5ページを見比べながら説明させていただきたいと思います。2ページは、上級JC研修における講師の要件ということで、各科目ごとに講師の要件を設定していただいております。この基となるのが、5ページの「職場適応援助者養成研修のモデルカリキュラムにおける講師の要件」ということで、今現在の養成研修のカリキュラムの講師要件となっております。こちらを見ていただきますと、各科目に応じて、その分野に精通されている方、若しくは一定の実務経験を有する方を想定しております。その中で、実務経験の場合は、養成研修が3年とか、10件以上の経験を有する方とか、一般的に実務経験としては3年が例として挙げられています。
それを踏まえて、2ページに戻っていただきまして、上級JC研修は養成研修それぞれの科目の上位互換的なということもありますので、実務講師のほうに、実務経験を要する要件に関しては3年ではなく5年の実務経験を要する方を講師として想定させていただいています。また、それぞれ各科目に応じて精通されている方々を想定しております。例えば、科目1の「職場適応援助に関する制度」であれば、障害者雇用施策及びJCに関して精通している者であることとしています。例えば行政関係者なども想定されますし、2番の「障害特性に応じた支援」の場合、障害特性について全ての障害特性に精通しているのはなかなか難しいと思いますので、複数の講師、それぞれに1人の講師ではなくて複数の講師を用意したり、もともと科目2のほうは、視覚、聴覚、高次脳機能障害の難病とか、そういった希少事例をまずは学んでいただくということも想定しておりますので、そういった障害特性に精通した方や、それ以外の部分に関しては各研修機関の裁量で、講師や実際に研修で行う障害特性を学んでいただくことを想定しております。
3番は、「企業における労務管理の実務」ということで、科目3のほうは合理的配慮や、障害者のキャリア形成、労働法についても基礎知識として学んでいただくことを想定しておりますが、どちらかというと科目3は、企業においての障害者の雇用管理の実務経験が重視されるということになりますので、後半のほうは労働法令、企業での労務管理担当者、そういった方を想定しています。
それ以外の科目4から7に関しては、JCとして5年以上の実務経験、それに関して準ずる者、一定の実務経験のある方、また、なかなかそういった実務経験のある方が見当たらない可能性もあり、講師の確保に苦労することもあるかと思いますので、準ずる者ということで、幅広く読めるようにしています。以上がモデルカリキュラムと講師要件になります。
資料1に戻ってください。(1)モデルカリキュラムの2つ目の○ですが、モデルカリキュラム設定に関しては、各研修機関におけるカリキュラムの設定に当たっては、モデルカリキュラムの科目・内容及び研修時間の範囲内ということで、最低時間とさせていただいていますので、それぞれその範囲内で、各研修機関の一定の裁量を認めるとするとしております。ただし、時間は実習を除き28時間以上とさせていただいておりますが、その総研修時間は1日7時間の研修をやったとして、4日程度の研修期間を想定しております。集中型であれば1週間程度、缶詰になるという形になるのですが、こちらの時間に関しては、演習の時間を少し短くしたり、もう少し短くできるのではないかという御意見も頂いていましたので、その点に関しても御議論をお願いできればと思います。
また、3点目ですが、実際のカリキュラムにおいては、講義と研修や事例検討を実施していただいておりますが、事例検討に関しては、パネル講師からの事例紹介だけではなくて、受講者同士のディスカッションなどを中心とするということを提案させていただいております。また、(2)企業実習に関しては、先ほど少し触れさせていただきましたが、任意科目として、各研修機関で実践的な内容を設定するとさせていただいています。
2ページです。「上級JC研修の実施主体」です。こちらはJEEDのほか、現在、養成研修を実施していただいている厚生労働大臣指定のJC養成機関を想定しております。このJC養成研修と、更に上級のJC養成研修の2つを継続的に各地で実施していただき、双方の研修の実効性を担保する観点から、一定期間、直近3年間の継続的な実施をしていただく必要があるのではないかと議論いただきましたので、こちらを記載させていただいています。
「実施方法の在り方」に関してです。短期間でまとめて行う「集中方式」、また各科目を一定期間内に受講する「分散方式」を各研修機関が選択できるようにしたいと考えております。研修の実施方法に関して、この上級JC研修は実践的な演習が中心であるため、原則として対面実施とし、講義部分や研修機関が繰り返し学習が必要と考える内容などにおいては、オンラインの実施も可能としてはどうかと提案させていただいています。その際、オンラインには双方向性を確保したライブ方式と、録画したものをいつでも見られるような形のオンデマンド方式といった2種類があるかと思うのですが、基本講義に関しては、やはり質疑応答などが必要になるかと思いますので、講義に関してはライブ方式としてはどうか。またその講義を録画して繰り返し学習できるようにするようなオンデマンド方式という切り分けもできるのではないかと考えております。つまり、講義部分に関しては、原則ライブ方式として、繰り返し学習が必要なものに関しては、プラス・オンデマンドとしてはどうかと考えています。
あと、オンライン実施の場合、通常、働いている方は、働いているデスクや、事務所内で受講されるということがあるかもしれません。そういった場合、急な接客や電話対応といったところで急に受講を欠席する可能性が、オンラインの場合はある可能性もありますので、そういったことがないように受講の確認、研修効果の確保の観点から、研修機関及び受講者双方に適切な受講環境の整備を行うことを必須とするといったことを徹底していきたいと考えています。
3ページ、「上級JC研修の受講要件」です。養成研修終了後の一定の実務経験を課すということに関しては、皆さん一致していただいたかと思うのですが、その実務要件に関して、JC助成金の活用実績、又は障害者の一般就労にかかる支援を幅広く実績として判断するということが適当ではないかというような方向になったかと思います。
その具体的な受講要件なのですが、前回は、JC助成金の件数など、そういったところも指標として提案させていただいたところですが、様々な他の国家資格や技能検定、この後の議題2のキャリアコンサルタント資格などを見ていくと、一般的には支援件数というような要件は課されておらず、通常は実務経験の年数というのが受講要件であったり、国家資格の受験の要件として適用されておりますので、実務経験に関しては、支援件数ではなくて年数を採用するのが妥当ではないかということを今回、事務局のほうから提案をさせていただいています。
(2)ですが、ア、JC養成研修を修了していること、そのほか、終了したことにプラスして、まるいち、まるにのいずれかの実務経験を有していることとして、まるいち助成金を活用した支援、まるに障害者の一般就労にかかる支援としています。上級JC研修に関しては、助成金対象となる活動だけではなくて雇用前からの支援や他のJCへのスーパーバイズ等の幅広い支援、助成金対象に限らない幅広い支援を想定していますので、受講要件の指標として、やはり助成金だけに限るのは適当ではないと考えた次第で、こういった要件を提案させていただいています。
あと、まるにの障害者の一般就労にかかる支援なのですが、これに関しては、ナカポツセンター、就労系障害福祉サービスにおける就労支援事業所、また地方公共団体などの公的機関が設置する支援機関、特例子会社、一般企業の人事部で働いている障害者の支援をやっておられる方、またハローワーク等の行政機関で障害者支援を行っている者も幅広く取り込んでいきたいということで、そういった所で一般就労に向けて支援を実施している方に関しても取り込んでいく。また、一線を退いて管理的な業務をされて、マネジメントをやっている方もいらっしゃいますので、そういった方の管理的な業務も対象としてはどうかと考えています。駆け足になりましたが、私からの説明は以上となります。
○小川主査 ありがとうございました。議題1については、前回の作業部会で、皆様から様々な御意見を頂きました。それについて整理をして、論点を4つにまとめさせていただいています。まず、上級JC研修で実施すべき内容、1回これに限定して御意見を頂いて、その後、論点に分けて御意見を頂いていきたいと思います。上級JC研修で実施すべき内容について、何か御質問や御意見がありましたら、「手を挙げる」ボタンをクリックしていただいて、私が指名した後に、聴覚、視覚障害者の方々の皆様への情報保障の観点から、お名前を名乗って御発言いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。JEEDの市川構成員、お願いします。
○市川構成員 JEEDの市川です。モデルカリキュラムの2つ目の○の時間数のことなのですが、今回お示しいただいた内容では、「時間は実習を除き28時間以上とする」とされています。ここで、我々は集合型で想定しているのですが、1日7時間の4日間となると、朝から晩までフルでということになりますので、我々は幕張会場で集合型といった場合には、前泊を付けなければならない方々も発生して、受講者や受講者が所属する所属機関の方への負担は相当なものになると思われますので、全て3時間減ということができれば前泊なしで参加できる方々も増えてくると思いますので、3時間減というように、ある程度の幅をもたせていただくことを検討していただければと思います。以上です。
○小川主査 時間数について、3時間減はどうかと。これについては、宿泊等を伴う場合の受講者の方の負担という視点での御発言でしょうか。
○市川構成員 JEEDの市川です。そのとおりです。
○小川主査 分かりました。ありがとうございます。そのほかにいかがですか。あるいは、これに関連してでも結構です。若尾構成員、お願いします。
○若尾構成員 時間数の所にまた関連してになるのですが、すみません、これも確認ですが、前回の事前の打合せの中で聞けたかどうかが定かではないので、もう一度確認したいのですが。実習を抜きにして、この28時間ということなのですが、カリキュラム上、この実習については必須ではないということでよろしかったのかどうかを、もう一度確認をさせていただければと思います。
○小森地域就労支援室室長補佐 障害者雇用対策課の小森です。事務局からは前回の議論を踏まえて、実習に関しては必須ではなく任意と考えて提案させていただいております。
○若尾構成員 そうすると、もし実習をやろうということになった場合について、この28時間の枠を超えたところで実習の設定をするということで、実施機関としては、考えなくてはいけないというように整理したほうがよろしいでしょうか。
○小森地域就労支援室室長補佐 障害者雇用対策課の小森です。そのとおりです。28時間プラス実習の時間、振り返りの時間とかも含めて、28時間にプラスしていただくことを想定しております。
○若尾構成員 分かりました。ありがとうございます。
○小川主査 そのほか、いかがですか。若尾構成員、どうぞ。
○若尾構成員 若尾です。あと何点かあるのですが。今の時間数に関連してですが、例えばモデルカリキュラムの科目4に、「職場実習、ジョブマッチング、職場のアセスメント等の雇用前支援、支援計画作成」という項目が入ってくるのですが、ここの420分と、今お話した28時間以上で捻出しなくてはならないという時間数の分についてを共有するということは難しいでしょうか。
仮に、職場実習というか、現場の企業の中で少し課題間整理をするのに、そこから抽出していく時間を、この単元の時間数で消化させることについては難しいですか。やはり、これは別立ちにして、企業の現場にいくということになると、28時間以上の時間数で捻出したほうがよいということになりますか。すみませんが、もう1回、確認です。
○小川主査 若尾構成員、それは、可能かどうかということについては、検討は必要かとは思うのですが、どういった趣旨で、そこの読み変えについて御提案されていますか。
○若尾構成員 先ほどJEEDのほうからも話があったように、その28時間というのは、かなり負担感が時間数としてはあるのではないかと感じていて、それから、職場の状況についても、ちゃんと把握できるような時間数が取れるとよいのではないかと考えています。ただ、この28時間以上の時間に、また加えてくることになると、受講者側の負担や企業側の負担が出てきますので、ここの420分の中にその時間数を盛り込めるかどうかというのが、もしできるのであればそうしていただけるといいなと思いましたので、提案も含めて確認させていただきました。
○小川主査 そうですね。基本的には、このモデルカリキュラムは、課目名と内容の所については、これについての講義、研修、受講者同士の意見交換、若しくはロールプレイ等で行うべきということで想定して組まれていると思います。その内容が、果たして現場実習で置き換えて実施可能かどうかという議論も必要かと思います。一旦、御意見として受け止めて、再整理しておきたいと思います。よろしいでしょうか。
○若尾構成員 はい、ありがとうございます。
○小川主査 青野構成員、どうぞ。
○青野構成員 青野です。2点ありまして、1点目は、今、若尾構成員からも御質問があった実習のところなのですが、上級JC研修における実習というのは、通常のJC養成研修における実習と異なったような職場を見学するということは想定されているのかということを質問させていただきたいです。
理由としては、資料2の1ページの4番の所で、「インクルーシブな雇用の実現のため」ということで、カリキュラムを少しアップデートしていただいていると思うのですが、恐らく、これは特例子会社や、いわゆるJC養成研修の実習で行かれているような会社、企業体で、どれぐらいインクルーシブな職場を見学して実習体験を積めるのかというのが少々疑問に思ったところです。また、上級になってくると、インクルーシブな現場に向けてアドバイスができたほうが望ましいのではないかと思い、質問させていただきます。
2点目は、資料1の3ページ目の「上級JCの受講要件」の所で、実務経験がカウントされる起点というのを確認したかったのですが、ここの目次ではありませんでした。1点目だけで大丈夫です。失礼いたしました。
○小川主査 では、2点目は後ほど、また伺わせていただきます。1点目は、実習についてですね。
○青野構成員 はい、ありがとうございます。失礼いたしました。
○小川主査 実習について養成研修と同様なのかということですが、事務局から御発言いただけますか。
○小森地域就労支援室室長補佐 障害者雇用対策課の小森です。まず、上級JC研修における企業実習なのですが、先ほども説明の中で触れさせていただきましたが、JC養成研修に行って実習を踏まえて、その後、実際のJC支援や企業で一般就労に向けた支援をやった方を、この上級JC研修の受講者として想定しております。そこで、既に企業に対して支援を行っている方に対して、重ねて実習をやる意味ですが、例えばJC養成研修の場合、特例子会社などの障害者雇用について一定の取組をされているところを実際にはやっていただいているかと思います。上級JC研修に関しては、これまでの議論の中でもありましたが、非常に課題を抱えた中小企業や、その取組が遅れている所とか、資料2は科目9にも例示させていただいておりますが、企業が実際に抱える課題について現場で取り組んでいくこととして、好事例だけではなく、少し困難度の高い事例を対象とすることも想定しています。
また、現行の研修期間の一定の実習に関しては裁量を認めさせていただいておりますので、先ほどの青野構成員から御提案いただいたように、インクルーシブな雇用の実現のための企業の取組を見るというのも、特例子会社以外で、本社やその企業の中で、本業のほうで障害者雇用を進めている事例を見ていただく、その場で支援を学んでいただくというのも科目の設定の仕方だと思いますので、その点は選択肢の1つとして考えようかと思っております。以上です。
○小川主査 よろしいでしょうか。
○青野構成員 ありがとうございます。
○小川主査 若尾構成員、どうぞ。
○若尾構成員 若尾です。すみません、これも事前に確認ができていればよかったのですが、もう1点、確認をさせてください。講師の要件の所です。「※」で一番下の欄外の所にJCの定義について書かれているかと思います。特に9番の所などについても、事前の打合せの中で少し御意見させていただいて、この「準ずる者」というのを併記していただいたところなのですが。6番、7番の項目の所の「他のJCに対する指導経験を有する者」というのは、この広い意味でのJCの支援を行っている者に対して、これは法人内外問わず指導経験があると整理してよろしいものだったのかを確認したかったのですが、お願いいたします。
○小森地域就労支援室室長補佐 障害者雇用対策課の小森です。正に今、御指摘がありましたように、この「他のJCに対する指導経験」というのは、同一法人内だけではなく、他の法人のJCに対して指導する場合も含まれます。例えば、訪問型の方が企業在籍型に指導したり、その逆もあり得るかなと思っておりますので、特にその企業の中でなければならないといった制限は考えておりません。
○若尾構成員 ちなみに、この「指導経験」と捉えたときに、指導経験として評価いただける基準というのは、どのように捉えたらよろしかったですか。
○小森地域就労支援室室長補佐 障害者雇用対策課の小森です。明確な客観的な基準というのは難しいかと思うのですが、具体的に、上司の方のほうから、JCに対してペア支援の中で、計画策定の仕方や効果的な支援方法について助言を行うなど、そういった一般的な幅広い支援に関して指導を行ったことを説明をしていただければ、それでいいかとは考えております。
○若尾構成員 ありがとうございます。
○小川主査 そのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。もし、今の実施すべき内容について、後でまた振り返る必要がありましたら戻りますので、先に進めさせていただきたいと思います。
次に、上級JC研修の実施主体及び実施方法の在り方について、御意見はいかがでしょうか。若尾構成員、どうぞ。
○若尾構成員 若尾です。実施主体の所については、1点、確認なのですが、JC養成研修の実績が、直近3年間の継続実施となっていますので、養成研修を3年間続けて開催しているということになるのでしょうか。これは事前打合せで確認できなかったのですが、年間1回でも開催をしていれば、3年間継続で開催されているとして対象の実施主体となり得るということでよろしかったでしょうか。
○小森地域就労支援室室長補佐 障害者雇用対策課の小森です。特段、年間の開催件数は定めておりません。年間1回で問題ないかと考えております。
○若尾構成員 ありがとうございます。
○小川主査 そのほか、いかがですか。木村構成員、どうぞ。
○木村構成員 木村です。よろしくお願いいたします。JCの上級の研修の実施主体というところで、今、議論はされているのですが、私が住んでいる地域の東北では、実際に養成研修をやっている機関は全然ない状態で、今はジョブコーチ・ネットワークさんに協力を頂いて、宮城や福島のほうで開催をしている状況です。支援自体が余りない地域に対してのカバーであったりで、地域格差が否めないなという印象があるのですが、そちらはどういう考えになっているのかを教えていただけると有難いです。以上です。
○小川主査 ありがとうございます。それについては、事務局とJEEDと両方からコメントを頂きましょうか。
○小森地域就労支援室室長補佐 障害者雇用対策課の小森です。今、御指摘いただいたように、研修機関に関して全国的にカバーできていないところではあります。ジョブコーチ・ネットワークさんのように、講義はオンラインで実施して、実習に関しては各地域で開催するといった効率的な方法もやっていただいています。そういった取組を各機関にも推奨していければと考えております。その他、この上級JC研修に関しては、講義部分に関しては、オンラインの活用のほかに分散方式というやり方で様々な研修形態を取って受講者の利便性の向上に努めていきたいと考えております。以上です。
○小川主査 この件について、JEEDのほうからも御発言いただいてよろしいでしょうか。地方での開催についてですが。
○市川構成員 JEEDの市川です。今現在の開催方法が我々の精一杯のところですが、先ほど障対課のほうからも触れていただきましたが、講義部分についてはオンライン方式ということで、地方からの方の参加にかかる負担の軽減ということについては図っているつもりであり、これも状況によりますが、拡充を図ってまいりたいと思っております。以上です。
○小川主査 ありがとうございます。若尾構成員、どうぞ。
○若尾構成員 そのことに関連して、是非、御意見させていただければと思っています。厚生労働省のほうで取りまとめしていただいている養成研修を修了した方たちが助成金を使って活動している実態が大体どのぐらいになっているかという全国の各都道府県の数字を前回に出していただいていると思います。養成研修を比較的実施できている地域では、助成金を活用する方たちがちらほらおられるのですが、養成研修が実施できていない場所については、比較的ゼロに近い数字で推移されている都道府県があったと認識しています。
もちろん民間もこの養成研修そのものを商いにして動いているわけではなく、更にいうと、その養成した人たちが助成金活動に参加できるような地域ではない所で養成研修を実施するということへの負担がものすごく大きいということもある状況です。できれば、0人で推移しているような地域だけでも、何とか国のほうとしても対策を考えていただけたらと思っているのですが、その辺についてはいかがでしょうか。
○小川主査 厚労省、お願いできますか。
○小森地域就労支援室室長補佐 障害者雇用対策課の小森です。何回か前に、この作業部会でも助成金の活動状況について、令和4年度の実績をお示しさせていただきました。地域によっては、例えば広島や群馬など、訪問型の活動が0件という所もあります。そういった所では、例えば民間の研修機関などにも御協力いただきながら、厚生労働省から、その地域の社会福祉法人の社会資源の状況を、JCをやっていただける機関がないかという呼び掛けで、この後の資格化の議論にも関係してきますが、そういった全国的なJC活動の活性化に関しても、様々なネットワークを活用しながら取り組んでいきたいと考えております。
○小川主査 よろしいですか、若尾構成員。
○若尾構成員 是非、よろしくお願いいたします。
○小川主査 今のことと少し関連するのですが、地方での開催について、講義については、この実施方法の所ではリアルタイムオンラインという仕組みになっております。先ほどの時間数について少し確認したいのですが、やり用によっては、講義のところはリアルタイムオンラインで、対面のところは集合型でということで、対面の日数について、ある程度限定するというやり方も可能かと思います。
これまで、このカリキュラムの内容については、基礎的研修や養成研修の日数やボリューム、上級JC研修として必要な内容ということで、おおむね4日間ということで議論されてきて、その取りまとめではないかと思います。先ほどの受講者の負担という点でいえば、受講形式として実施方法の工夫で受講者の負担を軽減することも可能なのかなと思いますので、受講者の負担ということで時間数のことについて変更するのか、あるいは別の考え方があるのか、その辺について、もう一度JEEDのお考えと、ほかの構成員の方のお考えも伺えればと思います。時間数については、ここでもう少し詰めておいたほうがいいかなと思いますので、よろしくお願いします。JEEDの市川構成員、いかがでしょうか。
○市川構成員 JEEDの市川です。先ほどもお話ししましたとおり、オンラインと集合の組合せというやり方の工夫ということもあるとは思うのですが、4日間集中して行うという場合においては、やはり受講者の負担が発生するわけですから、そういう開催方法において、一定時間数の柔軟性が確保され、負担軽減に努めることができたらと考えております。
○小川主査 分かりました。4日間対面で行なわなければならないような内容の場合には、受講者の負担が大きいだろうということで、理解してよろしいですね。
○市川構成員 はい、そうです。
○小川主査 分かりました。若尾構成員、どうでしょう。養成研修を実施されておられますが。
○若尾構成員 若尾です。ジョブコーチ・ネットワークで開催している方式としては、今JEEDさんから御意見をいただいたものにプラス、やはり東京圏域に来ないと研修が受けられないという仕組みにしていること自体が、地方の皆さんの負担感が増えているということになります。これは各地域を回らせていただいてヒアリングをさせていただいた中で、講義以外の部分については、やはり地方できちんと開催ができるような仕組みを作っていこうということで今、進めさせていただいている経過があります。
それからもう1点、地方で開催するメリットとしては、地方で開催するときの講師を養成していくという視点にも立っていることになりますので、できれば、やはり中央に集めて中央集約型の研修のスタイルでやるのではなく、地域の中で開催できるようなモデルがいいのではないかと思っています。養成研修や上級研修についても同じような組み立て方ができるようであれば、これはよろしいのではないかと思っています。
ただ、もちろん47都道府県の全てを回るわけにはいかないわけなので、先ほどもお伝えしたように、JCが活動できてないような地域については、国の責任として、ここを広げていくということをおっしゃっているわけですから是非、JEEDさんも含めて、何らかの方法を検討していただきたいなというのが民間の本音です。以上です。
○小川主査 分かりました。地方での開催のことについてもいろいろ御意見を頂きました。この上級研修についても、地方でも開催できるような形にすることが望ましいであろうという点と、それから対面とオンラインと両方がミックスされて実施できるような形でないと受講者負担が、4日間が全部対面でないと難しい形では問題があるだろうということでした。もう少し、この辺が実際にオンラインと対面と分けて開催できるような内容になっているかどうか、次回までに確認をしておきたいと思います。
それでは、「実施主体と実施方法の在り方」の所では、ほかにはよろしいでしょうか。若尾構成員、どうぞ。
○若尾構成員 すみません、何度も、若尾です。これも1点、確認できてなかったので、この場でまた確認になってしまうのですが。費用の問題について、この間、事前協議の中でもお話に出してなかったのですが、上級研修についても、JEEDさんが企画するものについては無償で実施されるということでよろしかったですか。
それと、民間でやる場合については、費用については有料という形で、これまでの養成研修を踏襲するような形で検討されているのか、若しくは、提案が可能なのかどうかを確認したかったのですが、よろしくお願いします。
○小川主査 事務局、お願いします。
○小森地域就労支援室室長補佐 障害者雇用対策課の小森です。今、JEEDでは養成研修は無料で、民間では有料でやっているという枠組みに関して、上級JC研修でも同じような枠組みで実施することを想定しております。
○若尾構成員 そうしましたら、助成金のJCとして活動する場合については、受講修了後6か月以内に活動が確定するということに関しては国から助成を頂けるという形で、今の養成研修修了者については規定がなされているのですが、この上級研修に関しては、受講の担保のようなもの、養成研修と同じような仕組みになるのかどうかということについて、少し御意見を伺えたらと思います。
○小森地域就労支援室室長補佐 障害者雇用対策課の小森です。今現在の助成金の仕組みの中で、上級JC研修を助成金として費用をみていくという仕組みはありません。そういった御意見を頂きましたので、今後、どうするか、直ちには難しいと考えておりますので、御意見として承っておきたいと思います。
○若尾構成員 こういうところについても、受講者、若しくは受講された方たちが地域で、このフィールドで活動していくことを増やしていくということを目的に、この作業部会もやっているところなので、是非、継続的にどこかで協議していただけるような場を設けていただくことをお願いできればと思います。よろしくお願いします。
○小川主査 そのほか、いかがですか。
それでは、一旦、次に行かせていただきます。上級JC研修の受講要件について、御意見はいかがでしょうか。JEEDさん、お願いします。
○市川構成員 JEEDの市川です。(2)具体的な受講要件の設定案について、確認させていただければと思います。設定案として、ア「養成研修を修了していこと」、イ「以下まるいち・まるにのいずれかの実務経験を有していること」となっておりますが、これはアとイの両方を満たしているという前提でよろしいのでしょうか。それとも、アあるいはイということなのでしょうか。私は、アとイの両方ということで考えてはいるのですが、いかがでしょうか。
○小森地域就労支援室室長補佐 障害者雇用対策課の小森です。このアとイに関しては、「かつ」ということになりますので、両方を満たしているということが要件となります。
○小川主査 よろしいですか。そのほかいかがでしょうか。若尾構成員、どうぞ。
○若尾構成員 こちらについても、一定の要件という所に関して、これを前回会議の中では、JEEDさんのほうからも御意見を頂いていたと思います。何かしら証明するものがあったほうがよいのではないかという御意見があったのではないかと思っています。
私も、ここの部分については、そんなに詳細なものを載せる必要はないのかもしれませんが、一定のこの要件を満たしているということを付したものを、やはり併せて、上級研修受講の対象にするとしたほうが良いのではないかと思っていますので、できれば、それをお願いしたいと思っています。以上です。
○小川主査 ここが多分、これまでの議論の中で、例えば、時間や日数といった単位なのか、年単位なのかというような話もありましたが、若尾構成員は、その辺りについてはいかがでしょうか。
○若尾構成員 講師要件のように年数単位で書かれているのであれば、何か統一したものがあればよろしいのではないかと思っております。例えば、年間の稼働率で、5年を「百何十日」のようにするのであれば、置き換えて「何百日以上」のようにしたり、余り、乖離がないような状況が作り出せるのであれば、日数でも年数でも合わせたほうがいいのではないかなとは思っています。
○小川主査 よく、社会福祉法人などでは、「何年何月から何年何月まで、こういう役割に就いて在職した」というような証明書を出してくれますが、そのようなイメージでよろしいですか。
○若尾構成員 はい。障害福祉のサービス管理責任者も、同じような経歴書を出して、要件として認めさせるようにしていますので、同じようなものでよろしいのではないかと思っています。
○小川主査 何らかのエビデンスの書類が付いたほうが望ましいという御意見なのですね。分かりました。それについて、いかがですか。
○小森地域就労支援室室長補佐 障害者雇用対策課の小森です。今、御指摘にありました実務経験の証明等、ほかの国家資格等の例も見ながら、実務的な可能なところに関しては検討してまいりたいと思います。
○小川主査 では、青野構成員、その後にJEEDの井口構成員、お願いします。では、青野構成員、どうぞ。
○青野構成員 ありがとうございます。「ア、かつ、イ」の点なのですが、アの養成研修を修了してから実務経験がカウントされるのか、あるいは、それまでの間の実務経験も有効になるのかということを教えていただけますでしょうか。
○小森地域就労支援室室長補佐 障害者雇用対策課の小森です。当初、前回までの議論では、一応、養成研修修了後の実務要件というような形で提案させていただいていたのですが、障害者の一般就労にかかる支援を広くみていくということであれば、養成研修の修了前であったとしても要件としてみるべきではないかなと考えておりますので、この点について、もし皆様からも御意見等がありましたら、頂ければと考えております。
○青野構成員 ありがとうございます。
○小川主査 それでは、JEED、お願いします。
○井口構成員 JEEDの井口でございます。研修担当ではないのですが、あえて発言をさせてください。養成研修の地方開催について、戻って申し訳ないのですが、発言してよろしいでしょうか。
○小川主査 どうぞ。
○井口構成員 私ども、JEEDが行う研修は御存じのように、半分が幕張に集まる方式で、残りの半分が地方の47都道府県でやるという方式です。そこが議論の中で少し置き去りにされているような気がしました。
例えば、幕張でやる講義の部分の一部をオンライン化すると、さらに、47都道府県で受講できる範囲が広がります。そういうことも含めて、養成研修の地方開催について御議論を是非いただきたいと思っております。すみません、補足です。以上です。
○小川主査 井口構成員、ありがとうございます。そうですよね、私は、そのように理解しておりますので、養成研修にしても上級研修にしても講義でやらなければならないと。いわば、オンラインでやってもよい部分を、どの程度の時間数に見込むかということによって、特にJEEDさんの場合には、全国での展開ということが可能なのではないかと思っておりました。
それについて、井口構成員は、そのような仕組みも、基本的にはJEEDの場合には可能性があるということをおっしゃられたということでよろしいですか。
○井口構成員 ニュアンスとしては多少違うのですが、JEEDの研修も、何か全て幕張に集まるというイメージが少し強いのではないかという気がしたので補足をしたのです。それから、私は直接やっているわけではありませんが、研修をやる立場からすると、地方開催も結構大変な部分があって、デメリットもあるのではないかということで、地方でやることが全て良いことだという議論にならないほうがいいのではないかという気がしただけです。以上です。
○小川主査 なるほど、若干ニュアンスが違うことは分かりました。ほかの方から、何か御意見はありますか。それでは、この件ついては、JEEDのほうからそういった御意見があったということを承っておきたいと思います。そのほか、いかがでしょうか。
それでは、この件について、まず(1)モデルカリキュラムについて、まずモデルカリキュラムの事務局案については、あまり具体的な修正についての御意見はなかったと理解しております。それから全体の時間数で、「実習を除き28時間」については、対面で4日間どうしても拘束されるような形だと、受講者の負担が大きいのではないかという御意見であったと理解します。
それから、企業における実習については、任意科目であるということの確認と、実習する企業についてはインクルーシブな雇用として、この辺りを考えれば、必ずしも特例子会社ではないような所の実習も積極的に考えたほうがいいのではないかという御意見だったかと思います。これについては、目的に応じて、実習については組立て可能という形にはなっておりますので、特にそういったことを意識して行うということも必要ではないかという御意見とさせていただきます。
それから、実施主体については、特にこちらの文言について修正の御意見はなかったのでしょうかね。地方開催のことであるとかの御意見はありました。それから、実施方法についてはオンラインと対面の組合せの仕方によって、それこそ4日間、対面で行わなければならないのか、あるいは機関によって地方での開催が容易になるのではないかというような御意見もありました。これについては、果たして日にちを分けるようなことが可能なのかどうかを、もう一度、カリキュラムの講義と研修の組み方を見てみて、次回のときに、このようなやり方も可能なのではないかということについて、皆様に情報提供をさせていただければと思います。そこの件については、よろしいでしょうか。
それでは、特にないようであれば、続いて議題(2)の資格化に向けた課題の整理について、事務局から御説明をお願いしたいと思います。
○小森地域就労支援室室長補佐 障害者雇用対策課の小森です。それでは、議題2について、資料3と参考資料2を使って御説明いたします。まず資料3は、「JCの資格化に向けた課題と整理」ということで、論点ペーパーとなっております。参考資料2が、「既存の国家資格の概要」ということで、資格化に向けた課題の整理の前に、国家資格の概要について事務局から少し説明して、それを参考に、実際の論点ペーパーを見ながら皆様からの御議論をお願いしたいと考えております。それでは、参考資料2を御覧ください。
1ページ目、既存の国家資格の分類です。これは文部科学省で整理されたものを厚生労働省で少し整理し直しているものになります。国家資格に関しては、法律で設けられている様々な規制があるのですが、その種類によって、以下の3点に分類できるのではないかと思います。1点目が「業務独占資格」になります。試験、若しくは研修といったように、有資格者以外が携わることが禁じられている業務を独占的に行うことができる資格です。例えば、弁護士、公認会計士、医師、看護師などになるかと思います。
2点目が「名称独占資格」です。有資格者以外はその名称を名乗ることを認められていない資格になります。これは保育士や栄養士、社会福祉士、後ほど具体的にみていくキャリア・コンサルタントなどになります。あと、この名称独占資格の1類型として、技能検定というものがあります。この技能検定というのが、労働者の有する技能程度を検定して、これを公証する国家検定制度になります。これは様々な職業訓練などを経た方の技能を測るるものとして機能しているところになります。それぞれの職種ごとに試験が設けられており、ファイナンシャル・プランニング技能士や、機械加工技能士など、製造系のものからサービス系のものが非常に多く用意されているという資格です。これは「技能士」と称することができるということで、名称独占資格の1類型となります。
3点目は、設置義務資格ということで、特定の事業を行う際に法律で設置が義務づけられている資格になります。学芸員や衛生管理者、職業訓練指導員です。あと、障害者雇用促進法の中にある障害者職業生活相談員です。5人以上の障害者雇用をしている事業所には置かなければならないのですが、そういったものも設置義務資格の中に含まれるかと考えております。
この3類型の中で、どういったところが具体的に目指すものとして想定されるのかということで、2ページですが、私ども厚生労働省の、特に労働関係の行政において、近年、国家資格化されたキャリアコンサルタントという資格があります。そのキャリアコンサルタントが国家資格化された経緯を参考にしながら、後ほどの論点のほうで議論をお願いしたいと考えております。
国家資格のキャリアコンサルタントの経緯ですが、平成14年度以前から、民間の機関において、キャリア・コンサルティングに係る養成講座であったり、能力評価試験が実施されていたということがあります。これは様々な機関において、それぞれ実施されていたということになります。そういった状況を踏まえ、厚生労働省で、平成14年4月、キャリア・コンサルティング実施のために必要な能力等に関する調査研究会を開催し、報告書を取りまとめたということです。具体的な中身ですが、実施されております様々な既存の民間講座の実態を踏まえ、キャリア・コンサルティング実施のために必要な能力要件を明確化しました。その後、8月に、キャリア・コンサルタントに係る試験のあり方に関する調査研究会報告書ということで、既存の民間資格の実態を踏まえ、標準的なキャリア・コンサルタントに係る能力評価試験のあり方とその関連事項、試験の指定基準であったり、そういったものを具体的に検討していったことになります。
そういうところを踏まえ、平成14年度以降、キャリア・コンサルタント能力評価試験の指定、実施ということになります。このキャリア・コンサルタント能力評価試験というのは、あくまで民間機関が実施する試験ということで民間資格ということになるのですが、このキャリアコンサルタントの養成講座を受講して、その後、民間機関が実施するキャリア・コンサルタント能力評価試験に合格した方を「標準レベル・キャリア・コンサルタント」と総称してきました。あくまでも民間資格ということになるのですが、こういった取組を推奨するために、厚生労働省において、当該試験を「キャリア形成促進助成金」の対象として能開局長が指定する仕組みを創設してきたことになります。
この後、平成20年度なのですが、国家検定である技能検定においてキャリア・コンサルティング職種、これは技能士ですが、創設されました。これは、既存のプラットフォームである技能検定というところを利用して、その中の1職種として創設したことになります。これは、キャリア・コンサルタント能力評価試験のレベルを「標準レベル」ではなくて「熟練レベル」や「指導レベル」の方を対象とした試験として創設されているということになります。もともと、この技能検定というのが、一定の訓練を終えた方であって、あと一定の訓練後に訓練や実務経験を経た方の受験を想定されておりますので、高い技能レベルの方の受験を想定して創設されたということになります。
平成28年度は、キャリアコンサルタント登録制度、国家資格制度の創設になります。このキャリアコンサルタント国家試験なのですが、以前の、平成14年度から行われておりますキャリア・コンサルタント能力評価試験と同水準のものとして創設されたことになります。つまり標準レベル・キャリア・コンサルタントの国家資格化ということになるのですが、この試験に合格した方、合格者に関しては、キャリアコンサルタントと称することができると、そういった名称独占資格ということになります。こういった流れでキャリアコンサルタントの国家資格ができて、今は技能検定のキャリアコンサルティング職種は、上位レベルの方、また標準レベルの方がキャリアコンサルタントという、すみ分けで試験が行われていることになります。
3ページで、それぞれの資格をもう少し具体的に見ていきたいと思います。まず、右のキャリアコンサルティング技能士のほうです。これは技能検定の1職種として、このキャリアコンサルティングの知識と技能を図る国家検定に合格した方を「キャリアコンサルティング技能士」と称することができるようになります。
技能検定に関しては、どういった所が試験を実施するのかということなのですが、厚生労働大臣が指定する民間団体で、事業主団体や業界団体と言われる所です。そういった所が「指定試験機関」として実施することになります。現在は、1機関となっております。業界標準的な技能を検定する所になりますので、通常は1機関となるかと考えております。あと、1級又は2級の技能検定は、知識を図る学科試験と技能を図る実技試験によって、それぞれ両方を合格しないと名乗れないということになります。キャリアコンサルティング職種の合格者数は、過去3年間は大体300人、700人、500人というところで推移しています。
次に、左のキャリアコンサルタントのほうです。キャリアコンサルタントは労働者の職業の選択、職業生活設計、又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じて助言や指導を行うことで、これをキャリアコンサルティングというのですが、そういうことを行う者を対象として実施しております。これも名称独占の国家資格で、合格した後、きちんといろいろな更新講習を受けていただく必要があり、5年ごとの更新制となっております。先ほどの技能検定のほうは、1回合格すればずっと名乗れるということですが、このキャリアコンサルタントのほうは、5年ごとの更新制で、そういうところに違いがあります。また、それぞれの役割に応じて民間機関が試験を行ったり、若しくはキャリアコンサルタントの登録、また養成講習、あと更新講習を、それぞれ厚生労働大臣が各機関を指定して、いずれも民間機関等を指定して実施していることになります。また、キャリアコンサルタント登録者数ですが、これは合格者数ではなくて合格して登録された方の推移です。平成28年度が2万5,000人程度だったのですが、現在、令和4年度は6万5,000人程度と、非常に増えていることが分かるかと思います。
それでは、4ページの技能検定です。この技能検定として実施する場合の要件を見ていきたいと思います。技能検定は職種ごとに技能検定を実施することになりますので、その職種が技能検定として実施するのにふさわしい職種かどうかというところで、1つの要件があります。さらに、その職種の試験を実施する指定試験機関としてふさわしい所はどこかということで、この指定試験機関の指定要件は2つあることになります。
まず、1番の職種の新設要件は6つあります。1つ目は、複数の職種が今現在も技能検定として実施されていますので、既存の技能検定職種として競合しない、重ならないということです。2つ目は、高度な技能や専門的知識を要するなど、検定に値する職業能力が要求されること。3つ目は、技能や知識を客観的に評価できることで、ペーパー試験や実技試験で客観的に評価できることです。当然、その試験基準を作ったり、第三者による評価ができるという、客観的な評価ができることが重要だということになります。4つ目として、検定すべき技能及び知識が、企業横断的・業界標準的な普遍性を有するものであること。5点目として、検定の対象となる職種における高度な職業能力を有する人材、その職種で働いていらっしゃる人材について非常に社会的な需要が大きいということ、又はその需要が増大しているということが必要になります。6つ目として、その職種で働いていらっしゃる方が、地域限定ではなく、一部の地域だけではなくて全国的に相当数存在するということ。以上の6つの要件が技能要件の職種の新設要件として必要になります。
2番の指定試験機関の指定要件ですが、これは、試験機関として継続的に試験を実施する体制や能力があるのかというところを具体的に見ていくというところになります。
5ページ、キャリアコンサルタントの概要です。実際に、キャリアコンサルタントの方がどういった場所で働いているかを見ていきたいと思います。一番下の「キャリアコンサルタントの活動の場」ということで、一番多いのは、やはり企業のほうです。例えば、企業の人事部とか、そういった所で働いていらっしゃる方、例えばハローワークで職業紹介をやる、ハローワークであったり、民間の労働力需給調整機関、職業紹介会社等、そういう所で働いていらっしゃる方、あとは教育機関です。大学等でキャリアセンターとかで働いていらっしゃる方、そういった方も、こういうキャリアコンサルタントの資格を取って活躍されていることになります。そういった活躍の場を少し見せていただきました。
こういった既存の資格の状況を踏まえて、資料3の論点に移っていきたいと思います。先ほど、技能検定の職種の要件ということで6つの要件を御紹介しましたが、あれは技能検定だけではなくて、一般的に、国家資格として創設するための一般的な要件としても通じるものがあると考えておりますので、技能検定の職種の要件を参考として、それを踏まえて、事務局のほうでJCの資格化に向けた課題の整理を幾つかしております。
1ページ、「課題の整理」としては、資格化の前提として以下の課題があると考えられます。1点目は、その能力が専門的であって、かつ、企業横断的・業界標準的な普遍性を有するものであること。様々なお作法とか流派が乱立するような状況ではなくて、やはり業界統一的な標準的なスキル、評価基準の設定されていることが必要になるかと考えています。2点目としては、客観的な能力評価が可能であること。先ほども少し触れましたが、試験としてきちんと評価ができること、基準を設定して試験として評価ができるということ、統一的な基準をもって評価ができることが必要になります。3点目としては、職種・職業として社会的に認知されているような能力を有する人材に対する社会的な需要が大きく、増大していることが必要になります。4点目は、地域に限定されることなく全国的に相当数存在するということ。また5点目としては、一般的に、人材育成を担う業界団体や事業主団体が存在すること。そして、それが試験の実施主体であったり、その方の養成、人材育成、養成訓練をしたり、また、試験合格後の更新をするのであれば、その後の質の維持とか、そういうところを担っていく、それが業界団体を担う主体として業界団体等が必要になってくることになります。
こういった幾つかの課題を提案させていただいたのですが、この具体的な課題に対して、どういった対応が考えられるのかということで、その課題への対応について、幾つか事務局から提案、整理をさせていただいております。それが「対応の検討」という所です。
まず(1)資格取得者、例えばJCを資格化する場合、資格取得者の人物像の整理が必要になるのではないかと考えております。これは、課題の整理のうちのまるいちとまるさんへの対応として提案しております。資格を取得した者に対して求める能力水準、人物像に関しては、先ほど議論いただいた上級JCを参考として議論してはどうかと考えております。ただ、これに加えて、広く障害者雇用や障害者就労支援に関して関連性、専門性のあるものとして設定するのかについても検討する必要があるのではないか。JCの受講要件として、障害者の一般就労に向けた支援を幅広く見ていこうというところもありましたので、もう少し幅広く見ていけるものではないかということで、この点に関しても検討をしてはどうかと考えております。
(2)業界団体、事業主団体との創設及び当該団体によるJCの能力評価試験の実施ということになります。これは、課題の整理まるに、まるごへの対応になります。これに関しては業界主体で対応が必要ではないかと考えております。先ほどキャリアコンサルタントの資格化の経緯で見ておりましたとおり、まずは、民間資格として一定期間実施されており、それが社会的に認知され、若しくは評価されていくことが必要になってきます。まずは、それが1つの段階として重要になってくると考えております。そういった人材育成を担う業界団体、事業主団体等が創設されることによって資格化に向けた対応は、より前進するのではないか、まず、これがないと始まらないということにはなるかと考えております。
2点目として、当該団体によってJCの能力評価基準が設定され、継続的な能力評価試験の実施の実績が積み上げられていくことで資格化に向けた対応が、より前進するのではないか。また、実務的な課題として試験の実施方法です。知識を図るための筆記試験であったり、スキルを図るための実技試験の実施をどのようにするのか。また、試験科目をどういったものにするのか、試験問題を誰がどのように作成するのかという試験実施体制です。例えば、試験当日のオペレーションであったり、管理ですが、そういうところを具体的に誰がやっていくのか、その体制をどのように確立していくのか、そして、試験において評価していく者や、試験官の育成も必要になってくるのではないかといった実務的な課題も平行して考えていく必要があるということになります。
2ページ、(3)(4)をまとめてお話します。(3)JCの社会的認知度向上と、(4)JC活動の活性化です。今現在、JCとして働いている方々の活躍、活性化であったり、社会的認知度の向上のためです。もともとJCの障害者就労支援に係るということは、障害者雇用における質の向上であったり、また、一般就労の実現にとって非常に有効であると考えております。そういうところをきちんと社会的に認めてもらうためには、どういったことが考えられるのかについて、皆様から御意見を頂ければと思います。
この本作業部会において、既に議論しておりました地域における関係機関連携、ナカポツや労働局を中心とした連携会議を活用した地域のネットワークへのJCの参加であったり、またデータベースの構築によって、例えばハローワークやナカポツから、JCに支援をつないでいくという仕組みを活用していくことが考えられるのではないかということで提案しております。
(5)JCの全国的な要請です。JCの養成研修であったり、上級JC研修の修了者を全国的に養成していくために、まずは養成者数の目標を、ある程度設定する必要があるのではないかということです。その場合、どれくらいの数で設定していくのかということになります。参考として3ページと4ページに、訪問型と企業在籍型それぞれの養成研修の実績として、毎年の養成者数と、累積の養成者数を提示しております。こういったところを踏まえて年間の養成者数や、何年後にはこれくらいを養成しましょうというところで、どれくらい養成していくのかという目標も設定すれば、皆様の進捗確認にも非常に役立つと思いますので、そういう目標に関して、皆様からどれくらいの数字にするのかについて御意見を頂ければと思います。
あと2ページの下のほうに、「対応イメージ」ということで、今後、どのように国家資格化に向けて、どういった課題があるのかということと、どういった手順、どういった流れになっていくのかというところで、いつまでにということではないので、なかなか目標としては設定しにくいのですが、来年度以降、JC活動の活性化とか、全国的な養成はできるかと思いますので、そういうことを行いつつ、社会的認知度の向上であったり、能力評価試験実施の実施主体として業界団体の創設、そこがまずは、その最初の1つのステップになるのではないかと考えておりますので、そういったところの創設も、この目標として設定しているところになります。まず、課題に向けた整理、キャリアコンサルタント等の前例を踏まえて、事務局のほうで幾つか課題を整理しましたので、この点に関して、皆様から御議論をお願いできればと思います。以上です。
○小川主査 御説明ありがとうございます。これまで資格化については、前回、皆様からフリーディスカッション的にいろいろな御意見を頂きました。少し漠然としているということで、何らかのモデルということも必要であろうというような御意見もありましたので、今回、キャリコンをターゲットモデルとして掲げていただいております。
ここから国家資格化に向けた課題ということで、ちょっと検討の時間と回数が限られておりますが、まず、資格取得者の人物像の整理に焦点を当てて御意見を頂ければと思います。いつものように「手を挙げる」ボタンをクリックしていただいて、お名前を言ってから御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
厚労省のほうで整理していただいた資料では、「上級JCを参考とし、議論をしてはどうか」ということ、これに加え、「広く障害者雇用や障害者就労支援に関して専門性のあるものとして設定するのかについても検討する必要があるのではないか」という文も付いております。
これまでに、かなりJCが本当に現場に入り込んで、必ずしも現場で仕事を直接教えるのではないのですが、調整を行っていくJCによって、養成研修と上級JCについては人物像を定めて、カリキュラムについても検討してまいりましたが、後半の文章は「広く障害者雇用や就労支援に関して専門性のあるもの」ということで、もう少し幅広いイメージも含まれているのかというように思います。ここが定まらないと、その後の議論もなかなか方向性が見えてきませんので、是非、御意見をお願いいたします。若尾構成員、お願いします。
○若尾構成員 若尾です。今、小川主査のほうから話のあった「対応の検討」の中の(1)資格取得者の人物像の整理の所ですが、資格を取得した者に対して求める能力水準をどこで決めていくかということ、若しくは、その基準になる水準をどういった形で決めていくのかということ、それに基づいた上級職と一般職の違いというのですかね、これについても、どこで、どういうように決めていくのか。さらに、その障害者雇用、障害者就労支援に関連する専門性のあるものというのは、何を基準にすれば専門性があるのかということについて、今日の第11回作業部会のほか、12回目、13回目の作業部会でまとめられるかどうかということが、私はなかなか難しいのではないかというように考えています。一旦、作業部会の中では、恐らくどこかで着地点を設けて結論付けるところは必要なのだと思うのですが、こういったところについても、引き続き継続協議ができるような場というのを考えていただきたいというように思っています。
ロードマップの中でも、今後の国家資格化の整理のところについては、いつまでに成し遂げなければならないかということについても、もちろん特に触れられているわけではないわけなので、こういった手順についても、併せて、この作業部会の中では意見として、若しくは次にそういったことにつなげていく必要があるということを、是非、意見として載せていただきたいなというように考えております。いかがでしょうか。
○小川主査 これについて事務局、いかがでしょうか。
○小森地域就労支援室室長補佐 障害者雇用対策課の小森です。この作業部会において、この資格化に関する課題の整理についての議論ですが、今回と次回ぐらいで。次回に、この資格化以外にも、取りまとめに向けた骨子案の整理と、最終の3月の実施に関しては、取りまとめに関しての一定の報告書の取りまとめというところになりますので、実質的な議論をする回数としては、あと1、2回というように考えております。
そこの中でカッチリと定めるのは、なかなか難しいかなということと、先ほども少し触れさせていただきましたが、実際に、資格試験実施機関や人材育成を担う機関として想定されているのは、その業界団体であったり、事業主団体ということになるのですが、このキャリアコンサルタントの資格でも、ほかの国家資格を見る限り、そういった所が担っていますので、まずは業界団体が設立されて、そういった方々がどういった方向性で進めていきたいのかということで、資格化の人材像に関して、その業界団体がどういうような考え方で進めていくのかというところも左右されるかと思います。まずは、その業界団体ができるということが、1つのファーストステップかと考えております。
それに向けて、我々もこの作業部会が終わったら、そこで全く手を切り離すわけではなくて、こういったフォーマルな場だけではなく、インフォーマルな実務レベルの場でもいろいろと議論はしていけるかなと思いますので、その都度、御相談等をさせていただければと考えております。
○小川主査 若尾構成員、いかがですか。
○若尾構成員 業界団体を作っていくということも、そんなに簡単な話ではないような気がしているのですが、この辺も少し意見を伺えたらというように思っているのですけれど。
厚生労働省としては、どういったものを、要するに、資格化だけではなく、例えば、このJCの観点からいうと、もちろん認定を受けて実務として活動している法人も中にはあるかというように思うのですね、もちろん養成している機関もあります。それから、先ほど言った広義のJCという観点から考えていくと、それに関連していくような、実働されている所や、その研修についてJCということだけではなく就労支援に関連するような研修をやっていらっしゃるような民間団体というのも当然あるかと思うのですけれど。どういった所が業界団体としてまとまっていくというように考えていらっしゃるのか、ちょっと御意見を伺えたらと思うのですが、いかがでしょうか。
○小森地域就労支援室室長補佐 障害者雇用対策課の小森です。一般的に業界団体と言われるのは、業界を取りまとめて、社会的認知度の向上や人材育成であったり、サービスの質の維持や向上など、その業界を代表として業界でやり取りしていく、その業界を代表として、行政をはじめとして外部の方々と調整をしていくというのが主な役割というように考えています。
そういった意味で、特定の研修機関だけの集まりではなく、もう少し幅広い一般的な企業であったり、若しくはJCを運用している方々、あと一般の企業で複数の企業在籍型を抱えていらっしゃる所を幅広く、いろいろな所を巻き込んで業界団体として、特に、こちらから業界団体はこうでなければ業界団体ではないということはありませんので、いろいろな所を巻き込んで、資格化に向けた議論をしていく必要があるのではないかなというようには思っております。こういった感じでよろしいでしょうか。
○若尾構成員 そうすると、今、この作業部会については、雇用と福祉の政策横断化の所が出発点で、特に利活用が進んでいない中でいうと、JCの利活用を進めていこうという観点の所にも立った上での議論というのは、ずっと進んできていたように思うのですけれども。この国家資格化ということになった段階では、やはり、そこの運用からは少し広げていくような観点を持って今後は検討していかないといけないだろうというように私は解釈したのですが、それでよろしいでしょうか。
○小森地域就労支援室室長補佐 厚生労働省の小森です。まずは国と、国がこう言うというのではなく、まず1つは、業界としてどうしていきたいというのがあると思いますので、業界のほうがそうしたいということであれば、我々としても協力はさせていただくというところになります。
○若尾構成員 ありがとうございます。
○小川主査 そのほか、いかがでしょうか。青野構成員、どうぞ。
○青野構成員 青野です。私はこの人物像の所で、JCが資格化されたときに、どういう方を人物像とするのかなと思ったときに、ひとつ個人的には、確かな知識とノウハウを持って共に働く職場をリードする人材なのかなと思いました。そのときに、どういう方々がなっていくのかなと思ったときに、福祉に閉じてもあまり機能しなくて、企業、産業に寄りすぎても機能しないのかなと思っています。したがって、この(1)の人物像の整理の所で、雇用や障害者就労支援に関して専門性のある方というのを広く設定するということを、是非とも取り入れていただけるといいのではないかなと思いました。
専門性を極めていくのはすごく重要だと思っているのですけれども、障害のある方と共に働くというところで、障害のある方にフォーカスして、その専門性の立場だけから、いろいろなことをリクエストしても、なかなか現実とはうまくフィットしないということがあると思っていて、では、今の現実の企業の実態で、どこを調整すれば一緒に働けるのかというところを橋渡ししていくというところが、一定はカリキュラムに盛り込んでいただいていると思うのですけれども、そういった視点を持って資格化というのを検討されていくと有り難いのかなと思いました。
すみません、長くなってしまうのですが、もう一点は、若尾構成員がおっしゃっていたネットワークというのがすごく重要になってくると思いました。いつまでにというところでいくと、例えば、国連のSDGsの「2030年アジェンダ」に向けても、世の中はもっともっと変わっていくと思っています。インクルーシブな社会づくりはもっと進んでいくと思うのです。例えば、来年から障害者雇用促進法ではなくて、障害者差別解消法の合理的配慮の提供義務が社会で義務化されていくと思うのですけれども、本当は、こういうところも、JCの業界がもっと早く関係者間で共有して、社会側にも合理的配慮とはこういうサービスがあるんですよといったことを共有できて、障害のある方と一緒に働く、一緒に過ごすといったことをリードできていけば、何と言うのですか、すごく世の中にとって貴重な人材になるのではないのかなと思います。この立場の人たちが社会的な情報を、いち早くキャッチして共有し、皆さんどうやっていますかということが連携できるといいのかなと思いました。そのときに、産業に強い人と福祉に強い人の力を合わせると、より良い仕組みづくりや社会づくりにつながるのかなと思いました。以上です。
○小川主査 ありがとうございます。福祉側と企業側、産業側、ここの橋渡しと調整役ということを軸にして、この御提案でいうと、どちらかというと幅広く障害者雇用や障害者就労支援の専門性を持つ人というように考えていって、そのときにSDGsというような、特に環境側の調整を行うということを重視した役割として考えていくほうがよいのではないかという御意見だったと思います。ありがとうございます。國﨑構成員、どうぞ。
○國﨑構成員 國﨑です。青野さんの御意見と似たような感じなのですけれども。今回で作業部会はあっという間に、もう2年の月日が過ぎようとしているのですが、JCの活性化というところでは、一つ、いろいろな制度的な所の見直しも含めて一段階上がったのかなというように思っておりますが、私の中では、やはり上級JCと資格化のところの議論がまだまだ整理できていない、十分に議論するまでの情報の整理にはまだ至っていないというのが率直な感想です。
私も国家資格化については、最初に厚労省のほうから説明がありました「名称独占資格」の中に技能検定という枠組みがあるというところでは、このJCという名称がいいかどうかは置いておいて、今のJCを踏襲する流れでの労働側の資格としての国家資格として、是非とも必要だと思っています。障害者にかかわらず、労働力が減っていく今の日本において、働きづらさとか、もっと言えば高齢になったり、いろいろな枠組で働く人がもっと幅広くなっていく中では、JC支援の現場で調整をするであるとか、誰にでも分かりやすくというような基本的なところは必ず労働力を安定的に供給というか、よい仕事の在り方に絶対つながると思いますので、その辺りでの国家資格というところと、あと上級に関しては、今日の協議の中でも、今ひとつ受講要件の所で、私の中ではちょっと整理ができていなくて、養成研修の終了と、一定の一般就労というところで、アとイの組み合わせの所だったのですけれど、その時点では意見が言えなかったのですが、私自身を振り返ったときに、養成研修を受けても、実際に関わっていた仕事の中でできる幅と、今現在JCとして動いているというところで言うと、アとイの所はもう少し深めた上での上級という設定のほうが質の担保につながるのではないかなという気もしております。ただ、いずれにしても、資格化をすることが労働側のキャリアの国家資格としていくことは絶対重要だと思っておりますし、これに向けては、もっともっと検討する会議を継続的にお願いしたいというように思っております。以上です。
○小川主査 ありがとうございました。労働施策として是非とも必要で、それについて、特に上級JC、かなり議論はしましたが、それでもまだ不十分で、さらに、その上に資格化ということになると、より密な検討が必要で、そういった場面を継続することが必要という御意見だったと思います。ありがとうございます。
青野さんの後に國﨑さん、どなたか、木村さんは手が挙がっていましたよね、そんなことはないですか。大丈夫ですか。分かりました。では、後でお願いします。JEED、お願いします。その後に景山さん、お願いします。
○井口構成員 JEEDの井口です。先ほど、資格取得者の人物像について御意見がありましたように、国のJC制度によるJCだけでなく、それを広げるというのは私も異論はありません。ただ、どこまで広げるかという議論をする場合には、例えば、JC養成研修を受けた方が、JC以外の、どういう場で、どんな活躍をされているのかということを調べる必要があるのではないかと思います。例えば、キャリコンの活躍の場というのが資料にも出ていましたが、企業や就労支援機関、地域、学校でもと、いうような情報がありました。JC養成研修を受けた人が、国のJC制度以外のJCのような役割をどういう場で果たしていらっしゃるのかといったことも、調べてみる必要があるのではないかと思います。以上です。
○小川主査 ありがとうございます。研修修了者のその後の所属や活躍範囲の辺りから、人物像というのを、より明確化していく必要があり、そのためにはリサーチなども確かに必要かなというようには思います。景山構成員、お願いします。
○景山構成員 東海化成の景山です。2026年7月から雇用率が2.7%になりますと、37.5人以上の企業が障害者と関わることになると思うのです。これはもう決まっている事実です。今、日本が99.7%が中小企業だという中で、どれだけ母数が増えるのかというのを思いますと、本当に、ここで多分、大きな混乱とは言いませんが、経験のない、そういった企業がたくさん出てくるのだろうなと思っております。そのときに、JCがどういうように関わっていけるのかなということを思いながら、ずっとこの議論を聞いておりました。
国が2.7%に上げるというところで動いている、何と言うのかな、上級JCとか資格化が言われているのですが、そこは、やはり国が2.7%だと言っている以上、業界団体ができるのは私としてもとても期待するところなのですが、そこにも、やはり国もきちんと、ある意味、責任を持って関わっていただきながら業界団体と一緒に作り上げていくということが、私たち小さな企業としては非常に望まれるところです。
上級JCや資格化なのですが、先ほど、國﨑さんがおっしゃったように、やはり、まだ自分事としてイメージができず、非常に整理が付いていない状態です。もう少し、37.5名以上の企業がどういうような動きになっていくのかということを想定したような、中小企業を、もう少し巻き込んだような、そういったヒアリングをする場があると大変うれしいなと思うところです。以上です。
○小川主査 ありがとうございます。雇用率引上げに伴って、やはり企業サポートをする専門家の必要性、そこで、やはりJCの重要性について、資格化ということについての期待と、ある程度というか、国も責任を持って、業界団体だけではなく、関わっていく、リードしていく必要があるという御意見だったと思います。木村構成員、お願いします。
○木村構成員 木村です。やはり私も、皆さん方から挙がっているとおり、専門性のある者というところで人物像の整理をした際になかなか明確な基準が見えてこないなという印象がありました。6月の作業部会のときに小野寺前課長がおっしゃったとおり、この制度設計に向けて、国も責任を持ちながら進めていきたいというようにおっしゃってくださったことを思い返すと、もう少しリサーチを高めていくようなことが、やはり必要であったり、業界団体の中に一当事者の私のような者が入るかというと、そうではない状況の中で、実際に現場で苦労していたり、四苦八苦しながら日々支援に当たっている人の声は、どのぐらい入るのかなというのが心配でなりません。ですので、やはり現場の声を、もう少し拾い上げる時間をしっかりと国のほうで取っていただいた上で、形づくっていけるといいなというように思っております。以上です。
○小川主査 ありがとうございます。やはり、もう少し継続検討が必要であろうということ、そこでの国の関わりの必要性と、検討の場に現場の意見を是非きちんと吸い上げてほしいという御意見でした。そのほか、いかがでしょうか。
この論点を少し超えて、様々な御意見、特に、短時間での今日だけの検討だけでは難しく、今日の論点だけではなかなか難しいということがベースにあっての御意見のように思います。したがって、ここで立てた論点から少し外れても結構ですので御意見を頂ければと思います。青野構成員、どうぞ。
○青野構成員 青野です。少し戻りますが、地域の格差の所なのです。実は、私たちは今年の4月から障害のある方のデジタル人材を育成するためのインターンシッププログラムをリモートで開始したのです。30名を募集したところ、リモートだったということもあるのですけれども応募者の9割が東京以外の方でした。なぜ地方の方が多かったかというと、就労移行支援機関というのは地方でも結構できているのだけれども、訓練をしても実際に就職する場所がないので、こういうインターンシップができてすごく有り難いというお話がありました。今、11月から第2期を開催していて、2期になってくると少し東京や関東のメンバーも増えてきているのですが、やはり地方からの参加者が多いなと感じているところです。
なので、JC養成研修などは、もしかしたら地方開催ということも考えていただいて開催をされているのだと思うのですけれども、企業というか、働く現場との橋渡しの所では、何らかのつながりが少し弱いのかなという気もしています。なので、やはり地方に力を入れていくということも考えていただけると有り難いなと思いました。
地方のということを考えたときに、やはり首都圏にノウハウや体験が集まっているということを考えると、首都圏の方が地方で研修を開催するときに、何らかの助成金の枠を活用して、例えば、訪問支援型の枠を活用していただくなどで、少し助成していただくということも、非現実的ではない範囲で検討いただくと、広がるのかなと思いました。以上です。
○小川主査 ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。それでは、私も司会ですが、少し発言をさせていただいてよろしいでしょうか。
大体、ここでの論点に沿ってということが、ちょっと皆さんの御発言だと時間が短くて難しいような雰囲気を感じました。やはり資格化ということについての期待は非常に大きいというように思います。なかなか議論が先に進みにくいのは、やはり上級JC研修、この資格というところについて、もやっとしているというお話もありましたが、どこまで広げるのかということについて、あるいは上級JC、イコール資格化なのかということについての議論が不十分で、ここについてはもっと議論を深めていかないと明確にならないと。それは議論だけではなく、リサーチなども必要であるというように思います。
ただ、ここについて、じゃあ、業界団体がどこまでできるかというと、結局、この人物像がある程度固まった中で、それに関わる業界団体が形成されて、じゃあ、資格化に向けて何をやろうかという議論が始まると思いますので、是非、ここの人物像の整理ということについては、こういった委員会、あるいは作業部会といった形で議論させていただけると、私も業界団体の理事長の一人でありますので有り難いなというように思っております。
すなわち、JC養成研修が非常に有効であるということが議論の土台になっていると思います。助成金で活動をする人たちは非常に限定されているけれども、研修ニーズというのは広まっていて、その研修を受ける人というのは、必ずしもJC的な仕事をやろうという人以外にも様々な場面で障害者の就労や障害者雇用に関わっている方たちが受講して役に立っているというようにおっしゃっている。それが、やはり障害者雇用の質の向上に役に立っているというように、私たちは実感として持っているのですけども、それについての議論も、もう一回きちんと行う必要があるかなというように感じます。これは特に、企業の方の御意見をきちんと伺うということも重要なのかなというように思っております。
これから雇用率が上がっていく中で、先ほどの景山構成員の御発言にもありましたが、企業と障害のある人の両方をサポートして調整する人間というのは必ず必要で、それこそがJCの理念であり、方法技術の柱ですので、やはり、こういったことが障害者雇用の質と定着に必要だということについても、もう一回議論した上で、人物像の確定をしていくことが必要かなというように思います。
これまでの作業部会では、研修の体系について、かなりきちんとした詳細な議論をして、養成研修と上級研修のカリキュラムは、今日、ある程度の見通しが付いた段階かと思います。これは非常に大きな一歩だと思います。それから、助成金についても、かなり検討をして、使いやすい助成金にしていただいたということも、JCの活性化には非常に重要な一歩だと思いますが、ただ、現場の方々は、果たして、これでJCが増えていくのか、訪問型が増えていくのかということについては、まだ心配が多いというのが、それぞれの社会福祉法人やNPO法人を運営している方たちの実際の感覚なのではないかなというように思います。
他方で、例えば、職業リハビリテーション計画を少し省略できないか、あるいはペア支援の在り方というところについても、今後、在り方が変わってくるというような議論もありました。JCの養成と質の担保については、これまではJEEDが重要な役割を果たしてきておりましたが、これから、少しそこの役割が変化していくということについても、この作業部会で話し合いましたので、今後、やはりJCの質の担保についてどうするのか。やはり研修体系を作っただけではなくて、それが資格という形になって、それを管理・運営する業界団体というのは、どういう組織なのかというところまで、ちょっと業界団体だけが話し合って何とかなるということでもないだろうというように感じるところですので、これについては委員の皆様からも多数御意見を頂きましたので、厚生労働省のほうでも御検討いただければというように感じております。
時間が残り5分となりましたので、ちょっとこの点について、なかなか詰められないことがありましたが、今日のところはこれぐらいで、次につなぐということでよろしいでしょうか。それでは一旦、事務局のほうにお返しさせていただきます。
○小森地域就労支援室室長補佐 次回は、令和6年2月5日(月曜日)13時からの予定となっております。次回の主な論点としては、今回、御議論いただいた資格化に向けた課題の整理に関して引き続き論点を整理して、また改めて御議論いただくということと、残りは2月と3月の2回となりますので、事務局のほうから、この作業部会の取りまとめの報告書の骨子案みたいなものを提示させていただいて、御議論いただくことを予定しておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。以上です。
○小川主査 それでは、以上をもちまして本日の作業部会を終了とさせていただきます。お忙しい中ありがとうございました。皆様、どうぞ良いお年をお迎えください。お疲れさまでした。