薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会(2024年1月26日)

日時

令和6年1月26日(金)
14時00分~16時00分

場所

オンライン会議

出席者

委員
事務局

議題

報告事項
  • 令和4年度マーケットバスケット方式による保存料等の摂取量調査の結果について
  • 3,6-ジメチル-5,6,7,7a-テトラヒドロ-2(4H)-ベンゾフラノンの取扱いについて
  • 既存添加物の安全性の確認について 
  • その他

議事

議事内容
○事務局 それでは、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会を開催させていただきます。本日は、先生方御多忙のところ、御出席いただきまして誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
初めに、本部会をオンラインで実施するに当たり、オンライン会議で委員の皆様に御注意いただきたい点について、事前に確認をいたします。御発言時以外は、基本的にマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。発言時以外にマイクがオンとなっている場合には、事務局がミュートとさせていただく場合がありますので、御了承ください。また、御発言がある場合には、まずは挙手機能やコメント機能を用いて意思表示をお願いします。意思表示をいただきましたら、部会長又は事務局が御指名しますので、その後に御発言をお願いいたします。御発言の際は、最初に御自身のお名前をお願いいたします。また、部会長から委員の皆様に、審議事項等について、認めることでよいかなどを確認していただくことがありますが、チャット機能などでの意思表示をお願いしております。御了承いただける場合には、チャットで「異議なし」などを入力いただきますようお願いいたします。注意事項は以上です。
 続いて、本日の委員の皆様の出席状況を報告いたします。本日は、瀧本委員、原委員より御欠席との連絡を受けております。現時点で添加物部会委員13名中11名の委員の先生方に御出席いただいておりますので、本日の部会が成立いたしますことを御報告申し上げます。また、本日は、参考人としまして、国立医薬品食品衛生研究所毒性部・動物管理室長の高橋祐次先生にお越しいただいております。よろしくお願いいたします。
 次に、資料等の確認をいたします。あらかじめ、議事次第、委員名簿、資料1から3-5及び参考資料1から4をお送りしています。それでは、議事の進行を杉本部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○杉本部会長 先生方におかれましては、お忙しい中をお集まりいただきありがとうございます。添加物部会ですが、本日が今年の第1回目になります。今年も先生方、皆さん、活発な御議論をよろしくお願いします。それでは、事務局から本日の部会の審議品目に関する利益相反の確認結果について報告をお願いします。
○事務局 事務局です。本日の部会においては審議品目がないため、利益相反の確認対象はありません。以上です。
○杉本部会長 それでは、1つ目の報告事項「令和4年度マーケットバスケット方式による保存料等の摂取量調査の結果について」に関して、事務局より御説明をお願いします。
○事務局 事務局です。資料1を御準備ください。厚生労働省では、指定添加物を中心に、我が国における食品添加物の摂取実態を明らかにすることを目的として、マーケットバスケット方式により、毎年調査対象となる添加物を変えつつ、添加物の一日摂取量調査を実施しています。令和4年度は、1~6歳の小児における実態を明らかにするため、小児の喫食量に基づき、表1のとおり保存料、着色料、甘味料、製造用剤及び結着剤の一日摂取量調査を実施しました。
 方法について御説明いたします。まず、調査に参加した国立医薬品食品衛生研究所及び地方衛生研究所5機関(札幌、仙台、香川、長崎、沖縄)において、加工食品を購入し、購入した加工食品を1~7群の食品群に分け、それぞれの群ごとに混合した試料を調製します。その試料を用いて、先の6機関に東京、千葉、広島を加えた計9機関において、表1の調査対象物質について分析を行い、各混合群試料における含有量を測定し、これに各加工食品群の小児の喫食量を乗じることで、各添加物の一日摂取量を算出しました。こちらについては、購入した食品を混合したサンプルから求めたものですので、混合群推定一日摂取量と呼んでおります。
 また、今御説明いたしました食品群ごとの調査とは別に、購入した食品のうち、調査対象添加物の添加物表示がある食品については、別途、表示のある製品ごとにサンプルを調製して分析を行い、それぞれの食品における添加物の含有量を測定しました。これにそれぞれの食品の喫食量を乗じて、それを加工食品群ごとに集計し、表示された食品に基づく一日摂取量を算出しました。こちらについては食品表示から摂取量の推定を行っておりますので、表示群推定一日摂取量と呼んでおります。このようにして得られた表示群推定一日摂取量と混合群推定一日摂取量との比較を行っております。
 続いて、結果に移ります。結果については、まず3ページ以降にお示ししております表の見方から御説明いたします。表2ですが、一番左の列が調査対象の添加物となっております。1群の調味嗜好飲料から7群の果実類・野菜類・海草類が左から順に並んでいます。そして、一番右に総摂取量の値が示してあります。各項目については、(混合群推定一日摂取量)/(表示群推定一日摂取量)の形でお示しております。例えば、安息香酸で言いますと、1の調味嗜好飲料にある0.61という値が混合群の値、0.65という値が表示群の値になります。また、-は該当する食品がなかったことを示しており、0は検出限界未満であったことを示しております。
 4ページにある表3の見方を御説明させていただきます。表3は、左から順に表2で算出した推定一日摂取量、JECFAと食品安全委員会でそれぞれ設定しているADI、ADIから算出した一人当たりの一日摂取許容量、推定一日摂取量と一人当たりの一日摂取許容量から算出した対ADI比若しくはMTDI比をお示ししています。表の見方は以上になります。続けて結果について説明いたします。
まず、表2より、混合群推定一日摂取量の値については、保存料の中では、ソルビン酸が1.5mg/人/日で最も高く、次いで安息香酸が1.0mg/人/日でした。着色料は、食用黄色4号が最も高く0.04mg/人/日であり、甘味料は、スクラロースが最も高く0.87mg/人/日でした。また、製造用剤のプロピレングリコールは、8.9mg/人/日であり、総リン酸塩類は、リンとして181mg/人/日でした。
 これらの結果から、表示群推定一日摂取量と混合群推定一日摂取量の比較を行った結果、安息香酸及びオルトリン酸は、表示群よりも混合群のほうが高い値を示しました。これは、天然由来の食品成分として食品に内在するものがあるためであると考えられました。縮合リン酸は、表示群よりも混合群のほうが高い値を示しましたが、これは、混合群試料には乳化剤や膨張剤等の一括名表示により使用されたものが含まれており、また、食品原料由来のキャリーオーバーもあるためであると考えられました。プロピレングリコールは、混合群試料からは検出されている一方で、使用表示のある食品はありませんでした。これは、天然由来であるとは考えにくく、食品原料において使用されたプロピレングリコールがキャリーオーバーとして検出された可能性が考えられます。その他の食品添加物は、混合群と表示群の一日摂取量はおおむね一致しており、おおむね表示どおりに使用されているものと考えられました。
 続いて、表3の結果です。対ADI比は、保存料ではソルビン酸が最も高く0.4%であり、次いで安息香酸が0.3%でした。着色料では、食用黄色4号が最も高く0.03%であり、次いで食用赤色3号及び食用赤色102号が0.02%、ビキシンが0.007%、食用青色1号が0.005%でした。甘味料では、ステビア抽出物の対ADI比が最も高く0.56%であり、次いでスクラロースは0.35%、アセスルファムカリウムが0.15%で、製造用剤のプロピレングリコールは2.2%でした。また、総リン酸塩類の対MTDI比は16%でした。これらの結果から、今回の調査対象物質について、小児の推定一日摂取量はいずれもADIを大きく下回っていることが確認できました。
 続いて、表4ですが、こちらは前回小児の摂取量調査を実施した平成30年度の調査結果と今回の結果とを比較してお示ししております。御覧いただいていますように、平成30年度の調査から多少の増減は見られたものの、対ADI比又は対MTDI比の値を大きく超えるような食品添加物の摂取量の変動は見られませんでした。
資料1についての御説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○杉本部会長 ありがとうございます。ただいまの御説明について、委員の先生方から質問等はありますか。なさそうですね。
 それでは続いて、2つ目の報告事項「3,6-ジメチル-5,6,7,7a-テトラヒドロ-2(4)-ベンゾフラノンの取扱いについて」に関して、事務局より御説明をお願いします。
○事務局 資料2-1について御説明いたします。3,6-ジメチル-5,6,7,7a-テトラヒドロ-2(4)-ベンゾフラノンは、別名をミントラクトンという香料物質ですが、ラクトン類の1つとして香料での使用が認められております。香料については、個別に指定されている添加物もありますが、類似構造を有するものについては、「ケトン類」や「エステル類」のように一括名称で指定されているものがあります。このように、一括名称で指定されているものについては、具体的な品目を通知により例示しており、そちらに載っているものについては、ケトン類やエステル類に該当しているので使用することができます。
 本物質について、2022年に細菌を用いる復帰突然変異試験において陽性を示す結果の文献が報告されたことから、国立医薬品食品衛生研究所に所属する安全性生物試験の専門家に情報収集と意見を求めたところ、本物質は変異原性物質である可能性が否定できず、本物質の安全性を検討する上ではフォローアップの遺伝毒性試験が必要であるとの意見でした。本結果については、資料3-2にまとめております。
 本物質について、米国ではフレーバーとしての使用において、FEMA GRAS(一般的に安全であると認識されるもの)とされ、2021年にFEMA GRASのステータスを保持するには現在のデータが不十分であると判断され、リストから削除されました。また、EFSAにおいて本物質の遺伝毒性の見直しが行われてきましたが、現在入手可能なデータだけでは遺伝毒性の懸念が払拭できないとされ、業界による評価継続のデータサポートが表明されなかったことから、2022年にEUのユニオンリストから削除されました。
 我が国における流通等の状況については、2.の表にお示ししたとおりですが、日本香料工業会では2021年の11月に使用等の自粛を会員企業に求めており、その時点でも会員企業での使用がなかったことが確認されています。
以上を踏まえ、今後の対応ですが、当該香料については、安全性を検討する上ではフォローアップの遺伝毒性試験が必要であると考えられますが、欧米においてはデータ不足によりリストから削除していることに鑑み、日本においてもラクトン類に分類されている物質の類似リストから削除し、当該香料そのものを着香の目的で使用した製剤及び食品の製造・販売等を行わないよう指導するよう都道府県に対して通知を行いたいと考えています。ただし、天然のミントを使用するなど、元来この物質を含有する食品に由来するものについては、この限りではないとします。
なお、当該香料については、現時点では国内での使用は確認されておらず、また使用されていても極めて微量と考えられること、元来この物質を含有する食品に由来する摂取も極めて微量と考えられることから、国民の健康に影響を及ぼすとは考えにくいと思います。本報告については以上です。
○杉本部会長 途切れ途切れで聞こえにくかったのですが、また途中で聞こえにくい所がありましたら、そちらから言ってください。
 それでは、ただいまの報告について、御意見などはありますか。
○頭金委員 頭金ですが、よろしいでしょうか。
○杉本部会長 はい、お願いいたします。
○頭金委員 現状では特に使われていないということで、リスクとしては低いというのは分かったのですが、この物質に変異原性があるかどうかという科学的な確実な知見がないとの説明だった思います。今後これを科学的に示すような研究事業を行う予定はいかがでしょうか。
○事務局 御質問いただきありがとうございます。御報告したとおり、使用を行わないよう指導を行ってまいりますので、一旦は検討を終了させていただきたいと考えており、これに関する変異原性の確認というのは未定の状況です。新たな科学的知見が公表される等の状況があれば、検討する可能性はありますが、現時点では未定です。
○杉本部会長 以上になりますが、よろしいでしょうか。
○頭金委員 はい。今後とも情報収集するということで、それは必要だと思います。同時に、可能であれば、この物質にどの程度の変異原性があるのかどうかという研究事業も必要ではないかと思います。以上です。
○杉本部会長 ありがとうございます。
○戸塚委員 すみません、戸塚ですが、よろしいでしょうか。
○杉本部会長 はい、お願いします。
○戸塚委員 今の頭金先生の御質問にも関係するのですが、資料2-1には「日本香料工業会では使用等の自粛を会員企業に求めており」と書いてあるのですが、会員企業以外でこれを使っている可能性というのはどのぐらいあるのか、全くないと考えていいのでしょうか。
○事務局 御質問いただきありがとうございます。会員企業以外にも使用している企業さんがある可能性が否定できない状況と思います。
○戸塚委員 その辺りは、どのぐらい使っている所があるとか、どのぐらいの量が含まれているというところまではフォローできないという現状なのでしょうか。
○事務局 そうですね、現時点で把握ができる範囲で確認させていただいたところでは、使われてはいませんでしたが、我々の確認できないところまではフォローができていないということです。
○戸塚委員 使用の自粛は会員企業以外にも求めることはできるのですか。
○事務局 今回の厚生労働省からの通知においては、会員企業以外にも自粛をしていただくようにという方向で記載させていただく予定としております。
○戸塚委員 承知しました。ありがとうございます。
○杉本部会長 ほかにございますでしょうか。よろしいですね。そういうことですので、注視しながらやっていただければよいかと思っております。
 続いて、3つ目の報告事項「既存添加物の安全性の確認について」に関して、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 事務局です。資料の3-1を御覧ください。既存添加物の安全性の確認について、御説明いたします。平成7年以前に関しては、天然の添加物については指定を受けなくても使用できるようになっていたところ、平成7年の食品衛生法改正により、化学的合成品と同様に、天然添加物に関しても使用する場合には指定を要するとされました。ただ、その時点で使用されていた天然添加物を使用不可とするのでは、食品製造における障害が大きいということで、その時点で使用されていた天然添加物については、既存添加物名簿に収載し、引き続き使用できることとされています。この際、既存添加物については、安全性の確認を行うこととされましたので、順次、安全性の確認を行っているというものです。
 平成8年度に厚生科学研究報告書が作成されており、その中で、その時点の全ての既存添加物について4つに分類しており、1つ目として「今後、新たな毒性試験の実施も含め、安全性について検討することが必要であるもの」、2つ目として「基原、製法、本質からみて、現段階において安全性の検討を早急に行う必要はないもの」、3つ目として「入手した試験成績の評価により、安全性の検討を早急に行う必要がないもの」、4つ目として「既に国際的な評価がなされており、基本的な安全性は確認されているもの」、この4つに分類されていました。
 今回、2つ目の「基原、製法、本質から見て、現段階において安全性の検討を早急に行う必要はないもの」に分類された109品目のうち、調査研究によって情報が得られた3品目(オリゴガラクチュロン酸、キハダ抽出物及びペクチン分解物)について、国立医薬品食品衛生研究所内に設置されています食品添加物安全性評価検討会による検討結果が取りまとまりましたので、資料3-2のとおり御報告します。
 また、令和3年12月15日の食品添加物部会において御指摘のあった既存添加物の安全性評価に関する報告書の一部(骨炭、デキストラン及びフィチン)についても、再度検討し、修正を行ったため、資料3-3のとおり御報告します。なお、御指摘のあったL-ラムノースについては、反復投与試験を実施中であり、単糖・アミノ酸については安全性に係る情報を収集中です。
 2.は評価結果の概要を記載しています。まず令和4年度検討事項について、オリゴガラクチュロン酸については、食品添加物としての使用に関しては安全性に懸念がないとされていますが、キハダ抽出物及びペクチン分解物については、遺伝毒性試験から変異原性を有する可能性が否定できず、いずれもフォローアップ試験としてトランスジェニック遺伝子突然変異試験を追加で実施した上で、改めて安全性評価を行う必要があると評価されました。
 次に令和3年度報告事項の再検討ですが、資料3-3の下線を引いた所が前回からの変更部分になります。骨炭については、「検討結果のまとめ」の欄に本品目が懸念は低いと評価された根拠として、その使用用途から想定されるばく露に関する情報を含めより具体的に追記しています。
 デキストランについては、文献調査を再度行い、「2)反復投与毒性試験」の欄及び「5)海外評価書における取扱い」の欄に情報を追記し、「検討結果のまとめ」の欄に本品目が懸念はないと評価された根拠として、ばく露に関する情報を含めより具体的に追記しています。フィチン(抽出物)については、「4.安全性試験の概要」にフィチン酸の情報を追記し、「検討結果のまとめ」において、マグネシウム及び夾雑物に関する検討内容を追記しています。
 今後の取扱いですが、オリゴガラクチュロン酸については、引き続き規格設定等を通じて安全性確保に努め、キハダ抽出物及びペクチン分解物については、引き続き情報収集を行い、新たな安全性情報が集まり次第、改めて報告します。
 次に既存添加物の安全性確認の進捗状況ですが、資料3-4に現在の対応状況をお示ししています。また資料3-5として、検討が終了していない品目をリストアップしましたので、御参考までに報告します。
事務局からの説明は以上です。
○杉本部会長 ありがとうございます。ただいまの報告について、御質問、御意見などはありませんか。
○二村委員 御報告ありがとうございます。これまでも既存添加物については、規格基準を定めるとか、安全性評価を行うなど、ほかの添加物と同レベルの管理をしていただきたいということで意見を申し上げてきました。今回の対応は、そうした意見を受け止めていただいたものと考えています。報告いただいてありがとうございます。特に資料3-3の報告書の修正案、それから資料3-1で試験や情報収集を実施中とある品目については、2021年に御意見させていただいたことであると思います。着実に対応していただいていることに感謝します。
 評価、取扱い未決のものが今回一覧化をされていますが、そのことは非常にいいことだと思います。状況が把握されているということも含めて、個別にちゃんと見ている、管理しているのだということがとても大事だと思います。食品基準行政は管掌する省庁が今後、変更になりますが、この点についてしっかり引き継いでいただきたいと思っています。以上です。
○杉本部会長 ありがとうございます。ほかにございますか。よろしいですかね。
 既存添加物のほうですが、今、ちょうど映っているように、評価しているもの、していないもの、分かりやすく表一覧になってよかったと思っています。引き続き、まだ評価されていないものについても順次行っていくこととなると思いますが、やられたものについて、またこういう形で公表していくという形ですよね。事務局、それでよろしいですか。
○事務局 はい。
○杉本部会長 なかなか大変な作業になるかと思いますが、引き続きこういうふうに公表していただくとよいかと思います。
 ほかになければ、次の「その他」になりますか。事務局からその他についてお願いできますか。
○事務局 事務局です。その他ということで、参考資料3と4について説明をさせていただきます。まず参考資料3、令和5年度「自ら評価」検討資料と書いている資料です。これは昨年の11月17日に食品安全委員会で開催された第40回企画等専門調査会の資料です。この資料では、食品安全委員会が自ら行う食品健康影響評価を行う案件候補について広く募集した結果、添加物関連として、この2番目の添加物の所に書いてある4件の提案が寄せられたということが報告されました。そのうちの1件は、具体的な論文に基づく提案で、4つあるうちの一番下の所、食品添加物スクラロース中に残留する可能性のある不純物スクラロース-6-アセテートに遺伝毒性が指摘されるのではないかという内容です。企画等専門調査会では、この提案について食品安全委員会の事務局で更に情報を収集し、次回の第41回の企画等専門調査会において取扱いを決定するということになっています。
 今回、この提案は、委員の先生方にお配りをしています参考資料4になります。これは英語の論文がありまして、昨年の5月に発表された遺伝毒性に関する論文、これが今回の提案のもとになっています。この論文中の遺伝毒性試験が3試験、そしてin silicoによる評価の1試験、合計4つが行われていまして、それらの結果は論文に示されていまして、論文本体で言うと10ページから14ページにかけて示されています。まず実験1が、TK6細胞におけるin vitro MultiFlow DNA損傷アッセイで、これは代謝活性化系の存在下(+S9)と非存在下(-S9)で典型的な染色体異常誘発性シグナルを示しましたが、この異数性の誘発性シグナルは示されなかったこと。そして、実験2では、TK6細胞におけるin vitroの哺乳類細胞の小核試験で、これは27時間処理で代謝活性化系の非存在下、-S9では陽性ですが、代謝活性化系の存在下、+S9では陰性であったこと。実験の3つ目として、Leadscopeを用いた変異原性の潜在性に係るin silico評価として、変異原性及び永続する伝達性の遺伝的変異が誘発される可能性が示されたこと。最後に4つ目としては、微生物を用いる復帰突然変異試験、Ames試験として、スクラロース-6-アセテート及びスクラロースは共に陰性、すなわち非変異原性であったということでした。
 この論文について、国立医薬品食品衛生研究所の専門家に御意見を求めたところ、2つありました。1つは、遺伝毒性に関する試験を行ってはいるが、微生物を用いる復帰突然変異試験では陰性を示していることから、変異は誘発しないと考えられること。2点目として、その染色体異常誘発性を検出する哺乳類の培養細胞を用いた小核試験においては、最高用量でのみの微弱な陽性結果であり、用量依存性は認められないということ。これらの結果から、遺伝毒性の懸念に言及することは困難とのコメントを頂いています。
 食品添加物であるスクラロースの現在の規格基準を見てみますと、純度試験の項目としては「他の塩化二糖類 0.5%以下」が設定されており、このスクラロース-6-アセテートは、この「他の塩化二糖類」に該当します。スクラロースの新規指定に当たりましては、がん原性試験、催奇形性試験で問題がないことが確認されています。また、海外の状況を見ますと、スクラロース-6-アセテートに関する規格を設定している国又は機関は確認されていません。
 これらを踏まえますと、今後の対応として、現在の知見では、このスクラロース-6-アセテートについて、直ちに規格の設定等を検討する必要はないのではないかと事務局としては考えていますが、引き続き国内外の動向に注視しつつ、情報収集に努めていきたいと考えています。報告は以上です。
○杉本部会長 ありがとうございます。ただいまの報告について、御意見、御質問などはありますでしょうか。
○戸塚委員 遺伝毒性の専門ですので、追加でコメントさせていただきたいのですが、医薬品食品衛生研究所の専門家の先生がお答えになっていることに完全に同意いたします。私もこのデータを見させていただきましたが、陽性が出ているという染色体異常に関しては、やはり最高ドーズのみで非常に弱い陽性となっていまして、その下のドーズを見ても、小核のフリークエンシー自体が上がったり下がったり、ばらばらしているような状況で、これをもってしても用量依存性というのは見て取れないというところもありましたので、そういう意味で医薬品食品衛生研究所の先生の御意見には賛同いたします。以上です。
○杉本部会長 ありがとうございます。ほかにはございますか。なさそうですね。そういうことですので、今後の国内外の動向を見ながら、このスクラロース-6-アセテートについては、注視して情報を集めていくという形ですかね。とりあえずは、そういう形になります。そういうことでよいと考えますが、よろしいですね。
 本日の報告は以上ですね。それでは、全体を通して先生方から御意見はありますでしょうか。ないようですので、次回の予定について事務局から御説明をお願いします。
○事務局 事務局です。次回の添加物部会については、議題が決まり次第、また改めて御案内をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○杉本部会長 ありがとうございます。それでは、本日はこれで以上になります。お忙しい中お集まりいただき、どうもありがとうございました。以上です。