第2回救急医療の現場における医療関係職種の在り方に関する検討会ワーキンググループ(議事録)

医政局地域医療計画課 災害等緊急時医療・周産期医療等対策室

日時

令和6年2月7日(水)
15:00~17:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンター ホール14E

議事

下記のとおり

2024-2-7 第2回救急医療の現場における医療関係職種の在り方に関する検討会ワーキンググループ
 
○東専門官 それでは、ただいまから第2回「救急医療における医療関係職種の在り方に関する検討会ワーキンググループ」を開催いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
 本来であれば構成員の皆様方の御紹介と事務局の紹介をさせていただくところですが、時間の関係上、構成員名簿と座席表の配付をもって紹介に代えさせていただきます。
 今回のワーキンググループにつきましては、公開のワーキンググループとして実施、資料や議事録については厚労省ホームページで公開、事前に御希望があった方の傍聴はあり、YouTubeライブ配信ありという形での開催としております。構成員の皆様方におかれましては、あらかじめこの点について御了承ください。
 今回は、会場にお越しいただいた構成員の方とウェブで参加される構成員の方がいらっしゃいます。オンラインには細川構成員が参加されて、そのほかの構成員の方には会場にお越しいただいております。
 細川構成員は、本日遅れての御出席と御連絡をいただいております。
 また、参考人としまして、会場には吉備中央町より山本町長、岡山大学より那須学長、岡山大学病院より牧講師にお越しいただいております。
 ウェブには岡山大学より高崎特任教授、岡山大学病院救急救命科上田助教、岡山市消防局より堀川消防総務部消防企画総務課長、宮本消防総務部消防企画総務課企画調整担当課長、頼定警防部救急課長、疋田警防部救急課救急指導担当課長が参加されております。
 また、オブザーバーとして、総務省消防庁救急企画室の飯田救急専門官、内閣府地方創生推進事務局の高橋参事官補佐に御出席いただいております。
 まず、御発言の方法から確認させていただきます。オンライン参加されている構成員の方々におかれましては、御発言の際は、Zoom画面の下部にございますリアクションボタンまたは参加者一覧の下部から「手を挙げる」をクリックし、指名を受けてから、マイクのミュートの解除、御発言をお願いいたします。
 続きまして、お手元の資料を御確認ください。
 議事次第、出席者名簿、座席表のほか、資料1から3、参考資料1から3をお配りしております。
 不足等がございましたら、事務局までお知らせください。
 傍聴の方におかれましては、厚労省ホームページより資料のダウンロードをお願いいたします。
 報道の方で冒頭カメラ撮り等をしておられる方がおられましたら、ここまででお願いいたします。
 それでは、児玉座長に以後の議事進行をお願いいたします。
○児玉座長 児玉です。
 それでは、議事に入ります。
 まず、議題1「今年度のワーキンググループにおける議論の進め方について」です。
 資料1について、事務局より説明をお願いいたします。
○東専門官 事務局より資料1について説明させていただきます。
 「今年度のワーキンググループにおける議論の進め方」というタイトルの資料になります。このワーキンググループの趣旨や、前提となる令和3年の救命士法改正について、いま一度、認識を共有する目的で最初に提示させていただきます。
 まず、1ページ目です。
 令和3年の救急救命士法改正の概要についてです。皆さん十分御存じとは思いますが、もともと救急救命士制度というものは病院前における医療提供体制の充実を目的として創設されたものであり、救急救命処置を行う場所に関しては、病院または診療所に搬送されるまでの間という病院前に限定しておりました。
 しかしながら、平成3年の法制定当時からの30年で救急搬送件数は2倍以上に増加し、病院前だけでなく、救命に関する処置が行われる救急外来においても医療提供の量的な不足が問題視されるようになり、救急救命士が処置を行う場所の拡大について検討が行われました。
 救急外来では、病院前に引き続き、一連の処置として救急救命処置が行われ、また、措置により重度傷病者の緊急の生命の危機が回避された場合にあっても、容態が急変する可能性が高く、入院病棟の医師、看護師に引き継ぐまでの継続的な観察が必要です。
 一方で、入院病棟で行われる診療につきましては、救急救命処置の定義である重度傷病者の症状の著しい悪化を防止し、またはその生命の危機を回避するために緊急に必要なものというものを越えた全人的な診療を行っております。
 また、救急外来は人的資源の不足により逼迫した状況にある一方で、入院病棟は患者のケアに必要な看護士さんが配置されております。
 このような議論の結果から、救急救命処置の実施可能な場を病院前から延長して救急外来までとするという内容で改正に至りました。
 また、既に存在する救急救命士の資質をそのまま活用するという基本的方向性の下、救急救命士法の場の規定以外、対象者の規定、処置の内容の規定に関しては変えなかった。
 これが令和3年の救急救命士法改正の概要となります。
 次のページ、2枚目に行きます。
 当ワーキンググループの開催要綱を載せております。
 当ワーキンググループの検討事項は、救急救命士が実施する救急救命処置の検討についてであり、平成27年から令和2年まで開催しておりました救急救命処置検討委員会の後継のような立ち位置と考えております。法改正に伴い、救急救命士が様々な医療関係職種と協働していくこととなったことを踏まえまして、処置検討委員会よりも広く多職種の方々に御参画をお願いし、新たな会として立ち上げたわけでございます。
 したがって、当ワーキンググループの議題は救急救命処置の内容に関してであり、改正法で定められた場、救急外来まで、対象者は重度傷病者という規定の中で検討を進めてまいりたいと考えております。
 3ページ目に移ります。
 議論していただく処置として、国家戦略特区において取り組むことが提案されております、まずはエコー検査、その次に、前身の救急救命処置検討委員会で積み残し課題となっておりましたアナフィラキシーに対するアドレナリンの筋肉内注射、この2項目をワーキングの第1回でも頭出しさせていただいておりました。
 国家戦略特区という制度については、参考資料2に概要をまとめております。参考資料2「国家戦略特区制度について」というタイトルのものです。
 1ページ目が基本的な考え方になります。法の第1条に目的が書かれており、下線の部分を読みますが、国が定めた国家戦略特別区域において、その区域に関し、規制改革その他の施策を総合的かつ集中的に推進するために必要な事項を定め、国民生活の向上に寄与することを目的として創設された制度ということでございます。
 まず、国家戦略特別区域となるためには、国の指定を受ける必要があり、さらに、その区域内で規制の特例の適用を受けるためには、活用する特例を位置づけた区域計画について内閣総理大臣の認定を受ける必要があります。
 特例の設け方としては、法律による規制の緩和等であれば国家戦略特区法に特例を規定、政令、省令または告示による規制の緩和等であれば施行令、共同省令または共同告示に特例を規定といったように、特区内に限定した取組においてもそれぞれ法や政省令、告示、条例等の改正が必要になります。
 今回はこの国家戦略特区制度の枠組みにおいての提案ですので、全国一律にというわけではなく、まず特区という限定された地域において実施するものとして提案の救急救命処置が適切か、妥当か検討していただきたいと考えております。
 特区制度に関する以後の説明は時間の都合上割愛させていただきますが、本日は制度を所掌する内閣府地方創生推進事務局からも御出席いただいておりますので、もし何か制度に関する御質問があれば、後ほど御対応いただけるかと思います。
 それでは、資料1の4ページに戻らせていただきます。
 当ワーキンググループの今年度のスケジュールという見出しのページです。
 本日、第2回では、エコー、超音波検査の提案団体である岡山県吉備中央町、岡山大学、岡山大学病院、岡山市消防の方々にお越しいただいており、その提案内容等について集中的に議論を行う予定でございます。
 そして、日程等未定ではございますが、年度内に可能な範囲で議論を進めまして、年度末には今年度の議論の取りまとめという形で、行った検討の内容や今後の課題等について一旦整理したいと考えております。
 末尾に参考として、令和2年度までの救急救命処置検討委員会の検討の土台、枠組みとなりました、厚労科研「救急救命士の措置範囲に係る研究」の報告書の抜粋を載せております。
 左下の4.処置の評価、1効果(利点)の評価、2頻度の評価、3難易度の評価、4侵襲度、危険度の評価、これらの項目を基本とし、本ワーキンググループでも処置の検討を行ってまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 事務局からの説明は以上になります。
○児玉座長 ありがとうございます。
 続いて、議題2「救急救命士のエコー検査について」です。吉備中央町、岡山大学より資料が提出されております。
 それでは、吉備中央町より資料2と3について御説明をお願いいたします。
○山本参考人 岡山県吉備中央町町長の山本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日はこのような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 当町が提案をさせていただいております救急救命士のエコー検査について、初めに私から本提案を行った理由について御説明をできればと思いますので、よろしくお願いいたします。
 当町は典型的な中山間地域でございまして、地域医療や高度救急などの医療関係の不足が喫緊の課題となっております。こうした課題は、全国の中山間地域共通の課題であると私は認識しております。
 当町においては、町内に二次救急病院がなく、救急搬送は全て町外の高次医療機関まで1時間以上を要するという立地条件であり、病院到着の際には様態が急変いたしまして、転院搬送されるといった事象も発生しております。
 住民アンケート調査におきましても、約40%の方が救急搬送に関して不安があると回答しているような現状でございます。
 この課題を解決するために、搬送中の救急車内におきまして、救急救命士の役割拡大という規制改革を今目指しております。これによりまして、医師の指示の下、救急救命士によるエコー検査等により患者情報を収集し、搬送先へ伝送することで、適切な病院選定や早期の治療に着手できる可能性があると考えております。
 当町が指定を受けておりますデジタル田園健康特区の規制緩和を利用しまして、医療環境の改善を目指しまして、今、岡山大学様、岡山市消防局様としっかりと連携・協力をいたしまして、救急救命士によるエコー検査の規制改革の実現によりまして、不利な立地条件を打破するきっかけの一つになればと思っております。
 この町に住んでも救急輸送におきまして不利にならないということを私は町民に広くPRいたしまして、やはり安心感を与えていきたいと心の底から思っております。
 私からの御説明は以上でございます。
 それでは、資料によりまして、岡山大学様より説明を申し上げます。
○那須参考人 岡山大学学長の那須でございます。
 私、吉備中央町のプロジェクトのリードアーキテクトを当初からさせていただいております。
 本日は、救急救命士のエコー検査について、内閣府の調査事業を私どもは病院、大学を挙げて、消防局とも連携しながら進めてまいりました。
 本日は、アーキテクトであります、本大学病院の産婦人科の講師、病棟医長でありまして、母子救急にも携わっている牧講師から説明をさせていただきます。
 ぜひ各職域を代表するワーキングの構成員の皆様から、それぞれのお立場から、私どもが気づかぬような点とか御指摘等をいただきたいと思いますし、御質問なり御意見をいただければ幸いでございます。
 では、牧から説明をいたします。よろしくお願いいたします。
○牧参考人 那須アーキテクトありがとうございます。
 岡山大学病院の産科婦人科のドクターをしております牧でございます。
 本日は、このような場で、我々の取組であります救急救命士に対する処置拡大の一端を担うエコー検査の説明をさせていただく機会を賜りまして、本当にありがとうございます。
 また、厚生労働省の皆様におかれましては、隅々まで御配慮を賜りまして、本当に感謝申し上げます。
 我々が持っている資料、今回は資料2、資料3の2つを用意させていただいておりまして、本日は資料2の「救急救命士のエコー検査について」を細かく説明させていただこうと思います。
 資料3のほうは参考資料、参考1、参考2、参考3と書かせていただいておりまして、これはこの後の質疑で皆様の忌憚ない御意見に対しまして一部説明に使える可能性があるということで、準備をさせていただいている次第でございます。
 そうしましたら、資料2の救急救命士のエコー検査について、本日は私から御説明をさせていただこうと思います。
 右上に通し番号がついておりまして、右上の1、2、3というところで説明をしてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 1枚めくっていただきますと、内閣府の諮問会議により閣議決定された国家戦略特区の指定区域というものが定まってございます。我々吉備中央町も、デジタル田園健康特区の一つとしてここに指定を受けた自治体でございます。
 次のページを御覧ください。
 我々は、令和3年10月から、産官学連携の後に、吉備中央町から国に対しスーパーシティ再提案の資料を提出し、毎月様々な会議等を経て、令和4年の4月に指定を受けたのは先ほど申し上げたとおりです。
 この指定を受ける前から、救急救命士に関する処置の部分においてはやはりコンソーシアムが必要であろうということで、救急DXコンソーシアムを岡山大学病院の救急科の中尾教授に入っていただきまして立ち上げてございます。
 指定を受けた後に、岡山大学病院としましてもデジタル田園健康特区のプロジェクトチームというものを掲げる必要があるということで、那須学長推進の下、そういったプロジェクトチームが9月に立ち上がり、この救急DXコンソーシアムの改編をさせていただいて、今の状況になっております。こちらは後で説明をさせていただきます。
 その後に、令和3年度から続きます内閣府の先端的サービスの開発構築等に係る調査事業ということで、令和3、4、5の3年連続で採択の後に、救急救命士にどうやってこの情報を伝送する、要はふだんの処置を止めることなく、時間配分を一切気にすることなく、やるようなシステムとはどういうことなのだろう。それを実証してまいりました。今も令和5年度分の調査を続けている次第でございます。そして本日に至るというような概略でございます。
 1枚めくっていただきますと、3番の資料でございますが、これが救急DXコンソーシアムの設立でございます。岡山県医師会、そして、関係医療機関、また、岡山市消防局、このようなチームを組みまして、救急DXコンソーシアムとして、岡山大学の救命救急・災害医学講座の主任教授である中尾教授に全体マネジメントの委員長をしていただき、私が吉備中央町とこの救急DXコンソーシアムをつなげるような形で副委員長に入らせていただいている次第でございます。まさに産官学連携で、何が一番救急車内でやる行為に対していいのかということを今突き詰めているコンソーシアムでございます。
 1枚おめくりいただきますと、今日の御議論いただきたい内容に入ります。
 もう一枚めくっていただきますと、5枚目でございます。
 こちらは、先ほど山本町長から御説明いただきました吉備中央町の地域課題、まさにデジタル田園健康特区は、少子高齢・人口減少に当たりまして、自治体行政の様々な人口減少に対するタスク・シフトだとか、また、少子高齢に対する対応だとか、そこにおける健康医療の分野をサポートしてほしい、モデルになる地域になってほしいというようなことを加味して掲げられた特区でございますので、その中心を担う一丁目一番地がこの吉備中央町の地域課題でございます。
 内容は先ほど町長が仰せられたとおりでございまして、そのような処置をして、搬送中の検査・確認を可能とし、適切な搬送先への搬送を実現する。また、搬送と並行して、医師が自分の搬送元施設にいながら、要は診断に寄与する情報を手に入れて、診断の補助にその情報を使っていただくというような形で、治療を開始する。到着と同時にセカンダリーサーベイをスタートできるような形を取りたいということで、早期の処置実施については救命・予後の改善に資する内容を提案してまいりました。
 1枚めくっていただくと参考資料でございまして、これが町長が1時間以上かかるのだというような部分における証拠でございまして、三次救急、高次医療機関における救急搬送時間というものは1時間を優に超す。電話で119で救急車を呼んだところから実際の病院に着くまでにこれだけの時間を要するということでございます。
 1枚おめくりください。
 ここからがエコー検査の実施方法の説明でございます。読ませていただきます。
 救急車と病院との間で情報伝送を行う環境をまず構築します。これが実証調査等で実現してきました。救急救命士がエコーを当てる箇所、当て方等についても、医師がリアルタイムにその現場を見ながら、医師の指示を細かく受けつつ検査を実施します。医師は、エコー検査画像の情報を基に患者の情報を確認し、救命士に指示・伝達。救急隊は、その情報を基に患者を適切な搬送先に搬送するほか、必要に応じてさらなる処置を実施と書いてある次第でございます。
 救急車内では、このような全景カメラ、ウェアラブル伝送、そして、医師の指示に基づいたエコー検査の画像を伝送するシステムなどが、吉備中央町には2台の救急車がございまして、その2台に設置がされております。
 そして、病院側、これは岡山大学病院になりますけれども、そこにはこのような大画面のモニター、またはタブレット端末などがありまして、エコーや救命士との情報連携だとか、あとはウェアラブルの救急士の視野の状況だとか、そういったことを全て1画面で見られるようなシステムになっているわけでございます。
 8ページをおめくりください。
 そのような車内の中でエコー検査をどのようにやっていくのだということがこの表に書いてございます。現着から現発まで患者状態を把握した後に、搬送に至ります。搬送先病院を選定するわけですが、その病院へと情報共有のための通信環境確立、これはボタン1つで電波が通り、Wi-Fiのようなものが接続された状態で、ボタン1つで行うようなシステムです。患者の状態を病院Aの医師Aに共有しますと、医師が超音波をやってくれというような状況でまず言われて初めて救命士は超音波をします。その状態を緑の医師が観察・指示、病院Aの受入可能性を検討し、病院Aで受入れの準備をする場合もありますし、うちの病院ではこれは厳しいので、どこどこ病院に搬送しましょうということで病院Bを選定し、病院Bの受入可能性という形で、橙が救急隊、緑が病院A/Bでございますが、このような形で実際に対応し、病着後はすぐに患者の治療を開始するといった流れです。
 9ページを御覧ください。
 我々、国家戦略特区のデジタル田園健康特区でどのような有効性と検証をしていきたいのかというページがこの9ページ、10ページでございます。
 まず9ページの説明をさせていただきます。
 まず、山本町長がおっしゃっていたように、適切な搬送先病院の選定ということでございます。病院到着前にこういったシステムを利用して、医師に情報を共有し、事前に急変の可能性とか受入れの妥当性を検討し、適切な搬送先に搬送支援をお願いするというような流れでございます。それによって、病院到着後に様々な状況を知って、また別の機関に紹介するというような部分を減らせるような検証をしていく。これが1つ目の検証でございます。
 次のページを御覧ください。10ページでございます。
 もう一つの大きなポイントは早期の処置実施です。我々産婦人科領域では、岡山県全土に情報連携システムが入っていまして、その情報連携システムが全ての分娩取扱施設に備わっております。実はそのシステムを使って情報連携をするだけで、赤ちゃんがあるAの病院に着いた後に、帝王切開で緊急で出さなくてはいけないという時間を7分半短縮できたという論文があります。
 というように、情報を連携するだけでもこのような喫緊の状態での患者対応ができるわけでございまして、それに一般救急でも下腹部痛等の状況等を訴える方に超音波をして、その後の救命処置の時間短縮、施術までの時間短縮を促したいということで、病院到着から本治療開始までの時間を測定・比較して、治療開始までの時間短縮効果を検証するということでございます。
 次のページを御覧ください。
 このようなことを行う患者様のユースケースでございますが、救急車に同乗する重症疾病者のうち、主に腹痛、下腹部痛を訴えているような疾病者、または外傷等による負傷者、高エネルギー外傷などが入ります。そして、意識状態やバイタルが不安定、ショック状態の疾病者。このような方を対象として、想定される疾患は以下に示したとおりでございますが、想定の疾患に対してFAST検査のようなことで対応するということでございます。
 このような状況をまさに救急車内で行うことによって、適切な搬送先選定、早期の処置実現を可能とし、最終的には救命率の向上や一症例が助かるというような事例を増やしていく。これが我々の希望でございます。
 1枚めくってください。12ページでございます。
 対象となる患者の発生頻度、この部分は、皆様もどのくらい吉備中央町から搬送があるのか質疑のあった部分でございまして、岡山県の消防に調査を依頼しましたところ、黄色の部分が吉備中央町の搬送、下腹部痛、腹痛などを理由に搬送されている方です。2019年から2022年までのデータがこのようになっておりまして、岡山市だけでいくと1,700件程度の搬送がございます。これを全国で割り当てますと722万でありまして、腹痛疾病者は43万件ということで、ここに書いてある年間というのは、全国を模した場合、38万件の内因性、そして、4万件の外傷のような外因性の腹痛疾患があって、こういったものがFASTの適用になり得るという状況がここの資料でございます。
 1枚めくっていただきます。
 エコー検査の実施プロトコルでございまして、先ほど私が口頭で述べたものがこのような形のプロトコルに関わっておりますので、超音波の指示・判断、そして、実施みたいなものにおいては、医師のリアルタイムの指導によるというような状況がついております。1番、2番、3番については割愛させていただきますが、今まで私が説明した内容に過不足はない状況かと思っております。留意点はぜひ御確認のほど、よろしくお願いいたします。
 次のページを御覧ください。
 そして、救急救命士が今までしたことがない、こういった前向きなリスクといいますか、そういった状況をつくる際の安全性、難易度、教育体制というのはいかがなものかという資料でございます。
 エコーを疾病者に対して当てる状況であれば、侵襲性はございません。聴診器の使用による心音や呼吸音の聴取と同様のものであると医学的にも証明されているものでございます。
 ですので、処置の難易度とかというところにおいては、その安全性の下に行うわけですが、救急救命士のエコー検査というのは、医師の細やかな指導に基づいて実施されることが前提で、また、主にまずは下腹部というような状況を模しております。
 エコーの操作や画像の判断補助をする基礎的な能力があれば十分に対応可能というのは、我々の令和4年度の実証調査業務で補足資料2のほうで記載してございますので、またぜひ御確認いただければと思っております。
 また、救急救命士による基礎的な能力の習得に向けては、2022年の12月13日にVRや2Dのテレビのような状態で映像を見せるような形でハンズオンを行って、これは2時間の講習でございましたが、大変有効な効果判定が出ておりまして、今、論文がアンダーレビューの状況からリバイスにかかっているような状況でございます。そのようにかなり有能なデータが出たことは、こちらの場で申し上げさせていただきます。
 ということで、講習の結果、2時間の講習ではございますが、FAST、お腹に当てる、ショック状態かどうかを判断する部分においては、4回の実技、これは2時間の間に4回したということですが、それで十分な習得が可能であったということを本日お伝えさせていただきます。
 最後のスライドになります。15ページです。
 我々、救急救命処置の要件の適合性におきましては、救急救命処置の要件である、まず1番、2番、3番の部分に注視しております。救急車に乗られる方は軽症、中等症、重症と様々な方がおり、10%の方が重度疾病者と該当されるわけですが、基本は重症の可能性があるということで救急車に乗るわけでございます。病院または診療所に搬送されるまでの間に行う時間というものとの関係は、情報というものは搬送距離が長ければ長いほど有効であるというような論文もございまして、救急救命士が搬送中にこのような検査をして、様々な利点をまさに生み出していくということをこの特区事業として我々は目標としているところでございます。
 そして、先ほど厚労省の方が申し上げておりましたけれども、この生命の危機を回避するのが救急救命士の救急救命処置たるゆえんでございまして、そこの部分に対して医師が指示をしながら、サポートしながら、医師の責任の下でそういった処置をしていくということを、我々、まずは実証からスタートしていきたいということを申し伝えさせていただいて、説明を終わりにさせていただきます。
 御清聴いただきありがとうございました。
○児玉座長 ありがとうございました。
 そうしましたら、残りの時間はワーキンググループの構成員の皆様から御質問や御意見を伺えればと思います。限られた時間でありますけれども、ぜひ活発に御議論できればと思っております。
 御発言の際は、議論を円滑に進める観点から、御意見か御質問か、また、御質問の際はどなたに対する御質問かを明確にして御発言をお願いします。分かりやすく簡潔な御質問を心がけていただければと思います。
 それでは、早速どなたからでもよろしくお願いいたします。
 お願いいたします。
○深澤構成員 チーム医療として参加しております深澤でございます。
 山本町長、そして、那須学長、牧先生、本当にすばらしい御報告、御発表をありがとうございました。
 私、チーム医療推進協議会の理事として、この検討会の一員、構成員として参加させていただいております。私、出自は臨床検査技師でございます。また、チーム医療推進協議会に関しましては、救急救命士の団体も存在しているということで、私、構成員として出させていただいております。
 前回、私のほうで意見といった形でお出しさせていただきました。今回も様々な資料と御報告、御提案について、私のほうからも少し、若干長くなるかもしれませんけれども、意見として出させていただきます。
 まず、救急救命措置の範囲の拡大について、新しい処置の要望、提案という形で出されておるエコー検査というものでございます。私、出自は臨床検査技師ということでございましたので、実際にエコー検査に関しては、医行為に関しても非常に技術面でも難易度が高い、また、被験者となる患者様の安心、そして、医療の実施のためにも、現場で実際に可能な人材として育てるには非常に知識、技術が必要となる。そういった要素があるという形になっております。
 そういった意味で、実施が認められている職種に関して言うと、医療職種に制限、臨床検査技師、そして、診療放射線技師、医師、看護師といった形で制限がかけられているところでございます。
 そんな中で、今回の御報告の中で、14ページのところでございましたけれども、腹部におけるエコー検査の操作に関して、これは画像の判断補助をする基礎的な能力があれば十分可能である。教育はVR、ハンズオンでの講習で2時間で可能という資料記載がございますが、私たちの人材育成、技術取得実績、検査技能の認定事業における経験等の見解といたしましても、これは正直な話、正常範囲の所見において、描出さえ知っていれば指示を受けて医師の求める画像が表示できるというものではなく、基本的に抽出能力には技術習得が達することは極めて困難で、患者さんの生存確認ですね。その向上が認めるかどうかは、まずは疑問があると考えております。
 正直、私たち臨床検査技師の学校、まず養成校のほうからのカリキュラムに関して言いますと、全体で1年から4年制です。そういった形の養成校の中で、超音波検査に関する講義というものは90時間程度ございます。そういった形でまず臨床検査技師が養成され、これはあくまでも国家資格を取るため、本当に資格を取るための教育の時間でございます。
 医療の中でこういった、実際に先生方、または患者さんに安心・安全な医療を提供するために超音波検査を行うに当たっては、当然OJTといった形でしっかりと教育を受けて、認定制度というもので取得をした上で初めて実際の患者さんの安心・安全な超音波検査というのを実施できる。それにはほぼ3年程度の時間がかかるというのが超音波医学会のほうの見解でございまして、そのような時間も非常にかかるといったところでございます。
 そういった意味で、今回の御提案、出血部位の確認などの異常所見を画像で確認する救急救命の現場において、医師による遠隔の指示の実施は、正直な話、偽判定を発生させる要因となるのではないかなと私たちは考えております。
 本検討によって超音波施行による成果として挙げられている搬送中、搬送先病院に到達した後、急変する病態、搬送中での検査で早期の対象ができる、想定される疾患に腹腔内出血、腹部大動脈瘤の破裂、懸念点が挙げられておりますが、資料にあるフローチャートでは、病院到着後に検査を行わず、治療開始と記載されているといったところでございますけれども、これは本当に現実的なのでしょうか。また、実証研修で肝破裂、腎破裂を実際に評価できた症例はございますでしょうか。エネルギー外傷、ショック状態の患者に一次検査と称して救急車内の検査の実施による搬送先の変更は、こういったときに起こり得るものでございましょうか。
 冒頭お話ししましたとおり、実技時間が120分、FASTの試行訓練を3~4回、2分以内で行うとの講習会内容が記載してありますが、果たしてこれで患者の生命、予後の危機状況、超音波施行による院内検査を省いてまで患者の安心・安全につながると考えて、患者の利益につながる。そういったことをお考えなのかということです。
 冒頭お話ししましたとおり、私たち臨床検査技師や診療放射線技師は、国家試験受験のために必要な就業年限に関して言うと3年以上となっております。エコー検査の業務実施が法的に認められている中で、医療の中で患者の安心・安全を担保するために、実際に関係学会とともに2時間で終わるというような水準の技術認定というものは設けておりませんし、当然、先ほど言ったとおり、臨床検査技師の免許を取った後で、初めて3年程度の業務をOJTでやった上、何十時間、何症例におけるものを認定制度の中で症例を出した上で初めて認定してもらって、患者の診療につなげているといったところでございますので、そういった意味では、やはり何度か私はお伝えしておりますけれども、救急救命士が実施することについての安全性、必要性、または精神性、難易度、必要となる教育体制と技能の維持と質の管理等の観点から、この部分はぜひ御検討いただきたいと私たちは考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 私からは、十分な御議論をいただき、この辺のところを御検討いただければと思っております。
 以上でございます。
○児玉座長 深澤構成員、ありがとうございます。
 今、エコー検査の難易度が高いということ、また現時点でお示しいただいた教育体制で十分なのかということが指摘されました。もしかするとミスが起きないかという懸念が示されたかと思いますけれども、現時点でお答えいただけることはありますでしょうか。
 よろしくお願いします。
○牧参考人 岡山大学病院の牧から返答をさせていただこうと思います。
 また、その後、救急の現場でまさにドクターカーを担当している上田助教からも一言御説明をさせていただければと思います。
 今、深澤構成員様がおっしゃっていた内容、まさにこの救急救命士を指導していくというのは、今日、多職種の中で救命救急士の御資格を持っておられる先生方におかれましても恐らく日々の悩みだと思います。実際に大学でそういった救命士さんに超音波をさせるような手技というものが本当に何時間要るのか、どのぐらいの長さが必要なのかということは、今、まさに深澤先生がおっしゃったとおり、まだ分かっていない状況でございます。
 また、今、47都道府県どこをとっても、救命士さんに実際の臨床で超音波をさせるという手技をすることは一切できません。これは、まさに国家戦略特区だからこそ初めてこのような御議論をさせていただいているという次第でございます。
 それで、今日、私は参考資料を幾つか準備させていただいております。参考2と書いてある資料でございますが、この参考2の資料の中でも指導の部分です。参考2の最初のページを開いていただいて、超音波教育の成果ということでございますが、既に救急救命士に関する超音波教育のカリキュラムというものは、論文でいくと18論文ございます。
 そして、これは3ページになります。参考2の3ページを今見ていただければと思います。
 その中で講習時間というものを調べますと、2分から2日程度でございます。まさに私もふだん産婦人科をしていまして、臨床検査技師の方に超音波をしていただいております。まさに普通の妊婦健診でも超音波をしていただいていますし、腹部の精細な超音波をしたりという本当に多くの行為を全部指導するといいますと3年、もっとそれ以上もかかることもあるかと思うのですが、我々の産婦人科のエリアでも1か月、2か月しっかりと指導を重ねて、もちろん赤ちゃんなどの全てを見ていただく。スクリーニングなどをするというとそれぐらいかかるわけですが、実際にFASTの研究等になりますと、このぐらいの講習時間が今既存の論文で出ているわけでございます。そして、大体その論文の平均FAST時間を我々で調べてみますと123秒ということで、これが平均でいくと2分ということで、今回2分という数字を過去の論文から出させていただいたという形でございます。
 それ以降、4ページ、5ページ、6ページ、7ページ等は、FASTをやる上での今この世界に存在するスコアでございます。まさにこのスコアを高得点で卒業する、高得点を出すというような手技がまた専門の先生とかに認められての手技にするべきだとは私たちも思い、今、那須学長とともにそういった教育連携みたいなものを考えている状況でございます。
 そして、8ページを御覧いただきますと、講習会修了時のスコアということなのですけれども、25点をクリアしていれば一般の診療医師と全く遜色ないデータということになるのですが、実はこの2時間の講習に出ていた方、一切超音波の勉強等もせず、そのときに来ていきなりこのビデオを見てください、そして、ハンズオンをしてくださいといった形で我々はさせていただいておりますが、25点を下回った方は誰一人いなかったということで、まさに救命救急士の技術の可能性というものを我々は見させていただいたと思っている次第です。
 そして、もう一ページめくっていただくと、救急救命士自身がこの超音波ということを実際に講習でして、事前ではよく分からなかったものも、実際に自分で体験してやってみて教わって、またもう一回やってみてということを4回繰り返すと、これだけの事後評価に値する。人はまさに教育を受けてどんどんと成長していっていただけるということが見られたデータでございます。
 上田先生、この講習を実際に主幹になってしていただいて、どのような感触だったでしょうか。また、プラス私に何か抜けているところがあれば、ぜひコメントいただければと思います。
○上田参考人 ありがとうございます。岡山大学病院の救命救急科の上田と申します。
 この勉強会を私は担当させていただきまして、実際にまず担当する前に、先ほど牧のほうから説明があった論文と、ほかの文献等も見させていただいたのですが、確かにこの論文で2分と書いてあるのですが、とても2分で教えられるものではありませんけれども、私が探したものでは大体1日コースというのが多かったのは多かったのですが、多忙な救命士さんに指導を行っていくときに、なかなか1日コースというのを開催するのは難しかったので、仕事明けの方というのも非常に多かったのですけれども、今回の勉強会は2時間という時間で教育をさせていただいたという内容になります。
 あと、参考資料の3ページになるのですけれども、救命士はやはり全く超音波の検査をしたことがない職種でありますし、今回経験したことのない方が参加しているということがありましたので、それと全く同じ条件で、当院の病院救急救命士、2名雇用しておりますけれども、この者にも同様の指導、大体3回ぐらい私が教えた中でも、2分以内にハンズオン指導後にFAST検査の、当てて、私が言って出してねという形の描出の仕方になりますけれども、そういうやり方であれば2分以内での手技も施行が可能でしたし、また、医学生と書いてありますけれども、こちらは病院実習に初めて参加した2年生の医学生になります。この者に超音波研修を同様に、お互いに当て合いをして、画像を描出してくださいという形で私がハンズオンで指導しています。
 これも2時間もかけていません。大体30分から1時間程度の手技の講習で、私が見る範囲ですけれども、十分な画像の描出というのが可能でありましたので、この救急救命士に対する教育にも同様に、今回は2時間という形ですけれども、2時間で行わせていただいた。また、3~4回目ぐらいで大体手技の習得というか、私が満足いくような画像の描出が可能でしたので、3回から4回の手技の訓練という形に今回はさせていただきます。
 ただ、私もこれで十分な手技習得が可能なのかというのは、まだ現段階では分かっていません。これからまだまだまだ課題でありますし、あと、超音波検査においては、やはり施行の頻度であったり、そちらのほうが問題になってきますので、繰り返し教育していくということがエコー研修は大事かと思いますので、そういったものも今後検討させていただいて、救命士ができるようになるようであれば、それをまたカリキュラムとしてつくらせていただいて、繰り返しの訓練等ができるような体制にしていきたいと考えております。
○牧参考人 ですので、我々は今持っておる全ての情報で深澤先生に御説明をさせていただきましたが、ドクターカーで実際に1例、吉備中央町で腹痛を訴えてドクターカーとして行った症例ですけれども、その症例において、その場で超音波を当てたら大動脈解離が見つかって、岡山大学病院よりもほかの心臓関係の専門施設のほうがいいだろうということで直接そちらに行きまして、まさにインタクトで帰宅したという症例が1例ドクターカーでございます。それは超音波で病院を変えたというようなまさに具体的な1例でございまして、今年あった1例ですけれども、山本町長はまさにその症例をよく私に語ってくださいますが、そういった症例が1例でも出てきているということを最後に申し伝えまして、答えになっているかあれかもしれませんが、終わりとさせていただきます。
○児玉座長 ありがとうございます。
 まだ救急救命士によるエコーの使用は国内では行われていないため、教育体制のあり方の検討も含めて今回初めてやってみるという点が重要だという話があったと思います。海外の先行研究もある程度あるということ、また、限られた手技ですので、3年間という期間は必要ないのではないかという話もあったかと思います。
 教育の点についてはまだ質問された方はいらっしゃるのではないかと思いますので、御質問があればもう少しお尋ねしたいと思いますけれども、今の質疑で時間を20分取っておりまして、この調子でいくと4人ぐらいしか発言できませんので、申し訳ありませんが、質問も回答も手短にして、必要があれば回答後にさらに質問していただければと思います。手短にどうぞよろしくお願いいたします。
○細川構成員 日本医師会でございますが、よろしいでしょうか。お疲れさまでございます。
 簡単に質問だけなのですけれども、この研修に関して、今回、特区でエコーということに関しては、現場では決してなくて、搬送中の動いている車の中でと。そうすると、エコーを当てることがさらに困難になるのです。それで、こういう研修自身を、2分から2日と書いてありますけれども、被験者は健康なボランティアが多い。これをもしやるとしたら、必ず車の中で、しかも、走行中にやっていただく必要がある。安静にしていて、ダミーではないにしても、被験者が健康であってじっとしていれば、エコーというのは当てやすいといえば当てやすいのですが、これはゆっくり走るのではなくて、普通に緊急、準緊急走行でというぐらいのスピードで検証をやっていただかなければ、この25点のスコアだとかというのも全く意味を成さないような気がします。その辺はいかがでしょうか。
○児玉座長 もし回答を今できましたら、よろしくお願いいたします。
○牧参考人 細川構成員様、本当にありがとうございます。
 そのような懸念点はごもっともだと思います。我々は、実際に動いている、しかも、40キロ以上出ている車内、これは救急車でもドクターカーでもそうですが、させていただいて、実際に十分な画像伝送がまずできたということが実証で証明されております。また、救命士の超音波による遠隔医師による診断は、5秒以内にできたということがございます。
 もちろん疾病を持った被験者といいますか、モデルというものをつくるのはなかなか難しいのですが、実は実際にここで使っているシミュレーターが、そういった異常を示すシミュレーターと異常を示さないシミュレーターというものがございまして、その2つを使って、ちゃんと異常があったかどうかというのを見させてもらう実証でございました。
 病院前での超音波による搬送時間が延びるといった文献は、実は世界でもまだございません。もちろんそういうのがあれば報告しない可能性はありますが、そういった状況を我々は今持っております。
 そして、診断精度についても同等であるという報告が実際に認められております。それらの実証も特区で行い、調査をするということがまず第一だと思っている次第でございます。
 ということで、車内での確定診断が目的ではなくて、あくまでFASTして出血しているかどうかとかというところをまず目標としておりますので、車内での超音波ができない状況において無理やり超音波をするのではなく、せずにいくという方針も医師の指示の下行えると解釈していただければと思っております。
 以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
 細川構成員、よろしいでしょうか。
○細川構成員 ありがとうございます。
 40キロ以上で走っていてという。それから、FASTの確認とおっしゃいますけれども、確認して出ているというのがその場で分かるというのも一つの診断になるのではないかと。必ず遠隔でドクターが画面を確認するとなっているかとは思いますけれども。そこでインターネットのネットワークに個人情報を載せるということについては、総務省の消防庁のほうで、救急隊が搬送時に搬送患者のマイナンバーカードを使って薬歴等の情報を見るということで、かなりインターネットのネットワークについてのセキュリティーというのが問題になっていたかと思います。それと同時に、患者のエコーの所見、エコーの状況等、患者情報をインターネット等のネットワークで操作するということについては、消防庁だけではなくて厚生労働省の方でもネットワークのセキュリティーに関して厳しくチェックする必要があるかと思っておりますが、そこら辺も含めてどうぞよろしくお願いします。
 私からは以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
 セキュリティー面についてはいかがでしょうか。
○牧参考人 これも答えたほうがよろしいでしょうか。
○児玉座長 もし簡単に答えていただければ。お願いします。
○牧参考人 ネットワーク環境におかれましては、閉鎖空間内で外に出ることなく、全て暗号化されたデータとして解析されます。また、先ほど言われましたマイナポータルからの情報などと連携してという内容におかれましても、400ぐらいある質問に答えた制度設計をしないと基本は使えないレベルで、我々はそれを一応クリアさせていただいて準備をさせていただいております。
 最後に、そのようなデータを救命士さんが飛ばすことが本当に救命士として是なのかということに関しましては、救急搬送中というのは情報連携をすることに対しては基本的に問われないという状況が実は個人情報保護法のほうにありますので、またぜひ御確認いただけたらと思っております。
 以上でございます。
○児玉座長 ありがとうございます。
 では、淺香構成員、お願いします。
○淺香構成員 ありがとうございます。日本救急看護学会のほうから参加させていただいております淺香です。
 今、エコーそのものの教育のことですとか、その安全性等についてはいろいろ勉強になりました。ありがとうございました。
 私のほうからは、実際に現場でいろいろ業務を協働させていただいてきた立場から発言させていただきます。若干質問も含まれていると思いますので、よろしくお願いいたします。
 実際にエコーをするとなると、やはり救急車に同乗していた経験などからも含めて、やはり患者さんの状態によっては動きがなかなか静止できなくて、それを介助するというのは難しかった記憶があります。そういった中で、救命士さん方が多分実質お二人が車内で対応されると思いますが、こういったときに結構難しいだろうなと思うところ、こういった辺り、先ほど細川先生からもありましたが、車中のいろいろなシミュレーションの中での実証がこれから必要ではないかなと思いますので、その辺の今後の御予定があればありがたいかなと思っているのが一つ。
 あと、実際に今度は病院側の立場に立ったときに、指示をする医師、あとはエコーを読影していく先生が現場にいると、救急で処置をしているときに指示要請が入ってきて実際に動くというケースが多々あるかと思うのですが、そのときに、現場の医師がその間、FAST1回目、陰性であればもしかすると2回目に行くときに、それだけ現場から離れられる時間が確保できるか。夜間とかになると、医師、救急医は多分1人とかで頑張っていると思いますので、そういった中で、こちらで蘇生している。こちらで指示要請のときに、ほかの指示要請ですと、する、しないでぱんと答えて場を離れられると思うのですが、エコーのときはついてなくてはいけない。そして、具体的に細かく手技を指示しなくてはいけない。この時間の確保は結構大変ではないかなと思うので、この辺に関して現実はどうなのかなと。現場の体制として取れるのかということを含めて質問させていただければと思います。お願いします。
○児玉座長 では、御回答いただけますでしょうか。お願いします。
○牧参考人 では、端的に説明させていただきます。牧でございます。
 まず、1個目の質問におかれましては、今、令和5年度の内閣府の先端的実証調査業務で、吉備中央町はトヨタ自動車の救急車を実は利用しているのですが、そのトヨタの救急車内で超音波をできるようにするために、改変でき得るレベルで、要は車内を変えるのもいろいろと問題がありますので、それを改変できるレベルで最も超音波ができ得る車内を作らせていただいて、それが3月までに実証として報告書が出されます。
 もう一つの質問でございますが、ドクターが夜中などには人が少ないわけです。そのとおりで、本当に現場に即した御質問していただいて感謝申し上げます。これも、あくまで指示要請があるのではなく、超音波をしてくれという医者側からのまさに指令といいますか指示だと思っております。なので、ドクター側にその余裕がないのにそれを救命士にするということが本末転倒でございますので、きっちりとした安全性担保の中で医師が指示をするという形で解釈していただければと思っております。
○淺香構成員 ありがとうございます。
 そうしますと、全ての症例に適応できるかは状況次第ということで、この辺は人の様子とか特区の状況の中でどこまで現実可能性があるかはこれから検討されるという感じですか。
○牧参考人 これは、まさに上田医師がメディカルコントロールの話ができますので、端的に説明していただこうと思います。
 南東部のメディカルコントロールについて、上田先生、お話しできますか。
○上田参考人 岡山大学病院の救命救急科の上田です。
 今、岡山県の南東部の救急体制、救急の電話は岡山大学病院にかかってくるようになっています。特定行為等の指示も岡山大学病院が出しているわけですけれども、どのぐらいの時間でできるのか、どのぐらいの時間を確保できるのかというのは、先ほど牧のほうから話があったと思いますけれども、そのときの状況にならないと分からないというところです。
 ただ、特定行為中にも電話は結構時間がかかります。2分ぐらいの時間は十分にかかるような電話も多いですので、そのぐらいの時間というのは、エコーをやっている時間というのはこちらの電話で確保できるのではないかなと考えております。
○児玉座長 よろしいですか。
○淺香構成員 はい。
○児玉座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 では、植田構成員、それから加納構成員でお願いいたします。
○植田構成員 では、先にすみません。
 説明ありがとうございました。
 私から2つ質問をさせていただきたいと思います。
 一つは、この説明の中では、使用方法について、FASTについては説明されているのですけれども、救急救命士としての有効性は、FASTに限定せず、気管内チューブが適切な位置にあるかどうかを評価、あるいは静脈路確保時のエコーガイドなどに使用が可能かと思いますが、そういったところの可能性が検討されたかというところが一つ。
 もう一点は、一昨年、令和4年度に、全国の救急隊員を対象に、救急隊の身体的・心理的なストレスについての調査研究を日本臨床救急医学会のほうで委員会をつくってやりました。その中で約1万5800人の回答が得られたのですが、心理的ストレスの質問の中で、どんな場面で心理的ストレスがたまるかという質問に回答が一番多かったのが、医療機関への連絡・連携に62%の方がストレスを感じているという回答が得られています。この取り組みでは、ICTを使って連絡体制をやっていくかと思うのですが、例えばそういった医療機関と救急隊の良い連携のきっかけづくりになり得るものなのか。その辺を、救急隊の方々が今日いらっしゃると思うのですが、そういった可能性についてもし伺えたらと思います。
 以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
 1点目のほうはどなたに御回答いただいたらよろしいですか。
○植田構成員 牧先生にお願いいたします。
○児玉座長 では、お願いします。
○牧参考人 植田先生、ありがとうございます。牧でございます。
 那須学長にもよく言われている心理的安全性の部分におきましては、我々も超音波をすることがまさに心理的負担になってはならないということを注視しております。そのときに、最もそれを与えてしまう原因は、やはり救命士に責任を持たせてしまうというところにあると思っているのです。あくまで彼らは診断をしない。我々がその場にいられればいいのだけれども、タスク・シフトの状況もあり、我々、医師の働き方改革もあり、現場に行けないという状況になるときに、我々が指示をして、我々がやってもらうというような手となるという状況がまさに重要でございます。なので、それをしっかりと構築する。また、自分に自信がつくためには、先ほど深澤先生がおっしゃっていたように教育というところをしっかりと行う。この2点は避けては通れないところだと思っております。
○植田構成員 ありがとうございます。
 1点目のFAST以外の。
○牧参考人 気管挿管は上田先生が目標に掲げておりますので、上田先生からぜひお願いいたします。
○上田参考人 岡山大学病院の救命救急科の上田です。
 まだ救命士の気管挿管の確認についての文献はありません。ただ、確かに植田先生からもお話があるように、この発表等を救急医学会等でさせていただくと、やはり気管挿管のときの位置確認というのが非常に有効ではないかとか、静脈路確保のときの血管の特定には非常に使えるのではないかという御意見を多数いただいております。ただ、今までの先行文献等もありませんし、これは今後の課題にしたいと思っております。
○植田構成員 ありがとうございます。
○児玉座長 ありがとうございます。
 こちらの消防隊の方の御意見をいただければ。
 もう一度だけ簡単に質問を繰り返していただいてよろしいですか。
○植田構成員 今回の研究の中で、救急隊員も関わっていたかと思うのですけれども、そういった内容を見て、今後、ICTを導入したときに、救急隊と医療関係との連携の構築に何かきっかけづくりになりそうかどうかというところをお聞きしたいと思います。
○児玉座長 では、岡山市消防局、お願いいたします。
○頼定参考人 お疲れさまです。岡山市消防局の頼定です。
 ICTを使っての指示医師との連携がうまくいくかどうかという御質問だと思うのですけれども、もちろん電話一本で会話をするよりは、映像を通して、医師の表情などを見ながら状況を伝えられるというのは、非常に医師との連携は強く図れると考えております。
 今までのこの実証の中で私たち岡山消防局の救命士が参加したのは、2022年の12月に行った研修会のみなので、その点については現場の救命士がどう思うのかというところまでは分からない状況です。
 以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。よろしいですか。
○植田構成員 ありがとうございます。
○牧参考人 補足をいいですか。
 これは特区として、諮問会議で救命救急士に超音波を施行可能というような方向性にならないと、岡山市消防として超音波をさせるという方向にならないのです。なので、まさに救急科の助けがあり、研修はできたのですが、要は一つの後学ということでさせていただいたのですけれども、諮問会議後に彼らは本当にそういった研修とかを受けるという時間外の部分とかが発生していくということでございます。
○児玉座長 これからということで分かりました。ありがとうございます。
 では、加納構成員、よろしいですか。お願いいたします。
○加納構成員 ありがとうございます。
 先ほどドクターカーの成功例が出ておりましたが、ドクターカーの発動と救急車の発動はまた状況が違うかなと思います。また岡山ではもちろんドクターヘリも飛んでいるかと思いますが、このような状況において、今回助かる人というのはショック状態になる、出血性ショックとか、非常に危篤な状態の方が対象になるかと思うのですけれども、そのような場合の選定というものはどう考えていったらいいのでしょうか。ドクターカーであったらドクターが診断するというのは即これは問題ないなと分かるのですが、今回は新たに救命士の方に救急車の中でやっていただくということで、大分状況が変わるかと思います。こういった形でどのようにして選別するのか、ドクターヘリは夜間は無理だからこうとか、そういうルールづくりは岡山の中ではきっちりあるのでしょうか。
○児玉座長 お願いいたします。
○牧参考人 では。牧がお答えさせていただきます。
 加納先生、ありがとうございます。
 吉備中央町におかれましては、ドクターヘリでの搬送連携というのは基本はされていないということでよろしいかと思います。これは岡山市と陸続きで、倉敷市とも陸続きで、ドクターヘリが飛ぶ場合はさらにその上の県北を位置しております。先ほど加納先生がおっしゃっていたとおり、日中での搬送でしかドクターヘリは用いられないということでございます。航空自衛隊も同様でございます。
 また、夜間走行などでは結局全ての搬送を救急車等で行っているので、まずは救急車からということになるのですが、岡山の場合、吉備中央町でもそうなのですけれども、基本的に救急車でまず近いところまで搬送し、ドクターカーがその場所まで行ってドッキングして、ドクターカーに移送して、ドクターカーがどこどこ病院へといって搬送するような形を最重症例では取っています。ですので、結局20分、30分はドクターカーまでドッキングする時間があるので、その間にドクターカーとの情報連携みたいなこともできるように、ドクターカー内にも全ての設備が整っているという状況を岡山大学病院はつくっている次第でございます。
○児玉座長 では、続きましてよろしくお願いします。
○加納構成員 ありがとうございます。
 また、今回、先ほどもお話に出ましたが、医師がやるかどうかの判断をするということなのですけれども、これは、資料2の12ページで搬送における割合で6%というデータが今回出ておりますけれども、ドクターがショック状態になって、もしかしたら出血性の可能性があるから調べようという動機からだとは思います。その場合、やる、やらないということになれば、今後、モデル的に示せば必ずなさるのであろうと思うのですけれども、やらなかったとき、つまり万が一やっていたらよかったのになという例は出てくるかと思うのです。こういったことも非常にリスキーなところがあるのではないかということがあります。、また、ショック状態の方、心マッサージしながらという状況もあるかと思いますが、本当に状況によってはできないということもあるのかなと思うのですが、ここらあたりの度合いを今回見てみようということで考えていらっしゃるのかというのが一つです。
 もう一つ、先ほどトヨタの車という形で、救急車を今用意してなさっているということをおっしゃったのですが、これは大体1台当たりどれぐらい、つまりいわゆる経費的なものが負担として増えるのでしょうか。お分かりになっている範疇で教えていただきたいと思います。というのは、医療機器というのは安全・安心という形で整備もしなくてはいけないし、買い替えもしていかなくてはいけないので、一旦配置するとどれぐらいの費用負担がかかるのかいうことを教えていただければと思います。万が一、全国でこれをやるとなると、すごい台数になってしまう可能性もありますので、ここらも教えていただければと思いますので、よろしくお願いします。
○牧参考人 ありがとうございます。
 まず、1つ目の御質問におきましては、要は、実証中に超音波をしなかったことが患者の不利益になってしまっているという話でよろしいですか。これはまさに那須学長ともずっと話をしてきていて、臨床研究中核病院である岡山大学は、前向きの、要はランダマイズドコホートの研究を本当にこの実証でしていいのだろうかというのを今も悩んでます。しなかった群に入った結果、不利益をこうむるというのは、研究であっても、やはりまずは救命処置というものが大事なので、超音波をしていたほうがいいのではないかということがあります。なので、これだけの海外の既存論文がありますので、既存論文との比較検討で前向きに全員超音波をする方向もあってもいいのかなと今思っていて、二重盲検にするのか、単盲検にするのか、比較研究にするのか、ランダマイズドにするのかとかということではない流れにする可能性をしっかり臨床研究中核病院として考えていきたいと思っている次第です。
○児玉座長 どうぞ。お願いします。
○加納構成員 今の件ですが、そうすると、やはり全例やっていこうということで理解していいのでしょうか。
○牧参考人 それをどちらがいいのかを、ぜひ委員会の先生、また、厚労省の皆様と相談をしながら、我々としては計画を立てていきたい。我々だけでどんどん進むのではなく、まさに御知見を、救急の専門家の先生もおられますので、そういった方と相談しながらだとそこは思っている次第です。
○児玉座長 ありがとうございます。
 今の研究デザインの話は重要な点かと思いますが。横野構成員、お願いします。
○横野構成員 2点質問がございます。
 1点目は、事務局ないしは岡山大学の関係の方にお答えいただく内容かなと思います。もう一点は国家戦略特区に関する質問になります。
 今回、このエコー検査を救急救命士処置の中に追加するとなった場合の話ですけれども、関連する省令等の改正になると思います。その際、今、お話を伺っていますと、例えば救急車に関しても、このために様々な調整をされている。あるいは今回の事業自体は、様々なデジタルツールを使って救急医療を行う中で、その中の一つにエコー検査というものがあるという位置づけかと思っております。それから、実証実験をやるとなると、恐らく倫理指針に基づく研究として行うことになるかと思っております。
 その追加をする際の条件というのは、どこまで限定をした形で設定することになるのかについて、もしかしたらこれからの議論になるのかもしれませんけれども、どういうお考えがあるのかということをお伺いできればと思います。先ほどお話があった、例えばコントロール群を設けるのかどうかというところも条件になってくるのかどうかとか、非常に気になっているところですので、お伺いできればと思っております。
○那須参考人 よろしいでしょうか。那須が答えさせていただきます。
 まさに今、御指摘のところは、私どもも議論しています。もしこれが諮問委員会でやってもいいということになったときの条件とか、あくまでも有効性の実証ということになると思いますので、そのときにどこにエンドポイントを置くか、時間が短縮されたらどうかとか、そこは私ども、いわゆる臨床研究中核病院ですので、いわゆるスタディーデザインと倫理的な側面、何例必要なのかということは、プロがおりますので、それは恐らく次の議論になるのかなと思っています。エンドポイントはどこかとか、そういうところが非常に重要になりますが、ただ、私が思うのは、既にかなり論文が出ておりますので、本当にプロスペクティブにランダマイズするとかということがほとんど倫理的にいいのかとか、そういったことも議論の一つに入ってくると思っています。ありがとうございます。
○児玉座長 では、もう一点をお願いします。
○横野構成員 あと、今回特区の事業として検証するということなのですけれども、そのことがどういう意味を持つのかということについてもう少し御説明をいただけるとありがたいと思っております。今回検証事業を行った結果、非常にポジティブな結果が得られた場合のその後の選択肢は、いろいろなパターンがあると思うのですけれども、どういったものが想定されるのかということをお伺いできればと思うのですが、いかがでしょうか。
○那須参考人 これもまさにどういうエンドポイントを持つかということで、今、吉備中央町だけで話をしております。だけれども、吉備中央町だけの症例でちゃんと結果を出せるのかというようなところが次のステップ。では、特区で組んでやろうとか、そういうことになると思います。
 これは少しお話になりますが、今回、私ども岡山大学が文科省の地域中核・特色ある研究大学というもの選定されまして、そこでこういうICT、エコーによって社会を変えていくというのを一つのテーマにしております。その中で、特区を持っている自治体のバックにある大学が連合体をつくって、これは山梨大学、大阪大学、筑波大学、そこの人たちと既にそういうような話をしております。やはり一つの町では難しい。だったら、複数の町とそこにいる大学がきっちり組んで、きちんとした試験をやろうというような構想を今しております。
○横野構成員 ありがとうございます。お伺いできてよかったと思います。
○児玉座長 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 では、井本構成員、よろしくお願いします。
○井本構成員 日本看護協会の井本でございます。
 プレゼンありがとうございました。
 私としましては、先ほど来、深澤構成員もお話になっておられましたが、看護師としましても、超音波検査は検者に依存する非常に難易度の高い検査だと認識しております。加えて、細川構成員からもお話がありましたが、搬送中の救急車は、私も同乗したことがありますけれども、非常に揺れも大きいですし、狭い中で、こういった急性腹症の患者様というのは、静止して安静に仰臥位で寝ていられない方がほとんどだという中で、こういった難易度の高い検査をすることが本当にどうなのかという気持ちは、まだ御説明を受けても納得できないところでございます。
 また、救急救命士の活動を見ましても、救急車内でかなり多くの救急救命処置をそういった患者さんには対応されていることもあります。3人の中で1人運転をされていて、1人は一般の救急隊員の方、そして、残りの1人の救急救命士がそういったことができるわけですけれども、この処置をしている間にそういった周辺のことはどういうふうになるのだろうかというところも実はあるところです。
 ですので、安全性と難易度に懸念があるところなのですが、3点質問をしたいと考えています。
 まず、資料のほうで転院搬送事例の実数の記載がありました。12ページですけれども、吉備中央町のほうで発生した事案に関して、転院搬送した事例がそれぞれ年度ごとに2、1、3、4という形で明示されているのですけれども、このうち、超音波検査があれば転院搬送にならなかった症例はどれぐらいあるのかというのを教えていただきたいと思っております。
 また、先ほど深澤構成員から御質問があって、回答が私の中では確認できなかったので、いま一度となるのですが、9ページに通常の救急搬送の場合とエコー検査ができた場合で対照表が出ております。エコー検査が実施できた場合に、搬送のところで検査・確認となった後に、病院に現着しました後には検査・診断といった辺りが書かれていないところなのですけれども、こういったところを省くというようなことについてはどうお考えかというような質問が深澤構成員から最初にあったと思っておりまして、これについてどんなお考えなのかということを聞きたいと考えております。
 3点目になりますが、資料3の参考というところに書かれております文献についてお伺いしたいと思います。参考3で、ページとしては16ページに英文の文献が根拠とともに記載されておりますが、これについて御説明いただきたいと思っておりまして、私がこの会議の前にざっと見させていただいたところ、実施者は医師だったり、臨床検査技師だったりという文献だと思っておりますが、そもそもこの研究が参考として示されている考え方について教えていただきたいと思います。
 以上でございます。
○児玉座長 よろしくお願いします。1点目は過去のデータにおいて転院しなかった事例、2点目が病院に着いてから改めて検査をするかどうか、その点がどうかと。3点目が先ほどの資料16ページにある先行研究で、主体というか行っている人が違うというところをどう考えるかということかと思います。よろしいですか。
 では、御回答をお願いいたします。
○牧参考人 1点目においては、消防のほうからでもよろしいですが、私でまずは答えます。
 1点目に関しては、黄色の部分、超音波があればよかったのではないかということは、実際に一件一件検討ができておりません。宿題にさせていただきたいと思います。
 続きまして、2点目においては症例依存でしたか。病院到着後に様々な検査を省略するのというような話だと思うのですが、ここについては症例ごとに異なると思います。例えば、私は産婦人科医なので、外妊破裂とかといった状況が認められる場合、到着後、医師がその場で超音波を当てて腹腔内出血が認められれば、手術の方針になると思います。ただ、ここで大事なことは、そういった状況が前もって分かっていると、産婦人科医が呼ばれたり、あとは手術室に呼んでいたり、手術の道具を全てルーム後に準備してセットアップした状態で待てるということがございます。これは、2017年から私がやっている研究でかなりの時間短縮が見込まれておりますので、同じような状況を設定させていただいている次第でございます。
 続きまして、3つ目の質問が参考3、16ページのエコー検査に関わる研究の資料でございます。これは井本構成員様が見ていただいた後に、我々、もう一度しっかりと調査をさせていただきまして、少し内容をきっちりと整理させていただきました。このように一つ一つの項目に対してきっちりとした論文対応ということをさせていただいております。資料が直前になり変わりましたこと、大変御迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。このような形で、それぞれの論文がそれぞれに対応している形でございますので、またもし御質疑等がありましたら、いつでも御対応させていただく所存でございます。
○児玉座長 ありがとうございます。
 井本構成員、よろしいでしょうか。もし何か続いてありましたらお願いいたします。
○井本構成員 ありがとうございます。
 先ほどの症例についてはまた御説明いただけるということで、承知いたしました。
 あと、2点目の先ほどの資料のフローチャートに関しては、症例ごとになるのだということでしたけれども、私、この議論が上がる前に現場の状況を確認しますと、やはりこういった急性腹症で高度エネルギー外傷というか、こういった患者さんが搬送されるということであれば、大体受入体制は医師とともに通常セッティングしている。その場で招集するという形ではなくて、当然外妊でしたらオペルームも含めて、関連しそうな先生たちが救急外来にセッティングされている状況が多いように聞いておりまして、そういった中で、救急救命士が様々な救急救命処置をする中で、この業務をさらに教育を受けて時間をかけながらやっていくことの必要性が私にはまだ理解しきれないところです。
 3点目の文献については質問させていただきまして、御対応いただいたのだなということで、ありがとうございます。
 資料3の16ページのところで、5点目については、移動中施行した超音波検査の診断精度は静止した場合と同等でありということで記述があるのですが、見たところ、先ほど細川構成員の御質問にもありましたけれども、海外で静止した状況と搬送中の状況でどう比較しているのかなということで興味があって見たところですが、そこについては言及した記載がなかったように感じましたので、その点についてまた御回答いただきたいなと考えております。
 また、6点目の医師と同等の成功率というところも、内容としては読めなかったところで、確かに画像の正解率というようなことで論文には記載があったと思いますけれども、また、この論文は唯一、救急救命士が実践している文献だと掲載されている中では確認させていただいたのですが、この論文では患者のアウトカムに関しては十分精査できなかったというようなことでコンクールジョンが締められておりましたので、こういった辺りもどういったお考えなのかというところについてはまた教えていただきたいと思っております。
○児玉座長 ありがとうございます。
 論文の詳細については、また正確なところは後日連絡いただくということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、喜熨斗構成員、お願いします。その次に本多構成員、お願いします。
○喜熨斗構成員 今の点について、救急救命士の立場から1つコメントをさせていただきたいと思いますが、恐らくは高リスク受傷機転等の重症が疑われる患者を受け入れるという状況で、医療機関の中で手術等の準備をされるということは一般的に行われていると思うのですが、一方で、例えば交通事故に遭って、救急隊が現場に着いたら立って待っていた。ただ、病院で検査をしたら腹腔内出血が見つかったというケースもあると思いますので、そういったショック状態ですとか、重傷が明らかではないケースについても実証研究で対象にしていただくと、例えば転院搬送の割合が減ったですとか、手術までの時間が短縮されたですとか、そういった結果も出てくるかもしれませんので、そういったところも含めて御検討をしていっていただきたいなと思っております。
 以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
 それでは、本多構成員、お願いします。本多構成員は僻地医療をなさっているのと、日本救急医学会のPOCUSの委員会にもいらしているので、その観点からもお話しいただけるかと思います。よろしくお願いします。
○本多構成員 私、日本救急医学会の評議員もしていまして、救急の立場と、学会のほうで救急外来部門検討委員会の委員長、そして、Point-of-Care超音波推進委員会の立場があります。
 そういった中で、お話を聞いている中でFASTという言葉が先に出ていて、これが混乱を招いているような気がするので、先にその話をしてから次に行きたいと思います。
 牧先生のほうは下腹部痛とかで要するに内因性の話で、さっき言っていたFASTに関しては、実は外因性の外傷によるものがほとんど論文です。我々日本救急医学会の救急医としての立場とすれば、FASTは外傷で最初は導入してきました。ただ、流れとして、腹腔内の液体貯留を見るという点では、内因性でも取りあえず液体貯留があればFAST陽性という言葉が現場で出るようになってきたので、その辺のところで多分混乱を来す。そういった意味では、医療従事者の中で、医師の中で少し浸透してきていますけれども、周りに広めていく上においては、FASTの実施及び判定結果を陰性、陽性という言葉で表します。簡単にできるということで多分広がったのではないかなと感じています。
 そういった中で、今回実証研究をされる上田先生も多分分かっているとは思うのですけれども、FASTにやってしまうのか、お腹の中の腹痛の病院前に診断をするのかというのはもう少し明確にしないといけない。、今回FASTをいきなり持ってきたのでさらに混乱している気もします。牧先生がおっしゃった「下腹部痛に関しての腹腔内出血を疑う所見を診る」と具体的に示せば、それは一つのやり方ではないかなと考えています。我々にしてみれば、多分いろいろなエビデンスを引用してやらせたい、救急救命士は、今の段階で患者さんにも練習できない、させることもできない。そして、なおかつシミュレーターしか使えない中で、どうにかして救命士がエコーを行うために環境づくりということはよく理解しました。しかしそういったことで、FASTという言葉を今回使い過ぎたのがかえってややこしくなったのかなと思います。
 FASTを採用した経緯は、救急救命士の場合は外傷プロトコルとかいろいろなことがあったりして、早期搬送への工夫をやる中で、救急のFASTの時間も2分とか出ていました。実際に我々が現場に行ってやる場合も1分以内でやるような状況でやっています。救急救命士が行うエコー検査で何が可能なのか混乱しているので、1点、FASTと腹腔内出血の有無ということに関しては明確にしたほうがいいのかなという気がします。
 私はドクターカーもやりますので、上田先生はドクターカーの代わりにこれをしたいのか、内因性の疾患の搬送先決定にするか。町の状況を見ると、医療機関が運ぶところがどこもなくて、特に複数の医療機関で患者さんをどこも取ってくれないのだなというのは実感します。救急外来をやっていると、腹痛というのはどの診療科が診るのと言って、どの病院でも外科だったり、内科だったり、消化器科だったりと、要は押しつけ合いではないですけれども、誰も診たがりません。救急医であれば取りあえず腹痛は見ようかとなるのですけれども、二次病院であれば、診療科がないからということで受け入れ拒否、産婦人科もないから下腹部痛は診られませんという話で断ると思うので、そういった中で、的確な可能性を持って運びたいという中からこの流れが出てきたのだと思っています。
 ただ、上田先生に1つ聞きたかったのですが、ドクターカーの代わりをしたいのでしょうか。それとも、これは救命士が搬送先を決めるための手順を決めたいのか明確にしないといけない。もしドクターカーの代わりで超音波をするというのであれば、我々がやっていることと同じレベルを要求したい。、さっきの意見でも出ましたけれども、現場に到着して、救急車内で使用してもいいし、現場でもいいのですけれども、そこで一旦ディシジョンメイキングして、治療介入が必要なのか、早期治療介入が必要なのか、あるいはこれは今緊急性はないか判断します。十分に搬送先を検討できるということだったので、今回の研究を今後導入するに当たってドクターカーの代わりをするという方法のやり方でやるのか、搬送システムではなくて搬送先を決定するということで決めたいのかということで、画像転送に関しては過去20年、30年前からこういったことをやっていますので、あまりハードルは高くないと思っているのですけれども、やはりみんなに有効性を伝えるために、あるいは理解してもらうために、そこを明確に聞きたいなと思うので、よろしくお願いします。
○児玉座長 よろしいでしょうか。
○上田参考人 岡山大学病院の救急科の上田です。
 私といたしましては、ドクターカーの代わりというよりは、やはり後者のディシジョンメイキングのところで有効性を発揮するのではないかなと考えております。ドクターカー自体、やはり救命士さんの処置というのもまだ限られておりますので、やはり医師が接触すると助かるケースというのはありますので、ドクターカーの代わりになるとは考えていません。ディシジョンメイキングであったり、ディシジョンメイキングも搬送先の選定であったり、我々の治療ですね。例えばドクターカーで救命士が超音波を当てた後に私たちのドクターカーが向かうということもあると思うのですけれども、そのときの治療戦略もそのときに考える材料になりますので、そういったディシジョンメイキングという形で推進していければなと考えております。
○本多構成員 私が問いたいと思うことは、ドクターカーの代わりをしないというのではなくて、ドクターカーでやっているようなことをそのまま救命士でやってしまう、やるような形を導入するという手順でも一つのやり方としてはできるという点です。、搬送時間は長いために空き時間として行うのでなく、救命士の手技、手順とか、業務も多いので、できれば初期対応のバイタルを取るときに一緒にやってしまうとか、そういうふうな形でなるべく単純化して行うべきです。決してドクターカーを真似するなというわけではなくて、ドクターカーで我々は超音波を使って有効性を感じた部分はありますので、そういったものをうまく活用したらどうかなという一つの提案です。それであれば、静止画を送れば全然問題ないわけだし、記録も残りますので、我々の経験上、搬送中のエコー操作というのはかなり難しいなと感じています。
○児玉座長 ありがとうございます。
 そうしましたら、次に佐々木構成員のほうから。その後、田邉構成員、お願いします。
○佐々木構成員 仙台市消防局の佐々木と申します。
 質問の前に1つ確認ですが、もし特区制度として認められて、いい結果が出た場合は、救急救命処置の範囲に追加していく方向になるのでしょうか。
○東専門官 すぐに追加するとかいうことにはならずに、あくまでも吉備中央町という場所でやってどうだったかというのをまず検討し、そのときに、こんな条件でこんな地域だったからよかったといった議論もあると思います。そういった議論をまたさらにこのワーキングなり、しかるべき場所での検討を踏まえて、そこから全国展開するかどうかという議論にはなるかと思います。
○佐々木構成員 分かりました。いずれ、選択肢としてはあるということですね。
○東専門官 ゼロではないです。
○佐々木構成員 分かりました。
 それを踏まえて、意見が1点と質問が1点と現状のお話をさせていただきます。
 まず、意見として1つ目です。先ほどからお話に出ていましたが、日本の病院前救護の場でエコーによる観察がどれだけニーズがあるのか。また、この取組が有効なのか否かというのはデータがないので、実際に全国の救急車に載せたほうがいいのかどうかというのは、私も現時点では全く判断がつかない。
 ただ、エコーというのは、先ほど岡山大学の牧先生からもお話があったように、気管挿管とか静脈路確保と比べて傷病者に侵襲の少ない行為であることから、救命効果の向上や、医療機関選定が迅速になれば、今後の救命処置の一つになる可能性としては十分あるのだろうという印象です。
 ただ、現在の救急救命処置の範囲に記載されている静脈路確保、アドレナリンなどの特定行為、血圧測定、パルスオキシメーターなどの観察、そういったものは全国どこの市町村においてもニーズのある処置であると考えます。
 他方、このエコーですけれども、仙台市はドクターカーがあって、私自身も何度もドクターカーに乗って医師がエコーをしているのを身近で見ているので、忌避感はありませんが、ドクターカーがある都市、又は搬送時間が著しく短い地域、1本部1病院のような搬送先が既に決まっている地域はもしかして必要性が低くて、必ずしも全国一律で取り入れていく処置にはならないのではないかと感じています。よって、先ほど牧参考人もおっしゃっていましたが、いずれ救急救命処置に加えていくのか、特区としてやっていくのかについても、病院前救護の場でニーズと有効性というのをしっかりと検証する必要があるのではないかなと思いました。
 2つ目ですけれども、これは岡山大学に質問なのですが、先ほど加納構成員もおっしゃっていましたけれども、費用対効果の部分です。資料を見ると、エコーによる観察なので、恐らくポータブルエコーを積載して、電送装置とスマートグラスを活用していますけれども、これはイニシャルコストとランニングコストはどのぐらいかかるのでしょうか。恐らく救急車1台と、病院のほうにも機器を置かなくてはいけないだろうし、通信機器や通信料もかかると思うのですが、もし可能であれば、救急車1台当たり、あとは1病院当たりのイニシャルとランニングコストを御紹介できないでしょうか。
○児玉座長 可能な範囲でご回答よろしくお願いいたします。
○牧参考人 岡大の牧でございます。
 まず、大変明瞭な御質問をいただきまして感謝申し上げます。
 ニーズと有効性というものはまさにプライマリーの部分でございますので、それは実証が可能になった際には最も重要視したパターンで質的・量的な研究の組み方というものを考える必要があるかと存じます。
 費用対効果ということなのですけれども、これはよく消防の皆様ともお話をするのですが、あくまで論文などをした場合の費用対効果というものと、救急救命処置というところで1つの命を救うという部分においては、やはりどうしても費用対効果だけで話をできないなというところがあることを御理解いただいた上で御説明させていただくと、基本的に病院に例えば、我々産婦人科領域で言うと周産期システムという一つのカルテシステム、年間1,500人は使うだろうみたいなシステムの導入に大体2000万、3000万ぐらいかかると言われています。また、病院で、県全土で救急情報システムのような形を入れるとき、これも5000~6000万ぐらいが大体年の予算でかかると言われています。
 今、岡山県で行っている情報共有システムというものがありまして、例えば妊産婦の全分娩取扱施設に配備しているような救急搬送システム、妊産婦の搬送システムですね。これが大体年500万ぐらい今かかっているという状況です。
 それを今、吉備中央町では拡大し、吉備中央町の全住民に対して対応しようとしているシステムがその拡大版の搬送システムなのですけれども、そのシステム自体は1000万円を割り込むような形で初期導入ができます。そういう形で吉備中央町は実際にサービス導入をしていただきました。
 これは、吉備中央町においては、初めての実証でいろいろな実装、サービス化していく上で、一番最初にいろいろなものを設置したりということがあってかかっていますが、自治体のサイズ、規模とかでまた変わってくると思います。
 そして、救急車内にそういった整備をする場合には、まさにスマートグラスとか全景カメラとか様々な形があると思いますが、これはやはり今までどのような携帯電話とかもそうですけれども、最初に持った方というのは何十万円もして高いようなものが、みんなに配備されて80%の人が持つようになりましたというと、0円になるわけです。なので、広まる様相を呈するか、1自治体だけでやるかとかでまた違うと思いますが、超音波だけで鑑みますと、大体ポータブルの超音波というと100万円ぐらいだと思っていただいて、かなり高感度の超音波で100万円程度だと思います。それを伝送するシステムというのは先ほどのものに内蔵されます。ですので、先ほどの情報共有システムの中にまさに入り込むシステムになりますので、そこは情報共有システムとして内包されると考えていただいていいでしょう。
 そして、救急車内に設置するというものは、実際に3桁以下の額ぐらいで恐らくできるのではないかと。要は3桁というのは100万だとすると、それを下回る額で1救急車当たり設置が十分できるのではないかという内容で、まだこれは今後変わるかもしれませんが、今言える範囲だとそういうことかと思っております。
○佐々木構成員 ありがとうございました。
 最後に救急の現状のお話ですけれども、今、コロナで救急の搬送時間及び病院収容時間というのは全国的に延伸していると思うのですが、各消防本部で病院収容時間を短縮しようと様々な取組が行われていて、そこに人の力だけではなくてDXを取り入れようと様々な取組がされていると思います。
 仙台市を例にとると、今、仙台市消防局では救急車の中にタブレット端末1台とスマートフォン2台を積載して活動しています。当局では、来年度、もう少し現場滞在時間を短くできないかということで、医療機関により効率よく情報伝達を行うための新たなモバイル端末を積載し実証実験を実施する予定です。そこに、先ほど細川構成員からもお話がありました、消防庁からマイナンバーカードを活用した現場活動、マイナンバーの情報を現場で閲覧して、医療機関選定を効率よくできないかという実証実験も始まる予定です。
 これがうまくいくと、仙台市消防局は今の話だけで5台の端末が救急車の中に積載され、さらにエコーの積載となると、救急車の中は電子機器だらけになるなと感じていて、いい取組だとは思いますけれども、もし実際に導入するとなったとき、先ほどトヨタ自動車で救急車の中のレイアウトを少し工夫されているというようなお話がありましたが、そういった機器を1つのパッケージにするなどしないと、いざ活用となった際に、各消防本部で取り入れるのには慎重にならざるを得ないと思いました。
 以上です。
○児玉座長 貴重なコメントをありがとうございます。
 よろしいですか。
 では、先に田邉構成員、お願いいたします。
○田邉構成員 救急救命東京研修所の田邉です。
 私からは4つほど質問ないしコメントを。
 一つは、本多先生もおっしゃいましたが、どこまでの判断を救命士のほうに求めるかという話で、私が聞き間違えたかもしれませんが、牧先生のほうから大動脈解離が助けられるようになるのだといった御発言があったのかなと思いますが、そうすると、救命士に大動脈解離の検査まで求めるのかな。外傷に対するものであれば2時間の講習でも可能なのかな、人形相手では可能かなとも思う一方で、大動脈解離といったところまで含めてしまうと、とてもそんな時間では収まらないのではないかなと感じます。そういった意味で、どこまでを対象にするのか、救命士の方にどこまでの疾患あるいはどこまでの所見を求めるのかといったところを明確にしていただくといいのではないかというのが一つです。それは医師のオンラインの指示時間にも影響するのかなと思います。
 もう一個は、超音波検査の正解率がとても高いといった点、確かに生体と人形では大きく違うのです。例えば、人形に対して、私たちは教育機関ですので、静脈路確保等を教えています。全員の学生を100%できるようにして送り出します。100%にして送り出しますが、実態の現場でのデータを見てみると、病院実習等でさらに研修した後でも3分の2しか確保できないという実態がございますので、そういった意味で、人形に対するデータだけでちゃんとできますよと言っていただくのはちょっと早いかなと思います。少なくとも生体相手に一度確認してから実際の実証研究かなというような気が私としてはしたところです。それが2つ目。
 もう一個はオンラインMCについてですが、ここはよく分からなかったのですが、超音波の検査をやらないこと自体が非倫理的だといった御説明が、やらないという対照群を置くこと自体が倫理的にクリアできるかなといった御発言がございませんでしたか。
○牧参考人 要は、単盲検にしてランダマイズドコホートをすること自体が救急現場で不利益になる可能性があるのではないかということですよね。
○田邉構成員 そうですね。不利益があるのではないかなという一方で、処置をするかしないかといったときに、医師が忙しい場合はしませんというような御説明があったかなと思います。やらないと非倫理的だと考えられることを、医師が忙しいからやらないといったことが成立するのかなといったところは少し気になりました。もちろん、常に医師が対応できるかというと、それはできないときもあるかと思いますが、基本的には医師は忙しくても時間を取って指示をするというのが、ほかの特定行為に対する医師のオンライン指示という位置づけに全国的になっていると思います。そういった中で、私は忙しいので今回は検査の実施の指示を出しませんといったことが、比較研究をするといった意味でも、難しい部分があるかなと思いますので、そこももう一段、指示を出す医師をどのように確保するかといったところを御検討いただきたいなと思います。
 それに関連して、超音波検査に平均どれぐらいかかるのか。検査自体は2分ということでしたけれども、最初に電話をかけて通信のやり取りをしてとか、終わってから所見をまとめてみたいなところにも時間がかかるのかなと思うと、その間に、今、実際、今行われている特定行為の指示要請が入ったときに、それに医師がどう対応するかといったところのバックアップシステム、そういったこともつくってからでないとなかなか先に進めないのではないかなといったところが気になりました。
 あと、対象についてですが、これもコメントですけれども、意識障害の傷病者を対象にすると書かれていると思いますが、意識障害の患者さんもたくさんいると思うのですよね。とてもたくさんいて、例えば、脳卒中の人にどこまでするのかといったところ、脳卒中に対しては時間に限りがある、早く搬送しなくてはいけないといったときに、意識障害も含めて超音波の対象にするのだといったことが本当に適切なのかといった点が気になるところです。ですから、対象を絞ってはどうかというところです。対象を絞ってしまうと多分、登録される傷病者の方の数が減ってしまうといったところがあるのかもしれませんが、一定程度絞らないと難しいのではないか。
 最後はもう一個、先ほどのものと重なりますけれども、ショックに対して行うとありますが、今、ショックに対しては静脈路を確保して輸液をするとか、あるいは腹部痛でも心窩部痛、胸とお腹の間であれば、十二誘導心電図を撮りましょうといった既存の対応といったものがある中で、それらの処置と超音波をどのように位置づけるのか。現状で他の処置をする必要があるものも全て対象にするというのも実際にやるとなると、現場の救命士の人が困るのではないかなと感じました。
 そういった意味で、もし何かあれば先生方からもお教えいただきたいなと思います。
○児玉座長 重要なコメントや質問をいただきましたけれども、今答えられる範囲でお願いできますでしょうか。時間がそろそろなくなってきておりますので、簡潔に答えていただければと思います。可能な範囲でお願いいたします。
○牧参考人 多くの御指摘をいただきまして、我々の研究、実証はまだ構想段階ではあります。なので、田邉先生の御指摘をぜひ生かして、また、田邉先生にもまたこちらから御意見を賜りたく存じます。
 医師が忙しいのでやらないということは研究上どうなのかということなのですが、これはあくまで研究の中でどういったメソッドに基づいてやるか。臨床研究中核病院として、そういった臨床研究をどう立てるかというところにまさに位置しますので、今後の検討にさせていただきたいと思います。
 救急処置行為の先ほどの御説明におきましては、特定行為というものは医師が必ずほかのことを止めてということに関しては、先ほどの佐々木先生の御質問にもございましたとおり、まさに特定行為に今後なっていくのですかというところとの兼ね合いかと思うのですが、その部分を、我々ももちろんそこに入れるのか、それとも普通に心電図とかの28項目の方に入れていくのかということによってもしかしたら解決できるかもしれないので、そのように判断していきたいと思います。
 あと、2分程度はまさにそのとおりで、超音波をし始めてから2分ではなくて、その前の準備段階から実際は測らなくてはいけないのではないのというのはおっしゃるとおりでございます。これは、実は救急車に最初に乗った人が電源を入れるとずっとオンになった状態で設置できる。そういったシステムになっております。ですので、超音波をしようと思ったらすぐできるのと、あとは端末を2個も3個も4個も車内に同乗させるということは一切しませんで、端末を1つにまとめられるようなアプリシステムになっています。手のひらサイズのものを一つ設置するだけでございます。それで情報のハブができるようなシステムになっている次第です。
 意識障害の方についても、私、一番最初の初期研修でAIUEOTIPSといったものを習って、意識障害のそれを全部プライマリーサーベイで除外していくわけですけれども、その中で、ショックという状況下において下腹部を、まずここはFASTかと思うのですが、チェックをするということは一つの方法なのではないかと思ってそのようにさせていただいております。
 まだ捉えきれていない質問があったかもしれませんが、ここまでですみません。
○田邉構成員 いえ、ありがとうございます。
 メリットとかは実際にやってみなくてはいけないので、地区を絞ってそういう機会を持つというのもいいかなと思いますが、その前にもうちょっとできることがあるのかなと思いました。
 以上です。
○牧参考人 生体の方については、健康体の方については、既に岡山消防ではなくて岡山大学病院で雇用している救命救急士さんには実際にやっております。ただ、消防の方は、先ほど申し上げたとおり、諮問会議で通らない限り、彼らにそういった職務を付け加えることができないので、ぜひ御検討の後に、もし諮問会議で出たら、ぜひ岡山消防の皆様と相談させていただきます。
○児玉座長 ありがとうございます。
 だんだんよい時間になってきましたので、もし最後に一言、二言ありましたらお願いします。
 では、加納構成員と喜熨斗構成員、お願いします。
○加納構成員 重ねてすみません。
 これは最終的に医師がエコーを見て診断をするわけですね。それが間違っている場合、例えば破裂を見落としたとかそのようなときの責任はどのようになるかを一点教えていただきたいのと、これの最終的なのは選別を間違った病院の場合、例えば三次救に搬送すれば大概の症例を僕は対応できると思っていたのですが、岡山の場合は、先ほど出ましたように大動脈瘤破裂はここの病院だとか決まっているわけなのでしょうか。その2点を教えていただけたら。
○牧参考人 牧でございます。
 2点目の大動脈解離は、そのときたまたま岡大でやったほうが時間がかかる。心臓の先生を呼んでとかどうこうということだったので、心臓特化の病院がありまして、そちらに送らせていただいたということでございます。
 ごめんなさい。1点目が。
○加納構成員 いわゆる見落とした場合、診断を見落としてしまった。この場合、例えば先ほどの大動脈解離を見落として亡くなったりしたときの責任問題が今度出てくるかと思うのですけれども、そうなれば、相当修練した方がまた診なくてはいけないということが起こってくるのではないかなと思うのですが。
○牧参考人 ありがとうございます。
 責任についてなのですけれども、我々、産婦人科は友達ぐらい超音波と一緒にいますが、超音波で全ての診断をしません。あくまで超音波はその疑い、可能性というところの診断補助だと思っておりますので、要はスクリーニングといいますか、可能性の範疇が広がっていくという状況なので、これは高次施設のほうがいいだろうとか、アンダートリアージをするのではなくて、オーバートリアージのほうに行くことによる診療スタイルなのかなと思っている次第でございます。
○児玉座長 ありがとうございます。
 喜熨斗構成員、お願いします。
○喜熨斗構成員 詳細な説明をありがとうございました。
 救急救命士は、職務として一人でも多くの方を救う。自分たちができることが増えることによって助かる方が増えるのであれば、それは積極的にやっていくべきだろうと思っております。
 現場の救急隊の声を聞きますと、現場滞在時間や搬送までの時間が長くなってしまうのではないかという懸念がありますが、今まではあまり多くの処置ができなかったので、1分でも1秒でも早く医療機関に搬送することで救命につながっていた。これがやれることがどんどん増えていくことによって、トータル的に傷病者が助かるために、例えば手術までの時間が短くなる、転院搬送をせずに済むからトータル的には助かる方が増える。こういった視点が今後は必要になってくるのだろうと思っております。
 今日、構成員の先生方のお話を聞いていましても、方法論ですとか、対象をどうしていくかということは検討が必要なのですが、実証研究をすることについて否定的な意見はなかったのかなと思います。ですので、私、救急救命士としましては、次のステップとしては、この実証研究をしていただいて、それに対していい結果が出れば、私たちはとても本望、職務としてぜひそれを自分たちの手技として実施していきたいと思っておりますので、ぜひ前向きに御検討をしていただきたいと思います。
 以上です。
○児玉座長 私が言うべきところを上手にまとめていただいて、ありがとうございます。
 本多構成員、一言だけ手短にお願いします。
○本多構成員 今のは多分大事なポイントで、ただ、これは現在の救急医療の問題が隠れていて、一次救急医療機関、二次救急医療機関、三次救急医療機関といったピラミッドでやっている中で、搬送先が決まるというところで、解決すべき問題があります。多分現場で苦労している中で、今後高齢化していく中、内因性救急患者が増えている中で、対応として医療従事者が集約化していく。働き方改革でがかかってくる中で、既存の形ではできないと考えます。これは極端な話、解決策は取りあえず診ますよという医療機関があればこういった事業は要らないわけです。将来に向かって救急外来部門がきちんと機能するというのが一つの目安だと思うのです。それに、我々としては救急救命士が超音波をするということは、技術・手技に関してはちゃんと時間をかけてしっかりやれば担保できるだろう。ただし、その導入に当たっては、我々のほうも気をつけなくてはいけないのは、FASTとかそういう言葉の独り歩き、やる意義と目的をちゃんと伝えないといけない。本事業が外傷を目的としているのか、あるいは下腹部痛なり婦人科領域の子宮外妊か内因性の腹痛で腹腔内の液体貯留を診たいのかということを明らかにする。しかも、症例、対象者は限定すべきと思います。まず実証実験でやるに当たっては、いろいろなことを詰め込み過ぎると、いろいろな検討項目が出てきて、やはり駄目ねという話につながりかねない。、牧先生が産婦人科領域の下腹部痛で運ぶ先が決まらない、夜間とかにうちは婦人科がないから受け入れられないという普通の内科の病院とか、そういったところにハードルを下げるという意味で、病院前の超音波でそこを少し見てみたいということであれば、一つ可能性はあるのかなと。これ多分田邉構成員と同じ意見で、やはり絞らないと難しいということと、もともと救急救命士のプロトコルが当然ありますので、ショックのプロトコルも、意識障害もありますし、そういった中で超音波を組み入れる意義ということが本当に必要かというと、これはかなり考えていかないと難しい。多分現場で上田先生たちいろいろなことをやっている中で、夢とかいろいろな希望はあっていいと思います。私も長年救急外来とか救急をやっています。「腹痛」は救急の中でどの診療科が受けるかというのは難しいところでありますし、さらに婦人科も関わる、外科も関わる、そういった心臓血管外科の病気もある。場合によっては全身的なものもあるということから考えると、今回、効果が期待できる取組は、牧先生の示す産婦人科領域ですかね。そういったことが一つ鍵になるのかなという気はします。対象となる疾患をかなり絞ってやったほうがどうでしょう。
 FASTの用語は混乱を招きやすいものです。これは実は論文の中も混乱しているような状況で、アウトカムが手術につながった、あるいは手術までの時間がどうであったか、様々である。多くの論文ではFASTの有効性であって、プレホスピタルの現場で超音波が役立つということには多分ならないと思いますので、先行実験、先行研究があるのは私も存じていますし、FASTというのは当然普及してきている。この中で我々も進めていきますので、まとめるわけではないですけれども、救急医療体制も含めて今後検討していくのかなと考えます。だから、今回のワーキンググループで扱う内容が全国地域の救急医療体制の改善を求めなくてはいけない大きな問題が実は隠れているような気がします。それが搬送先、受入先の救急外来の機能というところだと感じています。
 以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
 今回の取り組みが今日の救急救命の在り方を考える一つのきっかけになるという、非常に重要なご指摘をいただいたかと存じます。
 淺香構成員、お願いします。
○淺香構成員 最初にしゃべったので、しばらくすみません。
 皆さんのいろいろな意見を聞いていて、方向性についてはいろいろ勉強させていただきましたが、先ほど本多先生もおっしゃられたように、やはりプレホスピタルのことだけでは解決できない問題だと思いますので、ぜひとも院内の在り方も含めて検討していっていただきたいと思っています。ではないと、やはり最終的には病院の中で答えが出てきますので、搬送だけの問題ではないので、結果をどこで見ていくかはやはり病院の中で見ていくところだと思いますので、全体を見ていただきたいと思います。
 その辺、いろいろな問題が今日出ていたと思いますので、実装に行く前に、いま一度エコーに関しては、深澤先生、エコーのプロも今日来ていますから、そういった方々が納得して前に進んでいけるような結果をぜひ共有させていただければと思います。お願いします。
○井本構成員 何度もすみません。時間は分かっております。
 喜熨斗構成員がこれから実証をすぐにというようなことを意見されましたけれども、今、ディスカッションを聞いておりますと、まだ回答いただいていないところとかもございますので、これからの持ち運びを確認しておきたいと思いました。
○児玉座長 おっしゃるとおりです。では、この点について、事務局からお願いします。
○森室長 厚生労働省でございます。
 今、井本構成員からも御指摘いただきましたけれども、本日、岡山大学のほうから宿題という言葉もございましたし、今時点でまだ実証に移る、移らないという判断には至れないと我々としても認識しておりますので、引き続き議論させていただければと考えているところでございます。
 その上で、適切に進めることが可能な場合には実証に、また、実証にするにはこの点が課題であるということであれば、またそのような議論が続くことになるかと考えておりますので、その点は御承知おきいただければと思います。
○児玉座長 活発な議論をありがとうございました。
 今お話がありましたように、今回いただいたご意見を事務局で整理して、対応の方向性を改めて皆さんにお諮りするということだと私も理解しております。
 そうしますと、まだいろいろあるかもしれませんけれども、また事務局とも相談しながら進めていきたいと思います。
 最後に事務局から何かありますでしょうか。
○東専門官 次回のワーキンググループにつきましては、また追って日程調整等を御依頼いたしますので、御対応をよろしくお願いいたします。
○児玉座長 長い間ありがとうございました。
 それでは、これにて本日のワーキンググループを終了いたします。
 皆様、お忙しい中、どうもありがとうございました。オンラインでご出席の方もありがとうございました。

照会先

医政局地域医療計画課

災害等緊急時医療・周産期医療等対策室
病院前医療対策専門官 東(2628)