第156回先進医療技術審査部会 議事録

日時

令和5年12月14日(木)16:00~18:00

場所

日比谷国際ビルコンファレンススクエア「8D」(オンライン)

出席者

竹内座長、一家構成員、伊藤構成員、掛江構成員、後藤構成員、坂井構成員、飛田構成員、平川構成員、平田構成員、松山構成員、山本構成員、渡辺構成員、伊佐山技術専門委員、遠藤技術専門委員、後藤田技術専門委員

事務局
  • 医政局研究開発政策課長
  • 医政局研究開発政策課 治験推進室長
  • 医政局研究開発政策課 課長補佐
  • 医政局研究開発政策課 治験推進室長補佐
  • 保険局医療課 先進・再生医療開発戦略専門官
  • 医薬・生活衛生局医薬品審査管理課 審査調整官

議題

  1. 1.継続審議の評価を受けた技術の再評価結果について
  2. 2.総括報告書の評価について
  3. 3.試験実施計画の変更について
  4. 4.協力医療機関の追加について
  5. 5.先進医療の取下げについて
  6. 6.その他

議事

議事内容

○竹内座長
 時間になりましたので、これより、第156回先進医療技術審査部会を始めさせていただきます。本日は、オンラインでの開催となります。
 本日の構成員の出欠状況ですが、天野構成員、上村尚人構成員、上村夕香理構成員、北川座長代理、真田構成員、戸高構成員より御欠席の連絡を頂いております。また、本日は技術専門委員として、伊佐山委員、遠藤委員、後藤田委員の3名に御出席いただく予定です。伊佐山委員が少し遅れて入室ということで、ただいま入室されましたので、3名の技術専門委員全員が御入室です。本日は18名の構成員のうち、12名の構成員にお集まりいただいておりますことから、本会議が成立していることを申し添えたいと思います。御欠席の構成員で、議事決定について座長に一任されることに了解を頂いた構成員からは、委任状が提出されております。
 それでは、今日は時間が限られておりますが、たくさんの案件があり、資料は12まであります。本日の配布資料と審査案件の確認を、事務局からお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 よろしくお願いいたします。傍聴者の撮影は、ここまでとさせていただきます。御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。配布資料について確認させていただきます。議事次第から座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿と続きます。続いて、継続審議の評価を受けた技術の再評価結果について、資料1-1~資料1-5、総括報告書の評価について資料2-1~資料2-2、試験実施計画の変更について資料3~資料7、協力医療機関の追加について資料8-1~資料8-2、先進医療Bの試験終了に伴う取下げについて資料9、先進医療Bの保険適用に伴う告示削除について資料10、令和5年度先進医療技術の実績報告等について資料11、先進医療B総括報告書及び観察研究報告書提出状況一覧、資料12-1~資料12-2、会議資料の最終ページは147ページとなります。お手元の資料に乱丁、落丁等がございましたら、事務局までお知らせください。
 続いて、利益相反の確認です。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業について、事務局から事前に確認させていただいております。今回、整理番号136の技術、北海道大学病院からの新規申請技術について、伊藤構成員におかれましては、自施設からの報告であることから、審議の際には一時御退席いただければと思います。また、当該技術について、伊佐山委員、後藤田委員からも報告がありましたが、50万円を超えて500万円未満でしたので、議事取りまとめのみ加わることができません。告示番号旧43の技術、岡山大学病院からの報告事項に関して、伊佐山委員から御報告がありましたが、50万円以下でしたので、当該技術の議事取りまとめ及び事前評価に加わることができます。事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がありましたら、この場で御報告をお願いいたします。それでは、該当なしということで承知いたしました。
 今回は、資料を事前にメールでお送りしております。会議資料と区別して、構成員、事務局限りの届出書類等をタブレット資料と御案内いたします。なお、会議資料とタブレット資料の内容は異なっておりますので、発言者は会議資料の何ページ若しくはタブレット資料の何ページとあらかじめ御発言いただけますと、議事の進行上助かります。本日は、オンラインでの開催となり、構成員の先生方には大変御不便をお掛けいたします。御発言いただく際には、はじめにお名前をおっしゃっていただくようにお願いいたします。また、Web会議ソフトには手挙げ機能が付いておりますので、こちらも適宜御活用ください。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。それでは、早速ですが、議事に入りたいと思います。まず、「継続審議の評価を受けた技術の再評価結果について」を、事務局から説明をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料1-1の15ページを御覧ください。先進医療Bとして再度、御評価いただく技術は、整理番号136「上部消化管粘膜内癌に対するアルゴンプラズマ併用高周波凝固焼灼療法」です。申請医療機関は北海道大学病院です。審査担当構成員は、主担当が坂井構成員、副担当が掛江構成員、平川構成員、技術専門委員が遠藤委員となっています。なお、伊藤構成員におかれましては、利益相反の関係等から、本議題の審議に際し御退席いただきたく存じます。御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

(伊藤構成員 退席)

○医政局研究開発政策課長補佐
 それでは、資料1-5の83ページを御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について、事務局より説明いたします。まず、1番目の実施責任医師の要件として、診療科は消化器内科又は消化器外科が必要、資格は日本消化器内視鏡学会専門医が必要、当該診療科の経験年数は5年以上必要、当該技術の経験年数は5年以上必要、当該技術の経験症例数は実施者として10例以上必要。その他の要件として、日本消化器内視鏡学会専門医であって、「アルゴンプラズマ併用高周波凝固焼灼を用いた消化管治療内視鏡(内視鏡的消化管止血術を含む。)」の経験を有する者となっています。
 2番目の医療機関の要件として、診療科は消化器内科又は消化器外科が必要、実施診療科の医師数は、具体的内容として、「アルゴンプラズマ併用高周波凝固焼灼を用いた消化管治療内視鏡(内視鏡的消化管止血術を含む。)」の経験症例数10例以上を有する医師2名以上が必要、他診療科の医師数は不要、その他医療従事者の配置は臨床工学技士が必要、病床数は400床以上が必要、看護配置は7対1看護以上が必要、当直体制は外科系又は内科系医師1名以上が必要、緊急手術の実施体制は必要、院内検査の24時間実施体制は必要、他の医療機関との連携体制は不要、医療機器の保守管理体制は必要、医療安全管理委員会の設置は必要、医療機関としての当該技術の実施症例数は10例以上必要、その他として、日本消化器内視鏡学会の認定基準を満たす指導施設となっています。3番目のその他の要件として、頻回の実績報告は不要となっています。事務局からは以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。これらの要件について、御意見等はございますか。よろしいですか。特に御意見がなければ、様式第9号についてはお認めすることといたします。ありがとうございました。
 次に、技術の概要と実施体制の評価について、主担当の坂井構成員より御説明をお願いいたします。

○坂井構成員
 よろしくお願いいたします。技術の概要について御説明いたします。肉眼的食道粘膜内癌や肉眼的胃粘膜内癌に対しては、内視鏡的粘膜切除術(EMR)又は内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が標準治療となっています。併存疾患や併用薬により内視鏡的切除が実施できない場合には、化学放射線療法や放射線療法単独あるいは外科的切除等が実施されますが、術後後遺症によるQOLの低下が問題となります。そのため、胃癌治療ガイドラインや食道癌診療ガイドラインでは、アルゴンプラズマ併用高周波凝固焼灼療法(APC療法)が治療選択肢の1つとして掲載されています。
 APC療法については、タブレット資料1の792ページ、プロトコルの15ページにシェーマがありますので御覧ください。この治療法は、内視鏡からアルゴンガスを標的表層組織に噴霧して、電気手術器によって組織凝固を行うもので、内視鏡的止血療法として日常診療で行われているものです。資料1-2に戻ります。提出された資料の中の全国調査報告からは、胃癌及び食道癌に対して年間約1,000件の施術が行われているとされており、日本消化器内視鏡学会が中心となって診療報酬要望を行ってきましたが、十分なエビデンスがないことを理由に、保険診療とはなっていません。申請者は、併存疾患等により外科手術や内視鏡的切除が不可能な患者さんに対して保険診療で実施したいと考えており、そのためのエビデンス構築を目的として、本研究を先進医療として実施することを計画いたしました。
 主要評価項目は、術後12週の局所完全奏効割合、前のページですが、副次評価項目は1)から5)のとおりで、目標症例数は54例となっています。会議資料の64ページにロードマップが掲載されていますので、そちらを御覧ください。これまで実施した後ろ向き観察研究で、根治的切除術と同等の結果が得られたことから、今回は多施設共同非盲検単群試験を先進医療として行い、エビデンスを構築して保険収載を目指す方針であるとされています。海外での保険適用はありません。以上が概要です。
 合同会議からの指摘事項と、それに対する回答が、会議資料の23ページ以降に示されていますので御覧ください。合同会議では、1.研究対象に対する本医療技術の位置付けについて、2.主要評価項目の適切性について、4.選択基準の妥当性について等、全部で6項目の指摘をいたしました。主な変更点について御説明いたします。2.を出していただけますか。2ポツ目の主要評価項目についてですが、術後12週の局所完全奏効割合ではなく、生存率にできないかということを確認いたしましたが、「適切なヒストリカルコントロールがなく比較試験の実施も難しいことから、主要評価項目はこのままとして、3年生存率及び5年生存率を追加する」という回答を頂きました。また、「組織学的評価として、術後観察時に生検を行う」という修正を頂きました。
 3ポツ目に行きたいと思います。本医療技術では、治療時に組織学的評価が不能となるのですが、この点について受ける患者さんの不利益を低減するための方策として、術前の壁深達度評価の際に誤差が少なくなるように、5ポツの指摘と合わせて腫瘍の最大径を2cm以下にするという修正を頂きました。対象は粘膜癌に限定することとされています。4ポツ目の選択基準についてですが、32ページを出していただけますか。当初の計画では、会議資料の32ページの下の段にある表の改訂前に記載されている(ア)から(ケ)のいずれかを有するものとされていましたが、改訂後、選択基準5)の(ア)に示されているチャールソン併存疾患指数3以上のものという変更がなされました。チャールソン併存疾患指数については、生活自立度や併存疾患等の複合評価指数で、術前のリスク評価等に用いられていると説明されています。
 1ポツの本技術の位置付けについては、説明としては「ほかに治療法のない患者群であり、本技術によって進行癌になることを抑制して、生命予後及びQOLの改善に寄与する」と回答いただいています。そのほかは資料を御覧ください。ここまで概要と経過を御説明いたしました。
 私の評価に移ります。実施責任医師等の体制と実施医療機関の体制については、特に問題がないと判断し、「適」といたしました。医療技術の有用性等については、「不適」と判断いたしました。説明です。選択基準に関しては、初回審査時の計画から追加されたチャールソン併存疾患指数は複合的な評価指数ですので、項目の追加に異論はありませんが、胃癌と食道癌をともに3以上を選択基準として設定することの妥当性について、説明が不十分ではないかと。在院死亡率から説明されているのですが、それが妥当と判断しかねると考えました。本医療技術の適格性を検討する中で、有効性が期待できる集団は何かという議論を申請者と我々との間でしてきました。そこには対象疾患も含まれています。提出された文献と説明からは、食道癌ではAPC療法の有効性を示すことが可能な患者さんが一定数存在する可能性が示唆されましたが、胃癌については十分に確認できなかったと判断しています。この点の詳細については、今回、専門委員として御評価いただいた遠藤委員に御説明いただければと考えています。
 以上の点と、症例数設計の根拠としているレザフィリン光線力学的療法が食道癌再発を対象としているという点から、今回の研究では対象疾患を食道癌に限定することが望ましいのではないかと考えました。以上、「適」と判断しかねましたので、「不適」と判断いたしました。ひとまず私からは以上です。

○竹内座長
 ありがとうございます。それでは、続いて遠藤技術専門委員より、実施体制の評価について御評価をお願いいたします。遠藤先生、お願いいたします。

○遠藤委員
 よろしくお願いいたします。実施体制に関しては、「適」と判断させていただきました。実施医療機関の体制も「適」とさせていただきました。医療技術の有用性等に関しては、「不適」とさせていただきました。こちらは、先に坂井先生に御説明いただきましたが、今回示された胃癌に対するCharlson Comorbidity Indexですけれども、申請者から頂いた資料によりますと6という数字を採用されております。ただ、CCIが6以上であっても手術の死亡率は0.7%です。一方、食道癌ではCCIが2という数字が採用されており、死亡率は25.4%です。ですので、同じ適応選択基準で1つの試験を説明するのは困難があるかなと感じました。
 また、ここには書かせていただいていないのですが、そもそも食道癌の対象となる粘膜癌の正診率は95%という資料を頂いていますけれども、胃癌の深達度の正診率は85%という数字も頂いており、この点からも統一した研究で行うのは困難ではないかということで、行うのであればより患者さんにベネフィットがあるであろう食道癌に限定したほうがよいのではないかというコメントをさせていただきました。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。続いて、副担当の掛江構成員より、倫理的観点からの評価について御説明をお願いしたいと思います。掛江構成員、よろしくお願いいたします。

○掛江構成員
 掛江でございます。よろしくお願いいたします。私は、倫理的な観点からということで、特に説明文書を中心に確認させていただきました。本件については、既に坂井先生、遠藤先生から御指摘いただいているように、まだプロトコル上、研究計画上で御議論があるところだと認識しておりますが、当該研究計画が科学的・医学的に妥当であり、被験者保護の観点からも、被験者が被るであろうリスクがICによるリスクの引受けによって許容できる範囲のものであるという前提があると仮定して評価させていただいた次第です。当該説明文書に関しては、前回の先進医療合同会議及びその後の指摘事項等に、ほぼ適切に対応していただいていることを確認させていただいています。
 しかしながら、実施条件の欄に書かせていただきましたが、2点気になる所があり、こちらを更に御検討いただきたいと考えて、現段階では同意文書については「不適」とさせていただいております。具体的な気になる2点ですが、まず、説明文書のほうに今回追記いただいた箇所です。こちらは、タブレット資料の新旧対照表ですと873ページ、説明同意文書ですと891ページにございます。説明文書の3ページのAPC療法の図の上の3行、「APC療法では、焼灼するエネルギーを増やしたり、焼灼する時間を長くすることで、粘膜層だけでなく粘膜下層の一部まで焼灼凝固することができます」という説明が追記されていました。
これについては、坂井先生、遠藤先生にも御確認いただいたところ、恐らく一般論としての御説明を書いておられるのだろうということだったのですが、この箇所に、このプロトコルとは関係なく突然一般論が書かれることによって、当該研究計画におけるAPC療法では、粘膜下層に癌が浸潤していたとしても焼灼できるという誤解を招く可能性があるのではないかと考えました。したがって、被験者に過度な期待を持たせる可能性も否定できませんので、削除若しくは適切な修正が必要と考えました。
 もう一点については、2番として書かせていただきましたが、タブレット資料の新旧対照表ですと878ページ、説明文書ですと899ページの記載箇所です。説明文書の11ページの(2)予想される不利益の箇所の末尾に、これも今回追記された文章になるのですが、再発した場合に改めてAPC療法で治療できる旨の説明が加筆されています。再発を早期に発見する手立てについては御説明がないため、被験者の不安への答えにはなっていないのではないかと考えた次第です。再発した場合、治療ができるということを加筆していただいたのは、もちろん重要なことなのですが、再発の早期発見のためにどのような手立てが用意されているのかされていないのか、被験者自身が再発の早期発見のために御自身で何ができるのか等、具体的な御説明も加筆していただきたいと考えた次第です。
 そのほか、その下に5点ほど書かせていただきましたが、こちらは説明文書をより理解しやすくするため若しくは誤植の指摘になりますので、こちらについては実施条件ということではなく、ただの指摘事項として書かせていただいた次第です。補償の内容については前回同様、問題ないままですので、こちらは「適」とさせていただきました。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。大変細かく読んでいただき、大変貴重なコメントを頂戴いたしました。続いて、副担当の平川構成員より、試験実施計画書等の評価について御説明をお願いいたします。

○平川構成員
 統計を担当しております平川です。私のほうは前回から適否に関する判断は変っておりません。21枚目に移動していただき、今回の議論を経て、試験デザイン、主要評価項目、その他統計的事項に変更はありません。初回審査時と同じように、試験デザイン、統計解析そのものには統計上の問題は認められませんので、適と判断しております。
 また、照会事項にもありましたように、生存割合や全生存期間を評価する必要があるのではないかという点に関しては、実施可能性の観点からは難しいだろうと考えております。具体的には、生存割合を評価するにおいても、どれぐらいの閾値を達成すればよいのかという点について、十分な確度をもって超えるべき閾値の正当性を担保できないと、結果としてその閾値を達成したからといって明確な結論を出せないということになります。この問題に関しては、現在のプライマリーエンドポイントである局所奏効割合が70%を超えればよいのかという問題においても同様のことが言えるかと思います。
 したがいまして、奏効割合として70%を超えるということ自体が保険収載に資するエビデンスになると我々のほうで考えるのであれば、奏効割合でも問題ないと思いますし、仮に評価が困難であったとしても、生存期間というものを第一義的には見ていくのだという判断になれば、やはり生存割合を生存期間に変更を促すことも考えられるだろうと思います。
 申請者は追跡期間を延長して、3年若しくは5年の生存率を評価するとおっしゃっていますが、観察期間中に追跡不能になる可能性も十分あります。追跡不能例が多くなると統計的には十分な精度で生存時間に対する解析はできませんので、追跡調査の結果自体が保険収載の主たる根拠データにはならないと考えられます。本臨床試験において、この奏効割合というものに一定の臨床的意義を認めるかというところが、議論になってくるかと思います。
 最後、なお書き以降に書いてあるとおり、対象集団、治療計画そのものが現在論点になっておりますし、私の専門外ということもありますので、その点については主担当の先生に委ねることにしたいと思います。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。それでは、以上のコメントを含めまして、1~16の総評について、主担当の坂井構成員よりお願いいたします。

○坂井構成員
 今、担当いただきました構成員の先生方、それから専門委員として御参加いただいた遠藤委員から御説明がありましたとおり、対象疾患や選択基準、主要評価項目及び説明文書の記載において、まだ引き続き検討と修正が必要と判断いたしましたので、継続審議といたしました。しかし、本日、御参加いただいております専門の先生方もいらっしゃいますので、本日の審議の結果をもって最終決定したいと思います。
 1つ、担当からお願いですが、対象疾患については、胃癌を含めるかどうかという点を主に議論しているところですが、申請者からは、年間400件以上の実施例があるという背景をもって、計画どおりこの研究内で食道癌と併せて評価するべきではないかという意見を頂いています。本研究内で併せて評価するべきなのか、別途評価するなら許容されるのか、あるいは全く評価するに価しないのかという点について、それと、平川構成員のコメントにありました仮説のこの臨床的意義について御意見を頂けましたら幸いです。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。それでは、御討議をお願いしたいと思いますが、皆様から何か御質問、コメント、御意見等はありますでしょうか。渡辺先生が手が挙がっております。渡辺先生、お願いいたします。

○渡辺構成員
 日本医師会の渡辺でございます。専門的なところは坂井先生と遠藤先生がお話されたとおりなのだろうと思うのですが、掛江先生がお話をなされた倫理的なところで意見を申し上げたいと思います。
 患者さんの説明文書4ページ(タブレット資料892ページ)となります。技術として局所遺残再発というのがやはり一つの問題になると思うのですが、この患者さんの説明文書の中で、そういう局所遺残があった場合に、癌が粘膜内にとどまる食道表在癌においては局所遺残再発を認めてないという文書があるのですが、胃癌に関する記載がないのです。やはり先生方がお話なされておられるように、もし胃癌を含めるのであれば、胃癌に対しても特に問題がないのだということを患者の説明文書に記載されるべきではないかと思います。それが食道癌しか記載がないというのは、検討すべき課題の一つかなと思います。
 それから、もう1つは掛江先生がおっしゃられたとおりですが、そのすぐ下に、APC療法を行っても癌が再発した場合には、一定の確率で癌を治療することができるという文書は、やはり具体性に欠けるように思いますので、その辺りも明記していただかないと誤解を生むのではないかと思いましたので、主担当と技術専門の遠藤先生がおっしゃられたように、現時点では胃癌と食道癌というのを同時に行うということは、少しハードルが高いのではないかと考えます。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。貴重なコメントを頂戴しました。これ以外にいかがでしょうか。

○後藤田委員
 私が発言してもよろしいのでしょうか。

○竹内座長
 はい。後藤田専門委員、どうぞ。

○後藤田委員
 よろしくお願いいたします。この度、坂井構成員をはじめ、丁寧かつ慎重に検討されましたことご苦労様でした。本質を捉えて非常にまとまっており、専門外の方でも問題点が理解できただろうと思います。当該技術に関しては私が専門ということでコメントさせていただきます。今、渡辺先生もおっしゃったように、胃と食道は腫瘍学的観点からも全く違います。腺癌と扁平上皮癌と言うことのみならず、解剖学的、治療方法や再発率も違います。また、今回提案されている焼灼による対症療法をした場合の再発率も違います。その後に起き得る転移等の話も違いますし、転移が起きた後の治療方法も全く違います。一括で同じ治療法で対応することには無理があると思いますので、もし、継続審議にするのであれば、食道に特化した前提で継続審議が宜しいかと存じます。
 ただ、平川委員がおっしゃられたように、今回の適格基準を厳秘に遵守した場合、治療後の経過観察期間中に多くが脱落してしまう可能性が危惧されます。つまり、臨床的意義はどうなのだというところが正に今回のポイントなのかと思います。余りにも高齢者、若しくは様々な合併症がある患者さんであれば、今回対象になるような疾患は臨床的観点から無治療で十分だとも言えます。その結果、臨床的に意義は低いということになるのではないでしょうか。私は臨床でこのような症例を見ている立場からそのように感じておりますし、現在、高齢者に対する内視鏡治療や対症療法については内視鏡学会等でも注目されている分野です。

○竹内座長
 ありがとうございます。後藤田委員に、逆に構成員から質問はありますか、よろしいですか。やはり胃と食道は分けるべきである。胃の場合は、遠藤委員から説明いただいたように、CCIを仮に6と設定しても生存率がかなり低いので、併存疾患が非常に厳しいとしても、介入をしなくても、生命予後はそれほど変わらないのではないかという御説明を頂きました。その後に、今の後藤田委員のコメントがありました。この点はよろしいですか。
 後藤田委員、このことは学会レベルで食道と胃についての、このような併存疾患が仮にあっても、胃と食道ではかなり違うというコンセンサスがあると考えてよろしいですか。

○後藤田委員
 そもそも胃癌学会と食道学会という別の組織で研究がなされています。治療ガイドラインも異なっております。APCによる焼灼するという話以前の問題として、内視鏡切除した後の非治癒切除症例に対する扱いも全く異なっております。リンパ節や遠隔転移のみならず、手術のリスク、手術以外の治療選択肢の有無など、全く違います。

○竹内座長
 多分、これから仮に継続審議になったときに、こちら側から逆にエビデンスや学会等のガイドライン、コンセンサス等を示して、申請者側に納得していただくかということが必要になってくる可能性があります。坂井構成員には大変御苦労なのですが、こちらから逆にこういう理由がありますと示して、申請者に納得してもらわないといけないのかなという気がしたので、今、後藤田委員にお尋ねしました。よろしいですか。

○坂井構成員
 坂井でございます。先生、ありがとうございます。9月からずっとやり取りをしているわけですが、なかなか申請者の方が納得していただけないというところがありまして、継続審議にしたとしても平行線に終わりそうな気はしておりました。今、後藤田先生からの御意見にもありましたように、無治療という選択肢もあり、また、今のお話では、高齢者に対する化学療法なども検討されているということでしたので、そういった対象にわざわざこの治療が必要かというところは、重々考えていただきたいと考えているところです。
 私から1点、専門の先生方に質問です。高齢者に対する治療法をどうするかということにもつながると思うのですが、申請者への説明の中で、無治療の場合には5年程度で進行がんになってしまうので、進行がんになってQOLを低下することをこの治療で予防したいという説明が何度も出てくるのですが、実際のところ、胃癌についてはどの程度進行がんになるのか、そうなったときに本当にほかに治療の選択がないのか、そういったことについて御意見を頂ければと思います。このAPC療法以外にも選択肢があるのか、又は本当に無治療のまま、併存疾患の問題もあるので難しいとは思うのですが、そういった治療選択について教えていただければと思います。

○竹内座長
 では、後藤田先生からお願いします。

○後藤田委員
 御質問、ありがとうございます。そもそも、高齢者であっても病院に受診したということは、現実問題として内視鏡治療すらできないという患者はいません。多少はいろいろな合併症があるような患者さんはいらっしゃいますが、あなたに治療は無理ですという状況は見たこともないです。ですので、やはり治療ガイドライン厳守するというのが基本だろうと考えます。
 ですので、今回、何回もやり取りをしている中で、いろいろ対象者の厳格基準や病変の対象基準が変わるのですが、この研究に入れたいから無理矢理入れてしまうのではないかを私は一番危惧しています。治療ガイドラインに従った治療選択の機会を奪ってしまうことによる患者さんの不利益、つまり局所だけてはなく予後に影響する遠隔転移やリンパ節転移などです。
 やはり、まず病院に来れるという時点で、多少の合併症や基礎疾患があったとしても、治療ガイドラインに準拠した治療は、対象基準に記載されている病変であれば全て標準治療である内視鏡切除が可能と考えていいと思います。

○坂井構成員
 先生、どうもありがとうございました。

○竹内座長
 はい、よろしいでしょうか。多分、申請者側の今回の試験計画の申請の最大根拠は、日常診療でこのAPCが相当数行われている、それは食道癌だけでなく胃癌でも行われているという主張と思われます。この点は、後藤田委員、例えば、胃癌で日常診療で数百件レベルで使われているとすると、その理由や患者さんの背景などについては、学会としては認識されていらっしゃるのでしょうか。

○後藤田委員
 しておりません。APCを本当に使っていたのは、ESDという手技が出る前です。1990年代終わりぐらいで、レーザー治療に替ってAPCで焼灼していた症例も多少ありましたが、結局はESDが普及したのでもはや施行されていないと思います。施行されているとすると、進行がんで持続出血しているような方に、その出血部位を焼灼するというぐらいでしょうか。

○竹内座長
 大変貴重なコメントをありがとうございます。坂井先生、このポイント、APCが日常診療で行われた時期的な問題も非常に重要かなと、今、コメントを頂いて感じ取りました。

○坂井構成員
 ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。申請者側が提出してきた資料を見ますと、2008年から2012年までの5年間ですので、今から10年以上前のデータになると理解しています。ですので、今現在の医療水準をもって、これよりも少ないだろうという後藤田先生の今のお話でしたので、余りニーズはないというか、この年間400以上されていますという数字は、そんなに信用できないと言っても良いと理解いたしました。

○竹内座長
 ありがとうございます。後藤田委員、どうぞ。

○後藤田委員
 一方で、食道は異時性再発リスクが高くて、半年前にはなかったのに新たな病変が出てきます。そうしますと、半年前、1年前に行った内視鏡治療後の瘢痕近くに病変が出来たりもします。その病変をさらにESDで切除する、特に小さな病変に対して穿孔などのリスクを冒して行うのかとなります。このような小さな表在食道癌あるいは、リスクが高い患者さんに対する予防的焼灼術には可能性があるかもしれません。
 そういう意味で、もし、当該技術を継続審議とするのなら、繰り返しになりますが食道だけに特化してはどうかと思います。そうしますと、申請者が言ってきたような患者さん側のリスクなどはむしろ考慮しなくて良いのかと思います。瘢痕が強くて通常のEMR/ESDが厳しい症例、かつ小さな病変を焼灼で対応してしまおうという話であれば、私はむしろ普通の診療行為として普及していく可能性、さらにはESDより低コストとなるのではないかと思います。

○竹内座長
 ありがとうございます。大変貴重なコメントを技術専門委員から頂戴いたしました。それでは、ここで、これ以上議論がないようであれば、検討結果の取りまとめを行いたいと思いますが、ほかに御意見等はありますでしょうか。よろしいですか。それでは、どうもありがとうございました。ここで、伊佐山委員、後藤田委員には一時御退席をいただきまして、これから最終的な取りまとめを行ってまいりたいと思います。

(伊佐山委員、後藤田委員 退席)

○竹内座長
 伊佐山委員、後藤田委員は御退席いただきました。それでは、今までの議論を踏まえ、整理番号136番については、坂井構成員から最終的な取りまとめをいただいたように、ただいまの意見を踏まえ、継続審議、特に今回は食道癌に対してはこれまでの計画書を修正していただいた上で審議対象になるだろうと。一方で、胃癌についてはどうかという意見がありましたので、それを踏まえた上で継続審議としたいということでよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、御意見がないということで、整理番号136については、継続審議とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 ここで、伊藤構成員、伊佐山委員、後藤田委員にはお戻りいただくことといたします。よろしくお願いいたします。

(伊藤構成員、伊佐山委員、後藤田委員 入室)

○竹内座長
 それでは、ここで遠藤委員、後藤田委員におかれましては御退席いただいて結構です。本日は大変御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございました。

(遠藤委員、後藤田委員 退席)

○竹内座長
 それでは、総括報告書の評価結果について、事務局から説明をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課治験推進室長補佐
 御説明いたします。資料2-1の85ページです。先進医療Bの総括報告書に関する御評価を頂くのは、告示番号旧43「内視鏡的エタノール局所注入療法」です。申請医療機関は岡山大学病院です。審査担当構成員は、主担当が竹内座長、副担当が山本構成員、技術専門委員が伊佐山委員となっております。それでは、資料に沿って御説明いたします。
 膵神経内分泌腫瘍は、WHO2017分類により、核分裂像とKi-67 indexに応じて、Grade(G)1、G2、G3、NECに分類され、それぞれ予後や治療内容が異なる。治療の基本は外科切除であり、悪性度の高いものや腫瘍サイズが大きい病変に対しては、定型的膵切除術が標準治療法となる。しかしながら、腫瘍サイズが2cm以内かつ悪性度が低い腫瘍(G1)の治療法は議論が分かれており、手術治療に関しては術後の膵機能に配慮した適切な術式選択が必要とされている。
 近年、局所切除術の適応となる2cm以内の膵神経内分泌腫瘍に対して、超音波内視鏡ガイド下に腫瘍を穿刺しエタノールを注入することで腫瘍を凝固壊死させる注入療法が施行されてきている。この治療では、低侵襲治療として患者のQOLに大きく貢献でき、さらに膵機能を温存することで晩期の糖尿病発生を回避できる可能性が期待されている。
 本先進医療では、腫瘍サイズ15mm以下かつ組織学的Grade 1の膵神経内分泌腫瘍に対する超音波内視鏡ガイド下エタノール注入療法の有効性及び安全性を証明することを目的としています。以上です。
 なお、本議題の審議については竹内座長に御評価いただいていることから、松山構成員に進行をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○松山構成員
 それでは、本技術の評価について、主担当の竹内座長から御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○竹内座長
 資料89ページの所にあるように、有効性についてはBと評価しました。従来の医療技術を用いるよりも、やや有効である。その理由として、主要評価項目の1つである有効性に関する評価項目では、ヒストリカルコントロールの外科的切除に比べて、本技術は、6か月後の腫瘍完全焼灼割合が88%、手術の100%には及ばなかった一方で、3項目ある安全性の評価については、本技術は外科的手術よりも優れておりました。複合エンドポイントは、有効性が1項目、安全性が3項目あり、それら全てを満足するものが今回の複合エンドポイントのポイントです。したがって、有効性と安全性の全ての項目を満足する患者さんは、本技術は76%、外科的手術の48%よりも統計学的に優れていました。したがって、この複合エンドポイントを用いると、従来の技術よりも本技術はやや有効というように判断しました。
 次に、安全性については、あまり問題なし。1か月以内の重篤な疾患発症割合は、本技術で4%、1か月後の介入治療を要する膵液漏発症割合は0%、6か月後の糖尿病発症割合が12%、外科的切除ヒストリカルコントロール群のそれぞれ35%、35%、13%に比して、良好あるいは少なくとも同等の結果で、安全性に関しては、本技術は外科的手術よりも優れていると思われます。
 そして、技術的成熟度は、当該分野を専門とする数多くの経験を積んだ医師であれば実施できるということですが、1つだけ、本技術に伴って膵炎を20%、糖尿病を13%で認めていることから、当該分野を専門として数多くの経験を積んだ医師又は指導の下であれば実施できると判断しました。
 総合的なコメント欄はここに書いてあるとおりです。薬事未承認の医薬品等に伴う医療技術の場合、承認申請の効率化に資するかどうかについては、本技術に適した症例選択、将来の薬事承認申請に向けた検討資料としては有用な情報になり得ると考えるとコメントしました。以上です。

○松山構成員
 ありがとうございます。引き続き、副担当の山本構成員から御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○山本構成員
 統計のほうを担当させていただきました山本でございます。資料90ページ、有効性については、Bの従来の医療技術を用いるよりも、やや有効であるといたしました。先ほど竹内先生からもお話がありましたとおり、本試験の主要評価項目は、有効性1項目と安全性3項目からなる4項目全てを達成できた割合という形で総合的に評価されており、安全性が含まれてはいるのですが、主要評価項目として設定されているというところから、こちらに鑑みて、安全性も含めて評価を御提示させていただくと、主要評価項目達成割合が76%で、48%を一応超えていたというところで、有意水準両側10%で設定されていたということでした。希少疾患であるため仕方ない点もあるのですが、シングルアームの試験であること、達成割合の推定値等からは、従来の外科的治療技術を用いるよりも大幅にというところまでは言えないというように判断し、やや有効と判断いたしました。
 一方で、有効性の項目のみに着目した場合には、当該達成割合というのは、本技術で88%、対象となっていた外科的治療では100%であるということなので、ここでは、そもそも勝てるというところでの設定にはなっていないということで、ここでの判断ではなく、主要評価項目になっている安全性も含めた全ての達成割合というところで、今のように評価させていただきました。
 続いて、安全性に関してはB、あまり問題なしといたしました。理由として、安全性においては、主要評価項目に設定されていた3項目の安全性において、また、それ以外のその他の有害事象においても、外科治療技術と比較しても良好、若しくは同等の成績が得られていました。ただ、因果関係の否定ができないような膵炎が20%に認められており、その後の転帰は問題なしということでしたので、総合的には大きな問題はないと判断いたしました。
 また、技術的成熟度に関しては、当方では判断ができないということで、主担当の評価に委ねさせていただきたいと思います。以上です。

○松山構成員
 ありがとうございます。技術専門委員の伊佐山委員から御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○伊佐山技術専門委員
 伊佐山でございます。私は現在この膵領域の臨床を実際に行っている者です。その中で、このPNET最近ではPNENと申しますが、膵癌に比べると、生物学的悪性度が極めて低い腫瘍と言えると思います。経過観察をしていても、問題がない症例も結構多く見掛けますし、そのような治療方針も最近では認められてきているようです。そういった腫瘍でありながらも低悪性度腫瘍であるので、かなりの症例で膵切除が行われて、膵切除による偶発症といったものも多々認めるといった状況にあるかと思います。
 そのような腫瘍に対して、6か月後で88%残っていたというのは、繰り返しの治療が可能でありますし、、最終的に完全治療できなかったとしても、その後に更に手術に回るといった状況がありますので、治療としては問題ないのではないかと思います。実はもう他国でこの技術はかなり確立されてきており、実際には10年ぐらい前から海外のライブ手術というか、内視鏡ライブでは登場していました。この世界では、ちょっと一見、派手な技術というのは、余り有効性がない場合にはどんどん消えていってしまうのですけれども、この治療に関してはいろいろな国でもう一般的な治療として根付いてきているというのが印象なのです。そういう先生方のお話をお聞きすると、最初の治療、それから2回目の治療、それでも消えない症例では手術になるというストラテジーも結構確立してきていて、患者さんの安全性・有効性といったものは非常に大きいものがあると考えられます。
 このような有用性を持ちながら、膵切除と比較して侵襲度が極めて低いので私は大幅に有効と判断しています。数字だけを見たときにこの判断が何か違和感があると皆さん思われると思うのですけれども、実際の臨床を考えた上では、私は大幅に有効であるというような判断をさせていただきました。
 次に、安全性に関しては、あまり問題がないということです。この軽い膵炎というのは総胆管結石を内視鏡的に取る場合でも10%弱ぐらいには認められ、胆管癌の術前診療の場合だと、やはり20%ぐらいに認められるのです。ERCPをやっている各施設では膵炎のマネジメントに長けており、それほど大きな問題にはならないであろうと考えます。ですから、手技の安全性として、内視鏡的な結石除去や胆管癌術前診断と同等というように考えられるので、あまり問題はないであろうと思います。もちろんゼロというわけにはいきませんし、数が増えてきた場合に、現在のERCP後膵炎と同じように、まれに致死的な症例がある可能性からBに付けております。実際には、海外でされている先生方にお聞きしても、もちろんパブリケーションバイアス、我々に対しては重篤な偶発症を隠している可能性はありますけれども、余り重篤なものは耳にしていないというのが事実でございます。
 最後、技術的成熟度です。普通の医療機関でこの腫瘍に対して、EUS-FNAと言って、超音波内視鏡下に針を刺して生検を行うということは広く行われている技術です。その針を刺した所からエタノールを注入するというのが今回の治療でありある程度経験を積んだ医師であれば、ほとんどできると思います。先ほど申し上げたように、ERCPをやっている施設であれば、その後の膵炎のマネジメントはある程度できると考えられます。ただ、重症膵炎例に対しては、外科医、放射線科医、ICUといった所でのバックアップは必要になると考えられるので、ある程度は条件としてそれは盛り込んでもいいのかもしれません。しかし、通常の技術的成熟度からいくと、この治療は簡単な部類に入ることを付け加えさせていただきます。専門的な立場から意見として述べさせていただきました。私からは以上です。

○松山構成員
 ありがとうございます。それでは、主担当の竹内座長より、何か追加のコメント等がありましたらお願いいたします。

○竹内座長
 特にございません。今の伊佐山先生からのかなり専門的なコメントを受けて、全体を考えていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○松山構成員
 ありがとうございます。ただいまの説明について、何か御質問などはありますか。よろしいでしょうか。それでは、告示番号旧43については、ただいま御審議いただいた結果を取りまとめて、先進医療会議に御報告いたします。
 伊佐山技術専門委員におかれましては、以降は御退席いただいて結構でございます。御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございました。

○伊佐山技術専門委員
 ありがとうございました。失礼いたします。

 (伊佐山技術専門委員 退室)

○松山構成員  以降の審議については竹内座長にお戻しいたします。よろしくお願いいたします。

○竹内座長
 松山先生、ありがとうございました。
 続いて、試験実施計画の変更について、事務局から説明をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課治験推進室長補佐
 事務局です。資料3の95ページを御覧ください。国立病院機構大阪刀根山医療センターからの申請で、告示号27番「TRPV2阻害薬経口投与療法」です。適応症は「心不全」です。御審議いただく主な変更内容については96ページです。
 主な変更内容は登録期間の延長で、総研究期間を5年2か月から6年2か月に変更し、総研究期間を2024年3月まで延長することを申請されています。申請の理由は、総括報告書の作成に更に時間を要する見込みから実施期間の延長を行うとされています。変更申請については以上です。
 なお、本件については試験期間延長の手続の過程で、実施計画書に記載されている研究期間を超えて症例登録等を実施していたことが判明したため、臨床研究法にのっとった報告をされ、「重大な不適合」の報告が提出されたので、併せて御説明いたします。
 97ページです。不適合の内容は、試験実施計画書に記載されている研究期間を超えて症例登録、治療及び観察を実施したことです。詳細について簡潔に言うと、研究開始日を2018年11月15日と誤認識していたため、研究期間を超えて研究を実施してしまっていましたが、その結果、総研究期間延長のため、先進医療事務局に今年の8月に延長の申請をしたところ、今回の事案が発覚しました。
 97ページの項目の「詳細」の下から4行目です。計画書記載の登録期間である2019年9月30日を超えて登録した被験者は8名(うち3名はスクリーニング脱落)、計画書記載の観察期間である2022年9月を超えて治療及び観察した被験者は2名であった。なお、本研究における全ての対象者の観察は2023年3月に終えています。
 98ページです。今回の不適合が発生した理由の概略は、2018年2月1日に先進医療として告示されていたが、研究実施に必要な準備が整ったのが2018年10月で、当時、申請した試験期間の延長が承認された2018年11月15日を開始日と誤認してしまった。また、当時は2018年4月に臨床研究法が施行され、それに伴う対応も生じていたことも一因であるとのことです。
 本臨床試験は、最終観察を本年3月に終えており、これ以上の登録がない状況でしたが、進行中の先進医療と同様に、臨床研究法に基づいた対応を事務局から御依頼したところ、再発防止策を策定しCRBに報告され、2023年10月17日のCRBの審議にて、継続について承認されております。
 なお、本件については、前回の部会で議論になった不適合事例の周知事項に加え、事務局から周知する予定です。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。ただいまの御説明で、何か御質問やコメント等はありますか。既に研究が終わっていて、症例組入れも終わっていて、施設としては、総括報告書をまとめるに当たって研発課にそのことを相談をした。そこで、実は告示日と、実際にその施設で行っていた開始日の認識の齟齬があった。結果として、このような形で当初の告示にあった研究期間が終わった後に登録された例が含まれていた。当該機関のCRBにお諮りしたところ、これはきちっと臨床研究法に基づく不適合事案として報告するとともに、一方で、総括報告書の中には、これらの症例を加えて報告したいというような内容だったかと思います。
 なかなか複雑なのですが、ちょっと前に起こった不適合事案、あれはオンゴーイングの研究の組入れについての問題で、少し組入れをストップしていただいたという背景があります。今回のものについては、もう既に全て研究が終わっていて、総括報告書の段階でこの不適合が判明、発覚したということでございます。
 何か、御意見等はありますか。後藤先生、どうぞよろしくお願いいたします。

○後藤構成員
 後藤です。ちょっとこれは事務局に伺いたいのですけれども、例えば、告示日がいつになって、この研究の対象がいつから、何日から何日、何年のいつからいつまでだということについては、どのような形で相手方に伝達がされているのかを確認できればと思います。この前も同じような、ちょっと違うのですけれども、結局、この期間でお願いしますと言っていたことが基本的に守られていない事例が相次いで発生しているように見受けられますので、その1つの防止策として、適切に相手に御認識いただくということも必要なのではないかと思っているので、どういう伝達方法をされているのかということについて確認をさせていただきたいと思います。

○竹内座長
 事務局、よろしくお願いいたします。

○医政局研究開発政策課治験推進室長補佐
 事務局です。まず、課長通知等で、先進医療告示適用日が試験開始になるということは明確に書いております。どのようにお伝えしているかと申しますと、メールベースで試験が承認されましたということをお伝えすると同時に、告示の予定をお知らせしています。臨床研究法等においてはjRCT上で公開をする必要があり、その公開を告示日と合わせるという必要もあり、それは医療機関と連絡を取って行っております。
 私ども事務局としては、何度か同じ御案内を差し上げているつもりではございますが、不十分ということで今後は気を付けてまいりたいと思います。以上です。

○竹内座長
 松山先生、どうぞ。

○松山構成員
 後藤先生、御指摘ありがとうございます。この件に関しては、ちょうど臨床研究法の告示と施行の端境期にあって、CRBのほうもかなり混乱された時期であっただろうと思われます。当時、CRBというものが臨床研究法がないときにはなかったので、こういうことになる。今後はこういうことは多分起こらないと思いますし、jRCTの公開日と課長通知の発出日というものが一致するということで、これから本省のほうで周知されるということなので、こういうことは起こってこないだろうと思っております。以上です。

○後藤構成員
 ありがとうございました。多分、その法と法の施行の端境期というのはとてもよく分かるのですが、だからこそ丁寧な御説明というのはされたほうがいいのかなと。大体、「通知を送りました」というだけではなく、何か一工夫、手続を踏まれるということによって、今後このようなことが、今回のようなものは起こらないですけれど、様々な不測の事態を防げるかなと思うので、先ほど御発言があったような形で適切な対応をお願いしたいと思います。ありがとうございました。

○竹内座長
 ありがとうございました。事務局のほうでも、大変だとは思いますが、症例組入れ期間の終了前に少しリマインド的なアナウンスをしていただくとか、観察期間終了前にしていただくとかといったような対応を取っていただければというコメントだったかなと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 この事案の背景には、先ほどの臨床研究法が施行されたタイミングで、いろいろな手続の変更等を申請者のほうから上げていただいて、その臨床研究法にのっとった形の研究実施計画書が提出されたと、そのことをもって、そこからこの研究が開始されたというように、研究機関、申請者側は間違って認識したということが発生源だったようです。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、告示番号27の変更については、先ほどの不適合事案ということを報告していただいた上で、これをお認めしたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 続いて、次の試験実施計画の変更について事務局からお願いいたします。

○医政局研究開発政策課治験推進室長補佐
 御説明いたします。資料4の101ページを御覧ください。慶應義塾大学病院からの申請で、告示番号36「イマチニブ経口投与及びペムブロリズマブ静脈内投与の併用療法」です。適応症は「進行期悪性黒色腫」です。
 御審議いただく主な変更内容につきましては、102ページを御覧ください。主な変更内容は登録期間の延長で、患者登録期間を2024年3月末から2024年10月末に、研究終了日を2026年3月末から2026年10月末に変更しております。
 変更申請する理由(1)の2段落目を御覧ください。2023年11月9日の第155回先進医療技術審査部会にて、2026年3月末まで(患者登録期間2024年3月末まで)の試験期間延長をお認めいただいたところですが、再度、患者登録期間の延長を希望いたします。その理由として、9月から11月までの登録例数が5例であり、予定登録ペースである2例/月の登録数を下回っていることが挙げられます。特に11月に御許可いただいた試験期間延長の病院長実施許可申請手続による新規登録の停滞があり、現時点で、8施設中2施設において病院長実施許可が得られた段階であり、残りの6施設はいまだ登録再開には至っておりません。多施設化とリクルート推進により登録の推進を精一杯努めますが、これらの理由から2024年3月末までに残りの8例を登録することは現実的には難しいということで、2026年10月末まで(患者登録期間2024年10月月末まで)の試験期間延長を希望されています。以上でございます。

○竹内座長
 ありがとうございました。ただいまの御説明に御意見等はございますでしょうか。度々の変更ですが、実情は病院長の許可が下りなかった。8施設のうち6施設で下りなかった。多分、病院は様々なことで業務に追われていて、こういう手続の許認可、病院長レベルでの許可が下りにくい状況と理解されます。特に、最近、書類がとても多くて目を通すのは大変だという状況が発生してしまっている状況でございます。何かコメント等はございますか。よろしいですか。それでは、告示番号36の変更につきましては認めることといたします。ありがとうございました。
 続きまして、次の試験実施計画書の変更について、事務局から説明をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課治験推進室長補佐
 御説明いたします。資料5の105ページを御覧ください。国立がん研究センター東病院からの申請で、告示番号39「周術期デュルバルマブ静脈内投与療法」です。適応症は「肺尖部胸壁浸潤がん」です。
 御審議いただく主な変更内容につきましては、106ページを御覧ください。主な変更内容は、マル1検出力の変更と登録期間の延長について、及び、マル2「予期される有害反応」への項目追加です。各変更項目について変更前と変更後を御確認いただきたく存じます。
 106ページの変更申請する理由は、症例登録が遅れていること、先行研究のCRESSST試験の結果が公表されたことを受け、プロトコールに従い本試験の閾値・期待値を再設定し、実施可能性を踏まえて期間と予定登録患者数を再設定されています。再設定については107ページに詳細な記載がございます。内容については、新規技術として審査当時、評価委員でいらした飛田先生に事前に評価をお願いしておりました。今回の変更に伴う事前照会事項は、タブレット資料1437ページ、資料5の最初のページにございます。飛田先生からは、特段問題がないと御評価いただいております。
 続きまして、107ページ、「予期される有害反応」への項目追加、側弯症の追加ですが、本試験では手術において椎体切除が必要となることもあるため、術後合併症として頻度は低いものの予期される既知の有害事象であるため、項目を追加したとのことです。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございます。飛田先生に評価いただいておりますので、飛田先生、コメントはございますか。

○飛田構成員
 飛田です。今回の変更の1つは、本試験の計画段階で予定登録症例数の設定に用いた主要評価項目に対する期待値と閾値の変更に関するものです。これは、本試験の計画段階で、術前・術後のデュルバルマブの療法に関する集学的な有効性・安全性を検討する上で、後ろ向きの調査の結果及び実施中であったCRESSST試験を参考に標準的な45Gyではなく、よりプロミッシングな化学放射線治療として放射線量を66Gyと設定することに基づいて、期待値、閾値を見積もっていました。
 今般、CRESSST試験の結果が得られましたので、その成績に基づいて閾値と期待値を再設定、再検討するということは、計画段階からプロトコールにも規定されております。その内容に従って、期待値、閾値を見積り直し、かつ、計画的に若干高めに設定していた検出力を85%から80%として、症例数の再検討を行ったという変更内容になります。繰り返しにはなりますが、事前に規定されていた内容に伴って、試験途中で得られたエビデンスに基づいて適切に検討されていますので、変更自体には大きな統計学的な問題はないと思います。
 一方で、登録期間が延長されている点については、現状の登録の進捗状況が余りよろしくない状況であり、登録期間を変更することで十分に予定登録症例の集積が可能なのかということを研究者に照会させていただいています。その回答としては、タブレット資料5ですが、薬剤の提供企業との交渉で1年延長しても完遂できない場合には、その時点で登録を中止し、登録された患者のデータで解析すると回答されていることから、現時点では適切な対応が取られていると考えております。長くなりましたが、以上です。

○竹内座長
 ありがとうございます。大変御丁寧な説明を頂きました。何か委員のほうからコメント等はございますでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。それでは、告示番号39の変更につきましては認めることといたします。ありがとうございました。
 続きまして、次の試験実施計画書の変更について、事務局から説明をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課治験推進室長補佐
 御説明いたします。資料6の109ページを御覧ください。国立循環器病研究センターからの申請です。告示番号54「テネクテプラーゼ静脈内投与療法」です。適応症は「脳梗塞」です。
 御審議いただく主な変更内容につきましては110ページを御覧ください。変更前の計画では、ジェネンテック社のTNKaseを使用していますが、変更後は、ジェネンテック社のTNKaseに加え、親会社のロシュ社のTNKase、ベーリンガーインゲルハイム社のMetalyseの使用に変更されています。
 変更申請をする理由を御覧ください。1段落目は、供給ひっ迫と薬剤価格の高騰について書かれています。2段落目は、試験薬の枯渇による試験完遂が阻害されていることを御説明いただいております。
 3段落目の3行目から読み上げます。購入に要する価格は最終確定していないが、現在のTNKaseの2~3割程度で済むと予想している。他に、従来使用してきたTNKaseをカナダから現在より安く購入する入手ルートも交渉しているが、将来わが国での承認申請の実現性を考えた場合、日本でも企業展開しているBI社のMetalyse購入のほうが実現可能性も高いため、今回新たに商品名Metalyseを使用する医薬品情報に追加した。特定臨床研究である本試験の実施途中で商品名の違うテネクテプラーゼに切り替えることの妥当性をPMDAレギュラトリーサイエンス戦略相談事前面談で相談し、薬剤を切り替えて試験を継続することを前提とした留意点についての説明を受けた。
 なお、PMDA相談後の2023年11月29日に欧州脳卒中機構が公表した通知文によって、欧州でBI社が規制当局に急性期脳梗塞患者へのMetalyse使用の承認申請を提出しており、承認されれば2024年に少なくとも欧州11か国で、2025年には他国でも導入される見込みであることが判明した。
 続いて110ページです。2023年11月30日現在で、試験完遂に必要な残り症例数は98例であり、テネクテプラーゼ65本を確保できれば、完遂が可能であること、国民により良い血栓溶解薬を提供する機会が失われる危惧について言及されています。以上でございます。

○竹内座長
 ありがとうございました。何かコメント、御意見等はございますか。御存じのように、この薬剤はドラッグロスの代表的な薬剤で、開発製薬企業は日本での開発をやめたという製剤です。大変御苦労して申請者が研究費の中からこの薬剤を買って、そしてこの研究を続けている。その中で、もともとの開発会社の薬剤を入手するのには、薬剤入手がとても困難であり、かつ、価格が高価であるという状況の中で、このような申請をしていただいたという状況があると私は理解しています。何か御質問、コメント等はございますか。よろしいですか。よろしければ、告示番号54の変更についてお認めしたいと思います。ありがとうございました。
 続きまして、次の試験実施計画の変更につきましてよろしくお願いいたします。

○医政局研究開発政策課治験推進室長補佐
 御説明いたします。資料7、113ページを御覧ください。東北大学病院からの申請で、告示番号66「術前のゲムシタビン静脈内投与及びナブーパクリタキセル静脈内投与の併用療法」です。適応症は「切除が可能な膵臓がん」です。
 主な変更内容につきましては114ページを御覧ください。主な変更内容のマル1適格規準における腹腔洗浄細胞診の診断法の追加を御覧ください。検査方法に「経皮的ダグラス窩穿刺法」が加えられています。変更申請する理由は、本試験では登録前に審査腹腔鏡を行った場合、腹腔洗浄細胞診が陰性であることを規定しています。最近では腹腔洗浄細胞診の検査方法として、より簡便で低侵襲な、経皮的ダグラス窩穿刺法による腹腔洗浄液の採取が行われており、実施が可能な施設では日常診療として広まりつつあります。グループ内で検討し、有効性および安全性において審査腹腔鏡と同等な検査であると判断いたしましたので、適格規準における腹水細胞診の診断法に、経皮的ダグラス窩穿刺による腹腔洗浄細胞診を追加いたします。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。ただいまの御説明に何か御意見、コメント等はございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、告示番号66の変更につきまして認めることといたします。ありがとうございました。
 続きまして、先進医療Bの協力医療機関の追加につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課治験推進室長補佐
 事務局から説明いたします。資料8-1、115ページを御覧ください。告示番号60について4施設、告示番号65について1施設、告示番号71について3施設の協力医療機関の追加申請がありました。
 資料8-2、116ページ以降を御覧ください。事務局において、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件(様式第9号)を満たしていることを確認いたしました。協力医療機関の追加として御了承いただきたく存じます。

○竹内座長
 よろしいでしょうか。

○医政局研究開発政策課治験推進室長補佐
 特に御意見がなければ手続を進めさせていただきます。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。それでは、事務局で手続をお進めいただきたいと思います。
 続きまして、先進医療Bの試験終了に伴う取下げについて、事務局から説明をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課治験推進室長補佐
 御説明いたします。資料9、123ページを御覧ください。先進医療の取下げとして告示番号49、59の2件の申請がございました。取下げ理由といたしましては、告示番号49、全ての研究対象者について規定している観察が完了したため、告示番号59については、アフリベルセプトが未熟児網膜症の適応追加承認を取得し、保険診療下で使用可能となったことを受け、独立データモニタリング委員会で審議が行われたところ、試験中止の判断となったためとしています。両先進医療ともに、総括報告書を後日、提出するとされております。以上です。

○竹内座長
 よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、事務局で手続を進めていただくようにお願いいたします。
 続きまして、先進医療Bの保険適用に伴う告示削除について、報告事項ですが、これについて事務局から説明をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課治験推進室長補佐
 御説明いたします。資料10、125ページを御覧ください。先進医療Bで実施されていた技術に関わる医療機器について、保険適用となった事例がございますので、報告いたします。告示番号2、経皮的乳がんラジオ波焼灼療法という技術に用いられていたCool-tip RFAシステム Eシリーズと、Cool-tip RFシステムが、令和5年12月1日付けで保険適用となりました。それに伴い、先進医療の通知に従いまして、先進医療告示から削除といたしました。以上、御報告させていただきます。

○竹内座長
 ありがとうございました。本件について何か御意見等はございますか。保険診療で認められたというのは、ひとつの先進医療の成果だと思います。ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 続きまして、令和5年度先進医療技術の実績報告等について、事務局から説明をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課治験推進室長補佐
 御説明いたします。資料11、127ページを御覧ください。令和5年12月7日開催の第127回先進医療会議におきまして、令和5年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告がなされましたので、部会でも御報告させていただきます。
 まず、127ページの資料にあるとおり、先進医療Bの技術数が53種類、実施医療機関が166施設、費用については、保険外併用療養費の総額が8.4億円、先進医療費の総額が4.6億円となっています。128ページを御覧ください。過去1年間の先進医療A及びBの技術数の増減を示した表となっています。先進医療Bについては、新規の承認技術数は9種類となっています。次に、129ページは、過去5年間の実施医療機関数や金額等の実績を示した表となっています。130ページからは、各先進医療B技術の費用等をお示ししています。133ページからは、各先進医療Bの登録症例数及び年間実施件数等をお示ししています。また、136ページからは、1年間の実施件数が0件であった先進医療技術のリストと、0件の理由及び今後の対応方針を申請医療機関に報告していただいた結果をまとめた資料となっています。事務局からは以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。大変膨大なデータ、令和5年6月30日までの実績報告、1年間の実績報告についてまとめていただきました。何か御意見、コメントなどがございますでしょうか。よろしいですか。これは毎年、同様の報告をしていて、このことは年度、年度で実績が分かるということですね。

○医政局研究開発政策課治験推進室長補佐
 はい。

○竹内座長
 ありがとうございました。それでは、特別、御意見等がございませんので、続きまして、先進医療B総括報告書提供状況一覧、よろしくお願いいたします。

○医政局研究開発政策課治験推進室長補佐
 御説明いたします。資料12-1、141ページを御覧ください。こちらの表は、平成24年度以降に告示されており、第155回の先進医療技術審査部会までに取下げが審議された先進医療B技術について、令和5年12月1日現在の総括報告書の提出状況を示した一覧です。表の一番左側の数字が、平成24年度の告示番号です。こちらが42番よりも下の技術については、総括報告書の提出が義務付けられた試験となっています。総括報告書の提出状況については、表の右側から2番目に項目がありまして、既に提出済みのものにつきましては「済」と記載していますので、御参照ください。既に多くの試験において、告示取下げ後に総括報告書を御提出いただいていることを確認しております。また、未提出の試験については、事務局より提出に関して適宜リマインドを行っているところです。
 続きまして、資料12-2、147ページを御覧ください。こちらは、告示削除に当たり、副次評価項目などの長期観察が必要な事項について観察研究を実施して、その結果を部会に報告いただくということになっている試験のリストをお示ししています。今回、お示しした報告書等について、今後も毎年、更新して御報告させていただく所存でございます。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。本件につきまして何か御意見、コメント等はございますでしょうか。よろしいですか。ありがとうございました。
 それでは、本日の議題は以上でございますが、構成員の皆様から全体を通しまして何か御意見、御質問等がございますでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。ないようでしたら、次回の日程を事務局からお願いいたします。

○医政局研究開発政策課治験推進室長補佐
 事務局です。次回は、令和6年1月18日(木)の開催とさせていただきます。時間は16時から18時までを予定しております。詳細については別途、御連絡させていただきます。また、本日の議事録については、作成次第、構成員の皆様に御確認をお願いし、その後、公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。

○竹内座長
 ありがとうございました。それでは、これをもちまして、第156回先進医療技術審査部会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

(了)