第2回労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会議事録

労働基準局安全衛生部労働衛生課

日時

令和6年1月25日(木)10:00~

場所

中央合同庁舎5号館専用第21会議室

議題

  1. (1)労働安全衛生法に基づく一般健康診断の現状と課題等に関する構成員からのヒアリング
  2. (2)その他

議事

議事内容
○夏井産業保健支援室長補佐 皆様、おはようございます。それでは定刻となりましたので、ただいまより第2回「労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会」を開催いたします。構成員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきありがとうございます。本検討会は、資料及び議事録は原則公開といたします。報道関係者の皆様、カメラ撮影はここまでとしてください。
 本日の出欠状況でございます。及川構成員、立石構成員、田中構成員、森構成員からは欠席の御連絡を頂いております。荒井構成員、岡村構成員、立道構成員、中野構成員、星野構成員、吉村構成員におかれましては、オンラインで御参加いただいております。大須賀構成員からは、遅れての御参加となりますこと御連絡を頂いております。
 続きまして、オンラインで御参加いただいている構成員の皆様に、御発言の仕方を御説明させていただきます。会議中、御発言の際は「手を挙げる」ボタンをクリックし、座長の指名を受けてから、マイクのミュートを解除し御発言をお願いいたします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにしてくださいますようお願い申し上げます。
 続いて、資料の確認をいたします。本日の資料は事前にお送りしておりますとおり、議事次第、資料1、2、3、参考資料1、2になります。この後、議事に沿って画面共有にて御覧いただきますが、不足がありましたら事務局よりお送りしますので、コメント又は御発言にてお申出ください。
 それでは、以降の議事進行につきましては髙田座長にお願い申し上げます。
○髙田座長 それでは、本日につきましては議事次第にございますように、「労働安全衛生法に基づく一般健康診断の現状と課題等に関する構成員からのヒアリング」を行います。初めに、使用者団体の立場から、日本経済団体連合会・鈴木構成員、続いて日本商工会議所・大下構成員より、それぞれ15分間御発表いただき、その後20分間の意見交換の時間を設けております。その後、働く女性の健康課題に関しまして、関東労災病院・星野構成員より15分間の御発表を頂き、20分間の意見交換、最後に総合討論の時間を20分間予定しております。なお、次回第3回検討会につきましては、使用者団体の立場から全国中小企業団体中央会・及川構成員に、労働者団体の立場から日本労働組合総連合会・冨髙構成員に御発表をお願いしております。
 それでは、まず日本経済団体連合会・鈴木構成員から御説明をお願いいたします。
○鈴木構成員 経団連の鈴木です。本日は、このような貴重な機会を頂き、誠にありがとうございます。本検討会での今後の議論に向けて、一般健康診断の健診項目に対する私どもの考えを申し述べたいと思います。お手元に、資料1を御用意しております。私どもの意見は、大きく分けて3点あります。初めに、「今後の検討にあたっての大原則」です。
 2ページを御覧ください。大原則の1つ目は、「最低基準としての位置付けに即した健診項目に絞り込むべき」というものです。一般健康診断は、労働安全衛生法第66条に基づき、業種や規模を問わず全ての事業者に罰則付きで義務付けられるとともに、労働者にも受診義務を課す制度です。すなわち、法が規定する「最低基準」の仕組みと言えるかと思います。また、判例法理を明文化した労働契約法第5条に基づき、使用者には労働者に対する安全配慮義務が生じます。一般健康診断におきまして、事業者は労働者が受診した健康診断の結果を把握することになりますが、このことは安全配慮義務の発生につながる可能性があります。法に基づき、強制的に健康情報を取得する仕組みですので、その範囲については謙抑的であることが求められるかと思います。以上のことから、健診項目は必要最小限にすべきと指摘しております。
 3ページをご覧ください。次に、大原則の2つ目は、「制度の目的や医学的なエビデンスに基づき議論すべき」というものです。一般健康診断の目的は、業務が原因で労働者が疾病にかかったり、疾病が悪化したりすることを防ぐことにあります。御案内のとおり、例えば脳・心臓疾患の場合、本来的には加齢や生活習慣により発症するものですが、業務による明らかな過重負荷が加わりますと、発症の基礎となる血管病変等が自然経過を超えて著しく増悪して発症に至る場合があり、そのような経過で発症した脳・心臓疾患は、業務に起因する疾病として取り扱うということとされております。このような医学的な知見に基づき、一般健康診断の健診項目として、脳・心臓疾患の危険因子となる複数の項目が含まれていると理解しております。現在、眼底検査等につきまして、一般健康診断の健診項目への追加を求める御要望があると承知しておりますが、仮に、今後このような項目の追加を議論するのであれば、その前提として検査による把握が期待される疾病と業務との関連性、労働災害との因果関係を示す明確なエビデンスが必要であると考えております。
 4ページをご覧ください。大原則の3つ目は、「事後措置の実施の可否を含めて議論すべき」というものです。事業者には一般健康診断の実施にとどまらず、産業医等の意見を勘案した上で、異常所見者に対する必要な就業上の措置を含めた義務も課されております。また、本検討会の前身ともいえる「労働安全衛生法に基づく定期健康診断等のあり方に関する検討会」、こちらの報告書では、定期健康診断等の診断項目の要件として、「当該診断項目単独、又は他の項目と併せて、義務とされている就業上の措置を行うためのデータとすることが期待できるものであり、その上で、努力義務である保健指導においても活用するものであることが必要」と整理されております。以上のことから、事後措置に繋がらない項目、事後措置の運用が実務上困難な項目は不適当と考えます。
 5ページをご覧ください。大原則の4つ目は、「費用対効果の観点からも議論すべき」ものです。1972年に労働安全衛生法が施行されて以降、1989年、1998年、2007年と過去3度にわたる省令改正を経て、一般健康診断の健診項目は増加の一途をたどっております。また、一般健康診断の実施に要する費用は、事業者がその全額を負担しております。通常、就業時間中に実施いたしますし、労務の提供が行われていない受診時間中の賃金も労働者にお支払いしております。企業によっては、常時使用する労働者に該当しないパート労働者にも健康診断を実施しております。加えて、一般健康診断の実施にあたっては、健診実施機関との事前調整、社員への案内、受診勧奨、結果の交付、個人票の作成・保存、労働基準監督署への実施報告等、事業者には多くの労力がかかっております。前回1回目の検討会でも御紹介しましたように、大規模の事業場では毎月、労働者の誕生日の月に健康診断を実施しているケースも見られるところです。このような事業者の負担感に見合う効果が得られるのか、現行の健診項目も含めて改めて議論する視点も必要と考えます。
 7ページをご覧ください。続きまして、「女性版骨太の方針2023」で打ち出された「女性の健康関連項目の問診追加」について、申し上げたいと思います。改めて申し上げるまでもないことですが、女性が安心して働き続けられる職場環境の整備は、大変重要な課題だと思っております。経団連といたしましても、「2024年版経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)」におきまして、女性の一層の活躍促進に向けて、「働き続けられる環境の整備」の必要性を強く指摘いたしました。具体的には、女性特有の健康課題を認識しながらの職場づくりや、健康アプリ等、フェムテックの活用や相談体制の整備を通じた疾病予防と健康増進への支援を呼び掛けております。また、「すべての女性が納得して充実したライフスタイルを築ける社会の実現」をコンセプトに、心身的課題と社会的課題の両方の側面から、女性が活躍できる環境をデザインしていく啓発プロジェクト「W Society」の活動を後援しております。さらに、「働く女性のヘルスケア」に関するオンラインセミナーの開催等も行っているところです。
 一方、月経困難症や更年期症状等の女性の健康関連項目を一般健康診断の問診に追加することにつきましては、先ほど申し上げた大原則を踏まえ、医学的なエビデンスの有無、最低基準として受診義務を課すことで、事業者に健康情報を把握されることに対する女性労働者の心情、問診の結果に対する事後措置という概念がほぼ存在しない中で、問診を通じて症状を把握した後の措置のあり方、これらを含めた議論が重要になると考えます。
 女性の健康課題への対応をめぐり、既に企業は様々な取組を行っております。例えば生理休暇の取得にためらいがあるとの女性社員の声を踏まえ、ライフスタイルサポート休暇として刷新・拡充した事例や男性を中心とした管理職に対して女性の健康に関する意識啓発のための研修を実施した事例、産業保健スタッフによる相談支援や専門医への受診勧奨を行う体制を整えた事例など、女性が健康で働き続けるに当たり、実効性ある対応に着手している実態があります。
 女性の活躍促進という目的を達成するための手段として、女性の健康関連項目を一般健康診断の問診に追加することが果たして最適な対応といえるのか、慎重な検討が必要だと考えております。むしろ、女性特有の健康課題に対するその他の有効な取組を普及させていくことが大切ではないでしょうか。
 9ページをご覧ください。最後に、「健康経営やTHPとの役割分担の明確化」について申し上げたいと思います。労働者の健康の保持・増進に関する取組としましては、本検討会の射程である一般健康診断以外にも、経済産業省が主導する「健康経営」や厚生労働省が主導するTHPが存在いたします。とりわけ健康経営につきましては、「健康経営銘柄」の選定や「健康経営優良法人認定制度」といった施策の後押しもあり、各企業が積極的に取り組んでいる状況だと認識しております。お手元のスライドでは、会員企業であります西松建設、日本製鉄、東京海上日動火災保険、トヨタ自動車の事例を掲載しておりますが、各種のがん検診を中心に、社員の健康の保持・増進のために手厚いサポートを実施している様子が見て取れるかと思います。私どもは、ただいま御紹介したような好事例の横展開を行うなど、各企業の取組を後押しすることには賛同しております。
 翻って、本検討会の射程である一般健康診断の議論につきましては、大原則の1つ目で述べました最低基準の仕組みとするという点で、性質が異なると考えております。一般健康診断のように、法令に基づく義務として事業者が責任を持って取り組まなければならない事項と、健康経営のように労働者への配慮として事業者が任意・自主的に取り組むべき事項とを整理して議論することが重要と考えており、この点は切にお願いを申し上げたいと思います。私からは以上でございます。
○髙田座長 鈴木構成員、御発表ありがとうございました。
 続きまして、日本商工会議所・大下構成員より御発表をお願いいたします。
○大下構成員 日本商工会議所の大下でございます。1回目は、別の予定が入っておりまして欠席をさせていただきました。大変失礼をいたしました。今回が最初の参加になります。
 今、鈴木構成員から企業側の話をしていただきました。主張としては、おおむね似通ったところかなと思っております。私ども、日本商工会議所は全国515の商工会議所の連合体であります。515の中には、東京や大阪のような大都市から、今、地震が起こっている地域でいいますと、輪島や珠洲といった比較的小さな都市で活動している商工会議所までありまして、各地の会員企業の大半が、いわゆる中小企業です。中でも、従業員数が100人を切るような企業が大変多くを占めている状況であります。そういうこともありまして、中小企業における従業員の健康増進に関する現状と課題、また、私ども商工会議所がそれをサポートするために取り組んでいる中身なども少し御紹介をさせていただきながら、お話をさせていただければと思っております。
 資料2の1ページ目を御覧ください。この辺りは皆様も十分ご承知の内容かと思いますが、今、中小企業が直面している経営上の一番大きな課題が、人手不足であります。左上に私どもの行った調査、大体3,000社ぐらい御回答いただいておりますけれども、人手不足感を伺ったところを見てみますと、昨年夏に聞いたところでも約7割ぐらいが人手が足りないと回答しております。コロナ禍で一旦緩和はされておりましたが、コロナ前を上回るような状況になっておりまして、人口の減少を考えると、なかなか解決の見通しはありませんよという状況になっていまして、働き手をどう確保するのかは中小企業にとって非常に大きな課題になってきています。
 そう考えますと、限られた人数の中で1人でも2人でも、疾病で仕事を休まなければならないというような状況が起こってしまうと、企業の経営としても非常に厳しい状況があります。いきいきと長く働いていただくということは、企業経営上の非常に重要な課題になってきて、従業員の健康保持ということに対して、否が応にも中小企業は意識をしなければならない状況になってきていると思っております。他方で、今申し上げたとおり、もともと数十人とか10人という規模の中で、小さな所ですと、経理と兼ねているとか、やはりそもそも労務の担当者が専任でいないというケースがあります。
 そういった状況の中から、一般健康診断の実施、あるいは事後措置・保健指導などのフォローアップは、必要なことは理解をしておりますけれども、やはり限られた人員の中で対応していくとなりますと、業務上の負担を感じるというケースもあるのではないかと思っております。
 ちなみに、私は、日本商工会議所の職員の肩書きですけれど、本籍は、東京商工会議所の職員でありまして、事務局員500人ぐらいの組織、4年ほど人事課長をやっておりました。東京商工会議所には、数人の人事のスタッフがいますので、健康診断を健診機関と連携をしながら対応できますが、先ほど鈴木構成員にこの段取りを説明していただきましたとおり、やはり年間の中でも重たい作業の1つであります。きちんと受けてくれない職員がいる中で、フォローアップ等をきちんとやっていかなければいけないとなると、業務上の負担感は小さくないと考えております。
 加えて、スライドの2ページ目です。人手不足が深刻になる中で、いわゆる男性でばりばり働ける年代の方だけでは仕事が回りませんので、シニアの活躍、それから、まだまだ非正規が中心になっている女性に、より活躍をしていただきたいということ、あるいは外国人といった多用な人材の活躍というのが非常に求められております。もともと中小企業はこの辺り、以前から取り組んでいる企業も多く、事実上定年がないような会社もたくさんございます。ただ、その割合が増えてきますと、やはり加齢による体力の衰えや疾病の発症率が高まっていくことに対してどう対応するのか、あるいは女性特有への疾病の配慮をどうしていくのか。これを十分なスタッフがいない中、知識や経験がない中でどのように対応していくのかというのは、非常に重要な課題になってこようかと思っております。
 以上が課題・現状でして、こういったものを少しでも人的リソースの乏しい中小企業の方にしっかり御対応いただくために、商工会議所として様々な健康管理、健康経営に係る中小企業支援の取組をしております。
 東京商工会議所では、経産省さんからの委託を受けてですけれども、「健康経営アドバイザー制度」というものを運営しておりまして、中小企業の社員の方、あるいは中小企業にかかわるお仕事をしていらっしゃる方、例えば普段接点を持っていらっしゃる保険会社など金融機関の方等、こういった方に健康経営に関する知識をしっかり得ていただいて、サポートをしていただこうということで、既に全国で4万人以上の方に研修を受けていただいております。さらに、その上の専門人材を養成する、実践的に支援できる人材を養成する「健康経営エキスパートアドバイザー制度」というものもスタートしております。
 加えて4ページ目です。これは、比較的小さな会議所における取り組みの御紹介です。徳島の商工会議所は、健康事業所認定制度「MS認定制度」という名前で事業を展開しております。会員事業所の従業員の方が、健康で、やる気と笑顔に満ち溢れ、活気ある地域経済創出に寄与するためということで、健康に関する取組をしている会員事業所の認定をしております。現在、80の事業所が認定を受けていて、ロゴマークの使用、あるいは求人の際、求人票に記載することができ、この企業は健康管理に配慮をしていますよということがアピールできるような仕組みです。加えて、健康診断を特別価格で受診できる特典もあり、こうした地方の商工会議所でも会員事業所の従業員の健康管理に対する支援、後押しの仕組みを運営しているところです。
 次のスライドです。そもそもの健診につきましても従前から、先ほど申し上げたような10人、20人という事業所では、自分の事業所だけではなかなか実施が難しい部分もありますので、いわゆる集団健診という形で、各地の商工会議所が健診実施機関・医療機関と提携をしまして、各種の健康診断を割引価格で受診いただけるようなサービスを提供しております。提供するサービス・方式は各種ございますが、事業主、従業員に加えて従業員の家族も受診可能な形になっているものが大半であります。参考までに東京商工会議所が提供した2022年度のサービスですと、5つの会場で800人ほどの方に受診を頂いているという状況であります。それ以外にも、生活習慣病健診や人間ドックのサービス、こういったものを御案内させていただき、中小企業の方に、なかなか自社ではできない部分をカバーする取組として御利用いただいているところです。
 以上のような内容を踏まえまして、健康診断に対する考え、今回課題になっている健診項目の見直しについての考え方ですけれども、言うまでもなく冒頭お話を申し上げましたとおり、人手不足が深刻で、なおかつ働き手、シニアや女性が活躍する、多様化が進む中で、従業員の健康維持・増進というのは極めて重要だと思っております。我々も、この点は中小企業の経営者の方々、十分理解はしていらっしゃると思いますけれども、他方で、人手が足りない状況では、ややもすると過重労働ということになりがちです。
 今年から運輸、建設等に働き方改革が求められる形になりますが、どうやって限られた人数の中で、しっかりと事業を回していくのかというのは、より大事になってきます。なので、どんどん働かせればいいということではないということは、中小企業の方にしっかり理解をしていただかなければならないと思っております。会議所としても、そうした取組をやってまいりますが、いずれにしても従業員の健康維持・増進というのが、ベースになるところと理解をしております。
 そう考えますと、一般健診の重要性は論を待たないと思っておりますが、ここまで御紹介をしてまいりましたとおり、人手が足りないということは、それを対応する人的リソースにも限界があるということですので、その中で診断の実施、事後措置・保健指導、こうしたフォローアップをやっていくというのは、なかなか負担は小さくないと考えております。
 一方で、後半で申し上げました各地の商工会議所も支援をしておりますけれども、健診以外の「健康経営」推進等の取組も様々に行っているところです。
 こうした状況を踏まえ、健康増進の取組を進めていく上で、一般健診に関しては、鈴木構成員もおっしゃっておりましたけれども、制度の本来の主旨にのっとって、業務起因性を前提として、必要最低限の項目にとどめていただき、一般健診とそれ以外の健康経営に関する取組が相まって、従業員の健康維持・管理ができていく仕組みをしっかりくみ上げていくことが、現実であり重要ではないかと思っているところです。私からは以上です。よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
○髙田座長 お二人の構成員の方、御発表いただきましてありがとうございます。まず資料1に基づきまして、鈴木構成員からは、一般健康診断の健診項目に対する考え方として、今後の検討にあたっての4つの大原則、それから女性の健康関連項目の問診追加について、それから健康経営やTHPとの役割分担の明確化ということで、御発表と御要望を頂いたというところです。
 また、大下構成員からは、中小企業における従業員の健康増進に関する現状と課題ということを踏まえまして、実際に商工会議所が行っている会員企業への健康増進支援の取組について御紹介いただきまして、最後に商工会議所としての健康診断に対する考えということをおまとめいただきました。
 ただいまのお二人の構成員の御発表につきまして、御質問や御意見のある構成員の方につきましては、御発言をお願いしたいと思います。オンラインの参加の構成員もいらっしゃいますので、まず会場で御出席の構成員の方から御意見、御質問等ございましたら挙手を願いたいと思いますが、いかがでしょうか。亀澤構成員、お願いします。
○亀澤構成員 お二人の御発表ありがとうございました。大変参考になりました。まず鈴木構成員が御発表になりました件で、これは質問といいますより、コメントさせていただきたいと思います。
 資料1の5ページに、健診実施については、事業者には非常に多くの労力が発生していてということで、具体的な負担感や課題の声が5ページの左下に書かれています。実は私も全衛連に勤務する前は、非常に小さな規模の事業場の総務担当をしていましたので、同感するところもあるわけですが、この中で委託先、契約先となる健診実施機関の水準のチェックに労力がかかるという話の関係ですが、やはり健康診断というのは、事業場といいますか、働く方の健康管理の第一歩だと思っていますので、健診の質の確保は本当に重要だと認識しています。
 全衛連におきましては、各種の検査項目について精度管理事業を行っておりますし、それらも含めまして、労働衛生サービス機能評価という、言わば施設認定というものも行っています。これは全衛連の会員だけではなくて、会員以外の所も広く呼び掛けまして、健康診断に携わる方々の育成、施設の確認、機器の整備等、そういうものについて3年に一回審査を行って、今日は御欠席ですけれども、森構成員が委員長になっている委員会で審査をして、それを公表しているというものです。まだまだそんなに数は多くないところですが、こういう健診の質の担保について結果の評価をしていますので、是非それは私どもは広げていきたいと思っていますし、御活用賜ればと思っています。
 同様の施設認定は、武藤構成員が御所属の日本人間ドック学会でもされておりますので、そういうものが同様に広がっていけばいいかなと思っています。それがまず一点です。
 それから、ここに書いていないのですけれども、監督署への実施報告に関することです。有所見の報告をするのに、私も健診結果報告書を見ながら正の字を書いて人数を確認をしていましたが、この人は一体本当に有所見なのかというところがすごく分かりにくい状況でした。しかもひとつの事業場でも労働者が受ける健診機関は1機関ではなく、様々な健診機関から出てくるフォーマットを見ながら悩んでいました。日本医学健康管理評価協議会におきまして、健診標準フォーマットの利用を進めています。事業者の方、産業医の先生方にも御活用いただいて、同じようなフォーマットで結果が見られるということになれば、そのような労力が大分減ってくるのかなと思っていまして、今私どもが活動していることをコメントさせていただきました。
 それからもう一点、大下構成員からの御発言で、事業場の規模が小さいと健診結果の評価が難しいという話がありました。健診機関はまさに中小企業の方々と手を携えて仕事ができる機関だと思っていますので、是非健診機関を御利用いただきたいと思いますし、連携させていただくように私どもも力をためていきたいと思います。以上です。
○髙田座長 ありがとうございました。今のことに関しまして、もし鈴木構成員、大下構成員から何かありますか。鈴木構成員、お願いします。
○鈴木構成員 貴重なコメントを頂きありがとうございます。1点目の精度管理については、大企業が特に重視している、外部委託先の健診機関のチェック項目の1つだと思っています。それから2点目ですが、実は大企業の中にも業務、業態によっては集団健診の実施がなかなか難しく、個々の労働者が地元の健診機関等で受診する形を取ることもあり、受診勧奨も含めて大変苦労されている企業があります。統一的なフォーマットについては、健康診断の実施に伴う負担感が減り、受診者側も企業側もより実効性のあるものになるような形で検討が進むことを期待しているところです。ありがとうございます。
○髙田座長 ありがとうございます。大下構成員、もしありましたらお願いします。
○大下構成員 貴重なコメントありがとうございます。お話があった標準フォーマットというのを、心より期待しています。
 私ども中小企業の立場で厚労省のいろいろな会議、あるいは経産省等のいろいろな会議に出ているときに常に申し上げますのは、人手が足りないので、何かをやらなければいけないときの手続は、なるべく簡素にしてほしいというお願いをしています。見落としがあっては当然ならないので、一個一個きちんと判断していかなければいけないし、対象になった職員、従業員に対してはきちんとフォローアップをしていかなければならないですが、そこの判断にかかる手間という部分が少しでも簡略化できるのであれば、中小企業にとっては大変有り難いと思っています。
 日商をはじめ各地の商工会議所で引き続き、既にいろいろな健診機関とは地元でやり取りをさせていただいていると思いますけれども、連携を取らせていただいて、従業員の健康管理に一緒に取り組んでいければと思っています。ありがとうございます。
○髙田座長 ありがとうございました。ほかにございますか。それでは増田構成員、お願いします。
○増田構成員 増田です。御説明ありがとうございました。鈴木構成員の御説明の資料の3ページ目に、労働災害との因果関係を示すエビデンスが必須とあります。これにつきまして、既存の健診項目で、所見と疾病との関連についてのエビデンスというのは多々示されていると思うのですが、ここにあります健康診断の所見と労働災害との関連についての検討というのは、これまでなされてきたのかどうかということを事務局にお伺いできればと思います。
 例えば、第一回の検討会の事務局からの説明資料の中に、年々健康診断の有所見率が上がってきているというグラフがあったと思います。一方で、別のグラフでは脳・心臓疾患の労災認定状況が横ばいとなってました。すると、労働災害との関係という点だけで見ますと、健康診断が労働災害の発生の予測能としてはあまり機能していないようにも見えました。もちろん健康診断の意義を、それをもって否定するつもりは毛頭ありませんが、鈴木構成員からの視点に対して、健康診断はあまり応えられていないのではないかという状況があるのではないかと思いましたので、そういった検証がなされているかどうかという点をお伺いできたらと思いました。
 あともう一点、先ほど亀澤構成員からの御発言を聞いていまして、精度管理のお話がありました。健診機関の精度管理というのは、いろいろなされているところなのですが、現在事務代行の業者を経由して委託するというパターンが増えてきていると思います。そのような場合の健康診断の精度管理については、今後課題になってくるのではないかと思いましたので、本検討会で時間があるかどうか分かりませんが、論点として加えていただいてもいいのではないかと感じた次第です。以上です。
○髙田座長 ありがとうございます。今の増田構成員の御質問について、事務局から御回答をお願いできますか。
○松岡労働衛生課長 2つありました。1つは健診の結果と労災との関係。もう1つは、事務代行を通じて契約がなされる場合の精度管理をどうするのかという話だったと思います。
 1つ目に関しては、確かに私の記憶ではあまり見ないと。労災と健診との関係を見ているものというのはあまりないと思います。もう少し私どもも深掘りするというか、調べてみたいとは思いますけれども、現時点では、私はちょっと思い当たるものがなかったと思います。
一方、多分これは、鈴木構成員が念頭に置いているのは、多分、眼底検査等が労災予防効果があるかのような、そういったところを意図しているのかと思いながら聞いていたのですけれども、そこは私にも意図が分からないので、これは私の感想ということでとどめておいてください。
 もう1つの精度管理の話でしたけれども、ここまでのスコープを私ども今回の検討会が広げられるかどうかというのは、あまり自信がありません。というのは、時間がそんなにないので、こういった話もあるということは、私どもテイクノートをさせていただきたいとは思いますけれども、ここで今回話をする内容になるかというのは、ある一定程度この健診項目に関する議論が終わった段階で、また皆さんと御相談させていただきたいと思います。
○髙田座長 増田構成員、よろしいでしょうか。ありがとうございます。神村構成員、お願いします。
○神村構成員 医師会の神村でございます。いろいろ御意見を伺いまして、事業者の方々の御苦労、負担感というものも大きいということは、私も産業医として働いていて実感しているところです。ただ、その中でも様々な工夫、例えば先ほどから話題になりました、健診の標準フォーマット、これはもう今後、絶対必要なものと考えています。
 そういう負担あるいは手間をなるべく減らすような取組についても、ある程度どういうものがなされているかという共通認識は必要だと思いますので、事務局のほうでそういうところも今後の方向性として、ある程度お示しいただければ有り難いと思います。
 ただ、全体的な労働者についての健康診断が何のためにあるかというこの点につきましては、今日御欠席の森構成員も前回きっちり発言をされておられましたが、その大原則というところを外さないようにしなくてはなりません。そのうえで、日本の労働者に対する健康診断というこのシステムが、これまで蓄積してきたそのデータなどが今後ともいかされて、一人一人の個人の労働者の今後の健康、就労中の健康、あるいは大きく言えば、その後のリタイア後の健康にも影響するという大きな点を踏まえた上で考える必要があります。事業者の方々にとっては業務起因性、あるいは労災を防ぐとかそういう観点が大きいものとは了解していますけれども、少し広い、国民の健康に資するものとして、これまでも行われてきているというところを踏まえて、今後とも進めていただければと思っています。
 事業者の方々に健診の費用を担っていただく義務がありますので、その重みを感じた上で健診の標準フォーマットの導入で手間を省くという方向性について、事務局からもお示しいただければ有り難いと思います。以上です。
○髙田座長 ありがとうございます。鈴木構成員、大下構成員、何かコメントはよろしいですか。鈴木構成員、お願いします。
○鈴木構成員 貴重なコメントを頂きありがとうございます。私どもも労働者、国民の健康に資するという部分を大切と感じています。他方、業務起因性という観点も大きいとの御指摘も頂きました。繰り返しになってしまいますが、企業それから医療保険者、地方自治体、労働者本人、日商様も含めた各団体との連携の中で、それぞれの主体が役割をしっかりと担いながら、全体として国民の健康の維持・増進を図っていくことが必要ではないかと改めて思った次第です。ありがとうございました。
○髙田座長 ありがとうございます。そうしましたら、お待たせいたしました。武藤構成員、お願いいたします。
○武藤構成員 人間ドック学会の武藤でございます。お二人の構成員の御指摘はごもっともかなと伺っておりました。鈴木構成員の5ページ目の費用対効果のお話の中で、効果を感じにくい点としましては、受診勧奨のところがあると思うのですけれども、例えば我々も主に中小企業の受診率を調べてみますと、例えば3度高血圧と言うと、即医療機関への受診が必要な血圧であったとしても、50%も行かないぐらいになってしまいます。それぐらい、健診を受けたとしても放置をされている方が結構、特に中小企業で多くいると私たちは認識しています。
 我々が、かなりその辺は問題ということで、もちろん我々のドック学会や全衛連さん等、事後措置に力を入れているところは、そういった非常にデータの悪い方々に対して強く受診勧奨をしておりまして、そういったものを上げるように努力はしておりますけれども、効果を感じるためにはしっかり健診を受けて、放置するのではなくてその事後措置を適切に行うことが大事だと思っています。これは法律に盛り込むというのは、なかなかどこまで盛り込むのかというのは大変になるかもしれませんが、とにかく事後措置が大事ではないかと考えています。
 それから、大下構成員からお話のありました、高齢者の増加がこれから進んでいくと思いますので、高齢者の健康管理も大事になってくると思います。それからまた、大下構成員から徳島商工会議所の事例がありましたけれども、厚労省のほうから団体経由産業保健活動推進助成金が出されていまして、我々も近隣の商工会議所と何とかこれを使って産業保健活動を推進できないかどうか、いろいろ検討してみたのですけれども、とにかく使いにくいというか手続が大変ということで、せっかくある助成金を使って推進活動をしたかったのですけれども、なかなかそこが難しいということで、そこはせっかくある、主に中小企業向けの助成金なども活用できるように、もう少し使いやすいようにしていただけるといいかなと思っています。以上です。
○髙田座長 ありがとうございました。武藤構成員の御発言について、鈴木構成員、大下構成員、追加で何かございますか。大下構成員、お願いいたします。
○大下構成員 コメントありがとうございます。最後におっしゃっていただいた助成金の件は、我々も同感でして、今回の検討会のスコープではないと思いますけれども、厚労省におかれましては、各種の中小企業の健康維持に関する取組を後押しする制度について、引き続き充実をお願いしたいと思っております。加えて、現在はどうしても人手不足で、物価高の状況です。中小企業の経営者さんは、何とかきちんと収益を上げるのに頭がいっぱいの状況の中で、それを担っている従業員が病気になったら困るというのは分かってはいても、一般の我々もついつい忙しいと健康管理がおろそかになるのと一緒で、どうしても大事だと分かっていてもついつい優先順位が劣後してしまうところがありますので、健康管理の重要性をしっかり伝えていただくとともに、健診をしっかり受診をしてもらうい、それ以外の取組をサポートする仕組みに関しては、引き続き充実をお願いしたいのと、できるだけ簡便に使える仕組みにしていただければ少しでも利用が進むのかなと思っているところであります。
 我々もその事後措置も含めて、中小企業がそれぞれ、先ほど申し上げたようなことは、「社長さん、大変なのは分かるのですが、健康管理の取り組みもきちんとやらなければいけないですよ」という呼びかけから、きちんと利用が進む、受診が進むような取組をしていきたいと思っております。ありがとうございます。
○髙田座長 ありがとうございます。鈴木構成員、お願いいたします。
○鈴木構成員 貴重なコメントを頂きありがとうございます。1点目について一言、情報提供を申し上げたいと思います。先ほど武藤構成員が事後措置ということでおっしゃいましたが、要精密検査等の結果が出た方々に、受診勧奨するというようなことだと思います。労働者が適切に検査を受診しているのか。特に人数の多い事業場では、産業保健スタッフによる受診勧奨のフォローは結構大変だというお声をよく聞くところでございます。本検討会の対象外だと思いますが、受診勧奨のフォローアップをどのように広げていくかについても、今後の課題として考えていく必要があるのではないかと思った次第でございます。
○髙田座長 ありがとうございます。事務局は何かございますか、よろしいですか。お願いします。
○大村産業保健支援室長 貴重な御指摘ありがとうございます。まず、1つ目、団体経由産業保健活動推進助成金について御指摘がございました。これにつきましては、御指摘の点も含めまして、より使いやすい助成金の制度とすべく必要な見直し等を図りまして、また改めて周知のほうを徹底していきたいと考えております。
 それから、受診勧奨の部分について御指摘がございました。これも検討会の、主たる検討課題とはまた別の論点として重要な部分かと思いますので、必要な周知等を進めてまいりたいと思います。
○髙田座長 ありがとうございます。武藤構成員、よろしいでしょうか。
オンライン参加の委員が大分お待ちなので、すみません。まず、荒井構成員と岡村構成員が先に手が挙がっておられましたが、五十音順に、荒井構成員からお願いできますでしょうか。
○荒井構成員 長寿研の荒井です。鈴木構成員、大下構成員、非常にすばらしい御発表をありがとうございました。全て納得できる内容でありますけれども、鈴木構成員の3ページ目の資料は、やはりこれは従来どおりの疾病中心の考え方でありまして、人生100年時代であるとか、あるいは高齢者の労働者が増えていくということを考えますと、例えばロコモのような、そういう身体機能に関する評価といったものの視点が抜けているのではないかと思っております。ここで議論すべき項目、観点かどうか分かりませんけれども、人生を長く労働者が働いていただくというときに、疾病だけではなくて、その後の要介護状態をいかに予防するかという視点でこの健診項目をお考えいただくことも重要ではないかと考えております。
○髙田座長 ありがとうございました。具体的に今後の検討すべき健診項目について御発言いただきましたけれども、このことについて何かございますか、よろしいですか。鈴木構成員お願いいたします。
○鈴木構成員 貴重な御指摘を頂きありがとうございます。恐らく、業務上で転んでしまうことの予防に関する重要な御指摘ではないかと思います。そのような取組をされている企業もあろうかと存じますが、くどいようで恐縮ですが、業務起因性についての医学的なエビデンスがあるかというところと、業務をすることで転びやすくなるのかというところ、荒井先生が言われた従来どおりの考え方ではないかとも思うのですが、例えば転んでしまってとか、あるいは少し話が違うかもしれませんが、ある疾病によって業務遂行能力が低下するようなところにまで範囲を広げてしまいますと、一般健康診断の本来の目的から外れてしまい、無限定に健診項目・問診項目が広がっていくような事態になりはしないかと危惧しており、そのような視点も含めてご検討をお願いできればと思っている次第でございます。
○髙田座長 ありがとうございます。大下構成員も御発言がございますので、よろしくお願いいたします。
○大下構成員 御指摘ありがとうございます。先ほど高齢者の活用が必要、あるいは働いている人が増えているというお話を申し上げました。確か労災のデータの中で、サービス業で転倒が増えているみたいな話が直近であったかと思います。とりわけサービス業、あるいは小売業等で比較的高齢の方が、例えばある会社を勤め上げた後、お仕事されていらっしゃるケースが大分増えてきていまして、そこで業務中に転倒する事ももちろんあるのだろうと。ちょっとした段差でつまずかれるといった、いわゆる従来想定していた建設とか重い物を運ぶような製造のような現場ではなくて、起こることはあるのだろうなと思うのです。
 鈴木構成員の意見でも、基本的に、それは各事業所において、そうした状況があるということを踏まえて、労災の防止のためのいろいろな、段差をなくすとか、あるいは高齢の従業員に関しては、まさにロコモのようなところが、足腰の機能に問題がないのかというところを別の方法で確認をしていただいたり、先ほどの徳島のような形で、そうならないように取り組みましょうというようなところを、それぞれの事業所の業態や高齢者の活用状況、その方にやっていただいているお仕事の内容を踏まえて取組を進めていくのが望ましいのかなと思っておりまして、そこまで一般健診でカバーするという議論になってしまうと、鈴木構成員がおっしゃいましたけれども、無限定にあれも見るかこれも見るかということに、どうしてもなっていってしまわないかという懸念がございます。
 冒頭に申し上げましたけれども、一般健診とそれ以外の様々な健康管理、健康増進のための仕組みをどこまで一般健診でカバーするのかというところは、しっかり押さえておく必要があるのかと思っております。
○髙田座長 ありがとうございます。続きまして、岡村構成員、御発言をお願いします。その後、宮本構成員にお願いしますのでお待ちください。
○岡村構成員 今まで委員の皆様が言われてきたのと同じところがあるのですが、健診はある程度スクリーニングとしての意味を持つもの、例えば何かを見つけるというがん検診などはその構成になります。それから見つけた結果に対して事後、これは例えば保健指導でも受診勧奨でもいいのですけれども、それをやって疾患の発症を抑えるというものに分かれてくるかと思うのですが。例えば、先ほどの有所見率と、心血管アウトカムの関連で言いますと、きちんと有所見者を見つけて早期治療等をしていれば当然アウトカムは増えないというのが当たり前ですから、両者が比例して動くということは、事後は何もしていないことを逆に表していることになってしまうので、実際に年齢調整死亡率、循環器系についてはずっと下がっているのが健康増進計画、健康日本21で見てもはっきりしています。検査から疾患までタイムラグがあるうえに、見つけたものにどういう対処法があるかをきちんと見ていく必要があるということになるかと思います。
 それから業務の遂行能力のところでいきますと、逆に、例えば運転中に心筋梗塞や脳卒中が起こったら困るわけですから、そういう急なリスクが発生するという意味での遂行能力ということも考えなければいけないので、どこで線引きするかがなかなか難しいところがあるかと思います。
 それから最後に、標準化の話になるのですが、特定健診は全国民に義務付けられていて、これはもうフォーマットがほぼ決まっておりまして、労安法でやったものも結局、特定健診部分については健保のほうに送ることになりますので、そちらのほうとある程度合わせていかないと二度手間になるかなと思っているところです。これ、本当は制度が一本だったほうがいいのかもしれないですけれども、現行はそこでバチッと分かれているところがございますので、そこを考えて議論していく必要があるかと思いました。
○髙田座長 御発言ありがとうございました。ただいまのことに関しまして、鈴木構成員、お願いいたします。
○鈴木構成員 貴重な御指摘を頂きありがとうございます。2点目の、業務遂行能力の関係で、運転中の心筋梗塞や脳卒中という御指摘があったかと思います。それらにつきまして、厚生労働省において、自動車運転手の方が日常生活中で意識を失ったとか、身体の一部・全部が一時的に思いどおりに動かせなくなった、活動中に眠り込んだといった症状の有無を、問診で確認することが望ましいという通知を出されているかと思います。業務適性を判断するという明確な目的がありますので、このようなものには特出しで手当てをすることは当然考えられると思いますが、一般的な業務遂行能力というものについては、かなり厳格に見ていかないといけないと思っております。
○髙田座長 ありがとうございます。岡村構成員のほうはよろしいでしょうか。何か追加はございますか。
○岡村構成員 大丈夫です。そこも重々承知しております。ただ、既往歴だけだとファーストオンセットのところは防げないので、やはり10年以内の発症確率みたいなものを予測できたりするツールなどもあったりします。初めて起こった場合は、そのときがいきなり事故ということになってしまうので、そこも含めて考えていくというので、ここで議論していけたらいいと思います。言われていることは十分理解しております。
○髙田座長 ありがとうございました。お待たせしました。宮本構成員、お願いいたします。
○宮本構成員 宮本でございます。議論が戻る感じになって申し訳ないですけれども、健康診断の、中小企業の方での負荷がというときに、結果を受けて、その後の措置というところも負荷だとおっしゃっていましたが、確かに私も某地方で200人未満、あるいは100人未満の所も幾つか見ているのですが、健診機関から返ってきた結果を見ると、要精密検査が毎年同じ方にずーっと出ているということも結構あります。健診機関を変えてしまったのだったら過去の健診結果がないからそういうこともあるかもしれないのですが、過去からの経過で判断する、あるいは前年の要精密検査の指示に対して検査結果はどうだったかと問診に入れるという工夫も健診機関側に必要ではないかと思います。
 これは健診機関の判定基準にとらわれ過ぎているのも一因だと思います。判定は経過や仕事内容などそれぞれの状況によって変わってくると思いますので、一律でなくて構わないと思うのですが、健診機関側の判定の出し方にも一考あるべきだろうと思っております。それがは事業場とのキャッチボールになるのだったら、またちょっと負担の話が出てくるかと思うのですが、実際に過去3年分くらいの経過を見ていると、要精査と出たうちの、本当に病院に行かせなければいけないのは3分の1以下ぐらいしかないので、かなり要精査の判定を削除しないといけないというのがあります。実際には、そこに無駄があるのではないかとも思っておりまして、この辺をどうやったらできるか、本題とずれるかもしれないのですけれども、こういうことも検討していく課題かなと思っております。
○髙田座長 ありがとうございます。今の件に関しまして、ほかの構成員からはよろしいですか。貴重な御指摘、ありがとうございます。
 そうしましたら戻りまして、オンラインの御参加の構成員で、立道構成員、御発言をお願いできますでしょうか。
○立道構成員 ありがとうございます。東海大の立道です。経団連様のおっしゃる一般健康診断の役割、つまり業務起因性、業務関連性であるということと、そして成人保健全体としての産業保健、保険者の特定健診、特定保健師、データヘルス計画に基づく保健事業、そして自治体が行っているがん検診等々、これらの役割分担を明確にすべきであるということは非常に納得のいくところでございます。
 一方で、法令に基づく事業者が責任を持って取り組まなければならない事項としては、このように非常に議論がされて、エビデンス等々で裏打ちされるのですけれども、事業者が任意で自主的に取り組むべき事項になってきますと、ここにはかなり医学的に、あるいは公衆衛生学的に疑問なものが含まれてきます。例えば、がん検診1つを取ってみましても、国の指針に基づかない又、医学的にも課題のあるがん検診が職域ではかなり実施されている実態は、社員に対して不利益も生じているということがございます。
 そういうことで、法令に基づくべきものと事業者が任意でやっていくものとに分けることは非常に賛成ですけれども、任意のものにも、やはり医学的なエビデンスを盛り込んで、遂行していくというような立て付けにしないと、労働者の健康維持が将来的に守られていかないのではないかと思っております。
 以上のことから、健康経営やTHPの部分にも医学的エビデンスに基づく、議論をする必要もあるのではないかということを発言させていただきました。以上でございます。
○髙田座長 ありがとうございました。続きまして中野構成員、御発言をお願いいたします。
○中野構成員 中野です、よろしくお願いします。鈴木構成員、大下構成員のお話されていることは十分理解でき、納得するところでございます。私としましては、今、化学物質管理で、法令遵守から自律管理型に変わって、企業の皆様には本当に御対応準備いただいているところと理解しております。特別規則での特定健康診断以外のリスクアセスメント対象物のリスクが許容範囲を超えたときに、推奨される健診として、今後恐らく、一般健康診断が利用されて、代用されていくことがあるのではないかと思っております。
 そういったことで、定期健康診断の際に化学物質に関わる関連症状の訴えであったり、その症状の訴えや、所見が集積している場合には、作業との関連を判断することができる可能性があるのではないかと思っております。そうしたことで、現在も業務歴の調査は健診項目に入っていますが、なかなか記載されていないことも多いように思いますので、この業務歴の記載を必ずする、また化学物質の記載も追加する必要があるのではないかと思っております。できましたら、この点も論点に入れていただけたらと思っております。
○髙田座長 ありがとうございます。化学物質の自律的管理に関連しての御発言がございました。この点は、事務局からお願いいたします。
○大村産業保健支援室長 厚生労働省でございます。貴重な御指摘、ありがとうございます。リスクアセスメント対象物健康診断につきましては、来る4月1日から制度が施行されることになっています。また、一般健康診断との関連性につきましては、新しい制度であり、運用上の取扱いについて、まだまだ詰め切れていないところもあるところでございます。今回の検討会で、どこまで御検討いただくかというのはありますが、様々な御指摘を踏まえまして、より的確なリスクアセスメント対象物健康診断制度を運用できますように、引き続き対応を進めてまいりたいと思います。
○髙田座長 ありがとうございました。オンラインで、吉村構成員が挙手をされていたように思います。御発言、お願いしてよろしいでしょうか。
○吉村構成員 ありがとうございます。吉村でございます。ほとんど岡村構成員と同じ質問になったので手を下げたのですが、特に鈴木構成員から御発表いただきました、エビデンスに基づき議論すべき、あるいは費用対効果の観点からも議論すべきと、まさにそのとおりだと思っております。非常に納得できる意見が多かったと考えますが、ただ、例えば費用対効果の場合、何を効果とするかという点が非常に難しい点でございまして、労働の現場だから、労働ができるかできないかというところが一番大事だとは思うのですけれども、この従業員の方が健やかに過ごせるという観点が重要ではないかと存じます。それは長い目で見ると、それが一番安くつくという考え方もございます。それから、例えばエビデンスという言葉でくくってしまいがちなのですが、労働災害に対するエビデンスではなく、岡村構成員がおっしゃったように、健やかに過ごして、いずれ、もし起こったら大きな労働災害に結び付くようなものを事前に予防するエビデンスを明らかにすることが必要だと存じます。心筋梗塞、脳卒中等がそれに相当するかもしれませんが、そのような観点で少し議論が進めばいいなと考えました。以上です。
○髙田座長 御発言ありがとうございました。今の点に関しましては、鈴木構成員、お願いいたします。
○鈴木構成員 貴重なコメントを頂きありがとうございます。高齢化に伴い、骨折等の事故をいかに防ぐかという視点は持っているところでして、大下構成員からも先ほど御指摘があったところかと思います。ただし、この問題は難しい部分があると思っております。「産業保健のあり方に関する検討会」でも議論がございまして、1つには、例えば骨密度やロコモ度等を測った後に、リスクのある方々をどのように配置替えするのかというような、事後措置のことまで考えると、雇用機会とまでは言いませんが、労働者本人が希望する職種への配置がかなわなくなってしまう恐れもあるという論点がありました。したがいまして、慎重な議論が必要だと思っているところでございます。以上でございます。
○髙田座長 ありがとうございました。大下構成員はよろしいでしょうか。
 そうしましたら、一通り挙手された構成員から御発言を頂きましたので、ちょっと時間が押しておりますので、続きまして、今度は星野構成員からの御発表をお願いしたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
○星野構成員 それでは、私のほうから発表をさせていただきます。
 皆様のお手元には、資料3としてお配りいただいているかと思います。御覧いただきながら聞いていただければと思います。私自身、前回も申し上げたように、関東労災病院という所で、働く女性専門外来を担当しておりまして、そこでの現場の話をお伝えしたいと思います。
 うちの病院でやっている外来なのですが、女性の医者が診察をして、十分に時間を掛けて科を限定しないで、お悩みを聞くというようなことをやっております。ここでは働いていない方も受診していらっしゃいます。
 2001年10月に開設をいたしまして、これまでの新患の総数として2,600人ぐらいの方が御利用くださっています。
 2015年~2019年の間に、初診でおいでになった189名の方の分析結果がありますので、ちょっとお示しします。
 年齢としては、10代~80代までということで広範囲なのですが、80代の方は働いていらっしゃったかどうか、私もちょっと記憶がなくて申し訳ないですが、やはり、働く労働年齢の方が圧倒的に多い状況です。
 受診理由として、科を限定しませんとしていますが、お悩みのことは婦人科が多く、次いで精神科、メンタル関係といった方もとても多いような状態です。
 お仕事との関連ですが、あくまでも御本人の判断なのですが、仕事上のストレスが原因となって体調不良になりましたというようにおっしゃっている方が1割、体調不良のために仕事に影響が出ているという方が3割弱、あとは、仕事上のストレスによって体調不良になって、そのために更に仕事に影響が出てしまうというような方が3割弱ということで、かなり仕事への影響が出ているのだなということを確認したような状態です。
 では、どんなストレスで体調不良になったのでしょうかということを聞きますと、人間関係や仕事の内容であったり、上司や仕事の量などといったことが挙がっております。
 ストレスが原因で発症した、あるいは悪くなったというような症状、疾患というのがこのようなことで、どうしてもメンタルなものも多いのですが、いわゆる女性特有の健康課題となる更年期の問題、あるいは月経前症候群といったものも入っています。
 あとは、症状のために仕事に影響が出てしまったということについて。こちらも大体同じようなものなのですけれども、メンタルの関係、更年期、月経前のトラブルというようなことも出てきています。あと、最悪の、仕事上のストレスのためにいろいろな症状が出てきて、そのために、また仕事に影響が出ているというような方、やはりメンタルが多いのですが、そのほかに更年期や月経前症候群というものが挙がっていました。
 そのようなことで、女性ホルモンが関連する主な疾病として、今の所には出ていませんでしたが、月経困難症、月経前症候群、更年期のトラブル、この辺りを簡単に御説明させていただきます。
 月経困難症ですが、月経期間中に、月経に随伴して起こる病的な症状で、いろいろな痛み、あとは消化器症状など、他に倦怠感といった症状が出ます。仕事に対しては、皆様の現場でも経験があるかもしれませんが、月経初日に激しい痛みに襲われて、起床後に急遽出勤困難ということで、「ごめんなさい、今日は休みます」などというメールや電話を入れるということになります。あとは、いざ出勤しようと思って、痛み止めを飲み損ねたままで出勤してしまったら、出勤途上で駅から病院に搬送されてしまったというような方もかなりおられます。あと、痛み止めが効かなくて、痛みに耐えながら就労している。これが労働上のいろいろな損失につながる、ということが報告されているところではないかと思います。
 月経困難症の頻度は、ちょっと見づらい、古いデータで大変失礼なのですが、やはり半数以上の方、特に若い方がかなりひどい症状で来られるということがあります。つい最近、内閣府のほうでもいろいろな調査を始めていますが、そこの中でも、やはり8割以上でしょうか、月経痛を経験しているという報告があります。
 では、どうやって対応するのか。医者の立場からですが、診断としては、手術が必要な病気がないかどうかの確認をする。もし、手術が必要なものが見付かれば手術を検討しなければなりませんけれども、ほかに、お薬での治療というのがかなり簡便に行われるようになってきていて、ピルでは月経時期の調整もできるし、長期無月経の状態にすることもできるということがあります。あとは黄体ホルモンや漢方薬。痛み止めは「早めに飲みましょうね」という御案内をしています。職場に関しては、生理休暇を活用するといいでしょうということを言っていますが、先ほど申し上げた内閣府の調査でも、生理休暇ではなくて、有給休暇を利用するという方がかなり多くて、実態としては、なかなか利用が難しい休暇なのだなということを感じているような次第です。
 こんな図ですね、皆様御覧になったことがあるかと思いますが、女性の月経のある年代の方、月経の時期から始まって、28日ぐらいたつと、また次の月経がくるのですが、この月経の時期、あと排卵の時期があり、その後、月経前のホルモンの変化があり、次の月経が始まる。ひどい人になると、月経困難症で、月経時期はつらいし、排卵の時期は排卵の時期で痛みがつらいというようなことをおっしゃる。後ほど説明しますが、PMSで、月経前の時期に体調が悪いということで、「1か月のうち体調がいいのはほんの数日です」という方もいます。
 女性ホルモンとはということで簡単にまとめておきましたので、後ほど目を通していただければと思います。
月経前症候群ですが、月経前3~10日前の時期に現れて、月経が始まると弱まる、あるいはなくなる様々な症状です。症状としては身体的な症状、お腹が張る、痛い、疲れる、いろいろな痛み、あとは、むくんでしまって体重が2、3kg増える、胸が張るなどという症状があります。あとはメンタルで、気分が非常に変動する、怒りやすくなる、気分が落ちるというようなこともあります。仕事に対しての影響ですが、落ち込みがひどく、このPMSが始まった時期に出社できなくなってしまいますという方もおられます。女性の構成員の方も御経験があるかもしれないのですけれども、集中力がなくなってミスを多発してしまう、怒りやすくなってしまって職場で暴言を吐いて、ハラスメントをする側になってしまうなど、あとは眠くなってしまうので、居眠りによってミスが多発するなどといったことも現れることがあります。
 医者のほうでどう診断するかですが、過去3回以上、連続した月経周期で症状が現れるということで判断しています。治療としては、比較的軽い方ですと、カウンセリングや生活指導、運動療法といったことで回復しますし、生活を見直していただいて、御自分でPMSだとわかると、いろいろと工夫をしてうまく乗り越えられるというような方もおられます。ただ、必要な場合にはピルを使う、ホルモン変動を薬で調整する、漢方薬で調整するということもあります。あとは、むくみがひどいという方は利尿剤を使ったり、落ち込みがひどい方は抗うつ剤を使ったりします。
 こんなケースがありましたということで、ちょっと御提示させていただきます。20代半ばで都内に在住の会社員、システムエンジニアで就職して3年目。はじめのうち、研修している間はほかの女性もいてよかったのだけれども、配属されてみたら、自分の課は20人中、女性は自分1人だったという状況で、半年前からパワハラを受けて、PMSがひどくなってしまいましたとおいでになりました。PMSはどんな状態ですかと聞いたら、「気分の落ち込み」が主な症状ということでした。パワハラはどんな状態ですかとお聞きしたところ、具体的には「仕事を与えてもらえない」、「ミーティングの時間を教えてもらえない」といったことがありました。上司に相談しても改善されなくて、とにかく耐えてきたのだけれども、このPMSの症状が、生理前の時期以外にも続き、不安感が強くなって、仕事が手に付かない。先月は3日連続して休んでしまい、仕事のことが頭から離れず眠れないという状態になってしまったということだったので、私のほうでは、精神科できちんと治療を受けるといいですよねということ、あとは、労働相談もできたらいいですねということで、相談事業の情報提供をしたということがありました。できれば職域の中で、こういうケースが出ないようにうまく対応していただけるといいなというように考えている次第です。
 そんな意味もあり、今回、健診の中の問診項目に何らかを含めていただいて、早い時期に対応し、欠員として休業を取らないといけないなどということが起きないで済むようにしていただきたいなと思っている次第です。
 先ほどの繰り返しになりますが、月経の時期のトラブル、排卵の時期のトラブル、月経前のトラブルというようなことが、大体10代半ば~50代前半ぐらいの女性は、そんなことで毎月過ごしているんだということを、男性の方には周知していただくということは必要ですねということがあります。
 女性ホルモンですが、皆さんもよく御存じのとおり、思春期の時期にスーと増えてきて、その後はある程度一定ですが、更年期の時期に減っていく。この更年期の時期にバッと減っていくということで、いろいろな症状が出てきます。では、男性はどうなのかということをよく言われますが、男性の方はホルモンが減っていくのがなだらかなので、そんなに強い更年期の症状は現れにくいということは言われております。
 女性ホルモンの変化に伴っての5つのステージということで、思春期、成熟期、更年期と呼んでいますが、55歳以降も、人生100年時代、生涯現役ということになってきているので、呼称は空欄にさせてもらいました。
 更年期にいろいろな症状が出てきます。いろいろな症状が出てくる原因としては、卵巣機能の低下によって女性ホルモンが減るということもあるのですが、そのほかに、本人の性格や体質、環境的な要因も大きいですよということが考えられています。この環境的な要因として職場ということがあるかと思いますので、御検討いただきたいというところです。
 更年期の症状をチェック表でお示ししますが、1番~21番まで、もろもろ、いろいろな症状があります。
 症状で多いものはどんなものかですが、疲れやすい、痛み、汗、イライラする、眠りが浅いということがあります。
 職場ではどんな症状があるかというと、営業先で、暑いシーズンでもないのに汗が出て気まずくなる。周りが汗臭いと思っていないか。あと、突然、動悸が起こってしまって、どこかにつかまらないといられないという症状があるとおっしゃる方もいます。あとは寝付きが悪い、眠りが浅くて、その分、日中眠くなってしまって仕事に支障が出る、イライラしてしまうといったことがあります。
 診断ですが、月経状態の確認をして、月経周期はどうなのか、月経量は減っているか、あとは、検査項目で調べられるのではないか、と考える方は多いのですが、この更年期に関しては変動が激しくて判断が難しいのです。だから、うちの病院でも、「あっちの病院では更年期と言われたけれど、こっちの病院ではまだ若いと言われた。どうなのですか」と聞かれることがあるのですが、それは御本人の状態が大分変わるからということで、別に誤診をしたわけでもありません。更年期障害の診断として、ほかの病気がないことを確認するということがあります。貧血や甲状腺の病気、膠原病、うつ病といったものがないかどうかの確認をして、それらがなければ、月経の状態からすると更年期障害ですねというような判断をしています。
 治療はどうするかですが、お薬、カウンセリングや運動療法、動物療法、音楽療法といったことがあります。変な話ですが、元気に動けるような状態で職場に行かれていると、カウンセリングの代わりにもなりますし、運動の代わりにもなりますということではあります。以上が更年期障害についての概要です。
 次に、女性の健康課題に対する事業所での取組を、私自身が、この働く女性専門外来をやっている中で、いろいろと経験していることをお伝えしておきたいと思います。先ほどの鈴木構成員、大下構成員のほうからも、いろいろな健康経営の話も出てきていましたが、そのような取組が大分進んでいるなということは感じています。あと、女性が少ない職域では、幾つかの事業所をまとめて女性同士の意見交換の機会を定期的に開催している所もあるようですね。あと、コロナの影響で大分働き方が変わり、在宅勤務になったお陰で月経困難症のコントロールが良くなったというような意見もありますので、働き方が変わるということで女性の健康課題というのも、大分、対処が可能になることもあるなという印象があります。先ほども、月経困難症で「通勤途上で救急車に乗せられてしまう」ということを申し上げましたが、通勤の負担として、女性の健康課題というのが大きいということがあります。
 職域での相談体制がなかなか進んでいなくて、男性の上司に相談しにくい、上司が女性の場合にも、女性特有の健康課題を経験したことがない女性が上司にいて、なかなか相談しにくいというようなこともあります。先ほど、大下構成員のほうからもありましたけれども、産業医/産業保健師が不在の中小の職域というのも大分多いということがあります。女性の健康課題に関しては、症状を報告しにくくて、痛みが主観的なものであるので、「痛みに弱いだけではないか」、あるいは、「さぼりたいだけなのではないか」と、病気かどうかの見極めが付きにくいということで、御本人も大分まいっているということがあるかもしれません。更年期障害は、「治療をしなくても時期がくれば治るのに」というような認識がある方が周りにいたりすると、やはり言いづらいと。月経のトラブルも、「月経は、病気ではないでしょう」というような扱いになってしまうと、ますますつらいということがあるかと思います。
 あと女性特有の症状に悩む職員に対して、周囲からどう声を掛けたらいいのかという質問を受けることが多いのですけれども、男性からは声を掛けにくいということはあるかと思います。産業医/産業保健師をうまく活用できるような体制が取れるといいなと。あとは、女性特有の健康課題に対する窓口を設けるということができるといいかなということがあります。ただ、男性から声を掛けることが大丈夫な場合もあって、それは日頃のコミュニケーション次第ですねということが言われています。月経も閉経も、女性のプライバシーです。「治療すればいい」ではなく、治療をするかどうか悩んでいる女性が多くて、職場で悩んでいる方がいるということについて、更に理解を進めていただけるといいかなということがあります。
 一方的にお話をさせていただきました。以上です。
○髙田座長 星野構成員、ありがとうございました。「働く女性専門外来の臨床現場より」ということで、実際の現状と月経困難症、PMS、更年期障害の仕事への影響を含めた疾患の特性についての御説明、女性の健康課題に対する事業所での取組、それから働く女性支援に関する課題についておまとめいただきました。ただいまの御発表に関連して、ほかの構成員から御発言がありましたらお願いいたします。増田構成員、お願いいたします。
○増田構成員 産業医科大学の増田です。貴重な御発表をありがとうございました。一点、お伺いしたいのですが、先生の外来の患者の皆様に、母性健康管理指導事項連絡カードを使って、事業場に就業上の配慮を促すなどの取組はなされていますでしょうか。この点をお伺いできればと思います。
○星野構成員 ちょっと、聞き取りにくかったような気がするのですが、母性の健康管理カードですか。
○増田構成員 母健カードと言われているものです。
○星野構成員 はい。それは妊娠に関連して使っておりますので、妊婦健診等で必要な場合に利用しています。
○増田構成員 ありがとうございます。その辺の悩みとかがでてくるとかはないのでしょうか。今回、婦人科の疾患ということでお話しされていたと思うのですが、妊娠に関するところはいかがでしょうか。
○星野構成員 そうですね。妊娠に関しましても、いろいろなお悩みを私も耳にしたことはございます。妊娠して、つわりがあまりにもつらくて、突然休まなければならないというのがなかなか職場に言えないとか、あとは、ちょっと軽いつわりなんだけれども、まだ流産するかどうか分からないような時期なので、職場に言いにくいとか、そのような話はよく聞きます。あと、もう既に御出産を終わった方でも、突然、流産・早産をしそうになって、職場から病院に健診で行って、そのまま入院になってしまって、「あのとき、君は急に休んだよね」というような追及をされて、とてもつらかったという話を聞くことはあります。
○増田構成員 ありがとうございます。もう一点だけ。資料の最後のほうに、「月経も閉経も、女性のプライバシー」という言葉が載っているのですが、それ以外の疾病も含めまして、プライバシーと感じる女性がいるというところで、先ほどまでの議論で、健康診断の項目として位置付けることは事業者に知られるというお話が出ていると思うのですが、先生の外来に通われる悩みをお持ちの女性の皆様は、会社に多少知られてでも配慮を受けたいと思っていらっしゃる御様子でしょうか。直接お尋ねになったことはないと思いますので、確かなことは分からないかと思いますが、先生の外来の御経験を通じて、感じ取っておられることがございましたら教えていただければと思います。
○星野構成員 ありがとうございます。実際のところ、月経困難で生理痛がひどくて休みがちで困ったねということで、産業医から紹介されておいでになる方もいます。職域でやはり配慮してもらいたい、生理休暇を取りやすいような体制があるとうれしいという声を聞くことはあります。だから、先ほど鈴木構成員から、「L休」という制度を作られたということで、そのような制度があると生理休暇も取りやすくなるということはあるのだろうと思います。
○増田構成員 ありがとうございました。
○髙田座長 よろしいでしょうか。冨髙構成員、御発言をお願いいたします。
○冨髙構成員 御説明ありがとうございました。様々な取組に敬意を表します。御報告いただきました女性特有の健康課題について、問診等に入れていくのがよいのではないかという声がございました。例えば月経困難症などは、子宮筋腫などのほかの病気につながるものもあるということですので、先ほどの報告にも通じるところだと思いますが、やはり、疾患の早期発見をすることで重症化の防止などにもつながりますし、労働者の健康の保持・増進という点からも健康診断は重要な役割を果たしていると思いますので、問診等も含めてしっかり検討もしていくべきだと思いました。
 一点、質問ですが、先ほど少し男性の更年期の話にも触れられていました。私どもも更年期障害に関する調査なども行っているのですが、連合内では男性の更年期障害についても、課題として取組をしていくことが重要ではないかという意見もございます。ホルモンバランスには性差があるなか、男性更年期についても検討をしていく必要があると思うのですが、先生の御見解についてお伺いしたいと思います。
○星野構成員 御質問、ありがとうございます。あいにく私自身は産婦人科なので、男性の更年期がよく分かっておりませんで、申し訳ありません。ただ、いろいろ調べてみると、確かに男性の更年期というのも実際あるようで、それに対しての対応は職域でも必要になってくるのかなと思っている次第ではあります。全く御要望に沿った回答にならず、申し訳ありません。以上です。
○髙田座長 ありがとうございます。冨髙構成員、よろしいですか。ほかはございますでしょうか。神村構成員、お願いいたします。
○神村構成員 今の男性更年期のお話を少し掘り下げてしまうのも何なのですが、一言、私見を述べさせていただきます。かなり個人差があり、悩まれる方もいます。様々な自覚症状、体調の不良とか、そういうことが女性特有ということに限らず、健診の問診の段階で、いろいろな体調不良についてよく語られて、そのプライバシーもある程度保護されることが担保された上で聞き取る必要があり、問診に当たる方の資質が大変重要になります。そういう意味では、健診センターでは、多くは保健師さん、看護師さんが問診に当たられるのですが、そういう方々の資質向上に取り組んでおられる所も多いと聞いています。まずは、問診と問診に当たる方の資質向上で対応するのが本筋ではないのかと思います。。泌尿器科的な男性更年期の診断には、やはり血液検査やホルモン検査を必要として診断をする。そうでない場合に、メンタルの問題と診断されることが多いものですから、ちょっと意見を述べさせていただきました。
○髙田座長 ありがとうございます。武藤構成員、お願いいたします。その後、オンラインの先生方に渡しますので、お待ちください。
○武藤構成員 先ほどの話を聞いて思ったのですが、もし問診等を加えるとして、その後の事後措置をどうするかということが問題になると思います。星野先生のような専門外来がどこにでもあるわけではないですし、症状は軽いけれども産業医に意見を聞きたいという場合に、具体的な就業上の措置をどうしたらいいかというので、誰でも産業医であればできるものなのか、あるいはそういう専門の所にかからなければいけないのか。星野構成員に伺いたいのは、具体的な就業上の措置はどのようなことをされているのか。例えば、立ち作業はよくないとか、逆に座り作業がよくないとか、重たいものを持つのを避けるようにとか、交代勤務を避けるようにとか、何か具体的な就業上の措置の事例とかがあれば教えていただきたいと思います。
○星野構成員 ご質問、ありがとうございます。就業上の措置としては、別に重たいものを持ってはならないとか、立ち仕事がよくないとかということは、女性の健康課題に関連してはないのですが、更年期に関しては、突然、夜勤を命じられるような配置転換になってしまって不眠がひどくなったというケースがあったので、そういう夜勤の回数をどれぐらいまで制限するとか、この方の場合は夜勤が入ると難しいので、その辺は配置を配慮していただきたいということを出したことはございます。それぐらいです。
 あとは、先ほどコロナの影響でなどと出してしまいましたが、月経困難症の方で、出勤でかなり苦労するという方に関しては、在宅勤務を増やしていただくと楽になるということがあるので、その辺りを配慮していただくということが提案としてはあるかなと思います。以上です。
○髙田座長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。そうしましたら、オンラインで御参加の大須賀構成員、手を挙げていらっしゃいますので、御発言をお願いいたします。
○大須賀構成員 よろしいでしょうか。星野構成員の御発表に関連してなのですが、1つ重要な視点としまして、不妊症という観点が非常に重要かと思います。例えば、ストレスがありますと、ストレスで月経不順が起き、それが不妊症につながる。また、月経痛がある方は子宮内膜症が隠れていることが多く、そういう場合も不妊症につながる。不妊症が仕事上の職場環境によって引き起こされることもありますし、職場環境の改善によって不妊症が軽減する可能性もあります。
 この不妊症をどう考えるかということなのですが、御本人自体の健康に関わるかというと、これは関わるということになります。挙児ができないということは非常な精神的ストレスになります。ということで、そういった不妊症が、今は保険で認められている通常の疾病ですので、そういった観点からも健康診断に女性特有の観点を持ち込むことが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○髙田座長 御発言、ありがとうございます。星野構成員から、何かコメントはございますでしょうか。
○星野構成員 ありがとうございます。確かに今回の資料の中には、不妊関係は全然入れなかったのですが、企業の方にとっては不妊症というのは大きな問題であり、不妊の治療を受けようとしたときに、就労状態との兼ね合いでなかなか治療に通うことが難しいという訴えがあるということは、私自身も理解はしていたのですが、今日の資料には何も入れずに大変失礼いたしました。また、御検討いただく素材にしていただければと思います。以上です。
○髙田座長 ありがとうございます。大須賀構成員、何かございますでしょうか。
○大須賀構成員 不妊症というのも、もう今や女性の健康における非常に重要な疾患と位置付けられておりますので、そういった観点が必要ですし、特に不妊症は、年齢層から言いますと就労女性に当然深く関わっておりますので、非常に重要な視点として入れていただければと思います。以上です。
○髙田座長 ありがとうございます。吉村構成員、御発言がありましたらお願いいたします。
○吉村構成員 吉村です。よろしくお願いします。女性特有の疾患については大変よく分かりました。私どもの分野でも、女性しかならない病気ではないのですが、女性に非常に多い病気というのがありまして、例えば、骨粗しょう症は女性のみ検診を実施している状況です。今後、女性の高齢者が就労されることも増えてくるかと思いますので、可能であれば、女性に非常に多い運動器疾患なども、少しお考えいただけたらいいなと思いました。コメントです。ありがとうございました。
○髙田座長 御発言、ありがとうございました。星野構成員、御発言をお願いいたします。
○星野構成員 すみません。私が資料に入れ損ねたと反省している課題として、どうしても女性の労働者の中で考えなければいけないのは乳がんです。働き盛りの年齢の、がん罹患率は、男性よりも女性のほうが多いという実態がありますし、その中で断トツに多いのが乳がんです。乳がんは、早めに見つければ十分治りますし、あとは乳がんだからといって仕事を辞める必要がないので、治療と就労と両立させるということで、この点もやはり取組が必要な内容ではあります。少し補足で、大変失礼いたしました。
 ただ、今回、一般健康診断の中にどこまで組み込むかという議論が出てきていますので、その辺りを考えると、どこまで必要なのだろうかと思います。あとは労災との関連性ということについては、先ほど大須賀構成員も言ってくださったとおり、ストレスに起因する月経不順とか、月経痛もストレスに絡んでくるのではないかという印象があるので、その辺りになるでしょうか。補足でした。
○髙田座長 星野構成員、ありがとうございました。宮本構成員、お願いいたします。
○宮本構成員 宮本です。今、星野構成員からお話がありましたように、入れるとしたら問診だと思います。今までの一般的健康診断の問診項目は、既往歴ですとか、業務による何らかの自他覚症状があるかどうかとか、細かく内容を指定していなくて、ざっくりとしたものになっているというのがあります。
 例えば今後、特定健診に関連する標準的問診パッケージと、化学物質を使っていたら化学物質の一般論的な問診パッケージの2つは要るだろうと思います。そこに、女性特有の月経困難症や月経不順や出血量の減少が見られるかどうかを聞いて、そういう方には、疲れやすい、痛み、火照る、いらいらなどがあれば、婦人科を受診してくださいというコメントを入れてもらうことを健診機関にお願いする等は考えられます。そういう問診のところに少し踏み込んで個人ごとに判定コメントを返すよう設定していくことを勧奨するかどうか。これを健診項目と考えるのだったらこの検討会での話題でしょう。今までの話を聞くと、問診でかなり分かるところがあるので、問診をうまくすれば受診者に対して何らかの判断を返すことはできそうです。
 あと、事後措置についてどうするかという点が出てきます。健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針、いわゆる事後措置指針では、「通常勤務」と「就業制限」と「要休業」の3つしかないのです。就業制限なんてせいぜい5%ぐらいで、残り95%は通常勤務可なのだけれど、本当に何もせず今のままでいいよというのは若い人ぐらいで、あとは一病か二病をお持ちで「適切に治療していれば通常勤務可」というのがあるのです。実際の文言はともかくとして、治療していれば通常勤務可というのを入れていただくだけで随分と話が変わってくると思っております。事後措置指針の話になってしまうかもしれませんが、そこら辺も含めて、少し考えないといけないと思った次第でございます。以上です。
○髙田座長 ありがとうございます。亀澤構成員、お願いします。
○亀澤構成員 今、宮本構成員がおっしゃった問診の件です。問診については、私どもに対して会員機関からいろいろと問合せがあります。宮本構成員がおっしゃった女性の問題ではないのですが、業務歴の調査というのがございます。今、厚生労働省から示されています通知に、標準的な問診票が示されておりまして、そこには業務歴の確認項目として、重量物の取扱い、粉塵の取扱い、激しい振動を伴う業務経験をたずねる質問項目が記載されております。一般的な事業場ですと、そういう業務がない所が結構ありますので、健診機関としては、問診票にそのような項目を入れるべきなのか問合せがあります。もう少し、この業務歴の調査についても併せて何かお示しいただけたら有り難いと思います。関連で発言させていただきました。
○髙田座長 ありがとうございます。事務局からお願いいたします。
○松岡労働衛生課長 いろいろと御意見を頂いてありがとうございます。吉村構成員の次に乳がんの話をされた件があったと思いますが、がん検診に関しては地域でやることになっておりまして、そちらで、今後、職場との関係をどうしていくかを整理するような話になっているやに私は聞いております。今回の一般健診の項目に関して検討する、この検討会においては、がん関係の検診についてスコープとすることは今考えていないというお話をしておかないと、これからがんの話がどんどん出てきたら困ると思ったので、この場で私からそういう方向性であるということをお伝えしておきたいと思います。以上です。
○髙田座長 ありがとうございます。フリーディスカッションの時間がなくなってきていますので、全体に関してでも構いませんので、もし発言が足りなかったらお願いしたいと思います。星野構成員、お願いいたします。
○星野構成員 すみません、乳がんの話を先ほどしてしまいまして。一番気になったのは、大下構成員の御発表の中で、中小企業で、経営状態から、全て健診費用を賄わないといけない状況が厳しいという話があったのですが、住民健診を受ける率が非常に低いという状況を考えると、住民健診をこの職域の健診とうまくタイアップさせて、事業主の負担する金額を減らせないだろうかと思ったのですが、その辺りの御検討はされているのでしょうか。
○大村産業保健支援室長 非常に重要な御指摘をありがとうございます。なかなか大きなテーマでして、個々の細かな項目を見るといろいろあるところですし、また制度全体としても、そもそも法令体系が異なっているところもありまして、なかなか一概に申し上げることは難しいところです。ただ一方で、御指摘のとおり、中小企業の皆さんの御負担というのも重要な部分ですので、この検討会でどこまで検討させていただけるのかもありますが、そういう観点も含めて、今後、引き続き必要な対応を進めてまいりたいと思います。
○松岡労働衛生課長 分かりやすく言うと、安衛法に基づく健診というのは事業者にやっていただくということになっているので、これはもう外せません。ただ、それ以外の、例えば健康経営とかの文脈でやられる健診というのを、ではどうやっていくのかというので、例えば、大企業の皆さんで、社内でやっていただいている所もあれば、その地域とどうやって連携するかを模索することも、多分、手だと思われます。そういった意味では、安衛法に基づくものと、それ以外のものをきちんと整理しながら議論をしていかないといけないと思いましたので、お話させていただきました。
○髙田座長 ありがとうございます。鈴木構成員、大下構成員から何かありますか。厚生労働省事務局からの御説明のとおりでよろしいですか。はい、ありがとうございます。そのほか。立道構成員、お願いいたします。
○立道構成員 一点だけ発言させてください。業務関連性ということでこの健診の検討会があるということは十分承知しております。業務関連性というところで、がん検診はスコープ外だという御発言なのですが、例えば、乳がんなどは交代制勤務においては、WHOのIARCでグループ2Aに分類されている状況でもあるので、化学物質などの有害業務以外で、業務に関連するがんについては、今後の研究次第では分からないということを、一言、付け加えさせてください。
○髙田座長 貴重な御発言、ありがとうございます。そのほかはございますか。増田構成員、お願いいたします。
○増田構成員 増田です。度々失礼します。先ほど問診項目を標準化するというお話があったと思います。実際、標準的な問診票というものが出てきています。先ほどの宮本構成員からの化学物質に関する項目、そしてメインテーマである女性の健康に関する項目と。個別列挙式でいくのは、それはそれで1つの方向性としてあると思うのですが、そのことによって、そのほかの項目に関心が払われることがなくなるという観点も必要かと思います。前回も申し上げたと思うのですが、昭和47年9月18日基発601号の1に示されている内容はかなり網羅的で、医師の判断で必要と思える項目を加えることができると、私はかなりいい条文だと思っています。個別列挙型にすることによって、問診票を配って、ただ単に書かれた項目だけチェックして終わりではなくて、やはり、せっかく医師が労働者一人一人を確認するわけですので、そこの趣旨は崩さないようにしていくべきではないかと個人的には思っています。以上です。
○髙田座長 ありがとうございました。検討会の終了時間が来ておりますが、どうしても御発言が必要という構成員の方がおられましたらお願いします。よろしいでしょうか。不手際で時間を超過してしまいまして申し訳ございません。一旦、事務局にお返しいたします。
○夏井産業保健支援室長補佐 事務局です。構成員の皆様方、真摯な御議論を誠にありがとうございました。事務局からは特に連絡事項はありません。次回の検討会の日程については、また改めて皆様方に御案内を申し上げたいと思っております。以上です。
○髙田座長 本日はこれにて閉会といたします。お忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございました。