令和5年度 第7回化学物質管理に係る専門家検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

日時

令和6年1月15日(月) 14:00~17:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンター カンファレンスルーム16A
(東京都千代田区内幸町1-3-1 幸ビルディング16階)

議事次第

  1. (1)濃度基準値の検討
  2. (2)濃度基準値設定対象物質ごとの測定方法について
  3. (3)令和5年度報告書案について
  4. (4)その他

議事内容

○環境改善・ばく露対策室長  本日は、大変お忙しい中、ご参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、令和5年度第7回化学物質管理に係る専門家検討会を開催いたします。
 私は、本日、座長に進行をお渡しするまで司会を務めさせていただきます化学物質対策課環境改善・ばく露対策室長の平川です。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日ですが、前半に濃度基準値に関する事項について、後半に濃度基準値設定対象物質ごとの測定方法および令和5年度報告書案について検討することとしております。そのため、前半には開催要項別紙の構成委員名簿のうち、全般に関する事項、毒性に関する事項の欄に掲載の先生方に参集をお願いしております。
 出席者は13名で、武林委員が欠席、髙田委員、上野委員がオンライン参加となっております。
 また、後半ですが、構成員名簿の全ての先生方に参集をお願いしております。出席者は16名で、武林委員が欠席、髙田委員、上野委員がオンライン参加となっております。
 本日は会場とオンラインの併用での開催ですので、会場参加の皆様はご発言の際に必ずマイクを使用していただきますようお願いいたします。オンライン参加の先生におかれましては、周囲の音を拾ってしまうことがありますので、ご発言される場合を除きましてマイクをミュート、オフに設定していただきますようよろしくお願いいたします。また、ご発言の際にはあらかじめチャットでご発言の旨を入れていただくか、またはお名前を名乗っていただき、座長の指名を受けてからご発言いただきますようお願いいたします。
 なお、本日、議事録を作成し、後日公表いたしますので、ご承知おきください。
 本日の会議は公開としており、一般傍聴者につきましてはウェブでの音声配信のみとさせていただいております。
 それでは、城内座長に以降の議事進行をお願いいたします。
○城内座長  ありがとうございます。皆さん、こんにちは。お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。本日も議題がたくさんございますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 では、まず事務局から資料の確認をお願いいたします。
○環境改善・ばく露対策室長  かしこまりました。それでは、資料番号等の確認をさせていただきます。
 本日の資料ですが、お手元のタブレットに格納させていただいており、さらに紙で配付しております資料は資料1、資料3、資料4-2、資料4-3です。
 資料ですが、まず議事次第と配付資料一覧、資料は資料1から資料5まで、参考資料は参考1から参考5までを用意いたしております。会場にお越しの皆様方におかれましては、資料に抜けなどはありませんでしょうか。
 オンラインで参加していただいている先生方にも資料を事前にメールで送付させていただいておりますが、何かありましたら事務局までお知らせください。
 なお、濃度基準値の検討に使用する一次文献は、著作権の関係があるため委員限りの資料としています。
 本日の資料は、厚生労働省のホームページにあらかじめ掲載しております。傍聴の方はそちらをご覧ください。
 資料の確認は以上です。
○城内座長  ありがとうございました。それでは、本日の議事に入ります。
 議事1、濃度基準値の検討について、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○有害性調査機関査察官  それでは、説明させていただきます。
 本日、濃度基準値の検討を予定しております物質数は、資料1-1、1-2の濃度基準値の列に丸がついております合計25物質になります。全て新規の検討対象物質になります。数が多いですので、前半13物質、後半12物質に分けてご検討をお願いいたします。濃度基準値の提案について説明の後、構成員の先生方から事前に頂きましたご質問、ご意見などを事務局から説明いたしますので、それらを踏まえていただいた上で、個別物質ごとにご議論いただきたいと思います。
 検討に必要な一次文献の印刷したものが必要な場合には、事務局にお知らせいただければ、席までお持ちいたします。
 それでは、資料2をご覧ください。
 表紙1枚めくっていただきまして、リンデンになります。
 8時間濃度基準値0.2mg/㎥を提案しております。
 提案理由はコメント欄記載のとおりですが、結論として動物試験の結果から、ラットにおける肝毒性(肝細胞の肥大)、血液毒性(貧血)、神経毒性(痙攣)を臨界影響とした10ppm(雄;0.47mg/kg bw/d)をNOAELとして、不確実係数等を考慮した0.2mg/㎥を8時間濃度基準値として提案するとなっております。
 その他のコメントもご確認ください。
 続きまして、ニトロメタンになります。
 8時間濃度基準値として10ppmを提案しております。
 提案理由は記載のとおりですけれども、結論としまして動物(ラット)試験の結果から、乳腺線維腺腫、線維腺腫、腺腫またはがんを臨界影響としたNOAEL94ppmと判断し、不確実係数等を考慮した10ppmを8時間濃度基準として提案する。この値であれば、動物試験で見られた甲状腺障害の予防も可能と考えられるとなっております。
 その他コメントについてはありません。
 続きまして、ニトロエタンになります。
 8時間濃度基準値10ppmを提案しております。
 提案理由はコメント欄記載のとおりですが、結論として動物試験の結果から、体重増加抑制、メトヘモグロビン生成、髄外造血を有害影響としたLOAECを100ppmと判断し、不確実係数等を考慮した10ppmを8時間濃度基準値として提案するとなっております。
 その他のコメントはありません。
 続きましてフタル酸ジエチルになります。
 8時間濃度基準値30mg/㎥を提案しております。
 提案理由はコメント欄記載のとおりですが、結論として動物試験の結果から、体重増加抑制を臨界影響としてNOAELを150mg/kg/日と判断し、不確実係数等を考慮した8時間濃度基準値30mg/㎥を提案する。なお、短時間濃度基準値については、文献が不十分であることから設定しないことを提案するとなっております。
 その他のコメント欄も併せてご確認ください。
 続きまして、無水フタル酸になります。
 8時間濃度基準値として0.002mg/㎥を提案しております。
 提案理由は理由の欄記載のとおりですが、結論としまして動物実験の知見から感作による呼吸器への影響についてLOELを0.5mg/㎥と判断し、不確実係数等を考慮した0.002mg/㎥を8時間濃度基準値として提案するとなっております。
 その他のコメント欄も併せてご確認ください。
 続きまして、N-ビニル-2-ピロリドンになります。
 8時間濃度基準値0.01ppmを提案しております。
 提案理由は理由欄記載のとおりですが、まとめとしまして動物試験から肝細胞がんおよび鼻腔の腫瘍の有意な増加を臨界影響とした5ppmをLOAELと判断し、不確実係数等を考慮した0.01ppmを8時間濃度基準値として提案するとなっております。
 その他のコメントはありません。
 続きまして、p-ニトロアニリンになります。
 8時間濃度基準値3mg/㎥を提案しております。
 提案理由はコメント欄記載のとおりですが、まとめとして動物試験の結果から血中メトヘモグロビン濃度の増加を臨界影響としたNOAELを3mg/kg bw/dと判断し、不確実係数等を考慮した3mg/㎥を8時間濃度基準値として提案するとなっております。
 その他のコメントはありません。
 続きまして、塩化ベンジルになります。
 塩化ベンジルにつきましては、濃度基準値は設定できないという提案になります。
 提案理由につきましては理由欄記載のとおりですが、まとめとしまして動物実験の結果より最小投与量でがんを含む腫瘍性病変が認められており、また遺伝毒性についてその可能性が疑われることから、8時間濃度基準値は「設定できない」を提案するとなっております。
 その他のコメントはありません。
 続きまして、N-メチルアニリンになります。
 8時間濃度基準値2mg/㎥を提案しております。
 提案理由はコメント欄記載のとおりですが、まとめとしまして動物実験の知見から、髄外造血を臨界影響として、NOAELを5mg/kg bw/dと判断し、不確実係数等を考慮した2mg/㎥(0.5ppm)を8時間濃度基準値として提案するとなっております。
 その他のコメントはありません。
 続きまして、N-イソプロピル-N'-フェニル-p-フェニレンジアミンになります。
 8時間濃度基準値10mg/㎥を提案しております。
 提案理由は理由欄記載のとおりですが、まとめとしまして動物試験の結果から、肝臓の相対重量増加を臨界影響としたNOAELを360ppm(29mg/kg/d)と判断し、不確実係数等を考慮した8時間濃度基準値10mg/㎥を提案するとなっております。
 その他のコメントはありません。
 続きまして、p-フェニレンジアミンになります。
 8時間濃度基準値0.1mg/㎥を提案しております。
 提案理由は理由欄記載のとおりですが、まとめとして動物試験の結果から肝臓・腎臓の相対重量増加を臨界影響とした4mg/kg bw/dをNOAELと判断し、また、ヒトの疫学に基づく感作性や白内障の知見が見られていることも含め、不確実係数を考慮した、0.1mg/㎥を8時間濃度基準値として提案するとなっております。
 その他のコメント欄も併せてご確認ください。
 続きまして、2-メチル-2,4-ペンタンジオールになります。
 8時間濃度基準値120mg/㎥を提案しております。
 提案理由はコメント欄記載のとおりですが、まとめとして動物試験の結果から、肝肥大を伴う肝臓重量の増加を臨界影響としたNOAELを50mg/kg/日と判断し、不確実係数等を考慮した120mg/㎥を8時間濃度基準値として提案するとなっております。
 その他のコメントも併せてご確認ください。
 前半最後になりますが、2,4,6-トリニトロトルエンになります。
 8時間濃度基準値0.05mg/㎥を提案しております。
 提案理由はコメント欄記載のとおりですが、まとめとしてばく露労働者の検査結果から、視力や視野を妨げない軽度の白内障を臨界影響としてLOAELを0.1mg/㎥と判断し、8時間濃度基準値0.05mg/㎥を提案するとなっております。
 その他のコメント欄も併せてご確認ください。
 ○化学物質評価室長  続きまして、委員限り資料としてお手元にお配りしておりますが、あらかじめご質問やご意見を頂いております。まずは、事務局からそれらご意見等に対する回答をいたしますので、ご意見、ご質問の紙を見ていただけますでしょうか。
 最初に、全体意見として2つ頂いております。
 1つ目ですが、種差10分の1、個体差10分の1と考えると、基準値と整合性が取れないのではないか。算出に際して適用した不確実係数の種類と値を示していただかないと、算出し提案された濃度限界値の妥当性の是非を判断することが難しいので、やはりきちんと情報開示していただけるようお願いできませんでしょうか。特段それにより不利益を被る方がいないのであれば、カードを伏せてという時代ではないと思いますのでということで頂いております。
 これに対する回答ですが、労働安全の分野では、対象者の大部分が働くことが可能な体力のある成人であることから、個体差を取らないことが慣例となっております。また、種差のほか、経口から吸入への変換などばく露時間、投与時間など確実係数はある程度基本となる数字もありますが、これをベースに試験内容、臨界影響の重大性、試験結果の解釈等、様々な要素を加味して検討され、専門家による総合的な判断により決定されます。このため、不確実係数の考え方を評価書に簡潔に示すということは困難であり、本検討会では統一的に不確実係数やその考え方は記載しない方針としております。
 続きまして、2つ目のご意見です。強制経口投与のデータから、吸入ばく露の濃度限界値を求められるのでしょうか。ばく露経路が異なるので、そもそもばく露する期間も異なるので、当該データは、ばく露限界値は求められないのではということで頂いております。
 リスク評価の場面では、吸入ばく露のデータがないから基準値を設定しないということではなく、限られたデータでも存在する科学的根拠から基準値を設定して、安全確保を図るということが大切となっております。通常は吸入ばく露の試験成績がない場合でも、経口ばく露の成績があればこれを吸入によるばく露となるように、毒性動態のモデルに外挿いたしまして、肺の中の濃度に換算し、基準値を設定します。なお、基準値設定後に新たなデータが得られた場合は、基準値を見直すこともありますということでご回答させていただければと思います。
 続きまして、個別の物質へのご質問、ご意見に参りたいと思います。
 最初に、ニトロメタンです。お配りしております資料2の3ページをご覧ください。初期調査のページを見ていただきますと、各機関の濃度限界値に2~10倍のばらつきが見られます。第4回化学物質管理に係る専門家検討会では、諸機関のOELに大きなばらつきがあり、根拠論文の信頼性の比較等の評価が必要な場合には、詳細調査に移行するとされていました。詳細調査は要に当たると考えますというご意見を頂いております。
 ニトロメタンにつきましては、令和4年度の検討対象物質でしたが、安衛研における専門家会議でさらなる文献収集が必要とされ、令和5年度に持ち越しとなっていた物質です。本年度追加の文献が収集され、文献1から3に記載されているものについて、信頼に足る文献であると判断されまして、当該文献に基づいて基準値が提案されております。
 続きまして、ニトロエタンに参りたいと思います。これは資料2の5ページをご覧ください。
 こちらも先ほどと同様に、各機関の濃度基準と比べると最大10倍のばらつきが見られます。先ほどと同様に詳細調査をしてはいかがでしょうかといったご意見です。
 こちらもご指摘のとおり、ニトロエタンにつきましては、ACGIHが100ppm、DGFが10ppmと基準値に10倍の差があります。本件について、安衛研における専門家会議で検討いたしましたところ、ACGIHは1940年と1970年の古い文献を基に検討されたということが分かっております。
 一方、DFGは今回根拠論文とした2文献を基に検討されています。これを踏まえて、今回は根拠論文の欄にありますDFGが用いた2つの文献を基に検討した濃度基準が提案されているということです。
 続きまして、無水フタル酸に参りたいと思います。資料2の9ページから10ページをご覧ください。
 無水フタル酸については、3つのご意見、ご質問を頂いておりますが、まとめてご紹介させていただきます。
 最初のご意見、ご質問ですけれども、これも先ほどと同じように各機関の濃度基準値にばらつきが見られるので、詳細調査が必要ではないでしょうかというご意見です。
 2つ目のご意見ですけれども、無水フタル酸がヒトにおいて呼吸器感作を示すことは既に広く知られているところですが、作業者のリスク評価においては、ヒトの作業ばく露状況と臨床所見を基に濃度基準を設定していくべきであるとご意見を頂いております。
 動物実験を用いた呼吸器感作性にかかる作業法は、いまだにバリデートされた方法が開発されていないということです。少し進みまして、モルモットにばく露しているのですが、モルモットに無水フタル酸を吸入ばく露経路により感作し、無水フタル酸あるいは無水フタル酸モルモット血清アルブミン結合体粉じんにより誘発を行った試験から得られたものであって、少し飛びまして、このような試験系で得られたLOELをヒトに外挿可能かどうかは、呼吸器感作性の専門家に見解を求めるのが適当と思われる。毒性学の分野で一般的に知られている外挿方法ではないということでご意見を頂いていて、また最後の段落に飛びますが、一般的にモルモットはヒトと類似した気道反応を示す一方で、近交系が確立されていないため、免疫学的研究が困難な動物種として知られているといったご意見を頂いております。
 それから3つ目のご意見ですけれども、無水フタル酸の濃度基準値は、値が相当に低く、産業界への影響が大きいと予想されるということが書かれております。この値が妥当な数値なのであれば対策を取ることは当然と考えますが、屋内作業においてkg単位以上の使用を想定した場合、電動ファンつき呼吸器具を装着していても、囲い込み式局所排気装置、あるいは密閉容器内での取扱いを行わないと、ばく露基準値を超過するおそれがあります。中小企業では守れないのではないかといったご意見を頂いております。
 これに対する回答ですけれども、最初の各基準のばらつきがあるのではないかというご意見ですが、ご指摘のとおり、無水フタル酸についてACGIHは0.002mg/㎥、産衛学会は最大許容値で2.0mg/㎥、このほかUKが4、NIOSHが6、OSHAが12と各機関の濃度基準が大きくばらついています。そこで、本物質は安衛研における専門家会議で検討し、詳細調査が必要とされ、本年度中に追加の文献収集を行いました。今回お示ししたのは詳細調査の結果であり、根拠論文の欄にある3つの文献について信頼性に足る文献であると判断され、当該文献に基づいて基準値が提案されているものとなっております。
 2つ目のご意見に対する回答ですが、試験方法がバリデートされていないのではないかといったご意見でした。最初にあった無水フタル酸が呼吸器感作性を示すのはよく知られているというご意見ですけれども、ご指摘のとおり無水フタル酸を含む酸無水物が強力な呼吸器感作性物質であるということは広く知られております。動物を用いた感作性試験では、被験動物を酸無水物に感作させて、その後血清アルブミンと当該無水物の複合体を用いてチャレンジテストを行うといったことが一般的で、今回用いられた論文はその手法に則って行われております。その結果、安衛研の専門家会議では最低容量の0.5mg/㎥で感作による呼吸器への軽度の影響が見られたということから、これをLOELとして投与期間が5日と短いこと、それから種差などを考慮して濃度基準値を提案しております。
 なお、ACGIHや産衛学会が根拠としているヒトの文献2および3は、ばく露レベルの把握に疑念があったことから、詳細調査を行って、追加の論文を収集して、文献1を得たということです。こちらの文献1ですけれども、GHSで危険有害性の分類を決めるときでも、同じ知見を採用して特製区分を設定しております。
 最後の3番目のご意見、ご質問ですが、基準を引き継いで現場で守ることが難しいのではないかといったご意見でしたが、科学的根拠に基づいた労働者の健康保護が最優先ですから、入手可能な範囲の文献に基づいて濃度基準を設定することがまずもって必要です。本件につきましては、既に詳細調査済みなので、またこれを詳細調査するということではありませんが、測定方法の確立のために来年度も検討する予定となっています。ですので、さらなる文献をもしご提供いただけるのであれば、それを基に再度安衛研の専門家会議で検討することは可能となっております。以上が無水フタル酸についてのご意見、ご質問への回答です。
 続きまして、塩化ベンジルに参ります。資料2の16ページをご覧ください。
 そもそも皮膚腐食性、刺激性区分1の物質を強制経口投与した発がん性試験が試験として成立しているとは考えがたいというご意見です。
 塩化ベンジルは、動物性試験において遺伝毒性が強く疑われております。皮膚腐食性、刺激性の区分がいくつであっても、どのような試験方法であっても、発がん性区分1Bの物質で遺伝毒性が疑われる場合は、本検討会の発がん性物質への濃度基準の設定の考え方に従いまして、濃度基準を設定しないということにさせていただいております。
 続きまして、前半最後のご意見、ご質問です。2,4,6-トリニトロトルエン、27ページをご覧ください。
 こちらも何回か出てきたのと同じご意見で、各機関の濃度基準にばらつきが見られるので、詳細調査をしてはいかがでしょうかといったご意見です。
 これに関しましての回答ですが、ご指摘のとおり本物質については、ACGIHが0.1、NIOSHが0.5、OSHAが1.5mg/㎥と各機関で基準値に差があります。しかしながら、安衛研の専門家会議で原著論文を確認したところ、根拠論文の欄にある論文で検討可能と判断して、基準値を提案されているといったことで回答させていただければと思います。
 以上、事務局からのご説明でした。
○城内座長  ありがとうございました。それでは、ただいまの説明を踏まえて、1物質ごとに議論していきたいと思います。
 最初のリンデンですが、これに関しましてご意見、コメント等ございましたらお願いいたします。事務局、お願いします。
○化学物質対策課長  ありがとうございます。リンデンですが、資料を見ていただくと分かるのですが、発がん性区分が1Aということになっております。こちらにつきましては、本日の検討会報告書、資料5の9ページにもありますけれども、昨年度、発がん性物質について基準値をどう定めるかということについては議論させていただきまして、一定のとりまとめを行っているわけですが、その中に主としてヒトにおける証拠により、ヒトに対する発がん性が知られている物質、国が行うGHS分類で発がん性区分1Aに分類される物質については、発がん性が確率的影響であることから、長期的な健康障害が発生しない安全な閾値である濃度基準値を設定することは困難であるという趣旨で、濃度基準値については設定しないという整理になっております。
 リンデンにつきましても、国際的な機関でありますIARCでグループ1となっておりまして、その中に多数のヒトに対する発がん性の調査結果、疫学調査結果が出ているということですので、こちらにつきましてはご提案いただいているところですが、発がん性が1Aということですので、濃度基準値を設定しないということで整理させていただければと考えております。
○城内座長  そのほかご意見、コメント等ございますでしょうか。宮本委員、お願いします。
○宮本委員  今の説明で趣旨は分かるのです。実際には安全基準を設定できないというのは良く分かるのですけれども、例えばこのぐらいは下げてくれという目標値のような何かがないと、一番危ない発がん物質がそれぞれの事業者に任されるというのはかなり危なく感じるので、これ以上下げれば安全ですよと国が示せないにしても、何か別の要素としてこのぐらいは頑張ってねというものが示せるといいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。一番危ない物質を野放しにするのはどうかなと思うのです。
○城内座長  事務局、お願いします。
○化学物質対策課長  ご指摘ありがとうございます。こちらにつきましてご指摘の懸念があるということから、まず技術上の指針の中の濃度基準値のリストにこの物質を載せた上で、発がん性物質であるので濃度基準値は設定しないことを明記し、測定の方法も載せるということにしております。
 基準値については、先ほど申し上げましたとおり安全な閾値がないので、国として一定の基準値を定めるのは難しいということですが、例えばクリエイトシンプルの中には発がん性区分1Aのものについてはこれぐらいの値とかなり機械的に定めている管理目標値がありますので、そういったものを参考にしていただくことはできるかと思います。
○宮本委員  ありがとうございます。その上で、安全基準で示せないのは分かるのですけれども、クリエイトシンプルで機械的に行うのではない、例えば動物実験でLOAELはこのぐらいだから種差や個体差などを考えて、目標値を自分で自主的に設定してくださいという考え方を示すなど、何かがないと野放しになる気がするので、お考えいただけるとありがたいと思うところです。
○城内座長  宮川委員、お願いします。
○宮川委員  今の点なのですけれども、資料の次のページにほかのACGIHやDFGの基準値が載っていますよね。常識的に考えれば、そういうところを参考にして管理をすべきものであって、国としてはここまでなら大丈夫という濃度基準値は示されなくても、それなりに権威のある機関から数値が出ている場合は、業者としては当然その辺りを意識して管理すべきだと思いますし、またクリエイトシンプルのときも大ざっぱな管理目標値を使うのではなくて、ここに示されたような値があるのであればそれを入れる。
 そうすると、例えば0.1を選べば、今回使わないことにすると事務局から提案がありましたけれども安衛研の会議で出てきた0.2よりも低い値がありますので、そういうところを使っていただくということで、そういうことをするのだよということが分かるように、技術指針なり国から出す書類なりでもって分かるような説明をしていただくのがよろしいかなという気がいたします。
○城内座長  そのほかいかがでしょうか。最川委員、お願いします。
○最川委員  後で言おうと思ったのですけれども、宮本委員からも同じような意見が出たので。今の発がん性の話、私は一番危ない物質と認識していて、それを定められないから定めない。私も宮本委員と同じようにある程度の値は定めて、発がん性に関してはこの数値ではいけないと。何も定めないと、事業者の場合ACGIHの値を見れば分かるのではないかと言いますけれども、私たちは全然分からないです。参加している私でも何が危ないかという判断ができないので、発がん性があって危ないよというのを本当は一番に言うべきで、ある程度の数値は示さないと、結局測らないですよね。濃度基準値設定物質ではないから、測定しない物質と私たちは思っているので、そこをある程度示してあげるべきではないかと思っています。
○城内座長  そのほか今の点に関してコメントありませんでしょうか。尾崎委員、お願いします。
○尾崎委員  今、裁判官や労基職員に対する安衛法研修のテキスト作成に参加させていただいています。いろいろ発言させていただいているのですけれども、化学に関しては建設業や鉄鋼業などと違って、夢の物質と言われたものが10年後、20年後になって実は発がん性でしたというのが分かるのが往々にしてあるのです。その最前線で作業しているのが我々の化学業界であり、第二の被害を受けるのが工場の周りに住んでいる方々という構図になってしまう。
 夢の物質と言った瞬間に皆さん飛びつくのでしょうけれども、その後の事後処理は非常に大変になる。PFASなり石綿のことを皆さんご存じだと思うのですけれども、そういったところで予防的な手順を踏んでおかないと、先々とんでもないことになります。コストも時間もかかるということになるので、そういう方向に持っていっていただきたいと感じております。
○城内座長  そのほかいかがでしょうか。事務局からありますか。
○化学物質対策課長  ご指摘ありがとうございます。
 まず、基準値につきましては、例えば今回リンデンで提案させていただいているのは、肝毒性をエンドポイントとして基準値を定めるわけですけれども、肝毒性は0.2で防止できるのですが、0.2以下なら大丈夫だと思って、ばんばん使ったら発がんしてしまうということですので、そういったものについて安全な閾値としてお示しする濃度基準値は定められないというところは仕方がないところです。
 また、それ以外の点につきまして、宮川先生からご指摘ありましたように、目安としてほかの機関の数字を使うといったこともあり得ると思いますし、濃度基準値がないので測定しないというご発言もありましたが、技術上の指針では濃度基準値が定められていないものについてもリスクアセスメントのための測定を行うことになっておりまして、その場合はできるだけ統計処理もやった上で、事業所全体として可能な限り下げてくださいとリスクアセスメント指針上なっておりますので、そちらで対応していただくことになるということです。
○城内座長  尾崎委員、お願いします。
○尾崎委員  第一線の管理者がそこまで理解して実施するかといったらしないのではないですか。多分設定されていないのならやらないというのもありますし、彼らにとってはほかの文献を見ている時間がないですから、予防的な保全をしていただきたいと感じています。
○化学物質対策課長  予防的な保全というのがよく分からないのですけれども、結局使う量を減らしてくださいということになりますので、これは発がん性物質ですということはお示しするのです。技術上の指針の中でも濃度基準値のリストから、物質を削除せずに残して、発がん性物質であるので濃度基準値を設定しないことを明示します。告示では載らないですけれども、指針では物質として載せていますので、これが発がん性物質であることは明確になります。また測定の方法も載せるということですので、それを用いて予防的にリスクアセスメントしていただく対応になるのではないかと考えております。
○尾崎委員  示し方をうまく工夫するようにお願いしたいと思います。それが入っている物質は全部BtoCで建設業や、自工に配られることになるので、よろしくお願いします。
○城内座長  そのほかご意見ございますでしょうか。大前委員、お願いします。
○大前委員  リスクという考え方でリスクゼロはないという考え方が受け入れられるとしたら、例えばこの委員会の前にリスク評価の委員会をずっとやっていましたけれども、リスク評価書も出ていますが、そこでは10のマイナス4乗という数字だとこのくらいになりますよという数字はあるのです。ただ、それは10のマイナス4乗ですからゼロではない。そういうことを前提に、各企業が受け入れてくれるという合意ができれば、参考値としてそういう数字を出すことは可能だと思います。
 ただ、さっき言いましたように、これはリスクゼロを保証しているわけではないので、そこを皆さんが了解してくれないと行政は絶対出せないということではないかと思います。
○城内座長  宮本委員、お願いします。
○宮本委員  ありがとうございます。結局、ないと自分たちで調べろと言われて、自分たちで調べるというと、まさに資料2のこれが公開されるはずなので、ここぐらいしか到達できないのです。これとモデルSDSぐらいしか見るところがないので、ここに書いてある数値から自分たちで考えろということがせいぜい。その先に行く人はまず日本中誰もいないとなると、目標値がないと、これ以下にとにかく頑張ろうというところがないと何もできないと思いますので、そこの考え方を示した上で、これは確実な値ではないから基準にはしないけれども、例えばこの数値未満に向けて頑張ってください、的なところが読み取れるようにしていただかないと、日本中誰もこれに従えない。
 専門家に聞いても分かりませんと言われて、産業医に聞けと言われると、産業医はせいぜいこれらしか見ませんから、ここからどのように行うのか。例えばmg/㎥とppmの換算もそうですし、どのようにしていくのがベターかということがどこかにないといけないので、今、大前先生が言われたように10のマイナス4乗でこのぐらいの目標値に向けて取りあえず頑張ってくださいということがないと何もできないのではないかと思うところですので、ぜひ記載いただければと思います。
○城内座長  宮川委員、お願いします。
○宮川委員  今のご発言についての質問です。業者はどういうのをつくるか分かりませんけれども、モデルSDSを見ると、ばく露を防ぐところで許容濃度等として、ACGIHの0.5やDFGの0.1という値が出てくると思うのですが、実際そういうところは産業医の先生などはご覧にならないというのが現状だということになりますでしょうか。
○宮本委員  モデルSDSとこの文献ぐらいしか行き着くところがないのですからもちろん見ます。濃度基準値を設定しないとなって、モデルSDSでばく露基準値が書かれているならいいのですけれども、設定しないというのは、今まで設定の俎上に上がっていないものなのか、検討した上で設定しないことになったのか分からないことになってしまいます。検討されていれば、ここで出てきている資料2がどこかに公開されているはずなので、それを最初に見ると思うのです。
 検討の結果として設定しないと言われて、モデルSDSと初期調査結果評価の2個しか行くところがないだろうと申し上げたので、こっちではなくて違う文献ももちろんあると思いますが、設定しないと言ったからには一番新しい検討をしてその結論に至っているわけだから、そこの流れがちゃんと分かるように書いていただいて、10のマイナス4乗の場合、ここら辺までは目標にしてくれるとありがたいという、基準ではなくて目標値ぐらいとして、どこかに記載があるといいなという意味で申し上げた次第です。
○城内座長  宮川委員、お願いします。
○宮川委員  現状は分かりました。とすると、発がん性があるということでもって濃度基準値をつくらないものについて、多分現状ではなるべく低くという文言だけが頭に残るかなという気がしますけれども、そういうときにどうしたらいいかという指針なり参考値としてこういうのがここで出ていますよというのを見てもらえるような形で公表していただくのがよろしいかなという気がいたしました。
○城内座長  そのほか。今まで管理濃度を決めるときからそうだったと思うのですが、発がん物質については極力低くしましょう、社会的要請と工学的な対策が折り合うところで決めましょうという歴史がずっとあって、危ないものは低い値でずっと決めてきた歴史があって、それを本当にここで変える、行政も変えるということは、管理する側も変えなければいけないわけですけれども、そこが私もいろいろな人と話をして不安なのだろうなという気が非常にしていますので、今、宮川委員がおっしゃったように何かの工夫が要るのかなという感じはしています。事務局からよろしいですか。
○化学物質対策課長  ありがとうございます。こちらにつきましては、昨年度かなり文献レビューを行いまして、米国、英国、ドイツ、職業ばく露機関において発がん性物質についてどのように定めているか。これによりますと、発がん性の確からしさに応じて、ヒトへの発がん性が明確な場合には安全な閾値が設定できない理由から、限度の設定は行っていない、諸外国も行っていないということです。
 一方、ヒトへの発がん性が明確でない物質、例えば1Bや2については、非がんの疾病を対象に安全な閾値として現状定めておりますが、このときも遺伝毒性がない、またあったとしても非常に少ないというのを前提にしておりまして、遺伝毒性が強い場合につきましては定めないという形になっております。
 こういった形である意味ワールドスタンダートといいましょうか、そういう形になっておりますので、日本も同様の考え方を取るということで、昨年度の報告書はそのようにまとめさせていただいております。
 昨年度もこういったいろいろなご指摘の議論がありまして、技術上の指針には今回リンデンであれば発がん性物質であるので設定しないと。ばく露は最小限にすることというのを別表に載せておりますので、リンデンについても載せます。測定については、技術上の指針に濃度基準値が定められていないものについても測定することでリスク見積りすることになっております。
 もともとご案内のとおり約3,000物質を今後定めていく中で、濃度基準値は最大で800しか定められないということですので、最初技術上の指針を議論させていただいたときに、濃度基準値がなければいいのだとならないようにしてほしいというのがそもそもありまして、そうならないように技術上の指針は、濃度基準値があるなしにかかわらず、きちんとリスク見積りをして測定するのだということを明確にしております。そういう大きな流れの中にこれも含まれるのですけれども、そういった形でやっていくしかないと考えております。
○城内座長  ありがとうございました。多分、今後何らかの工夫は要ると思いますが、基本的には今の事務局からの意見のように、発がん物質については定めないということだろうと思います。
 そのほかリンデンについてご意見等ございますでしょうか。
 それでは、リンデンについては8時間濃度基準値はなしということにします。
 続きまして、ニトロメタンについてご意見、コメント等ございますでしょうか。
 では、ニトロメタンにつきましては、8時間濃度基準値10ppmにしたいと思います。
 続きまして、ニトロエタンにつきましてご意見、コメント等ございますでしょうか。
 それでは、ニトロエタンについては、8時間濃度基準値10ppmといたします。
 続きまして、フタル酸ジエチルにつきましてご意見、コメント等ございますでしょうか。宮内委員、お願いします。
○宮内委員  確認させてほしいのですけれども、これはIFVの物質だということで、一番下のその他のコメントに書いてある25℃の飽和蒸気圧における濃度換算値は19.7mg/㎥です。これはppmかなと思ったのですけれども、これでよろしいのですか。IFVの説明が以前あったのですけれども、忘れてしまったので確認で聞きました。
○化学物質評価室長補佐  事務局ですけれども、こちらはmg/㎥の単位で計算した値です。
○宮内委員  ppmとmg/㎥のときの比で0.1から10ぐらいのときにIFVにするということだったと思ったので、ここはppmで書いておいたほうが分かりやすいかと思ったのですけれども、これでいいのですか。
○化学物質評価室長補佐  25℃の飽和蒸気圧における濃度換算値を計算した値と提案された濃度基準値の値の比が0.1から10の間であるときは、IFVとしてこういった注意書きをつけております。
○宮内委員  分かりました。了解しました。
○城内座長  そのほかございますでしょうか。尾崎委員、お願いします。
○尾崎委員  先ほど質問させていただいたそのものなのですけれども、クリエイトシンプルで計算すると、対応としては相当頑丈な局排を設定して、保護具を着けてということをしないと対応が取れない物質になるというのが意見にありますが、まさにそのとおりだと思うのです。大企業のごく一部では対応できるかもしれませんけれども、中小企業なりのところでは多分……(「今フタル酸ジエチル……」の声あり)ごめんなさい。
○城内座長  よろしいでしょうか。
 それでは、フタル酸ジエチルについては、8時間濃度基準値30mg/㎥といたします。
 続きまして、無水フタル酸についてご意見、コメント……尾崎委員、お願いします。
○尾崎委員  先ほど意見しましたように、無水フタル酸は最高レベルの設備対応、保護具対応をして、製造活動をしなければいけない濃度基準値となってしまうということです。産業界としてこれは非常に心配しています。多分使えないのではないか。
 市場では数万トン、分かりませんけれども、そのぐらいの取扱量があるので、相当な影響が多分出るのではないか。大手企業でも設備対応するにしても多分約1年必要でしょうし、中小企業では、おそらく4~5年ぐらいのタームで対応しなければいけないということになります。だから相当なインパクトがありますよということを言わせていただきたいと思います。先ほどの文献の新しさ、古さはあるのですけれども、何ゆえ数字がばらついているのに一番低いところを狙ってきたのかもう一度説明いただけるとありがたいと思います。
○城内座長  大前委員、お願いします。
○大前委員  先ほど動物の話でしたけれども、むしろ私が見ているのはヒトの情報でして、10ページの一番上の情報でTMAのみが使われている工場で云々があって、作業関連呼吸器症状の有病率、それから感作が増加したと。その関係は40μg/㎥、0.04mg/㎥という文献当時のばく露基準の範囲内であったというのがあって、0.04ではまずいよねというところで1桁の場合0.004のようなイメージで、0.002というのが妥当かなと考えました。ヒトのデータも重要だなということです。
○尾崎委員  工場従業員から得られたデータからそれを外挿したというイメージですか……
○大前委員  そのように文献上なっていますので、40㎍、0.04mg/㎥という職業ばく露基準の範囲内であったということで、それ以下でここに書いてあるような感作および作業関連呼吸器症状の有病率が増えているということになりますと、0.04では少なくともまずいですよねというイメージです。これは所見が見られているので、UF1から10ぐらいがいいところかなと。それは0.004にするのか0.002にするのかは大きな差ではないと思っています。今おっしゃった桁の問題というのはそういう感じではないかと思っています。
○尾崎委員  産衛学会の2mg/㎥に対して何かコメントはないですか。
○大前委員  これはいつのものでしたっけ。スイギンで8時間加重平均ではないのがまず1つです。このときスイギンをなぜ2にしたか今記憶がないですけれども、産衛学会で98年に2mg/㎥を出しているのですが、0.33ppm。そのときの根拠を見ますと、毒性として問題のあるのが刺激性と感作性であると。2.8~13mg/㎥の30分程度の短時間ばく露があると、1日の平均ばく露濃度0.3~0.4mg/㎥共に高率に鼻炎やぜん息が発生している。ぜん息の発生にはピーク濃度が重要であるという指摘としては最大許容濃度の設定が妥当ということで、最大許容濃度としたと。そのレベルは、先ほど2.8から13と言いましたけれども、これよりも低くすべきだということで、1にしたというのが98年のときの産衛の根拠になっています。
○尾崎委員  産衛学会の勧告が2022年になっています。これは上のことを再定義したということなのでしょうか。
○大前委員  1988年……
○尾崎委員  産衛学会誌……
○大前委員  1998年に提案して……
○尾崎委員  その下の6のレビューの文献のリストの②に許容濃度等の勧告2022年度となっているけれども……
○大前委員  これは、勧告は毎年変わるので。
○尾崎委員  これから再レビューしたという意味でしょうか。
○大前委員  再レビューではなくて、単純に勧告の表は毎年更新されますから、0.1というのは2022年に載っかっていますけれども、提案したのは1998年ですよということです。
○化学物質対策課長  これは文献として2022年度版の253ページから285ページに載っていますというだけで、提案した年月日は物質それぞれに記載があります。
○尾崎委員  こういう数字が出てしまって、製造現場で何をやらなければいけないかといったら、先ほど言いました工学的な対応をしなければいけないというのは理解します。また、、皆さんは例えば宇宙服を着て作業すればいいではないかとおっしゃる思いますが、実際現場でこんなことができるのはまれで、現場はコストや生産性との戦いになるので、なかなかそういう対応も取れません。何も対応できない中小の現場に対してどういうご指導をするのでしょうか。ここら辺のイメージが分からないです。こういった無水フタル酸はたくさん作られ取り扱われているのですから、日本津々浦々製造現場があると思います。具体的に指導をどのようにしてやっていくかお教え願いたいと思います。
○城内座長  大前委員、お願いします。
○大前委員  これはMMAのときもそうだったですけれども、今室長が新しい文献が業界から出てくれば検討しますとおっしゃったので、MMAと同じような対応をされたらどうでしょうか。
○尾崎委員  そうだとしても、今後1年ぐらいで相当労力を使っていかなければいけなくなります。MMAのときも反論の文献を出してはみたものの、先生方に否定されて取り下げられたという事例があるので、それが本当に意見を取り入れてもらえる議論や、場があればいいのですが、それがなければ業界としてもむなしさを感じるだけです。
○城内座長  事務局、お願いします。
○化学物質対策課長  2点あったと思います。
 まず対策をどうするのかということなのですけれども、呼吸用保護具の中には電動ファンつき呼吸用保護具がありまして、全面型の場合は一番スペックの高いものだと指定防護係数が1,000というものがあります。1,000ですと1,000倍ばく露できるということですので、mg/㎥のレベルまで換気ができていれば、換気に加えてハイスペックの呼吸用保護具になりますけれども、そういったことですので、諸外国を見てもこれぐらいのレベルの値がありまして、そこは先ほど申し上げましたように電動ファンつき呼吸用保護具で対応しているのが多いと考えております。あるいは、それ以外にもちろんより高いエアホースマスクといったものも考えられます。
 もう1つ、MMAにつきましては、前回ご議論させていただいて、第1回目の提案理由と第2回の提案理由は実は1桁違っておりますので、いただいた文献をきちんと検討した上で反映させていただいております。もしそういった文献があるのであれば、先ほど申し上げましたとおり測定方法の確立でもう1年間ありますので、そういった文献があるのであれば提案いただければ、再度検討することは可能です。
○尾崎委員  対応の優先順位からすると、工学的手法の前にもっと高い優先順位があるはずです。この物質を使わないという選択肢が最初にあったのではと思うのですけれども、こういった数字が出されるとやはり化学業界としてこういう物質は二度と使いませんということを突きつけられているのと全く同じだと認識します。
○城内座長  宮本委員、お願いします。
○宮本委員  お聞きしたいのですが、感作性だけで基準を決めていますけれども、感作性も発がんと一緒でどこかに閾値があるものではなく、確率的に上がっていくものではないか。NOAELが採れないということですとそういう感じではないのかなと。だとすると、同じように感作性だけなら、基準値が設定できないという形で、ほかの臓器毒性についての基準値――ほかのもので見ると0.3ですか、そういうのだって出てくると思うのですけれども、感作性はそんなに閾値がないのではないかという気がしているので、この辺についていかがご見解なのでしょうか。
○化学物質対策課長  感作性を根拠にして定めたのは、実はもう1つありまして、無水カルボン酸も定めています。こちらも、とても低い数字になっています。
 また、感作について大前先生から補足いただきたいですけれども、一度感作してしまうと非常に低い濃度で症状が出てしまうというのがありまして、これは防止することはできないのですが、最初に感作するものについてはNOAELが採れるということで考えておりまして、今回は動物実験で行った感作性の試験でNOAELが採れているので、それを根拠にしているということです。大前先生、何か追加はありますか。
○大前委員  追加ではないですけれども、感作が成立するときの濃度と成立した感作の後に発症する濃度は随分違う。感作が成立した後に発症する濃度はとても低いので、コントロール不可能。
 それから、感作の場合はある人は感作するのだけれども、ある人は感作しないというのがあるので、感作が発生するところの濃度がつかまえられれば、数字をつくることは可能だと思います。
○城内座長  そのほかコメント、ご意見等ございますでしょうか。
○宮本委員  大前先生、少しお聞きしたいのですが、10ページの最後のパラグラフのアルキド樹脂の10行ぐらい書いてある中の一番下に、2つの職場の3~13mg/㎥ともう1つは0.3mg/㎥で、0.3は別に何かに使える値ではないということなのですか。
○大前委員  時間加重平均濃度が1つの作業場だと3から13、ほかの作業場だと0.3未満であったということで、ここで症状が起きているということですから、0.3ではまずいという根拠にはなります。少なくともこれより低くしなくてはいけないと。
○宮本委員  こちらでも起きていると。
○大前委員 はい。
○城内座長  そのほかいかがでしょうか。
 ご意見がなければ、無水フタル酸、8時間濃度基準値0.002にしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○尾崎委員  してもいいですけれども、正直言いましてこの物質は日本からなくなりますよ。
○宮本委員  例えば0.3というのはヒトでのLOAELと見て、その10分の1ぐらいにするなどではだめなのですか。
○大前委員  それでもいいですが、その上のものが0.04mg/㎥というのがあるのです。40μというものです。今のアルキド樹脂は0.3、LOAELでいいと思いますが、その上のデータですと0.04がLOAELになってしまうのです。どっちを取るかという選択の問題ですけれども、基本的には低いほうを取るのが今までやってきた選択なので。
○化学物質評価室長  10ページの最後に2)と書いてある段落の下から2行目、40㎍/㎥と書いてありますけれども、ここでも職業ばく露基準の範囲内で明らかであったと書かれてあります。40㎍/㎥をmgに換算すると1,000で割りますので0.04mg/㎥になります。
○宮本委員  現在の職業ばく露基準の範囲内というのはどこの基準を指すのですか。ACGIHですか。
○化学物質対策課長  恐らくきちんと文献を見れば分かると思いますけれども、実験をした当時のばく露限度だったと。ですので、現状のばく露限度ではだめですよということを文献でアピールしている文章だと思います。ですからそれより下げなければいけないというのが著者の結論だということです。また、大前先生がおっしゃるようにそこから1桁下げるのかということになると、0.04になってしまうと。現状のオーダーになってしまうということです。
○城内座長  尾崎委員、お願いします。
○尾崎委員  いつも言いますけれども、文献を頂いてからこの会議に臨席するのですが、非常に短いので、業界の専門家の方に意見出しをしてもらうのは非常に短い中で低い値を突破されるというのは、非常に腹立たしいというか、はっきり言って許せないなという気がするのです。ですから、2ヵ月程時間を頂いて、反論する論文などを企業の専門家に調べて、出してもらって、協会から提出したいと思います。よろしくお願いします。
○城内座長  事務局、どうぞ。
○化学物質対策課長  こちらにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、測定手法がそもそもまだ定められておりませんので、今年度の結論として濃度基準値を定めるということはスケジュール的にできないことになっておりますので、来年度さらにもう1年間検討する時間がありますので、そういったことは可能です。ですので、今回はそういう意味では暫定という形で一旦とどめておいて、再度必要があれば来年度議論するということでいかがでしょうか。
○尾崎委員  よろしくお願いいたします。
○城内座長  では、暫定値ということですか。宮川委員、お願いします。
○宮川委員  暫定値には賛成いたしますが、1点だけ質問です。今のご質問に対しての質問なのですけれども、この数値になると国内から物質が使えなくなるというご懸念が示されました。例えばアメリカACGIHは0.002という同じような値が提案されているわけですけれども、アメリカの場合はACGIHの値が低くなっても大騒ぎしていないのか、この物質が使えなくなるということはなくてACGIHの値のことはあまり考えていないということなのか、アメリカではNIOSHやOSHAの値のみを気にして業界が動いているということなのか。私は業界のことが分かりませんので、ACGIHは低い値なのですけれども、アメリカでは大きな影響があったということなのですか、なかったということなのでしょうか。その辺りが気になるところです。
○城内座長  そのほかご意見ございますでしょうか。
 それでは、無水フタル酸、8時間濃度基準値0.002mg/㎥は暫定値にしたいと思います。
 続きまして、N-ビニル-2-ピロリドンにつきましてコメント等ございましたらお願いします。
 ご意見等なさそうですので、N-ビニル-2-ピロリドンにつきましては、8時間濃度基準値0.01ppmにいたします。
 宮内委員、お願いします。
○宮内委員  N-ビニル-2-ピロリドンの件です。たしか蒸気圧が低くて12パスカルぐらいと思います。極端に言うと蒸気にあまりならなくて、液体で使用する状況と思います。恐らく作業環境中だとミストで呼吸器入る量が多いと思います。これが皮膚吸収性物質で、なおかつ皮膚刺激性物質という形で今回出てきています。
 文献の実験の中では特にそういうものはあまり考慮されておらず、要するに動物実験の中では特に皮膚からの吸収量はあまり考慮されていないということでよろしいでしょうかという確認と、今後こういうのを制御するときに、蒸気圧が極端に低いですので、気中濃度管理だけではなく、皮膚からの吸収量もしっかり管理していかなくてはいけない。
 基準値分析は0.01ppmと低く、分析方法は難しいかなと思うのですけれども、これから開発されるということだと思います。こういうことを注意喚起のようなことができないかなと思いましたので、発言いたしました。
○城内座長  そのほかコメント、ご意見等ございますでしょうか。
 8時間濃度基準値そのものについてはよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、N-ビニル-2-ピロリドンに関しましては、8時間濃度基準値0.01ppmにいたします。
 続きまして、p-ニトロアニリンにつきましてご意見、コメント等ございましたらお願いします。
 ご意見等ないようですので、p-ニトロアニリンにつきましては、8時間濃度基準値3mg/㎥といたします。
 続きまして、塩化ベンジルですけれども、これは8時間濃度基準値はなしということでよろしいでしょうか。
 では、塩化ベンジルにつきましては、8時間濃度基準値はなし、といたします。
 引き続きまして、N-メチルアニリンにつきましてコメント、ご意見等ございましたらお願いします。尾崎委員、お願いします。
○尾崎委員  1つ教えていただきたいのですけれども、強制経口投与のデータを外挿して、呼吸ばく露の濃度設定値までそういう計算はできるのでしょうか。今まではガスそれが、鼻腔に、次に内臓に影響が出るというのがありましたが、強制的に投与ということは混餌にも当てはまると思うのですが、そのようなところから予想できる、推測できるということなのでしょうか。教えていただければありがたい。
○大前委員  厳密に言えばできません。当たり前です。というのは、吸収経路、それから消化系吸収の場合一回肝臓を通って全身に回るというのがありますけれども、経肺吸入の場合ですと肝臓を直接通らないで、後で通りますが、そういう効果があります。
 それから、吸収率の問題もあります。今ここで吸収率100%という前提でやっていますから、吸収率が違えば当然数字が違ってくるというのがあります。したがって、厳密に言うと経口のデータをダイレクトに吸入のデータに変換することはできないのですが、ただ吸入のデータはほとんどないのです。吸入実験は経口投与よりとても面倒くさいのです。そういうことがあるものですから、やむを得ず使っているというのが現状です。最大100%吸収したことになれば、多分安全方向に行くのだろうなと。要するに吸収率が100の場合、全部体内に入るという前提で、肝臓を一回通過する効果をどう見るのだというのも分かりません。
 物によってはPBPKといって一時はやりましたけれども、最近はやらなくなってしまったのではないか。一時とてもはやって肝臓を通るとどうなるという実験も結構あったのですが、今それを実施する人はほとんどいなくなってしまったということもあって、そういうのを前提でやっていますので、おっしゃるとおり正しいかどうかと言われたら、正しくないと言えないかもしれないけれども、分からないというのが正確なところだと思います。やむを得ずやっているということです。
○城内座長  いかがでしょうか。
○尾崎委員  コメントできないのですけれども、あちらこちらで安全係数がかかり過ぎてしまって、数字が自動的に小さい値になっていくのを、指をくわえてただ見ているだけという立場を非常に歯がゆく思います。
○城内座長  宮本委員、お願いします。
○宮本委員  確認ですが、先ほど最初にやったもので事務局から1Aだから設定せず、1Bや2は設定する場合もあるようなコメントがあったのです。今回1Bだと思うのですけれども、これは1Bなのに設定しないという結論になるのですか。
○化学物質対策課長  それは塩化ベンジルの話ですか。
○宮本委員  今違うところ? 終わっていますか。
○化学物質対策課長  もう塩化ベンジルは終わりましたが、塩化ベンジルということですね。
○宮本委員  失礼しました。今のは塩化ベンジルの話です。
○化学物質対策課長  塩化ベンジルですけれども、こちらについては塩化ベンジルの詳細評価の一番下に最小投与量でがんを含む腫瘍性病変が認められており、また遺伝毒性についてその可能性が疑われるということですので、1Bであって、かつ遺伝毒性が疑われるので設定しないということになります。
○城内座長  N-メチルアニリンについてそのほかいかがでしょうか。
 それでは、N-メチルアニリンにつきましては、8時間濃度基準値2mg/㎥といたします。
 続きまして、N-イソプロピル-N'-フェニル-p-フェニレンジアミンにつきましてご意見、コメント等ございましたらお願いいたします。
 ご意見等なさそうですので、N-イソプロピル-N'-フェニル-p-フェニレンジアミンにつきましては、8時間濃度基準値10mg/㎥といたします。
 続きまして、p-フェニレンジアミンにつきましてコメント等ございましたらお願いいたします。川本委員、お願いします。
○川本委員  日本語の問題なのですけれども、小さいところで済みません。
 まず、濃度基準値を設定した採用の理由の1行目ですけれども、発がん性試験で、結果より信頼性は高いというのが、意味が分からないので、後で直していただければと思います。
 下の濃度基準値提案の理由の2行目ですが、p-フェニレンジアミン二塩酸塩をで、「を」が2回続いているので、直していただければと思います。
 3行目に7週投与した、ですが、混餌投与ではないかと思います。
○城内座長  事務局、よろしいでしょうか。
○化学物質対策課長  こちらは一次文献を精査いたしまして、修正いたします。
○城内座長  そのほかコメント等ございますでしょうか。
 では、p-フェニレンジアミンの8時間濃度基準値は0.1mg/㎥といたします。
 続きまして、2-メチル-2,4-ペンタンジオールにつきましてコメント、ご意見等ございましたらお願いいたします。
 では、2-メチル-2,4-ペンタンジオールにつきましては、8時間濃度基準値120mg/㎥といたします。
 続きまして、前半最後の物質ですけれども、2,4,6-トリニトロトルエンにつきましてご意見、コメント等ございましたらお願いいたします。
 では、2,4,6-トリニトロトルエンにつきましては、8時間濃度基準値0.05mg/㎥といたします。
 続いて後半の12物質の検討を行います。事務局から説明をお願いいたします。
○有害性調査機関査察官  それでは、後半の12物質について説明させていただきます。
 まず、N,N-ジメチルアニリンになります。
 濃度基準値は、8時間濃度基準値25mg/㎥を提案しております。
 提案理由はコメント欄記載のとおりですが、結論として動物試験の結果から髄外造血を臨界影響としたLOAELを31.25mg/kg bw/dと判断し、不確実係数等を考慮した25mg/㎥を8時間濃度基準値とすることを提案するとなっております。
 その他のコメント欄も併せてご確認ください。
 続きまして、2-シアノアクリル酸メチルになります。
 8時間濃度基準値0.2ppm、短時間濃度基準値1ppmを提案しております。
 提案理由はコメント欄記載のとおりですが、結論としてヒトの知見から閉塞性肺機能障害を臨界影響とした8時間濃度基準値0.2ppm、眼および上気道刺激を臨界影響とした短時間濃度基準値1.0ppmを提案するとなっております。
 その他のコメント欄も併せてご確認ください。
 続きまして、2-アミノエタノールになります。
 8時間濃度基準値20mg/㎥を提案しております。
 提案理由は理由欄記載のとおりですが、結論としまして動物試験の結果から腎障害を臨界影響としたNOAELを800ppm(雄42、雌69mg/kg bw/d)と判断し、雄の42mg/kgを基に不確実係数等を考慮した20mg/㎥を8時間濃度基準値として提案するとなっております。
 その他のコメント欄も併せてご確認ください。
 続きまして、ジスルホトンになります。
 8時間濃度基準値0.02mg/㎥を提案しております。
 提案理由は理由欄記載のとおりですが、結論としましてラットの動物試験の結果から、AChE活性阻害および気道の炎症性所見を臨界影響としたNOAELを0.16mg/㎥と判断し、不確実係数等を考慮した8時間濃度基準値0.02mg/㎥を提案するとなっております。
 その他のコメントはありません。
 続きまして、アルドリンになります。
 8時間濃度基準値0.001mg/㎥を提案しております。
 提案理由は理由欄記載のとおりですが、結論としまして、ラットの動物試験の結果から肝障害を臨界影響とした0.025mg/kg/dをLOAELと判断し、不確実係数等を考慮した0.001mg/㎥を8時間濃度基準値として提案するとなっております。
 その他のコメント欄も併せてご確認ください。
 続きまして、酢酸sec-ペンチル、併せて酢酸ペンチルの異性体についての提案になります。
 8時間濃度基準値50ppm、短時間濃度基準値100ppmを提案しております。
 提案理由は理由欄記載のとおりですが、まとめとしまして動物実験の結果より生殖および生殖毒性を臨界影響としたNOAELを500ppmと判断し、不確実係数等を考慮した50ppmを8時間濃度基準値として提案する。また、ヒトの刺激性にかかる知見より100ppmを短時間濃度基準値として提案するとなっております。
 その他のコメントも併せてご確認ください。
 続きまして、水酸化カルシウムになります。
 8時間濃度基準値0.2mg/㎥を提案しております。
 提案理由は理由欄記載のとおりですが、まとめとしましてヒトの知見から、気道刺激症状を臨界影響としたNOAELを0.2mg/㎥と判断し、0.2mg/㎥を8時間濃度基準値として提案するとなっております。
 その他のコメントはありません。
 続きまして、生石灰になります。
 8時間濃度基準値0.2mg/㎥を提案しております。
 提案理由は理由欄記載のとおりですが、結論としましてヒトの知見から、気道刺激症状を臨界影響としたNOAELを0.2mg/㎥と判断し、0.2mg/㎥を8時間濃度基準値として提案するとなっております。
 その他のコメントはありません。
 続きまして、アルミニウムになります。
 アルミニウムにつきましては、設定できないということで提案しております。
 理由につきましては理由欄記載のとおりですが、アルミニウム単独での疫学研究が乏しいということで設定できないということで提案しております。
 その他のコメントも併せてご確認ください。
 続きまして、アルシンになります。
 8時間濃度基準値は設定できない、短時間濃度基準値0.1ppmを提案しております。
 提案理由はコメント欄記載のとおりですが、まとめとしましてアルシンの急性毒性である溶血を臨界影響とした短時間濃度基準値を適用することが適当と考え、ヒトの知見および動物の単回吸入ばく露試験の結果より、0.1ppmを短時間濃度基準値として提案する。なお、8時間濃度基準値については、溶血以外の長期ばく露に関する知見に乏しいこと、および代謝により発生するヒ素(Ⅲ)に遺伝毒性があると考えられることから、「設定できない」を提案するとなっております。
 その他のコメント欄も併せてご確認ください。
 続きまして、塩化ホスホリルになります。
 8時間濃度基準値0.6mg/㎥を提案しております。
 提案理由は理由欄記載のとおりですが、まとめとしまして吸入試験によるラットおよびマウスの動物実験の結果から、塩化ホスホリルの水解物のうち有害性が高いと判断される塩化水素について、気道の炎症性所見を臨界影響としたLOAELを10ppm(15mg/㎥)と判断する。なお、塩化ホスホリルの水解物であるりん酸の刺激性に関する知見はヒトでは乏しいが動物試験で認められていること、また刺激性を含めたりん酸の有害性は塩化水素のそれを上回らないと考えられることから、臨界影響を同じ上気道の刺激症状として、塩化水素とりん酸の刺激性を同等として塩化ホスホリルに換算したLOAELは2.5ppmであり、不確実係数等を考慮した0.6mg/㎥を8時間濃度基準値として提案するとなっております。
 その他のコメントはありません。
 後半最後になりますが、オゾンになります。
 短時間濃度基準値0.1ppmを提案しております。
 提案理由は理由欄記載のとおりですが、まとめとしましてヒト知見の結果より、1時間ばく露時のFEV1の低下を臨界影響とした0.12ppmをNOAELと判断し、0.1ppmを短時間濃度基準値として提案するとなっております。
 その他のコメントはありません。
○化学物質評価室長  続きまして、先ほどと同様に事前に頂いておりますご質問やご意見につきまして、後半部分についてご説明させていただきたいと思います。
 最初にアルドリンです。資料2の38ページをご覧ください。
 こちらにつきまして何度か出ておりますけれども、各機関の濃度基準値がばらついていますので、詳細調査を要としてくださいといったご意見です。
 これにつきましての回答ですが、ご指摘のとおり、アルドリンについてはACGIHが0.05mg/㎥、DFGが0.25mg/㎥と基準値に差があります。本件につきまして安衛研の専門家会議で検討いたしましたところ、さらなる調査が必要とされまして、本年度中に追加の文献収集を行っております。今回お示ししたのは詳細調査の結果でありまして、根拠文献の欄に記載の2つの文献が信頼に足ると判断されて、これに基づいて濃度基準値が提案されております。
 続きまして、酢酸sec-ペンチルに参りたいと思います。40ページをご覧ください。
 こちらにつきましてのご意見ですけれども、今4つ化合物が掲げられておりますが、このうち酢酸イソペンチルとn-ペンチルは、有機則によって第2種有機溶剤に指定されております。報告書様式を見ると、酢酸sec-ペンチルに関する内容に限定されていますので、今回は酢酸sec-ペンチルが対象という理解でよいでしょうか。あるいは、これは一括して分子式C7H14O2の化合物として規制されるのでしょうかといったご質問です。
 これに関する回答ですけれども、ご指摘のとおり酢酸イソペンチルと酢酸n-ペンチルは有機則により規制されています。また、酢酸sec-ペンチルと酢酸2-メチルブチルは、酢酸イソペンチル、酢酸n-ペンチルの異性体です。これらを分けて管理することは非常に困難です。したがって、事務局といたしましては、これら4物質全てを特別則により規制されている物質は濃度基準を設定しないといった本会議の原則に従いまして、濃度基準を設定しないことを提案させていただければと思います。
 次に進ませていただきます。次が水酸化カルシウムです。43ページになります。
 実は45ページと43ページの評価書を見比べていただきますと、物質名が違うだけで中身は一緒となっております。これに関しましてご質問いただいておりますが、最初にこれまで何度か出ておりますように、各機関の濃度基準がばらついているので、詳細調査をしてはいかがでしょうかというものと、もう1つは対象物質が水酸化カルシウムだが、データは酸化カルシウムではないかということです。
 それから、もう1つが根拠データとしたヒトばく露の結果では、実際にばく露した物質が何であるか特定できておらず、水酸化カルシウムの濃度基準の設定根拠とするには不十分である。総粉じんとして測定されている。水酸化カルシウムを用いたラット反復ばく露では、0.107mg/Lでも明らかな影響が認められていないことから、適切に実施されたラット反復吸入毒性試験と大きな乖離があり、ヒトの知見を基に8時間濃度基準値として設定すること自体議論を行う必要があるのではないかということ。
 それから、次の物質の生石灰になりますが、根拠データは実際にばく露した物質が何であるか特定できておらず、酸化カルシウムの濃度基準の設定根拠とするには不十分であるということで、総粉じんとして測定されていると書かれております。
 これに対するご回答ですけれども、最初に各基準がばらついているということですが、確かに水酸化カルシウムについてACGIH、NIOSH、UKが5mg/㎥、産衛学会とEUが1、OSHAが15と各機関の基準がばらついております。
 本件につきまして、安衛研の専門家会議で検討いたしましたところ、さらなる調査が必要とされまして、本年度中に追加の文献収集を行いました。
 また、評価書の内容は次に出てくる酸化カルシウムと同様のものになっております。酸化カルシウムは気道表面の水分と反応して、直ちに水酸化カルシウムになると考えられることから、両者は同じ文献で評価できると考えられるからです。
 追加の文献収集およびこれらの検討の結果、根拠論文の欄に記載の論文が信頼に足ると判断され、これに基づいて水酸化カルシウムと酸化カルシウム両者の濃度基準値が提案されております。
 文献の内容ですけれども、石灰粉じんにばく露されたパルプ工場で行われた粉じん測定の対象は総粉じんと書かれておりますが、石灰粉じんということですので、すなわち水酸化カルシウムの粉じんです。その点を評価書に明確にさせていただければと思います。
 本件では、ヒトの知見によって1.2mg/㎥で鼻腔通過時間が増加しており、また0.2mg/㎥で改善されたといったことから、安衛研の専門家会議ではNOAELを0.2mg/㎥と判断して、基準値の設定に耐え得るものと判断しております。
 以上が水酸化カルシウムと酸化カルシウムのご説明です。
 続きまして、アルシンに参ります。
 どのデータに基づいて決定したかが書かれていない。これでは評価できないということですが、安衛研の専門家会議ではアルシンはヒ化水素ですので、毒性がヒ素によるものであることから、溶血による急性中毒の予防が重要であると判断され、短時間濃度基準値が提案されました。
 一方、冒頭にありましたように、本物質はGHSで発がん性区分が1Aであることから、事務局では本検討会の発がん性物質への濃度基準値の設定の考え方に従いまして、短時間濃度基準値を含めて濃度基準を定めないことを提案させていただきます。
 それから、塩化ホスホリルです。塩化ホスホリルは、空気中の湿気で徐々に分解するので、塩化ホスホリル本体の濃度基準値の設定は難しいのではないでしょうかと。測定のご質問になっております。
 本件につきましては、後ほど測定の議論がありますので、その中でご回答させていただければと思います。
○城内座長  ありがとうございました。それでは、後半についてもただいまの説明を踏まえ1物質ごとに議論していきたいと思います。
 最初の物質ですけれども、N,N-ジメチルアニリンにつきましてコメント、ご意見等ございましたらお願いいたします。
 ご意見等ないようですので、N,N-ジメチルアニリンにつきましては、8時間濃度基準値25mg/㎥といたします。
 続きまして、2-シアノアクリル酸メチルにつきましてコメント、ご意見等ございましたらお願いいたします。
 ご意見等ないようですので、2-シアノアクリル酸メチルにつきましては、8時間濃度基準値0.2ppm、短時間濃度基準値1ppmといたします。
 続きまして、2-アミノエタノールにつきましてコメント、ご意見等ございましたらお願いいたします。
 それでは、2-アミノエタノールにつきましては、8時間濃度基準値20mg/㎥といたします。
 続きまして、ジスルホトンにつきましてコメント、ご意見等ございましたらお願いいたします。
 それでは、ジスルホトンにつきましては、8時間濃度基準値0.02mg/㎥といたします。
 続きまして、アルドリンにつきましてはいかがでしょうか。
○尾崎委員  アルドリンは発がん性物質区分1Bなのですか。これはどのように。
○城内座長  事務局、お願いします。
○化学物質対策課長  こちらにつきましては、その他コメントにありますけれども、GHS発がん性区分1Bであるが、遺伝毒性があるとの知見が十分に得られていないということで、今回については閾値のある有害性として定めるという整理です。
○尾崎委員  分かりました。
○城内座長  それでは、アルドリンにつきましては、8時間濃度基準値0.001mg/㎥といたします。
 続きまして、酢酸ペンチルの異性体につきましては、濃度基準値は設定しないということですが、コメント等ございますでしょうか。
 では、酢酸ペンチルの異性体につきましては、濃度基準値は設定しないということにいたします。宮本委員。
○宮本委員  結論は構わないのですけれども、この場合、有機則が2つしか指定していないのですが、有機則に残りのものは足すなど、どのようにするのか何かありますでしょうか。
○城内座長  事務局、お願いします。
○化学物質対策課長  こちらは異性体でして、厳密に言うと精製すると分けられるのですけれども、有機溶剤として出荷するレベルではそういう精製は行われていないと思いますので、酢酸ペンチルという名前でしか呼べない状態になっておりますので、その形で実際は適用になるということになります。
○宮本委員  多分、有機則が2つの物質で代表し過ぎているような気もするのですけれども、先ほどの座長の話だと2つが有機則でと言われていたので、2つ別に入っているのであれば、残りをどうするのだというのがあったのですが、今のお話だと酢酸ペンチルという言い方でまとめていただくならそれももちろんありだと思うのですが、有機則をいじるかどうか確認しないと……
○化学物質対策課長  現時点で有機則を改正する予定はありませんが、過去の経緯もあって多分除いていると思うのですけれども、先ほど申し上げましたとおり、実際の製品としては異性体を精製して分離しておらず、こちらに書いてあるセカンダリーからイソブチルが混ざった状態で、酢酸ペンチルという形で混ざっておりますので、それを一括した適用と現実としてはなるということを考えております。
○城内座長  では、こちらについては濃度基準値を設定しないということにします。
 続きまして、先ほど説明を一緒にされましたが、まず水酸化カルシウムについてご意見等ございますでしょうか。
 では、水酸化カルシウムにつきましては、8時間濃度基準値0.2mg/㎥といたします。
 続きまして、生石灰につきましては、コメント等ございますでしょうか。
 では、生石灰につきましては、8時間濃度基準値同様に0.2mg/㎥といたします。
○宮本委員  宮本です。教えてください。この名前を聞くと、つい昔の体育の白線引きを思い出して、体育の倉庫は大丈夫かと思ったのですが、今よく見たらあまり使われていないと思ってよろしいのですか。学校は大丈夫かと一瞬心配になったのですが。
○化学物質対策課長  今回の検討はご指摘の趣旨ではないので、主たる用途を調べておらず、学校の実態がどうかというのは分かりませんが、ただ有害性があること自体はかなり昔から知られておりますので、そういったものをわざわざ学校現場で使っているというのは考えにくいと思いますけれども、今、確実なお答えはできない状態です。
○城内座長  では、8時間濃度基準値は0.2mg/㎥ということで、次に参ります。
 アルミニウムについては、濃度基準値は定めないということにいたします。
 続きまして、アルシンですけれども、発がん性があるということで、8時間濃度基準値は定めないということです。よろしいでしょうか。大前委員、お願いします。
○大前委員  このコメントのGaAs半導体リサイクル工場の話があるのですが、これは日本の例です。10ppm前後2時間吸入して、ばく露3日目のヘグロビンが6くらい、半分以下、それから輸血が必要でしかも透析が必要、腎機能というひどいことが起きます。溶血による急性中毒に関してちゃんとコメントしなければいけないので、その他のコメントにそれを書いていただきたい。
 一応発がんということで、濃度基準値をつくらないのはやむを得ないのですけれども、短時間ばく露のこのくらいで、この方は下手したら死んでいました。そういうレベルの影響が起こるので、そのことはコメントを特にしっかり書いていただきたい。短時間でもある程度のばく露で溶血による重篤な健康障害を起こすことがあるから気をつけなさい、のようなことは、ぜひお願いします。
○城内座長  短時間のほうは生きるのでしたっけ。
○化学物質評価室長  短時間のほうも1Aの場合は設定しないということですので、大前先生のご指摘のとおりコメント欄で注意喚起いたしたいと思います。
○城内座長  では、そのようにお願いいたします。
 続きまして、塩化ホスホリルにつきましてご意見等ございましたらお願いします。
○尾崎委員  塩化ホスホリルに関しては、潮解性があるのでしょうか。たしか空気中の湿気を徐々に含んで分解するというのがあるのですけれども、このことが事実であれば恐らく分析に足らずというか、分析の精度がないと理解して再検討するのがいいのではないかと思うのですけれども。
○化学物質評価室長  後ほど分析のところでご説明させていただきますけれども、捕集方法等の工夫によりできるのではないかというご提案を頂いておりますが、後ほど分析のところで詳しくご議論いただければと思います。
○尾崎委員  また戻っていただけるのですね。
○化学物質評価室長補佐  後ほど分析の資料4でこの物質の分析方法を検討いたしますので、その際にご議論いただきたいと思います。
○城内座長  では、8時間濃度基準値はスキップしますか。取りあえずこれで決めますか。8時間濃度基準値についてのご意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、分析方法について後でご議論いただくとして、塩化ホスホリルの8時間濃度基準値は0.6mg/㎥といたします。
 最後の物質、オゾンについては、8時間濃度基準値はなしで、短時間濃度基準値が0.1ppmについてご意見等ございますでしょうか。
 では、オゾンにつきましては、短時間濃度基準値0.1ppmといたします。
 以上で濃度基準値についての議論は終わりましたが、事務局からまとめをお願いいたします。
○化学物質評価室長補佐  それでは、資料3-2をご覧ください。変更のあったところだけ確認させていただきます。
 まず1ページ目、1つ目のリンデンにつきましては、発がん性物質ということで基準値は設定しないに修正させていただきます。もちろん発がん性物質であることについての注意喚起はさせていただきます。
 続いて、2ページ目の1つ目、無水フタル酸の8時間濃度基準値ですけれども、先ほど暫定ということとなりましたが、資料の右をご覧いただいて分かるとおり、測定法はまだ提案されておりません。したがって、今年度、濃度基準値を告示で出すということはありませんので、来年度以降に測定法を検討する予定ですけれども、また濃度基準値についても新たな文献の提出等ありましたら、再度検討させていただきたいと思います。
 続きまして、4ページ目の一番上、p-フェニレンジアミンの基準値は了承いただきましたけれども、提案理由についてご議論を踏まえ修正させていただきます。
 それから、4ページ目の3つ目、トリニトロトルエンですけれども、8時間濃度基準値0.1とありますが、正しくは0.05です。提案理由に書いてある0.05が正しい値、先ほどご議論いただいたとおり、こちらで了承とさせていただきます。
 続きまして、6ページ目の一番上、酢酸sec-ペンチルほか酢酸ペンチルですが、特別則対象物質ということで設定しないということで修正させていただきます。
 続いて、その下の水酸化カルシウム、酸化カルシウムについては、提案理由の欄を一部修正させていただきます。
 最後7ページ目の1つ目、アルシン、ヒ化水素ですけれども、発がん性物質ということで短時間濃度基準値は設定しないに修正させていただきます。その他コメントの欄で先ほどご指摘いただいた溶血症状の健康障害について注意喚起するコメントを記載させていただきます。
○環境改善・ばく露対策室長  それでは、議題2の濃度基準値設定対象物質ごとの測定方法に入る前に、ばく露防止対策に関する事項の欄に掲載の先生方が既に入室されておりますけれども、一旦休憩を5分間挟ませていただきます。こちらから向かって右側の時計で16時からの再開といたしますので、それまでにお席にお戻りいただきますようお願いいたします。
 
     (暫時休憩)
 
○城内座長  それでは、後半の議事を再開いたします。実は予定より30分ぐらい遅れていますけれども、皆さんご協力のほどよろしくお願いいたします。
 議事2の濃度基準値設定対象物質ごとの測定方法について、事務局から資料4-1、4-4までの説明をお願いいたします。
○環境改善・ばく露対策室係員  ありがとうございます。事務局の臼井です。私から資料のご説明をさせていただければと思います。
 まず、資料4-1について説明いたします。濃度基準値設定対象物質の測定法の選定、提案にかかる考え方を示したものでして、測定法の選定、提案に当たっては、bの①から④の項目を評価指標として、そのうち3から4項目について定量的なデータがある方法は原則採用すること、それ以外に採用する場合については、c以降列挙することとさせていただいております。
 今回、添加回収率の考え方を用いて破過の評価を行った物質があることから、iの破過の項目について添加回収率の考え方で破過を評価することについて追記することとしております。
 また、今回液体捕集を測定法として提案しておりますので、jに新しく液体捕集の項目を新設し、通常測定法の評価指標とはならない抽出、脱着や構造上破過が想定されない破過については、それぞれ-、NDであっても許容する旨追記しております。
 次に、資料4-2についてです。こちらはお手元でも紙で配付しているかと思います。
 こちらは、ただいまご説明させていただきました資料4-1の考え方に基づいて、今回新規で提案する令和4年度検討対象物質、15物質の測定法の評価結果を一覧表でまとめたものとなっております。時間の関係もありますので、資料4-1のbで示した4つの項目に対する評価が全て○、総合評価、実用上の評価○である物質については、採用基準を踏まえても測定法として問題がないかと思いますので、今回の説明を割愛させていただきまして、一部△、ND、-評価がある物質について補足的に説明させていただきます。
 最初の物質のニトロメタンについてなのですけれども、3日で保存安定性が80%ということで、90%が確保できていないということで△という評価をさせていただいておりますが、備考欄にあるとおり、速やかな分析を行うことで測定自体は可能であると考えまして、測定法の総合評価および実用上の評価は○として提案させていただいております。
 次に、1ページ目の一番下のアジピン酸なのですけれども、保存安定性の評価が、測定範囲が△ということで、測定法の総合評価が△となっておりますが、許容濃度付近で希釈して分析すれば測定自体は可能であろうということで、実用上の評価は○として今回提案させていただいております。
 次に、2ページ目の2-アミノエタノールについてなのですけれども、破過の評価が―となっておりますが、こちらはろ過捕集ということで―で問題ないと考えております。
 次に、その次の物質のカーボンブラックなのですけれども、第6回の検討会でより詳細に分析できる方法を備考欄に記載するとなっていたかと思いまして、その旨追記しているところでして、そのほかの測定法自体は評価や測定法の提案については変わっていないところです。
 次に、下から3つ目の過酸化水素になります。こちらについては、第6回の検討会においても同じ手法を提案させていただいたところであるのですけれども、フィルターの保存期間が短くて、しかも輸入が必要だということで、なかなか汎用性の観点で課題があるということで、もう一度審議し直しということで、一度審議事項から落としていた部分であるのですが、今回きちんと保存期間を確認したところ、冷蔵保存で6ヵ月ということで、これであれば保存期間もきちんと一定程度確保されているので、測定法として提案して問題ないだろうということで、同じ方法を提案させていただいております。
 次に、塩化ホスホリルになります。こちらは資料4-1で液体捕集ということで新たにjの部分で追記させていただいたところでありますけれども、②の抽出/脱着率、破過の部分が-となっておりますが、それでも問題ないと考えております。
 ただ、測定法の総合評価を△とさせていただいておりますのは、液体捕集を採用しているということで△にしているのですけれども、今回、溶媒に純水を使うこととしておりまして、加水分解したものが溶け込むことになるのですが、溶け込んでも微量なのでph自体はそこまで変わらないだろうということで、安全上問題ないだろうということで、実用上の評価は○とさせていただいております。
 先ほど濃度基準値で空気中の湿気で徐々に分解するので、濃度基準値の設定が困難なのではないかという事前に頂いた質問に対して、測定法の検討の際に回答するとさせていただいたところですけれども、こちらについて今回答させていただければと思います。
 ご指摘の趣旨といたしましては、捕集した後、塩化ホスホリルが徐々に空気中の湿気で分解してしまって、分析の際に実際の濃度よりも低く出てしまって正しい測定ができないので、濃度基準値の設定が難しいというご趣旨のご質問と認識いたしまして、それに対しましては塩化ホスホリルそのものを今回液体捕集するということではなくて、捕集した直後に加水分解されて、加水分解された状態で水の中に存在するような状態になっております。加水分解したものに含まれるイオンをイオンクロマトグラフで分析することで、塩化ホスホリル濃度を逆算して求めようという測定法になっておりますので、塩化ホスホリル本体を捕集するのではなくて、捕集後すぐに加水分解した状態でもっているということになりますので、捕集した塩化ホスホリルが大気の湿気により分解するといった影響を受けるような測定法ではないのかと考えております。
 資料4-2の説明は以上になります。
 次に資料4-3の説明をさせていただければと思います。こちらも資料4-2と同様に、お手元に紙でも配付させていただいておりますが、令和5年度検討対象物質で今回提案する6物質の測定法の評価結果を一覧表でまとめたものとなっております。
 まず1つ目、ジシクロペンタジエンなのですけれども、保存安定性がNDということで、測定法の総合評価は△ということで提案させていただいているのですが、備考欄に書かせていただいたとおり、第3回の検討会で測定法が承認された物質を再審議するものとなっております。第3回の検討会においては、前処理法を加熱脱着という方法を用いておりまして、加熱脱着を用いない方法でも測定が可能であるということが今回確認されましたので、汎用性の観点から再度測定法を提案させていただきたいものになっております。
 こちらの方法、保存安定性がNDというところであるのですけれども、捕集後速やかに分析すれば測定は可能であろうということで、実用上の評価は○とさせていただいております。
 次に、下から2つ目のジベンゾイルペルオキシドになります。こちらも先ほどのジシクロペンタジエンと同様に、第3回で測定法が承認された物質になるのですけれども、bとして次年度送りにさせていただきたいと考えております。理由といたしましては、第3回で測定法が承認された後に濃度基準値の数値が設定された物質となっておりまして、濃度基準値が設定された際に捕集においては蒸気と粒子どちらも捕集できる必要があるという留意事項がついたものになっております。ただ、第3回で承認された方法ですと、ろ過捕集ということですので、蒸気の捕集が困難な測定法が承認されている状況になっておりましたので、改めて蒸気も捕集できる方法で再度提案させていただきたいと考えております。
 最後のトリ-4-トリル=ホスファートです。保存安定性が△であるのですが、詳細な結果はないのですけれども、4週間まで保存可能という記載自体は確認できるということで、実用上の評価は○という形で今回提案させていただいております。
 次に、資料4-4になります。こちらは令和4年度濃度基準値を設定した全67物質の個票になっております。こちらなのですけれども、一部NIOSHの方法を根拠文献としている物質が2物質ほどありまして、著作権の関係で詳細な測定、分析方法を掲載することができないものもありまして、詳細な根拠文献をご確認いただくよう、根拠文献を明示して、そちらをご案内するという形で個票は記載させていただいております。
 また、現時点で一部の物質については確認できていない項目もありまして、次の議題で議論する報告書の別紙2に個票を入れ込むことを予定しておりますので、報告書の公表までに随時更新させていただく形を取らせていただけたらと思っております。
 資料4-1から4-4の説明は以上になります。
○城内座長  ありがとうございました。ただいま事務局から説明いただきました資料4-1から4-4に関しまして、ご質問、ご意見等ございましたらお願いいたします。保利委員、お願いします。
○保利委員  資料4-3の36番の物質、トリ-4-トリル=ホスファートは破過がNDとなっていますけれども、ろ過プラス固体で固体のところは破過の問題があるのかなと思いますが、そこのところについては何かコメントといいますか、破過は大丈夫なのでしょうか。
○小野委員  画面を消してしまって、それであたふたしていて、最初の先生のご質問を聞いていなかったのですけれども、もう一度お願いします。
○保利委員  資料4-3の一番最後のトリ-4-トリル=ホスファート、ろ過プラス固体となっているので、固体捕集だと破過が問題になるのかなと思いますけれども、破過がNDになっていますが、これは大丈夫なのでしょうか。
○小野委員  ろ過捕集の分はオーケーというか、それが固体に行って、1段目と2段目を別々に測っていったような気はするのですけれども、確認してみます。
○城内座長  尾崎委員、お願いします。
○尾崎委員  先ほどの塩化ホスホリルの件で、純水で捕集するというやり方は分かりました。こういうものは純水の15ミリリッター、この物質は粉なので、純水15ミリリッターに滞留する時間、すなわち転化速度が非常に重要になってきます。そのままワンパスで純水から出ていってしまうということが懸念されます。補修水における滞留時間でも転化率が変わってきて、分析精度が変わってくるのではないかという懸念があるのですが、その点はどうなのでしょう。
○小野委員  私から状況をご説明いたします。基本的に塩化ホスホリルは測っていません。また、濃度基準値設定の根拠が塩酸であるということになっています。要するに分解して生成した塩酸を測るという形になっています。
 また、問題は塩化ホスホリルの何%が塩酸になっているのか、そこを評価することがこの方法ではできません。要するに塩化ホスホリルが溶けた塩酸とリン酸を測りますので、塩化ホスホリルのままなのか、塩酸になったものなのかというのを分離することはできない形になります。
 ただ、健康影響が塩酸に発するのだとすれば、塩素イオンが測れていれば、健康影響に対する要素を測ることはできるのですけれども、最大値の塩素を測っている、可能性のある塩素を全て測る形になるのですが、塩化ホスホリルから水に分解したことでできるものと、もともと塩化ホスホリルが分解していて、塩素になっていて、その塩素をサンプリングしている。その両方を併せて最大の影響量に匹敵するものを測定する形になっていますので、形としては安全側になりますので、測定法自体としては問題ないと思います。
 ただ、塩化ホスホリルの濃度基準値に対してこの評価であることが安全側に過ぎるのではないかというご議論がおありでしたらば、全く別の測定法を考える、かつ絶対に塩素に分解しない方法を見つけないと濃度基準値が設定できないことになるかと思います。ですから、現場サイドとしてどこを目標にして濃度基準値を設定し、分析するのかをどう議論するかということになるかと思いますが、これはあくまでも測定法を考える研究者としての意見ですので、事務局がどのようにお考えか、業界としてこの考え方は間違っているということでしたら、そういうことについてお教えいただけるとありがたいと思います。
○尾崎委員  了解しました。総塩素を測るというのは大体イメージが湧きましたけれども、先ほどコメントとして言ったのは、たった15ミリリッターにミゼットバブラーで1分間に1リッターのガスを送り込むと、100%そこで捕集されるわけはなくて、そのまま出ていく塩化ホスホリルもたくさんあるのではないかと心配したということです。
○小野委員  一般的に液体の捕集をするときは、必ず2段つないで、1段目に80%で、2段目に20%はみ出した分の80%がサンプリングできるという仮定の下でサンプリングを考えています。
 ですから、一般に場の測定をするときには2段にして、換算して100%になるように実施するのですけれども、実際に個人ばく露を測るときにバブラーを2つつけるということは多分ありませんので、場合によっては事前にいくつかの条件で誰が行うのかというのは別にしておいて、塩化ホスホリルはこの流速でこの条件でやればこのぐらいは採れるので、得られた測定値の1.5倍を換算値としてくださいなど、そういう提案をすることでできる可能性はあると思います。
○尾崎委員  n数が必要になるのではないかと思います。理解しました。
○城内座長  そのほかいかがでしょうか。疑問等ございませんでしょうか。
 特段ご意見がなければ、今ご提案いただいた15物質プラス、6物質はペンディングのものもありますが、現状の提案でよろしいでしょうか。いかがでしょうか。大前委員、お願いします。
○大前委員  今のバブラーを使う場合に、これは1リッターですけれども、時間を規定しておかないと水はなくなってしまいますよね。
○小野委員  そういう面も含めて、水でバブリングすることになっているのですけれども、少しアルカリを入れておいて安定になるような状態でサンプリングしてということで、模擬的にどういう実験ができるのかなと思うのですが、現場がないとそれでいいかどうかの確認もできませんので。
 また、もちろん量が減りますから、減った分については基本的には元の量に戻して、その濃度で測ることにはなっています。50ミリリットルバブリングしていて2時間など引いていると、45などになったら50に戻してから分析しましょうという形になっていますけれども、あまり減らないという方のほうが多かったりします。ミゼットで1リットルはどうかなという気もするのですけれども、いずれにしてもこれで完全にオーケーと言えるかどうかは、現場の方と相談するなど、どういう状況で使われているかも分かりませんので、一応ご提案はしますが、これをどう生かしていくかは少し時間がかかるかもしれません。
○化学物質対策課長  ありがとうございます。今のご指摘ですと、1つは個票を来年度つくりますので、その中でつくり込んでいくということだろうと思いますけれども、そういった対応でここに書いてあるレベルのものに大きな変更はないということであれば、そういう対応も可能かと思いますが、いかがでしょうか。
○小野委員  それでよろしいのでしたら、もう少し時間をかけてきちっとしたものにしていきたいと思います。
○城内座長  山室委員、お願いします。
○山室委員  液体捕集法は、個人ばく露測定ですと2連結できないのですが、そのそばで2連結した定点の測定を行って、必要に応じて補正するという方法もあろうかと思いますので、捕集率についてはそれで問題なかろうかと思っております。
○城内座長  そのほかご意見等ございませんでしょうか。
 それでは、議事の2の令和5年度検討対象物質に関わる濃度基準値設定対象物質ごとの測定方法については、本日ご提案いただいたように進めていただくということにしたいと思います。
 最終的なまとめをいたしますか。お願いいたします。
○環境改善・ばく露対策室係員  ありがとうございます。本日、令和4年度検討対象物質15物質、令和5年度検討対象物質6物質、合計21物質について審議いただきまして、1物質次年度送りということで、20物質の測定法について、そのうち先ほどありました塩化ホスホリルの件については、次年度、個票対応する際に今いただいたご意見や補正について、実際の現場においてどのように水の量を設定するかのような話も踏まえながら、個票において補足していくということで対応させていただきまして、基本的にはこの20物質については、提案させていただいた手法でご了解が得られたとさせていただきまして、1物質については次年度以降ということで再審議とさせていただければと思います。ありがとうございます。
○小野委員  1つだけ。先ほどの保利委員からのご質問については、この場で即答できませんので、後日事務局を経由してこういう内容ですということを申し上げて、それで了解が得られましたら現状の文書のままで、少し不足だろうということでしたら、次年度にするか、調整するか、その作業を経てからということでよろしいでしょうか。私の理解に間違いがなければ。
○環境改善・ばく露対策室係員  保利委員からのご指摘につきましては、今、小野先生から頂きましたとおり確認させていただいて、特段問題がなければそのまま採用とさせていただいて、問題があれば別途審議と。その方法については事務局で検討させていただきたいと思います。
○城内座長  どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして議事の3、令和5年度報告書案です。事務局から資料5の説明をお願いいたします。
○化学物質対策課長  それでは、私から資料5、報告書案のご説明をさせていただきます。
 1ページめくっていただきまして目次ですが、まずⅠの検討の趣旨および経緯等につきましては、昨年度と基本的に同様でして、検討の経緯はもちろん差し替えておりますけれども、基本的に同じ構成内容です。
 Ⅱ、濃度基準値の第1ですけれども、濃度基準値の適用等ということでして、昨年度整理した事項をそのまま記載しておりますので、濃度基準値の適用であるなど基準値の単位、濃度基準値の検討の進め方、発がん性物質の設定の考え方につきまして変更はありません。
 第2が今年度ご検討いただいた濃度基準値の検討結果です。
 それから、Ⅲですが、個人ばく露測定の精度の担保ということで、中間取りまとめで既に公表させていただいておりますが、そちらのサマリーになっております。
 それから、第2ですが、リスク見積りの際のばく露の程度の把握についてということです。こちらは前回、確認測定の必要性を判断するときのばく露の程度の把握についてのご議論の結果の主要な点を抜き出した形になっております。
 それから、Ⅳ、その他ですが、まず1の皮膚から吸収・侵入して健康障害を生ずるおそれがあることが明らかな物質の特定は、本年度第1回の検討会でご議論いただきました皮膚吸収性有害物質の定義でして、こちらにつきましてもサマリーになっております。
 それから2番、3番、4番につきましては、前回ご議論いただきました個人サンプリング法の対象物質の追加、それから分析方法の追加、有機溶剤の消費量の推定に関する数値の改正内容です。
 それから、別表は検討した物質のリストになっておりまして、別表2に今年度ご議論いただきました物質ごとの濃度基準値の案および測定方法ということで、こちらには濃度基準値および測定方法両方承認されたものだけを載せる予定です。
 それから、別表3が、濃度基準値が設定されなかった物質とその理由、それから別表4に令和6年度以降に再度検討する物質とその理由という一覧になっております。
 それから、別表5が個人サンプリング法による作業環境測定対象物質の追加、それから別表6が作業環境測定の分析手法の追加ということで、別表5と6は前回ご議論いただいた資料からつくったものです。
 それから、別紙という形で資料をつけさせていただきますが、まず別紙1が今回ご議論いただきました資料2、いわゆるそれぞれの評価結果です。
 それから、別紙2が今回ご議論いただきました資料4-4になる測定法の個票ということです。
 それから、別紙3が確認測定を行う必要性の判断に関する指針等でして、前回ご議論させていただいたものをそのまま添付させていただく予定です。
 それから、別紙4、皮膚から吸収・侵入して健康障害を生ずるおそれが明らかな物質の特定は、第1回の検討会でご議論させていただいた内容をそのまま添付する予定です。
 それから、別紙5、個人サンプリング法における測定手法の検討対象ですが、こちらも前回の資料のサマリーを載せる予定です。
 続きまして、変わった部分だけご説明させていただきます。まず10ページです。10ページの第2に令和5年度の濃度基準値の検討結果ということですが、ほとんどインデックスになっておりまして、2にありますように令和5年度の濃度基準値およびその測定方法の検討結果ということですが、物質ごとの濃度基準値の案およびその測定方法の留意事項は別表2のとおりであると。また、発がん性が明確であるため、長期的な健康影響が生じない安全な閾値として濃度基準値が設定できなかった物質についても別表2に掲載しています。検討された物質の文献調査結果は別紙1です。
 それから、なお書きで令和4年度に濃度基準値を設定した物質の個別具体的な測定法、いわゆる個票ですけれども、別紙2ということです。
 それから、3番の濃度基準値を設定しなかった物質とその理由ですが、発がん性が明確であるため、濃度基準値は設定しなかった物質は別表3-1、それからその他の理由で設定しなかった物質は別表3-2ということで、その理由につきましては別紙1ということです。
 それから、4番ですが、令和4年、5年に検討対象であった物質のうち、令和6年度以降に再検討する物質が別表4ということでして、検討された物質の文献調査は別紙1のとおりというインデックスになっております。
 それから、1ページめくっていただくと11ページのⅢの第1の個人ばく露測定の精度の担保ですが、11月21日に公表されました中間取りまとめのサマリーになっておりまして、ご検討いただいた中でデザインおよびサンプリングのみを行う方、あるいは分析を行う方の要件がありますが、そこを抜き出したものですので、説明を省略させていただきます。
 それから、12ページの第2ですが、リスク見積りの際のばく露の程度の把握ということで、前回ご議論させていただきましたが、確認測定の有無、必要性を判断するときのばく露の程度についてどのように考えるかをまとめた資料でして、それの主要部分を抜き出したところですので、こちらも詳細の説明を省略させていただきます。
 それから、Ⅳ、その他です。1が皮膚から吸収・侵入して健康障害を生ずるおそれがあることが明らかな物質の特定ということですが、(1)の中に黒い●が3つ並んでおりますが、この3つのいずれかに該当するものについては、皮膚吸収性有害性物質として定義するという結論です。1つは、ヒトにおいて経皮ばく露が関与する健康障害を示す情報があること、2つ目は動物において経皮ばく露による毒性影響を示す情報があること、3つ目が動物において経皮ばく露による体内動態情報があって、それら情報を用いたモデル計算等から、ばく露限界値等を超えるおそれが評価できるなど、限界値と関連させて経皮毒性を評価できる情報がある、この3つのうちいずれかに当たるものにつきましては、皮膚吸収性有害物質と定めるということです。
 それから、16ページの(2)ですが、先ほどのものに当たらないものでして、動物急性経皮毒性区分1に該当する16物質につきましても、皮膚吸収性有害物質に該当すると判断するということでして、最終的におよそ290物質が皮膚吸収性有害物質として測定されるということで、既に7月に通達という形でお示ししている形になります。
 それから、16ページの2ですが、個人サンプリング法における測定手法の検討ということです。こちらも前回ご議論いただいたとおりですけれども、昨年度から検討しております個人サンプリング法の対象の拡大ということで、前回宿題になった26物質あります。それにつきましてまず(1)ですけれども、ジクロルベンジジンおよびその他4物質については、NIOSH法等を取り入れること等で測定可能ということでご判断いただいております。それからもう1つ、塩素化ビフェニルほか8物質については、それぞれの物質について検討が必要な理由が挙げられておりますが、それを個別に検討した結果、問題ないということでして、14物質の追加という結論を前回頂いているということです。
 それから、16ページから17ページにかけまして分析方法の追加ですが、誘導結合プラズマ質量分析方法(ICP-MS)を追加することにつきまして、ベリリウムおよびその他化合物6物質の分析方法に加えることが妥当だということです。こちらにつきましては、前回ご議論ありましたクロムおよび重クロムについては、継続審議ということで除いております。
 それから、4番が有機溶剤等の消費量の推定に用いる数値の改正ということでして、排気装置の設計をするときに必要となります作業時間1時間に消費する有機溶剤の量の算定につきまして、ある特定の接着剤については標準的な含有率を定めているわけですが、こちらについて例えばその他の接着剤というように多数の製品が含まれる区分についても、1つの数字を定めているということで、やはり合理性に欠けるということですので、その他のものにつきましては当該接着剤に含有される有機溶剤の量を当該接着剤の量で除したということで、個別の含有率を計算することができる規定に改めるということでして、同様の改正を表面加工剤、インクその他についても行うということです。
 それから、18ページ以降が表でして、まず別表1-1が令和4年度からの積み残し分とうことです。
 それから20ページ、別表1-2ですが、こちらが令和5年度ご検討いただきました154物質のリストとなっております。
 続きまして、26ページが来年度ご検討いただく予定となっている物質のリストでして、169物質あるということです。
 それから、33ページから今回のご審議いただいた結果になるわけですが、例えばニトログリセリンは8時間濃度基準値0.01ppm、それから捕集分析法については固体捕集-ガスクロマトグラフ分析方法で、捕集法についてはTenax-GCを使う。それから、溶解法についてはエタノールの2ミリリットル、分析法についてはガスクロマトグラフ/ECD分析方法を使うといったことでして、備考欄も記載しております。こういったものが各物質について全てずっと続いておりまして、少し飛びますが、73ページまで続くということになります。
 続きまして、71ページに別表3があります。別表3-1が、発がん性が明確であるため長期的な健康影響を生じない安全な閾値として濃度基準値が設定できない物質ということですが、こちらでは塩化ベンジルとメタクリル酸2,3-エポキシプロピルだけ挙げておりますが、今回新たに2つ、リンデンとアルシンが加わりましたので、そちらも追記する予定です。
 それから、別表3-2が発がん性以外の理由で設定しない物質ということでして、まず六弗化硫黄につきましては、固有の有害性がないということですけれども、比重が非常に高い、あるいは熱分解によって非常に有害性の高いフッ化水素などが発生するということについて留意事項を入れております。
 それから、アルミニウム、白金、銀、アンチモンといった純粋金属につきましては、それに該当する十分な文献データがないということで、設定を見送るということです。
 それから、別表4が令和6年度以降に再審議するものでして、内容は2種類ありますが、1つはメチルヒドラジンのように測定方法について検証が必要だから、来年度さらに検討します。
 それから、もう1つがクロロメタンのように濃度基準値に関する文献について、引き続き収集等を行う必要があるということで再審議になるものです。こちらにつきましてもずっと続いておりまして、75ページまで同様のリストとなっております。
 それから、76ページですが、別表5ということです。こちらは、個人サンプリング法による作業環境測定の対象物質の追加ということでして、今回は③の特化物に14物質を追加するということです。
 それから、最後のページになりますが、77ページ、別表6ですが、こちらが作業環境測定の分析手法の追加ということでして、ベリリウムおよびその化合物その他につきまして、誘導結合プラズマ質量分析方法を追加するということになっております。こちらにつけておりませんが、この後ろに別紙が数百ページつくという予定です。
 説明は以上です。
○城内座長  どうもありがとうございました。今の事務局からの説明について何かご質問やご意見等ありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。宮本委員、お願いします。
○宮本委員  確認です。前回議論したので内容自体は承知ですが、個人ばく露測定をするとき、数理モデルで実施するときは分かるのですけれども、A測定、B測定の形でやって、第1はいい、第2なら個人ばく露測定をするという流れでよろしいのですか。
○化学物質対策課長  基本的に数理モデルで行うのを推奨していまして、濃度基準値というのはもともと管理濃度が定められていないので、どうしてもその手法を使いたいという場合については、管理区分の評価方法で定められているように、第1評価値を使って評価することになるということです。
○宮本委員  個人の呼吸域濃度を測るというのは、もしA測定、B測定をやって入っていったら、たしか最初、その流れも許していたように思うのですが、そっちから行く場合はどうやったらここに到達するのかというのだけ漏れているかもしれないと思ったのですが。
○化学物質対策課長  技術上の指針の中では場の測定も含めて判断することになっておりますので。ただ、正直、数理モデルを使うのを第1に置いていますけれども、どうしてもこっちを使いたいという場合は第1評価値を使えるという形になります。
○城内座長  大前委員、お願いします。
○大前委員  安衛研のワーキンググループで原案をつくる立場からいきますと、1つは発がんで1Aのものは全部外していただきたい。それから、2つ目は今使っていない農薬、農薬登録から外れているのは全部外していただきたい。外せなかったら最終年度に回していただきたいと希望します。
○化学物質対策課長  1Aの物質につきまして除くのは、今回せっかく検討していただいた挙げ句1Aですから定めないというのは、確かに今回ミスリードが2物質ありまして、そういったことがないようにしたいと思います。
 また、農薬については、廃盤になっていても試薬として使われているものが結構ありまして……
○大前委員  あるのは分かるのですが、それは決して重要ではないので後に回していただきたい。要するに優先順位を考えていただきたいということです。確かに残っているのはあるのでしょう。でも、実際には作ってはいないし、農薬として使っていない、試薬として使っているぐらいの量だと思うので、優先度は低いと思うのです。実施するほうが意外と農薬は面倒くさい。そういう意味で最終年度に回していただきたいということです。
○化学物質対策課長  ご意見は分かりましたが、最終年度は実は測定が定められていないものになっておりまして、7年度、8年度、カテゴリーが違うところになってしまう。要は、測定方法が定められるものから先に決めていこうという発想で作ってありますので、そういう並びの中にどう入れるかまた検討させていただきますが、いずれにしても令和6年度ご議論させていただくときに、こういう順番で議論させていただくというのは整理させていただきたいと思います。
○大前委員  それからもう一点、遺伝毒性が明らかなもの、1Bでも2でもいいのですが、それも全部外していただきたい。
○化学物質対策課長  遺伝毒性が明らかかどうかというのは判断していただく必要があります。
○大前委員  一覧表を作ったではないですか。
○化学物質対策課長  一覧表もあるのですけれども、結局今回の例のように、1Bについては遺伝毒性があるかどうかの判断もワーキングでしていただいて除くことになります。
○大前委員  遺伝毒性があるなしはとても難しい判断なので、そちらの専門家の方にお任せしてつくった表があるはずなので、そこで遺伝毒性があると判断されたものは最初から外していただきたいという意味です。
○化学物質対策課長  分かりました。そちらも令和6年度以降どうするか、要するにワーキンググループの効率化ということのご提案だと思いますので、どういう形で検討するか再度検討させていただきたいと思います。
○城内座長  宮本委員、お願いします。
○宮本委員  表の3で、発がん物質等で濃度基準値なしとするのが今回出ていますけれども、先ほど宮川委員が言われたように、もしそうなら、SDSを調べて、何らかの濃度設定がされているものを自主的に行うということに流れが行ってしまうのはいいのかどうかということです。SDSの数値があるのが分かっている、ほかの学会などで出している数値があるのは分かっていて、今回濃度基準値は出さないという物質を、SDSにある他の学会の基準で、職場で暫定的に設定するわけですから、そうすると出さないと決めたものはほかの学会の基準があるのは承知のうえで出さなかったのだから、他の学会の基準を調べるのはだめだと言っているようにも見えるので、いいのかどうかだけ。実際問題、現実で出さないとなったら、多分ほかの学会の数値を使うとなると思うのですが、それは是なのかどうか。いかがなのでしょうか。でも、そっちに行けとなりますよね。それはどういう判断になるのでしょうか。
○化学物質対策課長  昨年度の議論では、発がん性物質であるので濃度基準値を定めないので、ばく露を最小限にしてくださいというのを全て技術上の指針に入れてほしいというご要望でしたので、現状の技術上の指針は発がん性物質で濃度基準値を設定しなかったものについては入っていますので、基本的にはそれを踏襲する予定にしております。
○宮本委員  分かりました。そうすると、SDSに書いてあるACGIH等のばく露限界値などの数値以下にするということを事業者で決めて、頑張ればやったことになるという形でいいのですね。
○化学物質対策課長  個別具体的にどうするのかというのは、技術上の指針などでも書いていないのですけれども、例えばクリエイトシンプルで言うと、先ほど申し上げたように発がん性物質の場合は管理目標値がありますので、それが多く使われていると思います。それ以外にACGIHのように例えば特定の急性毒性のようなものを対象にしているものであれば、それを参照するというのはあると思いますし、そこまで来ると正解がないのですけれども、行政としてはできるだけ下げてくださいという形になろうかと思います。
○城内座長  最川委員、お願いします。
○最川委員  今の意見に関してなのですけれども、発がん性の話になってしまうのですが、結局SDSを見て発がん性があります。最小限度にしなさい。最小限度って何ですか。最小限度というのは、濃度基準値が定められているものに関しては濃度基準値以下にしなさいよ。それ以外のものに関しては、ACGIHだとかそのほかの数字を参考にしてくださいよとQ&Aの中に書かれているのですけれども、そこの判断は事業者側としてはそこまで調べてみるということは、まずしません。
 発がん性に対する危険度の伝え方について、今回濃度基準値の報告書に書く、書かないは別として、発がん性に対する危険性をきちんと伝えなければいけないのではないですか。ただ設定しませんでしたと言っているだけ。一番危険性を伝えなければいけないものについては基準値を設定しませんが、最小限度にはしなさいよと。それなら全部最小限度にしなさいよと言うだけでいいではないですか。一番危険なものだけ取っ払ってしまって、その下の危険性が少ないものは決めましたけれども、あとは最小限度にすることはあなたたちの責任でやってくださいよと言っているだけ。
 私たち事業者側は、発がん性に関しては作業記録を残したり、対処した内容の記録を残さなければいけない事になってしまっている。正解は示さないけれども、後で見て、結局あなたたちの措置では最小限度になっていませんでしたよねといくらでも言えてしまうわけです。そのための証拠をあなたたち残しなさいよと。いくら頑張ったって責任逃れできないけれども、書類だけつくりなさいよと、このようなことをやらされているとずっと思っているのです。
 ちゃんと責任を取らせるのなら決めるべきだし、危険性をちゃんと伝えてもらわないと。特にSDSを見ただけでは分からない。SDSにちゃんと数値なり危険性なりが載って初めて私たちが分かるので。どこどこの文献を調べなさいなんて実施する人がいると本当に思っているのなら、ちゃんとそれを書いてください。そこまで文献を調べなければ使ってはいけないと思っているのなら、みんな納得するかどうか分からないですけれども、そこまで行うのならいいですが、中途半端で決めることだけ決めて、危険性だけとにかく全部出しましたよ。責任は事業者ですよ。製造のほうもそうだと思うのですけれども、あとはあなたたち調べてやりなさいよと言っているだけで、こんなのは法律でも何でもないですって。
 何も決めてほしいことを決めないで、自分たちに責任がなくなるために私たちがここに出席させられて、あとは自分たちで調べてやりなさいよ、のような決め方をやって、本当に来年4月から実施するのですかと私は思っているのですけれども、皆さん、どうですか。尾崎さん、言いたいことがたくさんあると思うのですが、SDSに必要な情報を記載できますか? 製造側ができなかったらユーザー側はできないのです。SDSにちゃんと書いていただけるのですか? 濃度基準値設定物質だとか皮膚障害化学物質だとか、そういう法律に規制されたものが4月1日に全部書かれて初めて私たちができるのです。できないのならできないと言ってもらわないと、私たちは書かれていませんよと言うしかないのです。どうですか。
○尾崎委員  以前から何回も言っていますけれども、できません。
○最川委員  そうですよね。みんなできないと言っているのに、期限だけ来てしまって、延期したほうがいいのではないですかと言い続けているのですけれども、私しか言っていないので、尾崎さんたちも言ってもらわないと。
○尾崎委員  言っていますけれども、努力はしますということしかできない。
○最川委員  でも、4月1日から始まってしまうのです。書かれていなかったら違反ですよ。罰則はないかもしれませんけれども、私たちは書かれていないと言いますよ。4月1日からSDSにちゃんと書いていないではないですか、法律で決められていますよね。聞いたらちゃんと答えてくれるのですか。
○尾崎委員  過去のことを言ってもしようがない。
○最川委員  4月1日から本当にできるのですかという話。
○尾崎委員  一言で言ったらできません。それだけのマンパワーがないです。
○最川委員  それを皆さん認識しているのに、とにかく期限が来るのだから始めますよ、のような、ここにいる人たち、どうなのですか。全員に聞きたいのですけれども。
○化学物質対策課長  よろしいですか。何度も申し上げていますけれども、令和6年4月1日に増えるのは234物質です。リスクアセスメント対象物質になるのも234物質。それに適用がある、今回いろいろ議論させていただきますけれども、令和6年4月1日に適用されるのはリスクアセスメント対象物の中に含まれている濃度基準値だけです。234物質についてはきちんとできると伺っております。できなければ法令違反です。それが1点。
 また、もう1つ、数値にこだわり過ぎるのは困るのです。3,000物質ある中で濃度基準値が定められるのは最大で800です。つまり、濃度は数字が定まらないほうが普通なのです。その中できちんと管理をしていくのが化学物質管理になります。ですので、数字が定まらないからできないということではないのです。そういう発想でもともと制度がつくられていない。
○最川委員  危険性を分かりやすく伝えるべきだと言っている……
○化学物質対策課長  危険有害性はレベルとSDSで、例えば発がん性区分1については、ラベルに発がん性のおそれありと書いてあります。明確です。伝わっています。読めば分かる。
○最川委員  それは、発がんしないためにはどうすればいいかは書かれていないでしょう。
○化学物質対策課長  それは最小限にしてくださいです。できるだけ下げてくださいということです。
○最川委員  結局、最小限にしてくださいということですよね。
○化学物質対策課長  そうです。それは577条の2の第1項に書いてあるとおりです。そういう発想で、諸外国どこでもそうです。数値がないから予防しないということには全くならない。
○最川委員  しないとは言っていないです。
○化学物質対策課長  数値がないのが普通なのです。
○尾崎委員  化学の尾崎さんと建設の最川さんとの間で製品を渡していればできます。だけれども、化学というのは1社ではないです。日化協傘下でも何千社あるわけですよね。そこが上流から中流、下流まで全部物が反応して混ざっていって、その後、最川さんのところに行くわけです。今この情報を渡していくところの伝言ゲームをやっているわけです。しかしながら、そのくらい時間が必要だという事を2年ぐらい前からずっと言い続けているわけで、できませんよと。化学業界の上流メーカーが一生懸命SDSを出して、2年後ぐらいに初めて下流のB2CのメーカーのSDSに載せられる状態になるわけです。これが現実。だから、4月からつくるSDSというか新製品に関してはすぐ載るかもしれませんけれども、下流に伝わっていくのは2年後になる。そんなイメージだと思います。
○最川委員  私もそのように思っているので聞いているだけなので、できると言われればしようがないですけれども、できないだろうなと思っているので意見として言っただけなので。皆さんできると思っている人たちの検討会だと思うので、できるのかなと思って言ってくれているのかなというだけです。
○城内座長  そのほかご意見ありませんでしょうか。
 私は2年間で2万人ぐらいの人に周知活動してきました。千差万別というかいろいろなのですけれども、私は自律的な管理をやっていきたいというか、頑張りますという人が徐々に増えてきたと思っていますし、さっきも少し言いましたけれども、50年間の法令準拠型が染みついていて、どうもそこから抜け出られないほうが多いのではないかと思っています。
 ただ、若い人でこうしたいのだけれども、それでいいですか、という人は確実に増えてきていると思っていますし、化学物質管理者をちゃんと養成して、そこから情報伝達しようなど、労働者の意見を聞こうという方も確実に増えてきていると思っていますので、最川さんがおっしゃるように4月1日から世の中が変わるとは私も思っていませんけれども、そういうことをしていかない限りは多分変わらないので、これからも続けていこうと思っています。
 多分、化学物質管理者を養成しなければいけない事業所は100万社ぐらいあるかなと思っていますけれども、そこまで届くのは本当に大変だと思います。ただ、少しずつ変わっていけば絶対変わるだろうとも感じていますので、頑張っていきましょうとしか言いようがないですけれども、無責任ですが、徐々に変わってきていると思います。ただ、4月1日以降、いきなり変わるということはないと私も思っています。でも、少しずつでも変わっていってほしいなとも思っています。取り留めのない話ですけれども。
○最川委員  ありがとうございます。城内先生の言っているとおりで、私も一生懸命頑張って、ここに関わってから化学物質に関する勉強をずっと続けています。ただ、業界の代表として話しているので、これで自律的管理に変わっていくというのは全然反対ではない。やはりそれだけ時間がかかるよという認識。その指導だとかこれから全国の監督署、特に建設業は必ず現場に来るのです。臨検に絶対入ってくるので、そこでの指導の仕方によって私たちの影響は非常に大きいので、ちゃんと分かる人たちが指導してくれるのならいいのですけれども、ただ違反だよというやり方をされたら業界が止まってしまうので、それだけ本当にお願いしたいところです。別に全然反対しているわけではないです。自律的管理になるのは私も賛成なのですけれども、10年ぐらいかかると思っていますので、よろしくお願いします。
○城内座長  ありがとうございます。実は、さっき2万人と言いましたけれども、行政官の方がかなり含まれていまして、とても失礼な話だと思いますが、行政官も変わらなければならないのですよと言って回っているのです。行政官の方もそういう認識だと思いますし、技術上の指針にも最初に丁寧に指導してくださいとちゃんと書いていて、そこは強調して回っているのです。よろしくお願いいたします。
 もう時間になってまいりましたけれども、ご意見よろしいでしょうか。これだけは言いたいということがあれば。尾崎委員、お願いします。
○尾崎委員  ついでなので。在り方検討会のときからずっと言っている話なのですけれども、化学物質における労災は年間500人ぐらいかと思いますが、「どこで労災が起こっているか」の分類分けをしっかりやっていただきたい。リスクアセスメントしなかったからこうなったのか、企業の規模が小さく情報がないからそうなったのかを明確にして、どこが弱点なのかを毎年レビューしていただきたいと思っているのです。
 その弱点をたたけば半分以上、200人、300人、その労災件数は多分減ってくるのではないかと思うのです。それが本来の一番のターゲットだと思っています。化学物質の方から仕切られてしまって、物質数が増えてこういった濃度基準値が広がってきたというのもありますが、しかし化学業界はこの様なことを以前から何十年とやってきている話なのです。けが人も多く出して、自らを傷つけて反省と改善の上になり立っているわけです。
 だから今回の法律改正はある意味、今までやってきた仕事の延長線上でもあるのですけれども、現状マンパワーが少なくなっている中で、実は非常に負担になっているのです。それだけは理解してもらいたいと思います。しないということではなくて、業界の皆さんはできるように努力しているつもりなのです。そこだけは理解していただいて、厚労省には毎年14次防のレビューを必ずやって、どこが弱点だというのを出していただいて、どうするのだという方針を出していただきたいと考えています。
○城内座長  最川委員、どうぞ。
○最川委員  今、尾崎委員が言われたものは、ほかの検討会でもお願いしたのですけれども、特に建設業の化学物質の災害事例は少ないのです。それが伝わっていないので、過去5年でもいいのですけれども、その情報を開示していただきたいのです。
 私たちゼネコン各社でそういう分析もやっているので、そのデータを頂ければ、自分たちでも建設業で起きている化学物質の災害の分析ができるので、安衛研だけではなくて、誰でも取れるような個人情報は抜いてもらっていいのですけれども、そういうデータをぜひ公開していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○城内座長  よろしいでしょうか。事務局から。
○化学物質対策課長  コメントありがとうございます。
 まず、災害の分析につきましては、ご指摘のとおり今まではどうしてもやや物質に偏った分析をしていまして、業種という観点であまり分類してこなかった伝統がありまして、今年度から労働安全衛生総合研究所にご協力いただいて、業種という観点で分析したらどうなるかを再度やっております。そういったデータというのは、今後おいおい公開させていただこうと思いますけれども、そういう動きは行っているということです。
 それから、初年度において労働基準監督についてどのような態度で挑むかというご意見がありましたが、一般論として大きな改正があった場合は、施行後しばらくの間はリーフレットやパンフレットを使って丁寧に現場を指導していくというスタンスで挑むということですので、当然今回の改正についてもそういった形で対応していくという予定ですので、よろしくお願いいたします。
○城内座長  それでは、本日大きな修正意見はなかったと思いますが、事務局から委員の方に最終版をお送りいただいて、令和5年度報告書としての確定は私に一任いただくことでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 本日の議題は以上となります。構成員の皆様、長時間にわたり熱心なご議論ありがとうございました。時間超過して申し訳ありませんでした。
 それでは、最後にその他ということですが、事務局から何かございますか。
○環境改善・ばく露対策室長  それでは、今年度報告書の取りまとめに当たりまして、安全衛生部長の小林から一言ご挨拶を申し上げます。
○安全衛生部長  安全衛生部長の小林です。
 先生方には大変お忙しい中、昨年6月の第1回から本日までの第7回までにわたりまして、労働者の健康障害を生ずるおそれのある化学物質のばく露の上限となる濃度基準値、測定方法、それから個人ばく露測定の精度の担保などにつきまして、それぞれ専門的な観点からご議論いただきました。
 濃度基準値につきましては、昨年度の積み残し30物質ありましたけれども、それと今年度の150物質、かなりの数の化学物質についてご審議いただきましたし、個人ばく露測定の精度の担保につきましても、デザイン、サンプリング、分析を行う方の必要な要件などについて熱心にご議論いただきました。
 そのほか皮膚吸収性有害物質の特定方法、作業環境測定のサンプリング、個人サンプリング法の測定手法など、専門的な見地からもご意見を頂きました。
 その結果といたしまして、多くの物質の濃度基準値、それからそれらの物質の測定方法などを含めました内容の報告書を取りまとめることができました。本当にありがとうございます。
 厚生労働省といたしましては、報告書の中身を踏まえまして、必要な法令改正を速やかに行ってまいりたいと思っております。また、委員からご意見が出ました自律的管理の4月1日施行分ですけれども、課長からも申し上げましたとおり、しばらくの間は丁寧に指導してまいりたいと思っておりますし、また周知もしっかりやっていきたいと思っておりますので、引き続きご協力いただければと思っております。
 今後も今年度の積み残しが60物質ぐらいありまして、それに加えましてさらに約170物質の濃度基準値、それから測定方法の検討などが必要になってまいりますので、引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
 簡単ですけれども、私からの閉会の挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございました。お疲れさまでした。
○城内座長  事務局から何かありますか。
○環境改善・ばく露対策室長  本日の議事は以上です。
 本日の議事録ですが、後日、構成員の皆様にご確認いただいた上での公開とさせていただきます。
 なお、次回の日程ですが、追って調整の上、改めて構成員の皆様にご連絡させていただきます。
○城内座長  以上で本日の化学物質管理に係る専門家検討会を閉会とさせていただきます。本日はお疲れさまでした。ありがとうございました。