第7回 創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会 議事録

日時

令和6年1月12日(金)14:00~

場所

厚生労働省 専用第21会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

議事

議事録

○医薬品審査管理課長 それでは、第7回「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」を開催いたします。
 本日は、お忙しい中、御参集いただきましてどうもありがとうございます。
 初めに、事務局から連絡事項を申し上げます。本日の会議は、対面の会議とウェブ会議を併用しております。会議の内容はYouTubeでのライブ配信を行っております。
 発言をされる際は、オンラインで傍聴されている方に発言者が分かるよう、冒頭にお名前をおっしゃってから発言をお願いします。
 続きまして、本検討会の構成の出席状況ですけれども、奥田構成員、中島構成員、花井構成員により御欠席との御連絡をいただいております。また、眞島構成員がまだ御参加されておりませんけれども、遅れて御参加されると思っております。
 最後に資料の確認ですが、議事次第にお示しのとおり、資料1~3、参考資料1~11があります。ウェブで御参加の構成員におかれましては、ウェブ掲載された資料を御覧ください。直接お越しいただいている構成員におかれましては、お手元のタブレットを御確認ください。
 それでは、以後の議事進行は清田座長にお願い申し上げます。
○清田座長 皆さん、こんにちは。清田でございます。
 まず、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
 それでは、これより本日の議事に入りますので、カメラ撮りはここまでにさせていただきたいと思います。御協力をお願いいたします。
 まず、議題1「製造販売後に実施する使用成績調査等のあり方及びリアルワールドデータの活用のあり方について」でございます。
 まず、柏谷構成員から、製薬業界の御意見について御説明をお願いいたします。
○柏谷構成員 柏谷でございます。
 それでは、私から「市販後安全対策提案の方向性について」ということで、製薬業界の意見について説明させていただきます。
 2ページ目のスライドは、今回の検討事項の概要として、当初、厚生労働省様から示された事項を再掲した資料になります。今回のテーマである市販後安全対策については、製造販売後に実施する使用成績調査の在り方についての議論が中心になっております。
 3ページ目のスライドは、現行の使用成績調査の制度的な背景、果たしてきた役割を示したものです。使用成績調査には、ここに示しましたように再審査申請資料の中心的役割を果たす資料と、自発報告の補完としての意味合いがありました。ただ、2013年に実装されたRMP通知に従いますと、前者が追加の安全性監視活動、後者が通常の安全性監視活動の強化としての役割を担ってきました。
 4ページのスライドお願いします。しかし、自発報告の補完としての使用成績調査は、現在ではほかの制度の充実・強化等によってその目的での必要性は少なくなってきたのではないかと考えております。さらには、お医者様の働き方改革の制度導入や技術革新等に鑑み、我々としてはより適切な、より充実した市販後の情報収集及び評価を考えた場合に、現在の使用成績調査の在り方を見直す必要があるものと考えております。
 5ページ目のスライドをお願いします。先のスライドで示しましたように、自発報告を補完する目的での使用成績調査の必要性は少なくなってきていますが、なぜかということですけれども、ほかの制度の強化が挙げられるのではないか。すなわち、それが市販直後調査であります。特に市販直後調査に関しましては、リスクの早期の発見とともに以降の安全対策に貢献しており、十分機能していると我々は判断しております。実際、安全性速報が発出された事象の多くは市販直後調査期間中に検出されていて、また直後調査以降に発出されている速報については、もともと注意喚起していた副作用での死亡を含む重篤な転帰となった事例の累積が根拠となり、速報が出されております。
 6ページのスライドをお願いします。このような点に鑑みますと、ブルーレターの事例のとおり、市販直後調査と自発報告により、医薬品曝露から短期間で発現し医薬品との因果関係の推測が容易な副作用については、十分収集が可能と考えております。一方、医薬品の因果関係の評価が難しい副作用、例えば心不全等の心血管イベントや悪性腫瘍などについては長期観察が必要な事象になっております。これらの事象に関しましては、医薬品とは別の要因で生じている可能性も十分あることから、市販直後調査と通常の安全性監視では評価が難しく、これらに関しては追加の安全性監視がその候補になると考えております。また、このような事象に関しましては、日本単独での情報収集というより、国際的に評価していくことも今後考慮していくべきだと考えております。
 7ページ目のスライドをお願いいたします。日本の使用成績調査は、欧米に比べて追加の安全性監視活動を行う安全性検討事項が多くなっています。これは、追加の安全性監視活動が欧米では検討結果が明確になっているのに対し、日本では情報収集が主体という日本独特の状況になっていると言えます。
 8ページ目のスライドは、その一例としてアンデキサネットアルファでの追加の安全性監視活動を示したものです。欧米では検討課題が明確になっているのに対し、日本は情報収集が主体となっていることが分かります。また、血栓性事象の市販後の評価のため、欧米ではANNEXA-Iという無作為化試験を用いて評価を予定しており、各地域で独立に要求せずに結果を共有するという形になっております。
 9ページ目のスライドをお願いします。現状の日本の使用成績調査の課題をまとめますと、日本では一つの使用成績調査に複数の検討事項と、それに対する複数の目的を盛り込んで実施していることが分かります。厚生労働省が次に示されると思いますけれども、提示スライドに詳細がありますが、E2Eガイドラインの医薬品安全性監視方法には、受動的サーベイランスから記述的研究まで様々な方法が紹介されていますので、本来はそれぞれの安全性検討事項の目的に対してこれらを選択するべきだと我々は考えております。
 次のスライドも似たようなスライド掲載しておりますけれども、10ページ目は業界として目指す将来像を示したものです。業界として目指す将来像は、現状の使用成績調査を個別の事象、個別の目的に分解して、適切な安全性監視方法をそれぞれ選択して実施していく姿を考えております。
 例えば、通常の安全性監視の強化が必要な安全性検討事項1に対しては、先ほど申しましたように市販直後調査を追加の安全性監視計画として実施する。これは医薬品曝露から比較的短期間で発現して、情報収集ができる安全性検討事項を想定しています。
 安全性検討事項2は、潜在的に使用成績調査が果たしてきた役割として、使用実態の把握が重要なものになります。例えば、併用禁忌の医薬品の使用実績の調査等が挙げられます。こちらは、リアルワールドデータ等を活用して実態把握をする研究をすることで、使用成績調査の代用も可能と考えております。
 検討事項3は、長期観察しないと因果関係の判断ができない事象を想定しています。このようなものは追加の安全性監視が必要であり、海外で実施予定の研究の利用も含め、検討して評価をしていくことが必要だと考えております。
 11ページ目と12ページ目に業界側の提案をまとめた資料を提示しております。
 11ページ目に書いてあるのが、本日、お話ししてきた内容を基に業界の提案としてまとめたものがこのスライドになります。現状、日本においては、先ほど申し上げましたように、使用成績調査は追加の安全性監視活動と通常の安全性監視活動の強化の2つの役割を果たしてきました。しかし、今後は、通常の医薬品安全性監視活動で収集できる副作用などを基に安全性検討事項を分析し、安全対策を実施することを提案しています。
 すなわち、これまで収集してきた医薬品曝露から短期間で発現する安全性検討事項に対しましては、先ほど来申し上げています市販直後調査により通常の安全性監視活動の強化として情報を収集する。承認審査時に設定する追加の医薬品安全性監視活動に関しましては、長期間の観察を通じて初めて評価できるベネフィットリスクバランスに影響する重要なリスクが存在する場合のみに実施することを提案したく考えています。これは、我々としては漫然とした調査から、目的を明確にして、それに合った方策へという安全性監視活動をバージョンアップするという方針にかじを切れるのではないかと考えております。
 12ページ目をお願いします。では、具体的にはどうするのかという話ですけれども、これらの提案を通知上、明確にするためにも、12ページ目のスライドに示しておりますように、平成31年の審査管理課長・安全対策課長の二課長通知、もしくはこの通知に関するQ&Aにこれらの方針を明記することを提案したく考えております。
 なお、業界側は、我々の負担及び医療機関の負担軽減が目的ではなく、現在の環境を踏まえて使用成績調査の在り方を見直したいと考えています。具体的には、ベネフィットリスクバランスの評価、必要な措置の意思決定に寄与する医薬品リスク管理計画を適切に実施していければと考えております。
 以上が使用成績調査に関することですけれども、残り3ページの資料をつけております。そこで何を書いてあるかといいますと、厚生労働省さんからの資料の論点にも挙がっておりますけれども、全例調査とリアルワールドデータの活用について我々の意見をまとめておりますので説明したく思います。
 14ページ、リアルワールドデータの活用という資料ですけれども、リアルワールドデータを活用したデータベース調査に関しましては、我々業界側も使用実態の把握や適応対象患者での副作用の背景発現率の把握には、その活用は非常に有益だと考えております。しかし、対照群を設定して因果推論を行う観察研究においては、ここに記載のとおり、その活用に際しては十分な検討がまだ必要ではないかと考えております。
 よって結論としては、非常にデータベース調査は重要であり推進すべきと考えておりますけれども、リアルワールドデータは今のところ万能ではないことから、その特性を十分理解した上で活用方法を引き続き協議していきたいと考えております。
 最後のスライド、15ページ、全例調査についてです。全例調査についても、我々は一長一短があると考えております。簡単に言いますと、全例調査は広く事象を収集できて、調査目的に応じて収集する項目の設定が可能であり、多施設から統一した方法により医療情報の収集ができるということは合意しております。しかしその一方、リサーチクエスチョンが明確ではないことや、全例調査終了までに数年間を要し、期待されている医療現場への早期の安全性・有効性のフィードバック・情報提供にはつながっていないと考えられること、全例調査においては企業と医療機関の負担が大きいという面があると考えております。現在、このような状況のため全例調査については、安全性監視活動の議論結果を踏まえて、今後、継続的に協議していきたいと考えております。
 以上が私からの御説明になります。ありがとうございます。
○清田座長 どうもありがとうございました。
 続きまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、資料2に基づいて御説明させていただきます。
 一部背景などは今の柏谷構成員からの説明と重複するところもあるかもしれませんが、御容赦いただければと思います。
 資料2の2ページ目ですが、背景といたしまして、新薬の承認審査においては、承認申請時までに得られた治験等の情報には限りがあるということから、市販後、製造販売後にも継続的な情報収集が必要な場合が多いと考えられております。
 製造販売後の情報収集の手段としては、右側に安全性監視活動の例として4つほど挙げさせていただいておりまして、副作用情報の自発報告、使用成績調査、データベース調査、あとは製造販売後の臨床試験といった手法がございますが、このうち、現在では使用成績調査が多く実施されておりまして、これについての課題を指摘されております。
 課題としてこの下に4つ記載させていただいていますが、再審査のために本来必要のない使用成績調査が課されているのではないか、海外では日本ほど多く活用されていないのではないか、製薬企業や医療機関の負担も大きいのではないか、あるいはデータベース調査の利用を促進すべきではないかといった御指摘がありますので、これについての御議論をいただきたいというものでございます。
 3ページ目ですが、こちらは参考としていますが、医薬品リスク管理計画のイメージとして図示しております。安全性検討事項を定めて、安全性監視活動計画、リスク最小化計画を定め、その結果に基づいて安全性検討事項に立ち戻るといった循環をしていくといったイメージの図でございます。
 4ページ目は薬機法における安全対策の概要ということで、副作用報告制度、再審査、再評価といった制度に基づいて安全対策を行っていることをお示ししております。
 続いて5ページ目が、柏谷構成員からもありました平成31年の通知の概要をお示ししております。これは製造販売後調査の計画策定についての考え方を示したものでありまして、2ポツ目にもございますが、この通知におきましては、製造販売後調査等を実施する場合にはリサーチクエスチョンを明確にすることが重要であるといったことや、このリサーチクエスチョンとは、具体的かつ明確な調査・試験の課題のことであるといったことが示されております。ですので、この通知の内容について、それをさらに深めるとか補足的な事例を追加するといった方向性の御議論をいただくことになるのかなと思っております。
 次の6ページは、この通知の背景にあるような、そもそも医薬品の安全性監視についての大きな考え方がICHのE2Eガイドラインとして定められておりますので、そもそもはこうしたガイドに基づいて行っているものということで、参考としてお示ししております。
 7ページは、そのPMS通知のステップ1、ステップ2のところを原文を少し抜粋してお示ししておりますので、適宜御覧いただければと思います。
 8ページは、令和4年度の新薬において実際に製造販売後調査がどれだけ求められているのかの数字をお示ししたものです。
 左下が、令和4年度に承認された新薬が、特例承認や緊急承認、公知申請のものを除いておりますが、103件ございまして、そのうち使用成績調査45件、全例調査20件、製造販売後データベース調査が7件となっていて、なしが31件といった状況となっております。なしの部分は、多くが例えば抗がん剤の効能追加とか、既に承認されているものと大きく異ならない一部変更のものが対象となっていると考えられまして、このうち既に承認されているものと内容が大きく異なるものとして、再審査期間が付与されているものが72件ございます。これについてはもう少し調査の割合が増えてきて、なしというのが8件といった割合になっております。
 さらにこの中でも、新有効成分の医薬品については36件ございまして、これは使用成績調査が17件、全例調査15件、データベース調査が2件、なしが2件のみとなっており、なしの2件につきましても、この上のところにメンクアッドフィとバクニュバンスというものがございますが、いずれも新有効成分ではございますが、先行品があるような品目でありますので、全く新規のものでなかったという内訳となってございます。
 続いて9ページ目ですが、これらの中で製造販売後調査が実施された理由がどうなっているか、リサーチクエスチョンがどう置かれているかということについて、審査報告書から抜粋をさせていただいております。一部の例示でありますが、例えば、エパデールEMカプセルにおきましては、使用実態下における出血関連事象の発現状況を確認することが目的として示されております。次の2番目のネキソブリッド外用ゲルにつきましては、熱傷に関するものですが、一部の患者、熱傷面積が広範囲の症例とか低年齢の小児については症例数が少ないということから、さらなる確認の必要があるといった趣旨で調査が求められております。
 一番下のパリンジックにつきましては、極めて患者数が少ない疾患でございますので、日本人症例数が極めて限られることから、全症例を対象とした調査が求められたといった背景でございました。イメージとして捉えていただければと思います。
 10枚目は、製薬業界から提出いただいた資料ですが、現在の使用成績調査が安全対策にどれだけ寄与をしているのかといったことに関する文献情報などをまとめていただいたものとなっております。例えば、上の円グラフの一番左のものですけれども、これは2012年の日本の添付文書改訂144件について、その契機となった事象が何かということをまとめられた文献でございますが、84%が自発報告が根拠だったとされています。ですので、ある意味、使用成績調査ではなく自発報告による添付文書改訂の割合が大変多いといったことを示す文献ではないかということでございました。
 それから、下の「日本での研究」という行にありますが、医師の負担の割合も高いといったことも示されている。また、「ドイツでの研究」とありますが、調査型のものは「利益をもたらしておらず」といった表現もあったといったことを業界からの意見としていただいております。
 続いて11ページは、柏谷構成員の資料にもございましたが、日米欧での新薬の承認時における製造販売後の調査の実施状況についてまとめていただいたものです。緑色のところが調査やデータベース調査になっておりまして、日本の場合は大半が緑になっているが、欧米においては一部灰色のような、何もなしといったものもあるということです。
 それから、青い背景のところは、調査を行っているということですが、そのアウトカムが特定のアウトカムということで、調査項目が少ない、一部特定されているということです。先ほどの柏谷構成員の発言でもございましたが、日本のように網羅的な多くの調査項目を設定するのではなく、ある特定のものに限定しているので色が変わっているといった御趣旨を御説明いただいております。
 続いて12ページです。ここからこれまでの制度の事実関係などを御説明していきたいと思いますが、まず12ページは副作用報告の件数の年次推移でございまして、徐々に増えてきていることが分かる資料となっております。
 13ページは市販直後調査ですが、市販直後調査は使用成績調査とは異なりまして、主としてリスク最小化を目的としたものとなっております。市販直後の6か月間、医療機関に頻回に訪問をして情報収集をするとか、あるいは新たに得られた情報を提供するといった目的で、主にリスク最小化の目的で行われている調査でございますので、市販直後調査につきましてはその重要性を共有できているのかなと思っております。
 14ページは全例調査につきましての文献でございまして、全例調査の意義ですとか、あるいはリスク最小化の効果も期待されているといったことがまとめられております。
 なお、これはウェブに掲載した資料の修正が間に合っておらず、大変申し訳ございませんが、左下の表4と図6-2の誰の意見なのかということについて補足をさせていただいております。タブレットの資料には追記をさせていただいているのですが、図6-2と表4につきましては、いずれも製薬企業から回答を得たものだという位置づけの意見であるということで御理解いただければと思います。
 一方、15枚目は同じ文献から逆に医療関係者の負担に関する表を抜粋させていただいておりますが、こちらは調査実施医療機関の意見として製薬企業から回答を得たものでございます。こちらの資料で補足させていただいており、後ほどウェブの資料も差し替えをさせていただければと思っております。大変失礼いたしました。こちらにもありますように、医療機関の負担も大きいといったアンケート結果も得られていると理解しております。
 続いて16ページ以降は、データベースについて、これまでの取組とか必要性について簡単に御紹介させていただければと思います。
 まず16枚目は、安全対策において大規模医療情報データベースの必要性が過去指摘されており、それに基づいて医療情報データベースを構築したという背景の図でございます。
 17ページには、実際そういった問題提起に基づきましてMID-NETという医療情報データベースをPMDAに構築して、管理・運営されている状況でございます。
 この具体的な活動状況を18ページ目と19ページ目にまとめさせていただいております。詳細な説明は省略させていただきますが、抗がん剤とG-CSF製剤の併用による解析とか、19枚目はビスホスホネート製剤のリスク評価について、実際の活用事例があるということを御覧いただければと思っております。
 また、20ページ目ですが、安全対策においてデータベースの活用は、MID-NETのみではなく、例えばNDBといったその他のデータベースについても活用していることを御紹介するものでございます。
 21ページ目ですが、これは早期安全性シグナルモニタリングをMID-NETを活用して行っているものでございますが、新たな取組の一種として御紹介させていただいております。MID-NETの活用・利用については、調査計画の策定などに時間がかかるといった御指摘をいただいておりますが、早期安全性シグナルモニタリングについては、あらかじめ検討対象項目を定めておくことによって、医薬品の市販後、早期にMID-NETの活用ができるといったものでございます。
 22枚目にもその概要を示しておりまして、23枚目、24枚目には早期安全性シグナルモニタリングを用いた実際の事例をお示ししております。
 続いて25枚目からは、このデータベースを利用した添付文書の改訂などについて、これまで通知などを発出して、添付文書に反映することが可能であるといった方針もお示ししているというものでございます。
 27枚目、28枚目は実際の事例についてお示ししたということです。
 これらの状況を踏まえまして、29枚目に論点をまとめさせていただいております。
 1ポツ目ですが、実態上、ほとんどの品目で使用成績調査(全例調査を含む)が実施されているといった点について、まず品目ごとの重要な特定されたリスク、重要な潜在的リスク、不足情報をどのように設定するべきか。また、リサーチクエスチョンやそのクエスチョンに基づく適切な方法の調査に結びつけるにはどのように検討を進めるのがよいかについて御議論いただければと思っております。その際、データベース調査を活用することが適切と考えられるのはどのような場面かについても御議論いただければと思っています。
 議論に当たりまして、例示として2ポツ目をつけさせていただきます。例えば、資料中にも示しましたように、治験の症例数が少ないとか、一部の患者集団における情報が不足しているといった事由につきましては、製造販売後調査を実施すべきリサーチクエスチョンになり得るのかどうか。この場合の具体的な懸念事項とは何かについて御議論いただければと思っております。
 3ポツ目ですが、この具体的な懸念事項が存在しない場合には、使用成績調査を実施する必要はないわけですが、一方で、2ポツ目に例示したような情報が限られている場合に行うべきシグナル検出はどのように行うべきかについて御議論いただければと思っています。これが通常行われている市販直後調査や自発報告によって対応が可能なのかどうか、加えて、データベース調査を活用するべきかどうかといった御議論をいただければと思っております。
 次の小さなポツですが、データベース調査について、例えば先ほど御紹介したMID-NETにおいて行われている早期安全性シグナルモニタリングのような手法を用いることが想定されるのではないかと考えられるといった点についても御議論をいただければと思っています。
 最後の全例調査につきましては、使用成績調査を全例調査とする必要がある場合の条件の明確化や効率的な調査の在り方について御議論いただければと思っております。特に全例調査を通じた適正使用の推進については、調査とは目的が異なるため、別の方策の手当てについても検討が必要ではないかといったことについて御議論いただければと思っております。
 以上でございます。
○清田座長 ありがとうございました。
 ただいまのお2人の御説明を基に、今日は御自由に御意見をいただいて、その次に持ち越していくわけなのですけれども、とにかく自由な御意見をいただければと思います。最後のスライドの論点にもありましたような項目について御意見をいただけるのが望ましいかと思いますけれども、それ以外でも結構ですので、御意見のある方はお手を挙げていただけば。どうぞ。
○成川構成員 ありがとうございます。成川です。
 この検討会の趣旨がもともとはドラッグラグ対策というか、あるいは革新的な新薬を日本に早く導入するという趣旨で設置されたことは承知をしておりますけれども、本日の議論については少しそこから離れた観点でのコメントをさせていただきたいと思います。ただ、水面下ではつながっていることだと思います。
 市販後の医薬品の安全対策の強化とか質の向上というのはとても重要なテーマだと思っておりまして、その中で使用成績調査について検討するというのは重要だと思っています。一方で、その調査の意義や必要性とか手法の議論にとどまるべきではなくて、市販後安全対策のもう少し大きな枠組みの中での議論、具体的には再審査制度、医薬品のリスク管理計画制度、RMPという、より包括的なことも含めて、あるいはもしかしたら法改正なども視野に入れて、今後の安全対策の在り方について体系的な議論をしていくことが必要ではないかなと思っております。そういう意味で、この検討会でそういった将来につながるような方向性が出せればいいのではないかなというのがまず1つ目のコメントです。
 あと、少し各論的な話でございますけれども、今日のテーマの一つの使用成績調査については、先ほど柏谷構成員から御説明があったとおり、事の起こりは自発報告の補完だと私も理解をしています。サリドマイドの薬害事件を受けて、医薬品の製造承認等に関する基本方針が示されたり、副作用モニタリング制度などが始まった1960年代後半頃は、医療機関からの副作用報告がすごく少なかったということを聞いたことがあります。国立病院から年に2~3件しか上がってこなかったという状況だったようで、今とは大分状況が違ったという中で、自発報告をどう補うかという形でこの調査が導入された。少なくともそのきっかけの一つであったという記録を読んだことがございます。
 現在は、当時と比べますと、ファーマコビジランスを取り巻く環境は劇的に変化をいたしました。一方、使用成績調査の方法自身は大きな変化は遂げられていないというのが私の認識でありまして、そういう環境の変化も含めて考えますと、使用成績調査の役割というか意義というのは相対的にはかなり低下をしたのではないかという分析をしています。
 使用実態下で安全性の情報を集めるということ自身は意義があると思うのですけれども、今の調査のやり方を眺めても、そもそも施設選定とか施設の中での症例選定が本当にバイアスなく行われているのかどうかということはかなり疑わしいですし、調査のための処方が行われているということも聞くことがございます。それから、デザイン的にも、対照群のない前向きのコホート研究という制約の中で、得られた情報を活用する場面も限られているということもございます。
 手続的なことを申し上げますと、今のGPSPの省令は、調査実施時の医療機関側の倫理審査とか患者さんからの同意の手続は一切規定がないのです。あとは、医療機関におけるデータの信頼性の確保についてのルールもないということでございますから、せめて臨床研究の倫理指針に対応するぐらいの規定はGPSPの中にも入れていただく必要あるのではないかなという問題意識は持っているところです。
 そういうことで、調査に費やすリソースと、そこから得るアウトプットというか情報が安全対策にどうつながってくるか、バランスを見ながら、各論というかやり方あるいは必要性についても議論していく必要があるのではないかなということでございます。
 最後に一点だけ、全例調査についてでございますけれども、私は全例調査は安全対策における伝家の宝刀だと理解をしております。何を申し上げたいかと言いますと、伝家の宝刀は抜き過ぎてはいけないということです。企業はもちろんですけれども、医療現場にも相当な負荷がかかります。それから、品目数が多いと、恐らく医療現場の緊張感も薄れていく、企業の緊張感も薄れていくということでございまして、いざというときに期待される効果が発揮できなくなるのではないかという危惧を持っておりますので、そういった点も頭に入れながら、今後の運用の在り方を議論していく必要があるのではないかということでございます。
 まとめますと、安全対策で楽をするという意味ではなくて、めり張りをつけてリソースの再配分をして、これから来るべき新しい薬に対する市販後の安全対策を十分にやっていく、効果を高めるためにはどんなことをやっていくべきかという視点で検討していったらいいのではないかなということでございます。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 事務局のほうから何か補足はございますでしょうか。
○次世代ワクチン等審査推進室長 今、成川構成員から非常に多岐にわたりました包括的なコメントをいただいたかと思っております。特に事務局として何か補足や訂正をさせていただくことはありませんので、今の議論もベースにしていただいて皆様から御議論、御意見を頂戴できればと思います。
○清田座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○佐藤座長代理 佐藤陽治です。
 教えていただきたいのですけれども、柏谷構成員の御発表と事務局の御発表の中で、リアルワールドデータという言葉が出てきていたのですが、書いてあるものを見ますと、リアルワールドデータには3種類あって、1つ目は電子カルテとかレセプト情報、2つ目はいわゆる患者レジストリーとか製品レジストリー、3つ目がウエアラブルデバイスなどから出てくるようなデータと書いてあるのですが、今日の御説明を聞いているとそれとは違うようなイメージがあって、今日のお話にあったリアルワールドデータと事務局のデータベース調査というのは、今申し上げた3つのうちの1番目を指しているように見えて、そして、最初に御紹介したリアルワールドデータの中でも2番目が使用成績調査とか製品レジストリーに該当しているように思えるのですけれども、その辺はそういった理解でよろしいのでしょうか。
○清田座長 まず事務局から。
○医薬安全対策課長 ありがとうございます。安全対策課の野村でございます。
 御指摘のように、広義で言いますとリアルワールドデータは、主に電子カルテあるいはレセプト,DPCから構築されるもの、2つ目としてレジストリー、これはカルテなどから改めてデータベースに情報登録するものになります。3つ目に御指摘をいただいたウエアラブルデバイスも、まだ恐らくデータの転送等に知見がないので様々な分野での使用がこれから期待されるということになっておりまして、主に1つ目と2つ目が大きな対象になると思っております。規制上、いずれも利用は可能だと思っておりますし、先ほどから御指摘のあったE2EのICHのガイドラインでもレジストリーの話が出てきているところがございます。
 今、主に実態上は、レジストリーに関していうと、むしろ開発の辺りに使うような御関心も高いと思いますが、もちろん市販後にもうまく使えるものがあればということだと思います。ただ、別途医政局のほうで、CIN、レジストリーに関する推進の事業もしておりましたけれども、1番目も一緒かもしれませんが、患者さんの同意などの問題もあって、すぐに使える基盤となるレジストリーなどは入手可能なものがなかなか少ないというような限界もあって、これも含めて今後の課題ではないかと考えております。
○清田座長 よろしいでしょうか。
 柏谷さんのほうから何か。
○柏谷構成員 柏谷です。
 業界側としては、まさしく野村課長がおっしゃられたとおりだと思っておりまして、我々のほうが一足飛ばしにデータベース調査に行こうではないかと声を大にして言わないのは、やはりまだ環境整備が整っていない部分があるのではないかと。ただ、将来的には非常に期待できる手法でもありますので、将来的にはそこにスライドしていきたいのだけれども、今、実効性とか実装性を確認させていただいている最中という状況でございます。
○清田座長 ありがとうございます。
 よろしいですか。
○佐藤座長代理 ありがとうございます。
○清田座長 今の御説明は成川先生の先ほどの御意見の一部にもかぶっているような感じがしますけれども、成川先生から改めて何か。大丈夫ですか。ありがとうございます。
 ほかに、どうぞ。
○芦田構成員 芦田です。
 今ちょうどリアルワールドデータのお話が出たところですので、教えていただきたいと思いまして発言いたします。
 一般的にも、リアルワールドデータの活用は、市販後調査だけではなくて創薬も含めて様々な用途に期待されていることは承知しております。
 MID-NETについてお聞きします。MID-NETの運用が開始されたのが2018年度ということで、5年以上が経過しています。拝見すると、拠点数や病院数は必ずしも増えているわけではないですけれども、国立病院機構と連携をされるということなので、症例数の増加を図っていることは理解をしています。
 そこで、過去5年、6年というところで、これまでの使用状況がどのようなものかについて教えていただきたいと思います。資料の中には事例が紹介されていますが、定量的に見てどのような使用状況なのかを教えてください。恐らく使用される方というのは、当局、PMDAであったり、アカデミアであったり、それから製薬企業ということが想定されていると思いますが、どれくらい活用されているのか、またそれがどういう傾向にあるのかというところをお聞きしたいと思います。
○清田座長 どうぞ。
○医薬安全対策課長 ありがとうございます。
 今、具体的な数字を出しておりますけれども、大きく申し上げて、御指摘のように行政当局、PMDA、私どもが相談の中で使うものと、それから企業の方々に主に再審査に向けての製造販売後データベース調査としてお使いいただくという目的がございます。それから、アカデミアにも門戸を広げてはいるのですが、正直なところ、利用料の問題などもあってなかなか進んでいないという状況でございます。
○清田座長 芦田先生の御質問は、どのくらいの数の新薬についてこれが活用されていて、どのくらいの施設の数がこれに参加されているのかということなのではないですか。
○芦田構成員 もし定量的なデータがあるのであれば。
○安全使用推進室長 こちらはPMDAのホームページに利活用の状況が載っております。今、即席で数えておりますけれども、製造販売業者または外国医薬品特例承認取得者による調査という項目の中を数えますと、13ございます。そのほか行政利活用のほうはまだ数を数えておりませんけれども、こちらのほうでも活用しております。
 これについて、山口さんからお願いできますか。
○PMDA医療情報科学部長 PMDA医療情報科学部長の山口です。よろしくお願いします。
 平成30年度に本格稼働いたしましたが、それ以降に、先ほどもご説明いただいたとおり、行政利活用のほかに企業による利活用が13品目が利活用承認されており、それ以外に利活用に関し検討いただいれいる品目がある状況でございます。現在検討中品目については非公表なので品目数は控えさせていただきます。そのほか、アカデミアの利活用については数件利活用いただいていると思っていただければと思います。よろしくお願いします。
○清田座長 ありがとうございます。どうぞ。
○芦田構成員 ありがとうございます。
 今13件という数字ですとか、アカデミアは利用料の問題もあるとおっしゃいました。これは私の推測も入りますが、恐らくMID-NETを開始するときに想定されていた使用状況に比べれば、利活用が進んでいないのではないかなと思います。
 先ほど柏谷構成員からも、課題があるという御指摘がありました。今後、こういったMID-NETの利活用を促進していこう、進めていこうといったときに、どういった課題があって、どういった改善が望まれているのかについて、何かお考えがあるのであればお聞きしたいと思います。
○PMDA医療情報科学部長 医療情報科学部長の山口から回答させていただきます。
 MID-NETの利活用数が、平成30年度4月から本格稼働時の想定数より少ないのは御指摘のとおりでございます。
 製造販売後データベース調査に限って言えば、制度上、MID-NET以外を利用することが可能です。一方、全体的な実施件数が伸びておらず、年間100品目程度承認されておりますが、製造販売後データベース調査を実施する品目数は5~10品目と低くなっております。そのうちの3割程度をMID-NETが占めるという形になっております。全ての製造販売後データベース調査がMID-NETで実施できるわけではありませんので、全体の3割を占めていますので、それなりに数字は取っていると思います。ただし、まだまだ利活用促進に向け努力する余地が残っているとは考えています。
 これまでの努力について一部ご紹介させていただきます。令和2年からMID-NETの改善策の三本柱の活動を展開しており、その中で利便性の向上に関する様々な活動を展開してまいりました。その一つの活動である国立病院機構のデータベース(NCDA)との連携につきましては、本年10月に利活用の受付を開始させていただいており、既に企業からも数件問合せいただいているような状況です。現時点、利活用の申出までは進んでおりませんが、そういう状況でございます。
 そのほか、最近では、利活用中の企業の生の声をお聞きする機会を設けました。要望事項に対しできるだけ改善するように取り組んでおり、その状況を2月28日のMID-NETシンポジウムで発表する準備をしています。また、それらの取組みの内容につきましては、昨日、お知らせ文書を出しました。シンポジウムでは、こういう取組をしていますのでぜひ聞いてくださいということで、皆さんにお声がけしたところでございます。
 以上でございます。
○清田座長 ありがとうございます。
○芦田構成員 ありがとうございます。
 今、どういう認識をされているかということと、改善をどう図られているかということをお聞きしました。そこで柏谷構成員にもお聞きしたいのですけれども、今PMDAのほうでいろいろな改善策を取られているということなのですが、それについて業界側として、その傾向でいいとお考えなのか、まだまだ不十分だとか、もっとこういうことをしてほしいというようなものがもしあればお聞きしたいと思います。
○柏谷構成員 企業といいますか、各社戦略がございますので、全部が全部同じ方向を向いているとは限らないと思いますけれども、やはり企業ですので、効率化であったり、費用の面であったり、そういうことも念頭に置いて活用すべきは活用するということをやっていると思います。
 その中で、まだ活用がそれだけ進んでいないということは、各社そうだと思いますけれども、まだまだ使い勝手の悪いところがあって、ベネフィット・リスクというか対費用効果にかなっていないのではないかなと思っているので企業は使っていないのだと思っています。
○清田座長 ありがとうございます。
 私が伺いたいのは、全国立病院機構の中の何%ぐらいがこれを活用しているのか。それから、活用している施設は、データを入力するためのアディショナルマンパワーというのか、そういう人がいるのか、そこら辺は分かりませんでしょうか。
○医薬安全対策課長 御説明させていただきます。
 まず利用という観点で言いますと、一般的に広く利用していただいているということで、国立病院はむしろデータを入れる側ということなので、利用というよりはデータを入れていただくということになります。
 基本的には、レジストリーとは異なりますので、手入力をするということではなくて、カルテにある例えば検査データであるとか、一定の構造化された部分、レセプトデータ、DPCを電子的に変換をして、それを使わせていただくということにはなっております。
 ただし、これは日本の医療環境の問題になるかと思いますが、病院ごとに電子カルテの仕様であるとか、それにひもづく様々なシステムの状況が異なっておりますので、ここの変換なりデータの転送にそれなりに手間がかかり、ここはPMDAもかなり人力を割いてデータをつくっている。ただ、このためにほかのものにないような形で、検査データのコードがかなりそろった形で御利用いただけるものの、こういったところが拠点をなかなか増やしにくい理由にもなっているという背景がございます。
○清田座長 ありがとうございます。
 よろしいですか。
 どうぞ。
○中村構成員 中村でございます。
 質問なのですけれども、NHOの施設から新しくデータをということで、小児のほうの情報収集事業を見ていますと、データを抜いていこうとするとかなり抜けない情報があって、ちょっとした書き方の違いでデータが抜けなかったり、データの正確性あるいは粒度が最初のうちはなかなか上がらないということがあると思うのですけれども、もともとMID-NETに入っている医療機関はそこの辺りを苦労して直してきていると思うのですけれども、新しくぽんと入れたNHO側の医療機関とデータの正確性とか粒度というのはそろうものなのですか。それとも、そこはもうある程度許容してやっておられるということでしょうか。
○医薬安全対策課長 まず、NHOに関して申し上げると、レセプトデータとDPCを共通化していただいているということなので、それ以外の電子カルテデータ、検査データについてはこれからの取組ということになります。
○中村構成員 理解しました。
○清田座長 ほかに御質問はございますでしょうか。
○中村構成員 中村でございます。
 先ほどPMDAの資料でも、例えば製造販売調査の結果、添付文書改訂が行われたのは8.7%13件と書いてあったり、柏谷さんからの意見でも、総論的な、このようにできるのではないかとおっしゃっているのですけれども、こういったものはこの程度省けるよねという具体例をお示しいただけたほうが我々はイメージが湧きやすいのかなと思うのです。もしかしたら、ここにいる人間がみんな違うものを想像している可能性があるのかなという気がしていて、その辺りを類型化してお示しいただくことができるのか。
 それから、さっきの13件について、成川先生がもしかしたら製造販売後調査しなくても自発調査で引っかかったのではないかという意見もあるということをおっしゃっていましたけれども、実際にその可能性があったのか。要するに、製造販売後調査の結果で出たものについて、自発調査を見たら自発調査でも十分に出たのかとか、その辺りはどの程度あるのでしょうか。その辺りの具体例がないと、今後の議論としてどこまで変えられるかという議論がしにくいように思うのです。
○清田座長 お答えになりますでしょうか。
○次世代ワクチン等審査推進室長 今、御質問いただいたところまで詳細な分析ができるデータが手元にはないというのが正直なところです。例えば、使用成績調査を実施することによって自発報告の件数が促されるとか、そういうのも理論上は考え得るかと思いますが、実際のところどうなのかというところは、実証的なデータとしては今持っておりません。
 使用成績調査を今後省略できる場合を考えていくとして、どういったケースで省けるのかというところについて、これもまだ具体的にこういう場合は問題ないことが確認されましたとか、そこまでのデータはございません。
 今日、医療現場の先生方もたくさんいらっしゃいますので、こういう場合までは必要ないのではないかとか、もしお感じになるところがあれば、ぜひ御意見をおっしゃっていただきたいなと思います。
○清田座長 これに関していかがでしょうか。
 小川先生、どうぞ。
○小川構成員 小川です。
 必要ないのではないかという側ではなくて、逆に必要なのだけれども不十分だというところをコメントさせていただければと考えています。
 全例調査の課題あるいは使用成績調査(全例調査を含む)の課題として挙げられていたことの中に、医療機関の負荷、企業の負荷というのが挙げられていますけれども、その負荷をしてでも、特に小児のデータというのは入れるべきだと思って我々は入れております。ですが、その入れた使用成績調査あるいは全例調査の結果が十分に利活用されていないと感じております。
 利活用された例としては、マイロターグというお薬がありますが、そのお薬に関しましては、再審査報告書の中に「この薬は通常成人には」と書かれていて小児には用法用量のない薬剤ですけれども、0~14歳までで使用された件数と副作用の状況が報告されておりまして、小児においても成人と変わることなく、副作用の発現率が有意に多いという傾向はないことが明記されております。ですが、我々が特に抗がん剤において、再審査報告書が出るたびに、その再審査報告書を「小児」というワードで検索をするわけですが、ほとんどの再審査報告書において小児の使用症例があるに違いないと思われるにもかかわらず、検索すると小児はゼロです。全部の中にワンワードも小児が出てこないという状況があります。
 せっかく全例調査をしているのであれば、「通常成人には」と書いてあっても、効能効果が正しく使われているのであれば小児で使ってはいけないということではないと理解しておりますので、小児のデータは必ず再審査報告書の中に入れて、特別な背景のある患者等という項目を必ずそこに入れて評価をし、その結果を書いていただきたいと考えています。
 よろしくお願いいたします。
○清田座長 これは大丈夫ですか。
○次世代ワクチン等審査推進室長 事務局からお答えいたします。
 小児での全例調査の結果などを再審査の報告書に記載をするという御提案をいただいだと思いますけれども、恐らくそれぞれのケースによって科学的にどれぐらいのエビデンスレベルにあるか、どれぐらい医薬品の適正使用あるいは有効性・安全性のエビデンスとして有用かというところは、個別に評価をして判断していくのかなと思っておりますが、問題意識は承らせていただきたいと思います。
○清田座長 ありがとうございます。
 中村先生。
○中村構成員 先ほどの私の質問については後で柏谷さんにも具体例のイメージを説明いただけばと思うのですけれども、今の件についてですが、小児科の領域で元から言われているのが、例えば小児への安全性が確立していないとか、使用経験が少ないとか、何歳未満では使用経験が少ないと書いてあると、先生方が自発報告もしないのではないか。そこは本来、厳密な意味での適応外使用ではないはずなのだけれども、現場の先生として何となく安全性が確立していないと書いてあるのに使っているというところから、自発報告を控えているのではないかという議論が何度か小児科学会の中でされたことがあって、最近では変わってきているのかもしれませんけれども、そうではなくて、ちゃんと使ったら現場の先生には自発報告は出してほしいと考えています。それがその後に、そのデータを踏まえて、例えば添付文書に反映されないまでも、インタビューフォームの中で何らかの形で反映されるとか、そういったことがないと小さい子供の情報がなかなか入ってこないので、そこも併せて御検討いただければと思います。
○清田座長 よろしいでしょうか。
○次世代ワクチン等審査推進室長 小児で使用した場合に自発報告を控えるケースが多いというのは、私自身はあまり認識として持っていなかったのですけれども。
○中村構成員 私も具体的な数としては聞いたことはないのですけれども、最近はそういう議論をしていないのですが、10年~15年前は先生方の中でそういったことをおっしゃっている方がたくさんいたので、もしかしたら、我々みたいにこういったことに常時接しているような、小川先生のような医療機関ではちゃんと出すかもしれませんけれども、一般の民間病院の先生方はそういうものを出していない可能性があるかなと今でも思っています。
○清田座長 小川先生、さっきお手が挙がっていました。
○小川構成員 自発報告の状況については分からないのですけれども、全例報告であって集計がなされていても、適応外かもしれないということで、企業さん側があえてそこだけに着目した集計をすることをためらうことがあるのではないかと推測しております。
○清田座長 柏谷さんからお答えになりますか。
○柏谷構成員 柏谷です。
 企業としては、全例調査ですので報告されないということは恐らくないのではないのかなと思っております。
○小川構成員 報告はしているのですけれども、先ほどのような、例えば特別な背景を有する患者ということで、小児と成人と高齢者という分類をして副作用の発現率を記載することが再審査報告書の中になされていないということです。
○柏谷構成員 柏谷です。
 企業側から申しますと、恐らくその前提において全例調査の実施が求められてきているのであれば、当然、企業側はその結果に関しても広く共有しているはずですので、私の認識不足かもしれませんけれども、レポートされないということは理解がなかなか難しいのかなと思っております。
○清田座長 今日のお話は、小児領域に特化したものではなくて、超希少疾病に特化した話でもないのですよ。ですから、一般論として、先ほどの6か月以内のデータの報告が問題なければ、その後の調査項目も考慮しなくてはならないかというお話から始まっているものですから、当然、小川先生のお話だとずっと全例調査をするような。
○小川構成員 全例調査に全例が入っていないということを申し上げているわけではありません。
○柏谷構成員 柏谷です。
 小川先生の施設ですから協力しないということは絶対ないと思うのですけれども、協力していただければ必ずレポートには載るものだと思っております。やはり協力できないという施設さんも中にはございますので、そういうところの施設のデータが載ってこない可能性は否定できないのです。
○清田座長 ありがとうございます。
 成川先生、どうぞ。
○成川構成員 成川です。
 先ほど中村構成員から御指摘もありました使用成績調査の効果と意義の話なのですけれども、実はこの論文の一部は私も著者になっているものですから、少し思い出して解説しますが、当時、10年ぐらい前に調査をやったときに、使用成績調査の意義というか役に立っているのをどうやって測定するかというのは非常に苦労をいたしまして、苦肉の策で、添付文書の改訂の情報源になっているかどうかというのを一つの調査項目にしたという経緯がございます。
 本来であれば、例えば日本全国を2つに分けて、やる地区とやらない地区で社会実験でもできれば一番いいのですけれども、それは現実的ではないので、いろいろな周辺情報を集めながら推測するしかないのではないかなと思っています。
 あと、自発報告にも使用成績調査にも、いわゆる過少報告、アンダーレポーティングは確実にあります。それについて私の研究室で研究をやったこともあります。ただ、過少報告、つまり報告されない事象の多くは、頻度の高いもの、あるいは既知のものです。ですから、逆に言うと、未知のものとか重症なものは、ゼロとは言いませんけれども、多くのものが自発報告でも使用成績調査でも捉えられているという理解をしていいのではないかと私は思っています。JADERのデータを用いた研究などもしていますが、非常に質が高くて有意義な情報が入っていると思っているので、それを基に日々のシグナル管理をきちんとやることがまずは安全対策の基本なのではないかなと思っています。
 それで、使用成績調査的なデザインの調査の役割があるとすると、それは先ほどの小川先生の議論に通じるのですけれども、特定の患者集団に限って安全性情報を手厚く集めたいというときには、そこだけにフォーカスをして使用成績調査をやる。小児とか高齢者とかそういうところへの活用の余地はあると思っているのですけれども、実は、集計してみるとそういう方を対象にした調査というのは意外と少ないというのが現実なので、一つの方向としてそういうところにフォーカスをするというのもあり得るかなと思っています。
 もう一点だけ、市販直後調査を6か月やった後に、データをきちんと吟味をして、そこで一度立ち止まって、その上でその後の市販後調査の計画を立てるという二段階というか、承認のときに全部を決めるのではなくて、RMPも途中できちんと見直していくというサイクルを回していくのも一つの現実的な対応ではないかなと思っております。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 よろしいですか。
○柏谷構成員 柏谷です。
 成川先生のおっしゃるとおりでございまして、企業側はもう完全にアグリーしたいと思います。
○清田座長 ありがとうございます。
 宮川先生、どうぞ。
○宮川構成員 成川構成員がおっしゃったように、一度立ち止まって考えることは今までないと思います。ですから、承認するという立場に立って考えるとそこが見えないので、ここは全例調査だとか、きちんとやらなくてはいけませんよとなるわけです。企業側も早く新薬として出したいから、乏しいデータ内容でも何とかしてほしいので、市販後、全例調査をしますので、というような企業の姿勢もあるのではないでしょうか。
 ただし、先ほどから柏谷構成員がいろいろおっしゃっていることですが、はっきり言いますと、それは柏谷構成員を含めた一部の優れた企業の話かもしれません。そうでない企業もあるかもしれないので、どのように考えてきちんと制度をつくり上げるのかということを考えないといけない。先ほど成川構成員がおっしゃったようなことが起こっているわけだから、制度をつくるのであれば、立てつけはしっかりと考えていただきたい。
 ただし、今言ったように、半年で立ち止まって評価をするところがあるという形がしっかりと取れれば、承認審査のところもやりやすくスムーズに行くのではないかなと私は思っています。ただし、いろいろな企業体の思惑とばらばら感があるので、全てを信用していいのかというと、はっきり申し上げて、本当に信用して良いかということはあるのではないかなと思います。
○清田座長 性善説で行きたいなと私は思っているのですけれども、いろいろばらばらな感じもあるようですね。
 最初の論点に戻りたいのですけれども、ほとんどの品目で使用成績調査が実施される点について、品目ごとの重要な特定されたリスク、重要な潜在的なリスク、重要な不足情報をどのように設定すべきかという論点が書いてありますが、これに関しては、難しい話だと思うのですけれども、こうやったらいいのではないかという御提案はございますでしょうか。
 これは、品目によって設定するべき話なので、具体的に一律に定義づけは難しいという理解でよろしいですか。
○次世代ワクチン等審査推進室長 コンセプトとしては、個別の医薬品ごとに承認時までに得られる情報とか、その他様々な科学的な情報を基にリサーチクエスチョンを検討する。先ほど御紹介した平成31年のPMS通知にもそのコンセプトは示されています。
 ただ、コンセプトはあっても、こういう場合にはこうするという具体的なものがあまりありませんので、どうしても人によって、あるいは企業によって、その判断が変わったりといったところもあるかとは思います。
 先ほど一つの事例として御議論にあったのは、小児のような特定集団でのデータを集中的に集める必要があれば、そこに特化した調査をするとか、それが必要な情報なのであれば、そこにフォーカスするという一つの考え方かなと思っております。そういったものがほかにも考え方として幾つかあるということであれば、そういったものをうまく活用していくこともあるのかなと思っております。
 事務局から具体的に御提案ができればよかったのですが、そこまで経験の蓄積等も含めて準備が整っておりませんが、御議論いただければと思っております。
○清田座長 論点としては、曖昧なようなので。
 川上先生、どうぞ。
○川上構成員 ありがとうございます。
  資料1、7ページ目の「欧米の検討課題が明確になっているのに対して、日本は全般的な情報収集が主体になっている」ことが、ドラッグラグ/ロスの要因になるかどうか、直接関係するかどうかには疑問もありますけれども、欧米が検討課題を明確にした市販後安全対策を取られているのであれば、欧米が検討課題をどのように作っているかを参考にすれば、資料2、29ページ目の論点、1つ目のポツについては答えがある程度見えてくるのかという気がしました。
 それから、データベースに関しては、2010年ぐらいに薬害再発防止のための医薬品行政の見直しが基にあり、より安全対策を進めるために医療情報データベースが活用できるのではないかということについて、自分も参加しましたけれども、いろいろと議論があり、それが今のMID-NET事業につながっていっていると理解しています。
 当時、アメリカにはセンチネルプロジェクトがあったので、日本版のセンチネルプロジェクトを目指そうとか、いろいろな思いを持って行政の方も、協力する医療機関側も、今のMID-NETにつなげていったと思います。その後、今から5年くらい前にGPSP省令が改正になって、製造販売後データベース調査や、複数の医薬品の比較評価ができる使用成績比較調査ができるなど、制度が整ってきたのですけれども、そのデータベース調査があまり進んでいないことが、本当にドラッグラグ/ロスにつながっているのかというところは、自分も理解しにくいので、少し明確にしていただけると良いかと思いました。
 以上でございます。
○清田座長 ありがとうございます。
 御意見はありますか。
○事務局 事務局でございます。
 ドラッグラグ、ドラッグロスとの関係については、結局、この会議の当初からも議論がありましたが、ドラッグラグやドラッグロスの原因は単一ではなくて、様々な要因に基づいて、結果的に製薬企業の判断として日本への開発をしないという選択肢が取られる場合があると理解しています。なので、日本への開発が難しいと考える様々な要因のうちの一つとして、こういった市販後の負担が大きいということもあると製薬企業のほうから聞いております。
○清田座長 つまり、直接影響はあまり与えていないという感じの理解ですかね。
○事務局 これを解決することで、全てのドラッグロスが直ちに解決されるものではないと思っていますが、ただ、日本への開発を検討する上でのハードルの一つが少し下がるといったイメージなのかなと思っています。
○清田座長 という理解でよろしいでしょうか。
○柏谷構成員 柏谷です。
 やはり日本の独自性を貫いている通知とか判断がちょっと多いというのが今の日本の現状で、MRCT参画前の日本人症例もそうですし、そこのところは欧米並みに合わせて足並みをそろえることで、より開発を推進しやすい環境をつくっていくという意味では、今回の市販後調査の在り方を検討するというのは、大きな部分ではないかもしれませんけれども、全部つながっていくのかなと思います。
 こういうことを全部一つずつクリアにしていくことで、いよいよ厚生労働省もちゃんとベネフィット・リスクでドラッグラグ、ドラッグロスに注力しているというのが世界に打っていけるのではないかなという感じを持っています。
○清田座長 ありがとうございます。
 川上先生が指摘された欧米のクリニカルクエスチョンの設定がどのように行われているのかというのは、情報としては仕入れていますか。柏谷さん。
○柏谷構成員 そこら辺のところは、業界に持ち帰って一度検討させていただきたいと思います。恐らく回答できないことはないと思いますので、調査した上で次回か次々回に御報告させていただきたいと思います。
○清田座長 中村先生。
○中村構成員 中村でございます。
 資料の11ページのこっち側ですよね。こっち側というのは、EMAとFDAで緑ではなかったところがなぜそうなったかということをまとめていただければ、そこで類型化できるはずなのです。それをまずお出しいただかないと、医療現場側としてもイメージがしにくいのですよね。調査には協力しても、最終的にどういった思考プロセスがあって結論が出されたかを知らないので、そこはぜひお願いできればと思います。
○柏谷構成員 了解しました。
○清田座長 これはぜひ宿題として、この次に教えていただければと思います。
 ほかに。どうぞ。
○PMDA審査マネジメント部長 事務局のPMDAの審査マネジメント部でございます。
 本日はできるだけお話をせずに構成員の先生方のお話を伺おうと思っていたのですが、途絶えそうなのでお伝えさせていただければ。柏谷構成員の資料の5ページ目に過去のブルーレターの一覧が出ているので見ていただければと思うのですが、ちょうどこの真ん中に3つ並んでいるのが実は私が関係をしたものでございます。
 実はブルーレター以外に、安全調査会にはかけたのですが、そこまで至らなかったものが2014年12月にジェブタナという前立腺がんのお薬がございました。このときは、今後日本人データの有無というところに絡んでくるかもしれませんが、かなりすばらしいお薬で、海外で先行されて第3相試験まで行った。日本に導入するときに、日本の第1相試験の48人だけのデータで承認をされて、そのときに、発熱性好中球減少症、FNと言われる副作用が日本人は半分ぐらい出て、海外の第3相試験では1桁辺りしか出なかったというものです。
 ただ、日本の場合は第1相試験ということもあって、結果的に見ればかなり管理をされていたので死亡症例は出なかったのですが、発売されてから3か月間で5名がばたばたと亡くなって、その他にも重症のFN患者もいらっしゃったというものでございました。
 承認時は、海外の治験で死亡症例が出たということもありまして、禁忌のところで、FNに対しての対応、検査を頻繁にしてくださいとか、発熱が起こったらすぐ対応してください、感染症対策をしてくださいという形でしていたのですが、やはり現場にそこがなかなか届かなかったということがございました。
 この医薬品は骨髄抑制のところについて、日本でも出ていたのですが、発症のリスクの頻度が分からなかったということもあり全例調査をかけておりました。発熱性好中球減少症についても、その経過も含めて全例調査をしておりました。
 これは経験からのお話なのですが、実際に死亡症例が続発をしてきたときに、企業の方は医療機関からもう既に調査の契約をしていましたので、症例の詳細は比較的早く収集することができ、分析をし、企業の方が自発的に安全性情報を出した後すぐに、その後に行われる安全調査会という国の調査会のところで、その対応状況と添付文書の状況を御説明をして、取りあえず注意喚起はしている。この注意喚起の徹底がやはり重要なのだというようなことでそれを徹底をし、その後、さらに死亡症例が連なるとここのリストに載るようなことがあったのかもしれませんが、その後は現場のほうも適正使用の徹底がなされたということで今に至っているという医薬品がございました。
 ですから、こういうものがあるから、全部が全部を続けるわけではなくて、成川構成員のお話とか皆様のように、必要があるものに対して注力するべきというのは変わらないのですが、そういう事例がありました。
 一つは、川上構成員の話にもあると思いますし、欧米との差を見ていただければ分かると思うのですが、欧米の場合は先行している場合があるので症例数がリッチである。医療環境というのもかなり重要で、先ほどの事例も、発熱性好中球減少症が起こったときにすぐにG-CSFをすぐに投与しなければいけないというのが徹底されていますが、躊躇される方もいたということもあり、日本でもそれをすぐに投与するようにという注意喚起もしたということもあるので、医療環境の国内外の使用経験というのも重要なのだなというのは、そのときの事例で実感をしたというものであります。
 ですから、海外と違う場合には、一つは承認されるまでに承認される国のデータがどれほどあったのかというのも重要なのかなと思っております。
 以上でございます。
○清田座長 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。どうぞ。
○佐藤典宏構成員 PMDAの先生から御発言いただきましたので、PMDAの話をさせていただきたいのですが、承認のときのクリニカルクエスチョンの設定は、恐らくPMDAの方たちで過去のいろいろな製品を考えながら設定されると思いますし、その中で、PMDAにいらっしゃるドクターの立場の方が大きな役割を果たされると思っていますけれども、私のところにもPMDAの人事の方からよくお話をいただくのですが、とにかく人が足りないです。
 私のところも医者が2人、3人行っていますけれども、1人は小児科の腎臓ですし、1人は糖尿病ですけれども、糖尿病も本当に自分1人か2人ぐらいしかいないということで、なかなか難しいところがあったり、先生がおっしゃった日本の医療現場の特殊性と言われても、自分の病院とその周辺しか知らない可能性もあるわけで、なかなか広がらないということで、我々アカデミア側も、もし立場が許されるのであれば、クリニカルクエスチョンを一緒に設定することも全くやぶさかではないですし、成川先生のアンケートにあったと思いますけれども、医療機関で何が一番嫌かというと、何でこんなに忙しいのに意味も分からない協力をさせられるかというのが一番ストレスになるところですから、意味のあるところは喜んで協力する。全員ではないかもしれませんけれども、少なくとも私の知っている周辺の人たちはみんなそうなると思っています。
 薬の承認だったり、なかなか難しいデータの在り方というのはあるかとは思うのですけれども、いろいろな形で我々アカデミア側はPMDAさんにどんどん医者を送れる環境もなかなかない中ですから、官と学がうまく連携しながらクリニカルクエスチョンを一生懸命設定するという作業を御一緒にできるような仕組みをうまくつくれれば、中村先生がさっきおっしゃった緑の部分が青くなるというのがもっと増えてくる。海外の分析もそうですけれども、日本の分析をもうちょっとしたらどうかしらと若干思ったりもしたところです。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○PMDA審査マネジメント部長 佐藤構成員、いつも御協力いただいてありがとうございます。
 PMDAの審査マネジメント部の清原です。
 制度といたしましては、我々だけで審査をしているわけではございませんでして、専門協議という場で、専門医の方とか統計とか非臨床とか外部の先生も入ってもらった上で御意見をいただいております。
 審査報告書の2というところでそこは出ておりまして、たまにはそこでは我々以上にクリニカルクエスチョンを立てられる場合もありますので、そういう意味では広くアカデミアの先生方の御協力をいただいて今審査をしているという状況でございます。今後もいろいろ御協力をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○佐藤典宏構成員 ありがとうございます。
 広いとおっしゃるかもしれませんけれども、もうちょっと広くてもいいのではないですかねという気がします。重々分かりましたけれども、もう一歩も二歩も進んで、お互いの領域を超えて一緒に仕事をするともっといいことが起こるのかなと思いますので、今に満足しないで、もう少し御一緒にいかがでしょうか。よろしくお願いします。
○清田座長 どうぞ。
○中村構成員 専門協議に参加される方はごく少数だと思うのです。その方がすごく融通が利く人だと、学会内のいろいろな先生に聞いて、様子が分かっていただけると思うのですけれども、例えば小児科学会だと、関連の薬事委員会の先生全員と連絡網を持っていて、何か問題があると関連の学会の人にいろいろなことを聞くような体制もできていますし、そういった人たちをもっと活用してもらうといいのかなと、全く同じ意見です。
 それから、ちょっと感じているのですけれども、昔、安全対策課長になると自分が現役の間に訴えられるのではないかということを気にされている方が多々いたと聞いたこともありますけれども、そういったことがあると、安全対策をされている方もコンサバティブになって、これも調べる、あれも調べる、あるいはアカデミアで一生懸命情報を集めても、それを添付文書なりインタビューフォームの中になかなか反映しにくいというところがあるのではないかと私は思っています。
 その辺りは、過度にそういった部門の方に責任がかからないような形で、もうちょっと融通を利かせて、集まった安全性情報を何らかの形で情報発信ができるようになるといいのかなと。ただ、情報ソースがどれぐらいで、データの信頼性がどの程度かということがある程度分かる形で出してもいいのではないかと思います。そうしないと、指針にのっとってデータを集めるとなるというのはなかなか大変なことで、難しくなってきますので、その辺りの枠組みを許容するところもあっていいのかなと思っています。
○清田座長 よろしいですかね。
 何か抽象的な御指摘で、もうちょっと具体的な。
○宮川構成員 論議が、PMDAの人員がすごく足りないという核心のほうに行ってしまったような感じがしますが、本当は資料2の2ページ目の背景の1行目なのです。「新薬の承認審査においては、承認申請時までに得られた知見等の情報に限りがあり」と書いてあるわけです。これをどのようにきちんと集められるか。そこに英知を出せるかどうかです。
 私は、審査のときに審査報告書をよく読むのですがすごく面白いわけです。専門の先生たちがどのように協議されたのか、その中には専門家だからこそ言う内容があるのだけれども、非専門家からするとここはどうなのかと思って質問したりするというところが審査のときにあるわけです。それが審査の前の段階できちんとされていれば、先ほど佐藤構成員や中村構成員や成川構成員が言ったように、11ページの緑と色分けになっているところの問題の根本が解決できるのです。審査の前の段階は物すごく大事で、PMDAがそこに注力できれば、審査のときにどのような問題点があって、十分ではなかったところはその後どうすればいいのかという進め方ができてくる。
 だから、先ほど中村構成員が色づけのところが物すごく大事だと言ったのが、今回の問題の焦点だろうと考えます。それは企業の在り方によっても変わるし、PMDAの現状によっても変わってくるというところで、ここをどうやってブラッシュアップして議論していけるかということになれば、問題の糸口が少し見えてくるのではないかなと思います。そういう形で議論が進んでいけば、企業の負担も軽くなるし、企業の対応は様々あってもそれを均一化することができます。PMDAでもそこにいろいろな意見を入れてきて、審査のときに私たちの審査も楽になってくる。その後、どうやって方向性を立てて、今日の座長はもうそういうところにいらっしゃるわけだからお分かりになるのだろうけれども、その後の承認のときにどのような附帯事項を入れるのかというのがよりはっきり分かってくるのではないか。そこに焦点を当てていくことが非常に重要なのかなと思っております。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 締めていただいたような形になりましたけれども、要は、PMDAとしても分かってはいるのですよね。分かってはいるけれども絞り切れない部分があるということで、それが市販後の調査なりに生かされるようにシンプルに設定していただければというのが多分皆さんの御意見だろうと思います。The simpler the betterですよね。そんな感じで、今日はこの辺で終わりたいと思いますが、ほかに御意見はございますか。
 どうぞ。
○柏谷構成員 企業から最後に。
 今日、宮川構成員がおっしゃられたとおり、そこのところは恐らく今日私が申し上げたような企業の提案とイコールになるのかなと思っておりまして、今回、緑だとか、中村構成員からありましたこの表を出しているのは、やはり日本というのは、悪いことではないと思うのですけれども、例えば全例調査をやり始めたときは、当然データがないわけですからどんどんデータを集めてこいということで、何でもかんでもと言うと語弊がありますけれども、出せる情報は全部載っけてくれということで今まで集めてきたわけです。日米欧の三極間を考えたときに、何でもかんでも載せてこいという形ではないわけで、やはりリサーチクエスチョンであるとか必要な情報を正確に収集して、その上で判断するという方向にかじを切ったらどうだということになってきていますので、それが恐らく今日の皆さんの御結論になったのかなと思っておりますので、ぜひとも今日私がいただいた宿題に関しては適正に情報提供したいと思います。
○清田座長 どうもありがとうございます。
 よろしいですか。
○中村構成員 中村です。
 さっきお聞きしていた治験のデータが少ない場合という枕言葉が出てきた場合に、小川先生の領域とかもそうですけれども、日本の小児でほとんどnがいない場合に、あまり何でもかんでも製販後に厳しい調査を課すと、それはそれでまた企業にとってハードルになるので、そこは海外にどれぐらいのデータがあるか、人種差がどれぐらいありそうか、そういったことを総合的に判断するという視点も入れていただければと思っています。そういったことがもし小児の薬であれば、柏谷さんからそういったものについてお示しいただければなと思っています。
○清田座長 ありがとうございます。
 多分、反映されると思いますので、よろしいかと思います。
 よろしいでしょうか。
○佐藤座長代理 1個だけ事務局に確認なのですけれども、29ページ目の論点のリスクは3種類ありますが、リスク分析の原則的なアプローチ方法についてのガイダンス文章みたいなものはありませんでしたか。そういうのはなかったですか。
 それと、川上構成員がおっしゃったような国内での事例とか海外の事例でも、国内規制当局が納得できるような事例を提示すると、品目ごとの考え方がおのずと見えてくると思うのですけれども、どうなのでしょうか。
○次世代ワクチン等審査推進室長 すみません。ガイダンス的なものをもしこの場で御存じの方がいれば。E2Eのことですか。
○医薬安全対策課長 先ほどから御紹介のあるICHE2Eというガイドラインの中に、一応その3つの定義は記載されていると思います。プラス、先ほどから出ている平成31年の通知に、若干その後の補足的なお話が入っているかと思います。今回、通知の状況を詳しくお示ししておりませんので、また次回以降などに少し補足をさせていただければと思います。
○清田座長 ありがとうございます。
 今日はこの辺でよろしいでしょうかね。
 まだ、その他がございました。その他を事務局から。
○事務局 その他として、次の議題として資料3を御準備していますので、そちらの御説明をさせていただければと思います。
 その前に、関連するものとして、参考資料8と9は以前の検討会で御議論いただいた日本人の第1相試験に関する考え方ですけれども、昨年12月25日に通知とQ&Aを発出させていただきました。先生方には作業など御協力いただきまして、ありがとうございました。
 これに関連いたしまして、資料3でございます。バイオシミラーに関して、日本人のP1の議論と併せまして同様の整理をできればと思っております。
 背景のところに書いていますが、バイオシミラーにつきましても、現在先行品と同等性を検証するために日本人データの取得を求めておりますが、一方、ジェネリック医薬品ではそういったものを必須とすべきではないということで、そういったことも踏まえまして見直し内容として、バイオシミラーにおきましても民族差が試験結果に影響しないと考えられる場合には、日本人データがなくても受入れが可能となるような取扱いを変更したいと考えております。
 具体的には2ページ目のような、これまで出しているQ&Aの変更とか追加をしていきたいと考えておりますので、併せて御報告させていただきます。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございました。
 この点につきまして、よろしいでしょうか。
 どうぞ。
○川上構成員 内容については十分理解しますし、よい方向性かと思います。
 一方で、バイオシミラーの現状として、市販されているものは海外の導入品がほとんどなので、この通知を出すことで、バイオシミラーの国内開発がさらに阻害されないように、バイオ医薬品やバイオシミラーの開発促進と、こういった措置はセットで進めていただくことが重要かと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○清田座長 よろしいでしょうか。
○次世代ワクチン等審査推進室長 ありがとうございます。
 御指摘のとおり、例えば国際共同治験に日本人も一緒に参加して、その中で同等性を検証するとか、そういう形を国内のメーカーも含めて推進していく。それによって、海外への展開も含めて活性化していくことが重要かなと認識をしております。御意見ありがとうございます。
○清田座長 よろしいでしょうか。
 どうぞ。
○石井構成員 国衛研の石井でございます。
 Q&Aの見直し案の方向性について異論はございません。追加で加わりました新設のQ&Aについてお伺いしたいのですけれども、影響しないと考えられる場合、どのように確認すればよいかというQで、答えの第1段落として確認の方法の例があって、第2段落に「特に」ということで差異が認められた場合の記載がございます。
 第1段落の確認方法として、先行バイオ医薬品のデータを使うことになっていますので、こちらはよく理解できます。第2段落は、「特に」として「差異が認められた場合」となっていますので、このときは第1段落の例示のような考え方はできないケースになるかと思いますので、そういったときに、民族的要因及びその影響を確認することは難しいのではと思います。
 ですので、第2段落の文章を見直す必要がないかについては、御検討いただく余地はありますでしょうか。
○次世代ワクチン等審査推進室長 今の御指摘の中身を私自身が十分に理解できないところもありますので、また後で教えていただければと思いますが、こちらのQ&Aはまだ内容が確定したものではありませんので、趣旨を変えないというか、より分かりやすく正しく記載する方向で多少の見直しをすることは可能かと思いますし、ぜひ先生から御助言をいただければと思っております。
○石井構成員 ありがとうございます。
○清田座長 よろしいでしょうか。
 ほかに御質問はございませんでしょうか。ないようでございます。
 それでは、本日の検討会は以上ですが、事務局からの御連絡や御報告はありますでしょうか。
○次世代ワクチン等審査推進室長 本日もありがとうございました。
 議題1について御議論いただきました御意見は事務局のほうで整理をさせていただきまして、次回以降、どのような対応方策があり得るかというのを御議論いただきたいと思っております。
 次回は2月を予定しておりますが、具体的な日程については決まり次第、皆様に御連絡をさせていただきます。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。また来月お目にかかります。よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。