2024年1月11日 第2回 健康・医療・介護情報利活用検討会 医療等情報の二次利用に関するWG 議事録

日時

令和6年1月11日(木)13:00~15:00

場所

WEB開催
TKP新橋15A(15階)

出席者

構成員(五十音順、敬称略)

議題

(1)前回のワーキンググループで頂いた主なご意見について
(2)諸外国における取組について
(3)公的DBと医療等情報の活用拡大により想定されるユースケースについて
(4)医療等情報の二次利用に係る基本的な考え方、論点について
(5)その他

議事

議事内容
【医政局企画官】事務局でございます。定刻になりましたので、ただ今より、「第2回健康・医療・介護情報利活用検討会、医療等情報の二次利用に関するワーキンググループ」を開催いたします。
 皆さまにおかれましてはご多用のところ、本ワーキンググループにご出席を頂き、ありがとうございます。本日は構成員の皆さまにおかれましては、対面とオンラインの併用による開催とし、会議の公開につきましてはYouTubeのライブ配信で行うこととしております。
 オンラインでご参加の構成員の皆さまにおかれましては、会議中ご発言の際は手を挙げるボタンをクリックしていただきまして、カメラをオンにしていただきますよう、お願いいたします。主査からご指名を受けてからマイクのミュートを解除してご発言をお願いいたします。ご発言終了後は、再度マイクをミュートにしていただきますよう、お願いをいたします。
 次に本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は、高倉構成員からご欠席とのご連絡を頂いております。また井元構成員、落合構成員から遅れてご参加されるとのご連絡を頂いております。また石井構成員、松田構成員におかれましては、まだオンラインでお入りいただいてないところでありますが、この後、入っていただけると思います。
 次に資料の確認をさせていただきます。資料は、議事次第、それから資料1、資料2、資料3-1、3-2、資料4、資料5、それから参考資料1、参考資料2でございます。不備などございましたら事務局までお申し付けいただければと思います。
 事務局からは以上でございます。それでは森田主査、議事進行をよろしくお願いいたします。
【森田主査】皆さま、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。本年は元日から能登で大きな震災がございまして、被災された方にはお見舞いを申し上げたいと思います。
 では早速ですが、議事に入りたいと思います。本日の議題は5つございます。1. 前回のワーキンググループで頂いた主なご意見について。2、諸外国における取組について。3. 公的データベースと医療等情報の活用拡大により想定されるユースケースについて。4. 医療等情報の二次利用に係る基本的な考え方、論点について。そして5がその他でございます。議題1から4が審議事項、議題5は報告事項となっております。
 まず議題1から議題3までを一括してご議論いただきたいと思っておりまして、資料1から資料3-2まで、事務局からまずご説明をお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
【医政局企画官】事務局でございます。それでは資料1から資料3-2まで順番にご説明をさせていただきます。
 まず資料1でございます。前回の第1回ワーキンググループで構成員の皆さまから頂いたご意見を事務局においてまとめたものでございます。前回のワーキングでは、このワーキングで今後どういったことをご議論いただくかということをご説明し、また製薬協からプレゼンをしていただいたところでございます。その際に構成員から頂いたご意見をこのような形でまとめさせていただきました。
 論点1が、公的データベースで仮名化情報を利用するための法制度の在り方。それから論点2として情報連携基盤の整備の方向性についてということで、そこで頂いたご意見をこのようにまとめさせていただきました。最後に製薬協さんのプレゼンの中でも頂いたご意見をその他のご意見として4ページ目にまとめさせていただいております。資料1は以上でございます。
 続きまして資料の2. 諸外国における取組について簡潔にご説明をさせていただきます。この資料2につきましては、米国、EU、それから英国の医療情報の一次利用・二次利用に関する取組をまとめさせていただいたものでございます。
 ただ、あくまでもわれわれの調査時点で可能な範囲において調べたものでございまして、内容が必ずしも最新のものでない可能性などもございますので、一定の限界があるということで、資料各ページに、右肩に未定稿というふうに付けさせていただいてございます。ちょっと枚数が多うございますので、要点をかいつまんでご説明をさせていただきます。
 まず資料の4ページ目からが米国でございます。米国につきましては、1996年にHIPAAという連邦法が成立をしておりまして、その下位規則としましてHIPAAプライバシールールが制定をされております。
 HIPAAプライバシールールの概要につきましては6ページでございます。保護対象情報――protected health informationの使用、または開示について定められておりまして、基本的に本人の治療や支払い、またヘルスケア、法律に基づく場合、また公衆衛生や研究開発など公益の目的など、プライバシールールで許可された目的以外に使用する場合については本人の同意が必要というふうにされております。
 さらに2009年には、少し戻りますが、5ページですが、HITECH法が成立をしております。今申し上げましたHIPAAプライバシールールの違反の基準と罰則ですね。あと、情報漏洩(ろうえい)時の保険福祉省への申告、患者本人への通知義務など規定をしたものになってございます。
 スライドの8ページ目が米国での一次利用・二次利用における全体象を図示したものでございます。二次利用につきましてはこの下半分辺りでございまして、公的データベースが左のほうの薄いブルーの枠の中でございます。一番左にCMS――メディケア・メディケイドサービスセンターの公的データベースがあります。
 真ん中左ですけれども、AHRQ――医薬研究品質庁の公的データベースがございます。AHRQのデータベースにつきましては、企業などの利用者については、そこに図示されてますHCUP Central Distributorに対して利用申請を行いまして、そこで承認を受けて利用するということになってございます。ここのデータベースのデータにつきましては、9ページにその一覧を、整理をさせていただいております。
 このHCUPにおきましては、利用者からの申請を受けて承認をしてアカウントを発行・管理をすると、そういう機能とともに一定の統計データを利用する、そして可視化をして示すことができるという、いわゆるダッシュボードの機能を備えておりまして、その内容を少しイメージを持っていただくために10ページのスライドに一枚付けさせていただいております。
 米国では、こうした公的データベース以外にも民間保険会社など民間企業の大規模な臨床情報データベースがございまして、8ページの全体像でいきますと、右側半分がそうした民間保険会社、民間企業等のデータベースの図になっております。そうしたものも含めまして、主なデータベースの一覧、またそのデータの内容などを11ページのスライドでまとめさせていただいております。
 続きまして13ページ以降のEUについてご紹介をいたします。EUでは、まず2016年に一般データ保護規則――GDPRが成立をして2018年から施行されております。
 14ページでございます。GDPR 6条です。前回のワーキングで製薬協さんからのプレゼンの中でもありましたけれども、EUでは必ずしも患者の同意取得に依存していないということでありましたが、このGDPR 6条で個人情報を適法に扱う根拠として、ここにあります6要件のいずれかを満たすということが求められております。
 左のaからfまでございまして、患者同意の取得に限らず、b契約の履行、法的義務、またはeの公共の利益、またf正当の利益のいずれかを満たすということが求められているということでございます。
 次15ページがEHDSの概要でございます。EHDSにつきましては、現在、案ということで提案をされ、EU議会のほうで議論はされている最中と承知をしておりますが、左の提案の背景と目的のところにありますとおり、先ほどGDPRで一定の保護がされているにもかかわらず、自身の医療、健康に関する電子データへのアクセスが必ずしも均一的にできていないと、それをできるようにするということ、それからGDPRの実施解釈の不均一を統一するという目的のために、このEHDS規則案が提案をされているところでございます。ですので、あくまでもEHDSにつきましては、医療情報の分野でのGDPRの補完的な位置付けということになってございます。
 このEHDS規則案の主な内容を17ページのスライドでまとめさせていただいております。また18ページのスライドがEHDS規則案で想定されている二次利用の仕組みを図式化したものでございます。
 真ん中やや右側にHealth Data Access Bodyという枠で囲ったところがございます。EHDS規則案では、各国に公的な機関としてHealth Data Access Bodyという機関を設置をして、ここでデータの収集・処理、また許可、それから利用の監視・監督といったことを行うということにされております。
 研究者や企業などデータの利用者は、このHealth Data Access Bodyに利用申請を行いまして許可を得た上で、下にありますHealth Data@EUにおいて仮想化された安全な処理環境、いわゆるビジティング環境においてデータを利用するということになってございます。ここでは統計データや匿名データはダウンロードが可能ではありますが、いわゆる仮名化データについてはダウンロードが不可というふうにされております。
 続きまして20ページ以降が英国でございます。英国につきましては、EUの離脱に伴いましてGDPRをUK GDPRというふうにして制定をして適用してきております。
 23ページに英国の一次利用・二次利用の全体象を、図示をしております。二次利用が下半分でございます。中央、薄ブルーのところにNHS Englandがありまして、ここの中のSecondary Uses Service――SUSにおきまして公的データベースの利活用が行われております。
 具体的には次の24ページのスライドでございます。左側にSUSの簡単な内容をまとめさせていただいております。NHS Trustsなどから登録された医療等データを取り込みまして、データのクレンジング処理など行った上でデータベースに格納をしています。
 格納されたデータへの利用者のアクセス権の管理につきましては、少し行ったり来たりして恐縮ですが、前の23ページのスライドでいきますと、SUSの右側にData Access Request Services――DARSというのがございます。DARSに利用者はデータの利用申請を行います。そこで許可された利用者については、その下に赤字になっていますが、Trusted Research Environment――TREにアクセスを行いまして、ここでデータの利活用をしていくということになってございます。
 今申し上げましたTREの概要を25ページに付けさせていただいております。TREでは、ビジティング環境の中で分析ツールを提供して、アクセス権限が増やされた者のみがデータを利活用することができる。また基本的にデータそのものについては、ダウンロードはされない。また利用者の利用状況を監視、また記録することができるというところがメリットとされております。
 26ページには、NHS Englandのデータベースでのデータの内容、データ・カタログ・セットの一覧をまとめたものでございます。以上が英国でございます。
 最後に29ページのスライドで各国の倫理審査委員会の体制を比較した一覧を入れさせていただいております。これは後ほど資料4の中での論点として提示をさせていただいていまして、そことも関連しますので、ここにちょっと入れさせていただいたものでございます。
 今回このワーキングで、一元的な情報連携基盤を構築して審査体制をつくっていくということについてのご議論を頂くことにしておりますけれども、その際に医療情報を利活用する際の倫理審査をどうするかという論点があるというふうに考えております。
 特にこの中でいいますと、英国やフランスなどでは公的機関が倫理審査委員会を設置しておりまして、この中で情報の利活用の面での倫理面、社会面での審査も行うことになっています。あらかじめ審査する項目なども設定をした上で、ここで審査をされています。そうすることで個別の研究機関、大学等の研究機関における倫理審査を別途行うことは省略されております。こういったことが、今後わが国でも情報連携基盤の中で一元的に審査を行う上で非常に参考になるだろうと思って、このスライドを付けさせていただいております。
 その他、参考資料としましてフィンランド、フランスの仕組みなどを資料として付けておりますけれども、説明は省略させていただきます。資料2については以上でございます。
 続きまして資料3-1でございます。厚生労働大臣が保有する医療・介護関係のデータベースを一覧にしたものでございます。今回のワーキンググループでこれら厚労大臣が保有する公的な医療・介護関係のデータベースについて仮名化情報での利用可能とするため、またその情報の連携基盤をどうつくっていくかということを議論いただきますので、その前提としてこうした一覧を用意させていただきました。
 左半分がナショナルデータベース、介護データベース、DPCデータベースなど、要は個人を特定できる情報は持っていないデータベースでございます。右半分の濃いブルーのところ、全国がん登録のデータベース、難病や小慢、感染症データベースについては、個人が登録できる形でデータを保有しているデータベースとなってございます。この中で、予防接種のデータベースと感染症のデータベースは現在構築中ということでございます。
 それぞれどのような情報項目を保有しているかなどをまとめております。またデータ取得時の本人同意がどうなっているかと。この中でいいますと、難病と小慢のデータベースだけはデータ取得時にも本人の同意を取得しておりますが、それ以外のデータベースについては、基本的にデータ取得時の本人同意は取っておりません。
 またその下、第三者提供するデータと提供先をまとめております。現在は、基本的には匿名データのみを第三者に提供することが可能になっておりまして、国の他の行政機関、地方公共団体や大学などの研究機関、民間事業者等に提供することができることになっております。唯一、全国がん登録データベースだけは、あらかじめ顕名データを、患者が生存している場合には同意を取った上で顕名データを提供するといったことも可能になってございます。
 その他、提供時に各審議会での意見聴取、または審査の手続きなどが規定をされております。また、その他の公的データベースとの連結解析などができるようになっておりまして、どのデータベースと連結ができるようになっているかを一番下にまとめさせていただいております。
 2ページにおきましては、法律上のそれぞれの利用目的、提供の目的がどうなっているか。またはデータベースの管理、保守、運用などの事務がどこに託されているかなどをまとめさせていただいたものになっております。
 また、これ以外に右側2つにオレンジと灰色の欄を作っておりまして、次世代医療基盤法の認定事業者のデータベース、それからPMDAが運営しておりますMID-NETについて同様に情報をまとめたものでございます。
 これ以外にも、わが国には民間事業者が保有・運営しているデータベースが幾つかございまして、1ページの欄外でございますけれども、主だったところを5点ほど例として挙げさせていただいております。
 3ページでございます。今申し上げました医療・介護のデータベースにつきまして、それぞれ根拠法がございますが、その根拠法の中でさまざまな安全管理措置、保護措置を設けられております。
 左側ですけれども、本人を識別する目的で他の情報と照合してはならないという照合の禁止、それからデータの利用の必要がなくなった時には消去しなければならないというデータの消去の義務、それから安全管理措置として具体的には厚生労働省令などで規定をされております。
 点線の枠の中ですけれども、組織的な安全管理に関する措置、それから人的な安全管理に関する措置、また物理的環境に関する措置ということで、データを取り扱う区域の特定とか立ち入りの管理・制限などでございます。また技術的な安全管理に関する措置ということで、不正アクセスの行為を防止するための適切な措置などが規定をされてまとめられております。
 また利用者の義務ということで、みだりに他人に知らせたり、不要な目的で利用してはならないということ、また、これらに違反した場合の対応を右側でまとめておりまして、厚生労働大臣による立ち入り検査、また是正命令、それらに違反した場合の罰則といったことがそれぞれの法律で規定をされているということでございます。
 続きまして資料3-2でございます。今申し上げた公的データベース、医療・介護の公的データベース、その利用を促進する。またはさまざまな臨床情報の利活用を進めていくことで、どういったユースケースがあるかということをまとめたものでございます。
 前回のワーキンググループで製薬協さんからもプレゼンをしていただきました。その中でも言及があった内容も含めまして、このような形でまとめたものでございます。
 まず一番上でございます。医薬品や治療法の研究開発ということで、一番上のポツは、まさに仮名化情報を見据えれば長期的な受療状況を比較するということができるようになりますので、全く別の他の疾患に対しても新たな効能の特定につながる可能性があるということも指摘をされております。
 また2つ目ですけれども、例えば糖尿病などの生活習慣病を念頭におきますと、要はヘモグロビンA1cや腎機能の検査だけではなくて、眼科や歯科など他の受診科での検査結果なども長期に比較することで、より有効性の高い治療法の検討ができるということも指摘をされています。
 また3番目は障害福祉の関係でございます。障害福祉サービスの利用状況、またそれによる効果など長期的に分析をするといったことも可能になるというふうに考えております。
 4ポツ目は、薬剤禁忌を持つ患者の代替薬として何が使用されているかということを把握することで、より安全性の高い治療方法の特定につながるといったことも考えられると思います。
 それから真ん中、その下でございますが、医薬品の副作用の検討でございます。これは大病院だけでなくて、転院後の地域の医療機関も含めた長期的な服用後の臨床情報、検査結果などを分析することで、副作用の出現しやすい患者さんの特定、または医薬品との因果関係なども含めた安全性検証ができるようになるという可能性があるということが言えるかと思います。
 次は臨床試験の効率化でございます。例えば希少な疾患の患者さんが、どのような地域、どのような医療機関で診療が行われているかということを把握することで、より治験を組みやすくなる。そうすることで医薬品の臨床開発のスピードが向上していくということが期待されるところであります。
 そして患者さんの背景情報など把握をするということで、臨床試験の成功率の向上に資すると、そういった分析も可能になるということが指摘をされております。
 それからその下、疫学分析の精緻化でございます。ここでも症例数が少ない希少疾患と言っておりますが、例えば希少がんとか小児がんなどにおきまして地理的な情報も含めた分析を行うことで、罹患や予後の予測・分析などがよりできるようになるということが期待をされております。
 また最後に、革新的な医薬品・治療法の研究開発ということで、症例数が限られた疾患などにおいても、臨床情報を把握するということで、その対照群としてのデータとして利用していくといったことも可能になるということが期待をされるというふうに考えております。
 これ以外にもさまざまなユースケースがあると思いますが、ここでは一例としましてこれらをまとめさせていただいたものでございます。資料の説明は以上です。
【森田主査】ありがとうございました。それでは、ただ今のご説明につきましてご質問、コメント等ございましたらご発言いただきたいと思います。なお事務局からの回答につきましては、ある程度まとまってから回答いただくことにしたいと思いますので、ご了承ください。それではご発言のある方は挙手をお願いいたします。清水構成員、どうぞ。
【清水構成員】ありがとうございます。東京大学の清水です。
 2点質問、コメントなんですけれども、まず1点目のほう、もし私が聞き漏らしたんだったら申し訳ないんですが。資料3-1、厚生労働大臣が保有するデータベースについてなんですけれども、これらのデータベースを、今回最終的にはこういうものを、全て仮名加工を可能にして使えるようにするという前提で話をするってことだったんでしょうか。すいません、ちょっとそこ聞き漏らしちゃったんだったら申し訳ないんですけど。ここで今日初めて見るようなデータベースもあるんで、これらのデータベースの位置付けが今回の議論の中でどう位置付けにあるかという質問になります。
 2番目は、今度はコメントになるんですけども、資料3-2の中で、こういうユースケースがいろいろあるってことは、もちろんこういうためにこれからデータを使えるようにしていこうってことだと思うんですけれども、この中で、例えば副作用の検討っていうのがあったんですけど、今世の中にあるようなデータベースで副作用を感知するって、実は結構難しいことの一つになってるんですね。なぜかといったら副作用とは必ずしも書いてない。
 予見される副作用があれば、その副作用に関する何か治療がされてれば副作用があったなっていうふうに認識するとかっていう形になってしまうのです。幾つか他にもあるんですけども、特に副作用を例に挙げますと、副作用を感知できるようにしようっていうんであれば、インプットのほうで、副作用を感知できるような仕組みを少し入れておかないと難しいので、またそこですごくいろんな議論になってしまう可能性があるんでということをちょっと留意しながら話を進められたらなと思っております。
【森田主査】ありがとうございました。回答はまとめてというふうに申し上げましたけれども、最初のデータベースの位置付けにつきましては、同じような質問が出てくる可能性がありますので、ちょっとお答え、先にしていただけますか。
【医政局企画官】ご質問ありがとうございます。清水先生から今頂きました1点目のご質問でございますが、今のこの資料3-1で挙げましたこれらのデータベースが議論の対象にはなるだろうと思っています。今これら、基本的には匿名加工での情報を第三者に提供するということのみになっておりますが、仮名加工した状態でその情報を出していくということをできるようにするということが議論の対象になっていくと考えております。
 ただ各データベース、それぞれ所管の審議会、または検討会などがありますので、実際にこれらのデータベースをどうしていくかというのは、所管の検討会で、またそれぞれのデータベースのユースケースなども踏まえて関係者と議論した上で実際には決まっていくというものだと思っていますが、このワーキングでは、今ここにお示ししたようなデータベースを仮名化していく際に、どういう保護措置なり、法的な整理を付けた上でやっていくべきかというところを総論としてまとめていただきたいというふうに考えております。
【森田主査】よろしいですか。それでは続いて山本構成員、オンラインで手が挙がっているようですので、お願いいたします。
【山本構成員】ご説明ありがとうございます。海外の状況、諸外国の状況のところなんですけども、詳しい調査をありがとうございました。ただ、これで制度上の違いとかの仕組みはよく分かるのですけども、これを動かすのに実際にどれくらいのリソースがかかっているのかも、今日でなくて構いませんので教えていただければと思います。
 そう申しますのは、私、5年ほど前に米国CMSのデータオフィサーをやられていた方を招いて講演会を開いたんですけども、その時にCMSのこのデータ提供だけで、いわゆるデータアナライズができるスタッフを70人抱えているというんですよね。それはものすごい数で、日本の保険局でNDBをやっているのに比べると何十倍という規模になっていて、しかもデータベースの規模はNDBのほうが大きいですから、それを何か仕組みを変えればできるというだけのものではないと思うので、そういう意味ではどれくらいのリソースが必要でやられているのかというのも、もちろん無駄もあると思いますけども、それを少し、いずれで結構ですので教えていただければと思います。以上です。
【森田主査】ありがとうございました。それでは山口構成員、どうぞ。
【山口(育)構成員】ありがとうございます。山口でございます。私は資料2の29ページのところにある審査体制のことでお尋ねしたいと思います。日本では今、倫理審査委員会、IRBやCRBなど非常に数が増えてしまって、ここに2,500と書いてありますけれども、数が増えたことによって質のばらつきが出てきているということと、運営の仕方自体も各医療機関や研究機関に任されていて、どういう人を選んでいるかということも非常に差が出てきていて、それをきちんとどういう体制になっているか審査というか、チェックすることもなかなかできていない状況だと思っております。
 にもかかわらず、今回利活用のことについて、また新たに審査体制ということになると、また増えるということになってしまうと問題が出てくるのではないかと思ってます。
 英国とフランスが、公的機関が設置主体になっているということで、特に英国は地域でつくられているというふうに理解しておりますが、こういった公的な機関である程度数を絞って運営されていることによって、例えば審査する時の視点であるとか、それから審査の方法であったり質の担保など、そういったことがどのように行われているのかということと、それから委員を選ぶ時の選抜の方法ですね。そういうものがもし分かっていればご紹介いただきたいと、教えていただきたいということが質問です。以上です。
【森田主査】ありがとうございます。他にいかがでしょうか。中島構成員、どうぞ。
【中島構成員】よろしくお願いします。
 説明、大変よく分かりました。この資料3-2については、単なるユースケースと言ってしまえばそうなんですけども、この会議自体が医療情報の二次利用ですよね。そういう目的で話し合う場ですので、このユースケースというのは結構大事じゃないかなと思います。ちょっと薬剤に偏り過ぎているかなと思ってましてもう少し広げて考えるべきではないかと思いました。つまりこのユースケースで想定して初めて、どのデータベースとどのデータベース突合したらいいかとか、もっと他のデータベースも欲しいとか、そういうことが分かるわけですので重要だと思うわけです。
 例えばこの中には予防領域、あるいは保健領域といいますか、そういうことへの期待だとか、あるいはバイオマーカーの発見のこととか、あるいはもっと言えば製薬以外の企業が考えるようなユースケース、例えばそういう健康食品だとか、そういうサービスも含めてこういうデータベースっていうのは、もっともっと使われると思うので、このユースケースは、ぜひもう少し拡大していろいろなところから話を聞いていただいて、整理していただいたらいいなと思いました。以上です。
【森田主査】ありがとうございました。それでは日置構成員。
【日置構成員】ありがとうございます。資料2の欧州のEHDS法案のスライド18と、あとは資料3-1の関係で2点ございまして、まず資料2の18ページのほうからお伺いなんですが、こちらは、データ利用者であるとかデータ保有者についての監督・監視権限みたいなものは、Health Data Access Body、こちらのほうで一元的になされるという理解でよろしいのでしょうかというところです。
 実際、例えば日本の個人情報保護法に引き直してみると、仮に何かしらの法令で対応していて、別法令ですね。特別法があって、個人情報保護法の特別法があって、特別法のほうの手続きで措置が講じられていませんでしたという時には、翻って個人情報保護法の違反も問われているというのが現状かと思います。そういった時に匿名化されていればという個情委が来ないのかなっていう気はしますけれども、実際これで欧州の場合には、データ利用者、データ保有者については、この枠内に入っている限りは、監督権限は一元的になっているのかというところが気になるところの1点でございます。
 またそれに関連してなんですが、例えばHDABと呼べばいいんですかね、略すると。こちらのほうが仮に法令に基づくところの対応ができていなかったという時に、欧州のデータ保護機関との関係はどのように調整されているのかというところも気になるところでございます。
 仮に日本の場合で、資料3に出ているようなデータベース、こちらについて法令上の措置が講じられていませんでしたという時には、個情委というのは、監視権限を果たして行使するのかというところも気になるところでございまして、今後新しい体制が取られる、ルールが作られるという時に、どのような形で各省調整されるのかなというところが気になるところでございますので、欧州でどのように整理されているかというのが、もしお分かりであればお伺いしたい点の1点でございます。
 2点目、3点目は、資料3-1のほうで、映していただければ差し支えないんですが。匿名データといわれてるものであるとか元データというところが、果たして同じ、各データベースで、同じ用語で、同じ意味なのかというところは気になるところでございます。
 実際、これも連携するというお話であったりとか、あるいは民間データとひも付けるというような話も出てくるのかと思いますので、目線が合っていることというのは重要なのかなと思っております。その辺り今後の議論の前提としてお示しいただけるとよいのかなと。公開するかは別としてお示しいただければよいのかなというふうに思っておるというのがお願いの1点でございます。
 もう1点目は、こちら、現状もそうなんだと思うんですが、申請する側のほうは、別途、医学系の倫理指針適用されているのかなという気がするのですが、それはそういう理解でよろしいですかね。
 となると、今後もデータベース申請する時の仕組みとして、こちら申請する側も、自分たちが持っている審査委員会、まず通しますと。そちらもまた審査しますと。そういう形で二重に審査していくんですかというところも気になるところではございますので、そういったところもバランス良く進めていただけるのがよいのかなというふうに思っております。最後、ちょっと意見みたいになりましたが、以上でございます。
【森田主査】ありがとうございました。それでは他にいかがでしょうか。それでは長島構成員、どうぞ。
【長島構成員】資料3-2のユースケースについてコメントいたします。まず1つは、やはり企業にだけ偏ってるような印象がありますので、例えば地域や国における予防、健康増進、医療あるいは介護等の詮索なり、そういうところに活用して、しっかりと国民、住民に還元できるというユースケースが非常に重要かと思います。その辺りもぜひ含めていただければと思います。
 もう一つが、これらのユースケースというのが、単に仮名化する、あるいはデータを連結することよりは、むしろ大本になるデータの内容の質とか範囲をしっかりとレベルアップするというほうの影響が大きいんではないかというふうに思いますので、その辺りもちょっと想定していただけるとありがたいと思います。以上です。
【森田主査】ありがとうございました。この辺りで事務局にお答えいただきましょうか。
【医政局企画官】山口先生からご質問いただいた英国の倫理審査委員会のことですけれども、英国では倫理審査を必要とする、ちょっとここには資料を詳しく載せておりませんが、まず倫理審査を必要とする研究か否かを研究者がウェブサイトでチェックできるようになっております。なので、まずもって倫理審査を要する研究なのかどうかを研究者自らがチェックをして、必要なものだけ審査に持ってくるということになっておりまして。
 先ほど先生がおっしゃったように日本では非常に倫理審査委員会の数も多いですし、そこにかけられる案件も非常に多いわけですけれども、英国ではそこにかけられる案件自体をチェックリストなどであらかじめ絞っているというところがございます。
【山口(育)構成員】すみません。一応両方、イギリスだけでなく公的機関がおこなっているフランス両方について、もし分かれば教えていただきたいという意味で質問しました。
【医政局企画官】ちょっとそういう意味でいうと、フランスもここに書いてありますように、フランスでは、真ん中の審査内容のところにありますが、CNILというところがありまして、医療情報を使った研究については、CNILというところで倫理審査をするということになっております。そこが含まれているので、委員構成につきましては、ここの資料に書いております医師2名以上とか薬剤師2名とかコメディカル2名とか、そういうふうな構成だけは規定されておりますが、これ以上にどういった条件で委員を選んでいるか、ちょっと今情報を持ち合わせていないところでございます。すいません、ちょっと今分かる範囲でお答えする限りはこのようになっております。
 それから今、日置先生からご指摘も頂きました匿名データ、資料3-1の元データという言い方、あと、それから匿名データベースという言い方で同じ意味なのかどうかというところであります。
 資料3-1の表の元データというのは、まさにこのレセプト、例えばNDBのレセプトなどであれば、まさに患者の個人名なども入った状態でのデータになりますけれども、例えばNDBに実際格納されてるデータは、そこから個人の名前などは削除した形のデータが入っておりまして、そういう意味でここでは匿名のデータベースという表現をしております。なので、元データを、何かしら個人名などを削除するなど加工した上で、NDBなり、介護DBなり入れているという意味でここでは匿名データベースというふうにしております。
 これからの議論の中でも、そういったところに気を付けて目線を合わせたように議論ができるように、資料を、お出しをしていきたいと思います。
 また、このデータベースを利用する側、申請する側に倫理指針が適用されているのかということで、適用されております。その上で研究機関、またはその中で倫理審査をした上で申請をしてくるというような形になっていると思います。なので、まさにこの後のご議論になるかと思いますが、そういった二重審査といいますか、審査をよりどう効率化をしてやっていくかというところが一つ論点かなというふうに思っております。
 またユースケースの資料3-2につきましても、中島先生、長島先生などからもご指摘を頂いたところであります。あくまでここに書かれてないユースケースも多々あろうかと思いますんで、その辺をもう少し集めていきたいというふうに思います。以上です。
【森田主査】ありがとうございました。それでは石井先生、落合先生の順でご発言いただいて、またご議論いただく機会あると思いますので、次の重要な議題のほうに移りたいと思います。では石井構成員、どうぞ。
【石井構成員】ありがとうございます。日置先生からご指摘があった中で、私も匿名データの一覧の資料3-1の1ページの辺りについて、匿名データといっても横並びとは言えないのではないかは、私も同じように思っていたところでした。
 監督権限についても、データの利活用を進める法令、これは個人情報保護法の枠外になると思うのですが、その方向で制定する時に、個人情報保護委員会の関与が薄くなってしまうと、全体の個人情報保護レベルが下がるという問題が出てきますので、監督機関の権限が及ぶような形で法制度を考えていく必要があるのではないかと思いました。
 ただ、先ほどCNILが倫理審査を行うというお話があったように認識しておりますが、そうなると、同じような体制は日本では取りにくいのかなという印象があります。
 また、GDPR 6条をご紹介いただいたかと思いますが、その前提となる条文として5条という条文がありまして、その中で個人データの適法な取り扱いを行うということが諸原則の中でうたわれております。この諸原則は幾つかの条文で構成されていますが、その中で目的外の利用を制限するという原則も5条で規定されています。その例外措置として科学的研究の目的で使う場合は追加的な利用もでき、許容し得るという規定があります。ただし、安全保護措置を講じることが条件付けられており、その安全保護措置の中で仮名化などにも若干言及があります。こちらの議論との関係でいいますと、今申し上げた条文も関係するというように思った次第です。
 あともう一点、こういう議論の基本的な立ち位置として、EHDS案ですと、二次利用だけではなく、個人の権利のコントロールを強化するという一次利用の考え方とセットで法案が提出されているということも参考にすべきと考えました。資料にもそのようにお書きいただいている認識ですが、ある制度を参考にする時に、基本的なスタンスが諸外国の制度において異なるところがあると思います。この検討会の基本的な立場として、個人の医療データへのアクセスの権利強化の部分は検討の対象外になってくるのか。データベースを作るための制度を参考にする時に、個人の権利の観点はどのように見ていくのかは、論点として考えてもいいのかなというようには思った次第です。差し当たり以上になります。
【森田主査】コメントありがとうございました。それでは落合構成員、簡潔にお願いします。
【落合構成員】ありがとうございます。そうしましたら制度的なものについて、こういう点もあるのではないかという点について、まずです。
 英国の場合ですとデータ改革法案、米国の場合ですとADPPAが出ていることがあると思いますので、こういう中で、医療情報に関してどういうことが言われているのかは参考になり得る可能性があるのではないかと思っております。
 2点目ですけれど、個人情報保護そのものの法制ではないですが、隣接するものとして統計に関する規則だったりとか、もしくはオープンデータに関する規則の中で、どういう形で、定められているかです。そういう場合には統計情報的なものになっていると思いますので、個人情報そのものではない処理になっているかと思います。
 ただ先ほど長島先生もおっしゃられていたような、自治体や政策をつくったりすることまで考えていった時に、匿名加工や仮名化より、もっと粗いかもしれないですが。粗いというか、個人との照合性が全くないような状態になってるかもしれませんが、そういう場合も含めて情報の利活用の考え方としては考えていくことが必要ではないかと思います。そういった点も視点に今後追加してご検討いただく、ご調査いただく可能性があるのであれば見ていただければと思います。
 手短にということなので、最後にユースケースについてです。ユースケースについては、長島先生がさっきおっしゃられていたことは重要なことと思っております。二次利用という言う時に、製品開発になっていると当然ながら産業育成の観点で重要ではあると思いますが、政策的な利用もあります。、政策的というのが、感染症みたいなものもあれば地域医療ということもあると思います。そういった中で利用していくユースケースをしっかり入れていくことは大事ではないかと思います。これは地域での利用も、一次利用的なものもあれば二次利用的な過程で出てくるような情報をさらにそちらに使っていくこともあり得ると思います。そういった点もぜひユースケースの中に、念頭に入れて議論できるといいのではないかと思いました。以上です。
【森田主査】ありがとうございました。では、一言。
【医政局企画官】すいません。先ほど日置先生から頂いたご意見の中で、EUのEHDS規則案で提案されていますHealth Data Access Bodyのデータ保有者への監視・監督の権限についてご質問頂きました。
 われわれ調べた限り、Health Data Access Bodyのデータの保有者、または利用者も含めてですけども、監視・監督の詳細がちょっと分かっておりません。ですので、今お答えできる材料が、すいません、ありませんが、今後、もし調べて分かればどこかでご説明をさせていただきたいと思います。
【森田主査】ありがとうございました。特に海外の制度につきましては、今動いてることもございまして分からないところが多々あるかと思います。それにつきましては事務局のほうで鋭意調べていただきたいと思いますが。
 ちょっと議論するに当たりまして私自身気付いた点、一点だけ申し上げますと、石井先生からもご指摘ありましたけども、ヨーロッパの場合も特にそうですけども、一次利用と二次利用がまず一体化してセットで議論されている。そして作られている制度だということです。
 この場では二次利用だけ議論するということですけれども、基になるデータが一次利用の現場、診療現場で得られるとしますと、長島先生のご指摘にもございましたけれども、そことの関係をどうするかということについても目配りをしておく必要があろうかと思います。今回のこのワーキングでもって、そこまできちっと対応するっていうことを考えるかどうか。これは、またなかなか話が複雑になりますので、検討していただきたいと思いますけれども、そういう問題があるということだけ、指摘させていただきます。
 ありがとうございました。それでは、時間も押しておりますし、今日はこの後の会議とか途中で退席される方もいらっしゃるということですので、少し急いで次の議題に入りたいと思います。
 それでは議題4です。これは本日のメインの検討事項となりますので、今回だけではなく、次回も議論していきたいと思いますが、まずは事務局から資料4についてのご説明をお願いしたいと思います。それではよろしくお願いいたします。
【医政局企画官】事務局でございます。資料4についてご説明をいたします。資料4の1ページ目、基本的な考え方について(案)でございます。このワーキンググループで、厚生労働大臣が保有する医療・介護の公的データベースにおける仮名化情報の利用・提供、または一元的な情報連携基盤の構築について考えていく際の基本的な考え方を1ページ目でご提案をさせていただいております。
 大きく4つにまとめさせていただいております。
 ①が法制面・利用環境の整備でございます。1つ目のポツ、医療等情報は貴重な社会資源であると。そのために研究者や企業等が質の高い、こうした医療情報を効率的・効果的に利用できるように法制面の整備、また一元的な、かつ簡便な利用可能とする情報連携基盤の構築など利用環境の整備を行うことが重要ということを掲げてはどうかというふうに考えております。
 次の②が本人の適切な保護、権利利益の保護ということでございます。医療等情報は貴重な社会資源であると同時に、非常に機微性の高い情報でもありますので、個人が特定された場合には大きなリスクを与える可能性があるということでございます。
 公的データベースで仮名化情報の利用・提供を行う場合にも、個人情報保護法など考え方を踏まえながら本人のプライバシーを含む権利利益の適切な保護を図られるようにする必要があるというふうに考えております。
 その際には、本人の適切な関与の機会の確保に配慮するということともに、公的データベースが持つ情報の悉皆(しっかい)性といった観点も踏まえて、またそれぞれの制度趣旨とかユースケースに沿った保護措置を考えていく必要があるのではないかというところを2つ目に掲げてはどうかというふうに考えております。
 3つ目が、医療現場、国民・患者の理解促進、また二次利活用の成果やメリットの情報発信でございます。利活用に関する医療現場や国民・患者の不安や不信が払拭されるように権利利益の適切な保護を図るための措置を設けて、この内容を、丁寧に説明をする必要があると。その上で、二次利活用の研究の成果・メリットなどを国民・患者に分かりやすく情報発信・説明をしていくということが重要ではないかというふうに考えております。
 最後に4番、公正かつ適正な利活用に関する努力ということでございます。医療情報の適切な利用について国のガバナンス体制を構築した上で、研究者や企業においても公正かつ適切に医療情報を利活用する。そのための行政、あと業界の相互の努力、自主的な取り組みなどを進めていくことが重要ではないかと。
 こうした、大きく4点を基本的な考え方に据えてはどうかというご提案でございます。
 2ページ以降が法制面など具体的な論点でございます。まず2ページが公的データベースで仮名化情報を利用・提供する場合の法制的論点の案ということでございます。
 (1)が利用場面・利用の目的でございます。EHDS規則案など、諸外国の動向などを踏まえながら公的データベースで仮名化情報を利用・提供する際の利用場面・目的の在り方などについてどう考えるかということでございます。
 先ほど見ていただきましたが、今の各公的データベースで匿名化情報を利用・提供していくという場合には、相当公益性がある場合に利用ということになってございます。仮名化情報では、こうした公益性の範囲についてどう考えるかというところが一つ論点としてあるかと思っております。
 (2)が本人の関与の機会の確保への配慮でございます。1つ目の丸が現行個人情報保護法の規定を簡単に書いております。現在の個人情報保護法では、行政機関の長が保有する個人情報については、利用目的の範囲または法令に基づく場合に第三者への提供が可能というふうにされております。
 現在、各公的データベースでは、先ほど見ていただきましたけれども、データの取得時に必ずしも本人の同意を取っていないということであります。また第三者提供をするという際に、改めて同意を取り直すということもなかなか堅実的にはないだろうというふうに考えております。
 先ほどの個人情報保護法の規定との関係でも、行政機関の長が保有する個人情報である公的データベースについて、一定の個人情報保護法との整理した上で、本人同意の取得を前提とせず、仮名化情報の第三者提供をしていくということについてどう考えるかという論点がございます。
 その際に本人への利用目的や利用方法などの明示など、本人の適切な関与の機会への配慮、そうした取り組みの在り方、またはこの後の(3)の保護措置についてどう考えるかという論点があるだろうと思っております。
 (3)が保護措置。本人の権利利益を保護するための措置でございます。先ほど資料3-1で見ていただきましたとおり、各公的データベースの個別法において、データの照合と禁止、データ消去の義務、漏洩を防ぐための各種安全管理措置などを定めてございます。
 一方、個人情報保護法では、行政機関が保有する個人情報について、本人の開示、または訂正や利用停止の請求等への対応などが求められているところでございます。また次世代医療基盤法では、丁寧なオプトアウトを行った上で、匿名・仮名加工医療情報の作成事業者には、本人の提供停止の請求への対応なども求められているところでございます。
 仮名化情報を扱うということ。また公的データベースではデータの悉皆性というのが一つ重要なポイントであります。また利用者の迅速かつ簡便な利用を促していくという点なども踏まえまして、どういった保護措置、今取られている保護措置に加えてどういったものが必要かといったところが議論になると思っております。
 最後に例えばとして、仮名化情報については、データそのものを提供するのではなく、ビジティング環境での利用を原則にするといったことなども考えられるのではないかというふうに思っております。
 次の3ページでございます。(4)が医療現場・患者・国民の理解、促進の取り組みでございます。医療現場の理解と協力を得つつ、患者本人、国民の理解を促進する取り組みとしてどのようなものが考えられるかということでございます。
 (5)番が仮名化情報の連結でございます。各公的データベース間で仮名化情報同士を連結して利用するということで、一定のメリット、ユースケースなどが出てくるというふうに見込まれますが、こうした連結によるリスクの高まりなども踏まえてどう考えるかという論点があるかと思っております。
 (6)でございます。研究者や企業などが公正かつ適切に利活用できる環境の整備ということでございます。先ほど2ページで申し上げました患者の権利利益を保護するための措置、いわゆる法的な義務の履行を求めるということに加えて、研究者や業界の自主的な努力の中で公正かつ適切な利用を担保していく、推進していくといった取り組みについてどう考えるかという論点もあるかと思っております。
 続きまして4ページでございます。情報連携基盤の整備の方向性に関する論点ということでございます。
 まず取り扱う情報の範囲、(1)番でございます。この医療・介護の公的データベースを一元的に利活用できる情報連携基盤をつくりたいというふうに考えておりますが、必ずしも公的データベースだけではなくて、一定の要件を満たす民間のデータベースについても、同じ情報連携基盤の中で利用可能にするということも考えられると思いますが、この点についてもどう考えるかという論点があるかと思います。
 また情報連携基盤の中で利用可能とする医療データの範囲とかデータの項目、抽出する期間などについても、円滑な利用環境ということも踏まえてどう考えるかという論点があるかと思っております。
 (2)番が情報連携基盤の要件でございます。①がビジティング環境の整備ということでございます。改正次世代医療基盤法の中でも仮名加工医療情報を提供する認定事業者において、ビジティング環境で解析可能な基盤を整えるということも可能という考え方も示されていること。また今NDBではHICでリモート解析を一部可能にしているということも踏まえまして、この情報連携基盤については、ビジティング環境での解析を可能とするということを要件としてはどうかというふうに考えております。
 それから②が一元的な利用申請の受付・審査体制の在り方でございます。現在、各公的データベースの利用申請については、各データベースそれぞれ所管部局に申請をするということになっておりますが、この利活用を促進すると、負担を軽減しながら利活用を促進するということで、一元的な利用申請を可能とする。またその際の利用目的などの審査についても、一元的な審査体制を、構築をして行っていくということについてどう考えるかということであります。
 ただし仮に一元化するという場合にも、各データベースそれぞれ特性も踏まえて専門的な議論が必要な場合もあるというふうに考えられますので、そういったことも踏まえて審査体制についてどうあるべきかということが論点かと思っております。
 それから、またその際に、先ほど諸外国のところでも少し申し上げましたが、倫理審査との関係をどう整理するかということでございます。一元的な審査体制の中で倫理面や社会面も含めた審査を行うことができれば、個別の研究機関、大学等での倫理審査を必ずしも求めないということも考えられると思いますけれども、その点についてもどう考えるかというところがあるかと思います。
 また、この情報連携基盤のセキュリティなどについてどう考えるかということでございます。利用者の認証方法、2要素認証を必須とするのかどうかとか、あと利用したログの管理、または情報の暗号化など必要なセキュリティについてどう考えるかということでございます。
 (3)がその他ということで、この情報連携基盤に求められるその他の機能、要件について2つほど書かせていただいております。
 今は民間も含めまして、さまざまなデータベースが分散・乱立をしている状況でありますので、利用者からすればどのような情報が利用可能なのか分かりづらいという指摘もあるところでありますので、この情報連携基盤は、ここで扱える情報の一覧を公表するという、そういう機能が必要ではないかと思いますけれども、それについてもどう考えるかということでございます。
 また2つ目が、この情報連携基盤では、一定の集計データ、または統計データを扱って可視化して見せられるようなダッシュボード機能などを備えてはどうかというふうに考えておりますが、この点についてどう考えるかということでございます。
 最後に※が書いておりますが、これは第1回目のワーキングでもご説明をしたところでございますが、今申し上げた中で、例えばセキュリティなど技術的な論点につきましては、別途、専門家からなる検討の場を設けて議論をするということにしております。
 それから最後の5ページでございます。全国医療情報プラットフォームにおいて共有される電子カルテに関する情報でございます。
 わが国では、大規模な臨床情報のデータベースがないということが以前から指摘をされているところでございます。現在、医療DXの推進に関する工程表に基づきまして、政府においては、まず一次利用のために医療機関間で患者の必要なカルテ情報を共有する。または患者自身がマイナポータルで自分の医療情報や電子情報を確認するということができるように、電子カルテ情報共有サービスの構築に向けて取り組んでいるところでございます。
 臨床情報など二次利用を推進していく上では、こうした臨床情報の大規模なデータベースの構築・利活用が求められておりまして、今申し上げました電子カルテ情報共有サービスにおいて収集するカルテ情報を、個人情報保護法の規定とか医療・介護の他の公的データベースの取り扱い、また諸外国の状況なども踏まえて二次利用に供していくといったことが必要だと考えておりますけれども、この点についてどう考えるかと。
 ただし、この電子カルテのデータベースにつきましては、具体的なデータベースの設計とかシステムの在り方などは、別途、医療関係団体の皆さまなどからのご意見も聞きながら改めて検討していきたというふうに考えておりまして、ここでは、まさにこういったカルテ情報の二次利用ができるような大規模データベースが必要。あと、そういったものをきちんと整備をしていくということについて、ぜひご意見を頂きたいというふうに思っております。以上でございます。
【森田主査】ご説明ありがとうございました。それでは今のご説明につきましてご議論していただきたいと思いますが、これは、このワーキングでこれからどういう形で議論を進めていくかという基本的な考え方に関するものですので、かなりじっくりと議論をしていきたいと思っております。また次回も含めてご議論いただきたいと思いますので、どうぞご自由にご発言を頂きたいと思います。
 それではよろしいですか。山口構成員、そして清水構成員、そしてPMDAの山口構成員、それから落合構成員、お願いします。
【山口(育)構成員】ありがとうございます。山口でございます。
 現段階で、まだこれからも話し合っていくということですので、現段階で2つほど意見を述べたいと思います。
 まず基本的な考え方、この資料4の1ページのところに4つまとめてくださっていることを柱にするということには賛成でございます。
 その上で、資料4の3ページのところに(4)の医療現場・患者・国民の理解や利活用の促進と。これ、第1回目の時にも国民にどう知らせるかっていうことを私お伝えしたと思うんですけれども、なかなか方法というのがほんとに難しいと思っております。
 一つには今医療機関、特に研究も実施しているような大きな医療機関ではサイネージを導入しているところがとても増えてきていますので、そういったところで流せるような情報を国が作成して提供するという方法も一つできるのではないかと思います。
 最近いろんなことを検索する時にYouTubeで検索する方がとても増えていますので、そういった、見て理解できるような情報提供も一つ考えていくことができるかと思います。
 これは、ちょっと所管が違うかもしれませんけれども、やはり教育の中にいかに情報ということを組み入れていくかということは、省庁を超えて考えないといけないと思っていまして、特にこれからは生まれてから死ぬまでの自分の健康、医療に関する情報は自己管理して、必要な時にPHR、HERの考え方で情報を医療機関と共有するというような、自分の情報をずっと生涯管理するっていうことが必要になってくると思います。
 だとすれば、例えば母子手帳をアプリ化して、その中の子どもさんに関する情報だけを中学入った時には自分で自己管理するように移管するとかそういったことをしていく中で、この二次利用の在り方についても何に気を付けないといけないかということをその一環として伝えていく、教育していくことが大事だと思いますので、その辺り教育の中に組み入れるということもぜひ考えていただきたいと思います。
 もう一つが4ページの一元的な利用申請の受け付け・審査体制の在り方というところですけれども、私は、今、例えば情報収集する時に入り口規制ということで、そこで同意を得るということが、同意が必要の場合は行われているわけですけれども、以前から申し上げているのですが、二次利用する場合に、最初の入り口の同意するところでは、まだどんな二次利用があるか、利活用があるかが明確に分かっていない。そんなところで一括して同意するとはかなり無理があるということと。それから医療自体が非常に難しい用語、それから知識が必要な上に、この情報に関しても用語も難しかったり、片仮名が多かったり、二重に難しい問題を抱えていると思っています。
 ということからすると、この利活用に関しては、私は出口規制が重要だと思っておりまして、そこの審査体制をいろんな立場の人が入って、適切な二次利用かどうかを審査していく体制が必要と考えています。だとすれば、やはりそこは、できれば公的な機関がしっかりと質の担保も含めて運営していく必要があるのではないかと思っております。以上です。
【森田主査】ありがとうございました。それでは清水構成員、どうぞ。
【清水構成員】すいません、すごくよくまとまっているんで頭が整理できました。ありがとうございます。
 3点ほどあるんですけども、1点目は質問になるんですが、これも、私、勉強不足で変なこと聞いたら申し訳ないんですが。
 最後のページ、5ページ。医療DXの推進に関する工程表の中で、カルテデータを今集積しようとしているというお話ですが、これは、すいません、次世代医療基盤法のほうでいろいろやっている話と全く別に、医療機関から集めようという別の動きがあるという理解でしょうか。先ほどの厚労省、厚労大臣が有しているデータの中のどれか。
【参事官】全く別のものでございまして、いわゆる日常的に医療機関にかかった場合に、検査の結果であるとかそういったものを患者さんに返していくことを主な、まさに先ほど一元的に患者さんがデータを管理すると。そういうことを実現するために、通常の医療の診療で得られた診療情報のうち6情報といわれる共有するために必要な情報を医療機関からデータを登録していただいて、医療機関間で本人同意の下、閲覧できる。それからご本人はマイナポータルを通じて閲覧できる仕組みを構築しようとしています。
 これは次世代医療基盤法とは全く別に、いわゆる医療機関間の診療に当たっての情報連携、それからご本人への情報の還元というか、PHRという観点から進めるということで別の仕組みではありますが、別にそのデータを次世代医療基盤法に提供することは、もちろん病院側が次世代医療基盤法の連携事業者と契約をしていただければ、もちろん可能ではございます。
【清水構成員】分かりました。ちょっと2番目の話ともつながってくるんですが、いろいろと権利を守るというお話の時に、医療データの提供側、医療機関であったり、医師であったり、薬局であったりというとこの提供側の話と、それから個人の患者さん自身の個人の権利をどう守るかって話がいつも並列で話されるんですけれども、先ほどちょっと別の流れの中で申しましたとおり、例えば副作用っていう情報は、実はカルテをどう集めてもなかなか難しい。
 確実に分かるのが難しいという意味でいうと、やはり通常使われているカルテであったり、レセプトであったりをそのままデータベース化してもなかなか難しいところもあるので、データを提供してくださる側、医療機関側にある程度二次利用を意識したインプットをしてもらうような方向っていうのをやはり考えていかないと、どれだけN数を集めても質の高い解析ができないってことになってしまいがちです。
 今のお話は、どうしても医療機関側の負担を上げていくような話になっていて、いつもこういう場になると、医師会の先生方が、医療現場の負担を上げないようにしてほしいってお話をされているのですけども、それはそのとおりだと思うので配慮が必要です。
 とはいっても、やっぱり協力を仰がなきゃいけない部分がある中で、データの提供をお願いする際にもう少し統一して考えていかないと、インプットの質を上げることができないんじゃないかなってちょっと思いましたので、コメントします。
 3つ目ですけども、ちょっと長くなって申し訳ないですが、この仮名加工を可能にするということで、それによって個人が特定されるリスクが上がるって話がずっと根本として流れているので、どう厳しくするかという話にどうしてもなりつつあるのですけれども、仮名加工にしたからといって実際に個人が特定できるのでしょうか。可能性はもちろん高まります。ただ特定できるのかということ、そもそも特定する目的でデータを提供しちゃいけないでしょって話があると思うのですね。
 ちょっと誤解を恐れずにあえて言うと、例えば九州の福岡で「少年A」が犯罪を犯しましたと聞いて。東京に住んでいる私には「少年A」でなく本名を言われても誰なのか分かりません。一方、地元の人にとってはいくら「少年A」っていっても誰なのか分かっちゃうわけですよね。
 これを医療データで言うと、匿名加工にしても仮名加工にしても、専門の領域の先生にとっては個人を特定できてしまう可能性は絶対排除できないと思うんですね。特定できたから何が問題なのか。別に患者さんを特定する目的で解析をやってるわけではないので。完全に個人特定できる可能性を排除しようっていうことにしてしまうと、結局、解析の質が上がらないってことにもなるので。
 ただ、もちろん個人を特定する目的でデータを要求するのはNGですし、そういうことをもしやったらば目的外使用ってことになりますし、口外するのは厳禁です。けれども、いろんな過程の中で専門医の先生が、自分の患者さんであったら、先ほど福岡で少年Aの学友だったら分かってしまうのと同じことは起こり得るわけで、それを完全に排除しようっていうことは解析の質を下げることとレードオフになるので、目的外使用はきちっと管理しましょうっていう方向で何とか抑えたほうがよいのではないかっていうふうにいつも痛感しているので、ちょっとコメントさせていただきました。
【森田主査】ありがとうございます。第3の点は、先ほど山口構成員が言った出口規制の考え方につながると思います。それではPMDAの山口構成員。
【山口(光)構成員】PMDAの山口です。よろしくお願いします。
 私から4点あります。資料を確認させていただきましたが、論点としてはまとまっていると思います。これらについて一つ一つ丁寧にまとめればいいのかなと思いました。
 1点目ですけども、本人の関与についてです。今回、公的データベースの利用について検討することになると思いますが、公的データベースには既に集積されたデータもあると思います。解釈を整理する前に集積されているから利用できないって話にはならないとは思いますが、そのロジックは整理したほうがよいと思いました。その上で、今後集積するデータのデータを提供いただける方々に対し、丁寧な説明の場を設けましょうと整理したほうがよいのではないかと思いました。
 2つ目です。安全管理についてです。今回議論する公的データベースを利活用する方々は、ビジティング環境を利用するという前提に、いろいろと整理するのかなと思います。ビジティング環境を利用する場合、データを利用する権利が利活用者にありますが、実際にデータを管理しているのは管理者になると思います。そのため、管理者に対する安全管理については、的確にちょっと厳しく付ける必要があると思います。
一方、利活用者に対する安全管理についても検討する必要があると思います。しかし、データベースの安全管理に関する議論をすると、必ずといって、管理者向けの安全管理を中心に難しい言葉でまとまっていくことになります。利活用者に求めるべき安全管理については、おそらく、管理者から配布されたIDをしっかり管理してください、パスワードを第三者に渡さないでください、利活用中にその画面を利活用者以外の人に見せたりしないでくださいとか、そういう程度に限るのではないかと思います。もちろん、そんなネットカフェ等でなく、利活用者の組織で利用してくださいもあるかもしれませんということも重要かと思います。
 利活用者に対する安全管理については、かなり限定的な内容になると思いますが、やはり利活用する人が何を守るべきかを分かりやすくまとめていただいたほうがいいかなと思いました。管理者に求める要件については、専門家の用語で使ってもいいですけど、利活用者向きにはそういう言葉を使わない方がよいのではないかと思いました。
 3つ目です。審査については、個人情報の管理が気になります。先ほど清水委員からもありましたけど、特定するかしないかは別として、全て個人を特定できないような利活用環境を構築することはなかなか難しいのかもしれません。そのために、安全管理のルールを設定して、利活用中は、定めたルールを守っていただいているのではないかと思います。
 出口戦略でいろんな角度で審査することになると思いますが、審査につきましては、丁寧にすることも重要ですが、なるべく期間をかけないようにということに配慮した制度設計にしていただければと思います。私は、業務上、製薬企業の方々とよく話す機会がありますが、利活用審査の手続きが長いと使えないという話にすぐなります。今回、公的データベースを使える機会を検討していると思いますので、利活用手続きが長く時間がかかることから、利用者がどんどん減ってしまう構図だけは避けたほうがよいと思います。
 最後です。ユースケースで、先ほどの前の課題のところでいろんな委員から、医薬品以外のユースケースについても議論した方がよいと提言されておりましたが、そうはいっても、医薬品の開発については非常に重要な課題だと思います。
 その中で、先ほどからの繰り返しになりますが、医薬品の開発や安全対策に関する課題については、特にたぶん時間がかかると、時間がかかってどんどんロスしてしまうので、やはり速く審査が進むようにしていただけると助かります。以上でございます。
【森田主査】ありがとうございました。それでは落合構成員、どうぞ。
【落合構成員】ありがとうございます。私も何点か述べさせていただきたいと思います。
 1つが、今回利活用しようとしている用途をどういうふうに評価しておくかが重要かと思っております。規制改革推進会議で意見書を書いた中でも公益性が高いものとそうでないものがあり、その他の二次利用の話は、若干評価を分けて書いていた部分があったかと思います。今回の、先ほどのユースケースも踏まえると、比較的公益性が高い場合というのを想定しているのであろうということで、そちらを念頭に議論をしていくのであるということに感じました。二次利用の中でも、そういう意味ではあまり区別するのもどうかとは思いますが、公益性の高い、低いというのは、やはりあろうかとは思います。そういう意味では、私の理解が正しいのであれば、より必要性が高いものについて議論している、という前提を整理して持っておくということは重要ではないかと思っております。
 2点目として本人の保護について、先ほども仮名化等をしたことによって本当にリスクが低減されていたかどうかがあります。どちらかというと以前別の会議で議論させていただいていた時も、森田先生が、そういうものについてはリスクベースでというか、統計的なというか、数値的なものも含めて、本当にリスクとしてどう評価できるのかを、実態に応じて評価をしていくことが重要ではないかというお話をしていただいていたと思っております。この考え方に全く賛同でございます。
さらに、出口規制の形でという山口構成員のおっしゃられていたような方向が、その時、規制改革の意見書のほうも、実はそういう方向だとは思っております。ただ最終的にどう評価していくかに当たっては、リスクベースでどうなっているのかをもう少し細かく議論していくことが重要ではないか、と思っております。
 3点目としましては、技術についてビジティング環境ですとか、先ほどもPMDAの山口構成員のほうからもございましたが、実際に利用に耐え得るような環境になっているのかはあろうかと思っております。次世代医療基盤法の関係でも、やはりビジティング環境として本当にこれが使いやすいのかどうか、リモートだと言われていても、これ準備するのに1年かかりますとなりますと、どうしても使えることにはなっていても、利用者側の意思決定としては手を出しにくくなることがあると思っております。
 審査の期間もさることながら、こういった技術的な要件に見える点に、ある種の神が宿っていたりすることも、それなりにあるように思っております。こういった点については、海外でもビジティングと言ってもかなりいろいろ考え方はあるかと思いますので、具体的に、合理的に利用可能な整理になっているのかが重要かと思っております。
 4点目としては、検討を今後行っていく体制を考えていただくに当たっても、ぜひそういう利活用に資するような技術的な整理をしていけるかどうかがあります。それは、現代的に利用できるような技術は、必ずしも完全にオンプレミス前提ではないような形で適切に整理できていくような、そういう会議体での議論の設計や、メンバーの構成などをぜひ考えていただければと思っております。
 最後に電子カルテの点について書いていただいていた5ページの点です。これも非常に重要だとは思っており、次世代法の関係で見ていきましても、次世代法そのものでどういう機能を持っているかだけではない議論が必要です。今回さらにデータベースについてもいろいろリストアップしていただいていますし、これもこれで重要な点だとは思いますが、実際の研究開発を行っていくに当たっても、臨床のデータをどう取れるようにしていくのかと組み合わせていくことは、極めて重要であると思っております。
 どうしても検討会の構成上、一次利用的なものと二次利用的なところ、分けざるを得ないところがあることは、部局的にそういうことがあるということ自体は理解できるものの、一方で、とはいえ最終的に使える環境という意味でいいますと、一次利用側といいますか、医療情報自体をどう連携して、それを、あまり手間をかけ過ぎずにどういうふうにして二次利用をできるかが重要と考えます。その際に仮名化等が必要であれば、その処理も含めてではありますが、円滑にできるような体制になっているかを考えていくことが非常に重要だと思いますので、ぜひご検討いただければと思っております。以上です。
【森田主査】ありがとうございました。それではオンラインで手を挙げてらっしゃいます医師会の長島構成員、それから石井構成員、そして九州大学の中島構成員の順番でお願いいたします。
【長島構成員】まず資料の2ページの(1)利用場面・利用の目的で、公的データベースで仮名化情報の医療提供を行う場合。この場合に重要なことが、匿名化情報と仮名化情報の違いをきちんと整理していただくと。特に利用者側にとって匿名化情報ではなくて、なぜ仮名化情報が必要なのか。どういう理由でそれが必要なのかということを整理しておくということが、審査を行う場合にも非常に重要になるし、利用者としてもどのような場合に仮名化情報というのが役に立つのかということで、ここが非常に重要だと思います。
 また患者、国民、また医療現場にとっても匿名化情報と仮名化情報ってどのような違いがあって、特に仮名化にすることでどのようなリスクが増大するのか。一方、そのリスクに対してどのような適切な対応を行うことでリスクが軽減できるということ。これをしっかりとお示しいただくということが大変重要です。
 その軽減策としては、1つは審査のところでしっかりしていただくということ、あるいはビジティング環境等で、ある程度きちんと見えるようにしておくとか、どのように利用されているかということ、データそのものは出さないという方法、重要だと思いますし。
 もう一つ、例えば次世代医療基盤法で仮名のところでは、利用者側も国のほうで認定するというような仕組みを使って、利用者側もしっかりと確認するというようなこともしているので、そのような形で医療現場、国民・患者にとって、なるほど、こういうようなしっかりとした対応をしているからいいだろうと思っていただくことが非常に重要です。
 それに関連すると、(2)のところで本人の同意取得を前提とせず、仮名化情報を第三者に提供するっていうことに関して、その大前提となるのがまさに国民・患者と医療現場の十分な理解があること。これが大前提で、それなしに強行するってことは決してあってはならないと思っています。そこのところを十分に丁寧にやっていただく必要があります。
 そのためには、一つはさっき言ったリスクを丁寧に説明すると同時に、それに対する対応もきちんと示すことと同時に、どのような新たなメリットとか新たな成果が生まれるのかということの説明。まずは現在の公的データベースの匿名化情報の利用によってどのような既に成果が現れているかっていうことを、これまでの成果と今後生まれる成果も逐次丁寧に説明してくということが非常に重要になるだろうと思っています。
 最後に、全国医療情報プラットフォームにおける電子カルテの共有ですけれども、これは今までの、例えばレセプトとか介護レセプトの用途とは違って、今後新しくつくられるデータですので、ここのところはかなり丁寧に議論する必要があるだろうと思います。
 特に医療現場は、これ、どう考えているかというと、現在は紙媒体で提供しているような情報を電子的に提供するということになることで、例えば全国どこの医療機関にその患者さんがかかられてもその情報がそちらでも閲覧できる。あるいは患者さんご本人が閲覧できるということで、何よりもご本人、治療に直接役立てる、一次利用っていうのは一次利用として想定しています。二次利用のことは全く想定していません。
 従ってそこのところで、もしも医療現場の不安・不信が生じれば、そもそも一次利用自体がストップします。従ってここのところは、まずはとにかく一次利用をしっかり進めていくということが重要で、ただしその際に設計として二次利用のことも想定して設計するということは必要かと思いますが、そこのところ先走りし過ぎて、一次利用そのものの障害になるということは絶対避けなければいけないというふうに考えています。以上です。
【森田主査】ありがとうございました。それでは石井構成員、どうぞ。
【石井構成員】ありがとうございます。落合先生、長島先生のご意見とかぶるところもありますが、コメントさせていただきたいと思います。
 まず論点について、先ほど監督権限の関与についてコメントさせていただきましたが、個人情報保護上の措置を考える上では、個人の権利の保障と監督機関の監督権限というものが非常に大きな柱として、これらを論点として立てる必要があるのではないかと思います。GDPRが採択される過程でも、個人に強力な権利を保障し、監督権限を十分行使できることが常にうたわれてきていますので、ここでの議論でも監督機関がどのように関与できるのか、すなわち個人情報保護委員会がどのように関与できるのか、どのような権限を行使できるのかが関わってくるのではないかと思います。
 ビジティング環境ですと、情報漏洩のリスクはそこまで高くないのかもしれませんが、臨床情報に関する大規模なデータベースを構築するという話になると、個人データの漏えい等の事故が発生した時の対応や事後的な措置について、論点を立てて検討しておく必要があるのではないかというのが1点目の意見になります。
 2点目の公益性の範囲についてどう考えるかという論点を立てていただいていますが、抽象的には論じにくいのではないかと思います。日置先生からのご指摘もありましたが、匿名化のレベルが一律であるのかという話もありますので、仮名化であれば相当の公益性よりももっと高い公益性が要るのか等、そういう議論をしても具体的な結論を得られないような印象があります。ユースケースなどを踏まえて、もう少し具体的なケースを基に公益性の評価ができるような議論をしたほうがいいと思いました。
 3つ目ですが、ビジティング環境について、どの程度個人情報保護関係のリスクを下げることができ、かつ、分析を行う環境を提供してもらうことによって利活用がどの程度促進するのか。たくさんのデータベースがある中で分析環境を提供しますと言われた時に、望む調査分析ができる環境が用意できるのかといったあたりが、安全保護措置との兼ね合いで非常に重要性を持ってくると思います。ビジティング環境がどれぐらい利便性を高めるものとして提供されるのか。具体的なイメージを頂けると助かるなと思いました。私からは以上になります。
【森田主査】ありがとうございました。それでは中島先生、お願いいたします。
【中島構成員】お願いします。2点ありまして、1点目はビジティング環境なんですけども、やはり縦に長い日本列島ですので、基本的には沖縄から、そして北海道までですね。もう公平にといいますか、これは研究者がいるからというよりも、沖縄の人のデータも集めていますし、北海道の人のデータも集めているわけなんで、それぞれの自治体も使いやすいように公平な、そういうリモート環境を原則としてこれからは構築するべきではないかなと思います。
 その時に今の状況では公的データベースも、データベースごとに情報セキュリティレベルが求められるものが違うんですね。ですから、一つの部屋で、もちろんその部屋はしっかりとした情報セキュリティを守らないといけないんですが、どのデータベースも使えるというようなものを、つまり情報セキュリティレベルの標準化をしていただいて、リモート環境でも使えるということにしていただきたいというふうに思います。
 2つ目は、前半に、この会は二次利用を話すんだけど、欧米では一次利用、二次利用を一緒に話すというふうに森田座長も言われていましたけども、私もまさにそのとおりだと思います。
 つまり医療情報システムが集めているデータですが、その医療情報システムというのは、まさに一次利用のためにつくっているもので、それ以上の目的はありません。一次利用が一番大事なわけですね。そういう意味では一次利用で、つまり診療の質を高くするために、あるいは地域連携を円滑にするために必要な条件、これは標準化だとか、それから長島先生が言われていましたように、元々の情報の情報源の質の担保ですね、ここを考える。この会議体ではないかもしれないんですけど、一次利用側に任せることと、それからそれが解決できたら随分二次利用もやりやすくなりますので、まずデータの質が良くなりますので、その上で二次利用用にどうすればいいかという議論をしないといけない。
 つまり一次利用のシステムをそのままにしながら二次利用のためにデータをきれいにしたり、標準化したりすることは非常にコストがかかる上に精度が悪いですね。ですから、やはり一次利用のところがあるということを前提に二次利用を考えていただきたいと。
 例えば5ページに電子カルテ情報共有サービスのことが書いていましたけども、この中で、これはデータが複数、他の病院にデータが流通するわけですから、例えば検体検査コードのJLACコードというのがありますけども、このJLACコードがやはりちゃんとほんとは振ってないと、これがA病院のものとBクリニックの検査結果との比較ができないんですね。これは一次利用の質が落ちることになります。
 ですから、本来はJLAC10などは、あるいはJLAC11になろうとしますけども、これは一次利用側で振ってしまわないと意味がないんですね。それを考えた上で、二次利用側で何をすべきかと。ここは切り分けるべきだろうというふうに考えます。以上です。
【森田主査】ありがとうございました。時間もだいぶたっておりますけれども、手が挙がっているところで山本先生、お願いいたします。
【山本構成員】ありがとうございます。もう皆さん、たくさん言っていただいて、私もあまり変わるところはないんですけども、2点細かいところがございます。
 1点は、①のところで、いきなり仮名加工の議論に入っているんですけれども、これはこれで私はいいと思うんですけれども、資料3-1で、薄いブルーのところの匿名データベースって載っているんですね。匿名データベースを仮名に戻すのは、基本的には原理的にはできない点になります。
 私は、例えばNDBとか介護DBを運用開始当初からお世話をしていますけれども、その立場からいうと、私はこれらを匿名データベースとは思っていない、つまり不十分な匿名化しか行われていないからです。それで、なおかつNDBと介護DBが、例えばID5で結合しますと、非常に精度の高い結合ができるっていうのは、やっぱり匿名ではあり得ない話ですよね。そういう整理を少し進めていかないと、中で矛盾が生じてしまうようなことになりかねない、というところがあります。
 それと、もう一つはVisiting環境なんですけれども、今、左のところでVisiting環境が実用されているんですけど、最初に広く実用化されたのって、CMSのメディケア・メディケイドのデータベースのバーチャル・リサーチ・データ・センターっていうのが今でもあるんですけども、当初は、あれも本当にたった一つの透析解析環境で、そのソフトの専門家を雇わないと、バーチャル・リサーチ・データ・センターを使えないといった状況ですから。皆さんがご懸念されるようにVisiting環境っていうのは、作りようによっては非常に使いにくいものになる可能性はあります。申請は簡単なんですけど、分析がしにくい環境になっています。
 Visiting環境に関しては、どんどん技術的には進歩していて、最近ではどこかを使って自分の解析環境を注入できます。データを触るのはVisiting環境の中で触るんですけども、解析の環境は自分の解析環境を使うことができるような技術もだいぶ進んできていますので、今、次世代医療基盤法でのVisiting環境は、そういう環境を用意できないかということで検討を始めている最中です。ここは、まだ進化している最中ですので、この後で出てくるような技術ワーキングのところでは少し調査をしていただければと思います。
 決して全てが使いにくいわけではなくて、ある程度の未達なものも出来てきつつあるということをお伝えしたいと思います。以上です。
【森田主査】ありがとうございました。それでは、まだご発言が松田構成員からございます。どうぞ。
【松田構成員】松田でございます。
 先ほど中島構成員が話された一次利用を意識するというのは非常に重要なことだと思っています。やはり一次利用する方がデータを使うということに関して利便性感じないと、二次利用ができるようなデータになりませんので、そこはぜひ意識していただきたいと思います。
 それからあと、医療データを分析している経験からいうと、一番大事なの、分析をする時のマスターの整備です。マスターの整備がされていないと、データ分析はできません。例えば、前半のほうで薬の副作用の話がありましたけども、薬の副作用に関しては、薬の添付文書に入ってる副作用の傷病名を全てコード化する必要があります。そうすると、副作用の分析をするためのマスターがつくれるわけです。これを定期的にやらなければなりません。
 このようなマスターの整備というのをちゃんとやる班をきちっとつくっとかないと、二次利用に当たってもなかなか先に進みませんので、この議論に当たってマスター整備のこともぜひ含めて議論していただけたらと思います。以上です。
【森田主査】ありがとうございました。それでは日置構成員、手を挙げられたので、お願いします。
【日置構成員】すいません、ありがとうございます。ちょっと保護措置の関係で少し気になっていることが常々あるので、コメントもさせていただきつつ今後の議論の前提にしていただきたいなと思うんですが。
 そもそも匿名データベースとされているものを活用しますよと言われた時に、さっき匿名から仮名はという話もありましたが、そもそも元のデータに戻るリスクであるとか元データを参照されるリスクっていうのはどの程度あるのかっていうところも、どのような保護措置付けていくのか、あるいは本人関与必要なのかっていうところとの関係では重要なポイントだと思っております。その辺りお話しただくほうがよいのかなというのと。
 あと、ID4、ID5、こちらの性質も合わせて議論の俎上(そじょう)に載せなきゃいけないんだと思いますので、その辺りもご説明いただくのがよいかな、今後というふうに思っております。
 また顕名データベース使うよと言われた時に、そのまま顕名データベースから活用していくんですかという話もあると思っていまして、別データベースの形で連携された上で、そこから、要は参照しづらい形にした上でデータを提供していくんだ、活用していくんだというお話もあるのかなと思いますので、保護措置を考える時には本人をどう関与されるかだけではなくて、そういった観点、技術的な観点、加工だけではない技術的な措置っていうものも考えたほうがよいのかなというふうに思って伺っておりました。
 あとは本人関与のところと、あと個情保の請求等ですよね。こういったところどうするんですかという話は、元々の顕名データベースのほうのデータ以外の、わざわざすみ分けをしたデータベースにまで利用停止の請求をかけられて、悉皆性っていうものをなくしていくのがほんとによいんですかっていう議論あると思います。保護の措置と併せてではありますけれども、そういった観点から、果たしてデータが凸凹になるのがよいんですかというところも考えながらご本人の関与についてはご議論いただいたほうがよいかなと思いましたので。
 法令上も利用停止のところって、法令の違反のお話っていうところと、あとは特別法で対応して、そちらで関与の可視化って考えてもいいですよというただし書きも付いておりますので、そこの辺りも併せて、ちょっと個情委さんとお話しいただく必要もあるとは思いますが、ご議論いただいたほうがよいかなというので、私からのコメント以上でございます。
【森田主査】ありがとうございました。それでは、だいぶ時間が参りましたけれども、まだご発言ない方、よろしいでしょうか。宍戸構成員、どうぞ。
【宍戸構成員】東京大学の宍戸でございます。時間がないところ、申し訳ございません。
 基本的には資料4はよくおまとめいただいておりまして、それで今、構成員の皆さまから活発なご議論があったいずれも非常に必要な論点が出ていると思いますので、これらを踏まえて、考え方をバージョンアップしながら各論を検討していかれるのがよろしいのかなと思います。
 その際でございますけれども、個人情報保護委員会事務局さまがおられる前で言うのも何でございますが、委員会におきまして、「個人情報等の適正な取扱いに関係する政策の基本原則」というペーパーを出していただいております。これは、一般的に個人情報、仮名加工情報を取り扱う政策について、全分野を横断して検討する際の、いわばリストのようなものを既にご提示を頂いております。
 具体的にここに幾つか論点を落としてみた時に、どこの議論が足りているとか、どこの議論はどうしようとかいったことを少し整理していくのも、法制的な整理としては一つ重要なポイントかなと思います。
 その上でさらに2点申し上げますと、1点は、ここで公益的な二次利用ということが出てきておりますけれども、そこでの公益の具体的な中身については、落合構成員がご指摘になったように、具体的な、本日も出てきましたユースケース等を踏まえて解像度を上げて議論していく必要があるのではないかと思います。
 とかくこの種の議論を始めますと、例えば公益性が高い・低いでいう一元的な物差しで議論を何となくする傾向があり、そうすると、自分たちの活動は公益性が低いと言われるとこれは何だと話になって、何でも公益性が高いほうに入れようとして、公益性が高いとする要件をぐずぐずにしてしまって、結局、一般的な利用目的と変わらないといったことになりがちでございます。むしろリスクと、ガバナンス、説明の具体的なポイント、それから審査委員会での審査を考える時には、単に公益性が上か下かとかいう話ではなくて、いかなる公益なのか。誰に対してどういう利益が生まれる公益なのかを考える。
また、リスクの逆側ですけれども、公益のプロバビリティー、公益を達成できる蓋然(がいぜん)性であるとか度合いであるとか、あるいは他の施策と結び付くことによって初めて実現できる公益なんだけれども、しかしそのデータを活用できることが公益実現の前提になっているものなどいろいろあると思いますので、もう少し具体的に公益性について議論していただくことが、その上下というのではなくて、できるようであれば類型化していく、そして必要な手当てを考えていくことが有用ではないかなと思います。
 そして、その種の議論は、今回森田先生のご指導の下でこの研究会をやるだけで恐らく終わらない話でございまして、何らか具体的、個別的な法制度整備をしたとしても、永久にこれは続いていくべき課題だと思います。医学研究、あるいは創薬等の医療機器等のご開発、あるいは新たなテクノロジーの発展に応じてリスクも、それから公益も変わってくるものだろうと思います。
 そうした点では資料4の1ページの一番下、④にございますけれども、国がガバナンス体制を構築することが非常に重要でございまして、きちんと情報が集まってくる研究、開発の現状についての情報と、あるいはそれが伴うリスク、国民の皆さまの受容性とか後方の体制について、一つきっちりとしたガバナンス体制を構築して、動的に対応ができる。あまりアジャイルガバナンスという言葉を使うのは良くないですけれども、それが何より大事なことであり、そのプロトタイプの議論をここでやっているんだという意識を持ちながら議論に参加させていただければと思っております。
 当たり前のことを駄々申しました。私からは以上でございます。ありがとうございます。
【森田主査】ありがとうございました。それでは、まだご発言ないのは井元先生、よろしいでしょうか。いらっしゃらないようですので。それでは一応皆さん一回はご発言いただいたということですので、今日はこれから議論ではなくて、一応頂いたご意見、それを踏まえる形で事務局のほうにさらに洗練をしていただきたいと思います。
 なお基本的な考え方の1ページ目の項目立てにつきましては、どなたもご異論がなかったというふうに思いますので、それは確認をさせていただきます。
 それではあと、最後の議題5になりますが、これは報告事項に当たります。事務局から資料5のご説明をお願いいたします。
【医政局企画官】事務局でございます。さらに資料5をご覧いただきたいと思います。医療等情報の二次利用に関する技術作業班の設置についてでございます。前回、第1回のワーキングでも申し上げ、また今回の資料の説明の中でも触れさせていただきましたが、この二次利用に関するデータの標準化とか信頼性の確保、またビジティング環境の構築に当たってセキュリティの要件とか、そういった技術的な論点につきましては、別途、専門家の皆さまからなる検討の場を設けるということにしておりました。今回は技術作業班という形でこのワーキングの下に設置をして集中的なご議論を頂きたいというふうに思っております。今、資料5としては開催要綱の案を付けさせていただいております。
 別紙に技術作業班の構成員の7名の先生方を、記載をさせていただいておりまして、このワーキングからも、清水構成員、それから山口光峰構成員のお2人に入っていただくことにしております。技術作業班での検討内容につきましては、必要に応じてこのワーキングでもご説明をしてご報告をするという形を取らせていただきたいというふうに考えております。説明は以上になります。
【森田主査】ありがとうございます。山口構成員、清水構成員、よろしくお願いいたします。
 それではこの件は報告事項でございますので、特段ご意見はないかと思いますけど、何かご質問とかご意見ございますでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。特にご質問、ご意見ないようでございますので、本件の質疑はこのくらいにさせていただきます。
 時間がないというふうに急がせてしまいましたけど、少し早めに進んでおります。本日、特にご発言なければ以上で終了とさせていただきたいと思いますが、最後に何かご発言ございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは本日も大変密度の高いご議論ありがとうございました。議事を事務局のほうにお返しいたしますので、よろしくお願いいたします。
【医政局企画官】事務局でございます。本日も活発なご議論いただきましてありがとうございました。次回の開催につきましては、追って事務局からご案内をさせていただきます。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
 また本日の議事録につきましては、作成をし次第、ご発言の先生方にご確認を頂きまして、その後に公開をさせていただきます。事務局からは以上でございます。
【森田主査】ありがとうございました。それでは、ほぼ定刻どおりですが、閉会といたします。本日も活発なご議論ありがとうございました。お疲れさまでございました。またよろしくお願いいたします。
一同:ありがとうございました。
―― 了 ――