薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会令和5年度第2回安全技術調査会議事録

日時

令和5年11月20日(月)16:00~18:00

場所

Web併用形式
AP虎ノ門 会議室B

出席者

出席委員(11名):五十音順、敬称略 ◎座長
埼玉医科大学医学部 輸血・細胞移植部:敬称略
日本赤十字社:敬称略
事務局:

議題

  1. 1.新型コロナウイルス既感染者の採血制限について
  2. 2.性的接触及び海外地域別の滞在期間の問診について
  3. 3.その他

配布資料

資料ページをご参照ください。

議事

議事内容
○鈴木課長補佐 それでは、定刻となりましたので、「薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会令和5年度第2回安全技術調査会」を開催いたします。本日の会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
 本日はお忙しい中御参集いただき、誠にありがとうございます。このたびは御参加いただく方の利便性等の観点から、Web併用での審議とさせていただきます。
 本日の会議における委員の出席についてですが、安全技術調査会委員11名全員に御出席を頂いていることを報告いたします。
 また、本日は参考人として、埼玉医科大学医学部より、岡田義昭輸血・細胞移植部客員准教授に御出席いただいております。加えまして、日本赤十字社血液事業本部より、佐竹正博血液事業経営会議委員、後藤直子技術部次長、国吉紀和経営企画部事業戦略室参事に御出席いただいております。
 続きまして、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告させていただきます。また、薬事分科会審議参加規程に基づいて、各委員の利益相反の確認を行いましたところ、岡崎委員から関連企業より一定額の寄附金・契約金などの受取りの報告を頂きましたので、御報告いたします。議題1につきまして、岡崎委員におかれましては、意見を述べていただくことは可能ですが、議決には加わらないこととさせていただきます。ほかの委員につきましては、対象年度における寄附金・契約金等の受取りの実績なし、又は50万円以下の受取りであることから、特段の措置はありません。これらの申告についてはホームページで公開させていただきます。委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をおかけしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜わりますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 議事に入る前に、会場にお越しいただいている委員におかれましては、本日の資料の確認をお願いします。タブレット上に「1、議事次第」から「15、参考資料2-1」までのファイルが表示されているか御確認をお願いします。ファイルが表示されていない場合や、不足がある場合には、お近くの職員にお声かけください。
 本日はWebでの審議のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、審議の進行方法について御説明させていただきます。審議中に御意見、御質問がありましたら、挙手等によりお示しいただきますようお願いいたします。座長から順に発言者を御指名いただきます。指名された方はマイクがミュートになっていないことを御確認の上、議事録作成のため、まずはお名前を御発言ください。ノイズを減らすため、御発言が終わりましたらマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。なお、発言者が多くなり、音声のみでの判別が難しいほど混雑した際は、一旦皆様に御発言を控えていただき、発言したい委員についてはチャットにその旨のメッセージを記入していただきますよう、事務局又は座長からお願いする場合があります。その場合には、記入されたメッセージに応じて、座長より発言者を御指名いただきます。Web参加の皆様におかれましては、議事進行中に会議の音声が聞こえづらい状況が続き、審議参加に支障を来たす場合には、チャット等でお知らせいただくようお願い申し上げます。間もなく議事に入りますので、カメラ撮影はここまででお願いいたします。
 それでは、以降の進行を濵口座長にお願いいたします。
○濵口座長 皆様お忙しいところ、御参集いただきましてありがとうございます。これまでの説明に対しまして、御意見等ございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 それでは、議事に入りたいと思います。まず議題1「新型コロナウイルス既感染者の採血制限について」、初めに事務局より説明をお願いいたします。
○鈴木課長補佐 事務局鈴木です。資料1を用いて御説明させていただきます。資料1「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染後の採血制限について」です。1つ目に、新型コロナウイルス感染症感染後の採血制限の経緯等を御説明させていただき、その後、2つ目として今後の対応案をお示しいたします。COVID-19罹患者につきましては、当初は情報収集に努め、新たな知見を踏まえ必要な対応を行うとして、安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律第25条に基づく、健康診断並びに生物由来原料基準第2の1(1)及び2(1)に規定する問診等について、令和2年8月27日付で通知を発出し、献血を御遠慮いただいておりました。
 令和3年7月27日に開催された、令和3年度第2回安全技術調査会において、厚労科研、安全な血液製剤の安定供給に資する適切な採血事業体制の構築のための研究にて、COVID-19罹患後の者における血液の感染性等について整理された知見を踏まえまして、献血者及び血液製剤の安全性確保の観点、並びに採血所における感染拡大防止の観点から総合的に勘案し、採血制限の期間を症状消失、無症候の場合には陽性となった検査の検体採取日から4週間とすることとされ、「新興・再興感染症(新型コロナウイルス感染症)の既感染者に対する安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律第25条に基づく健康診断並びに生物由来原料基準第2の1(1)及び2(1)に規定する問診等について」を発出しております。
 同通知におきましては、「なお、新興・再興感染症については、今後新たな知見が得られる可能性等も踏まえ、本問診等の適切性について再考する必要性があると考えられることから、少なくとも1年ごとに本通知の適切性について評価すること」としており、令和4年度第3回10月25日の安全技術調査会におきましても、厚労科研の「安全な血液製剤の安定供給に資する適切な採血事業体制の構築のための研究」の知見を踏まえて審議を行い、採血制限の期間を変更しない(症状消失(無症候の場合には陽性となった検査の検体採取日)から4週間のままとすること)とされております。
 COVID-19については、令和5年5月8日から、感染症法上の位置づけが「新型インフルエンザ等感染症」から、5類感染症となり、現時点においては、病原性が大きく異なる変異株の発生といった、特段の事情は生じていないところです。一方、変異株への対応などは、引き続き、知見の収集等が行われております。
 COVID-19罹患者の採血制限の期間について、これらの状況を踏まえ、評価を行う必要があると考え、本日は御審議をお願いいたします。
 今後の対応案ですが、令和5年7月21日及び10月16日に開催されました厚労科研大隈班の研究班会議におきまして、以下の理由からCOVID-19発症後の採血制限の期間を4週間から2週間に変更する提案がなされております。要件としましては、新型コロナウイルスのPCR陽性となった血液の受血者に感染が認められたという報告は日本を含めてなく、当該受血者の血液からもウイルスは分離されていないということです。米国、カナダ、英国、オーストラリア等の海外の規制当局が設定した採血制限期間は7~14日が多く、日本より短いこと、今後新たな知見が認められた場合には、採血制限の期間について適切なタイミングにて評価することが望ましいということから提案されております。
これらを踏まえ、COVID-19罹患者の採血制限について、症状軽快から2週間と変更することとしてはどうか。また、今後の評価につきましては、新たな知見が得られた場合等に必要に応じて行うここととしてはどうかと考えております。案としてはお示ししているとおりです。事務局からは以上となります。
○濵口座長 ありがとうございました。本件に関して研究班で行われた議論内容について、大隈委員より説明をお願いします。その説明に続いて、日本赤十字社よりお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○大隈委員 関西医大の大隈です。音声、聞こえていますでしょうか。
○濵口座長 聞こえています。
○大隈委員 よろしくお願いいたします。画像は共有できますでしょうか。出しても大丈夫でしょうか。
○濵口座長 はい、大丈夫です。
○大隈委員 すみません。何かできない状況のようなので。
○濵口座長 こちらに資料がありますので、ページを言いながら説明していただいても結構です。
○大隈委員 分かりました。手元にある資料を御覧ください。我々の研究班で、COVID-19の5類感染症移行に伴う新型コロナウイルス既感染者の採血制限の見直しについて、検討させていただきました。
 2枚目を御覧ください。これは先ほど御説明があったとおり、新型コロナウイルス既感染者の採血制限設定の経緯についてです。先ほどの御説明のように、先行研究において、献血者の安全性確保の観点や採血所における感染拡大防止の観点、それから、血液製剤の安全性の観点から、総合的に勘案して採血制限の期間を症状消失(無症候の場合は陽性となった検査の検体採取日)から4週間とこれまで設定されてきたところです。
 3枚目を御覧ください。特に感染後のウイルスの排出期間というのが大事なポイントの1つかと思いますけれども、これは国立感染症研究所のデータですが、これは既に審議会等で発表されている内容ですけれども、やはり発症2日前から発症後1週間から10日間が、感染性のウイルスが排出しているということが分かってきたということです。特に発症後5日間が他人に感染するリスクが高いということに注意してほしいという内容になっております。
 4枚目を御覧ください。これは実際、オミクロン系統の感染者のRT-qPCRの陽性検体における、鼻咽頭検体中の感染性のウイルスを定量した結果になっております。右のグラフが見やすいかと思いますけれども、こちらにおいて発症後7日目には検出限界値を下回っているという状況で、これ以降は感染性のウイルスは出現していないというデータになっております。
 最後に、COVID-19と血液の安全性を取り巻く現状です。1ポツ目、国民への新型コロナウイルスワクチンの接種が進み、2回接種終了が約8割、3回接種終了が7割となってきているという状況があります。
 また、アルファ株、デルタ株が流行していた以前と比べて、最近のオミクロン株は近年では重症化例が減少してきているということは、御存じのとおりだと思います。また、採血制限期間を決める基準にされておりましたCOVID-19診療の手引きの最新版ですけれども、これについては、その基準も5類移行後、この「退院職場復帰基準」というのは、設定がない状況になっております。また、昨年の9月に感染者の療養期間等は短縮されましたけれども、この変更によって既感染者が周りに感染させるリスクが上がったという事実はないということです。先ほど御説明がありましたけれども、大事な点としては、やはり、PCR陽性になった血液の受血者に感染が認められたという報告は海外を含めて日本も当然ないということで、こういった血液からはウイルスは分離されていないという現状です。実際、海外の米国等の規制当局におきましても、その設定した採血制限期間は1週間から2週間というところが多い状況です。ですので、現在の日本よりも短いということが言えます。こういったことを踏まえて研究班としては、総合的に考えて4週間ではなく、2週間でいいのではないかという結論に至って提言させていただいているところです。私からの説明は以上になります。
○濵口座長 大隈委員、ありがとうございました。それでは、続きまして日本赤十字社からの御説明お願いします。
○日本赤十字社血液事業本部後藤技術部次長 日赤の後藤から御説明いたします。資料1-2を御覧ください。日本赤十字社では献血後に、新型コロナウイルス感染症を発症した、検査陽性となったという情報を得た場合には該当製剤の供給を停止する。医療機関へ供給されていた場合には情報提供し、未使用の場合は回収するという措置を実施してきました。その中で、医療機関で輸血に使用されたという情報を得た場合には、製剤の新型コロナウイルスPCRを実施し、陽性となった場合は受血者の感染状況を調査してきました。これらの調査において、得られた結果について御報告いたします。
 2枚目を御覧ください。2020年1月の国内初感染者の発生以降、感染が終息する気配はなく、感染の拡大縮小やウイルスの変異を繰り返している状況です。先ほど御説明した日本における新型コロナウイルスの献血後情報の調査結果については、参考資料として、この後のスライドに記載しております。
 調査結果からは、献血血液が新型コロナウイルスPCR陽性であることが判明するものもありましたが、これらのPCR陽性血液の受血者の調査において新型コロナウイルス感染は認められず、輸血によって新型コロナウイルス感染を起こす可能性は諸外国からの報告にもあるように、理論上のリスクにとどまると考えられました。本件については論文投稿中であり、近日中に公開されると考えております。今後は新型コロナウイルス感染に係る献血後情報を入手した献血血液については、ほかのインフルエンザ感染などの献血後情報と同様に、供給停止や未使用製剤の回収、受血者のフォローの依頼等により対応することとし、該当製剤に係る新型コロナウイルスPCR検査は中止いたします。次ページ以降に、新型コロナの献血後情報発生状況や調査内容、調査結果について参考資料として掲載いたしましたので、御覧ください。私からの説明は以上です。
○濵口座長 ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、御意見や御質問ございましたら、委員の先生からお願いしたいと思います。いかがでしょうか。事務局から提示された案というのがございますので、そちらをもう一度確認していただいて、これでよろしいかどうかという御意見を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。御意見がないようですので、新型コロナウイルス既感染者の採血制限につきましては、事務局が提示した案で御了承いただけるということにしたいと思いますが、いかがですか。岡崎委員については議決に加われません。何かございましたらお願いしたいと思います。天野先生お願いします。承認ということですね。よろしいですか。御異議ないようですので、これは承認ということにしたいと思います。ありがとうございました。
 続きまして、議題2に移りたいと思います。議題2「性的接触及び海外地域別の滞在期間の問診について」に移ります。それでは、事務局より説明をお願いします。
○鈴木課長補佐 事務局、鈴木です。資料2を用いて説明いたします。「性的接触及び海外地域別の滞在期間の問診について」です。令和4~6年度厚労科研「安全な血液製剤の安定供給に資する適切な採血事業体制の構築のための研究」、こちらも大隈先生に代表をお務めいただいておりますが、この研究班において、諸外国の動向や科学的知見の整理等を行っていただいているところです。今後の検討に際して本日2つの論点を挙げますので、御意見を頂戴できますと幸いです。
 まず1つ目、性的接触に関する問診についてです。現状については、男性どうしの性交渉による後天性免疫不全ウイルスの感染リスクを踏まえ、不特定の異性又は新たな異性との性的接触歴や、男性どうしの性的接触歴のある方、いわゆるMSM等からの献血を制限しているところです。
 諸外国では、特定の男性同性間の性的接触歴のある方等の献血を受け入れる動きがある中で、現在、日本赤十字社の問診では、男性同性間の性的接触の有無を複数問診項目の中で確認をしている状況です。こちらの複数問診項目は、参考として資料2の下方に載せております。
 特定の男性同性間の性的接触者における事前確率は相対的に低く、不特定の男性同性間での性的接触を有する男性と性的接触がある女性における事前確率は高いということが評価できていないのではという批判もあります。また、男性同性間の性的接触をHIV感染に関連付けることへの批判もあります。そこで、論点として、性的接触歴に関する問診の見直しを行う場合には、事前確率が上がらないことのほか、倫理的・運用的に留意すべき点が何かありましたら、御意見を頂戴できますと幸甚です。
 日本における性的接触歴の問診についてどのように考えるか。現在の性的接触に関する問診は、お示ししているように、複数問診項目のどれを選んだか分からない形になっております。詳細の確認をするようなものとはなっておりませんけれども、この考え方をどうするか、御意見いただけますよう、お願いいたします。
 続いて、論点の2つ目です。海外地域別の滞在期間の問診について。変異型クロイツフェルト・ヤコブ病は、牛海綿状脳症に感染した牛やvCJDに感染した方から感染すると考えられており、輸血による感染と考えられる事例も海外では認められておりますが、日本では、2000(平成12)年から海外地域別の滞在期間に基づき、献血を制限しているところです。
 vCJDの診断用血液検査というものは、いまだ確立したものはありませんが、国内でのvCJDの発生は英国滞在歴のあった1件のみであり、時間経過等に伴い、vCJDの発生リスクは低下している中で、国内外でBSE対策の見直しが行われており、諸外国では献血制限の見直しも行われてきております。
 論点に移ります。血液を介したvCJDのリスク評価に際し、留意すべき点は何か。BSE対策の状況ですとか、vCJDの発生状況などを鑑みて検討いただけたらと思っております。日本でのvCJDのリスク評価は長年行われておらず、国内でのvCJDの発生というものは、英国滞在歴のある1件のみであることから、まず米国とオーストラリアで用いられたような数理モデルを研究していくことはどうかということを検討しております。事務局からの説明は以上になります。
○濵口座長 ありがとうございました。それでは次に、本件に関して研究班で行われた議論内容について説明を頂きます。内容が2つあります。性的接触とvCJDですね。これを1つずつ分けて質疑の時間を取りたいと思います。
 まずは性的接触に関する問診について、まずは研究班の大隈委員から、その後に続けて日本赤十字社より御説明をお願いしたいと思います。それでは大隈委員、お願いします。
○大隈委員 関西医大の大隈です。よろしくお願いいたします。ではお手元の班会議の資料を御覧ください。資料番号、これは2-1-1でよろしいですか。
○濵口座長 はい。では資料2-1-1をお願いします。
○大隈委員 当研究班におきまして、MSMに関する採血制限の見直しについて検討させていただきました。2枚目を御覧ください。これは現状の感染状況等を示したもので、我が国の動向の最新の報告についてですけれども、左側が昨年の新規のHIV感染者数、それから右がAIDSの新規報告数になっております。どちらも円グラフになっておりますけれども、一見して分かるように、同性間の性的接触が非常に大きい範囲を占めております。これが感染ルートのメインのルートと考えられます。
 次に3枚目には年次推移等が示されておりまして、上のグラフですけれども、このように2010、2011年ぐらいがピークで、その後、減少傾向にありまして、新規HIV感染者、それから新規AIDSの数は減少傾向にあります。4枚目が世界の動向になっております。世界的には3,900万人いるわけですが、やはり依然としてサブサハラと呼ばれる地域が最多になっております。5枚目を御覧ください。最近の新規感染者・AIDS関連死ですけれども、これももうピークを過ぎておりまして、減少傾向にあります。新規感染者、AIDS関連死ともに世界的には減少傾向にあるということが分かります。
 6枚目を御覧ください。MSMに係る採血制限を取り巻く状況ですけれども、LGBT、特にMSMですけれども、LGBTに対する各国の献血制限は、HIVや肝炎ウイルスの安全対策として導入されました。最近では、この「エイズの検査」という表現を今は使わないので、HIVに修正すべきではないかといった御意見や、諸外国において、MSMの献血を認める方向で進んでいるという状況があるけれども、日本でも進める必要はないかといった御意見を頂いているところです。
 皆さん御存じのように、性的マイノリティへの理解を深めるための「LGBT理解増進法」ですけれども、これが成立・施行されておりまして、LGBTに対する社会の理解や検査法の進歩、それから献血制限の緩和が進んでいるということが言えます。特に海外の英国や米国、カナダ等で、MSMというだけではなくて、個別のリスク評価、性感染症の罹患歴や、薬物を使用したセックス、セックスワーカー、それから新たな/複数のパートナーとの性的接触によるHIV感染リスクが評価されております。その結果、新しい、若しくは複数のパートナーとのアナルセックスが感染リスクが高いということが分かってきました。
 各国では既にこういった結果に基づいて、近年、献血の受入基準を変更してきている状況です。基準変更後のモニタリングが行われておりますけれども、これにおきましても、現在のところ、HIV感染リスクの上昇は認めていないということです。
 最後に、これが現在の海外のMSMの供血者の選定基準になっております。特に赤字の所が近年の動きで、オーストラリア、カナダ、アメリカ、イギリス、フランス等においては個別リスク評価が行われておりまして、これに基づいて献血の基準等が評価されて、変更が行われているということです。我が国においても、海外でのこういった状況を踏まえて見直しをしてもいい時期に来ているのではないかということで、現在、研究班のほうで検討させていただいているところです。私からの説明は以上になります。
○濵口座長 ありがとうございました。続きまして、日本赤十字社からの説明をお願いします。
○日本赤十字社血液事業本部後藤技術部次長 では、日赤の後藤から御説明いたします。資料2-1-2を御覧ください。エイズ(HIV)及び性的接触に係る問診項目について、諸外国の状況等を含めて御説明いたします。スライドの2枚目を御覧ください。本項目について再検討することになった背景の御説明です。諸外国では、献血血液によるHIV感染リスクについては、個別リスク(性感染症罹患歴、薬物を使用したセックス、セックスワーカー、新たな/複数のパートナーとの性的接触)など、性的接触に起因する感染リスク要因に応じた評価について検討してきました。MSMについては、アナルセックスがリスク行動であるとされ、行動に基づく評価に移行し、条件に合致する場合、つまりアナルセックスがない場合は、MSMでも献血可能となりました。
 日本では2011年(平成23年)に問診票を改訂して以降、性的接触に係る問診項目についての検討を実施していない状況です。また、昨年成立した性的マイノリティへの理解を深めるための「LGBT理解増進法」の成立・施行を踏まえ、全ての献血申込者に配慮した表現への移行を考え、検討を行いました。さらにエイズの原因ウイルスがHIVであり、性的接触により感染すること、感染のリスクを軽減する効果的な予防方法を身につけることについて理解することは、中学校の保健体育の学習指導要領で定められていることから、問診票に用いられている「エイズ感染」「エイズ検査」という表現は、より正確に「HIV感染」「HIV検査」に改めることが望ましいと考えました。
 3枚目を御覧ください。こちらは各国のMSM供血者の選定基準です。先ほど大隈先生からも御紹介がありましたが、夏から秋にかけてスイスとドイツからも、個別評価に変更するという報告がありましたので、少し改訂しております。この供血延期期間というのは、最後のMSM行為日が起点となります。日本では、MSMの供血延期期間は6か月間としています。ここ数年でアジアを含む諸外国で、MSMの献血延期期間が短縮される傾向にあり、更にMSMと包括的に制限するのではなく、個人の性的接触による感染リスクに基づいて評価する方針に転換しつつあります。
 4枚目を御覧ください。諸外国におけるHIV感染リスクの問診に係る検討については、参考資料として後ろに各国ごとに付けておりますが、それらをまとめたものがこちらです。英国、米国、カナダ等ではMSMというだけでなく、個別リスク評価によるHIVの感染リスクが評価されました。その結果、新しい若しくは複数のパートナーとのアナルセックスによるHIV感染リスクが高いことが分かりました。各国ではこれらの検討結果に基づき、献血受入れを個別リスク評価に基づく基準に変更しました。なお、基準変更後のモニタリングにおいて、HIV感染リスクの上昇は認められていないということです。
 5枚目を御覧ください。日本の献血における性的接触に係る問診事項は、令和2年8月27日の国の通知では、以下のように規定されています。「その他の感染リスク」の中で、性的接触については「過去6か月以内に不特定または新たなパートナー、または血液にリスクを及ぼすウイルス持続保持者との性的接触がないこと」とされています。ここには性的接触に係る問診内容についての詳細は示されておりません。献血をお断りするような条件については、過去の運営委員会で検討した結果を踏まえ、平成23年から現在の表現を用いております。
 6枚目を御覧ください。日本における性的接触関連の問診項目の記載の変遷をお示しいたしました。問診票を全国統一する前から、これらの項目を含む問診を実施しており、時々表現は修正されていますが、おおむね内容は同じです。
 7枚目を御覧ください。現在の問診項目に対する献血制限は、6か月以内の性的接触について、女性と男性の組合せの場合は、相手が不特定又は新たな人であれば献血延期としています。同じ相手で6か月を超えていれば、献血可能となります。男性どうしの組合せでは、同じ相手であっても性的接触があった場合は献血できません。しかしパートナーの組合せが男性どうしであっても、6か月以内の性的接触がなければ現在も献血は可能です。女性どうしの組合せの場合、献血制限はありません。
 8枚目を御覧ください。こちらは日本国内で厚生労働科研で行われたインターネット調査パネルにおいて、本人の性別が男性でセックスの相手が男性のみ、又は男女ともあり、アナルセックスの経験があると回答したMSMの行動調査をまとめたものです。データは、参考資料として後ろに付けてあります。内容をまとめますと、出会いを求めて施設やツールを利用する人が多く、調査対象の3/4は、過去6か月の性交渉の相手が2名以上でした。性感染症の既往歴は、多い順に梅毒、クラミジア、淋菌、HBV、HIVという結果でした。また、アナルセックスをしない人も一定数いました。MSMであっても頻繁にアナルセックスをするわけではないようです。HIV感染の予防薬であるPrEPを知っている人は半分を超えており、効果を信用し、HIV感染予防に使っている人もいるとのことでした。しかしながら、出会い目的の施設やツールを利用しない人、過去6か月の性交渉の相手が1名という人も、それぞれ1/4程度は存在するとのことでした。
 9枚目を御覧ください。こちらは現在のHIVや性的接触に関連する問診項目です。諸外国の動向や日本国内における状況、事前確率等についても慎重に検討を進めたいと考えております。私からは以上です。
○濵口座長 ありがとうございました。ただいまの説明に関して、委員の皆様から御意見や御質問を頂きたいと思います。いかがでしょうか。それでは私のほうから、日本赤十字社にお伺いしたいと思います。個別評価というものが海外で行われて、大きく方法が変わってきたということですが、この方法を日本で取り入れる場合に、どういう状況が生まれるかを教えてください。具体的に言うと、献血の問診をやっていく中で、個別評価を入れるとどういったことが起こってくるのかを教えていただければと思います。
○日本赤十字社血液事業本部後藤技術部次長 日赤の後藤から御説明します。実際には個別評価にしても、一つ一つの項目を詳細に聞いていくことにはならないし、しないほうがいいだろうと考えております。先ほどの資料の9枚目に、現在の問診項目を示しておりますが、この1~5までの項目の中で、「男性どうしの性的接触歴のある方」というのは外すことになるだろうと思っています。あとは予防薬の使用について追加するという形で、問診としては6か月以内の次のいずれかに該当することがありましたかと聞くことには、変わりないかと考えております。
○濵口座長 すみません。理解が十分ではないかもしれないのですが、個別評価というのは、基本的に追加の細かい質問をいろいろと詳しく聞いていくということではなくて、今おっしゃったような項目を少し変更していくことによって、日本の場合はそういったものが取り入れられる可能性があるということでよろしいですか。
○日本赤十字社血液事業本部後藤技術部次長 はい、そのように考えております。健診を行う医師が詳細に聞いたほうがいいと判断されれば、聞くこともあるかと思いますが、問診票の表現と健診の内容というのは、少し違うかと思います。
○濵口座長 ありがとうございました。先生方からいかがでしょうか。玉井先生、お願いします。
○玉井委員 弘前大学の玉井です。医学生を献血実習に連れて行っている立場と、HIV患者を診療している立場から発言させてください。学生たちはこの多項目の質問事項を、非常にハードルが高いと感じています。特にマル1の初めて異性と性交渉があって6か月以内の人は、献血ができないということで弾かれているところです。非常に正直な学生たちは、「3か月前に彼女ができたので」などと言っていますけれども、この複数項目で弾かれるということが、次の献血のハードルが高くなっていることを現場で感じています。
 それから、HIV診療をしている身からお話させていただきたいと思います。問診項目は今のように複数項目で、個別にアナルセックスがどうとかいろいろなことを聞くのは、日本の文化ではまだ時期尚早だと考えています。一方でPrEPに関しては、皆さん非常に御存じです。薬物として認識していない方はサプリのような形でやっていて、以前の問診にあった「薬物を服用しましたか」というところで弾かれてしまう方たちがいるので、ここの項目にはPrEPの服用、あるいはこれから緊急採用される緊急避妊薬、アフターピルの使用などの項目を入れて、望まない性交渉や感染の危険があった人たちを拾い上げるような方策が望ましいと思いました。以上です。
○濵口座長 貴重な御意見をありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部佐竹血液事業経営会議委員 参考人です。先ほどのことに追加したいと思います。「個別のリスクについての評価」という言葉が、ちょっと分かりづらいのです。どういうことかと言いますと、MSMであることに基づいての排除はしないということです。個別のリスクというのは、MSMであることも1つのリスクですし、複数の相手やセックスワーカーなどもそれぞれ個別です。そういった個人個人の個別に基づいて判断するということであって、MSMだからということで、そういう人はセックスがあろうとなかろうと制限を設けるようなことはしないということです。これが個別リスクとMSMリスクの違いです。
 それから今、玉井先生から頂いたのは本当に貴重な御意見です。その中で1つ、初めてのセックスですね。おっしゃるとおり、例えば若い人で彼女ができたばかりということもあるわけですが、実際にそれはその形で運用しております。例えば本当に新婚であっても、結婚する前の交渉というのは今はごく普通かもしれません。ごく普通の新婚であっても、やはり6か月は待っていただくことになっているのです。若い人には、それが大きなハードルになることは確かですが、残念ながらそれはそのとおり行っております。そのときにドナーになろうとした方には、こういうことで6か月はできませんので、6か月を過ぎたら大丈夫ですということを十分に説明して、お断りしているという状況です。
○濵口座長 玉井先生、よろしいでしょうか。
○玉井委員 事前確率が上がらないように、問診項目を変更しなければならないことが条件と伺っておりますので、その点は十分に納得しました。ありがとうございます。
○濵口座長 ほかにいかがでしょうか。天野先生、お願いします。
○天野委員 東京医大の天野です。私も玉井先生と同じような立場です。マル1に関しては、「また今回もできないね」というようなことを言っている子がいるという話を、私も時々聞いたことがあったので、なかなか難しいところだとは思っていたし、ハードルは上がるよねと思っていたところもあったのですけれども、今の御回答があったので、仕方がないところもあるのかと思っております。
 あと、男性どうしの性的接触に関して言うと、確かにMSMの方々の確率はとても高いと思っています。ただ、特定のパートナーでも、ほとんどそういう傾向がない人もいます。だから本当に特定であれば、問題はないのかなというところもあるので難しいのですが、男性どうしの性的接触だけを入れる必要があるのか。ここもマル1のような形で、異性とか新たな異性などではなく、不特定の性的接触があったかということで、全部まとめてしまってもいいのではないかという印象を持っています。
 ただ、男性どうしの性的接触というのは、やはり高いところではあるのです。これを入れることがLGBTの理解増進法に対して問題になるかどうか、当事者の皆さんがどう考えているかというのが確認できたらいいのではないかと思っているのです。その辺りは日赤のほうでも、御検討する上で当事者の皆さんに何か確認というか、いろいろなNGOなどがあると思うのですが、そういう所に相談してみる予定などはあるのでしょうか。
○濵口座長 いかがでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部佐竹血液事業経営会議委員 ありがとうございます。実際にそのようなスタディの予定はありません。MSMの方等にアクセスする方法そのもので反発や、実際に面談できるかどうかというのは非常に大きなハードルがありますが、欧米ではそういう調査は、意外にあっけらかんとやるところがありますので、何か考えなければならないだろうと思っています。
 それから、その前の御意見であった問診のマル2は、全くおっしゃるとおりです。こちらもそのことを考えております。この文字の並びで見ますと、6か月以内にいずれかに該当することがありましたかというのは、マル1とマル2に並列に掛かっているのです。マル1では6か月以内に不特定の異性、あるいは新たな異性との性的接触をはねているわけですが、マル2はそれが掛からないのです。マル2は、6か月以内に男性どうしの性的接触があったかどうかを聞いていますので、MSMの方が同じパートナーとずっと付き合っていても、6か月以内に性的接触があればはねられてしまいます。そこがLGBTの観点から言うと、差別の形になっていると言えます。マル2をマル1に全部入れてしまうというのは我々も考えていたところなので、不特定の異性又は新たな異性又は同性という所に、男性どうしの性的接触も、ほかの異性間の性的接触と、全く同じレベルの1つのリスクとして入れるという文言にすべきだろうと考えています。マル1だけだと異性だけになっていますので、ここに同性も含めるという形にしなければならないかと思います。以上です。
○濵口座長 ありがとうございます。天野委員、よろしいでしょうか。
○天野委員 そういったところですけれども、男性どうしの方々も、そこにはリスクがあるのだよということは、結構MSMの人たちも分かっている人たちは分かっていると思うのです。なので、そこを入れたら本当にまずいのかというところは、当事者の意見を聞いてみるといいのではないかと。意外と「やっぱり危険だと思ってますよ」という感じで終わってしまうかもしれないので、何でもかんでも平等にする必要もないのではないかと思っているところです。
○濵口座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。岡崎先生と、それに続いて荒戸先生、長村先生という順番でお願いします。
○岡崎委員 岡崎です。多分、同じパートナーと付き合っている方でも、相手が本当に不特定の人と付き合ってないかどうかというところに関して、知っているかどうかというのも非常に問題だと思うのです。そこら辺はすごく微妙な問題ではないかと思いますので、献血される当事者だけでなく、パートナーがどういう方かというところも考え、こういう問診票は作るべきだと思っています。以上です。
○濵口座長 続いて荒戸先生。
○荒戸委員 すみません。特に挙手等はしていません。
○濵口座長 すみません。それでは、次は長村先生でしたかね。
○長村委員 東京医科研の長村です。御説明、ありがとうございます。1つの質問と1つの意見です。まず、薬物を使用したセックスというのは、個別リスク評価の中のPrEPのことを言っているのでしょうか。PrEPを使うと、OKするということなのでしょうか。つい先日、港区の保健所の会合がありました。港区では梅毒がすごく増えているけれども、HIVは横ばいということがあって、そういうものを使っている方々がいらっしゃるのかと思った次第です。
 もう1つは、昨今、男性どうしというよりは、男性も女性のせいにできるのかな。その辺を考えると、「MSM」という表現ではなくて先ほどの御提案どおり、マル1に加えて同性という形がいいのではないかと思いました。以上です。
○濵口座長 1番目のコメントについて、日赤のほうからコメントはありますか。
○日本赤十字社血液事業本部後藤技術部次長 薬物というのは、PrEPやペップといった予防薬というわけではなく、性的興奮を得るための薬を使ってという意味での薬物のことだろうと理解しておりますが、今、原文の英語の文章が手元にありませんので、詳細にこういうものですということについては、後ほど確認したいと思います。
○濵口座長 長村委員、よろしいでしょうか。
○長村委員 ありがとうございます。
○濵口座長 貴重な御意見、ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。朝比奈先生、お願いします。
○朝比奈委員 医科歯科大学の朝比奈です。ちょっと違った観点ですが、6か月とされている経緯をお聞きしたいと思います。最近、外国では6か月というのが短くなる傾向があるということですが、一方で長い所もあったように思うのです。その辺の状況というのは、どのように理解したらよろしいのでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部佐竹血液事業経営会議委員 日赤の佐竹です。もともとサイエンティフィックには、ウインドウ期を超えて検査でつかまるのは、3か月以内で十分大丈夫なのです。それで外国もそうなったのです。もともと日赤ではセーフティマージンを設けるときに、大体ウインドウ期などは全て2倍にしていますので、3か月でもいいけれども、3か月を2倍にして6か月にしたということです。6か月にしたのは、実は相当前でした。その頃はまだMSMというだけで献血をはねていた国がほとんどですので、先ほど申した個別評価で、6か月であればMSMも献血をOKとしたのが、恐らく日本が初めだったのではないかと思うのです。そして海外がここ2、3年で1年、3か月というように、どんどん短くなってきたという経緯があります。以上です。
○朝比奈委員 ありがとうございます。検査法も良くなってきて、ウインドウピリオドも短くなってきているので、外国で短くしても、HIVの発生はなかったということですね。今回はHIVが割とフォーカスされていますけれども、性感染症の中にはHBVもあります。実際にHBVのウインドウ期での感染の事例もあるので、肝炎診療をしている立場からはHBVも含めた観点で、いろいろ議論をしていただけるといいかと思いました。以上です。
○濵口座長 佐竹参考人、どうぞ。
○日本赤十字社血液事業本部佐竹血液事業経営会議委員 佐竹です。おっしゃるとおりです。ここはHIVだけですけれども、HBVが日本では非常に問題なので、HBVを考えると、6か月は必要であるということです。言い忘れました。申し訳ないです。
○朝比奈委員 より長いので、私もそのように思います。ありがとうございます。
○濵口座長 貴重な御意見をありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。では岡田参考人。
○岡田参考人 参考人です。HIVの予防薬の件です。去年、HIVの注射薬が承認されたのです。経口剤は1日1回飲まなくてはいけないのですけれども、注射薬は1か月に1回とか2か月に1回でウイルスの増殖を防げるもので、日本でも去年承認されたのです。それを使って、暴露してからそれを使うと、陽性になるまでに2年ぐらいというか、かなり長期間かかるのです。ですからFDAでは、経口剤で予防した場合は3か月ですけれども、注射薬を使った場合2年間は献血できないので、こういう予防薬を使ったかどうかもどこかで質問して、後は個別に、それが経口なのか注射薬なのかを確認することが必要かと思います。特に医療関係者だと毎年800~900人のHIV関係の患者が発生しているので、医療行為で暴露する可能性がありますから、その辺は追加で入れたほうがいいと思います。以上です。
○濵口座長 ありがとうございます。佐竹参考人。
○日本赤十字社血液事業本部佐竹血液事業経営会議委員 おっしゃるとおりです。その前にも御意見がありましたように、これまではPrEPも含めて、薬剤のところで処理をしていました。我々のマニュアルでは、経口の場合はどのくらい、注射の場合はもちろん長くというように周知してあるわけですけれども、問診票の中にこういったポピュレーションが増えてくれば、問診票の最初の質問の中に、ダイレクトに入れてくる必要があるという事態が出てくるかと思います。その辺は状況を見て、我々も考えていきたいと思っております。おっしゃったように、2年間というのは決まっています。静注の場合は非常に慎重にしなければならないのは確かです。
○濵口座長 ありがとうございました。よろしいですか。後藤参考人。
○日本赤十字社血液事業本部後藤技術部次長 すみません。先ほどの長村先生の薬物セックスに係る御質問ですが、参考資料として付けている23ページに、英国のリスク評価があります。ここに「覚せい剤を含む薬物による性行為」と書いていますので、やはり覚せい剤や興奮剤を使った性行為のことを「薬物セックス」と考えているということです。追加でした。
○長村委員 どうもありがとうございます。
○濵口座長 ほかによろしいですか。ただいま委員からもたくさんの御意見を頂きました。これらの意見を踏まえて、更に十分に検討を進めていただけますようお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。
 次に、後半の「海外地域別の滞在期間に関する問診について」という議題に入りたいと思います。先ほどと同様に、本件に関してはまず研究班で行われた議論内容を大隈委員から、続けて日本赤十字社から説明をお願いしたいと思います。では、大隈委員からお願いします。
○大隈委員 よろしくお願いいたします。資料は2-2-1になるでしょうか。御覧ください。よろしいですか。
○濵口座長 お願いします。
○大隈委員 当研究班では、vCJDに関する採血制限の見直しについて検討させていただきました。2枚目は現在の世界でのBSEの発生件数の推移ですが、御覧になって分かるように、1992年をピークに、近年は非常に少なくなっているというデータがあります。3枚目ですが、これは世界のvCJDの発生件数の推移です。これは2000年をピークにどんどん少なくなっている状況です。茶色い四角があると思いますけれども、2004年に1例だけ認めておりますが、これは国内での発生例ではありません。そういう状況です。
 4枚目を御覧ください。こういった状況で、海外の諸外国においては、今年の基準が上の表になっております。アメリカとかオーストラリアにつきましては、イギリスによる献血制限を廃止してきている状況かと思います。ほかの国々では、英国に対しては滞在期間を考慮している国も複数あります。日本における、欧州等の滞在歴を有する者からの献血制限が下の表になっておりまして、このように、いろいろな国を対象国にして、それらの滞在期間を基に献血制限を行っている現状があります。
 5枚目を御覧ください。これがvCJDに係る採血制限を取り巻く現状です。上の所は基本的なデータですが、vCJDにつきまして、皆さん御存じのように、ヒトプリオンタンパク質というのは多型性でして、MM型というのがプリオン病に高感受性があると言われています。日本人のMM型の比率が9割以上ということで、非常に感受性が高い国民であると考えられていると思います。
 2番目に書いてあるとおり、先ほどのデータが示しているように、BSEの発生頭数は1992年にピークになっていて、vCJDの発症者のほうは2000年にピークになっていることから、潜伏期は8年程度と推定されておりますので、こういったことも今後の判断材料になるかと考えております。下の所が特に重要なポイントですが、先ほど言いましたように、日本は国内感染でのvCJDの発症例はありません。ですので、主たるリスクは流行国での滞在歴になります。輸血によるvCJDの感染リスクは特に英国において詳細に検討されておりまして、英国においても、輸血によるvCJDの感染は2006年、それから、輸血以外のvCJDの発症は2016年を最後に確認されていない状況です。こういうことを踏まえると、やはり当初の予測よりも輸血による感染リスクが非常に低いことが分かってきました。それで英国では、輸血の感染リスク低減策のうち、国内採血の血漿製剤の小児等への利用制限、及び血漿分画製剤の原料血漿の利用制限を撤廃したとのことです。米国については英国のリスク評価に基づいて、それから、オーストラリアについては独自のリスク評価をしていますが、2022年、欧州渡航歴による献血制限を撤廃したという動きがあります。こういった、諸外国の動きがある一方で、日本は2009年の国の通知で、vCJD関連の献血制限が決定されて以降、これまで見直しがされていない状況ですので、こういった各国の近年の動きに合わせ、日本も見直す時期にきているのではないかということで、現在、当研究班のほうで検討させていただいています。私からの説明は以上になります。
○濵口座長 ありがとうございました。引き続き、日本赤十字社からお願いします。
○日本赤十字社血液事業本部後藤技術部次長 では、資料2-2-2を御覧ください。日赤の後藤から御説明いたします。2枚目を御覧ください。先ほど大隈先生からも御紹介がありましたが、日赤の問診票では、国の通知に基づいた期間、滞在先の国ごとに、一番右に示した該当期間に、その左に示した日数以上の滞在歴がある場合は、vCJD感染リスクにより、無制限の献血延期ということにしております。例えば英国であれば、1980~1996年までに通算31日以上滞在した場合は無期限の献血延期になるということです。
 3枚目を御覧ください。こちらも先ほど御紹介がありましたが、諸外国においてはvCJDの感染リスクについて、改めて評価が実施されました。評価の詳細については、参考資料として、最後に国ごとに付けております。アメリカやオーストラリアなど、英国滞在歴などの地域的なvCJD感染リスクによる献血制限を撤廃した所もあります。
 4枚目を御覧ください。各国のvCJD感染リスク評価の内容と日本の状況についてまとめました。日本は国内でvCJDに感染した例はないことから、主たる感染リスクは流行国での滞在歴となります。英国は自国でのリスク評価に基づき、国内採血の血漿製剤の小児への、1996年以降に生まれた子供という意味ですが、小児への使用禁止という措置をずっと実施していましたが、これを撤廃しました。また、血漿分画製剤(グロブリンやアルブミン)の原料としての利用を再開することとしました。オーストラリアは、自国で実施したリスク評価に基づき、英国滞在歴による献血制限を撤廃しました。米国は自国内でvCJDに感染した事例はなく、英国のリスク評価を基に、地理的なvCJD感染リスクに基づく献血制限を撤廃しました。日本では、vCJD関連の献血制限は何度か見直しはされていますが、2009年の国の通知以降は一度も見直しがされていません。日本も国内で感染したvCJDの事例がないため、国内のリスク評価はなかなか難しい状況にあります。諸外国の評価を参照すると、日本は米国と同様に、「vCJDの症例数は、以前に予測されていたよりもはるかに少なく、将来の症例数も低いままである」、「血液製剤(輸血用製剤及び血漿分画製剤)によるvCJD伝播リスクは、受血者が将来vCJDを発症するリスクを増加させない、または最小限である」という英国のリスク評価を基に、英国等vCJD発生国の滞在歴による献血制限の撤廃は可能ではないかと考えますが、今後の国内リスク評価等の実施状況を踏まえ、適切に対応していきたいと考えます。
 5枚目を御覧ください。この問診項目を変更する場合の課題をまとめました。現在、献血前の問診は紙の問診票ではなく、日赤の血液事業情報システム等の問診項目への回答により行っております。そのため、問診項目の変更や削除に伴う大規模なシステム改修が必要となります。また、プラセンタ製剤使用者に係る問診項目もvCJD関連のために削除することになります。これらは国の通知に基づくものであり、通知の廃止も必要となってきます。輸血用血液や血漿分画製剤の注意事項等情報、これは添付文書に当たりますが、ここにもvCJD感染リスクの記載があります。これらの扱いを検討する必要もあるのではないかと考えています。さらに、原料血漿も同様の問診項目を検討することになりますので、血漿分画製剤メーカー等への情報共有も必要となってきます。また、本変更に関しては、献血制限を設けたときと同様に、国民に対する国及び日赤からの適切な情報提供が必要となってくるかと存じます。私からの説明は以上です。
○濵口座長 ありがとうございました。ただいまの説明に関して委員の先生方から御意見や御質問がございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。では、岡田参考人お願いします。
○岡田参考人 vCJDの発症者数は、当初の予測よりもかなり低いです。その当時、最もリスクがないと評価した論文があるのですが、それでも2010年代には年に5人ぐらいは出るだろうと予測していたのですが、英国においても2010年代も総数で10人ぐらいしかいません。今年は2023年ですので、2013年~2023年、今年までのこの10年間でトータルで6例ありますが、そのうちの1例は実験で感染した症例ですので削除すると5例です。
 それで、2013年の更に前、2003年からの10年ですと、2003年から2012年までの間に93例の発症があります。10年間ではありませんが、その前の2002年までが125例あります。それが2003年~2012年が93例、2013年~2023年が5例ということで激減しています。ですので、当初よりも発症する症例が少ないということで、今後も発症する症例数はかなり少ないのではないかと諸外国でも言われており、制限が撤廃されています。
 我が国の制限を見ますと、この日赤のA、Bと書いてありますが、例えば、A-マル2の1980年~2004年までに通算6か月以上の制限がある国の中で、ドイツとベルギーは1例もないのです。あと、A-マル3のスイスです。実は、スイスは1980年から現在もまだ加算されている状態ですが、スイスは1例もありません。B-マル2のアイスランド等、たくさん国が書いてありますが、これらも通算5年以上で、現在も滞在歴が加算されている国からも1例もないのです。そう考えると、住民が誰も発病していない国に滞在した日本からの旅行者や駐在員が感染しているリスクは途方もなく低いので、これはもう撤廃してもいいのではないかと思います。
 それと、実際に英国とフランスを除いた国は発生件数も少なく、英国とイタリアに最後の感染者がいたのが2016年です。ほとんどの国が2011年以前に発病して、症例も加算されておりませんし、あとは1996年以降、危険部位が食品に混入することがなくなっていることを考えると、英国以外に関しては制限を撤廃してもリスクは非常に少ないのではないかと思います。
 英国においては、発症者数は少なくなっているのですが、外科的に切除された虫垂を用いて異常プリオンがあるかどうかを調べた検査が今まで3回行われ、2回目の検査で2,000人に1人ぐらい陽性があったということで、英国では発症はしていないが感染している人がいるのではないかと考えられております。一方で、それが非特異的な反応ではないかということも一部にはありますが、一応、陽性と考えられております。
 今、感染はしているが発症はしていない人が、今後どうなるのかは不明です。時間がもっと経てば発症していくのか。それとも、発症しないままで一生を終えるのか。現在のところは分かりませんが、BSEがピークになってからvCJDの患者さんの発症例がピークになるのに8年のずれがありますので、発症する人は、恐らく8年ぐらいで早く発症し、以後は散発的に起こることはありますが、第2次のWAVEみたいなものは起こりにくいのではないかと考えられております。
 日本人は、プリオンの129番目のコドンがメチオニンのホモなのです。そのような人が90%以上いるのですが、そのようなメチオニンのホモの場合は感受性が高く、比較的、発症までの期間が短いと言われています。それで、英国では40%ぐらいがメチオニンのホモなのです。それで、英国の178人のうち160人ぐらいは検査をされているのですが、1例だけがメチオニンとバリンのヘテロの方で、それを除く全ての方は全てメチオニンのホモです。
 ということは、やはりメチオニンのホモの人が発病しやすいということです。虫垂の解析ではそのような傾向はありません。メチオニンのホモの人もいるし、メチオニンとバリンのヘテロの人もいます。そのようなことで、英国に関してだけは、リスクとしては低いけれどもどうなのかという、その辺の評価が必要かと思います。1例も国内発生がないような国においては、もう撤廃しても何の問題もないかと思います。以上です。
○濵口座長 詳しい現状報告をありがとうございました。先生方から何かございませんでしょうか。状況が変わってきて、この問診内容についても見直しが必要な時期に来ているというのは、皆さん、御理解できたと思いますが、これをどのようにまとめていくかというのは、もう少し解析が必要かなという気もしておりますがいかがでしょうか。よろしいですか。大隈委員のほうで、今、検討されている方向性としては、論点にも書いてありますが、今後、どういったことを検討していくことになるのでしょうか。
○大隈委員 関西医科大学の大隈です。研究班においては、引き続き、議論を積み重ねたいと思っておりますが、先ほどからお話が出ておりますように、海外の評価を受けて、それをそのまま日本に持ち込むのかというところも、1つの検討課題かなとは思っております。やはり、可能であれば、日本独自といいますか、国内でのそのようなリスク評価が可能であれば、それをやっていく必要があると思いますし、そういったところで検討を加え、研究班から提言したいと思っておりますが、やはり、先ほどのデータ等のお話にもありますように、英国と英国以外というところは少し区別してといいますか、そういったところを両方考えて、英国だけ残すとか、全部一緒に考える等、他の国々や英国のことを十分に検討した上で、どういった国々を対象国として残すのか、残さないのかという議論を、今後も引き続きやっていきたいと考えております。以上です。
○濵口座長 ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。先ほど、日本赤十字社からもありましたが、問診内容の変更となりますと、今あります血液製剤の注意事項等、そういったところにもデータをしっかりとお見せして同意を得ることが必要になってくるかと思います。ここに書いてありますように、場合によっては、もう少し広く、いろいろな方面に向けてきちんとした説明が必要になってくるかと思いますので、そういったことも踏まえ、研究班及び日赤のほうでも検討していただきたいと考えますがよろしいでしょうか。佐竹参考人。
○日本赤十字社血液事業本部佐竹血液事業経営会議委員 今、おっしゃられたことですが、このvCJDに関することはかなり影響が大きいかと思います。というのは、骨髄移植、臍帯血移植等のエリアにもこの考え方が少し入っていますので、もちろん、そちらはそちらの先生方が御判断されることだとは思いますが、元々は献血のこちらで決めたことがかなり影響しているところがございますので、このvCJD関連のところは、ほかの医療界にもかなり影響が大きいのではないかという感じがいたします。
○濵口座長 慎重に検討を進めていただきたいと思います。よろしくお願いします。それでは、最後に議題3のその他についてですが、事務局から何かございますでしょうか。
○鈴木課長補佐 事務局、鈴木です。議題3については、特にございません。
○濵口座長 ありがとうございました。本日の議題は以上となります。委員の先生方からほかに御意見等はございますでしょうか。天野委員、お願いします。
○天野委員 本日の議題のこととは全く違い、前回のときにお話いただき、皆さんに周知されている、今後、血小板の細菌検査をしていくという件に関して、よろしければ、この機会に日赤の方に教えていただきたいのですが、HLAの適合血小板の場合は、レジスター・ドナーに連絡をして取ってという形になると思うのですが、その方々に対して取った血小板も同様の対応を取ることになると、今までよりも連絡をして来てもらって取ってというところから供給までに時間がかかるという理解でよろしいのか、話題になっていたので、教えていただければと思ったのですがよろしいでしょうか。
○濵口座長 お願いします。
○日本赤十字社血液事業本部後藤技術部次長 日赤の後藤から御回答いたします。HLAPCの締切りの前倒しに関しては、現状では考えておりません。先生がおっしゃられたように、投与することが分かっている場合は、現在と同様に血液センターに御連絡いただければと思います。その際には、該当するドナーの方に献血をお願いして、確実に採血種をお届けできるようにいたします。
 それ以降の発注について、細菌スクリーニング導入後は、採血してからサンプリングするまでの待機時間を40時間以上設けることから、採血してから製造開始するまでに2日弱の時間がございます。この間に、採血済の血小板の原料の中から適合するHLAの方からの献血がなかったか探し、製造・供給することも可能になるのではないかと考えており、試算や検討を進めているところです。
 詳細な運用手順についてはまだ検討中であり、承認取得後、供給開始になるまでに詳細な情報提供を行う予定としておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○天野委員 ありがとうございます。
○濵口座長 ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、事務局に議事進行を戻したいと思います。
○鈴木課長補佐 事務局、鈴木です。濵口座長ありがとうございました。次回の安全技術調査会の日程は、別途、御連絡いたします。これにて血液事業部会令和5年度第2回安全技術調査会を終了いたします。ありがとうございました。
(了)