第14回 医薬品等行政評価・監視委員会 議事録

日時

令和5年12月27日(水) 10:00~12:00

場所

厚生労働省会議室及びテレビ会議

出席者

出席委員(五十音順)

(会議室)
(テレビ会議)

※◎委員長 ○委員長代理

行政関係出席者

厚生労働省
(テレビ会議)
  • 森光 敬子 危機管理・医務技術総括審議官
  • 伯野 春彦 大臣官房厚生科学課長
(会議室)
大臣官房厚生科学課
  • 綾 賢治(医薬品等行政評価・監視委員会室長)
  • 勝山 佳菜子(医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐)
健康・生活衛生局
  • 野口 裕輔(感染症対策部予防接種課ワクチン対策専門官)
  • 市川 壱石(感染症対策部企画・検疫課長補佐) 他
医薬局
  • 松倉 裕二(医薬品審査管理課長補佐)
  • 黒岩 健二(総務課国際薬事規制室室長補佐)
  • 藤井 大資(監視指導・麻薬対策課長補佐) 他 

デロイトトーマツコンサルティング合同会社
  • 加藤 隆幸(シニアマネジャー)
  • 楊 暁瑛(コンサルタント)

議題

  1. 1.医薬品等行政評価・監視委員会の意見に係る実施状況の報告について
  2. 2.委員の求めに応じた個別事項への対応について
  3. 3.委員の求めに応じた薬事制度・施策の実施状況について
  4. 4.医薬品等行政評価・監視委員会における海外調査について
  5. 5.医薬局からの定期報告について
  6. 6.その他

議事

○綾室長 定刻になりましたので、ただいまより、第14回「医薬品等行政評価・監視委員会」を開催いたします。
 委員の皆様には、御多用の折、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 本日の委員会は、ウェブ形式と併用して実施しており、会場にお越しいただいている委員と、厚生労働省外からウェブにて御参加いただいている委員がございます。
 また、傍聴に関してはYouTubeでライブ配信を行っておりますので、事務局や担当部局からの説明、回答は、できるだけゆっくりはっきり御発言いただくようお願いいたします。
 なお、資料は随時投映させていただきますが、通信環境が悪くなった場合は、通信負荷軽減の観点から資料の投映を中断し、音声配信を優先する等の対応をとることがございますので、御了承願います。
 それでは、以降の議事進行は磯部委員長にお願いいたします。
○磯部委員長 本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 最初に、事務局から委員の出席状況の報告をお願いします。併せて、利益相反の取扱い規程に基づいて、各委員の申告内容の報告もお願いいたします。
○綾室長 まず、委員の出席状況についてお知らせを申し上げます。
 本日は、泉委員を除く8名の委員が出席されております。現時点で9名中8名の委員に御出席いただいており、委員会開催の定足数に達していることを御報告申し上げます。
 続きまして利益相反について御報告いたします。まずは、利益相反の取扱い規程に基づく個別の医薬品を取り扱う際の議論参加基準に関する申告ですが、本日は、議事次第にありますとおり、議題及び資料の内容から、制度や施策の概要をはじめとした全般的な議論が中心となり、特定の医薬品について議論を行うことは予定していないことから、個別医薬品に関する利益相反の申告はいただいておりませんので、御報告申し上げます。
 なお、本委員会では、個別医薬品の利益相反のほか、「全般的な利益相反の定期的な開示」を行っており、各委員からの申告書につきましては厚生労働省のホームページに掲載しておりますので、併せてお知らせいたします。
○磯部委員長 ありがとうございました。それでは、議事に入りたいと思います。
 本日の議題は、議題1「医薬品等行政評価・監視委員会の意見に係る実施状況の報告について」、議題2「委員の求めに応じた個別事項への対応」として、薬機法に係る不正事案への対応について、議題3「委員の求めに応じた薬事制度・施策の実施状況について」として、次の感染症危機に備えるための司令塔機能の強化、PMDAの海外拠点設置の2点について、さらに議題4と5で、海外調査と医薬局からの定期報告について取り扱うこととしています。
 今回も厚生労働省から様々御説明いただきますけれども、先ほどはゆっくりはっきりと言っていますが、今度は、簡素化して効率的に進められるようにということで御協力をどうぞよろしくお願いいたします。
 では、本日の議題の1つ目、資料1を御覧ください。「医薬品等行政評価・監視委員会の意見に係る実施状況の報告について」でございます。当委員会では、参考資料2に示しているとおり、2021年12月24日に「新型コロナワクチンの安全性評価に関する意見」を取りまとめ、発出いたしました。これに関連した施策の実施状況につきまして、昨年12月に御説明いただいてから1年が経過いたしましたので、最新の状況について御説明いただきたいと思います。
 それでは、資料について、感染症対策部予防接種課から御説明をお願いいたします。
○感染症対策部予防接種課 予防接種課でございます。
 資料1について御説明させていただきます。2枚目、予防接種事務のデジタル化についてでございます。こちら、昨年いただいた意見に基づいて、対応のほうについて御説明させていただきます。
 現在、予防接種事務につきましては、予診票や接種券、請求書等が紙で処理されているような現状でございます。安全性・有効性に関する調査・研究については、自治体の接種状況等を把握できておらず、有効性・安全性に関する調査のための情報基盤がないというような現状でございました。今後は、オンラインの資格確認の基盤を活用し、予防接種事務の効率化であったり、データベースの構築による調査・研究を実施することとしており、必要な法改正を行ったところでございます。
 具体的には、個人番号カードを用いたオンライン対象者確認や費用請求の効率化や予防接種の実施状況、副反応疑い報告の匿名データベースを構築いたしまして、NDBとの連結・解析を可能にすることで予防接種の有効性・安全性に関する調査・研究の充実化を目指しているというところでございます。
 3枚目と4枚目につきましては、こういった予防接種の有効性・安全性に関する調査・研究の充実化に向けた法改正を行っておりまして、条文を掲載させていただいております。
 5枚目を御覧ください。予防接種のデジタル化の全体像をお示しいたします。ピンクのラインが右側にあると思いますが、その左側が予防接種実施事務に係る情報のやり取りを示してございます。
 こちらの枠組みの中で、中央にございますけれども、オンライン資格確認等システムを活用しまして、医療機関において接種対象者の確認を行うほか、接種記録の登録であったり、費用請求、副反応疑い報告につきましても、こういった中でデジタル化する方向で検討を進めているところでございます。
 こうした枠組みにおきましては、費用請求等も含め、予防接種データベースにデータが取り込まれる設計を想定しておりまして、その網羅性につきましては、自治体が支払事務を行う予防接種については、原則として、全てこういった新しいシステムに記録することを予定してございます。
 また、この予防接種のデータベースにつきましては、このシステムに格納された情報を匿名加工して格納する予定でございまして、こういった予防接種記録の網羅性につきましては原則として担保されるものと考えております。
 このピンクのラインの右側でございますけれども、こちらについては、こうして予防接種データベースとして得られたデータを蓄積しまして、NDBと連結・解析可能にするということで、予防接種の有効性・安全性の調査・研究に活用することを考えてございます。
 このデータベースにつきまして、死亡のデータにつきましても、具体的な方法については検討中でございますけれども、予防接種の有効性・安全性の向上を図るためにはこういったデータも重要と考えておりまして、死亡データとの連結が実現できるような取組を進めてまいりたいと考えております。
 このデータがどの段階から格納されるかという点につきましては、令和4年12月に成立した感染症法等の一部改正法におきまして、予防接種データベースを含めた予防接種事務のデジタル化につきまして、公布の日から3年6か月以内に施行することとしてございます。
 このデータベースにつきましては、この施行の日から稼働することとしておりますけれども、格納するデータにつきましては既に自治体において保存・管理している情報の移管を含めて検討してまいりたいと思っております。
 最後、6枚目でございますけれども、ワクチンの安全性評価と副反応疑い報告の現状と今後の方向性について御説明させていただきます。
 安全性評価全般につきましては、現状、副反応疑い報告でリスクの探知というのは可能と考えておりますが、リスクの検証という面では、必要な接種歴でございますとか有害事象の情報というのが散在しているような状況で、連結して用いるというところが課題としてございました。
 今後の方向性としましては、自治体や保険者が保有するワクチン接種歴を活用する。先ほどのデータベースを想定しておりますけれども、ワクチン安全性に関するリスクの検証についても取り組む方向で検討を進めてございます。
 下段の「副反応疑い報告について」ですが、現在、PMDAのほうに電子的に報告可能になっておりますけれども、現状、紙の報告書がFAXで提出されているところでございまして、分析面につきましても、ここに記載があるような過去の接種実績等の課題があり、こういった情報を用いた分析が困難というような課題がございました。
 今後につきましては、こういった電子報告に適した様式で改定いたしまして、電子報告を促すというところで情報収集の効率化を図るというところと、分析面で見ましても、予防接種データベースにこういった副反応疑い報告も格納するというところで、接種情報やレセプト情報の連結解析ができるような技術的な検討を進める方向で検討しているところでございます。
 資料の説明については以上でございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。それでは、資料、御説明いただきましたので、委員の皆さんから御質問、御意見があれば御発言をお願いしたいと思います。
 ちなみに、予防接種事務のデジタル化、最初の2ページ目ですね。その後、データベース構築を整備して、NDBとの連結も可能にということでしたけれども、これは施行はいつですか。
○感染症対策部予防接種課 施行自体はまだ日にちは決まっておりませんが、先ほど御説明したとおり、3年6か月以内、法改正のときからということで、昨年の12月に法改正が実施されておりますので、令和8年度が一つの目安といったところでございます。
○磯部委員長 3年6か月以内というのは分かっていたのですけれども、その中でどこですかという趣旨の質問でしたけれども、分かりました。
 では、花井さん、どうぞ。
○花井委員 ありがとうございます。声聞こえていますでしょうか。
○磯部委員長 大丈夫です。
○花井委員 システムのポンチ絵、5ページですね。これ、赤い線が縦に引いていて、接種記録(匿名)と言いながら、いわゆるマイナンバーがひもづいていて、データベースにはマイナンバーと一緒に格納されているイメージなのでしょうかという質問と、それから、PMDA等々から送られるのは完全に匿名なので、今後はそういう、いわゆる副反応報告とか副作用報告にもマイナンバーくっつけたりするイメージがあるのですかね。
 1つ目は、もしマイナがくっついているとしたら、データベース自体は匿名と言いながら、提供前は結局マイナンバーと別収納して、どこかでひもづけシステム、プライバシーシステムで分離するのか、このデータベース自体にマイナンバーと一緒に格納される設計なのかというので、匿名と言いながら匿名ではないと思うのですけれども、その辺のシステム説明がよく分からなかったので、2点教えてください。格納がマイナンバーとくっつけて格納するのかどうか、もしくはPMDAの報告からマイナンバーをくっつけて報告するようになればいけますけれども、そうでなければ完全に匿名報告になるので、NDBとの連結も不可能ですけれども、その辺のシステム説明がちょっと分からなかったので教えてください。
 以上です。
○磯部委員長 お願いします。
○感染症対策部予防接種課 御質問ありがとうございます。まず、1点目の接種記録等について、データベースに格納する際のマイナンバーカードの情報が格納されるのかというところでございますけれども、基本的には、格納するところで別のIDを振る形で匿名化をいたしまして、マイナンバー自体はデータベースには格納しないというようなところでございます。
 また、PMDAから送られてくる副反応疑い報告につきましても、こちらも接種記録との連結というところで、別の番号を振るような形で、基本的にはマイナンバーカードを使わない形で連結してデータベースに格納するというところを想定しております。
○花井委員 ということは、マイナンバー、別のIDが振られてしまうと、NDBとはどうやって連結できるのですか。
○感染症対策部予防接種課 ありがとうございます。NDBにつきましては、被保険者番号を使ってIDを生成いたしまして、それがオンライン資格確認システム、予防接種システムと連結可能となっておりまして、それをキーにデータベースの中で連結を可能とするというところを想定してございます。
○花井委員 ということは、PMDAの報告されたものとは一体としたデータベースにはならないイメージなのですね。逆に、PMDAからも何らかのマイナンバー、個人情報的なものをつけて、報告は、完全な匿名でない報告を求めることになるということではない。
○感染症対策部予防接種課 予防接種課でございます。
 補足いたします。医療機関からの副反応疑い報告でございますが、PMDAに報告する際に被保険者番号を入れていただきます。マイナンバーではなく、被保険者番号です。PMDAからそれを予防接種データベース、赤線の右側の上にあるVDBに格納する際に、被保険者番号そのものではなく、何らかのIDに変えて格納することを予定しております。この予防接種データベースの中では、副反応疑い報告と接種記録は一緒に入っております。NDBと連結する際に、赤線の右側ですけれども、NDB側のIDと何らかの形で連結して解析できるようにいたします。繰り返しになりますが、PMDAに医療機関から報告するときは被保険者番号を予定しております。VDBのところには接種記録と副反応疑い報告は一緒に格納されます。お答えになっておりますでしょうか。
○花井委員 概念は分かりました。なかなか複雑なシステムで、うまく稼働するかというのがすごく気になるところですけれども、了解いたしました。
○磯部委員長 ありがとうございました。佐藤さん、お願いします。
○佐藤委員 御説明ありがとうございます。こういうシステムができるということは、ワクチンの安全性を疫学的に評価することが可能になるということで大変よいことだと思いますし、今、花井委員が指摘されましたように、個人のプライバシーを保護した形で、かつ、確実な連結が可能なようにぜひ整備していただきたいと思っています。将来的にはこういうことができるということで大変期待しておりますけれども、この議題は新型コロナワクチンの安全性評価に関連する議題ですので、そのことに関連して一言意見を述べさせていただきます。
 実は現在の予防接種台帳というのは、御説明にもありましたように、紙の台帳が基本になっているわけですね。もちろん、かなり現在でも電子化されているのでしょうけれども、基本は紙であるということになっておりまして、実は、今現在、各自治体が保有しているワクチンの接種台帳がいつまで保存されるのか、保管されるのかということに関して少し心配しているところでございます。
 と申しますのは、私も法律のことが詳しく分からないので後ほど磯部委員長に補足していただければと思うのですが、今の法律では、自治体が保有しているワクチンの接種台帳は、恐らく数年すると廃棄しなければいけない。単に保存義務がないというだけではなくて、行政の記録というのは長いことずっと持っていてはいけないということがあるらしくて、廃棄しなければいけないということがあるようなのですね。
 ですので、少なくともこの新型コロナワクチンに関する安全性評価を過去に遡ってきちんとやろうと思うと、今現在、自治体が保有している主台帳を今後も、最低でも10年以上、あるいはこの電子的なシステムができるまでは紙媒体のものを廃棄せずに保有し続けるということが必須だと思うのですね。そのことをぜひきちんと国として各自治体に通知を出すなりしていただきたいというのが意見です。
 この問題、非常に重要な問題だと思いますので、今日この場で議論というのは難しいかもしれないなと思いまして、ぜひこれは次回の委員会の議題にしていただきたいと思いまして、それも併せて意見を述べさせていただきます。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。記録の保存期間というのは重要な論点だと思いますが、今の御質問に対していかがでしょう。
○感染症対策部予防接種課 御意見ありがとうございます。今現行では5年間の保存というのが最低限の期間となっております。おっしゃるとおり、自治体によっては5年保存したら破棄する、また独自に10年間なり15年間の保存期間を設けるような自治体も出てきておりまして、我々もそこに対して問題意識は持っております。今回のデジタル化に合わせて、接種記録の保存期間自体の延長といったところについても、御指摘を踏まえて、予防接種事務のデジタル化全体の中でこちらも検討させていただければと思っております。御意見ありがとうございます。
○磯部委員長 ありがとうございます。記録の保存というのは、処理基準か何かで、そちらで5年とか決められるのですか。
○感染症対策部予防接種課 予防接種法施行規則でその期間が決められていて、5年保存することとなっているということです。
○磯部委員長 分かりました。ありがとうございます。その他はいかがですか。
 戸部委員、どうぞ。
○戸部委員 5ページの図のところの説明で非常に分かりやすくて、ありがとうございます。副反応の疑い報告ということで、医療機関に患者が行きます。で、診てもらいます。で、このレセプト情報は残りますということなのですが、この仕組みでいくと、いわゆる重大な副反応というのは、医療機関の受診をある程度、この期間受診というところで拾えると思います。、一方、例えば、嗅覚に異常を感じて受診し、一定期間の与薬等の処置を受けて、数カ月から一年、あるいは数年で良くなったような場合には、フォローできるのでしょうか。
○医薬安全対策課長補佐 医薬安全対策課の浦と申します。今いただいた御質問について、絶対に報告しなければいけないというような明確な規定は、私が今思い浮かぶ限りではないところですけれども、重要な症例であれば追加の報告を求めたりということは我々しておりますので、そういった中で収集されることもございますし、先生方のほうから自発的に追加報告ということでいただいたり、あるいは企業から先生に接触をして、追加の情報ということで入手した情報が得られる実態があるということではないかなと考えております。
○戸部委員 分かりました。患者、利用者としては安全性に関する情報を求めるのだけれども、その精度を上げるというところでは、患者や利用者も協力できるのであれば、情報提供をすることが大事であるという認識が持てるのかなと思ってお伺いしました。ありがとうございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。データベース充実のために、医療従事者とPMDAだけでなくて、国民自身が何ができるかというのは重要な御指摘かなと思いました。
 その他いかがでしょうか。まだ時間は大丈夫かと思いますが。
 リアルの会場を見渡しながらこのタブレットのパネルを見ているのですけれども。
 私からちょっとよろしいですか。
 2年前の安全性評価に関する意見というのについては、確かにリスク評価についてきちんとできるためにも、いろいろなデータベースとのリンクとかいうことが大事ではないかということは指摘していて、それについて、今着実に進んでいるという御説明だったと理解しています。
 その際、意見の中でも触れられていた自治体の記録、死亡情報などについて、特にそういうのを比較したら重要ではないかということも御指摘があったのですけれども、そこについては、今の御説明だと、死亡データとの連結なんかについては検討していきたいとか、接種記録の網羅的活用がどのぐらいかということについては、現在自治体が保存しているものを活用する方向で検討していきたいというので、現時点ではお答えとしてはそこにとどまっていたということでよろしいですかね。
 多分どれも重要な御指摘だと思うので、ぜひその方向で実現するような形でお願いしたいと思っていますというコメントと、もう一つ、意見の中でも、因果関係の評価における課題というところで、α、β、γというやり方はどうなのですかねと。これで、全体として、集団としてのデータを系統的に検討していくということが十分かという、これは2年前の問題意識ではありますけれども、引き続きそんなことは思っていまして、αってすごい少ないではないですか。それって何でなのという。いろいろ国会での議論なんかも伺うと、追加情報があれば因果関係評価を行って、γだってαに変わるかもしれないみたいなことをおっしゃるのですけれども、追加情報があればという言及にとどまっていて、どういうときに、どうやって追加情報を集めるのかということのポリシーをどうお考えなのだろうか、何か来たらやりますよということでは困るかなと思ったのですが、ちょっとそこについてお聞かせいただけますか。
○医薬安全対策課長補佐 医薬安全対策課の浦でございます。
 α、β、γ、たしか、委員改選前の議論でしたでしょうか。改選後の議論でした。失礼いたしました。改めまして、少し思い出しも含めて御説明させていただきますと、ワクチン接種後の副反応が疑われる症状につきましては、副反応疑い報告制度において常に情報収集しているということで、定期的に開催している審議会において、その得られた情報を整理して審議をいただいているというところでございます。
 死亡事例等の個別症例について、因果関係評価を行っているところでございますけれども、その評価の分類が3段階ございまして、α、ワクチンと死亡との因果関係が否定できないもの、β、ワクチンと死亡との因果関係が認められないもの、γとして、情報不足等によりワクチンと死亡との因果関係が評価できないものとなっております。
 死亡例に関する内訳ですけれども、今、磯部先生から御指摘いただきましたように、令和5年10月27日の審議会で公表している情報では、αが2件、βが11件、その他、γが2,108件という形になっております。この因果関係評価につきましては、磯部先生から少し触れていただきましたけれども、個別の因果関係評価を行うということ、それとは別に集団的な解析を行って、傾向の評価を行って、必要な注意喚起に結びつけるということを目指して行っているものでございまして、予防接種法に基づく救済制度とは全く別のものだということで御理解いただければと思っております。
 この因果関係評価につきましては、ワクチン接種後の症状が偶発的に起こっているものなのか、それともワクチンを原因として起こったものなのかという判断は非常に難しいと思っておりまして、常日頃我々も悩みながら進めているというところでございます。
 例えば患者さんの基礎疾患がある場合ですとか、患者さんが既にお飲みになっているお薬がある場合、そうした影響がどうしても入ってきますので、単にワクチン接種後に起こったから、それが全てワクチンによって起こったものなのかどうなのかということが判断できない。やはりほかの要因が混ざってきているのではないかという視点を加えることによって、αという評価が難しくなるという状況がございます。
 こうした中でγ評価というのが多くなっているわけでございますけれども、我々からも、その評価に当たって、まず医療機関のほうに、こういう情報はないでしょうかということを問い合わせながら評価するという場合はもちろんございますし、追加の情報が必要になれば、製薬企業を通じてということもありますけれども、医療機関に報告をお願いして収集に努めているというところでございます。
 ただ、どういった場合に追加の情報を収集すべきかというのはお答えするのがなかなか難しいところでございます。というのは、一つ一つの報告された事象がそれぞれまた別のものだというところがございますので、それについて何か線引きするというのは非常に難しいかなと思っております。ただ、我々としましては、可能な限り情報を収集して評価に結びつけていくということを実施しているというところでございます。
 もう一点、補足させていただきますと、一定の頻度で同様の事例が集積しているというような場合には、集団としての解析を行って、必要な注意喚起を行うということも行っておりますので、αが出なければ注意喚起しないということでは決してなくて、γ評価が集積した場合でも注意喚起につなげることがあるというところでございます。
 具体的には、新型コロナワクチン接種後の心筋炎、心膜炎について、個々の症例はγと評価されていたときに、集団としての解析を実施して、ワクチン非接種群と比較したところ、一定のリスクが認められたということで、添付文書で注意喚起するということも行っております。γと評価された場合でもこうした活用をしているというところでございます。
 先生御指摘の部分もあるとは思いますけれども、我々としてはできる限り対応させていただいているというところです。現状ではそのように動いているというのが御説明になります。
 以上です。
○磯部委員長 御説明ありがとうございました。花井さん、佐藤さんの順で。今の点に関連してですよね。
○花井委員 そうです。α、β、γが出たのですが、この評価、今の説明だと、要するに海外のデータベースで、実は因果関係ある副反応と分かって、添付文書に追記されているγ症例が結局αに戻ってこない。全部戻らなければいけないわけですね。見直して、後から、これはワクチンの副反応と関係する可能性あったのだというのを全部戻し評価をしないといけないのですが、今そういう手続はとられておらず、かつ、これは何回も議論になっているのですが、γが完全に否定できない、判定不能は完全に否定できないはずだということですね。結局、そこから戻るということはね。ですが、誤解を招きやすくて、こんなのはおかしいのではないかという議論、指摘はかねがねしているわけですけれども、もう一回この評価方法を見直さないと、γに落ちたものを、新しい情報で入ればと言うけれども、事実上やれていないという実態があると思うのです。
 例えば後から副反応として添付文書が改定されたら、それは全部さらって、γにある同じような症例をさらってもう一回評価し直すということは今やっていますか。全くやっていませんか。ちょっとそれだけ、事実確認だけ、まずさせてください。
○医薬安全対策課長補佐 事実としては、審議会で改めて評価を行うということは行っておりません。それは時々の状況に応じて、しっかりと個別症例として評価させていただいて、その評価もある程度妥当性はあるだろうということもございますので、そういった観点も含めて行っていないということになるかと思っております。
○花井委員 いや、それは分かりますよ。分かるけれども、後から新情報が大規模データベース、この前は欧米だったわけですけれども、によってシグナルが、関連あるシグナルなのだなと分かったら、それを前提にもう一回新しい知見でさらわないと、その時々の誤っている可能性について検証しようがないではないですか。だから、ちょっとそれは、どういうクライテリアでその時々なのかというのが明確でないので、そこが曖昧なまま進んでいるというところがやはり問題なのですけれども、今後そういうことをやる可能性はあり得ますか。
○医薬安全対策課長補佐 ありがとうございます。実際に相当膨大な作業になると思いますので、慎重な検討が必要であろうと思います。因果関係評価については、確かに先生おっしゃるとおり、そのメカニズムとしてこういうことが起こるのではないのかという視点は、もちろん考慮材料の一つであろうとは思います。ただ、現在我々が行っている因果関係評価というのは、個々の症例に対して、その方がまさにワクチン接種によってその症状が起こったのかという因果関係を評価しているということからすると、それ以外の情報もかなり入ってきた上での評価ということになりますので、先生おっしゃるところは全体の中での一つの材料と私たちとしては受け止めるところもございます。そのため、実施の必要性については慎重に考えたいと思うところでございます。
○花井委員 ちょっと必ずしも納得できる説明ではないのですけれども、因果関係って非常に難しくて、通常はホームドクター、主治医レベルでやっと分かるという感じのことも多いと思うのですよ。現に学会等で発表された症例報告がいい例で、そこまでのこと、あの膨大な数できないということは分かるのですが、がゆえに、あれである程度α、γ、βを整理されてしまうこと自体の問題点というのはあると思うのですね。だから、そこのシステムについては今後ちょっと検討課題が多いように思います。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。佐藤さん、お願いします。
○佐藤委員 今、磯部委員長、あるいは花井委員から御指摘があったとおり、追加の情報というのはそんなに、恐らくなかなか、積極的に取りにいかない限りやられないだろうし、海外等のいろんな情報が入って、それを個別の因果関係評価に当てはめて再度評価し直すというのもなかなか難しそうだということですよね。これはこの委員会でも以前議論になったことですけれども、そもそもα、β、γという評価の分け方自体、分類の仕方自体が恐らく意味がないのだろうと思います。つまり、今現状のαというのが、因果関係が否定できないと言いながら、実際上は因果関係がほぼ確実だろうというものだけがαに分類されるわけで、ただ、今、御説明あったように、ワクチン以外の可能性も考えられるけれども、ワクチンの可能性も否定できない、どちらの可能性も五分五分ぐらいのときに、五分五分であるということを、そうであるように分類する仕組みになっていないので、全てγになってしまうわけで、以前も、私、WHOの、これはワクチンに限らず医薬品の副作用の因果関係評価の分類基準を御紹介させていただいたことがあるかと思いますけれども、可能性の評価として、certain、probable、possibleですか、可能性が確実、恐らく、可能性あり、そういう分類の仕方に改めないとこの問題は解決しないと思いますね。ですので、α、β、γという評価の分類の仕方自体が無意味であるということをよく厚労省はお考えいただいて、新たな基準に変更するということを御検討いただきたいと思います。これは意見です。
 これについても、この委員会の重要な課題だと思いますので、改めて次回以降の委員会で議題として取り上げていただきたいとお願いいたしたいと思います。
 以上です。
○磯部委員長 時間がかなり過ぎているので、手短にお願いします。
○医薬安全対策課長補佐 申し訳ございません。医薬安全対策課の浦でございます。
 今、佐藤委員から御指摘いただきました点についてですけれども、α、β、γの表現ぶりですとか分類について研究班を立ち上げておりまして、今年度から検討を始めさせていただいております。詳細についてはこの場でまだお知らせできる段階ではございませんけれども、そうした研究班の検討結果を踏まえて、我々としても運用に生かしていきたいと思っております。WHOの基準を導入するかどうかについては、実際の安全対策の運用といいますか、措置とも密接に関わってきますので、フィージビリティがあるのかどうかとか、そういったものを慎重に精査しないといけないかなとは思っておりますけれども、検討は進めさせていただいているというところで御説明させていただきました。ありがとうございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。コロナ、歴史的な事象だったわけですし、大量に新しいワクチンを使って、将来の検証にたえられるように、やはり今の時点でできることはしていただきたいという気持ちでいるわけですね。そういう観点からすると、段階に応じた必要な追加調査なり情報収集をして、具体的にワクチンの安全性・有効性を確かめていく方法論を検討していただきたいというのが2年前の意見のエッセンスだったと思いますので、ぜひそういう方向で検討を続けていただければと思います。ありがとうございました。
 それでは、すみません。大分既に時間オーバーしているのですけれども、次の議題に移りたいと思います。
 続きまして議題2にいきたいと思います。委員の求めに応じた個別事項への対応として、泉委員から御提案いただいた議題で、具体的には医薬品の製造工程に関連したGMP違反、またSMOによる治権実施時のGCP違反といった薬機法に関連した不正事案への対応についてでございます。
 医薬局監視指導・麻薬対策課より資料2-1、続きまして、医薬品審査管理課より資料2-2について御説明をお願いいたします。どうぞよろしくお願いします。
○監視指導・麻薬対策課 監視指導・麻薬対策課でございます。資料2-1について御説明したいと思います。
 本日は大きく2点の観点から御説明したいと考えておりまして、1点目が医薬品製造業者等における行政処分事案とそれに対するこれまでの対応につきまして、原薬の管理も含めて御説明したいと思っております。2点目が、依然として行政処分事案が発生している状況ですので、さらなる監視の強化を行うこととしておりまして、それについて御紹介したいと思います。
 まず、この資料は、小林化工以降の行政処分事案をまとめたものでございますが、本日までに計18件、行政処分事案が起こっておりまして、今年度にも事案が発生しているという状況でございます。
 以降のスライドで代表的な事案や最新の事案を御説明したいと思っております。まず、代表的なものとしまして小林化工の事案を御説明したいと思います。
 事案の概要のところでございますが、令和2年12月、小林化工が製造販売する抗真菌剤に睡眠導入剤が混入する事案が発生いたしました。事案の確認後直ちに服用の中止の連絡が行われるとともに、ロットの回収が行われました。また、実際、健康被害の報告もございました。当時、行政による立入検査を複数回実施したところでございます。
 直接的な原因としましては、原薬の取り間違いということでしたけれども、その背景には、管理監督の不備、コンプライアンス意識の欠如というものが最大の問題と考えられた事例でございます。
 行政処分につきましては、違反の内容や、あるいは保健衛生上の危害の有無、あるいは組織としての関与状況、こういったものを踏まえて決定しているところですけれども、先ほどの事案の概要を踏まえまして、本事案につきましては、116日の業務停止という厳しい措置を講じたという事案でございました。
 以降が最新の事案でございまして、1つ目が一般用医薬品の原薬を主に製造します小城製薬による違反事例でございます。今年の7月に、京都府の無通告立入検査によりまして、承認書と異なる製造の実施などが発覚したという事案でございました。同社の原料を用いた製品のうち29品目で自主回収が行われておりました。
 ただ、原料の受入先におきまして品質試験や出荷時の品質試験というものが実施されておりましたので、有効性・安全性に大きな懸念が生じたということはありませんでした。また、本事案に関連しました健康被害の報告もありません。
 行政処分につきましては、同社が製造する原薬の多くで不正が実施されていたということ、また、社長も含めて法違反を認識しておりまして、組織としての関与が確認されたという状況でしたので、業務改善とともに業務停止が命じられたということになります。
 続きまして、沢井製薬の事案でございます。こちら、同社の九州工場が製造する医薬品につきまして、承認書と異なる試験方法が実施されていたという事案でございます。また、本事案におきましては、総括製造販売責任者の対応につきまして、その職責上、違反や不適切な行為が確認されたというものでした。
 不正が確認された医薬品は自主回収が実施されましたが、本事案が有効性・安全性に大きな影響を与える可能性は低く、また、これまでに健康被害や有効性・安全性に影響があるとする報告もございません。
 行政処分につきましては、本社を管轄します大阪府と九州工場を管轄する福岡県がそれぞれの業態に対しまして業務改善命令を行っております。本事案につきましては、品質への影響が大きくないこと、あるいは、上層部は管理責任がございましたが、一方で不正の直接の関与は確認されなかったということがありましたので、業務改善措置というものが適切と判断されました。
 また、本事案につきましては当該責任者の変更命令が必要な事例と考えておりましたが、一方で、この変更命令の事例がなく、自治体での適用の要否の判断というのが難しい部分でありましたので、厚労省が併せて当該責任者の変更命令も実施させていただいたという事例でございます。
 続きましてカイゲンファーマによる行政処分事案でございまして、こちら、令和5年の1月、カイゲンファーマから大阪府と北海道に対しまして、同社奥沢工場におきまして、承認書と異なる方法による製造などが確認された事例でございます。
 関連しまして、1品目自主回収がございましたが、本事案に関連しました健康被害の報告はございませんでした。
 行政処分につきましては、こちらも同社で製造される多くの医薬品で不正が実施されていたということ、あるいは社長が不正を認識しており、組織としての関与が確認されましたので、製造販売業、製造業、それぞれの業態につきまして業務改善とともに業務停止が命じられたという事案でございます。
 以降のスライドでは、これらの違反事例を受けまして対応状況について御説明したいと思っております。
○磯部委員長 2つの説明で15分なので、時間管理、お願いします。
○監視指導・麻薬対策課 かしこまりました。
 このスライドが取組の一覧をまとめたものでございますが、本日は代表的なものを中心に御説明したいと思います。
 原薬の管理について、スライドの下の部分でございますが、製造業者におきましては、GMPに基づいた製造・品質管理が行われまして、原料の受入試験や出荷のための試験が行われております。また、左上の部分でございますが、製造販売業者が製造業者の管理監督を行い、さらに右上のところですが、国や都道府県、行政がこういった事業者の管理監督を行うという体制でございます。
 原薬の管理につきまして、GMP省令から抜粋いたしましたが、ここに記載させていただいたとおり、製造業者において手順書の作成とか、原薬の適正性の確認とか、品質試験を行っているところでございます。
 GMPの省令の改正についてまとめておりまして、令和3年に、不正事案の発生も受けまして改正を行いまして、下にあるような供給者の管理というものも追加させていただきました。
 この辺りも過去の法改正の紹介になります。割愛いたしますが、製造業者に対しまして法令遵守体制の整備などというものを求めたところでございます。
 詳細は、お時間もありますので割愛いたしますが、GMP調査などの調査におきましては、役員の同席も求めているところでございます。
 詳細は割愛させていただきますけれども、製造販売業者による製造業者の管理というものの徹底が不十分だったというところも考えましたので、本通知を出しまして、製造販売業者における組織や人員体制の整備、あるいは責任者の業務の明確化、製造販売業者と製造業者の関係の明確化などをさせていただきました。
 製造販売業者による管理監督に関連しまして、製造販売業者が製造業者を管理する上でのマニュアルというものも作成させていただいております。
 同時に、行政側の取組の強化というのも必要でしたので、無通告立入検査のガイドラインというものも取りまとめさせていただいておりまして、ポイントとしては、最後のガイドラインの概要のところですが、網羅的ではなくて、課題を特定した上で徹底的に深掘りするというところで、それに関連する手法をまとめさせていただいております。
 関係する会議で薬事監視の強化というものが一層求められているところですので、最後のところで監視強化の取組について御説明したいと思います。
 医薬品の安定供給に関する有識者検討会における指摘としまして、3点いただいておるところでございます。1つ目が、製造所におけるGMP調査の調査項目の見直し、2つ目が都道府県の薬事監視体制の強化、3つ目が国と都道府県の連携体制の整備でございます。
 それぞれに対しまして医薬局の有識者検討会におきまして対応を検討させていただきまして、まず1つ目のところでございますが、医薬品の不正製造事案の発生を受けまして、GMP調査におきまして品目数や製造量に見合った体制が確保されているかというのを確認するようにしておりますが、今後は、さらにこれまでの知見を生かしまして、重点的に調査すべき事項というものを整理して、これに基づいた監視の強化というものを行っていきたいと考えております。
 マル2の都道府県における薬事監視体制の強化の部分でございますが、なかなか不正事案というのも巧妙化しておりますので、無通告での取組の強化が必要と考えておるところでございまして、こういった取組も進めていきたいと考えております。
 最後のスライドになりますが、国と都道府県の連携の強化というものも必要だと考えておりますので、令和4年度から、GMP管理体制の強化に係る予算事業というものをさせていただいておりますが、令和6年度におきましてはこの事業を拡充いたしまして、PMDAにおきまして、全国のGMP調査情報を収集・分析するような体制の構築というものを考えておるところでございます。
 資料2-1の御説明は以上となります。
○磯部委員長 続いて、資料2-2についてお願いします。
○医薬品審査管理課長補佐 医薬品審査管理課の松倉と申します。それでは、資料2-2を御覧ください。
 全部で3枚の資料がございますが、1枚目と2枚目は内容が重複しておりまして、2枚目のほうがより詳しい内容となっておりますので、2枚目から説明させていただきます。
 「株式会社メディファーマによるGCP違反の概要及び承認済み品目への影響」ということです。メディファーマというのはSMOと呼ばれる業態でして、SMOはサイト・マネジメント・オーガニゼーション、日本語ですと治験施設支援機関と申します。
 こちらに関して、GCPに違反する行為があったという公益通報が厚生労働省にございました。これを受けまして、薬機法に基づく立入検査を、メディファーマ社の東京本社、大阪営業所に対して実施いたしました。また、9月には、大阪府内の医療機関に対しても同様の立入検査を実施しております。その結果、GCP違反が確認されております。
 全体の事実関係につきましては、現在引き続き精査しているところです。
 2番、「立入検査で判明した主な違反の概要」を書かせていただいております。
 1つ目、「治験データの改竄」ということで、少なくとも7つの試験におきまして、治験薬投与時間、あるいは採血時間などが改竄されておりました。
 また、2点目、呼吸機能検査の不適切な実施ということで、スパイロメトリーと呼ばれる呼吸器機能を測定する、吸ったり吐いたりして測定する検査があるのですが、意図的に吐く息の量を減らすよう誘導して、その結果、呼吸機能の悪化を偽装して、本来であれば治験の組入れ基準に該当しない被験者を治験に組み入れたという事実が確認されています。
 3点目、医師・施設スタッフ・CRCのIDパスワード共有・トレーニング代理受講。治験を実施する場合には、医療機関の医師等のスタッフが必要なトレーニングを受けていただく必要があるのですが、eラーニング等のトレーニングのためのIDとかパスワードをメディファーマの社内で共有いたしまして、医師等のスタッフが受講すべきトレーニングをメディファーマの社員が代わりに受講したという形をとっていました。
 4点目、「治験薬保管不備の隠蔽」ということで、治験薬の保管温度が逸脱した事例があったのですが、その事実を隠蔽したり、あるいは記録を改竄したということが確認されました。
 3番、「関与した試験の範囲及び影響」ですけれども、今回、全社的に非常に大規模に、かつ、メディファーマの会社創業当時からこのようなことを行っていたということを確認しております。メディファーマが関与した試験としては、医薬品で116試験、承認済みの医薬品の品目数としては23品目ございます。また医療機器も一部ございまして、試験の数は7試験、承認済みが2品目ございます。現時点で、今回の不正に起因する健康被害の報告というのはございません。
 不正発覚時点で実施中の試験につきましては、被験者の意向を確認した上で試験参加を中止するということを基本に指導を行っております。
 また、試験ごとの違反の有無、どういった違反があったか、あるいはその具体的な詳細については引き続き精査中ではありますが、承認済みの品目が幾つもありますので、これらへの影響について、取り急ぎ評価を行いました。
 具体的にどの試験のどの症例でデータに問題があるかというのは、これは全容を調べるのは時間がかかりますので、まずはスクリーニング的な意味で、メディファーマが関与した症例を全て無効であるという仮定をしまして、除外をして再度解析を行いました。その結果、有効性・安全性の評価が結果として変わりがなかったこと等を確認しております。
 最後、3ページ目ですけれども、こちらは、今申し上げた試験のより詳細な一覧として示しております。承認済みのもののほか、開発中のものや申請済みのものがございます。こういったものについては、データの修正や追加のデータを求めるなど、それぞれのケースごとに応じた指導をしてまいりたいと思っております。
 簡単ですが、以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。それでは、今いただいた御説明に対して、委員の皆さんから御質問、御意見があれば御発言をお願いいたします。
○渡邉委員 委員の渡邉です。よろしいでしょうか。
○磯部委員長 渡邉先生、どうぞ。
○渡邉委員 今回のこのメディファーマの件、非常に深刻な状況だと思います。いまだにこのようなことが起こっているのかというのはある意味でショックです。治験から出てくるデータが将来の患者さんに対しても大きな責任を負うということを自覚すべきなのですが、その意識がしっかり行き渡っていないという思いがいたします。
 コメントです。
○磯部委員長 ありがとうございました。では続いて伊豆津先生。
○伊豆津委員 すみません。関連してなのですけれども、今回は公益通報で明らかになったということなのですけれども、比較的新しい業態として行政側の把握がなかなか難しいという状況があるのかと考えていますので、対策、基本のところから考えていっていただきたいと思っています。この件がどうというよりは、SMOという、重要性も増している業態だと思いますので、そこに対しての行政側、どう見ていけるかということの基礎をつくっていただきたいと思っています。
○磯部委員長 今のはコメントでよろしいですか。
 では奥田先生、お願いします。
○奥田委員 今の件は非常に影響の大きい内容だと思っています。よく知らないのですが、質問としては、こういうSMOの運営というか業務に関しての規制とか、あるいは倫理的な面からのそういった患者さんの命を守る仕事をしているのだという観点からの社員の教育体制みたいなこととか、そういうのは何か現在どんなものがあるのかというのをちょっと分かれば教えていただきたいなと思います。
○磯部委員長 今の点、お願いします。
○医薬品審査管理課長補佐 ありがとうございます。SMOは、医療機関の治験の業務を一部受託して、サポートするといった業態です。ですので、当然、実施医療機関が遵守すべきGCP省令を遵守していただくということが前提になっております。一方で、SMO自体は特に業許可のような規制はなくて、あくまで治験実施機関からの委託を受けてその一部を実施するという形になっております。一方で、SMOの業界団体というものがありまして、そちらのほうでは自主的なガイドラインなどを定めておりまして、その中でデータの信頼性確保のために、社内でのリスクマネジメントの体制であるとか、教育・研修のシステム、あるいは不正が確認された場合の処理の手順を定めるとか、あるいは社員からの通報窓口を用意するとか、そういった自主的な取組をされております。
 今回の事件を受けまして、当然どのような再発防止策があり得るのかということも検討してまいりたいと思っております。その点は、事実関係の調査も踏まえて実効性のある形を検討していきたいと思っております。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。この後、花井さん、渡邉先生の順でお願いします。
○花井委員 ありがとうございます。今のSMOの件はかなり衝撃で、治験というのは今まで比較的信用できるデータが必ず出てくると思っていたのですけれども、例えばCROが頼んでいるかと思うと、病院と契約しているということで、そうすると、これは施設長責任をそこに回しているということなので、ではその治験参加施設長が全部責任を負うのですかという話にもなりますし、AROが完備しているところであればそこが対応するとか、やはり責任所在を。実際、お金は、治験をやっているいわゆる製販業者が資金は出していたりすると、一体全体、業者選定やその禍根について誰が責任を持つかというのがちょっと曖昧になってしまっているような気がするので、今後の課題として、ちょっとその辺のところ、責任体制も含めて検討いただければと思います。
 具体的にはどうなのですかね。AROが整備されているようなところであれば、余りこういう業者は入らなくてもできるのか、一般的にこういう業者が入るようになってきているのかという傾向についてはちょっと教えていただきたいと思います。
○医薬品審査管理課長補佐 一般的には、例えば臨床研究中核病院のような治験をするための事務局機能が充実しているところは、こういったSMOをわざわざ使うことは少ないのかなと思っております。一方で、個人の医師で経営されているクリニックとかそういったところは、やはり自らの機関内に十分な機能を持っていない場合が多いと思いますので、こういったSMOがそこをサポートするという実態が多いと認識しております。
 あと、先ほどコメントいただきましたSMOの業務に誰が責任を負うのかというところですけれども、当然ながら、SMO自身が最大の責任を負うわけですが、治験実施機関からの委託を受けてやるという形になっておりますし、その委託をするときには、GCP省令に、契約を結んで、その中で業務の範囲を定めたり、適正に行われていることが確認できるような契約を結ぶということが書かれておりますので、委託する側の責任というのも当然あるかと思っております。
 あとは治験の依頼者側、企業にしても、モニタリングとか監査とか、必要なチェックをする責任がございますし、規制当局もGCPの調査を行っておりますので、それぞれの主体が重層的に責任を負って関与しているという理解でおります。ですので、今回の再発防止についても、それぞれ誰が何をすれば実際に不正を防止できるのかという実効性のあるところを考えていく必要があるかなと思っております。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。渡邉先生、お願いします。
○渡邉委員 先ほどの花井先生の御意見で、SMOがどのぐらいいろんな機関で活動しているかということですけれども、現在、大学病院などでは医師主導治験、あるいは特定臨床研究などへ、学内のCRCの方々やスタッフは主に対応して、企業治験はSMOからのCRCが担当するということが少なくないのではないかなと思います。
 先ほど、この事案にショックを受けたと申し上げましたが、こういうことは本当に今はまれになっていると私は思っています。SMOも、臨床試験の質を高めようと、SMO自体が努力しており、多くのSMOはきちんとしたデータを出そうということで活動していることも事実であるということをコメントしたいと思います。
○磯部委員長 ありがとうございました。コメントだということですので、本当にほかのSMOは大丈夫かという気にはなったりするわけで、非常に、確かにすごい話だなと思いましたし、お医者さんたちがトレーニングを代理受講って、これは医者の頼んだ側の問題もありますよね。
○医薬品審査管理課長補佐 双方にそれぞれ責任があり得るのではないかなと思います。個別のケースごとに精査する必要があろうかと思いますが。
○磯部委員長 だから、本当にいろんな、管理責任者もいるでしょうし、個々の人たちの問題もあるでしょうし、委託した側の問題もある、そういうことで多様に対応していただきたいと思っておりますが、その他よろしいですか。オンラインのほうでも。
 戸部委員、お願いします。
○戸部委員 資料の2-1でもいいですか。
○磯部委員長 もちろん。
○戸部委員 資料2-1の行政処分に係るところの質問なのですけれども、例えばこの行政処分の事例の一覧の沢井製薬さんのところで、製造現場における安全性試験の段階で問題があったのでということで、そのカプセルを別のものに詰め替えて試験をしたということですね。となると、製造現場ではなくて、設計開発段階の薬効の評価に係るところかなと思いました。立入調査では、工場の製造現場だけではなくて、そういった安全性のデータを取る段階や部門に対して何かされるのですか。
○監視指導・麻薬対策課長補佐 御質問ありがとうございます。安定性モニタリングといって、医薬品の製造後も定期的に、例えば1年に1回、品質試験を行うことにしていて、それは製造業者での対応が必要ですので、こちらの事案に関しましてはGMP違反ということでございました。ですので、GMP違反に関しまして、九州工場の指導を行うとともに、あと、製造販売業者の管理監督責任もありますので、製造販売業者のほうもやったという事例になります。
○戸部委員 なるほど。だから、開発時点ではなくて、製造品質を確認するための定期的な試験においてということなのですか。
○監視指導・麻薬対策課長補佐 おっしゃるとおりです。品質試験とざっくり言いましてもいろいろ種類がありまして、もちろん、出荷前の試験というのもありますけれども、こちらは安定性モニタリングといって、製造後の品質に問題かを確認したときに、このカプセルの場合、時間が経過すると溶けにくくなるというのがあったので、出荷後の試験でカプセルを入れ替えて試験をしたという不正事案でございます。
○戸部委員 分かりました。そうすると、そもそもの問題はこの薬のカプセルの、要は設計の問題だったわけですね。
○監視指導・麻薬対策課長補佐 おっしゃるとおりです。いろいろな論点はあるかと思いますけれども、もともとのきっかけとしては、時間がたつと溶出性に問題あるようなものが製造され出荷されていたというのも論点としてございます。
○戸部委員 ということは、この会社としては、本来であればそのカプセルのレシピを変えないといけない、検討し直さないといけないということになると思うのですけれども、その辺は情報が共有できていなかったのですか。
○監視指導・麻薬対策課長補佐 幾つかありまして、1つとしては、そういったものを含めまして適切な品質管理、製造管理の改善策を講じなければいけなかったというのがありますので、それも論点の一つですし、今回このような不正を行ったというのもありますので、御指摘いただいたような論点もあると思っております。
○戸部委員 なので、これは業務改善命令ということですけれども、その原因をたどっていくと、何かもっと大きい問題のような気がして、以後何年かは承認は受け付けませんぐらいのことをやらないと、不正の根が深いのではないかと思いました。
○監視指導・麻薬対策課長補佐 御指摘ありがとうございました。まさにおっしゃるとおりでして、直接の製造工場における不正というのはカプセルの詰め替えでしたけれども、製造販売業者に対する業務改善の観点としては、御指摘いただいたような品質の情報を受けて適切な対応を取れなかったというところも含めて業務改善命令ということにしております。
○磯部委員長 ありがとうございました。このGMPの件は、後発品の製造工程、行政が全部見ていくというのもちょっと現実的ではないことだとも思うのですけれども、今回は幸い健康被害がない中、ないということでよろしいのですよね。公益通報という形で、いわば自然にといいますか、自発的に自浄作用が働いたという点では評価すべきところがあるのかなというコメントを欠席の委員からいただいていますけれども、ぜひ、どうして承認書と異なる方法でということになるのか、さらにその背景、これは根深い問題だと思うのですけれども、そういうことも視野に入れながら必要な対策を取っていただきたいと思います。
 さて、いかがでしょう。あとほかはよろしいでしょうか。
 では、この辺りで議題2については終わりとさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして議題3ですね。委員の求めに応じた薬事制度・施策の実施状況として、こちらも泉委員から御提案いただきました。厚生労働省内の組織再編やPMDAにおける海外拠点の設置について、御担当部局より御説明いただきたいと思います。資料3-1、感染症対策部企画検疫課、資料3-2について、医薬局医薬品審査管理課よりそれぞれ御説明をお願いいたします。
○感染対策部企画検疫課 企画検疫課の市川と申します。よろしくお願いいたします。
 私のほうから、次の感染症危機に備えるための司令塔機能の強化ということで、組織体制の整備について御説明申し上げます。
 まず、この後、厚生労働省の組織体制もそうですが、政府全体の組織体制の強化の話も少しこの機会に御説明させていただければと思います。
 御承知のとおり、今年の9月に内閣感染症危機管理統括庁ができております。こちらが政府全体で見たときの次の感染症危機に備えた体制の強化という話になります。
 1枚スライドを準備しておりますけれども、端的に3つポイントがあるかと思っております。まず、なぜそもそもこの統括庁ができることになったかというところでございますけれども、コロナの対応を踏まえると、例えば、分かりやすい例で言うと、水際対策ですね。水際対策、空港などの検疫は厚労省の所管でございますけれども、そもそも外国からどれぐらい人が入ってきていいのかとか、入ってくるとしてどれぐらい飛行機が入ってきていいのかとか、そのときに空港との調整どうするのかとか、この辺りは例えば国交省さんとか外務省とか、さらにはもう少し大きな判断というものがあるわけでございます。
 そうなりますと、感染症対策自体は当然厚労省の所管なのですけれども、厚労省だけではどうにもならないということがコロナの経験からあったということで、端的に申せば、この資料にあるとおり、各省にきちんと指示を出せる立場にある内閣総理大臣をトップにしてきちんと体制を取っていこうということでございます。
 その総理、あるいは官房長官を支える行政組織として内閣感染症危機管理統括庁、こちらは内閣官房という行政組織が全ての省庁に対して指示を出せるという立場でございますので、内閣官房に内閣感染症危機管理統括庁を置くと、こういうことでできたというのが1つ目のポイントでございます。
 2つ目ですけれども、とはいえ、もちろん具体的な対策の多くの部分は厚生労働省が担うことは変わりありませんので、この統括庁と厚生労働省がばらばらなことをやっていてはだめでございます。ですので、この組織体制的な一つの担保として、この資料の真ん中ちょっと下ぐらいにありますが、「厚労省との一体性確保」ということで、危機管理統括庁のポストとして内閣感染症危機管理対策官というポストがありますけれども、ここを厚生労働省の医務技監が兼ねるということで、組織、人的にここでまず一体性を確保するということ、これが2つ目のポイントでございます。
 もう一つが、色のついていない右下のところでございますけれども、感染症対応に当たって情報の収集分析というのが極めて大事になってまいります。そのほか、感染症対応できる人材育成、こういった機能を担うということで、こちらは、組織の設置は令和7年度以降でございますけれども、国立健康危機管理研究機構ということで、こちらを新たに設置するというのが政府全体の組織体制の強化のポイントでございます。
 次に厚生労働省の体制強化の話でございますけれども、統括庁と同じ9月1日に感染症対策部をつくりました。端的にいえば、厚生労働省内の平時、あるいは緊急時の感染症対策の厚労省内の司令塔機能ということでございます。もともと感染症対策課と予防接種課が健康局という局にございました。ただ、水際対策で重要な検疫は、厚労省内は様々な経緯があって別の局にあったりということでございましたので、この検疫と感染症対策全般、それから予防接種課、これをまとめて感染症対策部としてつくるということと、一つの課で省内全体見るのは難しいので、感染症対策部ということで少し組織として大きいものをつくって、厚労省の感染症対策を主導できるような組織をつくったというのが感染症対策部の概要でございます。
 詳細は、いろいろ書いてございますが、時間の関係もありますので、この程度のポイントの説明とさせていただきます。
 また、最後、少し中身の話ですね。では何をやるのかという話ですけれども、政府全体の感染症対応の行動計画というものがもともと2009年の新型インフルの後につくられていまして、それをこのコロナの対応踏まえて危機管理統括庁の主導で見直すという動きがございます。そうした動きが来年の夏に向けてございますので、こちらについて、統括庁中心に厚労省としても取り組んでいるという状況でございます。
 簡潔でございますが、私のほうから以上でございます。
○医薬局総務課国際薬事規制室長補佐 厚生労働省医薬局国際薬事規制室の黒岩と申します。私のほうから、PMDAの海外拠点の設置について御説明させていただきます。
 PMDAは、現在、令和6年度から5年間の次期中期計画の策定中でありますけれども、このスライドの内容はその現在検討中の次期中期計画の方向性について、PMDAで10月に行われた運営評議会の会議資料から抜粋したものです。それによりますと、審査等業務において、赤字のところですが、マル4、海外開発先行の革新的医薬品について日本での開発・導入に着手しやすくなる環境の整備と情報発信の強化に取り組んでいくという方向性を打ち出しております。
 また、5番の「国際化の推進」として、マル1にございますように、PMDAの米国拠点の設置等を通じ、海外のベンチャー企業等に対する我が国の薬事制度に関する情報発信を強化するという方向性となっております。
 PMDAの拠点としては米国とアジアの2か所を想定しておりますけれども、このような活動を実際取り組んでいくために、厚労省としても、令和6年度の予算要求の事業のほうでも言及しております。こちらのスライドと次のスライドですけれども、令和6年度の予算要求の事業を書かせていただいております。まずは「医薬品国内開発伴走事業」という事業名で、最近のドラッグ・ロスの拡大に対応していくことを目的としております。現状、主要な行政通知とか新薬の審査報告書とか安全性の情報とか、そういったところを今PMDAでは英訳して一部発信しているところですけれども、海外の中小バイオ企業による日本での開発とか薬事申請を促すために、米国等においてPMDAで英訳したそういう資料を活用しつつ、英語で日本の薬事制度の情報発信とか薬事制度の相談対応とかを無料で行っていくという、そのための必要な予算を要求しております。
 その一環として、PMDAの米国オフィスを設置するために必要な予算を本事業の中に一部盛り込んでいるというところです。このような米国の拠点、あるいは日本からの出張対応も含めまして米国現地での学会とかビジネス関係者が集まる場にまいりまして、ブースの出展とかプレゼンテーションの機会などを設けて、日本の制度の発信とか相談対応の窓口として取り組んでいきたいと考えております。
 次のスライドが「アジア医薬品・医療機器薬事トレーニングセンター事業」の予算要求に関する資料ですけれども、こちらはPMDAの職員がアジア各国の規制当局の担当者に対して薬事に関する様々な研修とかトレーニングを提供するという活動でして、2016年の4月に設置されました。目的としては、日本からアジアに対して、日本の薬事規制に関する経験とかノウハウというのを共有することで、アジアの中での規制の垣根のないような場を目指していくという活動の一環でして、その結果として、日本で承認された医薬品等がアジア各国においてもスムーズに導入が進む、そういうことによってユニバーサル・ヘルス・カバレッジの向上につながるという観点でも貢献するものとなっております。
 令和6年度の予算要求事項の一つとして、PMDAのアジア事務所、これは現在、左下に書かれておりますように、タイのバンコクを場所としては想定しておりますけれども、これを設置いたしまして、そこを拠点として現地のセミナー活動等を強化していくということを想定しております。
 私からの説明は以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。それでは、委員の皆様から御質問、御意見があれば御発言をお願いいたします。
 伊豆津先生、お願いいたします。
○伊豆津委員 すみません。PMDAの海外拠点かどうかは別としてなのですけれども、数年前まで、GMP対応、海外のいわゆる査察のために組織強化していくのだという話が出ていたと思うのですけれども、そちらのほうでの動きというのは何かありますでしょうか。
○監視指導・麻薬対策課 監視指導・麻薬対策課でございます。
 恐らく、PIC/Sによる評価のお話かなという気がしていて。
○伊豆津委員 PIC/Sだけではなくて、海外からの原薬輸入、非常に増えている、それから、製造状況がやはり国によって大分違うのだという問題が背景にあってということで、査察を海外対応できる、事務所つくれというのではなくて、情報をもう少し的確に把握できるような取組をしていくのだという、直接行くときもあるし、それ以外の方法をとるときもあるしということで、大分、GMP関係の部署の方とか努力されていた部分があったと思うのです。
○磯部委員長 では、またそれは後で改めて情報を補ってくださいということです。お願いします。ありがとうございます。今回は、米国等で、英語で日本の薬事制度の情報発信と薬事の相談対応を行うとかいう話なので、ちょっと違う話だったのでしょうけれども、薬事制度の情報発信というと、具体的にどんなことなのですか。
○医薬品審査管理課長補佐 まず、なぜこういう取組をしようとしたかという背景は、今、ドラッグ・ロスというのが拡大していると指摘されています。これは従来のラグと違って、いつまでたっても日本で開発しようとしないというのがロスという問題です。その背景は、日本市場が魅力を失ってきているというのもあるのですが、もう一つ、創薬の構造的な変化として、国内から生まれてくるシーズがどんどん減っていて、特にアメリカのバイオベンチャーが開発したシーズを大手が導入して日本に持ってくる、あるいは海外のバイオベンチャーがそのまま承認まで持っていくみたいな、そういったケースが増えてきています。
 こういった場合に、アメリカのバイオベンチャーからすると、まずは、当然アメリカで開発しようとします。次に目が向くのが欧州なのですが、その後、日本まで開発しようというふうに目を向けてくれないという現状が強まっていると指摘を受けています。彼らに対して日本のプレゼンスを高めるというのもありますし、具体的に日本の薬事制度が、これは基本的にICHに合わせた国際標準の基準なのですが、そういったことの説明に加えて、日本での開発を支援するような取組とか、そういったのも分かりやすく紹介していきたいなと思っています。そこで関心を持っていただければ、具体的な開発計画についても相談に乗っていくということを目指しております。
○磯部委員長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 でも、注目すべき動きでしょうし、うちの委員会としても、制度化の観点で関心を今後も持っていきたいと思います。
 特に御意見、御質問はよろしいですかね。
 それでは、議題3はここまでということにさせていただきます。ありがとうございました。
 続いて議題4、「医薬品等行政評価・監視委員会における海外調査について」ということで、この委員会の取組として海外調査を独自に行っております。そのうち令和5年度に実施している薬事制度に関する調査の一部について、今回その結果報告をいただけるということですので、まず事務局から御説明をお願いします。
○勝山補佐 事務局でございます。
 まず、この調査の背景について御説明させていただきます。今年度の海外調査の方針につきましては、参考資料3のとおり、本年6月の委員会の資料としてご提示しております。海外調査につきましては、欧米の薬事制度に関する調査と個別医薬品の承認状況等に関する調査の2部構成で行っておりまして、このうち欧米での薬事制度調査は今年度2項目ございます。そのうち、今回はMRとMSLの違い、活動実態や法制度の有無に関する調査についてということで、御担当いただきましたデロイトトーマツコンサルティング合同会社から調査結果のほうを御紹介いただきます。それではよろしくお願いいたします。
○デロイトトーマツコンサルティング お世話になります。デロイトの加藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 少々お時間が押しているということですので、少し駆け足でお話をさせていただきます。ただ、資料が50ページ超とページ数が多いので、少しかいつまむような形でお話をさせていただきます。
 こちらの資料ですけれども、章立ては大きく4つに分かれておりまして、厚労省様と協議をさせていただいた上で設定しております。
 留意事項といたしましては、今回、日米欧、3極を中心に調査をしておるのですけれども、基本的に公表データで調査し、また公表開示の確認が取れたものを取りまとめておりますので、一次情報等は入っていないというところを御承知おきいただければ幸いでございます。
 まず1つ目、「MR/MSLの定義・関連規定、成り立ち経緯・導入時期」というところで、特に定義と関連規定のところを中心にお話をさせていただきます。
 各国においてMR/MSLの活動に関して、まずどのような規定があるのかといったところを全体感持って取りまとめております。4ページから、そもそも我が国でどういった規定があるかというところで、まず薬機法に係る広告規制というものを取りまとめております。内容の詳細な読み上げは省きますけれども、薬機法に準拠するような形で、広告規制ですとか、あとは関連のガイドラインが整備されております。
 御注意いただきたいのは、この時点ではMRやMSLといった役割の区分はされておりませんで、基本的に医薬品の情報提供担当者に対して、こういうことはやってはいけない、といった取りまとめがなされています。
 加えて、薬機法だけではなくて、景品表示法に基づいても各種公正競争規約等がございます。こちらも同様に、法に基づいた持った自主的なルールではあるのですけれども、MRやMSLで何か区分して設置されているものではありません。こちらも詳細な読み上げは省かせていただきます。
 12ページ以降が、実際にそうした規定がある中で、各種関連団体であるとか業界において設定されているルールや、各国で整備されている法について、MRとMSLそれぞれの観点で取りまとめをさせていただいております。
 12ページ以降は、日本と米国、欧州、3極で比較しておるのですけれども、米国と欧州に関しましては、海外規定の文献に当たって、実際それを直訳させていただくような形で、厚労省様と目線合わせをしながら咀嚼して記載しておりますので、評価に関しては一部解釈が難しいところもあるかもしれませんけれども、一旦我々の評価としてこのように取りまとめをしております。
 12ページから、ちょっと続きますけれども、22ページまで、これらが日本、米国、欧州におけるMRの活動の横比較になっております。基本的には禁止、許容されているものに関してさほど大きな違いはないと思うのですけれども、個別項目の中では少しずつ違いがあって、限定的に許容されているもの、厳しく制限されているものにおいて違いが窺えます。
 23ページ目以降、MSLに関する活動規制に関しまして取りまとめております。MSLに関しましても同様に、3極で非常に大きい違いがあるかというと、そうではないかなと思っておるのですがけ、いずれにせよ、未承認薬や適応外使用に関する情報提供であるとか、あとは、販売促進を目的とした情報提供がNGであるとか、そういった観点で横比較ができると思っております。
 25ページ目と26ページ目がMRの規定、定義について記載させていただいております。日米欧いずれにおいても、MSL、MRは公的な資格ではなくて、関連団体や製薬企業各社が活動する上で設定しているような役割だと認識しておりますので、それに則る形で、各団体ないし組織がガイドラインであるとか定義であるとかを提供しているといったところになっております。こちらも詳細な読み上げは割愛させていただきます。
 27ページ目以降、MLSに関しましても、MRと同様に、関連団体による定義が幾つか存在するといったものでございます。MR同様ですけれども、日米欧3極をまたがるような形で全世界的な規定があるかと言われると、そういうわけではないと思っていまして、各国、各極の団体がそれぞれ規定しているという形になっているかなあと思っております。
 29ページ目がざっくりとここまでのサマリーでして、3極とも、すなわち日米欧とも医薬品の情報提供行為自体には様々ガイドラインが存在していて、公的機関であるとか法規制が存在しており、ただし、MRやMSLといった職務に限定すると、そこには関連団体によるガイドラインが整備されている状況だというような理解です。
 一方、補足させていただきますと、米国の一部の州においては、その州としてMRの独自規制が設けられているという理解をしております。
 なぜこのようなガイド等が整備されているのか、という経緯について、30ページと31ページで日本と米国それぞれについて簡単に触れております。ここ数十年の動きの中で、ガイドラインであるとか、やって良いこと悪いこと、が厳格になってきていると思っておりまして、そのきっかけとしては、やはり日本においても米国においても、一定、臨床研究上の不正であるとか、あとは、過度なPRのようなことが起こり、それを契機にガイドライン等が各種整備されている状況だと理解しております。
 当然、何か特定の一つのきっかけだけでガイドラインが厳しくなったというわけではないのですけれども、やはり象徴的な事件が幾つか生じているというような状況でございます。固有名詞の読み上げは割愛させていただきます。
 32ページ目、補足といたしまして、オレゴン州、こちら、州法でMRに対して免許取得の義務づけといったところで事例を1つだけ入れさせていただいております。ちょっと珍しい形で、州として定義しているといったところで事例を入れています。こちらも、米国の状況に鑑みると、オピオイド問題が起こったことなどをきっかけに、オレゴン州では義務づける法が発令されたという理解をしておりまして、特徴的な事例として掲載しております。
 33ページ目、34ページ目はMRの違反事例になっています。日本と米国、欧州について、それぞれのページで記載しておりまして、こちら、ガイドライン作成前も、作成後においても、違反事例が出てきている形になっています。詳細な読み上げは省きますけれども、様々な形、様々なケースで違反事例が出ているという状況になっています。
 35ページ目はざっくりと、MRとMSLの役割について記載しております。完全に分離するものではなくて、医療従事者に対して医薬品の情報提供等の支援をするような形で、一部、ベン図のように重複する部分が存在すると思っていまして、そういった形をこの図で表現しています。
 第2章ですけれども、1ページだけ挿入させていただいています。37ページ目ですけれども、職種等について、具体的にMRからMSLに製薬企業社内で異動ができるのかできないのかといったところを、調査情報をベースに取りまとめております。
 結論としては、MSLの異動前の所属部門が営業マーケ、すなわちMRであったケースもあるといったところが分かっていますし、逆に、補足のところに載せていますが、MSLからプロモーションに配転されるようなケースもあると理解しております。
 3章目、38ページ目以降が育成の仕組みであるとか所属部署、資格要件について記載しています。
 39ページ目が、MR認定センターにおけるMR認定資格になっています。導入教育及び経年での継続教育を受け、認定書を取得した後、それを更新していくといったプロセスで、基礎教育、座学に加えて実務もあるといった形になっています。こちらも詳細な読み上げは割愛させていただきます。
 諸外国に目をやると、MRの育成に関しては、育成のためのプログラムであるとか、実際にMRを目指されている方向けの大学での個別の自己研鑽の支援も存在しているという理解でして、事例として掲載させていただいております。
 MSLに関しまして、42ページ目以降ですけれども、MR認定資格のようにデファクトスタンダードに近いような資格というのは恐らく今のところ存在しない可能性があると思っておりますが、いずれにせよ、製薬協ほか、このような研修を推奨すべしといったものは提言されているという状況と理解しております。
 43、44ページ目についても、諸外国の事例を幾つかピックアップさせていただきつつ、46ページ目までが育成事例になっています。
 47及び48ページ目に関しましては、それぞれMRとMSLの製薬企業個社において日米欧3極で見たときに彼らがどの部門に所属しているかというのをプロットしております。端的に申しますと、MRがマーケティング系、営業系で、MSLがメディカルないしはメディカルアフェアーズということで、やはり3極間で類似が見られます。
 49ページ目以降がMSLの社内体制、またどのような人がMSLになっているかという調査データを取りまとめております。詳細な読み上げはこちらも割愛しますけれども、MSLに関しては外資系企業のほうが多少取組進んでいる可能性があるかなと思っておりまして、博士号を持つMSLの割合が多かったり、様々な研修の支援をしているケースがあります。他方で、内資外資同様に、ロジカルシンキングであるとか、多少高度なコミュニケーションを目指したプログラムの支援がされているという理解をしております。
 最後、活動実態のところになっております。こちら、公表可能な調査結果を幾つかサンプリングさせていただいております。
 まず、54ページ目以降ですけれども、MRを医師目線で捉えたとき、どのような存在か、MSLはどうかといったところの調査になっております。
 まず、54ページ、日本ですけれども、日本においてはやはり、MSLよりMRのほうが認知度高いのかなと、まず調査結果からは見ております。ですので、左の図では、MRに対して、医師にとって、イメージと合致するであるとか、情報提供を期待しているであるとか、役割認知が進んでいるというところです。
 一方、55ページ目で、サンプルとしてスペインの事例を見ております。これはMSLの事例です。定量的な比較、完全に条件を一致させての比較はしていないのですけれども、欧州では、MSLに関して、このスペインの調査を参照すると比較的認知度は高いのではないかととらまえております。
 あと最後は、MRないしMSLの役割・理解に関しまして、内資系企業及び外資系企業で見ているところで、MRに関して、MR認定センターに登録している企業のMR1,200名程度ピックアップして調査すると、役割認知が合致している。加えて、MSLの社会的役割認知に関して、製薬企業、内資系、外資系分けてアンケート調査したところ、それぞれ期待役割について述べられているといったところで最終的に取りまとめされております。
 ただ、右側の資料を見ると多少差があるかなと思っていまして、期待役割の中に社外顧客からのフィードバックを期待している人たちは多少外資系のほうが多い、一方で、様々なイベントの企画や実施に重きを置いているのは内資系が多いといった観点で多少特徴は見て取れるのかなと思っております。
 駆け足ではございますが、以上でございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。非常に時間がタイトな中、コンパクトに御説明いただきました。どうぞ、御意見、御質問があればお願いしたいと思います。
 医薬品の販売情報提供というところで、日本の仕組みや実態がどうなのかというのを海外と比較して検討しようというのが今回のお話しで、どんな人がどう動いているか、どのぐらい動いているかということのリアルなところ、しかし、公表情報で分かる範囲で調べようということですから、意欲的でもあり、制限もある中、学位取得した人をきちんと活用するとか、海外のほうがいいのではないかとか、いろいろ細かい感想などもあるのですけれども、どうぞ何か御意見。
 花井さん、どうぞ。
○花井委員 制限のある中で、ありがとうございます。大変網羅的で理解しやすかったですけれども、当初の問題設定としては、マーケティング部門の人が割と専門的なこと、自社製の薬の説明以外のいろんな臨床研究とかそういうことを用いることによって、処方行為に対してどのぐらい影響を与えるかというと、結構与えているのではないか。それが適切なものであったらいいのだけれども、やはりそれは営業マンの言う話であって、本来メディカルな、メディカルアフェアーズのほうがきちっと、いわゆる客観的な科学的データを医師に提供するというのがMSLの仕事でしょうと。それが日本ではちょっと混ざっていて、何か怪しいというところだったと思うのですけれども、今回の調査、マーケティング部門とMRで、アフェアーズのほうでMSLという、それは大体日本もそうかなと思いますし、今後日本における実態というのは、まだMSLの認知度が日本では低いということで、ということは、逆にいえば、役割分担としては、MRさんが結構ボリュームとしては活動しているということなので、それがどのように影響しているかというのは今後の課題と思います。
 なので、今回はまだ詳細に検討し切れていないので、コメントとしては、日本の実態というところから、あるべき姿というのをこの検討会としては構想できたらなと思います。
 それから、サラリー面はどうなのですかね。MSLの給与は高いとか、今回そこまでは調べていないのですよね。そういうところも気になっていて、キャリアとして、MRからMSLという異動が日本の場合は結構あるのですけれども、海外のほうはないのかなあとかいう話とか、それから、キャリアとしての、サラリーの問題もどうなっているのかなというのはちょっと興味を持っています。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。お答えできることはありますか。
○デロイトトーマツコンサルティング 花井先生、ありがとうございます。最後おっしゃられたサラリーベースに関しましては、個社比較の正式な横比較が可能なデータというのが収集できておりませんで、ちょっと本日は提示できていないというところで御容赦いただけますと幸いでございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。そのほかいかがでしょう。
 この辺りになると、現地に行って実際に聞いてみてというのも必要かもしれませんね。さて、こちらは令和5年度の調査報告をいただいたということで、例えば法律の立場からすると、各団体などが定めているガイドラインというのは具体的にどんな内容なのかといったことの原文を見てみたいとか、どのぐらい詳細な規制なのか、何かきちんとやりましょうぐらいのポリシーを宣言している程度のものなのかとか、そんなことが気になるのですが、そういうのも生データとしてはあるのですか。
○デロイトトーマツコンサルティング ありがとうございます。公表されているものに関してはございます。ただ、おっしゃられるとおり、そのニュアンス、例えばここで言っているshould not等の表現がどの程度厳格なものかというのは、出ているデータ以上のものはございませんで、実態に即した情報は得られていない可能性がございます。
○磯部委員長 奥田先生、どうぞ。
○奥田委員 調査の議論の段階で、余り書かれていなかったかもしれないですけれども、MSLがどのように教育を受けて職を担っているかというところの観点として、医療職免許を持っている人がどのぐらいの割合でいるのかということについて、個人的な印象では、MRさんは比較的文系の人とか多様な学部の出身の方が多くて、メディカルの人は割かたマイナーというか、多くはないという印象ですが、MSLだと大分違うのですかね。さっきの学位のところも非常に興味があるのですが、その辺りを海外と比較してどうだというような情報があるとありがたいなあと思いました。
○磯部委員長 いかがでしょう。
○デロイトトーマツコンサルティング ありがとうございます。本日は掲載を見送ったのですけれども、個社のホームページの募集要項ベースで拝見すると、例えば欧州のとある製薬企業様で現地採用されているところですと、医学ないし自然科学、薬学の学位の取得を定義されていることもあります。一方で、日本においても望ましい資格として医師号を設定されているところもございますので、強みの程度はまだ明言いたしかねるのですが、確かにそういった要件を設けておられるところは一定ございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。それは募集の段階でそういうことで、実際どのぐらいの人がどの割合で医療従事者として仕事しているのか、サラリーもよければいい人材も集まるものだろうと思ったりもしますし、ますます実態が気になるところではあるのですけれども。
 それでは、この議題4についてはここまでということにしたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、続いて議題5「医薬局からの定期報告について」、個別医薬品の海外調査についてと併せて事務局から説明をお願いします。
○勝山補佐 資料5と6につきまして併せて事務局から御報告させていただきます。
 まず、資料5の「医薬局からの定期報告」を御覧ください。こちら、前回第13回の委員会以降に、委員会への報告事項とされているものについて取りまとめた資料でございます。この間、緊急安全性情報等に関しては新たな発出はございませんでしたので、こちらの資料には含まれてございません。
 表紙に記載のとおり、まず1番目の「製造販売承認された医薬品の情報」ですけれども、この間に新たに委員会への定期報告の対象として承認されたものは本年9月25日付に承認された6品目ということで情報を掲載させていただいております。
 また、5ページ以降、「医薬品の使用上の注意の改訂について」ということで、本年11月30日に開催された薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会で確認された内容について御報告させていただいております。
 資料のほうが5ページから30ページまで続いておりますが、28件の添付文書改訂について掲載しております。基本的に国内外の症例の評価をもとに添付文書の改訂指示を行っているものが多くなってございますけれども、18ページから記載されております23-30から34の事例につきましては、解熱鎮痛薬として広く使用されているアセトアミノフェンにつきまして、一部患者に対する禁忌解除の要望を受けて、PMDAにおいて調査を行った結果に基づき、禁忌の解除に関する添付文書の改訂を行ったものでございます。
 そのほか、31ページ以降、外国における措置の報告につきましても、全282件のうち本委員会への報告対象83件について概略を記載させていただいております。詳細は割愛させていただきます。
 続きまして資料6を御覧ください。こちらは新たに承認された医薬品成分につきまして、国内での承認審査時に海外で承認がなかったものや特例承認を行った品目等につきまして、欧米での承認状況を調査した結果でございます。
 先ほど資料5で御紹介いたしました新たに承認された6品目を含む52品目が今回の調査対象となってございます。これまでと同様でございますけれども、FDA、EMAで通常承認されたことが明らかとなったものにつきましては、それぞれ承認日の部分に薄い青色、薄い緑色で着色させていただいておりまして、本日の御報告をもって調査完了するという品目になってございます。
 資料5,6につきまして、御説明は以上となります。
○磯部委員長 ありがとうございました。委員の皆様から御意見、御質問などございますでしょうか。
 事前にこの資料を拝見したときに、資料5の18ページでしたか、アセトアミノフェンの部分の変更ということで、禁忌が解除されたということだったわけですね。禁忌の解除ってよくあることなのですかというのもよく分からない中ですけれども、かつてはそのぐらいだったのが、これからはそのようには、禁忌とは挙げないということに、使えるということになるわけですけれども、引き続き注意はしたほうがいいということだと思いますが、添付文書上、かつて患者は禁忌の対象だったという経緯は見えなくはなるわけですよね。普通に一般的な注意として書いてあるだけで、大丈夫なのですよねということの感覚的なところですが、確認までです。もしよければお願いします。
○医薬安全対策課長補佐 医薬安全対策課の浦でございます。
 禁忌の解除について、年何件とか集計したものは手元にございませんけれども、その時々の状況に応じて、学会からの要望などを踏まえながら、エビデンスを精査させていただいて、これは解除が妥当であるということを審議会で議論していただいた上で決定していくこととしているところでございます。
 それで、このアセトアミノフェンに関しまして、禁忌から解除されたということは、もちろん様々な資料で残していくということにしておりまして、我々、医薬品医療機器等安全性情報というのを月1回ほど公開しておりますけれども、その中でも、アセトアミノフェンに関して使用上の注意を改訂しましたという記事を掲載しております。また、添付文書の中で言いますと、引き続き「特定の背景を有する患者に関する注意」において注意喚起していくということにしておりますので、そういった必要な注意喚起を行いながら適切に使用していただくということを推奨しているところでございます。
 以上でございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。そのほかよろしいでしょうか。
 それでは、ありがとうございました。ここまでで、定期報告については次回委員会以降も引き続き報告よろしくお願いしますということで、比較的今日はまだ順調なほうですね。一時どうなるかと思ったのですけれども。
 今日の議題、あるいは監視委員会全般について、委員から何かあれば御発言をお願いします。
 今日、先ほど佐藤先生のほうからカルテの保存期間の延長ということについての問題提起がありまして、そこは私も個人的に関心あるところなので、ちょっと今後の検討課題、議題にするということも含めて検討していきたいと思っております。
 その他何かありますか。
 よろしいですかね。
 ありがとうございました。それでは、以上で本日の議題は終了となりますが、最後に事務局から何かございますか。
○綾室長 次回の委員会につきましては、日程を調整の上、改めて御連絡をいたします。また、議題につきましては、別途、委員の皆様からの御意見をもとに御相談をさせていただきます。
 それから、これは事務連絡でございますが、この後、委員の皆様におかれましては、事務連絡等ございますので、このまま、特にオンラインの先生方、すみませんが、オンラインのままでお願いをしたいと思います。
○磯部委員長 ありがとうございました。それでは、これで本日の委員会を終了します。長時間にわたりありがとうございました。