第3回健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会議事録(2023年12月21日)

日時

令和5年12月21日(木)13時00分~15時00分

場所

AP新橋 Kルーム(オンライン開催)

議題

  1. 1.健康づくりのための睡眠ガイド2023(案)とりまとめについて
  2. 2.その他

議事

開会

【山宮課長補佐】  定刻になりましたので、ただいまより、第3回「健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会」を開催いたします。委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきありがとうございます。
本日、議事に入るまでの間、議事進行役を務めさせていただきます、健康・生活衛生局健康課の山宮と申します。
本日は、委員の皆様にはオンラインにて御参加いただいております。議事に入る前に、WEB御参加者への留意点、資料の確認、本日の出欠席状況等について御説明させていただきます。まず、オンラインでの参加の方に向けてのお願いです。ビデオカメラはOnにしていただくこと、発言以外はマイクをミュートにしていただくこと、発言される場合には挙手をしていただき、座長からの指名後、発言いただくこと、発言時にマイクをOnにしていただくこと、発言時に名前をおっしゃった上で発言をしていただくこと、発言が終わりましたら、マイクをミュートにしていただくこと、以上よろしくお願いいたします。
次に、資料の確認をさせていただきます。事前にお送りしているファイルに不足がないか御確認ください。まず、議事次第、構成員名簿、座席表がございます。資料といたしまして、資料1「健康づくりのための睡眠ガイド2023(案)」、参考資料として、参考資料1「健康づくりのための睡眠指針2014」を事前にお送りさせていただいております。不備がございましたら、事務局まで御連絡ください。
本日、小賀構成員より御欠席の連絡を頂いております。また、加茂構成員は遅れての御出席となります。
報道関係者の撮影についてはここまでとさせていただきます。
それでは、以後の進行は、内村座長にお願いしたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

議題

1.健康づくりのための睡眠ガイド2023(案)とりまとめについて
・1~5ページについて
【内村座長】  ただいま御紹介していただきました、久留米大学の内村です。
それでは、早速本日の議題に入りたいと思います。「健康づくりのための睡眠ガイド2023(案)」について、まずは前半の5ページまでを、事務局から御説明よろしくお願いいたします。
【田邉室長】  資料1「健康づくりのための睡眠ガイド2023(案)」をご覧ください。
1ページおめくりいただきまして、まず目次となってございます。
さらにおめくりいただきまして、ここから、これまで先生方に御指導いただきました内容をまとめてございます。最初に、「はじめに」ということで、睡眠の重要性を書かせていただいてございます。睡眠は、こども、成人、高齢者いずれの年代においても健康増進において不可欠な休養活動である。さらに、睡眠不足は日中の眠気であるとか、注意力、判断力の低下、あるいは事故等の重大な結果を招く恐れがある。加えまして、睡眠の問題が慢性化すると、肥満、高血圧症等の生活習慣病の発症リスクも上昇し、また、精神疾患等においてもリスクになるということを書いてございます。このため、日常的に質・量ともに十分な睡眠を確保することが、心身の健康を保持し、生活の質を高める上で極めて重要であるということを書いてございます。
2パラグラフ目で、それを踏まえまして、令和元年の国民健康・栄養調査の結果を見ますと、1日の平均睡眠時間が6時間未満の方がやはり4割程度いらっしゃるということ、また、OECD等においても日本の睡眠時間は短いということが指摘されてございます。
こういう状況を踏まえまして、健康増進の観点から、「適正な睡眠時間の確保」及び「睡眠休養感の向上」が、全ての国民が取り組むべき重要な課題であるということを書いてございます。
おめくりいただきまして、次のページはこれまでの経緯をまとめてございます。平成15年度に「健康づくりのための睡眠指針」を策定させていただきました。その後、「健康日本21(第二次)」に合わせましてこれを改訂いたしまして、「健康づくりのための睡眠指針2014」を策定させていただいてございます。これらを踏まえまして、健康日本21(第二次)では休養分野の取組を進めてまいりました。
また、10年ほど前回の改訂から経過しておりますので、その間、新たなエビデンスがたまってきたというところ。それから、健康日本21(第二次)の最終評価におきまして、休養分野の指標でございます「睡眠による休養を十分とれていない者の割合」は、ベースライン値が18.4%であったものを15%まで下げることを目標にしていたのですが、最終評価では21.7%とむしろ増加しているという結果でございました。特に中高年で増加の割合が高かったという結果でございます。それらの点等を踏まえまして、睡眠・休養分野の取組をさらに進めていく必要があるというところ。それから、来年度から健康日本21(第三次)の開始となりますので、それに合わせて「健康づくりのための睡眠指針2014」を見直し、2023にアップデートさせていただこうと考えてございます。
続きまして、「健康づくりのための睡眠指針2014」との違いでございます。先ほど申しましたように、第三次が来年から開始になるのですが、その中で、睡眠・休養分野の指標につきましては、適正な睡眠時間の確保、及び睡眠休養感の確保という、2つの目標を掲げさせていただいてございます。これを踏まえまして、推奨事項につきましては「成人」「こども」「高齢者」と年代別に分けた取りまとめをさせていただいてございます。加えまして、良い睡眠には、光・温度・音等の環境因子、あるいは食生活・運動等の生活習慣、また、睡眠に影響を与えます嗜好品との付き合い方も重要でございますので、エビデンスに基づきまして、これらの情報を参考情報としてとりまとめさせていただいてございます。さらに、睡眠に関しましては、睡眠障害と言われる疾患等に起因するものがございますので、睡眠障害についても概説するとともに、女性の健康という観点から、女性ホルモンの変動による睡眠への影響でありますとか、勤務形態の1つであります交替制勤務と睡眠との関係等についてもまとめさせていただいております。
また、全体の構成といたしましては、国民一人ひとりがライフスタイルに応じて良質な睡眠の確保ができるように、ツールとしての活用性も考慮した構成に変更させていただいてございます。また、本ガイドでございますけれども、「6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保する」といった定量的な推奨事項に加えまして、睡眠環境でありますとか生活習慣を見直すという定性的な推奨事項も含まれてございます。また、これまでの「指針」という言葉ですと、どうしても国民の皆様が等しく取り組むべき事項というような印象がございますので、「ガイド」という名称にさせていただいてはどうかということでまとめさせていただいております。
おめくりいただきまして、次は、「健康日本21(第三次)」の目標と本ガイドの関係でございます。申しましたように、健康日本21(第三次)におきましては、睡眠で休養がとれている方の割合を増やすというところ、いわゆる睡眠の質に関する部分の指標、それから、睡眠時間を十分に確保できている方の割合を増やすということで、睡眠の量について、この2つ指標を立てさせていただきまして、来年度から取組を進めていくというところになってございます。
おめくりいただきまして、次が、「本ガイドの活用方策」でございます。こちらは先生方からも御指摘いただきました、どのような方をターゲットにこのガイドを出しているのかということを明確にしたほうが良いという御意見を頂きましたので、本ガイドにつきましては、いわゆる睡眠等に関する生活指導をされる方、保健師さんでありますとか管理栄養士さん、あるいはドクター等、それから、政策を立案される方、いわゆる健康増進部門に加えまして、まちづくり等、睡眠の環境整備をされる政策立案者の方に向けても、参考にしていただければというところでございます。また、職場での睡眠等についての重要性等も考えていただくという点では、職場管理をされる方も含めて、睡眠の質の向上を支援していただく関係者に向けたものということで策定してございます。また、本ガイドにつきましては、年代別の推奨事項をまとめてございますので、国民一人ひとりのニーズに応じた生活指導を実践される上で、良い取組につながるのではないかと考えてございます。
さらに、健康日本21(第三次)におきましては、「より実効性を持つ取組を推進」を1つの柱にしてございまして、この中でアクションプランというものを提示していくということがございます。こうした観点からも、このガイドが基本的な情報として重要になるのではないかと考えてございます。
また、ICTの活用という部分につきまして、客観的な睡眠の評価という観点は、今後ますます進展していくと考えられますので、こういうものも取り入れながら、睡眠についての取組を進めていってはどうかということを最後に書かせていただいてございます。
まず前半部分につきまして、事務局から御説明は以上となります。よろしくお願いいたします。
〈質疑応答〉
【内村座長】  ありがとうございました。ただいまの事務局の御説明につきまして、御質問、御意見がありましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
今回は「睡眠指針」ではなくて「ガイド」という言葉でまとめたいということも説明がありましたけれども、それについてもよろしいでしょうか。栗山構成員、お願いします。
【栗山構成員】  質問というより意見になりますけれども、「本ガイドの活用方策」というところを明確に記載していただいたところが、非常によろしいのではないかと思います。さらに、睡眠をしっかりとれているかどうかといったことを、指導する立場の人たちがこれを使うことによって、より効率的、統一的、画一的に指導ができるようになることは、非常に重要なことですし、また、職場管理者等がこれを参考にして、職場の環境整備や職員の健康管理をするようなことがデフォルトになっていくということは、日本国民にとって非常にいいことだと思いますので、これはとてもいいことだと私は思いました。ありがとうございます。
【内村座長】  栗山構成員が言われたように、どういう方がこれを使って、さらにこのあと国民に普及啓発していくかということになってくると思います。働き方改革も進んで、来年の4月からは、医師やトラックとかタクシーの運転手さんたちも働き方改革が始まり、また、さらに今、ストレスチェックも行われています。その中で、睡眠というのは当然必要ということは言われていても、指導していくというのは、なかなか具体的にやりづらかったところがあると思うのですけれども、そういう意味では、このようにきちんと、どのように活用すべきかということを示してあるというのは、今後、より国民に普及しやすくなってくるのではないかという印象をすごく持ちました。ありがとうございました。
ほかには。兼板構成員、どうぞ。
【兼板構成員】  私も今ちょうど栗山構成員と同じことを思っていたところでした。特に、食事、運動、喫煙、飲酒ほかの生活習慣に比べて、睡眠習慣というのは社会的な要因を強く受けやすいです。職場のお仕事とか、あるいは学校のスケジュールとか、そういうこともあって、社会的にみんなで考えていくということがどうしても必要ですし、そうしたことをしないと健康日本21の評価は良くなっていかないのではないかと思います。そういう意味で、職場に届けるとか、政策立案者に届けるということが明確にされているのはとてもいいことだと思いました。
【内村座長】  今の高校生などが、睡眠時間が足りていなくて、その1つの理由に、朝の課外授業があるということで睡眠時間が確保できないということが、県によってはかなり言われていて、今、朝の課外授業をやめようという県もかなり出てきているのです。あるいは、朝の授業開始の時間を少し遅らせようという所も出てきています。本当は、教育関係者の方、教育委員会にこの睡眠の重要性を認識してもらって、そして、大学進学のためには何が何でも朝に課外授業をしなくてはいけないというような画一的なやり方から脱却していってもらいたいと思っています。今の高校生にとって何が大事かというところで、睡眠の重要性もきちんと頭に入れていただかないと不十分ではないかということを、教育する側として感じてもらうという意味では、ぜひこの活用の中で、そういう高校生や中学生を指導するような教育委員会の先生方にも認識してもらいたいです。中学校や高校で講演会などを開くと、特に高校では、朝の課外授業があるからということが問題として出てきます。働き方改革が始まるわけですけれども、その辺の学校の改革自体にも、この睡眠という点を入れていってもらいたいと強く感じています。
ほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
・6~20ページについて
【内村座長】  それでは続いて、資料1の6~20ページの「睡眠に関する推奨事項」、及び睡眠に関する参考情報について、前回から新たに変更した点を中心に、事務局から説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
【田邉室長】  では、まず7ページまで進んでいただきまして、「本ガイドにおける推奨事項の概要について」でございます。こちらのページは、RECOMMENDATIONシートの推奨事項をまとめたシートになってございます。睡眠は健康増進に不可欠な休養活動であり、睡眠が悪化すると様々な疾患発症リスクが増加する。健康寿命の短縮のリスクが高まることも指摘されてございます。また、必要な睡眠時間には個人差があるとともに、年代によっても変化するという特性がございますので、それを踏まえた取組が必要であるということをまとめてございます。
健康日本21(第三次)においては、ライフステージやライフコースアプローチを踏まえた取組に重点を置いておりますので、今回は、こども、成人、高齢者とライフステージ別に推奨事項をまとめてございます。また、睡眠に関しましては質と量ともに重要であるということを踏まえまして、質・量それぞれについての推奨事項をまとめてございます。具体的なことはそれぞれのシートで御説明させていただこうと思います。
1ページおめくりいただきまして、8ページです。こちらは前回から少し構成を変更させていただいてございます。これまでのINFORMATIONシートの1番と2番をまとめさせていただきまして、まず、「睡眠に関する基本事項」ということで、睡眠とはどういうものかを最初にまとめてございます。まず、最初のところで、睡眠と健康との関係ということで、睡眠が様々な身体機能においてとても重要であるということをまとめてございます。
また、「睡眠の基本的な特徴」ということで、睡眠につきましては、まず、そもそも眠る時間には限りがあるということで、いくら寝ようと思っても毎日何十時間も寝られないというところ、また、必要な睡眠時間は年齢によっても変化するという、年代によって必要な睡眠時間も変わってくるという部分。また、季節による変動、シーズナルな変動もあるというところ、それから、個人差が大きいという部分を、基本的な事項としてまとめてございます。また、睡眠の問題がある場合に、その後ろに疾患があるという可能性もございますので、そういうことにも留意が必要である部分をまとめてございます。
また、「コラム」といたしまして、いわゆる睡眠時間ですけれども、アンケート等での自己申告による主観的な睡眠時間と、脳波計等を用いて評価する客観的な睡眠時間につきましては、相関がある点もありますが、なかなか相関が弱い部分もあるということで、そういう点についての今後の課題等を書いてございます。その上で、コラムの2つ目のほうでは、最近、脳波計等を用いた客観的な睡眠時間を簡易的に計る方法等が進歩しておりますので、そういうものについても、体温計や血圧計と同様に使えるようになるのではないかということをまとめてございます。
このように、まず睡眠についての基本事項をまとめさせていただきました上で、年代別のRECOMMENDATIONシートをまとめてございます。
「成人版」でございますけれども、推奨事項に関しましては、前回から大きな変更点はございません。6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保する、それから、睡眠休養感を高めるという、質と量ともに必要ですということを書いてございます。
その次からの構成でございますけれども、書いてある1つ1つの事項については変更ございませんが、並びを少し変えさせていただきました。最初に、「睡眠時間が短いことによる健康へのリスク」ということで、短いことによってどういうリスクがあるのかというところをまとめてございます。疾患の発症率や死亡率の上昇であるとか、そういうリスクが上がりますということをまとめてございます。
その上で、次に、では現在の「睡眠時間の現状」はどうかというところで、国民健康・栄養調査の結果で、6時間未満の方が大体4割程度いるというところの現状をまとめてございます。
その上で、では適正な睡眠時間の確保の目安については、どの程度の時間を目安として確保するのかということをまとめてございます。6~8時間を基準と考えまして、さらに日中の活動などには個人差がございますので、プラス1時間で6~9時間辺りが成人での適正な睡眠時間ではないかということを、エビデンス等々を踏まえてまとめてございます。
おめくりいただきまして、次に「寝だめ」の問題でございます。休日の寝だめにつきましては、こういうことをしても睡眠というものはためられませんということを書いてございます。また、休日の寝だめの時間が1時間程度であれば健康等のリスクは少ないのですけれども、2時間以上寝ている場合は、逆に寿命短縮のリスクがあるというような報告もまとめてございます。休日に寝だめをするということは、平日の睡眠時間が足りていないのではないかということの示唆にもなるということをまとめてございます。
2番としまして、次に睡眠の質の部分、「睡眠休養感」についての項目をまとめてございます。同様に、まず「睡眠休養感が低いことによる健康へのリスク」ということで、生活習慣病でありますとか、あるいは心の病気、いわゆる精神疾患等のリスクが上がるというところ等をまとめてございます。
その上で、「睡眠休養感の現状」というところで、こちらも国民健康・栄養調査の結果を見ますと、大体20代以上では3割程度の方が、睡眠休養感が低いということが出てございます。
その上で、「取り組むべきこと」ということで、睡眠休養感を低下させる要因であります、睡眠不足等の問題、あるいは、食生活の乱れ、運動不足等につきまして、こういう部分についての生活習慣を見直してはどうかということをまとめてございます。
また最後に、疾患との関係で生活習慣でありますとか睡眠環境等を見直した場合でも睡眠の不調が続く場合には、疾患等の可能性がありますということを注意喚起としてまとめてございます。
続きまして、ショートコラムのところでは、成人のライフステージでございますので労働との関係で、論文等を見ますと睡眠時間の短縮の大きな要因であります、勤務時間等との影響。あるいは、それを見越した上で勤務間インターバルであるとか、いろいろな制度がございますので、そういうものをうまく活用していただいて、労働時間についてもうまくコントロールしながら睡眠をしっかりとりましょうということをまとめてございます。
おめくりいただきまして、「こども版」でございます。こども版につきましても、推奨事項につきましては前回から大きな変更点はございません。小学生と中学生・高校生につきまして、参考となる睡眠時間を書いてございます。それから、こども世代で最も重要な、朝寝坊・夜更かしについての注意喚起を2点目に書いてございます。
同じように、下のほうの構成でございますけれども、まず睡眠不足による健康リスクを書いてございます。それから、こどもの場合は年代によって必要な睡眠時間が異なりますので、米国の睡眠学会の推奨値を参考に、それぞれの年代で推奨される睡眠時間をまとめてございます。
おめくりいただきまして、次は、夜更かしと朝寝坊に関する注意点でございます。こちらも、夜更かしが生じる原因、それから、夜更かしを習慣化させないための工夫ということで、この辺りは大きな変更点はございません。少し並び等を変えさせていただいてございます。起床時の日光浴、あるいは朝食をしっかり食べる、または運動習慣、それから、デジタル機器を寝室に持ち込まないということについて書いてございます。同様に、「睡眠時間の先延ばし」ということで、夜更かしの原因として、余暇活動をどうしても寝る前にとってしまう場合があるのですが、余暇活動につきましては昼間の時間に移して、きちんと寝ましょうということをコラムでまとめてございます。
続きまして、「高齢者版」でございます。高齢者版につきましては、前回先生方に、推奨事項として床上時間が8時間以上にならないことを目安にということで、「8時間以上」ということを明確に書いたほうがいいという御指摘を頂きましたので、「推奨事項」の最初のところに「8時間以上にならないことを目安に、必要な睡眠時間を確保する」ということを書いてございます。2点目は、睡眠休養感を高めるということで、これは前回と変更はございません。また、同様に長い昼寝が夜間の良眠を妨げるため、日中の長時間の昼寝は避けましょうという注意点を3点目に書いてございます。
構成でございますが、こちらも成人版と同様に、まず、「長時間の睡眠による健康リスク」ということで、長く寝ることによってどういう影響があるのか、死亡リスク等、あるいはアルツハイマー等の発症リスクというところで、疾患等との関係についてまずまとめてございます。
2点目が、睡眠時間ではなく床上時間との関係ということで、床上時間が長くなると、総死亡のリスクが上がるということを書いてございます。このグラフは、年齢が高くなるにつれて、床上時間と御本人が考えている主観的睡眠時間には解離があるということをまとめたものでございます。
3点目は、睡眠の質のほうである「睡眠休養感」です。これも欠如すると健康リスクにつながりますということをまとめてございます。
4点目は、その上で「取り組むべきこと」ということで、まず床上時間につきましては、長い床上時間はリスクとなりますので、その点について書いてございます。8時間以上にならないことを目安に考えてはどうかという部分でございます。それから、睡眠休養感の確保の部分ですけれども、こちらは、逆に床上時間を、8時間を目安として一定程度制限することで、むしろ睡眠の質が上がるのではないかというところ。それから、昼寝については長くなり過ぎないようにする。また、日中は活動的に過ごして、昼と夜にメリハリをつける等々につきまして、休養感を向上させるための取組ということでまとめてございます。
おめくりいただきまして、それでも睡眠休養感が高まらない場合ということで、これらの生活習慣に加えまして、お酒であるとか、そういう嗜好品との関係、あるいは食塩等の摂り過ぎの部分、また、睡眠障害の疾患等の可能性もありますので、そういう点についてまとめたものでございます。
まず、推奨事項ということで、ここまででいったん切らせていただきます。事務局からの御説明は以上となります。よろしくお願いいたします。
〈質疑応答〉
【内村座長】  今、事務局のほうから御説明がありましたけれども、推奨事項のところで皆さんから御質問、御意見がありましたらお願いいたします。よろしくお願いします。栗山構成員、どうぞ。
【栗山構成員】  我々研究班のほうでも、読みやすさという点は十分注意して作成したつもりでしたけれども、構造化してまとめていただいたことで、より理解度が深まる良い構成になっているかと思います。ありがとうございました。
【内村座長】  どうもありがとうございます。ほか、いかがでしょうか。
少し確認したいのですけれども、栗山構成員にお聞きしていいかどうかわからないのですけれど、「こども版」の15ページの左下の、それぞれのこどもの睡眠時間について、これはとてもわかりやすいのですけれども、例えば1~2歳児が11~14時間とあるのは、夜の睡眠時間と昼寝の2時間を足したものがこの11~14時間の中に入っているのですか。
【栗山構成員】  駒田構成員、お願いします。
【駒田構成員】  そのとおりです。円で示しているように、1~2歳児では濃いブルーも昼間に来ております。3~5歳児になりますと薄いブルーになっておりますので、その10~13時間の間に含めてもいいし、含めなくてもいいというようなニュアンスです。昼寝を含めるのか・含めないのかということがイラストでわかるように、つまり小学生以降は、昼寝は含めない、夜の睡眠時間で9~12時間とってくださいという気持ちでイラスト化しております。
【内村座長】  保育園や幼稚園などで講演をすると、「睡眠時間というのは夜だけの時間を言うのですか、それとも、お昼寝まで合わせて言うのですか」とよく聞かれると思うのですけれども、この図の1~2歳児が11~14時間というのは、お昼寝も含めてということでよろしいのですね。
【駒田構成員】  はい、そうです。昼寝については、コラムのほうで少し補足をしております。
【内村座長】  それと、濃い青は「推奨」で、薄い青は「これくらいまではいいでしょう」ということですから、ここを説明すると、1~2歳児は1時間のお昼寝はやはり推奨したほうがいい。しかし、2時間となると、してもしなくてもいいというか、2時間くらいまではしてもいいという意味。3~5歳児になると、お昼寝は必ずしも必要ではなくて、ただ、1時間くらいだったらしてもいいという説明になってくるのですね。
【駒田構成員】  はい。成長段階によってお子さんに個人差があるので、するお子さんもいるし、しないお子さんもいるというようなニュアンスでございます。
【内村座長】  ここも、保育園などに行くと、お昼寝はすべきではないという、お昼寝廃止運動みたいなことをしている所もかなりあって、「お昼寝をすると夜の睡眠時間が遅くなるので、お昼寝はしないほうがいいのですか」、「では何歳から何歳までが、お昼寝が必要ですか」というような質問をされることが多いのです。
これを見ると、すごくわかりやすくて、お昼寝は、個人差もあるけれども5歳くらいまではしても構いません、2歳くらいまではやはり1時間はしたほうがいいですというこということが示されています。推奨時間、あるいはこのくらいだったらしてもいいということが年齢で分けてあって、これで、年長さんくらいになるともうしなくてもいいのではないかということになってくるだろうと思います。6歳は小学生に入ってくると思います。今、駒田構成員から説明がありましたけれども、この1つの図ですごく説明しやすいという意味で、すごくよくまとめてあると思いました。どうもありがとうございました。
【駒田構成員】  ありがとうございます。
【内村座長】  ほか、いかがでしょうか。
【山宮課長補佐】  1点、構成員の先生方にお願いがございます。御説明不足で申し訳ございませんでしたが、御発言の際は挙手ボタンを押していただければと思います。よろしくお願いいたします。
【内村座長】  ほかにこの推奨事項のところで御意見はございませんか。よろしいでしょうか。大神構成員、どうぞ。
【大神構成員】  今回のガイドで、私がとても画期的だと思ったことを1点申し上げたいと思いました。今回のガイドのポイントを集約して、小見出しとして非常に画期的に書かれていると思ったのが、8ページの、「眠ることができる時間には限りがある」という言葉です。非常にインパクトがあって、一読者として、この言葉はすごく大事だなと思いました。すみません、ちょっとした意見です。失礼いたしました。
【内村座長】  御意見を頂きまして、ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
・21~42ページについて
【内村座長】  続きまして、「睡眠に関する参考情報」のところについての御説明を、よろしくお願いします。
【田邉室長】  22ページからの参考情報について御説明させていただきます。参考情報につきましては、先生方から前回頂きました御意見による大きな変更点はございません。文言の修正等がメインでございます。
まず、1つ目が、「良質な睡眠のための環境づくりについて」ということで、環境づくりについてまとめてございます。微妙な変更点なのですけれども、「ポイント」のところで、例えば最初の、「日中にできるだけ日光を浴びると、体内時計が調整されて入眠しやすくなる」は、以前は「日中にできるだけ日光を浴びましょう」というような感じで、それによって何が良いかということは書いてなかったのですけれども、それがどういうことに影響するかというものをポイントのところで少し書き足させていただいてございます。それ以外では、このページはショートコラムの場所を移動したとか文言の修正等で、大きな変更点はございません
おめくりいただきまして、次のページにも特に大きな変更点はありません。
次のシートにいっていただきまして、「運動、食事等の生活習慣と睡眠について」についてでございます。運動の部分につきましては、こちらも構成等については大きく変更させていただいてはございません。
次のページにいっていただきまして、食事の部分でございますけれども、2番の「しっかり朝食を摂り、就寝直前の夜食を控える」というところの最後のポツは、いわゆるドリンク系、コーヒーやお茶につきましては、カフェイン等の嗜好品のページに書いてございますので、そちらに誘導する記載を1つ、ポツで付けさせていただいたところでございます。
また、次のページの「よくある質問と回答」の右側の上から2つ目に、「睡眠改善のためにおすすめの食事はありますか」という、食事との関係につきましてのQ&Aを1つ加えさせていただいてございます。結論としましては、食事パターンとしては、海外のエビデンスでは地中海食パターンが良いということが言われておりますが、日本で言いますと、日本食も似ているのですが、エビデンスというところで、これを摂ればいいとか、こういう栄養素がいいというものはないということをまとめさせていただきました。
おめくりいただきまして、次は、嗜好品との関係でございます。これにつきましても、最初の「ポイント」にございますカフェインにつきまして、これまでは1日400mgを超えないようにしましょうというところで、どうしたらいいかということだったのですけれども、それに加えまして、それを超えると夜眠れなくなるという、どういう影響があるかというものを書き加えたポイントに変更してございます。
「カフェイン」のところにつきましては、大きな変更はございません。
「アルコール」と「ニコチン」につきましては、ニコチンにつきまして、近年、加熱式たばこや電子たばこが普及していますということで、こういうものについてもニコチンが含まれているということを書いてございます。その他は大きな変更点はございません。
続きまして、「睡眠障害について」でございます。こちらは疾患についてまとめさせていただきました。最初のところで、睡眠不足や睡眠休養感の低下には病気の可能性がありますというところ。2つ目で、どういう症状があるかということで、睡眠時間が短縮したり、睡眠休養感が低下するということ、あるいは日中の眠気等がありますということを症状としてまとめてございます。
「各種睡眠障害」につきましては、前回先生方から頂きました文言の修正等々で、内容自体については大きな変更点はございません。
続きまして、「女性の健康と良質な睡眠について」です。これは、これまでは「妊娠・子育て」という題名だったのですけれども、更年期等についての記載もございますので、女性の健康というふうに変更させていただいてございます。内容につきましては、最初のところが女性ホルモンと睡眠の関係、2点目が、妊娠が睡眠に及ぼす影響をまとめた上で、4番で更年期と睡眠との関係をまとめてございます。Q&A等につきましては大きな変更点はございません。
最後が、交替制勤務と睡眠の関係でございます。変更点としては、2番の「交替制勤務と健康リスク」のところで、右側のほうにより細かく、どういう疾患等のリスクが上がるのかということについて、論文に基づいたエビデンスを踏まえた報告等を追加させていただいたところでございます。
それから、「交替制勤務者における注意点」ということで、仮眠でありますとか、カフェイン等の摂り方、あと、「遮光」のところは、最初は「光(サングラス)」という表現だったのですけれども、「遮光」と変えさせていただきました。サングラス等を使わなくても、要は光との付き合い方ということで、夜間あるいは夜勤明け・早朝に朝の強い光を浴びないほうがいいとか、そういうことについての光との関係という表現のために、「遮光」と変えさせていただいてございます。
INFORMATIONシートにつきまして、大きな変更点は以上の点になります。事務局の御説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
〈質疑応答〉
【内村座長】  ありがとうございました。それでは、今御説明がありました、「4.睡眠に関する参考情報」のところで、何か御意見、御質問がありましたらお願いしたいと思います。感想でも構いません。いかがでしょうか。大神構成員、どうぞ。
【大神構成員】  たびたび申し訳ありません。2点あります。
1点が、33ページの睡眠障害のところで、医療職であれば想像しやすいと思うのですが、職場の管理者などが読んだときには少しわかりにくいのではないかと思ったのが、「睡眠不足・睡眠休養感低下の裏に潜む睡眠障害」の「速やかに医師に相談しましょう」という箇所です。この医師に相談といったときに、これは私が実際によく聞かれることなのですけれども、どういうお医者さんに相談すればいいのかということが相談になりやすいところなので、かかりつけ医とか、あるいは睡眠障害外来など、具体的なものも少しあるといいのではないかと思ったのが1点です。
もう1点が、同じように、職場の管理者の方が読むということも想定しまして、42ページの「遮光」というところの、「体内時計が前進し」という表現について、体内時計が前進するというのは具体的にどういうことなのかが、こういう言葉遣いに慣れている人はぴんとくると思うのですけれども、あまり慣れてない方であれば、前進するということはどんなことかということをもう一言追加されると、イメージされやすいのではないかと思いました。
以上2点が、少し補足いただいたほうがいいのではないかと思ったところです。
【内村座長】  わかりました。最初の御質問が、33ページの「ポイント」の4番目の、「睡眠障害が疑われる場合は、速やかに医療機関を受診する」というところの「医療機関」という表現と、その下の「1 睡眠不足・睡眠休養感低下の裏に潜む睡眠障害」の右上の2行目の、「速やかに医師に相談しましょう」というところの「医師」が、どこに行っていいかわからないということですね。
【大神構成員】  はい。よく言われるところなのです。
【内村座長】  これはどういう表現にするかということですけれども、栗山構成員、いかがですか。
【栗山構成員】  これは私も常に聞かれることです。これは日本だけではないかもしれないですけれども、大きな課題だと思います。理想的には、普通だったら職場の保健師さんがこれで困ったときには、産業医の先生に相談したりとか、一番身近な医師に相談する形になると思います。本来、そこで回答が得られるような世の中にしていくというのが理想です。ただ、それができない場合は、先生がおっしゃるように、睡眠障害を専門とする医師に相談するという流れを明確につくっていくというのが次善手段だと思います。現状に即してそこまで具体的に書くかどうかということだと思うのですけれども、これは皆さんの御意見を参考に決めるのがよろしいのではないかと思っております。
【内村座長】  それこそ、今、睡眠科の標榜ということで、今度、健康日本21の第三次提言が出て、睡眠ガイドも出て、睡眠の質と量について睡眠時間と休養感を目標として設定される中で、問題を感じた人が行き場がないということで、ぜひ睡眠科という標榜をということで、今、厚生労働省と交渉中なのですけれども、多分、すぐにはなかなか難しいという現状です。
睡眠を専門とする医療機関は、地域、県によってはなかなかないですよね。栗山構成員が言われたように、睡眠を専門としているような医師や医療機関というのが一番理想的で、そこまで書きたいところですけれども、ただ、今は、地域、県によってはそういうものがほとんどないような所もあります。それを考えると、これは今後10年間の中で、2年後、3年後には、「睡眠科に」というふうに変わるように実現させたいのですけれども、今の段階では、ここに睡眠を専門とする医師や医療機関と書くと、地域によっては受診できないような方も出てくるので、医療機関とするか、かかりつけの先生とするか、産業医あるいはかかりつけ医とするかだと私は思います。ほかの先生方の御意見をお聞きしたいのですけれども、いかがでしょうか。兼板構成員、どうぞ。
【兼板構成員】  私も、今、内村座長が話されたことと同じです。地域によって周囲の医療機関の環境が異なっておりますから、この「医師に相談」という形が一番包括的で、どこにおいても通じる言葉といいますか、薬の説明文も、「異常が見られた場合は医師に相談」という書き方がありますよね。それに非常に近いと思うのです。気持ち的には、当然、より睡眠に詳しい方につながるのが一番いいわけですけれども、なかなかそれが難しい地域や状況もあるかと思いますから、今の段階ではこの包括的な「医師に相談」という形が現実的な表現ではないかと思いました。私の考えです。
【内村座長】  ありがとうございます。ほか、いかがでしょうか。
【山本課長】  基本的には今の先生方の御議論のとおりだと、事務局としても受け止めております。国民の方々、住民の方々は、医師との普段からの関わりが様々な面もあろうと思っております。後ほど、もし可能であれば、黒瀨構成員からも御意見を頂ければと思っておるのですけれども、通常から何らかの疾患で医療機関にかかっておられる方もいらっしゃれば、そうでなく、普段、日常的に医療機関を受診されていない方もいらっしゃる。また、医療機関を受診されている方であれば、普段かかられているドクターに御相談されることもあるのではないかと思っています。
とはいえ、今お話しのとおり、今医療機関を受診している疾病の内容や、医療機関の医師の専門性等に応じて、必ずしもそこで睡眠に関する対応ができないという事情もあるだろうと思っています。そういう様々な要素を踏まえて、今お話しいただいているように、何か固定して書くというよりは、「医師」にしていくという先生方の御議論は、事務局としてもおっしゃるとおりではないかと考えております。ぜひほかの構成員の先生方からも御意見を頂ければと思っております。
【内村座長】  黒瀨構成員、日本医師会として、いかがでしょうか。
【黒瀨構成員】  先ほど来、皆さんがお話しになられているとおりで、やはり専門医というのは地域によってかなり偏在があると思いますし、特に地方の過疎地域等では、逆に専門医を探すのが大変で、そのためにかえって受診できないということになってしまうと本末転倒なので、ここは広く「医師」というふうに書いていただく、ないしは、産業医のいるところに勤めていらっしゃる場合には「産業医」、あるいは「かかりつけ医」。ただ、先ほどおっしゃられているように、普段病気のない方ですと、かかりつけ医等を持ってない方もやはり何割かいらっしゃいますので、「身近な医療機関」とかそういった表現も、例えばこの文章の外側に例として挙げていただくのはよろしいかと思います。基本的には、まずは身近な医師に相談していただいて、そこから専門医につないでいただく。場合によっては、普段の病気との関連もありますので、かかりつけ医に相談いただく。そういったことが伝わればいいのではないかと思います。
【内村座長】  黒瀨構成員、ありがとうございます。ほか、いかがでしょうか。御意見がある方がいらっしゃったらお願いします。尾崎構成員、どうぞ。
【尾崎構成員】  今の議論につきましては、先生方の意見に同意いたします。多くの方がアクセスできるということが重要かと思います。
一方で、日本睡眠学会が専門医療機関として117機関を認定しておりますので、そういったことも併せて、こちらの下のところに、例えば紹介という形で付けて、こういう施設があるというのも一般の方は御存じない方が大変多いので、関心のある方はそこを見ていただくということを提供していくのも重要かと思います。
【内村座長】  ありがとうございます。今、尾崎構成員が言われましたように、睡眠学会の専門施設が117カ所と、あと、日本睡眠学会の専門医も624人全国にいらっしゃいます。睡眠学会のホームページを見るとそれが公表されています。ですから、そういうものを見ていただくというのも1つの方法だと思います。ほか、いかがでしょうか。
皆さん方の意見としては、今、全国のどんな場所でもアクセスできるということから考えると、ここはやはり、「医師」という形と、その上の「ポイント」のところでは「医療機関」という言葉を使っていますけれども、そういう言葉にして、そして、注を付けるかどうかというところですけれども、事務局のほうはいかがですか。
【山本課長】  これは、よくよく検討の上、最終的に判断したいと思っております。先ほど内村座長からお話しいただいたとおり、これは恐らく、標榜や広告等との関係の中での整理も必要な事項だと思っておりますので、そうしたことも踏まえて、このガイドの中でどういう形で書いていくか、書くのかどうかも含めて、御相談させていただければと思っております。
【内村座長】  では、ここの議論としては、一応「医師」という形でよろしいですか。事務局、いかがですか。
【田邉室長】  そちらでお願いいたします。
【内村座長】  黒瀨構成員、先ほど御意見を頂きましたけれども、実は今、日本睡眠学会のほうで、睡眠科の標榜ということで厚生労働省と交渉しています。そこで関連学会や医師会の賛同が必要ということになっていまして、実は横倉元医師会長には賛同してもらって、日本医師会を挙げて応援したいと言っていただいています。この睡眠科というものが標榜できるようになると、ある程度睡眠を診られるような施設が一般国民に見える化していきますので、ぜひその折にはよろしく御協力をお願いしたいと思います。
【黒瀨構成員】  かしこまりました。まず、日本専門医機構の担当の常任理事、あるいは副会長がおりますので、そこともよく情報連携しながら検討させていただきたいと思います。
【内村座長】  また改めて正式にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
それともう1つは、42ページの「遮光」の上から2行目の、「一般的には朝に光を浴びると体内時計が前進し」というところだと思うのですけれども、これに関して、栗山構成員、いかがでしょうか。
【栗山構成員】  御指摘はそのとおりだと私も思いました。ですので、対策としましては、「体内時計が前進し」のあとに括弧付けで「早寝・早起き化」とか、「後退し」のあとに「遅寝・遅起き化」とかいうような形で挿入することで、理解が促進されるのではないかと思います。もう少し細かく説明するとなると結構文字を取るので、どこまで詳しく説明が必要かということにもなるかと思います。
【内村座長】  この件につきまして、ほかに御意見がある先生、いかがでしょうか。駒田構成員、いかがですか。
【駒田構成員】  私も栗山構成員の意見に賛成です。括弧で「早寝・早起き化」「遅寝・遅起き化」でよろしいのではないかと思います。
【内村座長】  ほか、いかがですか。
【栗山構成員】  これに関しては、同じINFORMATION1「良質な睡眠のための環境づくりについて」のシートの、「1.光の環境づくりで大切なこと」に比較的説明は書いてあるのです。なので、そこと併せて見ていただくように、ほかのところでも少し使っていますけれども、「詳細はこちらを参照ください」というようなタグを一緒に付けることで、先ほどの疑義に関してはある程度解消されるのではないかと思います。
【内村座長】  「早寝・早起き化」は入れずにということですか、入れた上でということですか。
【栗山構成員】  恐らく、両方あると一番親切になると思います。
【内村座長】  そうですね。「早寝・早起き」というのはわかりやすい言葉なので、入れたほうがいいのではないかと私も思います。
吉﨑構成員、手を挙げておられますか。どうぞ。
【吉﨑構成員】  今の点ですけれども、関連したところで、26ページ目の食事の部分の、「しっかり朝食を摂り」というところも、「体内時計が後退する」という表現がございますので、同じような対応をお願いできればと思います。
また、どこまで書くかいうのは栗山構成員がおっしゃるとおりなのですが、主にはこの食事の部分と体内時計というのは、中枢と末梢の話をし始めないと、詳しいところは難しいと思うので、その辺りを書くか・書かないか、御検討いただければと思います。
【内村座長】  今示してあります、「朝食の欠食と同様に体内時計を後退させ」というところですか。
【吉﨑構成員】  はい、そうです。
【内村座長】  ここも同じように、「遅寝・遅起き化」と書くかどうかということですね。意味合いが少し違ってくるでしょうけれども、栗山構成員、いかがですか。
すみません、堀越構成員が手を挙げておられますので、堀越構成員、どうぞ。
【堀越構成員】  23ページ、PDFでは25ページ目になるかと思うのですけれども、こちらの「よくある質問と回答」のところに、「早寝・早起き(朝型)」という書き方もあるので、統一したほうがいいのではないかと感じました。
【内村座長】  23ページのQ&Aの最初のところの、真ん中くらいの「加齢に伴い早寝・早起き(朝型)」というところですか。
【堀越構成員】  はい。
【内村座長】  栗山構成員、すみません、先ほど途中になってしまいました。栗山構成員、どうぞ。
【栗山構成員】  まず、1点目の、食事のところで詳しく説明するかどうかに関してですけれども、恐らく一般の方は、末梢時計との関係に関して説明しても、理解が難しいのではないかと思うのです。そもそも中枢時計と末梢時計との生理学的な機能相関に関しては、まだまだわからないことがたくさんあるので、そこまで説明する必要はないのではないかと思っています。この中でも「体内時計の調整に役立ちますが」というような表現で説明はしておりますので、そのくらいでいいのではないかと個人的には思います。
【内村座長】  食事のところはそういう表現でいいのではないかということですね。
【栗山構成員】  あと、もう1点よろしいですか。先ほど堀越構成員にも御指摘いただいた部分だと思いますけれども、「朝型」というような表現が先ほどあったかと思うのですけれども、それは「早寝・早起き」の説明として朝型という表現をしているのです。これはタイプの説明で朝型となっていますけれども、先ほどの説明は、変化のベクトルの話になるかと思うので、あちらは「早寝・早起き化」「遅寝・遅起き化」、こちらは「早寝・早起き(朝型)」で齟齬はないのではないかと思います。もし混乱するようであれば、この「朝型」という括弧付けのところは削ってしまうというのも1つの手かもしれないと思いました。
【内村座長】  今、栗山構成員、その前に堀越構成員が言われたところは、23ページの、「加齢に伴い早寝・早起き(朝型)の傾向が強まるため」のところです。皆さん、ここはいかがですか。
私は、これはこのまま「朝型」と入れたほうがわかりやすいような気がします。ここはこのままスムーズに入っていけるような気がするのですけれども、皆さん、いかがでしょうか。堀越構成員、いかがですか。
【堀越構成員】  そうなのであれば別に問題ないとは思うのですけれども、一般的に「朝型」というのは割と良い傾向のように取られがちなのかなというところも印象としてあります。読んでいただくのは医療関係者というよりは一般の方なのかなというところがあったので、何らかの文言の統一があったらいいのではないかと思い、発言させていただきましたが、栗山構成員が御指摘いただいているとおり、確かに「早寝・早起き化」というところで、確かに傾向とは違うのかなとは思います。一般的に、我々もこどもなどに「朝型の生活をしなさい」というふうによく言いますので、良いように捉えがちかなというところもありましたので発言させていただきましたが、栗山構成員がおっしゃるようにしていただいたらいいかと思います。
【栗山構成員】  堀越構成員がおっしゃるところはよくわかります。お子さんに関しては、朝型というのはすごく良い単語として使われているのですけれども、こどもは夜型化しやすいという背景があるからなのです。高齢者においては、この朝型というのはむしろ悪い意味付けで使われることが多くて、人によってはそれこそ2時、3時に起きて、夜6時、7時に寝てしまうようなパターンもあるのです。ですので、例えば超朝型化みたいなことを臨床では使ったりするのですけれども、あまりそういう極端なことを言うのも、個人差も含めて問題があるかなと思って、こういう表現になっているということだと思います。
ですので、内村座長がおっしゃるように、「朝型」という表現はわかりやすい反面、そういったポジ・ネガの色合いが付くのであれば、削るという選択肢もなきにしもあらずとは思うのですが、その辺は、私は内村座長に一任したいと思います。
【内村座長】  わかりました。確かに朝型という印象が、こどもにとってみるとすごくいいことと捉えがちで、堀越構成員が言われるのもよくわかります。高齢者にとってはあまりいいことではありません。では、これは「加齢に伴い早寝・早起きの傾向が強まるため」ということで、「朝型」のところだけ取りましょうか。皆さん、ここに関しましてはそれでよろしいですか。
【構成員一同】  異論なし。
【内村座長】  では、そうさせていただきます。
体内時計のところは、括弧して「早寝・早起き化」「遅寝・遅起き化」と書いていただくという形でよろしいでしょうか。
【構成員一同】  異論なし。
【内村座長】  では、それで加筆させていただきたいと思います。事務局のほうはよろしいですか。
【田邉室長】  はい、ありがとうございます。そのように修正させていただきます。
【内村座長】  ほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。栗山構成員、どうぞ。
【栗山構成員】  2点ほどあります。1点目は、37ページの「女性の健康と良質な睡眠について」のINFORMATIONシートになります。こちらは研究班のほうでは、妊娠・子育てに関してのタイトルを付けさせていただいていたと思います。これは、子育てに関しては男性も関わることですし、あと、更年期障害に関しても、最近、男性更年期ということもあるので、必ずしも女性だけの問題ではないというような意見がありましたので、妊娠・子育てに関連したというようなタイトルにさせていただいておりました。
ただ、言っている内容は、やはり中心は女性になってくると思います。ならざるを得ないという表現が正しいのかもしれないですけれども、そういった観点から、わかりやすさ優先ということであれば、このような変更をしていただいた点に関しては、私は異論ございません。
あと、もう1点はささいなことなのですが、29ページ目、INFORMATIONシート3「睡眠と嗜好品について」の「ポイント」のところで、事務局のほうで、一番最後のポツの「喫煙は、睡眠の質を悪化させる可能性がある」というところを加筆いただいたと理解しております。この中で、現行の日本の流通事情に合わせますと、電子たばこでニコチンを含有しているものは、現状、ありません。ですので、ニコチンを含む喫煙群ということですと、紙巻きたばこ、加熱式たばこの2つに限定されるという状況です。4番目の「禁煙を目指しましょう」で細かく説明しているところでは、この辺はある程度ぼかして記載しております。この中には電子たばこも含まれる形で書いてあるのですが、「近年、従来の紙巻きたばこの他にも、加熱式たばこや電子たばこが普及していますが、ニコチンを含有すれば睡眠に対して同様の影響があると考えられます」というような表現にしてあります。これは、海外は電子たばこでもニコチンを含有する製品があると伺っておりますので、今後、そういったものが日本に入ってきたときに、これは10年間使われるものですので、古くなるとまずいということで、こういう表現になっているのです。
ですので、頭の「ポイント」のところの「電子たばこ」は削除していただいて、4番目の詳細のところでこういうふうに説明していただくというのが、バランスがいいのではないかと思っております。
【内村座長】  29ページの「ポイント」の、4番目の「電子たばこ」を削除するということですね。
【栗山構成員】  はい、そうです。
【内村座長】  そして、「4 ニコチン」のところで追加してもらうという形ですか。
【栗山構成員】  現行の記載の内容でよろしいかと思います。
【内村座長】  このままですね。
【栗山構成員】  はい。
【内村座長】  では、29ページの「ポイント」の4番目の喫煙のところの「電子たばこ」を削除するという形で変えるということですね。
【栗山構成員】  はい、そのように提案させていただきます。
【内村座長】  いかがでしょうか。皆さん、よろしいでしょうか。
【駒田構成員】  先ほど栗山構成員のお話にありました、女性の健康の項目ですけれども、研究班では、書かれている内容は確かに月経や出産、更年期、子育てで、女性にすごく関連したものであるけれども、女性だけではなくて、やはり男性にもこのINFORMATIONシートを見てほしい。そのときに、女性の健康というふうにしてしまうと、もう女性にしか見てもらえないのではないかという議論をすごくしまして、その結果、「妊娠・子育てと睡眠」というようなタイトルのほうがいいのではないかという議論があったことだけお伝えさせていただきたいと思います。
ただ、わかりやすさという点では、やはり「女性の健康」というのはとてもわかりやすいと思いますし、必要なことだとも思いますので、タイトルについては一任いたしますけれども、子育ては女性にしか関連しないというふうに思われてしまうのだけは避けたいというのが、希望としてはあります。
また、色合いですけれども、何か女性はピンクみたいなふうに思われるのは、少しよくないような気がして、もう少し中性的なオレンジとか、何か見やすい色に変えるというのもいいのではないかと感じました。
【内村座長】  ありがとうございます。たばこのところは、それで変更するということで、最初に言われた、女性の健康というところですね。
「妊娠・子育て」から「女性」に変えたというところで、今、その意味合いなどもお話ししていただきました。今年の4月から変わった母子手帳の中には、女性だけではなくて父親の睡眠も大事だということで、はっきりこどもと「保護者」の睡眠として母子手帳の中に追加されました。そのように、男性もということがはっきり示されています。また、更年期も、最近、男性更年期外来というものもかなり増えてきています。そういう意味では、子育て・更年期というのは、女性、男性のいずれもということなのでしょうけれども、今の栗山構成員、駒田構成員の御意見で、ここはわかりやすいようにということで、「女性」に変えられたのであろうということですけれども、皆さん、これでよろしいでしょうか。
【田邉室長】  元に戻させていただく方向で、いかがでしょうか。
【内村座長】  元にというのは。
【田邉室長】  もともと「妊娠・子育て」でございましたので、タイトルを「女性」から第2回の時の「妊娠・子育て」に戻させていただいたほうがいいかと、今の先生方の御意見を伺いまして思いました。
【山本課長】  健康日本21で「女性の健康」というものが新しい視点として加わり、その視点は非常に重要だと思っておるのですけれども、今日の先生方の御議論や研究班でお考えいただいたタイトルの、経緯を改めてお伺いすると、元のタイトルでいかせていただくほうがいいのではないかと、事務局としては思いました。これも含めて、先生方の議論も含めて、座長のほうで御判断いただければと思っております。
【内村座長】  確かに、ダイバーシティという観点からすると、子育てや更年期というのは、女性、男性、あるいは性の問題にかかわらずということに多分なってくるのだろうと思います。そういう意味では、「妊娠・子育て」という以前のほうに戻してもよいとは思うのですけれども、栗山構成員、いかがですか。
【栗山構成員】  これは、恐らく事務局のほうでは、誰が読むのかということを考えて、どっちつかずにならないように御配慮いただいた結果だと思っています。実際には、これからは男性・女性関係なく物事を考えていくというような視点に移っていくと思いますので、そうなった時には、先ほどの御懸念点は時とともに払拭されると思うので、元に戻していただく形を希望させていただきます。睡眠指針は少し進んでいるという認識なのかもしれませんけれども、ぜひともよろしくお願いいたします。
【内村座長】  ほかの先生方、いかがでしょうか。「女性」から「妊娠・子育て」に変えるということですけれども、ほかの先生方もそれでよろしいでしょうか。賛同いただけますでしょうか。
【構成員一同】  異論なし。
【内村座長】  あと、この色もピンクではなくて少し色を変えていただくということについても、駒田構成員が御意見を言われましたように、そういうふうに思いがちなところがあります。タイトルも変わるので色も少し変えていただくということでよろしいでしょうか。
【構成員一同】  異論なし。
【内村座長】  ありがとうございました。では、それで進めさせていただきたいと思います。ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
・43ページ~最終ページについて
【内村座長】  それでは、続きまして、資料1の42ページの「おわりに」から最後の「参考」までについて、事務局から御説明をよろしくお願いします。
【田邉室長】  では、最後の「おわりに」のところからです。「おわりに」のところには、まず、本ガイドは令和5年時点の科学的知見に基づいて作成しましたという、いわゆるリミテーションの意味で書いてございます。それから、前回、前々回でも先生方に御議論いただきました、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う生活様式の変化で、多くの職場で取り入れたリモートワークと睡眠の影響等についても書いてはどうかという御意見を頂いたのですけれども、現時点では、我が国のエビデンスは乏しいということで、今回は参考情報として示すには不十分というところで、今後の課題というふうに書かせていただいてございます。また、前回の2014から2023と、改訂までの期間が約10年間ございましたけれども、今後は、健康日本21(第三次)の中間評価、あるいは最終評価等のタイミング等を見計らって、エビデンス等の蓄積を踏まえながら定期的に見直してはどうかということを書かせていただいてございます。
おめくりいただきまして、あとは参考情報でございます。参考情報としましては、まず、国際的な動向ということで、米国を中心とした睡眠分野の最新の動向について御紹介させていただいてございます。
次をおめくりいただきまして、「その他の関連情報」ということで、厚生労働省で公開しておりますウェブサイトでございます、「e-ヘルスネット」。こちらは、最新のエビデンスを踏まえた情報提供をしてございます。それから、もう1点、「e-健康づくりネット」。これはどちらかといいますと、健康づくりを担当される方に向けたツールを発信しているサイトでございます。こういうものも併せて御参考いただければというところでございます。
おめくりいただきまして、次のページには当検討会の構成員の先生方の名簿を載せさせていただいてございます。
最後のページで、この検討会の経緯ということで、これまでの議題等をまとめているところでございます。事務局からの御説明は以上でございます。
〈質疑応答〉
【内村座長】  ありがとうございました。それでは、今御説明があったところについて、何か御意見、御質問がありましたらよろしくお願いします。いかがでしょうか。
今後も定期的な見直しを行っていくということで、最後に説明していだきました。特にコロナ関係のところは、きちんとしたデータがまだ出そろってないというところもあると思います。今後、その点についてもエビデンスが出てくれば見直していく必要があると思っていますので、最後にこういう形で記載していただくということは、すごく適切だと思っております。栗山構成員、どうぞ。
【栗山構成員】  内村座長、ありがとうございます。私も内村座長がおっしゃるとおりだと思います。このあと、これで10年間お休みではなくて、これをさらに良くしていくための取組が不可欠だと思っております。その中で、パーソナルヘルスモニタリングを含めた睡眠の客観的な指標を健康維持・増進のために活用していくという流れは、恐らくこの10年の間に圧倒的に浸透していくのではないかと思います。そういったものを使った健康づくりをしていくための取組というのは、喫緊に行っていかなければいけない課題ではありますので、ぜひこの10年の間にそれをうまく組み込んで、日本人が健康になるための本当に役立つものに、さらにしていければと思っております。内村座長、ありがとうございます。
・全体を通して
【内村座長】  それでは、最後になりますけれども、全体を通して何か御意見、あるいは御質問がありましたら、お願いしたいと思います。
栗山構成員、私が最初に少し言ったことですが、この「本ガイドの活動方策」のところで、いろいろな指導をする立場の方にということがあるのですけれども、ここに教育関係者を入れたいと思っています。こどもの睡眠というものがかなり大きく1つの部門として出てきます。こどものところでは、教育関係者の方々の学校での睡眠に関する指導や教育が重要だと思います。多分、朝が起きられない子、あるいは、昼間、授業中に居眠りしたりとか、そういうことで相談に来るお子さんとか、保護者の方とかもいらっしゃると思うのですけれども、このガイドを活用してもらうのに、ここに「教育関係者」という言葉が入ってないので、それも入れたらどうかと思っています。先生、いかがでしようか。
【栗山構成員】  内村座長の御意見は全くそのとおりで、そういった教育関係者に対する情報提供・周知というのは非常に重要な課題と思っております。ただ、どのような見せ方、どのような提示の仕方がより有効性が高いのかということに関しましては、事務局ともよく相談して決める必要があることなのではないかとも思いますので、それは事務局の御意見も含めて御検討いただければと思います。
【内村座長】  私としては、この中に一言、「教育関係者も」と含めてもよさそうな気がしています。特にこどもの睡眠というのはすごく大事ですし、その先、一生に関係してきますので、やはり小学校、中学校、高校などの教育関係者の方や、あるいは教育委員会の方々などがその辺りのきちんとした認識を持ってもらうという意味では、この中に「教育関係者」というのも入れていいような気がします。
兼板構成員、どうぞ。
【兼板構成員】  高校生が使う教科書などを少し執筆しています。睡眠のところを担当したりしているのですけれども、前回の2014などは、そういう教科書にも紹介されるのです。ですから、そういう意味では、ここに、内村座長がおっしゃったような「教育関係者」などを入れておくのは、とてもいいのではないかと思います。これが出ると、多分、高校生などが学習する教材になると思います。そういう利用の仕方もあると思いますから、そういう意味では、そういう「教育関係者」というものをここに入れておくのは、個人的な意見になりますけれども、私はいいと思いました。
【内村座長】  ありがとうございます。今、眠育ということで、例えば私が知っている所では、大阪府の堺市では、小学生から高校生まで、教育委員会の方が旗を振って、眠育ということで教科書を使って授業をやっておられます。数カ月前、堺の中学校で講演をしたのですけれども、その日が眠育の日で、小中高で一斉に、小中高で違う教科書を使って、担任の先生が生徒さんに教えるのです。そこで生徒さんたちがいろいろな意見を言って、ディスカッションして、1時間授業をするのです。中学2年生を見たのですけれども、内容を見ていると、体内時計の話とかそういうもの出てきて、レベルがすごく高いのです。今回ここに出てきているようなレベルの内容を中学生に教えていました。もう小学校1年生からずっと毎年、眠育の日に、教科書を使って睡眠の教育をしてきているから、中学くらいになると、このくらいのレベルになるということでした。すごく眠育として取り組まれていると思いました。そういう所も出てきています。
その堺市の教育では教科書などを使って行われており、その教科書の中で文献なども紹介されているのです。今回のこのガイドは最新のエビデンスがありますので、そういうところでかなり使われるのではないかと思います。今後、教育委員会などで睡眠の重要性ということで、授業の中にも取り入れていく可能性があると思います。そういう意味で、ここに入れていただくといいのではないかという印象がありました。検討していただくということで、事務局、いかがですか。
【山本課長】  頂いた意見を含めて、教育分野の重要性というのは承知しつつ、全体のバランスも含めて、どういう形の取り扱いがいいのか考えさせていただければと思います。
【内村座長】  わかりました。ほか、いかがでしょうか。構成員の先生方、せっかく今日いらっしゃっておられますので、そして、皆さん、本当に時間を割いて出席していただいて、このガイドを作るにあたって本当に御努力いただいた先生方ばかりですので、これだけは言っておきたいという御意見はございませんか。よろしいですか。尾崎構成員、どうぞ。
【尾崎構成員】  最後の「おわりに」のところですけれども、今回、高齢者のパートを担当させていただいて、これからの課題と思ったものがございます。
それは、これからの日本がさらに超高齢社会になっていくにあたって、恐らく高齢者のライフスタイルが多様化していくだろうと思いました。そのときに、高齢者の就労といいますか、働く高齢者もすごく増えていくのではないかと思ったのです。今回、壮年期、高齢期というふうに分けたときに、この高齢期はいったい何歳からとしたほうがいのだろうというのも、研究班では議論させていただいて、今回は取りあえず65歳とかいう形にしたのですけれども、もしかしたら、これから高齢者の定義がもっと変わっていくとなると、働く高齢者も増えてきて、その高齢者の働き方も壮年期とは違う働き方をすると考えられます。パートタイムで働く方、フルタイムで働く方、いろいろな働き方があったときに、睡眠に最も良い働き方とはどんなものかということが、今回は検討できなかったのですけれども、これから日本が超高齢社会でいろいろな方が増えていくと、世界のこれから高齢社会に突入する国々も含めて、そういったエビデンス、知見が生きてくるのではないかと思いました。意見です。
【内村座長】  ありがとうございます。尾崎構成員、今回のこの高齢者版というのは65歳以上なのですか。
【尾崎構成員】  失礼しました。60歳以上です。そうすると、今、65歳まで定年を延長するということで、さらにそれが、高年齢者雇用安定法が2021年に改正されて、できれば70歳まで定年引き上げということが努力義務になっているので、さらに働く人が増えてくると考えられます。
【内村座長】  もう今、大体70歳くらいまで働くようにだんだん変わってきていますし、100歳時代と言いますから、多分もっと年齢が上がってくる可能性もあるし、先生がおっしゃったように、これからは60歳以上の高齢者の方の働き方も変わってくると思います。そういう意味では、最後に書いてあるように、見直しも行っていかなくてはいけないということになるのですけれども、尾崎構成員、そこまで記載したほうがいいということですか。
【尾崎構成員】  いいえ、かなり細かい意見かもしれませんので、記載するかどうかは事務局にお任せしたいと思います。
【内村座長】  栗山構成員、いかがですか。
【栗山構成員】  私も、その辺は事務局にお任せしてよろしいかと思います。
高齢者版の適用が何歳なのかというのは、はっきりとは決まってないのです。60歳からとか65歳からというよりも、生理的な睡眠のニーズというのは何歳から切るということに関係なく決まっていることですし、あとは、やはり働いているかどうかによって、日中の活動量、生活、ライフスタイルが変わってきますので、そこにこの内容を照らし合わせて見ていただくというのが現実的な適用なのだろうと思っています。
そうした中で、明らかに社会構造が変わったときには、恐らく国際的な調査なども、今は大体60歳か65歳で切って高齢者という形で出ていますけれども、切り方や視点が変わってくる。これは尾崎構成員がおっしゃるとおりだと思いますので、そこに合わせて適宜指針もアップデートしていくという姿勢が大事な点は、私も同意いたします。
【内村座長】  ありがとうございます。床に就く時間が8時間未満とありますけれども、年をとっても働いているような人は、昼間の活動性が上がると休養感が高まって、休養感が高まると床に就く時間が長くても死亡リスクは高まらないというデータが出ていました。年をとっても、昼間に仕事をして活動性が高まっているような方や、アスリートの方などもいらっしゃいます。そういう方は、朝、十分な休養感を感じられれば、床に就く時間が少し長かったとしても問題ないということを示すことにもなると思います。高齢の方でもいろいろな方がいらっしゃいます。その辺りも含めて、今後エビデンスがさらに出てくると思います。そうなると、ここは変えていかなくてはいけないとなるのですけれども、この辺を追加するかどうかは、事務局とも相談して決めるということでよろしいでしょうか。
【構成員一同】  異論なし。
【内村座長】  今後の国民に向けた普及方策については、健康日本21の推進専門委員会で議論していくこととなっております。本ガイドに関わってこられた先生方は、今回議論をしていただきまして本当にありがとうございました。本日議論していただいたこのガイドは、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」として取りまとめたいと考えています。そして、公表へと進んでまいります。今日も事務局にお任せするというところが少し出ましたけれども、修正等については座長の私と事務局に御一任いただくということでよろしいでしょうか。
【構成員一同】  異論なし。
【内村座長】  ありがとうございます。それでは、御一任していただいたということで、今後、事務局のほうと調整してまいりたいと思います。
今回、先生方には3回集まっていただきまして、本当にありがとうございました。今回の2023の睡眠ガイドは、2014年に出た睡眠指針を改訂して、エビデンスに基づいた、実現できるような目標値ということで、特に今までは睡眠休養感が目標値だったのを、睡眠時間ということで2つの目標値を設定して、それに向けてのガイドということで、こども、働き盛り成人、そして高齢者の3世代に分けて、睡眠の目標、推奨事項だけでなく、睡眠習慣、睡眠環境、そして嗜好品に及ぶ、とても詳しい最新のエビデンスに基づいたデータを出していただきました。それでも改善しない場合は睡眠障害を疑って、産業医や医師に相談するようにということで、できれば、先ほど言いましたように、今後、睡眠を診られるかかりつけ医の先生、専門医の先生方が増えていけばと思いますし、そのための睡眠科という標榜についても、今後、実現できるように努力していきたいと思っています。
今回、立派な睡眠ガイドができましたので、これをいかに一般の国民の方々に普及啓発していくかが、すごく大切だと思います。睡眠の重要性を国民の皆さんに認識していただくように、今後また推進専門委員会のほうで議論していただければと思っております。
皆さん方、今回は本当にありがとうございました。心から感謝いたします。
2.その他
【内村座長】  最後に、事務連絡などありましたら、事務局のほうからよろしくお願いいたします。
【山宮課長補佐】  全3回にわたり、活発な御議論をいただきまして本当にありがとうございました。本日の御意見を踏まえまして、今後は内村座長と調整を進めてまいりたいと思います。

閉会

【山宮課長補佐】  これにて閉会とさせていただきます。本日はありがとうございました。