第193回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 議事録

日時

令和6年1月12日(金) 10:00~12:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンター ホール14C(14階)
(東京都千代田区内幸町1-3-1 幸ビルディング)

議事

議事内容
○伊藤総括調整官 おはようございます。事務局でございます。
 開催に先立ちまして、御連絡を申し上げます。
 本日は、こちらの会場とオンラインの併用で開催しております。
 部会中は、オンラインの方は基本的にカメラはオンで、マイクはオフでお願いいたします。
 また、発言をされる際には、会場の方は挙手、オンラインの方はZoomの「手を挙げる」機能を活用いただきまして、部会長から御指名があった後に発言をお願いいたします。
 なお、傍聴は、この会場内にて行っております。
 進行に関する説明については以上となります。
○守島部会長 委員の皆さん方、おはようございます。
 ただいまより、第193回「雇用保険部会」を開催いたします。
 出欠状況ですけれども、公益代表の水島委員が所用のため御欠席と伺っております。
 それでは、議題に入りたいと思います。
 議題1は「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱について」でございます。
 それでは、資料1「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱」について、事務局より御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○川端調査官 資料1につきまして、説明を申し上げます。
 本年の1月5日に本部会で雇用保険部会報告を取りまとめいただきました。その後、1月10日に職業安定分科会に報告し、了承いただいております。その部会報告の内容で法律案に盛り込むべき内容を、要綱の形でお示しさせていただいております。改正内容については2本の法律案に分かれますので、それぞれ説明を申し上げたいと思います。
 資料1を御覧ください。「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱」ということで、新たに設ける育児関係の給付などを除く見直し内容について盛り込んでございます。
 1枚おめくりいただきまして、労働政策審議会に要綱の意見を求める紙でございます。
 1ページでございます。順次説明申し上げます。雇用保険法等の一部を改正する法律案ということで「第一 雇用保険法の一部改正」でございます。
 「一 雇用保険の適用対象者の範囲の拡大」で見直し内容について記載をしてございます。1以降でございますけれども、現行1週間の所定労働時間が20時間未満の方について雇用保険の適用除外としてございますけれども、これを10時間未満である方について、雇用保険の適用除外とすることとしてございます。2から4につきましては、この適用拡大に伴う見直し事項でございます。
 2ですけれども、現行、基本手当の被保険者期間の計算に当たっては、賃金の支払いの基礎となった日数や時間数が一定以上のものにしてございますけれども、これをそれぞれ日数については11日以上を6日以上に、時間数については80時間以上を40時間以上であるものを1か月として計算するものとすることとしてございます。
 3つ目でございますけれども、基本手当の日額の算定に用いる賃金日額の下限額につきましては、現行は2,460円でございますけれども、これを1,230円とすることとしてございます。
 4つ目でございますが、現在、受給資格者が、失業認定の期間中に自己の労働によって収入を得た場合に基本手当の減額などをしてございますけれども、これらに関する規定を削除するものとすることとしてございます。
 「二 基本手当の給付制限の見直し」の関係でございます。正当な理由がなく自己の都合によって退職した方については、現行は給付制限がかかってございます。これにつきまして、雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な教育訓練を受ける日以降、括弧は飛ばしますけれども、失業している日について、基本手当を支給するものとしてございます。離職日前1年以内に当該教育訓練を受けたことがある方については、7日の待期期間の満了後、基本手当を支給するということを記載してございます。この対象となる教育訓練につきましては、注1のところですけれども、教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練、公共職業安定所のあっせんにより受講する公共職業訓練等とする予定でございます。こちらは省令で定める予定でございます。
 「三 就業促進手当の改正」でございます。それぞれ名称が就業促進手当となってございますけれども、1につきましては、報告書で行きますと、就業手当の記述でございます。就業手当については廃止するということ。
 2つ目でございますけれども、こちらは就業促進定着手当の記述でございます。この就業促進定着手当の支給限度額を、現行の基本手当日額に基本手当の支給残日数に相当する日数、現行の10分の4又は10分の3でございますけれども、これに10分の2を乗じて得た数を乗じて得た額とすることとしてございます。
 「四 教育訓練給付の改正」でございます。ページをおめくりいただきまして、1でございますけれども、今回新たに教育訓練休暇給付金を創設することとしてございますので、教育訓練給付として、現行の教育訓練給付金及び教育訓練休暇給付金とすることとしてございます。
 2つ目でございますけれども、教育訓練給付金の給付率につきまして、現行100分の20以上100分の70以下とされているところですけれども、これを100分の20以上100分の80以下の範囲内において厚生労働省で定める率と記載をしてございます。この具体的な厚生労働省で定める率といたしましては、注2のところですけれども、専門実践教育訓練給付金の給付率、現行70%でございますが、これにつきまして、教育訓練修了後、資格取得等し、当該教育訓練受講前に比して賃金が5%以上上昇した場合には10%の追加支給を行うこととして100分の80とし、特定一般の給付率につきましては、現行40%でございますけれども、教育訓練修了後、資格取得等した場合には10%追加支給することとし、100分の50とする予定でございます。こちらは省令で定めるということになります。
 3つ目に、教育訓練休暇給付金の創設の関係でございます。それぞれ給付の内容を(一)に記載してございます。一般被保険者が、教育訓練休暇を取得した場合に、休暇開始日から起算して1年内の教育訓練休暇を取得している日について、基本的には基本手当に相当する給付を支給するというものでございますけれども、離職していないということがございますので、当該一般被保険者を受給資格者と、休暇開始日の前日を受給資格に係る離職の日とみなした場合に支給されることとなる基本手当の日額に相当する額の教育訓練休暇給付金を、特定受給資格者以外の受給資格者に対する所定給付日数に相当する日数分、具体的には被保険者期間に応じて90日、120日、150日でございますけれども、これを限度として支給するものとすることとしてございます。ただし、次のいずれかに該当するときは、この限りでないと。少し裏返しに規定してございますけれども、給付の対象となる要件としては、休暇開始日前2年間におけるみなし被保険者期間が、通算して12か月以上あること、算定基礎期間に相当する期間が、5年以上あることと、それぞれしてございます。
 この給付につきましては、(二)のところですけれども、基本手当の支給に当たりましては、給付金の支給を受けたことがある場合には、休暇開始日前における被保険者であった期間は被保険者期間に含めないものとし、休暇開始日前における被保険者であった期間及び当該給付金の支給に係る休暇の期間は算定基礎期間に含めないものとすることとしてございます。
 ただし、(三)のところですけれども、特例的に教育訓練休暇給付金の支給を受けて、休暇開始日から休暇を終了した日から起算して6か月を経過する日までの間に特定受給資格者となる離職理由、具体的には倒産、解雇などですけれども、これらにより離職した方については基本手当を支給することとし、その所定給付日数は90日、就職困難者の方については150日とすることと記載をさせていただいております。
 5ページに行っていただきまして、4の暫定措置でございます「教育訓練支援給付金の改正」でございます。教育訓練支援給付金につきましては、基本手当日額の現行100分の80が給付率でございますけれども、これを100分の60とした上で、現行制度から2年間延長して、令和9年3月31日以前に教育訓練を開始したものに対して支給するものとすることとしてございます。
 「五 国庫負担の改正」でございます。1つ目でございますけれども、教育訓練給付、このうちの教育訓練休暇給付金でございますけれども、こちらにつきましては、求職者給付に要する費用に係る国庫負担額と同様に、財政状況等に応じまして、教育訓練給付に要する費用の4分の1又は40分の1を負担するものとすることとしてございます。
 2つ目に、育児休業給付に要する費用の国庫負担につきましては、暫定措置を廃止しまして、育児休業給付に要する費用の8分の1を負担するものとすることとしてございます。
 3つ目ですけれども、介護休業給付に要する費用の国庫負担につきましては、暫定措置を延長し、令和8年度までの各年度の国庫負担については、本来の額の100分の10に相当する額、具体的には80分の1でございますけれども、その額とすることとしてございます。
 4つ目に、6ページでございますけれども、雇用保険の国庫負担については、引き続き検討を行い、令和9年4月1日以降できるだけ速やかに、安定した財源を確保した上で国庫負担に関する暫定措置を廃止するものとすることとしてございます。
 「六 基本手当の支給に関する暫定措置の改正」を規定しております。具体的には、雇止めによる離職者について、所定給付日数を特定受給資格者並みの水準とする暫定措置がございますけれども、こちらについては2年間延長し、令和9年3月31日以前の離職者まで適用するものとすることとしてございます。
 「七 地域延長給付の改正」でございます。こちらも暫定措置でございますけれども、この地域延長給付につきまして、2年間延長し、令和9年3月31日以前の離職者まで支給することができるものとすることとしてございます。
 「第二 労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正」でございます。
 「一 雇用保険率の改正」でございます。1つ目でございますけれども、育児休業給付に要する費用に対応する部分の雇用保険率、保険料率のことでございますけれども、こちらを1000分の5とすることとしてございます。
 ただし、2のところで、厚生労働大臣は、毎会計年度において、(一)に掲げる額が、(二)に掲げる額の1.2倍に相当する額を超えるに至った場合において、必要があると認めるときは、労働政策審議会の意見を聴いて、1年以内の期間を定め、育児休業給付の雇用保険料率を1000分の4とすることができるものとすることとしてございます。
 具体的には、(一)は、「イに掲げる額をロに掲げる額に加減した額」ということで、イでございますけれども、当該会計年度の翌年度の保険料額の見込額と国庫負担の見込額の合計額と、翌年度の育児休業給付予想額との差額を、当該会計年度末における育児休業給付資金に加減した額と、ロのところでございますが、当該会計年度の翌々年度の保険料額の見込額と国庫負担の見込額の合計額、すなわち翌々年度に入ってくる収入、この翌々年度までにある積立金と翌々年度に入ってくる収入の額が、(二)の翌々年度の給付費の予想額の1.2倍に相当する額を超える場合には、労働政策審議会の意見を聴いて、育児休業の保険料率を1000分の4とすることができる弾力条項の記載でございます。
 3におきましては、厚生労働大臣は、育児休業給付に要する費用に対応する部分の雇用保険率を変更するに当たっては、育児休業の取得の状況その他の事情を考慮し、育児休業給付の支給に支障が生じないようにするために必要な額の育児休業給付資金を保有しつつ、雇用保険の事業(育児休業給付に係るものに限る。)に係る財政の均衡を保つことができるよう、配慮するものとすることとしてございます。
 「第三 特別会計に関する法律の一部改正」でございます。
 一のところでございますけれども、教育訓練給付のうち、教育訓練休暇給付につきましては、国庫負担を行うということとしてございますので、雇用勘定における一般会計からの繰入対象経費に、その教育訓練給付に要する費用で国庫が負担するものを追加するものとすることとしてございます。
 9ページを御覧いただきまして、「第四 職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律の一部改正」でございます。いわゆる求職者支援法と呼んでいるもののの改正でございます。
 「特定求職者の範囲に関する暫定措置」ということで、求職者支援法の対象となる特定求職者につきましては、適用拡大後に特段の手当てがなければ、今般適用拡大された1週間の所定労働時間が10時間以上20時間未満である雇用保険の被保険者の方ですとか、受給資格者の方については、対象から外れることとなりますけれども、当分の間、これらの方についても、特定求職者となり得るものとするという手当てを行うことを記載してございます。
 「第五 施行期日等」でございますけれども、この法律は、令和7年4月1日から施行することとしてございます。
 ただし、次に掲げる事項は、それぞれ次に定める日から施行するということで、1つ目に、育児休業給付や介護休業給付の国庫負担関連の見直しにつきましては、公布の日又は令和6年4月1日のいずれか遅い日としてございます。このように規定している理由としては、国庫負担の見直しにつきましては、令和6年度から開始ということでございますけれども、この後、仮に法律案を国会に提出させていただきまして、年度内にもし成立・公布することになれば、これは令和6年4月1日からで、もしそれ以降になれば公布の日からということで、公布の日又は令和6年4月1日のいずれか遅い日という記載とさせていただいております。
 10ページを御覧いただきまして、2のところですけれども、教育訓練給付金の改正の関係は、令和6年10月1日の施行としてございます。
 3のところで、教育訓練休暇給付金の創設関連につきましては、令和7年10月1日の施行としてございます。
 4つ目に、適用拡大とそれに伴う見直しの関連につきましては、令和10年10月1日の施行とさせていただいております。
 「検討」のところですけれども、1つ目は、一般的な検討規定でございます。政府は、この法律の施行後5年を目途として、この法律による改正後の法律の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この法律による改正後のそれぞれの規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすることとしてございます。
 2につきましては、育児休業給付の財政状況についての検討規定でございます。政府は、育児休業給付の財政状況について不断の検証を行い、その状況が安定的に推移している場合においては、育児休業給付の財政状況、国の財政状況等を踏まえ、この法律による改正後の育児休業給付の国庫負担その他の事項に関する検討を行い、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすることと記載してございます。
 最後に「経過措置及び関係法律の整備」について記載してございます。
 資料の説明としては以上になります。
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの御説明に関しまして、御意見、御質問があったらお受けしたいと思います。
 大谷委員が手を挙げていらっしゃいます。大谷委員、どうぞ。
○大谷委員 ありがとうございます。全国中央会の大谷です。
 要綱については、特に異論はございません。
 今回の改正は内容が多岐にわたりまして、施行期日も一律ではなく、年度途中のものもあります。これに対応するために幅広い周知が必要だと思いますし、中小企業に効果があったのか、施行後の効果検証を行っていただくとともに、好事例の紹介や支援策についても講じていただければと思っております。
 また、今後の議論になるかと思いますが、男性育休の取得増加に伴う育児休業給付の財政状況は注視をいただきまして、財源安定のためにさらなる国庫負担を御検討いただきたいと思っているところでございます。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたかございますでしょうか。特にありませんか。オンラインの方もいらっしゃいませんね。
 それでは、議題1と議題2は関連いたしますので、当部会として職業安定分科会長へどのような形の報告をするか、次の議題と併せて御意見を賜れればと思いますので、議題2の説明に入っていただきたいと思います。
 議題2は「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案(雇用保険法等の一部改正関係)要綱について」でございます。
 それでは、資料2「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案(雇用保険法等の一部改正関係)要綱」についての御説明を事務局よりお願いしたいと思います。
○川端調査官 資料2の「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案(雇用保険法等の一部改正関係)要綱」について説明を申し上げます。
 ページをおめくりいただきまして、こちら、労働政策審議会に諮問をさせていただく紙でございます。
 「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案(雇用保険法等の一部改正関係)要綱」ということでございます。法律案の名称等につきましては、現在、政府部内で検討、調整中のものでございます。政府全体として、子ども・子育て支援の見直し等を図ることとしております。具体的には、支援金が充てられる他の子ども・子育て支援の見直しと併せて、雇用保険に関係する新たな育児休業の関係の給付の創設などを手当てするものでございます。
 「第一 雇用保険法の一部改正」でございますけれども、「一 目的の改正」がございます。育児時短就業給付の創設に伴いまして、現行の目的規定の中に、労働者が子を養育するために所定労働時間を短縮することによる就業をした場合に必要な給付を行う旨を追加するということとしてございます。
 「二 育児休業等給付の新設」ということで、新たな育児関係の給付を創設するということとしておりますので、これに伴い、育児休業等給付をそれぞれ整理したものでございます。育児休業等給付は、育児休業給付、これは現行の給付でございます。新たな出生後休業支援給付及び育児時短就業給付とし、育児休業給付は育児休業給付金及び出生時育児休業給付金とすることとしてございます。
 三でございますけれども、新たに創設する出生後休業支援給付制度の内容を記載してございます。1のところですけれども、被保険者が、対象期間内にその子を養育するための休業、「出生後休業」と呼ばせていただきます。それをした場合において、要件に該当するときに、こちらも実際に離職するというわけではございませんので、被保険者が出生後休業を開始した日の前日を受給資格に係る離職の日とみなした場合に算定される賃金日額に相当する額に当該被保険者が対象期間内に出生後休業をした日数、最大28日でございますが、これを乗じて得た額の100分の13、13%に相当する額の出生後休業支援給付金を支給するものとすることとしてございます。
 それぞれ要件を記載してございます。1つ目の要件としては、出生後休業を開始した日前2年間に、みなし被保険者期間が通算して12か月以上であったとき、2つ目の要件として、対象期間内に出生後休業をした日数が通算して14日以上であるとき、これに加えまして、3つ目の要件として、被保険者の配偶者が出生後休業したとき、この配偶者の休業につきましても、出生後休業の日数が14日以上であるときに限るとさせていただいてございます。
 ただし、2のところですけれども、被保険者の方に配偶者がいない場合など、一定の要件に該当する場合には、被保険者の配偶者の育児休業を要件としないということで、2を記載してございます。被保険者が次のいずれかに該当する場合においては、1の(一)及び(二)の要件に該当するときに、出生後休業支援給付金を支給するものとすることとした上で、それぞれ配偶者のない者その他厚生労働省令で定める者である場合ということで、その他厚生労働省令で定めるものとしては、配偶者が子との法律上の親子関係がない場合などとする予定でございます。そのほか、当該被保険者の配偶者が適用事業に雇用される労働者でない場合、自営業や専業主婦の方などになります。配偶者が当該出生後休業に係る子について産後休業をした場合、最後に、配偶者が当該出生後休業に係る子を養育するための休業をすることができない場合、例えばでございますけれども、国家公務員が育児休業をする場合には、任命権者の承認が必要となってきます。例えば公務の運営に支障がある場合などには承認が得られないという場合もございますので、そのような場合を手当てするというものでございます。
 3つ目に「対象期間」につきましては、出生後休業に係る子の出生の日から起算して8週間以内と、産後休業をした場合には、16週間以内などとするということを記載してございます。
 「四 育児時短就業給付制度の創設」の関係でございます。給付の内容について記載をしてございます。被保険者が、その2歳に満たない子を養育するための所定労働時間を短縮することによる就業、「育児時短就業」と呼ばせていただきます。それをした場合において、育児時短就業を開始した日前2年間にみなし被保険者期間が通算して12か月以上であったときに、支給対象月に支払われた賃金の額、時短就業後の賃金の額に100分の10、10%を乗じて得た額の育児時短就業給付金を支給するものとすることと記載してございます。「ただし」以降でございますけれども、時短勤務前の賃金に対する比率が90%を超える場合には、逓減した給付率にすることを報告書の中でも記載させていただいておりますので、その旨を法条文の形で表現したものでございます。
 五でございますけれども、4ページに行っていただきまして、出生後休業支援給付と育児時短就業給付に要する費用やこれらの事務執行に要する費用の経費については、子ども・子育て支援納付金をもって充てることとさせていただいております。
 「第二 特別会計に関する法律の一部改正」の関係でございます。
 「一 子ども・子育て支援特別会計の新設」、いわゆる「こども金庫」の創設の関係でございます。児童手当や子ども・子育て支援法による給付、これに加えまして、雇用保険法による育児休業等給付に関する政府の経理を明確にすることを目的とする子ども・子育て支援特別会計を新たに設置し、内閣総理大臣及び厚生労働大臣が、法令で定めるところに従い、管理するものとすることとしてございます。
 2つ目に、この子ども・子育て特別支援会計につきましては、子ども・子育て支援勘定と雇用保険の対象でございます育児休業等給付勘定に区分することとしてございます。
 この特別会計管理に関する事務の全体の計算整理に関するものについては内閣総理大臣、その他のものについては子ども・子育て支援勘定については内閣総理大臣、そして、育児休業等給付勘定に係るものにあっては厚生労働大臣が行うものとすることと規定してございます。
 4つ目に、育児休業等給付勘定における歳入を規定、記載してございます。1つ目に、労働保険特別会計の徴収勘定からの繰入金、これは保険料のことを示します。2つ目に、子ども・子育て支援勘定からの繰入金ということで、具体的には子ども・子育て支援納付金の関係で、3つ目に、一般会計からの繰入金ということで、こちらは国庫負担でございます。あとは積立金やその運用収入、その他のお金を歳入として記載をしてございます。
 6ページを御覧いただきまして、5つ目に、歳出のほうでございます。歳出につきましては、育児休業給付費、出生後休業支援給付費及び育児時短就業給付費、あとは労働保険特別会計の徴収勘定への繰入金ですとか、育児休業給付資金への繰入金、一時的に借りたお金などの利子ですとか、その償還金及び利子あるいは業務取扱費、その他もろもろの経費を歳出として規定をしてございます。
 「二 労働保険特別会計の改正」ということで、こども金庫の創設に伴いまして、労働保険特別会計において経理する雇用保険法による雇用保険事業から、育児休業等給付に係る事業を除くということとしてございます。
 その上で、徴収勘定における歳入として、このこども金庫の育児休業等給付勘定からの繰入金を新設し、歳出として、同勘定への繰入金を新設することとしてございます。
 最後に、一般保険料徴収額に育児休業給付率を乗じて得た額、育児休業に係る保険料につきましては、毎会計年度、徴収勘定から子ども・子育て特別会計の育児休業等給付勘定に繰り入れるものとすることとしてございます。
 「第三 施行期日等」でございます。
 本来的な子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案の施行期日は別にございますけれども、この雇用保険関係、新たな給付やこども金庫の関係につきましては、令和7年4月1日から施行することとしてございます。
 最後に「経過措置及び関係法律の整備」について記載をしてございます。
 資料の説明としては以上になります。
○尾田雇用保険課長 雇用保険課長でございます。
 1点補足させていただきます。今、御説明した議題1と議題2、両方の関係でございますけれども、今回お示ししました法案要綱につきましては、5日に取りまとめいただきました雇用保険部会報告書に盛り込まれております見直し事項を反映したものとなっておりますが、主に検討していただいた議題のうち、今回の法案に入っていない点について補足させていただきます。
 まず、基本手当の給付制限につきまして、現行2か月を1か月に短縮するという点についてでございます。この点につきましては、現在2か月という期間につきましても、局長通達、業務取扱要領で規定されております。このため、1か月に短縮することにつきましても、局長通達の改正ということで対応させていただく予定でございます。施行につきましては、第1の議題で御説明いたしました教育訓練を実施している場合の給付制限の解除、これと同様に、令和7年4月1日から施行したいと考えております。
 もう一点、教育訓練関係で雇用保険被保険者等以外の方を対象とする融資制度の創設ということにつきましても、この部会で御議論いただいたところでございます。こちらにつきましては、求職者支援法に基づく制度として実施することを予定しておりますが、具体的には省令以下で規定することになろうかと思っております。ですから、今回法案には盛り込まれておりませんが、実施といたしましては、教育訓練休暇給付金と同様に、令和7年の10月以降実施ということで考えているところでございます。
 以上、補足させていただきました。
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの御説明、2件ありましたけれども、これに関して御質問、御意見等があったらお受けしたいと思います。
 冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員 今、御説明いただいた「子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案要綱」は、雇用保険に関する部分の抜粋ということだと思います。先ほど御説明いただいた議題1には検討規定があり、今、御説明いただいた子ども・子育てには見当たらないのですが、子ども・子育て全般の検討規定が用意されているということでよろしいのでしょうか。1点質問でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
○尾田雇用保険課長 雇用保険課長でございます。
 今、お尋ねの点につきましては、現在こちらの第2の議題に係る法案の検討規定も含めまして、こども家庭庁を中心に検討がなされているところでございます。恐らく何らかの検討に関する経過措置が盛り込まれることになろうかと思いますが、現時点ではそこは検討中ということでございます。
 ただ、雇用保険部会報告書でお取りまとめいただきましたとおり、この新たな育児に関する給付の在り方につきましても、今後検証していくことが部会報告で盛り込まれておりますので、当部会においてはしっかりとそこの検証ができるように、私ども事務局としては対応してまいりたいと思っておりますし、また、政府全体といたしましても、年末に取りまとめられましたこども未来戦略、こちらで加速化プランに基づき実施する施策につきましては、実施状況や効果等を検証し、適切な見直しを行う、このようなことが閣議決定に盛り込まれておりますので、この加速化プランに盛り込まれております育児に関する2つの制度、これも含めた効果検証、これは政府全体としてやっていくという方針は、既に盛り込まれているところと認識しております。
○守島部会長 冨髙委員、続けてお願いいたします。
○冨髙委員 ありがとうございました。了解いたしました。
 育児に関する部分だけではなく、今回の様々な見直しにより、一定改善をしたものもあれば、引き続き検討するものもあると考えております。育児だけでなく教育訓練の拡充なども含め、今後の利用状況や効果などを丁寧に分析し、引き続き適宜報告、検討を続けていただければと思いますし、その際、丁寧な部会運営をお願いしたいと思います。
 それから、先ほどの議題1と議題2両方に関わることでございますが、制度の見直しに当たっては、多岐にわたるということもございますので、より一層改正の目的をきちんと企業側、労働者側双方に理解をしていただき、対応していくことが非常に重要だと思っております。その点を踏まえ、現場の混乱が生じないように丁寧に周知をしていただくことが重要だと思っておりますので、意見として申し上げたいと思います。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに御意見や御質問などあるでしょうか。
 ありがとうございます。
 特段の意見がこれ以上ないようですので、当部会といたしましては、議題1の「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱」及び議題2の「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案(雇用保険法等の一部改正関係)要綱」につきまして、それぞれおおむね妥当と認めることとし、その旨を職業安定分科会会長宛てに報告いたしたいと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱」及び「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案(雇用保険法等の一部改正関係)要綱」の報告文案を画面に表示いたしますので、御確認いただければと思います。会場で出席されている皆様には、紙で報告文案を配付いたしますので、御確認いただければと思います。
(報告文案配付)
○守島部会長 ただいま画面に表示されております、もしくは配付された報告文案によって職業安定分科会に報告いたしたいと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、この報告文案で、職業安定分科会に報告いたしたいと思います。
 それでは、本日の議題については以上とさせていただきますけれども、ここで山田局長より御発言をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○山田職業安定局長 委員の皆様におかれましては、部会報告の取りまとめに引き続き、今回の法律案要綱の御了承をいただき、厚く御礼申し上げます。
 この後、職業安定分科会においても法律案要綱につき答申をいただければ、次期通常国会に法律案を提出する予定でございます。法律案が成立いたしましたら、施行に当たって関係法令の整備が必要でございます。今後、適切な時期にお諮りし、御審議をお願いしたいと思いますので、よろしく御指導のほどお願いいたします。
 以上、簡単ではございますが、お礼の御挨拶とさせていただきます。多岐にわたるテーマの御検討、誠にありがとうございました。
○守島部会長 ありがとうございました。
 事務局より何かございますでしょうか。
○尾田雇用保険課長 雇用保険課長でございます。
 1点御報告をさせていただきたいと思っております。本日、参考資料3ということで、プレスリリースをつけさせていただいております。これは今般の能登半島地震への対応の一環といたしまして、昨日、政府としてこの能登半島地震による災害を激甚災害に指定する政令が制定されたところでございます。この激甚災害法に25条という規定がございまして、雇用保険の特例措置が設けられているところでございます。昨日の政令の制定と併せまして、この特例措置も適用になったということで、今回御報告させていただいております。
 このプレスリリースの2段落目に書いておりますとおり、この特例措置の内容でございますが、今般の災害により、事業を休止・廃止したことによりまして休業し、その労働者が就業できず賃金を受けられない状態にある場合、その状態を「失業」と特例的にみなしまして、雇用保険の失業給付、基本手当を支給するというものでございます。
 2枚目でございますけれども、この内容を盛り込んだリーフレットを作成し、周知を始めたところでございます。今、申し上げた措置は、3のマルの1のところで書いております。
 このほか、1、2で書いておりますのは、既存の離職者への対応におきましても、既に対応しておりますが、4週間に1回ハローワークに来ていただくことが難しい方については、認定日の変更が事後でも可能であるということ、あるいはその地域のハローワークに行けない方については、他のハローワークでも対応可能といったこと、3のマルの2でございますが、通常雇用保険につきましては、その事業所で新たに雇うことが事前に予約されている場合は、それは循環離職になりますので、失業給付は給付しないという運用になっております。ただ、災害に鑑みまして、一時的に離職し、再雇用が予約されている場合であっても、特例的に失業給付を給付する、これは既に運用しているところでございます。
 その他、一番下にございますが、今回激甚指定に伴いまして、給付制限期間、これも原則2か月でございますが、1か月に短縮するという措置も併せて講じております。
 今回の激甚災害の指定に伴いまして、このような形で対応を整理して周知しているところでございますが、今後の現地の被災状況も踏まえまして、しっかりとこうした特例措置も含めた雇用保険が被災者の皆様に御活用いただけるよう、今後の相談申請受付等々の手法については、引き続き柔軟な対応ができるよう検討し、速やかに周知してまいりたいと思っております。
 以上、御報告でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ただいまの御説明に関しまして、御質問や御意見がおありになる方、いらっしゃいますでしょうか。特にありませんかね。
 ありがとうございます。
 それでは、本日予定されている議題は以上ですので、本日の部会はこれをもって終了いたしたいと思います。
 委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただき、どうもありがとうございました。