第192回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 議事録

日時

令和6年1月5日(金) 13:00~15:00

場所

厚生労働省12階 職業安定局第一会議室
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館)

議事

議事内容
○伊藤総括調整官 事務局でございます。
 開催に先立ちまして、御連絡を申し上げます。
 本日は、こちらの会場とオンラインの併用で開催しております。
 部会中は、オンラインの方は基本的にカメラはオンで、マイクはオフでお願いいたします。
 また、発言をされる際には、会場の方は挙手、オンラインの方々はZoomの「手を挙げる」機能を利用いただき、部会長から御指名があった後に御発言をお願いいたします。
 なお、傍聴は、別会場にてオンラインで行っております。
 進行に関する説明については以上でございます。
○守島部会長 皆さん方、こんにちは。
 それでは、ただいまより、第192回「雇用保険部会」を開催いたしたいと思います。
 まず出席状況ですけれども、労働者委員の奥委員が所用のため、御欠席と伺っております。
 それでは、議題1に入りたいと思います。
 議題1は「雇用保険制度について」でございます。
 それでは、資料「雇用保険部会報告書(案)」について事務局より御説明をお願いいたします。
○川端調査官 雇用保険課調査官の川端でございます。
 資料1の「雇用保険部会報告(案)」を説明させていただきます。
 昨年12月26日の本部会で出た御意見ですとか議論を踏まえて、報告書案を修正してございます。
 修正点につきましては参考資料1でお示ししているところでございますけれども、資料1でいきますと、まず15ページ目を御覧ください。
 15ページ目の一番最後の○でございますけれども、なお書きを加えさせていただいております。読み上げる形で恐縮ですけれども、なお、労働者代表委員からは、育児休業給付の給付率引上げや育児時短就業給付(仮称)の創設が、労働者間の分断をもたらすことや、受給者のキャリア形成を阻害することを懸念するとの意見や、これらの措置は時限措置として行うべきであるとの意見があった旨を記載してございます。
 続きまして、19ページを御覧ください。
 19ページ目の2つ目の○でございますけれども、幾つか追記をしてございます。「なお、本部会で上記の確認を行う際には」の後に「併せて、保険料が事業主や労働者に影響を与えるものであることも十分に認識しつつ」、その後ですけれども、育児休業給付の支給実績等の育児休業給付の現状や見通しに基づいた丁寧な議論を行うべきである旨の付記をしてございます。
 続きまして、21ページから22ページにかけて御覧いただければと思いますけれども、22ページ目の最後の○として、また、今後の本部会における検討に際しては、拙速に議論を進めることは避け、必要な資料が時間的余裕を持って提示され、改正案の内容について明確かつ合理的な説明が行われるなど、丁寧な議論が行われるべきである旨を付記してございます。
 これらの修正点につきましては、この後、雇用保険課長から補足的に詳細な説明をさせていただく予定としております。
 あわせて、この雇用保険部会の報告案に併せまして、参考資料をつけてございます。
 参考資料2を御覧いただければと思います。
 詳細な説明は割愛しますけれども、冒頭に雇用保険制度の概要をおつけした上で、ページを振っていないで恐縮ですが、6ページ目以降に主な見直し内容を付記してございます。
 7ページ目で雇用保険の適用拡大、こちらはこれまでお示ししたものに加えて、施行期日は2028年度中という記載を追記してございます。
 あとも同様に、8ページ、9ページ、10ページにつきましては、今の適用の現状の資料、11ページ目に自己都合離職者の給付制限の見直しの内容を記載してございます。こちらも施行期日を2025年度と付記させていただいております。
 12ページ目に教育訓練給付の拡充の見直し内容を記載してございます。こちらも施行期日として2024(令和6)年度中という旨を記載させていただいております。
 その後は参考でございますけれども、14ページ目に教育訓練中の生活を支えるための給付融資制度の創設の内容、これにつきましては施行期日を2025年度中と記載させていただいております。
 17ページ目には育児休業給付の給付率の引上げの見直し内容、こちらにつきましては財源と施行期日を記載しております。財源についてはこども・子育て支援金を充当というところと、施行期日については2025年度という旨を付記してございます。
 18ページ目に育児時短就業給付の創設も記載しておりますが、こちらも財源と施行期日を書いております。内容については同じものでございます。
 19ページ目に育児休業給付を支える財政基盤の強化の見直し内容を記載してございます。
 20ページ目におきましては、雇用保険料率の弾力的な運用につきまして、下のほうに具体的な数字の内容も付記する形で記載してございます。
 21ページ目においては、新たな特別会計、いわゆる「こども金庫」の創設の見直し内容と、22ページ目においては失業等給付の積立金から雇用安定資金への繰入金の取扱いの見直し内容について記載をさせていただいております。
 23ページにおいてはその他ということで、令和6年度末の暫定措置についての施行期日も付記して、2025年度と記載してございます。
 24ページ目においてはその他ということで、就業促進手当の見直し内容を記載するとともに、施行期日として2025年度の旨を付記してございます。
 あとは給付関係ですとか財政関係、現状の制度の内容ですとかデータを参考資料としておつけしてございます。
 この後、修正点についての補足説明をさせていただきたいと思います。
○尾田雇用保険課長 参考資料1の一枚紙にお戻りいただけると幸いでございます。
 この参考資料1で3点ほど修正点をお示ししておりますが、中ほどの19ページの修正点につきまして、前回御説明が不十分でございましたので、改めて説明させていただきます。
 これは、育児休業給付の保険料率を弾力的に変更するという措置を毎年度検討するに当たりましてこういう取組をするということで、事務局から御提案差し上げて追記した部分でございます。
 この取組を事務局から御提案させていただきましたのは、労使双方の代表委員から御指摘いただきましたように、保険料が労働者の生活や事業主の事業経営に多大なる影響を与えるものであることを十分に認識する必要があり、このため、保険料率に関する毎年度の確認に当たりましても、単に機械的に数式に当てはめた結果を確認するにとどめるのではなく、その都度、育児休業給付をめぐる状況を確認した上で御議論いただくことが重要、このような観点から御提案させていただきました。
 すなわち、単に財政状況のみをもって拙速に議論を終わらせるのではなく、人口や出生数のような人口動態、育児休業の取得率や取得期間、育児休業給付の現状、見通し、こういったものに基づきまして、育児休業給付制度全般について不断に検証、検討を行いながら、その在り方も含めて丁寧に御議論いただく。そのような趣旨でこのような記載を追記させていただいたところでございます。
 事務局といたしましても、このような趣旨を踏まえた上で、毎年度このような形で御議論いただく内容が実質を伴ったものとなるように、適切なタイミングで部会を開催し、適切に議事運営を行うよう努めてまいりたいと考えております。
 以上、補足説明をさせていただきました。
○守島部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に関しまして、御意見、御質問がありましたらお伺いしたいと思います。
 清田委員が手を挙げていらっしゃいます。どうぞ。
○清田委員 ありがとうございます。
 提示された修正案を含めた報告書は、これまでの議論を踏まえたものと承知しております。
 生産年齢人口が今後減少し、さらに労働力供給が制約される中におきましては、柔軟な働き方を進めて、多様な人材の労働参画を増やしていくこと、それから、労働者一人一人の能力を高めていくことがこれまで以上に重要になってきます。今回の改正によって、産業全体での人手不足対策に効果があることを期待しております。
 他方で、今回の報告書に基づく内容では、適用拡大、育児休業給付率の引上げなどの負担増加に加えまして、自己都合退職の給付制限の見直し、それから、教育訓練給付の拡充等によって自社の従業員の流出が後押しされるのではないかといった懸念の声も聞こえているところでございます。今回の改正の内容、時期はもとより、なぜ改正が必要であったのか、また、何を目的とした改正であったのかという点を適切に御説明いただきながら、事業主の理解が得られるよう、周知に取り組んでいただきますようにお願いいたします。
 最後に、また一定期間経過した後には、改正の目的にかなった効果が得られたのか検証を行っていただきたく、併せてお願いいたします。
 私からは以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
 では、続きまして大谷委員、お願いいたします。
○大谷委員 ありがとうございます。全国中央会の大谷です。
 私のほうから2点ほど発言させていただければと思っております。
 1点目は、雇用保険の適用拡大についてです。報告書のほうには直接的な表現はされておりませんけれども、これまで社会保険全体で考えるべきこと、適用拡大が壁にならないようにしていただきたいということ、それから、中小企業に対する緩和措置と併せて適用拡大を行うべきであることという旨の発言をしてきました。今後、適用拡大により人手不足に拍車がかかることの懸念を持つ中小企業の反発が予想されております。改めて、短時間の労働者の方が加入するメリットの周知と中小企業への支援をお願いしたいと思っております。
 それから、もう一つが育児休業給付の給付率引上げについてでございます。参考資料2のほうの57ページ、一番最後のページですけれども、育児休業給付の財政運営試算についての表が掲載されております。今後の保険料率の検討に係る大事な資料になりますので、出生率を入れるなどでより具体的な表にしていただければということでお願いしたいと思っております。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに。
 では、平田委員、お願いいたします。
○平田委員 ありがとうございます。
 全体を通して、2点申し上げます。
 まず、報告書20ページ以降の雇用保険二事業に関して、雇用安定資金の剰余額を令和5年度に限って全額積立金に繰り入れることはやむを得ないと考えておりますが、雇用保険財政、とりわけ雇用安定資金の早期再建、健全化は重要な課題と認識しております。
 令和6年度以降の取扱いは、21ページ以降に「引き続き検討」とありますが、これまでのこの部会での議論も踏まえて、雇用安定資金への積立も含めて令和6年度末に返済の在り方を検討し、財政再建健全化に向けた道筋を明確にすることが不可欠であると考えております。
 その際には、報告書の最後に今後の部会の進め方について追記いただいたとおり、丁寧な議論をお願いしたいと思っております。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに御意見は。
 では、冨高委員、お願いいたします。
○冨高委員 ありがとうございます。
 部会報告に関する発言の前に、1月1日に発生した能登半島の地震について、被災された皆様へ心よりお見舞い申し上げたいと思います。被害の全貌はいまだ不透明で、当面は生活支援が最優先だと思いますが、今後の復旧・復興の場面においては、雇調金を含む雇用のセーフティーネット機能が非常に重要になると想定されます。ぜひ被災地や関係取引先も含め、雇用の維持・安定機能が十分に果たされるよう、丁寧に周知・対応いただきたいと思います。我々としても全力で対応していきたいと考えております。
 部会報告について、まず初めに、前回の労働者側からの発言を踏まえ、何点か追記いただいたことには感謝申し上げたいと思います。
 今回の見直し事項は非常に多岐にわたる内容ですが、適用拡大など、雇用のセーフティーネットの拡充や安定した就職活動の実施につながるものも含まれると認識しております。
 適用拡大においては、マルチジョブホルダーでの懸念、失業の在り方など、引き続き検討を進めていただくことに加え、教育訓練給付における拡充については、非正規雇用で働く労働者の方も含め、雇用形態にかかわらず活用されるよう、ぜひ取組を進めていただきたいと考えております。
 育児休業給付の給付率引上げ等については、前回の労働側委員からの発言を踏まえて報告に記載いただいておりますが、改めて子育て支援の重要性を含め、丁寧に周知をしながら取組を進めていただきたいと考えております。
 育児休業給付の労使の保険料率については、前回の発言を踏まえ、修正されたものと認識しております。先ほど事務局からもその趣旨を含めて御説明いただいたとおり、保険料率の引上げというものは労使に多大なる影響があることを重々御認識いただき、実際の引上げの必要性が生じるまでに育児休業給付の状況や見通しだけでなく、その在り方についても引き続き検討いただきたいと思います。
 また、安定した財源の確保のためにも、雇用保険制度の趣旨や、国の責任を踏まえた国庫負担の在り方の検討も引き続き必要だと考えております。
 いずれにしても、今回の見直しの意義、具体的な改正点について、今後対応を進めていくことになるかと思いますが、成立した際には被保険者、事業主に対して十分周知、広報が必要だと考えますし、施行状況の確認や、具体的な効果検証、分析もしっかり行っていただく必要があると思っております。
 また、最後に、今回記載いただいた通り、今後の見直しの際には、他省庁が関係する内容の場合も含めて、本部会において議論を尽くし、納得感を持って進められるよう、丁寧な部会運営をお願いしたいと考えております。
 本部会報告に基づいて、今後、要綱、条文の作成が行われると思いますが、事務局におかれましては、その内容を正確に反映していただくようお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに御意見のある方はいらっしゃいますでしょうか。
 では、課長、お願いいたします。
○尾田雇用保険課長 事務局でございます。
 各委員から御指摘を賜りました。本部会報告にも一部盛り込まれておりますが、今回、多岐にわたる制度改正に関しましてしっかりとその内容を労使の皆様に御理解いただけるような周知、広報、そして、各制度がどのようにワークしているのか等についてしっかり効果を検証して分析し、その後につなげるべきこと。また、今後の会議運営あるいは検討に当たりましての留意事項、本日労使の委員からいただきました御意見については、私どもはしっかり受け止めまして、今後の部会の運営に反映してまいりたいと思っております。ありがとうございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 よろしいですか。ほかに御意見とかがおありになる方はいらっしゃいますでしょうか。
 それでは、この報告書案のとおり、当部会としては取りまとめることとし、後日開催される職業安定分科会へ報告いたしたいと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、事務局は職業安定分科会への報告文案の配付をお願いいたします。
(報告文案配付)
○守島部会長 ただいまお配りいただいた、もしくはオンラインの方はスクリーンに映しております報告文案で、職業安定分科会への報告をいたしますけれども、それでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○守島部会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告いたしたいと思います。
 ここで、山田局長より御発言があるようですので、よろしくお願いいたします。
○山田職業安定局長 雇用保険部会報告を今回お取りまとめいただき、誠にありがとうございます。
 部会長をはじめ、委員の皆様には、昨年9月7日以降、本日まで11回にわたり御議論いただきました。今回の見直しに当たっては、1つ目には雇用のセーフティーネットの拡大。それから、2つ目、人への投資、とりわけ労働者個人のリスキリング支援の拡充。そして、3つ目として、こども・子育て政策の充実強化。4つ目として、制度を支える雇用保険財政の在り方といった様々な観点からの検討が求められる中で、委員の皆様におかれては、精力的に御議論いただいたことを心から感謝申し上げます。
 厚労省といたしましては、報告書の内容を踏まえて、急ぎ法律案要綱を起案し、改めてお諮り申し上げたいと思いますので、引き続き御審議を賜れればと考えております。
 法案要綱を御了解いただきましたら、今回の改正の趣旨や内容を丁寧に説明しながら、その後の法案提出に向けたプロセスにつきましても丁寧に進めてまいりたいとも考えております。
 そして、先ほど雇用保険課長からもありましたが、議論の過程で委員からいただいた御指摘については、事務局としても真摯に受け止め、今後の制度運営や部会での御審議に当たりましても、必要なデータの収集、分析と、それに基づいて丁寧に御議論いただけるよう、しっかり努力してまいります。
 簡単ではございますが、お礼の挨拶とさせていただきます。
 加えて、先ほど冨高委員からお話があった能登半島の地震の件ですが、1月1日に発災してすぐ対策本部が立ち上がっております。雇用への影響は、実際には、水道や健康の問題、被災者の救出といった対応より若干遅れて出てまいりますけれども、これまでの震災等の経験を踏まえると、失業給付の支給や、雇用調整助成金の支給が必要となることが想定されます。そのために、我々の職員もかなり被災はしておりますけれども、本省や他の労働局からの応援等を通じてハローワークがちゃんと機能するように、雇用のセーフティーネットがしっかり守れるように対応していきたいと思います。その点は今回の部会の報告とは別の話ではありますが、あえて言及させていただきました。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
 本日予定されている議題は以上ですので、本日の部会はこれで終了させていただきたいと思います。
 委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただき、どうもありがとうございました。