第11回 社会保障審議会年金記録訂正分科会 議事録

日時

令和5年12月20日(水)15:00~16:30

場所

厚生労働省17階 専用21会議室

出席者

会場出席委員:
山口分科会長、南委員
オンライン出席委員:
瀨川委員、池田委員、石倉委員、大西委員、加倉井委員、鈴木委員、西村委員、野口委員

議題

年金記録の訂正に関する事業状況(令和4年度事業状況及び令和5年度上期概況)

議事

議事内容
○中嶋年金記録審査室長 それでは、定刻の3時になりましたので、ただいまより第11回「社会保障審議会年金記録訂正分科会」を開催させていただきます。
 私、年金記録審査室長の中嶋でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 委員の皆様方におかれましては、御多忙の折、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 初めに、委員の皆様方の出欠状況について御報告させていただきます。
 本日は、全委員に御出席いただいております。
 また、本日もオンライン併用の開催ということになっております。山口分科会長、南委員は会場での御参加、ほかの委員の皆様はオンラインによる御参加という開催になっております。
 なお、野口委員からは、急遽、少々遅れる旨の御連絡がございましたので、御報告いたします。
 続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。
 まず、年金管理審議官の巽でございますが、本日、急遽、別の公務によりまして少々遅れておりますので、参加のお時間がちょっと遅れますことを冒頭御報告させていただきます。よろしくお願いいたします。
 事業管理課長の水野でございます。
○水野事業管理課長 水野でございます。よろしくお願いいたします。
○中嶋年金記録審査室長 続きまして、日本年金機構の御出席者の紹介をさせていただきます。
 事業企画部長の樫本でございます。
○樫本日本年金機構事業企画部長 日本年金機構の樫本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○中嶋年金記録審査室長 年金記録企画部長の瀧波でございます。
○瀧波日本年金機構年金記録企画部長 年金記録企画部長 瀧波でございます。よろしくお願いいたします。
○中嶋年金記録審査室長 国民年金部長の高橋でございます。
○高橋日本年金機構国民年金部長 高橋でございます。よろしくお願いいたします。
○中嶋年金記録審査室長 厚生年金保険部長の村上でございます。
○村上日本年金機構厚生年金保険部長 村上でございます。よろしくお願いします。
○中嶋年金記録審査室長 ありがとうございます。
 それでは、ここからの議事運営につきましては、山口分科会長にお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
○山口分科会長 山口です。1年ぶりの分科会の開催となります。円滑な議事の進行に御協力をお願いいたします。
 それでは、議事に入らせていただきます。説明の前に、資料の確認をさせていただきます。事務局からよろしくお願いいたします。
○中嶋年金記録審査室長 それでは、本日の資料につきましては、机の上に配付させていただいております資料の確認をいたします。オンラインで御出席いただいている委員の方にはあらかじめ送付させていただいておりますので、恐縮ですが、お手元に御準備いただきたいと存じます。
 まず、座席表、そして本日の議事次第、そして資料「年金記録の訂正に関する事業状況」の3点でございます。
 あと、大変恐縮でございますが、次に事務的な話でございますが、本日、オンライン会議でございますが、会議の進行中は、御発言されるとき以外はマイクをミュートの状態にしていただき、御発言がある場合には挙手機能を押していただきますようお願いいたします。会長の御指名を受けてからマイクのミュートを解除して御発言いただき、御発言が終わりましたらマイクをミュートにしていただきますよう、よろしくお願いいたします。
 また、通信トラブルや音声が聞こえなくなってしまったような不具合がございましたら、チャット機能で御連絡を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
○山口分科会長 それでは、議事を進めてまいります。
 恐縮ですが、カメラにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(カメラ退室)
○山口分科会長 本日の議題は「年金記録の訂正に関する事業状況(令和4年度事業状況及び令和5年度上期概況)」でございます。
 御存じのとおり、年金記録の訂正請求は平成27年2月に当分科会で議論した内容を踏まえ、厚生労働大臣が示した訂正に関する方針に基づき、平成27年3月から年金事務所での受付を開始し、平成27年4月から地方厚生局などにおいて訂正請求に関する事務処理を行ってきております。
 前回、令和4年12月の分科会では、事務局から令和3年度及び令和4年度上期の事業状況の報告を受け、御議論いただいたところですが、今回の分科会では、令和4年度及び令和5年度上期の事業状況について事務局から説明をいただき、委員の皆様に御意見等をいただきたいと考えております。
 それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○中嶋年金記録審査室長 それでは、これから御説明させていただきますが、その前に年金管理審議官の巽が参りましたので、出席者の御紹介をさせていただきます。年金管理審議官の巽でございます。
○巽年金管理審議官 巽でございます。いろいろお世話になっております。引き続き、よろしくお願いいたします。
○中嶋年金記録審査室長 ありがとうございます。
 それでは、今、分科会長からお話ございました「年金記録の訂正に関する事業状況」につきまして、私のほうから御説明させていただきます。お手元の資料の事業概況でございます。
 まず、1ページ目を御覧いただきますと、令和4年度の受付状況と令和5年度上期の受付状況でございます。令和4年度の訂正請求の受付件数は4,969件ということで、5千件を切った状況でございますが、前年度の同期と比べて千件ぐらいの減少になっております。
 その中で制度別に見ますと、厚生年金が一番多く減っている状況でございます。この状況につきましては、総務大臣の確認申立て、いわゆる年金記録第三者委員会の当時、6万件をピークにしていた平成22年以降の減少傾向の一環には位置づけられると存じます。それで、受付件数の制度別割合といたしましては、厚生年金が95.4%ということになっております。この辺の状況は、昨年度と同様でございます。
 続きまして、令和5年度上期の受付状況でございます。令和5年度上期におきましても1,893件ということで、前年度と比べまして78件減少ということで、若干減少の傾向にございます。ただ、まだ上期ということなので、今後の状況を見ないと分かりませんが、このまま推移すると前年と横ばいか、あるいは前年度より減少ということになろうかと考えております。
 それで、お手元の資料ですと2ページ目でございますが、平成27年度から令和5年度上期までの受付件数の一覧表でございます。これを御覧いただきますと、令和3年度と令和4年度、下の段でございますが、件数が千件ばかり減っておりますが、この主な要因は、厚生年金の事業主の一括請求が、令和3年度と令和4年度を比較して、令和4年度が約700件減少しているのが一番大きな原因になっております。
 続きまして、3ページ目は事案別の処理件数を一覧表にしたものでございますが、これは数字の羅列になっておりますので、4ページ目と5ページ目でその概略を御説明させていただきます。
 お手元の資料の4ページ目でございますが、左側は制度別の処理事案件数になっておりまして、厚生年金の受付が多いので、厚生年金の処理事案が圧倒的に多いということでございます。
 それで、右側の棒グラフを見ていただきますと、一定の証拠があることによって機構で処理できる事案と、証拠がそろっていないことで、厚生局における審議会の総合判断ということで、厚生局に送付されるものの比率でございますが、これを御覧いただきますと、機構段階で記録回復がなされるものが大体8割、厚生局で記録回復になるのが大体2割という感じになっております。これも大体、昨年同様の傾向でございます。
 5ページ目は、事案ごとの処理につきまして、訂正・不訂正の割合でございますが、昨年、令和3年度と比べましてもそれほど大きな変化はないという状況でございます。
 続きまして、6ページ目を御覧いただきますと、処理件数の中に占める記録の訂正につながったものでございます。これを御覧いただきますと、受付件数の減少などによりまして、処理件数ないし記録訂正率が若干下がっていますが、いずれにしましても、厚生局における記録訂正、そして機構における記録訂正を合わせまして、昨年同様、9割台を占めております。この辺につきましては、後で御覧いただきますが、賞与事案の影響が大きいということでございます。
 続きまして、7ページでございます。この7ページは、処理中事案の状況、令和4年度末、令和5年3月31日現在で受け付けた事案をどのくらい処理したか、処理の状況を表にしたものでございます。これを御覧いただきますと、この表の上から4段目が、まだ処理が終わっていない処理中の事案の件数ということでございまして、1,823件ということになっております。参考に挙げております前年度より若干多くなっておりますが、これは実は令和4年度は、下半期に受付件数が上半期より多かったこともございまして、こういった結果になっておるのですが、この事案の1,823件につきましては、その後、順調に処理が進んでおりまして、今現在ですと1,400件ぐらいまでは処理が進捗している状況でございます。
 続きまして、8ページ目でございます。いわゆる処理事案がどのぐらいの時間がかかっているかということの平均でございます。標準処理期間143日となっておりますが、全制度平均202.9日でございます。ただ、令和3年度の全制度平均よりは平均日数が下がっております。この平均日数が非常に上がったのは、皆さん御案内のとおり、令和2年度のコロナウイルスによる行動制限などで、厚生年金において事業主に対する照会とか、そういう作業に時間がかかったということもありまして、期間がかなり延びたのですが、コロナ問題の収束というか、落ち着きを見せていることで、この辺のかかっている平均日数もだんだん減ってきております。そういった状況がこれに反映していると思っております。
 ここまでが事案でございます。
 9ページ目からは、請求者の属性でございます。御覧いただきますと、請求なさる方は御本人様が非常に多い。遺族の方もございますが、圧倒的に多いのは本人ということでございます。
 続きまして、10ページ目でございます。10ページ目は、申立てに係る被保険者の年齢階層別でございます。これまでの傾向と大体同じですが、40代、50代、60代が多くて、受給者よりも現役世代のほうがどちらかというと多いというような状況でございます。
 その辺につきましては、11ページ目を御覧いただきますと数字で現れておりますが、被保険者等、現役が72%で、裁定済み者が26.9%という数字になって表れております。
 12ページ目は、請求者の住所地別ということでございます。大都市における請求者が多いという傾向が見てとれるかと存じます。
 13ページ目からは、事案を請求期間に分類して細かくして確認した資料でございます。御案内のとおり、1つの事案でも、例えば賞与10件という方もいらっしゃいますので、その請求期間に分解して分析するのはどうしても必要になってきます。13ページ以降はそういった数字でございます。13ページ、御覧いただきますと、賞与が非常に多い。厚生年金で言いますと72.9%ということになっております。全体で見れば、厚生年金が非常に多いということになっております。
 この辺の状況で特に賞与が多いというのが、次以降の資料に影響を与えていると存じます。14ページ目は、請求期間でございます。御案内のとおり、平成15年4月から賞与から保険料を徴収するようになっておりますので、平成15年4月以降が請求期間別に分けても非常に件数が多いということになっております。
 あと、15ページ目は、請求期間について、どのくらいの月数が含まれているかということですが、第三者委員会以来、賞与は1か月としてカウントしておりますので、1か月がどうしても圧倒的に多いという結果が現れております。
 16ページ目につきましては、請求期間を訂正・不訂正がどのぐらいの状況かで見たものでございます。これは右端の棒グラフを御覧いただきますと、厚生年金が非常に多いのと同時に、厚生年金は7割方、訂正に結びついているということでございます。国民年金は、第三者委員会以来、かなり処理が進んでおりますので、前の年度より訂正率が下がっているような状況になります。賞与が前の年度より若干下がっているのですが、それでも8割台は訂正されているので、相変わらず非常に高い訂正率だと存じます。
 17ページ目は、今度は1つの請求期間がどのぐらいの月数を含んでいるかということでございますが、これも昨年と同様の傾向でございますが、特徴的なのは、厚生年金の中で、標準報酬月額に係る訂正請求というところでございます。御案内のとおり、私の給与はもっと高かったはずだという申立てですが、この申立ては、1つの昇給期間から次年度の昇給期間とか、そういったものがかなり意識されているのか、訂正決定につながった平均月数で24.4月、不訂正の場合33.7月ということで、ある意味、非常に期間が長い請求で、機構も厚生局も実際訂正作業をなさる上で、資料収集などで大変長くなっております。
 18ページ、19ページ目は、繰り返しになりまして恐縮でございますが、18ページ目は、先ほど出ました時期別の請求期間を、訂正・不訂正で分けたものでございます。これを見ると、15年4月以降の厚生年金の訂正決定が非常に多い。これは賞与の影響でございます。
 19ページ目は、今度は月数でございますが、1か月の厚生年金の訂正決定が非常に多いのは、これも賞与の影響でございます。
 次の20ページが、厚生年金の訂正決定にどのような理由でつながったかという適用法別の状況でございますが、この辺も近年の傾向どおり、厚生年金特例法、保険料を控除されていたけれども、記録がないというのが76%ということで、圧倒的に多いという状況になっております。請求の内容は賞与の事案が多いということでございます。
 ここまでが厚生局のいろいろな事案についての分析ですが、21ページ目は日本年金機構における訂正処理でございます。日本年金機構におかれては、厚生年金も決して賞与だけではございませんが、どうしても賞与が件数的に多くて、処理件数の95%は賞与ということになっております。
 ここまでが事案についてでございますが、23ページ目、24ページ目は、地方の年金記録訂正審議会の体制等でございます。23ページは部会の開催状況ですが、各地方厚生局の各部会・審議会におきましても、精力的に事案をこなしていただいているというのが見てとれるかと存じます。
 24ページ目でございますが、これは諮問して答申が出るまで、大体どのくらいの期間かということですが、8日から14日というのが多くて、諮問して答申まで審議1回ぐらいで上がっているのか、順調に審議が進んでいるかと思います。
 25ページ目からは、私ども年金記録審査室のほうで行っている、厚生局の原処分に対する審査請求に対する最近の状況の数字でございます。
 25ページの下の段を御覧いただきますと、令和4年度におきましては47件ということで、前年度より減っております。令和5年度上期においては19件という状況でございます。累計を御覧いただきますと734件ございますが、このうち95%は、下にございますように、取下げも含めまして7703件ばかりの処理が終わっておりまして、95%くらいは処理が済んでおります。
 それで、26ページ目は、先ほどの厚生局における原処分と違うのは、審査請求は受給権者、裁定済み者のほうが多くて、被保険者が23.4%に対して裁定済み者が72.3%ということでございます。これは1つの要因としては、第三者委員会当時に非あっせんになって、請求制度でまた不訂正になって審査請求という方が一定数おられるのが影響していると思われます。
 それで、27ページ目でございますが、これは審査請求を請求期間に分類したものでございますが、厚生年金も一定の数はあるのですが、審査請求となりますと、国民年金についてはそれなりの数がございます。
 次の28ページ目は、訴訟でございます。訴訟につきましては、(1)提訴の状況で訴訟の件数。これは令和5年9月30日までの累計は74件でございますが、令和4年度は提訴が7件あったのですが、令和5年度上期については、12月に至るまで、今のところ新規の提訴はございませんので、こういう結果になっております。
 (3)判決・係争の状況でございますが、確定判決、取下げ件数が67件で、令和5年度上期末の9月30日現在、係争中は7件ということになっております。実は、この中で7件となっておりますが、12月現在ですと、このうち実際に係争中なのは4件ということでございまして、残り3件は確定したということでございます。
 続きまして、29ページと30ページは、事務執行体制の表でございます。
 あと、31ページ目以降は、訂正請求の手続の流れとか、先ほど申し上げた令和4年度の受付件数、処理件数などを月ごとに分類した表をつけております。参考資料は細かな資料でございますので、この辺は後で御覧いただければと存じます。
 大変駆け足で恐縮でございますが、概要につきましては以上のとおりでございます。よろしくお願い申し上げます。
○山口分科会長 ありがとうございました。
 それでは、委員の皆様から御質問、御意見を頂戴したいと思います。いかがでしょうか。
 今日、会場に南委員にお越しいただいておりますので、南委員、何か御発言はございますでしょうか。
○南委員 恐れ入ります。
 最初の御説明にもありましたが、私、意図せず長いこと、この件に関わってまいりましたものですから、ピークの6万件というときのことを思い出しますと、本当に感慨深い気がいたします。限りなく皆様に努力をしていただいて、こういうところに落ち着いているという認識でございます。特別質問等はございません。
○山口分科会長 ありがとうございます。
 それでは、オンラインの皆様からの御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
 こちらからで恐縮ですが、瀬川委員、いかがでしょうか。
○瀬川委員 御指名を受けたのですけれども、その声がうまく聞き取れなかったものですから、遅くなりまして、申し訳ありません。
 今、御説明を聞いていて、私も同様の感想を持っているのですけれども、長く関与させていただいた中で、現在のこの制度そのものが適切に運用されているのかどうかという観点で、ちょっと意見を述べさせていただきたいと思います。
 1つは、申立処理件数が極めて減少してきているという状況の中で、また、その減少傾向が現在でも続いているというところから見ますと、この制度運用自体がある意味では適切に運用されているのかなというところが感じられます。とりわけ厚生年金に関する一括請求、賞与関係が多いという御報告を受けましたけれども、これについても、従前から、この分科会でも何度も議論されていて、現場の事業者に対して、一体どういった形での指導あるいはアドバイスをしてこられたのかといったところが議論されてきたかと認識しているのですけれども、そういったところで、いつも御説明いただいているとおり、かなり適切に事業者に対する啓発活動というものを継続的にされていらっしゃる、その成果ではないかなという印象を持っているところであります。
 ただ、昨年に比べて、恐らく一括請求を含め、厚生年金は千件ほど減少傾向が見られるということでありますが、数としては数千件という数がまだ申立てをされているという状況からいくと、今、お話しさせていただいたような現場での事業者に向けた啓発活動というのは、なお続けていかなければいけないというものを示しているのではないかなという印象を受けるところであります。
 あと、処理の件数、処理の期間という点では、コロナの影響が相当程度ありまして、記録的には日数がかかっているところもおありになるだろうと思いますが、現在のような状態になってくれば、さらにその処理の迅速性というのは増してくるだろうと思いますので、これもある意味では適正な状態になっているのではないかなという印象を受けるところであります。
 もう一つ、御説明を聞いていて、年金のいろいろな形での請求、あるいは審査請求を含めて、請求対象者がどういった方々なのかといったときに、実は総務省で第三者委員会をやっていたときの多くの請求当事者というのは、受給者であり、かなりの年齢が行った方々が中心であった。一方、今の御報告を聞きますと、現在の年金を、場合によっては継続的にかけていらっしゃる現役世代の方々が、こういった形で、ここは違うのではなかろうかという申立てをしてくるということが見受けられるという印象を受けるところであります。
 これはある意味では、国民年金等々については、事前のいろいろな形での各対象者に対する情報提供あるいはねんきん定期便といった様々な工夫をされていること。あるいは、一括賞与も含めて、標準報酬に関するところの厚生年金等々に関しましても、先ほど御説明の中にございましたけれども、現場でのいろいろな事業者に対する様々なレクチャーといったものがある程度反映してきているということなので、そういったところからいくと、現役世代の段階からお手を挙げていただきますと、後でそれを審査するときというのは、証拠等々、あるいはそれを認識することができるエビデンスといったものが徴求しやすいという環境でございます。
 ですから、早期にそういった方々のデータをいろいろな形で集めやすい時期に、必要な事前のレクチャーをし、あるいは御指導いただいて、皆様方の意識を覚醒させていただいて、最終的には適正な年金記録といったものを作成していく。そういったことが徐々に進んでいるということの表れなのかなというのも印象として受けたところであります。
 それから、今の分科会の制度になったときにできました審査請求制度、それに対する訴訟制度といったところの御報告もございました。審査請求、ほとんどが問題なく、いろいろな形で取下げあるいは棄却といった状況になっていて、改めて認定し直す数が極めて少ない。これは昨年行いました、この審議会でも、わずかな状態から取り組むとございましたので、それは何を意味するかといったら、機構段階あるいは厚生局のほうにおける審査が、しっかりと様々なエビデンスを集めたり、聞き取りを行う中で適正に行われている結果ではないかなという具合に想像しているところであります。審査請求制度といったものは一種の行政処分でありますから、そういったものをつくった制度設計が、今のところ正しく機能しているということの表れかなという具合にも、印象として持っております。
 その証左というのは、現実に訴訟になりましても、その判断が覆されるケースが皆無に等しいというところからいっても、審査請求制度というものがしっかりと機能していること。逆を言うと、その一歩手前の段階での機構、ないしはそれぞれの厚生局のほうの審査の過程が適切に行われているといったことを示すのではなかろうかという印象を受けた次第であります。
 ということで、私自身、たまたま第三者委員会で7年ぐらい関与させていただいている。そして、今回、こちらの厚労省における審議会に参加させていただいて、何だかんだで十何年、この領域に足を突っ込んでしまっておりまして、その期間の今までの流れからいくと、ある意味では、このいろいろな形での制度設計というものが、徐々にではあったかと思いますけれども、適正に運営され、その機能をどんどん果たしてきつつあるという状況を示しているのではないかなという印象を持った次第であります。
 なお、さっき申し上げたとおり、厚生年金等々で申立てがすごいわけでありますから、それに対する対応というのは、これからも真剣に検討、御努力を続けないと、これを極力少なくしていくという方向に進むべきものであろうと思いますので、そういったところをしっかりと今後も実践していっていただきたいと思った次第であります。
 これが私の意見というか、感想であります。以上です。
○山口分科会長 瀬川委員、どうもありがとうございます。全般にわたるコメントをいただきまして、ありがとうございます。長年にわたり、この分野に御参画いただいていることを踏まえた貴重なコメントであると思います。
 機構などの現場における対応が適切に行われているということですけれども、この1年間の情報提供とか資料とか、現場で行われていることについて、何かお話いただけることがありましたら、お願いできればと思います。よろしくお願いします。
○村上日本年金機構厚生年金保険部長 日本年金機構厚生年金保険部の村上と申します。
 私の部署では、事業所に対する指導とか広報活動、その他をしておりまして、昨年もこの場におきまして、賞与事案の届出漏れがないように、どのように対応されているかという御質問を幾つか受けまして、御説明させていただいたと思います。先ほど委員のほうからも御意見がございましたように、昨年、私が答えたような内容につきましては、継続していくことが大変重要だと思っております。
 昨年、どういうことを答えたかと申しますと、まず、広報としまして、ホームページとかX(旧Twitter)、その他におきまして、賞与の届出漏れがありましたら届出を出してくださいという広報をしておりまして、また、納入告知書という、事業所に直接送付しております郵送物の中に「日本年金機構からのお知らせ」という広報紙を入れておりまして、その中に、特に賞与が多く支払われる6月、12月の前月号、5月号、11月号に賞与の届出漏れはございませんかという記事を載せています。
 また、全事業所は数の関係でなかなか回れないのですが、事業所調査という形でお邪魔したときには、それぞれの届出漏れがないかどうか、賃金台帳等を基に確認させていただいておりまして、その中で漏れ等がありまして、もしも2年以上前のものがあるとしましたら、一括請求、その他を御指導していくということにつきましては、昨年同様、継続しております。
 昨年、委員の方から、指導とか事業所調査だけではなく、例えば新しく社会保険に入ったような事業所とか、まだ社会保険をよく御存じでないような事業所が多くあるのではないかというような御意見いただきました。この分科会の中で御意見いただいたということもあるのですが、我々のほうもそれは感じておりまして、今年度より、新しく社会保険に加入された事業所を集めまして、社会保険の説明会を行っています。集合形式以外にもオンライン形式で説明会を行っておりまして、その中で社会保険の仕組みを、一つ一つ、こういう制度でございます。もしもボーナス、賞与というものを出しましたら、それも通常の報酬とは別に賞与支払届が必要ですよ。というような、社会保険の適用から保険料の徴収まで、改めて社会保険のイロハといいますか、社会保険の基礎知識を教えるという試みをやっております。
 また、例えば難しい届出、育児休業手当であるとか御理解が制度として複雑な制度についての説明会も行っております。
 その他にも、例えばよその会社さんの事業所調査におきまして、こういうことが届出漏れとして見つかっていますよという、こういうものの届出漏れがある可能性がありますという観点でも説明をいたしております。
新しく入った会社さんとか複雑な制度につきましては、事業者さんに対しまして指導だけではなくて、優しく育てるという姿勢で取り組んでまいりたいと思っておりまして、引き続き、あらゆる手段を通じまして、事業所さんのほうには、社会保険の御指導とかアドバイスを続けていきたいと思っております。
 以上でございます。
○山口分科会長 ありがとうございます。
 ほかの方から御質問、御意見等はございますでしょうか。
 加倉井委員、お願いいたします。
○加倉井委員 加倉井でございます。よろしくお願い致します。
 ただいまの御報告とは別件になりますが、お伺いしたいと思います。いわゆるオンラインビジネスモデルの件です。現在、オンライン申請を活用する企業が増加しており、このことは大変よいことだと思いますが、操作ミスや出し忘れ等ありますと、将来、訂正対象になってくる可能性があります。それは避けなければいけません。そこで、オンラインを活用する上で、大企業以外にも中小企業等が増えてくる中、どのようなフォローをされているのか、お伺いしたいと思います。
○山口分科会長 ありがとうございます。
 ただいまの、御質問について機構から御説明をお願いいたします。
○樫本日本年金機構事業企画部長 事業企画部長の樫本でございます。
 まず、オンライン申請については、現在、私ども、非常に推進してございまして、50人以上事業所につきましては、半分以上、電子申請をしていただいてございます。また、50人未満につきましても、2割強という形になってございますが、今、電子申請につきましては、基本的にはそのまま電子審査決裁のほうに流れるような形になっております。そのときにシステムチェックを施してございまして、従前より高い標準報酬であったり、低過ぎる標準報酬であったりしたときには、一旦システムチェックをかけてウオーニングをかける形で確認するという仕組みを取ってございます。
 その中で、必要があれば、一旦返戻させていただいて、正しい標準報酬かどうか、資格取得年月日が間違いないか、喪失日は間違いないかという形を取って、システム的にさらにウオーニングがついた方については、職員の目でしっかり確認して、資格取得の適正化について努めてございます。
 私からは以上でございます。
○山口分科会長 ありがとうございます。
 加倉井委員、これでよろしいでしょうか。
○加倉井委員 ありがとうございます。
○山口分科会長 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。
 では、順番にコメントをいただければと思います。池田委員、いかがでしょうか。
○池田委員 質問でなくてもよろしいですか。
○山口分科会長 コメントがございましたら、お願いいたします。
○池田委員 実は、改めてお願いといいますか、挙手させていただこうかなと思っていた件がございます。10ページに被保険者の年齢階層別というものがございますが、改めて見ますと、超高齢社会ということもあるのかもしれませんが、80歳以上の方が増えているような気がいたしました。また、同じ被保険者年齢階層別の審査請求を見せていただくと、全体の27.7%ということで、後期高齢者の75歳以上を含めますと、全体の半分以上が75歳以上の方でいらして、厚生年金ですと五十何%という形なのかなと思っております。
 私は、ふだん、認知症が疑われる方も含めて、一人暮らしの高齢者の方に関わることが多くて、年金のことの質問を時々受けたりということがございますが、特に年金機構さん、私も年金機構ができてから十何年、役員もさせていただいて、御努力いただいているのは十分理解しておりますが、高齢者対応という意味で、今後、特に個人対応という中では、分かりやすい説明ですとか、そういったこと、また資料の作成なども十分注意してやっていただけるとありがたいかなと思います。
 この傾向はますます増えることと思いますし、高齢者自身がもともと御理解がしにくい部分もありますが、逆に機構や、こちら側で説明することが、先ほど来、どうしても専門用語が多かったりということもありますし、おっしゃっていることがよく分からないのですということが聞かれることもありますので、今後、ぜひ改めて御協力いただけると大変ありがたいかなと思いました。これまで皆さん頑張ってこられたことはよく分かっていながらですが、今後のためにもお願いしたいと思って、一言お話しさせていただきました。ありがとうございます。
○山口分科会長 ありがとうございます。
 ただいまの御意見に対しまして、機構で特に高齢の方たちへの対応とか配慮とか、何かなさっていることがありましたら、お話いただけますか。
○瀧波日本年金機構年金記録企画部長 年金記録企画部長の瀧波と申します。
 今のお話で、高齢者向けということでしたけれども、機構として、特に高齢者向けに絞った取組というのは特にございません。しかしながら、御指摘のとおり、どうしても専門用語が多い制度でございますので、お客様に分かりやすい文書をつくろうといった取組というのは、従来から取り組んでいるところでございます。しかしながら、どうしても専門用語が出てしまったり、そういうことはいまだにございますので、そういったところを今後さらに分かりやすい言葉であったり、文書であったりというところに取り組んでまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○山口分科会長 ありがとうございます。
 池田委員、いかがでしょうか。
○池田委員 ありがとうございます。今後ともぜひよろしくお願いします。ありがとうございました。
○山口分科会長 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。
 石倉委員、何かコメント等はございますでしょうか。
○石倉委員 ありがとうございます。石倉です。
 私も大分長く委員をさせていただいておりますけれども、総論としては、全体としては非常に順調に推移してきているな、昔に比べたらとても件数が減ってきているなというのを感じておりますので、皆さん、業務としてしっかりやっていただいていると認識しております。ありがとうございます。
 社会保険労務士ですので、2つの観点で物事を考えているのですけれども、1つは、年金の事業は、先ほどの賞与支払届等々というのは、事業者、事業所が提出する。その手続についての齟齬があってはいけないということ。もう一つは、年金の受給者個人、被保険者個人が、これから年金に対してどういうふうにしていくか。つまり、分かりやすい資料というお話が先ほどございましたけれども、自分の年金請求をしていく中で、どう確認していくかということが大切なのだろうと思うのです。
 まず、事業者の立場で、昨年もお話しさせていただいたと思いますが、賞与支払届が出ていないということに対する防止等々については、取り組んでいただいているのもよく分かっております。それから、年金事務所レベルで事業所の調査を行っていただいているケースは大分増えてきているなと思います。ただ、事業所に訪問とか、資料を持って年金事務所に行くというよりか、資料を送ってくださいということも含めて、結構調査をしていただいているなという感じを受けています。
 その中で1つだけ、今後、賞与に関してですけれども、本来であれば、名称の如何を問わず、労働の対価として払っているものについては賞与にしましょうという考え方があるのですね。ところが、今の時代は、例えば社員のリスキリングとかリカレント教育という部分に対して、企業も応援していきましょうというのが世の流れになっていて、社員教育に対して、例えば講習に対する費用を持ってくれたりしているケースがあるのです。これについて賞与扱いですよという解釈で調査されているケースも散見されているのは事実です。
 ですから、それが解釈として今後どうしていくかという、多分いろいろなところから主張が出てくる可能性もあるので、今、既に解釈、出ていると思いますけれども、本当に労働の対価なのか、私、現場にいて思うところがあったりするということだけお伝えさせていただきたいと思います。
 もう一つは、来年10月1日の適用拡大ですね。20時間以上の短時間被保険者が増えていくという流れの中で、今後の人材不足の企業現場において、そういう方々も扶養の範囲でいたい。でも、社会保険の適用が生まれる。そのときに届出の齟齬がないようにという指導、どんどん大変になっていくと思います。行政の方々も機構の方々も。そんなときに、先ほど来、結構細かい、分かりやすいものとなっていくと、皆さんの業務がもっと大変になっていくなと思っていますが、我々社労士も現場でそこはしっかりとフォローしていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
 最後に、個人の立場の受給者のことですけれども、実は、これは実体験なのですけれども、障害年金の請求をする方についての保険料納付要件というのがあるのですね。たまたまそこで保険料を納めていなかったというケースの場合、障害年金に該当しないということが出てきたりして、もらえない人がいたりする。こういうことをなくしていきたいわけです。加入もしっかり、適用もしっかりさせて、保険料もしっかり納めていただいて、そしていわゆる国民の権利であるところをどうにか救済していきたい。国民皆年金・皆保険と言っているわけですから、そこをもうちょっと今後、考えていかなければならないかなというのがありますし。
 あとは、ねんきん定期便が、通常の年じゃなくて年金受給何年前でしたか、大きいのが来る時期がありますね。あれも見づらいところがあったりするという表現が正しいのかな。ちょっと分かりづらいとおっしゃる被保険者の方々もいるので、そういった意味で、私どもの資料としては、受給者はある意味、これにたけている方ではない方だと思いますから、見やすい資料の作成を受給者向けにはお願いできればなと思っておりました。
 以上です。
○山口分科会長 ありがとうございます。
 何点か御質問をいただいております。最初の労働の対価の解釈の変更については検討されているとか、していくということはあるのですか。課長、お願いします。
○水野事業管理課長 年金局事業管理課長でございます。
 御指摘いただいた点、労働の対価のものは原則としてと申しますか、法律上はそれは報酬だという整理になってございます。その一つ一つについて個別に御質問をいただいている場合なども含めまして、一定程度のものは、機構のホームページあるいは厚労省のホームページでも載せておりますので、そういった中で御覧いただければと思っております。
 いろいろな各種手当ございます。年末年始の際も手当ということでございます。そこをどう判断していくのかというのは、もちろんいろいろな御事情があると思いつつ、原則として労働の対価だと、それは従業員としての立場で受け取っているものというものが、保険料の算定の基礎になっているという原則があると御理解いただきつつ、その先の個別事例、基本は例外はつくらないようにというのが、平等性の観点から私どもが考えている部分ではございます。
 けれども、そういった点、一つ一つ具体的に御相談いただいて、年金事務所のほうで個別に見ていくことも可能になってまいりますし、それが難しい課題であれば、年金機構本部あるいは年金局とも相談してというのは、もちろん日々やっているものでございますので、それぞれで御疑問があればお声を上げていただければありがたいと思っております。ただ、今、申し上げた中で、個別対応があり得る的なニュアンスで申し上げましたけれども、繰り返しになってしまいますが、法律上はそこは対象になるというところが前提かなと思っておりますので、その点は御理解いただければと思っております。
○山口分科会長 ありがとうございます。
 それから、令和6年10月からの制度改正への対応と障害年金の適用に関するところ、あとはねんきん定期便の説明資料が見づらいところがあるという御指摘ですけれども、機構で何か御対応とか予定されていることはありますでしょうか。
○村上日本年金機構厚生年金保険部長 厚生年金保険部 村上でございます。
 令和6年10月に20時間以上の短時間労働者の方が適用拡大になる事業所が、51人以上の規模に拡大されます。この51人以上の会社につきましては、最終的には来年の10月の直前にどの事業所が該当するかということが決まってくるわけでございますが、今の段階から、なるべく早い段階で、適用拡大の対象になるであろう事業所につきまして、制度がこういうふうに変わりますよという広報をしております。
 令和4年10月の101人以上の場合は、半年前にパンフレットをお送りしましたが、令和6年10月につきましては、早めに対応すべきだということで、今月、その時点で51人以上になるであろうという事業所に対しまして、約5万事業所でございますが、こういうふうに制度改正が行われます。準備のほう、よろしくお願いしますというパンフレットをお送りさせていただいています。当然、この施行の前後、いろいろな質問とか個別の事業所の対応等、社会保険労務士さんとも御協力していきながら事業を進めていかなければいけないと思っておりますので、我々もこの対応につきまして最優先で取り組んでまいりたいと思いますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
 
○山口分科会長 ありがとうございます。
 ほかの点についてはいかがでしょうか。
○樫本日本年金機構事業企画部長 事業企画部長 樫本でございます。
 まず、年金の啓発ということで、障害年金も含めて、20歳にしっかり入っていただくことが基本だと思ってございますので、こちらについては、学生のときに年金事務所のほうで年金セミナーや説明会といったものを開いて、20歳で入っていただくということを周知してございます。当然、学生猶予とか、そういった部分もございますので、入っていただければ、納付要件に当然含まれますので、しっかりここで説明していきたいと思っております。また、厚生年金をやめられたときにも国民年金の勧奨をしてございますので、ここでしっかり入っていただくという立てつけで進めているところでございます。
 あと、ねんきん定期便につきましては、節目年齢といいまして、35、45、59歳のときに封筒に入れまして、20歳から今までの記録を全部出してございます。この中には当然職歴等もございまして、その中で漏れ等、誤りがあれば、年金事務所、機構のほうに御照会をしていただくことにしてございます。非常に分かりにくいという部分があれば、私ども、お客様の声といいまして、いろいろな形で内容を聞いてございます。その場合、その都度、定期便等々、できるだけ分かりやすい形で毎年更新するような形にしてございまして、こちらも引き続き、しっかり対応していきたいと思います。
 また、補足ですけれども、定期便が年に1回ございますが、ねんきんネットというインターネットでいつでもお客様の記録が確認できるようなことも進めてございます。4年度末では利用者が900万人を超えてございましたが、現時点では利用者がもう1千万人を超えてございます。また、マイナポータルとも連携して、ここで24時間365日、見られるような形にもなってございますので、こちらを引き続き推進してまいりたいと思ってございます。
 私からは以上でございます。
○山口分科会長 ありがとうございます。
○水野事業管理課長 さらに補足的な話、適用拡大の関係のところで、石倉先生のほうから扶養の範囲でみたいなこともおっしゃっていたと思います。昨今の被保険者で申し上げると、年収の壁ということが恐らくそれに近いような話だと思ってございますけれども、それに対しまして、私ども年金部門だけでなく、いわゆる労働部門、医療保険部門といったところの総力を挙げて厚生労働省としてパッケージで対応してございます。
 私どものほうでコールセンターも設けさせていただいてございますので、御本人からのお問合せも多数いただいておりますし、事業者さん、社労士さんの皆さんからのお問合せもございます。そういったところで対応いただくなり、あるいは当然、年金事務所でも一定程度までお答えできると思いますし、厚生労働省のホームページにも、そういったパッケージ、支援内容を載せてございますので、そこなどを御覧いただきながら、年収の壁というもので働けない、そして人手が足りないということにならないようにというのが、私どもの施策の狙いでございます。
○山口分科会長 ありがとうございます。
 石倉委員、いかがでしょうか。
○石倉委員 ありがとうございました。引き続き、よろしくお願いします。
○山口分科会長 ありがとうございます。
 大西委員、いかがでしょうか。
○大西委員 社会保険労務士の大西でございます。
 石倉先生と同じようなお話になるかも分かりませんけれども、賞与事案につきまして少し機構さんのほうに確認させていただきたいのですが、先ほど機構さんの説明では、賞与支払の登録月に提出の勧奨を行ったり、あるいは出てこないところには提出指導、あるいは新規に適用された事業所には丁寧な説明を行うと。いわゆる提出漏れの防止策といった観点なのですけれども、実際、賞与案件が発覚するのは、ほとんどが事業所調査だと理解しております。先ほども調査の方法について、書類を送付するようなやり方といった発言がありましたけれども、機構さんとしては、例えばこの調査方法を変更したり、あるいは税務情報から賞与支払の確認といった形で、何か調査方法を変えるような対策を取られたり、検討されたりしているのかといったところを少し質問させていただきたいです。
 昨年、たしか石倉先生の質問で、全国260万事業所の調査を1万人少しの職員で対応しているといったお話がありましたけれども、そうすると調査の件数もそれほど多くできないとなりますと、この賞与案件の事案がこのまま横ばいで続くのではないかということも少し思っております。適用拡大の対策で調査等もやられていると思うのですが、例えば賞与支払届に特化して、一旦、全事業所の漏れを確認する。以後、予防策を徹底していくといった方法なんかも考えられるのかなと思うのですけれども、そういったことの検討について、少しお話を聞かせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○山口分科会長 ありがとうございます。
 ただいまの御質問について機構から御回答をお願いします。
○村上日本年金機構厚生年金保険部長 調査の手法につきまして、何か変更等しておられるのかという質問でございますが、御指摘のとおり、今、260万事業所を我々の職員で全て回って調査するというのは、数の問題であるとか、また質を落とせばいいという問題ではございませんので、質をキープしながら、これだけの数をこなしていきながら正確な指摘、届出漏れを見つけていくということにつきましては、我々のほうも非常に課題として考えております。
 抜本的な対策等は、まだ今年度、この方法で合理的にやろうというものは、今の時点ではまだ確立されておりませんが、例えば今、1万人以上の事業所につきましては、機構の本部のほうに特別の部署があるのですけれども、そこでは、紙で賃金台帳等を見るというのは非常に効率性がよくないので、会社さんのほうに電子データで賃金台帳とか出勤簿、その他を出していただきまして、それを加工いたしまして、我々のほうで電子データを電子的に突合させることにより、届出漏れがないかどうかという試みをしております。この試みにつきましては、1万人以上の事業所を今、対象にしておるのですけれども、従来であれば1万人の賃金台帳をめくることは非常に難しかったわけでございますが、ある程度電子的なデータで見ることができるようになり、スピードの意味でも、また調査の正確性の意味でも効率性は上がっておると思っております。ただ、これを全事業所に展開するかどうかというのは、まだ今の時点では試行段階でありまして、将来的にはもう少し合理的なやり方がないかどうかということを、試行実施を試みながら検討しておるという状況でございます。
 調査の手法ではないのですが、事業所の中にも、問題がない事業所、過去の指摘がない事業所、届出をきちんと出している事業所がある一方で、過去、指摘が多くされた事業所があります。例えば、賞与の漏れが多かった事業所、算定基礎届を出してこない事業所、これらの事業所につきましては、算定基礎届を出さないということは、ほかの届出も漏れている可能性が高いということになりますので、ある程度、我々のほうで、ここの事業所は優先して見ないと、ほかの届出も漏れている可能性があるという事業所をピックアップしまして、優先的にそちらの事業所のほうを調査するというやり方を取っております。引き続き、この調査を合理的に行う方法につきましては、いろいろな方々の御意見等を伺いながら、機構のほうでは検討してまいりたいと考えております。
 
○山口分科会長 ありがとうございます。
 大西委員、いかがでしょうか。
○大西委員 ありがとうございます。
○山口分科会長 ありがとうございます。
 鈴木委員、いかがでしょうか。御意見等はございますか。
○鈴木委員 私のほうから、質問というよりは感想のようなものになろうかと思いますけれども、一言述べたいと思います。
 瀬川先生とちょっと重なるとは思うのですけれども、私も第三者委員会の頃から関与させていただいていて、職員の方々が一生懸命調査していただいて、結果も出していただいている中で、今年、令和5年度の上期の訴訟はゼロと。審査請求のほうもほとんどが棄却になっているということで、ほぼ適正に運営されているのではないかと感じております。今後もこの傾向は多分続いていくと思われますので、このようにスムーズに運営されていることを見まして、ちょっと安心しておりますので、感想のようなことになってしまいましたけれども、私のほうから以上になりますので、よろしくお願いいたします。
○山口分科会長 ありがとうございます。
 中嶋室長、上期の訴訟はゼロということについて何かコメントはございますでしょうか。
○中嶋年金記録審査室長 今、先生にも御指摘いただいたとおり、おかげをもちまして、各厚生局、そして機構の皆様に一生懸命取り組んでいただいて、調査も非常に充実して適正な結論をお出しいただいているということが非常に浸透してきて、何とか訴訟も減ってきたのかなと。
 あと、これはこの場を借りて御礼申し上げたいのですが、諸先生の皆様方の御指導も賜りまして、訴訟も、当初は先生方も気にされておられたような、いろいろな論点がございましたが、主要な論点は全て裁判でも国側の主張が正しいということで、請求棄却ということで、ある程度確定しましたので、そういう点で言うと、私どもの訂正請求の基本的な枠組みが司法からもある程度是認されたということで、そういった結果がもたらされたのは、先生方のいろいろな御指導いただいたことが功を奏したのではないかと思っておりまして、これは担当者の立場で、この調子で落ち着いていただければと思っている次第でございます。
 雑駁でございますが、以上でございます。
○山口分科会長 ありがとうございます。
 西村委員、何かコメントはございますでしょうか。
○西村委員 税理士の西村でございます。
 先ほど皆さん方の新規事業者への説明会でありますとか、賞与のことで努力されているという話を伺いまして、昨年、私が中小企業のお客様の現場ということで、まだまだ理解されている方がいらっしゃらないので、そちらのほうを努めていただければというお願いをして、努力されているというお話を聞きました。その結果として、賞与関係のところが確実に出て、一括請求が減ってきているのではないかなと理解しているところでございます。
 政府で働き方の多様化を今、言っておりますので、これからますますフリーランスの方が起業していったりして、社会保険の加入対象になる企業が増えてくるのではないかと思われます。そういう方たちは、税理士の立場で言いますと、税の知識も乏しい。同じように社会保険の知識も非常に乏しいのではないかと思いますので、先ほど新規の方々にいろいろな説明会をやっているということですから、それをますます充実していただかないと、特に年金は将来の人たちの生活の糧の一つになるわけでございますから、税の世界より年金のほうが各人には密接に結びつくのではないかと思いますので、もっとPRしていっていただければよろしいのではないかと思います。
 この1年間の御努力には頭が下がるところでございますので、今後とも引き続き、よろしくお願いしたいと思います。以上でございます。
○山口分科会長 どうもありがとうございます。
 今、フリーランスとか起業の方への対応ということでお話があったのですけれども、機構でそういった方への働きかけとか積極的な取組として、何かされていることがありましたら、お話しいただければと思います。
○村上日本年金機構厚生年金保険部長 フリーランスと一言で申し上げましても、現在、完全に会社に属していない方につきましては、制度上は厚生年金ではなく国民年金に加入するという制度になっております。一方で、グレーな方といいますか、会社のほうに所属していないフリーランスという方であったとしても、実質的にはその会社にフリーランスという名前の下で給与をもらって、指揮命令系統に属し、労働されている方がおられるということがございます。
 その方々につきましては、制度上は、一見、国民年金のように見えますが、厚生年金に加入すべき方もおられますので、その方々につきましては、厚生労働省の労働部局のほうから情報をいただき、我々のほうで、再度、その事業所のほうに出向きまして、この方は実際は会社の中に所属している従業員の方ではないですかということが判明いたしましたら、厚生年金のほうに加入していただくという試みは、本年4月から行っております。
 
○山口分科会長 ありがとうございます。
 西村委員、よろしいでしょうか。
○西村委員 社会保険、いわゆる厚生年金の加入対象になる方がこれから増えてくる傾向にあるのではないかと思いますので、そういう方々に自覚を持たせるためにも、PRをますますやっていただければ幸いだと思います。よろしくお願いします。
○山口分科会長 どうもありがとうございます。
 野口委員、お願いいたします。
○野口委員 本当にどうもお疲れさまでございました。この数字を見ても、皆様がいかにこれまで長年にわたって御努力されてきて、その成果が如実に現れている結果だと理解しております。
 私は、数年前から加わっただけで、年金の専門家ではないので、本当に何もお役に立てなかったというじくじたる思いもあるのですけれども、1つ伺いたいのは、今、いろいろ問題も起こっておりますけれども、マイナンバーによって、年金もそうですし、所得もそうですし、特に医療・介護等々といったものについて、全て包括的な、困っている方にアウトリーチできるようなシステム、社会全体のシステムみたいなものがつくり上げられればいいな。あるいは、様々な社会保障に関する政策を、こういった統合されたデータによって、いろいろ評価することができればいいなという話を研究者間でしているのですけれども、実際、それは政策評価とか研究面の話ですけれどもね。
 実務的な面で、年金等と非常に関連がある話だと思うのですけれども、マイナンバーの観点から、こういった問題の防止というものを、皆さん、担当の方々はどのようにお考えなのかというのを、ちょっと最後にお聞かせいただきたいなと思います。
 以上です。
○巽年金管理審議官 年金管理審議官の巽でございます。
 年金につきましては、基本的に基礎年金番号で昔から管理しているというところがございまして、それをマイナンバーで全て基礎年金番号に紐付けているということをしております。年金記録問題もあり、年金行政、日本年金機構につきましては、紐付けも含めて、かなりシステム化されているということもございまして、先週でしたか、総点検の政府からの発表がございましたけれども、年金の紐付けについてはかなり正確に進んでいるところでございます。
 今後、マイナポータルとかも含めて、年金情報の入り口というか、申請等についてもマイナポータルを通してできる。あるいは、逆にプッシュ型じゃないですけれども、必要な通知を行うということで、マイナンバーあるいはマイナポータルを通したシステム化というのはどんどん進んでいくと思っておるところでございます。
○水野事業管理課長 追加でございますけれども、今まさに申し上げたとおり、マイナンバーというものは年金行政の中で大事なウエートを占めてございます。昔と比べて大分変わってきたなというところでございまして、例えば住所が変わったという情報。昔は、当然届出が必要でございましたけれども、今はそれが必要なく、それはマイナンバーによって住所情報と連携しているからということであります。あるいは、お亡くなりになった場合、昔は届出が必要でございましたけれども、それもマイナンバーを使って連携しているというところでございまして、私どもの業務、マイナンバーの世界に、恐らく医療とか介護以上に使っている率ははるかに高いのかなと思ってございます。
 御自身の年金の記録につきましても、今、申し上げたマイナポータル、マイナンバーを使って入りますけれども、そこで全ての記録が見れるという形になってございますので、それは御自身の確認というツールも含めて言えば、年金はほぼマイナンバー制度に乗っておりますし、手前みそですけれども、それをかなり有効に活用させていただいている先進的な行政分野の一つではないかなと思っているところでございます。
○山口分科会長 ありがとうございます。
 野口委員、いかがでしょうか。
○野口委員 マイナンバーについては、プライバシーの問題あるいは国民の権利の問題、いろいろと複雑な問題が絡んでおりますけれども、できるだけ行政の実務あるいは政策評価あるいはアウトリーチですね。そういったものに生かしていただければと思います。
 以上です。
○山口分科会長 どうもありがとうございます。
 一通り皆様に御意見等をお伺いしたところですが、全体を通して何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 今回の議論で、冒頭、瀬川委員から関係各制度の運営が適切に行われているというコメントがございました。皆様からも、これまでの関係者の努力と成果についてコメントをいただきました。ただ、課題もございますし、また新しい制度などもありますので、今後さらに御努力をお願いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 本日の議題等は全て終了しました。
 次の日程について事務局から説明をお願いいたします。
○中嶋年金記録審査室長 次回の日程につきましては、後日、また改めて日程調整の連絡をさしあげたいと存じます。
 本日は、大変ありがとうございました。
○山口分科会長 本日の会議はこれで終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。