第158回労働政策審議会安全衛生分科会議事録

労働基準局安全衛生部計画課

日時

令和5年12月13日(水)15:00~17:00

場所

対面及びオンラインにより開催
(AP虎ノ門)
(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル11階)

出席者

会場

公益代表委員
労働者代表委員
使用者代表委員

(五十音順、敬称略)
事務局

オンライン

公益代表委員

労働者代表委員
使用者代表委員
(五十音順、敬称略)

議題

(1)新規化学物質の有害性調査結果について(報告)
(2)「個人事業者等の健康管理に関するガイドライン」の基本的な考え方等(案)について(報告)
(3)その他

議事

議事内容

○髙田分科会長 定刻となりましたので、ただいまから第158回労働政策審議会安全衛生分科会を開催いたします。本日は、公益代表委員の原委員と使用者代表委員の大下委員が欠席しております。本日は、対面及びオンラインの併用により開催することとしていますので、御承知おきください。カメラ撮影等については、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。まず、事務局からオンラインによるZoomの操作方法等について説明をお願いいたします。
○計画課長 事務局です。オンラインで御参加の委員の方々に、Zoomの操作方法等についての御説明をさせていただきます。本日は、ハウリング防止のため、御発言されないときには、マイクをオフに設定をよろしくお願いいたします。また、御発言される場合には、御発言がある旨をチャットに書き込んでいただいた上で、分科会長から指名がありましたら、マイクをオンに設定していただいた上で、氏名をおっしゃってから御発言をよろしくお願いいたします。このほか、進行中、通信トラブルなどの不具合がありましたら、チャットに書き込み、又は、事務局にメール等にて御連絡を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。以上となります。
○髙田分科会長 それでは、議事に入ります。議題(1)「新規化学物質の有害性調査結果について(報告)」について、事務局から説明をお願いいたします。
○化学物質評価室長 化学物質評価室長の藤田と申します。よろしくお願いいたします。それでは、資料1に沿って御説明をさせていただきます。資料1を御覧ください。新規化学物質の有害性調査結果についてです。2ページを御覧ください。まず、1.新規化学物質の有害性の調査についてです。
 1つ目のポツを御覧ください。化学物質による労働者の健康障害を防止するため、新規化学物質(既に厚生労働省で物質の名称等を公表していたり、厚生労働省で定められているもの以外のもの)を製造又は輸入する事業者は、労働者の健康に与える影響についての調査を実施して、厚生労働大臣に届け出なければならないとされております。2つ目のポツを御覧ください。厚生労働大臣は、新規届出があった物質について、名称等を公表する、つまり、、新たに名前を付けて官報や厚生労働省が持っている職場の安全サイトに公表する、とともに、有害性調査結果について学識経験者の意見を聴いて、必要に応じ、届出事業者に対し健康障害防止措置を講ずべきことを勧告することができるとされております。
 2.学識経験者の意見の概要です。「新規化学物質の有害性の調査結果について学識経験者の意見を聴いたときは、その内容」を名称の公表後「1年以内に、労働政策審議会に報告するものとする」こととされております。本日は、この御報告となります。毎年、この時期に御報告させていただいている案件となります。こちらの報告対象は、令和4年12月27日から令和5年9月27日までに、官報に名称が公表された新規化学物質636物質となります。
 今回、対象となる期間に届出があったものは748件でしたが、重複等がありましたので、そちらを整理して名称を公表したのが636物質となっております。この636物質につきまして、先ほど申しました有害性調査の結果を学識経験者に送って見ていただいたことになります。この学識経験者につきましては参考資料1に一覧が載っておりますので、そちらを御覧いただければと思います。また、この有害性調査ですが、ここで言う有害性調査は主に生物の細胞の中にあります遺伝子に突然変異を起こすかどうかといったことについて、微生物を用いて試験をしております。これを学識経験者に送って意見を求めた結果は以下のとおりとなっています。
 ①です。届出した事業者に対し、健康障害防止措置、これは例えば保護具を着用してくださいと言ったことを勧告することが必要だったもの、これについては該当がありませんでした。
 ②です。先ほど申しましたように遺伝子に突然変異を起こすかどうかという変異原性が認められると判定された物質につきましては、今回は18物質ありました。この18物質につきましては参考資料2に一覧が載っておりますので、そちらを御覧いただければと思います。
 ③です。この②に該当した18物質につきましては、指針に基づく措置を実施することが妥当とされております。この指針は、参考資料3に付けておりますので、そちらを御覧いただければと思います。
 なお、この下の3行にその内容が書いてありますが、変異原性が認められた化学物質を製造し、又は取り扱う作業に関し、当該物質へのばく露による労働者の健康障害を防止するため、事業者が、(ア)作業環境管理・作業管理、(イ)作業環境測定、(ウ)労働衛生教育、(エ)危険有害性等の表示等を講ずるように規定しているものです。この事業者に対して、あなたの所の物質は変異原性が認められましたので指針に基づいて、措置を講じてくださいと言った通知を発出したところです。
 下の※を御覧いただきますと、②に該当した18物質につきましては化学物質を取り扱う関係団体及び厚生労働省の出先機関であります労働局の労働局長に対して、18の物質のリストと指針を添えまして、指針に基づく措置に関する周知要請をお願いする通知を発出したところです。資料の説明は以上です。
○高田分科会長 御説明ありがとうございました。本件につきまして質問、意見等のある方は会場の委員につきましては挙手を、オンライン参加の委員につきましては御発言がある旨、チャットに書き込みをお願いいたします。まず、会場の委員で御質問、御意見のある委員はいらっしゃいますか。増田委員、お願いいたします。
○増田委員 御説明ありがとうございました。内容について異議等はございません。1点確認させてください。新たな化学物質管理、自律的な化学物質管理への転換が進められておりますが、変異原性が認められた物質についても自律的な化学物質管理の対象物質として、各事業場において管理していくことになるのでしょうか。それとも参考資料3の指針の内容で別途管理していくことになるのでしょうか。その棲み分けについて確認させていただければと思います。
○高田分科会長 ありがとうございます。出口委員お願いいたします。
○出口委員 御説明ありがとうございます。資料1の2の学識経験者の意見の概要について確認させていただきます。報告対象となりました新規化学物質の636物質、変異原性が認められた18物質につきましては、リスクアセスメントの対象物質に該当するのでしょうか。また、変異原性が認められた化学物質を製造し、又は取り扱う作業に関し、事業者が講ずるべき規定として、(ア)から(エ)が記載されておりますが、関係団体等に対し周知要請を通知されたとのことですが、この通知された以外の団体がある業種や職種につきましては、使用することがない化学物質だと認識させていただいてよろしいのでしょうか。確認いたします。
 また、議題のその他で、化学物質の関連ではございますが、建設業といたしまして化学物質規制に関する要望をさせていただきたく、よろしくお願いいたします。
○高田分科会長 出口委員、もし化学物質関係でございましたら今、御発言いただいてもかまいません。よろしいですか。ほか、会場の委員からはございますでしょうか。オンラインの委員で御意見、御質問はございますでしょうか。今のところ書き込みは特にないということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。そうしましたら増田委員と出口委員の御質問等につきまして、事務局から回答をお願いいたします。
○化学物質評価室長 それでは回答いたします。増田委員と出口委員からあった点で、自律的管理の対象となるのかというのと、それからリスクアセスメントの対象となるのかという同じ質問かと思いますので、合わせて御回答いたします。今回、対象となった18物質ですが、これは新たな物質で、GHSの危険性の分類等がありません。自律的管理の対象物質とか、それからリスクアセスメントの対象物質については、国のGHS分類があるものと規定されていますので、新たな18物質、それからこれまであったものでGHSの分類がないもの等については、指針に基づいて管理を行っていただくということになっています。
 それから、通知した以外の団体のところで使わないのかという御質問が出口委員からありましたが、今回の物質ですが、中間物等が多くなっており、化学物質を製造するところでは医薬品等が多くなっておりますので、通知した団体以外のところでは使われないものと認識しております。以上です。
○高田分科会長 ありがとうございます。今の回答について増田委員、出口委員から追加で何かございますか。増田委員お願いいたします。
○増田委員 御説明ありがとうございました。GHS分類に掲載されるかどうかが肝だということで理解しました。では、仮にGHS分類に掲載された後はどうなりますでしょうか。自律的な管理の余地があるのかどうか、言い換えれば事業者がリスクアセスメントを実施した結果と、この参考資料3の指針のどちらが優先されることになりますでしょうか。
○高田分科会長 事務局から回答をお願いいたします。
○化学物質対策課長 私のほうからお答えいたします。こちらについてはGHS分類に分類されまして、分類された時期によるのですが、政令のほうで規定されますと、いわゆる通知物質ということになりますので、その段階でリスクアセスメントの対象物になるということになります。その時点で基本的に変異原性の指針のほうから抜けて、いわゆる従来の、現在進めている新たな自律的管理のほうに移行するという形になるということになります。
○増田委員 分かりました。ありがとうございました。
○高田分科会長 ほかはよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは事務局から御説明いただきました方針で進めていただくことにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 続いて議題(2)「個人事業者等の健康管理に関するガイドライン」の基本的な考え方等(案)について(報告)に関して、事務局から説明をお願いいたします。
○産業保健支援室長 労働衛生課産業保健支援室長の大村です。それでは資料2の「個人事業者等の健康管理に関するガイドライン」の基本的な考え方等(案)につきまして、説明をいたします。スライド2を御覧ください。ガイドラインの基本的な考え方(案)について、御説明をいたします。はじめにガイドラインの性格(案)についてです。厚生労働省では、本年10月27日に「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会」報告書を公表しております。この「個人事業者等の健康管理に関するガイドライン」(仮称)ですが、この検討会報告書をもとに、個人事業者等が健康に働くために、個人事業者等が自身で行う事項、個人事業者に仕事を注文する注文者又は当該仕事を管理する者、ここにはプラットフォーマーも含まれます。この「注文者等」が行う又は配慮する事項等を周知することで、それぞれの立場での自主的な取組を促すことにつながります。
 今、御説明をしております資料2についてですが、この検討会報告書に記載されております内容のうち、原則としましては、今後厚生労働省が策定をいたします個人事業者等の健康管理に関するガイドラインにおきまして、盛り込まれる内容等を抜粋してお示しをしております。また、各業種・職種に適切に対応するために、各業種・職種に注文者等や個人事業者等の団体に対しては、個人事業者等の健康管理に資する取組を期待されるものといえます。その際に、各業種・職種の注文者等や個人事業者等の団体が、本ガイドラインを参考にしまして、それぞれの業種・職種の実情や商習慣に応じた業種・職種別のガイドラインを必要に応じて策定することも考えられるということです。
 スライド3です。本ガイドラインにおける個人事業者等の健康管理の基本的な考え方について説明をいたします。個人事業者等の健康管理の取組には、4つの主体があります。個人事業者等による取組、注文者等による取組、個人事業者等及び注文者等の関係団体による取組、国による取組の4つです。
 個人事業者等は、自ら事業を営む事業者等でありますので、健康管理につきましては、自らで行うことが基本となっております。こちらにつきましては、検討会報告書別添2を踏まえて記載をしております。個人事業者等による取組としては、心身に配慮して働くことや健康な生活習慣の重要性に対する関心と理解を深め、自らの健康状態を自覚し、心身の健康保持増進に努めることが挙げられます。
 また、注文者等による取組としまして、注文条件等や作業環境が個人事業者等の心身の健康に影響を及ぼす可能性もありますので、その影響の程度に応じまして、注文者や作業環境を管理する者が必要な措置を講じることが挙げられます。
 さらには個人事業者等や注文者等が加入する業種・職種別の団体や、仲介業者、この仲介業者にはマッチングを行う者も含まれますが、これらの関係団体等による取組として、今申し上げた個人事業者等や注文者等による取組を円滑に実施することができるよう必要な支援を行うことが挙げられます。
 最後に、国による取組としまして、個人事業者等の健康管理を支援するための取組を行うことがあります。
 スライド4です。「個人事業者等自身が取り組む」事項の方向性(案)について説明をいたします。個人事業者等自身が取り組む定期的な健康診断の受診による健康管理についてです。保険者が実施する特定健康審査等の活用による年1回の定期的な健康診断やその結果に基づく必要な精密検査や医療機関における受診が含まれます。特定の危険有害な業務につきましては、特殊健康診断等同様の健康診断を受けること及びその結果に基づく必要な精密検査や医療機関における受診が含まれます。
 続きまして、個人事業者等自身が取り組む、長時間の就業による健康障害の防止についてです。就業時間の把握及び睡眠・休養の確保も含めた体調管理を行うこと。就業時間が長時間になりすぎないようにすること。就業時間や疲労蓄積度をチェック・記録できるアプリなど、ツールを活用することにより、長時間就業による疲労の蓄積があると感じる場合に医師による面接指導を受けることが含まれます。
 スライド5です。個人事業者等自身が取り組むメンタルヘルス不調の予防についてです。定期的なストレスチェックを実施すること。高ストレスと判定された際の医師による面接指導、看護職、心理職等への健康相談を受けることが含まれます。
 続きまして、個人事業者等自身が取り組む腰痛等の筋骨格系疾患等の防止についてです。自らが就業する場所における適切な作業環境を確保すること。長時間の座り作業や運転業務の際の作業姿勢、適切な椅子等の調整、休憩等を行うこと。情報機器作業を行う際の明るさ等の調整、健康診断を行うことが含まれます。
 続きまして、個人事業者等自身が取り組む個人事業者等のヘルスリテラシーの向上についてです。自らの健康管理に対する意識を向上することが含まれます。
 続きまして、個人事業者等自身が取り組む注文者等が実施する健康障害防止措置への協力についてです。注文者等が作業者の健康障害を防止する観点から定めたルールにしたがうことが含まれます。
 スライド6です。「個人事業者等に仕事を注文する注文者等が取り組む」事項の方向性(案)について説明をいたします。注文者等が取り組む長時間の就業による健康障害の防止についてです。注文者等は、個人事業者等の安全衛生を損なうような長時間就業とならないよう期日設定等に配慮を行うこと。注文者等から依頼される業務の性質上、就業時間が特定される場合、例えば、注文者等が1日に配送する荷物量を指定するなど、注文者等が日々の業務量を具体的に管理・指定しているようなケースがありますが、就業時間が長時間である個人事業者等から求めがあった場合には、注文者等が医師による面接指導を受ける機会を提供することが含まれます。
 続きまして、注文者等が取り組むメンタルヘルス不調の予防についてです。安全衛生を損なうような就業環境、就業条件を付さないように配慮すること。労働施策総合推進法、フリーランス・事業者間取引適正化等法に基づく措置によるパワーハラスメント等を防止することが含まれます。
 続きまして、注文者等が取り組む健康診断の受診の促進についてです。注文者等が個人事業者等に対し、安全衛生教育や健康診断に関する情報提供や受講・受診機会を提供するよう配慮を行うこと。ここでは危険有害業務に従事する者への、健康障害リスクや健康障害防止対策に関する情報、知識の共有の方針についても含まれるところです。
 スライド7です。注文者等が取り組む健康診断の受診の促進の続きです。労働者であれば、特殊健診が必要となる業務を反復・継続して個人事業者等に注文する注文者は、請負契約に当該健診費用を安全衛生経費として盛り込むこと。個人事業者等が専ら一者から注文を受けた仕事のみを行っているような場合であって、①契約期間が1年を超えるような場合、②1年を超えない契約期間の請負契約を繰り返し締結しているような場合について請負契約に一般健診費用を安全衛生経費として盛り込むことが望ましいこと。個人事業者等が作業を行う場を統括する者、建設工事の元方事業者や製造工場の事業者などが該当しますが、安全衛生教育の受講や健康診断の実施状況を確認すること、当該者が協力会社などにその確認を委任することも可能とすること、運用面について配慮を行うこと。こういうことが含まれます。
 注文者等が取り組む作業環境による健康障害等の防止についてです。注文者等から依頼される業務の性質上、就業場所が特定される場合には、当該就業場所の適切な環境確保のために、室内の温度管理など必要な措置が講じられていることを確認することが含まれます。
 最後になりますが、今後のスケジュールについて御説明をいたします。厚生労働省におきましては、これより個人事業者等の健康管理に関するガイドラインの策定に向けまして、御意見等を踏まえまして、必要な作業に着手をいたします。また、改めて安全衛生分科会におきまして、このガイドラインに係る御説明をさせていただくという予定にしております。なお、早ければ年度内でのガイドラインの公表をも視野に入れまして、速やかに所要の作業を進めてまいりたいと考えております。私からは以上です。
○髙田分科会長 御説明ありがとうございました。本件について、御質問、御意見等のある方は会場の委員については挙手を、オンライン参加の委員については御発言がある旨をチャットに書き込みをお願いいたします。まず会場の委員で御発言のある方はいらっしゃいますか。鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 御指名ありがとうございます。ガイドラインの方向性(案)は全体として、「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会」の報告書に沿ったものだと理解しました。その上で若干の質問とコメントを述べたいと思います。
 資料2ページの2つ目の○にある「当該仕事を管理する者」というのは、労働安全衛生法で明確な定義のない新しい概念ではないかと思います。今後、ガイドラインの策定に当たり、当該仕事を管理する者の具体例を盛り込んでいただく、あるいは注文者や発注者といった既存の概念との違いを分かりやすく整理いただけると有り難いと思いますので、御検討をお願いいたします。
 また、当該仕事を管理する者には、プラットフォーマーも含むと記載されています。フリーランス新法では、業務委託を受けたプラットフォーマーが特定受託事業者に再委託を行う場合、プラットフォーマー自身も新法の適用対象になる扱いになっているかと思います。一方、仕事のマッチングの場を提供するだけのプラットフォーマーは規制の対象外になると理解していますが、新法の対象外となるプラットフォーマーはここでいう当該仕事を管理する者にも該当しないという理解でよろしいのか、事務局に確認させていただきたいと思います。
 次に4ページの一番下のポツです。長時間の就業による健康障害の防止対策として、就業時間や疲労蓄積度をチェック・記録できるアプリを個人事業者等が活用する旨の記載があります。健康管理は個人事業者自身が行うことが基本ですので、このアプリを個人事業者等に広く普及させることが重要と考えています。そこで、行政機関、あるいは業種・業態別の団体等からの周知に加え、あらゆる機会を捉えて普及に努めていただきたいと思います。御案内のとおり、今般のフリーランス新法により、特定受託事業者に業務委託を行った事業者は、給付の内容や報酬の額等を書面や電磁的方法で明示することになりました。今後、政府内で取引条件を明示する書面のひな型のような資料を作成する機会があれば、その中に健康管理のアプリに関する記載を盛り込むことを御検討いただきたいと思います。
 最後になります。7ページの上から2番目のポツにおいて、一般健診費用を安全衛生費用として請負契約に盛り込むことが望ましいケースとして、個人事業者等が専ら一者から注文を受けた仕事のみを行っているような場合が条件として付されているところです。検討会でも議論があったと記憶していますが、専ら一者から注文を受けているかどうかに関して、報告書では注文者が業務量や業務内容から判断するという趣旨で書かれていたと思います。ガイドラインを具体化する際には、業務量や業務内容から判断するという文言だけでは少々伝わりにくいのではないかと思いますので、こちらも分かりやすい記載を御検討いただきたいと思います。
 その上で、どのような場合に、業務量や業務内容から、専ら一者から注文を受けていることになるのか、事務局でイメージをお持ちであれば、改めてお教えいただきたいと思います。私からは以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ほかにありませんか。山脇委員、お願いいたします。
○山脇委員 事務局から示された内容については、参考資料4の検討会報告書のうち、まず過重労働、メンタルヘルス、健康確保等の対策から議論を開始するということと、これらについてガイドラインとして取りまとめたいという考えだと受け止めています。前回の分科会で労働側の門﨑委員からも発言があったとおり、労働側としては個人事業者が安全、安心に働くことができる環境を一刻も早く整備する必要があると考えおり、少なくとも報告書で示された全ての項目について早急に実行に移していくべきというスタンスです。
 1点目は、複数ある項目から、健康管理を最初に議論することにした背景・理由、この健康管理以外について、今後どのようなスケジュールで議論するのか伺いたいと思います。
 また、具現化にあたって重要なことは健康管理の実効性をいかに確保していくかだと思っています。例えば、資料3ページの1つ目の○にあるように、個人事業者は自ら事業を営むという性格上、「自ら健康管理を行うことが基本」ということに大きく異論はありません。しかし、○の2つ目の記載のとおり、注文者等も心身の健康に影響を及ぼす可能性があるということを踏まえれば、注文者等が果たすべき役割も大きいと思っています。6ページ、7ページに記載のある「注文者等が取り組む事項」は、どれも大変重要だといえますが、その中で例えば、6ページの一番上の「長時間の就労による健康障害の防止」のポツの1つ目の「長時間就労とならない期日の設定」や「メンタルヘルス不調の予防」の1つ目のポツの「安全衛生を損なうような就業環境、就業条件を付さない」ことについてはそれぞれ「配慮を促す」だけではなく、何らかの措置を講じていくことが望ましいと考えるところです。仮に「配慮を促す」にとどめるにしても、実態としてどのように実効性を確保していくのか考えを伺いたいというのが2点目です。
 3点目は、やや細かい点となりますが、今回取りまとめるに当たっては、既に労働者を対象として策定されている各種指針、ガイドラインを引用してはどうかということです。例えばVDT作業における労働衛生管理のためのガイドラインや、あるいは他省庁で出されている関連のガイドライン等もありますので、こうした関連する指針なども引用する形で内容の豊富化を図っていただきたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。宮内委員、お願いいたします。
○宮内委員 大変すばらしいガイドラインができるということで、私は嬉しく思っています。特に今回、個人事業者という方々が今まで余り教育を受けたことがないということを前提にしますと、健康管理に関する知識等が十分でない中でガイドラインを出すことになります。そして、それを実行してもらうことになります。個人事業者のヘルスリテラシーの向上についての提案が出ていますが、非常に重要なポイントだと思います。正にこれが向上することで自律的に動き、しっかりやっていく方向になると思います。そのための、ある程度の方向付けということで、いろいろな案が今回、出ています。その中でインセンティブ、若しくは良好事例を具体的に示して、イメージがつかみやすいようにしていくことが非常に重要だと思います。
 それから、現在、規則等で決まっているようなことだけではなくて、これから特に労働者の高齢化の問題などが出てきます。たとえば高齢者の明るさや聴力の問題等、これから絶対に対応が必要な内容になりますので、そういうことも含んで、是非、分かりやすいものを提供や支援をいただけたらと思いました。
 また、作業環境に関して言うと、ここには部屋の温度、気積、照度等が記載されていますが、特に自分で作業場所が選べないで、そこで働かなくてはいけない、または働く場所が毎日変わるような方々も非常に多いと思います。その中で対応していかなくてはならないものとして、例えば騒音などがあると思います。そういったものに対する保護具は、自分のほうで事前に用意していくのか、若しくは発注元が用意するのかを決めることや、障害に対する予防情報をしっかりと発していく仕組み作りが重要と思っています。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。出口委員、お願いいたします。オンラインの委員の先生、この後、御指名しますのでお待ちください。
○出口委員 出口です。よろしくお願いします。検討会報告書を踏まえまして、ガイドラインを検討して作成していただくことに、異論等ございません。その中で確認及び要望をさせていただきます。
 資料2の2ページ、3つ目の○に個人事業者等の団体に対して取組を期待、3ページの3つ目の○には関係団体等による取組を円滑に実施できるよう必要な支援を行うとあります。その中でプラットフォーマーや団体がない業種での周知や支援をどのようにお考えでしょうか。2ページ、3つ目の○には業種・職種の実情等に応じた業種・職種別のガイドラインを必要に応じて策定することも考えられるとありますが、ガイドラインだけではなく、団体等がない業種・職種に対する団体設立に関する支援等も是非、検討を実施していただきたく、現時点での方向性やお考えについてお伺いできる範囲で結構ですので、確認させていただきます。
 次に要望といたしまして、4ページ、2つ目の○の長時間就業による健康障害の防止のポツ3に、就業時間や疲労蓄積度をチェック・記録できるツール(アプリ)等の活用及び5ページのメンタルヘルス不調の予防にある高ストレスと判定された際の医師による面接指導、看護職、心理職等への健康相談を受けるというものがあります。そして、こちらのアプリに関して、どのようなアプリなのか調べてみました。しかし、このアプリがどこにあるのか分からず、結局、事務局に教えていただく結果となりました。
 実際にこのアプリがどこにあったのかと申しますと、厚労省のホームページから政策に行きまして、その後、分野別の政策一覧、雇用、労働、そして労働基準、政策情報、そして労働時間、休日、を経由してやっとマルチジョブ健康管理ツールにたどり着きました。また、このアプリの評価レビューの記載がありましたが、2.1という評価で低く、この評価は令和2年の2020年12月2日にされています。コメントは7件のみ。恐らくこのアプリをダウンロードされた方は、それほど多くないのではないかと考えられます。検索機能もヒットしませんでした。これだけ分かりにくいところに掲載されると、誰も分からないし、見ることもないのではないでしょうか。また、幾らよいものを作っても、それらが届かない。周知、展開されない、と使われませんし、促されることもないと思います。
 以前から分科会でも発言させていただいていますが、周知、促進、啓蒙するならば、該当する当事者に届けなければ意味がありません。確実に届け、展開し、一定期間には評価、見直しを掛けて、改善していただき、使用される方が使いやすく分かりやすいものとしていただくようにお願いいたします。
 また、メンタルヘルス不調の予防の健康相談ですが、大きな企業では産業医等が常駐しましてメンタル不調の労働者をサポート、支援しています。しかし、個人事業者等にはそのような母体はありません。また、受けろと言われても、どこにどのような医療機関、心療内科等があるのか分かりません。日々、忙しく生活のために働き、健康が後回しになるパターンが多いと聞きます。これらを回避し、受診、健康促進のためにも厚労省のホームページ等にて診療機関の案内や相談窓口を設けてみるのはいかがでしょうか。使いやすい、分かりやすい支援や取組となり、利用する個人事業者等も増えるのではないでしょうか。個人事業者等と、限定しなくてもよいかもしれませんが、どうか先ほどのアプリと同様に御検討、改善を継続して実施していただくように要望いたします。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。そうしましたら、オンラインの先生方を指名させていただきます。新屋敷委員、お願いいたします。
○新屋敷委員 ありがとうございます。3点あります。1点目が、既に御意見がありましたが、最初のスライドの2枚目の、私も当該仕事を管理する者という言葉が、かなり広い言葉であり、また新しい言葉であると思いますので、具体的に分かりやすくお示いただけると大変有り難いと思いました。
 次が少し飛びますが、スライドの6ページです。長時間の就業による健康障害の防止ということで、趣旨自体には大変賛成なのですが、ポツの2つ目に「注文者等から依頼される業務の性質上、就業時間が特定される場合は」といった記載があります。こうした就業時間が特定される、就業場所が特定されるなど、そういったことが認められるものというのは、ある意味、労働者性が肯定される面もあるように思います。ここに記載されていることをやっているからと、あなたは個人事業主なのだからという形で、注文者等が好意でだとは思いますが、医師による面接指導を受ける機会を提供するといったことがあっても、そういうことがあったからといって、労働者である者を個人事業主であるというような扱いがなされないように労働者である場合には、きちんと労働者として、やはり安衛法上の義務を注文者等が果たしていくべきだということは、しっかりガイドラインの中でもこういうことをやっているからといって、必ずしも労働者を個人事業主として扱って、それで問題ないというようなことではないのだということをしっかりと確認を頂きたいと思っています。これが2点目です。
 3点目が、スライドの4枚目です。先ほどから議論がありますアプリの件です。こちらのアプリを誰が提供するのかということになるのかなと思いますが、5枚目のほうでは注文者等が実施する健康障害防止措置への協力といったことなどもあり、注文者等と個人事業主等が協力して個人事業主等のヘルスケアをやっていくことになるのかなと理解しています。そうすると、そのアプリを必ずしも厚生労働省のツールを使うだけではなくて、注文者等が提供するといったこともあるのかなと考えました。
 それがむしろガイドラインの方向性としては、促進されるというようなか側面があるのかなと思いますか、その場合に個人情報を健康情報というかなり重要な情報を、どんどんアプリに登録したりすることによって、プラットフォーマー等が個人事業主の健康情報をどんどん取得するということが可能になるということにもなりかねないかと思います。諸外国では、そうした健康情報によって仕事の機会を失ったり、差別的な取扱いをマッチングの面でされてしまうといった例が既に報告書等で見られるところです。個人情報の取扱いについて、一定の何か指針のようなものがないと、かえって危険な面があるのではないかというふうに危惧しました。その点についても、少しガイドラインのほうで対応いただければと思いました。以上、3点です。ありがとうございます。
○髙田分科会長 ありがとうございました。続きまして熊﨑委員、御発言をお願いいたします。
○熊﨑委員 熊﨑です。御説明ありがとうございました。聞こえますでしょうか。
○髙田分科会長 聞こえております。大丈夫です。
○熊﨑委員 ありがとうございます。既に御発言された何人かの委員の御意見とかぶる面もあるかもしれませんけれども、一点コメントさせていただきます。安全な職場のために注文者の取組のみならず、個人事業者からの適切な求めも時によっては非常に重要だと思います。
 最近、特に就業状態が多様化してきており、これまで以上に労働者として就業した経験がない個人事業者の方も多くなるかと思います。そのような方々は適切な安全衛生教育を受ける機会がないので、どういったことが不安全であるか、健康被害につながるかといった基本的知識がない可能性があります。そのためにもアプリやガイドラインの整備は重要で、十分に活用することは重要ですが、アプリやガイドラインを活用するにも力量が必要な場合もあると思います。
 力量を高めるのに役立つように、安全衛生に関わる理論というか、根幹となるような考え方を整備して、そして提供するような機会の設定、教育などを利用して安全衛生の知識ですとか理論を知らない方を一掃するような取組も併せて考慮いただきたいと思っております。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。砂金委員お願いいたします。
○砂金委員 砂金です。聞こえますでしょうか。
○髙田分科会長 聞こえております。
○砂金委員 御説明ありがとうございました。今回の御提案の取組についての方向性には賛同いたします。今まで再三先生方からの御指摘もありましたが、どこまでの方を対象とするのかによって効果が大分変わる取組になるのではないかと感じました。例えば、フリーランスの方はどうするのか、また、この会議上でも話題に出ておりました一人親方に対してはどうするのかといったような議論も必要であると感じております。
 実際、実を伴う着実な取組を進めるための手法については、今回のスライドの3ページ目最後にある個人事業者等の健康管理を支援するための取組を国が行うといったようなところに対して、御記載にあるとおりガイドラインの検討と併せて進めていただくのがいいのではないかなと感じました。以上です。どうぞよろしくお願いします。
○髙田分科会長 ありがとうございます。では引き続き、会場の委員で及川委員お願いいたします。
○及川委員 来年の今頃にはフリーランス新法が施行されています。そういった中で今のタイミングでこのようなガイドラインの作成に向けて取り組んでいただきましたことに深く感謝申し上げます。中小企業の立場から幾つかコメントをさせていただきたいと思います。
 3ページにあります下から2番目の○ですけれども、必要な支援ということですけれども、ハード的な支援もあり、ソフト的な支援もあると思います。中小企業にはハードも重要なのですけれども、割合助言ですとか相談、専門家派遣といった、そういったソフト的な支援を喜ばれる方も多くございます。どんな必要な支援を考ているのか教えていただければと思います。
 下の○の所に国による取組というのがあります。中小企業にとっては地公体が大変身近な行政でもありますので、国を含めて都道府県あるいは市町村というところも連携して取り組んでいただければ、中小企業にとっても大変幸いです。4ページ一番下のアプリについて何人かの委員から御意見がありましたけれども、このアプリを聞いて私どもキャッシュレス化ですとか、インボイスのときにどのアプリを使ったらいいのかという、大変多くの相談が寄せられて、支援現場が混乱したというのがあります。そういった現場が混乱することのないようなアプリ推進ということが重要かなと思っております。要はなかなか中小企業にとってはどういうことを選んだらいいのか分からないということだと思います。
 それから最後に6、7ページに注文者等はという言葉があります。この注文者等の中には中小、小規模事業者も入ってまいります。そういった中でどういうことが必要で、どういうことが期待されるのかということが重要になってくると思います。中小、小規模事業者に寄り添った広報、支援、御案内をしていただけますようお願い申し上げます。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。そうしましたらお待たせしました。山口委員、お願いいたします。
○山口委員 皆様のご意見と共通する所があるかもしれませんが、やはりこのガイドラインに基づく各施策の実効性の確保が重要だと考えています。個人事業者は独立性が高く、事業者と対等に交渉することが可能な者ばかりではありません。雇用類似の働き方とか、さらには経済的従属性が高く、より立場の弱い者も多くおり、注文者等の意向に逆らえず、かなりの長時間就業を強いられることも少なくないと聞いています。
 こうした実態を踏まえますと、個人事業者自身の取組だけではなく、注文者の取組も大変重要と考えますので、注文者が取り組む事項に関して、2点申し述べたいと思います。
 1点目は6ページの「長時間の就業による健康障害の防止」の2つ目のポツですけれども、「就業時間が特定される場合、個人事業者等から求めがあった場合には、注文者等が医師による面接指導を受ける機会の提供」とあります。同様の事例で対象が労働者である場合には、面接指導の後に、医師の意見に応じた事後措置が採られることとなりますけれども、個人事業者等の場合、単に面接指導の機会の提供で終わってしまって、後は個人事業者が自主的に調整するということになってしまうと、実効性の確保というのは難しいのではないかと考えます。必要な場合には、事後措置のような形で業務量を調整する、納期に自由度を持たせるなどの配慮がなされて、初めて実効性が確保されるのではないかと考えています。
 2点目は、7ページの「健康診断の受診の促進」の2つ目のポツ、「専ら一者から注文を受ける場合」の文末の部分ですけれども、「請負契約に一般健診費用を安全衛生経費として盛り込むことが望ましい」とされております。まずは一般健診費用が安全衛生対策への必要経費として、請負契約に含めることが当たり前となるような環境整備を図っていくことが重要ではないかと考えています。
 また、専属的に一社から仕事を請け負わない場合であっても、委託した業務量に応じて一般健診費用の一部を安全経費として契約に盛り込むような形にするということが望ましいと考えていますので、そういった観点からもガイドラインへの盛り込み等を検討いただければと考えています。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。増田委員お願いいたします。
○増田委員 増田です。ガイドライン案についての御説明、ありがとうございました。前回のこの分科会でも少し申し上げましたように、まず既存の法令との整合性、事業者に実施義務が課せられている範囲などにつきましては、適宜御確認いただければと思っています。その他、気付いた点をいくつか申し上げたいと思います。
 資料2の3ページの個人事業者等による取組は、いわゆる自己保健義務が原則ということが記載されていて、その点については疑義はありませんが、現行の労働安全衛生法令にいわゆる自己保健義務を明確に規定した条文がないように思いますので、内容については少し具体的にお示しいただくとよいのではないかと思います。
 後は5ページのメンタルヘルス不調の予防の、医師による面接指導と、先ほども出口委員からもその重要性について御意見がありましたが、企業の産業医による面接指導と同様の内容の面接指導が受けられれば理想的なのですが、個人事業者等が会うことができる医師と言うのは、往々にして病院やクリニックの医師でして、保険診療ではない面接指導を飛び込みで受けるというのは困難だと思います。
 例えば、体調チェック表のセルフチェックで該当する場合には、医療機関を受診しましょうといった内容にするのが現実的だと思いますので、御検討いただければと思います。その下の腰痛等の筋骨格系疾患等の防止でも、そちらで3つ項目を挙げていますが、健康障害の対策は、労働衛生の3管理、作業環境管理、作業管理、健康管理の順番に実施するのが標準で、おおむねその順番で記されているのですが、3つ目の黒丸のところになぜか作業環境管理の内容が記載されていますので、ガイドラインでは1つ目の黒丸に含める形でお示しいただくとよいと思います。
 後は6ページ、長時間の就業による健康障害の防止、こちらでも医師による面接指導が出てくるのですが、実施する場合の所要時間と費用の負担をどうするかについての考え方がしばしば問われることになると思いますので、お示しいただくとよいのではないかと思います。
 後は7ページ、健康診断の受診の促進の1つ目の黒丸の所、「反復・継続して」とあるのですが、具体的な基準が課題になると思います。労働者に対する特殊健診の適否につきましても、「常時」としか示されていないものがほとんどだと思いますので、何らかの目安があると現場で浸透しやすくなるのではないかと思います。
 そして最後の作業環境による健康被害等の防止の必要な措置として例示されているものは、これは全部事務所則のものだと思います。実際にはもっと健康障害を回避するためのものがあると思いますので、ガイドラインにおきましてはそういった内容のものもお示しいただいたらいいのではないかと思いました。私からは以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。続きまして、矢内委員お願いします。
○矢内委員 矢内です。今までの意見と重複するところも多いのですが、実効性といった部分では、やはり個人事業主等の方がこういったガイドライン、仕組みについて正しく情報を得ることが重要と考えます。アプリや周知方法、リテラシーのところでの啓発など、具体的な周知方法を是非考えていただければと思います。
 また、参考資料4の6ページでは長時間勤務やメンタルヘルス不調による、医師による面接指導を現在受けたことがない方が97%と報告されています。そういった方に情報が行きわたり実際にアクションを起こそうとしたときの受皿も非常に大事になってくると思います。
 労働という視点を持った上で、医師面接ができるような形など並行して受皿の確保もやっていただければと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 先ほど山口委員から、健康診断の費用負担について、一者からではなくても、注文を受けた場合には費用の一部を契約の料金に盛り込む形が望ましいことをガイドラインに入れてはどうかという御意見があったところです。検討会の報告書の内容を超える御提案であることと、強調したいのは、やはり必要性の高いケースに特化してレコメンドしておくことが実行性を高めることにつながると思います。私自身は山口委員とは別の意見を持っていることを申し添えたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。天沼委員、お願いいたします。
○天沼委員 在り方検討会の内容に即した内容なので、この書かれている内容については異論等はございませんが、1点だけ、これまでもほかの委員からも教育の重要性についていろいろ御意見があったわけですけれども、在り方検討会の中においても、特定の危険有害な業務においての安全衛生教育、そして、特殊健康診断といったところでの実施を促す内容となっていたということで、今回の報告においては、注文者等における確認ということがうたわれていて、併せて、セットで個人事業者等の自身が取り組むというところにもこういった方向性を示していただいて、より実行性が上がる結果につながればいいなということで意見をさせていただきます。
○髙田分科会長 ありがとうありました。ほかはよろしいでしょうか。たくさんの御質問と御意見になってしまいましたが、事務局のほうから回答をお願いいたします。
○産業保健支援室長 お答えさせていただきます。多くの先生方から様々な角度からの御指摘を頂戴し、誠にありがとうございます。今、記録した中で漏れもあると思いますが、順次、お答えさせていただきたいと思います。大きな話として4点に整理できるのではないかと思っております。
 1つ目として、今回、検討会報告書を抜粋した形でお示ししていますが、それをガイドラインの本文化する際に、より詳しく、より明確に書くべきだという御指摘がありました。これについては、検討会報告書で表現されている部分については、それに即し、また、それではなかなか表現として十分と言えない場合については、各々、書きぶりについては調整、検討をしていきたいと思っております。
 2つ目として、情報提供や周知あるいは教育についての御指摘がありました。情報提供については御指摘のとおり、非常に重要な部分だと認識しております。厚生労働省においては、行政による周知を通じて、しっかりとガイドラインの周知を進めてまいりたいと思います。また、ホームページへの情報掲載においても、先ほどアプリの点で御指摘がありましたが、現行の厚生労働省のホームページ掲載情報についても、なかなか情報の場所までたどり着けない、あるいは使い勝手がよろしくないという御指摘がありましたので、この辺りを含めて、より使いやすい情報提供についても考えていきたいと思います。
 また、基本的には厚生労働省が周知を行うので、厚生労働本省、都道府県労働局又は労働基準監督署からの周知が中心とはなりますが、関係する国の関係省庁あるいは地方公共団体、あるいは関係団体の皆様を含め、しかるべき周知の在り方を考えた上で調整してまいりたいと思います。
 3つ目として、いわゆるフリーランス新法を含め、関係する法令あるいは規定、ガイドライン等との調和と連携を図るようにという御指摘がありました。これについても、今後、ガイドラインの案文を作成する上では、十分に関係法令とも調和を図った上で、案文の作成作業を進めてまいりたいと思います。
幾つかの御質問がありましたので、お答えさせていただきます。
 まず、山脇委員のほうから「今回、この健康管理ガイドラインの作成を早めに対応した理由について」ということで御質問がありました。これについては、先般の検討会報告書でまとめられた事項のうち、いわゆる法令の整備等なく速やかに対応できる部分である、また、健康管理は改めて申し上げるまでもなく、個人事業者等の健康管理は非常に重要な部分であることから、今回、健康管理ガイドラインの基本的な考え方等(案)をお示ししたというところです。
 また、実行性の確保ですが、先ほど申し上げたとおり、厚生労働省、関係省庁、地方公共団体、関係団体と連携して、一体的に広く週知を進めていきたいと考えています。
 取り急ぎ、私からは以上です。何か、漏れ等がありましたら御指摘をお願いいたします。
○主任中央労働衛生専門官 計画課の船井です。何点か検討会との関係もある御質問等があったと思いますので、追加で幾つか回答させていただきます。
 鈴木委員をはじめ、複数の委員から御指摘があった「仕事を管理する者」という表現が出てきているという点です。プラットフォーマーも含めてというような御説明をさせていただきました。確かに、この「仕事を管理する者」というのは、安衛法上、新しい概念ですが、安衛法は、例えば、雇用をしている事業者という概念、請負などに着目した注文者という概念、その機械設備を管理若しくは製造、流通させるという概念はあるのですけれども、そういった請負や雇用に関係なく、仕事に介入している、仕事を管理しているという考えが余りなかったわけです。
 これはプラットフォーマーに限らず、例えば、テレビや映画の撮影現場において、その場を仕切っている監督さんがいると、その方と役者さん、出演者の方とは直接の雇用の関係等がないわけなのですが、実際、その場をコントロールしているのはそういう監督さんであると、そのようなことを念頭にして書いております。ガイドラインの本文を作る際には、裸で「仕事を管理する者」と書いてもなかなか分かりにくいと思いますので、そこら辺、イメージが湧くような形にしていきたいと思います。
 鈴木委員のほうから「マッチングをするだけのプラットフォーマーは該当するのか、しないのか」ということですが、ここはまた、その定義を明らかにする中で整理したいと思いますけれども、本当に、単なるマッチングで実際に行われる作業に何も介在しないという場合は、関係ないというか該当はないということになると思いますが、マッチングした先の仕事を何らかのルールを当てはめて、こういう形でやるんだということを、マッチングしたプラットフォーマーを活用した個人事業者の方に求めているということであれば、該当してくることもあると、したがって、ブラットフォーマーという名前かどうかということではなくて、実際に個人事業者の方がやる作業にどういうように関わっているかということで見ていく形になるのかなというように思います。
 あと、フリーランス新法施行に合わせて、いろいろな取引条件の契約書の雛形も示されるというような動きと合わせて、そういったところにいろいろなことを書き込んで周知をしていくという御指摘、御提案がありました。こちらについては、団体などを組織出来ていない個人事業者に情報を届けるという意味でもいいことだと思いますので検討させていただきたいと思っております。
 あと、健診の費用を盛り込むケースも、専らその専属的にという部分の考え方ですが、ここら辺は誤解がないようにガイドラインで示していきたいと思います。現時点で、具体的なイメージがあればということでしたが、何かカッチリとしたものがあるというわけではなくて、ちょっと言い方は悪いのですが、労働者性の話と混乱してしまうといけないのですけれども、1か所で注文者が依頼した仕事を1日かけてやっているような方というイメージで考えていただければと思います。
 あとは、山脇委員から次に御質問があった中で、「なぜ健康管理の関係のガイドラインを最初にやったか」というのは、もう回答させていただいたものと思いますが、それ以外の項目のスケジュール感ですが、これについては、まずガイドラインという形で速やかに対応できて、重要性が高いこちらのほうを最初にやらせていただきました。それ以外の部分についても、ガイドラインや通達などでできる部分もあります。又は法律事項ではなくて、省令改正で対応できるものもあります。そういう、どういう形で対応できるかというのも踏まえて、できるものから順次やっていきたいというように考えております。
 続いて、このガイドラインの中で書いてある事項として、日々、作業場所が変わる人たちについて、例えば、自分で騒音用の保護具といったものを準備して作業に当たることも重要ではないかということも示してはどうかということでありました。この部分については、ガイドラインの中でどこまで書くかというのはあるのですけれども、健康障害を及ぼすような作業に就く際の保護具については、その作業を請け負わせる事業者の方がしっかりと情報を提供していただいて、それを踏まえて、個人事業者の方が対応していただくという部分が、最高裁の判決を踏まえた省令改正のほうで既に改正して手当しておりますので、そういった部分の施行もしっかりやっていきたいなというように思います。
 続いて、出口委員から「団体がないような職種の方について、この団体設立も含めて」ということで御指摘がありました。方向性としては、検討会で御議論いただいた際に、そういったところも、すぐにはなかなかできるものではないという前提ですが、もし、その団体がない所があって、多くの方が働いているのであれば、設立に向けた何らかの支援をやっていきたいということで報告書に書かせていただいております。現時点で、何か途に就いてるものがあるというと、そういうわけではないのですけれども、まずは、団体がある職種の方に、こういったガイドラインも活用しながら業界に特化したような取組を進めていただく中で、そういった取組が団体があると進むんだ、という認識をフリーランスの方に持っていただくと、団体を設立する機運というのも出てくるのではないかと思いますので、そういったところも含めて、こつこつやらせていただきたいなというように思っております。
 アプリの部分について、バージョンアップとブラッシュアップが必要だということはおっしゃるとおりですので、しっかりやらせていただきたいというように思っております。例えば、相談窓口といった部分の整備ということもありました。これは労働者向けではありますが、いろいろな相談のツールというのをホームページ上に用意しておりますし、そういった部分について、例えば、特別加入している方に支援できるような形でアレンジしていくなどといったことも内部では考えております。
 続いて、新屋敷委員から「こちらのガイドラインに書いてあることをやることをもって、本来、労働者として扱わなければいけない人を個人事業者のように扱ってしまう、逆手に取って悪用されるというようなことがないように」と御指摘いただいたと理解しております。それは正にそのとおりだと思いますので、労働者であるかどうかというのは、個別具体に実態的に判断するという考えには何ら変わりはありません。今回、ガイドラインでお願いしたいのは、労働者ではない方々であってもということなので、そういった趣旨がしっかり伝わるように、ガイドラインの本文を作ったり、周知をする際には注意したいと思います。
 もう一点、そのアプリの関係も、国が示したアプリだけではなくて、事業者の方がその業務に即した職種ごとのアプリを使ってうまくやっていただくということも、これは排除するものではありませんし、業種の特性を踏まえてやっていただければと思います。そういったものを進めるに当たっては、御指摘を頂いた健康情報、個人情報の管理などについても注意するようにアナウンスをしながら進めたいというように思っております。
 あとは、熊﨑委員から御指摘がありました。これは安全衛生に関する教育のことだと思います。これは、確かに労働者であれば、事業者を通じていろいろな機会で教育研修の機会が与えられると思います。そういった意味で、個人事業者についても、検討会の報告書については一定の危険有害な作業に就く場合には、労働者と同じように安全衛生教育を義務付けるべきではないかという御指摘を頂いております。こちらについては、また、この審議会の場、分科会の場で後日御議論を頂ければと思います。それ以外の教育についても、義務付け以外の部分についても重要ではないかというのは、私どもとしても同じ認識です。労働者か個人事業者かというのは別にして、働く場に出る前の段階から、やはり安全衛生について教育を受けていくことは重要だろうという認識で、労働災害防止計画においてもそういったことを盛り込ませていただいております。現在、各労働局で、例えば、高校などから求めがあれば、出前授業のような形で1コマ、2コマ用意していただいて、関係法令のことを講義させていただいている、その中で安全衛生のことも入れておりますし、それ以外にも、理工系の大学ですと、その大学の授業や研究活動の中で危険な薬剤を使ったり、ちょっと危ない機械を使ったりということで、安全衛生を身近に感じられる場面というのもあると思います。そういった理工系の大学で、数はまだまだこれからですけれども、幾つかその安全衛生関係の講義をまずやっていただいているような部分もあります。そういった際に、使えるようなテキストや映像用教材などについても、これまで委託事業で作って、正に、これから14次防の計画期間中に周知していこうというところでございます。こういった取組を確実にやっていくということです。 あとは、私どもの所掌ではないのですが、労災保険部会のほうで、個人事業者の方の特別加入の枠を拡大すべきではないかという議論もなされているというように聞いておりますし、その際には、しっかりと安全衛生のベーシックな部分は教育研修すべきではないかという議論もあるというように聞いております。その辺りも、ウォッチしながら進めたいなというように思っております。
 あとは、個人事業者を取り巻くいろいろな支援です。特に、中小企業さんにおかれては、ハードだけではなくて、ソフト面の支援、専門家派遣も重要だという御指摘、問題意識をお伺いいたしました。今後の支援を考えるに当たっては、そういったことも参考にさせていただきたいと思います。
 山口委員から御指摘がありましたが、例えば、健康診断や面接指導の後の事後措置の部分です。事業者が労働者に対してやる場合の事後措置と全く同じものを注文者に求めるというのはなかなか難しいと思います。その面接指導や健診をやった結果も踏まえて、自分でどう働くかというのも含めて、一義的には個人事業者がセルフで管理していただくということがあると、その上で、やはり非常にボリュームがあるハードな仕事をお願いした注文者が、また次にその方に注文をする際には、やはりそういう疲労の蓄積等があったんだということも踏まえた配慮というのは、やっていただく必要があるのかなと思っております。そういった意味で、長時間にならないような業務発注の配慮というのは、1回だけではなくて、2回目と言いますか、その事後措置的な部分も含めた配慮だというように捉えていただければと思います。
 あとは、「健診費用の中で、一般健診費用について、必ずしも専属的な働き方ではなくても盛り込んでいただきたい」という御指摘があったと思います。それに対して、鈴木委員からも、検討会における議論のポイントも含めて御指摘いただいたと思います。この一般的な健康診断については、これはやはり、まずは個人事業者自身でやっていただくということが基本ではないかというのが検討会における議論の総意でありました。その上で、やはり1個の所と長く継続してやる場合には、御自身で健康診断を受けてもらうのが基本なのですが、その人がちゃんと定期的に健康診断を受けて健康に働くということは、取引先である注文者さんにとってもメリットがあることだと、なので、そういう観点から経費として盛り込むことが望ましいというように申し上げた次第です。
 したがって、そういう観点から、専属的ではなくても、もし望ましいというように注文者の方が御判断されるのであれば、是非やっていただきたいと思いますが、ガイドラインの中で、一律的にそういったことを推奨するというのは、検討会の議論も踏まえるとちょっと厳しいかなというのが現時点の見解です。
 増田委員から具体的な記載方向についていろいろと御提案を頂きました。これはアドバイスとして受け止めさせていただきます。本文を作る際には十分注意して進めさせていただきたいと思います。
 大体、全部に回答させていただけたかなと思いますが、いずれにしろ、実行性を高めるという部分、いろいろなツールをしっかりと使いやすい形で提供していく、それをどういうチャンネルでやるかというのも、我々が労働災害防止の関係からやってきたチャンネルだけでは足りないというのは重々認識しております。また、来年からフリーランス新法も施行されるということで、そういった流れにもうまく乗りながら、しっかりと個人事業者一人一人に情報が届くような形で考えていきたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 御説明ありがとうありました。ただいまの御回答について、追加で御確認が必要なことはありますか。山脇委員、お願いいたします。
○山脇委員 個人事業者に関するガイドラインなり、一定の考え方を取りまとめるのはこれが初めてとなりますので、先ほど新屋敷委員のほうからも御指摘いただいた、労働者性を含めて、丁寧に記載いただくよう改めてお願いしておきたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか。オンラインの委員の方からも、特に追加でありませんか。これ以上の御質問や御意見はないということですので、委員の皆様から、情報周知の在り方、実行性を高めていくための御意見等、いろいろ頂きました内容を踏まえて、事務局のほうで説明いただいた方針を基に、進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、議題(3)その他として、ここまでの議題(1)と(2)以外で、何か御発言があればお願いしたいと思います。出口委員、お願いいたします。
○出口委員 お時間を頂き、ありがとうございます。建設業の化学物質規制に関する安衛法の関係政省令、これらの改正に関する要望をいたします。前回の第157分科会でも発言させていただきました。リスクアセスメント対象物質の譲渡、提供を受けた事業者がリスクアセスメント等の必要な対応を行うためには、施行日までに譲渡、提供を受ける全ての者に該当物質の危険有害性情報が伝達される必要があります。しかし、安衛法第57条の2に該当する化学物質全ての製品にSDSを交付している事業場の割合は、令和4年労働安全衛生調査(実態)の概要では、43.2%となっており環境が整っているとは言えない状態です。
 第13次防からSDS交付割合を80%以上とする目標でした。これが達成できずに、交付率は下がっている状態です。また、今後、2026年4月1日には通知対象物が約2,900物質に増加することが決まっておりますが、SDS交付率を80%以上達成するためには、環境整備に時間を要しなければ、実質困難な状態であり、施行されても形骸的なものとなります。建設業のみならず、大きな混乱を招く恐れがあると考えております。なお、SDS交付は義務となっております、本来の目標は100%であり、交付がなければ取扱い事業者は必要な措置を行うことができません。
 また、SDSの記載内容の対象物質の内訳が適正に記載されていないことがあります。裾切値以上の比率で対象物質が混入されていると思われる場合でも情報が非公開となっています。SDSの対象物質の内訳が適正に記載され、裾切値以上の比率で対象物質が混入されている場合においても情報が公開される必要があります。SDSに記載されている保護具の情報も、保護具の種類の記載がないために、適切な保護具の使用、選択ができてません。適切な保護具の種類がSDSに記載されている、また、製造するメーカーに確認すれば、使用する保護具の種類がホームページ上等ですぐに確認できることが必要ですが、現時点で、来年4月までにこれらの環境が整うことは非常に難しく、混乱を招く恐れがあることから、建設業といたしましては、要望として、令和6年4月1日より施行される、安衛則第594条の2について、危険有害性の情報が譲渡、提供等を受ける全ての社に伝達される体制、周知機関が整うまで施行を猶予していただきますようお願いいたします。こちらに関しまして、すぐに回答は難しいと思いますので、団体等を通じて協議させていただければと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。出口委員からの要望につきまして、現時点で回答できることがあればお願いいたします。
○化学物質対策課長 コメントありがとうございます。化学物質対策課長です。御指摘は何点かありました。まず第1点につきましては、リスクアセスメント対象物の関係、SDSの交付割合が低いと、そういった御指摘です。こちらについては、令和6年4月に新たに追加されるのは234物質でして、基本的に、発がん性物質とか、あるいは、急性毒性に関して、有害性が高い区分1に該当するもので、有害性が極めて高いものに限定しているわけです。こちらについてはメーカー団体と協議しておりますが、234物質についての対応はしっかりやれますというような話を頂いています。
 それから、SDSの内容についてはいろいろ御指摘がありましたが、まず非公開のものというのは、例えば、令和6年4月1日に義務付けられていないものについては非公開であっても、違法ではありません。もちろん、非公開のものについてはリスクアセスメントの必要もないので、そこは先ほど御説明がありましたように、2026年(令和8年)までに、2,900物質まで徐々に増えていきますので、SDSの対象物が義務付けられると同時にリスクアセスメントの対象物になるという形ですので、SDSの対象が義務付けられていないものについてはもちろんリスクアセスメントの義務は課されない、そういった法令体系となっておりますので、御理解いただければと思います。
 保護具の情報です。誤解があると思うのですが、御指摘のあった第594条の2は安衛法第22条を根拠にしていて、SDSあるいはリスクアセスメントの根拠である第57条の2、第57条の3とは直接関係ない条文です。第594条は、SDSの条文ができる前からの条文ですので、そこは直接関係ないという、法令上の整理となっていることをまず御理解ください。
 その上で、安衛法第22条で独立してきちんと対応できるように、現在、保護具選択のマニュアルを11月末に公表しています。こちらについてはおよそ1,000物質程度ありますが、皮膚等の障害化学物質について、ほとんど全ての透過情報を公開していまして、それに基づいて保護具を選べるようなマニュアルとなっています。こういった観点から、仮にSDSに保護具の記載がなかったとしても、選ぶことについて何ら支障はないという状態になっています。
 実際には、それぞれの個別物質について、こういった材料がいいというのを個別に選ぶ方法もあります。かなり煩雑ですので。実際には多層フィルムという、重なったフィルムでして、非常にたくさんの物質について、マルチで対応できる手袋もあります。そういったものを御使用いただくことで、余り煩雑になることなく手袋を選ぶことも可能にしていますので、令和6年4月1日の施行に特段問題があるという認識はしていません。以上です。
○髙田分科会長 御説明ありがとうございます。今の回答に関して、出口委員、お願いします。
○出口委員 御回答、ありがとうございます。先ほど、回答のあった防具の多層フィルムにつきましても、ごくごく最近、ようやく出てきた保護具です。また、その保護具は、基本的には高価な物です。金額は、交渉はされていると思いますが、職種によっては、その保護具を事業者が頻繁に使えるのか、現在、労研の特別委員会でもいろいろな問題を抱えています。今の御回答だけでは、建設業として進めることができません。我々が危惧していることを1つずつ丁寧に解決していただき、来年の4月1日に、混乱することなく施行させていただきたい。しかし、前回の分科会でも建設業では3月19日に建災防の化学物質作業マニュアルを、ネット上で説明会を行うと聞いております。4月1日から施行されるものが、3月19日に説明が行われて、約20日後に対応しなければならない、中小企業、様々な事業者が、時間的にも、無理ではないかと考えております。先ほど申しましたように、団体を通じて打合せをさせていただきますようよろしくお願いいたします。
○髙田分科会長 ありがとうございました。コメントございますか。お願いします。
○化学物質対策課長 ありがとうございます。簡単にコメントさせていただきます。多層フィルムが高価というところです。高価の定義はいろいろありますが、1,000円か2,000円、数千円ぐらいのオーダーで使えるものです。建設業界さんのスタンスとして、そういったお金が払えないから、じゃあ、発がん性物質にばく露されてもいいと御主張されているわけではないと思いますので、言わんとされているところは、オーバースペックというか、本来、飛沫とかが飛ぶようなことがないにもかかわらず、それなりに高価なものを使わせるのはいかがなものか、そういった御主張であると理解しております。そういった限界事例につきましては、そもそもどういった作業が、飛沫が飛ぶおそれがあるのかないのか、建災防委員会などでも御議論させていただいて、意見交換したいと考えています。
 また、4月1日に施行の後についても、当然、当面はリーフレットなどを使って丁寧に指導していくことになろうと思いますので、その辺についても対応してまいりたいと考えています。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。そのほか、ございますか。ありがとうございます。そうしましたら、これで全ての議題を終了いたしました。本日も熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。本日の分科会はこれで終了します。お忙しい中、ありがとうございました。