医療・介護・障害福祉関係団体との賃上げに関する意見交換 議事概要

開催日時

令和6年1月19日(金)13:10~13:35

場所

総理大臣官邸2階大ホール

出席者

内閣総理大臣、厚生労働大臣、矢倉財務副大臣、村井内閣官房副長官、矢田内閣総理補佐官、医療・介護・障害福祉関係団体(下記の通り)
【医療関係】
日本医師会 松本 吉郎 会長
日本歯科医師会 高橋 英登 会長
日本薬剤師会 山本 信夫 会長
日本病院会 相澤 孝夫 会長
全日本病院協会 猪口 雄二 会長
日本医療法人協会 伊藤 伸一 会長代行
日本精神科病院協会 山崎 學 会長
日本看護協会 高橋 弘枝 会長
 
【介護関係】
全国老人保健施設協会 東 憲太郎 会長
全国老人福祉施設協議会 大山 知子 会長
全国介護事業者連盟 斉藤 正行 理事長
日本認知症グループホーム協会 河﨑 茂子 会長
日本慢性期医療協会 橋本 康子 会長
日本介護福祉士会 及川 ゆりこ 会長
日本介護支援専門員協会 柴口 里則 会長
日本福祉用具供給協会 小野木 孝二 理事長
高齢者住まい事業者団体連合会 市原 俊男 代表幹事
全国介護事業者協議会 座小田 孝安 理事長
日本在宅介護協会 森 信介 会長
全国社会福祉法人経営者協議会 磯 彰格 会長
 
【障害福祉関係】
日本知的障害者福祉協会 井上 博 会長
全国身体障害者施設協議会 白江 浩 会長
全国児童発達支援協議会 北川 聡子 会長
全国社会就労センター協議会 鈴木 暢 副会長

議事

議事概要

1.総理冒頭挨拶
 岸田内閣総理大臣より、冒頭挨拶。
 
2.厚生労働大臣からの要請
 本日は、多くの医療・介護・障害福祉団体の皆様にお集まりいただき、ありがとうございます。また、今般の能登半島地震への御支援や、新型コロナウイルス感染症との闘いへの御尽力に対しまして、心より感謝申し上げます。
 さて、医療・介護・障害福祉分野における賃上げと人材確保は、喫緊の課題です。
 診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬の同時改定に向け、政府としても、これらの分野における賃上げを後押しすべく、賃上げに必要な改定率として、医療では、+0.88%、介護では、+1.59%、処遇改善加算の一本化による賃上げ効果等も含めると、2.04%相当、障害福祉では、+1.12%、処遇改善加算の一本化による賃上げ効果等も含めると、1.5%を上回る水準を確保しました。
 医療・介護・障害福祉事業者においては、来年度に向けて、春闘等の労使間で賃金に関する交渉を行う機会を迎えられるところです。
 医療機関や事業所の過去の賃上げ実績をベースとしつつ、今般の報酬改定による上乗せ点数(加算措置)の活用や賃上げ促進税制の活用を組み合わせることにより、令和6年度に+2.5%、令和7年度に+2.0%のベースアップを実現いただくようお願いします。
 これにより令和6年度には、診療報酬の場合、定期昇給と合わせて4%の賃上げができるものと考えています。その際、令和7年度分を前倒しして、賃上げいただくことも可能です。
 特に、医療分野においては、看護職員、病院薬剤師その他の医療関係職種のみならず 40歳未満の若手の勤務医師・勤務歯科医師・薬局の勤務薬剤師、事務職員、歯科技工所等で従事する者の賃上げにも目配りして改定率の水準を決めたところであり、積極的に現場で働く方々の賃上げに取り組んでいただくことをお願いします。
 介護分野や障害福祉分野においては、事務負担が大きいとの声が多い処遇改善加算の一本化を行い、使いやすい制度とすることで加算取得の促進を見込んでいます。こうした制度を大いに活用し、現場で働く方々の賃上げに取り組んでいただくことをお願いします。
 間もなく報酬改定の内容が具体化することとなりますが、関係団体の皆様と私たちとで力を合わせ、医療・福祉従事者の方々の賃上げの実現に向け、加算措置や賃上げ税制の活用の働きかけなどに取り組んでいきたいと思います。
 今後とも御協力のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 
3.財務副大臣からの賃上げ促進税制に関する説明
 令和6年度税制改正では、賃上げ促進税制の抜本的強化を行うこととしています。物価高に負けない構造的・持続的な賃上げの動きをより多くの法人に拡げ、さらにその効果を高めるために、賃上げ基準を見直すとともに、最大控除率の引上げを行います。
 また、今回特に、中小法人向けには、賃上げの裾野を拡大する観点から、新たに繰越控除制度を創設します。賃上げを実施した年に控除しきれなかった金額を5年間という前例のない期間にわたって繰り越すことを可能とすることで、これまでこの制度を利用できなかった赤字法人にも、賃上げに付随するメリットを実感していただくことができると考えています。
 更に、介護報酬における介護職員処遇改善加算、診療報酬における看護職員処遇改善評価料等の報酬上の措置による賃上げ分については、これまでは賃上げ促進税制の対象外としていましたが、今回の税制改正では、新たに創設される報酬上の措置も含め賃上げ促進税制の対象となるよう、見直しを行うこととしています。
 政府としましては、賃上げを思い切って後押しするために、このような異例の措置を講じ、環境整備に全力を挙げているところです。
 医療・介護・障害福祉の関係各位におかれましては、新たな賃上げ促進税制を最大限活用いただき、現場で働く方々の賃上げの実現に向けて取り組んでいただくことを期待しております。
 
4.団体からの発言
 日本医師会松本会長、全国老人保健施設協会東会長、日本知的障害者福祉協会井上会長から、医療・介護・障害福祉の各分野において、従事者の賃上げに向けて業界一丸となって取り組んでいく旨の発言があった。
 
5.総理発言
 本日は、医療・介護・障害福祉分野における賃上げに向け、政府から関係団体の皆様方に要請を行わせていただきました。関係団体の皆様からも、賃上げに向けて積極的に取り組んでいく、との力強いお言葉をいただき、大変心強く感じております。
 長きにわたるデフレに悩まされてきた我が国の経済にとって、昨年は30年ぶりの高水準の賃上げを実現するなど、デフレ完全脱却の千載一遇のチャンスがめぐってきています。このチャンスを掴み取り、賃金が上がり、可処分所得が増えるという状況を今年夏には確実に作り上げる、そのためにも、医療・介護・障害福祉分野において、率先して賃上げを実現していく官民連携の姿勢が欠かせない、こうした考えで報酬改定に臨み、そして公的価格の在り方を見直してきたところです。
 武見厚生労働大臣から説明させていただきました、報酬改定による加算措置、矢倉財務副大臣から説明させていただきました、賃上げ促進税制を活用いただき、是非とも報酬改定に見合う物価に負けない賃上げの実現、それも現場の幅広い職種の方に賃上げを行き渡らせていくことをお願い申し上げます。
 政府としては、賃上げの実効性を高める仕組みづくり、とりわけ加算措置部分の報告徴収を含めたフォローアップの仕組みをしっかりと整備するとともに、この改定に必要な財政措置を盛り込んだ予算案を国会に提出し、1日も早い成立を図ってまいります。医療・介護・障害福祉の各分野の従事者の皆様に確実に賃金が上がるという実感を持っていただけるよう努力してまいります。
 今週15日の中小企業との車座対話、そして本日の医療・介護・障害福祉団体との意見交換に引き続き、週明け22日には、この3か月で2度目となります政労使の意見交換を開催いたします。
 政府として、物価上昇を上回る賃上げの実現に引き続き全力で取り組んでまいりますので、皆様方の御協力を何卒よろしくお願い申し上げます。本日は、ありがとうございました。