2023年12月6日第44回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」議事録

1.日時

令和5年12月6日(水)15:00~17:00

2.場所

対面及びオンライン会議(TKP 新橋カンファレンスセンター ホール 15E)

3.出席者

4.議題

  1. 1.令和6年度障害福祉サービス等報酬改定に向けて(感染症、補足給付、生活介護2)
  2. 2.令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の基本的な方向性について(案)
  3. 3.その他

5.議事

○伊藤障害福祉課長 定刻になりましたので、ただいまから「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」の第44回会合を開催いたします。
 アドバイザーの皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席賜りまして、誠にありがとうございます。
 本日は、アドバイザーの皆様には、オンラインまたは会場にて御参加いただいております。傍聴席は設けず、動画配信システムでのライブ配信により一般公開する形としております。
 本日のアドバイザーの皆様の出席状況ですが、高アドバイザーは所用により御欠席と伺っております。また、有村アドバイザーは遅れての御出席となります。
 本検討チームの議事は公開とし、審議内容は皆様に御確認いただいた上で、後日、厚生労働省のホームページに議事録として掲載する予定です。
 頭撮りはここまでとさせていただきますので、報道の方におかれましては御退席をお願いします。
○伊藤障害福祉課長 それでは、議事に入る前に、資料の確認と会議の運営方法について確認させていただきます。
 資料については、オンライン参加のアドバイザーにおかれましては、電子媒体でお送りしている資料を御覧ください。同様の資料をホームページにも掲載しております。
 本日の資料は、議事次第、それから資料1から4、参考資料が1つとなっております。
 会議の運営方法について御説明します。議事に沿って事務局から資料について説明させていただいた後に、アドバイザーの皆様から御質問、御意見をいただきたいと思います。初めに、資料1から3について説明、質疑応答。次に、資料4について説明、質疑応答という段取りで進めさせていただきます。
 発言される場合は、現地で御出席いただいている方は挙手をお願いします。オンラインで参加いただいている方はZoom機能の挙手ボタンを押してください。こちらから指名させていただきますので、指名された方から御発言をお願いします。
 本日は、手話通訳及び要約筆記を行っておりますので、御発言の際は、お名前を名乗っていただいて、できるだけゆっくり、分かりやすくお話しいただきますよう、お願いします。
 それでは、議事に入ります。まずは、資料1から3、「感染症への対応力強化」「補足給付」「生活介護」について事務局から説明します。お願いします。
○服部障害福祉課長補佐 資料1「感染症への対応力強化について」御説明させていただきます。
 1ページ目でございます。論点は2つです。感染症発生に備えた平時からの対応と、論点2として、新興感染症等の発生時に施設内療養を行う障害者支援施設等への対応です。
 論点1でございます。
 現状・課題でございます。
 平時からの感染症対応力の向上につきましては、令和3年度の報酬改定で、全ての障害福祉サービス等事業者に、感染症の発生及びまん延の防止等に関する取組の徹底を求める観点から、感染症対策委員会の開催、感染症の予防及びまん延防止のための指針の整備、研修の実施、年2回以上の訓練の実施を、3年の経過措置を設けて来年度から義務づけることになっております。
 障害者支援施設等は、感染症への対応に精通した職員は必ずしも多くありませんので、「令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会」におきまして、委員の先生方から「平時から実効性のあるマニュアルの整備、職員に対する教育研修等が重要。組織の垣根を越えて、高齢者施設・障害者施設が専門人材を有する医療機関から支援や助言が受けられる仕組みが必要。」と指摘されております。
 令和4年度の診療報酬改定におきましては、診療所について、平時からの感染防止対策の実施や、地域の医療機関などが連携して実施する感染症対策への参画をさらに推進する観点から「外来感染対策向上加算」が新設されております。
 令和6年度の報酬改定に向けて、介護報酬に関しては既に介護給付費分科会で提案されている内容ですが、高齢者施設等につきまして、施設内で感染者が発生した場合に、感染者の対応を行う医療機関との連携の上で施設内で感染者の療養を行うことや、他の入所者への感染拡大を防止することが求められることから、診療報酬における外来感染対策向上加算も参考に、新興感染症の発生時等に感染者の診療等を実施する協定締結医療機関、こちらに関しては各都道府県が協定を結ぶ医療機関ですが、協定締結医療機関との連携体制を構築していること。感染症対策に係る一定の要件を満たす医療機関等や地域の医師会が定期的に主催する感染対策に関する研修会に参加し、助言や指導を受けること等について評価すること等が対応案として提案されているところです。
 3ページでございます。検討の方向性といたしまして、介護報酬と同様に、以下のとおり対応してはどうかということで挙げさせていただいております。
 障害者支援施設等(障害者支援施設、グループホーム、(福祉型)障害児入所施設)について、新興感染症の発生時等に、施設内の感染者への診療等を迅速に対応できる体制を平時から構築しておくため、新興感染症の発生時等に感染者の対応を行う協定締結医療機関と連携し、新興感染症発生時等における対応を取り決めることを努力義務とすることを検討してはどうか。
 また、協力医療機関に関しましては、既に障害者支援施設等の基準におきまして定めるということになってますけれども、協力医療機関が協定締結医療機関である場合には、当該協力医療機関と利用者の急変時等の対応等の取り決めを行う中で、新興感染症の発生時等における対応についても協議を行うことを、こちらに関しては義務規定としてはどうか。
 また、障害者支援施設等につきまして、感染症発生時における施設内感染を防止する観点や感染者への医療提供を迅速に行う体制を平時から構築していく観点から、新興感染症の発生時等に感染者の診療等を実施する協定締結医療機関との連携体制を構築していること。
 協力医療機関等と感染症発生時の対応を取り決めるとともに、軽症者等の施設において対応可能な感染者につきましては、協力医療機関等との連携の上で施設において療養することが可能であること。
 感染症対策に係る一定の要件を満たす医療機関等や地域の医師会が定期的に主催する感染対策に関する研修に参加し、助言や指導を受けることについて評価することを検討してはどうかということを挙げさせていただいています。
 また、コロナ禍における感染管理の専門家による実地指導の取組を参考に、感染対策に係る一定の要件を満たす医療機関から、施設内で感染者が発生した場合の感染制御等の実地指導を受けることについて評価すること。こちらに関しても検討の方向性として挙げさせていただいております。
 論点1に関しては以上です。
 続きまして、13ページ目、論点2でございます。
 現状と課題でございます。
 今般のコロナ禍におきましては、医療資源に限りがある中で、入院治療が必要な患者が優先的に入院できる体制を確保するとともに、障害者支援施設等においても、病床逼迫等により、やむを得ず施設内で療養する場合があることから、障害者支援施設等における感染対策や医療支援の充実などを図ってきたところです。
 具体的には、障害者支援施設等における感染対策の徹底に資する各種支援や、感染者が発生した事業所において、緊急時の人材確保や消毒・清掃に要する費用等の補助を行ってきたところです。
 施設内療養を行う場合には、必要な医療の提供のほか、ゾーニングや感染者の個室への隔離、施設外からの応援職員も含めた勤務調整、感染者以外の入所者の健康管理、消毒等の衛生管理、保健所への連絡など様々な業務が発生します。
 今般の新型コロナウイルス感染症における経験を踏まえ、将来のパンデミック発生時に、感染拡大に伴う病床逼迫が発生することも想定されることから、引き続き、障害者支援施設等において施設内療養が適切な体制で行われることが必要な状況です。
 令和6年度の報酬改定に向けて、介護報酬では、新興感染症等のパンデミック発生時において、施設内で感染した高齢者に対して必要な医療やケアを提供する観点や、感染拡大に伴う病床逼迫を避ける観点から、高齢者施設等の施設内において、必要な体制を確保した上で当該感染者の療養を行うことに対する評価について対応案として示しているところです。
 検討の方向性です。
 介護報酬の対応案を参考に、施設内で感染した障害者に対して必要な医療やケアを提供する観点や、感染拡大時の施設等における生活継続等の対応として、必要な体制を確保した上で施設内療養を行うことに対する評価を行うことを検討してはどうか。
 また、評価に当たりましては、当該感染症に対する医療提供が適切に行われる観点や他の入所者への感染拡大を防ぐ観点から、当該感染症への対応を行う医療機関と連携していることや適切な感染対策を行っていることなどの要件を設けることとしてはどうか。
 また、対象の感染症に関しましては、今後のパンデミック発生時に必要に応じて指定する仕組みとしてはどうかということで挙げています。
 感染症に関しましては、以上でございます。
○犬伏障害福祉課長補佐 それでは、続きまして、資料2「補足給付について」、御説明させていただきます。
 資料の1ページを御覧ください。
 補足給付の現状と課題についてでございますが、施設入所者の食費や居住に要する費用(食費・光熱水費)については、利用者が自ら負担することとしているところでございますが、低所得者に係る負担を軽減するために、「基準費用額」(食費・光熱水費に係る平均的な費用の額)から、「所得に応じた負担限度額」を控除した差額を特定障害者特別給付費(いわゆる「補足給付」)として支給することとしております。
 補足給付の算定に係る、この「基準費用額」につきましては、令和3年度障害福祉サービス等報酬改定において、障害福祉サービス等経営実態調査等を踏まえて見直されているところでございまして、現在、食費で4万3000円、光熱水費で1万1000円、合わせて5万4000円となっております。
 検討の方向性でございますけれども、この「基準費用額」について、今般の障害福祉サービス等経営実態調査等の結果とか、診療報酬及び介護報酬における食費・光熱水費の取扱いとのバランスにも留意の上で見直すことを検討してはどうかとさせていただいております。
 資料2については、以上でございます。
○服部障害福祉課長補佐 続きまして、資料3でございます。「生活介護に係る報酬・基準についてマル2」ということで挙げさせていただいております。生活介護につきましては、既に9月27日に報酬・基準について論点を挙げさせていただきましたが、追加の論点として挙げさせていただきます。
 1ページ目、おめくりください。生活介護に係るサービスの質の評価にです。
 現状と課題です。
 生活介護に係るサービスの質の評価につきましては、常勤換算方法で職員を手厚く配置した場合の加算(看護職員等配置加算)や、手厚い人員配置体制を取っている場合の加算(人員配置体制加算)により、それぞれ評価を行っているところです。
 また、良質な人材の確保とサービスの質の向上を図る観点から、常勤で配置されている職員のうち、社会福祉士等の有資格者が一定の割合以上で配置している場合の加算(福祉専門職員配置等加算)(Ⅰ)(II)というものがあります。(Ⅰ)は有資格者が35%以上配置されていて、(II)に関しては25%以上配置されている場合です。また、常勤職員または勤続年数が3年以上の職員が一定の割合以上で配置されている場合は、福祉専門職員配置等加算(III)で評価されることになっております。
 一方で、この福祉専門職員配置等加算については、有資格要件である(Ⅰ)または(II)と、常勤職員割合や勤続年数割合の評価である(III)については、いずれかしか算定することができませんので、併給することができません。ですので、資格を保有する職員の勤続年数等が考慮された加算にはなっておらず、併給を可能にしてほしいという意見もあります。
 令和5年11月1日に開催されました財政制度等審議会財政制度分科会におきまして、生活介護については、非常勤職員や、勤続年数が低い職員を雇うことで給与を低く抑えている事業所もあるのではないかということが指摘されておりまして、特に生活介護に関しては「サービスの質を適正に評価する報酬体系への見直しを行うべき。」と指摘されております。
 検討の方向性でございますが、現行の福祉専門職員配置等加算については、有資格要件である(Ⅰ)または(II)と、常勤職員等割合を評価する(III)については併給することができませんので、資格を保有する職員の勤続年数等が考慮された加算となっていないことから、生活介護において、福祉専門職員配置等加算(Ⅰ)または(II)と福祉専門職員配置等加算(III)との併給を可能とするなど、サービスの質を適切に評価する報酬体系を検討してはどうかということで挙げさせていただいております。
 資料3に関しては、以上でございます。
○伊藤障害福祉課長 ありがとうございました。
 ただいまの説明について御質問、御意見ございましたら、お願いいたします。
 それでは、橋本アドバイザー、お願いします。
○橋本アドバイザー 橋本です。丁寧な御説明をありがとうございました。
 資料2の補足給付について質問があります。補足給付は、トリプル改定のため、バランスにも留意して見直すということですが、何か具体的な方向性が分かれば教えていただけますでしょうか。また、食事提供体制加算は見直しがありましたが、補足給付については何か見直しが入るのでしょうか。お願いします。
○犬伏障害福祉課長補佐 御質問ありがとうございます。
 補足給付については、これまで経営実態調査の結果等を踏まえまして、物価の動向等に応じて見直しをしてきたところでございます。今回は、トリプル改定の年ということもあって、診療報酬においては入院時食事療養費、介護においては介護保険における補足給付の基準費用額についても同様に議論が進められているものと承知しております。これらの議論の中で基準費用額の水準というものがどうなるかという動向も踏まえつつ、障害福祉サービスにおける補足給付についても基準費用額の検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
○橋本アドバイザー ありがとうございます。
○伊藤障害福祉課長 続いて、石津アドバイザー、お願いします。
○石津アドバイザー 丁寧な御説明をありがとうございました。石津です。
 資料3の生活介護について、お伺いさせていただこうと思います。今回、経験年数について加えて勘案する方向ということですけれども、参考資料1にございますサービス利用時間に応じての対応という部分についての対応の方向を確認させてください。
 なお、今回の検討の方向性、1ページの下にございますけれども、これについては賛成です。法人形態による収支の格差につきましては、以前、実調の報告があった際にも述べさせていただいたところですけれども、この収支差額について、社会福祉法人のような非営利組織はサービスのための再投資に使われるということですけれども、営利法人につきましてはそうではなくて、分配や配当にすることが可能になっております。したがいまして、営利法人について収支差額が大きくなっておりますと、もし報酬がそういう方向に使われるのであれば問題かなと思っております。
 私は、どういう法人形態が望ましいかと言っているのではなくて、そういう法人制度の要因も含めまして、今回の改革は経験豊富なサービスの担い手が処遇改善されまして、そして質のよいサービスの提供に資する方向に向かうものであろうと思いますので、賛成です。
 以上です。
○服部障害福祉課長補佐 御質問ありがとうございます。
 資料1にありますサービス利用時間に応じた報酬体系の見直しと財政審の資料で指摘がありますけれども、こちらに関しましては、9月27日に生活介護の論点として挙げさせていただいておりますので、一定の配慮規定を設けた上で、生活介護に関してはサービス利用時間に応じた報酬体系とすることを予定しております。
 以上です。
○石津アドバイザー ありがとうございます。
○伊藤障害福祉課長 続いて、石川アドバイザー、お願いします。
○石川アドバイザー 神奈川県秦野市役所の石川と申します。御丁寧な説明をいただき、ありがとうございました。
 私からは、資料1と資料3について意見をさせていただきたいと思います。
 まず、資料1の感染症への対応力強化につきましては、論点1、2、共に賛成です。それに加えて、少し意見をさせていただきたいと思います。
 まず、3ページの論点1の検討の方向性ですが、平時からの備えとして、専門性の高い協定締結医療機関等との連携により、様々な対策を講じることができるようにしていくことは大変重要だと思っております。これは将来的には努力義務ではなく、義務とすべきだと思っております。しかしながら、障害福祉分野の立場から見ますと、協定締結医療機関も含めて、まずは医療機関についての情報を得ることから始め、連携を取るための手段についても手探りになるのではないかと思います。また、介護分野も同様な連携を求められているようですので、医療機関の立場から見ると、一つ一つの施設との連携体制を構築していくことの負担が大きくなるのではないかと危惧されます。
 そのため、公衆衛生分野で活動されている保健所に、研修会等を通じて連携のきっかけづくりなどを行っていただけるような役割を担っていただけると、より多くの施設が協定締結医療機関等と連携ができるようになるのではないかと思います。全国の協定締結医療機関がどの程度整備されているのかは、私自身、十分に把握できていないのですが、感染症対策についてのノウハウを持っている医師や認定看護師など、医師会や看護協会などの関係団体の協力を得ることもぜひ推奨していただきたいと思います。また、保健所を所管する部署に対して、医療機関と介護・福祉施設の連携が強化されるような役割を担っていただけるよう、要望したいと思います。
 論点2につきましては、13ページの検討の方向性のところに、発生時、必要な体制を確保とされていますが。どのような感染症が発生するか未知の部分が大きい中で、具体的にお示ししていただくことは難しいと思いますが、命に関わることですので、分野を超えた方々との連携を強化し、より具体的な形でお示しいただくよう要望させていただきます。
 続きまして、資料3の生活介護に係るサービスの質の評価ですが、手厚い人員配置、良質な人員確保は大変重要だと思っておりますので、1ページ目にあります論点1の考え方については賛成です。こちらの検討の方向性の(Ⅰ)または(II)と(III)との併給を可能とすることについて、非常に大事だと思います。これは生活介護だけでなく、サービス事業所が急増しておりますグループホームとか放課後等デイサービスといったところにも導入していただくように、御検討をお願いしたいと思います。
 私からは以上になります。
○服部障害福祉課長補佐 ありがとうございます。
 論点1に対する質問でございますけれども、介護も同じ検討の方向性を挙げさせていただいておるところでございますから、協定締結医療機関等との連携に関して、具体的にどういったことをやればつながりやすくなるかというのは、老健局とも連携して、少し整理したいと考えております。
 また、論点2に対する御質問、より具体的に示していただけないかというのも、ここも関係部局とも連携して、検討したいと思います。
 また、資料3でございますけれども、他のサービスにも今回の生活介護に係るサービスの質の評価に関してというところの検討の方向性、波及できないかということでございますけれども、そこに関しては、ほかのサービスに関しての常勤の割合とか勤続年数の状況とか、少し分析させていただいて、今後検討したいと思います。まず、はっきりデータ等でも示せますので、生活介護からやらせていただければと思います。
 以上でございます。
○石川アドバイザー ありがとうございました。
○伊藤障害福祉課長 続いて、野澤アドバイザー、お願いします。
○野澤アドバイザー 野澤です。どうも御苦労さまです。
 感染症対策と生活介護は特になくて、方向性としていいのではないかと思っているのですが、引っかかってしまうのは補足給付です。物価高とか燃料費で生活が苦しい。だから、ある程度手元にお金が残るようにということで、その趣旨というのは利用者にとっては生活の安心感につながると思うのですが、入所者にしかないというところが、公平性に私は問題だと思っているのですね。今回も、また物価高に対応して上げるという方向性だと思いますけれども、グループホームに入っている人は、これはないのです。同じように物価高だし、燃料費は上がっている。入所していると生活の安心につながりませんね。在宅の方にもないですね。なので、補足給付はそろそろ考えたほうがいいのではないかなと私は思っております。
 介護施設もそうじゃないか、と言われるかもしれませんが、ただ、介護の場合は大きなテーマになっていないのです。ついの住みかというか、みとりのほうが主な課題だと思うのです。障害者のほうは、入所施設から地域に移行するのだということで、いろいろな利用者の動機づけのための取組をしようということになっている。それに対して補足給付が地域移行のブレーキになっていませんか。よく考えないといけないと思っています。今さら、12月のこの時点でもう一度考え直してくれというのは、なかなか酷だと思うのですけれども、ここは素通りしてしまうと、またずるずる行くし、次の機会のときに議論がないのに、ここは問題だと言わざるを得ないと思っております。
 ただ、なくせということではなくて、これをもし存続するのであれば、グループホームの入居者、在宅の入居者に対する生活の安心ということを考えなければいけないのではないかと思います。
 以上です。
○犬伏障害福祉課長補佐 コメントありがとうございます。
 先生からも御指摘いただいたとおり、この補足給付に関しては、入所されている方のみに関する給付になりますので、在宅で障害福祉サービスを受けられている利用者の方やグループホームに入居されている方は食費を自ら負担されていることから、その方々との公平性というのは、地域移行を促進する観点からも留意すべき事項であると認識しております。
 一方で、これも先生から今、御指摘いただきましたが、この補足給付の制度は、施設入所者のうち低所得者に向けた制度でございます。今の物価高の中で低所得者の方々への支給の在り方というのをどう見直していくかということについては、なお慎重な議論が必要になるのではないかと考えているところです。
 一方で、地域移行を進めるための方策というのは、この検討チームにおいても何回も御議論いただいているところでございますけれども、重要な課題でございますので、入所施設からの地域移行のための方策を検討する中においても、この補足給付というものをどうしていくのかというのは、セットで考えなければいけない課題かなと思っておりますので、入所されている方々の生活の実態とか関係者の意見等々を踏まえまして、引き続きの検討事項とさせていただければと考えております。
 以上でございます。
○伊藤障害福祉課長 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、次の議題に移ります。続きまして、資料4「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の基本的な方向性について(案)」について事務局から説明をお願いします。
○犬伏障害福祉課長補佐 それでは、資料4「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の基本的な方向性について」、御説明させていただきます。
 1ページ目を御覧ください。
 はじめにというところですけれども、これまで、この検討チームにおいては、令和6年度障害福祉サービス等報酬改定に向けて、本年5月22日を皮切りに、第28回から今回の第44回を含めて、途中、49の関係団体からヒアリングも実施した上で、合計17回にわたって議論を行うとともに、各サービスの報酬等の在り方について検討を積み重ねてきたところでございます。
 今回、これまでの議論を踏まえ、以下の主要事項に沿って、令和6年度報酬改定の基本的な方向性について取りまとめることといたしました。障害福祉分野における賃上げをはじめとする人材確保への対応は、喫緊かつ重要な課題であり、物価高騰・賃金上昇、経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性等を踏まえ、利用者が必要なサービスを受けられるよう、必要な処遇改善の水準の検討も含め、必要な対応を行うことが重要な課題であると認識しておりますので、こうした問題意識も踏まえ、主要事項に沿って、これまでの検討の方向性について整理させていただいたところでございます。
 具体的な改定内容につきましては、診療報酬や介護報酬における対応等を踏まえつつ、今後の予算編成過程を経て決定されるものでございます。改めて、年明けの検討チームにおいて、具体的な単位数といったところを含め、また御報告させていただければと思っております。
 具体的な内容についてでございますが、3ページ目を御覧ください。大きな構成として、今回の基本的な方向性は、8月の検討チームにおいてお示しさせていただいた主な論点において示された項目ごとに、これまでの検討の方向性を整理したものでございます。
 Ⅰの1は、障害者が希望する地域生活を実現・継続するための支援の充実でございます。
 (1)地域生活支援協定等の整備の推進を含めた障害者の地域移行の促進というところで、地域移行に関する検討の方向性というものは、この1の(1)に整理させていただきました。
 マル1、地域移行を推進するための取組として、障害者支援施設の全ての入所者に対して、地域移行及び施設外の日中サービス利用の意向を確認することを指定基準に規定することや、3つ目の○、地域移行に向けた動機づけ支援として、グループホーム等の見学や食事利用、地域活動への参加等を行った場合の評価を行うこと。
 4つ目の○、障害者支援施設から地域へ移行した方がいる場合に、新たに加算で評価を行うといった見直し、御議論いただいた内容は、こちらに含まれております。
 マル2、地域生活支援拠点等の機能の充実です。
 障害者の緊急時の受入れや地域移行の推進について、計画相談支援や地域移行支援等のサービスを一体的に提供し、かつ、市町村から地域生活支援拠点等の委託を受けた相談支援事業者において、情報連携等のコーディネート機能を担うことを評価することや、2つ目の○、平時からの情報連携を整えた短期入所及び通所系サービス事業所において、重度障害者の緊急時の受入れについて評価する。併せて、短期入所における緊急時の受入れについて、緊急短期入所受入加算の単位数を見直すといった内容がこちらに含まれております。
 4ページ目を御覧ください。(2)グループホームにおける一人暮らし等の希望の実現、支援の実態に応じた適切な評価というところでございます。主にグループホームに関連する見直しの内容について、こちらに整理させていただいております。
 マル1、グループホームから希望する一人暮らし等に向けた支援の充実です。グループホーム入居中に一人暮らし等を希望するに至った利用者を含め、一人暮らし等に向けた希望を持つ利用者に対する支援を実施するため、入居中及び退居後の定着に向けた支援を評価することや、グループホームの入居前から一人暮らし等をするための支援を希望する者に対する集中的な支援の実施や、共同生活住居単位で一人暮らし等に向けた支援を実施する仕組みとして、既存の類型の枠内において、一定の期間における集中的な支援を実施する事業所を評価する取組といったことをこちらに盛り込みました。
 マル3、共同生活援助における質の確保というところで、共同生活援助等の居住系サービスにおいて、支援の質を確保する観点から、介護保険サービスの運営推進会議を参考としつつ、各事業所に地域と連携する会議体を設置するなど、地域の関係者を含む外部の目、または第三者による評価を定期的に入れる取組を導入する。ただし、令和6年度までは経過措置として、事業者の努力義務とするといった取組や、共同生活援助事業者において整備が義務づけられている会計に関する諸記録として、利用者から徴収した食材料費等に係る記録が含まれることや、食材料費等として徴収した額については、適切に管理すべき旨を改めて明示するといったグループホームに関連する施策について、こちらにまとめさせていただきました。
 5ページ目でございます。(3)障害の重度化や障害者の高齢化など、地域のニーズへの対応というところでございますけれども、こちらは主に訪問系サービスにおける対応をまとめさせていただいたところになります。
 主なところで言いますと、マル4、訪問系サービスの国庫負担基準の見直しというところでございます。居宅介護の国庫負担基準について、介護保険対象者の区分を追加する。
 重度訪問介護の国庫負担基準について、重度障害者の単位の見直しや介護保険対象者の区分の細分化を行うといった見直しをここに入れさせていただきました。
 (4)地域における自立した生活を送るための機能訓練・生活訓練の充実等というところです。こちらは、主に自立訓練に関する施策についてまとめさせていただいております。
 マル1、社会生活の自立度評価指標(SIM)の活用と報酬上の評価というところで、自立訓練における支援の質を担保するため、標準化された支援プログラムの実施と客観的な指標に基づく効果測定を行い、これらの内容を公表している事業所を評価する。
 マル2、ピアサポートの専門性の評価というところで、自立訓練(機能訓練及び生活訓練)について、ピアサポートの専門性を評価するであったり、マル6、高次脳機能障害を有する者への支援に対する評価というところで、高次脳機能障害を有する方が適切にサービスを受けることができるよう、他の障害領域と同様に、高次脳機能障害に関する研修を受講した常勤の相談支援専門員を配置し、その旨を公表する相談支援事業所を評価すること。
 高次脳機能障害を有する利用者が一定数以上であって、専門性を有する職員が配置されている自立訓練や就労支援等の通所サービスや共同生活援助等の居住サービスを評価するといった取組をここに整理しています。
 (5)相談支援の質の向上や提供体制を整備するための方策というところで、こちらは計画相談に関する内容を主にまとめさせていただいているところでございます。
 マル1、質の高い相談支援を提供するための充実・強化というところで、支援の質の高い相談支援事業所の整備を推進するため、一定の人員体制や質を確保する事業所向けの機能強化型の基本報酬及び算定要件の見直しを行う。
 マル2、医療等の多様なニーズへの対応。医療等の多機関連携のための各種加算につきまして、多機関連携の推進や業務負担を適切に評価する観点から、加算の対象となる場面や業務、算定回数などの評価の見直しを行うといった内容をこちらに設けさせていただいております。
 続きまして、7ページ目、(6)強度行動障害を有する障害者等への支援体制の充実というところでございます。
 強度行動障害を有する児者の受入体制の強化、マル1のところで、強度行動障害を有する児者のうち、行動関連項目の合計点が非常に高く、支援が困難な状態にある児者の受け入拡大や支援の充実の観点から、10点という区切りだけではなく、点数が非常に高い児者を受け入れて適切な支援を行った場合にも評価を行う。その際、各事業所において強度行動障害を有する児者に対するチーム支援の実施をマネジメントする中心的な役割を果たす人材(中核的人材)を配置した場合の評価を行うこと。
 マル2、状態が悪化した強度行動障害を有する児者への集中的支援として、高度な専門性により地域を支援する人材(広域的支援人材)が、事業所等を集中的に訪問等(情報通信機器を用いた地域外からの指導助言も含む)を行い、適切なアセスメントと有効な支援方法の整理を共に行い環境調整を進めていく、いわゆる「集中的支援」について評価を行うなど、強度行動障害に対する支援について、こちらで整理させていただいています。
 (7)障害者の意思決定支援を推進するための方策です。
 マル1、意思決定支援の推進というところで、相談支援及び障害福祉サービス事業等の指定基準において、事業者は、利用者の意思決定の支援に配慮するよう努めなければならない旨を明記する。また、意思決定支援ガイドラインの内容を相談支援及び障害福祉サービス事業等の指定基準や解釈通知に反映させる。
 相談支援及び障害福祉サービス事業等の指定基準において、サービス担当者会議及び個別支援会議について、本人の心身の状況等によりやむを得ない場合を除き障害者本人の参加を原則とし、会議において本人の意向等を確認することとするといった見直しをこちらに盛り込んでおります。
 次に、8ページ、Ⅰの2 医療と福祉の連携の推進についてでございます。
 おめくりいただきまして、9ページ目、(1)医療的ケア児の成人期への移行にも対応した医療的ケア体制の充実というところでございます。
 マル1で、医療的ケアが必要な者等の受入体制の拡充ということで、生活介護、障害者支援施設、短期入所、サービスごとに受入体制を強化した場合の見直しについて整理させていただいているところでございます。
 例えば、生活介護で言えば、医療的ケアが必要な方に対する体制や、医療的ケア児の成人期への移行にも対応した体制を整備するために、常勤看護職員等配置加算について、看護職員の配置人数に応じた評価を行う。
 障害者支援施設で言えば、夜間看護体制加算について、入所者への医療的ケアの対応状況を踏まえ、看護職員の配置人数に応じた評価を行う。
 短期入所で言えば、福祉型強化短期入所サービスにおいて、医療的ケア児者の入浴支援等、日中のみの支援ニーズに応えるサービス類型を設けるといった見直しをこちらに整理いたしました。
 (2)重度障害者が入院した際の特別なコミュニケーション支援の充実というところで、こちらは訪問系サービスの医療との連携についての施策をまとめたものです。
 マル1、入院中の重度訪問介護利用の対象拡大。入院中に特別なコミュニケーション支援を行うための重度訪問介護の利用について、障害支援区分4及び5の利用者も対象とすること。
 マル2、入院中の重度訪問介護利用における入院前の医療と障害福祉の連携した支援を行った場合の評価といった内容をこちらに盛り込んでおります。
 (3)、先ほど御紹介いたしました障害者支援施設等における医療機関との連携強化・感染症対応力の向上というところで、感染症発生時に備えた平時からの対応や、新興感染症発生時に施設内療養を行う障害者支援施設等への対応について、こちらにも医療と福祉の連携として整理させていただきました。
 (4)は、先ほど御紹介した相談支援に係るところの再掲になります。
 おめくりいただきまして、11ページ、Ⅰの3 精神障害者の地域生活の包括的な支援というところでございます。
 精神障害者の方の地域移行を促進するために、特化した取組ではございませんが、これまで御紹介してきた地域生活支援拠点の機能の充実や、グループホームから希望する一人暮らし等に向けた支援の充実といったものは、精神障害者の地域生活への移行についても資するものですので、再掲させていただいております。
 次に、12ページ、IIは、社会の変化等に伴う障害児・障害者のニーズへのきめ細かな対応という項目にしておりますが、障害児に対する支援や就労支援に関するものは、こちらのIIのほうに整理させていただいております。
 おめくりいただいて、13ページ、以降、障害児に関する支援になりますけれども、(1)児童発達支援センターの機能強化等による地域の支援体制の充実というところで、児童発達支援センターの一元化に伴う報酬上の対応や、マル2、児童発達支援センターの機能・運営の強化というところで、児童発達支援センターの中核機能の発揮を促進する観点から、専門人材を配置して地域の関係機関と連携した支援の取組を進めるなど、4つの機能を発揮して地域の障害児支援の中核的役割を担うセンターについて、中核拠点型と位置づけて、体制や取組に応じて段階的に評価を行うといった取組をこちらに整理いたしました。
 (2)質の高い発達支援の提供の推進というところでございます。こちらは、主に児童発達支援及び放課後等デイサービスに係る取組でございます。
 マル1、総合的な支援の推進と特定領域への支援の評価等というところでございます。
 適切なアセスメントの実施とこどもの特性を踏まえた支援を確保する観点から、支援において、5領域全てを含めた総合的な支援を提供することを基本とし、支援内容について、事業所の個別支援計画等において5領域とのつながりを明確化した上で提供することを求めることなどといった、総合的な支援の推進についての取組をこちらに整理させていただいております。
 また、マル2、関係機関との連携の強化というところでございますが、関係機関連携加算について、対象となる関係機関に医療機関や児童相談所等を含めるとともに、個別支援計画作成時以外に情報連携を行った場合の評価を行うといった取組を掲載させていただいております。
 次に、おめくりいただきまして、14ページ、(3)支援ニーズの高い児への支援の充実というところでございます。こちらも児童発達支援、放課後等デイサービスに係る取組が中心となっております。
 マル1、医療的ケア児・重症心身障害児への支援の充実。マル2、強度行動障害を有する児への支援の充実といった特別な支援を必要とする障害児の方への支援・施策については、こちらにまとめさせていただきました。
 おめくりいただきまして、15ページ、(4)家族支援の充実というところで、マル1、家族への相談援助等の充実です。
 家庭連携加算について、訪問支援を促進する観点から評価の見直しを行うことや、3つ目の○ですけれども、きょうだいへの支援も促進されるように、家庭連携加算及び事業所内相談支援加算において、きょうだいも相談援助の対象であることを明確化するといった取組をこちらに書かせていただきました。
 (5)インクルージョンの推進でございます。
 マル1、児童発達支援・放課後等デイサービスにおけるインクルージョンに向けた取組の推進ということで、並行通園や保育所等への移行等、インクルージョン推進の取組を求めるとともに、事業所の個別支援計画等において具体的な取組等に記載し、その実施を求めるといったことや、マル2、保育所等訪問支援の充実に係る取組については、こちらにまとめさせていただきました。
 (6)障害児入所施設における支援の充実というところで、地域生活に向けた支援の充実や、小規模化等による質の高い支援の提供の推進などに関わる取組について、こちらにまとめさせていただいております。
 (7)は、障害児相談支援に関する取組を掲載するところですけれども、相談支援のところの再掲となります。
 次に、おめくりいただきまして、17ページ目、就労支援に関する取組をまとめたところになります。
 18ページからが具体的な内容になりますが、18ページの2の(1)就労移行支援事業の安定的な事業実施というところで、就労移行支援事業所の利用定員規模の見直しとして、利用定員を見直して、定員10名からでも実施可能とすること。
 (2)就労継続A型の生産活動収支の改善と効果的な取組の評価というところで、スコア方式による評価項目の見直しを行い、労働時間の評価について、平均労働時間が長い事業所の点数を高く設定するとか、生産活動の評価について、生産活動収支が賃金総額を上回った場合に加点、下回った場合に減点するといった見直しを検討する。
 (3)就労継続支援B型の工賃向上と効果的な取組の評価というところで、平均工賃の水準に応じた報酬体系に見直すことがここに盛り込まれております。
 おめくりいただきまして、19ページ目、(4)就労定着支援についてですけれども、マル1で、スケールメリットを考慮した報酬の設定、マル2の定着支援連携促進加算の見直しといった定着支援に関する取組はここに一旦整理いたしました。
 (5)効率的な就労系障害福祉サービスの実施というところで、これまでの就労系サービスに共通するような課題については、この(5)において整理させていただいております。
 マル2のところでございますけれども、今回、この基本的な方向性においては、これまでの各回における議論をまとめたものになります。ただ、マル2については、先週の検討チームにおいて、最後に先月、行われた障害者部会の御意見について御紹介させていただきました。障害者部会の御意見の中で、休職期間中の就労系障害福祉サービスを利用する際の対応について御指摘をいただきましたので、この基本的な方向性の中にも、(5)のマル2として盛り込ませていただいたところになります。
 おめくりいただきまして、20ページ目、(6)就労選択支援の円滑な実施というところでございますけれども、就労選択支援に係る人員配置・要件ですとか対象者といった御議論いただいた内容をこちらに整理させていただきました。
 最後の章になりますけれども、22ページ、持続可能で質の高い障害福祉サービス等の実現のための報酬等の見直しです。
 おめくりいただいて、23ページ目、(1)賃金上昇等を踏まえたサービスの安定的な提供のための人材確保策というところで、人材確保、処遇改善に関する取組をまとめたところになります。
 マル1、処遇改善の一本化について、処遇改善加算について、現行の各加算・区分要件及び加算率を組み合わせる形で段階を設けた上で、一本化及び書類の簡素化を行うとか、マル2、処遇改善加算の対象サービスの追加を行うとか、マル3、相談支援人材の確保、マル4、人員配置基準における治療と仕事の両立支援への配慮など、働きやすい職場環境をつくることや、処遇を改善することで人材確保を進めていくといった内容をこちらに整理いたしました。
 おめくりいただきまして、24ページ、(2)でございます。こちらは、サービス提供事業者や自治体の事務・手続の簡素化や、ICTなどによる効率化の方策をまとめたものになります。
 マル1、障害福祉分野における介護ロボットの活用による加算要件の緩和というところで、入所施設において、見守り機器を導入した上で入所者の支援を行っている施設について、夜勤職員配置体制加算の要件を緩和することや、相談支援におけるICTの活用。
 それから、マル5の事業者が提出する各種様式等の簡素化・標準化について、こちらに盛り込んでおります。
 おめくりいただきまして、(3)サービス提供の実態やサービス内容・質に応じた評価というところでございます。
 マル1、経営実態調査を踏まえた経営状況やサービスの質に応じた評価を行うための基本報酬の見直しとして、先般の経営実調の結果などを踏まえまして基本報酬の調整を行わせていただくということや、マル5、情報公表制度として、障害福祉サービス等情報公表システム上、未公表となっている事業所への報酬上の対応を行うといった質の評価、サービス内容の質に関する項目をこちらにまとめさせていただいております。
 (4)障害者虐待の防止・権利擁護でございます。
 マル1、障害者虐待防止及び身体拘束適正化の徹底というところで、障害者虐待防止措置を未実施の障害福祉サービス事業所等に対して、現在の身体拘束廃止未実施減算を参考として、報酬上の対応を行うなどの取組を整理しています。
 マル2、同性介助について、「本人の意思に反する異性介助がなされないよう、サービス管理責任者等がサービス提供に関する本人の意向を把握するとともに、本人の意向を踏まえたサービス提供体制の確保に努めるべき」旨を明記するといったことを書かせていただいております。
 26ページ、最後になりますが、(5)経過措置への対応として、マル1、マル2、食事提供体制加算の経過措置の取扱いや、マル3、本日御議論いただきました補足給付についてといった経過措置への対応などについては、こちらのページでまとめさせていただきました。
 以上が基本的方向性の概要になります。
○伊藤障害福祉課長 ありがとうございました。
 ただいまの説明について御質問、御意見ございましたら、お願いいたします。
 それでは、小澤アドバイザー、お願いします。
○小澤アドバイザー これまでの議論をまとめていただいて、どうもありがとうございます。
 全体の方向性としては、おおむね私もこの方向性でいいかと思います。その上で、せっかくの機会なので、ちょっと意見を申し上げたいと思うのですけれども、総論的な話です。
 1つは、冒頭の1ページのはじめにというところにありますけれども、私が今回のこの報酬の議論で深刻に受け止めているのは、人材確保の問題かと思うのです。これは全ての課題に共通しておりまして、そのために、もちろん処遇改善の議論がずっとなされたのですけれども、それだけじゃないのではないかと前々からずっと思っていることがあって。それは、もう一つ、キャリアの形成というのでしょうか。要するに、専門性をいかにスキルアップしていくのか。そういった道筋を一方で示しておかないと、単に処遇だけで、私などは大学に勤めているので、いわゆる福祉を学んだ学生がなかなか選択されないという問題のもう一つの理由に、専門性をいかに評価されるかという。
 一例は、相談支援の領域に、初任、現任、主任という、あれはキャリアと言っていいのかどうか、ちょっと別なのですけれども、少なくとも何らかの形でそういう道筋を、それぞれのサービスの専門性に応じて示していかないと、単に処遇だけでこの問題が解決するとは実は思えないのですね。これはこの報酬とは別の話なので、一方でそういう議論が必要かなと思ったのが意見の1つです。
 あとは、2ページで、実はピアサポートの話が、(4)の機能訓練・生活訓練の充実というところに登場しているのです。これは確かに評価という観点で出てきているのは分かるのですけれども、全体的に考えると、意思決定支援という議論の中で、もう一つ考えなければいけないのは、意思形成支援という考え方があります。そもそも意思をどういうふうにしてつくり上げるのか。それはどこに関係してくるかというと、2ページの(7)というところと、それから特に関係が深いのはグループホーム絡みの(2)ですね。つまり、一人暮らしを既に希望されたという議論は成立しているのですけれども、そもそもそういう思いをどうやって生み出すのか。そのときに、このピアサポートというのは結構大きな威力を発揮するだろうと思われるのです。
 ですので、こういった辺り、ピアサポートをどういうふうに入れるかは別としても、報酬上の配慮という意味ではなくて、考え方として、そういったものをきっちり出しておいたほうがいいのではないかなというのが、これは意見です。
 あとは各論がいっぱいありますけれども、それはこれまで議論し尽くしたところがあるので、私としては、そこのところがこれまであまり触れられなかったので、申し上げたかったということです。
 以上です。
○犬伏障害福祉課長補佐 ありがとうございます。
 最初に御指摘いただいた人材確保について、処遇改善だけではないというのは、まさにそのとおりだと思いますので、業務効率化を含め、賃金に限らない待遇の改善というのも引き続き重要な課題として検討してまいりたいと考えております。
○金川障害福祉専門官 ピアサポートの件、ありがとうございました。まさにおっしゃるとおりで、効果が上がったところの中には、自分の気持ちを後押ししてくれたというのも、昨年度の推進事業で出ているところなので、どういった形でピアサポートを活用していくのかということに関しては、引き続き検討していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○伊藤障害福祉課長 続きまして、田村アドバイザー、お願いします。
○田村アドバイザー どうもありがとうございます。非常に分かりやすい、丁寧な御説明ありがとうございました。
 私は、小児科医としての立場から、障害児と医療的ケア児に関するところについて少しコメントさせていただきたいと思います。
 最初に、7ページの(7)障害児の意思決定支援を推進するための方策のところですが、そこのマル2の「障害児支援におけるこどもの最善の利益の保障」というところで、私は、この「こどもの最善の利益」ということの中で非常に大事なのが教育問題だと思います。障害児とか医療的ケア児の場合は、普通の学校に行きたいとか勉強したい、場合によっては大学に行きたい、社会体験したいといったことを願っているお子さんは、私は少なくないと思います。それに対しては、医療的ケア児支援法が、そういったことは当然だということを宣言しているわけですが、それでも実際にはなかなかそういう希望がかなえられず、悲しい思いをしているお子さんもまだまだたくさんおられます。
 この問題に関しては、医療的ケア児や障害児の自立につながるだけではなくて、その周りにいるこどもたちが、障害とか医療的ケアとかをもう普通のことだと考えて、特別視しない、差別扱いしないといったことにもつながることになりますので、ぜひ文科省とも協力して、教育というこどもの最善の利益が守られるという方向で、障害福祉サービスのほうも御検討を続けていただきたいと思います。
 続きまして、9ページの医療と福祉の連携のところですけれども、そこでは(1)の医療的ケア児の成人期への移行にも対応した医療的ケアの体制の充実のところの短期入所について少し述べさせていただきます。特に高度の医療的ケアを必要とするようなお子さんは、短期入所を受け入れてくださるところが少ないということで、御家族も非常に苦労されておられます。まず、全国的に比較的多い福祉型の短期入所施設で、医療的ケア児者の受入れがどんどん進められる方向で進めていただきたい。そのためには、福祉型短期入所施設に高度な医療的ケアを必要とするこどもや大人の方が受け入れ易くなる様に、訪問看護とか訪問診療が福祉型短期入所施設に入れるという仕組みが必要だと思います。
 今回は、せっかくトリプル改定でありますので、診療報酬部門とも、この点について検討して、それで訪問看護や訪問診療が福祉型短期入所施設に入れやすい仕組みをつくっていただきたいと思います。
 それから、今度は、医療型の短期入所施設では、経営がなかなか難しい。特に、高度の医療的ケアを必要とする児・者を受け入れた場合、一番の問題はキャンセルが多くて、そのために経営的に非常に難しい。利用者は、実際に医療的状況が緊急・高度化して悪くなって、そのために病院に入院したりするためにキャンセルするわけですから、そこで御本人とか御家族にそのキャンセル料を負担させるというのは、これは酷なことだと思いますので、ぜひ利用者にキャンセル料の負担が行かない形で、そのキャンセルを補償する体制ということを考えていただきたいということがあります。
 それから、同じ9ページの重度障害者が入院した際の特別なコミュニケーション支援の充実というところのマル1で、従来の障害支援区分6だけだった適用を4、5にも広げるということが、これはコミュニケーションを十分取れない障害者が入院したときに、うまくコミュニケーションを取れなくて、それこそ命に関わるような状況が起きたということを踏まえて対象を広げるということです。
 この議論のときにも私が言わせていただいたのですけれども、同じようなことが、これは高度医療的ケア児でも十分起こりえることで、高度医療的ケア児だから、そういうときは保護者が付き添いをするのが当たり前だというのは、ある種の日本の悪い習慣といいますか、保護者に対する悪い負担のかけ方だと思います。これは「医療的ケア児支援法」が推進しようとする家族の離職防止にも反することです。ですから、高度医療的ケア児が入院するような場合にも、ぜひヘルパーさんが病院でも24時間つけるような体制ということはしっかりと検討していただきたいと思います。
 それから、13ページに飛びますけれども、IIの社会の変化等に伴うきめ細かな対応というところでございます。ここで児童発達支援センターの機能強化ということを(1)で挙げていただいています。しかし医療型の児童発達支援センターは事業者数が全国でも非常に少なくて、どちらかというとリハビリとか補装具といった整形外科的な支援に偏っています。これを福祉型の児童発達支援センターと統合することはよいことだと思うのですけれども、整形外科的な支援は専門性が高いために、多くの福祉型児童発達支援センターが整形外科的支援も提供できるように、技術指導とか研修体制などの充実が必要になると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 また、そこで述べられている「発達障害児、難聴児、重心児の区分を一元化する」ということですけれども、私はそうすることで、サービスの提供体制が大ざっぱになることを懸念いたしますので、それについても十分な御配慮をしていただきたいと思います。
 それから、マル2の関係機関との連携強化のところですけれども、セルフプランで複数の事業所を併用する児について、セルフプランを関係者間で共有するということは非常に重要なことであると思います。ただ、できれば、その論理を発展させて、セルフプランよりも充実したサービス支援計画を作成できるように、医療的ケア児コーディネーターを含む相談支援専門員の質の向上を図ることが非常に大事だと思います。そのためには、今までセルフプランだった障害児に対して、指定特定相談支援事業所がサービス支援計画を作成した場合に、報酬を増やす仕組みが必要だと思います。
 次に、14ページで、支援ニーズの高い児のマル1、医療ケア児・重心児への支援の充実のところです。ここで認定特定行為従事者による支援の充実、重心型通所施設、入浴支援、送迎、居宅介護、共生型サービス、どれも重要な視点だと思います。特に、居宅介護の特定事業所加算にケア児や重心児を含めるということは非常に重要だと思います。なぜならば、私が勤務しております埼玉県でも、親がこどもをお世話するのは当然だから、3歳未満のこどもに居宅介護を支給しないということを公言している市町村もあります。医療的ケア児の家族が著しく疲弊している現状がありますので、ぜひこの点についてもよろしくお願いしたいと思います。
 最後に、16ページをお願いします。16ページの(6)の障害児入所施設のマル1、地域生活に向けた支援の充実のところですけれども、マル1の○の1番目のところの、15歳以上の入所児童の移行支援についてです。医療型の障害児入所施設にいる重症心身障害児や医療的ケア児が、成人の障害者入所施設に移行できることは極めてまれです。成人の障害者入所施設において、重心者や医療的ケア者を受け入れた場合に特別な報酬をつけないと、この移行はなかなか進まないと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 私からのコメントとお願いは以上です。よろしくお願いしたいと思います。
○栗原障害児支援課長 ありがとうございます。障害児支援課長でございます。
 多岐にわたり、たくさん御意見いただきまして、一つ一つお答えすることはしませんが、私のほうで全部まとめてお答えさせていただきたいと思いますが、前半は、現場でまさに支援を行われている先生の現場での課題を踏まえた御指摘だと受け止めます。それぞれ今回の報酬改定の中では、例えば福祉型のショートの部分の充実とか、あと相談支援で医ケアに対応した場合の充実という辺りは、今回の方向性の中でも入れさせていただいておりますし、今回、可能な限り、支援が現場でなかなか難しい方、医ケア児をはじめとした方に対する支援の充実というところに視点を当ててやらせていただきましたので、できるところを入れさせていただいたということで、まず御理解いただければと思います。
 加えて、訪問看護の入り先とか、障害福祉サービスの重度訪問介護の児への対象拡大といった話は、これは大きな制度の話になりますし、また医療保険制度にもかかわる話ですので、ここは大きな課題として様々な議論があるのかなと思っております。
 いずれにしても、障害児、今回、かなり現場の課題を踏まえて、考えられるものを全て入れさせていただいたつもりですので、先生の御指摘も踏まえながら、最後、具体の改定にしていきますので、そこをしっかりやっていきたいと考えております。
 以上です。ありがとうございます。
○田村アドバイザー どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○伊藤障害福祉課長 続いて、井出アドバイザー、お願いします。
○井出アドバイザー ありがとうございます。
 御説明ありがとうございました。井出でございます。
 まずは、今日の議論は、これまでたくさん議論したことのまとめと整理ということですので、この取りまとめの方向は、私は賛成です。これが1つの今日の井出の結論です。ほぼ佳境に入っていますので、これまでの感想や意見を述べさせていただいて終わろうと思います。
 まずは、本当に長きにわたって事務局様にはお世話をいただきまして、本当にありがとうございました。私は今回、全体の議論の中で、とりわけ収支差額とかパーセントとか財務、数字にこだわって発言してきたつもりです。この制度の仕組みというか、制度枠は、一定の理念があって、まずは利用者、利用者ファーストということに尽きていると思います。そのために様々な報酬の仕組みが立てつけられていると思っています。
 ただ、その利用者の方を満足させていくのには、実は今回の経営主体の方々とか、そこで働く職員の方にも、実は満足していただけるような手当てをすることが必要なんだなと。何回か改定作業をさせていただいていますが、今回、より実感しています。つまり、まずは利用者さんの満足。そして、ケアする職員さんたちがきちんとケアされるような、満足できるような仕組みを整えていく。そこに人が集まってくると思いますので、そうした仕組みをこの制度はつくっていく必要があると思います。
 恐らく、そうした仕組みを整えていくと、実は今回、話してきた財務、お金の結果もよくなっていくのだと思います。そして、よりよい障害のサービスの理念のようなものが将来、回ってくる。そしてまた、利用者ファーストになって、職員さんたちも満足していただく。あるサイクルがこの制度の中にあって、それを何とかつくっていかなければいけないのかなと思っています。
 何度も先生方から出ていますが、トリプル改定ということですので、医療と介護の関係性がありますので、今回、ドラスチックな改定になるかどうかは分かりませんけれども、御意見させていただいたサイクルの好循環がこの報酬改定で仕組まれるように、実調の精緻化もこれからも注視していきたいと思いますし、ぜひアドバイス、応援していきたいと思っています。
 大体、議論が深まりましたので、今回、感想、意見させていただきました。ありがとうございました。
○伊藤障害福祉課長 ありがとうございます。御意見、受け止めさせていただきます。
 続きまして、岩崎アドバイザー、お願いします。
○岩崎アドバイザー この間、いろいろと御説明いただいて、本当にありがとうございました。
 今回の報酬改定に関しましては、これまで以上に論拠を明確に示していただいて論点整理をしていただいていること、非常に痛感しておりますし、感謝申し上げます。ただ、障害福祉サービスというのは、非常にいろいろな障害の方たちがいろいろなサービスを利用されていて、それぞれのニーズも支援目標も非常に異なっている点で、アウトカムを設定することが難しいということがずっと言われていて、結果としてサービスの質の評価と言ったときに、何がそのサービスの質が高いという評価につながるのかという共通認識がなかなか持ちづらいことになっているかと思います。
 そうはいっても、報酬改定ですので、質の高いサービスを提供しているところが評価されるのは当たり前のことであって、この間、サービスの提供時間、職員さんの配置、機関同士の連携とか、就労系では工賃ですとか、その他事業所についても様々な体制を整備していくことが求められておりますが、そうした多様な側面から基本報酬や加算、減算などについて具体的な議論がなされてきたと認識しております。
 そうした点で、今回の見直しの方向性については、私も賛同しています。皆さん、非常にいろいろな御苦労があって、ようやくここにたどり着いたというのも感じております。反面、小澤アドバイザーがおっしゃったように、私も人材の確保ということが大きな課題だと思っています。特に、障害福祉サービスの通所の事業は小規模なところが多くて、高い加算を取得しようとすると、少ない職員体制で非常に無理がかかってくるということがあります。管理者というような立場になる人は、実践的な力量だけじゃなくて、事業を継続していくために非常にいろいろな能力を求められていると感じます。
 そうしたマルチタスクをこなせる人材の不足というのはもちろんのことですが、配置基準を達成することすら難しい事業所も多くあります。ですので、今回、事務手続の簡素化とか処遇改善加算の一本化とか、いろいろなことを取り上げていただいておりますけれども、それでもまだ現場がなかなか追いついていない。また、質の高いサービスを提供したいと思っていてもできない事業所が多く存在しているということも現実だと思うのです。
 キャリアパスのことも先ほど小澤アドバイザーからお話ありましたけれども、処遇改善加算の取得のためにキャリアパスをつくられている事業所も増えていると思うのです。それでも、業務負担は増えるけれども、現実、財源がなくてベースアップすらできない事業所もたくさんあります。だから、この業界にやりがいを求めてやってきた人たちが燃え尽きてしまったり、失望して去っていくということがないように、今後も引き続き、人材の確保あるいは定着ということに一層政策を推進していっていただけるように、どうぞよろしくお願いします。
 もう一つ、これも小澤先生に乗っからせていただくということではないのですけれども、私もピアサポートの有効性に関しては、ほかの事業にも幅広く活用していただけるものではないかなと思っています。当事者主体とうたいながらも、これまで私たち専門職が当事者の意向ということを十分に考慮し切れてこなかったという反省の上に立っていることもありますけれども、ぜひ今後も幅広い事業に活用していっていただきたいなと思っています。
 ただ、懸念として、安上がりな人材として活用されるということはあってはならないと思っています。ぜひ有用な福祉人材として広げていっていただきたいなと思っております。
 以上です。
○金川障害福祉専門官 ありがとうございました。
 先ほどの小澤アドバイザーの御意見もそうですけれども、ピアサポートの大事さというところは認識しつつ、先生もおっしゃっていたように、安い人材としてということにならないように、ピアサポートの価値とか重要性というものを引き続き見つめて、発信しながら進めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○伊藤障害福祉課長 続いて、橋本アドバイザー、お願いします。
○橋本アドバイザー 橋本です。丁寧な御説明をありがとうございました。また、事務局の皆様にも取りまとめいただきまして、ありがとうございます。
 今回の取りまとめに関しては、私も賛成です。その中で2点意見と1点質問をさせていただきます。
 3ページのマル2、地域生活支援拠点等の機能の充実の1つ目の○ですが、拠点をうまく活用できるかどうかは、拠点のコーディネーターがどれだけその業務に専念できるかにあるかと思います。計画相談で手いっぱいな相談支援事業所に、拠点に専念する時間を捻出してもらうためにも、コーディネーターには、可能な限り、一定程度の人件費を捻出できるような評価をしていただければと思います。
 また、自立生活援助について、今回、より利用しやすくするために配置基準の緩和などをしていただいたことについて、高く評価しています。私のこどもも将来の希望を聞くと、家族と自宅で暮らしたい。行く行くは一人暮らしになっても、このまま自宅で暮らしたいと話しています。生活の選択肢の一つとして、自分で一人暮らしをしたいという障害者が、自信を持って、安心して一人暮らしを選べるように、今後も自立生活援助を普及させていただきたいと思います。
 また、質問ですが、4ページ目のマル3、共同生活援助における支援の質の確保の1つ目の○の、支援の質を確保する観点から、各事業所に地域と連携する会議体を設置するなど、地域の関係者を含む外部の目を定期的に入れる取組を導入すると、グループホームのほうでありますが、具体的にはどのような会議体を想定していますでしょうか。事業所としては負担感があると思いますが、ぜひグループホームの支援の質の向上につながるようなものにしていただければと思います。
 また、令和6年度までは経過措置として努力義務とありますが、令和7年度からは義務となるということでよろしいでしょうか。お願いいたします。
○金川障害福祉専門官 ありがとうございました。
 まずは、拠点のコーディネーターの部分はおっしゃるとおりで、個別給付の個別支援だけをやるのではなくて、地域のために活動するというコーディネーターの配置を引き続き検討していきたいと思っています。
 自立生活援助の件も御評価いただき、ありがとうございました。
 また、共同生活援助における先ほどの支援の質を確保する観点からの運営推進会議ということでしたが、まずは閉鎖的にならないということを考えておりますので、地域の方であったり、いろいろな方の参画というふうに考えておりますが、現在、推進事業で実際にいろいろな事業所とか団体の方にも御協力いただいて、試行的にやってみていますので、そこでまた精査しながらお示しするようにしていきたいと思っています。
 また、令和7年度以降に向けて、令和6年度は努力義務でという形でお示しさせていただいているとおりになります。
 以上になります。
○橋本アドバイザー ありがとうございました。
○伊藤障害福祉課長 続いて、石川アドバイザー、お願いします。
○石川アドバイザー 丁寧な御説明ありがとうございます。幅広い分野の多くの団体の方や検討チームのアドバイザーの皆様の意見を基に、このように分かりやすく報酬改定の基本的な方向性をまとめていただき、ありがとうございます。改めて障害福祉サービスの幅の広さと奥の深さを痛感することが多かったと思っています。
 今回の改定に当たりましては、プラス評価が多かったこともあり、利用者をはじめとする事業所や施設の方々によい形で反映されることを願っています。その反面で、給付費が年々増えており、本市でも毎年補正をしている状況で、持続可能で質の高い障害福祉サービスを実現することは難しいと痛感しております。
また、地域移行の促進や障害の重度化、障害者の高齢化への対応などの課題に対応するためには、相談支援の質をさらに向上させる必要がありますが、これらの課題は、障害福祉サービスだけで全て対応するには限界があるように思います。前回の会議でも申し上げましたが、計画相談支援事業所と居宅介護支援事業所の兼務を可能にし、兼務しやすい状況にするなど、支援者の知識とネットワークをさらに広げることで、在宅で本人が希望する生活を維持していくことができるのではないかと思います。
 介護保険の現場では、一人暮らしの方を御自宅で看取りまで行う支援について、事例を積み重ねています。障害分野でも、いろいろな制度や社会資源を活用することで住み慣れた自宅で暮らし続けることが実現できるよう、様々なノウハウを持つ福祉専門職が増えることを期待しています。これがキャリアアップにもつながっていけばいいと思っております。その辺が充実すると、結果的に地域共生社会の実現につながると思います。
各分野の制度は複雑で、改正も多いので、自治体の中でもどう連携を図るかが課題になっています。それぞれの分野で活躍されている方々の連携が当たり前にできるようになることが、地域の中で誰もが安心して暮らしていけるようになると思いますので、これからも分野を超えた連携がもっと評価されるような形で、制度も変わっていくといいなと思っております。引き続き、御検討をお願いしたいと思います。幅広い分野のご意見をお伺いすることができ、私自身も大変貴重な経験をさせていただきました。ありがとうございました。
 以上になります。
○伊藤障害福祉課長 ありがとうございます。御意見、受け止めさせていただきます。特に、石川アドバイザーは自治体から参加いただいていて、財政の視点とか持続可能性の視点というのを重要な御指摘と受け止めさせていただきました。ありがとうございます。
 続いて、石津アドバイザー、お願いします。
○石津アドバイザー 丁寧な御説明をありがとうございました。石津です。
 今回は44回目の会議で、本年度は17回目ということで、回を相当重ねた議論がなされてまいりまして、夏には49団体のヒアリングもあって、また各種調査の実施と、その報告もございました。その結果、御担当の皆様方の大変な御尽力の成果といたしまして、今回、丁寧で重要な論点を網羅した方向性が出されたと思っております。
 私は、経営状況というところに関心を持って参加させていただいておりまして、持続可能なサービスの提供ということについて、ちょっと述べさせていただければと思います。持続可能と言った場合に、政府の財政逼迫ということから、めり張りの利いた報酬という意味合いの視点で捉えておりましたけれども、ヒアリングでは、その観点での御提案というよりも、団体からは、持続可能性といいますと組織経営状況の向上という方向で捉えた御意見がほとんどになっておりました。それだけ経営が厳しいということだろうというふうにも思います。
 よいサービスの提供には、経営の安定というのはもちろん重要でして、苦しい中で頑張っている団体に報酬改定をよい方向に推進していくということが前提になると思っておりますけれども、制度としてのめり張りの利いた方向といったことを併せて一層推進していかなければならないという苦しさがございます。そのためには、経営実調の調査のさらなる分析なども進めまして、井出先生の御発言にもございましたけれども、サービスの好循環が生まれていくと、政府の財政にとっても組織体の経営にとっても、うまく回っていくということを進めていくということが今後、一層重要になっていきますので、経営状況の調査の分析ということも今後、一層進めていただければと思っております。
 以上です。
○伊藤障害福祉課長 どうもありがとうございました。
 続きまして、野澤アドバイザー、お願いします。
○野澤アドバイザー 野澤です。本当に御苦労さまでした。私、あれこれとうるさいことを言って、面倒くさいなと思われたりしないかなと思うのですけれども、これもひとえに利用者のため、一生懸命頑張っている職員のために言わねばと思って言わせていただいたので、御容赦ください。
 本当に全体的にすごくよくなってきたなと思うのですね。どこで言えばいいのか分からなかったことも含めて、最後に1つだけですけれども、強度行動障害の方への支援にすごく注目していただいて、これまで一律に強度行動障害と言ってきたけれども、割と環境を整えて肯定的な支援をすると、すっと行動がよくなるというか、落ち着く方と、なかなか難しい方がいて、一口に強度行動障害で括り切れないと前々から思っていたところに、難易度の高い方への支援というのを非常に重視していただいたというのは、これは本当によかったなと思います。
 もう一つ、どこで発言したらいいのか分からなくて、報酬改定のところで言ってもしようがないのかもしれませんけれども、支援区分の判定です。自治体によって、かなり違うのです。高く出るところがいっぱいある反面、見ると、何でこの人が2とか3なのというぐらい、すごく厳しく低くされるところがあって、そこの事業所は点数が低いものですから収入も低くて、大変な地域もあるのですね。これをどこかできちんと自治体の方、判定する方も含めて、もう一度やっていただけるといいなと思っているのです。
 それと、もう一つは、私も自分のこどもに対して、ちょっとこれ、どうなのかなと思って、判定した方とじっくりいろいろ検証してみたのですけれども、どうしても介護の要介護認定のあれが下敷きにされているせいですか、身体的な機能のところに着目される要素が強くて、行動面は軽視されてしまうのです。立てますか。歩けますか。走れますか。みんな「はい」なのです。ばりばりの性能のいいスポーツカーみたいなのです。ただ、ブレーキがないものですから危ないのです。そうすると、支援はすごく難しくて大変なのに、支援区分は低く出てしまうという。
 これは強度行動障害を一生懸命やっても、その支援区分になかなか反映されない人がいると、事業所として受けられないところが多くて、一部の事業所、一部の職員に偏ってしまうのです。その背景には、そういう支援区分の判定の問題があるなと思っているのです。もともと施設内での支援みたいなことが想定されているので、立てない、歩けないというところは、支えて介助しないといけないので大変ですね。ただ、今は施設内もそうですけれども、街での支援を考えたときに、身体的に機能はすごく高いのですけれども、どこに飛び出していくか分からない、何するか分からないみたいな人を支援するというのは本当に大変なのです。
 でも、そういう街での支援をしていくと、御本人の生活の豊かさとか行動障害の改善とかにかなりつながっていくのです。どこかで区分判定の障害バージョンを、しかも街で支援する、施設じゃないところで支援するというバージョンに切り換えていただかないと、もう一つ先がなかなか見通せないなと思っております。これ、報酬改定で言ってもしようがないのですかね。どこで言えばいいのかなと思っているのですけれども、何か考えていただけるとありがたいなと思っています。
 以上です。本当に御苦労さまでした。
○伊藤障害福祉課長 ありがとうございました。
 支援区分や支給決定に関しては、おっしゃるとおり、報酬改定にはおさまらない課題だと思いますが、もちろん厚労省障害保健福祉部で所管している制度ですので、我々で検討していく、考えるべき課題だと受け止めさせていただきたいと思います。ちなみに、少し違うかもしれませんけれども、財政制度等審議会でもそういう支給決定等の地域差ということも指摘されたりしておりますので、引き続きの我々の課題として受け止めさせていただきます。
 それから、答えを求められていないと思うのですが、野澤アドバイザーのコメントも議事録に残りますので、一応、発言させていただきますと、我々、貴重な御意見を面倒くさいと思ったことは一度もありませんので、そこは明確に否定させていただきます。ありがとうございます。
○野澤アドバイザー ありがとうございます。よろしくお願いします。
○伊藤障害福祉課長 続きまして、有村アドバイザー、お願いします。
○有村アドバイザー お時間いただきまして、ありがとうございます。また、本日は学務のため1時間ほど遅刻してしまったのですけれども、恐らく全体を総括して皆さんがコメントをおっしゃっている、そういう時間なのかなと思いまして、お礼も含めて申し上げようと思いまして、手を挙げさせていただきました。間違っていないと思って発言いたします。
 今回は、本当にきめ細かやに、事前の説明も含めましてお時間いただきまして、私自身も勉強させていただきながら参加させていただきました。特に全体のところでは、私自身が理解していなかったところもたくさんありまして、そういった意味では、特にこどもだけ、障害児のところを主に考えてまいりましたけれども、それだけではなくて、接続する施策であったり、報酬というところを意識してやっていく必要性、改めて考えるところですし、これだけの細かい議論、そして網羅的にやっていただいていること、大変感銘を受けたところでございます。
 こども家庭審議会の障害児支援部会に参加させていただいている身といたしましては、今回のところで言うと、児童発達支援センターを中心にした機能強化も図られていますし、連携も図られているところでは期待するところで、ありがたいなと思いますが、質の高い支援体制を整えていくというところでは、障害のところだけ独立した形で児のことが取り扱われるというよりは、こどもたちの施策の上で、今回もインクルージョンとか保育所等訪問支援なども挙がってきましたけれども、そういったところが障害だからというだけではなくて、制度上の社会的障壁を生まずにやっていける部分。
 特に、こどもの領域では、こども家庭センターが創設されて、そこでケースマネジメント等が行われていくものと思うのですけれども、そこと切り離された方ではなくて進められていく必要があるかなと思っています。
 これまでも、障害があるということだけで、実際は家族の支援のほうが主であっても障害のサービスにつながっていきましょうという形で支援が行われた部分もあるのかなと思うのですけれども、そこは隔絶するのではなくて、連携しながらやっていかなければならないところがありますし、特に、全てのこどもたちに対して必要なものもたくさん、この障害の領域での議論であるかなと思います。
 もう一つ、途中も出てきましたけれども、ピアの部分もとても大事だと思いますし、人材の確保のところも、養成校にいる身としても大変大事なところですし、障害の分野へ進みたいと思って来る学生の皆さんが、自信を持って一生続けていく仕事と強く認識して出ていける。そして、自信を持ってキャリアを積み重ねていただける、そういう未来は大変大事かなと思っておりました。
 報酬改定からちょっと離れた話になったかもしれませんが、大変勉強になりましたということと、丁寧なおまとめ、そして皆様の御発言からもすごく学ぶところが多かったなと思って、感謝の気持ちを伝えさせていただければと思います。
 以上でございます。ありがとうございます。
○栗原障害児支援課長 ありがとうございます。障害児支援課長でございます。
 まさに障害福祉サービスと障害児支援の報酬というのは1つの政策のツールでありまして、今回、その中でどういうふうにできるかを検討させていただきましたが、それ以外にも予算事業とか、もちろん政策全体でのつくりというのもありますので、こども家庭庁の中でもしっかり連携しながら、こどもと家族というところを真ん中に捉えて、どういう支援が必要かというところをしっかりと包括的に当てていけるような、そんな制度と地域をつくっていきたいと思います。引き続き、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
○伊藤障害福祉課長 そのほか、いかがでしょうか。
 佐藤アドバイザー、お願いいたします。
○佐藤アドバイザー ありがとうございました。一言お礼を申し上げようと思って挙手いたしました。佐藤でございます。
 今回、大変丁寧にまとめていただいて、議論で出た事柄が非常にきちんと盛り込まれた計画を立てていただいたと思います。そのプロセスで私も大変勉強させていただきました。ありがとうございました。
 今、お話も出ましたが、報酬改定でツールを用いて、よりよいサービスと、それから地域移行を進めていこうという方針が非常にはっきり打ち出されていると思いました。その点で非常に高く評価できるのではないかと考えております。本当にお疲れさまでした。ありがとうございました。
 以上です。
○伊藤障害福祉課長 ありがとうございました。
 そのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。
 では、以上とさせていただきます。どうもありがとうございました。
 それでは、最後に、資料4の基本的な方向性の取りまとめを行いたいと思っております。本日もたくさん貴重な御意見をいただきました。これらは、年明け報酬改定の具体的な単位数の決定、それから詳細の通知等のルールの決定に生かさせていただきます。さらには、報酬改定以外の施策も含めて、今後の施策運営、それから制度の検討等に活用させていただきたいと思います。
 その上で、今回の令和6年度報酬改定に向けた基本的な方向性(案)自体については、大筋では御異論がなかったかと思いますので、我々としましては、こちらの内容で今回、取りまとめさせていただきたいと思いますが、アドバイザーの皆様、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○伊藤障害福祉課長 ありがとうございます。
 それでは、基本的な方向性については、本日お示しした内容で取りまとめた上、厚生労働省のホームページに「案」を取った形で掲載させていただきたいと思います。ありがとうございました。
 本日の議論を含め、それ以外でも構いませんが、最後に全体を通して何か御質問、御意見等あれば、お願いいたします。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 本日、予定している議事は以上となります。
 本日は、辺見障害保健福祉部長、それからこども家庭庁の野村審議官が国会用務等のために途中で退席しておりますので、最後に構成員側から江口企画課長より一言御挨拶をさせていただきます。お願いします。
○江口企画課長 企画課長の江口です。本日は、本検討チームの主査である三浦政務官は国会対応で欠席しておりまして、今、お話があったとおり、副主査の辺見障害保健福祉部長、それから副主査補であるこども家庭庁の野村審議官も途中退席いたしましたので、代わって私のほうからアドバイザーの皆様に一言御礼を申し上げたいと思います。
 令和6年度の障害福祉サービス等報酬改定については、今年の5月22日に本検討チームで議論がスタートいたしました。本日まで計17回にわたって御議論いただきまして、7月から8月にかけては49の関係団体から6回に分けてヒアリングも行っていただきました。これまでの熱心な御議論によりまして、本日、報酬改定の基本的な方向性を取りまとめることができ、アドバイザーの皆様には心より感謝を申し上げます。この内容を踏まえまして、今後、具体的な改定作業を行っていきたいと考えております。
 なお、本日、取りまとまった、この報酬改定の基本的な方向性は、来週、12月11日月曜日に社会保障審議会の障害者部会、それから、こども家庭審議会の障害児支援部会の合同会議を初めて開催することにしておりまして、その場で今回のこの内容についても報告させていただく予定としております。
 最後に、改めてアドバイザーの皆様に感謝を申し上げて、私からのお礼の言葉とさせていただきます。本日は、どうもありがとうございました。
○伊藤障害福祉課長 ありがとうございました。
 次回の検討チームの開催につきましては、年明けになりますが、追って御連絡をさせていただきます。
 それでは、本日はこれで閉会いたします。お忙しいところ御参集いただき、ありがとうございました。