第191回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 議事録

日時

令和5年12月26日(火) 16:00~18:00

場所

厚生労働省18階 専用第22-23会議室及びオンライン
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館12階)

議事

議事内容
○伊藤総括調整官 お待たせしました。事務局でございます。
 開催に先立ちまして、御連絡を申し上げます。
 本日は、こちらの会場とオンラインの併用で開催しております。
 部会中は、オンラインの方は基本的にカメラはオンで、マイクはオフでお願いいたします。
 また、発言をされる際には、会場の方は挙手、オンラインの方々はZoomの「手を挙げる」機能を使用いただきまして、部会長から御指名があった後に発言をお願いいたします。
 なお、傍聴は、別会場にてオンラインで行っております。
 進行に関する説明については以上でございます。
○守島部会長 皆さん方、お忙しい中、お集まりいただきどうもありがとうございます。
 それでは、ただいまより、第191回「雇用保険部会」を開催いたしたいと思います。
 出欠状況ですけれども、清田委員が所用のため、少し遅れての御出席と伺っております。
 それでは、議事に入りたいと思います。
 議題1は「雇用保険制度について」でございます。
 それでは、資料1「雇用保険部会報告書(案)」及び資料2「雇用保険部会報告書案への追記箇所(抜粋)」について事務局より御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○川端調査官 雇用保険課調査官の川端でございます。
 資料1「雇用保険部会報告書(案)」についてまず説明をさせていただきます。
 12月13日の当部会におきまして、財政の一部を除くという形で素案について御議論いただきました。その後、12月21日に財政についての御議論をいただきました。その際に出た御意見等を踏まえて、素案を案という形で修正をしております。
 順次、修正箇所を説明申し上げたいと思います。
 1ページ目におきましては、後ほど引用しますので、略称を置いたというものでございます。
 2ページ目に行っていただきまして、委員の意見を踏まえて、見直しの背景の中に「社会全体で子育てを支援し」ということを記載しております。
 3ページ目に行っていただきまして、こちらも後ほど引用する形でございますので、略称を置いてございます。
 4ページを御覧いただきまして、適用拡大に当たって、もう少し踏み込んで中小企業の支援をという御意見がございましたので、その旨を記載しております。
 また、DX化についても、表現の適正化をというような御指摘がございましたので、「申請手続の簡素化やオンライン化」という形で記載をしております。
 5ページ目は表現の適正化でございます。
 6ページ目に行っていただきまして、65歳以上の労働者を対象に試行的に実施しているマルチジョブホルダー制度への支給状況等の把握だけではなくて、「検証を行い」と検証も追記をしてございます。
 また、マルチジョブホルダーへの雇用保険の適用の在り方につきまして、労働者代表委員からの意見として、その検討の際には、雇用保険において「失業状態」をどのように捉えるかについても併せて検討する必要があるとの意見があった旨を記載してございます。
 6ページ目の下から1つ目の○でございますけれども、適用範囲の拡大に伴いまして、当分の間、任意適用事業とされている農林水産業の個人事業で常時5人未満の労働者を雇用する事業について、暫定任意適用事業の撤廃も含めて検討を行うべきとの労働者代表委員からの意見を記載しております。
 7ページ目の中ほどでございますけれども、基本手当の給付水準につきまして、労働者代表委員からのセーフティーネットの充実という観点に鑑み、給付水準を平成12年の雇用保険法改正前の水準に戻すことを検討することが必要であるとの意見があったという旨を記載してございます。
 8ページ目でございますけれども、雇止めによる離職者についての所定給付日数を特定受給資格者並みの水準とする暫定措置につきましては、令和7年度から2年間延長すべきとした上で、この点に関して、労働者代表委員から、この暫定措置の対象者の再就職の状況は変化しておらず、取り巻く環境も大きくは改善していないことから、恒久化も含めて検討すべきとの意見があった旨を付記しております。
 また、地域延長給付につきましては、令和7年度から2年間延長すべきであると記載した上で、この点に関し、使用者代表委員から、今後の検証の際には、廃止も含め検討すべきであるとの意見があったという旨を付記してございます。
 9ページ目は用語の適正化でございます。
 10ページ目も同様でございます。
 飛んでいただきまして12ページ目でございますけれども、財政の際の議論を踏まえまして、教育訓練中の生活を支える教育訓練休暇給付金については国庫負担を行うということとし、その負担割合は、基本手当と同様の基準を用いて、財政状況等に応じて4分の1又は40分の1とすべきであると記載をしてございます。
 さらに、この給付金の創設にあわせて、教育訓練休暇制度の周知や企業への導入支援など、企業の教育訓練休暇制度の普及促進にも取り組むべきである旨を記載してございます。
 13ページ目でございますけれども、新たな融資制度の財源を記載してございます。
 また、高年齢雇用継続給付につきましては、令和7年4月から給付率を10%に引き下げるということにされておりますけれども、これについて改めて十分な周知等を行い、円滑な施行を図るべきである。その上でという記載の形にしてございます。
 13ページ目は用語の適正化でございます。
 14ページ目に行っていただきまして、産後パパ育休もほかのところで産後パパ育休と記載してございますので、用語を合わせてございます。
 出生後休業支援給付金に要する財源については、雇用保険料以外の財源から拠出されるようにすべきであるという旨を記載してございます。
 また、男性の育児休業取得が実質を伴ったものになるよう、育児休業給付の給付率の引上げの実施と併せて、男女がともに育児を担うことの重要性や共働き・共育ての意義が広く認識されるような取組も求められる旨を付記してございます。
 15ページ目に行っていただきまして、出生後休業支援給付金と同様に、育児時短就業給付につきましても雇用保険料以外の財源から拠出されるようにすべきである旨を記載してございます。
 16ページ目でございますけれども、清酒製造の例を挙げていただきました御意見を踏まえまして、一定の事業については他の事業よりも失業等給付の保険料率が高く設定されているところでございますけれども、現在の雇用状況等に照らしてもこれが妥当であるのか、短期雇用特例被保険者に対する求職者給付の在り方と併せて、今後の課題として検討すべきである旨を付記してございます。
 17ページ目でございます。介護給付に係る国庫負担の暫定措置につきまして、もう少し詳細な理由をという御指摘がございましたので、国の厳しい財政状況、当面、一定の差引剰余が生ずることが見込まれる雇用保険の財政状況との理由を付記してございます。
 17ページ目でございます。育児休業給付についてでございますけれども、18ページ目に行っていただきまして、最初は令和4年改正法の検討の規定を書かせていただいております。
 その上で、1つ目の○でございますけれども、育児休業給付の支給額の増加については今後より一層進んでいくものと見込まれ、現状を維持した場合には、財政状況が悪化することが予想される。このため、育児休業給付の財政運営の安定化を図り、安心して育児休業を取得できる環境を整備することは急務であり、男性育休の大幅な取得増等に対応できるよう、育児休業給付を支える財政基盤を強化する必要があるという旨を書かせていただいた上で、1つ目、国庫負担でございますけれども、1つ目の○は現状の記載。それに加えまして、2つ目の○でございますが、国庫負担の考え方や少子化対策の一環としての育児休業給付の重要性、育児休業給付の支給状況、今後の見通し等を踏まえ、育児休業給付を支える財政基盤を強化する観点から、国庫負担割合を令和6年度から8分の1に戻すべきである旨を記載してございます。
 2つ目の保険料でございますけれども、1つ目の○は現行の制度の説明です。2つ目の○でございますが、今後も被保険者が育児休業を取得した場合に、確実に給付を行えるようにするためには、育児休業給付の安定的な財政運営を確保する必要がある。このため、国庫負担割合の見直しと併せて、育児休業給付に係る保険料の在り方についても見直す必要がある旨を記載させていただいた上で、19ページ目で具体的な中身を記載しております。
 冒頭の2つの○の詳細については、別途説明を申し上げたいと思いますけれども、記載内容をまず簡単に説明申し上げますと、育児休業給付の今後の見通しを踏まえ、育児休業給付に係る保険料率については、当面は現行の1,000分の4に据え置きつつ、今後の財政悪化に備えて、本則料率を令和7年度から1,000分の5に引き上げるとともに、実際の料率は財政状況に応じて弾力的に調整できる仕組みを導入すべきであると記載してございます。
 また、この仕組みの下で、本部会において実際の保険料率を弾力的に調整できるかを毎年度丁寧に確認すべきである。
 なお、本部会で上記の確認を行う際には、財政状況のみならず、人口や出生数、育児休業の取得率や期間、育児休業給付の支給実績等の育児休業給付の現状に基づいた議論を行うべきであるとしております。
 詳細については、またこの後説明を申し上げたいと思います。
 3番目に新たな特別会計(いわゆる「こども金庫」)の創設の記述をしております。
 1つ目の○は、2025年度からこども・子育て特別支援会計(いわゆる「こども金庫」)を創設し、現行の労働保険特別会計雇用勘定(育児休業給付)を含めた既存の事業を統合しつつ、全体像と費用負担の見える化を進めることとしている旨を記載しております。
 この育児休業給付等につきましては、雇用保険制度に基づく給付として行われるものでございますので、制度の在り方等については当部会において議論すべきものであると記載をした上で、育児休業給付が新たな特別会計に移管された後に、雇用保険料が他のこども・子育て施策に流用されることのないよう、また、負担と給付の関係を明確にする観点から、新たな勘定の中で雇用保険料を財源とする給付とその他の施策はそれぞれで管理すべきである。そして、そうした観点から、育児休業給付資金については、雇用保険料を財源とする育児休業給付のみに充てるものとして存置すべきである旨を記載してございます。
 20ページ目におきましては、その上で、特例法による育児休業給付について積立金からの繰り入れを可能とする仕組みについては、延長しないこととすべきである旨を記載してございます。
 3番目の雇用保険二事業についてでございます。
 1つ目の○は現行制度の説明をしてございます。
 2つ目の○においては、まず、積立金から雇用安定資金への繰入を可能とする特例措置については、雇用調整助成金の特例措置等は終了していることを踏まえ、延長しないこととすべきである旨を記載してございます。
 次に、積立金から雇用安定資金への繰入額の返還については、令和5年度決算において、雇用保険二事業収支に剰余が発生することも見込まれるが、当該剰余額について、予期せぬ雇用情勢の変動に備え積立金を一定程度確保していくことの重要性や、積立金の水準が早期に回復することは、失業等給付の保険料率の水準に影響することなどに鑑み、全額を積立金に繰り入れることとすべきであるとしてございます。
 一方、雇用保険二事業による失業等給付の積立金からの繰入額に係る控除の在り方につきましては、令和4年の改正法の附則の規定に基づき、引き続き検討すべきである旨を記載してございます。
 この点について、使用者代表委員から、今後の控除の在り方の検討に当たって、有事の際に適切な対応ができないおそれがあることから、雇用保険二事業の財政再建に向けた道筋を早急に明確化することが不可欠である。雇用調整助成金の特例措置が新型コロナウイルス感染症の拡大の際の失業予防に一定の機能を果たしたことを踏まえ、その費用の全額を事業主のみが拠出する保険料で賄われている雇用保険二事業で負担するのが妥当なのかなどの観点から返還の在り方の議論を行うべきである。雇用安定資金へ積立金から繰り入れられた金額には失業等給付に充てるために一般会計から繰り入れたものも含まれていることを広く関係者間で共有すべきであるとの意見があった旨を付記してございます。
 また、労働者代表委員からは、労働者が拠出した保険料が含まれる積立金からの繰入額は、積立金の推移などにかかわらず、最優先で保全されるべきであるとの意見があった旨を記載してございます。
 あわせて、当面は雇用安定資金の残高がない状態となりますが、企業を行う能力開発等の重要性が増す中で、雇用保険二事業の効率的かつ適正な執行に努めるべきである旨を付記させていただいております。
 最後にその他でございますけれども、今般の雇用保険制度の見直し事項は多岐にわたるものとなってございます。これらの措置の円滑な施行に向け、国民各層へのきめ細かい周知・広報等を行うことはもちろん、施行後、データ収集や分析を進め、それぞれの見直しや給付の創設の趣旨に沿った効果が発揮できているかを適時に検証し、必要な措置を講ずるべきである。また、育児休業給付に係る財政基盤強化策を講じた上で、今後、将来において育児休業給付の財政状況が安定的に推移することとなった場合においては、育児休業給付の財政状況、一般会計の財政状況等を踏まえ、今後の財政基盤強化策について必要な見直しを行うこととすべきであるという旨の記載をさせていただいております。
○尾田雇用保険課長 続きまして、資料2について御説明させていただきます。
 資料2は、今御説明しました変更箇所の抜粋でございます。
 資料の前半部分、「また」以前につきましては、前回21日に育児休業給付の財政基盤強化として御説明した内容でございます。
 その21日の議論の際でございますけれども、委員の皆様から今回の国庫負担を令和6年度から8分の1に戻す。一方で、保険料について、当面据え置いた上で原則を1,000分の5とし、そして、弾力的に調整できる措置を講ずる。この全体像につきまして、一定評価する御意見もいただいた一方で、原則の保険料率を引き上げることを懸念される御意見もいただいたところでございます。
 また、関連して、保険料に関する議論がこの雇用保険部会において不十分であったという点や、今後の保険料の判断に際しては、財政状況などを見ながら、その都度十分な議論を行うべきとの御意見をいただいたところでございます。
 私のほうからは、今回の制度見直しの御議論をいただくに当たりまして、保険料に関して委員の皆様から十分な御発言をいただけるような運営上の配慮が欠けていたことについておわび申し上げた上で、今後の保険料率の決定のプロセスにおきましては、委員の皆様に意見をいただきながらしっかりと決めていくこととしたい。そのような旨をお答えさせていただきました。
 この資料2で抜き書きしたところは、このことに関しまして、事務局の提案により追記した部分ということでございます。
 「また」以下でございますが、まず、この弾力的な調整の仕組みを動かすに当たりましては、雇用保険部会において、前年度の決算を踏まえて計算した数値を部会でお示しいたしまして、その上で、委員の皆様に翌年度の保険料率を弾力的に調整できるか否かといった点を確認いただき、調整可能ということであれば、実際に0.4%にするかどうか御検討いただく。このようなプロセスを毎年度繰り返すということになります。そういう趣旨でこの2行を書いております。
 次の○の「なお」以下でございますが、本部会でこのような御確認をいただく際には、保険料の重要性に鑑みまして、育児休業給付の収支などの財政状況に関するデータのみならず、事務局から人口や出生数などの人口動態に関するデータや育児休業の取得率や取得期間、あるいは育児休業給付の支給実績等の資料を提出した上で、制度をめぐる状況も丁寧に委員の皆様に確認していただいた上で、皆様に御議論いただくこととしたいと考えております。
 このような趣旨でこの部分を追記したということを改めて御説明させていただきました。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの御説明に関しまして、御質問、御意見をお受けしたいと思います。
 また前回のようにセグメントに切って議論をしていただきたいと思います。
 まず最初に、7の財政運営、(2)の育児休業給付についての手前までの17ページまでの箇所についてまとめて御意見、御質問をいただきたいと思います。ここについては、前回大分御意見をいただいている部分になります。
 どなたからでもどうぞ。
 大谷委員が手を挙げていらっしゃいます。どうぞ。
○大谷委員 ありがとうございます。全国中央会の大谷です。
 私のほうは、前回の繰り返しになってしまいますけれども、雇用保険制度の適用拡大について発言させていただければと思っております。
 セーフティーネットを広げることは重要でありますけれども、国民負担率が上がっている中、社会保険制度全体で考えなければバランスを欠き、週所定労働時間10時間以上というものが新たな壁になりかねません。適用拡大により可処分所得がさらに減少することに対し、税や社会保険料の引下げ、また、一般会計繰入などの中小企業に対する緩和措置と併せて適用拡大を行う必要があると思っております。
 こちらの点につきまして、一部の委員の意見ということで、このような問題意識があったということを報告書のほうに残していただけると幸いでございます。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
 ほかに御意見、御質問がある方。
 清田委員、お願いいたします。
○清田委員 ありがとうございます。日本商工会議所の清田でございます。遅参いたしまして申し訳ございませんでした。
 私からは適用拡大について申し上げます。前回、私が発言させていただいたことを踏まえまして、今回4ページに能力開発や雇用管理改善に取り組む事業主への支援というような文言を記載いただいたことに感謝申し上げたいと思います。中小企業への影響なども注視しながら、適切な支援の御検討をお願いしたいと思ってございます。ありがとうございます。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたか。
 では、内藤委員、お願いいたします。
○内藤委員 ありがとうございます。
 12ページ、13ページの新たな融資制度の部分を含む求職者支援制度について、従来から申し上げていますが、対象者は被保険者以外を対象にしていることに鑑みれば、速やかに国庫負担を本則に戻すとともに、将来的には全額一般財源から支出すべきであり、引き続き財源の在り方を検討することが必要だと思います。
 また、新たな給付の国庫負担の割合も含めた教育訓練給付全般について、国の政策として積極的に推進していくのであれば、一般財源や関係する省庁の予算を投入することが引き続き求められるということも改めて申し上げたいと思います。
 それから、17ページにあります介護休業給付の国庫負担について、こちらも前回申し上げましたが、速やかに本則に戻すことが重要だと考えております。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたか。
 では、奥委員、お願いします。
○奥委員 ありがとうございます。
 14ページ、15ページの育児時短就業給付の創設について、今回の案が示されてから、私どもとしては一貫して、ほかの事由による時短勤務者との公平性の観点などから、社内での分断がさらに深まってしまうこと、また、女性のキャリアを踏まえた際に有効なのかといった懸念があることを申し上げてまいりました。この点については、部会報告に盛り込むべきではないかと考えております。
 なお、今回の育児に関する両施策については、こども未来戦略に示された加速化プランとして実施するのであれば、恒久的な制度とすべきではないと考えていることについては改めて申し上げておきたいと思います。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたか。
 では、平田委員、お願いいたします。
○平田委員 御説明ありがとうございます。
 11ページ以降について、一般財源を投入した形での教育訓練休暇給付金(仮称)創設という方向性に改めて感謝したいと思います。
 あわせて、12ページに記述いただきましたとおり、教育訓練のための休暇制度に係る好事例の周知等を通じて、広く利用されるようにすることは極めて重要と認識しております。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたか。
 オンラインの方も大丈夫ですね。
 では、尾田さん、お願いいたします。
○尾田雇用保険課長 事務局でございます。
 まず、大谷委員からいただきました、新たな壁になるのではないか、社会保障全体で考えるべきではないか。また、中小企業への配慮という観点から一般会計等を検討すべきではないかという御指摘がございました。
 この点につきましては、部会報告書の中では先ほど清田委員からも言及いただいた箇所で、私どもとしては、事務手続を簡素化していく、あるいは労働者がなるべく安定して雇用継続されるような助成金等の取組も含めて支援をしていく。さらには、しっかりとこの制度の趣旨を周知していく。そういったところで対応してまいりたい。そういったことを通じて企業の負担の軽減を図ってまいりたいと考えているところでございます。御趣旨は受け止めた上で、このような内容で御理解を賜れればと思っております。
 また、内藤委員から御指摘がございました求職者支援制度の財源の件につきましては、制度創設以来の課題として、労使の皆様からそういった御指摘を継続的にいただいているということは私ども事務局としても十分認識し、今後の求職者支援制度の在り方については、今後とも引き続きこの部会におきまして御議論いただきたいと考えております。
 また、教育訓練給付について、この議論の過程で労使委員、各委員から、財源の在り方、政府としての支援の在り方について御指摘をいただいたということについて、私どもとしてもしっかり受け止めまして、今後の政策検討の課題として受け止めさせていただければと思っております。
 また、内藤委員から介護休業給付の国庫負担について御指摘がございました。ここにも記載もございますとおり、「やむを得ない。ただし、令和9年度以降しっかりと検討していく」と記載させていただいております。速やかにという御指摘も私どもとしても受け止めさせていただいた上で、この報告書の記載としてはこのような形で御了解いただけないかと考えております。
 また、奥委員から御指摘がございました。今回の新しい育児に関する給付を創設するに当たりまして、他の事由による休業者等との分断、あるいはキャリア形成への懸念という御指摘、あるいは加速化プランの一環であれば時限措置ではないかという御指摘がございました。この点については重ねて御指摘をいただいた点と認識しておりますので、どのように対応するかは検討させていただければと思っております。
 また、平田委員からも御指摘がございました教育訓練休暇の制度導入の支援、まずは制度を周知していきたいと思います。事例集も含めまして、どのようなやり方があるかということはしっかり考えてまいりたいと思っております。
 各委員の皆様の意見をしっかりと受け止めたいと思います。ありがとうございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 続きまして、資料1の17ページから20ページにかけての財政運営、(2)育児休業給付についての部分に関して御質問とか御意見がありましたらお伺いしたいと思います。
 では、平田委員、お願いいたします。
ありがとうございます。
○平田委員 資料の22ページ1行目の後段以降について、「今後、将来において、育児休業給付の財政状況が安定的に推移することとなった場合においては、育児休業給付の財政状況、一般会計の財政状況等を踏まえ、今般の財政基盤強化策について、必要な見直しを行うこととすべき」とあります。ここでの「必要な見直し」とは、当然、国庫負担割合や、労使の保険料に関することも含まれていると理解しますが、それで正しいかをまず確認させていただければと思います。
○尾田雇用保険課長 事務局でございます。
 御指摘の22ページの最後の文章でございますけれども、今般の財政基盤強化策とございますので、これは今回の国庫負担の令和6年度からの措置と、保険料率に関して原則0.5としつつ、当面0.4の弾力措置を講ずる。これ全体を指していると認識しておりますので、御指摘のように保険料も含んで必要な見直しと書いてあると御理解いただければと思います。
○守島部会長 平田委員、お願いいたします。
○平田委員 ありがとうございます。
 そうしますと、これまでも申し上げてきたとおり、育児休業給付の大幅な増加を見据えた負担の在り方については、労使の保険料と国庫による応分の負担が原則であるということを共有した上で、育児休業給付自体の在り方を含めて、今後も継続的に検討していくべきだと考えておりますので、意見として申し上げておきます。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに御意見は。
 清田委員、お願いします。
○清田委員 ありがとうございます。
 これまでの発言とも重複し、また、今、平田委員がおっしゃられたこととも重複するのですけれども、発言させていただきたいと思っております。
 育児休業給付の国庫負担割合につきまして、まず、本則8分の1に戻していただくということは大変歓迎したいと思っておりますが、他方で、かねてから主張しているとおり、保険料率を現行の0.4%にとめおいていただいている間に、改めて育児休業給付の在り方を精査した上で、国庫負担割合のさらなる引上げを御検討いただきたいというところでございます。
 加えまして、雇用保険二事業につきまして、20ページの一番最後のところから、5年度の剰余金の取扱いにつきまして、本来、剰余金の2分の1の範囲内で安定資金に積み立てができるという措置が講じられている中で、今回全額返還する措置ということは、失業等給付の弾力倍率を高めて、保険料の引下げというような期待から行うものであるということで、我々としては例外的な処理と受け止めております。
 また、本来、借入金の在り方について整理を行った後で、こうした返済の方法を行うということが適切であるという点には御留意をいただければと思っております。
 最後、21ページに使用者からの意見ということで、今後の控除の在り方について3点意見を御記載いただいております。1点目が、二事業の財政再建に向けた道筋を早期に明確化することといったこと。2点目が、雇調金の費用全額を、事業主のみで負担する二事業で負担する妥当性についての観点から、返還の在り方を議論するべきという点。3点目が、雇用安定資金へ積立金から繰り入れられた金額には、失業等給付に充てるために一般会計から繰り入れたものも含まれていることを共有するべきという点。この3点につきましては、今後の控除の検討に当たって重要な視点と私は考えておりますので、改めて申し述べたいと思います。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたか。
 では、冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員 ありがとうございます。
 育児休業給付を支える財政基盤について、前回も申し上げましたが、なぜ実際に上げる必要のない令和7年度の時点で本則を引き上げるよう見直すのか、前回説明いただきましたが、その必要性については腑に落ちないところもございます。
 労使の保険料率が引き上がるということは、労働者にとって非常に大きな影響があり、当面据え置くにしても抵抗感があるものだということは前回申し上げました。そのことを踏まえると、当然のことながら、本来は労働者と事業者が納得をして、十分な議論を行い、その上で結論づけるべきものだと考えております。今回、別紙、資料2は、私どもの発言も踏まえてお出しいただいたと考えておりますが、お示ししていただいた部分からは、少なくとも労使の負担感というところに関する認識がなかなか見えてこないなという印象がございます。
 また、議論を行う際には、育児休業給付の現状だけではなく、今後の見通しを含めて不断の検証と丁寧な議論が必要であると考えております。その際には、育児休業給付が本来の雇用保険の趣旨を超える少子化対策としての要素が強いことを鑑みると、先ほど清田委員からもございましたが、育児休業給付等の在り方等も考えながら検討していくべきということを強く申し上げておきたいと思います。
 それから、22ページのその他の部分について、育児休業給付や一般会計の財政状況を踏まえて必要な見直しを行うとございますが、従来から申し上げているように、国が財源の面でも責任を持つべきだと考えておりますので、今回、本則に戻った国庫負担については、再び引き下げるようなことがないようにしていただきたいと、これも強く申し上げておきたいと思います。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたかいかがでしょうか。
 今、大分その他、最後のところまで御意見をいただいておりましたので、もう一回確認をさせていただきたいのですけれども、17ページ、前半の部分からの議論は終わって、その次の後半の部分に関して御意見、御質問を伺っているのですけれども、そこに関して、どなたかまだ言い足りない、もしくは御質問がある方はいらっしゃいますでしょうか。
 冨髙委員、お願いいたします。
どうぞ。
○冨髙委員 進め方というところで意見を申し上げてよろしいでしょうか。
 今回、雇用保険制度の見直しに対しまして、雇用保険部会として各項目に対して複数回にわたり議論を進めてきていただいたと考えております。ただ、先ほども申し上げましたが、保険料率の引上げについては、第189回で初めて案が示されて、先ほど事務局からもございましたけれども、必ずしも十分な議論ができたとは考えておりません。
 覚えている委員もいらっしゃると思いますが、2年前の失業等給付の国庫負担などの法律案要綱の改正に関する諮問の際に、報告文において、拙速に議論を進めることは避け、丁寧な会議運営を行うべきと記載されたと思います。しかし、残念ながら今回その約束が果たされたとは思えなかったという印象がございます。今後、このようなことが断じてないように強く要望したいと思いますので、意見として申し上げておきたいと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたかありますでしょうか。
 では、平田委員、お願いいたします。
○平田委員 ありがとうございます。
 今の冨髙委員の御指摘には私も賛同するところでございます。先ほど清田委員からも御指摘がありましたとおり、控除の在り方は来年度以降また検討となっていることに鑑みれば、この場で丁寧な議論を行うことは重要だと思っております。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたか。
 では、課長、お願いいたします。
○尾田雇用保険課長 事務局でございます。
 まず、最後にいただきました冨髙委員、平田委員からの御指摘につきまして、重ねて保険料について十分な御意見をいただく機会を設けなかった点につきましてはおわび申し上げたいと思います。その上で、今後の議事運営につきましては、私ども事務局といたしましても、各項目について十分な御議論いただけるように、しっかりと留意して今後の運営をしてまいりたいと思っております。
 また、育児休業給付の財政につきまして、平田委員からも御指摘いただきました。また、清田委員から国庫負担についての御指摘も賜りました。あと、冨髙委員から、今後の在り方を検討する上で、育児休業給付について不断の検証が必要であるという御指摘も賜りました。
 先ほど私が御説明した資料2で、毎年度毎年度、保険料率が弾力条項に基づいて0.4にできるかどうか御確認いただくプロセスについて御説明いたしましたが、その際もそうですが、今回の報告書では、最後の「その他」のところでしっかりとデータに基づいて今回の見直し措置を検証するということを包括的に書いております。もともとこの雇用保険部会は雇用保険制度の在り方を検討することが所掌事項でございますので、適時適切にそういった点については、我々もしっかりとしたデータを提示しながら、委員の皆様に御判断、御検討いただきたいと。今後ともそういった形で運営してまいりたいと思っております。
 関連しまして、冨髙委員から、資料2で御説明しました仕組みの今後の検討に関連いたしまして、保険料に関する記載が足りないという御指摘をいただきました。また、丁寧な議論ということも御指摘いただきました。こういった点、記述をもう少し拡充できないかという点は検討させていただきたいと思います。
 また、育児の関係で言いますと、冨髙委員から、最後のその他のところで、在り方の見直しと最後に書かれているところは、国庫負担を引き下げることのないようにという御指摘を賜りました。その御指摘は事務局としてもしっかり承りまして、今後ともこの財政運営についての検討あるいは調整というものに当たってまいりたいと思っております。
 その他、二事業の返済、繰入金の今後の在り方につきまして、清田委員から、二事業の剰余金を全額返還する措置は今回限りの例外的措置として受け止めると。本来は返済全体についての在り方を検討した上で決めるべきという御指摘については私どもも受け止めまして、あくまでも今回は令和5年度の差引剰余に関する記載でございますので、今後の在り方はしっかりとこの部会でも御検討いただきながら、その上で決めていくという御認識は、私どもも同じ認識を持っているところでございます。
 また、重ねて返済免除に関する使側の意見を付言いただきました。私どもとしても、今回の部会でいただきました使用者の皆様からの御意見、労働者の皆様からの御意見といったものをしっかりと認識して、今後とも財政当局と調整に当たりたいと考えております。
 また、ちょっと戻りますけれども、冨髙委員から、今回の財政措置について、なぜ今保険料を上げるのか腑に落ちないということを重ねて御指摘いただきました。前回御説明したとおりでございますものの、おっしゃるとおり、そういった点についてはしっかりと国民の御理解をいただくことが重要でございますので、私どもとしても、改めて今回の財政措置全体について、少子化対策との関係あるいは育児休業給付制度の雇用保険制度における必要性、そういったことをしっかり御理解いただけるように、周知に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 全体を通して何か御意見、御質問のある方はいらっしゃいますでしょうか。
 では、平田委員、お願いいたします。
○平田委員 一点お願いです。資料2で報告書案を抜粋していただいているところですが、○が2つあって、1つ目の○の下に黒ポツであり、これは、要するに弾力的に調整できる仕組みにおける閾値である1.2倍を計算するときの計算式を文章に書き下したものと理解しております。理解促進のため、何をどのように計算するのかというのを分かりやすくまとめていただきたくお願いいたします。
 以上です。
○守島部会長 では、課長、どうぞ。
○尾田雇用保険課長 ありがとうございます。
 タイミングは考えさせていただきたいと思いますが、今後、報告書をおまとめいただきますと、次に法案の起草ということに移ります。いずれかのタイミングで皆様に改めてこの計算式についてしっかりと御理解いただけるような資料を提供できるよう、考えてまいりたいと思っております。御指摘ありがとうございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに全体を通して何か御発言のある方はいらっしゃいますでしょうか。大丈夫ですか。
 オンラインの方も大丈夫ですね。
 ありがとうございます。
 ないようですので、これで議題1については以上とさせていただきたいと思います。
 報告書の内容につきまして、本日も委員の皆様から様々な御意見をいただきました。
事務局もその都度答弁もさせていただきましたけれども、私としても、本日委員からいただいた御意見は、事務局としていま一度しっかりと受け止めていただきたいと思います。
 その上で、本日いただいた御意見についてどのように反映するか、私と事務局とでよく相談いたしまして、年明けになりますけれども、次回の雇用保険部会において改めて報告書案を提案させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 本日予定されている議題は以上ですので、本日の部会はこれで終了させていただきたいと思います。
 皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただき、どうもありがとうございました。