第22回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会 議事録

健康・生活衛生局 感染症対策部予防接種課

日時

令和5年12月1日(金) 13:00~15:00

場所

WEB会議にて開催
(厚生労働省 専用第21会議室:東京都千代田区霞が関1-2-2)

議題

  1. (1)高齢者に対する肺炎球菌ワクチンについて
  2. (2)その他

議事

議事内容
○溝口予防接種課課長補佐 それでは、定刻となりましたので、「第22回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会」を開催いたします。本日は、御多忙のところ御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
本日の議事は公開・頭撮り可としております。また、前回と同様、議事の様子はYouTubeで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。
なお、事務局で用意しているYouTube撮影用以外のカメラ撮りにつきましては、議事に入るまでとさせていただきますので、関係者の方々におかれましては、御理解と御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
また、傍聴される方におかれましては、「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。なお、会議冒頭の頭撮りを除きまして、写真撮影、ビデオ撮影、録音することはできませんので、御留意ください。
次に、本日の出欠状況について御報告いたします。
神谷委員より欠席の御連絡をいただいております。
現在、委員8名のうち7名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条の規定によりまして、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
また、本日は参考人としまして、岡田賢司福岡看護大学基礎・基礎看護部門、基礎・専門基礎分野教授、大石和徳富山県衛生研究所所長に参加いただいております。
本委員会の資料につきましては、あらかじめ送付させていただきました電子ファイル及びお手元のタブレット端末で閲覧する方式で実施いたします。
番号01の議事次第及び委員名簿から、番号08の利益相反関係書類までを用意しております。資料の不足等、不明な点等ございましたら、事務局までお申し出ください。
なお、申し訳ございませんが、冒頭の頭撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
それでは、ここからの進行につきましては鈴木委員長にお願いいたします。
○鈴木委員長 国立感染症研究所の鈴木基です。よろしくお願いいたします。
それでは、事務局から審議参加に関する遵守事項等について御報告をよろしくお願いいたします。
○溝口予防接種課課長補佐 事務局でございます。
審議参加の取扱いについて御報告いたします。
本日御出席いただきました委員・参考人から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づきまして、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取状況、薬事承認等の申請書類への関与について申告をいただきました。各委員及び参考人からの申告内容については、番号08、利益相反関係書類を御確認いただければと思います。
申告の結果、本日議事内容に関しまして「退室」や「審議又は議決に参加することができない」という委員・参考人はいらっしゃいませんでした。
各委員・参考人におかれましては、繰り返しのお願いで大変恐縮でございますが、講演料等の受け取りにつきまして、通帳や源泉徴収票などの書類も確認いただくことで正しい内容を申告いただきますようお願いを申し上げます。
事務局からは以上でございます。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
それでは、本日の議事に入らせていただきます。本日の議題は1つとなっております。「高齢者に対する肺炎球菌ワクチンについて」。それでは、事務局から資料の説明、よろしくお願いいたします。
○吉原ワクチン情報分析専門官 予防接種課の吉原でございます。
それでは、資料1の御説明をさせていただきます。資料1をおめくりいただきまして、まず4ページを御覧ください。こちらはこれまでの経緯でございます。黒字で「高齢者に対する肺炎球菌ワクチンについて」と題し、青字は参考として小児に対する肺炎球菌ワクチンの経緯を記載しております。
23価のポリサッカライドワクチン、以後「PPSV23」としますが、これは昭和63年に薬事承認されました。その後、平成26年から高齢者の肺炎球菌感染症が定期のB類疾病となり、PPSV23が定期接種ワクチンに位置づけられました。この際、本来の接種対象者は「65歳の方等」とされたところですが、65歳以上の方に接種機会を付与するために5年間の経過措置を開始しました。平成31年には経過措置をさらに5年延長しております。今年度が経過措置の最終年度となっております。
最近の動向としましては、令和4年9月に15価の結合型ワクチン、以後「PCV15」としますが、これの高齢者に対する使用が薬事承認されました。
また、令和5年9月には20価の結合型ワクチン、「PCV20」の高齢者に対する使用について、薬事申請がなされています。
次に5ページを御覧ください。接種対象者と接種状況についてお示ししております。
まず、接種対象者について。本来の接種対象者は上段の青く囲っている部分にあるとおり、65歳の方と、60歳以上65歳未満の方であって、ここに記載がある基礎疾患のある方です。一方で、現在は65歳以上の方に接種機会を付与するために経過措置が設けられておりまして、下の緑の枠のところにあるとおりですが、各年度において、65歳から100歳まで5歳刻みの各年齢になる方を接種の対象者としております。
接種状況については下のグラフを御覧ください。こちらの横軸は、ワクチンが定期接種に位置づけられた平成26年度における年齢を示しております。青い棒グラフは本来の接種年齢である65歳相当で接種された方の接種の実施率でございます。おおむね40%前後です。
次に、この時点で66歳以上だった方は、これまで経過措置として接種された方でありまして、緑色の棒グラフが1回目の経過措置での実施率です。また、黄色が2回目の経過措置の実施率です。
現時点では2回目の経過措置での実施率は、令和元年から令和3年度の3年間のデータしかないため、黄色の棒グラフが5歳刻みの中で3年分となっております。
2回の経過措置を経た年代については、1回目の緑色の実施率と2回目の黄色の部分の実施率を粗集計として足し上げておりますが、結果として本来の対象者を超えた年齢に対する経過措置における接種状況は、高齢の対象者ではやや低いものの、2回の経過措置を経て65歳の方における接種率と同等程度となっております。
続いて、侵襲性肺炎球菌感染症、IPDの疾病負荷について御説明します。7ページを御覧ください。こちらは厚生労働科学研究による1道9県でのIPDの罹患状況を15歳以上人口10万人当たりでお示ししたものです。青色が全血清型、赤色がPCV13でカバーされている血清型、黄色がPPSV23でカバーされている血清型のうちでPCV13には含まれていない血清型です。
結果としましては、新型コロナ流行前、つまり、2019年以前においては、15歳以上におけるIPD全体の年間の累積罹患者数は、高齢者におけるPPSV23の定期接種化後も減少しておりませんでした。
また、新型コロナ流行後の2020年・2021年については、ワクチンでカバーされる血清型かどうかにかかわらず、2018年・2019年と比較して約4割に減少しており、新型コロナ対策による感染症伝播の減少といったワクチン以外の要因が考えられます。
8ページも厚生労働科学研究の結果ですが、15歳以上のIPDにおける血清型の分布をお示ししています。2014年から2022年を見ておりますが、赤色がより最近の結果でございます。IPDの症例から検出された肺炎球菌の血清型について、PPSV23がカバーする血清型は持続的に検出されている状況でございます。
9ページは15歳以上のIPDにおける各血清型の割合の状況を、各ワクチンがカバーする血清型ごとに見たものです。上の表でございますが、IPDの症例から検出された肺炎球菌の血清型において、現在利用可能なPCV13、PCV15及びPPSV23を比較すると、PPSV23でカバーされる割合が比較的高くなっております。
下の棒グラフは、上の表と同じ血清型の分布のデータについて、PPSV23がカバーする割合を、内訳として、赤色のPCV13でもカバーされる割合と黄色のPCV13でカバーされない割合に分けて見ております。こちらの推移を見ますと、PPSV23でカバーされる血清型のうち、PCV13に含まれる血清型の割合が大幅に低下している一方で、PCV13でカバーされない血清型の割合の低下は比較的小さいことをお示ししております。
11ページ以降、ワクチンの有効性に関する最近の知見、また諸外国の動向をお示ししております。
11ページは、平成30年5月に国立感染症研究所において作成された「23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチンに関するファクトシート」におけるワクチンの有効性に関する主な知見です。表の上段、大石班の結果としてお示ししているとおり、65歳以上におけるIPDのVaccine Effectiveness、VEは39%等と報告されております。
12ページ以降は平成30年のファクトシート以降の新たな有効性に関する知見をお示ししております。
12ページは、成人におけるPPSV23のカバーする血清型のIPDに対する予防効果を、小児にPCV13を定期接種として導入した時点である2013年度から、より最近の2017年度までで比較した研究です。
下の図の赤枠が65歳以上のIPDに対するVEですが、高齢者においては、前半と後半2つの時点でVEは39%程度と有効性の変化は見られず、中等度の有効性が持続しており、著者らは、PPSV23の臨床的な意義は保たれていると報告しております。
13ページは、日本の1自治体において予防接種記録とレセプト情報を突合した分析です。65歳以上においては、PPSV23の接種者は非接種者と比較して、原因微生物を問わない肺炎による入院の発生率が低かったという結果でございまして、年代別に見ますと、90歳または95歳になる年度で接種した接種者においては、入院発生率の低下は有意でなかったという結果です。赤枠の中にあるとおり、65歳から85歳に相当する年齢で接種を受けた方については、肺炎による入院のハザード比が約0.8程度となっております。
14ページは、これまでの本委員会におけるPPSV23と比較したPCV13の有効性についての知見です。上段赤枠ですが、PCV13の成人用のファクトシートの記載ですが、PCV13は、PPSV23と比較してカバーする血清型においてはより強い免疫原性を有することが確認されております。
また、IPDに対するVEは、右側の赤枠のとおり、75%であり、疫学的な有効性についても、カバーする血清型のIPDにおいて、PCV13でより高い有効性が報告されています。
下段に平成31年当時の本委員会の報告書を抜粋しておりますが、この当時の議論では、IPDに対するPCV13の有効性は75%との報告があるとしつつ、PCV13の小児への定期接種により、社会全体においても流行が阻止され、PCV13がカバーする血清型によるIPDが減少していることから、高齢者の定期接種ワクチンとしてPCV13を新たに指定するメリットは少ないとされていたところです。
15ページは、高齢者の肺炎球菌の各国の推奨状況です。米国、英国、カナダ、フランス、ドイツの5か国を見ておりますが、全ての国でPCV20が推奨されています。
一方で、PPSV23は米国、英国、カナダで推奨されており、このうち米国とカナダではPPSV23を接種する場合はPCV15との連続接種が推奨されます。
ここまでお示ししてきた内容を踏まえて、17ページのとおり、事務局としておまとめしております。
1点目、高齢者に対する肺炎球菌ワクチンの現状等でございますが、高齢者に対する肺炎球菌ワクチンについては、平成26年に定期接種に位置づけ、接種の対象者を「65歳の高齢者等」として実施しつつ、それ以上の世代についても接種機会を提供する目的で、経過措置を設けてきました。
2回の経過措置を経て、本来の接種対象年齢を超えた方における接種状況は65歳の方における接種率と同等程度となっております。
次に、侵襲性肺炎球菌感染症の疾病負荷、ワクチンに関する知見等ですが、15歳以上におけるIPD全体の年間累積罹患者数は、高齢者におけるPPSV23の定期接種化後、新型コロナ流行前までは減少していなかったということです。
次に、15歳以上におけるIPDの症例から検出された肺炎球菌の血清型において、現在利用可能な他のワクチンと比べ、PPSV23でカバーされる割合は比較的高いとしております。
その他としまして、1点目に、結合型の肺炎球菌ワクチン(PCV)はポリサッカライドワクチン(PPSV)と比較して、カバーされている血清型においては、より強い免疫原性を有し、ワクチンの有効性についてもより高いことが期待されます。
また、我が国においては、PCV20が高齢者の肺炎球菌感染症予妨を目的に薬事申請されているところです。
上記のまとめを踏まえまして、以下、事務局案としております。
論点1、高齢者に対する肺炎球菌ワクチンの接種プログラムの現状を踏まえた今後の検討方針についてですが、1点目、IPDの疾病負荷の推移や、ワクチンに関する知見等を踏まえ、65歳の高齢者等に対するPPSV23の定期接種開始後の状況についてどう考えるか。
2点目に、PPSVよりも優れた有効性が期待できるPCVについて、多価ワクチンの開発や薬事申請の状況等を踏まえ、本委員会において必要な検討を行うこととしてはどうか。具体的には、ワクチン開発企業へのヒアリングや、ファクトシートの改訂要否に関する検討等を行うこととしてはどうかということです。
論点2の高齢者に対する肺炎球菌ワクチンの対象者に係る経過措置についてですが、2回の経過措置を通じた接種機会の提供の状況、PPSVの有効性に関する知見、その他高齢者に対する肺炎球菌ワクチンを取り巻く状況等を踏まえ、対象者に係る経過措置を予定どおり終了することとしてはどうかということを事務局案としております。
事務局からは以上です。
○鈴木委員長 御説明どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局からの資料説明を踏まえまして、御質問、御意見があればよろしくお願いいたします。では、大石先生、お願いいたします。
○大石参考人 まず、7ページのIPDのサーベイランスのデータにつきまして若干説明を加えたいと思います。本サーベイランスは、NESIDで届出をされたIPD症例を対象として、全国10道県で15歳以上、人口の18%をカバーしておりますけれども、こういった対象を研究班として登録し、そして患者情報、そして原因菌の血清型を決定しております。
今回お示しのデータにつきまして、2014年から16年までは10万人当たりのIPD患者数がずっと増加しております。これは実際患者数が増えたということではなくて、サーベイランスそのものが医療機関のほうに認知度がまだ十分ではなくて、この時期まだアンダーレポートになっていたことによると我々研究班では考えております。
罹患率としては、2017年~2019年の間は年間3,000以上の症例が報告されて、安定しておりましたけれども、その後2020年のCOVID-19のパンデミックが始まりますと、この感染対策、特にマスク着用等によりIPDの罹患率が約60%減少していると思います。この所見につきましては、諸外国からも同様の所見が示されております。
私からのデータについての追加説明は以上ですけれども、もう一点、厚労省研究班で研究しておりますこの成人IPDサーベイランスにおいて、65歳以上の小児PCV13導入よる間接効果は明確にあるのに対しまして、そのサーベイランスの中でPPSV23に固有な血清型によるIPDの割合は不変であること。すなわち、PPSV23の定期接種導入によって、高齢者のIPD症例は減少していないということをVaccine誌に論文掲載しておりますが、今回資料に含まれておりませんでした。この点については御指摘申し上げたいと思います。
以上でございます。
○鈴木委員長 大石先生、資料について解説、コメント、ありがとうございました。
それでは、続きまして、大藤委員、よろしくお願いいたします。
○大藤委員 御説明ありがとうございます。
今の大石先生の御説明で少しお伺いしたいのですけれども、今回IPDの疾病負荷のサーベイランスの結果をお示しいただいて、15歳以上の罹患者、罹患率に関しては、そんなにPPSV23の効果が見えなかったというお話だったと思うのですが、65歳以上の人での疾病負荷でも同じような感じだったのか、もし情報があれば教えていただけたらと思います。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
よろしければ、大石先生から御回答いただけますでしょうか。
○大石参考人 大石です。
ただいまの質問に関しまして、先ほど申しました2020年のVaccine誌の論文にも年齢階層別の65歳以上と15歳から64歳に分けての分析をしておりますが、どの年代でもPPSV23に固有な血清型によるIPDの症例の減少というものは見られておりません。65歳以上で特徴的だったのは、よりノンワクチンタイプ、23価にも含まれない血清型によるIPDがかなり増えてきているということが見られております。
以上でございます。
○大藤委員 ありがとうございます。
○鈴木委員長 それでは、続きまして、氏家委員、よろしくお願いいたします。
○氏家委員 ありがとうございます。
事務局からの案についてコメントをさせていただきたいと思います。まず、PPSVとPCVの違いを分かりやすく説明していただいて、大石先生もお話をされているように、保菌効果、侵襲性の感染症以外にも保菌を減らすという形で、周りの二次感染を減らすという観点でPCVのほうが公衆衛生的、疫学的な観点で効力が大きいというところ、疫学に対する効力が大きいということで、そのとおりだと思います。
そういった観点で、諸外国ではもう既に20価のPCVが定期接種として高齢者に導入されているところですし、日本におきましても今年の3月に申請がされて、今、検討がされているというところですので、こういった有用なワクチンを早期に使用可能とできるような検討を今から始めていくということについては賛成です。
そのときにファクトシート等の改訂等をする際に、日本国内においては薬事承認されているワクチンではありませんが、既に申請がされているPCV20についても併せて評価を行っていくということが、よりタイムラインを短くするという意味では重要な観点かなと思いました。
PCV20に関しては、PCV23とカバー率が変わらないというところも重要な観点だろうと思いますので、23と20ということで数字が少し少ないですけれども、実際に加えている3つのところというのは、ほとんどかかる人が少なくとも侵襲性感染症に関してはないというところも大事な観点だろうと思います。
経過措置に関しては、もう既に2周り目で10年間の経過措置が終わるというところで、1周り目に受けた経過措置の方と比べて、現在行っている2周り目の経過措置での追加で受けていらっしゃる方の数というのは、非常に少なくなってきているというところがありますので、これを続けている効果というのも限定的になっているということがあるだろうと思います。
また、B類疾病なので、通知等が送られてこない自治体が多いのかと思いますけれども、2回目を受けてしまうというような誤り、誤接種にもつながりかねない部分もあります。さらには、先ほど論点1で議論している20価の肺炎球菌結合型ワクチンが入ってきた場合の議論が少し複雑になるという問題もデメリットとして考えられますので、10年間で接種の機会というのは、受ける方に対してはあったということで、そういう経過措置に関して終了することについて賛成します。
一方で、今の接種率が十分かと言うと、50%に満たない接種率ですから、インフルエンザですと、50%以上の接種率がありますから、接種率が十分ではないということは言えるかもしれません。ですから、全体の議論ではないかもしれませんけれども、例えばインフルエンザと肺炎球菌のワクチンを同時に接種することでインフルエンザ罹患後の二次性の細菌性肺炎、特に肺炎球菌性の二次性肺炎が減るというデータはありますので、このワクチンを2つ併せて打つことで相乗的な有効性が高まるということが知られていますので、特にインフルエンザの接種、皆さんが受けられる10月から12月ぐらいにかけて、きちっと対象となる肺炎球菌を打っていただけるような情報提供ということも併せて考えていくべきだろうと思います。
あとは、ここは基本方針部会の話だと思いますけれども、経過措置が終わると、その対象者が少しずれて、翌年度も受けられる人と最初4月から受けられない人といろいろ複雑に対応が変化しますので、そういったところで混乱が生じないような十分な情報提供というのも重要になるだろうと思います。
すみません。長くなりましたが、私からは以上です。
○鈴木委員長 氏家委員、ありがとうございます。
では、まとめてコメントをいただきたいと思います。続きまして、原委員、よろしくお願いいたします。
○原委員 御説明ありがとうございました。
PPSVに特徴的な血清型はあまり変わっていないということで、承知いたしました。
今回話し合う論点に関しては、PPSVの接種、経過措置をどうするかというところをまずメインに話し合うのかなと思いましたが、資料の15ページにもあるように、海外ではPCV15とPPSV23の連続接種というのもありますが、今回はこういったところは考えずに、まずPPSV23の経過措置をどうするかということかと思いました。
経過措置で積み上がった接種率というのが40%ぐらいということで、先ほど氏家委員も言われたように、低いとは思うのですけれども、インフルエンザもいいときは50%を超えるけれども、超えないようなときもあるということで、接種をきちんとされる方はこれぐらいなのかなという気もしておりますので、この経過措置を延ばしたところでこれ以上上がってくることはないかなと思いましたので、今年度で終了することに賛成と思います。
以上です。
○鈴木委員長 原委員、どうもありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。
では、待っている間に、もしよろしければ事務局から今いただいたコメント等について御回答等ありますでしょうか。
○吉原ワクチン情報分析専門官 事務局でございます。よろしくお願いします。
まず、氏家先生、一部原先生にも接種率のお話をいただいたかと思います。こちらについては、今後も接種することについて情報提供を行っていく必要があると思っておりまして、どういった情報提供ができるかについて検討していきたいと思っております。
また、氏家先生が御指摘いただきました年度が変わることによって経過措置が終了し、65歳の方等で運用上の混乱が生じ得るのではないかというところについても、そういったことがないよう運用上留意していきたいと思っております。
ほか、質問という形ではなかったかと思いますので、事務局からコメントとしてお返しします。
○和泉予防接種課課長補佐 追加です。事務局でございますが、17ページ目の論点1の1ポツのところでお示しした、今のPPSV23の定期接種化後の状況についてどう考えるか、また、PPSV23を続けていくということでよいかどうかといったところについても先生方のコメントを頂戴できればと思っております。
先ほど菅沼先生、お手を挙げていただいたようにも思っておりますので、鈴木委員長、よろしくお願いいたします。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
よろしければ、菅沼先生、よろしくお願いいたします。
○菅沼委員 前の先生方がおっしゃられたとおりなのですけれども、2回目の経過措置を取られて、接種率がある程度伸び悩んだといった状況になっているということですので、これ以上の継続というのはあまり効果的ではないかなという感じかと思います。
それと、大石先生からお話がありましたが、PPSVを使って血清型についての変化がIPDについてはあまりなかったというところも考えると、今回のPPSVを使った定期接種というのはこれで一旦終了という形でいいのかなと考えております。
これもありましたけれども、9ページの資料にありました今後出てくるコンジュゲートのワクチン、20価等々が出ますとほぼ同じカバー率ということになるというのが出ておりますので、そちらのほうに移行していくという形になっていくのが自然ではないかなと思います。
以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
1点確認させてください。現在のPPSVを65歳の高齢者等に定期接種を行う。これは引き続き継続であり、一方で、10年前からのいわゆるキャッチアップの部分に関しては終了してはどうかという論点であると理解しているのですが、事務局、その理解でいいのでしょうか。
○和泉予防接種課課長補佐 事務局でございます。
鈴木委員長におまとめいただいたとおりで、本則のところは、現状続いているところでありますが、10年間続けてきた経過措置をやめることとしてはどうかというのが、17ページ目の論点2になってございます。なので、委員長のお考えと同じでございます。
○鈴木委員長 分かりました。ありがとうございます。
ということで、論点1の1ポツ目に関しては、PPSV23の65歳に対する接種は、当面は定期接種で続けるということでいいのかどうかということが問われているということも御理解いただいた上でコメントをいただければと思います。そのほか、いかがでしょうか。氏家委員、お願いします。
○氏家委員 ありがとうございます。
23価の導入に関してですけれども、今後も65歳になる、高齢者になる方というのはずっと継続的にいらっしゃるという中で、今やっている定期接種のプログラムを、その方に対して中止するというのは、1つデメリットにはなり得るだろうと思います。PCVと比較した場合に、侵襲性の感染症の血清率の低下という観点で効果がPCVよりも低いというのは、科学的にもある程度コンセンサスが得られている状況かと思いますが、予防接種ですので、侵襲性感染症の期間は短くても、数を減らすという効果は一定数あるだろうと思われますので、9ページ目の症例数などを見ると、15歳以上なので高齢者だけではない話だと思いますけれども、数が2019年まで少し増えていたり、2020年以降下がっているのは多分コロナの影響もあるのかなと思います。
一方で、割合を見ても、13価の影響はあるにしても、13価以外の10価の部分でも割合は少し下がってきているので、増えているわけではないですから、効果としてないということもないと思いますので、現体制において現在の65歳、新たに高齢者として接種を受ける機会のある方に対して接種を継続していくということについては、私はあったほうがいいのではないのかなと思います。
以上です。
○鈴木委員長 氏家委員、どうもありがとうございます。
大藤委員、よろしくお願いいたします。
○大藤委員 私も氏家先生の意見と同じでござまして、全体的なIPDの罹患率とかには影響していないかもしれないですけれども、ただ、12枚目とか13枚目を見ますと、ワクチンを打っている方で20%あるいは40%の予防効果があるということがございますので、現行の65歳の方での接種というのは続けられるということでよいかと思いますし、また、今、行っている経過措置に関しましては、2回接種機会があって、2回目の接種機会のときの伸びとしては10%ぐらいだったということで、ほぼ希望する方は接種されたのではないかと考えますので、今年度でその経過措置は終了ということで、異論ありません。
以上です。
○鈴木委員長 大藤委員、どうもありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。岡田先生、お願いします。
○岡田参考人 岡田です。
1つ確認ですけれども、5ページ目にあるのは接種率ではなくて、実施率ですよね。
そのときに、今後も肺炎球菌ワクチンに関しては実施率をインフルエンザなどのように定期的に出していただけるのかどうかと、来年の4月以降、65歳の方々に肺炎球菌ワクチンの必要性や重要性などをきちっと情報提供する資料を国から自治体を通して対象の方々に伝えていただきたいなと思います。
以上でございます。
○鈴木委員長 岡田先生、どうもありがとうございます。
では、事務局から今の岡田先生の御意見等を含めて、何かコメントございますでしょうか。
○和泉予防接種課課長補佐 事務局でございます。岡田先生、ありがとうございます。
今、5ページ目でお示ししたものは御認識のとおり実施率になってございます。黄色の柱が上に乗っていますけれども、あと2年分は今、集計中ないしは実施中でございますので、こちらの御報告は今後ホームページ等でさせていただくというふうに思っております。
その上で、今回お認めいただいた方針が採用されましたら、来年度以降は65歳の者、5ページ目の上のブルーの箱の中の対象者の方に打つということで、その実施率についてもお示しをしていくことになると思ってございます。
また、情報提供につきましても、先ほど氏家先生からも御指摘をいただいたことも含めて、どのようなことができるかを含めて事務局として考えていきたいと思っております。
以上でございます。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。氏家委員、よろしくお願いいたします。
○氏家委員 事務局に質問なのですが、既に先進国、高所得国ではPCV20が高齢者の定期接種として一般的に用いられるようになっているということを踏まえて、PCVと現在使われている23価のポリサッカライドワクチンは、有効性の観点ではPCVのほうが高いだろうということが一般論では決まっている。かつカバー率がほとんど変わらないとなった場合、安全性に問題がなければ、今、PCVの13価と15価で議論をしているように、PCV20とかを承認された後、導入の検討というのにファクトシートの作成が必須なのかどうかというのは、どういう考え方になっているのかについて教えていただければと思います。背景としては、15価はカバー率が上がって、有効性・安全性が非劣性、同等なので、価格が同じなら増えた分だけ費用対効果が高いだろうということで、ファクトシートとかの作成は不要という形で、早く制度化するというような議論がされていたかと思います。このことを踏まえて考えたときに、提案の2にちょっと関連するところですが、ヒアリング、ファクトシート改訂ということを前提とする必要があるのかどうかということについて教えていただければと思います。
○鈴木委員長 事務局、いかがでしょうか。
○和泉予防接種課課長補佐 事務局でございます。氏家先生、ありがとうございます。
事務局案、17ページ目の論点1の2ポツに書かせていただいたところでございますけれども、先生御認識のとおり、確実にコストが変わらなくて効果が上がっていくということであれば、追加の評価が限定的で済むのではないかということで、5種混合であったり、あるいはPCV15の小児の議論はさせていただいたところでございます。
まだ、PCV20がどのようなコストになるのかとか、有効性・安全性の評価というところがこの小委員会にもお示しできておりませんので、そこは御相談をさせていただくところでございますが、そういった状況を踏まえて、迅速にというか、適切に議論させていただければと思っております。
ファクトシートの要否につきましては、まさにここで御相談をさせていただいて、なくて済むのか、あるいはあったほうがいいのかというところを含めて御議論させていただきたいと思っております。
事務局からは以上でございます。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。大石先生、お願いいたします。
○大石参考人 ありがとうございます。
参考人でございますけれども、意見を述べさせていただいてよろしいでしょうか。
○鈴木委員長 はい。
○大石参考人 まず、論点1についてです。PPSV23の定期接種を継続するということについて問題ないという方向性でお考えの委員の方が多いようなので、よろしいかと思います。ただ、先ほどから口頭で説明していますように、PPSV23に固有な血清型によるIPDは減少していないというところは、高齢者肺炎球菌ワクチンの接種率が低いことに起因していると考えています。しかし、ワクチンの有効性はあるわけですので、岡田先生がおっしゃっておられるように、一般の方々にこのワクチンの効果をしっかり伝えて、約半数ぐらいの自治体が個別の通知も出していただいているようなので、自治体と医師会等の医療機関で協力してこの接種率を上げていくというような努力を今後も継続する必要があろうかと思っております。
論点2につきましては、接種率が低いということもあって、経過措置を継続していただくことも希望しているのですけれども、全体の議論の中で皆さんの意見に従うということでよろしいかと思います。
以上でございます。
○鈴木委員長 大石先生、ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。
それでは、たくさん御意見をいただいて、おおむね出そろったところかと思います。それでは、意見を一つ一つ確認、取りまとめをしていきたいと思います。
事務局案、論点1に関して、1ポツ目、65歳の高齢者の方々を対象として、PPSV23で接種を続けるということに関して、おおむね異論がなかったかと思いますが、それでよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○鈴木委員長 皆様、御首肯いただいたと思います。
それでは、2ポツ目のほうです。こちらは今後PCVについて検討を本委員会で行っていくということとしてはどうかということで、こちらもおおむね異論がなかったと思いますが、よろしいでしょうか。
(委員首肯)
○鈴木委員長 ありがとうございます。
それでは、事務局について、論点1に関して準備を進めていただくようによろしくお願いいたします。
続きまして、論点2のほうに行きます。これは高齢者に対する肺炎球菌ワクチンの経過措置に関してです。こちらについて、おおむね大きな異議はなかったかと思います。いずれにしましても、制度上の対応につきましては基本方針部会のほうで議論いただくことになろうかと思いますが、まずこの小委の見解としておおむね異論はなかったということで、委員の先生方、よろしいでしょうか。
(委員首肯)
○鈴木委員長 こちらも御首肯いただいたかと思いますので、それでは、事務局のほう、今日の御意見を踏まえた上で取りまとめて、基本委員会のほうでの検討を進めていただければと思います。
それでは、本日の主な議事は以上となりますが、そのほか、事務局から追加等ございますでしょうか。
○吉原ワクチン情報分析専門官 特にございません。ありがとうございます。
○溝口予防接種課課長補佐 引き続き事務局ですけれども、では、締めという形で申したいと思います。
本日も活発な御議論をいただきましてありがとうございました。
次回の開催につきましては、追って御連絡をさせていただきます。
事務局からは以上になります。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
それでは、本日も活発な御議論、ありがとうございました。本日の会議は以上となります。どうもお疲れさまでした。