第6回 創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会 議事録

日時

令和5年12月13日(水)18:00~

場所

厚生労働省 専用第21会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

議事

議事録
○医薬品審査管理課長 それでは、第6回「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」を開催させていただきます。お忙しい中、御参集いただきどうもありがとうございます。
 初めに、事務局から連絡事項を申し上げます。
 本日の会議は対面の会議とウェブ会議を併用しております。会議の内容はYouTubeでのライブ配信を行っております。発言される際は、オンラインで傍聴されている方に発言者が分かるよう、冒頭に名前をおっしゃった上で発言をお願いいたします。
 続きまして、本日の検討会の構成員の出席状況ですけれども、中島構成員より御欠席との御連絡をいただいております。また、眞島構成員が若干遅れているかと思いますが、後ほど参加されると思っております。
 また、本日は、参考人として、国際医療福祉大学薬学部薬学科准教授間宮弘晃先生に御出席をいただいております。
 最後に、資料の確認ですが、議事次第にお示しのとおり、資料1から3、参考資料1から5があります。ウェブで御参加の構成員におかれましては、ウェブ掲載された資料を御覧ください。直接お越しいただいている構成員におかれましては、お手元のタブレットを御確認ください。
 それでは、以後の議事進行は清田座長にお願いいたします。
○清田座長 清田でございます。お疲れさまです。
 これより本日の議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。御協力のほどよろしくお願いいたします。
(カメラ撮り終了)
○清田座長 それでは、議題1につきまして、まず、柏谷構成員から製薬業界の意見について御説明をお願いいたします。
○柏谷構成員 それでは、私、柏谷から製薬業界の意見を説明させていただきます。
 まず、大事な点としましては、本日、厚生労働省様からは、検証的試験等における日本人データの必要性の整理及び迅速な承認制度のあり方の2つのテーマについて御説明されるものと思います。
 しかし、製薬業界からは、あえて本日の検討会では、迅速な承認制度のあり方については提案しない方針としております。これは、これら2つのテーマを同時に議論することで、厚生労働省様の資料で説明されている超希少疾病用医薬品の申請が、あたかも条件付き承認制度の利用を推奨すべしとのミスリードを避けるため、業界としては、これら2つのテーマは切り分けて議論すべきと判断しております。
 また、厚生労働省様の資料では、「迅速な承認制度のあり方について」というタイトルですけれども、基本的には、条件付き承認制度のみに議論が絞られていて、このテーマを議論するのであれば、条件付き承認制度に加えて、再生医療における条件付き期限付き承認制度であったり、または、ちょっとフォーカスは違うかもしれませんけれども、先駆指定とか、昨年から制度化された緊急承認制度もしくは特例承認制度の制度について、実績に基づく制度設計の検証を含め、現在、日本で運用されている各種制度を検証・見直しする必要があると考えています。
 前置きが長くなりましたが、その方針に基づいて、私から、検証的試験における日本人データの必要性について業界の意見を説明させていただきます。
 2枚目のスライドをお願いします。これまで、希少疾患等に用いる医薬品につきましては、外国で検証的な臨床試験結果が得られている場合などであっても、少数例の忍容性を確認する試験や、少数の日本人患者で安全性・有効性を評価する試験を可能な限り企業側は実施してきました。もちろん、これらの試験は、日本人患者の投与経験の蓄積の観点からは重要ということになります。しかし、少数例の日本人患者で、臨床試験の実施に際し、一般的には、以下に■で示した点が問題として挙げられているというのが、今、一般論として挙げられていると。
 どういうことが言われているかといいますと、まず、1つ目のポツですね。少数例の日本人患者の試験では、安全性や有効性を評価することは難しく、また、推定精度も低いことから、外国の臨床試験成績と比較して、明確な結論を導くことは困難。
 2つ目のポツとして、対面助言では、フィージビリティも考慮された上で、日本人患者における安全性評価のため、数例から数十例の試験を要求されています。しかし、実際のところ、症例数が少数のため、得られる結果は、患者背景の偏りによって大きな影響を受けるということも言われております。
 また、これは企業側の論理になるかもしれませんけれども、試験の立ち上げに当たっては、ごく小規模の試験であっても、相応の費用、時間を要します。また、希少疾患であれば、症例の組み入れに時間を要することが多く、継続的に負担が発生してしまうところも否めないところだと考えております。
 4つ目のポツですけれども、フィージビリティ等の観点から、治験の実施は困難であり、企業判断により国内開発を断念せざる得ないケースもあると聞いております。
 大きく分けて2つ目の一般論のところですけれども、また、国際共同治験に日本が参画する場合においても、日本人例数が少数例である場合には、全体集団と日本人集団の成績を比較して、日本人の有効性・安全性に関する結論を導くことは困難だと言われております。
 3ページ目のスライドをお願いします。少し趣が変わるのですけれども、3枚目、4枚目の資料に関しましては、アンケート調査とこちらで調べた調査結果を示したものになります。3枚目のスライドでは、Rare diseaseや小児の領域において欧米既承認であって、日本で小規模の試験を実施・検討した製剤についての企業に対するアンケート調査の結果を示したものになります。最終的には12社から33品目に関する回答を得ております。
 注目していただきたいのは、青四角囲みで結果を記載しているところですけれども、33品目中21品目は国内未承認であって、既承認12品目においても、それ相応のドラッグラグが生じている。2つ目は、国内の開発に当たっては、PMDA相談の結果、日本人患者に対する投与経験がないことから、数例から数十例の日本人での忍容性の確認を求められたケースが少なくとも7件、有効性の基準の設定を求められた試験が5件、PKの比較を求められたのが3件あったという結果になっています。また、未実施を除く28品目中の約半数の13件で、10例未満の症例による日本人試験の実施が求められ、実施してきたという経緯がございます。
 4枚目のスライドお願いします。このスライドは、2018年4月から2023年3月までの間に、日本で承認された承認医薬品89品目のパッケージ調査を行った結果を示したものです。そのうち日本人小児患者を対象とした試験が、評価資料として提出された品目数は55品目ありました。55品目中24品目では、日本人小児患者が20例以下の小規模な試験でありました。55品目中日本人の小児患者を対象とした試験の登録例数が20人未満であって、かつ日本で追加試験を実施されたと考えられる品目数は12品目ありました。この12品目中11品目では、単群試験であって、仮説を検証できる試験ではないと企業側が考えております。
 これら3枚目と4枚目の調査結果から、希少疾患や承認医薬品等について、日本で実施された追加試験は、小規模な試験がほとんどであって、統計的意味のある試験を日本単独で実施することや、ごく少数例の試験で民族差の有無を議論することは困難であると考えております。
 また、希少疾患等を対象とするため、症例数での治験であっても、症例収集には時間を要し、これがドラッグラグの要因の一つになっているとも考えております。
 最後のスライドになります。以上、本日説明しました一般的な問題点と業界内のアンケート調査結果を踏まえ、業界側としては、以下を提案したいと考えております。
 まず1つ目ですけれども、希少疾患等に用いる医薬品について、外国で検証的な臨床試験結果が得られている場合などは、ここに記載しています前提で、説明可能であれば、改めて、日本人患者での少数例の試験を行わずに、海外で実施された臨床試験等で臨床データパッケージを構成することで可能になるのではないかと、企業側は考えております。
 また、2つ目ですけれども、国際共同治験に組み入れられる日本人患者の症例数が極めて少ない場合は、日本人集団としての評価ではなく、国際共同治験全体集団の結果から、有効性や安全性に影響を及ぼす要因の有無や影響の大きさ、また、類薬の情報を含めた既存の治験などで、多角的に評価することが適切であると考えております。
 なお、これら提案の背景ですけれども、MRCT参画前の日本人フェーズ1の必要性の議論と同じく、決して企業側は日本人の安全性を軽視するものではありません。海外でのエビデンスがあって、日本人での用法・用量並びに有効性・安全性が説明可能であれば、追加試験の実施等で医薬品アクセスが遅れる不利益を回避すべきだと我々は考えております。
 また、業界としては、国際共同治験は日本も参加することが原則と考えております。我々は、いたずらに日本人試験が不要な方向に位置づけているものではありません。我々は、日本人の有効性・安全性評価には、より科学的なアプローチが必要との観点から、今回提案させていただいております。その点に関しましては、報道各社も含め御理解いただければと思っております。
 私の発表は、以上になります。
○清田座長 どうもありがとうございました。
 研究班の報告資料を成川構成員、間宮参考人により説明していただきますが、この後、資料1を事務局から御説明いただくこととさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○間宮参考人 参考人の間宮です。それでは、資料3を御用意ください。
 こちら、1ページ目にございます表題の調査研究につきまして、研究代表者の成川先生と、分担研究者として当方が参加させていただいております。前半部分については当方から御説明をさせていただいて、後半部分については成川先生より御説明をいただきたいと思います。要点を絞って、簡潔に御紹介をさせていただきます。
 2ページですが、こちらはアメリカのAccelerated Approval─この後迅速承認と言いますが、迅速承認の実態調査を行っております。
 3ページ目を御覧ください。こちらは、迅速承認の品目数と審査期間の推移を示しております。近年、こちらが増加傾向にございます。審査期間としては、平均7.8か月という状況になっております。
 続いて、4ページを御覧ください。こちらは、迅速承認された品目の領域を示しております。全体で見ると、7割ぐらいが抗悪性腫瘍薬となっておりまして、年代別で比較しますと、1990年代は感染症が多かったのですけれども、近年は、抗悪性腫瘍薬が多い状況となっております。
 続いて、5ページです。こちらは、迅速承認の際に承認条件が課されることになっているのですけれども、承認条件として、8割の品目に新たな試験の実施が課されております。残りの2割につきましては、申請時に、右にあるように、第Ⅲ相の試験の中間解析などで申請がされておりまして、その試験を継続しなさいというものになっております。
 6ページ目でございますが、実際に承認条件でどのような条件を課しているかをこちらに記載しております。こちらを見ていただくと、ランダム化を条件としたり、あと評価項目ですね、OSを出しなさいだったり、そういった形で臨床試験の評価項目の指定が割合として多くなっております。
 続いて、7ページ目です。こちらは、迅速承認がされた後に正式承認に移行する形になるのですけれども、実際に迅速承認された295品目のうち55%、161品目が本承認に移行しております。また、35品目、12%が承認の取消しという形になっておりまして、それぞれの審査期間については、右下に記載のとおりでございます。
 続いて、8ページです。これらの正式承認への移行取消しについて領域別に示しているものが8ページでございます。
 9ページ目からは、本承認と実際の迅速承認の試験の違いを比較してございます。こちらでは、試験規模を比較しておりまして、迅速承認では、100人以下のところが多いのですけれども、検証的試験ではそれより多い人数での試験の実施となっております。
 続いて、10ページもランダム化比較試験が74%とかの割合として多くなっていることが分かります。
 11ページです。臨床試験の評価項目として、こちらは抗悪性腫瘍薬を例にしておりますが、迅速承認のほうは奏功率で迅速承認していたものが、検証的試験では、PFSでしたり、OSの割合が多くなっております。
 12ページは、抗悪性腫瘍薬以外でどのようなものが評価項目とされているかについて、幾つかピックアップをして御紹介をさせていただいているものになります。
 13枚目でございますが、逆に、迅速承認が取り消されたものについて、取り消された理由として公開されているものを調べたところ、一番多いものとしては検証試験が失敗したというのと、2番目としては検証試験の実施を断念したものという形になっております。
 ただ、全て失敗したからといって承認が取り消されているわけではなくて、14ページ目にございますように、こちらは実際の審査の中身が公開されているわけではないので、具体的な詳細は分からないのですけれども、取り消されていない品目も幾つか見受けられました。
 続いて、15ページ目でございます。アメリカで迅速承認されたものが、実際に日本でどうなっているかというものを示しております。こちら、295品目迅速承認されたもののうち58%が日本で実際に承認がされております。
 続いて16ページ目でございますが、こちらは、領域別に今のものを示したものが左側のグラフで、右側のほうが実際にどのタイミングで、日本で承認されているかというもので、こちらはアメリカの迅速承認の前、日本のほうが早い場合、先駆的医薬品などが該当するのですけれども、そういったものが一番上で、2番目が、迅速承認されてから、アメリカで本承認がされる前に日本で承認されているものが102品目と、比較的多い形になっております。
 私からは以上ですので、以後、成川先生にバトンタッチしたいと思います。
○成川構成員 成川です。17枚目から、私のほうから御説明します。
 欧州にも同様の制度がございまして、Conditional Marketing Authorization(CMA)という2006年から開始された制度でございます。
 18枚目ですが、それに基づく承認品目の数は最近増えてきております。パンデミック関連のワクチンとかそういったものも、この制度の対象で承認されております。
 19枚目の薬効領域ですが、米国と大体同じで、悪性腫瘍の領域が多いです。
 20ページ目に、条件付き承認後の正式承認に至ったかどうかというところを帯グラフで示しております。
 以上が欧州の状況でございます。
 21枚目からは、米国の迅速承認制度について、製薬企業3社の米国薬事部門の方に御協力いただいて、聴取した情報を簡単にまとめました。かいつまんで御報告しますと、2番の質問のところで、迅速承認後の検証的試験のFDAへの進捗報告などはかなり厳密に運用されているということでございます。
 22枚目でございますが、3.のところです。迅速承認の条件とされた検証的試験については、その薬がもう医療保険で使用可能になるため、被験者の確保が難しくなるなど、実施に当たっての課題はあるかという質問しましたところ、やはり被験者の確保の面で課題が多いという答えがございました。このため、どんな工夫をしているかといいますと、迅速承認の適応よりも広い適応、例えば抗がん剤ではより早期の治療ラインとか、そういったところで検証的試験をして、その広がった適応で本承認を取ると、そういうような工夫をしたり、迅速承認後も同じ試験を継続して、より長期間のフォローをして結果を示すということをやっているということでございます。
 それから、4番目のところですね。迅速承認を取り消された品目も幾つかございます。企業から医療従事者、患者に対して、何か対応が求められるかということですけれども、規制上は、そういった対応を求められてはいないのですけれども、その製品によるベネフィットを享受している患者さんに対しては、何らかの対応が個別にされることが多いという回答でございました。
 23枚目に行っていただきまして、5番目、迅速承認された薬と通常承認のもので医療保険における取り扱いに違いはないということでございます。
そういったところで、その次からはちょっと省略しますけれども、最後24枚目は、これはアメリカの迅速承認制度について、アメリカの中でもいろいろな議論がございます。New England Journal of Medicine 2021年、2022年に載った論文の概要ですけれども、Danglingというのはふらふら揺れているということです。迅速承認制度もいろいろな議論があるということでございまして、3つ目のポツで、最近、迅速承認制度について代替エンドポイント、それからその臨床効果との関係とか、検証試験の終了までの時間、それがうまくいかなかった場合の取下げ手続きなどに監視の目が向けられていると。on-ramp、off-rampの双方について総合戦略が必要だという指摘です。
 提案としては、検証的試験の早期終了のためには、迅速承認時に検証的試験が開始されていること。被験者の組み入れが完結していなくても、少なくとも開始はされているということが望ましいという提案がされております。
 その延長というか、今年の3月に、FDAから抗がん剤の迅速承認に関するガイドラインのドラフトが提出されました。悪性腫瘍領域に用いられる迅速承認には、単群試験のデザインと奏効率のエンドポイントがよく用いられてきましたが、これにはいろいろな限界が存在するということで、このガイドラインでは、迅速承認の取得のためには、無作為化比較試験を実施することを推奨しています。2つの手法を推奨していまして、1つは、2本のRCTを行って、1本で短期の奏効率を見る。もう一本でサバイバルを見るというデザイン、あるいは、1本の無作為化比較試験の中で、短期なエンドポイントを評価したところで迅速承認をして、それを継続して長期のエンドポイントで評価をして、本承認を取ると。そんなようなことが提案されているということです。
 そうは言っても、RCTの実施可能性に大きな懸念がある場合などは、単群試験が適切な場合もあるということも記載をしているようなガイドラインが出てきていますという動きでございます。
 以上でございます。
○清田座長 どうもありがとうございました。
 それでは続きまして、資料1を事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、資料1につきまして、簡潔に御説明させていただきます。
 まず、日本人データの必要性について、3ページ目に「背景」を記載してございます。1ポツ目ですが、新薬の開発はグローバル化が進んでおり、世界同時開発をすることが主流となっています。また、日本が国際共同治験に参加できなかった場合には、国内での臨床試験を実施した上で承認申請されることが通常となっております。
 このため、国際共同治験への日本の参加を含めた国内での臨床試験が円滑に実施されるよう、治験を実施しやすい環境づくりなどが重要であると考えています。
 一方、3ポツ目ですが、例えば患者数の極めて少ない、いわゆる超希少疾患におきましては、国際共同治験や国内試験において組み入れられる日本人の症例数が極めて少なく、国際共同治験や海外試験との一貫性・類似性を評価するには情報量が乏しい場合もあると考えられます。これまでは、日本人のデータが集団としての評価が難しい程度に少なくても、個々の被験者の詳細な情報をみて日本人に外国人のデータを当てはめることができるかについても精査をしています。このような場合における日本人の臨床試験データの必要性について検討いただければと思います。
 4ページ目ですが、現状の考え方を記載しております。日本での開発を検討する際に、まず、国際共同治験の完了前か後かによって、完了前であれば、国際共同治験に参加する。完了後であれば、海外試験の成績に基づいて日本人の有効性・安全性は類推可能かどうかを判断していく。不可であれば実施をする、可能であれば実施をしないということですが、点線とさせていただいているように、可能となった例は、事例としては少ないという状況でございます。
 5ページ目です。これまでの国際共同治験に関してガイドラインを御紹介しております。まず、5ページ目は、ICH E17でございます。1ポツ目にありますように、国際共同治験は、地域間の治療効果の一貫性を評価できるよう計画されるべきといった考え方も示されておりますが、併せて、2ポツ目にございますように、例えば、希少疾患についても、国際共同治験は効率的な方法とされているとか、希少疾病を対象とした場合には、一つあるいは複数の地域が治験の症例組み入れの大半を占めるといった偏りが生じることも許容せざるを得ないといった考え方も、併せ示されているというところです。
 同様に、6ページ目、平成19年に出されている国内の通知でございますが、この中でも、この点線の枠内にありますように、日本での症例数を多く確保できる場合には、目標症例数の計算式なども示されているところですが、それが難しい場合、例えば超希少疾患などについては、下の2ポツ目にありますように、フィージビリティを踏まえた症例数の設定が許容されることも、考え方として示されているところです。
 これはこれまでの考え方です。
 7ページ目です。こちらは、超希少疾患のような、極めて日本人が少ない症例数で承認された事例として、昨年度の承認された品目から幾つかピックアップさせていただいております。上2つの品目が、海外で臨床試験が行われて、その後、日本で追加的に国内試験が行われた上で、承認申請がされた事例であります。
 下2つにつきましては、国際共同治験に日本が参加していますが、日本人が極めて少ないこと。3例、2例といったものがあったということで、こうした事例があるということでイメージをいただければと思います。
 8ページ目でございますが、製薬業界からは、こういう状況において、日本人での臨床試験を行う必要性などについても意見をいただいております。こちらは、冒頭、柏谷構成員から御説明いただいたとおりかと思います。
 それらを踏まえて、9ページ目、「論点」として、本日、御意見いただきたい点をまとめさせていただいております。
 まず、大きい1ポツ目ですが、こうした超希少疾患に用いる医薬品について、海外で検証的試験が実施済みの場合において、日本人患者で国内試験を実施する意味について、どう考えるかについて御意見をいただければと思っております。
 これに関連する考え方といたしまして、小さなポツの1つ目ですが、治験の実施におきましては、患者の医薬品への早期アクセスを確保する観点や、あるいは医療現場への情報提供の観点から、症例数が限定的であっても実施することが重要と考えられるかどうかについての御意見をいただければと思っております。
 また、その場合、これは拡大治験も含むと考えられますが、治験を実施はするものの、必ずしもその完了を待たずに、中間的な結果に基づいて承認審査を行っていくといった考え方について、どう考えるか御意見をいただければと思っております。
 また、小さなポツの2つ目ですが、その際、条件付き承認制度を活用することについて、どう考えるかについて御意見をいただければと思います。
 次の大きなポツの2ポツ目ですが、こちらは、国際共同治験における日本人が少ない場合でございますが、同様に、そういった場合に、日本人が国際共同治験に参加する意味について、どう考えるか御意見をいただければと思います。
 また、括弧の中に記載されていますが、これまでの考え方として、次のスライドの10ページに「参考」として示しておりますが、日本人が少数例のみ参加している場合であっても、全体集団との一貫性を科学的に評価することはできるとする考え方もあるとされておりますので、こうした考え方も含めて、どう考えるか御意見いただければと思います。
 2ポツ目の小さなポツですが、これも上のポツと同様に、患者アクセスや医療現場への情報提供といった観点からもどうかということについて、御意見をいただければと思います。
 また、次のポツですが、これらの論点について、超希少疾患以外の場合にもこれは同様と考えられるのか。どういった範囲について議論をすべきかということを、御意見いただければと思っています。
 また、そうした場合に、製造販売後に行うべき検討としても、例えばこれは全例調査とする必要性も含めて、これをどう考えるかについて御意見をいただければと思います。
 また、最後に、これらの論点について、日本における治験の空洞化を防ぎ、創薬力向上を図る観点から、どう考えるかについても御意見いただければと思っております。
 以上、前半の論点ですが、続いて、後半につきましても御説明させていただきたいと思います。資料のスライド番号はないですが、12枚目ですね。(背景)のところを御覧いただければと思います。
 医療上の必要性の高い希少・重篤な疾患に対する医薬品については、検証的試験の結果を待たず、探索的な試験結果に基づいて薬事承認を行う制度が、日米欧においても設けられております。欧米の制度につきましては、先ほど成川構成員、間宮参考人から御説明いただいたところです。
 しかしながら、日本の条件付き承認制度につきましては、米国やEUの制度に比べて、適用件数が少ないといった御意見があり、その運用の拡大を求める声をいただいております。ですので、先ほど御発表いただいた研究発表の内容も含めまして、制度の在り方について、御議論いただければと思っております。
 日本の条件付き承認制度の概要につきましては、次の13枚目のスライドに記載しております。この制度は、令和元年の法改正で法制化されておりますが、それ以前から、運用として実施されてきたものでございます。
 14ページ目に、条件付き承認の要件を記載してございます。特に③の検証的臨床試験の実施が困難という点につきましては、欧米にはない要件になっており、日本独特の要件になっているところと理解しております。
 15枚目ですが、条件付き承認制度の日本での実績一覧を示しております。これまで、日本では、5例の条件付き承認制度が実績としてございます。いずれの品目も、令和元年に法制化される前の運用の段階で対象となったものでございまして、法制化後の実績はないということになってございます。
 16枚目ですが、これは米国の制度に対する批判の記事を御紹介させていただいております。米国における運用と比べて、日本の制度の運用が少し実績が少ないという意見を踏まえての議論になっておりますが、米国の制度につきましても、これは「ブルームバーグ」の記事を引用しておりますが、効果の確証のない新薬について、大きな収入をもたらすビジネスモデルといった書き方もあり、批判的な記事があるということについての御紹介でございます。
 これらを踏まえて、(論点)が17枚目に示してございます。こうした背景を踏まえて、条件付き承認制度の在り方、対象の在り方について、どう考えるか御意見をいただければと思っております。
 小さなポツ、1ポツ目ですが、これは先ほどの研究班の発表の中にありましたとおり、米国で迅速承認を受けた品目のうち、日本で承認を受けている品目は170件程度あると。そのうち、米国の本承認以前に承認を受けているものは120件あるといった状況も明らかになっているところで、こうした状況を踏まえてどうかということ。
 それから、2つ目の小さなポツですが、米国の制度に対しては批判的な記事があることや、FDAでもドラフトガイダンスが示されており、ランダム化比較試験の実施を推奨されるといった状況にもあるということがございます。
 これらを踏まえて、小さなポツの3ポツ目において、例えばでございますが、日本においては、この資料の前半の論点でお示ししましたように、日本人のデータが必要であることによって承認時期の遅れが生じるケースがございますので、こうした場合に、条件付き承認制度を適用していくことについて、どう考えるか御意見をいただければと思っております。
 また、そうした場合に、市販後に必ずしも臨床試験ではなく、製造販売後の調査によりデータを収集していくことについて、どう考えるか御意見をいただければと思います。
 また、4つ目の小さなポツですが、日本での条件付き承認の要件の中に、検証的臨床試験の実施は困難または相当の時間を要するという要件がございますが、この運用の在り方についてどう考えるか、御意見をいただければと思います。
 日本人での追加のデータの必要性のほか、不可逆的な進行性の疾患の進行抑制に寄与する可能性がある場合など、疾患が医薬品の特性に応じた取り扱いについて、どう考えるか御意見をいただければと思います。
 また、大きな2つ目の論点ですが、承認後に検証試験の実施について、御意見をいただければと思います。米国では、研究班の発表がありましたように、様々な工夫がされていると聞いておりますが、そういったことも含めて、日本での実現可能性について、どう考えるか御意見をいただければと思います。
 最後に、市販後に実施した検証的試験等の結果によっては、承認を取り消す可能性がございますが、これについて、運用の在り方をどう考えるか、御意見をいただければと思います。
 以上でございます。
○清田座長 ありがとうございました。
 以上が資料の御説明になります。それを踏まえて、今日はいろいろディスカッションをしていただきたいのですが、まずは、資料1の9ページから御意見をいただければと思います。
 どうぞ。
○柏谷構成員 柏谷です。
 この論点のところの冒頭で、「超希少疾患」とお書きになっておられますけれども、これは、私の発表の際にもお話をしましたけれども、言葉の定義として、「希少疾病」という単語は定義もされているのですけれども、「超」と、言葉の意味自体は日本人ですので、分かると言えば分かるのですけれども、きちんとした定義がされない限り、「超希少疾患」は何なんだという話がありますので、こちらの定義がなされない限りはなかなか前に進まない議論なのかなと思っています。
 続けて、全部話をさせていただきます。
○清田座長 どうぞ。
○柏谷構成員 あと、下のほうに行きまして、条件付き承認制度を活用することについてどう考えるかとあるのですけれども、こちらに関しましては、「超希少疾患」は置いておいて、このようなものを開発する場合においては、条件付き承認制度を活用することも、とり得る選択肢の一つだと考えます。ただ、条件付き承認制度一本ではなくて、承認した後も、安全性監視指導でカバーできることもあろうかと思っております。これら広い観点で、こういうものに関しては議論すべきであって、条件付き承認にこだわる必要はないかなと思っております。
 大きい丸の3つ目、これらの論点については、超希少疾患以外にもどう考えられるかどうかということですけれども、業界としては、希少疾病用医薬品であったとしても、そのフィージビリティに関して該当するものであれば、そちらのほうも対象にすべきだろうと考えております。いずれにしろ、何かに指定されているというよりは、日本国内でフィージビリティがあるのかどうか、そういうところが重要なポイントになるのではないかと考えております。
 一番最後のところですけれども、これらの論点について、日本における治験の空洞化を防ぐというところで、どう考えるかということですけれども、これら超希少疾患の治験が日本で実施しないことで、本当に空洞化につながるのか、それぐらい数多くの臨床試験が日本で超希少疾患の薬剤でやられているのかというのを、具体的数値をもって話さないと、治験の実施を求めないから空洞化だと言うのは、少し行き過ぎた議論になるのかなと思っています。
 9ページに関しては、以上になります。
○清田座長 ありがとうございました。
 これに対して、事務局からございますでしょうか。
○次世代ワクチン等審査推進室長 事務局です。
 今日は、委員の皆様に様々な御意見をいただく会だと思っておりますので、我々から具体的な答えを示すものではないと思っているのですが、何点かコメントさせていただきます。
 まず、資料の中に出てくる「超希少疾患」という言葉の定義、人数的な何か決まりがあるのかというところですけれども、これについては、特に明確なもので線引きをしているものではありません。オーファンの制度で言う希少疾患としては、5万人未満という定義がありますけれども、超希少疾患については、明確な線引きはしておりません。ただ、5万人いれば、国内でも十分な治験が行える規模であろうということで、それよりは相当小さい規模、少なくとも数十例とか100例ぐらいであれば、超希少疾患と言ってもいいかと思うのですが、おおよそのイメージとしてはそういうイメージです。
 その超希少疾患というところに、まず書かせていただいているのは、ドラッグロスが生じやすいもの、また、その背景として、日本人での治験が実施しにくいものということを想定した場合に、そのような患者数が極めて低いものは一つの典型例だろうなと思っております。
 まずは、そういうところにフォーカスすることによって、その議論をするときの様々な要素のうちの一つをシンプル化することによって、議論が進みやすくなるのではないかという観点もございますし、ただ、一方で、超希少疾患に限るべきかというところ、それ自体も論点の中に書かせていただいておりますので、今申し上げた数十例とか100例とか、それに限らず、もう少し患者数の多い疾患についても、どのように考えていくべきかというところも、御意見をいただければなと思っております。
 それから、もう一つ御指摘最後にありました治験の空洞化のところについては、これも皆様に御意見をいただきたいということで、論点として書かせていただいています。実際のところ、どれぐらい空洞化につながるのかというところも、我々も何か定量的なデータとして持っているものはありませんので、そこについては、まさに現場に近い先生方から御意見をいただければなと思っております。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございました。
 ただいまの事務局からの御発言に対して。
 小川先生、どうぞ。
○小川構成員 小川でございます。
 まさに、超希少疾患に当たると考えております小児がんのほうを主に診ておりますけれども、その超希少疾患における小児がんにおいてさえも、一切の治験をやらなくてよいいとは全く思っておりません。例えばこれから開発されるであろう薬に対して、国際共同がなされるときには、参加できる可能性があるものであれば、できるだけ多く参加するということが必要であるということは、柏谷構成員もおっしゃっていましたけれども、医療サイドとしても同じように考えております。
 ですが、一方で、9ページの1ポツのところにありますように、既に検証的試験が海外で実施済みの場合というところに関しましては、実施済みであるものに対して、追いかけて国内で治験をするということに関しては、あまり必要がない、あるいは適切でないと考えております。
 その理由といたしましては、これを計画して実施するまでの間に、例えば進行性の疾病とか、あるいは致死的な疾病である患者さんは、計画がなされ、使えるようになるまでの間に亡くなる患者さんがやはりたくさんいらっしゃいます。ですので、ひとたびラグになってしまっている医薬品に関しましては、このラグを助長するような計画を立てるというよりは、ラグをその時点で解消できるように、つまり何らかの条件あるいは期限も含めた承認等をしていただき、使用しながら、そのデータを集めるというようなことが必要なのではないかと考えております。
 つまり、それは安全性には十分に配慮した上で、条件をつけて承認いただき、極めて限定された施設ということでも構いませんし、また、再生医療製品等でも行われているような期限付きでの情報データを集めるという形でもよいと考えますので、ひとたびラグになったものに関しては、そのような方策を出していただきたいと考えております。
 ここでは、今回は資料の中ではいただいていないのですけれども、例えば治験が行われた場合に、治験が終了して、そして、承認になるまでの約1年また1年弱の期間、その薬が使用できないことで困る患者さんがたくさんいらっしゃいます。その患者さんたちに対しては、例えば拡大治験が常に実施されるということであれば、拡大治験に参加することができますが、超希少疾患等に関して、それが行われることは非常に少ない状況です。また、これを義務づけられても、企業さん側も困るであろうと考えておりまして、ここの本論とはちょっと外れますけれども、single patient INDのような形で、何らかのアクセスのための方策を、もう一つ、別途整備していただけると、ありがたいと考えております。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 眞島構成員から手が挙がっています。お願いします。
○眞島構成員 ありがとうございます。
 今、小川構成員からお話がありましたけれども、ラグになっている医薬品に関しては、それを助長するような治験を追加で行う必要はない。我々も患者側としてそう思っておりまして、特に小児関係では、例えばグリオーマでもそうですけれども、罹患後2年以内に亡くなってしまうような非常に厳しい病気がありますので、既に、例えばアメリカで承認されているもので、アメリカの患者さんは、Compassionate use制度を使って、実際に市場に出てくる前にもう既に使えるわけですけれども、日本の拡大治験というコンセプトですと、なかなかそうはいかなくて、欧米の医薬品でも、日本で既に使えるような制度になればいいのですけれども、日本の拡大治験はそうなっていませんので、そういうところも、アメリカのCompassionate useのように使えるようにしていただきたいなというのが我々の希望です。
 それから、先ほど柏谷構成員からも説明がありましたけれども、希少疾患の小児の医薬品に関しては、従来のやり方でも、被験者の確保数など様々な問題があって、治験が実施困難であるということがありますので、そういったような要因からドラッグラグ、ドラッグロス問題が顕著であるということも指摘されてきました。
 ですので、今回、この検討会では、いわゆるドラッグラグ、ドラッグロスの問題を解消するということを目的に我々は行っておりますので、安全性・有効性を確保しながらも、簡略化できるところは、ぜひ、そのような方向で進めていただければ、ありがたいなと我々は考えております。
 以上です。ありがとうございました。
○清田座長 ありがとうございました。
 今までの御意見は、皆さん、ほぼ一致している御意見で、何らディスカッション、議論の対象にならないような感じがするのですけれども。
 どうぞ。
○花井構成員 今日は、フリーなディスカッションということなので、基本的な私どもの考え方を示したいと思います。最近、いろいろな承認制度があって、日本の場合は承認なので、現場で承認したものは全部承認なのですね。承認というのは、原則的に言えば、安全性・有効性を国がお墨つきを与えましたと、今はこういうふうに受け止めているわけです。一方で、そういう厳密にすることによっていろいろなアクセスの問題が生じていると承知していて、今、問題になっている希少疾病は、恐らくほとんどが専門医にかかっているものであり、私どもの感染症のAIDSは結構処方条件が自由なのですけれども、何でうまくいくかというと、みんな専門医で、少ないコミュニティで回しているからで。そういったレジメンの自由度というのを認めてもそんな難しいことは起こらないので、基本的には、まず、希少疾病のアクセスという問題は、一つの問題系として存在するべきです。
 つまり、クリニックで広く処方されるような医薬品とは全く別の考え方が必要で。例えばHIVで言えば、もちろん最初は拡大治験をやりましたし、だけど、絶対開発されないものについては、研究班が予算、ファンドを確保して提供されています。小児用とかですね。それは国の政策として、そういう少ない患者さん、子供たちを救うためにファンドを用意するというのは、また別の議論が可能です。だから、そこを、全部薬事を緩めることによって対応するという考え方には反対です。
 基本的には、国際共同治験に参加して、日本人でやるかどうかというのも重要ですが基本としては、日本人のデータが、国際共同であっても、数が少ないから、結局、統計学的に有意日本人とそのほかの群と本当に対照して比較できるかといったら、それは難しいわけであって、日本人のデータは、現場の感覚、もしくは患者の感覚として、日本人に使っているという症例を、定性的にきちんと見て、何となくそこで分かることが、定量的には有意ではなくても、日本人でこういう症例があった、こういう症例があったというところで、現場の安心感にもつながっていると思いますし、患者自身の安心感もつながっているというところもあるので、基本はちょっと外さないでほしいというのがあります。
 ただし、今おっしゃられたように、希少疾病は基本どおりやれというのではなくて、できるのであれば、Ⅱ相段階、Ⅲ相にかかったときはもう承認してしまって、進行しながら、承認後に見ていくとか。もしくは、さっき事務局の案にもありましたけれども、いわゆる市販後調査という話で、対照群のリアルワールドデータ、レジストリとかを使って調査という形でデータを蓄積するのもいいし、そこは臨機応変に品目ごとに違うので、それはそういう形をつくってもいいのではないかと思います。
 それから、もう一つは、緊急承認制度のEUAとの比較に関しても大変議論したのですけれども、日本は全部承認になるわけですね。結局、さっきのアメリカでも、AAの場合だったら、本承認になりますと、その中間があるのですけれども、日本の場合は承認になるので、そうしたときに、昔は、お金がたくさんあるときは、効いているか効いてないか分からないけれども、危なくないからまあいいかみたいな保健薬は今でもあるのですけれども、今は、有効性についても、薬事の関係では保証すべきと考えると、効かなかったものが永遠に市場に置かれ続けるというのは、相当問題があると。特に保険財源が厳しくなっている現在は、毒にも薬にもならないからいいやというわけにはいかないと思うので、そこは、先ほど事務局の資料の17ページの最後の行にもありましたけれども、どう考えるか。
 最後は、ちょっと質問ですけれども、例えばAAで正式承認前に日本で承認されているものがありますよね。そこで、アメリカで落ちたもの、承認されてしまいましたと。アメリカで落ちて、そのとき日本でも承認してしまっているわけですよね。そういうものがあるのかどうかというのはちょっと気になるところで、データがあれば、また、教えてほしいのですけれども、有効性を長期的に見て確認して、駄目なものは駄目というのがないと、ちょっと難しい部分があるかと思います。
 先ほど、柏谷構成員からありましたけれども、日本の緊急承認、特例承認、再生医療等製品、さらには条件付き承認といろいろな承認があって、一般国民はみんな、承認は国が安全性・有効性を認めたものだと思っているわけだから、そこは、いわゆるウルトラオーファンを何とかきちんと届けるという目的がゆえに、この承認制度の立てつけ自体をあまりややこしくするのは論点が違うのではないかと思うので、そこは、希少疾患なら希少疾患対策という形で総合的に考えると。
 承認に関しては、恐らく緊急承認は、僕らがそうだったように、必ずしも条件というか、ちょっと特例的に早く、アメリカであって、日本にないという。日本人のデータはありませんというときに持ってくるというのは、パンデミックに限らなくても、そういう利用があるのかどうかというのもちょっと調べてほしい。柏谷構成員からもありましたけれども、どう使われているかですね。そういうところをちょっと調べて、条件付き承認制度はいい制度なのに、そんなに使われてない、意外だなと思っているので、それを使って、Ⅱ相試験あるいはⅢ相が始まって、エントリーした後は、それを継続しながら承認して見ていく。もしくは、それが難しければ、市販後調査で、レジストリデータを使うとか、シングルでなくて、既存治療のリアルワールドと対照群にして比較するみたいな、そういうところで早く届けるということについては全面的に支持します。ただし、それがゆえに承認制度のたてつけ自体をいろいろ複雑にして、もしくは緩めるという考え方には反対です。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○柳本構成員 柳本でございます。
 本日は議論の場ということで、もともとは柏谷構成員のお話に戻りたいなと思うのですけれども、まず、議論を進めていくという上で、超希少疾患というところから入っていくのは、企業が抗がん剤でラストラインから入っていくように、緊急性が高いところというところで、作戦としてはいいのかなと考えております。
 一方で、それがその先どこまでいくのかというところは、しっかりと定めていかないといけないのかなと思っておりまして、今おっしゃられたような、超希少疾患に閉じた、まずはドラッグラグの話をこの場ではしていくのか、もしくはそれ以外のものも全部含めているのかというところは、しっかりと目的を明確にした上で行きたいと思っておりまして、ドラッグ全般的というのであれば、柏谷構成員がおっしゃったような、希少疾患という切り方をするのではなく、日本で臨床試験を、もしくはRCTをするのが難しいような薬剤開発というような切り方でいいのでしょうし、そうなってくると、先日、別の場で御提示したこともあるのですけれども、RCTをすることが難しいような新規モダリティなどに関しても考えなければいけなくなると、条件付き早期承認だけではなくて、再生医療等のほうも入ってくるとか、そのあたりの目的からスコープというところを定めた上で、今、まず第一歩として、超希少疾患の話をしていますみたいなところが明確になっていくと、超希少疾患だけ取り扱って、この場が、この検討会全体が終わるみたいなことにならなくていいのかなと思います。ただ、繰り返しですけれども、まずは超希少疾患から、定義は何であれ、議論を始めること自体には、全く反対をしておりません。
○清田座長 ありがとうございます。
 ほかに御意見。
 どうぞ。
○成川構成員 成川です。
 最初の議題の検証的試験の日本人データについてコメントします。事務局の資料1の4ページ目を見ながら、今考えていたのですけれども、今、私たちが議論しているのが、国際共同試験が終わってしまって、そこに日本が入ってないという前提での議論ということで、理解をしていますけれども、4ページ目の右上の四角のところに、事務局の御説明ですと、今でも、国内試験の実施可能性や医療上の必要性等を総合的に勘案して、一定の柔軟性を持って判断しているということをおっしゃっています。ですが、実態としては、それは少ないと私も思います。一方で、柏谷構成員からの御提案のところを見ると、海外試験の結果とか、モデリングのシミュレーションなど、そういうのを使って、日本人で有効性・安全性が説明可能であれば、海外で実施されたものでいいのではないですかと。それもすごくごもっともな御提案です。ですから、厚労省と産業界で同じことをおっしゃっているのですけれども、実態がかなりくい違っているというのが現実の世界かなと思っていまして、そこはあまり概念的な議論をしても、なかなか解決できないので、どういうところで食い違っているのかというのを、あまり具体的な個別の話に入りたくはないのですけれども、少し何か例示がないと議論がしにくいなというのが正直なところです。
 以上です。
○清田座長 柏谷構成員、どうぞ。
○柏谷構成員 どうもありがとうございます。
 企業としては、厚生労働省様のこのスライドも事前に拝見させていただいていたのですけれども、御説明も受けたのですけれども、立てつけはこうであっても、実態が伴ってないというところがあり、本気で進めるのであれば、この文言に則って、もしくは企業側が本日提案させていただいた内容に従って積極的に承認に向けて、症例をケースバイケースですけれども、必要なものと必要でないものと明確に分けた上で、フィージビリティのないものに関しては、海外のデータで承認していただくという件数を増やしていただければ、ドラッグロス自体はなくなってくるのではないかなと考えております。
○清田座長 ありがとうございます。
 小川先生、どうぞ。
○小川構成員 個別の事案になってしまうので、ちょっと話すかどうかを考えておりました。現状、ラグになっているものに関しての開発で、試験をしないでは駄目なのかと思っている事案等がありまして、それをどうすればいいのかというのは、今、どう申し上げればいいのかが分かりかねておりまして、まだ、ちょっと考えております。
 米国で、もう2年ほど前に承認になっている薬剤で、作用機序からは人種差があるとは考えにくいような薬剤であるにもかかわらず、やはり試験を、何らかの試験はすべきであるという、相談に行って、そういう答えを得たということであります。
 それはやむを得ないのかと、そのときは私自身も思いましたが、やはりその人種差が想定しにくい、類薬の差等を検討すれば、試験なしでもよいのではないかと思っている具体的な薬剤も頭の中にありまして、御検討いただければいいなと思っております。
○柏谷構成員 柏谷です。
 ちょっと加えてお話をさせていただきますと、企業側も、日本人患者の投与経験の蓄積は必要だとは思っているのです。必要だとは思っていますが、先生おっしゃられたように、いや、これはというのがあるのですけれども、そこのところを例えば対面助言等で「いや、必要でしょう」と言われたら、「必要ではありません」と言い切るのもなかなか企業にとっても難しいところがあって、では、1例、2例でもという指示をいただいて、1例、2例でもやらざるを得ない状況に今は陥っているというのが事実のところでございます。
 でも、後々考えてみれば、その1例、2例は、サイエンス的にどういうふうな意義があるのだろうというところも、また、悩ましいところで、ただ、投与実績も必要でしょうというところも否定はしませんし、なかなか判断がつきにくいというのが正直なところでございます。でも、先ほど来申し上げていますように、経験も実績も新たな統計手法も手に入れていますので、そこのところを勘案して、患者アクセスを優先するというのも一つの考え方ではないかなと思っています。
○清田座長 ありがとうございました。
 宮川先生、どうぞ。
○宮川構成員 皆さんの意見はほとんど変わってないと思うのです。ただ、その尺度というか、どこに基準というかそういうものをつくっていったらいいのかが重要だと思います。つまり、使用と試験と承認です。先ほど花井構成員が言ったのはすごく正しいことだと思うのです。何をもって使用しなければいけないのか。実際に目の前にそういう方がいらっしゃれば使いたい。その使いたい人のバックグラウンドはよく分からないけれども、それを使わざるを得ないから使用している。でも、それは承認とはまた別の話なのです。それをきちんと分けて考えていかないといけないのです。その整理は、先ほど花井構成員が言ったとおりのところにあります。承認をどのレベルにするのか、どの時点でするのかというような形だけなのです。
 だから、今回、そういう意味では、薬事規制の在り方、規制ではなくて、どういうふうな使用をしていくのかというところ、そこでどのような安全面をつくっていくのかというところを、皆さんが考えていて、もうほとんど考え方は一致しているのです。言っていることは、どの角度から見ているかというだけなのです。でも、先ほど言ったように、薬事承認の承認というものはしっかりとしたもので、動いてはいけないものなのです。だから、そこはどうするのか。使用しても、試験をしてもいいのですけれども、それらでは戻ってくることができるのです。でも、承認というのは、一旦承認したならば戻れない。そこのところをしっかりと整理をして、とりまとめに向けた文言をつくっていかなければいけないのだということに尽きるのではないかなと考えます。それは、もう全ては花井構成員がおっしゃったようなところから始まっているのだろうと思います。それらの言葉をきちんと選んで、何をしていけばいいのか。そういう意味では承認制度とくっついてしまうので問題があるということです。それをきちんと分けていただきたいなと思います。
○清田座長 ありがとうございます。
 大体皆さんのイメージは同じですが、細かなところをはっきりさせておいたほうがいいのかどうかですね。
 どうぞ。
○佐藤座長代理 国衛研の佐藤でございます。
 私も、少なくとも超希少疾患のお薬については、日本人を検証的試験に組み入れなければいけないというのは、統計的にはあまり意味がないと思います。では、日本人での有効性とか安全性はどう検討したらいいのかという話になると、成川構成員とか間宮参考人が御説明くださったような、アメリカの迅速承認のように、新たな試験を実施するのかというと、アメリカですら、患者さんのエントリーは難しいという話になっていて、皆保険の日本だったら、まず不可能だろうということになりますと、そうすると、先ほどの資料1の9ページにあるような「論点」ですけれども、そこは、日本では条件付き承認制度を使って、製造販売後、調査をするしかないのではないかと思います。
 そこで、希少で、例数少ないですから、だとすると、エビデンスレベル、製造販売後調査、いわゆるリアルワールドでのデータで議論しなければいけないというところではありますけれども、それでも、有効性・安全性を議論するとなると、9ページの下のほうのポツにありました全例調査は、例数が少ない、患者数が少なければ、なおさら全例調査はしなければいけないのではないかという気はいたします。
 その上で、その有効性・安全性を検証できるかというと、なかなか難しいので、海外での結果と整合性がある、ないというところから、日本人での有効性・安全性を類推していくしかないのではないかなと思います。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○宮川構成員 もう一回言いますけれども、取り消すということができるのかどうかということです。それをきちんと英断するのかどうかということに尽きるのです。だから、そこのところを今お話しになったような、そういう実例があるのですかという話を花井構成員も言いましたけれども、そういうことをしっかりと日本でできるのですか。きちんと国民に対する開示も含めてやるのですかということです。そして、症例数が少ないものであれば、全例調査は当たり前です。そこでやっていって、検証していくという、そういうシステムとしての流れを明確にすることが大事です。そのときに承認というもののラインが動いてくるという形をみんなで決心して考えていかなければいけないということだろうと思います。
○清田座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○柏谷構成員 その点、非常に難しいところが。個人的には、厚生労働省の方にお聞きしたいのですけれども、日本というのは、もう承認してしまって、国民皆保険制度の中でお薬が投薬されて、例えば1年2年投薬された後に、これは有効性がなかったから取り消しですとなったときに、結局、この1年2年投与されたものは何だったのだとなってしまうので、その辺のところの責務というかそういうものは、国が負うことになるのでしょうか。それとも、どういう立てつけになるのですか。日本ではそういう事例はあまりないような気がするので、僕自身も知らないのですけれども。
○清田座長 事務局、いかがですか。
○次世代ワクチン等審査推進室長 ありがとうございます。
 前の発言をされた委員も含めて、幾つか質問的なことをいただいていたかと思いますので、できる限りまとめてコメントをさせていただこうと思います。
 まず、花井構成員から、米国で迅速承認されて、その後取り消されたような場合に、その薬は日本ではどういう取り扱いをされているかというところですね。これについては、具体的にこれぐらいあって、こうなりましたみたいな全体像は、まだ、私どもも把握できておりません。もし、成川先生、間宮先生から、分析していただいた結果として、何か言えることがあれば、補足的にコメントをいただければと思います。
 恐らく、実際には特定の傾向というよりも、本当にもうケースバイケースで判断しているのかなと思っていまして、これは迅速承認されたものに限らないですけれども、日米欧の3局で見ても、その承認する、承認しない、あるいは承認を取り消すの判断になると、結構ばらついているものもあります。ですので、日米を比較して、日本はこうだという何か定性的なことは少し言いにくいのかなという気もしております。十分なお答えになってないことは自覚しつつ、できる範囲でコメントをさせていただきました。
 それから、同じく花井構成員から、緊急承認とか特例承認とか、既存の制度をパンデミック以外でも活用できないのかという御指摘もございました。これは、現在の法令上の立てつけとしては、感染症の蔓延など、社会的にその薬を緊急に使用する場合があるということが、制度適用の要件となっていますので、少なくとも現行の法制度としては、そういう位置づけになっております。ですので、単に超希少疾患だからということでは、適用は難しいと考えています。
 一方で、条件付き承認制度という、これは令和元年の法改正でできた制度ですけれども、こちらがむしろ治験の実施が困難などそういったものについて、いかに早期に承認をするかということの受け皿としてできた制度と認識しておりますので、今回、事務局の提案にも書かせていただいておりますけれども、それを積極的により活用していくという方向性についてどうかという形で書かせていただいているところです。
 続きまして、柳本構成員から御指摘がありました、超希少疾患から議論をスタートした上で、どこまでスコープを広げていくかというところについては、それもまさに論点として御議論いただきたいなと思っているところであります。患者数としては、例えば国内で1万人ぐらいはいるけれども、非常に進行性の疾患で、余命もそれほど長くなく、治験の結果を何年も待っていることはできないみたいな、そういった場合もあり得ると思いますので、そういったケースも含めて、どう考えるかというところはあるかなと思っております。
 新規モダリティのところについては、柳本構成員から別の場で御紹介いただいた話で、多分この検討会の皆様は具体的な中身は分かられていないかと思うのですが、もし、追加的にコメントを補足いただける内容があれば、いただければと思っておりますが、ちょっと直接的なお答えは現時点で持っておりませんが、そういった新規モダリティで、従来の考え方が当てはまらないものが出てくれば、それは、適切にその内容に応じて判断していくことかなと思っております。
 続きまして、すみません、ほかにもたくさん質問的なことをいただいているかもしれませんが、最後の柏谷構成員からありました、承認が取り消された場合の保険上の取り扱いですけれども、これについては、おっしゃるとおり、事例としてはそんなに多くはないのかなと。自主的に承認を整理したものとか、そういったものはあるかとは思います。
 その場合に、責任の観点をおっしゃいましたけれども、特に、今まで保険からお支払いしたものを返してくださいとかそういった話はないと認識をしています。今後、仮に、例えば、条件付き早期承認をより積極的に活用した結果として、事後的に取り消される事例、自主的な取り下げも含めて、そういうものが出てきたときに、その保険の問題がどうなるのかという意味の質問も含んでいるのかなと思いましたが、そこについては、現時点で、こうと考えているものはありません。
 ただ、そこももしかしたら大きな論点になってしまうかもしれませんし、そういった場合になると、また調整が難しい部分もあるかと思っております。論点の一つとして、取り消すことの是非とか、その場合どう取り扱うということも書かせていただいておりますが、まずは、薬事の中でどう処理すべきかということを御議論いただきたいということで書かせていただきましたが、御指摘のような、ほかの制度への波及というところも、もしかしたら論点になってくるかもしれません。
 すみません、長くなりましたが、とりあえず以上です。
○清田座長 どうぞ。
○間宮参考人 参考人の間宮です。補足させていただきます。
 先ほど、花井構成員より御質問いただいた、米国で迅速承認されたものについて、日本の承認の状況はどうなっているかという御質問ですけれども、数品目ではございますが、承認を取り消された品目について、日本でまだ承認を維持している品目はございます。ただ、古い品目が多くて、1桁のレベルですので、そんなに数は多くないのですけれども、存在自体はしているという状況でございます。
 以上でございます。
○清田座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○PMDA審査マネジメント部長 PMDA審査マネジメント部です。
 先ほど、Accelerated Approvalで、アメリカで承認されて、日本で承認を取り消さないのかという話ですが、日本の場合は、承認でございますので、そのときのいわゆる彼らがサロゲートと言われるところで出された試験の結果で、日本でほかに代替治療があるのかとか、総合的に判断して、そのときに承認をしております。
 アメリカの場合は、当然、さらに高いレベルでの検証的な結果でもって判断をしているのですが、日本の場合は、米国の判断前の段階のエビデンスでも、日本に存在してもいいとかいう有用性があるということで、御審議で承認されていますので、それが否定されない限りは、承認は維持しているということでございます。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。どうぞ。
○花井構成員 せっかく取り消しの話題が出たので、追加で申し上げておくと、もしかしたら、アメリカはああいう国なのでちょっと特殊なのですけれども、ヨーロッパでは、保険に入るか入らないかが大きな問題で、イギリスで、結局、市場にはあるけれども、保険から外すという可能性でマネージしている場合もあり得ると思うので、保険局に聞いていただいて、例えばNICEとかいろいろ、ああいうところで、保険から外れるという形の制度もある。日本で一時期、研究不正があったときに、それは、承認した有効性ではなかったけれども、これを追加的有効性があるようなものでプロモーションされたから、そのお金を返してもらえる必要があるのではないかという議論を一回中医協であったことがあって、試みたけれども、それによって幾ら分もうかったとか、なかなかできなくて、断念したという経緯もあって、一定程度その薬の評価について変わったときに、あれは極端な例だったので、中医協でも議論になったという例もありますし、今後は、本来はHTAの領域かもしれないので、それだったら、HTAの領域として、ここではないということにもなろうかと思うので、もし、その情報があれば、イギリスやドイツはどうしているのかなというのがもしあれば、参考までに教えていただければ、今じゃなくていいですけれども、今後の議論のために教えていただけたらと思います。
○清田座長 ぜひ、その実態を教えていただきたいと思います。イメージとしては、だんだん使われなくなってきて、フェードアウトしていくという感じではないですかね。ですけれども、それが実際、データでなければ、よく分からないですね。その辺、よろしくお願いします。
 あとは、希少疾病と超希少疾病の境がどこなんだというような、ここでは決めなくていいのですか。
○次世代ワクチン等審査推進室長 人数でなかなか明確に線引きはしにくい問題なのかなと思っています。例えば100人とか1,000人とか、どこかで線引きをしたとしても、そこからわずかに外れる患者さんが全く救われないのかみたいなところがありますので、最後は、総合判断みたいなところに委ねる形にならざるを得ないのかなという気もしております。
 もちろん、そこも御意見あれば、いただければと思っております。基本的には、ロスになるようなものをいかにして防ぐかというのが、議論の出発点だと思っておりますので、逆に言えば、今、普通に日本での治験を実施して、特に遅れることもなく承認されているものについては、これまでどおりやっていただければいいと思いますし、逆に、日本人データの要求する部分がネックになって遅れている、あるいはロスにつながっている部分については、解消できないかというのが問題の出発点かと理解しております。
○清田座長 どうぞ。
○佐藤座長代理 国衛研の佐藤でございます。
 超希少疾病の定義が難しいというお話でしたが、考慮すべき論点、そのとき議論するときの論点とか、そのポイントですね。それを超希少疾病だとみなすときのポイント、考えるべきポイントは、それは数だけでは切れないとおっしゃいましたけれども、では、ほかにどんなポイントがあるのかということぐらいは共有できるのではないかと思うのですよね。こういう条件、こういう条件、総合的にと言うけれども、どれを勘案して総合的にやるのかといったときの少なくともこれくらい、追加的にその他というのがあるとしても、ある程度代表的な因子は挙げられるのではないかと思うのですね。
○清田座長 私も、総合的に適切に判断するというのは、よくそこらで聞く表現ですよね。何が適切なんだというのは誰にも分からないですね。ですから、一つの数字は皆さんで共有しておいたほうがいいと思うのですよね。そこで線を切る。例えば50例で切る。でも、51例あるから、超希少にならない。これも仕方がないことであって、それなくしては議論は進まないですよね。そこをちょっと皆さんの御意見をいただきたいのですけれども。
 小川先生からどうぞ。
○小川構成員 小川です。
 この超超希少がどこで切れるのかというのは、院内でもさんざん議論をいたしましたが、1,000あれば、そこそこ試験ができるものもあるということでした。小児がん領域ですと、唯一一番多い急性リンパ性白血病は500を超えておりまして、一定数の試験ができております。ところが、100を切っている疾患は惨たんたるものですが、100で切られると困るよね。101だったらどうするんだという議論も同じように出ました。
 数だけのイメージをざっくりとお伝えするならば、やはり500ぐらいなのだろうというのが私たちの結論でした。ですが、500であったとしても、比較的ゆっくりと同じ状態を保てる疾患と、1年未満で亡くなっていくような疾患では、少ない数で試験をできるかできないかというところが違うのかなと思いまして、ぴたっとは切れないと思いますが、小児科あるいはがんセンター内の一部の統計課等を含めた議論をしておりますと、試験を組めそうなぎりぎりは、500未満は厳しいという議論でした。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○佐藤典宏構成員 今の件ですけれども、AMEDの研究事業で、難治性疾患に関する事業がございまして、これは、悪性腫瘍は外しているという前提ですけれども、希少疾病を対象にしているのです。希少疾病対象だと、希少疾病の中でも、臨床試験できるということになりますから、やはり数が多いものになってしまうということで、AMEDの難治性疾患の枠組みで超希少疾病枠というのを2年ほど前でしたか、開始しています。
 そのときの数字はたしか1,000だったような記憶があります。AMEDさんの難治性事業部に確認していただければよろしいかなと思います。今、小川先生がおっしゃったとおり、がんを外していますので、長期生存といいますか、長く患う病気の方が対象になっていますので、恐らく500よりも1,000になっている、あるいは1,000ではなくて500になっているというところだと思いますけれども、一応参考までに、そこを見て。AMEDさんに確認していただければいいと思います。たしか、「超」とついたときは1,000だと記憶しています。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 柏谷構成員、どうぞ。
○柏谷構成員 柏谷です。
 超希少疾患という単語に問いかけを投げた身としては、本当に申し訳ないのですけれども、もちろん超希少疾患というところで、厚生労働省さんが入り口として議論していくということであれば、そこの数等の設定は必要だと思います。
 ただ、業界としましては、申し上げていますとおり、超希少疾患であろうが、希少疾病、オーファンであろうが、結局、日本人のフィージビリティが臨床試験においてどれだけあるのかというところで、そこのところの観点で、こういう条件付き承認の対象になるのかというようなところを議論していただければよろしいかなと思っております。オーファン薬、希少疾病薬であったとしても、フィージビリティ、日本でやりにくいというのは多々あると思いますので、そういうものに関しては、対象にするというところは置いておいていただきたいなと考えております。
○清田座長 ありがとうございます。
 Webで中村構成員から御意見があるようです。よろしくお願いいたします。
○中村構成員 ありがとうございます。中村でございます。
 数で切るという話で、100とか500とか、1,000とかあって、我々一般的に超希少疾病と言うと、やはり100くらいかなという印象を持ったのですけれども、ただ、今、柏谷構成員がおっしゃったところと一緒と言えば一緒なのですけれども、フィージビリティの問題、あとは、どれぐらい緊急性があるかですね。疾患の重篤性とか予後、既存の治療薬があるかないかで、かつ、その既存の治療薬に対してどれぐらい有効性が期待されるかというところも、総合的に勘案して、数を規定するにしても、そういった条件も少しつけてあげて、少々数が増えたものでも拾えるようにしたほうがいいかなと、今お話をお聞きして、思っていました。
 もう一つ、後でいいのですけれども、これは小川先生への質問になるのですが、米国で2年前から承認されて、やはり試験をしていくと言われて、これはもう承認してほしいというものであると思うのですけれども、そういった場合に、今の既存の仕組みの中で、製販後に患者さんを追うことで、十分に安全性が担保できそうなのか。そこをどこかで、後で教えていただければと思います。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 では、小川先生お願いします。
○小川構成員 個別のものですので、この製品に関しましては、製販後で十分安全性が担保できると考えております。
 もう少し付け加えさせていただくと、これは、バイオベンチャーが開発している、日本では完全な未承認薬となっております。
○清田座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○PMDA執行役員 PMDAの田宮です。
 先ほどから議論が出ていますように、対面助言の場でPMDAから日本人での治験が必要だと言われた、とか、海外で検証的試験があっても、超希少疾患について、日本人の治験が必要だという話がありましたので、私どもが実際に対面助言を行うときの状況について御説明しておきたいと思います。
 確かに、小川先生が先ほどおっしゃったように、品目によっては、海外のエビデンスが十分にあって、日本人での治験が必ずしも必要ないのではないかということもあるかもしれないのですけれども、私どもは、特に神経難病とか、非常に患者数の少ない様々な疾患の関係での対面助言の際に、専門協議なども含めて、その領域の専門家の先生と議論することがよくございます。そうした議論の中では、その疾患の患者さんを診ていらっしゃる臨床の現場の先生からすると、海外でのデータがあっても、その実使用に当たっては、日本人のデータが仮に少ないとしても、有効性なり安全性あるいはその個別の症例の経過とか、そういったデータはやはり非常に重要だということを、よく我々は伺います。
 それから、少ない日本人症例数で承認された医薬品を今日4品目ほど紹介していますけれども、実際の承認審査における、医薬品第一部会とか第二部会での議論におきましても、委員の先生方から、日本人のデータについて、有効性・安全性がどうなのかという形で質問を受けることがあり、そこのところはやはり臨床現場の先生方からすると非常に気になるところなのではないかなと思っております。
 そういった中で、対面助言ではできるだけ治験をという形で申し上げておりますけれども、一方、小川構成員あるいは眞島構成員もおっしゃったように、日本での治験をやることで、仮にその最終的なエンドポイントを見るために2年とか3年とかかかるというようなことであると、実際の承認のタイミングが遅れるという議論は、よく理解できますし、そういう意味で、今回、事務局からも、その完了を待たずに、中間的な結果に基づいて承認審査を行うという論点も出ているのかなと理解しております。
 それから、あともう一つ、現場の先生方からお伺いするのは、仮に海外のデータで承認するとしても、申請するまで時間があって、そして、審査期間もありますので、その間、やはり使えないということになります。そうではなくて、現場としては、治験という形ででも患者さんにそういった医薬品を提供し、治療の機会を提供したいという先生方もたくさんいらっしゃいますし、それから、実際に日本人のデータをできるだけ早く取るという意味でも、承認してから、市販後のデータということではなくて、先に治験を始めて、途中の段階で承認をしていくということで、その日本人のデータについて、有益な情報を提供していく、そういう考え方もあるということで、対面助言において先生方とよくディスカッションしているところでございます。
○清田座長 ありがとうございます。
 川上構成員、どうぞ。
○川上構成員 日本薬剤師会の川上です。
 医療現場としては、日本人症例に対する投与情報とか、患者アクセスなどの観点から、日本人での治験や投与経験は必要かと思います。今日の論点にあるような超希少疾患に使う薬剤で、海外で検証的試験が実施済みの場合、国内での治験が必ず必要かという点については、それは実施しなくても、日本人の患者さんに早く使えれば良いと思います。けれども、仮に、制度がそうなってしまった時、最初から日本を外し、海外で先に検証的試験を済ませてしまえば、日本ではもうあえて行わなくて良いみたいに、逆にこれを認めることで、治験の空洞化みたいなことが起きないかと、少し恐れとして感じました。
 一方で、別の観点で言うと、例えば感染症で多剤耐性菌などに使う薬剤で、どうしようもない場合には、医師の個人輸入で、病院では使わざるを得ない場合などもあります。これも、専門医同士のネットワークなどで、使用経験は情報共有できるかもしれませんが、本来は条件付き承認制度などで使えていれば、その製造販売後調査の中で、有効性や安全性も評価できるのではないかと思いますので、この条件付き承認制度をうまく活用していくことは大事なポイントかと思いました。
 以上、2点です。
○清田座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○上村構成員 ありがとうございます。国立国際医療研究センターの上村と申します。
 今、御発言の中で、治験の空洞化というのがありましたので、それに関連して、コメントをさせていただきます。
 今、私が所属している国立国際医療研究センターでは、コロナ禍の中で、幾つかの国際共同治験に参加しております。そのときの感染率の挙動もあって、必ずしも多くの症例は得られていないのですけれども、そこで数例入れた経験があることで、代表者の研究者とコミュニケーションをとったり、コネクションも持てました。また、研究者や臨床試験を実施する側も、非常に大きな経験とノウハウを蓄積できたというところがあります。まさに今、日本でパンデミックが起きたときの備えとして、国内でも感染症領域において大規模な臨床試験が実施できるように整備を進めているところですけれども、国際共同臨床試験に参加したことが、非常に大きな有益な経験の蓄積があったと考えております。そういったものに参加することによって、人材育成であったり、経験蓄積ということがあって、ひいては、創薬力の向上というところにも関係してくるのかなと思いまして、少ない登録人数ではあったのですけれども、国際共同治験に参加したことは非常によかったなとコメントです。
○清田座長 ありがとうございます。
 石井構成員、どうぞ。
○石井構成員 石井でございます。
 海外でデータがあるときの日本人での治験の必要性に関しまして、今日、あまり御意見が出ていない中で、必要かと思いますのが、医薬品の特性に関することで、作用機序や、特に構造が重要だと思います。民族差が想定されるかどうかといった点も重要な要素になるのではないかということについて、御検討いただけたらと思います。前回のP1の議論と同じかと思います。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○奥田構成員 日本病院薬剤師会の奥田と申します。
 先ほど川上構成員から指摘あったように、日本人のデータでないと、海外での検証試験に偏向してしまうのではないかという懸念は、私も心配だなと思っております。
 もう一つ、これは質問になるのですが、日本人のデータをこれまで求めてきたと。そのことによって有効性・安全性の確保に対して、どのように日本人のデータが役に立ったかということに関しての振り返っての検証みたいなことはどうなっているのか。そのあたりを確認する必要があるのかなと思いました。何かデータをお持ちでしたら、教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○清田座長 PMDAから答えられますか。
○PMDA執行役員 御質問ありがとうございます。
 実際に、そういった形でのデータを取りまとめているということではないのですけれども、先ほども申し上げたとおり、それこそ医薬品第一部会、第二部会におきまして、少数例ながらも日本人のデータを見て、そこで有効性あるいは安全性についてどうなのかということはよく議論されておりますので、そうした観点では、実際に承認するに当たって、日本人の有効性・安全性のデータが承認の可否に当たっての議論に貢献しているということは、当然説明できるかと思います。
○清田座長 今の御質問、それが外国のデータと日本のデータで違いがあったか。違いがあるのはどれぐらいなのかという御問ではなかったかなと思いますけれども、これに関してはいかがですか。データを求められるからとかいうのではなくて、日本人のデータと外国のデータで違いが実際あったかどうかですね。そういう薬剤がどのぐらいあるのかというような把握はなされていますか。
○PMDA執行役員 すみません。そういった定量的な形で、我々のほうでデータを持ち合わせているわけではございません。ただ、実際の議論の中で、少数例でありますけれども、海外のデータに比べて日本人の有害事象が多い、発現頻度が高いのではないかとか、そういったような形の議論がされることはございますので、そうした中で、では、実際に現場に出すに当たって、添付文書でどの程度注意喚起するかとか、そういった議論がなされることはございます。
○清田座長 ありがとうございます。
 私は第二部会の部会長ですが日本人のデータをよこせと言う委員がいるのですよね。ですけれども、実際はあまり差がないのです。同じ人間ですからね。日本人特有だからどうのというのはあまりないという印象は持っていまして、定量的も何も、おおむね同じ傾向だという結論はいっぱいありますよね。ですから、そういうので大雑把な感じで結構なので。
○奥田構成員 承認審査のときにいろいろ議論になるというのは、もちろんよく分かるのですが、実際、市販されてから、そのとき議論したことが安全を、もちろん周知とかいろいろな注意喚起した結果が市販後には反映されるので、そのまま比較することは難しいと思うのですけれども、その懸念が妥当だったかということについて、海外の事例との比較で差がなかったのかという、そのあたりを知りたいということです。
○清田座長 差がないのが多ければ、それでいいのではないかという、そういう感じがしますけれどもね。
 どうぞ。
○永井構成員 先生方がおっしゃるように、そんなに多くはないのかもしれません。でも、やはりそういうケースはありますので、個別の品目のケースとか、また、最近では、統合した解析なども報告されています。
 臨床薬理の立場からは、用量については幾つか懸念点がありまして、体内動態の民族差がかなり分かってきて、報告されている医薬品もあるのですね。ですから、そういう観点からの用量設定が必要で、そのために日本人と海外のデータの比較をしなければいけないケースはあるのですね。
 これまでの検討会で、事例としてお話ししましたけれども、幾つかの承認品目で用量が違うケース、それから、近年モデルベースのメタ解析などの手法を使って、日本人と欧米人の経口クリアランスなどの評価を行った報告もされていて、こういった情報を総合すると、臨床薬理や薬物動態の点では、少なくとも肝取り込みトランスポーターOATP1B1が関わっている医薬品とか、また、ビスフォスフォネート製剤のように、非常に吸収が悪いなど、特徴的な体内動態特性を有する医薬品の場合、用量の設定を慎重にすべきであろうという感触を持っています。
 ですから、特に症例数やフィージビリティの点で、超希少疾病の医薬品に対する考え方、製薬業界がおっしゃっているようなことに原則的には同意するのですけれども、私自身は、資料で提示されている「適切にデザインされた海外臨床試験の結果や、類薬の情報を含めた既存の知見、モデリング&シミュレーションなどに基づき、日本人での用法・用量並びに有効性・安全性が説明可能であれば」と聞くと、何とかして説明可能な方向に、そういう方向に流れないかというのは、ずっと議論を聞いていて、懸念は感じています。
 ですから、どうしても必要なケースはかなり分かってきているので、そういったケースはクリアにしていきながら、例えば製薬協と行政の間で、こういうケースは絶対日本人で、1相であってもデータが必要だとか、そういう議論ができるような仕組みをつくりながら、それ以外のケースは、特に希少癌などでは、先ほど先生方がおっしゃったように、審査の段階から議論して、日本人のこういうデータを取って製造販売後の仕組みの中で評価をするとか、そういったことも可能と思われますので、そういう方向で、今後、議論が進むといいなと個人的には思っています。どうしても日本人で、PKのデータが必要なケースはあると思っていますし、そのような報告も、今は挙がってきているという点をコメントさせていただきたいと思います。
 もう一点、血液凝固の領域とか、特にPDの面でも国内外で違うというエビデンスもあって、以前、ご報告したように、製造販売後に治験をして、より低用量を承認したというようなケースがあるので、私自身はもっと早めに検討をして、第Ⅱ相試験の国際共同の中で、より低用量のエビデンスを治験として収集するなど、そういう開発戦略にしていただけたらなと強く感じた次第です。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 つまり、全ての薬剤ではない、特定の薬剤に対して気をつけなければならないのがあって、それに関しては、日本人のデータが要るというような理解でよろしいのでしょうか。
○永井構成員 そういうふうに思っていますし、調査をした中で、製薬業界の中でもそういう議論があったのではと思ったので、差し支えなければ、柏谷構成員も、臨床薬理も含めて、他の分野の御意見もあれば、ぜひ、教えていただけたらと思います。
○清田座長 柏谷構成員、何かありますか。
○柏谷構成員 先生おっしゃるとおり、製薬業界の中でも、議論を深めていくことに関して抵抗するものでもありませんし、こういう話をしていくと報道等で企業は日本人フェーズⅠは要らないというところが大々的に言われるだけですけれども、我々、第1回目のときから言っていますように、製薬企業の薬事担当者は、日本の薬事行政は薬害の歴史とともにあるというのは一丁目一番地でもう植えつけられていますから、さほど悪いことはしないのです。悪いことも考えないです。国際共同治験全部吹っ飛ばそうとかそういうのは考えてないです。入れるものは確実に入って、日本人の安全性のデータを取ろうとしています。ただ、そういうものとそうでないものがあるよねという議論をしているだけですので、そこのところは分かっていただいて、フェーズⅠ、必要なPK、PDのお話も重々承知しておりますので、その辺のところもディスカッションする機会を設けさせていただいて、アカデミアの先生も含め議論させていただくということは非常にありがたいことだと思っています。
○佐藤座長代理 佐藤ですけれども、今おっしゃったとおり、私ももう一回繰り返しますけれども、今日、議論していただいている超希少疾患を何と捉えるかといったときに、石井構成員や永井構成員がおっしゃっていたような、構造から考えたときの民族差の有無が強く推定されるかどうかとか、そこもポイントとして挙げておけばよくて、そこを製販業者さんと規制のほうで共通認識を持っていると、判断しやすいし、それから、透明性とか予測性とかも高まると思うのです。ですから、そういう要素を幾つか挙げておくのは大事なのではないかなと思います。
 日本人で効くのかどうかは気になるというのは確かにそのとおりですけれども、少なくとも私は個人的には、規制は科学的な合理性からの判断をすべきだと思っていて、特に今日の場合は、全ての医薬ではなくて、いわゆる超希少の疾患を対象にした議論なので、そこで得られるデータが、本当に科学的な議論ができるか、民族差が明確にできるのかどうかといったポイントからその議論をすべきだと私は思います。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○柳本構成員 少し戻って、治験の空洞化のところで、上村構成員がおっしゃられていた国際共同試験参加することによって、経験も高まって、今後の創薬への貢献が高まっていくだろうと、そこはまさにおっしゃるとおりだなと思っています。
 一方で、今、各拠点において経験を得づらい環境、得づらいのはほかにもある。それは、今後、また、別のテーマのときに議論された臨床試験環境の整備・強化の中で、恐らくこの辺が明らかになっていくと思っていましたので、そこでの議論も踏まえた上で、どうしても今回のような希少疾患であったりとかの中でも、我が国の治験能力向上のために多少ハードルを上げてでも治験をするべきだというのであれば、入れたらいいと思うのですけども、単純に、一つ一つが経験の場として重要だからというので、それで、全部日本での臨床試験を必須としていくとすると、ハードルばかり上がっていきますので、そこは、次の今後の議論も踏まえた上で、バランスを見た上で、こちらに戻って、どこまでをその観点からは必須とするのかというところが議論できるといいなと思っております。
○清田座長 ありがとうございます。
 また、中村構成員から御意見があるようです。どうぞ。
○中村構成員 すみません、中村です。
 柳本構成員がおっしゃったことは、まさにおっしゃるとおりだと思っていまして、むしろ、国内の治験がないものと、それから、国内にもっと治験を導入するというところをセットにして、それによって国内の治験の空洞化を防ぐのだと思います。
 今、ほぼお話がまとまったのですが、民族差のところで、あまりに言い過ぎてしまうと、結局、全部承認できずに、治験しろという話になりますので、そこは、どの程度影響しそうかということとか、あるいは、承認してしまって、その後に、例えば血中濃度をとりながらやるような形で何とかならないかとか、そこらあたりで対応できるものは対応できないかなと思っています。ちょっとお話をお聞きしていると、かなり大規模な症例での治験での話が多かったように思うので、今は、希少難病は、むしろそういう薬物動態で、個人差がない薬の開発のほうが多いように思いますので、そこらあたりを踏まえて御検討いただければと思います。以上です。
○清田座長 ありがとうございます。どうぞ。
○佐藤典宏構成員 北海道大学の佐藤ですけれども、今と全然違う話になってしまうかもしれませんが、事務局で用意された資料の12ページですけれども、3局の比較ですね。私の中では、海外といいますか、米国とEUは全然違うコンセプトになったとちょっと感じていまして、アメリカの場合は、条件付きの場合は代替エンドポイントで行って、多分、市販後で、エンドポイントを統一しなさいみたいな感じですけれども、EUの場合は、あくまでも、これはベネフィットとリスクの比較の中でやっていまして、条件付きのときはそれでいいかなと思っていますけれども、市販後のところも、「ベネフィットがリスクを上回ることを確認できる試験を実施」と、これは一体何なのかなと思って、今までも結構科学的な議論されていますけれども、これはひょっとすると有効性を証明するのではなくて、要するにバランスの中ということで、成川先生はEUのほうを検討されたから御存じかもしれませんが、結局、EUは、リスクよりもベネフィットが上であれば、明確な有効性が証明されてなくてもいいのでしょうか。それとも、そもそもこれ、言葉自体がapprovalじゃなくて、オーソライゼーションになっていて、承認という概念だとどうなるか、それで、私もこれを理解できなかったのですけれども、これはどういうふうに理解すればよろしいのでしょうか。成川先生に。ちょっとわからなかったので。すみません、全然違う話で。
○清田座長 どうぞ。
○成川構成員 成川です。御質問ありがとうございます。
 EUも米国のこの制度も、かなりはしょって表にまとめているというのがまず前提としてございまして、EUのレギュレーション、この部分を読むとすごく長い要件を書いてございます。最終的には、本当にかいつまんで言うと、ベネフィットがリスクを上回るということですけれども、実際のところは、市販後臨床試験をやっているというのが実態で、そのデザインがRCTが多いのかどうかというのは、今後、もう少し調査をしないといけないと思っています。
○佐藤典宏構成員 ありがとうございます。今日話題になったような超希少になると、本当にその有効性をきちんと証明できるのかどうか、そこまで待たなくてはならないかという議論もあったと思うのですけれども、患者さんにどう使っていただくかという問題と、また難しくなってしまうかもしれませんけれども、本当にその有効性を最終的に証明しないと承認にならないとか、そこを証明できないと取り消すのだとか、そうではなくて、リスクとの兼ね合いとかそういう判断が加味されるのであれば、患者さんに使っていただくことはもっと広がるのではないか。もちろん安全性を投げ出していいという判断ではなくて、あくまでも、EUのこの超短いまとめだから、実態と違っているのかもしれませんけれども、その辺のところをもう少し教えていただければよろしいかなと思います。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 ほかに。
 どうぞ。
○成川構成員 成川でございます。
 条件付き承認のほうのコメントでもよろしいですか。後半のほうの。
○清田座長 どうぞ。
○成川構成員 本日ご報告した研究に携わった者として少しコメントをいたします。事務局の17ページの資料ですと、アメリカで条件付き承認を受けた品目の多くが、といいますか、実際には4割程度ですけれども、アメリカが本承認に移行する前に日本でも承認されているということは確かに事実でございまして、ただ、それをもって何か「日本の承認制度もそれなりに機能している」という見方をして書いているのだとすると、ちょっと私の意見は違うなというコメントです。
 その理由を幾つか述べます。1つは、アメリカで迅速承認されてから、本承認に行く前に日本で承認されているものは確かにあるのですけれども、全体の4割ぐらいです。間宮先生にお願いして、日米の承認のラグを試算してもらいましたところ、日米の承認時期の差は、全体品目ですと平均で1100日、中央値で800日程度、アメリカで本承認にコンバートされる前に日本で承認された品目に限っても、平均値で800日、中央値で500日ぐらいございまして、これは決して短い数字ではないのではないかというのがまず1つです。
 それから、日本の場合は、アメリカで迅速承認された品目でも、最初から通常承認してしまっているわけですね。その場合、企業の方は歓迎するかもしれないのですけれども、結局、通常承認した後、日本では、制度上、その医薬品の有効性を積極的に検証する機会を失ってしまうということになります。ですから、下手をすると、もしかしたら検証されないままに、その薬が世の中に残ってしまう可能性があるのではないかという問題意識を持っています。
 3つ目は、これは、本当は無駄な話ですけれども、法律施行後に実績がない、過去を振り返っても5件しかないというのは、対外的な制度のアピールという意味でも、ちょっと寂しいというか、誰が見てもよろしくないのかなということで、私としては、せっかく法制化した制度があるので、適用しやすくなるような条件なり運用の見直しを、この機会ですから検討いただいてもいいのではないかなという意見です。
 その1つの適用の例としては、今日前半の議論にあった超希少疾病ですね。国際共同試験が日本を入れずに終わってしまっているものについて、日本人データを後からとるということですけれども、その試験を始めたぐらいのところで日本で条件付き承認をしておいて、後からきちんとその結果報告をして本承認に移行するという使い方もあるのではないかなということで、そのあたりも将来もう少し詳しい議論をさせていただけるとありがたいなと思っております。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 上村先生、どうぞ。
○上村構成員 迅速承認のところで、1点コメントさせてください。先ほど、私のほうの言葉不足もちょっとあって誤解を招くところがあったかもしれないところを、柳本構成員にコメントいただきありがとうございます。
 迅速承認のところで、確かに法制化された後の実績がないというところで、研究側で感じる期待感とちょっとギャップがあるなというところがあります。例えば神経難病の先生らが医師主導治験をして、条件付き承認制度の活用を目指したいという声は実際聞くのですが、実際にPMDAの中で、例えば探索試験をやった後に、条件付き承認制度を活用したいという相談がどれくらいあって、実際に認められなかった要因が何なのか。もしかしたらデータがまだ不十分だったということもあるかもしれないですし、要件に該当しなかったというところもあるかもしれないですけれども、申請した数とそこの要因分析の結果がもしあれば教えていただきたいなと思います。
○清田座長 これは、今日答えられないですよね。
○PMDA執行役員 すみません。今、手元にそういったデータはございません。
○清田座長 この次までに調べていただきたいと思います。
○柏谷構成員 昔聞いたことがあるのですけれども、条件付き承認制度は、再度承認された後に、データの蓄積をもって、再度、評価するということで、恐らく評価するところは、安全部ではなくて、新薬担当が再度されると。
 昔聞いたことがあるのは、単純に承認申請されて承認するよりも、過去に承認されたものの有効性・安全性がどのように評価されたというのが、また事実を、例えば5年後に評価するときに、5年前にどういう審査がされて、その審査されて承認された後、どういうデータが蓄積してということを評価しないといけないので、その評価には、PMDAとしてはかなりの工数がかかるというのをお聞きしたことがございます。
 そういうこともあって、なかなか進まないのかなと思ったのですけれども、今回、この条件付き承認制度というのにフォーカスを当てて進めようとするということは、私、個人的には、これはこれでいいのですけれども、オーファン指定制度の中で、PMDAの工数が足りないからということで、優先審査、優先対面助言の中で、該当品目、非該当品目をつくるということも話されていますので、もし、こちらにかける工数があるのであれば、オーファン指定のほうにも工数をかけていただいて、非該当というものは取り除いていただきたいなと。ちょっと後ろに戻って申し訳ないですが、そういう思いもございます。
 ですから、ここのところの立てつけは、PMDAとどういうお話をされて、どういう目論見というか、どれだけの数を検討される予定なのかというのも、併せて、次回のときにでもお話をいただければと思っております。
○清田座長 では、次回にお答えできれば、お答えいただければということでよろしいでしょうか。
 ほかに。
 どうぞ。
○佐藤座長代理 条件付き承認制度の後の製造販売後調査ですけれども、要するに、条件付き承認制度で一番困るのは、製造販売後調査の計画が不十分で、グレーのままでずっと行ってしまうのは困ると。ですから、もし条件付き承認制度を活用するということになると、製造販売後の調査計画はかなりしっかりとして、ある一定の時間内に白黒つけられますというような計画を、製販業者さんがきちんと立案していただいて、それを規制当局がそうだねと合意していかないといけないと思うので、そこは留意しておいていただきたいと思います。
○清田座長 柏谷さん、どうぞ。
○柏谷構成員 柏谷です。
 そこですけれども、冒頭申しましたように、企業側としましては、条件付き承認で承認いただくというのは、あくまでも選択肢の一つであって、通常の安全性監視活動の中でも十分ウォッチできるものもあろうかと思いますので、製造販売後のところはもちろん企業が立案しながらということで、条件付き承認にこだわらなくても、どういう安全性監視活動をやっていくのかというところでも議論できるのかなと思っております。
○佐藤座長代理 そうですね。ありがとうございます。
○清田座長 ほかによろしいでしょうか。
 いろいろな御意見をいただきまして、誠にありがとうございました。
 希少疾病と超希少疾病は、線は引けないと。これはよく分かりました。何となくイメージでやってしまうのですね。これは仕方がないですね。
 それから、大体、皆さん、安全に早く使えるようにしましょうと、そういうイメージはでき上がっていますので、ここをちょっと詰めていただいて、次回にお願いしたいと思います。
本当にお疲れさまでした。ありがとうございました。
○次世代ワクチン等審査推進室長 最後に事務局から案内をさせていただきます。
 いつもながら、非常に活発な御議論を頂きまして、ありがとうございます。本日いただいた構成員の御意見を整理させていただいて、改めて、事務局としてこのような方向性でいかがでしょうかという提案をさせていただきたいと思っております。
 本年の開催は、本日が最後となります。次回は来年になりますけれども、具体的な日程が決まりましたら、事務局よりお知らせをさせていただきます。来年も、引き続き御協力いただければと思っておりますので、何卒よろしくお願いいたします。
 本日はありがとうございました。