第173回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和5年12月14日(木)15:00~16:10

場所

全国都市会館 大ホール

議題

  1. 1.マイナンバーカードと健康保険証の一体化について
  2. 2.病床転換助成事業について

議事

議事内容
○池上課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第173回「医療保険部会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、御多忙の中、御参加いただきまして、大変ありがとうございます。
 まず、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
 本日は、菊池部会長代理、池端委員、猪口委員、内堀委員、河野委員、任委員、横本委員より御欠席の御連絡をいただいております。
 また、前葉委員より途中退席の御連絡をいただいております。
 冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。
(冒頭カメラ撮り終了)
○池上課長 それでは、以降の議事運営は、田辺部会長にお願いいたします。よろしくお願いします。
○田辺部会長 まず、欠席、途中退席される委員の代わりに御出席なさる方についてお諮り申し上げます。
 池端委員の代理として井川誠一郎参考人、猪口委員の代理として角田徹参考人、内堀委員の代理として伊藤賢一参考人、前葉委員の代理として鎌田光明参考人、横本委員の代理として酒向里枝参考人の出席につき、御承認賜ればと存じますが、いかがでございましょう。
(異議なしの意思表示あり)
○田辺部会長 ありがとうございます。
 それでは、早速議事のほうに入ってまいります。
 本日は「マイナンバーカードと健康保険証の一体化について」「病床転換助成事業について」、以上の2つを議題といたします。
 では、まず「マイナンバーカードと健康保険証の一体化について」を議題といたします。
 それでは、事務局から資料の説明のほうをお願いいたします。
 では、よろしくお願いします。
○竹内課長 医療介護連携政策課長でございます。
 私のほうから資料1「マイナンバーカードと健康保険証の一体化について」の御説明をさせていただきます。
 資料をおめくりいただきまして、1ページでございます。
 まず、先日12月12日の火曜日でございますけれども、第5回マイナンバー情報総点検本部が開催されまして、マイナンバー総点検の実施結果等も踏まえ、健康保険証の廃止について、総理から御発言がございましたので、まず、その御報告をさせていただきます。
 発言の一部を抜粋してございますが、ポイントになりますのは、真ん中の辺り、下線を引いている部分でございます。
 「こうした国民の不安払しょくのための各般の措置の進捗状況を踏まえ、法令に基づき、予定通り、現行の健康保険証の発行を来年秋に終了し、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行することとします」。こうした発言がございました。
 2ページを御覧いただきたいと思います。
 こちらには、総点検本部の資料から「マイナ保険証の不安払しょくに向けたその他の取組状況について」の資料を抜粋しております。
 まず、1ポツのところでございますけれども、登録済みデータ全体の確認ということでございます。
 これまで、登録済みデータ全体につきまして、住民基本台帳との突合による確認作業を実施してまいりましたが、11月までに突合を完了しております。
 突合結果に不一致があったデータのうち一部につきましては、先行して誤登録の確認を行っておりますけれども、それ以外についても不一致の内容に応じて情報の閲覧を停止しており、現在、保険者等による確認を実施していただいているところでございます。
 この作業については、来年春を目途に確認作業を終える予定でございます。
 続きまして「2.保険資格データ未登録者への対応」についてでございます。
 本年8月時点で資格情報とマイナンバーが紐付けされておらず、未登録となっていた加入者が約71万件ございましたけれども、保険者より事業主経由で個人番号等の提出を依頼してきたところ、約69万件について事業主への対応が完了したところでございます。
 事業主の協力が得られなかったケースにつきましては、年内に保険者から本人に直接提出を依頼いたしまして、さらに、保険証廃止後まで提出がない場合につきましては、資格確認書を送付することとしてございます。
 次に「3.オンライン資格確認と保険証の負担割合等の相違事案への対応」についてでございます。
 保険者の再点検を通じて判明した相違事案を含めまして、いずれも最終的に正しい負担割合等で被保険者に負担していただいているものでございますが、10月以降、順次保険者システムの改修を行っておりまして、原則として、今年度中に実施をすることとしております。
 また、来年夏までに、定期的に保険者がチェックする仕組みを導入することとしております。
 3ページに参りまして、総務省の施策となりますけれども、認知症などで暗証番号の設定に不安がある方が安心してカードを利用でき、代理交付の負担軽減にもつながるよう、暗証番号の設定が不要な、いわゆる顔認証マイナンバーカードの交付を可能とすることとしております。
 現在、市町村におきまして、準備を進めていただいておりまして、明日15日から導入を開始する予定でございます。
 なお、下の絵にございますように、このカードにつきましては、通常のマイナンバーカードと外見上区別ができるよう、追記欄に「顔認証」という文字が記載されることとなっております。
 4ページを御覧いただきたいと思います。
 現在、厚生労働省ではマイナ保険証の利用促進のための取組を進めておりますが、公的医療機関等における取組を御説明いたします。
 厚生労働省所管の団体が開設する公的医療機関等に対しましては、このたび、利用率の目標設定と進捗管理を行うこと。
 また、医療機関等の窓口におきまして、マイナ保険証利用者のための専用レーンの設定と担当者による声かけ、案内を実施すること、こうした内容を要請いたしました。
 あわせて、厚生労働省所管団体以外が開設する公的医療機関等に対しましても、これを踏まえた対応を実施するよう要請を行ったところでございます。
 さらに、民間医療機関等につきましても、この後御説明をさせていただきます、医療機関等への支援も活用いただきながら、利用促進を図っていただきたいと考えておりますけれども、今後、利用率の自主的な目標として活用できるよう、各医療機関等に利用実績を通知できるよう、調整を行っているところでございます。
 次に、5ページを御覧いただきたいと思います。
 マイナ保険証の利用促進を後押しする医療機関、薬局に対する支援策といたしまして、先月29日に成立をした令和5年度補正予算において、マイナ保険証利用促進のための医療機関等への支援、総額で217億円を盛り込んでおりますので、改めて御説明をさせていただきます。
 1ポツのところですけれども「医療機関等におけるマイナ保険証利用促進のための支援」ということでございます。
 初診・再診等におけるマイナ保険証の利用率の増加に応じた医療機関等への支援でございます。
 医療現場において、カードリーダーの操作に慣れない患者さんへの説明など、マイナ保険証の利用勧奨に取り組んでいただくインセンティブとなるよう、利用率の増加に応じて段階的に利用件数分の支援を行うこととしております。
 取組期間は、来年1月から5月までの前半と、6月から11月までの後半といたしまして、今年10月の利用率との比較で、それぞれの機関における平均利用率、総利用件数に応じて、資料に記載している額の支援を行うこととしております。
 支払いにつきましては、年2回、医療機関等からの申請なしで支払基金が実施いたします。
 6ページを御覧いただきたいと思います。
 支援策の2つ目でございますけれども、医療機関・薬局における顔認証付カードリーダーの増設の支援でございます。
 本年10月から来年3月までのいずれかの月のマイナ保険証の月間利用件数の総数が500件以上の期間につきまして、顔認証付カードリーダー1台の増設に要した費用の一部を補助することとしております。
 また、病院につきましては、資料にお示しした条件に応じ、最大3台まで費用の一部補助を行います。
 補助上限額は資料のとおりでございまして、購入費用、工事費に対して2分の1を補助することとしております。
 7ページを御覧いただきたいと思います。
 こちらは、デジタル庁の施策になりますけれども、マイナンバーカードの利活用推進事業として、マイナンバーカードを診察券や公費負担医療等の受給者証として利用するために必要な医療機関・薬局のシステム改修の一部を補助することとしております。
 8ページのほうに、補助内容や要件の詳細については、資料をお示ししてございますので、御覧いただければと思います。
 最後に、9ページでございます。
 関連いたしまして、マイナンバー活用等デジタル推進に係る保険者の取組につきまして、御紹介を申し上げます。
 被用者保険におきましては、従来より、マイナンバーカードで受診するメリットについて、パンフレットやホームページなどを通じて、事業主や加入者に分かりやすく周知し、マイナ保険証の利用促進に向けた取組を行っているところでございます。
 これらの取組に加えまして、後期高齢者支援金の加算・減算制度においては、デジタル活用の推進に関する評価指標の追加を検討しており、今年度開催する加算・減算制度検討ワーキンググループにて議論を行ってまいります。
 また、国民健康保険の保険者努力支援制度及び後期高齢者医療制度のインセンティブ制度におきましても、ICTを活用した保健指導やPHRの活用など、デジタル技術を活用した効果的な保健指導の実施に関する評価指標を検討しております。
 資料の御説明は、以上でございます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
 それでは、御意見等ございましたら、挙手にてお願いいたします。
 オンラインで御参加の委員におかれましては、挙手ボタンでお知らせいただければ幸いです。
 では、よろしくお願いします。
 佐野委員、よろしくお願いします
○佐野委員 ありがとうございます。
 まず、2ページの不安払拭に向けた取組状況につきましては、私どもとしても真摯に受け止めております。健保組合としても、11月から開始されております「登録済データ全体の確認」、また、残っている「保険資格データ未登録者への対応」についても、引き続き取り組んでまいりたいと思っております。
 この間、全件チェック実施に向けて、厚労省においてデータ突合方法の見直しや、試行実施による検証等、健保組合における事務負担の軽減に御配慮いただいたと思っておりますので、感謝を申し上げます。
 その上で、2点コメントを申し上げます。
 1点目ですけれども、1ページにございますとおり、政府において来年秋の保険証廃止が正式に決定されたところでございます。気がつけば、もう実施時期まで1年を切っております。これまでも申し上げてまいりましたが、「資格確認書」や「資格情報のお知らせ」の取扱い方法、既存の保険証との関連等、まだまだ多くのクリアすべき課題が残されていると認識しております。来年秋の廃止時期の確定も含めて、実施までのタイムスケジュール、すなわち、いつまでに何をやって実施につなげるのかということを、早期に明確に示していただきたいと思います。
 その際には、当然ではございますが、我々保険者の声もぜひ聞いていただきたいと思いますし、またその中では、システム改修や、新規加入者に対するJ-LISチェック等で、新たな費用負担が発生すると思われますので、国の支援をぜひともお願いしたいと思います。
 それから、2点目でございます。これまでも申し上げていますが、やはり国民の皆様に、マイナンバー保険証のメリットを実感していただくことが極めて重要だと思っております。
 具体例を申し上げるならば、今日の資料にはございませんが、「電子処方箋の導入促進」があると思います。インフラ基盤であるオンライン資格確認を活用する仕組みでございますので、当然ながら医療DXの加速的な推進にもつながりますし、国民・患者のメリットも大きく、保険者としての期待も大変大きいものでございます。しかしながら、直近の導入状況を見ますと、医療機関・薬局における導入状況は全体でも約5%、薬局を除いた病院、医科診療所、歯科診療所では、合計で約0.5%の実施率ということで、余りに寂しい数字と申し上げざるを得ません。
政府においても種々推進策を実施されていると思いますけれども、より加速度的に導入をスピードアップさせる強力な取組を、ぜひお願いしたいと思います。
 また、4ページ以降にもございますが、国を挙げて、全ての関係者が協力して、国民の皆様にマイナンバーカード保険証の利用促進を図っていただくことも重要だと考えております。健保連としても、厚労省と連携をして、国民・加入者への周知・広報活動を積極的に展開してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、横尾委員、よろしくお願いします。
○横尾委員 ありがとうございます。
 1つ目は、マイナンバーカードについての大きな調査のことです。11月末までにしていただいた報告をありがとうございました。詳細な内容をデータ別で知ることができました。この間、多くの方々が大変な労力を費やされたと思いますが、感謝したいと思っています。
 こういった報告を聞くことによって、初めて、いよいよ本格的にデジタル社会の入り口が確かなものとなり、本当のスタートラインに立ったなという気がしています。
これまでの様々な突合ミスとかもありましたけれども、全て払拭していくとともに、今後仮にあっても、迅速にソリューションを果たして、前へ進んでほしいと思っていますし、このことによって様々な行政サービスがプッシュ型で迅速、公平、公正に届くように、いろいろな意味でのデジタルイノベーションをお願いしたいと思います。
 2点目は、確認の質問です。3ページにあります顔認証マイナンバーカード、とても大切だと思います。特に認知症など、課題がある方にとっては、とても助かることだと思いますし、明日からいよいよ導入開始ということでございますが、例えば、これに関して、補助をして設置について応援しようと、この後のページで説明がありましたけれども、例えば、過疎地など、ここで言う人数というのでしょうかね、利用者数に及ばないところは、どのようなサポートをされるか、ぜひ教えていただければと思います。
○田辺部会長 では、今の件、いかがでございましょうか、お願いいたします。
○中園室長 御質問ありがとうございます。保険データ企画室長でございます。
 この顔認証マイナンバーカードについて、資料の3ページにございますとおり、令和5年12月15日から導入開始、全国の自治体において受付が開始されるということでございます。
 こちらについては、まず、各自治体において、窓口での受付対応が基本ということになっております。窓口において、基本的に即日での切換え対応を行っていく予定と聞いています。また、必要に応じて出張申請受付などの対応、これは顔認証マイナンバーカードに限らず、マイナンバーカードの申請受付の対応全般においても行っておりますが、こちらについても必要に応じて出張申請受付を行っていくと聞いております。あわせまして、今回の顔認証マイナンバーカードを踏まえて、福祉施設関係向けにお示ししているマイナンバーカードの取得申請マニュアルの改訂なども今後予定しておりますが、例えば、福祉施設における入所者の申請の取りまとめの際の作業手順、申請の方法なども、福祉施設向けのマニュアルにおいてお示ししております。こうした円滑な申請に向けた取組を各自治体において行っていくと伺っております。
○横尾委員 それで関連ですが、6ページに利用促進のための支援ということがございまして、1台の利用件数を想定して、それに基づいて1台、2台、3台とかございますが、この500件以上というのは、これで、ほとんど全て無償で1台目は提供できるという理解でよろしいのでしょうか。
○中園室長 ありがとうございます。
 6ページ目は、マイナ保険証の利用件数の高いところについて、500件で1台という形を1つの目安として設定いたしまして、500件以上超える病院について、既に無償配布で導入した台数に応じて、追加の台数の増設支援、また、診療所・薬局については、1台の追加の増設支援を、カードリーダーの費用、資格確認端末の購入費用、工事費用に対して2分の1補助というで、追加的な増設の補助という内容になってございます。
○横尾委員 では、追加分ということですね、今、顔認証カードリーダーについては、全てのところで、基本的にセットできるという理解でいいのですね。
○中園室長 これまで別途、カードリーダーの無償配付ということで基盤整備を行っておりまして、さらに追加増設するものとなります。
○横尾委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。過疎地や僻地などは比較的に高齢者の方が多くて、認知などの症状のある方もいらっしゃる可能性も高くなりますので、利用数が少ないことで不便にならないように、ぜひ御配慮をお願いしたいと思います。
○田辺部会長 では、角田参考人、よろしくお願いします。
○角田参考人 猪口委員の代理として出席しております、日本医師会副会長の角田でございます。田辺部会長、ありがとうございます。
 私から、2点、発言させていただきたいと思います。
 まず、3ページ、4ページのマイナ保険証の利用促進についてでございます。国が推進するオンライン資格確認を基盤とする医療DX、これは国民、患者の皆様への安心・安全でより一層の質の高い医療の実現に資するものとして、私ども日本医師会は全面的に協力してまいりました。
 マイナ保険証を使ったオンライン資格確認によって、全国医療情報プラットフォームで提供される様々なサービスを利用して、安心・安全でより質の高い医療を提供することにつながります。
 ほぼ全ての対象医療機関、薬局では、オンライン資格確認導入が完了しております。受皿は整備できています。
 日本医師会としても、今回の支援策を医療現場に積極的に周知することなどを通じて、マイナ保険証の利用促進のための働きかけを継続してまいります。
 ただし、マイナ保険証の利用が伸び悩んでいる最大の理由は、やはり数々のひもづけ誤りなどにより失った信頼が取り戻せていないことをはじめ、また、マイナンバー制度全般に対しては、国民の理解を十分に得ることができていないことだと思われます。
 医療現場における働きかけは、もちろん重要ではありますが、政府や行政、保険者からの丁寧かつ真摯な説明を続け、国民の方々の不安や不信の払拭に向けた一層の取組をお願いしたいと思います。
 2点目です。7ページ、8ページに示されているマイナ保険証と診察券や受給者証等の一体化に関する補助等についてでございます。
 病院など、規模が大きくなればなるほど、受付のシステムは大変様々で、かつ複雑になります。単純に一体化すればよいというものではなくて、このためには大変な労力と、作業と費用がかかるということを御理解いただきながら、検討を進めていただきたいと思います。
 私からは以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、伊藤参考人、よろしくお願いします。
○伊藤参考人 ありがとうございます。
 福島県保健福祉部政策監の伊藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 マイナンバーカードと健康保険証の一体化につきましては、これまでも繰り返し申し上げてきておりますが、国民の広い信頼と理解を得た上で、安全で安定的な運用を図ることが必要不可欠であります。
 このため、国の責任において、誤ったひもづけの防止を担保するシステムの構築など、安全で安定的な運用に万全を期していただくとともに、マイナ保険証を利用することによるメリットや意義等について、国民及び医療機関への一層の普及啓発を進めるよう、改めてお願いいたします。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかは、いかがでございましょうか。では、渡邊委員、よろしくお願いします。
○渡邊委員 ありがとうございます。薬剤師会の渡邊です。
 薬剤師会といたしましても、加藤前大臣や武見大臣と複数回にわたり、医療DXの推進、そして、このマイナ保険証の利用促進に向けた意見交換等に参加してまいりました。
 その上で、医療情報を活用した質の高い医療提供への推進として、最大限進めているところであります。
 その上でなのですけれども、このような機能に現場で対応していくに当たり、資料内に関しての質問と要望をさせていただきたいと思います。
 顔認証マイナンバーカードにつきましては、もちろん基本的にはPINコード、PINでの使用が前提だと思いますけれども、その上で、設定で不安のある方等を対象に交付されるものかと思いますので、一般の方に対して、あまり不用意なトラブルにつながらないように御注意をいただきたいと思います。
 また、あわせてなのですけれども、この顔認証カードを顔認証付カードリーダーに挿入した場合、現在の顔認証、PINでの認証という画面表示について、カードを認識してその表示が出ないとか、グレーアウトするとか、現場でこのカードを入れられたときというのは、医療機関・薬局側では分かりませんので、その視点で機械が対応できるようなことも少し考えていただきたいと思います。
 次に、このカードが必要となる方というのは、在宅で対応する方々等も多く出てくるかと思います。在宅に関しましては、本部会でも、居宅同意取得型の導入の話があったかと思うのですけれども、居宅同意取得型に関しましては、PINが必要なために、このカードを持たれていたら使えない状況にあると思います。
 これに関しても、目視モード等での対応をしていくことになっていたかと思いますけれども、もう既に、このカードが動き出すのであれば、少しでも早く在宅における居宅同意取得型における対応をしていただくようにお願いしたいと思います。
 また、関連なのですけれども、目視確認ですけれども、逆に顔認証付カードリーダーでする場合に関しては、通常のモードと切り換えることを、医療機関・薬局で対応しなければならない状態にあります。
 このために、資格確認端末と顔認証付カードリーダーとの間を何往復かして、設定を変えなければならない状態にあるのですけれども、そういう部分も少しでも早く修正をしていっていただければと思います。
 加えてなのですけれども、もちろんこのような普及の拡大の中にあっては、介護保険に関しては、ぜひ早く対応していっていただきたいと思いますので、関係部局等との連携、番号なしカードについては、慎重な対応、また、環境の整備という部分をお願いしておきたいと思います。
 それと、スライド7に関しての質問なのですけれども、これは、デジタル庁からのということなのですけれども、この公費負担や地方助成に関する対応のシステムの改修ですが、これは、いつからの導入に向けたものが示されているのか、教えていただきたいのですけれども、オンライン資格確認に関する追加の機能というのは、現在、医療扶助の部分が追加の話が出ており、この在宅への拡張機能があり、かつ、また公費への対応と出ているのですけれども、それぞれ時期がばらばらに出てきており、現場では、ばらばらに対応することはなかなか厳しい状態にあって、現在、ベンダーに確認を取って、補助金の要件となっているような時期に、システムの納期は間に合わないという状況にあります。
 ですので、担当がいろいろ他部署になるのは理解しているのですけれども、ぜひどこかでグリップしていただいて、進捗状況であったり、その調整、発信であったりに関しては、ぜひ現場とベンダーが混乱しないように、どこかでグリップをいただきたいと思います。
 また、その部分に関しては、時間も経費もかかっていくということになりますので、ぜひ効率的な推進をお願いしておきたいと思います。
 すみません、長くなりましたが、以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 時期の部分は御質問ですか。
○渡邊委員 はい、顔認証付カードリーダーにおける、このPINなしのカードに関しての対応と、スライドの7の部分に関しては、いつこの事業が始まるのか、2点質問をさせていただきます。
○田辺部会長 では、回答のほうをお願いします。
○中園委員 御質問ありがとうございます。保険データ企画室長でございます。
 まず、現状、在宅における初回の本人確認時においては、4桁のPINが必要となっています。本年9月の医療保険部会でも御報告させていただきましたが、初回の本人確認時に4桁のPINによる本人確認に加えて、今後、在宅におけるオンライン資格確認においても、顔写真での目視確認でも本人確認ができるように、アプリケーションの追加配信について、今般成立した補正予算により、開発準備中でございます。来年の10月の追加実装を目指してございます。早急に準備を進めてまいりたいと思っております。
 あわせまして、外来における顔認証カードリーダーにおける目視モードの改善について、現在は、カードリーダーと受付端末との間を何往復かすることになり、目視モードの使い勝手があまりよくないとの声を伺っておりますので、その点の改善も併せて、今般成立した補正予算により、現在、必要なシステム改修やカードリーダーのソフトウエアの改修の準備・検討を進めてございます。
 こちらについても、実装の時期について、今後、カードリーダーメーカー等とも調整していきますので、追ってお示ししていきたいと考えてございます。いずれにしても、なるべく早期の追加実装を目指していきたいと考えております。
 また、7ページ目のデジタル庁の事業でございます。こちらについても今般成立した補正予算に計上しているところでございます。
 現在、申請の受付開始の時期や執行の時期について、デジタル庁において調整中でございます。
 公費負担のところについても、受給者証として利用可能とすると書いてございます。こちらは、現在、デジタル庁において、先行実施ということで、公費負担医療の受給者証を一体化するモデル事業というものを実施してございます。
 こちらは、今年度から先行実施してございますので、そこに対応するためのシステム改修を支援するための予算事業となります。
 このモデル事業は、ゆくゆく令和8年度以降における各種の公費負担医療の受給者証の一体化に向けて、施行実施としてデジタル庁が行っているものでございます。
○田辺部会長 よろしゅうございますか。
○渡邊委員 ありがとうございます。
 少し確認なのですけれども、7ページのところに関しては、時期は未定ということでいいのですか。
○中園室長 補正予算成立後、速やかに申請の受付を開始すべく、今、デジタル庁において準備中でございます。
○渡邊委員 ありがとうございます。
 この補正予算はそうなのですけれども、このシステムですね、カードを一体化するシステムそのものの始まる時期は未定なのですか。
○中園室長 このモデル事業自体は、今年度、既にデジタル庁が行っておりまして、そのモデル事業にお手を挙げていただく際の改修のための補助費用として今回の予算事業があるものでございます。公費負担医療の受給者証と一体化したモデル事業自体は、今年度から始まっております。
○渡邊委員 すみません、もう一点だけ、前段の答えの部分なのですけれども、顔認証付カードリーダーに、このPINなしカードを入れたときは、顔認証付カードリーダーは、それを認識するのですか、番号を押すというボタンのところは、何らか加工がされるのですか。
○中園室長 顔認証付きカードリーダーに、この顔認証カードを入れた際、表示としては、まず最初の画面では、顔認証カードですという表示は、カードリーダー上は出てこないところでございます。
 ただし、最初の本人確認の画面から暗証番号のボタンを押した際に、このカードはロックがかかっている、または、顔認証カードですという表示が各社のカードリーダーにおいて画面表示が出る形になっております。あるいは、顔認証カードの券面には、顔認証である旨、明記・表示はされるということになっております。
 顔認証カードであると分かる目印としては、その2点となっています。
○渡邊委員 ありがとうございます。
 先ほど申しましたように、薬局や医療機関において、患者さんが顔認証付カードリーダーにカードを入れられた時点では、薬局や医療機関側では分からないので、患者さんだけが、その画面を見ているので、何らかそこを分かるような対応だけは、お願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、途中退席と伺っておりますので、前葉委員、よろしくお願いします。
○前葉委員 ありがとうございます。
 1ページで、総理が秋からマイナ保険証を基本とする仕組みと、はっきりとおっしゃったということについては、これは、我々としてしっかりと受け止めなければいけないと思っております。
 一方で、この同じときの総理発言の3行ほど上に、デジタルとアナログの併用期間をしっかりと設けると、こういうことを同時におっしゃっています。このことについて、保険者でもあり、自治体として発言を申し上げたいわけでございますが、恐らく医療機関や薬局さんも同じだと思うのですけれども、併用期間ということになりますと、手間がかかる時間が長くなるということ。加えて、ミスも起こりやすい時期があるということでございますので、もちろん、緊張感を持って保険者として取り組んでいくことになると思いますが、できれば、この併用期間は短ければ短いほどいいということを、あえてはっきりと申し上げておきたいと思います。
 デジタル社会における公的基盤だということに、マイナンバーカードを位置づけていただいている以上、一刻も早く、マイナ保険証を基本とする仕組みからマイナ保険証が唯一の保険証であるという形になっていくように、力を尽くしていかなければいけないと思っているところでございます。
 そこで、これは自治体として、あるいは国保の保険者として努力をしてまいりますが、医療機関あるいは保険者を挙げて、やはり現場の窓口の職員も、マイナ保険証が基本であるということをしっかり認識して徹底が図れるよう、関係各位及び国の引き続きの御尽力を、ぜひお願い申し上げたいと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、村上委員、よろしくお願いします。
○村上委員 ありがとうございます。
 まず、資料の御説明ありがとうございます。
 この間のマイナ保険証の不安払拭に向けた保険者の皆様、関係者の皆様の御努力に敬意を表します。
 今後におきましても、その利用促進に向けては、患者が不安を感じないよう、安全性の面はもちろんですが、活用のメリットを改めて理解できるよう、周知いただきたいと思います。
 現状の利用率の低さを踏まえますと、患者が利用するに当たって混乱が生じないよう、医療機関を通じて丁寧な説明が必要と思われます。
 また、マイナ保険証が、どうしても使えないという方々が取り残されないような対応も併せてお願いします。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか、袖井委員、よろしくお願いします。
○袖井委員 確認したいのですが、マイナ保険証を持っていない人の場合、資格確認書ということになるのですが、これは、マイナ保険証を持っていない人に自動的に送られるのか、それとも個々で申請するのかということと、どのぐらいこれを使うのか、期間ですね、何年も何年もこれで行くのか、あるいはデッドラインを設けるのかということです。
 2番目には、来年新しい保険証が来ますね、後期高齢者ですと、8月に来ます。それは使えるわけですから、その後、併用することになりますね。そうすると、利用者はどっちを使ってもいいということになると、本当に混乱するのではないかと思って、その辺、どうお考えになっているのか、知りたいと思います。
○田辺部会長 では、2点ほど御質問がございましたので、よろしくお願いします。
○安中課長 高齢者医療課長です。
 健康保険証が廃止された後は、その時点で有効な健康保険証については、最大1年間、経過措置として有効になっております。
 その時点で有効な健康保険証の有効期限が切れた際には、資格確認書が出るわけですけれども、マイナ保険証をお持ちでない方については、職権で資格確認書が出るようになっております。それで、マイナ保険証をお持ちの方は、マイナ保険証で利用いただくということでございます。
 そういう意味では、お一人お一人について見れば、今と同じで健康保険証が手元にありながら、マイナ保険証もお持ちだという状態が最大1年間続くことがあるということでございます。
 それで、お手持ちの健康保険証の有効期限が切れれば、マイナ保険証一本になっていくと、あるいは資格確認書になっていくということでございます。
○袖井委員 すると、マイナ保険証をつくらない人は、ずっと資格確認書で行くということになるわけですか。
○安中課長 資格確認書につきましては、最大5年間ということで有効期限を設定することにしておりまして、特に後期高齢者医療制度においては、現状、1年ないし2年で有効期限の切れる保険証をお持ちですので、基本的にはそれと同じような対応になっていくのだろうと思っております。
 なお、職権交付につきましては、当分の間ということで法令上なっているところでございます。
○田辺部会長 袖井委員、よろしゅうございますか。
○袖井委員 いいと思いますけれども、混乱するのではないかなという気はします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。
 では、大杉委員、よろしくお願いします。
○大杉委員 ありがとうございます。
 12日のマイナ情報総点検本部における総理の発言のデジタルとアナログの併用期間をしっかりと設けた上で、健康保険証を廃止し、マイナ保険証に移行するということについて、円滑に移行が進むよう、日本歯科医師会としてもしっかりと取り組み、これまでと同様に、医療DXを推進していく立場には変わりありません。
 本日の資料にも様々なマイナ保険証の推進策を御提示していただき、感謝いたしております。
 一方で、先ほど渡邊委員からの御発言もありましたように、これまでに本審議会で議論された、居宅同意取得型の導入に伴う改修に加えて、本日の資料にある顔認証マイナンバーカードの導入や診察券や公費負担等の受給者証として利用するための改修、また、本日の資料にはありませんが、生活保護受給者の医療扶助のオンライン資格確認のための改修など、五月雨式に様々な仕組みを導入していくためには、その都度、内容を理解して、システムベンダーに連絡をする、補助金の申請を行う、必要に応じて機器を整備するなど、多くの事務手続などが発生しています。
 個人立で小規模なところが多い歯科医療機関では、管理者である歯科医師本人1人で、これら全てを行わなければならないことも多く、システム改修等の費用も含めて大きな負担になっております。
 また、患者さんも、まだマイナンバーカードと保険証のひもづけを行っていない方や、ひもづけを行っていたとしても慣れていない方が多く、歯科診療所を受診されたときに、マイナ保険証の利用をお願いしても、簡単にいかない場合も多くあります。
 今後もオンライン資格確認を推進し、継続していくためには、引き続き、国民への丁寧な周知を行うとともに、小規模な歯科医療機関を含め、全ての医療機関、薬局が対応できるような検討をお願いいたしたいと思います。
 私からは以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかは、いかがでございましょう。
 では、藤井委員、よろしくお願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。
 まず、4ページでございますが、患者さんへのお声がけでございます。特に医療機関で診察していただくドクターから利用を進めていただければ、非常に効果が高いのではないかと思います。
 我が国の病院の8割は、民間の医療機関ですが、こういったところも含めて、一丸となって、お声がけを進めていただければと思っております。
 もう一点、このカードの普及啓発についてですけれども、私はもう少し、他の機関の取組があってもいいのではないかと思っておりまして、というのは、たまたま先日、国税局の皆さんと意見交換をする場がございまして、向こうは、税務行政のDX化を進めるに当たっては、e-Taxですから、やっているわけですけれども、なかなか進まない点もございます。
 そのときに、マイナンバーカードは命を救えるカードだと申し上げますと、大変意外だという顔をされまして、というのは、心のどこかで、保険医療なのだから誰かがちゃんと見ていてくれるのではないかと思い込んでいたと。
 実際、多分、救急時とか、何か事故に遭ったというときに、これがないと、もしかしたら現場で的確な治療が受けられないかもしれないということを申し上げますと、これは大変だと、そうではないかなと思っていたけれども、実際にはそうなのだなというのは、結構意外だと思いますので、1つは、人の行動変容というのは、この意外性というのを追及すると、非常に感度が高くなる傾向がございますので、ぜひその方面からも、これは命を救えるカードだということを、ぜひPRをしていただきたいと思います。
 それと、本件とは直接関係ないのですが、ちょうど国税つながりで申し上げますと、この会議でも、いつも健康リテラシーの向上と、消費者教育だということを、いろいろな方がおっしゃるのですが、なかなかそのシステムは、組織がなかなかないという現状がございますが、何回かお話ししたとおり、税務関係団体ですと、全国でお子さんたちに対して租税教育セミナーを実施しているわけなのです。その中のカリキュラムに、やはり医療に関する情報をもう少し入れてほしいという要望が来ております。
 特にお子さんは、医療を無料だと勘違いをしているわけですけれども、親御さんも、無料ではないのですね、税金で補填されているということでございますから、お子さんのうちから、医療は、ただではないのだと、非常に大切なものだと、将来の自分のためにも、この制度を維持するためにも医療を無駄にしない、大切に使うのだと、自ら健康になる努力をしてくださいということを、子供のうちからしっかり分かっていただく努力をすべきなのではないかと思いますので、ぜひ国税のほうにも働きかけをしていただければと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかは、いかがでございましょう。
 では、北川委員、よろしくお願いします。
○北川委員 ありがとうございます。
 保険者としましては、冒頭の佐野委員と考え方は同じくしているところでございますが、幾つかコメントをさせていただきたいと思います。
 2024年秋のマイナンバーカードと健康保険証の一体化に当たりましては、保険料を納めていただいている加入者の方々に、お手元にマイナンバーカードまたは資格確認書が迅速に届く体制の整備に加え、支障なく医療機関等の受診を行える仕組みの構築というのが重要でございます。
 協会としましては、2ページに掲げられている不安払拭のための取組及び9ページに掲げられている利用促進に向けた取組の双方を積極的に実施してまいっております。
 一方で、保険者の呼びかけのみでは限界がありまして、11月9日の本部会におきまして、医療機関の窓口でマイナンバーカードをお持ちですかと声がけをしていただく、あるいは、カードリーダーが目立つように、何らかの目印を設置する等、関係者が連携してマイナ保険証の使いやすい環境を整えていただきたいという旨を、発言させていただいたところでございます。
 その意味で、今回、資料の4ページ、公的医療機関等でマイナ保険証利用者のための専用レーン設置及び担当者による声かけ、案内の実施を行うなど、医療機関等におけるマイナ保険証の利用促進に向けた具体的な対応策を打ち出していただいたことにつきまして、大きな一歩であると考えております。
 対応を進める中で効果が見られた事例があれば、民間医療機関を含めた横展開を検討していただくなど、ぜひ積極的に取組を進めていただくよう、お願いしたいと思います。
 また、今、お話がありました子供向けの健康教育につきましては、私ども協会けんぽでもかつてより、それぞれの支部ごとではありますが、取り組んでおりまして、まさに昨今のSDGsの流れの中で、協会けんぽの本業であるところの、医療教育、リテラシーの向上に向けて、さらに取組を進めていきたいと思っておりますので、ぜひ御支援のほど、よろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 よろしゅうございますでしょうか。それでは、ほかに御意見がなければ、本議題については、これまでとしたいと存じます。
 次に「病床転換助成事業について」を議題といたします。
 事務局から資料の説明のほうをお願いいたします。
 では、よろしくお願いします。
○竹内課長 医療介護連携政策課長でございます。
 資料2「病床転換助成事業について」を御説明いたします。
 まず、資料の1ページでございますけれども、現在、高齢者の医療の確保に関する法律に基づきまして、都道府県におきましては、病床転換助成事業を行っております。この事業は、医療機関が医療療養病床から介護保険施設等に転換する場合に、その整備費用を都道府県が助成する事業でございまして、その費用につきましては、上の箱の2つ目のポツにございますように、国が27分の10、都道府県が27分の5、保険者が27分の12を負担することとされております。
 対象となる病床、また、助成額、対象となる転換先施設、事業スキームにつきましては、このスライドに記載している内容のほうを御確認いただければと思います。
 続きまして、この事業の経緯でございますけれども、2ページを御覧いただきたいと思います。
 病床転換助成事業につきましては、平成20年度に事業を開始して以降、2回事業期限を延長しておりまして、現在の事業期限は令和5年度末となっております。
 もう少し詳しく御説明をいたしますと、まず、平成20年度に事業を開始した時点では、平成24年度までの事業とされておりましたけれども、平成22年、第43回医療保険部会における御議論を踏まえまして、平成29年度まで期限を延長いたしました。
 また、その後、平成28年に社会保障審議会の療養病床の在り方等に関する特別部会で取りまとめられました「療養病床の在り方等に関する議論の整理」を踏まえまして、さらに期限を令和5年度末まで延長したという経緯でございます。
 なお、保険者から徴収する病床転換支援金につきましては、平成20年度と平成21年度の徴収分におきまして、剰余金が生じたことから、平成22年度以降、新規には徴収せず、この2年間で徴収をした剰余金を充当する運用としてきているところでございます。
 また、この剰余金につきましては、法改正によりまして、保険者等への返還規定が設けられておりまして、返還の詳細については、引き続き検討を行ってまいりたいと考えております。
 そのほか、これまでの病床転換支援金の剰余金の総額等の推移につきましては、下のほうにグラフを記載しておりまして、青いほうの折れ線で病床転換支援金剰余金の総額について、お示ししてございます。
 スライドの3ページを御覧いただきたいと思います。
 続きまして、事業の活用実績について御説明をさせていただきます。
 病床転換助成事業につきましては、これまで合計で7,359床の医療療養病床の転換に活用されておりまして、その主な転換先は介護医療院となっております。
 経年で見ますと、左上のグラフでございますけれども、地域医療構想の取組が始まって以降、活用実績は増加しておりまして、地域医療構想の取組や、医療費適正化の取組に活用されてきたことがうかがえるところでございます。
 他方で、一番下のグラフでございますけれども、都道府県ごとの病床転換助成事業の活用実績を御覧いただきますと、都道府県で実施している意向調査においても、医療機関の活用希望がなく、一番下の図にございますように、実績の少ないあるいは実績のない都道府県があるという状況を踏まえますと、事業の周知あるいは理解不足などの課題があるのではないかと考えております。
 資料の4ページを御覧いただきたいと思います。
 この事業につきましては、平成18年の医療保険制度改革におきまして、いわゆる社会的入院の是正のため、療養病床の再編成に向けた転換支援措置の1つとして開始されたものでございます。
 また、先ほど申し上げましたとおり、これまで2回の期限延長を行っておりまして、現状、令和6年3月31日までとされているところでございます。
 この点、上の箱の2つ目のポツでございますけれども、現在、地域医療構想では、地域ごとに病床機能の分化・連携に向けた取組を実施しておりますところ、慢性期を担う医療療養病床につきましては、介護保険施設、在宅医療等への転換を含めて、適切に受け皿の整備を進めていく必要がございます。
 また、令和6年度からの第4期医療費適正化計画では、新たに当該都道府県の医療計画に基づく事業の実施による病床の機能の分化及び連携の推進の成果、こうした項目を必須記載事項としておりまして、都道府県の取り組むべき施策として位置づけているところでございます。
 こうした中、都道府県は現在もこの事業を活用いたしまして、病床機能分化及び連携に向けた取組を行っております。
 今回の御提案でございますけれども、矢印の下の赤枠のところでございます。本事業につきましては、これまでの事業・取組に対する効果検証を行うとともに、事業活用実績の少ない都道府県の要因分析を行い、その結果や課題を踏まえ、具体的な取組を検討し、都道府県のさらなる病床転換が図られるよう、周知方法の見直しなど、具体的な取組の一層の強化を図ることとしたいと思います。
 その上で、今後、地域医療構想や医療費適正化の取組を集中的に進めていくため、本事業につきましては、2025年までの地域医療構想の期間に合わせまして、2年間事業を延長してはどうかと考えております。
 なお、2年後の事業の在り方や病床転換支援金の剰余金の保険者等への具体的な返還の在り方につきましては、引き続き検討を行ってまいりたいと考えております。
 資料2の説明につきましては、以上でございます。
○田辺部会長 説明ありがとうございました。
 それでは、御意見等ございましたら、挙手にてお願いいたします。
 オンラインで御参加の委員におかれましては、挙手ボタンでお知らせください。いかがでございましょうか。
 では、佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。
 この病床転換助成事業については、資料の2ページで先ほど御説明がございましたとおり、平成20年度からスタートして、私ども保険者としても支援金を拠出しており、既にこれまで2回延長されております。しかし16年間で転換したのは約7,000床にとどまっているということでございますので、この数字を見る限り、この施策は十分に機能しているとは、とても思えない状況でございます。こうした状況の中で、地域医療構想にあわせて、単に2年間延長することについては、正直、違和感を覚えます。
 資料の4ページにも記載されておりますように、これまでの事業、取組等に対する効果検証をきっちりと行った上で、今後、具体的な取組の一層の強化並びに医療費適正化の取組を集中的に進めていただき、病床転換のさらなる促進を確実に実施いただきたいと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかは、いかがでございましょうか。
 では、村上委員、よろしくお願いします。
○村上委員 ありがとうございます。
 佐野委員と重なるところもありますが、まず、今回2年延長と御提案いただいている点について質問です。これは、いつまで延長することが想定されているのか、何か目安や目標などのようなものがあれば、教えていただきたいと思います。
 また、3ページでは、地域医療構想の取組以降、活動実績が増加とございますが、平成31年を除くと、近年あまり活用されているようには思えません。今後に向けて、各都道府県の状況を踏まえ、そのやり方や必要性などについて改めて検証いただくことが必要ではないかと思います。
 以上です。
○田辺部会長 一点御質問がございましたので、よろしくお願いします。
○竹内課長 御質問について、お答えいたします。
 まず、今般の延長の考え方でございますけれども、今般の延長につきましては、慢性期を担う医療療養病床については、介護施設や在宅医療等への転換を含めまして、地域医療構想の中で適切に受皿の整備を進めていく必要があると考えております。
 また、来年度から第4期医療費適正化計画では、先ほども御説明の中で申し上げましたけれども、新たに都道府県の医療計画に基づく事業の実施による病床の機能の分化及び連携の推進の成果を必須記載事項としておりまして、そのための取組として、都道府県は現在もこの事業を活用して病床機能分化・連携に向けた取組を行っていると。
 こうしたことを踏まえまして、医療療養病床の介護施設等への転換を図り、医療費適正化の取組を進める観点から、今回、延長をお願いするものでございます。
 その2年間とする考え方でございますけれども、先ほど申し上げました地域医療構想が2年後の2025年までの取組であるということを踏まえまして、2年間の期限延長を、今回、御提案を申し上げているところでございますけれども、2年後の事業の在り方につきましては、これも先ほど最後に申し上げましたとおり、引き続き検討をさせていただきたいと思っております。
○田辺部会長 よろしゅうございますか。
 では、伊藤参考人、よろしくお願いします。
○伊藤参考人 ありがとうございます。
 現在、各都道府県におきましては、国から示された医療費適正化基本方針に基づき、令和6年度からの第4期医療費適正化計画の作成を進めているところで、今回示された病床転換助成事業の延長案については、次期計画の基本方針に沿うものであると受け止めております。
 また、地域医療構想を実現するためには、慢性期患者の受皿を確保する必要があり、その選択肢となる介護保険施設等への転換を支援する病床転換助成事業について、2025年までの地域医療構想の期間に合わせて延長することは適当であると考えております。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。
 では、横尾委員、よろしくお願いします。
○横尾委員 確認の質問なのですけれども、政府、厚生労働省としては、先ほどおっしゃったように医療費適正化等の観点から、この際、療養型病床については、福祉関係といいますか、介護関係の施設へ転換をしたいというのが本音なのですかね。
○竹内課長 これは各地域によって、地域医療構想の中で、それぞれの機能に応じた病床をどの程度整備していくのかを地域でお話をいただいて、目標を立てて進めていただくということでございますので、療養病床が過剰で、介護施設のほうに転換をしていくような地域、要はそれぞれの地域におけるニーズに合わせてということだと思いますけれども、そうした場合の転換に当たって、まさにこういう支援措置のほうを御活用いただくということで、それを後押しするための事業として設けられているものと理解しております。
○横尾委員 私は、実情を網羅的に言う立場ではないですけれども、地域で聞く話から言いますと、例えば、年配になって最初に急性期病床に入院したと。でも療養のために少し時間も日数もかかりそうだと、そうしたら療養型病床に移ると。本当はもっとここにいたいのだけれども、ただし入院に関する点数のこととかいろいろあって、出てくださいという話があると、それは困るではないかということから、潜在的なこういったニーズはあるとは思うのです。これはうまくしていかないと、なかなかぎくしゃくしていくところもあるのかなと、感じます。恐らく詳細については、かなり各厚生局を通じて実情を把握されていると思いますが、全体が円滑に回るようになればいいと思うのです。本当に棒グラフで示された各都道府県別の状況を見ると、地域地域、簡単に都道府県といっても東西南北のエリアがあり、そして周辺の隣接する都市、あるいは医療圏の隣の県の医療が充実していれば、そんな医療機関がなくても、そこを利用されたりする方は多数おられますから、本当に細かく違うと思うのです。ぜひ、そこら辺はうまく現状を把握いただいて、適切な対応をすることが重要かと感じています。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、井川参考人、よろしくお願いいたします。
○井川参考人 ありがとうございます。日本慢性期医療協会の井川でございます。医療療養病床に関わる問題でございますので、発言させていただきます。
 日本では、多くの方が急性期疾患を発症した場合に、かかりつけ医を受診されたり、それより重症であれば、高度急性期や急性期病院を受診されるのが一般的だろうと思います。
 ただ、急性期治療後、何ら後遺症や合併症を残さずに元の生活に戻ることができれば、何ら問題ないのですけれども、近年の超高齢社会の中では、在宅で治療をしつつ生活していけるような疾患、高血圧であったり、糖尿病であったりとか、そういう様々な疾患を多く有するマルチモビディティと言われる患者さん、高齢者が多く存在します。
 そのような高齢者の方が急性期治療を受けられた後、先ほど横尾委員もおっしゃっておられましたけれども、後遺症や合併症によって在宅に復帰できずに、長期に入院の医療が必要となる、そういうことが少なからずあり、これを回復期病院、回復期リハビリテーション病棟であったりとか、地域包括ケア病棟であったりとか、そういうもので、できるだけ在宅復帰を目指す。
 同時に、慢性期病院と言われる、一番主体となるのが医療療養病床となりますけれども、そういうところで、在宅復帰をできるだけ頑張って、長期かかりますけれども目指すということが、現在の実情であろうかと思います。
 当然、時代別ごとに、患者増によって必要とされる病床機能の量的な部分は異なってまいりますので、参考資料の8ページにございますように、病床区分、急性期であったり、高度急性期であったりと、必要な病床数というのは変わってまいります。
 先ほどからでております地域医療構想の最後のところ、2025年に向かって現在も大体進んでおりまして、2022年度の病床機能報告では、療養病床、いわゆる慢性期病棟に関しては、ほぼ2025年のところに近づいていっていると想定されておりますけれども、まだ、慢性期病床そのものが余剰と、余っているということではないと思います。
 当然、先ほどおっしゃっておられましたように、地域差というのが非常にございますし、それから、3ページに示されているように、この制度そのもの、この事業そのものを、やはり周知されていって、使っている、使っていないというのが、かなり影響を及ぼしていると考えております。
 医療療養病床は、長期に医療を必要とされる方にとっては必要です。必ず医療が必要で、在宅に帰らない方にとっては最後のとりでのような場所でございますので、絶対的に必要でありますけれども、病院である以上、やはり私どもは退院を目指す場所であるべきだろうと思っています。
 これは同時に、介護施設により医療の必要な方というのが移っていかれるということになり、それを受け取る場所が、やはり介護医療院であろうと考えております。
 超高齢社会が進行する中、医療施設のこのような機能分化というものは、必ず必要と考えていただければいいかと思いますし、地域によっては、医療療養病床から、介護医療院を主とする介護施設に転換することのニーズというのは、やはり今でもしっかりあると。
 そういう点から考えますと、この病床転換助成事業というものに対する必要性というのは、まだしっかりあるのではないかと考えておりますし、今回示していただきました方針に基づいて、しっかり事業を継続していただければと思っております。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、酒向参考人、よろしくお願いします。
○酒向参考人 ありがとうございます。
 横本委員の代わりで発言をさせていただきたいと思います。
 今回、2年延長ということの御提案でございますが、本来ですと、こういった提案があるときには、今後、これぐらいのニーズがあるので、これに対応するために延長をという形での御提案があるとよかったのではないかと思っております。
 国として、今回、この病床転換に関わる事業を発足させて、これまで続けてきたということでありますので、これまでの効果の検証と、今後のニーズについて、国のほうでも把握して、その上で、2年延長ということの御提案があるのが筋ではないかと感じた次第です。
 ただ、先ほど井川参考人ですか、地域にもそのニーズがありますということでしたので、2年延長ということ自体は、了解したいと思いますけれども、主体的に国のほうも広報ですとか、この事業を生かすような取組もお願いしたいと思う次第でございます。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、藤井委員、よろしくお願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。
 2年後はどうするのですかという御質問をしようと思ったのですけれども、先ほど答えていただきましたので、結構でございます。我々もそういった疑問を持っていたということだけ申し添えたいと思います。
 特に、この2ページ目を拝見しますと、助成交付額というのはあまり増えていない一方で、病床転換支援金の余剰金というのは高い水準で推移していると。様々な理由があると思いますけれども、地域によっては、本事業のニーズが薄れてきたという面もあるのではないかと考えます。
 また、EBPM、根拠に基づく政策立案という観点から見れば、必要性やニーズに応じて事業の存廃を考えることは、ごく当たり前のことであります。
 ただし、本件のように、施設や設備、これは投資してしまうわけですから、医療機関にとって年単位の計画となろうと思います。助成制度を継続するかについては、なるべく早い段階で方針を定めることが必要だと思います。
 医療機関の経営に予見性を持っていただけるよう、今回、助成の延長を決めるだけではなく、その先どうするかということを、今後の検討、議論していくのが適当と思います。
 以上であります。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、北川委員、よろしくお願いします。
○北川委員 ありがとうございます。
 病床転換助成事業は、地域医療構想の期限である2025年を見据えて2年延長すること、質の高い医療を効率的に提供するため、病床の機能分化を進める観点、また、住み慣れた地域で最期まで過ごせる環境を整える観点からであると承知しております。
 本事業につきましては、3ページにあるとおり、事業の活用実績に都道府県ごとのばらつきがあるほか、本事業を活用しての転換病床数もそれほど芳しくない状況にあります。
 明確なゴールがないまま、延長を繰り返すことにならないよう、お願いするとともに、2025年という延長期間においては、本事業を活用した、具体的な目標を設定した上で、周知啓発等に取り組んでいただくようお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、伊奈川委員、よろしくお願いします。
○伊奈川委員 ありがとうございます。
 この病床転換の助成事業というのは、医療保険から見ると、非常に重要な手段ではないかと思っております。
 といいますのは、医療保険というのはファイナンスの世界なのですけれども、やはり地域医療構想あるいは医療計画といったようなデリバリーとの関係が、今、非常に深まっている中で、助成事業のお金というのは、まさにデリバリーに関わる手段なのだろうと思っております。
 そういう点で、先ほども出ていましたけれども、効果検証と書いていただいているのは、きっとEBPMという、今、いろいろな政策にとって重視されている点だと思いますし、そういうものは、やはりPDCAを回すような定期的な検証が必要になってきますので、2年間なり一定期間ごとに考えていくというのも1つの手法かなと思って感じております。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、ほかに御意見がなければ、本議題については、これまでとしたいと存じます。
 厚生労働省におかれましては、本日出た御意見も踏まえて進めていただければと思います。
 ほかに御意見等なければ、本日はこれまでとしたいと存じます。
 次回の開催日については、追って事務局のほうより御連絡いたします。
 本日は御多忙の折、御参加いただきまして、ありがとうございました。
 それでは、閉会いたします。