第189回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 議事録

日時

令和5年12月13日(水) 10:00~12:00

場所

厚生労働省 職業安定局第一会議室及びオンライン
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館12階)

議事

議事内容
○伊藤総括調整官 おはようございます。事務局でございます。
 まず、冒頭、開催に先立ちまして事務連絡をさせていただきます。
 本日は、こちらの会場とオンラインの併用で開催しております。
 部会中は、オンラインの方は基本的にはカメラはオンで、マイクはオフでお願いいたします。
 また、発言をされる際には、会場の方は挙手、オンラインの方はZoomの「手を挙げる」機能を活用いただきまして、部会長から指名があった後に御発言をお願いいたします。
 なお、傍聴は別会場にてオンラインで行っております。
 進行に関する説明については以上でございます。
○守島部会長 皆さん方、おはようございます。ただいまより、第189回「雇用保険部会」を開催いたしたいと思います。
 また、本日の出欠状況ですけれども、労働者代表の内藤委員が所用のため御欠席と伺っております。
 それでは、マスコミの方のカメラ撮影はここまでとさせていただきます。
(報道関係者退室)
○守島部会長 それでは、議事に入りたいと思います。
 議題1は、「雇用保険制度について」でございます。資料について、事務局よりまず御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○川端調査官 おはようございます。雇用保険課調査官の川端でございます。資料1の「雇用保険部会報告(素案)」について説明をさせていただきます。
 今回は財政運営の一部を除いたものをお示しさせていただいております。確認いただくという意味も込めまして説明申し上げますけれども、説明の便宜上やや言い換えたりする部分がございますけれども、素案そのものは原文ということで御理解いただければと思います。
 内容といたしましては、第1に雇用保険制度の現状、第2にその見直しの背景を記載させていただいた上で、第3として見直しの方向を記載させていただいております。
 まず、第1のところで雇用保険制度等の現状について記載しております。1つ目の〇でございますけれども、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、過去に例のない大幅な雇用調整助成金の拡充などの特例措置を講ずる一方で、制度の安定的な財政運営を確保するため、臨時特例法により失業等給付への一般会計から任意繰入れなどの財政上の特例措置を講じてまいりました。この特例措置などは、労働者の雇用と生活の安定に大きく貢献してきた一方で、積立金残高が大幅に減少し、雇用安定資金への累計繰入額が約2.9兆円となるなど、雇用保険の財政状況は急速に悪化したところでございます。
 失業等給付の保険料につきましては、令和3年度まで1,000分の2とされてきたところでございますけれども、令和5年度は原則どおり1,000分の8とされたところでございます。
 3つ目の〇でございますけれども、令和4年度には雇用調整助成金の特例措置等は段階的に縮小されて、終了いたしました。そのほか、休業支援金・給付金や基本手当の給付日数の延長も終了したところでございます。新型コロナウイルス感染症の感染症法上の取扱いが5類感染症に変更されることとなったこともございますので、その他の特例的な取扱いも全て終了いたしました。このため、支出面においては過去3年間の異例と言える状況はほぼ脱したと言えるということを記載しております。
 2ページ目以降を御覧ください。現在の雇用情勢や基本手当の受給者実人員、育児休業給付の現状を記載しております。特に育児休業給付につきましては、近年は男性受給者数が大きく増加しており、今後もこの傾向が続くと支出が収入を上回ることとなると見込まれる旨を記載させていただいております。
 第2に、見直しの背景を記載しております。1つ目の〇ですけれども、働くことへの価値観やライフスタイルもさらに多様になっている中で、労働者の生活及び雇用の安定を図る観点から、労働者がその希望と状況に応じて持てる能力を十分に発揮できるよう多様な働き方を効果的に支えるとともに、労働者の主体的なキャリア形成を支援することが求められている。また、急速な少子化が進展する中で、男女ともに働きながら育児を担うことができる環境整備に向けて、特に男性の育児休業の取得促進や育児期を通じた柔軟な働き方の推進が求められていると記載しております。
 こうしたことを背景に、経済財政運営と改革の基本方針やこども未来戦略方針などにおける検討項目をそれぞれ列挙しております。検討項目につきましては本部会でも御議論いただいたところでございます。
 3ページ目に行っていただきまして、また、令和4年改正法や法案の国会、衆参両院の附帯決議におきましては、令和6年度までに育児休業給付及びその財源確保の在り方や雇用調整助成金の特例等に要する経費に係る失業等給付の積立金からの借入れに関する返済の在り方などについて検討することが求められております。
 さらに、雇止めによる離職者や雇用情勢の厳しい地域の求職者に対する延長給付、教育訓練支援給付金といった給付面の暫定措置、育児休業給付や介護休業給付に関する国庫負担の暫定的な引下げ措置が令和6年度末で期限を迎えることとなっております。こうした状況を踏まえ、令和5年9月以降、雇用保険制度全般についての議論を本部会で進めていただいたところでございます。その内容を踏まえまして、以下のとおり見直しの方向について結論を得たものであるという旨を記載させていただいております。
 第3以降は具体的な見直しの方法について記載しております。1つ目の雇用保険制度の適用拡大につきましては、1つ目の〇でございますが、雇用労働者の中で働き方や生計維持の在り方の多様化が進展していることを踏まえ、雇用のセーフティーネットを広げる観点から、週の所定労働時間が10時間以上20時間未満の労働者にも適用することとし、事業主の準備期間等を勘案して、2028年、令和10年度中に施行することとすべきであると記載させていただいております。
 施行に向けては、適用の意義や重要性、メリットなどについて十分な理解が得られるよう、労使双方に丁寧な周知を行うとともに、追加的な事務負担が生じる事業主の負担軽減に資する申請手続のDX化、受給資格者の増加に対応すべく業務効率化等を着実に進めるべきであるとしております。
 4ページを御覧ください。新たに被保険者となる方については、現行の被保険者と同様に失業等給付、基本手当、教育訓練給付など、育児休業給付、雇用保険二事業の対象とすることとし、給付水準も同じ考え方に基づき設定すべきである。保険料率、国庫負担割合についても現行の被保険者と同等の水準として設定すべきであるとしております。
 また、適用拡大後の基本手当の支給等に関する基準などにつきましては、基本的には現行の取扱いとその考え方を維持しつつ、従来の週の所定労働時間が20時間以上という適用基準がその半分の10時間以上となることを踏まえ、必要な見直しを行うべきである。
 具体的には、被保険者期間の算定基準につきまして、失業等給付の受給資格の判定の基礎となる被保険者期間については、現行のとおり離職日から2年間に被保険者期間が12か月以上、特定受給資格者などの場合には1年間に6か月以上とすべきである。その上で被保険者期間に算入されるための基準については、現行の離職日から1か月ごとに区切っていった期間に賃金の支払いの基礎となった日数が11日以上又は賃金の支払いの基礎となった労働時間数が80時間以上ある場合をそれぞれ6日以上又は40時間以上へと見直すべきであるとしております。
 2つ目の失業認定基準及び自己の労働により収入がある場合の取扱いにつきましては、現行、失業認定をするために、過去28日間に就業していたか否かを申告していただいているところでございます。その日の労働時間が4時間(週20時間相当以上)であるか否かを基準として、原則として労働した日のうち労働時間が4時間以上の日については失業認定を行わず、4時間を下回る日については自己の労働によって得た収入額に応じて減額した上で基本手当を支給することとしております。
 この失業認定基準につきましては、適用拡大に合わせまして失業認定等の基準となる労働時間を1日当たり2時間(週10時間相当)とすべきである。また、現行の減額の仕組みを維持した場合、適用拡大後は1日2時間未満の労働によって得た収入に基づき調整を行うこととなりますが、2時間未満の労働で得られる収入は一般的には少額であることも踏まえ、簡素化等の観点からこれを廃止すべきであるとしております。
 3つ目の賃金日額の法定の下限額、最低賃金日額につきましては、法定賃金日額の下限額は現行の適用基準が労働基準法の法定労働時間(40時間)の2分の1であることを踏まえ、給付率が80%から逓減し始める点であります下方の屈折点の額の2分の1とされてございます。今般の適用拡大に合わせまして、下方の屈折点の額の4分の1とすべきである。雇用保険法に基づき、毎年賃金日額の範囲等を変更する際に比較する最低賃金日額についても、全国加重平均の最低賃金で週10時間以上労働した場合を基礎として設定するよう見直すべきであるとさせていただいております。
 複数の事業所で雇用されている労働者、いわゆるマルチジョブホルダーへの雇用保険の適用につきましては、現行では複数の事業主との間で雇用保険の適用基準を満たす場合には、主たる賃金を受ける1つの雇用関係についてのみ被保険者とすることとされてございます。今回の適用拡大に伴いまして、複数の雇用主との関係で被保険者要件を満たすケースが増加することが想定されますので、現場における取扱いに混乱が生じることのないよう、例えば賃金日額の高いほうの事業所を主たる事業所とするなど、判断に当たっての基本的な考え方を施行までに明確化し、周知すべきであるとしております。
 また、令和2年法改正により、65歳以上の労働者を対象に2つの事業所での週所定労働時間がそれぞれ20時間未満であって、合算して20時間以上となる場合に、本人の申出を起点として雇用保険を適用する仕組みが設けられてございます。こちらにつきましては令和4年4月から施行され、施行後5年を目途として検討を加えることとされておりますので、給付の支給状況等、この仕組みの実施状況を把握しつつ、マルチジョブホルダーへの雇用保険の適用の在り方などについて引き続き検討すべきであるとしております。
 なお、週所定労働時間10時間以上で雇用保険が適用されることとなることに合わせまして、65歳以上の労働者の適用の特例についても週所定労働時間の基準を見直すとともに、適用時間の施行前にこの特例の適用を受け始めた労働者が不利にならないよう、所要の経過措置を設けるべきであるとしております。
 さらに、適用拡大に伴いまして、結果として今、求職者支援制度でカバーされていた方の一部がこの制度の対象者から外れることとなりますが、第2のセーフティーネットである求職者支援制度の果たすべき役割・機能を踏まえて所要の措置を講ずるべきであるとしております。
 次に、基本手当につきまして、「(1)自己都合離職者の給付制限期間等について」ですけれども、正当な理由がなく自己の都合により離職する方への基本手当の給付制限につきましては、令和2年10月から2か月へ短縮しているところでございますけれども、転職を試みる労働者が安心して再就職活動を行えるようにするため、令和7年度から1か月へと短縮すべきである。その際、給付を目的とした早期退職行動を誘発しないよう、現行の5年間で3回以上の正当な理由のない自己都合離職の場合には、給付制限期間を3か月とする取扱いは維持すべきであるとしております。
 また、自ら教育訓練を行って再就職を目指す労働者が円滑に求職活動を行えるよう、離職期間中や離職日から遡って1年の期間内に自ら雇用の安定及び就職の促進に資する教育訓練を行った場合には、令和7年度から給付制限を解除して基本手当を受けられることとすべきであるともしております。
 なお、基本手当の給付水準(給付率や給付日数等)については、基本手当受給者の再就職状況等に大きな変更が見られないことなどから、現時点で改正を行うこととはしないこととすべきであるとしております。
 (2)に、令和6年度末で期限が到来する暫定措置について記載をしております。雇止めによる離職者について所定給付日数を特定受給資格者並みの水準とする措置などと地域延長給付につきましては、令和6年度末までの措置とされております。このうち、雇止めによる離職者について、所定給付日数を特定受給資格者並みの水準とする措置などについては、対象者の基本手当支給終了までの就職割合が特定受給資格者全体と比べて低くなっており、その要因に関するさらなる分析及びその分析のための支給状況等の検証を行うこととし、当該措置については令和7年度から2年間延長すべきであるとしております。
 また、地域延長給付につきましては対象地域が固定化しつつあり、対象者も僅かとなってございます。地域ごとの雇用失業情勢の悪化に対しては、地方自治体による取組を含めた産業政策や雇用機会の開発を進め、広域での就職支援により対処していること、他の延長給付により災害や個別の事情に配慮して所定給付日数を延長することが可能であることも踏まえ、その必要性も含め、地域延長給付の在り方に関するさらなる検証を行うこととし、当該措置については令和7年度から2年間延長すべきであるとしております。
 そのほか、雇用保険法に基づく賃金日額の上限額等の改定などに当たって用いる毎月勤労統計調査を基礎として算定する平均給与額の前年度からの上昇又は低下の率について、分かりやすさなどの観点から、公的年金制度の改定に用いられている数値などの取扱いを参考に令和6年度から見直すべきであるとしております。
 8ページ目でございますけれども、3つ目に、就職促進給付についてでございます。1つ目の就業手当ですけれども、就業手当は基本手当の受給資格者が安定した職業以外の職業に就いた場合に基本手当の3割相当を支給する給付でございます。しかしながら、受給者数が極めて少数であり、さらに減少傾向であることや、我が国が直面する人手不足の状況下においては安定した職業への就職を促進していくことが求められることを踏まえ、令和7年度から廃止すべきであるとしております。
 2つ目に、就業促進定着手当についてでございます。就業促進定着手当は、賃金低下による再就職意欲の低下を緩和し、早期再就職をさらに促すとともに現場への定着を促すことを目的とした給付でございます。人手不足の状況が今後も一層深刻化することが見込まれる中、賃金の低下が見込まれる再就職にインセンティブを設ける必要性が薄れている一方で、早期再就職を行った者への支援として一定の役割を果たしていることを踏まえ、制度は継続した上で、令和7年度からその上限を一律基本手当支給残日数の20%相当額とすべきであるとしております。
 4つ目に、教育訓練給付等についてでございます。(1)の教育訓練給付金につきまして、雇用形態にかかわらず、職業能力の開発向上は労働者の雇用や職業の安定のために不可欠であるとともに、我が国の経済の発展に資するものであり、今後ともその促進を図っていくことが重要でございます。このため、引き続き労働者の教育訓練を実施または支援する事業主への助成措置等を講ずるとともに、労働者の主体的な能力開発を支援していくことが必要であると記載させていただいた上に、特に企業の状況等によることなく、自らのキャリア形成のために必要な訓練が受けられるよう環境整備を行っていくべきであるとしております。
 自ら教育訓練に取り組む労働者への支援を強化するため、令和6年度中に、より訓練受講の効果を高める観点で、教育訓練給付金の対象訓練の内容等に応じ拡充を行うべきであるとしております。
 具体的には、労働者の中長期的キャリア形成に資する教育訓練の対象とする専門実践教育訓練給付金につきまして、現行の追加給付に加え、教育訓練の受講前後を比べ、賃金が一定(5%)以上上昇した場合には現行の追加給付を受けることを前提として、さらに受講費用の10%(年間上限8万円)を追加で支給することとすべきである。このため、教育訓練給付金の給付率を最大で受講費用の80%とすべきであるとしております。
 また、労働者の速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する教育訓練の対象とする特定一般教育訓練給付金につきまして、新たに資格取得等した場合には受講費用の10%(上限年間5万円)を追加で支給することとすべきであるとしております。
 その上で、制度趣旨に沿ったより効果的な給付や講座指定の在り方の検討が可能となるよう効果検証の手法を検討し、データ収集などに努め、本部会で議論を行うべきである。また、地域ごと、類型ごとに指定講座数に偏りが見られることも踏まえ、制度の周知広報を積極的に進めるべきであるとさせていただいております。
 続きまして、教育訓練支援給付金につきましては、専門実践教育訓練を修了した者のうち、この給付金を受給していない同じ対象年齢の者と比較して給付金受給者の就職率などは高くなっていることが確認された一方で、1人当たりの支給金額は平均約290万円となっており、失業者に対する基本手当の支給額の平均を大きく上回っている状況にございます。この暫定措置につきましては、令和4年度改正においてコロナ禍からの回復途上にあることも踏まえ3年間延長されたところでございますけれども、非正規雇用労働者の自発的な能力開発を支援することが必要である一方、1人当たりの支給額等も踏まえまして、給付率を基本手当日額の80%から60%とした上で、暫定措置を令和7年度から2年間延長すべきであるとしております。
 その上で、教育訓練支援給付金受給者が受講する教育訓練の分野が著しく偏っている現状については、引き続きその実態の把握に努め、制度の見直しにつなげるべきであるとさせていただいております。
 3つ目に、訓練期間中の生活を支えるための新たな給付について記載をしております。労働者の主体的な能力開発をより一層推進するためには、労働者が生活費等への不安なく教育訓練に専念できるようにすることが重要でございます。このため、労働者の就業能力を高め、雇用の安定を図ることを目的とした給付として、被保険者が教育訓練を受けるための休暇を取得した場合に新たに教育訓練休暇給付金(仮称)を支給することとし、教育訓練給付の一つとして位置づけた上で令和7年度中に実施すべきであるとしております。
 現行制度の下では自発的に教育訓練に専念するために離職した場合、基本手当を受給しながら教育訓練を受けることが想定されることを踏まえまして、在職中に教育訓練を受けるために休業等を行う場合においても、教育訓練に専念するために自己都合により就職した場合と同視し得ることから、基本手当に相当する給付を支給するという考え方に基づきまして制度設計を行うこととすべきであるとしております。
 具体的には、支給対象者としては企業の制度を利用して無給で自主的に教育訓練のための休暇を取得した一般被保険者であって、休暇開始前2年間に被保険者期間が12か月以上ある者とし、自ら保険事故を生じさせることができるという給付の性格などを踏まえまして、被保険者であった期間が5年以上あることを求めるべきであるとさせていただいております。
 給付額につきましては、基本手当と同様に賃金日額の45%から80%とし、給付日数につきましては、正当な理由なく自己都合により離職した者への基本手当の所定給付日数と同じ(90日、120日又は150日)とすべきである。基本手当と同様に教育訓練休暇給付金の受給後に離職した場合には、休暇取得前の被保険者であった期間は基本手当の受給資格の決定や所定給付日数の算定に用いる期間から除くこととすべきである。ただし、この場合においても労働者が失業した場合にその生活の安定を図るという雇用保険の目的を果たすために、新たな給付の受給に伴い基本手当の受給資格を満たさなくなる場合、倒産、解雇により離職した者などに限り、最低限の基本手当(所定給付日数が90日など)を支給することとすべきであるとしております。
 4つ目に、教育訓練受講のための新たな融資制度について記載をしております。生活費等への不安なく学び直しのために教育訓練に取り組むことができるようにする必要性は、被保険者ではない方でも同様でございます。このため、令和7年度中にこれらの者が自ら選択した教育を受けるに当たって必要な費用について融資を受けられる制度を設けるべきであるとしております。
 具体的には、雇用保険被保険者や受給資格者ではない方(雇用保険の適用がない雇用労働者、離職者などの方)であって、一定年数(3年以上)就業したことがある者を対象に、自ら受ける教育訓練に関してその受講費用と訓練期間中の生活費用を対象に融資を行うものとすべきであるとしております。多様な教育訓練を対象としつつ、制度の趣旨を踏まえた適切な利用が行われるよう、融資の対象となる教育訓練の範囲をあらかじめ設定するとともに、より教育訓練の効果を高めるためのインセンティブとして、訓練受講後に賃金が上昇した場合に一定額の返済を免除する措置を設けるべきであるともさせていただいております。
 また、この融資制度につきましては、雇用保険被保険者でない方を対象としてその就職を促進し、もってこれらの者の職業及び生活の安定に資するものとして、求職者支援制度に基づく事業として実施すべきであるとさせていただいております。
 5つ目に、高年齢雇用継続給付についてでございます。高年齢雇用継続給付は、高齢者雇用の動向等を踏まえ、これまで当部会において類似の議論がなされてきたところでございます。その議論を踏まえ、令和2年の雇用保険法改正において給付率を賃金の15%から10%に引き下げることとされ、令和7年4月から施行することとされております。令和元年12月の雇用保険部会報告書にあるように、高年齢雇用継続給付の在り方については、その施行状況等も見つつ、廃止も含め引き続き検討を行うべきであるとさせていただいております。
 6つ目に、男女ともに働きながら育児を担うことができる環境の整備について記載しております。1つ目の育児休業給付の給付率の引上げについてでございますが、若者世代が希望どおり結婚、妊娠、出産、子育てを選択できるようにしていくため、夫婦ともに働き、育児を行う「共働き・共育て」を推進する必要がございます。特に男性の育児休業取得のさらなる促進が求められております。
 また、夫婦ともに育児休業を取得することを促進することは、片方の親に育児の負担が偏る結果として雇用の継続が困難になるような状況になることを防ぎ、労働者の雇用と生活の安定にも資するものでございます。ただし、少子化対策という要素が強い施策を追加で実施する場合には、これに要する財源については雇用保険料以外の財源により賄うことを検討すべきであるとの旨を記載しております。
 両親ともに育児休業を取得することを促進するため、令和7年度から、子の出生後一定期間以内に被保険者とその配偶者がともに一定期間以上の育児休業を取得した場合には、産後パパ育休期間と同じ期間である28日間を限度に休業開始前賃金の80%相当額の給付を支給するようにすべきであるとした上で、具体的には子の出生直後の一定期間(具体的には、男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内)に14日以上の育児休業を取得する場合に、28日間を限度に休業開始前賃金の13%相当額を出生後休業支援給付金(仮称)として給付することとし、既存の育児休業給付(給付率67%)と併せて休業開始前賃金の80%相当額の給付とすべきであるとしております。
 原則として、被保険者とその配偶者の両者が育児休業(出生時育児休業給付を含む)を取得していることを要件とし、配偶者がいない場合や配偶者が雇用労働者以外の働き方で就業している場合など、配偶者が育児休業を取得することができない場合や配偶者が産後休業を取得している場合には、配偶者の育児休業の取得を要件としない取扱いとすべきであるともさせていただいております。
 「(2)育児時短就業給付(仮称)について」でございます。共働き・共育ての推進や、片方の親に育児の負担が偏る結果としての雇用の継続が困難になるような状況を防ぐとともに、子の出生・育児休業後の労働者が従前の勤務水準に早期復帰することで育児とキャリア形成の両立を支援し、雇用の継続を図る観点からは、柔軟な働き方として時短勤務制度を選択できるようにすることが求められると記載しております。
 このため、被保険者が2歳未満の子を養育するために時短勤務をしている場合の新たな給付として、令和7年度から育児時短就業給付を創設することとすべきである。具体的には、時短勤務開始日前2年間にみなし被保険者期間が12か月以上ある被保険者を対象とし、2歳未満の子を養育する場合に給付することとすべきである。給付対象となる時短勤務の労働時間又は労働する日数について、制限は設けないこととすべきであるとしております。
 また、給付率につきましては時短勤務中の各月に支払われた賃金額の10%とし、その上で給付額と賃金額の合計が時短勤務開始前の賃金を超えないよう、一定の賃金額を超えた場合には給付率を低減させることとすべきであるとしております。
 あわせて、この給付の創設に伴い、法の目的規定において、労働者について子を養育することを容易にするために、所定労働時間を短縮した場合に必要な給付を行う旨を明確にすべきであると記載しております。
 なお、育児休業給付の取得や時短勤務の選択の推進に併せて、職員の追加配置や業務の効率化等の体制整備を行う中小企業への支援の充実などを通じて、より一層職場における両立支援の取組を推進していくべきであるとも付記しております。
 7つ目に、財政運営についてでございます。1つ目の失業等給付につきまして、保険料率についての記載をしております。失業等給付の保険料率については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響により財政が急激に悪化したことから、令和4年から5年にかけて段階的に1000分の8に変更されたところでございます。失業等給付に係る弾力条項につきましては、令和4年度決算以降、財政運営上の特例措置により積立金から雇用安定資金を繰り入れた額は弾力倍率の計算において考慮せず、計算することとされております。
 これに基づきまして算出すると、令和4年度決算に基づく弾力倍率は0.90であり、1を下回っておることから、失業等給付に係る保険料率の引上げが可能となっている状況でございます。しかしながら、現在の雇用保険の財政状況は収支が安定的に推移していることから、雇用情勢が急速に悪化しない限り、当面一定の差引剰余が生ずることが見込まれる状況にございます。これらを踏まえますと、現時点において弾力条項に基づく保険料の引上げを要するとは考えられないことから、令和6年度の失業等給付に係る保険料率は1,000分の8のままとすべきであるとさせていただいております。
 2つ目に、国庫負担でございます。雇用保険の失業等給付や求職者支援制度の国庫負担につきましては、令和4年度からは求職者給付の国庫負担について、雇用情勢及び雇用保険の財政状況が悪化している場合には4分の1、それ以外の場合は40分の1とするとともに、これとは別に一定要件の下、機動的に国庫からの繰入れができる新たな国庫繰入制度を導入したところでございます。
 また、求職者支援制度に係る国庫負担につきましては暫定措置を終了し、原則的な負担割合の55%の水準に引き上げたところでございます。
 他方、介護休業給付に係る国庫負担は、原則的な国庫負担割合の10%の水準とする暫定措置を令和6年度まで継続することとされております。雇用保険におきまして国庫負担を行う趣旨は、その保険事故である失業が政府の経済政策・雇用政策とも関係が深く、政府もその責任を担うべきであるとの考えによるものであり、介護休業給付につきましても休業中に無収入になることが失業に準じた状態であり、これを放置すれば失業に結びつく可能性があるため、その費用の一部を国庫により負担しているところでございます。
 こうした考え方に照らせば、介護休業給付の国庫負担につきましては速やかに原則的な国庫負担割合でございます8分の1に戻すべきでありますが、積立金残高の今後の見通し、介護休業給付の支給状況も踏まえ、令和6年度末までの暫定措置を令和8年度まで継続することもやむを得ないとさせていただいております。ただし、暫定措置を継続するとしても、介護休業給付の国庫負担割合を法律上の原則に戻すべきであるとの考え方が変わるものではございません。法附則第15条を踏まえ、令和9年度以降、できるだけ速やかに安定財源を確保した上で国庫負担に関する暫定措置を廃止すべきであるとさせていただいております。
 (2)の育児休業給付につきましては、前回の雇用保険部会の論点として見直しの方向性の案としてお示ししたものを記載しております。
 (3)の雇用保険二事業につきましては、後日御提示したいと考えております。
 素案の内容の説明としては以上でございまして、参考までに参考資料1を御覧いただければと思います。先ほど申し上げました素案に記載しております制度の見直しに伴う財政影響額を1ページ目にお示ししております。
 まず、基本手当等に関しましては、就業手当の廃止により財政影響額としてはマイナス約4億円。これは令和4年度の決算値で試算をしております。就業促進定着手当の上限の引下げにつきましては、マイナス約60億円。これにつきましては、所定給付日数別や支給日数別の受給者数を特別に集計して、対象となる方を割り出した上で試算をしているものでございます。自己都合離職者に係る給付制限期間の見直しにつきましては、プラス約110億円と試算をしております。こちらも対象となるような方の人数を特別に集計し、試算をしております。
 なお、就業促進定着手当の上限の引上げと自己都合離職者に係る給付制限期間の見直しについては、その行動変容による財政影響は見込んでいないというところでございます。
 続きまして、教育訓練給付につきましては、教育訓練給付の給付率の拡充ということでプラス約70億円。これは一定の受給者の伸びを見込みながら、先ほどお示しした拡充策の内容に沿って試算をしたものでございます。教育訓練期間中の生活を支えるための新たな給付の創設につきましては約190億円。こちらも今回お示しした制度に基づき、一定の仮定を置いて試算したものでございます。教育訓練期間中の生活を支えるための融資制度の創設につきましては約70億円。教育訓練支援給付金の見直しに関しましてはマイナス約20億円。こちらは令和4年度の実績で給付率を基本手当日額の80%から60%に変更した形で試算をしております。教育訓練給付につきましては、令和10年度時点での財政影響をお示ししておるところでございます。
 適用拡大につきましては、雇用保険の適用拡大によりまして、財政影響額としては収入が約980億円、支出は約970億円と見込んでございます。こちらの数字につきましては、12月11日の部会でお示ししたものを10億円単位で丸めた形で記載をしております。
 参考まででございますけれども、高年齢雇用継続給付の給付率の引下げということで、給付率が令和7年4月から現行の15%から10%になることを見込みまして、令和4年の実績ベースで財政影響額としてはマイナス約110億円という試算をしてございます。
 そのほか、延長する暫定措置の実績は以下のとおりでございます。
 これらの試算、今回の制度改正による財政影響額も含めまして、11月22日の第187回雇用保険部会でお示しした失業等給付の今後の収支見込みについて更新を行っております。変えたところについては今回の制度改正に伴う影響を加味したというものでございます。
 その試算結果としては、3ページ目にございますけれども、最終的な結果としての弾力倍率につきましては、前回お示ししたものから小数点第2位が若干変化する程度であり、傾向について、変わりはないという試算結果となってございます。
 そのほかの報告書の素案の参考資料を、主な見直し内容として現行のデータや制度を付記した形で分かりやすい形でお示ししたものを参考資料2としておつけしております。
 資料の説明としては以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
 それでは、御質問等を受けたいのですけれども、かなり大部の資料でして、かつ、多様な内容が含まれておりますので、区切った形で進めていきたいと思います。
 最初に、第1と第2、雇用保険制度等の現状及び雇用保険制度等の見直しの背景に関して御意見、御質問がある方はいらっしゃいますでしょうか。大丈夫ですかね。また後で戻ってくることも十分可能ですので、今、お出しにならなくても構いません。
 それでは、第3の雇用保険制度等の見直しの方向性についてです。ここもやや長い部分なので幾つかに分けていきたいと思います。最初に、雇用保険制度の適用拡大について、何か御質問や御意見のある方はいらっしゃいますでしょうか。
 古賀委員、お願いいたします。
○古賀委員 ありがとうございます。
 5ページのマルチジョブホルダーへの雇用保険の適用に関して、前回の部会において具体的に判断基準の明確化を記載すべきと労働側から意見をさせていただき、今回の報告書の案の中で例を記載していただいたものと理解しております。適用拡大による現場の混乱が生じないよう、運用については周知を含め、丁寧な検討をお願いしたいと思います。
 また、5ページから6ページにかけての65歳以上のマルチジョブホルダー制度について、前回も労働側から申し上げておりますが、対象者やデータが少ないということであれば、早急に必要なデータ収集や検証を始めていただきたいと思っております。
 加えて、部分失業など、失業の定義の見直しも検討課題として認識すべきであるということは改めて申し上げさせていただきたいと思います。
 それから、農林水産業における暫定任意適用事業については、セーフティーネットの拡大の観点なども踏まえ、引き続き関係する省庁と連携のうえ検討を進めていただきたいと思います。
 以上になります。
○守島部会長 ありがとうございます。
 大谷委員、どうぞ。
○大谷委員 ありがとうございます。全国中央会の大谷です。
 私からは、適用拡大の部分についてお話しさせていただければと思っております。前回もお話しさせていただきましたけれども、今回の資料を見ますと、10時間以上が確定かのように書かれておりますので、こちらはまだ検討段階と私は理解しておりましたが、その点についてどうなのかという御質問がまず一点でございます。
 また、仮に10時間以上ということになりますと、中小企業に与える影響というのはかなり大きいということが出てくるかと思います。3ページの1の1個目の丸のところで、申請手続のDX化や受給資格者の増加に対する業務効率化を着実に進めるべきであるという支援が書かれておりますけれども、もう一歩踏み込んだ中小企業に対する支援といったことを書いていただかないと、なかなか理解が進まないのではないかと思っているところでございます。
 また、ほかの部会で検討されております他の社会保険制度の状況と足並みをそろえていかないと、こちらの部分だけ議論というのも難しいところがあるのではないかなと思っているところでございます。
 また、先ほど古賀委員から農林水産関係の発言がありましたけれども、こちらは仮に追加するのであれば失業給付のほうにも関係するかなと思っておりましたので、またそちらのほうのときにお話しさせていただければと思っております。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 清田委員、どうぞ。
○清田委員 ありがとうございます。
 ただいまの大谷委員の意見と重複しますが、改めて述べさせていただきます。やはり、この適用拡大による保険料の増加は、今、コスト増への対応に悩む中小企業が多い中で非常に負担を感じることかと思います。その上で、負担が生じる中小企業に対しては一定の支援というのをしっかりと御検討いただければと思います。
 私からは以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに雇用保険制度の適用拡大について、御意見、御質問のある方はいらっしゃいますでしょうか。
 平田委員、お願いいたします。
○平田委員 ありがとうございます。
 言葉の問題について、今、御指摘があった通り、3ページの下から2行目です。申請手続のDX化と記載すると何かすごいことが起こりそうな印象を与えかねないと考えます。オンライン化ということかもしれませんが、何か表現の適正化があってもよいと思いました。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 これが去年書かれた報告書だったらDX化という言葉がなかったと思うので、そういう意味ではその点は私もちょっと気になりました。
 そのほかに御意見や御質問はありますか。
 お答えになりますか。よろしくお願いいたします。
○尾田雇用保険課長 事務局でございますが、まず、大谷委員から御指摘がございました10時間のところでございます。今回、適用拡大についてはこの部会の中で3回ほど御議論いただきました。その中で、前回の部会におきまして10時間という数字をお出しして改めて御議論いただいたと認識しております。今回、部会の報告書の素案という形ではございますが、事務局といたしましては、これまでの議論等も踏まえまして10時間という基準ではどうかということでお示ししておりますので、これで御意見をいただきまして、最終的にこの報告書を確定する段階でこの10時間という方向性が可なのか否なのかという点が確定すると認識しておりますので、そういう意味で現時点では確定はしておりませんが、これまでの議論を踏まえて事務局としてはこの案でどうかと考えておりますので、そういう認識で御意見を賜れればと思っております。
 また、大谷委員、清田委員から御指摘のございました、中小企業への負担軽減措置でございますが、そういった点も加味して3ページの一番下の記述は書いておりますが、御指摘も踏まえた形でもう一歩書き込めるかどうか、あるいは今後どのように対応していくかというのは事務局として考えさせていただきたいと思います。
 また、平田委員から御指摘がございましたDX化は、私どもとしてはオンライン、あるいは簡素化といったものも含めてDX化という言葉を使っているつもりでございますが、分かりやすさという観点から他の表現ができないかということは検討させていただきたいと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。
 今の雇用保険の適用拡大について、何か追加的な御意見などがおありになる方はいらっしゃいますでしょうか。
 ありがとうございます。
 続きまして、基本手当について及び就職促進給付についての2点について何か御議論をされたい方はいらっしゃいますでしょうか。
 大谷委員、お願いいたします。
○大谷委員 ありがとうございます。
 基本手当の7ページの(3)の1個上の地域延長給付の部分についてでございます。こちらの文章のほうでは下から2行目で「その必要性を含め」ということでさらなる検証を行うという表現になっておるのですけれども、前回の部会でもちょっと議論がされましたが、ここの文章にも書いてあるとおり対象者が僅かな状況ということもありますので、こちらの「必要性も含め」の部分が、ほかの廃止に向かっているものと同様に「廃止も含め」として、さらなる検証という形にしてはどうかという提案でございます。
 あと、2年間延長すべきであるということで7年度までの2年間という話になってくるわけでございますが、制度創設時の社会情勢と現状でかなり異なっていて、フリーターの方が町にあふれているという状況ではないということもありますので、何ができるのかはまだ検討段階かと思いますけれども、そちらの検証の方法も含めて御提示をいただければなと思っているところでございます。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたかいらっしゃいますでしょうか。
 では、冨高委員、お願いいたします。
○冨高委員 ありがとうございます。
 まず、自己都合離職者の給付制限の期間について、これはこの間の議論が一定反映されているものと理解しております。
 一方、基本手当の給付水準については、現時点で改定を行うことはしないこととするべきと記載されております。我々としては雇用保険の趣旨であるセーフティーネットの充実という観点を踏まえ、過去の経緯により段階的に引き下げられてきた基本手当の水準を、2000年の改正前の水準までに回復することで基本手当を充実させるべきということは従来から一貫して申し上げてきており、この点に関しては改めて申し上げておきたいと思います。
 それから、7ページの雇止めによる離職者への暫定措置についてです。2年間延長とありますが、過去、リーマンショック時の創設から延長を繰り返してきた中で、雇止めによる離職者の再就職に要する期間が長期化するという傾向は変わっていない。取り巻く状況は大きく改善されていないと認識しております。そういったことを踏まえると、制度の恒久化も含めて検討すべきであるということは触れておくべきではないかと考えております。
 また、先ほど大谷委員から地域延長給付に関してお話がございました。ここにつきましてはこれまでも申し上げてきた通り、対象が少なく、実績としては低調ですが、ハローワーク単位で指定が可能であり、かつ、対象者を直接的に支援できる制度であるということを踏まえると、広域延長給付などのほかの支援に単純に置き換えられるようなものではないと考えております。そのため、今、部会報告案に記載されているとおり地域延長給付は延長して、活用される方向でさらなる検証を行うべきと記載をしていただくのが望ましいと考えております。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに御質問、御意見のある方はいらっしゃいますか。オンラインの方も大丈夫ですかね。
 お答えになりますか。どうぞ。
○尾田雇用保険課長 大谷委員、冨高委員からいただいた御意見につきましては、事務局のほうでよく検討させていただきまして、報告書に反映させるかどうか、また調整させていただきたいと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。
 続きまして、教育訓練給付等について御意見、御質問のある方はいらっしゃいますでしょうか。
 千葉委員、どうぞ。
○千葉委員 ありがとうございます。
 9ページの2つ目の丸の専門実践教育訓練の追加給付について、教育訓練の効果としての賃金上昇であることが重要であると考えております。前回の部会において、事務局から教育訓練給付の効果検証の在り方についてはかねてから課題があり、難しいという答弁もございましたが、賃金上昇は大事な観点であると捉えており、部会報告においても「効果検証の手法を検討」の部分に具体的に記載して引き続き検討すべきではないかと考えております。
 それと、9ページ目の4つ目の丸、教育訓練の地域や類型の指定講座数の偏りを踏まえ、周知広報を積極的に進めるとある点について、前回、講座の指定基準の見直しを含めて検討すべきと労働側から発言をいたしましたが、引き続き重要な視点と捉えており、検討の上、偏りの是正を進めてほしいと思います。
 続いて、10ページ目以降の新たな給付と新たな融資について、こちらも前回労働側の委員より申し上げましたが、財源に関する記載がございません。今回の施策については雇用保険制度の趣旨を超える国の政策としての要素が強いことを踏まえると、一般財源や関係する省庁の予算で実施すべきであり、12ページ目の育児に関する財源の記載と同様の形式で部会報告の中に記載が必要であると考えております。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 平田委員、お願いいたします。
○平田委員 ありがとうございます。
 これまでの部会で発言してきた通り、新たな給付や融資制度の創設し、個人への直接支援を充実させていくという方向性については異論ございません。この報告書でいうと8ページの下から5行目ぐらいにありますが、まさに我が国経済の発展に資するものになると考えております。
 他方、財源について記載されていないことは大いに疑問です。政府として、これまで発言してきた通り、リスキリングによる能力向上支援に取り組んでいくということであれば、一般財源を投入して政府の姿勢をしっかり示していくべきだと考えております。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに何か御意見等がおありになる方はいらっしゃいますでしょうか。大丈夫ですかね。
 お答えになりますか。よろしくお願いいたします。
○尾田雇用保険課長 ありがとうございます。
 千葉委員、平田委員からいただきました御意見は事務局として受け止めまして、また報告書の内容に盛り込めるかどうか検討・調整させていただきたいと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。
 続きまして、高年齢雇用継続給付の点について、何か御意見などがおありになる方はいらっしゃいますでしょうか。
 千葉委員、どうぞ。
○千葉委員 12ページ目の高年齢雇用継続給付について、「施行の状況等も見つつ、廃止も含め」という記載がございますが、令和元年の雇用保険部会報告にあるとおり、高年齢者の処遇改善に向けて取り組む事業主への支援や縮小後の緩和措置についても併せて実施することが必要だと考えており、この点について今回の報告にも記載が必要であると考えております。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたかこの点に関して御意見がおありになる方はいらっしゃいますでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは、どうぞ。
○尾田雇用保険課長 事務局でございます。
 今、千葉委員から御指摘いただいた点でございます。本日、資料として提示していなくて大変恐縮ですが、前回部会で提出した資料の中に令和元年報告書の記載を一部抜粋しておりました。そこの部分を読み上げさせていただきますと、高年齢雇用継続給付の見直しに当たり、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保を推進する等の観点から、高年齢労働者の処遇の改善に向けて先行して取り組む事業者に対する支援策とともに、同給付金の給付率の縮小後の激変緩和措置についても併せて講じていくべきであるとしております。
 趣旨といたしましては、先行して取り組むというところにつきましては、7年4月の施行に先んじて施行後の状況を念頭に置いた取組をされる事業主の支援をするということが趣旨だったかと認識しておりますので、御指摘も踏まえまして、この当時の状況と今の状況を踏まえて何か工夫して書けるかというところは事務局のほうで考えたいと思います。ありがとうございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
 続きまして、男女ともに働きながら育児を担うことができる環境の整備についてというところについて、御意見、御質問のある方はいらっしゃいますでしょうか。
 奥委員、お願いいたします。
○奥委員 ありがとうございます。
 12ページ目の育児休業給付の引上げの2番目に財源についての記載がございます。私どもからは再三申し上げておりますとおり、今回拡充する育児休業給付の給付率の引上げ及び育児時短就業給付については、どちらも国を挙げての少子化対策としての施策であり、雇用保険財源以外で実施すべきであると考えております。この部会報告案の記載からは今回の拡充の施策が少子化対策という要素が強い施策に該当するのか読み取れないため、この2つの施策の財源を雇用保険財源以外で賄うことを明確に記載していただきたいと思っております。
 また、この施策により、男性はこの日数を取得すれば十分と思われることがないよう、男女がともに育児に携わることの重要性や共働き・共育ての意義、産後の母性保護などの観点の周知など、意識の醸成に資する取組を実施していく必要があることを記載すべきであると考えております。
 また、13ページ目の育児時短就業給付につきまして、前回も申し上げておりますが、様々な事情を抱える者が働く職場において、お互いに支え合って働くことが重要である中で、この施策によって公平性の観点から労働者間の分断ができてしまうことや、女性のキャリアを考えた際に本当に有効なのかといった懸念があることは、部会報告に盛り込む必要があるのではないでしょうか。
 また、12ページ、13ページの育児に関する両施策については、前回も申し上げましたが、異次元の少子化対策のために集中的に実施する施策であるならば、恒久の制度とするのではなく時限的な対策とすべきであることについても記載をいただきたいと考えております。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにこの点に関して御意見、御質問のある方はいらっしゃいますでしょうか。
 では、平田委員、お願いします。
○平田委員 単純な質問ですが、先ほどのところでも出てきた「仮称」はいつ取れるのかがもし分かれば、教えていただければと思います。
○守島部会長 後でまとめてお答えいただきたいと思います。ありがとうございます。
 ほかに御意見、御質問のある方はいらっしゃいますでしょうか。オンラインの方も大丈夫ですかね。
 では、回答をお願いいたします。
○尾田雇用保険課長 仮称については、最終的には法案が提出されて法律が成立した段階で、あるいは法律でなければ省令等を制定した段階で名称が固まるということでございます。ですから、報告書の段階では、新しくできる制度について仮に名前をつけたということで「仮称」で、過去の例も確認いたしますが、そういう意味で言えば、報告書段階では最終案も含めまして「仮称」ということで最後まで行かせていただくということになろうかと思います。
 あと、奥委員からいただきました意見も含めまして、事務局のほうで受け止めて調整・検討させていただきます。
 また、財源のお話がございましたが、財源につきましては並行して今、支援金制度の創設とその充当先の検討という点が引き続きまだ調整中と認識しておりますので、そうしたものが確定次第、こちらのほうでもそういった点を明記できるようにしたいと考えております。
○守島部会長 ありがとうございます。
 続きまして、最後の財政運営についてというところに行きたいと思います。これについて御意見、御質問のある方はいらっしゃいますでしょうか。
 まず、大谷委員、お願いします。
○大谷委員 ありがとうございます。
 財政運営の中の(1)の失業等給付の部分でございますが、先ほど少しお話をしかけたところなのですけれども、農林水産、清酒製造の事業の料率についてでございます。こちらについてこれまでずっと議論がなされていなかったということもあるので、今後の検討課題として追記してはどうかと提案をさせていただきたいと思っております。一般の事業よりも高めに設定されているものとなるのですけれども、今の業務実態と合っていないのではないかなという部分も見えるものですから、例えば清酒の部分で杜氏さんの例がよくこの制度を説明するときに出てくるのですが、季節労働者ということで杜氏さんをやって、杜氏さんの仕事が終わったら農家の仕事をやるみたいなことで、季節によってお仕事を変えるといったものが、今ではちょっと変わっていて、杜氏さんなども季節労働者というよりは酒造の工場で働くような方に変わってきておりますので、昔からの仕組みがそのままになっているものについては今回改めて検討してはどうかということで発言させていただきました。
 それから、最後の15ページ以降のところで「速やかに原則的な負担割合である1/8に戻すべきであるが、積立金残高の今後の見通し」というところで、暫定措置の部分を8年度まで継続することもやむを得ないとなっておるのですけれども、国庫負担につきましては早々に戻すべきということで今までもお話があったかと思います。戻さない理由というか、延長する理由がもし今現在あるのであれば、明確に記載するべきであると思いますし、そうでないということであれば、早々に戻すべきであるという趣旨に変えるべきではないかと思っているところでございます。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 平田委員、お願いいたします。
○平田委員 まず、今、最後に大谷委員が言われたことなのですけれども、介護休業給付について、最後の16ページに「やむを得ない」と書いてありますが、ここで記載されている「やむを得ない」理由は、理屈としてどうなのかという感想を持ちましたので、申し上げておきたいと思います。
 それから、16ページの(2)と(3)について、それぞれこれまでも申し上げてきましたが、改めて申し上げます。まず、(2)の育児休業給付の財政運営については改正法の附則が引用されているだけであって、育児休業給付の国庫負担の割合を本則に復帰するという記述が全くないことと、法の附則には財源の在り方について検討とされているにもかかわらず、保険料率の調整のみの言及にとどまっていることは極めて遺憾です。
 それから、(3)の雇用保険二事業は項目しか書かれておらず、これから調整ということと理解しております。9月7日と11月20日の部会で申し上げてきましたが、改めて申し上げれば、雇調金の大幅な活用によって雇用保険財政は危機的な状況にあって、有事の際に適切な対応ができないというおそれがあると考えております。令和6年度末までを目途とされている積立金への返済の在り方の議論を含めて、財政再建に向けた道筋を早急に明確化することが不可欠です。
 雇調金の特例措置が新型コロナウイルス感染症の拡大という有事の際に失業予防に一定の機能を果たしたことを改めて共有して、その費用の全てを全額事業主負担の雇用保険二事業で賄うことが妥当なのか、受益者は誰であったのかという観点から返済の在り方の議論を行うべきです。
 また、失業等給付の積立金から雇用安定資金への繰入れについては、一般会計からの直接の繰入れと一般会計からの繰入れを含む積立金を経由した借入れに大別されていると思っており、こうしたことも共有していくべきです。
 以上、申し上げたことを部会報告に適切に反映することを強く求めます。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 では、オンラインで清田委員、お願いいたします。
○清田委員 ありがとうございます。私も財政全般についてと、、少々細かいところで1点申し上げたいと思います。
 財政に関しましては、今回の見直しで先ほど示していただきました参考資料を拝見するに、失業等給付の給付制限や教育訓練給付の見直しなどによって支出の増加が見込まれております。今回の見直しは、大きくは政府方針に基づいた労働移動を促して生産性を上げ、また、賃上げを促すことを目的としているものや、少子高齢化による子育て支援の強化などによるものが多いと受け止めております。こうした点を踏まえますと、やはり政府としても雇用保険財政への国庫負担をさらに増やしていくべきではないかと考えております。
 コスト増加への対応に悩む中小企業にとりましては、雇用保険二事業を含む雇用保険の料率引上げには懸念が強くございます。財政の早期健全化に取り組むとともに料率の引上げが可能な限り抑制されるような財政運営をお願いしたいと思っております。
 また、先ほど他の委員からもご発言ありましたが、介護休業給付の国庫負担割合について本則の10分の1を維持するという措置が記載されております。今後、育児休業に係る国庫負担についても議論がされると思いますが、この点につきましては速やかに国庫負担率を本則に戻すべきでありますし、さらなる負担も検討するべきではないかということを改めて申し上げたいと思います。
 私からは以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 冨高委員、お願いいたします。
○冨高委員 ありがとうございます。
 今、ほかの委員の皆様からも出ましたけれども、まずは介護休業の国庫負担に係る暫定措置について、2年延長、令和8年まで継続とありますが、前回申し上げたように政府が「仕事と介護の両立支援」を推進していること、また、介護休業給付の支給額の増加といったことを踏まえると、記載されているような積立金残高の見通しや介護休業給付の支給状況は「やむを得ない」とするほどの理由ではないのではないかと考えます。速やかに暫定措置を解除して本則に戻すべきと考えております。
 また、育児休業給付と雇用保険二事業はこれからいろいろ書きぶりを記載変更するのだと思いますけれども、まず育児休業給付については、前回申し上げたように、保険料率の前にまずは国庫負担を本則に戻すということが先決であるということを改めて申し上げておきたいと思いますし、保険料率を弾力的に変更する仕組みの導入につきましても、国庫負担により財政状況は大きく変化すると思いますので、これも国庫負担の本則回帰後に改めて検討を行うべきだと考えております。
 また、雇用保険二事業については空欄ですが、失業等給付の積立金から雇用安定資金への貸出しについて、積立金からの貸出しの中には労働者が負担する保険料も含まれておりますので、雇用安定資金からの返済や一般会計からの繰入れなどによって最優先に保全されるべきであるということは申し上げておきたいと思います。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに御意見や御質問がおありになる方はいらっしゃいますでしょうか。大丈夫ですかね。
 では、お答えいただけますか。
○尾田雇用保険課長 まず、大谷委員から最初に御指摘がございました、清酒も含めた特例保険料について補足いたしますと、今、雇用保険の保険料は一般的な事業主の保険料と異なる0.1%ほど高い保険料率を失業等給付についていただいている業種がございます。それの理由づけといたしましては、先ほど大谷委員からも御指摘のございました季節労働者が多い業種であって、よって短期特例被保険者に対する特例一時金という給付金が別途ございますけれども、そういった支出が多いということから特例保険料を頂いているという状況でございます。
 ただ、現状、業種によっては大谷委員から労働者の働き方、雇用形態が変わってきているという御指摘がございましたので、私どもとしても課題として認識して、今回の報告書の中でどのように記載するかということは考えさせていただきたいと思います。
 また、各委員から御指摘がございましたが、介護休業給付の国庫負担についてでございます。この点につきましては、御指摘も踏まえまして最終的にどのように表現するか、あるいはどうしていくかということは引き続き課題ではございますので、引き続き御議論いただければと思います。
 また、(2)と(3)の、今回は記述を書いておりません育児休業給付、雇用保険二事業の部分につきましては、最終的に年末にかけまして、私どもといたしましてもこの部会で公労使の委員の皆様からいただいた御意見を踏まえて財政当局と調整した結果を踏まえて、また改めて御意見をいただきたいと思っております。
 私からは以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 一応ざっと済ませましたけれども、戻って議論されたい点や背景事情など、ほかの全ての点で構いませんので、御意見などがおありになる方は御発言いただきたいと思います。大丈夫ですかね。
 ありがとうございます。
 それでは、これ以上御意見がないようですので、議題1については以上とさせていただきたいと思います。事務局におかれましては、本日の御意見も踏まえて報告案の整理をさらに進めてください。
 それでは、今日予定されている議題は以上ですので、本日の部会はこれで終了いたしたいと思います。皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきどうもありがとうございます。