第155回先進医療技術審査部会 議事録

日時

令和5年11月9日(木)16:00~18:00

場所

東京虎ノ門グローバルスクエアコンファレンス「Room A」(オンライン)

出席者

竹内座長、天野構成員、一家構成員、伊藤構成員、上村(尚)構成員、上村(夕)構成員、掛江構成員、後藤構成員、坂井構成員、真田構成員、戸高構成員、飛田構成員、平川構成員、平田構成員、松山構成員、山本構成員、渡辺構成員、南技術専門委員


(事務局)
医政局研究開発政策課長
医政局研究開発政策課 治験推進室長
医政局研究開発政策課 課長補佐
医政局研究開発政策課 治験推進室長補佐
保険局医療課 先進・再生医療開発戦略専門官
医薬・生活衛生局医薬品審査管理課 審査調整官

議題

  1. 1.新規申請技術の評価結果について
  2. 2.試験実施計画の変更について
  3. 3.協力医療機関の追加について
  4. 4.申請医療機関からの報告について
  5. 5.その他
     

議事

 
○竹内座長
 定刻となりましたので、第155回先進医療技術審査部会を始めさせていただきます。御多用の中、お集まりいただきましてありがとうございます。本日は、オンラインでの開催となります。本日の構成員の出欠状況ですが、北川座長代理より御欠席の連絡を頂いております。また、本日は技術専門委員として南博信委員に御出席を頂いております。どうもありがとうございます。
 本日は18名の構成員のうち、17名の構成員から御参加ということを頂いておりますが、現在15名が御出席です。従って、本会議は成立しております。
(掛江構成員、戸高構成員 入室)
 それでは早速、配布資料と本日の審査案件の確認を事務局からお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 よろしくお願いいたします。傍聴者の方の撮影は、ここまでとさせていただきます。御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 配布資料について確認させていただきます。議事次第、座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿と続きます。続きまして、新規申請技術の評価結果について資料1-1~1-5、試験実施計画の変更について資料2~3、先進医療Bの協力医療機関の追加について資料4-1~4-2、申請医療機関からの報告について資料5-1~6-2、先進医療に係る手続き等の見直しについて(報告事項)資料7、会議資料の最終ページは75ページとなります。お手元の資料に乱丁、落丁等ありましたら事務局までお知らせください。
 続きまして、利益相反の確認です。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業について、事務局から事前に確認させていただいております。今回、整理番号137の技術、名古屋大学医学部附属病院からの新規申請技術について、上村尚人構成員、平田構成員から御報告がありましたが、50万円以下でしたので、当該技術の議事の取りまとめ及び事前の評価に加わることができます。
 告示番号48の技術、国立がん研究センター中央病院からの報告事項に関して、一家構成員におかれましては自施設からの報告であること、飛田構成員におかれましては、対象となる企業の共同研究講座に所属していると御報告がありましたことから、審議の際には一時御退席いただければと思います。また当該技術について、平川構成員からも御報告がありましたが50万円を超えて500万円未満でしたので、議事の取りまとめのみ加わることができません。また、当該技術について上村尚人構成員、竹内座長からも御報告がありましたが、50万円以下でしたので、当該技術の議事取りまとめ及び事前評価に加わることができます。
 告示番号39の国立がん研究センター東病院からの報告事項に関して、一家構成員におかれましては自施設からの報告であることから審議の際には一時御退席いただければと思います。また、当該技術について天野構成員、竹内座長からも御報告がありましたが、50万円以下でしたので、当該技術の議事取りまとめ及び事前評価に加わることができます。
 事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がありましたら、この場で御報告をお願いいたします。それでは、該当なしということで、承知いたしました。
 また、今回は資料を事前にメールでお送りしております。会議資料と区別して、構成員・事務局限りの届出書類等を「タブレット資料」と御案内します。なお、会議資料とタブレット資料の内容は異なっておりますので、発言者は会議資料の何ページ、若しくはタブレット資料の何ページと、あらかじめ御発言いただきますと、議事の進行上助かります。
 本日はオンラインでの開催となり、構成員の先生方には大変御不便をおかけいたします。御発言いただく際には、はじめにお名前をおっしゃっていただくようにお願いいたします。また、Web会議ソフトには手挙げ機能が付いておりますので、こちらも適宜御活用ください。以上です。

○竹内座長
 それでは、早速議事に入ります。まず、新規申請技術の評価結果について事務局から説明をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料1-1の15ページを御覧ください。先進医療Bとして新規に御評価を頂く技術は、整理番号137の「タミバロテン内服投与及びペムブロリズマブ静脈内投与の併用療法」です。申請医療機関は、名古屋大学医学部附属病院です。審査担当構成員は、主担当が平田構成員、副担当が一家構成員、飛田構成員、技術専門委員が南委員、池田委員となっております。
 それでは、資料1-5の47ページを御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について、事務局より御説明いたします。まず1番目の実施責任医師の要件です。診療科は消化器内科、消化器外科又は化学療法部、資格は日本膵臓学会認定指導医及び日本消化器病学会指導医が必要となっています。当該診療科の経験年数は5年以上、当該技術の経験年数は不要、当該技術の経験症例数は不要、その他として、タミバロテンの投与経験、並びに免疫チェックポイント阻害剤の投与経験をいずれも有するとなっております。
 2番目の医療機関の要件です。診療科は消化器内科又は消化器外科が必要、実施診療科の医師数は経験年数5年以上の医師が2名以上必要、他診療科の医師数は経験年数5年以上の循環器内科、内分泌内科、脳神経内科、呼吸器内科、血液内科、眼科の医師が1名以上必要。その他、医療従事者の配置は薬剤師、看護師が必要、病床数は200床以上が必要、看護配置は7対1看護以上が必要、当直体制は消化器内科又は消化器外科医師1名が必要、緊急手術の実施体制は必要、院内検査の24時間実施体制は必要、他の医療機関との連携体制は不要、医療機関の保守管理体制は不要、医療安全管理委員会の設置は必要、医療機関としての当該技術の実施症例数は不要となっています。
 3番目です。その他の要件として、頻回の実績報告は不要となっております。事務局からは以上です。

○竹内座長
 何か、これらの要件について御意見はありますでしょうか。平田先生、どうぞ。

○平田構成員
 平田でございます。今回、主担当をさせていただいております。先ほどの様式第9号についての意見を述べさせていただきたいのですけれども、後ほど各審査担当構成員からの評価の中にも出てくるのですけれども、今回用いる2つの試験薬の組合せが、これまで人でのデータがないということ。本試験においては、それが初めてこの試験において投与が実施されるということ、そして、それぞれの試験薬については通常、単独で使う場合フルドース同士を最初から組み合わせて実施されているという計画になっておりますので、安全性に関しては慎重に対応する必要があるのではないかと思っております。
 そのため、一番下の頻回の実績報告というところに申請医療機関から出された部分に関しては、頻回の実績報告は不要となっておりますけれども、この箇所に関しては見直していただく必要があると思いましたので、意見させていただきました。

○竹内座長
 ありがとうございます。後ほどの評価のところでも、再び平田先生に少し触れていただければと思いますが、今、御指摘いただいたのは紙の資料47ページ様式第9号の一番下、その他の要件の頻回の実績報告、申請では不要となっています。今、平田先生が御指摘のような理由によって、これは要としたほうがいいのではないか。その場合には、括弧内の何か月又は何症例までは毎月報告という、平田先生、ここに数字が入るという認識でよろしいでしょうか。

○平田構成員
 はい、御指摘のとおりだと思います。

○竹内座長
 ありがとうございます。大変貴重なポイントを御指摘いただきました。それ以外に御意見等がありますでしょうか。それでは今、平田先生から御指摘いただいた点、改めて後ほど確認させていただきます。頻回報告というものは、やはり必要ではないかということで皆様方の御意見とさせていただきました。よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは様式9については、その条件を明記していただく必要がある。そして括弧内の条件を明記していただくということで進めてまいりたいと思います。それでは早速ですが、平田構成員から資料1-2に基づいて御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○平田構成員
 試験概要について御説明させていただきます。本試験は、二次治療抵抗性、2種類の標準的治療である抗がん剤に対して、抵抗性又は不耐性の治癒切除不能膵癌の症例を対象として、タミバロテン内服投与及びペムブロリズマブ静脈内投与の併用療法を実施し、有効性・安全性について評価する探索的な位置付けにある単施設の非盲検非対照試験になります。
 試験薬として用いるタミバロテンとペムブロリズマブについてですが、現在、タミバロテンは白血病のみに適応がある薬剤でして、一方、ペムブロリズマブのほうはリンパ腫や複数の固形癌に適応がある薬剤ではありますが、今回の対象となる膵臓癌には両方の薬剤とも適応がない状況になります。
 しかしながら、先行する非臨床試験の結果から、タミバロテンを事前投与することによって、膵臓癌に特徴的な高度がん関連線維芽細胞の形質だけでなく、腫瘍免疫環境も変化させ、免疫性チェックポイント阻害剤の抗腫瘍効果が増強する可能性が示唆されましたので、新たな治療の選択肢を広げるという点で、今回の試験が立案されたという説明となっています。
 本試験では、タミバロテンをペムブロリズマブ静脈内投与の1週間前から内服し、ペムブロリズマブ静脈内投与開始前まで7日間経口投与した後、3週間間隔でペムブロリズマブを最大8コースまで投与する試験となっています。
 主要評価項目として、奏効率を設定しており、副次評価項目としてPFS、並びに御覧になっている安全性情報が挙がっています。
 ロードマップについては、タブレット資料1の324ページになるのですが、今回は探索的な位置付けにある単施設の非盲検非対照試験として実施し、12症例を登録する予定となっています。
 本試験の成績をもって次相としてもう一度探索的な、今度は医師主導試験を多施設共同試験として、その次の段階としては検証的な治験を行い、薬事承認申請という流れになっています。
 続いて、評価に移りたいと思いますが、よろしいでしょうか。

○竹内座長
 お願いします。

○平田構成員
 私の評価のところになります。実施責任体制等についてですが、先ほど様式9での確認の際に指摘させていただきました頻回の実績報告は、不要とすることは妥当でないと判断しましたので、「不適」が付いていますが、この点は修正いただければ「適」と考えています。
 実施医療機関の体制としては、日常診療において免疫チェックポイント阻害剤の使用をされており、また、免疫チェックポイント阻害剤が原因で起こり得る副作用として、免疫関連有害事象が、いわゆるirAEというのがありますが、それが対応できるように、内分泌内科などの様々の診療科との連携が必要ですし、タミバロテン自体は、先ほど申し上げた血液癌でしか適応がない薬剤ですので、本試験ではPIの先生もタミバロテンの投与経験者であるとともに、院内には血液内科の体制があり、また、救急体制もあることから、医療機関の体制として「適」と判断しています。
 次に、医療技術の有用性等についてですが、一般的標準的な治療がなされた治癒切除不能膵癌においては、予後不良で、有効な治療が望まれていることから、本試験においては新たな切り口での治療法が提案されていると存じます。
 ただ、試験薬2剤とも膵癌に適応があるものではなく、それらが単剤において期待できる効果があるエビデンスはありませんが、今回、非臨床試験において有効性が期待されています。ただ、ヒトでの経験がないこと、特に安全性においては、非臨床試験を含めて併用療法に関する安全性の情報もありませんでした。個人的には、膵癌という疾患、予後不良の疾患に対して、有望な治療が開発されるなら、是非、前に進んでほしいという思いはあるのですが、そういう科学的な試験以前に、先進医療技術という制度において、申請医療機関において数例以上の臨床使用実績がない場合、当該医療技術を、有効かつ安全に実施できることが明らかである場合は、この限りではないと規定されていますが、現時点において当該技術がこれに該当するかというのが言い難い点もありましたので、当部会においてこの点は議論される必要があるかと思っています。総評については、各担当の構成員、並びに技術専門委員からの御意見を頂いた後に、述べさせていただきたいと思います。私は一旦以上で終了させていただきたいと思います。

○竹内座長
 ありがとうございました。続いて、南技術専門委員から、実施体制の評価について御評価をお願いしたいと思います。

○南技術専門委員
 神戸大学の腫瘍・血液内科の南ですが、声は聞こえていることを信じて続けます。

○竹内座長
 よく聞こえています。よろしくお願いします。

○南技術専門委員
 実施責任医師の体制、「不適」とさせていただきましたが、必ずしも否定するものではなくて、「適」とは判断できなかったということで、「適」は選べなかったので、「不適」とさせていただいた次第です。その理由は、コメント欄の一番最後を見ていただきたいのですが、当初は、実績として医師としての経験・実績が出されていたのですが、臨床試験をする上では医師としての経験だけでは不十分です。臨床試験・治験としての実績を示してほしいという意図です。その後、39ページからだと思いますが、論文リストが提出されていました。確かに責任医師を含む論文はリストされているのですが、もしPIとして臨床試験を実施されているのであれば、通常はFirst authorか、立場によってはLast authorになることがあると思うのですが、いずれも見られませんでした。真ん中のauthorshipしかなかったということで、治験には何らかの形でコミットしていたとは思われますが、どの程度、治験責任医師としての技量があるかどうか判断できなかったので、「適」を避け、「不適」とさせていただきました。ただし、実施体制の中には化学療法部の人間で、この中にはFirst in humanを含めて抗癌薬の第一相試験、経験豊富な医師が含まれていますので、病院としての実施体制は問題ないと判断しています。
 臨床試験実施計画書ですが、当初、名古屋大学から上がってきたものは、かなりまだ稚拙な段階で、これが本当にCRBを通ったのだろうかというレベルと言わざるを得ないものでした。何回かのやり取りで修正を加えていただいて、大分体裁は整ってまいりましたが、まだこのままの形でOKするには、少し忍びないと私自身は考えています。
 この両剤を併用する治療を開発したいというコンセプトは、申請者自らの基礎データを拝見すれば、臨床でも検討するに値する仮説だろうとは考えます。ただ、患者さんに対して安全性を担保しながらやっていけるかということに関して、先ほども御説明はありましたが、フルドース同士をいきなり併用するというデザインになっており懸念があります。フルドース同士をいきなり併用しても安全だと思われる、その蓋然性を説明してほしいというコメントに対して、薬物動態学的な観点からのみ議論しています。しかし、抗がん薬の場合、薬力学、薬効、毒性は、投与終了した後に見られることが多いのですが、その議論・視点が欠けているため、そこの議論がもう少し必要だろうと考えています。
 それと呼応するのですが、前治療から14日空ければいいということになっていますが、通常抗癌薬の場合、ホルモン薬等を除いては、14日でOKとすることは少なく、安全性の担保、それから有効性に前治療が影響を及ぼさないようにするためにも、3週ないし4週、長いものは、6週空けます。疾患の特性を考えれば、長期間空けるのは困難であるということは理解できるのですが、それで本当に安全性が担保できるのか、有効性がきっちり見れるのか、そこには少し疑問があると感じます。
 市販の製剤が2mgの製剤しかないところ、奇数の用量を使用するというデザインになっていましたので、これはどう考えても無理だろうということで問合せましたら、1mgの製剤を用意して、それを使っていくとのことです。1mgの製剤としての評価については、また後からコメントを専門の方から頂けると思います。それでも奇数mgの1日用量を、朝・夕に分割して投与することになっています。朝・夕どのように分割するのか、プロトコールに記載がなかったので問合せをしましたところ、「朝1カプセル多く服用するよう指導する」ということです。プロトコールの記載上は指導ではなくて、何mgの場合は、朝何mg、夕方何mgという、きっちり誤解を招かないような記載にすべきだろうと思います。細かな点ですが、プロトコールの修正は必要と判断しています。
 有害事象で中止をする場合、どちらかの薬剤を中止するというデザインになっていますが、そもそもこの併用をいきなり試すというコンセプトは、単剤では有効性が期待できないからという仮説に基づいていますので、有害事象で中止する場合は、単剤としての治療を続けるのではなくて、両剤を中止すべきだろうと考えます。いずれもマイナーな点かもしれませんが、今のままのプロトコールでの承認は少しいかがなものかと考えています。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。大変詳細に、かつポイントを明確にしていただき、御指摘いただきました。
 続いて、薬学的観点からの評価について、技術専門委員の池田先生は本日御欠席ですので、事務局より代読をお願いします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 当該臨床研究で使用するテムリック社の「1カプセル中にタミバロテンとして1mgを含むカプセル剤」は未承認薬であるため、剤形変更による薬学的視点での審査という観点から、池田先生に御評価を依頼いたしました。御評価を代読させていただきます。
 「本審査におきましては、剤形変更に伴う薬学的評価について依頼を頂きましたので、その内容に特化してコメントさせていただきます。本試験と同じ軟カプセル1mg製剤によるヒトの薬物動態パラメータが得られている再発小児固形がんを対象とした試験では、同一投与量のCmax、Tmaxはアムノレイク錠で得られている数値と同程度であり、その他の薬物動態パラメータからも大きな問題点は見当たらないと考えます。また、2023年10月6日付け照会事項の回答として提出された再発肝細胞がん患者に対するZ-208(軟カプセル2mg製剤)の血中濃度推移は投与量が異なるため単純な比較はできませんが、軟カプセル剤への剤形変更による影響は小さいと思われます。限られた情報からの考察になりますが、試験を止めるほどの安全性上の懸念があるとは言えないと思われます。」以上でございます。

○竹内座長
 ありがとうございました。最後までいってから皆さんから御意見を頂きたいと思います。どうもありがとうございました。続きまして副担当の一家構成員より、倫理的観点からの評価について御説明をお願いいたします。

○一家構成員
 一家でございます。聞こえますでしょうか。

○竹内座長
 はい、聞こえます。

○一家構成員
 倫理的観点から評価担当ということで評価させていただきました。本評価に先立って私から申請者に照会をする、私の照会に対して申請者から回答を頂くというやり取りをさせていただきました。その結果はこの会議資料の30ページ回答2という所に出ておりますので、また後で御覧いただければと思います。
 そのやり取りの結果としまして、患者さん用の説明文書を修正するという提案を私がしたところ、それに対応していただいたということを踏まえまして、その結果を踏まえて「不適」ではないという判断をしました。
 ただ説明文書を改めて最終版となっているものを読みましても、決して分かりやすい文書ではないだろうと思っています。したがって実際に説明する場面では、患者さん、被験者の方に慎重に配慮した説明をしていただきたいというお願いは付けておこうと思っています。
 その下に書きました(付記)の内容なのですが、この内容自体は必ずしもこの計画にダイレクトに関わることではないだろうと思ったので、一応(付記)と書きましたが、読ませていただきます。
 本研究の2剤併用療法が世界初の実施になるということであったり、健康被害の発生における補償内容など、こういった重要な説明の内容の説明文書における有無や内容について全部で11項目の照会・質問を出しました。その11項目の照会に対して10項目修正の必要があると、申請者自身が認めて対応をされました。そのこと自体はよかったと思うのですが、そういったやり取りや対応が必要になったということからは、申請者の方の説明文書を作成するに当たっての取組であったり、またこの計画書や説明文書に対する認定臨床研究審査委員会の審議に疑義が残ると言わざるを得ないと思っています。
 これはつまり研究者、委員会双方が本研究を適切に実施・管理できるのかということについて、総体的な懸念が残るというのが、私の率直な感想として申し上げておこうと思って書かせていただきました。取りあえず私からは以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。後ほど議論をしていただきたいと思います。続きまして、副担当の飛田構成員より、試験実施計画書などの評価につきまして御説明をお願いいたします。

○飛田構成員
 私のコメントは21ページから記載されています。試験実施計画書等の評価については、いずれも「適」と判断させていただいています。
 本試験は平田先生の方から説明があったとおり、二次治療抵抗性膵癌患者12例を対象としてタミバロテンとペムブロリズマブ併用投与による奏効率、CRとPRを合わせた奏効率になりますが、これが閾値としてTS-1療法で報告されている、2.8%を上回るということを検討することが計画されています。
 本試験の位置付け的にはProof-of-concept試験に該当し、探索的な単施設非盲検非対照試験のデザインになっています。これまで併用投与における使用経験が国内外でないということに関して懸念はありますが、登録初期3例の1コース目の評価が終了した時点で、安全性の評価を目的とした中間解析が予定されており、効果安全性評価委員会による試験の継続の可否が判断され、その結果については、当先進医療技術審査部会でも評価する計画になっております。
 そのため、早期のPOC試験として考えれば、試験実施計画書としての最低限の要件は満たしていると考えていますので、いずれも「適」としています。
ただ、なぜこの試験を医師主導治験ではなく、先進医療として実施する必要があるのか、その辺りについて研究者への照会事項のやり取りをした回答がタブレット資料1の48ページからあります。回答の主旨は、現時点では併用するICIがペムブロリズマブに決定されている訳ではなく、この試験の結果次第によって今後ICIを保有する企業と交渉して決定される段階とのことです。
 そのため、今後の開発においては、今回併用するペムブロリズマブと異なるようなICIが選択される可能性があるということ、更に先ほど平田構成員からもありましたように併用する用量の設定などを含め、現時点で提出されているロードマップについても大幅に変わってくる可能性があることに少し懸念があります。
 現時点では今後の開発における併用薬が決定していない段階であるため、本試験を医師主導治験として計画・実施しにくいという点は理解できますし、治験ではないのでPMDAとの開発戦略的な相談も行われていないという状況になっています。
 本試験で計画されているタミバロテンとペムブロリズマブの併用投与で、今後薬事承認申請の出口戦略まで進められるかについては、現時点ではかなり不確実な要素がある状況であるため、本試験を先進医療として実施すべきか否かについては整理する必要があると考えています。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。大変御苦労でございますが、1から16の総評につきまして、主担当であります平田構成員からおまとめいただければと思います。平田先生、よろしくお願いします。

○平田構成員
 総評に移らせていただきます。今回各技術専門委員の先生、また各構成員から審査いただきましたように、研究の実施体制に対する懸念、あと併用時の併用療法の問題点、また実施試験以降の出口戦略についての問題点がありますけれども、私は医療技術の有用性等でも申し上げましたけれども、今回のようにヒトでの経験がないことから現行の数例実績の免除に関する通知に適合しているかというところを、検討する必要もある、重要かと思いました。
 今回評価を担当していただいた構成員の中からも、先ほどの通知の当該医療技術を有効かつ安全に実施できることが明らかである場合に該当するとまでは言い難い、という声も上がりましたし、また先ほど南技術専門委員から御指摘いただいた点の修正も必要です。
 ですので、現時点では適もしくは条件付き適というのは難しいと判断していることから、総評として継続審議とさせていただきました。ただ最終的には部会での議論を踏まえて、最終決定を行いたいと考えています。以上になります。

○竹内座長
 ありがとうございました。それでは御討議をお願いしたいと思います。平田先生からの御意見では総合判断として「適」というのはないだろうと。また条件付き適というのは、それを満たせばよいというところまでは行かないだろうと。したがって今御議論いただいたところは、継続審議としたいということでした。何かコメント、御意見等ありますでしょうか。
 渡辺先生から手が挙がっています。渡辺先生、よろしくお願いします。

○渡辺構成員
 日本医師会の渡辺でございます。平田構成員、南技術専門委員のおっしゃるとおりと思いますし、世界で初めてというのはいいですけれども、それをヒトに対して研究を行う上では慎重さが、少なくとも資料を読んだ限りでは欠けているような気がします。
 やはりフルドーズを初めて投与してというのであれば、先ほど平田構成員がおっしゃったように、頻回にチェックをして検証しようという慎重さが本来あってしかるべきではないかと思うのです。それが不要というスタンス自体に本当は課題があるのではないかと考えます。
 それから、南技術専門委員の質問に対して、真摯に答えていないようにみえるのです。内容を余り深く考えずにおられるのではないかと見受けられる点で、先ほど平田先生がおっしゃったように、このまま研究を進めてよいのかという疑義を持ちました。
 それから一家構成員がおっしゃったように、多くの疑義がある説明文書に関して、CRBを通ったということですけれども、CRBの審査が本当にちゃんと行われたのかということと、CRBを通ったことで全て認められたということではないということは、やはり考えるべき内容ではないかと思います。
 そのような多くの課題がある研究ですので、やはりこのまま条件付き適というのはよろしくないのではないかと思います。少なくとも今回の評価委員の先生方がおっしゃられた課題に対して、明確な回答を示した後にもう一度審査をするべきではないかと私は考えます。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございます。平田構成員の最終評価にサポーティブな御意見を頂戴しました。皆様方から追加のコメント等ございますか。天野先生、よろしくお願いします。 

○天野構成員
 私もただ今の意見に賛同するものです。追加ですが、一家構成員から御説明いただいた際、相当程度の修正の御意見を頂いて、かなり修正いただいたと理解しているのですが、私の手元にある最終の説明文書を読みましても、なかなか一家構成員の御指摘のとおり分かりづらいところがあるかと思います。
 特にいわゆるリスクの部分、もちろん膵癌は非常に厳しい難治癌ですので、新しい治療を待ち望む患者さんの願いは切なるものがあるとは理解しているのですが、一方で世界初の2剤併用であることを含めて、この説明文書を読む限りでは、そのリスクと言うかそういった部分が十分に伝わらないだろうと理解します。
 なので、もしこのまま継続審議となるのであれば、説明文書についても改めて、特に3番の項目、薬剤の説明の部分についての部分で先行研究の内容であるとか、あるいは世界初の2剤併用であるということも含めて、よりリスクについてしっかり記載していただく必要があるように感じました。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。後藤先生から手が挙がっています。後藤先生よろしくお願いします。

○後藤構成員
 私も今の天野構成員とほとんど同じ印象を持っています。ざっとですけれども、説明同意文書を見させていただいて、その説明同意文書に書かれていることと、今日皆様審議をされた方々が話していることに、かなりの差があるようにしか思えません。
 つまりこれが今まで一度もヒトに対して行われていないということが、一言も説明が同意文書にもない。また先ほど南技術専門委員がおっしゃったように、最初2剤併用というので飲む薬を2つなのかなと思ったのですけれども、経口とあとは静注という形をどのようにするのかとか、それを例えば経口で最初にAM80をやったのだけれども、できない場合があるとか書いてあって、もう1つのペムブロリズマブができない場合というのは、どういう場合にできないのか。せっかく飲んだのだけれどできない場合というのが、どのような判断で行われるかなど、やはりもし継続審議という形になれば、かなりの形の説明同意文書の記載がなければ、患者さんに対する説明が十分とは私は到底言えないと思っていますので、私も今皆様がおっしゃったことに同意するとともに、天野構成員がおっしゃったように、かなり丁寧な説明同意文書の記述をお願いしたいと思います。

○竹内座長
 ありがとうございました。追加の御質問等はございますか。よろしいですか。そうしますと、先進医療技術審査部会としては、この計画については継続審議とするということで、皆様、御意見が一致したと思います。よろしいでしょうか。皆様方の御意見を伺っていますと、今、手元でまとめていて3つ、まず1つは、責任医師等の体制については、少なくとも頻回の実績報告は必須であると考えていただきたいと。さらに、南先生から御指摘いただいたPIの資格については適切かどうかをお考えいただきたいと、これは責任医師等の体制でした。
 2つ目は、実施医療施設についてどうかということで、こちらは、一家先生から御指摘いただいた様々な修正に対して、修正はしていただきましたが、やはり実施医療機関としては少しどうなのかと、物足りないのではないかという御意見がありました。ここの所についても、実施医療機関としての的確性、当然、臨床研究中核病院ですので、機関としては認定を受けていると。ただし、この研究について臨床研究中核病院である名古屋大学医学部附属病院が、機関としてこの研究をサポートしているかどうかといったところを少し御説明いただく必要があるのかなと思いました。したがって、2つ目の実施医療機関としての体制、外形的にはいいのですが、実際この研究に対するサポート体制はどうかといったところの指摘をさせていただきたいと。
 3つ目として、これは、たくさんの御意見を頂きました。医療技術の有用性等の評価も外形的には「適」なのですが、南先生から御指摘いただいたまず薬物動態だけではなくて薬力学的な観点からの考慮、抗癌剤の投与14日以内というところの問題点、用量の問題点、先ほどの奇数をどうやって分割するのかというところの指摘点、無効有害事象で中止の場合、どちらをやめるのかといったところ、これらの点については実施計画書の修正も含めて考えていただきたいと。最後に、皆様方から頂いた点、特に患者説明文書については、情報が不足していて分かりにくいと。ここは分かりやすく、しかも丁寧に、先ほど併用ができない条件は何なのかと、患者さんにも分かりやすく修正いただきたいと。この実施計画については、まとめますと以上の7点ご指摘いただきました。
 以上のことを踏まえて、これらをご検討し、適切にご対応いただきたいことをお知らせして、継続審議としたいと思います。もし今の点について明確な回答が医療実施施設から得られたら、そのときはまた御審議した上で、「適」あるいは「条件付き適」の判断を頂きたいと。まず、ここまでがまとめですが、何か漏れている所はございますか。駄目だと言うだけではなくて、こういう点については修正いただきたいというところを医療機関側にきちんとお示しする必要があると思います。責任医師の体制で3点、実施医療機関の体制で1点、医療技術の有用性等、実施試験計画書などについて7点ほど挙げさせていただいて、大体、皆様方の意見はカバーできているかなと思いますが、ここは追加でというのはございますか。平田先生、どうぞ。

○平田構成員
 よろしいでしょうか。私から申し上げさせていただいたもう1つが、そもそもこれを先進医療Bとして行う場合、通常は3例ほど症例を経験したうちに、先進医療Bで提出されることが通常だと思います。ただ、今回、申請医療機関が臨床研究中核病院ということで、申請上は今回、提出できたというところにはなるのですが、先ほど飛田構成員からもありましたように、そういう状況がしっかりしたデータがない中で先進医療Bとして認めるのか、それとも、自費で何例かやった後に、また先進医療Bとして諮るのかというところも、今回いわゆる数例の実績を免除する通知に、これが合致しているのかどうかというところをこの技術審査部会で確認させていただきたいと思いました。

○竹内座長
 ありがとうございます。その点が一番大事なポイントというか、最終的なポイントですので、今の継続審議、条件を示すとしたら今申し上げたようなところです。また、タブレット資料の27ページ、平田先生が御指摘した点があります。皆様方、27ページは開けますか。これは、いわゆる0例特例と言われている未承認薬若しくは適応外の医薬品・医療機器又は再生医療等製品を用いる医療技術に関わる留意事項ということで、0例であっても臨床研究中核病院及びこれに準ずる施設においては、先進医療を実施することができると。
 ただし、今、平田先生が言われたように、実施医療機関としての要件を満たしていると判断された医療機関等の、これは先ほどの臨床研究中核病院、高度で質の高い臨床研究を実施することができる保険医療機関において、当該医療技術を有効かつ安全に実施できることが明らかである場合は、先進医療0例特例として先進医療を実施することができると。その最後の行にあります有効かつ安全に実施できることが明らかである場合はという所が該当するかどうかという、とても大きな議論です。
 この申請を先進医療0例特例として認めていくのかどうかということですが、この点について御議論いただけますか。最後、ここが一番重要です。もしそうでないということになりますと、これは先進医療として認めないということになってしまいます。でも、事務局としては申請を受けている、文書的には排除していないということです。今まで先生方に御議論いただいたという背景もあって、いわゆる門前払いはしていないということなのですが、改めてここで御議論いただいて、この申請についてどうかということです。
 いかがでしょうか。これはなかなか大変難しい議論なのですが、真田構成員、どうぞ。

○真田構成員
 この技術自体の研究計画あるいは審査状況が、まだ未熟であったという各先生方の御発言は、そのとおりだと思いますし、それがブラッシュアップされてからの議論が必要であることは、明らかではないかと思います。一方で今、座長がおっしゃいましたように、これを先進医療として認めるか認めないかという話になりますと、新しい治療法やお薬を導入するというプロセスにおいては、非常に根本的な議論になってくると思います。例えば、この技術としては治験を考慮されないのですかという質問に対して、まだその前段階で、治験の実現可能性を具体的に検討できる段階ではないとも考えられます。この技術に限らず、多くの新規の技術についてそのような問題に直面しています。
 例えば、企業がサポートしてくれなかったり、あるいは資金的な問題に直面したりということでサポートされない技術については、評価が進まないという問題意識があって、そもそもこのように先進医療の制度が拡脹されたと経緯上は理解しています。その段にあって、私は今回、この技術が先進医療にまず手を挙げていただいて、むしろよかったと思うのです。なぜかというと、患者さんに実際この研究が始まる前に、このようにCRBを通った後にもかなり重点的な審査の視点が入って、研究計画がより改善された状態で出発できる可能性があるということは言えるのではないかなと思います。
 仮にこれが治験でも駄目、先進医療でも駄目ということになりますと、自主研究ということになりますが、これが資金面でサポートできるかの問題と共に、現状の研究計画でそのまま実施されてしまう可能性もあったわけです。となりますと、それが果たして日本の臨床開発にとっていいことなのかどうかということについては、これが非常に根本的な議論になるのかなと思っています。ですので、どこが適切で、どういう定型的な決め方をすればいいかというところはまだ明確な意見は持ち合わせていないのですが、やはり先進医療でこのように広く皆さんの目を光らせることができつつ、新しい開発を開始できるスキームというのはあってもいいのではないかとは考えました。

○竹内座長
 ありがとうございます。大変貴重なコメントを頂きました。ほかに御意見、コメント等はございますか。まず渡辺先生、その後に後藤先生からお願いしたいと思います。渡辺先生、お願いいたします。

○渡辺構成員
 渡辺でございます。私も今、真田構成員がおっしゃられたとおりで、こういう新たな試みということにリスクは当然付いてくるものと考えます。新規の研究を制限するというのは、患者さんのためにとってもよろしくないと考えるわけです。そういう意味で、先ほど私が意見を述べたときに、慎重さという言葉を使ったのですが、安全性ということのエビデンスを求めようとした場合に、そこがかなわないけれども行いたいという場合には、慎重にかつ真摯な姿勢で研究に臨んでいただきたいと思うわけです。今回はそれが申請書の中に見られにくいというのが、先ほど私が意見を述べた趣旨です。つまり、3例のエビデンスを準備する時間がなかったのか、何かの事情があってできないけれども、何とか患者さんのために行いたいという慎重かつ真摯な姿勢があれば、先ほど平田構成員とか南技術専門委員、一家構成員等が述べられたような申請書には本来ならないはずだと考えているわけです。
 そのような姿勢が見られて、指摘に対して全て修正して対応していただけるのであれば、0例特例というのは考えてもよいというように思います。全く門前払いにしてしまうというのは、研究の在り方を制限するのでよろしくないとは思うわけですが、その場合の慎重さ、患者さんを対象とした研究を行うということに対する自覚を持って研究を行っていただきたいと考えます。そういう意味でまだ今回の研究の申請書はそれに至っていないと考えます。根本的な所というのは、申請書の内容によって個々で違うので、こういうラインであれば0例特例を認めるという一般的な評価にはならないのではないかと私は考えます。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。後藤先生、よろしくお願いいたします。

○後藤構成員
 今、渡辺構成員から個別の判断というお話が出た後に、なかなかちょっと申し上げにくいのですが、事務局に伺いたいのですけれども、今まで0例特例で認められたものはどういうものがあって、何件ぐらいあるのかというのを念のため教えていただけるといいかなと思っております。その上で個別に判断するということをしたいと私は思います。多分、今日すぐには出ないと思うので、調べていただいて皆様に共有していただいて、0例特例が結構数が多いのか、ほとんどなかったら、ない理由というのが多分あると思いますので、そこら辺の情報の共有をお願いしたいと思います。

○医政局研究開発政策課長補佐
 後藤先生、かしこまりました。

○竹内座長
 ありがとうございます。松山構成員、お願いいたします。

○松山構成員
 ちょっと事務局にお伺いしたいのですが、0例特例は、例えば臨床中核病院から出てきた場合、必ず0例になるのか、あるいは、臨床中核病院の病院長が、これは0例特例という形で活用しても大丈夫なほど自分たちは安全性に自信を持っているのだという形で、彼らの権利であるのか、法令上の解釈を教えていただければと思います。

○竹内座長
 すぐにお答えできますか。

○医政局研究開発政策課長補佐
 申し訳ございません。すぐには回答できませんので、また確認してお答えさせていただきます。

○竹内座長
 ありがとうございました。南先生、よろしくお願いいたします。

○南技術専門委員
 本来、発言する立場ではないのかもしれませんが、皆様の御議論を聞いていて、全くそのとおりと思いながら聞いていました。ただ1点、やはり真田構成員がおっしゃられたとおり、今回のように非常に高額な薬剤を使う場合、なかなか臨床試験の第一歩を踏み出す手段というのは限られているというのが実際です。このコンセプトそのものは、個人的には面白いと考えますので何とか臨床に進ませてあげたいと思いますし、逆に今度、研究者の立場に立てば、こういったものをこういう形でさせていただけるという道を残しておいていただけるというのは、大変有り難いと研究者としては思います。
 一方、患者さんの安全性を担保するという観点から、少し準備が足りないかもしれません。ただ、ここで1つ申し上げておきたいのは、このような免疫チェックポイント阻害薬は、比較的ほかの抗がん薬、従来の抗がん薬と副作用が重なることが少ないので、製薬企業が行う企業の治験では、フルドース同士をいきなり組み合わせてしまうということも実際には行われています。もちろん、慎重な製薬企業は増量デザインを採用していますが、絶対にこのデザインが許容できないというわけではないと考えます。ただし、フルドース同士組み合わせても安全と見込まれることを示していただく必要があると思います。今までの臨床データあるいは基礎データから、フルドースの併用が安全と見込まれるということをもう少し突っ込んで議論していただいたほうがいいかなと思ってコメントさせていただきました。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。大変貴重な意見、そもそも0例特例ができたという背景には、経験がないような所できちんとした医療機関、体制の下であればそれを進めていただくという我が国における臨床研究を推進する1つの施策でもあったわけですので、これを最初から門前払いにするというのは、逆に問題があるのではないかと。ただし、慎重に進めるべき研究であるので、先ほどのように実施計画書、それから患者さんの同意説明文書、そもそも頻回実績報告が要らないということは、どうしても考えにくいということもあって、幾つかの条件をもう一度医療機関に戻した上で判断していくとしたい。先進医療に見合わないのではないかという議論は、皆様から様々御意見を頂戴して、ここは先進医療としてはお認めすると。しかしながら、今頂いた様々な点を改善していただいた上で、再度この部会で議論いただくと、そういうような結論だったかと思いますが、そういう方向性でよろしいでしょうか。平田先生、よろしいですか。

○平田構成員
 私が申し上げたかったのは、制度上で引っ掛かるかどうかというところで、決して研究を止めたりとかではなくて、私個人も是非、膵癌の領域において新しい薬剤が提供されるのを待ち望んでおりますので、その方向で是非お願いできればと思います。ありがとうございます。

○竹内座長
 ありがとうございました。私が事務局に伺いたい気付いた点なのですが、医療機関の要件という所に、その機関が機関として臨床研究をサポートしているかどうかという項目がなかったのですけれども、これはどうなのでしょうか。

○医政局研究開発政策課長補佐
 また今後の検討とさせていただければと思います。

○竹内座長
 掛江先生からお手が挙がっています。掛江先生、お願いいたします。

○掛江構成員
 1点確認というか教えていただきたいのですが、先ほどの竹内座長の取りまとめの部分で、これは今後、いろいろ改善等をして御説明いただいた上で、もちろん先進医療とすることについて反対しているわけではないのですが、0例特例を使うことが妥当である、使って先進医療とすることが妥当であるかどうかについても今後、評価を改めてさせていただくと。今回が0例特例を有効かつ安全に実施できることが明らかである場合に該当するかどうかについても今後、判断させていただいて、もしそれに該当しない場合には、症例を積んでいただいた上で、先進医療を検討いただくとかという選択肢もあり得るという理解でよろしかったでしょうか。

○竹内座長
 皆さんの御意見で私もそう理解いたしました。

○掛江構成員
 ありがとうございます。

○竹内座長
 そのオプションは、仮に修正されたとしても、皆さんがいや、これはと言われれば当然、先進医療としてはその段階で認めるわけにはいかないという御判断もあり得るのかなというように伺いましたが、それでよろしかったでしょうか。

○掛江構成員
 ありがとうございます。私もそのように理解はさせていただいたのですが、確認させていただきました。

○竹内座長
 ありがとうございます。よろしいでしょうか。それでは、大変長く、また真摯に御意見いただきまして、この整理番号137については継続審議とさせていただきます。また、こちらのほうから医療機関に先ほどのような要望を出して、その点を修正いただきたいということをお知らせしたいと思います。
 ありがとうございました。それでは、南技術専門委員におかれましては、大変貴重な御意見、コメントを頂きまして、ありがとうございました。以降は御退席いただいて結構です。本日は、御多忙のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございました。

○南技術専門委員
 ありがとうございました。
  (南技術専門委員 退室)
○竹内座長
 それでは、南先生が御退出されましたので、「試験実施計画の変更について」を事務局から御説明をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明します。資料2の49ページを御覧ください。国立がん研究センター東病院からの申請で、告示番号22、「陽子線治療」です。適応症は「根治切除が可能な肝細胞がん」です。
 御審議いただく主な変更内容について、50ページを御覧ください。主な変更内容として、登録期間・追跡期間の延長とサンプルサイズ変更について、記載整備となっています。
 変更申請する理由としましては、外科的切除群は予定どおりに登録されているのに対して、陽子線治療患者の集積が滞っており、予定していた6年6か月の登録期間のうちの約6年4か月が経過した2023年10月19日時点で、陽子線治療群の登録例は63例で予定登録患者数の75.9%の登録しか得られていません。これまで登録促進のため、適格規準の変更や陽子線治療施設の追加をはじめ、継続的な試験概要及び目的の周知徹底、登録施設の医師から登録数が伸びない原因の聞き取り、関連施設への患者紹介の依頼などを行っていますが、このままのペースでは登録期間内の登録は難しい状況であり、サンプルサイズを変更することとしました。
 当初、本試験の予定登録数を、登録期間6.5年、追跡期間5年、α=5%、検出力=75%、ハザード比の非劣性マージン1.50、外科的切除群と陽子線治療群の患者登録の比を2.5対1として算出していました。これらの設定のうち、α=5%とハザード比の非劣性マージン1.50の設定に関しては、臨床的な観点からは変更は難しいと判断しています。また、検出力を下げることも検討しましたが、本試験ではprimary endpointである全生存期間の検定及びkey secondary endpointである「治療開始後1か月のQOL非悪化割合」の検定の結果をもって意思決定をすることから、primary endpointの検出力については当初の設定を維持することが望ましいと考えています。
 上記を踏まえて、登録期間と追跡期間をそれぞれ1年間延長することとしました。追跡期間を延長する理由は、本試験の主要評価項目は「全生存期間」であり、登録期間に加えて追跡期間を延長することで、追跡期間延長に伴いイベント数が増えることで予定登録数を減らすことにつながるためです。また、外科的切除群と陽子線治療群の患者登録の比は当初2.5対1として設定していましたが、最近は3.5対1程度であるため患者登録の比の見直しを行いました。これにより外科的切除群の予定登録数は207例から248例と増えることになりますが、陽子線治療群の予定登録数は83例から72例となり、外科的切除群並びに陽子線治療群のいずれも現在の登録ペースでも達成することが可能となります。本試験は競合する試験がないため、試験結果の公表が2年遅れても、本試験を完遂することの意義は保たれると考えます。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。かなり詳細な理由の説明を頂きました。変更内容について、御意見等はありませんか。渡辺委員、どうぞ。

○渡辺構成員
 変更の申請に反対するものではなくて、単純にこの試験に対してコメントを申し上げたいのです。この試験は患者さんが治療法を選択する試験になっています。対象者は腫瘍が1つに限られて、3cmから12cmで転移がないということが条件になっているのですが、患者さんへの説明文書で外科的手術のときに、開腹手術も腹腔鏡下手術も手術中に進行していることを確認した場合は、手術を中止する、若しくは転移が確認された場合は中止すると書いてあります。
 ですが当然ですが陽子線の場合は、それが確認できないまま治療をして、グループ分けしているということから考えると、陽子線の場合は外科的手術と再発に関してリスクが違うと思います。それに対して説明書への説明がなく、中間解析を行わずに1年間延期するということに対して、途中で再発例が多数だった場合に中止をしないのかどうかということを事務局に確認したのですが、プロトコルには本研究は中間解析を行わないと記載されており、再発はエンドポイントの評価に関る情報ですので、総括報告書をもっての報告になるとの返答でした。こういう研究の方向性というのは余りよくないのではないかなというふうに感じたものですので、一応コメントとして述べさせていただきます。変更されることに対しての反対理由ではありません。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございます。貴重なコメントを頂きました。変更理由とは直接関係ないポイントですので、医療機関等にそういう御意見があったということを伝えていただくというふうにさせていただきたいと思います。
 それを踏まえまして、今回のこの登録期間、それから研究期間の延長については、これをお認めしてもよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは告示番号22の変更については、認めることとさせていただきます。
 続きまして、次の試験実施計画の変更について、事務局から説明をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明します。資料3の53ページを御覧ください。慶應義塾大学病院からの申請で、告示番号36、「イマチニブ経口投与及びペムブロリズマブ静脈内投与の併用療法」です。適応症は「進行期悪性黒色腫」です。御審議いただく主な変更内容について、54ページを御覧ください。
 本先進医療は、保険適用並びに先進医療で実施されているがん遺伝子パネル検査の結果に基づき、KIT阻害薬による治療が推奨される悪性黒色腫患者に対して、イマチニブ経口投与とキイトルーダ静脈内投与を併用して行うものです。併用療法の安全性、有効性を示すという目的から、2つの異なる用量での第Ⅰ相臨床試験における推奨用量の決定を経て、現在第Ⅱ相臨床試験を実施しております。
 目標症例数は22症例としていますが、第I相臨床試験の3+3デザインの進捗により、全体での目標症例数は19症例になりまして、現時点で11例が登録されています。
 本試験の症例登録期間について、初版作成時の2019年6月26日時点で2022年10月末日までの3年を予定しておりましたが、組入基準の変更手続き及び製薬会社との契約に時間を要し、試験開始が遅れたため2021年9月16日開催の第122回の本部会において、登録期間の延長をお認め頂きました。それから約2年の間で登録を完了する計画でしたが、症例登録の遅延に加え、臨床使用実績の効率化に基づく効果安全性評価委員会審議及び先進医療Bの継続の可否に係る審議結果について「報告事項」の提出・承認及び推奨用量の決定と第Ⅱ相への移行における効果安全性評価委員会審議に伴う新規登録の停止期間が影響し、現時点で11例の登録にとどまっています。
 しかしながら、今年度に入り実施施設の追加による登録の加速化が得られ、現時点での11例のうち4例は追加施設から9月及び10月に登録されています。本先進医療の症例登録期間は2023年10月末までとされていますが、その時点での目標症例数の達成は難しく、時間を要することが明らかな状況となりました。
 現在、昨年度より実施していた3医療機関に加え、5つの医療機関が本先進医療に参加しており、明らかな加速化がみられています。先進医療への参加医療機関は8施設となることから、この延長期間で目標症例数が達成し得ることが期待できるため、試験期間延長を希望いたします。以上です。

○竹内座長
 本変更内容について、御意見ありませんか。よろしいでしょうか。御意見はありませんので、告示番号36の変更については認めることとさせていただきます。
 続きまして、先進医療Bの協力医療機関の追加について、事務局から御説明をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 資料4-1の57ページを御覧ください。告示番号11について、1施設の協力医療機関の追加申請がありました。
 資料4-2の59ページ以降を御覧ください。事務局において先進医療実施可能とする保険医療機関の要件(様式第9号)を満たしていることを確認しました。協力医療機関の追加として御了承いただきたく存じます。特に御意見がなければ、手続を進めさせていただきます。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございます。それでは事務局で手続を進めていただきますようお願いいたします。
 続きまして、申請医療機関からの報告について、事務局から説明をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明します。国立がん研究センター中央病院からの報告で、告示番号48、「シクロホスファミド静脈内投与療法」です。適応症は、「成人T細胞白血病」です。なお、一家構成員におかれましては、御所属の医療機関との関係、飛田構成員におかれましては、対象企業との関係で本議題の審議に際し、御退席いただきたく存じます。御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
(一家構成員、飛田構成員 退室)
○医政局研究開発政策課長補佐
 資料5-1の61ページを御覧ください。経緯の概要から説明します。シクロホスファミド静脈内投与療法は、2021年3月1日より先進医療Bとして実施されている。本研究の予定登録期間は2023年2月28日までであったが、同年4月24日に予定登録期間の延長等について、国立がん研究センター中央病院臨床研究審査委員会へ変更申請が提出され、5月25日にCRBにて予定登録期間の延長等に関して審議、同日承認された。
6月29日に同院から先進医療事務局に当該先進医療の予定登録期間の延長等について申請があった。8月10日開催の第151回先進医療技術審査部会にて、本変更に関して審議を行ったが、CRB承認前に患者登録が行われていたこと等を踏まえ、臨床研究法の観点からも整理をすべきとの結論に至り、継続審議となった。本審議結果を受けて、部会同日、同事務局は竹内座長に報告の上、当該医療機関における当該先進医療の新規組み入れ中止について伝達。8月11日に申請医療機関から全参加施設へ連絡し、新規の症例登録を停止した。
 研究代表医師が上記経緯をCRBへ報告したところ、予定登録期間の延長がCRBにて認められる前に1例登録があったことは臨床研究法上の不適合に該当するとの見解であった。CRBから実施医療機関の管理者への報告と次回の定期報告にて本件を報告することの2点指示があり、実施医療機関の管理者へは報告済みである。この度、同院より今回の事案に関する発生要因及び再発防止策等に関して報告があった。
 医療機関からの報告の内容については、資料5-2を御覧ください。64ページの下段、発生要因の分析から読ませていただきます。研究代表医師/研究事務局としては、総研究期間内であれば予定登録期間を過ぎていても症例登録は可能と誤って認識していた。臨床研究の適切な遂行の観点から、本来であれば予定登録期間が終了する前にCRBへ変更申請し承認を得て、先進医療技術審査部会での審議も予定登録期間が終了する前に行われるよう対応すべきであった。
 臨床研究支援部門では試験の特性に応じてサポート体制を決定しており、本研究は診療科主体で実施していた。中央病院・臨床研究支援部門は、先進医療手続の支援は行っていたものの進捗管理は行っていなかったため、診療科から予定登録期間および総研究期間の延長について相談を受けた際に、変更申請を行うよう指摘したのみであった。そのため、CRBへの変更申請の審議・承認、その後の先進医療技術審査部会での審議・承認までのスケジュールを確認の上、先進医療の変更申請が承認されるまでの間、登録を一時的に止める必要があることについての指摘ができず、先進医療を実施するにあたってのサポートが不足していたことも要因と考えられる。本試験では研究事務局支援業務とデータセンターは研究代表医師/研究事務局より外部委託していたが、データセンターは予定登録期間が終了する前に、予定登録期間の延長申請が行われているかどうかについて研究代表医師/研究事務局へ確認していなかった。委託側と委託を受ける側で業務分担が明確になっていなかったことが要因と考えらえる。CRB申請に際しては、CRB審議、承認までに予定登録期間を過ぎてしまうことに関して、申請者がCRBへ伝えていなかったことが要因と考えられる。
 再発防止策として、以下のものが挙げられています。1.研究代表医師/研究事務局としては、診療科のミーティングで定期的に試験の進捗について確認し、予定登録期間や総研究期間についても確認する。2.研究代表医師/研究事務局から予定登録期間や総研究期間についてデータセンターや協力医療機関に四半期ごとに周知する。予定登録期間の終了までの期間が残り6か月以降からは登録状況を確認するとともに予定登録期間を毎月連絡する。登録票に登録期間を追加するとともに登録期間内であることをチェックする項目を追加し、データセンターは登録票を受領した際に登録期間内であることを確認する。3.協力医療機関に対しては、登録票を記載する際に、登録期間内であることをチェックする項目を必ずチェックし、登録票をデータセンターへ送信する前に、予定登録期間内であることを確認するよう研究代表医師/研究事務局より周知する。4.中央病院・臨床研究支援部門としては、国立がん研究センター中央病院が申請医療機関となっているすべての先進医療制度下の臨床研究の研究期間、登録期間を一元管理し、研究者に対し進捗の管理を定期的に行い、全ての実施責任医師と病院長に文書にて報告することとする。5.臨床研究支援部門内で、不適切事案を共有し、再発防止に努めるとともに、年間の教育研修記録を管理する。6.データセンターについては、患者登録の進捗について研究代表医師/研究事務局、臨床研究支援部門と定期的にミーティングを行うことを依頼する。7.CRBの審査に際しては、審議に際し留意が必要な点については、申請者側で明確にして申請する。8.医療機関として本不適切事項を踏まえ、2023年10月25日に院内の全研究者を対象に不適切事案について、CRB申請時における留意が必要な事項についての研修を行う。今後も継続して定期的に研究者向けの研修を実施する。
 また61ページにお戻りください。3番目の今後の対応についてですが、現状、変更申請は認められておらず、症例登録は止めている状態です。
 1つ目、同院における再発防止策が適切かどうか。2つ目、再発防止策を確認した上で、当該技術の先進医療の取扱いについてどう考えるか。医療機関からの報告を踏まえ、今回の変更申請を認めるかについて、御議論いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○竹内座長
 ありがとうございます。ただいま御説明いただきました61ページの報告について、そして、今回の事案の概要63ページ以降、御説明いただきました。まず再発防止策が適切かどうか。そして、それを確認した上で今後の先進医療の取扱いをどうしたらよいのかという2点です。まず再発防止策について、御意見はありませんか。よろしいでしょうか。診療科、その診療科と契約していたデータセンター、その単独ではなく臨床研究支援部門、更には病院全体として今回のことを重く受け止めて、それに対する支援策、あるいは研究者に対する研修などを病院全体として行っていただくというメッセージがこの中には込められているかと思います。63ページは、診療科からの申請ではなく、がんセンター中央病院病院長のお名前で今回の先進医療技術審査部会に報告を頂戴しています。病院全体として重く受け止めていただいた。再発防止策を考えていただいたということです。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、それを踏まえまして、この先進医療、現在は中止していただいています。これについて進めていただいてよろしいかどうかという御判断ですが、よろしいでしょうか。皆様から同意を頂けたと思います。
 それでは、再発防止策、そしてそれを確認した上で先進医療の再開を先進医療技術審査部会としてまとめていきたいと思います。ありがとうございます。
 平川構成員、一時御退席いただくのでよろしいでしょうか。
(平川構成員 退室)
○竹内座長
 検討結果の取りまとめを行いたいと思います。それでは告示番号48の変更について認めて、症例登録を再開いただくということとします。ありがとうございました。
 それでは一家構成員、飛田構成員、平川構成員にはお戻りいただきたいと思います。
 (一家構成員、飛田構成員、平川構成員 入室)
○竹内座長
 皆様、再入室していただきましたので、続きまして、申請医療機関からの報告について事務局から御説明をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料6-1、71ページを御覧ください。国立がん研究センター東病院から、告知番号39、「周術期デュルバルマブ静脈内投与療法」に関する御報告です。なお、たびたび恐れ入りますが、一家構成員におかれましては、御所属の医療機関との関係で、本議題の審議に際し、一時御退席いただきたく存じます。何卒よろしく申し上げます。
(一家構成員 退室)
○医政局研究開発政策課長補佐
 それでは、資料に沿って御説明させていただきます。経緯の概要といたしまして、「周術期デュルバルマブ静脈内投与療法」は、2020年3月1日より先進医療Bとして実施されている。医療技術の概要は別添のとおりです。申請医療機関である国立がん研究センター東病院で、試験薬提供者から提供を受けた適応外薬剤を投与するところを、誤って保険診療での薬剤をオーダーして投与する事案が発生した。なお、保険診療用デュルバルマブは、試験薬と同一成分、同一投与量であり被験者への身体への影響はない。
 この度、臨床研究法上の重大な不適合に対する処理を終えた同院より、今回の事案に
関する発生要因及び再発防止策等に関して報告があった。
 医療機関からの報告内容としましては、資料6-2を御覧ください。不適合の内容の詳細から読ませていただきます。被験者1名において、本来、適応外使用となる術前デュルバルマブ療法2コースは、本試験用の無償提供薬剤を使用するところ、術前デュルバルマブ2コース分が誤って通常の保険診療下でのデュルバルマブのオーダーとなっており、そのままオーダーに基づき保険診療用デュルバルマブを投与に用いていた。また、本来保険請求しないところ保険請求され、患者から既に一部負担金の支払いが済んでいたことが本年8月29日の薬剤部での在庫確認の際に発覚した。試験提供薬の在庫量が多い印象があったため、薬剤師が使用歴を確認していたところ、当該被験者において、術前2コース分のデュルバルマブが保険診療用処方オーダーになっていることが分かり、同年9月1日に研究責任者、研究事務局へ報告となった。9月8日御本人に上記について説明し、謝罪した。経緯について了承された。9月15日、当該患者に返金された。
 不適合が発生した理由としまして、マル1術前デュルバルマブ投与におけるレシメン選択の情報共有不足。呼吸器内科担当医は当該被験者が本試験に参加されていることは認識していたが、本試験においてデュルバルマブの適応内と適応外の使用があることの理解が十分でなかったことから、術前のデュルバルマブ投与が適応外であることに気付かず、保存されているレジメン登録済みの「先進Bデュルバルマブ」による処方ではなく、担当医が適応内でのデュルバルマブを処方してしまったことが発端である。
 マル2ダブルチェックが働きにくいシステム上の問題。本試験においては臨床試験用デュルバルマブの医薬品マスターを作成し運用しており、同マスターを利用した場合は、薬剤部の治験薬管理室がその処方を受けて、製薬会社から本試験用の薬剤として提供された薬剤を準備し、通院治療センターにおいて、薬剤チェックを行った上で投与される運用となっている。しかし、本事案においては、担当医により保険診療用のデュルバルマブがオーダーされており、治験薬管理室と通院治療センターにおいて、その誤オーダーの処方をチェックできなかった。
 これは、電子カルテ上、治験の場合は患者名の隣に「治」のアイコンが付くことで治験患者と認識できるのと比べて、先進医療Bの試験では該当するアイコンの表示がないため、当該患者が先進医療Bの試験に参加していることを薬剤部が把握出来ない状況であった。また被験者の登録情報は呼吸器外科研究助手から薬剤部に登録時に共有する運用となっており、本被験者情報は共有されていたものの、本年3月に薬剤部が登録情報を受領した時点では投与開始が5月上旬~下旬開始予定と記されているのみで、明確な投与日の共有がなく処方状況を追うことが薬剤部で困難であった。
 投与された保険診療用デュルバルマブは、試験薬と同一成分、同一投与量であり被験者への身体への影響はない。本来であれば適応外の使用となる術前の保険診療下のデュルバルマブが2コース分投与され、費用についても無償であるところ、患者に請求されていた。その後、2023年9月15日当該患者に返金された。
 重大な不適合事案としてCRB報告を行い、2023年10月12日開催のCRBにて審議され、承認された。また先進医療B制度下で実施しているため、厚生労働省医政局研究開発政策課へも報告を行う。同時に参加施設へ周知し、再発防止策について説明する。各施設での同事案発生の注意喚起を行う。
 再発防止策として、現在、適応外部分のデュルバルマブの投与は術前の2コースと手術が行われた後の術後補助療法としてのデュルバルマブ投与22コースである。これらの処方の際は、レジメン登録済みの「先進B)デュルバルマブ」のファイルを適用すれば処方箋にも先進Bと記載される運用になっている。ただし、手術が行われなかった患者においては、追加22コースのデュルバルマブ療法は通常の保険診療として処方する必要がある。この運用を処方する可能性のある医師に再度、上記の運用の周知を行う。患者登録後、デュルバルマブの投与まで期間が空くため、初回投与日が決まり次第、呼吸器外科研究助手より薬剤部へ情報共有を行い、投与日を確実に把握する運用とする。また、特に今回問題となった術前のデュルバルマブ投与について内科で複数あるデュルバルマブのオーダー誤りを避けるため、適応外薬を使用する場合は本試験をよく理解している医師が原則担当する。処方時チェックは、呼吸器外科研究助手が投与日を把握し、毎回オーダーが正しくなされているかローカル支援室CRCによるサポートとともに確認を行う。また、呼吸器外科研究助手が登録時のみの情報提供ではなく、薬剤投与日決定時にも投与日を薬剤部へ情報提供を行うことを確認する。研究助手が電子カルテの掲示板に赤字太文字で、次にあるように記載し、また電子カルテに先進医療Bに登録されていることがわかるフラグを立てるような仕様にする。
 また71ページにお戻りいただいて、3番の今後の対応について、同院における再発防止策が適切かどうかについて御議論いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○竹内座長
 本件につきまして、御意見はございますでしょうか。後藤構成員から手が挙がっております。後藤先生、お願いいたします。

○後藤構成員
 すみません、別に問題があるというわけではないのですが、ちなみにこれは、お幾らぐらい支払われたのかというのを、もし分かれば伺いたいと思います。かなり高額であれば問題かなと思ったものですから。

○医政局研究開発政策課長補佐
 申し訳ございません。金額については事務局で把握しておりませんので、また確認いたします。

○後藤構成員
 分かりました。もし分かれば教えていただければと思います。よろしくお願いします。

○竹内座長
 保険診療下であると、当然高額薬価のものについては、高額療養費の上限までお支払いただいている。多分、実費はお払いいただいていない。確かに後藤委員御指摘のように、非常に高額な薬剤ではございますが、多分、高額療養費制度を使われていると思いますが。

○後藤構成員
 なるほど。

○竹内座長
 確認が必要ですが、そのような解釈も可能かと。

○後藤構成員
 実際に払わないと。

○竹内座長
 その可能性が考えられます。

○後藤構成員
 お金は問題ないと。はい、分かりました。ありがとうございました。

○竹内座長
 ありがとうございます。ほか、御意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。渡辺委員、手が挙がっております。渡辺先生、よろしくお願いいたします。

○渡辺構成員
 本件に関しては全く問題ないと思うのですけれども、2件、不適切事例の御報告があったので、コメントを述べさせていただきたいと思います。これまでにも不適切事例の報告というのが上がってまいりまして、ちゃんと報告していただけるような施設だからこそ、きちんとした再発防止をなさっておられることが分かるのですけれど、逆に言うと報告がされなければ分からないというところもあるような気がいたします。
 せっかく不適切事例の報告と再発防止策を提起される事例が幾つかそろったわけですので、これをこのまま個別の案件で済ませずに、可能であれば、不適切事例という情報を共有して、全国の同じような医療機関に対して、再発防止を啓発するようなことが対応できないかなという希望があります。
 つまり、この再発防止というのは、反省した報告書を書いた医療機関が、ちゃんと再発防止をしたかどうかということが本来の問題ではなくて、今後同じようなことが起きないようにするということが、本来の再発防止ではないかなという気がいたします。是非可能であれば、そういうことができるかどうかを御検討いただければという希望がございます。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございます。大変貴重なコメントですが、研発課としては、そういう取組というのはされているのでしょうか。

○医政局研究開発政策課長補佐
 渡辺先生、貴重な御意見ありがとうございます。先進医療を実施している医療機関に向けて、こういった不適切事案が発生したことや研究実施に当たっては改めて注意していただきたい旨については、また周知を徹底してまいりたいと考えております。ありがとうございます。

○竹内座長
 特にいろいろな個人情報、そして医療機関の保護ということも必要だと思います。事案として皆様に分かりやすくこういうことが起こって、その再発防止策はこういうことをしていただいたということを、より広く共有していただくというのは、とても重要なことだと思います。渡辺先生、大変貴重な御意見、ありがとうございました。これは本当にそういう形で広く皆様と共有していただいて、こういう事案を、少しでも少なくしていただくように取り組んでいただければと思います。ありがとうございました。
 それでは、ほかに御意見等ございますか。よろしいですか。ありがとうございます。それでは申請医療機関からの報告について、以上とさせていただきます。一家構成員には、お戻りいただくことといたします。
(一家構成員 入室)
○竹内座長
 それでは、先進医療に関わる手続等の見直し(報告事項)について、75ページ資料7ですかね。よろしくお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料7の75ページを御覧ください。こちらは11月2日開催の第126回先進医療会議で承認された内容のもので、今回は本部会への報告事項として挙げさせていただきます。
 背景としまして、先進医療の申請に係る資料については、局長通知及び課長通知において定められているところです。申請医療機関においては、申請資料の準備等に一定の負担が発生しており、申請書類の簡素化が求められていると事務局は認識しております。
 また、医薬品医療機器等の薬事承認を目指す技術における事前相談において、企業が薬事承認申請や保険適用に係る手続を行うこと等を、申請医療機関が認知していない事案が認められており、周知を行う必要があります。対応としまして、先進医療の申請に係る手続について、以下のとおり見直すこととしてはどうか。
 マル1申請等に必要な書類の見直し。保健局医療課に提出する別紙1様式1、第1-1号に定める先進医療実施届出書正本1通及び副本7通。別紙2様式第1-1号に定める委託側新規共同実施届出書正本1通及び副本4通、医政局研究開発政策課に提出する別紙1様式第1-1号に定める先進医療実施届出書正本1通副本7通については、正本1通及び副本1通に変更する。ただし、電子的方法による提出も可能とする方向で検討してまいりたいです。それと、参考文献の和訳概要が廃止となります。
 マル2ロードマップに係る以下の規定の追加。医薬品・医療機器等の薬事承認を目指す技術については、「企業が薬事承認取得及び保険適用について必要な手続きを進めること。」という文言を追記します。マル3その他、記載整備となります。こちらの案について、先進医療会議で承認されましたので、御報告とさせていただきます。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございます。現場の負担を低減していただく取組だというように思います。ただいまの御説明につきまして、何か御意見、御質問等ございますか。松山先生、どうぞ。

○松山構成員
 ちょっと事務局にお伺いしたいのですけれども、先進医療は原則としては製造販売承認を目指すということになっていると思うのですが、例えば再生医療絡みでは膵島移植が、そのまま保険適用という形になっていったりしています。ですから、ものによっては製造販売承認を目指さないという場合もあると思うのですが、それは許容されるということでよろしいのでしょうか。

○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局です。おっしゃるとおりです。

○松山構成員
 ありがとうございました。他家の場合には、ちょっとさすがに厳しいと思うのですが、自己の場合にはそういう展開もありうるかなと思います。ありがとうございます。

○竹内座長
 ありがとうございます。後藤委員、よろしくお願いいたします。

○後藤構成員
 すみません、事務局に教えていただきたいのですけれども、これは原本は正本が1通、副本1通ということで、紙媒体での記録の保存と、電子媒体で受ける記録の保存のルールというのは変わらないという理解でよろしいでしょうか。多分、提出するものをどれだけ保存するのかというときに、電子媒体的な保存であろうと、紙媒体の保存であろうと、保存期間についてのルールは、変更がないという理解でいいのかだけ確認させてください。

○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局です。今回の提案は、正本と副本の本数についての変更でございまして、取扱いについては変更するものではありません。

○後藤構成員
 それは分かるのですけれども、今後、検討するということを書いてあるので、提出も可能とする方向で検討ということなので、その保存の期間については変わらないと理解してよろしいということでしょうか。

○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局です。今のところ通知上では、正本と副本を提出するということになっておりまして、電子的媒体での提出を可とするような文言の記載はありませんでした。今後それを電子的媒体でも提出を可能とする方向で検討してまいりたいということでございます。

○後藤構成員
 分かりました。その際には保存期間について、どうなっているかも併せて確認いただければと思います。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。可能とする方向で検討ということで、これが入ったために少し混乱がもしかしたら起こるかもしれないという御指摘だったと思います。ありがとうございました。真田先生、どうぞ。

○真田構成員
 事務局の方に確認というか御質問なのですけれども、マル2の「ロードマップに係る以下の規定の追加。医薬品・医療機器等の薬事承認を目指す技術については、企業が薬事承認取得及び保険適用について必要な手続を進めること」と書いてあります。これはそのとおりなのですけれども、こちらは先進医療として、申請をする技術にあって、その企業がこの薬事承認及び保険適用について必要な手続を進めることが確約されていることを申請の条件とするという意味なのか、あるいは先進医療をやった結果、最終的に薬事承認に至る場合については、企業がこのような手続を取るということは承知していますということを確認するということなのか。これはどちらを意図しますか。

○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局です。貴重な御意見、ありがとうございます。真田先生がおっしゃった場合の後者を考えております。よろしくお願いいたします。

○真田構成員
 承知しました。これがもし、その要件になってしまうと、開発に非常にストップが掛かるのではないかなという懸念がございましたので、確認をした次第です。ありがとうございます。

○竹内座長
 ありがとうございます。マストではないということですね。要望というようなニュアンスでしょうか。ありがとうございました。日本語が非常に難しいなというように思いました。ほかに御意見等ございますか。御意見ないようでございます。ありがとうございます。
 それでは、報告のとおり進めさせていただければと思います。本日の議題は以上でございます。大変ホットな議論をしていただきまして、真摯に多数の意見をお寄せいただきました。構成員の皆様、全体を通して何か追加の御意見、御質問等はございますでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。それでは次回の日程を事務局からお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 次回は令和5年12月14日木曜日の開催とさせていただきます。時間は16時から18時までの予定で、詳細につきましては別途御連絡させていただきます。また、本日の議事録については、作成次第構成員の皆様に御確認をお願いし、その後、公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。

○竹内座長
 ありがとうございました。以上をもちまして、第155回先進医療技術審査部会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。
(了)