第172回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和5年12月8日(金)15:00~16:17

場所

全国都市会館 大ホール

議題

  1. 1.「経済財政運営と改革の基本方針2023」等関連事項について
  2. 2.入院時の食費について
  3. 3.令和6年度診療報酬改定の基本方針について

議事

議事内容
○池上課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第172回「医療保険部会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきまして大変ありがとうございます。
 まず、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
 本日は、内堀委員、兼子委員、原委員、横本委員より御欠席の御連絡をいただいております。
 なお、会議冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきますので、御退席をお願いいたします。
(冒頭カメラ撮り終了)
○池上課長 ありがとうございます。
 それでは、以降の議事運営は田辺部会長にお願いいたします。
○田辺部会長 初めに、欠席される委員の代わりに出席される方についてお諮り申し上げます。
 内堀委員の代理として伊藤賢一参考人、原委員の代理として井上誠一参考人、横本委員の代理として酒向里枝参考人の出席につき、御承認賜れればと思いますけれども、いかがでございましょう。
(「異議なし」と声あり)
○田辺部会長 ありがとうございます。
 それでは、早速でございますけれども、議事のほうに入ってまいります。
 本日は「「経済財政運営等改革の基本方針2023」等関連事項について」「入院時の食費について」「令和6年度診療報酬改定の基本方針について」、以上の3つを議題といたします。
 では、まず「「経済財政運営等改革の基本方針2023」等関連事項について」を議題といたします。
 それでは、事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
○荻原室長 保険医療企画調査室長でございます。
 資料1を御覧いただきたいと思います。
 おめくりいただいて1ページ目からが前回、11月29日の医療保険部会で各論点について委員の皆様からいただいた御意見を並べております。
 その上で、5ページ目以降が具体的な論点になります。
 まず2-1「保険給付と選定療養の適用場面」についてです。
 資料6ページを御覧ください。
 これまで議論いただいたとおり、医療上の必要性があると認められる場合、例えば医療上の必要性により後発品への変更不可の銘柄名処方を医師が行った場合については選定療養とはせず、引き続き保険給付の対象としてはどうかとしています。
 他方、銘柄名処方の場合であっても患者希望により長期収載品を処方、調剤した場合や、一般名処方の場合については、長期収載品の使用を選定療養の対象としてはどうかとしています。
 なお、医療上の必要性があると認められる場合については、処方等の段階で明確になるような仕組みの整理が必要ではないかとしています。
 また、特に薬局に後発医薬品の在庫がない場合など、後発医薬品を提供することが困難な場合については患者が後発医薬品を選択できないことから、保険給付の対象としてはどうかとしています。
 左下はイメージをお示ししていますが、現在、後発医薬品への置換え率が数量ベースで80%前後となっており、残りの部分が長期収載品、後発医薬品のある先発医薬品という位置付になります。
 うち、先ほど申し上げたような医療上の必要性があると認められる場合や薬局に後発医薬品の在庫がない場合などは引き続き保険給付の対象としています。残りの部分が、選定療養の対象という形になります。
 続きまして、論点2-2「選定療養の対象品目」について御説明したいと思います。
 資料は8ページ目を御覧いただきたいと思います。
 選定療養の対象となる長期収載品の品目の範囲については、後発品の上市後、徐々に置換えが進んでいくという実態を踏まえ、2つの観点から検討しております。
 まず1点目ですが、長期収載品の薬価ルールとしては、後発品上市後5年から段階的に薬価を引き下げることがあります。この点を参考に、後発品上市後5年経過した長期収載品についてはその対象としてはどうかとしています。
 また、後発品の上市後5年を経過していないものについても、置換え率が既に50%に達している場合につきましては、後発品の選択が一般的に可能な状態になっているということが考えられます。そのため、こちらについても選定療養の対象としてはどうかという形で整理しております。
 下の方がイメージとなりますが、上市後5年と置換え率50%というラインでそれぞれ線引きし、1つ目の上市後5年については基本的には選定療養の対象とする。また、5年未満であっても置換え率50%以上のものについてはやはり同様の選定療養の対象とするという整理をしています。
 続きまして、「3.保険給付と選定療養の負担に係る範囲」についてです。
 11ページ目、これは前回の医療保険部会にお示しした資料を基本的にはもう一度御覧いただいておりますが、論点は2つありました。
 1つ目が水色のラインの部分でございますが、選定療養の場合、保険給付の範囲の水準をどの程度と設定していくのかという点。もう一つ、選定療養に係る負担についてどの程度の標準とすべきかといったところ、特にこの長期収載品の薬価を超えて負担を徴収することを認めるのかどうか。または、選定療養に係る負担を徴収しない、若しくは標準とする水準より低い額で徴収することを認めるのかどうか。この2つの論点がございました。
 資料12ページ目を御覧いただきたいと思います。
 まず1つ目についてですが、長期収載品の薬価と選定療養の場合における保険給付範囲の水準の差につきましては、「①長期収載品を選好する場合における患者の負担の水準」「②メーカーによる薬剤工夫など、付加価値等への評価」「③医療保険財政の中で、イノベーションを推進する観点や、従来とは異なるアプローチで更なる後発医薬品への置換を進める観点」「④選定療養化に伴い、一定程度、後発医薬品への置換えが進むことが想定される中で、現下の後発医薬品の供給状況」、これまでも御議論いただいた、こういった観点を踏まえて、長期収載品と後発品の価格差の少なくとも2分の1以下とするという方向で検討してはどうかとしてございます。例えば、長期収載品と後発品の価格差の2分の1、3分の1、4分の1といった定め方を検討することも考えられるのではないかとしています。
 具体的なイメージですが、13ページに飛んでいただきまして、「患者負担に与える影響(イメージ)」ということで、これはかなり分かりやすく一例として試算をしたものです。当然、薬価についても、もろもろの計算についても更に詳細なものになっていくという前提ですが、一例としてこういった形で2分の1から3分の1、4分の1までの実際の患者の負担額と変化額、そして薬価に対する変動率といったものをお示ししています。
 12ページに戻っていただきまして、論点②についてです。
 選定療養に係る負担については、医療上の必要性などがある場合は長期収載品の薬価で保険給付されることや、市場実勢価格などを踏まえて長期収載品の薬価が定められているということを踏まえますと、上記の一定割合の相当分としてはどうかというふうにしております。特に選定療養に係る負担を徴収しないこと、または上記の差より低い額で徴収することについては後発医薬品の使用促進を進めていくという施策の趣旨を踏まえる必要があるのではないかとしております。
 そういった点を踏まえまして、本日の部会での御議論をいただきながら、その上で中医協において具体的に検討すべきではないかとしております。
 「4.イノベーション推進と安定供給確保に向けた長期収載品の保険給付の在り方の見直し案」ということで、15ページから御覧いただきたいと思います。これまで当部会において議論いただいたポイントを、今回、在り方の見直し案という形でまとめています。
 まず1点目の趣旨ですが、今回の長期収載品の保険給付の在り方の見直しに伴う趣旨というものを並べています。
 創薬力強化に向けたイノベーションの推進、ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの解消を実現していくために薬価上の措置を講じていく、その上で、研究開発型ビジネスモデルへの転換を促進していくことが必要としています。
 また、後発医薬品についても、安定供給を前提としつつも、更なる利用の推進を図っていくことが必要としています。
 その際に、後発医薬品を中心とした安定供給の課題を解消していくために、後発医薬品企業の産業構造の転換を促すとともに、医療上必要性の高い品目の安定供給の確保も不可欠であるとしています。
 こうした中で今回イノベーションの評価、ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロス解消に向けた対応、医薬品の安定供給の確保、長期収載品の保険給付の在り方の見直しを併せて検討していく必要があるとしています。
 特に、創薬力強化などに向けた薬価上の措置の推進を図っていく際に、医療保険財政の中でこうしたイノベーションを推進するため、後発医薬品の安定供給を図りつつ、長期収載品の保険給付の在り方の見直しを行うということとしています。
 こうした政策的な要素を考慮した上で、見直しに当たっては長期収載品について、医療上の必要性があると認められる場合などは保険給付をするという前提に立ちつつ、後発医薬品が存在する中においても患者の選好により使用される場合があるなどといった長期収載品の使用実態なども踏まえ、具体的な手法として選定療養を活用することとすると整理しております。
 本部会における意見などを踏まえて、中医協において引き続き具体的に検討すべきであるとしております。
 また、患者や現場に混乱が生じないよう丁寧な周知を行うこととしています。
 続きまして、16ページ目を御覧いただきたいと思います。
 まず「保険給付と選定療養の適用場面」についてです。こちらは、先ほど論点2-1で御説明したとおりの中身で一旦整理をしております。
 また、2つ目、「選定療養の対象品目の範囲」についても、先ほど御説明しました上市後5年と置換え率50%を一つの基準として、上市後5年を経過したものについては対象とし、その上で、5年未満であっても置換え率50%に達している場合は選定療養の対象とするという形で整理しています。
 また、その負担に係る範囲については、4つの視点を踏まえながら、長期収載品の薬価と選定療養の場合における保険給付範囲の水準の差については、価格差の少なくとも2分の1以下とする方向で検討してはどうかとしています。例えば、価格差の2分の1、3分の1、4分の1といった定め方を検討することも考えられるのではないかとしております。
 また、先ほどの論点②についても、制度の趣旨を踏まえて一定割合の相当分とすることとしてはどうかとしています。
 これらの論点については、本部会の議論を踏まえて中医協において具体的に検討すべきではないかとしております。
 最後に17ページ目ですが、「その他」という形で今回の議論のスタートに当たり、当初「薬剤定額一部負担」「薬剤の種類に応じた自己負担の設定」「市販品類似の医薬品の保険給付の在り方の見直し」といった事項についても御議論いただきました。その際に、委員の皆様からいただいた主な意見を踏まえて、引き続き検討すべきであると整理しております。
 資料の説明は以上でございます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
 それでは、御意見等がございましたら挙手にてお願いいたします。オンラインで御参加の委員におかれましては挙手ボタンでお知らせください。よろしくお願いいたします。
 では、佐野委員よろしくお願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。
 ただいまの資料で示された論点を踏まえて、16ページの「見直し案」についてコメントしたいと思います。
 まず、最初の「保険給付と選定療養の適用場面」について、1つ目の○の「医療上の必要性」と、それから2つ目の○の①・②については案のとおりで良いと思います。一方で、実効性を持たせるためには3つ目の○にあるところの「医療上の必要性があると認められる場合」について、具体的な理由をレセプトに明記する等、処方、調剤の段階で明確になるような仕組みの整理が大変重要だと考えております。
 次ぎに、2点目の「選定療養の対象品目の範囲」について、前回「5年・50%」を基準とした上で、5年未経過のものについても検討すべきとコメントした趣旨がこの案に反映されておりますので、案のとおり進めていただければと思います。
 それから、3点目の「保険給付と選定療養の負担に係る範囲」ですが、患者負担の水準については、患者の負担増に一定の配慮が必要だと思いますので、価格差の2分の1以下とすることは妥当な範囲だと感じております。患者が後発品を使用するインセンティブがきちんと働く程度の水準にすべきだと考えますので、その観点を踏まえて中医協において具体的に検討いただければと思います。選定療養に係る負担については、やはり後発医薬品の使用を促進するという施策の趣旨から、案のとおり一定割合の相当分とするのが妥当だと思います。
 最後に17ページの「その他」に関してですが、持続可能性の観点から「市販品類似の医薬品の保険給付の在り方の見直し」等、ほかの課題につきましてもぜひ引き続きの検討をお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、猪口委員よろしくお願いいたします。
○猪口委員 よろしくお願いします。
 16、17ページの見直し案についてです。
 「保険給付と選定療養の適用場面」ですけれども、医療上の必要性があると認められる場合には引き続き保険給付の対象とすることに賛同いたします。銘柄名処方で患者さんの希望により先発医薬品を選択した場合や、一般名処方で患者さんが長期収載品を希望した場合、この場合は原則選定療養とすることには賛同いたします。
 しかし、前回もお話ししましたけれども、患者さんの希望であってもその背景には使用感や効き目が違うといった、患者さん御自身が感じている医療上の必要性が理由となっている場合がありますので、患者さんとコミュニケーションを取りつつ、しっかりと判断する必要があると思います。
 また、薬局に後発品の在庫がない場合など、後発医薬品を提供することが困難な場合について多くの地域で後発品の供給が不安定な状況である場合、これはやむを得ないものであり、保険給付の対象とすべきと考えます。
 また、「選定療養の対象品目の範囲」ですが、これは中医協での検討状況によって判断されればよいかと考えます。
 それから、「保険給付と選定療養の負担に係る範囲」ですけれども、①の患者負担の水準ということですが、これも前回お話ししましたけれども、長期収載品の薬価を超えて無制限に上乗せするのは当然のことながら適当ではありません。また、長期収載品の薬価よりも低い金額設定を認めることは競争をあおるようなことになり、適当ではないと考えます。
 また、③や④については過度にメリハリを利かせると自己負担が変動することによる患者さんの混乱や安定供給に支障が生じるおそれがありますので、最初はできるだけ低い割合から始めるべきだと考えます。
 例えば、選定療養となり患者さんに負担を求めるにしても、負担額が大き過ぎると受診控えにつながり、かえって重症化のリスクを生ずることは大きな問題となりますので、適切な負担割合の検討が必要と考えます。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、渡邊委員よろしくお願いします。
○渡邊委員 ありがとうございます。渡邊です。
 長期収載品の保険給付の在り方の見直しに関して、選定療養の導入については長期収載品の後発品への置換え等のことも鑑みてもやむを得ない議論と思っています。
 ただ、現場としては種々、懸念があると言わざるを得ず、その点の意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、何よりこれまでも申し上げてまいりましたが、現状の不安定な医薬品供給への対応においては、本来であれば発生しない納期不明などといったことに伴う追加的な業務や、発注から納品に相当な時間を要することにより、患者へ後日配送するといったような費用が発生してしまっているというようなことも含めて、薬局や医療現場で医薬品供給の不正常化の状態によって長期にわたって日々生じている負担も相当あります。
 また、これから年末年始を迎えるために、例年は処方も長期処方がなされる等といったこともあり、医薬品の備蓄などにさらなる不安を抱えているという現状です。
 このような状況が改善されないまま、今回この選定療養が導入されてくるとなると、患者さんへの説明、御理解をいただくためにさらなる時間を要してくるのではないかと思っています。このような過度に発生している現場の負担を御理解いただいて、十分に配慮をお願いするところであります。
 また、併せてこの導入の時期についても、来年6月の改定の施行時は今回診療報酬改定、介護報酬同時改定でもありますけれども、これらに係る患者説明にも時間を要するという状況であり、その時期に無理に合わせるのではなく、システム対応や患者負担が発生することの周知広報に十分な期間と余裕を持つことが重要と考えますので、医療現場、患者に混乱を来さないようにしっかりと配慮、丁寧な説明をお願いしたいと思います。
 また、各論点についてですが、前回の議論を踏まえた修正提案がなされているかと思います。重ねての詳細な発言は避けたいと思いますけれども、適用場面においては明白な医師の判断であることが確認できるということと、出荷調整等による先発医薬品の調剤は薬剤師の判断とさせていただきたい。
 また、対象品目は上市から一定の期間が経過している、もしくは妥当な置換がなされている品目とすること。
 また、「保険給付と選定療養の負担に係る範囲」については患者の負担増を最小限にとどめる割合にするとともに、当該負担額を徴収するということは決めておく必要があると思います。
 これらを踏まえて、中医協における慎重かつ丁寧な議論をお願いしておきたいと思います。
 私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、中村委員よろしくお願いします。
○中村委員 ありがとうございます。
 まず、医療上の必要性ということなのですけれども、先ほどおっしゃったように医師が理由を記入するように客観性が担保される仕組みが必要だと私も思います。
 それで、この医療上の必要性の判断を医師に任せてしまうと、例えば患者側に迎合するような医師に患者が流れてしまう。今かかっているお医者さんは自分の言うことを聞いてくれないから、言うことを聞いてくれるお医者さんを探そうということにもなりかねないので、かえって良心的な医師の方が困ってしまうようなこともあるのではないかと思います。ですから、やはり全て医師に必要性の判断を任せてしまうのではなくて、何か客観性を担保する仕組みが必要だと思います。
 それから、今回は長期収載品と後発品の差額の一部を患者負担とするという案になっています。これは初めて導入される仕組みであることから、まずは低い水準から始めるのがよいだろうということではないかと思うのですけれども、本来はその差額全額を患者負担とすべきではないかと思います。
 後発品の代わりに、長期収載品を使う医学的メリットというのは、探してみてもすごく明確なはっきりとした強いエビデンスというのは得られていないように思われます。それで、市販の様々な健康食品とかサプリメントを使用する場合と同様に、医療上の必要性についてエビデンスが不十分な選択を行う場合というのは、あくまでもその費用を自分で全て患者が負担した上で費用に見合ったベネフィットが自分にあるかどうかは患者が判断すべきではないかと思います。
 それから、薬局に後発品の在庫がない場合は差額負担の対象外とするという案についてですけれども、そうすると長期収載品を使用したいと考える患者にとっては後発品の在庫がない薬局のほうが好ましいということになってしまって、薬局は基本的には後発品の使用を非常に強く推進しているところが多いので、そんなことは考えにくいと思いますが、薬局に後発品の在庫を減らすようなインセンティブが働いてしまうと非常に困るので、そういうことがないようにすることが必要ではないかと思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。
 では、袖井委員よろしくお願いします。
○袖井委員 後発品について、患者の側にまだまだ誤解があると思うのです。私も後発品は効きが悪いだとか、後発品の中には発展途上国からドラム缶に入れて送られてきて、それを日本で包装するんだとか、そういううわさが流れているんですね。だから、医師から後発品を使うことの必要性、その利点というものをきちんと説明しないと、後発品についての誤解というのはまだまだあると思うんです。
 特に高齢者の場合ですと使い慣れた薬を使いたいという心理的なものがあります。例えば、形状とか、そういうものだけでもやはり違うのではないかという感じがあるので、その辺はちゃんと医師が説明する必要があるなと思います。後発品だから駄目なのではないかというのがまだまだあるということをぜひ分かっていただきたいと思います。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。
 では、横尾委員よろしくお願いします。
○横尾委員 ありがとうございます。
 印象で言うと、薄氷を踏んで氷の上をしっかり歩いていくという感じで、実に丁寧にいろいろなことを検討いただいているなと、いい意味で感じています。特に異議があるわけではありませんが、幾つか気づきを申し上げたいと思います。
 1つは今、先ほどの委員がおっしゃったように、後発品に関する正しい理解をもっと広げていく必要もあるのかなと思います。薬剤の作り方とかいろいろなものがあって、微粒子の単位ですけれども、成分がどこにあるとか、いろいろな方法はあるようです。こういったものが正しく理解されれば、先ほどのような懸念も減ると思います。
 2点目は、安定供給の確保のことが最初の項目の最後のところにも書いてありまして、不足する事態になるとみんな心配になるよということです。まさにそうだと思いますので、ぜひ可能ならばデータで把握をしてどこにどれくらいの薬剤があるか、後発品があるかも含めて分かるようにしておけば有効と思います。例えば3.11発生のときに私は佐賀県の公立病院のネットワークの会長だったのですぐ全国本部に電話しまして、医薬品が現地に足りないものと、ほかから回せるものと全部調べてもらって、早急にデータでバックアップして届けることをしたほうがいいということを申し上げて動いてもらったのです。そういうふうなことが有事でもできるような体制にもなっていきますので、ぜひデータ上でうまく管理できる。その対応もより迅速にデジタルで可能になっていますから、ぜひこういったことも安定供給の中で考えていただくといいかと思います。
 3つ目はイノベーションのことで、特に創薬力強化のことをうたっていただいているのですが本当に大切だと思っています。国家戦略としてやるべきだとも思っています。ようやくコロナについては日本の創薬が認められつつありますけれども、この間、莫大な金額を要したわけですが、全ての創薬並びに健康並びに医療に関する知見を総合的に集めて、国としてどういうふうにして国民の命を守り、健康を保持するかということも生かせるようになってきますので、ぜひこういったこともイノベーションで検討いただくとありがたいと思います。
 最後ですけれども、17ページに「その他」の項があって、「公的医療保険制度の原則」ということが2回出てきています。このことはとても大切だと思っておりまして、このことを踏まえながら丁寧な検討ということがとても重要だろうと思っています。
 併せまして、一般的にこれは世の中に出ていくと、いずれにしろ負担増だという話になっていくと大きな見出しになって、多くの高齢者の皆さんや一般の方も大変心配されます。心配されると、お金がかかって大変だからということで医療機関受診が減ったり、必要なお薬を飲まなくなったりということがあってはいけないことなんですけれども、そうならないためにも負担が過剰にならないようなことの検討もぜひ厚生労働省のほうで考えていただいて、健康保持や医学的な回復というものが進むように、ぜひ検討いただきたいと思います。
 以上です。
○田辺委員長 ありがとうございました。
 では、伊奈川委員よろしくお願いします。
○伊奈川委員 ありがとうございます。
 前回も申し上げましたが、やはり選定療養も国民皆保険体制の下で医療の公平性とか、あるいは質、そして財源なども踏まえた仕組みだというふうに私は理解しております。そういった点からいいますと、論点のうちの6ページの適用場面という点では医療上の必要がある場合は保険給付とするといったような配慮もありますし、また患者の選択といったような点、バランスを取ったのが今回の案ではないかと考えております。
 また、12ページの保険給付範囲の水準設定の関係ですけれども、これまでの歴史を見ましてもいろいろな考慮要素があってこの仕組みというのは動いてきたと思っておりまして、例えば大病院の集中といったようなことから初診時の負担といったような一種のインセンティブ的なものと、それとアメニティー的な要素のものとか、いろいろなものが入っていると思いますが、今回の場合はインセンティブという面があるとすればやはり水準設定に当たってもどの程度だとインセンティブが働くのかというような点が重要だろうと思っています。
 したがって、後発品価格の超過分の全額を負担するというよりは、どの程度インセンティブが働くかといったことを考える必要があるわけですけれども、そこはやはり薬価の水準、そして薬の長期収載品と後発薬との価格差といったような要素が働いてきますので、基本的な考え方としては2分の1以下とした上で考えていくという基本線を押さえておくとことが重要かと思っております。
 その上でソフトランディングをしていくといったようなことと、あとは先ほども出ておりましたけれども、一定水準より高い、あるいは低いといったようなところで、あまり裁量が働いてしまいますと混乱を招くということもありますので、その辺りも考える必要があるのではないかと考えております。
 以上であります。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、藤井委員よろしくお願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。
 2点ございます。
 まず1点目ですが、長期収載品の選定療養化による後発医薬品の置換えについては、この方向性は理解いたしますが、それは後発医薬品の安定供給が大前提であるということを改めて御認識いただきたいと思います。
 それから、これまで繰り返し申してまいりましたが、後発医薬品の供給体制は既に危険水域にあると思います。その逼迫度合いが高まれば、必要な医薬品を患者に供給できない事態が懸念されるわけでございますが、薬価の継続的な引下げに加え、昨今の人件費や材料費の高止まりで、現場が対応に苦慮している状況でございます。
 結局、国内で作り切れないので、海外に委託をするなどということが非常に今は多くなっておりますが、そもそも基礎的な医療をあまり過度に海外に頼るというのも危険ではないか。別に海外で作るのが悪いとは言いません。ドラム缶に入れてというのは、医薬品を入れるためのドラム缶がありまして、見た目はドラム缶ですけれども、ちゃんとやってあるのです。
 ただ、問題は委託する場合、医薬品メーカーというのは委託する工程も自社の工程と同じように管理することが求められているのです。ですから、頻繁に査察をしてチェックする必要があるのですが、実際になかなか今、査察へ行けないという状況もあったりしますし、あるいは査察をする人材、あるいは国内で医薬品を製造するための高度人材の確保すら難しくなっているということ、これは構造的な問題でございまして、私は非常に危険だと感じております。
 2点目でございます。処方される薬剤が保険給付と選定療養のどちらかというのは、患者の負担額に直結をいたします。そのため、薬剤の選択に対し、医師、薬剤師と患者とのコミュニケーションが極めて重要だと思います。
 資料1の6ページや16ページに「保険給付と選定療養の適用場面」が整理されておりますが、いずれの場合においても、費用を支払う患者と医師、薬剤師との間で、現場で混乱が発生しないよう、説明責任や患者との適切なコミュニケーションの在り方について、きめ細かな検討が必要と考えます。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、北川委員よろしくお願いします。
○北川委員 ありがとうございます。
 御提示いただきました見直し案については、全体として賛成です。2点、コメントさせていただきたいと思います。
 1点目は前回も申し上げましたが、6ページの論点のうち、医療上の必要性があると認められた場合について処方等の段階で明確になるような仕組みの整理を行うことにつきまして、客観的かつ公平な制度の運用が可能となるよう、ぜひ実施していただきたいと思っております。
 また、その際にはこれまでも御指摘がありましたが、医療従事者と患者の間に情報の非対称性があることに留意しまして、患者が制度の趣旨を選択し得る医薬品を理解した上で先発医薬品か、後発医薬品かを選ぶことができるよう、医療現場での患者への適切な説明、表示等の実施が担保されるよう、御配慮をお願いしたいと思います。
 もう一点は12ページの論点につきましてですが、協会としましては平成27年度から加入者に軽減額の通知をお送りするなど、フロントランナーとして後発医薬品の使用促進に取り組んでまいりました。各保険者の努力のみでは限界が見えてきている状況でございます。後発医薬品の供給不安をめぐる構造的課題の解決に向けて、関連制度を大胆に見直すことを引き続きお願いするとともに、今回の見直しは大変画期的なものと評価しております。様々なお立場があることは承知しておりますが、保険者の立場としましては長期収載品の薬価と選定療養の場合における保険給付範囲の水準の差については2分の1とする方向で検討を進めていただくよう、強くお願いしたいと思っております、
 また、選定療養に係る負担を徴収しないことや、標準とする水準より低い額で徴収するということにつきましては、そもそも選定療養は本人の自己負担を前提とするものであるということ、また後発医薬品の使用促進を図るという観点からも、認めない方向で検討していただきたいと考えております。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。
 では、池端委員よろしくお願いします。
○池端委員 ありがとうございます。
 私も、論点について幾つかコメントさせていただきたいと思います。
 全体的にはこの見直し案におむね賛成していきたいと思います。その上で、今ほど何人かの委員の先生がおっしゃったように、この選定療養をどう考えるかですけれども、まず医師の判断ということが非常に不安だというところもありますが、10年前、20年前であれば確かに医師も先発に対するある意味のインセンティブ、気持ちの上でのインセンティブがあったところがありますけれども、最近ここはほとんどなくなっているのが現状かと思います。
 一方、患者さんの不安は確かに私も時々お聞きすることはありますけれども、これも保険者側から後発品に対するいろいろな説明等のパンフレットも配付されたり、逆に患者さんからこういうものが来ているんだけれども後発品に変えても大丈夫でしょうかということを聞いていただくこともよくありますので、これはお互いにしっかり話をしていけばいずれ分かっていただけるのではないかと思います。
 ただ、一方で、初めて選定療養ということでこの差額を見るということは、やはり一定程度のインパクト、ある意味では高齢者の方にとって特にインパクトがあるのではないかと思います。自己負担がたとえ差額の2分の1、3分の1、4分の1であっても、今まで負担しなくてよかったものを負担する。恐らくこれが今日ここで通るとなると、明日の見出しが想像つくのですけれども、また高齢者の負担を増やすというようなことがぼんと見出しで出てしまっては、袖井委員もおっしゃったように高齢者の不安をあおることになると思いますので、ここは少しでもそういう点で軌道修正していただきたいという意味を込めて、できるだけ最初のうちの負担額というのは低めに抑えたほうがソフトランディングしやすいのではないかということで、私は4分の1、3分の1を想定していいのではないかと考えています。
 ここで1点質問なのですけれども、もう一つ、選定療養として、乗じて差額よりも上げたり、逆に下げたりということは今回の趣旨からすると外れていると思うので、私はフィックスした選定療養費というものが正解ではないかと思います。けれども一方で、選定療養費の在り方としてフィックスすることが可能かどうか。前回もちょっと質問させていただいて、回答として検討するということでしたが、これが可能かどうか。現時点で可能ということであれば、そのほうが私はいいと思うので、もし今、事務局でお考えがあったらもう一度その点について質問させていただきたいと思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 この点、回答をお願いいたします。
○荻原室長 保険医療企画調査室長でございます。
 池端委員からいただいた御質問についてですが、一定金額以上、若しくは低い額を徴収するという仕組みでなく、今回、負担水準を固定するという点について、法制上の制度、整理として問題がないかどうかという御趣旨と考えております。
 保険医療機関及び保険療養担当規則におきましては、基本的に保険医療機関としては選定療養に関する支払いを受けようとする場合においては、当該療養を行うに当たり、その種類及び内容に応じて厚生労働大臣が定める基準に従わなければならないとされています。
 具体的な基準としては、例えば療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚労大臣が定める掲示事項など、そういった告示などで定められています。
 法令上で見ますと先ほど療担規則を御紹介しましたが、法律から省令、省令から告示等へと委任がされておりまして、この委任に基づいて今般、長期収載品の選定療養についてこの部会の御議論を踏まえながら選定療養として受け取る金額について基準を示すということは可能であろうと考えてございます。
 以上でございます。
○田辺部会長 池端委員、よろしゅうございますか。
○池端委員 はい。
○田辺部会長 ほかはいかがでございましょう。
 では、村上委員お願いいたします。
○村上委員 ありがとうございます。
 私も、今回の御提案はこれまでの議論を踏まえての提案と受け止めています。その上で、3点発言をさせていただきます。
 1点目は12ページの負担に係る論点で、給付範囲の水準の差をどうするか幾つか案が示されております。
 13ページでイメージが出ておりますが、どの水準であっても患者の負担自体は増すわけですし、服用が積み重なればそれなりの金額になることもありますので、過度な負担とならないよう、中医協では配慮ある慎重な検討をお願いしたいと思います。
 2点目は、15ページ、なぜ選定療養の仕組みを活用するのかということについて、注2で、これまでも医療保険財政の持続可能性や効率的な運用の観点から政策的な対応がなされてきたと記憶があります。
 この点は前回も様々な御発言があったように、困ったときの選定療養頼みとならないよう、目的と手段の観点から、今後、選定療養の仕組みを整理していく必要があるのではないかと思っています。
 3点目は、17ページ「その他」の項目で「薬剤定額一部負担」「薬剤の種類に応じた自己負担の設定」「市販品類似の医薬品の保険給付の在り方の見直し」について引き続き検討とされております。この点については、以前、11月9日の部会でも申し上げたのですが、医療給付の割合は将来にわたり3割とするという2002年の健康保険法改正附則との関係や、経済的による医療品、医薬品へのアクセスの課題もありますので、慎重な検討が必要と考えております。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますか。
 では、酒向委員よろしくお願いします。
○酒向参考人 ありがとうございます。
 横本委員の代理として発言させていただきます。
 基本的に事務局の御提案については賛同いたします。
 その上で、6ページ目の適用場面に係る論点についてでございますが、選定療養の適用場面が患者さんにとって分かりやすい制度となるような工夫をお願いしたいと思います。
 また、制度の公平性の観点から医療上の必要性が本当にあるかということをきちんと担保し、その担保の手段の具体的な詰めを今後お願いしたいと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。
 様々な御意見、ありがとうございました。
 ただ、私の認識といたしましては、特にこの案に関しまして異論はなかったという理解でございます。
 それでは、この方向性につきましてはおおむね御了解、御了承いただいたということでよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○田辺部会長 ありがとうございます。
 それでは、その方向で対応したいと存じます。本議題についてはこれまでといたします。
 次に、「入院時の食費について」を議題といたします。事務局から、資料の説明をお願いいたします。
 では、よろしくお願いします。
○荻原室長 保険医療企画調査室長でございます。
 資料2「入院時の食費について」を御覧ください。
 1ページ目、前回、11月9日、当部会におきまして入院時の食費の見直しについて御議論いただきました。その際、いただいた主な御意見を並べています。
 1つ目は、食材費等が大きく高騰していることを踏まえると、入院時の食費を引き上げることはやむを得ないのではないか。
 2つ目、標準負担額(自己負担)分は食材費と調理費が含まれるとされていることを踏まえると、食材費等の高騰については標準負担額の引上げにより対応すべきではないか。併せて、保険給付分への影響についても検討すべきではないか。
 3つ目、引上げ額については介護の食費との差、家計支出等も踏まえて適切な額になるように検討することが必要ではないか。
 こういった主な御意見を頂戴しております。
 2ページ目は前回もお示しいたしました「入院時の食費をめぐる状況」でして、病院給食の委託単価の状況を見ると、現行の公定価格、1日分にすれば1,920円、これを上回っている状況であるということをお示ししております。また、家計の食費支出については、近年、大幅に上昇しているということを併せて並べています。
 3ページ目は、「入院時食事療養費の概要」になります。
 「入院時食事療養費」は保険給付の対象となりますが、基本的な構造としては1食当たりの総額と自己負担分を国が定め、その差分を保険給付で支給する仕組みとなってございます。
 「食事療養基準額(総額)」そのものにつきましては健保法などに基づき、中医協における諮問事項となっております。
 併せて、「標準負担額(自己負担)」分について、当部会で御議論いただいています。
 4ページ目を御覧いただくと、制度発足以来の食事療養費などの変遷についてですが、総額としては1日当たりで見ますと平成9年以来1,920円という額で変わっておりません。
 右下にあるように、介護保険制度では、施設入所者の食費の基準費用額は1食当たり482円となっており、これとの差分が生じているという状況でます。
 6ページ目を御覧いただきますと「入院時の食費の見直し」ということで、今回、改めて事務局から御提案しております。
 入院時の食費につきましては、昨今の食材費等、特に足元で大きく高騰しております。また、介護保険の食費の自己負担は1食当たり約482円と入院時の食費との差が22円となっています。家計における食事支出や介護保険の食費も参照しながら、食材費等の高騰を踏まえた対応を行うという観点から、入院時の食費につきまして例えば30円引き上げることとしてはどうかとしております。
 下に注意書きがありますが、併せて例えば、入院時の食費と同様の価格設定がされている入院時の生活療養費の食費部分についても同様の見直しを検討することとしています。
 もう一点、食費の総額、先ほど御紹介しましたが、こちらについては本日も並行して、中医協で議論が行われてございます。中医協におきましては、また別途、入院時の栄養管理体制の充実も含めた評価の在り方についても、これは報酬上の話として併せて検討を行っているという状況です。
 最後でございますが、見直しの施行日につきましては令和6年度予算編成過程を経て決定していくこととしております。
 資料の説明は以上でございます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
 それでは、御意見等ございましたら挙手にてお願いいたします。オンラインで御参加の委員におかれましては、挙手ボタンでお知らせいただければ幸いです。
 では、佐野委員よろしくお願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。
 今、資料6ページで例示のありました30円引上げという金額については、病院給食の委託単価及び介護保険の基準費用額との差額を勘案すると妥当な水準だと考えます。
 前回も申し上げましたように、食事はどのような方でも、自宅であるかどうかにかかわらず必要なものであって、従来からこの食材費・調理費は自己負担額に入るものとして整理をされてきました。そのため、今回の食材費等高騰への対応としては、自己負担額の引上げになるものと認識をしております。
 また、在宅医療との公平性の観点から、今回の見直しによる保険給付部分への影響はないと考えております。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、猪口委員よろしくお願いいたします。
○猪口委員 お願いいたします。
 入院時の食費についてです。資料5ページの参照条文に「食事の提供に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める額」とあり、平均的な費用という意味ではこれまで様々なところで繰り返し主張されているとおり、物価の高騰にもかかわらず入院中の食事療養費は約30年間据え置かれ、もはや経営努力のみでは食事療養の提供が極めて困難な状態となっております。
 当然ながら、食事療養は病気治療の一環として非常に重要なものであり、その質が下がることは医療の質の低下を意味します。このようなことを踏まえれば、御提案いただいているとおり、入院時の食費については食材費等の高騰も踏まえた対応が必要だと思います。
 前回の医療保険部会で報告があったとおり、令和5年度の対応は重点支援地方交付金、令和6年度は地域医療介護総合確保基金による対応を念頭に、診療報酬の見直しと併せ、予算編成過程において検討とされています。交付金は20円の対応であり、今回の案では30円の引上げとなっていることから、できるだけ早期の基金ではなくて診療報酬での対応となるべきであり、診療報酬改定の実施時期の令和6年6月からの適用が適切なのではないかと考えております。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、伊藤参考人よろしくお願いいたします。
○伊藤参考人 ありがとうございます。福島県保健福祉部政策監の伊藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 入院時の食費については本部会等での議論を踏まえて見直しが行われるところですが、先月閣議決定された経済対策において、診療報酬の見直しが行われるまでの間の医療機関に対する支援として、2024年度については地域医療介護総合確保基金による対応を念頭に検討するとされております。
 確保基金は原則3分の1の都道府県負担が求められるものでありますが、今回の食材料費の高騰に対する支援については全額国費で措置されるべきものであり、都道府県に財政負担を求めることがないよう改めて強くお願いいたします。
 また、制度設計に当たっては都道府県と十分協議の上、地方の意見を踏まえていただくようお願いいたします。
 私からは以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかは、いかがでございましょう。
 では、村上委員よろしくお願いします。
○村上委員 ありがとうございます。
 前回も申し上げたのですが、物価の上昇を踏まえた対応そのものについては理解をしているところです。その際、今回実施するとしても、その後の患者さんの状況などについて精査や検証をすることが必要ではないかと思っております。
 なお、病院における食事は治療の一環という基本は現在も変わらないと思っています。これを踏まえ、今後も物価の上昇はあり得ることですので、入院時の食事療養費がどういうものなのかという本質的な議論を改めて行っていくことも必要と思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、藤井委員よろしくお願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。
 現在、原材料費、人件費、光熱費など、食事を作るのに必要な様々なコストが上昇していることを踏まえますと、入院時の食費総額の引上げは、やむを得ないと考えます。
 その引上げ分を自己負担と保険給付でどうカバーするについてですが、入院しているか否かにかかわらず食事は生活の一部ですので、食費引上げ分は自己負担で賄うのが適切と考えます。
 以上でございますが、食費でさえ、これだけ上がるということですから、薬価がなぜ下げられるのかというのは、私は非常に疑問でございます。
 余計なことを言って申し訳ございません。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、横尾委員お願いいたします。
○横尾委員 確認なのですけれども、4ページにこれまでの経緯が出ているのですが、平成6年から見ると総額1,900円が平成30年で1,920円、これが30円上がるんですか、90円上がるんですか。食費を例えば30円上げるというのは、1食当たり30円ですか。
○荻原室長 保険医療企画調査室長でございます。
 今回の御提案は1食当たり30円上げるという御提案ですので、1日当たりにしますと90円増額という形になります。
○横尾委員 その中で自己負担と保険給付の数字が出ていますけれども、平成6年と比べると自己負担600円から1,470円くらいになりますか。それで、保険給付が1,500円台ぐらいか、1,600円くらいになるのですけれども、この趨勢は今後とも変わらないというふうに認識しておいたほうがいいでしょうか。
○荻原室長 基本的な食事療養費制度の仕組みとしましては、食材費、調理費に関しては原則として自己負担という構造になっております。
 今回は食材費高騰を踏まえた対応ということで、かつ自己負担分の議論については当医療保険部会における議論マターであるという整理がされていまして、今回の御提案は食材費の対応という形になりますので、原則としては患者の自己負担というのをベースにしていくということかと理解しています。
○横尾委員 繰り返し文書の中にも書かれているように、食事というのも大切な体の組織をつくっていき、再生するために必要ですし、健康回復に欠かせないものですから、そういった意義をぜひ報道の方にも伝えていただかないと、他の委員も別の項目で言われたように、また上がるのか、また負担増かというふうなトーンが走ってしまうと、どうしても誤解を招いてしまうので、医療的な効果があることが、この食事、特に入院時の食事だということをぜひお伝えをいただきたいと思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、池端委員よろしくお願いします。
○池端委員 ありがとうございます。
 この入院時の食費に関しては、先ほど猪口委員もおっしゃったように病院団体として30年来の願いであって、30年間据え置かれたこと自体が異常事態だという認識で、毎回診療報酬の際には要望した内容なので、一定程度御理解いただいたということで歓迎したいと思います。ただし今回は30円掛ける3で90円、1か月で2,700円を自己負担で賄うということになります。となると、これについては、先ほどの長期収載品の差額分も自己負担、これも自己負担というのが明日同時にシンプルに新聞紙面等に出るわけですね。ということは、患者さんにとっては、何だ、けしからんと思われても仕方ない。
 特に食事というのは確かに皆さん公平ですけれども、低所得者にとっても食費は本当に大事なところですので、ぜひそこは丁寧な制度設計、何らかの救済も含めて同時に考えていかなければいけないのではないかということを病院団体としても御提案させていただきたいと思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
 では、ほかに御意見がなければ、方向性につきましてはおおむね御了承いただいたということでよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○田辺部会長 ありがとうございます。
 それでは、本議題についてはこれまでといたします。
 次に、「令和6年度診療報酬改定の基本方針について」を議題といたします。本日は、これまでの議論を踏まえた基本方針の案を事務局より提出していただいていております。本日の議論にもよりますけれども、本日当部会としての取りまとめができればよいかと思っている次第でございます。
 それでは、事務局から資料の説明をお願いたします。よろしくお願いします。
◯竹内課長 医療介護連携政策課長でございます。
 令和6年度診療報酬改定の基本方針につきましては、前回の部会におきまして骨子案をお示しし、御議論をいただいたところでございます。本日はそれを踏まえまして、基本方針の案をお示ししてございます。資料3-2の基本方針(案)の本文に沿って、骨子案から修正した点を中心に御説明をさせていただきます。
 資料3-2の1ページ目、「1.改定に当たっての基本認識」とございますけれども、このパートにつきましては骨子案から修正した点はございません。
 4ページまでお進みをいただきたいと思います。
 上から2つ目の◯の1行目でございますが、「医師等の働き方改革を進め、心身ともに健康に働き続ける」という記載がございます。ここは、精神面の健康も重要であることを強調する観点から「心身ともに」の文言を追加するよう当部会で御指摘がございましたので、追記をしてございます。
 5ページを御覧いただきたいと思います。
 下から2つ目の黒ポツでございますけれども、医歯薬連携も大事であり、追記するよう、これも当部会で御指摘をいただきましたので、追記をしてございます。
 次に6ページでございます。
 最初の◯の黒ポツの部分でございますけれども、リハビリテーションにつきましては既に早期から行われているため、「より早期から」という表現がいいのではないかと、これも当部会で御指摘がございましたので修正をしてございます。
 次に、下から2つ目の◯の「新興感染症等」で始まる項目の黒ポツの部分でございますけれども、薬局と連携する取組の重要性につきまして当部会で御指摘をいただきましたので、「医療機関」の後に「薬局」ということで追加をさせていただいております。
 次に8ページにお進みをいただきたいと思います。
 上から2つ目の◯の「重点的な対応が求められる分野への適切な評価」の項目でございますけれども、救急医療における「軽症」、それから「中等症」という表現につきまして、医療部会において複数の御指摘がございましたので、記載を適正化し、「高齢者の救急医療の充実及び適切な搬送の促進」という表現にしてございます。
 11ページを御覧いただきたいと思います。
 最後の「3.将来を見据えた課題」のパートの部分でございます。
 最初の◯のところでございますが、「全世代型社会保障」を将来に向けて持続可能なものとするよう取り組んでいくことの重要性につきまして、当部会で御意見をいただきましたので、追記をしてございます。
 また、公費も加わって現在の医療を支えているという実態に沿った表現にしていくべきとの御指摘が当部会でございましたので、御指摘の趣旨を踏まえた修正をしてございます。
 2つ目の◯では、国民への丁寧な説明だけでなく理解を得ていく努力が必要であるとの御指摘を、これは医療部会でいただきましたので、追記してございます。
 最後に3つ目の◯でございますけれども、ヘルスリテラシーの向上の必要性につきまして明示的に記載するよう当部会で御意見をいただきましたので、追記をしてございます。
 なお、前回と同様、参考資料1-1といたしまして前回の医療保険部会における各委員の発言要旨、また参考資料1-2といたしまして前回の医療部会における各委員の発言要旨、参考資料1-3として医療を取り巻く状況等について関連するデータなどの参考資料をおつけしてございます。
 私からの説明は以上でございます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
 それでは、御意見等ございましたら挙手にてお願いいたします。オンラインで御参加の委員におかれましては、挙手ボタンでお知らせいただければ幸いです。
 では、北川委員よろしくお願いします。
○北川委員 ありがとうございます。
 今回の基本方針案の取りまとめについては、御苦労さまです。ありがとうございました。これまでの議論を踏まえたもので、この方向性について異論はございません。
 1点だけコメント申し上げたい部分がございます。11ページで最後に御説明がありました「ヘルスリテラシーの向上」を明記していただいた点でございます。全世代対応型の持続可能な社会保障制度の構築を通じて、制度を将来の世代にきちんと引き継いでいくためには、国民のヘルスリテラシーの向上こそが最大の原動力であると考えております。幅広い主体の連携とともに、さらなる周知啓発に取り組むことが極めて重要であると認識しております。
 協会としましても、今後ともこの分野について積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、横尾委員お願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。
 私も、1つ目は今のと同じページで、11ページの「将来を見据えた課題」のところで、「持続可能な」ということをあえて入れてくださいと申し上げたところ、すっと入れていただいてありがとうございました。
 薬で言うと、漢方薬のようにというたとえがありますけれども、そのように本当に多くのことが連動的に度重なって、そのことが全世代型社会保障制度を将来つくっていくと思いますのでよろしくお願いしたいと思います。
 また、併せて「ヘルスリテラシー」についてもデジタルガバナンスに関連して過去も何編か発言していましたが、本当に重要なことだと思っています。先日、医療の専門家の方々、病院長とか学長クラスの方々の専門員のお話を聞いたのです。その皆さんも、本当に一人一人の国民が健康に関する意識を持って、医学的な知見の一部も時々学びながら日々の仕事や暮らしをやっていけば、健康に暮らしていけると話されました。特に自らの健康管理が重要です。人々の健康事情を見れば、特に日本の現状は肥満と糖尿病と腎症が静かに増えています。しかも自覚症状が少ない病のため、症状に気付くときにはステージも進んで、死亡率を高める原因にもなりますので、大変憂慮されています。そういう観点からも、やはり一人一人が自分の健康を自分で守るという意識を持った国民を育成することが不可欠と感じます。そうしていかないと、医療費の財政はもとより、様々な医療ニーズに対する対応のためにも非常に重要だということをおっしゃっていたのです。ですから、ぜひ今後ともこういったことをお願いしたいと改めて思っているところでございます。
 このことをしっかりやっていけば、いわゆるマイナンバー制度に伴うマイナポータルで見る自分の健康の情報がいかに有効かということとか、あるいは救急医療に関しても効力を発しますし、さらには災害のときの避難所でのメディケア、ヘルスケアについてもすぐ対応できますので、こういったことを厚労省、政府におかれてはぜひ世の中に前もって発信していかれれば、いろんなことに関する理解も進み、応援団も増えていくというふうに感じておりますのでよろしくお願いします。
 ただ、一点、全体を通じて個人的に気にしているのは、診療報酬改定だけではなかなか打開できないかもしれないのですが、働き方改革がいよいよ医師の分野にも入ってくるわけでございます。現状、例えば運送とか建設現場等を見ても、特に今、人不足の原因の1つは働き方改革が徹底していく形の中で出てきているように散見しております。そういった中で、ドクターの皆さんや医療スタッフの皆さんがしっかり安心して仕事ができ、かつ、やりがいをもって医療に臨み、そしてそこでそれを享受する患者並びに家族の方もよかったね、安心だねということもできるように、お互いに知恵を出していくことがとても大切な時代だなというふうに感じています。
 この診療報酬改定の議論と合わせるかのように、一方では働き方改革がどんどん進んでいかなければいけないという時代と、給与アップとか、子ども・子育てとか、いろいろなことが出てきていますので、多角的な配慮と検討を厚生労働省はなさっていると思いますが、さらに深掘りをしながらお力添えをぜひいただきたい。
 そのことが日本の医療と、またいろいろな財政の安定も含めて多くの皆さんの安心につながりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、伊藤参考人よろしくお願いします。
○伊藤参考人 ありがとうございます。
 今回提示されました基本方針(案)につきましては、これまでの本部会での議論を踏まえた内容となっており、賛同いたします。
 その上で、全国知事会としてこれまで求めてきたところの物価高騰、人材確保、新興感染症への対応、医療DXの取組について、従来の診療報酬だけでは十分な対応が難しい状況であることを踏まえ、今回の診療報酬改定において適切な評価が実施されるよう重ねてお願いいたします。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは前葉委員、よろしくお願いいたします。
○前葉委員 ありがとうございます。
 11ページの「将来を見据えた課題」のところで「補助金等の予算措置などにより社会保障が支えられていること」というふうに書き込んでくださってありがとうございました。
 私はこの文章はこれでいいと思いますが、改めてなのですけれども、補助金の仕組み、制度が一定、社会保障の中で役割を果たしていくというのは当然のことかと思いますが、本当に保険の議論と政策の議論がある意味、折り重ならなければいけないことは十分理解した上で、こちらの医療保険部会においては純粋な保険の議論をしているわけなのですけれども、一方で子供政策の話にしても高齢者福祉に関連する、これは介護保険にも関係している話にしても、あるいはフレイルということであれば高齢者医療保険に関わる部分に入っていきます。
 どこからどこまで保険の事業でカバーをし、そして政策でどこをやらなければいけないか、非常にその境界線が難しくなってきているなというのは、私ども地方自治の最前線に立っていて実感しているところでございます。
 今後もこちらの医療保険部会でしっかりとした医療保険の議論をしながら、一方で、政策でカバーしていくということに関しては、今後も首長の立場としてしっかりやっていかなければいかんと思いますが、その際、全国一律で決められていくべきことが地方に任されると、地方自治の中でなかなかうまく受け止めをしにくい、あるいは水準を合わせにくいというようなことがありますので、そういうことに関しては地方で執行する場合には地方財政措置がしっかりついてくるという形での財政的な配慮をなさっていただきながら、私どもも役割を果たしていかなければいけないなと感じているところでございます。
 以上でございます。ありがとうございました。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、猪口委員よろしくお願いいたします。
○猪口委員 ありがとうございます。前回、意見を少し言わせていただいて、それを反映していただいております。どうもありがとうございました。
 今後、この基本方針、特に基本認識や重点課題を踏まえて、中医協においては国民の安心できる医療の提供を実現できるような議論を進めていただきたいと思います。ぜひよろしくお願いいたします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。
 では、渡邊委員よろしくお願いします。
○渡邊委員 ありがとうございます。
 改定の基本方針については、意見を踏まえた修正を追記いただいておりますことに感謝を申し上げたいと思います。
 また、基本認識や重点課題にもなっている医療現場の厳しい状況を十分に踏まえた上で、今後、中医協等において各項目における記載事項を具体的に反映するための議論もお願いしておきたいと思います。よろしくお願いします。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございます。
 では、大杉委員よろしくお願いします。
○大杉委員 ありがとうございます。
 今までたくさんの方が言われておりますけれども、本日提出された令和6年度診療報酬改定の基本方針案につきましては、改定に当たっての基本認識、改定の基本的視点と具体的方向性に関して、これまで議論されてきたことや重点項目がおおむね網羅されていると認識しており、事務局案に賛同いたします。
 また、歯科医療従事者である歯科衛生士、歯科技工士などのコ・デンタルスタッフなどの人材確保や賃上げに向けた取組も記載されており、賛同いたしたいと思います。
 また、厚労省をはじめ関係各位の御尽力に感謝を申し上げるところでございます。
 また、資料3-2の11ページに示されておりますけれども、「将来を見据えた課題」に記載のある4つの課題にも十分留意しながら、この基本方針に沿った取組が確実に推進されるよう要望いたします。
 私からは以上になります。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、池端委員よろしくお願いします。
○池端委員 ありがとうございます。
 私も、この基本方針について全く異存はありませんのでありがとうございました。
 その上で1点、今、横尾委員から医師の働き方改革について、私は応援の言葉だと思って受け取りましたけれども、この概要の中の改定の具体的な方向性の1番に【重点課題】としてあって、その中でここにある医療従事者の賃上げと、それからタスクシェア、タスクシフティング、長時間労働に対する云々ということで各項目がありました。
 これは全て医師の働き方改革につながるものだと思いますけれども、基本的に私たちの年代の医師、50代、60年代というのは病院にずっと24時間近くにいて当たり前、いなさいと言うほうも、いるほうも当たり前と思っていて、それが医者の本来の務めだと思って全く苦もなくいたのが現状です。
 ただ、これからそれをがらっと変わり、帰りなさい、いてはいけないよという本当に大きな方向転換で、今、逆に若い医師はどうしていいか分からないというところもあって、病院、特に大きな病院では非常に困っている。
 なぜかというと、今までそれだけ長時間労働したのを短くするために、本来ならば人を1.3倍、1.5倍配置というように、その分の潤沢なお金を入れて人を増やしてやるならばうまくいくけれども、お金は出せない。何とかIT化と、効率化と、そしていろんなタスクシェア、シフティング等でやりなさいということ、もちろん保険制度を持続可能なものにしなければいけない、国民皆保険を守らなければいけないことは我々も全く同感ですが、そういうかなり厳しい運営の中で働き方改革をしなければいけないということの現状を本当に御理解いただきたいと思っています。
 一方で、この働き方改革は4月からは法改正の上で実施されるもので、極論を言えば管理者がそれを守らないと逮捕されてしまう可能性もあるぐらい厳しい改正になっています。その辺は我々も努力しますので、この保険医療部会としても御協力いただけるところはぜひ御協力いただきたいということを最後に申し上げたいと思います。
 ありがとうございます。
○田辺部会長 ほかはいかがでございましょうか。
 では、任委員よろしくお願いします。
○任委員 ありがとうございます。
 今回示されました診療報酬改定の基本方針に私も異論はございません。
 その上で、賃上げに関しまして1点、コメントをさせていただきます。
 前回、この部会でも発言しましたとおり、ほかの産業への人材流出が懸念されており、全ての医療関係職の賃金引上げが極めて重要であると考えています。
 本日の資料の4ページ目の1つ目の○には、看護師の賃金は全産業平均よりも上と読み取れる記述があり、それ自体は誤りではございませんが、これは夜勤手当を含んでのことでして、それを考えますとベースとしての給与は決して高い水準ではないですし、労働に見合った賃金かどうかは疑問であると考えます。
 さらには、看護師の賃金は経験を積んでもあまり上がらず、30歳代以降は一般産業を下回り、年齢を追うごとにその差が広がって、40歳代前半では一般産業よりも月額で7万円以上低く、40歳代後半では月額で約10万円も低くなるというのが現状でして、人材流出が懸念される状況であることに変わりはございません。
 また、これも前回述べましたが、看護職員処遇改善評価料が前回の診療報酬改定で設けられたとはいえ、看護職の3分の2に当たる約100万人がその対象にはなっておりませんので、看護師の処遇改善はまだまだ道半ばという状況です。夜勤の負担も大きく、命に向き合う責任の重い仕事ですが、年代によっては全産業平均よりも賃金が低いという状況は改善していく必要があるということをぜひ御理解いただきますようよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、大体御意見は出尽くしたと思います。いろいろ御意見はございましたけれども、大筋におきましてこの基本方針に関しては大方お認めいただいているというのが私の認識でございます。
 それでは、基本方針としての取りまとめを行いたいと思います。その際、社会保障審議会の医療部会においても基本方針の議論を行っており、本日いただきました御意見は医療部会との調整を含めまして、最終的な基本方針の文案につきましては部会長の私のほうに御一任いただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○田辺部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきたいと存じます。
 ほかに御意見等なければ、本日はこれまでとしたいと存じます。
 次回の開催日につきましては、追って事務局の方より連絡いたします。
 本日は御多忙の折、御参加いただきましてありがとうございました。それでは、散会いたします。