第171回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和5年11月29日(水)16:00~17:40

場所

全国都市会館 大ホール

議題

  1. 1.令和6年度診療報酬改定の基本方針について
  2. 2.「経済財政運営と改革の基本方針2023」等関連事項について
  3. (報告事項)
  4. 1.「デフレ完全脱却のための総合経済対策~日本経済の新たなステージに向けて~」について
  5. 2.令和5年度補正予算案(保険局関係)の主な事項について

議事

議事内容
○池上課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第171回「医療保険部会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、御多忙の中、御参加いただきまして、大変ありがとうございます。
 まず、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
 本日は、河野委員より御欠席の御連絡をいただいております。また、原委員より途中から御出席なさるとの御連絡を、また、内堀委員より途中から出席され、途中で退席されるとの御連絡をそれぞれいただいております。
 なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、御退席のほうをお願いいたします。
(冒頭カメラ撮り終了)
○池上課長 それでは、以降の議事運営は、田辺部会長にお願いいたします。
○田辺部会長 それでは、早速議事のほうに入ってまいりたいと存じます。
 本日は、「令和6年度診療報酬改定の基本方針について」と「「経済財政運営と改革の基本方針2023」等関連事項について」を議題といたします。
 まず、「令和6年度診療報酬改定の基本方針について」を議題といたします。
 それでは、事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。
○角園推進官 医療保険制度推進官でございます。
 私のほうから、議題1について御説明申し上げます。議題1については、骨子案の概要の資料1-1及び骨子案本体の資料1-2をお配りしておりますけれども、これまでの御議論を踏まえて、本日は骨子案本体のほう、1-2で前回の修文を中心に御説明させていただければと思いますので、資料1-2を御覧ください。
 まず、1ページ目、改定に当たっての基本的認識についてです。
 1つ目の物価高騰の箇所でございますけれども、食材料費だけでなく光熱費についても記載すべきという御意見を踏まえまして、記載を加えさせていただいております。
 2つ目の○でございますけれども、経済対策のほうが閣議決定されたということでございますので、関連する記載を加えさせていただいております。
 2つ目、全世代型社会保障の実現云々の箇所でございます。
 1つ目の○につきまして、人口構造の変化につきましては既に直面していて、今後はこうした傾向が加速していくものであるという旨の指摘を踏まえまして、記載を修正してございます。
 2ページの一番上の○、このパートの最後でございますけれども、地方における医師の確保が重要な課題であるという御意見がございましたので、その旨を記載させていただいております。
 3つ目、医療DXの箇所でございます。
 1つ目の○に関しまして、医療DXを進めるに当たり、国民への働きかけも重要である旨の御意見をいただきましたので、追記をさせていただいております。
 2つ目の○でございますけれども、医薬品等の生産供給体制の構築について御意見をいただきましたので、その旨を追記してございます。
 2ページの一番下、社会保障制度の安定性の箇所でございます。
 下のほうの○の最後のところでございますが、前回、無駄の排除という文言がございましたが、「更なる適正化」といった文言にすべきではないかという御指摘がございましたので、そのような形で修正してございます。
 続きまして、3ページは大きく2つ目の改定の基本的視点と具体的方向性ということで、冒頭に○を4つ記載させていただいております。これまでの改定の経緯や、今回の令和6年の改定のコンセプトについて簡潔に記載させていただくとともに、診療報酬改定DXの文脈で施行時期を6月に後ろ倒しにしたことについて記載してございます。
 3ページの下段以降、中身でございますけれども、1つ目の基本的視点でございます。こちらのタイトルにつきましても、雇用情勢のところですが、現時点だけの問題と誤解されないように、文言を工夫するように御指摘がございましたので、「現下の雇用情勢も」と修正してございます。
 4ページの中段以下、具体的な方向性の例のところでございます。
 1つ目の○の医療従事者の人材確保や賃上げに向けた取組の箇所でございますけれども、こちらについてより詳しい内容を加えたほか、前回まで働き方改革に向けての取組の推進としてまとめていたものにつきまして、以下、考え得る施策を分割して記載させていただいております。
 また、一番下の「多様な働き方を踏まえた評価の拡充」につきましても、働き方改革の推進の文脈で重要な項目であるということで記載させていただいております。
 5ページ(2)で2つ目の基本的視点でございます。
 こちらの中段、具体的方向性の例の箇所ですけれども、医療DXの部分につきましては、2つ目のポツに「電子処方箋せんの普及」など、より具体的な施策の記載を加えてございます。
 以降、5ページの最後から7ページにかけまして、これまで提示していた○のところの具体的方向性に関するより詳細な記載を黒ポツで加えさせていただいてございます。
 7ページの中ほど(3)で3つ目の基本的視点でございます。
 基本的視点の1つ目の物価高騰の箇所と同様でございますけれども、光熱費について記載を加えさせていただいてございます。
 8ページの中ほど、2つ目の○の重点的な対応が求められる分野のところの記載でございますが、これまでの部会での御意見も踏まえて、救急医療の記載を修正してございます。
 また、下から2つ目の○でございますけれども、こちらについて歯科に関して具体的な施策を加えているほか、その下の○でございますけれども、薬局や薬剤師に関する具体的な施策の記載を加えているところでございます。
 次に9ページ中段のところ(4)の基本的視点の4つ目でございます。
 こちらの2つ目の○でございますけれども、今回の改定につきましては、団塊の世代が75歳以上となる2025年をまたぐ節目の改定であること、また、その前提で2025年に向けて進めてきた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上につながる取組をしっかりやり遂げることが不可欠であるというような御意見をいただきましたので、その旨を記載させていただいております。
 その下、具体的方向性の例におきましては、9ページの下から2つ目の黒ポツでございますけれども、バイオ後続品の使用促進に関する記載を加えてございます。
 その後につきましては、基本的に再掲部分でございますので、元の部分に合わせた修文をしてございますけれども、11ページの3の手前にある最後の○で薬局の評価に関する記載を再掲で加えさせていただいております。
 最後に、3として「将来を見据えた課題」という章を起こしてございます。こちらはこれまでの改定の基本方針でも審議会で御議論いただく中で、将来を見据えた課題という項を立てて論点を整理しておるものでございますので、こちらについてもこれまでの議論を踏まえて、大きく4点記載をさせていただいてございます。
 また、本日は参考資料として前回の医療保険部会、また、同時に御議論いただいております医療部会における各委員の発言要旨、また、医療を取り巻く状況について、参考資料の1~3という形でお配りさせていただいております。
 本日も各委員の先生方から幅広い御意見をいただきながら、さらに肉付け・修正の作業をしていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 私からの説明は以上でございます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
 それでは、御意見等がございましたら、挙手にてお願いいたします。オンラインで御参加の委員におかれましては挙手ボタンでお知らせください。いかがでございましょうか。
 では、佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 まず、本日ご提示いただいた「骨子案」については、事務局において、これまでの議論を過不足なく整理されている印象を受けております。例えば医療保険制度の安定性・持続可能性の観点については、我々が今まで申し上げてきましたとおり、これまで進めてきた施策を着実に進めることが必要不可欠であることを明記いただいておりますし、また、「基本的視点と具体的方向性」の総論部分においては、様々な課題を網羅的に押さえた上で、「効果的・効率的で質の高い医療サービスの実現に向けた取組を進める」という記載もございますので、適切にまとめていただいたと考えております。
 また、4ページの最初の○の部分でございますけれども、「医師、歯科医師、薬剤師及び看護師以外の医療従事者の賃金の平均は全産業平均を下回って」いるという記載があることについては、医療従事者の中でも賃金に格差があることを前提とした表現ですので、前回まで何度かデータの提出をお願いした趣旨が反映されたものと受けとめております。
 「基本認識」の冒頭や「基本的視点」の総論では、物価高騰・賃金上昇、人材確保の必要性、患者負担・保険料負担のほかに、「経営の状況」を踏まえることが前提となっております。先週、中医協に報告されました医療経済実態調査の結果を拝見すると、医療機関の経営状況に格差があると申し上げざるを得ません。
 今週月曜日には、私ども支払関係団体として厚生労働大臣に要請書を提出し、このなかで、高止まりする医療費の自然増によって保険財政も国民負担も大変厳しいなか、「診療所と病院の経営状況の違い」も踏まえて、「大胆な配分の見直し」や、「真に有効でメリハリの利いた診療報酬改定」が必要であるということを指摘させていただいております。
 もちろんこの医療経済実態調査の結果については、中医協のほうで詳細に議論されると承知しておりますが、基本方針においても医療機関の経営状況を踏まえた判断というのはあってしかるべきだと考えます。もちろん賃金、また、物価の動向を考慮することは当然否定いたしませんが、同時に、効率化・適正化、さらには現役世代の負担軽減につなげるということも極めて重要であるということで、今まで申し上げておりますけれども、基本的視点の(1)だけでなく、(4)医療保険制度の安定性・持続可能性の向上も重点課題にしていただきたいということを改めて主張いたします。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、猪口委員、よろしくお願いします。
○猪口委員 細かいことですが、2点ほどお願いいたします。
 まず、5ページの下から4行目になります。その前から言うと、薬局・訪問看護ステーション等との連携、医科歯科連携、それから、医療と介護という連携の流れになるのですが、その前に医歯薬連携という言葉、医師と歯科医師と薬剤師の連携も入れたほうがよいのではないかということです。
 それから、6ページの2行目です。ここでADL低下の防止等を効率的に行うため、早期からの取組とありますけれども、実はリハビリテーションは今、かなり早期からやることを診療報酬等でも評価されておりますので、早期からの前によりを入れて、より早期からというような表現がよろしいのかなと思って少し意見を言わせていただきました。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、袖井委員、よろしくお願いします。
○袖井委員 おおむねこの枠組みで大丈夫と思うのですが、言葉を入れていただきたいと思うのは4ページ目の2段目の○です。「加えて医師等の働き方改革を進め、健康に」と書いてあるけれども、心身ともにという言葉を入れていただきたい。心を病む方が非常に多くて、最近も自殺なさった方がいるとか、それから、過労死とか、麻薬に走るお医者さんもいらっしゃるということなので、ここは心身ともにという言葉を入れていただけないかと思います。
 それから、その次の5ページのポスト2025の「地域包括ケアシステムの構築が進められてきたが」という辺りです。現実には2025年までに各地域に地域包括ケアシステムを確立するということが、たしか厚労省のスローガンだったと思うのですが、そこまでいっていないので、道半ばとか、そのようなうまくいかなかったということも付け加えたほうがいいかなと、これは個人的な感想でございます。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、藤井委員、よろしくお願いします。
○藤井委員 まず、改定に当たっての基本認識についてでございますが、商工会議所が今月公表しました社会保障制度改革の提言と、これの方向性がおおむね一致していることを申し上げたいと思います。
 特に、2ページに記載されております国民を含めた国全体での医療DXの推進、医薬品の安定供給に不可欠な生産供給体制の構築、それから、経済・財政との調和、国民の制度に対する納得感の醸成、こういった視点は大変重要でございます。また、医療と介護サービスの連携が適切かつ円滑に行われる環境や体制の整備促進も必要と考えます。
 次に、11ページの「将来を見据えた課題」についてでございますが、下から2つ目の○に、国民一人一人に対するセルフケアの推進支援と国による環境整備の必要性が明記されております。国民が自身の健康増進のみならず、医療保険制度への関心と理解を深める自助の促進に取り組めるよう、健康医療データの共有、閲覧、かかりつけ医の制度化などを併せて進めていただければと思います。
 我が国の安心な暮らしや長寿社会は、医療関係者の皆様の御尽力によって支えられているわけでございますが、その御努力たる医療提供サービスの質が適切に評価されるとともに、医療費の適正化につながる診療報酬制度にしていただけるよう、お願いしたいと思います。診療報酬改定の具体的な議論は、中央社会保険医療協議会で行われると承知しておりますが、ぜひとも、こうした理念に沿った議論が行われることを期待いたします。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、前葉委員、よろしくお願いします。
○前葉委員 今、藤井委員がおっしゃったところと同じページなのですが、11ページの「将来を見据えた課題」の1番目について意見を申し述べたいと思います。
 国や地方自治体の補助金等の予算措置など、総合的な政策の構築が不可欠であるという記述はちょっと強いのではないか。なぜならば、診療報酬改定の基本方針の記述でありますので、診療報酬のみならずというところを言っていくのであれば、こういうことも相まって、例えば補助金等の予算措置も相まって、総合的な政策を構築していくことが求められる程度の記述のほうがなじむのかなと思います。
 もとより我が国の医療費について診療報酬に基づき、基本的には医療保険と自己負担で賄われているものではございますが、現実には、国や地方の財政支援も加わって成り立っているという実態がございます。自治体では独自財源を捻出して、子供の医療費、あるいは不妊治療など、様々な財政助成をしておりますので、多くの自治体でこういう住民に対する医療費助成は定着してございます。現在では、ある意味で当たり前のようにも思われておりますが、各自治体で独自財源を捻出して実施することが当たり前ということではなくて、国民が必要とする医療を地域格差なく一定の制度の下で受けられるようにしていくことが当たり前ということにしなければいけません。
 したがって、国や地方自治体の補助金等の予算措置という表現ぶりから受ける印象は、公費による補助金等を実施するために必要な財源を確保するのが当たり前と思われるとすれば、ややミスリードになってしまいます。このような公費助成も加わって現在の国民の医療費を支えているという実態に沿った表現にしていくことが適切ではないかと思いますので、そのような意見を申し述べさせていただきました。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、渡邊委員、よろしくお願いします。
○渡邊委員 現状を踏まえて数点意見を述べさせていただければと思います。
 まず、何より冒頭の基本認識にありますように、物価高騰とともに人材を確保するに当たっての賃金上昇への対応が喫緊の課題になっています。日本薬剤師会で実施しました賃上げの状況調査においても、約3割の薬局で賃上げが実施できていないという状況、そして、賃上げを実施できている薬局でも賃上げ率が1.99%にとどまっていて、全産業部分を大きく下回っているという状況です。
 また、現在基本方針の骨子案の中に、「薬局の経営状態等も踏まえ」と書いていただいていますけれども、規模の小さい薬局に大きな影響が出ないように、地域の医療提供体制を持続可能な形で確保できるように、必要な対応をお願いしたいと思っております。
 その中で、少し細かい部分になりますけれども、示されている骨子案の6ページに新興感染症に関する記載があります。最後の部分で「高齢者施設等」とも書かれておりますけれども、コロナ対応においては、自宅療養であったり宿泊療養であったりという部分への対応がかなりの重みで生じておりました。その部分を頭に置いて、医療機関、薬局等との連携という部分を視野に入れておく必要があるのではないかと思っています。
 また、9ページの(4)の具体的方向性の例において、長期収載品の保険給付の在り方が記載されておりますけれども、現在の医薬品の供給状況に鑑みれば、来年6月の改定施行の当初から導入するのではなく、制度設計、周知広報は十分な余裕を持って、現場や患者さんに混乱を来さないように、しっかりと入念な準備と丁寧な説明をお願いしておきたいと思います。
 また、10ページの適正化の項に改めて医療DXの内容が再掲となっています。さらなる進展の先に効率的な運用につなげるためのビジョンという部分は理解しておりますけれども、現在薬局においてもしっかりとした対応を進めているところでもあり、医療DXを盛り立てていくためには、その評価が必要だと思っています。医療DXの工程表にも鑑みて、今回の改定の中で、適正化という部分の中で無理な見直しがなされないようにお願いをしておきたいと思います。
 私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、内堀委員、よろしくお願いいたします。短い時間しか参加できないということでございますので、ここで御発言を求めたいと思います。また、議題1以外の議題に関しましても御発言したいとの御意向を伺っておりますので、併せて御発言いただいて構いませんので、よろしくお願いいたします。
○内堀委員 田辺部会長、ありがとうございます。
 議題1、報告事項1について、まとめてコンパクトに発言をさせていただきます。
 まず、議題1です。今回提示された基本方針骨子案について、これまでの本部会での議論を踏まえ、必要な基本認識や基本的視点が盛り込まれていると考えています。物価高騰により医療機関の経営に影響が出ています。また、人材確保、新興感染症への対応、医療DXの取組について、従来の診療報酬だけでは十分な対応が難しい状況であることを踏まえ、今回の診療報酬改定において適切な評価の検討をお願いします。
 次は報告事項1についてです。医療分野における物価高騰については臨時的な補助金等ではなく、診療報酬の改定による対策を求めてきました。今般、入院時の食費について診療報酬の見直しに向けた検討が行われることは、全国知事会が求めている趣旨に添うものと認識しています。
 一方、先日閣議決定された経済対策において、2024年度については地域医療介護総合確保基金による対応を念頭に、診療報酬の見直しと合わせ、2024年度予算編成過程において検討とされています。地域医療介護総合確保基金は原則3分の1の都道府県負担が求められていますが、今回の食材料費の高騰に対する支援については、全額国費で措置されるべきものであり、都道府県に財政負担を求めることがないよう、強くお願いをします。
 私からは以上です。どうぞよろしくお願いします。
○田辺部会長 内堀委員、ありがとうございました。
 それでは、横本委員、よろしくお願いいたします。
○横本委員 骨子案について修正求めるものではございませんが、私から2点申し上げたいと思います。
 まず(1)に織り込まれております賃金・物価対応につきましては、基本認識におきまして「総合経済対策を踏まえつつ」とあるとおり、診療報酬改定だけで対応すべきものではない点を改めて申し上げたいと思います。医療従事者の処遇改善については医療機関内、特に診療所における配分の問題もあるのではないかと考えられます。今後、医療分野での経営状況の見える化が進められる中で、どのような対応が必要か検討すべきと考えております。
 2つ目は(4)効率化・適正化についてですが、この項目におきまして、医薬品だけでなく、再掲ではあるものの入院、外来、調剤についても明記いただいたことにつきまして評価をさせていただきたいと思います。現役世代の減少は、医療保険財政だけではなく、サービスの提供体制にも大きな影響を及ぼすことになります。各分野での効率化・適正化を一層進める形にしていただきたいと考えております。
 私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、任委員、よろしくお願いいたします。
○任委員 診療報酬改定の基本方針に関しまして、幾つか意見を述べさせていただきます。
 まず、4ページに医療従事者の賃上げに向けた取組の推進と明記していただきましたが、医療従事者の賃金引き上げが極めて重要だと考えています。ほかの産業では政府の方針に沿って賃金の引き上げが進んでいると存じます。看護職に限らず全ての医療関係職種の賃金引き上げが重要であると思います。
 看護職につきましては、令和4年度の診療報酬改定におきまして、看護職員処遇改善評価料を新設いただいたところですが、これは一部の医療機関に勤務する看護職員のみを対象としているため、看護職の3分の2に当たる約100万人は対象となっておりません。
 日本看護協会が毎年把握している病院看護職員の離職率を見ても、新型コロナウイルス感染症対応などの影響によって、ここ数年、離職率は上昇傾向に転じています。最新のデータである2022年度の離職率は11.8%で、上昇傾向が続いています。また、20代、30代を中心に、他産業への転職を希望する声もあり、人材流出が懸念されております。全ての医療関係職種の賃金引き上げにつながるよう、必要な措置を講じていただきますよう、お願いいたします。
 次に、6ページの外来医療の機能強化についてです。今後は外来医療・看護の機能が極めて重要であると考えています。これまでも発言してまいりましたが、外来における療養指導等により重症化を予防することが重要であり、外来における療養指導の強化が必要であることを改めて強調させていただきます。
 私からは以上です。ありがとうございました。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、村上委員、よろしくお願いします。
○村上委員 今回お示しいただきました骨子案について特段異論はありませんが、この間、具体的なことも含めて申し上げてきた点について、中医協で申し送りいただくよう、お願いいたします。
 また、6ページに新興感染症に関する記載がございます。この点は基金などで対応すべきものと診療報酬で対応すべきものという役割分担があるかと思いますので、診療報酬の特例措置による効果の検証を踏まえ、中医協で議論を尽くしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、横尾委員、よろしくお願いします。
○横尾委員 大変多くのいろいろな議論があったものを総合的に整理いただいて、事務局も大変だったなと感謝申し上げます。幾つか意見を申し上げます。
 一つは、最初のページにもございますし、11ページの将来を見据えた場合の課題というところでも記述がありますけれども、全世代型社会保障のことです。この構築は急務の課題であると冒頭部分で触れていただいていますが、ぜひ持続可能な全世代型社会保障と記述いただくとありがたいなと思っています。
 なぜならば、医療費の増額とかが社会問題化しているとか、負担感が全世代にわたっているとかいうことで課題になっているわけですけれども、これは政策を仕掛けただけで改善できるとは思えません。一人一人の国民が自分の健康は自分で守るという意識を強く持って、医療・健康に関する様々なデータ、PHRも含めて理解をする。そして、そのことをうまく活用しながら自身の健康を増進し、適切な医療にアクセスできる環境に持っていかなくてはいけないと思います。
 そういった意味では、以前にも申し上げましたが、国民のヘルスリテラシー、医療情報、健康情報に関するリテラシーを高めていくことが必要なので、こういったことは最後のところにも触れていただくとありがたいと思っているところです。
 振り返りますと、明治期に日本は開国をして文明開化の波に乗ってというか、各国へ訪問したり、いろいろなことをしていますが、そのときに大変うまくいったことや戦後の改革もうまくいったときに、海外の方々が誤解されていたのは、日本は多分識字率が高くないだろうと思っていらっしゃったのですが、世界で一番ぐらい識字率が高かったのです。そのことによって情報も速やかに全国へ行き渡り、また、協力もでき、いろいろな新しい時代の変化にも対応ができるようになったと思うのです。
 デジタル社会を前提に考えていくと、Society5.0の中で、いわゆるDXはどんどん進んでいくと思います。そういった中に、有効な活用策の一つとしてヘルスリテラシーがあると考えています。そういった意味では、厚生労働省のみならず、以前も申し上げた文部科学省とか、もっと言えば総理官邸にしっかりグリップいただいて、そういったことを高めていくことによって、間接的かもしれませんけれども、医療に関する国民の健康が確保できること、そして、医療費に関しても適正化できると思いますので、ぜひ御検討をお願いしたいと思うところです。
 2つ目は、6ページ目に記述されている新興感染症のことです。以前発言をしたと思いますが、今回のコロナ禍の経験は次の時代につないでいかなくてはいけないと思います。日本の場合は世界でSARSが流行ったときにあまりひどくありませんでしたので、なかなか対応も危機感も高くなかったということでバタバタと対応することがありました。一方、例えば台湾とかでは大変有能な大臣もおられたわけですけれども、どう対応するかということを過去の感染の混乱や、そのときの症例や対応を前提に考えられたと思うのです。
 今回のコロナの感染はまだ完全に収まっていませんけれども、次の時代に生かさなくてはいけませんので、ここで検証をしたり、新しい対策や施策を考えたり、検討したりということも忘れないうちにやらないと、意味がないと感じております。そういったことも勘案いただくとよいのではないかと思います。
 特に自宅療養の方が後半は増えていきましたが、そこでどのような課題が実はあったのか、もっといい方法はなかったのか、あるいは感染に伴う後遺症で何百ともいわれる症例がありますけれども、お困りの方はまだいらっしゃるようでありますので、そういった方々へのフォローをどうするのか、こういったことも含めて政策の中で考えていただくと、多くの国民の方々が安心もされますし、より有効な対策を次のときに取れると思いますので、ぜひそういったこともお願いをしたいと思います。
 私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、大杉委員、よろしくお願いします。
○大杉委員 骨子案と骨子案概要についてコメントさせていただきます。
 これまで日本歯科医師会として発言したことも含めておおむね網羅していただいており、厚労省関係各位に感謝を申し上げます。
 「改定の基本的視点と具体的方向性」に示された3ページの(1)重点課題の「現下の雇用情勢も踏まえた人材確保、働き方改革等の推進」において、11月24日に公表された第24回医療経済実態調査では、多くの小規模な個人立歯科診療所において損益差額がこれまで以上に低下しており、昨今の物価高騰の中、従事者への対応はこれまで以上にぎりぎりの状況であることも明らかになりました。
 また、歯科においては新型コロナウイルス感染症関連の補助金も、令和3年、4年はほとんどありませんでした。安心安全な地域歯科医療の提供を継続していくため、人材確保の観点からも経営基盤の強化が必要と考えております。改定の重点課題とされております人材確保につきましては、歯科においても必要な支援をお願い申し上げます。
 5ページの(2)ポスト2025を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DXを含めた医療機能の分化・強化、連携の推進についてですが、令和6年度は医療・介護・障害福祉サービスの同時報酬改定であり、リハ・栄養・口腔の一体的な推進には非常に期待をしております。
 6ページの上段には、先ほど猪口委員の御発言にもありましたように、「ADLの低下の防止等を効果的に行うため、早期からの取組の評価や切れ目のない多職種による取組を推進」とされております。口腔の問題は症状などがかなり進行した時点で連絡を受けることが多いため、歯科医療職が少ない回復期病棟や療養病棟へ移行する場合など、リハビリテーションを始めるできるだけ早い段階で口腔の状況を評価し、歯科と連携する仕組みを検討していただきたいと考えております。医療・介護とも情報連携が密になることにより、誤嚥性肺炎や低栄養等への重症化予防に貢献することができるのではないかと考えております。医療においても介護においても切れ目なく情報連携と医療提携がスムーズに行えるよう、要望いたします。
 また、11ページの「3.将来を見据えた課題」に記載のある4つの項目については非常に重要であると考えております。特に1つ目の○に示された「「全世代型社会保障」を実現するためには、診療報酬のみならず、医療法、医療保険各法等の制度的枠組みや、国や地方自治体の補助金等の予算措置など、総合的な政策の構築」を確実に行ってほしいと考えております。
 私からは以上でございます。
 
○田辺部会長 ありがとうございます。
 では、北川委員、よろしくお願いします。
○北川委員 今回の骨子案につきましては、これまでの議論を踏まえたものであり、方向性については異論はございません。また、私ども保険者の立場としましては、冒頭の佐野委員の御発言に賛同したいと思っております。
 その上で、1ページの冒頭に、物価高騰、賃金上昇、経営状況、人材確保の必要性、患者負担、保険料負担の影響を踏まえた対応という表記がございますが、これに関連しまして一言申し上げたいと思っております。
 確かに物価や賃金の動向についての考慮は必要でありまして、処遇改善についても重要だと考えております。他方で、医療費の増加傾向が続く中で、医療保険制度の持続可能性に懸念があることや国民負担の状況が限界的であるということを踏まえれば、メリ張りの利いた診療報酬改定を行うことで、可能な限り患者の負担増や保険料の上昇を避ける必要があると考えております。
 また、9ページの「医薬品産業の構造の転換も見据えたイノベーションの適切な評価や医薬品の安定供給の確保等」につきまして、革新的新薬等のイノベーションへの配慮と、後発医薬品等の品質と安定供給の確保、この双方を実現できるよう、関連検討会の議論も注視しながら、単に薬価を見直すのではなく、特に業界における構造的な課題に対しまして将来の礎になるような制度の見直しを図っていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、ほかに御意見等がなければ、本議題についてはこれまでとしたいと存じます。
 本日の意見も踏まえつつ、議論を深めていければと存じます。
 次に「経済財政運営等改革の基本方針2023」等関連事項についてを議題といたします。事務局から資料の説明のほうをお願いいたします。
○荻原室長 保険医療企画調査室長でございます。
資料2「経済財政運営と改革の基本方針2023」等関連事項についてを御覧いただきたいと思います。
 1ページ目以降、4ページ目までは、前回11月9日の当部会において、委員の皆様からいただいた御意見を抜粋し、それぞれのテーマごとに掲載しています。
 5ページ目、今回、主な論点の2保険給付と選定療養の適用場面・対象品目とあります。
 6ページ目、長期収載品の保険給付の在り方の見直し及び選定療養の活用についてです。前回の医療保険部会でいただいた御意見を上のほうにまとめていますが、それを踏まえ、今後の進め方ということで、長期収載品の保険給付の在り方の見直しを中心に検討を進めていくこととし、その具体的な手法としては選定療養を活用することとしています。
 続きまして、具体的な論点について御紹介したいと思います。
 11ページ目、まず1つ目ですが、保険給付と選定療養の適用場面に係る論点についてです。これまでも医療保険部会の議論の中でございましたが、医療上の必要性があると認められる場合があります。こちらについては選定療養とはせずに、引き続き保険給付の対象とする方向で検討を進めてはどうかとしております。
 その上で、医療上の必要性が認められる場合に関して、例えば医療上の必要性により医師が銘柄名処方、後発品への変更不可とした場合が考えられますが、①と②のようなケースについてはどう考えるかという論点を並べています。まず、1つ目が、銘柄名処方の場合であっても、前回医療保険部会でも少し御紹介しました患者規模によって先発医薬品を処方・調剤した場合、もう一つ、一般名処方の場合についてどう考えるかというのがあります。
 もう1点、後発医薬品の確保が困難な場合が想定される場合もあります。その場合、選定療養としてどう考えるかというのがもう一つの論点としてあろうかと思います。
 12~22ページ目にかけては参考を2つ紹介しています。
 まず、参考1、後発医薬品の薬事上の品質確保等についてでございます。13ページ目を御覧いただくと、後発医薬品に関しまして、薬事上の承認審査に当たりまして、先発医薬品と品質、有効性、安全性において同等であることを審査していると書いています。また、剤形による製剤の特性、または機能等の品質につきましては、日本薬局方を原則準用し、適合しているということを確認しています。
 14ページ目が、今申し上げた内容を表として整理したものです。
 また、15ページ目を御覧いただくと、承認時の審査にとどまらず、承認後の製造段階におきましても製造管理と品質管理に係る基準、いわゆるGMPを先発医薬品と同様に適用しているというのがあります。
 続きまして、17ページ目以降、参考2、後発医薬品の安定供給についてです。
 19~20ページ目を御覧いただくと、後発医薬品産業のあるべき姿、その実現に向けた産業政策について、現在検討会において幅広い議論が行われていることを紹介しています。
 21ページ目、鎮咳薬・去痰薬の安定供給に向けた年内の緊急対応として、メーカー主要8社の協力により供給量を増加させるとともに、年明けのさらなる増産に向けて、これまで増産要請に対応してきた企業がさらなる増産を行う場合の人員体制の整備や設備の増強を支援するとともに、令和6年度薬価改定におきまして、安定的な供給確保に向けた薬価上の措置を検討するとされています。
 続きまして、24ページ目、選定療養の対象品目に係る論点です。選定療養の対象となる長期収載品の品目の範囲についてどのように考えるかというのがこの論点です。具体的には、長期収載品の薬価ルールについて見ますと、後発医薬品の上市後、徐々に後発品への置き換えが進む中で、上市後年数に着目して薬価ルールを設定しているということも参考にしながら、例えば以下のような観点についてどう考えるかというのがあります。1つ目が、今申し上げた後発品上市後の年数といった点、加えまして、後発品への置き換え率といったところも併せて視点としてあり得るかと考えています。
 25ページ目、現状の長期収載品に関する薬価上のルールの全体像でして、上市後5年経つと、いわゆるZ2ルールという長期収載品薬価に関するルールが適用され始めます。以降、10年後になると、G1、G2といったルールが適用され、後発品価格の引き下げを徐々に進めていくことになっています。
 続きまして、29ページ目、保険給付と選定療養の負担に係る範囲についての論点でございます。保険給付と選定料の負担に関して4つ視点を並べています。
 1つ目が、患者さんが長期収載品を先行する場合における負担の水準について。
 2つ目が、メーカーによる薬剤工夫など、付加価値などへの評価。
 3つ目が、医療保険財政の中でイノベーションを推進する観点や従来とは異なるアプローチでさらなる後発医薬品への置き換えを進めていく観点。
 4つ目が、選定療養化に伴いまして一定程度は後発医薬品への置き換えが進むということが想定される中で、現下の後発医薬品の供給状況。
 こういった視点についてどう考えるかを並べています。
 具体的な論点のイメージとしては、30ページを御覧いただくと、論点の1つ目が、選定療養の場合における保険給付の範囲の水準です。この水色のラインをどういった形で線引きしていくのかというのが論点の1つ目です。
 もう一つ、論点2がございまして、緑色の部分、上下に矢印が向いていますが、選定療養に関する負担について、どの程度、標準とするべきかといった点があります。その際に、長期収載品の薬価を超えて選定療養に係る負担を徴収することを認めるのかどうか、この上向きの矢印について認めるのかどうか。また逆に、選定療養に係る負担を徴収しないとか、低い額で徴収することを認めるのか、この下向きの矢印を認めるかどうかといった点が、もう1つ、具体的な論点としてあろうかと思っております。
 最後に33ページ目、長期収載品に係る現行の薬価上の措置について、前回の医療保険部会でも御意見を頂戴しておりまして、長期収載に係る薬価上の措置の見直しというのは現場への影響が非常に大きいことを十分に留意し、拙速な導入がなされるべきではないという御意見もありました。いただいた御意見も踏まえながら、長期収載品の薬価上の措置につきましては、中医協のほうで御議論いただくこととしています。
 資料の説明は以上でございます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
 それでは、御意見等がございましたら挙手にてお願いいたします。オンラインで御参加の委員におかれましては挙手ボタンでお知らせください。
 では、佐野委員、お願いいたします。
○佐野委員 まず、長期収載品の保険給付の在り方の見直しの具体的な手法として、選定療養を活用するということについては賛成でございます。
 その前提で、各論点についてコメントしたいと思います。
 11ページの「保険給付と選定療養の適用場面に係る論点」について、選定療養の活用を推進するという観点からコメントします。当然、医療上の必要性に配慮して除外要件を設定することが必要だと考えておりますけれども、適正な運用という観点から医学的に妥当な判断を担保することも重要だと思います。論点に示されておりますケース①、②のいずれも原則として選定療養の対象とした上で、除外要件の適用については、例えば具体的な理由をレセプトに明記するなど、一定の担保は不可欠であって、適正な範囲にとどめる必要があると考えております。また、後発医薬品の確保が困難な場合については、出荷停止や出荷調整がかかっているものは、当然一定の配慮が必要だと思いますが、全体として必要量が供給できているものについては、原則として選定療養の対象とする方向で検討すべきだと考えます。
 次に、24ページの「選定療養の対象品目に係る論点」については、選定療養の活用を推進する観点に立って、対象は極力広く取るべきだと考えます。薬価制度においては、後発品が出てから原則5年が経過した段階から長期収載品の薬価を強制的に引き下げていくということでございますので、年数については「5年」が一つの目安になると考えます。また、置換え率については、一般の感覚で言いますと、過半数が使用しているということであれば、後発品が浸透していると考えることもできます。医療上の必要性に配慮した除外要件の設定を前提として、置換え率は50%を基準とする方向で検討すべきだと思います。結論的に言いますと、「5年・50%」を基準とした上で、5年未経過のものについても対象として検討すべきだと考えております。
 最後に、29ページの「保険給付と選定療養の負担に係る範囲についての論点」でございます。このうち①患者負担の水準については、もちろん長期収載品と後発品の差額の全額とは言いませんけれども、患者の負担増に一定の配慮をしながら、患者が後発品を使用するインセンティブがきちんと働く程度の水準にすべきだと考えます。
 また、②付加価値等への評価については薬価制度のほうで考慮すべきことであって、選定療養の仕組みとして対応することには違和感を覚えます。③イノベーションの推進と従来と異なるアプローチよる後発品の置き換えを進める観点については、選定療養による財政負担の軽減をイノベーションの推進に充てるということではなく、長期収載品を使用している患者が選定療養をきっかけに後発品の使用が当たり前になっていることを改めて知り、御自分も後発品を使用しようとする意識を高めていくことが重要だと考えます。そうした中で、患者の負担が減り、かつ保険給付も適正化されることを通じて、医療保険制度の安定性・持続性を確保しつつ、革新的な新薬を評価するための財政的な余力を生む、こういう考え方が重要だと考えております。そのためには、④にございます後発品の供給不安は極めて重大な問題だと思いますので、こちらについては早急かつ確実に安定供給を確保することは不可欠であると思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、中村委員、よろしくお願いいたします。
○中村委員 11ページの論点について申し上げたいと思います。
 まず、医療上の必要性というところの判断なのですけれども、これは医師が必要性を自由に判断できるとなってしまうと、例えば風邪への抗菌剤の処方についても、患者が強く希望するから処方したとおっしゃる医師が結構多いといわれておりまして、ですから、何でも全て医師が医療上の必要性を判断するということではなくて、こういう薬剤でこういう場合には医療上の必要性が認められると限定する必要があるのではないかと思いました。ですから、疾患と薬剤の限定が必要ではないかと思いました。
 それから、後発品の確保が困難な場合に選定療養を除外すべきであるということは賛成いたします。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、横本委員、よろしくお願いいたします。
○横本委員 私からは保険給付と選定療養の負担につきまして、1点御質問をさせていただきたいと思います。
 30ページの①では、長期収載品と後発品の価格差を踏まえとありまして、イメージ図では、後発品の価格は一つのパターンのみ記載されております。しかし、実際には後発品が一つの価格には集約されず、複数の価格帯に分かれているものも一定数あると承知しております。そのような場合には、どのような対応が想定されるものなのか、事務局のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○田辺部会長 では、御質問がございましたので、回答のほうをお願いいたします。
○荻原室長 横本委員からの御質問にお答えいたします。
 具体的に後発品は御指摘のとおり、複数の価格帯が存在します。実際、長期収載品の薬価と後発品の薬価の差分の基準とする後発品の薬価をどう考えるかということだと理解をしていまして、具体的には中医協で御議論いただくと思っておりますが、一つの観点としましては、長期収載品の保険給付の部分と後発品の保険給付の部分のバランスをどう図るかという点を考えていく必要もあると思います。いずれにせよ、後発品の薬価そのものに係る話でございますので、具体的には中医協のほうで御議論いただくということかと思いますが、今のような視点も含めて御検討いただくということかと思っています。
 以上です。
○田辺部会長 横本委員、よろしゅうございますか。
○横本委員 ありがとうございました。
○田辺部会長 では、猪口委員よろしくお願いいたします。
○猪口委員 まず、11ページについてコメントをさせていただきます。患者希望により先発医薬品を処方調剤した場合という場合分けがされております。実際、臨床上、医療機関とか薬局で、例えば自己負担のない患者さんもいらっしゃいますので、そういう方が先発品を希望するというようなことがあって、しばしばそれがトラブルの元になっているのです。したがいまして、どのような場合に選定療養になるのかということを、現場でこのようなトラブルが生じないように明確なルールが必要だろうと思います。
 その上で、11ページの一番上に書いてある、1つ目のポツについては論点のとおりだと思います。
 2つ目のポツですけれども、医師が療養上必要と認める場合の例示として、銘柄名処方を行った場合は保険給付の対象として当然認められるべきとありますが、2つのケースとも本来的には患者選択と考えます。ただし、患者の希望といってもいろいろと医療上の必要性も含まれていることもありますので、ここら辺はしっかりと医師のほうも判断する必要があります。
 それから、3つ目のポツですけれども、現行の後発品の不安定な供給の状況では、このようなことは日常的に起きるだろうと考えられますので、これは選定療養の適用ではないと考えます。
 続きまして、30~31ページについてです。患者さんが長期収載品を選択した際の患者の負担水準についてはしっかり考える必要があります。確かに実際の負担割合を超えて高い金額を徴収することもあり得ますし、また、低い価格に設定することによって少しでも多く患者さんに来てもらおうという考え方もあるかもしれません。したがって、このルールをしっかりとつくる必要があるだろうと思います。
 それから、負担の割合ですけれども、選定療養とした場合には、まず、患者さんの混乱を最小限にするためにも、できるだけ低い割合から始めるべきではないかと思っております。その点については御配慮をお願いしたいと思います。
 それから、1つ質問をさせていただきます。現在の社会保険診療報酬は非課税ですけれども、選定療養は課税されております。そこで、今回の長期収載品に関わる選定療養の消費税についてはどのような対応になるのか教えていただきたいということです。現在は病院の受診時の定額負担も7,000円とかありますが、これは一応内税と分類されているのではないかと思います。実はそれがはっきりするまでは、内税か外税かは病院によって取り方が異なっていました。ですから、そこら辺も進めていく上では、はっきりとルールを決めていただいたほうがいいと思いますので、この点について質問させていただきます。
 以上です。
○田辺部会長 それでは、御回答のほうをお願いいたします。
○荻原室長 ありがとうございます。
 猪口委員から御質問いただきましたポイントですが、30ページの選定負担の緑色の斜線の部分については、委員からも御指摘をいただいたように、基本的には消費税の課税対象という形になります。保険給付の部分は非課税という形になりますが、こちらについては課税の対象になり得るということでございます。その上で、最終的に価格に関するルールをどう設定するかということは今後検討が必要かと考えております。
 以上でございます。
○田辺部会長 よろしゅうございますか。
○猪口委員 これからの検討ということで、よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 では、藤井委員、よろしくお願いします。
○藤井委員 資料2の6ページで、長期収載品の保険給付の在り方の見直しに関して、選定療養の活用が提起されておりまして、それに沿って複数の論点が提示されておりますが、長期収載品の選定療養化は、後発医薬品への置き換えが主な目的と解釈しております。そうであれば、私どもが以前から問題提起しておりました、後発医薬品の安定供給の確保が大前提となります。この点、29ページの④で、現下の後発医薬品の供給状況を念頭に置いて議論する必要性に触れていただいておりますが、繰り返しとなり恐縮ながら、人件費や原材料費の高騰にもかかわらず、薬価の引き下げが続いており、それが一つの大きな要因となって、メーカーの供給力が低下していると言わざるを得ません。
 後発医薬品の安定供給の確保については、同じく資料2の17ページから記載しており、21ページにありますように、政府としての緊急対応について、積極的な展開を図っていただいていることは理解できました。しかしながら、全体として供給不安は解消されておりません。原材料などのコストアップの収束の見通しなども不透明とよく聞かれます。長期収載品の選定療養化については、現場の状況をしっかり把握していただき、後発医薬品の需要と供給の見通しを基に議論していただくことが必要と考えます。
 なお、現在、インフルエンザの患者数は増加傾向が続いているようでございますが、足下のこうした状況に対しましても、必要な薬剤が常時安定的に供給されるように対応していただくよう、お願いいたします。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、渡邊委員、よろしくお願いします。
○渡邊委員 各論点についての意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、全体を通じてなのですけれども、各委員の方々からもありましたように、現状の不安定な医薬品の供給状況が長期収載品を選択する要因となる場合に関しては、選定療養から除外することを前提としていただきたいと思います。その上で、基本方針の際にも申し上げましたけれども、現場や患者さんに負担がかからないような明快で簡素な形で実施する必要がありますので、それに関して各論点について御意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、11ページの適用の場面に関する部分ですけれども、医療上の必要があると認められる場合は保険給付の対象としていただきたいと思います。その上で、医療上の必要性ですけれども、明白にドクターの判断であることが確認できるということが薬剤師にとって必要になります。例えば先発品の銘柄指定が患者希望なのか医療上の判断なのか否かを、そのたびに薬局で確認しなければならないような状況というのは、実務に全く沿わないことになりますので、その辺りの混乱を来さないように、例えば現在の処方せん様式でいえば、処方医の先生が変更不可欄にチェックされているものに関しては医療上の必要ありと判断するとか、明確な基準が必要かと思っております。
 また、出荷制限等の医薬品を対象にすることはもちろん現場が混乱してしまいますけれども、出荷制限の医薬品が今のように日々変わるような状況では、このような品目をリスト化して対象外とするようなことも現実的な運用ではないと思います。薬局では後発医薬品の出荷調整によって在庫品がなく先発医薬品を調剤せざるを得ないという状況が日々起こり得るのですけれども、このような場合に関しては患者の自己負担が生じないよう、薬剤師が先発品を調剤せざるを得ないと判断する場合は、選定療養から外すという部分は薬剤師に判断をさせていただきたいと思います。
 次に、選定療養の対象の品目の部分ですけれども、この論点に関しては後発医薬品の上市直後というものを対象とはできないと思いますので、一定の期間、置換がなされた時点で対象とすべきというのは賛成します。ただ、その運用に当たって、先発医薬品と後発医薬品の間で適応症等の違いが生じている等のことも考慮すべきかと思います。そのような対象となる品目を明確にしておく必要があると思いますので、そのためのシステム上の準備という部分も必要なのかと思います。もちろんこの対象となった品目であっても、その場で不安定供給等での判断が必要な場合は、先ほどの前述したとおりと考えます。
 3点目の論点の負担の範囲という部分ですけれども、患者さんが長期収載品を好んで選ぶ場合においても差額をそのまま乗せるというのは、あまりにも負担が大きいと思いますので、差額に対して保険外併用療養費内で見る部分と、選定療養費内で見る部分との割合の設定の検討が必要と思います。また、その率を2番目のポツにありますような製剤の工夫等の評価といった異なるアプローチで区別することは難しいと考えますので、そのような評価は患者が選択することが評価そのものと判断するのが適当と思います。
 最後に、長期収載品における現行の薬価上の措置に関して、中医協の議論になるものと思いますけれども、患者の自己負担が増加するような方策ですので、今後の創薬力強化等によって日本の医療に貢献して、最終的に国民や患者の治療上の利益に資するものにならなければ意味がないと思いますので、選定療養費を導入するにもかかわらず、さらに薬価を引き下げるのは、趣旨に反するのではないかなと思いますので、そこの考慮が必要かと思います。
 私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、村上委員、よろしくお願いします。
○村上委員 何点か申し上げたいと思います。
 まず、6ページでは、選定療養の活用について書かれておりますが、その点の懸念を述べさせていただきます。資料の31ページでは保険外併用療養費制度ということで、選定療養については保険導入を前提としないものと書かれております。このような整理の中で、安全性など保険適用にふさわしくないという問題があるわけではないのに、長期収載品が保険適用外にされることで、今後の医療保険制度に対する国民の不安を招いたりしないかと懸念がございます。この点については、今後も必要な医療や医薬品へのアクセスが保障されるということを丁寧に説明いただきたいと思います。
 その上で、11ページの保険給付と選定療養の適用場面に関する論点についてです。まず、この点は医療上の必要性が認められるのであれば、保険給付の対象にすべきと思います。また、先のご発言でもあるように、患者が先発医薬品を希望する理由は様々あると思いますけれども、医師による適切な処方が大前提であるべきと考えます。患者の状態に応じて医療上の必要性が認められる場合を基本とし、単なる希望によって保険給付か否かが変わるようなことでは制度が安定しないと思います。
 また、後発医薬品が確保できるということも大前提となりますので、それがないにもかかわらず自己負担が増すという説明は難しいのではないかと考えております。
 また、29ページについて、範囲の問題については後発医薬品の価格帯も複数ある中で、複雑な仕組みとせずに、患者はもとより医療機関・薬局にとっても分かりやすい仕組みとすべきと考えます。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、伊奈川委員、よろしくお願いいたします。
○伊奈川委員 今回、保険給付と選定療養の負担に係る範囲ということで、30ページに具体的なイメージが湧く資料が出ており、とても議論がしやすくなったことに感謝申し上げます。
 今回の問題を考える前提として重要なのは、選定療養も含めて保険外併用療養があくまでも国民皆保険の下での制度だということだと思っています。したがって、現在もそうですけれども、療養担当規則に関する保険外併用療養に係る基準といったものもあるわけですので、今回の場合も一定のルールが必要になってくるのだろうと考えております。
 そういった点から言いますと、今回のスキームを考える場合、30ページの資料を拝見すると、一部負担と薬価、あと、後発薬への置き換えといったことが関係してくるのだろうと思います。そういった点で見ますと、一定水準を超えるアメニティーやインセンティブの付与など、現在の選定療養はいろいろな要素が入っているわけですけれども、共通していえることは患者が取捨選択できることが重要なのだろうと思うわけであります。
 今回の場合ですと、患者側が負担することになった場合、保険外の費用も負担できる金額でなければ、実際上アクセスが制限される、国民皆保険体制というところに影響してくるわけでありまして、今後の議論次第ですけれども、適正料金としてのメルクマールとして、何か標準のようなものが重要となってくるのではないかと考えます。
 その上で、必要な医療とその質を確保することと、希少な保険の原資の公平な分配ということを両立させていくことが求められるのではないかと私は考えております。そういった点では、31ページにありますように、過去、選定療養も例えば差額ベッドであるとか、あるいは眼内レンズとか、いろいろなものがありますので、そういったものとの比較で今回、制度として整合性があるのかどうかということを考えていく必要があるのではないかと考えております。
 以上であります。ありがとうございました。
 では、菊池委員、よろしくお願いします。
○菊池部会長代理 最後の伊奈川委員の結論とかなり共通している部分があるのですが、長期収載品の保険給付の在り方の見直しについて、選定療養の対象とすること自体、結論としては異論ございません。ただし、制度の目的と手段に配慮して、もう少しきめ細かな資料と説明が必要であるように感じます。
 特定療養費制度以来の歴史を振り返ると、先ほど伊奈川委員からもありましたけれども、その本来の趣旨は、医療本体とは異なるいわゆるアメニティー部分であれば、自己負担を前提として個人の嗜好を反映させ、選択に委ねてもよいという点でありました。その後、選定療養には政策的な観点から趣旨・目的を必ずしも同じくしない様々な診療などが組み込まれています。例えば大病院の初診などは国民皆保険、フリーアクセスを前提とした医療提供体制の適正な確保という点に求められると思います。
 今回、資料2の6ページで、その手がかりになりそうな記述を探すと、医師が銘柄指定する場合の理由について、患者希望が一番多いという部分でございます。その点で医療上の必要性があると認められない限り、個人の選択に係る費用を自己負担していただくことは、選定療養制度の趣旨にかなうようにもみられます。ただ、それが差額ベッドと同様に、医療のアメニティー部分であるとまで評価できるかは議論の余地があるでしょう。
 それ以外に書かれているのが、国民皆保険の持続可能性の確保と創薬力の強化、イノベーションの推進という記述です。現下の国家財政事情からすると、薬剤の保険給付の在り方の見直しの中から、その財源を生み出さざるを得ないという事情は、制度改革に当たって無視できず、そうした面も併せ鑑みて選定療養を活用するという政策判断は一定の合理性があると考えます。
 このように、創薬力の強化といった、ある意味で国家的な政策目的を併せ持つ制度の在り方、つまり目的に対応する手段の在り方としては、対象となる品目を狭く取って相対的に重い患者負担とするよりも、品目をできるだけ広く取って過度な患者負担とならないようにすることが望ましいという帰結に当然なるのではないかと思われます。
 最後に、新たな制度を設ける場合、その都度、趣旨を明確にしておくことが国民のためであり、そして、後の制度改正に当たっての参照資料ともなり得る点で必要だと思います。先ほど述べましたように、選定療養の仕組みは全体としてやや分かりにくいものになっていると思います。言い方は悪いのですが、困ったときの選定療養頼みというようなことになりかねないと、やや危惧をします。それが先ほど村上委員の最初におっしゃられた御懸念にも通ずるものが少しあるのかなと思います。
 繰り返しますが、今回の選定療養の活用自体に異論はございませんけれども、我が国の保険診療の大原則である混合診療禁止原則の例外であるわけですから、31ページ、いつもこの表が出てくるのですが、ずらずらと選定療養の対象項目が並んでいるということではなく、これを機に、選定療養を構成する個々の項目を目的と手段の観点から、全体的に整理しておいていただくとよろしいのではないかと思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、袖井委員よろしくお願いします。
○袖井委員 今の意見に続くかと思うのですが、私自身、こういう問題に疎いので、薬剤に差額ベッドとか金歯と同じような選定療養という考え方が適用されるということ自体、大変驚いております。今まで保険でカバーされていたのが突然こういうことになるというと、多分多くの国民は納得できないと思うのです。なぜだということになると思いますので、もし、こういうことを実施するのであれば、丁寧に説明していただきたい。本当に利用者の側から見ると、これまで払わなくてよかったのが、なぜ払わなければいけないのかと、多分トラブルが起こると思いますので、丁寧な説明をお願いいたします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、池端委員、よろしくお願いします。
○池端委員 私も論点に沿って何点かお話しさせていただきたいと思います。何点かは各委員のおっしゃることと同じ内容もあるかと思いますので御容赦いただければと思います。
 まず、11ページの論点についてですが、先ほど渡邊委員からもお話がありましたように、後発医薬品が困難な場合、当然選定療養費にはなじまないと思いますが、本当に日々変わってくる状況なので、同じ銘柄でも今週は入ったけれども、来週は入らない、あるいは来月は入らないとなると、毎回毎回選定療養費を取ったり取らなかったりということが起こり得るということで、現場は相当混乱し、袖井委員が今おっしゃったように、患者さんは納得できないということが出てくると思います。この辺をどう考えるか、一定程度のルールづくりとか、丁寧な説明等々が十分に必要ではないかということで、現場の感覚として不安を感じます。
 それから、患者希望以外に医療上の必要性というのは誰がどう判断するか、当然ながら医師が判断ということが一番明確だと思います。一方、中村委員から、医療上の必要性というのは医師の判断が全てということではなくて、疾患とか薬剤を限定すべきではないかという御意見がありました。
 ただ、これは前回のときも私がお話ししましたように、同じ銘柄の同じ薬剤でも人によって、この人には合うけれども、この人には合わなかったということ、実際に患者さんがそれを服用して、特に向精神薬等々の薬だと、自分の感覚が一番大事だと思うと、それは別にまやかしを言っているわけではなく、本当に自分が服用すると合わなかった、あるいは調子が悪くなった、あるいは眠れなくなった、不安が増えたということは、日々あることなのです。ここに対してある程度、それはどうするかという、薬というのはどう効くかということで、二重盲検法でダブルで調査するというのはそういうことがあるからであって、そういうメンタル面も含めたことの必要性の判断は非常に難しいので、これは一定程度、患者さんと一番身近にいる医師の判断に委ねるしかないと思います。
 ただ、むやみやたらに全部「変更不可」にレ点をつけるということでは、傾向診療ということで審査でチェックされることもありますので、その辺は一定の制限がかかるのではないかと思いますし、そこは十分に御理解いただきたいなと思っています。
 もう一つ、これは質問なのですけれども、30ページの内容に関して特に論点2です。選定療養した負担を上げたり下げたりできるかどうかという判断ですけれども、これは先ほど菊池代理もおっしゃったように、そもそも選定療養になじむかどうかということもそうですけれども、一旦選定療養を取ると決めたときに、それがベッド差額と同じように、その医療機関ごと、あるいは薬局ごとに上げたり下げたりということがあり得るとなると、本来の今回選定療養にした意味とは違ってくるのではないかと、私は上げ下げができないようなルールが必要ではないかと思います。
 ただし、例えば保険診療の自己負担に関しては、療養担当規則できちんと取らなくてはいけない、減額してはいけないことになっていますが、選定療養とした場合に、それをルールとしてこれは減額してはいけない、上げてはいけないとすることが、医療法等の法制上、ルールとして可能なのかどうか、この辺は事務局に一旦お聞きしたいと思っています。
 いずれにしても今、何人かがおっしゃったように、私も後発医薬品を推進するためのやむを得ない措置、ある意味では大病院の再診を抑えるために選定療養を入れたのと同じように、少し裏技的なことだと思うので、あまりこれがまかり通って、どんどんいろいろなことを選定療養で全部やっていくというのは、私は少し違和感を覚えます。ただ、今回に関しては私も大枠は賛同したいと思います。
 以上です。
○田辺部会長 1点、御質問がございましたので、回答をお願いします。
○荻原室長 池端委員から御質問をいただきました。基本的に選定負担の部分について、一定のラインを決めて、それを固定的な水準とすることは可能かどうかという御質問だと理解をしております。最終的には法制上の整理も含めて、私どもでさらに詰めてまいりたいと考えています。一般的に選定療養の場合については、例えば国が180日以上入院の場合や、差分については国がこれを標準とするという形でお示しをして、最終的には医療機関側の一定の裁量に委ねられている部分があるという仕組みもあろうかと思っています。
 また、大病院の定額負担に関しては逆に下限を設定して、必ずこの額は徴収するようにとルールを設定して、それ以上であれば、そこは医療機関の裁量でという形に任されている部分もあろうかと思っています。今回、そういった要素も含め、先ほどから各委員からも御指摘いただいておりますが、現場になるべく混乱を生じさせないようにするということと、医療上の必要性がある場合については、従来どおり保険給付が維持されることになりますと、長期収載品の薬価そのものは残る仕組みになりますので、そういった点で、片や選定の場合でばらつきを生むということを許容されるかどうか、するかどうかということ、そのバランスで最終的に整理していくべき話だと考えております。
 最終的に法制上の整理と合わせてルール決めというところで、お示しできればと考えております。
 以上です。
○田辺部会長 池端委員、よろしゅうございますか。
 では、北川委員よろしくお願い。
○北川委員 1点だけコメントさせていただきます。
 医療上の必要性があると認められる場合について選定療養とはせず、引き続き保険給付の対象とする方向で検討を進める方向について賛成でありますが、先ほど、中村委員、また、池端委員からも御指摘のあったように、医療上の必要性があると認められる場合の解釈については客観的な判断が可能となるような基準や具体例、こういったことのサポートをきちんと明確にしていただければと思っております。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
 ほかに御意見がなければ、本議題についてはこれまでとしたいと存じます。
 本日の御意見も参考に、引き続き検討を進めていただければと思います。
 次に、事務局のほうから別途報告事項があるということでございますので、総務課長のほうから説明をお願いいたします。
○池上課長 総務課長の池上でございます。私のほうから、資料3、資料4について御説明いたします。
 まず、資料3ですけれども、こちらは先日閣議決定された経済対策について御説明する資料となってございます。デフレ完全脱却のための総合経済対策についての資料でございます。内容をかいつまんで御説明いたします。
 1ページ目ですけれども、幾つかの節に分かれておりまして、上の箱が第1節、物価高から国民生活を守るという項目でございます。この中では地方創生臨時交付金の活用がうたわれてございますけれども、2段落目のところ、医療・介護や中小企業といった各行政分野を所管する省庁が、必要な情報を地方自治体に提供して十分な取組を促すというようなことが書かれています。
 また、内堀委員から御発言がございましたけれども、入院時の食事の基準についての記載もここで入っているところでございます。まさに医療保険部会でも御議論いただいているところです。
 1ページの下、第2節は賃上げ等についての節となってございます。そこの(2)のところですけれども、医療・介護・障害福祉分野において、今回の同時改定での対応を見据えつつ、喫緊の課題に対応するため、人材確保に向けて賃上げに必要財政措置を早急に講ずるとされております。
 この後、資料4で補正予算についての御説明をいたしますけれども、ここで手当てされている分については医政局、他の局での手当てになっておりますので、資料4には出てまいりませんけれども、看護補助者についての処遇改善の措置がここで講じられることとされたところでございます。
 続きまして、2ページ、同じく第2節ですけれども(3)として年収の壁への対応の話が入ってございます。最後の行で施策例として、年収の壁・支援強化パッケージについて取り組むこととされてございます。
 それから、3ページ、第3節、成長力の強化・高度化等の関係でございますけれども、プログラム医療機器についての記載がございます。
 それから、4ページ、第4節、人手不足等への対応といった節でございます。初めのところ、ICT技術の活用等が書かれておりますけれども、診療報酬改定DX等の推進を行う旨の記載がございます。
 その次のところは、医師・介護従事者の配置要件等の見直しに関する所要の措置を講ずることとされております。こちらは規制改革の中での議論をそのまま載せているものでございます。
 その次には、マイナ保険証の利用促進や環境整備を図るため、医療機関・保険者への支援やオンライン資格確認等システム等の改修を行う旨が記載されてございます。
 5ページもその関連の記載が続いてございます。
 続きまして、6ページ、第5節、国民の安全・安心の関係でございます。後発品等医薬品の供給不安を解消するため、薬価改定において、薬価上の措置を検討するといったことが入ってございます。
 資料3の御説明は以上になります。
 続きまして、資料4について御説明いたします。こちらは令和5年度補正予算案の主な事項について保険局分を御説明するものでございます。
 1ページ、まず、柱としてマイナンバーカードと健康保険証の一体化に向けた取組の推進についてでございます。
 ①、オンライン資格確認の用途拡大等の推進として262億、こちらは社会保険診療報酬支払基金で患者側の利用環境改善のためのシステム改修、それから、訪問診療等を行う医療機関におけるオンライン資格確認の用途拡大のための導入支援などの経費でございます。
 ②、マイナ保険証利用促進のための医療機関等への支援、こちらは先ほどの経済対策にもありましたけれども、医療機関等におけるマイナンバーカードの健康保険証利用の促進の取組に対する支援等を行うこととされております。
 その他、マイナンバーカード関係で周知広報の予算、それから、保険者のシステム改修等の経費も計上されているところでございます。
 1ページの最後は年収の壁対策で、保険局といたしましては、年収の壁対策コールセンターの設置の費用が計上されてございます。
 2ページ、診療報酬改定DXとして、共通算定モジュールの開発、それから、施設基準の届け出の電子化の推進の費用が計上されてございます。
 次の柱はデータヘルスの推進として、例えば外来医療・在宅医療等の影響評価に係る調査経費などが計上されてございます。
 3ページ、その他もろもろのシステム改修でございます。NDBデータ提供の抜本的な見直しということで、現行1年以上時間がかかっておりますけれども、そのデータ提供を原則7日で行うようなシステムの構築等の費用が計上されてございます。
 保険医療機関等管理システムに係るシステム改修等経費、後期高齢の電算処理システム等改修、国保総合システムの最適化などの予算も計上されてございます。
 6ページまで進んでいただきまして、その他の項目になりますけれども、出産・子育ての安心につながる環境整備等の取組に対する財政支援ということで、健保組合の取組に対する支援が盛り込まれてございます。
 ②としては、制度改正に伴う第三者求償業務の都道府県体制構築支援事業といったものが計上されてございます。
 7ページ以降は、今御説明しました各事業についての説明資料となっておりますけれども、本日は説明を省略させていただきます。
 私からの説明は以上でございます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
 それでは、報告事項ではございますけれども、御意見・御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
 では、佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 令和5年度補正予算案についてコメントさせていただきます。今回の補正予算案について、「マイナンバーカードと健康保険証の一体化に向けた取組の推進」として、周知広報事業や、システム改修等経費に対する財政支援を盛り込んでいただいて感謝を申し上げます。健保連としても国民や加入者に対して理解促進のための周知広報に取り組んでまいりたいと思っております。国としても医療DXの推進基盤であるマイナ保険証の利用推進について、引き続きしっかり対応いただければと思っております。
 それから、6ページの「出産・子育ての安心につながる環境整備等の取組に対する財政支援」についても感謝申し上げます。「職域を通じた出産・子育ての安心につながる環境整備」に向け、私ども健保組合がこれまで培ってきた企業・労組とのコラボヘルスの基盤、経験を生かすことができると考えておりますので、これまで注力してきたメタボ対策等に加え、新たな保険者機能発揮のチャンスと捉え、国策の推進につながるようにしっかり取り組んでまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、猪口委員、よろしくお願いします。
○猪口委員 資料3のデフレ完全脱却の総合経済対策の1ページ目の上のほうの枠で食事療養費のことが出ております。今回、重点支援地方交付金ということで御対応いただきましたことを御礼申し上げたいと思います。また、今後も来年の診療報酬改定、また、改定とは違うものかもしれませんが、しっかりとした対応をお願いしたいと思います。
 また、その下にあります医療・介護・障害福祉分野における処遇改善支援事業ということで、今回看護補助者のほうも決めていただいたことに御礼申し上げます。こちらにつきましても人手不足を解消できるようなしっかりとした財源措置をお願いしたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。
○田辺部会長 では、前葉委員、よろしくお願いします。
○前葉委員 私からも補正予算について発言をいたします。マイナンバーカードと健康保険証一体化に向けて、いよいよシステム改修の経費が盛り込まれました。いよいよここまで来たなということでございます。いわば保険者がシステムを改修していく、これは例の資格確認証だとか、資格情報のお知らせの発行も入ってくるわけでございます。実際に、このシステム改修に様々な困難があると思いますが、しっかりやりますが、保険者自身の負担にならないように10分の10でお願いいたしますとともに、各保険者それぞれ、予算化等の準備もございますので、補正予算成立後、極めて速やかに的確に御指示・情報提供などをいただきたいとお願いいたしたいと思います。
 その上で、特に津市などもそうなのですが、システムを自らのシステム、自庁システムを使用している保険者がございます。そういたしますと、ベンダーと独自に調整をしなければいけません。ベンダーが様々なシステム改修をやる中で、これを優先させなければいけませんので、その旨をしっかりと話をする必要がございます。
 したがって、私どもとしては健康保険証の廃止時期が来年秋だとすると、その上で、来年秋に向けて、被保険者への周知だとか、それから、我々自身の業務フローの変更などもございますので、なるべく早く、そして、確実に、間違いなく準備をしなければいけないということでございますので、丁寧に厚労省さんからのお話をいただきながら、そのスケジュールを早めにお知らせいただくとともに、システムの使用につきましても早期にお知らせいただければということでございます。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、横尾委員、お願いします。
○横尾委員 マイナンバーカード関係です。こういった対策予算を組んでいただいてありがたいと思いますし、特に広報・周知がとても大事だと思います。わけても今回の混乱の原因の一つは、データの突合とか、違う他人と結びつけられたことが大きく報じられてきているわけですけれども、考えてみると、それはマイナンバーカードそのものが制度としてスタートする前に蓄積されたデータから発生していますので、前も申し上げたのですけれども、時期的な峻別があるということと、問題の本質は違うのだということを政府として明確に解説されたほうが、あのときはよかったと思っています。
 全てがごちゃごちゃになってしまって、マイナンバーは悪者みたいになったのですけれども、そんなことはないと思うので、ぜひそういったことが今後とも必要だと思います。特に政策を所管される官庁におかれて、政策の趣旨・目的、そして、経過、事実をもって事実を語るということにぜひ努めていただければ、報道のニュースももっと分かりやすくなると思うし、よりオープンな感じで情報の行き来ができますので、ぜひそういったことをやっていただくといいのかなと、改めて思っています。
 また、後期高齢者医療制度の見直しに関する周知広報経費も酌んでいただいているわけですし、ほかのところでもコールセンター等を予定されていて、丁寧な対応をしていただくと大変ありがたいと思っています。多くの皆さんが必要とされる医療ですし、それにまつわる情報については不安感が出ないように、不安や心配が増していかないように、ぜひ対策が必要ですので、こういった丁寧な対応を今後ともよろしくお願いいたします。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、村上委員、お願いいたします。
○村上委員 資料4の12ページで、年収の壁対策コールセンターの設置を御紹介いただいております。恐らく多くの方々からどのようなものなのか、どのようにしていけばいいのかという問い合わせが多くきていると思います。正確に御回答いただくことと思いますけれども、その際の方向感として、社会保険に加入していく必要性や、加入によって労働者にとってもメリットになるという方向感で、ぜひ現場で御対応いただければと思います。ややもすると、パッケージの中身だけの説明になってしまい、なかなか社会保険適用が進まないということにはならないように、ぜひお願いしたいと思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、ほかに御意見等がなければ、本日はこれまでとしたいと存じます。
 次回の開催日につきましては、追って事務局のほうより御連絡を申し上げます。
 本日は、御多忙の折、御参加いただき、また、積極的な議論を繰り広げていただきましてありがとうございました。それでは散会いたします。