第157回労働政策審議会安全衛生分科会議事録

労働基準局安全衛生部計画課

日時

令和5年11月17日(金)15:00~17:00

場所

対面及びオンラインにより開催
(AP虎ノ門)
(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル11階)

出席者

会場

公益代表委員
労働者代表委員
使用者代表委員

(五十音順、敬称略)
事務局

オンライン

公益代表委員

労働者代表委員
使用者代表委員
(五十音順、敬称略)

議題

(1)労働安全衛生規則及びボイラー及び圧力容器安全規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(2)デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するための厚生労働省関係省令の一部を改正する省令案要綱(労働安全衛生関係)について(諮問)
(3)個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会報告書について(報告)

議事

議事内容

○髙田分科会長 それでは定刻となりましたので、ただいまから「第157回労働政策審議会安全衛生分科会」を開催します。本日は、公益代表委員の砂金委員が欠席しています。また、労働者代表委員の中村委員が15分遅れての御参加となります。本日は、対面及びオンラインの併用により開催することとしていますので、御承知おきください。カメラ撮影等については、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いします。まず、事務局からオンラインによるZoomの操作方法等について説明をお願いします。
○計画課長 事務局です。Zoomの操作方法の説明をさせていただく前に、今般、事務局側に人事異動がありましたので、新メンバーを紹介させていただきます。10月1日付けで着任をしました小林安全衛生部長です。
○安全衛生部長 小林でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○計画課長 続きまして、オンライン参加委員の皆様方に、Zoomの操作方法についての御説明をさせていただきます。本日は、ハウリング防止のため、御発言されないときにおかれましては、マイクをオフに設定をよろしくお願いいたします。また、御発言される場合には、御発言がある旨をチャットに書き込んだ上、分科会長から指名がありましたら、マイクをオンに設定していただいた上、氏名をおっしゃってから御発言をよろしくお願いいたします。このほか、進行中、通信トラブルなどの不具合がありましたら、チャットに書き込み、又は事務局にメール等々で御連絡を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。以上です。
○髙田分科会長 それでは、議事に入ります。議題(1)「労働安全衛生規則及びボイラー及び圧力容器安全規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」について、事務局から説明をお願いします。
○主任中央産業安全専門官 事務局の安全課の佐藤です。私から議題(1)「労働安全衛生規則及びボイラー及び圧力容器安全規則の一部を改正する省令案要綱について」、お手元にお配りしております資料1-2を御覧いただきながら説明させていただきたいと思います。お手元に資料1-2を御用意ください。
 資料の2ページを御覧いただければと思います。本改正省令案では、大きく分けまして2つの事項について改正をさせていただく予定としております。1つ目は電気ボイラーの伝熱面積算定方法の見直し、2つ目は高圧ガス保安法等の改正に伴う規定の整備です。
 1つ目の電気ボイラーの伝熱面積算定方法の見直しについて御説明させていただきます。ボイラーは内部でガス等を燃焼させることで熱を発生させて、それを水に伝えることで蒸気や温水を作りまして供給するという装置です。熱を発生させて水に伝えるということから爆発等の危険もあるため、ボイラーの取扱いについては作業主任者を選任していただくこととしております。選任の要件といたしまして、資料に書いてありますとおり、伝熱面積で区分をして必要な資格要件を定めているところです。
 伝熱面積ですが、資料の※1に説明が書いてありますとおり、熱を水に伝えるに当たって、高温の燃焼ガスが触れる面の面積を伝熱面積と言っております。伝熱面積の区分に応じて資格要件を定めているところですが、電気ボイラーについては、ガスを燃焼させて熱を発生させるのではなくて電気から熱を発生させるため、伝熱面積の説明にあります燃焼ガスの触れる面の面積がなかなか算定しにくいということから、これまでは電気ボイラーの設備の電力容量から換算して伝熱面積を求めるという算定方法としていたということです。これまでは電力設備容量20キロワットを1平方メートルとみなして算定することで示していたところですが、ボイラーについては、技術の進歩等によりまして、ボイラーから水に伝える熱量が大分向上してきているということから、もともと当初は1平方メートル20キロワット相当の熱を伝えていたところが、最近は電力換算すると60キロワット相当の熱を伝えられることができる技術となっているところです。
 当然、伝える熱が増えることに合わせましてボイラーの安全性を担保する構造要件等として定めている構造規格についても適宜見直しを行ってきており、ボイラーの安全性については維持しているところです。今般、電力設備容量から伝熱面積を算定する換算式が当初の20キロワットのままであることが明らかとなったことから、この20キロワットを60キロワットに見直しまして、現状の技術に整合をさせるべく改正させていただくというものが、1の電気ボイラーの伝熱面積算定方法の見直しというものです。
 2つ目の高圧ガス保安法等の改正に伴う規定の整備です。燃料電池自動車等の圧力容器は燃料電池自動車等の燃料として水素とかLPガスといったものを保持して使用しているものですが、圧力容器は労働安全衛生法令の適用があるので、その管理に当たっては一定の資格者に管理していただくことになっております。
 この圧力容器は実は高圧ガス保安法の適用もあり、高圧ガス保安法において一定の検査等を受けることで圧力容器そのものの安全性について担保されているということから、改めて労働安全衛生法令における製造許可とか検査等、そういった取扱いについては不要としていたところです。
 今般、高圧ガス保安法と道路運送車両法が改正されまして、燃料電池自動車等の圧力容器の安全性を担保する法令が道路運送車両法に変更されることとなりました。ただ、労働安全衛生法令の取扱いとしましては、今後も道路運送車両法において検査を受けることで圧力容器の安全性が担保できることから、これまでと同様に検査等を不要とする扱いをするために所要の見直しを行うというものが1つ目の見直しです。
 併せまして、圧力容器の取扱いについては、労働安全衛生法令上圧力容器取扱作業主任者という方を選任していただくことになっております。この選任に当たりましては、一定の資格がある方に圧力容器取扱作業主任者になっていただくこととなっているのですが、これまでは高圧ガス保安法令で定める一定の資格者、※4に書いておりますが、製造保安責任者免状又は販売主任者免状、こういった資格を持っていらっしゃる方に対して、労働安全衛生法令上、第一種圧力容器取扱作業主任者免許というものを交付させていただいて、その方を圧力容器取扱作業主任者として選任していただくことになっておりました。ただ、この取扱いについては、今般の法令の見直し後も、引き続き高圧ガス保安法令の一定の資格を持っている方が取扱作業主任者として選任していただけるような所要の見直しを行うというのが、2つ目の見直しです。
 以上の見直しのための改正省令案を諮問させていただきたく、本日の議題にさせていただきました。なお、施行日については、3に書いておりますとおり、公布は12月中旬頃に予定しておりまして、施行日については、1の見直しについては公布の日に施行と、2の高圧ガス保安法令の改正に伴う規定の整備については、12月21日、高圧ガス保安法等の施行日に合わせた日を施行日としようと考えているところです。
 次のページ以降の資料については、電気ボイラーの伝熱面積算定方法の見直しの関係で、参考で付けさせていただいている資料ですので、適宜、御覧いただければと思います。議題(1)の説明については、以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。本件について、質問、意見等のある方は、会場の委員については挙手を、オンライン参加の委員については御発言がある旨、チャットに書き込みをお願いします。会場の委員で御意見、御質問はありますか。山脇委員、お願いします。
○山脇委員 1点目の電気ボイラーの伝熱面積算定方法の見直しについて発言をさせていただきます。今般の見直し自体は、法令に基づいて燃料式ボイラーの性能向上に比例させるような形で整合を取るということですので、特段異論はありません。
 その上で、諮問事項とは異なる点となりますが、関連して発言させていただきます。資料3ページの真ん中の右側に、燃焼式ボイラーの入熱量の増加について整理して頂いています。今般の電気式ボイラーの算定方法の見直しの基準になっているものと思いますが、この間、制定当時と比べて技術革新によって3倍に入熱量が増加をしており、一たび事故が起これば従前よりも危険性が増しているといえます。こうした技術革新への対応については、ボイラー協会等における専門委員会の検討結果も踏まえて、告示の改正を行うことで、安全性を担保してきたとの説明をいただきました。例えば、1989年あるいは2003年のようなボイラー構造規格の大規模な告示の改正については、本分科会において報告は行われてきたのか確認したいと思います。その上で、仮にこれまで報告は行われてこなかったのであれば、先に示した1989年、2003年のような、労働者あるいは公衆の安全性に大きな影響を及ぼす可能性のある内容については、今後本分科会で報告いただくことを検討いただけないかと考えています。よろしくお願いします。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ほか、会場の委員から御発言はありますか。よろしいでしょうか。オンラインの委員から何か御発言はありますか。今のところチャットの書き込みはないということでよろしいでしょうか。そうしましたら、山脇委員からの御意見について、事務局から御回答をお願いします。
○安全課長 御指摘ありがとうございます。安全課長です。安全衛生を含む労働政策に係る重要事項については、現場を熟知された労働者代表の皆様、使用者代表の皆様が参画する場で御審議いただくことが重要であると私どもも考えております。安全衛生分科会においては、これまでも、基本的には労使で合意形成を図る必要がある省令以上の法令事項について御審議を頂きますとともに、告示以下のものについても、労使それぞれのお立場での取組事項を示すものについては、分科会に報告をさせていただきながら対策を進めてきたところです。一方で、告示で定める特定機械等の構造規格については、信頼ある国際規格などに基づき定めておりまして、こうした国際規格に変更が生じた場合には、その整合性を図るための規格の改正を行うとか、形式的な改正、専門的・技術的な改正が多くなりますが、こうしたことを行っております。そういったこともありまして、過去に遡って確認いたしましたが、必ずしも、御指摘のとおり、分科会への報告は確認できていないというところです。
 しかしながら、ただいま御指摘いただきましたとおり、1989年ですとか2003年のボイラー構造規格の抜本的な改正、こういった場合については、そもそも規格の作りの考え方が根本的に変わるものであり、労働者の安全衛生に大きな影響があるということになると思います。今後は、そういったことにつきましては、事前に皆様にも情報提供をさせていただきますとともに、分科会にも報告をさせていただくと、こういう方向で検討させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○髙田分科会長 山脇委員、よろしいでしょうか。ほか、追加で御発言はありますか。よろしいでしょうか。それでは、議題(1)「労働安全衛生規則及びボイラー及び圧力容器安全規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」については、妥当と認めることとしてよろしいでしょうか。
                                   (異議なし)
○髙田分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局で答申の手続をお願いします。
 次に、議題(2)「デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するための厚生労働省関係省令の一部を改正する省令案要綱(労働安全衛生関係)について(諮問)」に関して、事務局から説明をお願いします。
○計画課長 安全衛生部計画課長です。私から議題(2)「デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するための厚生労働省関係省令の一部を改正する省令案要綱について」、御説明をさせていただきます。資料については、資料2-2を御覧いただきたいと思います。この資料に基づいて、御説明をさせていただきます。資料の右側にページ数を打っておりますので、1ページ目を御覧いただきたいと思います。
 デジタル原則に照らした規制の点検・見直し作業についてです。本件については、今年の3月の本分科会においても報告をさせていただきましたが、政府におきましては令和3年に総理をトップとしますデジタル臨時行政調査会を設置しておりまして、この中で、役所が所管する法令等で規定する様々な規制や制度、そうしたものがデジタル時代に即したものになっているかどうか確認を行っております。そうした確認の中で、必要に応じて規制の見直しを行ってきているというものです。
 具体的には、役所が定めております規制・制度の中で目視であったり、実地監査、書面掲示、常駐・専任などといった、デジタル庁で言っておりますけれども、アナログ行為ということについて、、デジタル技術の活用を進めて規制の見直しを行っていくことを、工程表を作って行って進めてきているという状況になっているものです。
 2ページ目を御覧いただきたいと思います。今、申し上げました規制の見直しに係る工程表の一部を、2ページの真ん中より下に抜粋して付けさせていただいております。これらの事項については、本日の分科会においてお諮りをさせていただくものとなっております。この表にありますように、労働安全衛生法等に基づく省令においては、各種講習実施機関について登録事項を、都道府県労働局の掲示板に掲示することが労働局に義務づけられております。こうしたものを、デジタル活用の観点から、規定の見直しを行っていく形で工程表に規定をされているものです。この表の右側ですが、現在のPhaseと見直し後のPhaseという縦の列があります。全ての項目において、現在のPhaseの所が1-①となっておりまして、見直し後のPhaseが全て3-4という形になっております。これは、どのようなことを意味しているかというと、次のページを御覧いただきたいと思います。
 3ページ目の左側に、赤くなっている矢印がPHASE1、PHASE2、PHASE3という形であるかと思います。規制の内容といたしまして、紙や人が介在する状態のことをPHASE1という形に整理をされております。また、PHASE3ですけれども、デジタル完結することを基本とする状態のものをPHASE3という形で規定をしております。ちなみに、PHASE2については、1と3の中間という形で、デジタルとアナログの併存の状態を指すものという形で整理をされております。
 本日お諮りをさせていただきます、先ほど申し上げました登録事項の掲示、労働局における掲示に係る案件については、現在、今の状況が紙で登録事項を掲示する形になっておりますので、現在のPhaseとしてPHASE1という形になっております。今後の見直し後の状況、先ほどPHASE3ということを申し上げましたが、紙を介在させないという、デジタルで完結する対応という形で見直しを行うとされているということです。
 こうした状況を踏まえて、本日お諮りをさせていただく具体の改正内容について、4ページ目を御覧いただきたいと思います。先ほど少し申し上げましたけれども、労働安全衛生法等に基づく各種講習等を実施する機関については、省令において都道府県労働局長の登録・指定を受けることとされております。登録等があった場合や登録事項に変更が生じた場合には、労働局の掲示板にその旨登録事項を掲示するということとされております。
 このように、現状、書面で掲示するということとされておりますものを、労働局のホームページ等のウェブサイトに掲載するという形で見直し、省令改正を行うという内容としているものです。具体の項目については、真ん中にあります8つのものが具体的な省令の改正項目、改正条文という形になっております。また、施行日については下に記載がありますが、工程表において今年度中、令和5年度中に本件措置をしていくことで定められております。こうしたことを受けて、施行日については今年度末の令和6年3月31日とすることを予定しているものです。
 以上、お諮りさせていただく省令改正の内容について御説明を申し上げました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○髙田分科会長 ありがとうございます。本諮問案件につきまして、質問、意見等のある方は、会場の委員につきましては挙手を、オンライン参加の委員につきましては御発言がある旨、チャットに書き込みをお願いいたします。まず、会場の委員で、鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 御指名ありがとうございます。正直に申し上げて、いまだに掲示板だったのかという印象は受けるところですが、今般の見直しにより、PHASE1からPHASE3への移行が実現すると理解しましたので、当諮問事項については賛成したいと思います。本年3月の当分科会におきまして、作業主任者の常駐規制に関する見直しの結果を御報告頂いたように、デジタル臨調が策定した工程表の中には、労働安全衛生法令に基づく規制・制度の見直し事項が数多く盛り込まれております。厚生労働省におかれましては、昨今のデジタル技術の発展、普及を踏まえ、是非ともデジタルを前提とした法令の見直しに引き続き取り組んでいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。私からは以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。会場からは、ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。オンラインの委員で何か御発言はございますでしょうか。チャットの書き込みがないようですけれども、よろしいでしょうか。それでは、鈴木委員からのコメントについて、何かございますか。
○計画課長 ありがとうございました。我々といたしまして、今、鈴木委員から御指摘いただいた点を踏まえて、アナログ規制とされているもの、まだ今後対応を進めていかなくてはいけない点がありますので、しっかりとアナログ行為からデジタルの推進という観点で検討、作業を進めていきたいと思っております。また、引き続き、今後とも必要に応じて御相談等させていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○髙田分科会長 ありがとうございます。それでは議題(2)「デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するための厚生労働省関係省令の一部を改正する省令案要綱(労働安全衛生関係)について(諮問)」については、妥当と認めることでよろしいでしょうか。
                  (異議なし)
○髙田分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局で答申の手続をお願いいたします。
 次に、議題(3)「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会報告書について(報告)」に関して、事務局から説明をお願いいたします。
○主任中央労働衛生専門官 それではよろしくお願いいたします。労働衛生課の船井と申します。私からは議題(3)、「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会報告書について」、報告書についての御報告です。資料3について御説明いたします。
 1ページ、こちらについては一昨年から昨年にかけて、安全衛生分科会でも数度にわたり御議論を頂きました。令和3年5月に出された「建設アスベスト訴訟」の最高裁判決を踏まえた省令改正の検討の場で、こちらの分科会において、当時は、最高裁におきましては、1枚目にある安衛法第22条という個別の条文を対象にして、条文上、保護対象となっているのは労働者だけではなく、同じ場所で働く労働者ではない方も保護する趣旨という御判断を頂いたことを踏まえて、資料の2ページにある労働安全衛生法第22条に基づく関係省令の改正をしております。
 こちらについて、諮問、答申を頂く過程において、労働安全衛生法第22条だけでいいのか、第22条以外の規定のあり方、個人事業者自身による措置のあり方又は個人事業者に仕事を注文している注文者の措置のあり方、こういったものについても、別途の検討の場を設けて検討すべきではないかという御指摘を頂きました。それを踏まえて立ち上げた検討会が、今日、御報告させていただく検討会です。
 次のページ、開催要項、メンバー表を付けております。こちらの検討会で、各業界から有識者の方に御参加を頂いております。個人事業者と一口に言っても、いろいろな分野で御活躍されている方がたくさんおりますので、メンバーに入っていただいた職種、業種以外の団体についても、ヒアリングという形で幅広く実態をお聞きして議論を重ねたということです。
 その議論の論点と、その結果については、4ページに概要をまとめております。まず、非常に多岐にわたる論点がありますので、大きく論点1、2、3という形で、3つに分けて御議論を頂きました。
 1つ目の区切りは、論点1と2、論点3、この2と3の間に1つ大きな線引きがあります。論点1、2は、危険有害作業に関する検討です。論点3については、危険有害作業以外で、例えば過重労働やメンタルといった健康管理的な部分について、このように分けました。さらに、論点1、2の論点2については、最高裁判決を踏まえて、労働安全衛生法第22条に関連した省令改正を行ったわけですが、第22条以外の条文に関する省令についてどうなのか、この最高裁判決を踏まえた検討の継続ということになります。
 論点1については、新しい観点として、個人事業者自身の措置のあり方、注文者や発注者による措置のあり方、また仕事を注文・発注しているわけではないのですが、働く場を提供したり仕組みを提供しているような、いわば災害リスクを生み出し得る方による措置のあり方、このような形で議論を深めていきました。当然、その上で、我々は労働者保護を主眼にして、安衛法制定以来、行政運営してきたということもありまして、個人事業者の方の災害の実態が、そもそも十分に把握できていないという状況もありましたので、まずは、災害の把握について御議論いただいた次第です。延べ15回、約1年半にわたって御議論いただきまして、報告書を去る10月27日に取りまとめて公表しております。
 次のページは、報告書の各項目ごとに、また、別途報告書は今日の資料にも付けておりますが、少し分厚いので、項目ごとにエッセンスについて全体を通して御説明いたします。
 1点目、災害の把握ということで、これも新たに設ける仕組みです。個人事業者の方も、労働災害と同じような状況で、少なからず被災されている方はいらっしゃいますので、労働者であれば労働者傷病報告という制度がありますが、それを参考にして、個人事業者の方の業務上の災害も把握するような仕組みを作ろうということで検討を頂きました。
 まず、対象ですが、休業4日以上の死傷災害については、監督署に出していただく。それでは、誰が出すのかということですが、労働者の場合は労働者を雇用している事業者の方に義務がなされておりますが、個人事業者の方で、それに相当する方、ピタっと当てはまる方はいらっしゃらないので、個人事業者が亡くなった場合と、自分で報告できるような場合という形で分けて考えます。例えば、個人事業者が亡くなって御自分で何もアクションが取れない場合については、個人事業者に直接仕事を注文していて、なおかつ、個人事業者が被災した場にいらした方、何かしらの業務を行っていた方、これは便宜上「特定注文者」と言っていますが、こういう方が監督署に出していただくことを基本としています。ただ、働く状況によりましては、特定注文者自体がいない場合もありますので、そういった場合は災害が発生した場所を管理していた事業者、その場の状況をよく御存じの方に出していただく、こういう仕組みにいたしました。
 個人事業者が、何かしら災害の発生の事実や状況を伝達することが可能な場合については、個人事業者が、御自身がやっていた作業の状況や被災した状況、そういったものを特定注文者なり、災害発生場所を管理していた事業者の方に報告して、それを踏まえて必要な事項を付記した上で、監督署に出していただく。このような2段ステップの構えで制度を作ろうということで御提言いただいております。
 その他、報告事項などについては、労働者傷病報告との並びで必要なものを設定すべきではないかということです。あと、脳心・精神の事案についてはプライバシーの問題もありますので、今、申し上げたような報告主体の方に出していただくような仕組みでは、なかなかうまくいかないのではないかということもあります。また、脳心・精神というのは、受けていた注文との因果関係がなかなかはっきりしない部分もありますので、これは個人事業者自身が監督署に報告できるような仕組みで、なるべく幅広に災害の状況を把握していこうという仕組みにしたいと考えております。
 次のページ、個人事業者自身による措置についてです。アにあるように、機械安全の関係については、労働者であれば、例えばカバーが付いていない丸ノコのようなものは構造規格を具備していないということで、これを使わせてはならないということが事業者の皆様に義務付けられているわけですが、全く同じそういう機械を個人事業者の方が労働の場で使ったとしても、現行は何ら規制がない状況になっております。そういった機械を個人事業者の方が使うことによって、御自身はもとより、周りで働く労働者の方にも危害が及ぶおそれもありますので、ここは、労働者も個人事業者も同じような水準で作業をしていただこうということで、そういった機械の使用禁止も義務付けていこうという御議論がありました。
 今、申し上げたような検討結果になったベースにあるのは、労働者であろうが個人事業者であろうが、享受すべき安全衛生の水準は同じ人なので変わらないのではないか。ただ、それを誰がどうやって守っていくかというのは、それぞれ立場も違いますので、関係者の役割を整理する必要があるのではないか。そういう方針に基づいて御議論を頂いた結果です。
 例えば、今の話であれば、構造規格を具備していない機械の使用禁止というのは、労働者であれば指揮命令する事業者にそれを義務付けていきますし、個人事業者の場合は、自身で持ち込む機械については、御自身に義務付けていく、このような形で関係を整理したわけです。持込み機械の実施検査についても、同じような考えです。安全衛生教育についても、労働者であれば事業者が受講させることが義務付けられているような教育について、自ら受けておく義務があるという形で進めていこうということです。健康診断については、健診を自身に義務付けることはなかなか難しいのではないかという議論がありましたが、労働者であれば受けてあるような特殊健診については、しっかり受診するように勧奨していこうという御議論でした。
 ウについては、例えば建設現場におきましては、1つの場所で所属が異なる労働者の方が混在をして作業を行う場合には、1番上で管理をする元方事業者の方が、混在作業による災害を防止するための統括管理をしなければならないということが、法令上義務付けられております。その義務を定めている法条文の書き方が、元方事業者の労働者と関係請負人の労働者ということで、労働者同士の混在しか、なかなか読みにくい形になっております。実際の現場では、労働者と個人事業者が混在する。それによって災害に至ることもありますので、そういった部分について、個人事業者もきちんと含めていこうと。そういう措置の対象に個人事業者が含まれたのであれば、個人事業者自身もやるべきことがあるのではないかということで、その取組を明確化していこうということです。
 エについては、これは個人事業者を保護する観点から、先般、分科会で御議論いただきまして、改正した省令の中には、例えば、事業者に個人事業者も含めた立入禁止措置を求めている規定があります。その立入禁止措置に対して、立入禁止された所には、個人事業者も立ち入ってはならないという義務規定を置いております。これは、労働者の場合は法律に根拠を持った罰則付きの規定になっていますが、個人事業者については、前回、省令改正のみで手当てをしたので罰則がないというアンバランスが生じております。これを、労働者とバランスを取るという観点で、罰則規定化していこうということです。別途、個人事業者に対して、事業者が保護具や作業方法について周知しなければならないという義務も、先般の改正で新たに創設しておりますので、その周知を受けた場合における周知内容を、しっかり個人事業者の方にも守っていただこうということも、何らかの形で手当てしていこうというものです。
 続きまして7ページ、注文者(発注者)による措置です。アについては、安衛法上、安衛法というのは、どうしても事業者に対して非常に多くのことを求めておりますが、中には、注文者に対しても、責務として、注文する仕事について、安全で衛生を損なうような条件を付さないようにしなければならないということも求めております。ただ、その規定ぶりが、建設工事等の注文者という言い方であったり、安全で衛生を損なうおそれがあるようなという漠とした書き方になっているという指摘がありました。もっとも、解釈で建設工事に限定しないということも示しているのですが、やはり、広くその責務を御理解いただくためには、何らかの形で、どういう方が責務を負っているのか、また、その配慮・責務の内容などについても、具体的に示してはどうかという御指摘がありました。
 イについては、注文者の安全上の指示と書いてありますが、これは分かりにくいのですが例を挙げますと、例えば、重層請負の現場があったとして、自分が使用しているのではなく、請負会社の労働者の方が何か危険行為であるとか不安全行動を行っていたときに、元請の人が直接その労働者の方に何か注意をしたりアドバイスをするという場面が、実際現場ではあるようです。その際に、そういったものが安全のためにやろうということですが、場合によっては、指揮命令に該当して、偽装請負として捉えられてしまうのではないかという懸念があって、ちゅうちょしてしまうという声もありました。
 そういうことも踏まえて、「安全上の指示」と「指揮命令」の関係性について、そういう実態があるというのであれば、その実態を踏まえて、よく整理して周知することによって、躊躇なく安全上必要なアドバイス、指示ができるようになるのではないかという御指摘です。
 ウについては、1ページ前で既に説明した点です。エについては、これは新しい視点ですが、安衛法上、例えば建設業、製造業、造船業などについては、1つの場所で下請と元請の労働者の方が混在するような場面においては、元方事業者に対して、いろいろな義務を課しているわけですが、これはあくまでも、建設業なら建設業、製造業なら製造業という、1つの仕事の枠の中での措置に限られているわけです。従いまして、そういった建設とか製造の仕事とは別の仕事の、いわば出入りの業種が異なる業者の方が入ってきて作業をして、本来の建設なり製造の仕事と混在するという場面については、実は法令上はカバーできていないのが現状です。実際、そういう災害もありますので、そういった部分については、混在する作業に着目して、業種にとらわれずに、何かしら連絡調整等の実施を求めていくべきではないかという視点です。
 8ページ、これはオ、カ、キとありますが、これは、いずれも安衛法第31条以降にある特別規制の話です。特別規制というのは、繰り返しになりますが、安衛法上は、労働者を直接使用する事業者の方に多くの措置を求めておりますが、なかなか事業者だけでは措置を講じ得ないような場面があります。例えば、足場については墜落防止措置を講じてくださいというのは、足場を使用する全ての事業者に義務がかかっているわけですが、個々の事業者にとったら、その足場自体は自分が設置したものではなくて元請さんが設置したものなので、なかなかやりづらいという状況もあります。そういうような場合には、機械や設備などに着目して、その機械を設置した最上位の注文者、そういう機械を誰かに使わせて仕事を行わせている人、そういう立場にある人に対して、きちんと規格を具備したものにしなければならないという上乗せの規制を特別に課して、こういう条文構成になっております。
 ただ、そういった条文について見ますと、労働者の労働災害を防止するためというような書き方になっております。実際、使わせる機械の中には、それを個人事業者が使うということもあり得ますので、今の限定的な書きぶりではいかがなものかという御指摘がありました。オ、カ、キは、それぞれ同様の視点です。
 9ページ、発注者(注文者)以外の災害原因となるリスクを生み出す者ということです。こちらのアとイについては、今、御説明した特別規制のグループに入るものですが、これは仕事の注文関係に着目した規制ではなくて、機械貸与、要はリース業者みたいなことですが、イについては建築物貸与、これは施設管理みたいな話です。そういう機械をリースしたり、施設を誰かに貸したり、そういった立場にある方に対して、個々の事業者だけではなし得ない措置について実施をお願いしているということです。こちらについても、前のページで申し上げたように、労働者の労働災害という形になっていますので、その部分については限定を外す必要があるのではないかということです。
 こちらの2点については、実は、それぞれの対象機械や対象の建築物というのが、ごくごく限定的に規制されております。例えば、リースの関係では「移動式クレーン」や、本当にごく僅かな機械に限定されている。建物のほうで言えば、「事務所」と「工場」だけに限られている。実際、これは災害の状況を見ながらということになると思いますが、移動式クレーンとか車両系の建設機械以外で、例えば、今、規制の対象になっていないフォークリフトなどについても、実際、リースは行われているわけで、製造現場に荷物を運んだ運送会社のドライバーさんが、そのリースしたフォークを使って、どこどこまで荷物を運んでくれよと言われる。ただ、そのフォークリフトに欠陥なり不備があって、事故になってしまう。そういうようなこともあろうと。そういう部分については、災害の状況を見ながらになると思いますが、対象機械を追加して、規制の対象にすべきではないかという御議論がありました。
 建築物の事務所・工場についても、同じような考えで、場所として、事務所と工場に限られないような所でも、そういった建物に起因した災害が起きているのではないかという視点です。
 ウについては、少し話が変わります。プラットフォーマーと一口に言っても、いろいろな形態でサービスを提供しているサービス提供者はいらっしゃると思います。そのサービスの提供の在り方について見た場合、注文請負みたいな形でやられているのであれば、労働安全衛生法第3条第3項の注文者の責務でカバーできるわけですが、必ずしもそうではないサービス提供形態もあると。そういう部分については、労働安全衛生法第3条第3項の直接適用はないですが、それに準じた形でいろいろな措置をやっていきたいと。そういう適用範囲や、配慮していただきたい内容を明確にしていくべきではないかという御議論がありました。
 ただ、このプラットフォーマーやギグワークの世界については、日々、いろいろな形態での働き方、サービスの提供の在り方が出てきておりますので、なかなか安衛法の既存の枠組みでは捉えきれないような問題があります。そういった課題についても、将来的に検討していく必要があるのではないかということで、国内外のそういった状況についても、しっかり把握しておくべきではないかという御指摘を頂いております。
 10ページ、これは先ほど冒頭で申し上げた論点2に該当するものです。こちらについては、最高裁判決を踏まえて改正をした労働安全衛生法第22条以外の条文に関する省令を改正していこうということです。こちらについて御議論いただいた結果、アとイの2つに分けて考えていくべきではないかと。
 まず、アとして、「退避」や「立入禁止等」といった条文が第22条以外の条文でもいろいろ定められております。例えば、災害が起きたときに、その場所から退避してください、若しくは危険箇所に立ち入ってはいけません、こういうものについては、作業場所の管理権原に着目した措置ですので、危険性や有害性といったベースになっているリスクとは余り関係がないのではないかと。なので、その場所で作業をする労働者であろうが、なかろうが、立入禁止や退避の部分については、速やかに省令の見直しをしてやるべきではないかという御議論でした。
 一方、「保護具」や「作業方法」に関する周知の部分ですが、これは、第22条に基づく有害性の部分については既に手当てをしておりますが、その有害性とは異なって、例えば、高い場所で墜落制止用器具を付けなければいけないという話があったときに、ある高い場所から落ちる危険は、目で見てそれがどれぐらいの高さか分かりますし、墜落による危険というのは見ただけで分かりやすい、それは機械による挟まれ、巻き込まれも同じようなことが言えると思います。そういう部分で、目に見えない有害性と危険性というのは少し違いがあるのではないかと。ただ、危険性だから全部目で見えるかといいますとそうではなくて、例えば、あるコードがあって、そこにものすごい高圧の電流が流れているとか、あとは一見、丈夫な床に見えるのですが、実はそれは薄いスレートで、そこに乗ったら下に落ちてしまうといったように、見ただけでは分からない、その情報を教えてもらっていなければ対応のしようがない、そういうものもあるのではないかと。
 こういう部分については、全部一律に初めからやるというよりも、災害の実態を踏まえて、個々の規制の状況について直す必要があるのか、ないのか、これは精査した上で対応することが重要ではないかという御指摘でした。
 ただ、災害の状況を見ながら精査するということになりますと、一定の期間が掛かりますので、その間何もしなくていいのかといいますと、それはそうではありませんので、アのほうで速やかに対応するのと併せて、罰則付きの法令という形ではないですが、ガイドラインベースで取組は進めていただこうということで御提案いただいております。
 11ページ、これが論点3になります、過重労働やメンタルなどの健康管理の部分です。この健康管理の部分に着目したときに、個人事業者自身の健康管理というのは、労働者であれば事業者の方がやっているような事項はあるのですが、これは、労働者であればやられているような水準でやられていることを、まずは御自身でやっていただくのが基本ではないかという御議論を頂きました。例えば、労働者であれば一般健診とかを受けていますが、それと同じようなものを、いろいろな保険者が実施しているような健診等の機会を活用して御自身で受けていただいて、問題があれば次のアクションを起こしていただくということです。あと、長時間の就業についても、御自身で働きすぎていないか、どれぐらい就業したのかということをきちんとチェックして、それを踏まえて体調管理もやっていただくということが重要ではないか。メンタルについても同じです。定期的に御自身でストレスチェックを受けていただいて、医師による面接指導や専門家による相談等につなげていただくと。腰痛等の筋骨格系の障害も同じだと思います。こういうことをきちんと御自身でやっていただくためには、やはり、個人事業者の方々のヘルスリテラシーの向上も重要だろうということで、行政や個人事業者の方が入っている団体などの御協力も得ながら意識向上を図っていく。これが、まずベースにあるのではないかという議論でした。
 ただ、12ページを見ていただきますと、全部個人事業者自身でやればうまくいくのかといいますと、これは必ずしもそうではないのではないかと。「個人事業者等に対して健康リスクを生み出す者」と書いてありますが、12ページの真ん中に書いてある①②③ですが、例えば、仕事の注文者が1日に荷物を200個なら200個、これが1日に配送すべき量だと指定して、実際、どういうルートで運ぶべきかみたいなことを、アルゴリズムでコントロールするということになりますと、適当なところでやめたりとか違うルートで自分なりにやるということは、なかなか難しいという状況です。
 例えば、②の映画の撮影現場のように、個人事業者の方が自分の業務量などで出入りすることが自由にできないケースもあろうかと思います。また、③のように、例えばITなどでいえば、プログラムにバグが発生して、それを直ちにシステム障害を直さなければいけないということで、何時間もぶっ通しで、場合によっては徹夜で直さなければいけないという仕事もあろうかと思います。こういう部分については、自身で健康管理をやってくださいと言ってもなかなかできにくい部分がありますので、そういう仕事を注文したりとか、そういう仕事を管理する方が、まず最初に、安全衛生を損なうような長時間の就業にならないような期日設定に配慮をしていただくことが重要だと思います。どうしてもやらなければいけない場面もあるでしょうと、そういう結果、長時間になってしまった方から求めがあった場合については、医師による面接指導の機会提供、こういったことをやっていただくことが良いのではないか。メンタル予防についても、同じような考えです。ただ、メンタルのうち、ハラスメント関連の部分については、他法令でもいろいろな取組を注文者さんとかに求めておりますので、そういったものとも整合しながら進めていく必要があるのではないかということでした。
 13ページも健康関係の続きです。一般の健診は御自身で受けていただくことが重要ということでしたが、健康診断の中でも、例えば、労働者であれば特殊健診を受けなければいけないような業務を注文しているような場合、しかも、それを反復・継続して個人事業者の方に注文しているような場合については、労働者であれば特殊健診を受けなければいけないので、それに相当するような費用を安全衛生経費として盛り込むことも重要ではないかということです。
 一方、一般健診の場合については、必ずしもこれと同列では言えないのですが、例えば、ある注文者から、ある個人事業者の方が専ら専属で仕事を受けていると。しかも、その契約期間が1年を超えたりとか、1年を超える契約ではないのですが、繰り返して実態として1年を超えているような場合、はたから見れば労働者と同じように、労働者性はないとしても、ずっと専属的にやっているようなケースというのはあると思います。こういう部分については、注文者の立場にとっても、いつも仕事をお願いしている方が常に健康でいてくれるということは、事業継続の観点からも望ましいと思いますので、この費用は安全衛生経費として盛り込んでいただくことが望ましいということを、ガイドラインで明示していこうということです。
 あと、作業環境についても、注文した仕事をどこの場所で行うかと。これは、注文者が管理する場所で行うのであれば、労働者であればきちんと確保されなければいけないような条件を、しっかり注文者に確保していただくことが重要です。別の場所を指定して作業するような場合、例えば、どこかの客先に常駐して作業してくださいという場合については、その働く場所で、きちんとそういうものが確保されているのかというのを確認した上で仕事を注文していただくことが重要であるという内容になっております。
 最後に、14ページは支援の話です。これは全体を通して言えることですが、個人事業者の方は中小企業と比較してもなお、御自身で作業しているので、もっとリソースは限られていると思います。そういった方が必要な情報にきちんと接して、リテラシー向上に図れるように、若しくは取組をやろうとしたときに、やりやすいようなツールの提供等も含めて、しっかりと国、若しくは関係の団体等がバックアップしていくということが書いてあります。相談窓口についても、いろいろな所にいろいろな観点から聞く窓口はあると思いますが、なるべく既存のものがうまく連携しながらワンストップでできるようにすべきではないかということです。
 最後のページ、その他については、今、申し上げたような取組をしていく上では、これは必ずしも押し付けになってはいけないのではないかという意見もありました。というのは、個人事業者は、単に労働者と同じように守られるという側面だけを持っているわけではなくて、自立的に事業活動を行うという、いわば事業者的な側面も持っていらっしゃると思います。また、冒頭でも申し上げましたが、活動の場がいろいろな業種・職種にわたっておりますので、よくよく実態に即した内容として、実態に即したやり方で、今、申し上げたような取組は進めていく必要があるのではないかという御指摘がありました。
 一番最後にイの所ですが、個人事業者について、今回の御報告を頂いた事項を全部実現していくと、かなり安衛法令上もいろいろな措置が入ってくるわけです。そうなりますと、現行の安衛法令上、労働者の方には、労働者が働く事業場における違反の事実を、監督署等に対して申告をして、その是正を求めるという権利がありますので、それと同列のようなものを個人事業者についても担保していく必要があるのではないかということで御指摘を頂いております。
 そのほか、今回の安全衛生対策というスコープとは直接関係ないかもしれませんが、災害防止と補償の在り方というのは、しっかりセットで議論すべきという観点から、これは別の制度になりますが、労災保険の特別加入制度の改善点の洗い出しとか、一層の充実を図るべきという意見もありました。こちらは、別途の部会のほうで御議論いただいていると聞いております。
 今、御説明させていただいたのが、10月末に取りまとめた検討会報告書です。こちらを今回御報告させていただいた趣旨は、こちらに書いてある内容のうち、いろいろ、どういうツールで実現するのかというのは、正にこちらの分科会で御議論いただきながらということになりますが、できるものから順次やっていくという中で、この分科会に御報告させていただいて御意見を賜る、若しくは諮問という形で御審議いただくようなものも順次出てくると思いますので、その予告的な意味も含めて御報告させていただきました。私からは以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。本件について質問、意見等のある方は、会場の皆様については挙手をお願いいたします。オンライン参加の委員については、チャットに書き込みをお願いいたします。宮内委員、どうぞお願いいたします。
○宮内委員 大変、大事な報告書のご説明をいただき、どうもありがとうございました。この報告書をこれからどのようにして実現させていくかという、具体的なことが決まっていくステップになるわけですが、個人事業者が正に非常に多くいらっしゃる、また、多様な働き方という形の中で、むしろ個人で事業をすることを推奨しているようなところもあると思っています。そういう中で、安全衛生をしっかり担保する、教示することは本当に重要なことだと思います。まずは災害の実態等を調べることと同時に、予防対策をどうするかということがポイントになると思います。その中で、私は教育が非常に重要かなと思っております。話しの最後のほうにありました、いろいろなツールを利用して、まずは他種の団体が協力して情報発信をし合うというところが重要かと思っています。
 特に先ほどお話があった教育の中にも、デジタルツールが非常に重要だと思っています。一定の時間を費やして教育をするのは難しいような業種の方の場合、非常に有効かなと思っています。デジタル教育を是非うまく取り入れていただくといいと思います。
 それから、現にいろいろな所で決められている基準があると思います。そういったことを知らない、また、どうやって情報を探せばよいかも知らないと思うのですね。例えば重量物の取扱いの基準などがあるわけです、そういうのは、実際に自分で知っていれば、予防できるかもしれないわけですね。ですから、作業環境や腰痛予防等も含めて、もっときちんと情報伝達をするということが、まずは私は必要かなと思いました。
 それから、作業環境でいうと、特別教育等をして有害物に対するばく露防止することは重要だと思うのですけれども、特別教育も結構たくさんあって、準ずるような教育もあります。これは非常に重要で、どの教育を優先的にしっかり受けてもらうと有効かを考えていただくと良いと思います。
 それから有害物が周りにある中で仕事をしなくてはいけないという方たちも多いと思います。例えば、工事現場での金属アーク溶接のヒュームなどは最たるものなのです。そういうことの制御をどうしていくかということも大きな問題ですから、室内環境、温度、湿度等も含めてですけれども、化学物質ばく露対策、たとえば保護具なども含めて是非、議論いただければと思いました。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。そうしましたら、奈良委員、お待たせしました。お願いいたします。
○奈良委員 全建総連の奈良です。御説明ありがとうございました。やはり、今回の検討会の議論は、誰もが安心して働ける環境を作る上では、非常に大きな意味を持つのかなと考えております。1年ちょっとという短い期間、15回ものヒアリングも含めて会合を重ねて議論を積み上げてこられた、この検討会に関わった皆さんに、改めて敬意を表したいなと思っています。更に言えば、今回の議論が建設アスベスト訴訟の最高裁判決を踏まえたものであるという点で言うと、やはり私たち働く者が声を上げることで社会の在り方を変えていくというか、促進をすることの事例としても、非常に意味があるものと考えています。
 その上で、意見と質問です。1つは、本来働く者、労働者は、きちんと雇用をされて、労働法の下で労働者として保護されるべきだというのが原則であろうと。本人の意思によらず、雇用されず、個人請負あるいは個人事業者とさせられる、そうしたことが基本的にはあってはならない。その辺りの、いわゆる偽装請負、偽装一人親方等々の在り方をきちんと見直していく。ですので、個人事業主への働き方の移行を促進するような文脈で、今回のこの個人事業者の安全衛生対策が用いられてはならないということを申し述べたいなと思っています。
 その上で質問なのですが、実は、参考資料として頂いた報告書の7ページの所の検討結果というパラグラフ、この一番最後で、今回の対策は順次、今の御説明によると、必要な政省令等の改正に向かう、この審議会でもそうした経過が報告されるということなのですが、「不断の見直しを行うべきである」という文言が入れられてあって、これは非常に重要だなと思っていまして、新しい報告制度のような仕組みも今回提案されているわけです。そうしたものが制度、仕組みとして出来上がったときに、どうそれが機能するのか、あるいは機能しないのか、あるいはその仕組みによってどういった集約がもたらされるのか、そういったことを是非この分科会でもお示しいただければと思います。今後の不断の見直しというのは、どういう仕組みで基本的には行われていくのかなど、もし今の時点でお話いただけることがあるのであれば、お伺いしたいなと思っています。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。会場の委員はほかにございませんか。出口委員、御発言はありますか。お願いいたします。
○出口委員 出口です。御説明ありがとうございます。今回の検討会の趣旨・目的に関しては、賛同いたします。ただ、報告書に対する要望及び、今回次第にはありませんが、建設業における化学物質の自律的な管理に関する現状報告と要望について、発言させていただいてもよろしいでしょうか。
○髙田分科会長 お願いいたします。
○出口委員 検討会では、15回に及ぶ協議を繰り返して、様々な意見が出ました。取りまとめていただき、ありがとうございます。ただ、当初の趣旨・目的以外にも、今回の検討会では多くの問題点が浮き彫りとなりました。
 まず、1つは、当初事務局からも御説明がありましたように、災害防止と補償の在り方をセットで議論すべきとの観点から、特別加入制度の改善すべき点を抽出し、より一層の充実を図るべきとの意見がありました。特別加入制度については、補償の在り方を根本的に見直す時期と認識しております。
 また、検討会では取り上げていただけませんでしたが、行政の団体を通じての促す周知、水平展開等の現在のスタイルでは限界があり、対象者には行き届かない。新たな促し、周知水平展開、支援方法を検討すべきであり、団体を通じたアクセスができないアウトサイダーの方や中小零細企業についても、様々な課題が浮き彫りとなっております。業種・職種ごとに状況も異なると思われます。一人一人に情報が届くよう、実態を踏まえた周知方法等を追求していただくためにも、個人事業者の登録制度の検討を図ることにより、より広く有効かつ実用的な促し、周知、支援の実施が可能になると考えております。
 今回、検討会でまとめていただきました報告書は、今後、新しい大きな取組となります。個人事業者の災害報告主体なども様々な意見が出ました。まだ詰めきれていない点も多くあり、細かい取扱いが問題になることが想定されます。個別具体的な想定される事案の対応について、報告書に全てを書き込むことはできません。今後、具体的な制度づくりや解釈を示していただく際に御対応いただき、参考資料の検討会報告書にも、「当該措置等を実施する中で、措置等の改善が必要となれば見直しを行う等、個人事業者等における安全衛生の確保に向け、不断の見直しを行うべきである」とあります。行政として全力を挙げて取り組んでいただき、適宜適切な見直しを行っていただくようお願いいたします。
 続いて、今回の次第にありませんが、化学物質について発言させていただきます。建設業界の中で、今、非常に大きな問題、課題となっております、自律的な管理を基軸とした新たな化学物質管理についての現状報告と要望をいたします。令和6年4月1日より罰則付きで義務化されることは、皆さん既に御存じのとおりです。建設業では、建災防、建設業労働災害防止協会からの依頼を受けて、建設業労務安全研究会会員企業の10現場において、代表的な化学物質の取扱作業を特定し、ばく露濃度の測定を実施。測定結果に基づいて、3作業、ドアの塗装等の有機溶剤取扱作業、セメント系粉体取扱作業、スラリー状のコンクリートを使用する作業について、建災防で試行版のリスク管理マニュアルを作成して、今月11月7日に、再度、建災防から労研に、専門工事業者及び労研会員企業に対して、塗装業、左官業の2業種に対して意見を求める依頼が届いております。
 実態は、化学物質取扱作業が全て特定されているわけではなく、また、ばく露濃度測定を完了して測定結果が全て出ているわけではありません。今回、3作業、また、塗装業、左官業の2業種のみとなっております。この建災防で作成されたリスク管理マニュアルは試行という形ですので、会員企業及び協力会社からマニュアルに関する不備・要望等の意見が出れば、完成するまでに時間を要します。労研では、特別委員会を設置して、他の作業の特定、ばく露濃度測定を実施して、2024年度以降もマニュアルの作成を進めていくことになりました。
 また、皮膚障害等防止用保護具の検討会にて、保護具の選定に関するマニュアル作成が現在進められておりますが、建設業から参画している者からは、現在の進捗状況では2023年度中に答えは出ない、まとまらないと報告を受けております。
 分科会においても幾度となく発言しておりますが、化学物質の自律的な管理が定められたとおり実施・展開されるかは、リスクアセスメントが適正に実施され、化学物質を製造又は譲渡、提供している事業所が、取り扱う事業者等に適切なSDSをきちんと交付されていることが大前提となる仕組みです。しかし、第156回分科会の参考資料として提示された令和4年労働安全衛生実態調査の概要を見ても分かりますように、リスクアセスメントの実施率は69.6%と前回から下がっているようですし、SDSの交付状況を見ても、安衛法第57条の2に該当する化学物質の全ての製品にSDSを交付している事業所の割合は43.2%になっており、環境が全く整っていません。これらを踏まえて、建設業として要望いたします。
 メーカーがSDSに適切な保護具等の記入ができなければ、化学物質を使用する側は法を遵守できません。また、メーカーは経過措置として、改正政令附則第2条及び第3条関係、改正政令により新たにラベル・SDS対象物質に追加される物質のうち、国が行うGHS分類の結果、有害性の区分が区分1以外と区分されたものについては、令和8年3月31日までの間は法第57条及び第57条の2に規定しない、規定を適用しないということになっております。化学物質を製造又は譲渡、提供している事業者が、取り扱う事業者に対して、適正なSDSをきちんと交付しなければ、仕組みとしては成り立ちません。
 他の業種、例えば製造業などの他の業界は、既に準備は万全なのでしょうか。建設業としては、現状を把握した上で来年4月1日からの適用実施は非常に困難であると考えております。少なくとも、化学物質を製造又は譲渡、提供している事業者が適切なSDSを交付し、保護具等についてもきちんと解釈が示されるまで、最低1年は、現状の環境を改善するまで、法違反等ではなく指導等にとどめていただき、全ての労働基準監督署における臨検等についても、所轄によって異なる指導がなく、全国共通の指導でとどめていただくように要望いたします。これは建設業からの強い要望となります。
 今回、次第等にはありませんので、次回12月の分科会までに、建設業諸団体と個別に今後の支援及び方向性について協議させていただきたく、重ねてお願いいたします。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。鈴木委員、お願いいたします。オンラインの委員の皆様は、この後、御指名いたしますので、お待ちください。
○鈴木委員 御指名ありがとうございます。私は、検討会に参画した者の1人として、一言申し上げたいと思います。検討会の場では、個人事業者の安全と衛生を確保していくための方策について、本当に真摯な議論が重ねられました。特に個人事業者の業務上災害の報告の制度につきましては、委員の間で緊張感のある話合いと、ぎりぎりの意見集約が行われた上で、ようやく報告書の取りまとめに至りました。このような経緯も含めて、大変意義のある重たい報告書であると思っているところです。今後、当分科会で具体的な方策等の議論がなされると思いますが、そのような思いで個人事業者の安全と衛生の確保に向けた議論に参加していきたいと思います。
 それから、今、出口委員から化学物質の自律的管理についてのお話がありましたが、その点についても少し触れてもよろしいでしょうか。
○髙田分科会長 お願いいたします。
○鈴木委員 あるメーカーの業界団体の声ですが、入手したSDSの記載情報から、どのような種類の保護具を選択したらよいのか判然としないという声や、SDSの記載情報の更新が不十分なため、情報更新の徹底と簡便な方法で更新情報を入手できる仕組みを望むという声を聞いております。厚生労働省におかれましては、円滑な施行を実現するため、指導・周知も含めて、必要な対応を御検討いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○髙田分科会長 ありがとうございます。お待たせしました。まず、オンラインの委員で門﨑委員、お願いいたします。
○門﨑委員 労働側の門﨑です。私から、報告書を踏まえて何点か意見という形で述べたいと思います。報告書は、労働安全衛生法の対象を労働者に限定せず個人事業者等にも拡大するために必要な見直しを求めるものであり、全体の方向性としては、フリーランスをはじめ、曖昧な雇用で働く者の保護に資すると受け止めています。報告書にも示されているように、個人事業者も労働者と同じ安全衛生水準を享受すべきとの考え方の下、個人事業者が安全・安心に働くことができる職場環境を整えていくことが重要と考えています。まずは、本報告書の内容に基づき、法令等の見直しに向けた検討が早急に開始できるよう、準備を進めていただきたいと考えています。
 また、今般の報告書においては、プラットフォームワーカーに関する新たな法則、法規制の導入が今後の検討課題とされるなど、残された課題も少なくないと思っています。これらについても、次期の検討のタイミングまで放置されることのないよう、厚生労働省においては、引き続き研究、検討を行っていただきたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。続きまして、原委員、お願いいたします。
○原委員 論点1の「危険有害作業に係る個人事業者等の災害を防止するための対策①」において、当面の対応として、「個人事業者等の業務上の災害に関する報告制度の創設」ということが挙げられております。この傷病の報告制度につきましては、検討会でよく審議されたことがうかがわれますが、もし、現在のスキームでは、この個人事業者等の傷病情報を的確に収集するという初期の目的を達し得ない場合、例えば次の労災防止計画を練る段階等で見直しを図ることを御検討いただければと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。続きまして、及川委員、お願いいたします。
○及川委員 及川です。検討会で報告書がまとめられましたことは大変有り難く思っていますし、また、関係者に敬意を表したいと思います。難しい議論がありましたことを本日も改めて感じました。その中で、既に意見が一部出ていますが、デジタル化の進展に伴い、デジタルプラットフォームの利用をした業務委託の仲介など、新しい取引形態の存在感が着実に増していると感じております。これらに対する安全面での規制の必要性、重要性を申し述べておきたいと思います。
 もう一点ですが、中小企業には、大変、人手不足が事業の制約になっております。そういった中で、省人化、省力化の機器を使ってこれを緩和する動きが急速に高まっています。いわばロボットを使うときの安全性につきまして、省力化機器の普及に伴い、これから問題が出てくるのではないかと危惧しております。注視をしていただければと思っています。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。続きまして、新屋敷委員、お願いいたします。
○新屋敷委員 私も、省令改正、法律改正について賛成ですが、幾つか御意見を申し上げたいと存じます。今回の省令改正等は、アスベストの最高裁判決を受けてのことであると思います。その中で少し気になった点が、例えばスライドの12枚目です。プラットフォーマーも含めて、個人事業者等について、長時間就業とならないような期日設定等に配慮することを促進することとありますが、もともと労働者であれば、労基法上、使用者に、労基法第32条の労働時間についての義務が、きちんとした基礎的な義務が課せられています。これに対して、プラットフォーマー等に対しては、恐らくそうした基礎となるような制度がないということになるかと思います。今回お示しいただいた案は、すごく革新的なものかと思いますが、安衛法上の義務が、そうした基礎的な義務がないものについても、どんどんと展開していくことに、若干の危惧を覚えます。
 こうした基礎的な関係性を把握をしたり、契約上の関係で安全配慮義務があるのかないのかということが、はっきりとしないため、関係者においても、そもそもどこまで安衛法上の義務を負うのかということを、権利義務の内容をすごくイメージしにくい、実効性を確保していくことが難しいように思います。また、こうした状況で、公法上の義務がどんどん展開していくと、問題になった場合には、恐らく、契約上の義務ではなく、不法行為法上の紛争がどんどん出てきてしまうように思います。
 フランスでは、プラットフォーマー等も含め、安全衛生に関しては明確に対象者を限定して、体系的な法制度が構築されていると聞いております。もう既に諸外国の法制度も検討対象にされるということですが、そうした例を見ながら、体系的な制度構築を、安衛法だけではなく、ほかの法律制度との関係も併せて御検討いただければと思いました。私からは以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。オンラインの委員は以上でよろしいでしょうか。会場で増田委員、お願いいたします。
○増田委員 増田です。御説明ありがとうございました。産業保健の実務に携わる立場から、各論的な内容で恐縮ですが、2点お伺いします。まず1点目、参考資料の検討会報告書の15ページの一番下から3行目の所、「特殊健康診断について、個人事業者等に対し、特殊健康診断と同様の健康診断を受けること及びその結果に基づく必要な精密検査や受診を促すこととする」とあるのですが、一番下の行の「精密検査や受診」は、「精密検査の受診を促すこととする」という意味ではないかと思うのです。これは、「精密検査や受診」なのかどうかを確認させていただけたらと思います。
 もう一点が、資料3の12ページ目に「注文者等が医師による面接指導を受ける機会を提供」というくだりがあります。これを実際にやった場合に、この注文者等の医師が注文者等の産業医だった場合に、これは産業医として対応することになるのかという質問なのですが、分からないですね。質問を変えます。注文者等が医師による面接指導を受ける機会を提供した場合に、それは労働者数にカウントされるのか、それが積み重なって50人を超えたら、その事業場において産業医を選任しないといけなくなるという趣旨になるのかという点を確認させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ほかはよろしいでしょうか。たくさん御意見、御質問を頂いておりますが、まず、化学物質の自律的管理以外が中心になると思います。事務局からお願いいたします。
○主任中央労働衛生専門官 いろいろ御質問、御指摘をありがとうございます。まず、全体的な話としましては、今後、順次こちらの分科会に御報告させていただいて、御意見を賜る、若しくは、諮問して御審議を頂く中で、それぞれのテーマの場面で掘り下げて御議論を頂きたいと思いますし、その際に、私どもとしても検討したいと思います。ただ、現時点で何らか答えになればと思うことについては御回答させていただきます。
 最初に、宮内委員から御指摘があった、教育におけるデジタル技術の活用という部分ですが、これは正に御指摘のとおりでして、普通の労働者のように、1か所に集まって座学で教育するというのはなかなか難しい状況になっております。ですので、教育の方法も、eラーニングとかデジタルを活用することはもとよりなのですが、教育の中身についても、これは3次産業分野の労働者の方にも同じようなことが言えるのですが、余りパッケージングした教育というよりも、ポイントをモジューリングしたものを細切れに要所要所でやっていくことが、これから必要になってくるのではないかなと。そういう視点を我々としても持っていますので、そのようなところとも絡めながらやっていきたいなと。
 あと、教育と言っても、特別教育に相当するような、有害業務に付随したような教育というのと、安全衛生一般の教育知識みたいなところがあると思います。前者については、どういう特別教育的なものが必要なのかというのは、仕事を注文する段階で、注文者のほうがそれはよく御存じだと思いますので、どういうものが必要ですよと、自分の所の労働者にはこういうことをやっていますよというような情報というのも、併せて機会提供、周知の一環としてやっていただくというのが重要ではないかなと思います。これは今後、詳細を議論していきたいと思います。
 あと、我々には、特別教育以外にも、いろいろな災害防止のノウハウとか知見とか、労働災害防止の分野で培ってきたものがありますので、そういうものについては、個人事業者関係の団体とも連携しながら、そういう団体を通じて、そこに合ったようなノウハウを提供していくことも必要かなと思っております。
 あと、金属ヒュームという話が出ましたが、そういう有害性にばく露するとか、有害作業の健康障害防止対策の部分については、むしろ、この最高裁判決を踏まえた22条関連の省令改正で、かなりの部分を対応しているところがありますので、そこは、既に施行されているものを、施行されたばかりではありますが、しっかり今後やっていくことも重要ではないかなと思います。
 続いて、奈良委員から頂いた御意見で、個人事業者的な働き方に流れていくような促進材料にならないようにということですが、そのとおりだと思います。ただ、自分で、どういう働き方、仕事の仕方というのが選べるような世の中というのは重要だと思います。どういう形を選んだとしても、安全とか衛生が損なわれることがないようにということで、冒頭、御説明しました、労働者であろうがなかろうが同じ水準を享受すべきという観点に込めさせていただいております。グレーなものをしっかり、本来労働者であればそこを保護するというのは、また別の議論としてあると思いますので、個人事業者という適正な形で働く場合においても、守られるべき水準というのがあるのだということで、御理解いただければと思います。
 あともう1つ、不断の見直しという部分です。これは、具体的なかっちりしたイメージがあるわけではないのですが、まず、新しくできます災害報告制度で、労働災害についてやっているのと同じように、分析・集計をして課題を見いだしていくことが1つ。もう1つは、労働災害の関係では、いろいろな業種団体、災害防止団体がありまして、そこと常にコミュニケーションを取りながら、いろいろな課題を把握して、次なる対策に結び付けているところがあります。それと同じように、個人事業者関係のいろいろな団体とかがあると思います。これまでは、そういった所とよくコミュニケーションを取っていたかと言うと十分ではなかった部分もありますので、そういうチャンネルも活用しながら、現場の課題というのは不断に把握をして、必要があれば見直していくということで考えております。先ほど申し上げた災害のまとめなどについても、労働者災害と同じような並びで、この分科会においても御報告させていただくことになるかと思います。
 あとは、出口委員から御指摘があった、個人事業者の方が、つかみどころがなくて既存のチャンネルだけでは届かない情報があると。登録制度も含めて、しっかり情報が行き届くようにという御指摘だったと思います。今後、そういった部分についてどういう方法でやるかというのは、いろいろまた御議論させていただければと思いますが、当然、事業者団体、注文者になり得る事業者団体の方の御協力も頂きながらでないと、なかなかやっていけない部分もありますので、その部分は御協力いただきたいと思います。あと、個人事業者という立場で働かれる方は、必ずしも労働災害防止でないチャンネルでも、いろいろ我々行政と関わり合いがある部分があると思いますので、安全衛生というパイプだけにとらわれずに、他行政分野との連携も含めて、いかにきちんとリーチできるかという観点で、今後議論をさせていただきたいと思います。
 あとは、門﨑委員の御指摘ですが、放置することなく、早急にこの報告書を踏まえた検討をということです。そちらは肝に銘じて、次回以降、御報告いただいたものについて、しっかり御意見を賜ったり御審議いただけるような形で準備してまいりたいと思います。あと、プラットフォーマーの関係についても、我々として、直ちに今の安衛法の体系で対応できるものではないという認識ですが、いろいろな動きをウォッチしながら、放置することがないように、しっかりと状況をつかんでいきたいと思います。
 あと、原委員からの御指摘ですが、これは不断の見直しというのに関わってくると思います。先ほどお答えしたとおりですが、災害の状況なども把握しながら、又は、関係の団体ともコミュニケーションを取りながら、問題があれば見直していくと。その1つのタイミングとしては、災防計画の切替えと言いますか、見直しの時期というのも1つの選択肢になるのではないかと思います。
 あと、及川委員から御指摘がありました、デジタルプラットフォーマーの安全衛生面での規制の重要性、これは私どもとしても認識しておりまして、繰り返しになりますが、現行の安衛法の枠組み、立て付けでは対応できない部分も多いですので、将来的な課題に向けてしっかり把握はしていきたいと思っております。あと、人手不足や省力化に絡んで、ロボットをはじめとした、いろいろなデジタル、遠隔というような技術が導入されつつあります。そういった部分については、我々としても非常に高い関心を持って注視しておりますし、安全衛生が損なわれることがあってはいけないと思うのですが、そういうものがうまく使われて、極端な話、人がいないで作業できるようになれば、災害というのは起きないので、そういう技術というのが安全衛生分野にどのように展開されていくのか、又は展開する上で邪魔になるような規制はないのかということは、常に課題、問題意識を持っています。
 あと、新屋敷委員から御指摘がありました、長時間就業とならないような配慮という部分ですが、プラットフォーマーに対して法的枠組みがない中で、どのように捉えればいいのか、また、実効性という部分です。これは、安衛法の立て付け、枠組みという部分が、先ほどから何度も繰り返し申し上げているように、追い付いてない部分もあろうかと思います。具体的な手法については、こちらの分科会で御議論、御意見を頂きながらということになりますが、そういう位置付けということになりますと、どうしてもガイドラインとか推奨ベースにまずはなろうかと思いますが、将来的な課題としては重要であると認識しております。
 最後、増田委員から2点、具体的な記載について御指摘がありました。「精密検査や受診」というのは、御指摘を頂きまして、これは確かに言葉足らずだなと感じました。健康診断を受けた結果、更に健診を受ける必要があるということで、「精密検査の受診」という観点もありますし、精密検査に行く前に、すぐに、例えば医療機関を受診するということもあると思いますので、そういうイメージで書かせていただきました。報告書案も取りまとまっておりますので、この形ですが、これを実際のガイドラインとかの形にしていくときには、重々誤解がないように、周知、書きぶりについては気を付けたいと思います。あと、最後の「面接指導を受ける機会の提供」という部分ですが、例えば、注文者さんにいらっしゃる産業医の方が、どういう位置付けで、医療行為としてなのか産業医としての職務なのかは別にして、面接指導をやったとしても、労働者数としてカウントするということにはならないという整理だと思います。今、まずそういう形でお答えさせていただきますが、もう一度、こういったものをガイドラインとかにまとめる際に、よく整理をしたいと思います。まず現時点の認識としては、労働者にカウントするということにはならないと思っております。以上でございます。
○髙田分科会長 ありがとうございます。個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関して、今の回答で、更に追加で御意見、御質問はございますでしょうか。増田委員、お願いします。
○増田委員 御回答ありがとうございました。先ほどの「必要な精密検査の受診」ではないかという質問につきましては、「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」におきましては、特別則の特殊健康診断の再検査、精密検査までは義務付けられていると思うのですが、医療機関受診までは義務付けられてなかったはずですので、この記載だと、受診のところも義務として掛かってしまう。したがって、既存の法令、指針との整合性が取れないと読み取れましたので、確認させていただいた次第です。御回答ありがとうございました。
○髙田分科会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。そうしましたら、化学物質の自律管理につきまして、もし現時点で回答可能なことがありましたら、事務局からお願いします。
○化学物質対策課長 化学物質対策課長です。多岐にわたる御質問を頂きましたが、出口委員からは6点ぐらいの御指摘、御要望があったと思っております。まず、SDSの関係で、そもそも、施行日が令和6年4月1日という御発言ですが、今回の化学物質規制につきましては、令和6年4月1日、令和7年4月1日、令和8年4月1日と順番に施行していく予定です。令和6年4月1日にリスクアセスメント対象物になりますのは、発がん性のように比較的有害性の高い区分で、区分1になっている物質。それから、令和7年4月1日になるのは、それ以外で区分1になっているもの。令和8年4月1日につきましては、区分1以外のものということで、順番に施行していくということです。SDS交付物質の義務付けにつきましても、それと同時に進んでいくということですので、令和6年4月1日に全てが適用されるということではないということは御理解いただきたいと思います。
 2つ目です。建設業のマニュアルということですが、こちらは昨年度から議論をさせていただいておりますが、建設業において化学物質を使う作業というのは比較的限定されております。昨年度の議論では、おおむね5作業ということで、先ほどおっしゃいました塗装とかセメント、そういったものに加えて、防水工事であるとかフローリングの接着作業、そういった5作業が出ていたものと聞いております。そういったものを踏まえて、昨年度、一定の測定を行った上で、また本年度、更にもう一回測定を行って、今回のマニュアルの策定に至っているところです。物質につきましても、先ほど申し上げましたように、令和6年4月1日に施行されるのは、基本的に発がん性があるような重篤な物質ですので、そういったものを使っているような業種、あるいは物質について、優先して測定等を行ったところですので、そういったものを踏まえて、今年度中にマニュアルを作るということで考えているということです。それから、来年度以降につきましても、先ほど申し上げましたように、ほかの物質もだんだん増えてくるということもありますし、まだ測定といってもいろいろ条件によって数字が変わることがありますので、引き続き補助金を建災防に支出しマニュアルに必要な測定等を行っていく予定です。
 それから、皮膚等障害化学物質等というのはおおよそ1,000物質ありますが、そのほぼ全ての物質について、手袋についての透過データをメーカーから御協力いただきまして入手しました。それに基づいて、それぞれの物質について、こういった材質であれば使える、こういった材質については使えないということを、現在まとめてお示しできる状態になっております。それを踏まえまして、まず、保護手袋の材質のスクリーニングをしていただくことになります。その上で、作業の内容、ドブ漬けするのか、刷毛で塗るときに時々飛沫が飛んでくるのか、そういった作業の内容に応じまして、あとは、手袋の厚さを選んでいただくと。そういったマニュアルを現在作成していまして、11月中にはそのマニュアルの暫定版をお示しする予定です。こちらの検討会につきましては、全建から最川委員に御参加を頂いています。
 それから、SDS交付がなされていない製品があるとのご指摘ですが、こちらにつきましては、義務が課せられているものについては交付することが当然ですので、そういったことをメーカーに指導していく予定です。
 それから5点目です。全国共通の指導としてほしいということでしたが、これは全国斉一行政ですので当然のことでして、局署を対象にした説明会というのを複数回実施しておりますが、引き続き、第一線にまで内容が届くような研修等を行っていきたいと考えております。
 あと6点目ですが、個別の業種からの御意見を要望したいという御発言がありました。既に労研で説明会を何度も行っておりますが、個別の業界で個別に意見交換をしたいということであれば、言っていただければ、個別の説明の場というのを設けることは可能ですので、お申出いただければと思います。
 それから、鈴木委員からの御指摘です。まず、SDSの記載から保護具が読み取れないということですが、こちらは出口委員からの御指摘に近いですが、要するに、手袋の種類がよく分からないとか、そういうことだと思うのです。こちらにつきましては、昨年度改正しました通達によりまして、SDS中の取扱いの注意事項の欄に保護具の種類を記載することを求めているところですので、現在、それの周知徹底を図っているところです。また、SDSの記載内容はJISで定めがありますが、今回、JISの改定作業を行っているところです。その中で、「保護具の種類等を記載する」というところを、行政から強力に主張しているところでして、現在、メーカー団体と協議しておりますが、こちらはJISですので、原案作成委員会には、メーカー団体のみならずユーザーも入っていただく予定ですので、そういった場で、また引き続きメーカーも含めて御議論させていただきたいと考えております。
 それから、SDSの更新がよく分からないということでした。SDSの更新については、これまで定めがなかったわけですが、今回の改正によりまして、人への影響というものについては、5年に1度、最低限確認することを義務付けております。もちろん、5年間、放っておいていいという趣旨ではなく、速やかに見直すように、当然、指導はしてまいります。それから、当然、先ほど申し上げましたように、1年ごとにリスクアセスメント対象物というのは追加になっていきます。それに伴って、そういった追加される物質が定められているSDSについては改定をする必要がありますので、今後、3年間で非常に多くのSDSは改定される見込みです。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。化学物質の自律的管理の件で、出口委員、お願いします。
○出口委員 御回答ありがとうございます。当然、罰則付きの規定ということで、来年の4月1日から全てが施行されるわけではないというのは十分理解しております。来年4月1日からは、667物質、234物質のプラス、約900物質。2025年の4月1日からは、内訳がありますが、約1,540物質。2026年の4月1日からは約2,320物質。それらがリスクアセスメント対象物質に加わるわけです。これは、今後も、2027年以降も増え続けます。逆に、SDS、いわゆる製造等のメーカーが対応できるのか、そこが非常に問題です。
 あと、建設業において化学物質作業が5作業と回答を頂きましたが、午前中に特別委員会が労研開催されまして、その際に既に3作業のリスク管理マニュアルを頂いていますが、さらに3作業が追加されました。特別委員会の委員長からはもっと増えると聞いていますので、5作業という回答には齟齬がある回答となります。これらを有効性のある自律管理にするためには、何をすれば良いのか、行政にも支援していただきながら、今後、進めていきたいと考えております。どうか御支援よろしくお願いします。
○髙田分科会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。そうしましたら、議題(3)の個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会報告書の内容に従いまして、また先に進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。また、化学物質の自律的管理につきましては、今後も議論があると思いますので、そちらにつきましてもよろしくお願いします。
 ほか、追加で何かよろしいでしょうか。委員からございますか。ありがとうございます。これで全ての議題を終了いたしました。本日も熱心に御議論いただきまして、ありがとうございます。本日の分科会はこれにて終了いたします。本日はお忙しい中、ありがとうございました。