第1回じん肺標準エックス線写真集の改定等に関する検討会議事録

労働基準局安全衛生部労働衛生課

日時

令和5年11月13日(月)10:00~

場所

中央合同庁舎5号館労働基準局第1会議室

議題

(1)「じん肺標準エックス線写真集」の改定について
(2)その他

議事

議事内容
○井口主任中央じん肺診査医 それでは、定刻となりましたので、「第1回じん肺標準エックス線写真集の改定等に関する検討会」を開催させていただきます。主任中央じん肺診査医を務めております井口と申します。座長選出までの間、進行を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
皆様におかれましては、大変お忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。はじめに、構成員を50音順で御紹介いたします。まず、長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科臨床腫瘍学分野 教授の芦澤和人構成員です。
○芦澤委員 芦澤でございます。よろしくお願いいたします。
○井口主任中央じん肺診査医 労働者健康安全機構 北海道中央労災病院 院長の大塚義紀構成員でございます。
○大塚委員 大塚です。よろしくお願いいたします。
○井口主任中央じん肺診査医 川崎医科大学総合医療センター 総合放射線医学 教授の加藤勝也構成員です。
○加藤委員 加藤です。よろしくお願いいたします。
○井口主任中央じん肺診査医 労働者健康安全機構 アスベスト疾患研究・研修センター 所長の岸本卓巳構成員でございます。
○岸本委員 岸本です。よろしくお願いします。
○井口主任中央じん肺診査医 高知大学教育研究部 医療学系連携医学部門 教授の菅沼成文構成員です。
○菅沼委員 菅沼でございます。よろしくお願いいたします。
○井口主任中央じん肺診査医 産業医科大学医学部 呼吸器内科学 教授の矢寺和博構成員です。
○矢寺委員 矢寺です。よろしくお願いします。
○井口主任中央じん肺診査医 最後に、九州大学大学院 医学研究院保健学部門 医用量子線科学分野 教授の藪内英剛構成員です。
○藪内委員 藪内です。よろしくお願いします。
○井口主任中央じん肺診査医 続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。安全衛生部長の小林です。
○小林安全衛生部長 安全衛生部長の小林です。よろしくお願いいたします。
○井口主任中央じん肺診査医 労働衛生課長の松岡です。
○松岡労働衛生課長 松岡です。よろしくお願いいたします。
○井口主任中央じん肺診査医 中央じん肺診査医の成澤です。
○成澤中央じん肺診査医 成澤です。どうぞよろしくお願いいたします。
○井口主任中央じん肺診査医 では、開催にあたりまして、安全衛生部長の小林から御挨拶を申し上げます。
○小林安全衛生部長 皆さんおはようございます。10月2日付けで安全衛生部長に就任いたしました小林です。よろしくお願いいたします。委員の皆様方におかれましては、本当にお忙しい中、本日の「じん肺標準エックス線写真集の改定等に関する検討会」に御参加いただきまして本当にありがとうございます。さらに、日頃から労働安全衛生行政の推進に御理解と御協力を賜わりまして、改めまして感射申し上げたいと思います。
昭和35年に制定されましたじん肺法の下におきまして、粉じん作業に従事する労働者に対するじん肺健康管理診断というのは定着してきていると考えております。そうした中、今の使われておりますじん肺の所見を判断するための標準エックス線写真集は、平成23年に作成されたものです。当時、写真の撮影は、デジタル方式が主流になりつつあるという事情の下で、平成23年に作成されたものですが、それから更に、かなり時間が経過しているということで、10年以上が経過しているということで、平成29年から令和元年にかけまして芦澤先生を主任研究者として厚生労働科学研究を行っていただきまして、不足症例の追加など、改定が望ましいというふうな結果を御報告いただいたところです。芦澤先生、ありがとうございます。
本検討会では、そうした研究成果を踏まえまして、じん肺の標準エックス線写真集の改定につきまして御議論、御検討いただきまして、より充実した内容となるよう取りまとめをお願いしたいと思っております。
我々といたしましては、この検討会の結果、成果をもとに、じん肺に関する健康管理が、より充実されるよう鋭意努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○井口主任中央じん肺診査医 安全衛生部長は、この後、公務のために退席させていただきます。
次に、配布資料の確認をさせていただきます。議事次第のページ、議事次第の資料の下の部分に資料の一覧があります。資料1が開催要綱です。資料の2-1が、じん肺健康診断のエックス線写真の区分に用いる標準に係る経緯という資料。資料2-2が、検討会の今後のスケジュール(案)です。資料2-3が、改定にあたっての考え方です。それから資料3-1は、さらに枝番が1~4まであり、資料3-1-1、資料3-1-2、資料3-1-3、資料3-1-4という資料構成となっております。資料3-1のシリーズが芦澤構成員から御提出いただいた資料です。資料3-2が研究班の提案内容に加え、議題とすることを提案する内容ということで、岸本構成員から提出していただいております。また資料4ですが、「じん肺標準エックス線写真集」電子媒体版の追加症例(案)ということで、こちらは芦澤構成員から御提出いただいております。資料等に過不足がありましたら事務局までお申し付けください。よろしいでしょうか。
それでは、まず議題1として、座長の選出を行います。資料1の開催要綱のとおり、本検討会には座長及び座長代理を置くこととなっております。座長は構成員の御推薦により、座長代理は座長の指名により選出することとしておりますが、構成員の方から推薦はありますでしょうか。岸本構成員、お願いします。
○岸本委員 現在、中央じん肺診査医会の会長をやっていらっしゃいます大塚義紀構成員が適任ではないかと思います。いかがでしょうか。
○井口主任中央じん肺診査医 ありがとうございます。ただいま大塚構成員が座長に御推薦をいただきました。異議や御意見はありますでしょうか。
(異議なし)
○井口主任中央じん肺診査医 よろしゅうございますか。それでは、大塚構成員に座長を引き受けいただき、以後の進行をお願いいたします。事務局は大塚構成員の席に「座長札」をお願いいたします。
○大塚座長 それでは、座長を務めさせていただきます。議事の円滑な進行に、どうぞよろしく御協力をお願いいたします。座長代理を指名したいと思いますが、藪内先生にお願いできればと思います。よろしいでしょうか。
○藪内座長代理 承知いたしました。座長代理をお引き受けいたします。よろしくお願いします。
○大塚座長 それでは、議題2としまして、今回の検討会の経緯、及びスケジュール(案)等について、事務局より説明をお願いいたします。
○井口主任中央じん肺診査医 事務局です。資料2-1から資料2-3に沿って御説明いたします。まず、資料2-1です。こちらは今までのエックス線写真の区分に用いる標準に係る経緯として、今までの経緯を掲げております。じん肺法の第4条で、じん肺健康診断において撮影されるエックス線写真を、第一型から第四型に区分し、その類型と、じん肺による肺機能の障害の組み合わせによって、じん肺管理区分が定められております。このエックス線写真の区分の判定を行うにあたり、比較対象となるエックス線写真については、昭和53年に作成されました「じん肺標準エックス線フィルム」が用いられてまいりました。
また、デジタル写真の普及等に伴いまして、厚生労働科学研究及び検討会での議論を踏まえ、平成23年に「じん肺標準エックス線写真集」が刊行され、施行通達においても、この区分の判定というのは、先ほどの「じん肺標準エックス線フィルム」と「じん肺標準エックス線写真集」を用いて行うとされております。
今般、先ほど部長の御挨拶にもありましたが、厚生労働科学研究において、じん肺診査を円滑に行う上で、「じん肺標準エックス線写真集」に追加が望ましい症例がある等の報告がなされたところです。
これを踏まえて、今後の検討会のスケジュールの案を資料2-2にお示ししております。まず第1回、本日ですが、座長の選出と総論的な事項の確認、そして個別症例の検討の議論に入れればと思っております。第2回及び第3回は、個別の症例の検討で、第4回あたりで検討結果のとりまとめをお願いしたいと考えております。
資料2-3として、「改定にあたっての考え方について」という資料を御用意しております。現行の「じん肺標準エックス線写真集」について、新たな症例を加える場合、何を確認するか。また、現行の写真集の症例に新たな注釈等を加える場合、何を確認するか。それから、その他の修正の可能性について、それぞれに改定があるか等、掲げております。
今回、このタイミングで、どういう基準で維持していきましょうかということを、がっちり決めるという趣旨ではなく、こういう観点がありますという御紹介です。
なお、参考として、平成22年から平成23年に行われた「デジタル撮影によるじん肺標準エックス線画像に関する検討会」は、現行の写真集、デジタル版の写真集を作るときの検討会ですが、そのときに、症例を追加する際に必要条件とされた事項について、御参考までに挙げております。資料2-1から資料2-3の御説明は以上です。
○大塚座長 ここまでで、何か事務局のほうに御質問はございますか。資料2-3にありますが、改定にあたっての考え方について、皆さん、お考えがあればお聞かせいただければと思います。何かございますか。
○菅沼委員 厚労省のじん肺分類については、従来立ち上がった辺りから、ILOのじん肺分類と連動してと申しますか、その改定を気にしながら改定されてきたというふうに理解しています。例えば、1980年代の増補版についても、1980年のILO分類の改定に沿って加えられたことがあると思います。御存じのように2022年に最新版のILO分類が公表されておりまして、ILOのホームページにデジタル画像も掲載されておりますので、私は御縁があって改定の委員になっておりましたけれども、そうしたものも、きちんとやればと申しますか、この議論の中で、何というか絡ませるというか、難しいところもあると思うのですが、そういう具体的な流れがあるということも気にしていただければというふうに思っております。以上です。
○大塚座長 ありがとうございます。そのほか、何かございますか。それでは、次の議題3「先行研究等について」を議題とします。芦澤構成員、岸本構成員から、それぞれ資料を提出していただいておりますので、資料番号順に、芦澤構成員から御説明をお願いいたします。
○芦澤委員 それでは、資料3-1-1から資料に沿って御説明させていただきたいと思います。私が提出させていただきました資料は、2017年(平成29年)度を中心として3年間で行いました芦澤班の会議資料ということになります。
まず最初に、資料3-1-1を御覧ください。この資料は当時、滋賀医科大学の教授でいらっしゃいました村田先生の厚生労働科研の村田班で、デジタル版の標準エックス線写真の資料を作成するということで研究が進んでいたわけですけれども、そこである程度の症例が集まったということで、厚生労働省で検討会が3回行われました。当時、ここのメンバーでは私と岸本先生が参加させていただいています。そのときの資料を少しお付けしていますけれども、これは当時の経緯を皆さんにもう一度再確認していただくということになります。
この裏面ですが、確認された必要条件は先ほど井口先生からお話があったと思います。その次が「参考資料3」となっていますが、これは1,200例の複数施設からの症例を集めて、最終的に28例までに絞りましたというフローチャートが書かれています。
2枚目の裏面ですけれども、これが昭和53年の、当時のフィルムの一覧です。そして、次は、今回、新しく検討会で症例が少し変更されていますけれども、デジタル版の症例がそこに記載されています。ここで異なるのは、フィルムのときには、じん肺の種類が、けい肺、石綿肺、その他のじん肺となっておりましたが、こちらのデジタル版では、陰影の性状に従って分類するということで、粒状影、大陰影、不整形陰影、その他というように変更されています。
次のページです。「画像掲載の基本方針」ということで、検討会で出された箇条書きになっております。[1]~[8]まで、こういう基本方針で選ばれた28例の症例を検討していくということが記載されています。この中では既に、その中にもこれまでの問題点というか、どのような症例を追加したらいいのか、変更したらいいのかということが新たに記載されています。
次の表は、最終的な24の画像で、最後の2枚は組み合わせの画像になっておりますが、最終的に3回の検討会で決定されたことになります。一方で、これは村田班の最終報告書で、「報告書」となっていますけれども、いろいろな課題があるということで、その辺の所が少しここに言及されています。特に、次の裏面を見ていただきたいと思いますが、「残された課題」の「新たな症例収集の必要性について」ということで、村田先生がまとめられています。例えば、[1]大陰影のうち、第4型(A)と第4型(C)のタイプに相当する画像、[2]不整形陰影のうち、第0型(0/1)と第3型、それから、いわゆる溶接工肺等、そういう画像は今後、追加する必要があるのではないかということも言及されています。それ以降は、最終的に選択された24の画像の写真を載せております。これが、まず1つ目の検討会のときの内容、それから村田班でまとめられた内容を少し復習の意味で提示させていただきました。
資料3-1-2です。当時の芦澤班で、デジタル版に関していろいろな御意見をいただこうということで、以前のフィルムとデジタル標準写真を比較していただいた上で、全国47都道府県の地方じん肺診査医の方にアンケートを取らせていただきました。最終的に100%ということで、全都道府県から回答をいただいています。
次のページをお願いします。そのときの、1つ目の御質問ですけれども、デジタル版とアナログ版との整合性について、これが一番重要であるわけですが、そこでは7割の都道府県で担保されています。ただ、3割の所が十分担保されていないということで、その県から問2番以降の様々な御意見をいただいていることになります。御意見ですが、ここは、今回のどのような症例を追加したらいいかというところの1番のキーになってくると思いますが、そこでは、例えば石綿肺の第1型-第3型の不整形陰影とデジタル版の第1型-第3型の間質影の強さが一致していないというご意見です。
これは確かに、そのとおりだと思いますし、具体的な内容をお書きくださいというところで様々な御意見をいただいています。ここは重要なので、読み上げてもよろしいでしょうか。1つ目が、石綿肺、鋳物肺、溶接工肺のデータを入れてほしいということです。2つ目は、デジタル版はコントラストなどが変更されていて誤診される懸念がある。3つ目は、不整形陰影の症例(特に[1/0]、[1/1])が複数あれば判定に有用である。4つ目が、画質が不良なものがあるという意味だと思います。
次のページ、5つ目は、「その他の陰影」が2型しかない、外部の陳情でも0型・1型・3型の標準写真を搭載するよう要請があるので、適切な判定のための搭載を検討いただきたい。6つ目は、1型など軽症例ではデジタル版のほうがアナログ版よりも陰影が分かりやすいが、3型などの重症例ではアナログ版のほうが陰影が強調されて分かりやすい。そして、最後の7つ目ですが、15と16は後ろに実際の症例を付けていますけれども、ここは恐らく症例を追加したほうがいいところだろうと、私も当時思いました。石綿肺で、左肺は、びまん性胸膜肥厚のようになっていて、0/1の標準写真としては適切でしょうかということです。次のページに、実際の症例があります。15は両側性ですけれども、かなり肋骨横隔膜角が鈍になっていて胸膜の肥厚もあるという症例です。それから16は、1型で肺気腫が強く、線維症は軽度のものです。気腫があって、肺線維症の可能性があり、石綿肺1/0の標準として示すのはどうかと。石綿肺として出されていますが、その症例に関しても貴重なコメントをいただいているところです。
2の資料のまとめとして、当時の芦澤班で具体的な御意見をいただいているのですけれども、簡単にまとめると、溶接工肺を含めた淡い粒状影(その他の陰影になるところ)、それから石綿肺の追加、不整形陰影の標準写真のアナログ版との整合性の確認などが必要だということ。また、粒状影(特に1型の妥当性)、0/1、1/0というものを追加したほうがいいだろうと村田先生も掲げていたわけですけども、更にその整合性の再確認が必要というまとめとなっております。
続けて資料3-1-3ですが、これは報告書であり内容は今お話したことですが、最終的に、どのようにして候補を選んだかということを45ページのフローチャートに示していますので、そこを見ていただければと思います。当時の芦澤班では、低線量CTの導入を進めておりましたので、前向きと後向きの症例でたくさんの症例を集めておりました。前向きの症例としては、岡山労災病院と北海道中央労災病院の症例をベースとして抽出し、それから先ほどの御意見をいただいていたので、溶接工肺の症例も別途収集し、それから芦澤班の後向きの症例も追加させていただきまして、多くの症例の中から、まず66例を選びました。
そこから、複数回の小班会議を行いまして、19例の症例を候補としたところです。そこを見ていただきますとお分かりのように、先ほど御意見をいただいていたものをなるべく取り入れるように、例えば0型でCTがある画像や、4A型、4B型、4C型ですが、これも先ほどありましたように症例が足りないということです。それから不整形の0/1、1型、2型、3型、そして溶接工肺は2例を準備したところです。ここまでが、当時の芦澤班の最終の19例ということになりました。
それで一旦、芦澤班は終了していたのですけれども、その後、最後の資料の資料3-1-4ですが、次の厚労科研が始まりましたので、19例の中から最終の候補症例をという御意見がありましたので、それが表にまとめられたものです。この表は重要なものなのですけれども、左側の黄色で示しているものが、現在のデジタル版の1~24になります。この中に追加したほうがいいという症例がたくさんあり、緑のバーの所ですが、66例から最終的に19例になり、それから最終版の下を見ていただくと、緑が14例になっていますように、芦澤班で最終的に14例に絞っていることになります。上段を見ていただきますと、CTの有無が、2だけ「無」になっていますが、今回は全て原則CTはあるものを候補としましたので、そこは「有」の誤りです。ですので、全ての緑のバーの追加候補症例となっているものは、CT有りの症例ということになります。個々の症例に関しては、恐らく今から委員の皆様で御議論いただくことになると思いますので、現時点では、14例がスタンバイしている状況です。私からの資料の説明は以上になります。
○大塚座長 ありがとうございました。個別の症例については、追って詳しく説明いただくことになると思いますが、現時点で何か御質問はございますか。
○菅沼委員 確認でございますけれども、よろしいでしょうか。
○大塚座長 はい。
○菅沼委員 芦澤先生のところのアンケートの、多分、最初のグラフだと思うのですが、これを拝見したところでは、十分担保されているという方が27%で、おおよそ担保されているが69%で、担保されていないという方が5%というように見られるのですが、先生の御説明では、3分の1の県というお話だったので、これとは違うものもあるのかな。
○芦澤委員 すみません。ちょっと、私がそこを勘違いしていますね。担保されていないという意味では、ほんの数箇所なのですけれども、おおよそ担保されている所で様々な御意見をいただいているということです。私が説明を少し間違ったなと先ほど思っておりました。
○大塚座長 そのほかに、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、岸本構成員から資料の御説明をお願いいたします。
○岸本委員 今、両先生がおっしゃられましたように、村田班で、デジタル版のじん肺標準フィルムを作った際に、今後やってほしいというような要望があって、それを厚労科研の芦澤班でフォローアップしてきたということなのですけれども。主に、芦澤構成員も言われましたように、溶接工肺とか石綿肺が平成23年のデジタルデータでは不十分ではないかというようなお話があったかと思います。確かに、溶接工肺は最近増えておりますし、労働衛生課のほうでも溶接の際のヒュームに関しては、発がん物質でもあるし、その中に含まれるマンガンによる神経症状が出たりということで、フィットテストをきちんとやろうということになっています。実際には、普通の珪肺とは画像が違うので見落とされている可能性もあるという危惧もございます。現在のデジタル版では溶接工肺は入っておりませんので、是非入れていってはどうかと思います。目的としては、現在少なくない溶接工肺を入れることは、矛盾はないだろうと思います。どの程度の数を入れるのか。かつてはい草製品製造じん肺は2型だけなのですが、きちんと0型、1型、2型、3型も入れましょうというような、中央じん肺診査医からのサゼスチョンもございました。バリエーションをどの程度加えるのか、1型、2型として各々1例ずつでいいのかどうか、その辺りを皆さんに討議していただいてはどうかなと思います。
2番目の石綿肺の不整形陰影というのは、不整形陰影という言葉に変わっています。最初の昭和53年のときには「石綿肺」でしたが、「不整形陰影」とするようになった理由としては、平成23年のときの委員をやっていましたけれども、石綿肺というじん肺の典型的な画像がなかなか手に入らなくて、石綿肺として1型、2型、3型というのが作れなかったために、村田委員長が、不整形陰影という形で、これを変えていこうという話になりました。ですので、かつてのフィルムのものとデジタルデータとが、1型と3型で違うのではないかというクレームが出ておりましたが、その辺りもありますので、石綿肺として矛盾のない画像を集めて、それを追加していってはどうかということが2番目です。
珪肺につきましては、大陰影が(A)(B)(C)とありますけれども、各々1例ずつであるので、(A)とか(C)とか、もう少し増やしてはどうかというような声があります。確かに大陰影としても、大陰影が1つだけあるものと、複数個ある事例もあるので、それを考慮すると、バリエーションを考えれば、4B、4Cの辺りには大陰影が複数個で、(B)になったり(C)になったりする症例もあってもいいのではないかなと思います。
最後の4番ですけども、現在の標準写真ではその他のじん肺としてい草製品製造じん肺とか、黒鉛、金属研磨の3例が入っていますけれども、平成23年から12年を経て、世界初の日本発のインジウム肺とか、多々見られる超硬合金肺とか、ベリリウム肺だとか、最近になって経験するようになったじん肺についても、「その他のじん肺」として充実をさせて、こういうじん肺がありますよということを、先生方にお伝えしていくということも必要ではないかなと思いまして、4項目を挙げております。構成員の皆さんに是非、議論をしていただいて、より良い方向で追加ができればと思います。私のほうからは、以上です。
○大塚座長 ありがとうございました。ただいまの岸本構成員からの御提案につきまして、何か御質問、御意見がありましたら、お願いします。
○加藤委員 加藤です。今、このようなじん肺追加という案で、ここに出ている中だけでいくと、芦澤先生が出してくださった3-1-4で見ていきますと、従来の粒状影、従来の不整形陰影に、あと溶接工肺の画像を新しくということで、案を出していただいて、これを我々で見ていくことになるかと思うのですけれども。今、言っていただいたインジウム肺などに関しては、取りあえず今は、手元に全く候補として挙がっていない状況かと思うので、その辺りに関しては、これから個別に収集していくというか、そういうものをお持ちの先生方に声掛けをして集めていくというようなやり方で集めていくことになるのでしょうか。
○岸本委員 厚労科研のじん肺に関して言えば、芦澤先生の班だけではなくて、北海道中央労災病院の宮本顕二先生が、急進珪肺、インジウム肺、超硬合金肺、ベリリウム肺というものも対象で、平成29年か30年から3年間、おやりになられて収集をされておられます。この厚労省において行われた研究の症例等についても広く収集をして、皆様方に見ていただいてはどうかということで、これから収集をする場合はあるかもしれませんが、主には過去のそういうデータを使っていくという考え方です。
○大塚座長 そのほか、いかがでしょうか。
○芦澤委員 岸本先生の1つ目の溶接工肺は、これは芦澤班のときも、かなり議論になったと思うのですけれども、多分、後で症例が出てくると思いますが、単純X線写真で見えなくて、CTでも、びまん性にたくさん粒状影があるようなものが、単純X線写真だと0型とせざるを得ないと思いますが、例えば、そういう症例を含むのかとか、それから単純写真で1型相当かなといっても、CTではかなりの影になりますので。
一方では、「その他の陰影」の所で、0、1、2、3型をそろえてくださいという御意見もありました。その他の陰影に関しては、やはり溶接工肺が増えていますので、この1つ目の岸本先生に御提案していただいた内容は、皆さんからも、御意見を出していただきたいと思います。今は1例しか準備していませんので、もし全ての病型の症例を出すということになると、それも症例を新たに追加しないといけないということになると思いました。
○岸本委員 かつて、労働者健康安全機構で、溶接工の陰影を集めたことがありまして、例えば大塚座長の病院で、かなり影の濃い2型と言っていいか3型と言っていいか、判断が難しいような症例もあるので、そのような関連の症例も可能な限り見せていただいて対応するということにしてはどうかなと思います。これから新たに症例を集めるということは、なかなか難しいとは思いますが、こういう症例はどうかというように言っていただける先生がいらっしゃいましたら、是非、それを見せていただいて土俵に上げていくということにしてはどうかなと思います。以上です。
○大塚座長 ありがとうございました。過去の画像の研究班なり、収集し終わっているものから順次、候補を出して検討をしていくということになるかと思います。そのほかは、よろしいでしょうか。
○加藤委員 加藤ですが、そういう形で、いろいろな研究班や、今言われたように、この症例がいいよという御提案が、もしあったら、それも受け付けたりしながら広く募って画像を集めていくことになるかと思うのですけれども、前回の村田班のときは、病院を限って条件などをものすごく厳密に、各病院にそれぞれDICOMのものなどを全部取り付けてもらって、条件をとにかく均てん化するということをすごく重視してやったがために、症例を集めきれない部分もあったかと思うので、その辺りの撮像条件などに関しては、ある程度今回は、当然、明らかに誰が見ても不適だなというものは、はじいていくことになると思うのですけれども、そこまでは条件の均てん化などは気にせず、気にしつつであっても、それに重点を置くよりも、きちんと溶接工や石綿などの症例を集めるということが、今回特に皆さんの要望を受けて、必要という捉え方で症例を選んでいくということでよろしかったでしょうか。
○大塚座長 今の加藤先生の御意見に対しては、いかがでしょうか。
○岸本委員 加藤委員が言われたとおりでございまして、23年のデジタル版は極めて条件が厳しくて、それを守った上で、滋賀医大にお送りして吟味していただくという、かなり限られた内容の症例収集でしたが、村田喜代史先生を中心として、厚労科研の研究班としておやりになったということでありました。それ以降は、シビアな撮像条件で行なわれたような研究はないものですから。あの時代に比べて非常に良くなっていますので、私はいいのではないかなと思いますが、これは、放射線科医である芦澤委員や加藤委員の御意見を尊重しなければいけないなと思っています。
○菅沼委員 条件の件は、恐らく前回のじん肺分類の写真集を作ったときに、撮像条件も出していましたよね。それに沿って撮影されていたら、一定程度いいのかなと思っているのと、今、岸本先生もおっしゃいましたけれども、昨日、私は全影連の画像評価をやっていましたが、確かに皆さんの所で撮られたものは非常に良い画像になっていまして、悪い画像というものを探すのが難しい状況になっております。
それと、恐らく、この会で決める話ではないかもしれませんけれども、普通の撮像条件と、じん肺条件とは違う所が1つあります。その心陰影の所を白くしたままにしているという条件のままでやっていますので、そのままでいいのかどうかということを、今後どこかで議論していただける機会があるといいなとは思っていますが、おおむね今の撮像条件でよろしいのではないかと思います。
○芦澤委員 ありがとうございます。今、私もそのことをお話しようとしたところです。私が中央じん肺診査医をしているときに、各メーカーに来ていただいて、適切なじん肺の条件、パラメーターをいろいろ変えた条件を決定したのですけれども、そのときの条件は、菅沼委員がおっしゃったように、縦隔が見えなくても肺内の粒をちゃんと拾うような条件にしようということですから、今、我々が肺がん学会でやっている肺がん検診の条件とはかなり異なるわけです。それなので、それを多分、踏襲したほうがいいということは分かっております。
先ほどの岸本先生の御意見に関しては、当時、村田班のときに、村田先生としては、フィルムを今回大きくメジャーチェンジ、いわゆるデジタル版に変えるので、これに関してはデジタルの条件をきちんとやらないといけないだろうということで、デジタルの条件をかなり重視して集まった症例を検討したと思います。今回は、それぞれの施設の画質もかなり良くなってきていますので、どちらかと言うと、まず最初に症例ありきで、良い症例を先に抽出することが重要ではないかと思っています。
○大塚座長 いろいろな御意見が出ましたけれども、いかがでしょうか。取りあえず、症例を中心に収集するという方向でよろしいでしょうか。それでは事務局で、芦澤委員と岸本委員の御提案を踏まえますと、今後の検討会の予定はどのようになりますでしょうか。
○井口主任中央じん肺診査医 まず、研究会の当初の目的である研究班からの御提案内容を議論させていただきたいと存じます。その上で、岸本構成員からは具体的な症例のデータ等をいただきまして、次回以降に、研究班の御提案内容が検討できた後に、検討の機会を調整したいと考えております。
○大塚座長 それでは、そのように進めていただきたいと思います。本日は、残りの時間で、議題4「個別症例の検討」を進めておきたいと思います。芦澤構成員から各症例について説明していただき、採否、取り上げるかどうか等について議論していきたいと思います。症例1から順番にと考えられますが、比較的検討しやすい大陰影を持つ症例から検討を進めていきたいと思います。よろしいでしょうか、御異論はございませんか。それでは、資料4の症例5について、芦澤構成員から御説明をお願いいたします。
○芦澤委員 これは、実際にモニターで見ることになりますでしょうか。
○井口主任中央じん肺診査医 資料にはキーとなる画像のみ御提示しており、CTのスライスを全部お示しするタイプになりますので、こちらに全てのCTのスライスを御覧いただけるようなセットを御用意しております。オンラインの藪内先生におかれましては、事前に御送付しましたDICOMの画像のうち、症例5の資料を御覧いただければと存じます。藪内先生には、今どの資料を、どのデータを開いているのかについて御説明しながらだと思います。
今、藪内先生、現在、症例5の単純と肺条件の5のスライス、ファイルで言うと、IMの0002-0001となっているものから0072となっているものまでです。
○藪内委員 結構です。こちらで、もう既に開いておりますので。
○井口主任中央じん肺診査医 ありがとうございます。今、提示いたします。御発言をなさる先生にマイクをお渡しいたします。御発言のとき、大変恐縮ですが速記の都合上お名前を言っていただけますと大変助かります。
○芦澤委員 それでは、症例5です。まず、大前提ですけれども、先ほど述べましたように、全ての症例は、今回はCTを添えられるような症例を14候補選んでおります。特に、この大陰影の所は、A、B、CいずれもCTがありませんというコメントでしたので、この症例5、6、7は当然CTもあるということになります。もう一点は大陰影で、当時の芦澤班で議論になったのが、片肺だけのものや、両側のものといったバリエーションもあったほうがいいという意見は出ておりました。
○加藤委員 加藤です。15歳~26歳は耐火レンガ製造ということで、26歳~60歳はコンクリート製造もされているということになるかと思います。
所見は、右の上に大陰影がCTでも認められているということで、周りには珪肺の結構典型的な陰影を伴っているかなというところでしょうか。
○芦澤委員 リンパ節も少し腫大していますかね。
○加藤委員 そうですね、この辺、リンパ節が腫れていますね、石灰化もしています。これ、縦隔条件と肺野条件と両方。肺野条件だけ載るのでしたっけ。
○大塚座長 大塚ですけれども、判定する先生によって、縦隔条件でしっかり大陰影を形成しているものだけを4Aとしようというような意見の先生もいらっしゃるようですので、縦隔条件は、今回の症例に関しては一緒に提示していただけたらというように思いますが、いかがでしょうか。
○芦澤委員 画質も特に問題ないでしょうか、比較的、画質のいい症例のようには思いますが。CTのスライス撮は5mmですね。大陰影ですし、余り薄層CTが必要ではないかもしれない。いかがでしょうか。
○大塚座長 大塚です。症例5は採用としたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(委員賛同)
○大塚座長 次に、症例6について芦澤構成員から御説明をお願いいたします。
○芦澤委員 症例6、80歳の方です。これは4Bの症例です。
○菅沼委員 菅沼です。その間に、ちょっと質問を1つですが、大陰影がある症例で、粒状影の密度については記載をするとか、例えば、写真自体に書くかどうかは別として、ただ、詳細な情報の所に記載をしておくかどうかというのはどのようにお考えでしょうか。
例えばILO分類ですと、標準写真は全て、読影の結果が載っておりますので、そうした情報を載せるのも、非常に参考になるかなとは思っております。
○大塚座長 いかがでしょうか、今までのものは。
○菅沼委員 なっていないですよね。それを理解した上です。
○芦澤委員 分かりました。この記載は、こういう暫定的なものにしていますので、それに関しては、それを追記するかどうか、ちょっと検討させていただきたいと思います。
この方は第4型(B)ですけれども、両側性ですね。ただ、単純写真で左右差があるような症例です。これは確か、コメントで「動脈瘤があります」というのと、「リンパ節の石灰化が非常にいい」というコメントが残っていました。eggshellですね、卵殻状石灰化があるということで。これもスライス厚は5mmですか。
○加藤委員 2mmはあります。
○芦澤委員 2mmはありましたか。これは、リンパ節には石灰化を伴う典型的な症例ですね。当時のコメントで「なるべくほかの異常はないものを選択する」という原則だったので、胸部大動脈瘤をどのように考えるかというのはちょっと議論されていました。この胸部大動脈瘤があるから困るという、また御意見が出るかというところです。
○菅沼委員 じん肺の読影には全く影響はないと思いますけれど。
○芦澤委員 そうですね、よろしいでしょうかね。動脈瘤が突出しているのですけれど、大陰影や周りの粒状影に関しては余り問題はないように思うのですけれども。
○加藤委員 動脈瘤の症例という形で、皆さん認知されればいいのではないでしょうかというところです。
○大塚座長 いかがでしょうか、よろしいでしょうか。では、この症例も、採択ということにしたいと思います。では、症例7です。
○芦澤委員 症例7は、79歳の石材加工の方です。以前のデジタル版の症例は大陰影がもっと腫瘤状なのですが、この症例は少しべたっと広がったような感じの大陰影であり、バリエーションがあるということで選ばれています。あと、かなりリンパ節の石灰化が目立つ典型例です。大陰影の周りの気腫化が著明な症例ということで、これも典型像のような気がしますが。加藤先生、何かコメントを。
○加藤委員 そうですね。Cicatricial emphysema、気腫を伴った大陰影ということで、中下肺で、分布も前のものとはちょっと違うのでしょうか。これだと、低線量なので縦隔条件が厳しいですね、結構。
○芦澤委員 通常線量も多分あると思います。
○加藤委員 ありますか。それでいっぱいあったのですね、なるほど。そういうことですか。これが、そうですね、こちらのほうが今の縦隔条件になると思います。
○芦澤委員 縦隔も肺野も両方出したほうがいいかもしれないですね、やはり大陰影は。
○加藤委員 特にそうですね。大陰影だけですよね、縦隔条件を出すというのは。
○芦澤委員 ですね。
○大塚座長 それでは、症例7についても、採択ということでよろしいでしょうか。
○井口主任中央じん肺診査医 ありがとうございます。事務局です。大変スムーズに議事が進んでおりまして、実は、5、6、7のみ藪内先生にお送りしている状況です。今からお送りするのはなかなか難しいところですので、2つほど御提案があります。1つは、議事として進めない前提で、ほかの症例を御覧いただく。藪内先生には大変申し訳ない状況になりますが、議事としては進めない、採否は決めないという前提で、ほかのものについて御議論いただくのが1つ。もう1つは、フリーディスカッションという形で、総論部分も含めて御議論いただくと。さすがに、2時間の会議でお集まりいただいて、1時間でというのも余りよろしくないと思いますので。
○菅沼委員 先ほどのことで質問させていただいてよろしいですか。インバジネーションが結構立派にありましたが、大陰影がある症例でインバジネーションもあるというのは、知られていると言えば知られているし、知られてないと言えば知られてないかなと思いまして、そこの辺の説明は何かしなくてもいいのかなという。CTを見ないと、そこは気付かないかもしれないのですが。例えば、結核合併の有無とか、その辺りの情報というのが、もしあればと思いました。それについて何かコメントがあれば。
○大塚座長 これについては芦澤先生、何かありますか。
○芦澤委員 今、先生がおっしゃったようなことを参考までに追記することはもちろんできると思います。結核の合併とかになりますと、これは多分、北海道の症例だったと思います。この大陰影は空洞はありませんが、その辺の所は、もし御意見があるということであれば、結核の合併はないとかというのを記載しても良いかと思います。
(委員賛同)
○菅沼委員 けい肺症の所見で、インバジネーション胸膜病変、そういうのもあるよというのを書いて、教育になるかなというふうにも思いました。
○芦澤委員 空洞化したものとかは今回の中には入っていませんね。
○大塚座長 そうしましたら、いかがいたしましょうか。症例の1から、それともフリーディスカッションにするかということなのですが。取りあえず、症例の説明を。
○芦澤委員 これは0型(0/0)となっているもので、炭坑27年と溶接11年の職歴ですね。画像の所見としては、左下肺野に索状影が認められる。しかし、じん肺の所見はないということで、胸部CTもクリアということですね。
○(発言者不明) 特に問題なさそうですね。
○芦澤委員 確か0/0はCTがないので、今回、CTのある症例を加えるということです。
○(発言者不明) 0/0は2例あって、1例がCTはあるのですが、1例はなかったですね。これを追加と。
○芦澤委員 なかったです。あのときも議論になっているのですけど。
○(発言者不明) 両中肺野とか左中肺野とか、あるそうなのですけど、今までの標準写真に比べると、粒がないというか、あくまでもレントゲン写真で診断するというところで、0/0となるのですけど。
○(発言者不明) 血管影が大分あるのですね。
○芦澤委員 あるのですよね。
○(発言者不明) CTによっては、粒状が見えたりするのですよね。
○芦澤委員 この症例は基本は粒だと私も思います。その議論は当時にも記載が残っています。基本は0型でということで。
○加藤委員 これは薄いものも一緒に出す感じですね。
○芦澤委員 例えば5mmがありますよね。5mmで見ると、多分、ほとんど何もないということですね。
○加藤委員 5mmになると、本当に飛びますので。
○芦澤委員 これが0型ということで、一応、準備されています。
○加藤委員 でも、縦隔は付けないということですね。
○芦澤委員 はい。
○菅沼委員 よろしいですか。この単純写真のほうは、全く強調とかをしていないアナログっぽい写真ですが、それで大丈夫ですかと、少し思ったのですが。何というか、確かに0でしょうというのは確かにそうなのですけど、これを標準写真の0でいいのかなというのが、少し気にはなりました。
○芦澤委員 これは、先生、どちらでしょうか。北海道の症例でしょうか。
○(発言者不明) 多分、そうですね。
○菅沼委員 炭鉱24年という話だったら、先ほど先生が御指摘の、Bタイプの初めの辺りのものですね。ILO分類で見ても、ないということですね。何も(画像処理を)かけてない感じの写真がいいかなというのが、ちょっと気になるところです。
○岸本委員 これは、以前の画像と比較して、一度見ておいたほうがいいかと思うのですが。
○大塚座長 ケースナンバーを教えていただいて。
○芦澤委員 分かりました。
○岸本委員 前後の写真をまた検討してもらってということにしましょうか。
○大塚座長 では、2に行きましょうか。
○芦澤委員 2は、0/1ですね。炭坑34年なのですけど、これも単純X線写真では僅かに認められるということで、確か、この辺を指摘していると思うのですが。CTは、あるというわけですね。ただ、胸膜下にも、ちょこちょこと粒状影があるのですよね。
○(発言者不明) パラパラありますね。
○芦澤委員 ただ、1型に至らないということで、0/1と判断するということで。
○(発言者不明) まあ、でもこの程度ですね。
○芦澤委員 そうですね。やはりチラチラ小さなのがありますね。単純X線写真では先ほどのとほとんど変わらないぐらいですね。
○岸本委員 ほとんど変わらないですね。もうちょっとあったほうがいいと思います。
○芦澤委員 陰があるのはありますね。デジタル版の0/1症例が、結構粒があり過ぎるのが、粒の少ない0/1を選ぼうとしたものです。ちょっと確認しますが。
これは、もともとのデジタルの3番の症例が、0/1にしては数が多すぎるという意見があったので、もう少し数の少ない0/1をということで、この症例が選択されています。
○菅沼委員 みんなが文句なく0/1というふうに言うと思うので、文句なく0/1という。
○芦澤委員 今の標準の3番が、確かに0/1、CTでかなり多いと書いてあります。
○大塚座長 いいですか。はい。
○芦澤委員 症例3は、1/0はデジタル版で症例が2例であって、どちらもバリエーションもあるということで、そのままとなっています。あえて1/1を加えたのは、胸膜下とかにも粒状影がある症例ということで、pseudo-plaqueもあるような症例をあえて新たに追加しました。デジタル版で1/1は2例を出されているのですけど、あえて今回は、胸膜下のほうが目立つ症例を加えたということですね。石の粉砕・運搬で30年ですね。これは獨協の症例みたいです。コメントとして、「標準写真の6と、よい対比になる。」と書いています。要するに、胸膜に接する影が強いという症例ということをコメントに残しています。こういうコメントは残しておくのは重要なことですね。
○加藤委員 加藤ですけど。右の肺野はどう説明するのですか。
○(発言者不明) ここでは、ほぼ見えてないですね。これは0/1という話ですからね。
○芦澤委員 ちょっと待ってください。「じん肺でない陰影があり、それについては解説文に記載する」というコメントを残しています、最終判断のときに。
○(発言者不明) どう記載するか。
○(発言者不明) 難しいですね。不整形とか。
○(発言者不明) 炎症なのか、不整形なのでしょうけど。
○菅沼委員 形は、胸部写真で認識できれば不整形と書けばいいと思うのですけど、確かに横隔膜下まで読まれる先生は書かれるかもしれませんけれど。
○(発言者不明) ここだけで見ると、見えるところだけ書けば。
○芦澤委員 そうするか、CT画像を肺底部を削除するか。
○(発言者不明) これで終わりにするということですか。
○菅沼委員 これ、合併するのがあるよというのも、教育的な意味では何かありかなと思うのですけど、これの位置付けがどこになるのか。先ほどの胸膜下のpseudo-plaqueみたいなやつも教育的には非常にいいと思いますし、御存じのように、不整形が珪肺に合併するというのはよくありますから。それは教育的にはいいと思うのですが。だから、この標準写真の位置付けが、スケールに使うという話になるとやりにくいかもしれないです。
○岸本委員 やりにくいね。
○菅沼委員 そういう面ではやりにくい。
○芦澤委員 ここだけを見ると、1型にもなりませんね。
○菅沼委員 そうですよね。それはならないですね。
○芦澤委員 これも横隔膜下なので、胸膜下なので。
○加藤委員 陰影はあるけど、1型。
○岸本委員 問題は、これがもっと目立ってくると問題になってくる。
○芦澤委員 いや、分かりました。
○(発言者不明) 取りあえずは、コメントを付けてですね。
○芦澤委員 そうですね、現時点では。コメントを付けて記載するということで。ここまでが粒状影だったと思います。
○加藤委員 取りあえず、これでいいのですか。もう1個、いくのですか。
○大塚座長 取りあえず、いきますか。症例4番。
○芦澤委員 症例4までが粒状影の2型ですか。
○大塚座長 2型ですね。症例4。
○芦澤委員 この症例は、クレー製造、23年ですかね。ちょっとよく見えないですけど。これは岡山の症例で、粒が小さいもので、鎖骨骨折があるというコメントがあります。ただし、一番きれいな症例であると書いていますね。
○(発言者不明) 粒状影ですね。
○芦澤委員 粒が非常にきれいな症例だというコメントが残っています。鎖骨骨折があるけれども、多数決で残すというふうに記載しております。
○加藤委員 下のほうを見ていっても、不整形はないですね。
○芦澤委員 ないですね。大丈夫ですね。これがちょっと、ワイヤーがあれですけど。でも、きれいな症例ですよね、本当に。
○加藤委員 像としては。
○芦澤委員 非常にきれいな。
○(発言者不明) そうですね、少し境界が淡いと言いますか、MDPに近いような、そういう粒状影ですよね。
○(発言者不明) 珪素の含有量が違いますね。
○芦澤委員 そうですね。そうとも書いています。「粒も小さく」と書いています。「所見は、きれい。確定」と書いていますね。そういう症例になっています。
○菅沼委員 その粒の小ささというのは、粒が小さいけれども。
○芦澤委員 そうですね。
○大塚座長 よろしいでしょうか。
○菅沼委員 こういうのを見て話をするのが一番楽しいですよね。
○井口主任中央じん肺診査医 ありがとうございます。今ので、症例の1~4と5~7まで終わっています。大体半分ぐらいです。そうしたら、議論のスムーズさについて事務局のほうで若干用心しすぎたところがありまして、大変失礼いたしました。そうしましたら、座長のほうから進行をお願いいたします。
○大塚座長 それでは、一応、時間も近づいてきましたので、以降の個別症例は次回以降に持ち越したいと思います。用意された議題は以上ですが、構成員から、その他として何か御意見はありますでしょうか。
○加藤委員 今、記載を追加しようかという話が結構あったと思うのですが、逆に今までのものとのバランスとかも含めて、今までのものも何か記載を追加したほうがいいようなものがあったら追加していくとか、そういう方向性のほうがいいですか。大変ですが。
○大塚座長 いかがでしょうか。今までの標準写真についても意見を聴取して、芦澤先生のほうから最初のところでコメントを収集した資料も提示していただきましたが、そういったものをコメントとして追加するかどうかですね。
○芦澤委員 実は今回、資料には出してないのですが、現在のデジタル版の24画像に関して、当時の班会議で、全症例に関して委員からのコメントを残しています。例えば、後で御提案させていただこうと思っていましたのが、デジタル版の4と5です。同じ1/0の症例ですが、5のほうが粒状影の分布とか、大きさから考えて、そちらのほうが弱いので、例えば4と5の順番を入れ替えたいとか、そういう意見も残しています。それから、これまでのデジタル版に関しても様々な御意見がありまして、新たに記載するというところまでは書いていませんが、こういうふうな所見があるということのメモはここに記載されています。それを追記していいものかどうかは、よく検討したいと思います。症例の順番を入れ替えられるものなのか。あと、先ほどの私の表のような順番で症例を追加していって、順番をずらしていくのか、その辺のところもどのようにするのか、十分な議論が必要かと思います。
○菅沼委員 記載の仕方ですけれども、3号様式の所に書かれるプロフュージョン、タイプ、そして胸膜等の付加記号についての大陰影のことについてというのが埋っているような情報を、それぞれについて入れていくと分かりやすいのではないかなと思いました。
そうしたやり方を、ILO分類には標準写真の説明について全部書いてます。そうすると、その標準写真を使っていろいろ勉強ができるという形です。その症例の所で、こういうのを見たらこういうふうに記載するというのが分かるので。結構、じん肺についての産業医講習会などをやりますと、実際にどう埋めたらいいか分からない先生が埋めてらっしゃることもありますので、そうしたことは入れてもいいのではないかなと。それは今までの経緯、連続性なども考慮して考えていただければいいと思います。
○大塚座長 ありがとうございます。そうしますと、今までの症例についても、今のILO分類ではないですが、ILO分類と付加記号については記入していったらどうかというコメントでした。いかがでしょうか。それらのことも踏まえまして、事務局で検討していただければと思います。
それでは、事務局のほうに進行をお返ししたいと思います。
○井口主任中央じん肺診査医 ありがとうございます。構成員の皆様、御議論いただきありがとうございました。本日いただいた御議論と、議論の進み具合等を踏まえまして、次回以降のスケジュールや、開催の間に先生方にお願いする事項を整理した上で、また御連絡させていただこうと思います。次回は既に日程の御調整をいただいておりますが、開催が正式に決定次第、追って御案内をお送りいたします。なお、本日はオンラインと対面のハイブリッド形式でしたが、第2回以降はオンラインの開催となる予定です。こちらで症例提示して進めてきたものについて、先生方に事前にデータをお送りした上で、先生方にお手元で見ていただく形になるかと思いますが、それぞれの構成員の先生方がどのファイルを見てらっしゃるのか、どのスライスを見てらっしゃるかのところは、どういった形なら共有ができるのかをよく考えたいと思っております。
第2回以降はオンライン開催を予定しておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。これをもちまして、「第1回じん肺標準エックス線写真集の改定等に関する検討会」を終了いたします。ありがとうございました。