第42回労働政策審議会人材開発分科会 議事録

人材開発総務担当参事官室

日時

令和5年10月12日(木)10:00~12:00

場所

会場:中央合同庁舎5号館 省議室(9階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館)

議題

  1. (1)令和6年度概算要求の概要について
  2. (2)特定一般教育訓練給付の活用状況等について
  3. (3)公的職業訓練の在り方に関する研究会報告書について(報告)
  4. (3)その他

議事

議事内容
○武石分科会長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第42回労働政策審議会人材開発分科会を開催いたします。本日、本分科会はオンライン併用での開催といたします。本日の出欠状況ですが、使用者代表の滝澤委員、増田委員は御欠席です。なお、公益代表の石原委員は、所用により途中退席される予定です。
 それから、議事に入る前に、事務局に人事異動があり、今回初めて御出席の方がいらっしゃいますので紹介させていただきます。桃井訓練企画室長です。
○桃井訓練企画室長 訓練企画室長の桃井竜介と申します。皆さん、よろしくお願いいたします。
○武石分科会長 よろしくお願いいたします。なお、岸本人材開発統括官、原口大臣官房審議官、堀海外人材育成担当参事官は、公務により途中からの参加とのことです。
 本日、会場では、資料はお手元のタブレットで御覧いただきます。操作方法に御不明な点がある場合は、事務局にお知らせください。また、紙の資料が必要な場合も事務局にお知らせください。
 それでは、議事に入ります。議題1、令和6年度概算要求の概要についてです。内容について、人材開発総務担当参事官より資料の説明をお願いいたします。
○宇野人材開発総務担当参事官 おはようございます。人材開発総務担当参事官の宇野と申します。資料1を説明させていただきます。資料1、1ページ目を御覧ください。令和6年度の人材開発統括官部門の概算要求総括表となっております。一般会計、労働保険特別会計を合わせた、人材開発統括官の令和6年度概算要求額は約2,380億円となっており、令和5年度予算からは約67億円の増要求となっております。会計別に見ますと、一般会計は約129億円で約4.7億円の増要求、労働保険特別会計、労災勘定の要求額は約20億円で、およそ前年同額、雇用勘定の要求額は2,230億円で約63億円の増要求となっております。
 続いて、2ページ目です。令和6年度のポイントとしましては、リ・スキリングによる能力向上支援、非正規雇用労働者への支援、多様な人材に対する支援、就職氷河期世代、多様な課題を抱える若年者・新規学卒者の支援、技能者人材の育成・技能振興の支援の柱で整理しているところです。
 続いて、3ページ目から個別事業について御説明させていただきます。3ページ目のハローワークを中心とした在職時からの継続的な相談支援体制の整備です。「三位一体の労働市場改革の指針」を踏まえ、今年度実施しています「キャリア形成・学び直し支援センター事業」を拡充しまして、ハローワークにキャリアコンサルタントを派遣して、「リ・スキリング支援コーナー(仮称)」を設置するなどの機能を強化する内容となっております。また、右下に記載があります「job tag」という、職業別の仕事内容、賃金、必要なスキルなどの情報を見える化しているWebサイトがありますが、官民が有する求人・求職の基礎的な情報を加工・集約して掲載し、キャリアコンサルティングに活用していこうと考えているところです。
 4ページ目、キャリアコンサルタント向け研修を開発する事業です。令和6年度は、労働市場に関する基礎的な情報を活用するための研修や、成長分野のニーズを踏まえた能力開発に関する研修を新たに開発していきたいと考えているところです。
 続いて5ページ目は、非正規雇用労働者等が働きながら学びやすい職業訓練を開発するための、オンライン、オンデマンドやスクーリングを組み合わせた試行事業を新たに実施するというものです。この事業につきましては、後ほど議題3においてありますが、公的職業訓練の在り方に関する研究会において詳細を検討していただきました。こちらで御報告させていただきますが、この内容を基に、まず試行的に実施することを想定しているものです。
 続きまして6ページ目です。公的職業訓練によるデジタル推進人材の育成とデジタルリテラシーの向上促進です。これまでも、公的職業訓練につきましては、デジタル推進人材の育成を進めてまいりましたが、令和6年度の拡充部分につきましては、①(1)にありますとおり、昨年、経済産業省等が公開したデジタルスキル標準のうち、DX推進スキル標準に対応した訓練コースについて、委託費等を上乗せするなどしまして、デジタル分野の訓練コースの設定促進を図ることとしております。また、③におきまして、生産性向上支援訓練の機会の拡充を図るとともに、④にありますとおり、デジタル分野以外の全ての公共職業訓練の委託訓練及び求職者支援訓練の訓練コースにおいて、訓練分野の特性に応じ、基礎的なデジタルリテラシーの要素を訓練内容に加味していきたいと思っております。
 続いて7ページ目、デジタル人材育成のための「実践の場」開拓モデル事業という新規事業です。デジタル分野の訓練等を修了した中高年齢者や、企業のDXを推進するための人材向けに、実務経験を積むための「実践の場」を提供するモデル事業を新たに実施しまして、デジタル推進人材の育成を進めていきたいと考えているところです。
 続いて8ページ目、受講者の特性に対応した教育訓練手法の構築・普及促進事業です。今年度からこの事業を開始しておりまして、現在14者が試行を開始しています。令和6年度は、2年間の国庫債務負担行為の2年目ですので、所要の額を要求しているところです。
 続きまして9ページ目、人材開発支援助成金です。令和4年度に創設しました人への投資促進コース及び事業展開等リスキリング支援コースなどによって、従業員のリ・スキリングを令和6年度も引き続き支援していこうと考えております。また、令和6年度におきましては、労働者の主体的なリ・スキリングを支援する、中小企業に対する賃金助成の拡充や柔軟化を行うこととしてまいりたいと思っております。
 続きまして10ページ目、求職者支援制度です。雇用保険を受給できない求職者を対象に、無料の職業訓練に加え、給付金の支給を通じて、早期の再就職を支援する求職者支援制度を、引き続き推進してまいりたいと考えております。
 続きまして11ページ目、外国人技能実習機構の交付金です。御案内のとおり、外国人技能実習生につきましては、技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議における中間報告書において、検討の方向性が示されているところです。こうした方向性等も踏まえまして、令和6年度におきましては、監理団体の許可申請の審査体制整備や、制度の周知等のための体制整備を行ってまいりたいと考えております。
 続きまして12ページ目、障害者の多様なニーズに対応した委託訓練です。これにつきましては、引き続き障害者の能力開発を進めていくために、企業や社会福祉法人、NPO法人等に委託していく民間委託訓練を引き続き推進するため、前年と同額で要求しているところです。
 次に13ページ目、就職氷河期世代活躍支援都道府県プラットフォームです。就職氷河期世代への対策につきましては、令和5年度から第2ステージが始まっております。令和6年度は、第2ステージの2年目となりますので、1年目である今年度と同額を要求しまして、就職氷河期世代向けの説明会や面接会の開催、セミナー等の開催経費に当てていきたいと思っております。
 続きまして14ページ目、地域若者サポートステーション事業です。就労に当たって困難を抱える若者等に対して、職業的自立に向けた就労支援を行う事業です。こちらの事業も2年間の国庫債務負担行為事業となっておりまして、令和6年度は2年目ということで、今年度とほぼ同額の要求をしているところです。
 続きまして15ページ目、フリーター等に対する就職支援です。全国に21か所ございます「わかものハローワーク」、また、全国に200か所あります「わかもの支援コーナー」等の運営経費として、前年度と同額の24億円を要求しているところです。
 続きまして16ページ目、新規学卒者等への支援の充実です。新規学卒者等の就職率は、コロナ禍前の水準まで改善はしてきておりますが、就職に困難な課題を抱える方の支援は、その支援期間が一般の方に比べて長期化する傾向にあります。面接に自信をなくした方々に対する御本人の支援、ヤングケアラーなど、家族に課題を抱えている方に対する市町村などと連携した支援などを行う、連携支援ナビゲーターを増員するという要求で、増額の要求をしているところです。
 17ページ目、技能検定等推進費です。技能検定制度に必要な経費について要求したところです。今回、右側にありますとおり、若年者入職促進措置(仮称)、現行の若年減免措置を廃止しまして、新たに講じるものなどを含めまして、必要な予算を要求しているところです。
 最後に18ページ目、若年技能者人材育成支援等事業・各種表彰です。この若年技能者人材育成支援等事業につきましては、ものづくりマイスターの経費や技能五輪の経費です。若干の増額要求としてお願いしているところです。
 以上、雑駁ですが、令和6年度概算要求の説明について終わらせていただきます。
○武石分科会長 ただいまの御説明に対して、御質問、御意見がございましたら、こちらで参加されている方は挙手、オンライン参加の方はZoom機能のリアクションから「手を挙げる」マークを押していただき、指名されてからマイクをオンにして御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。オンラインの風神委員、お願いいたします。
○風神委員 些細な質問なのですが、新規に行う非正規雇用への育成ですが、非常に興味深く思っています。これの受講者は、雇用保険の加入期間の年数など、条件はどのようになっていますか。これが1点です。
 もう一点は、これはここで申し上げることかどうか分からないのですが、特に新規のデジタル人材育成など、厚生労働省内であったり、あるいは他省庁でもいろいろな訓練というものを給付金を付けて行っているので、利用者のほうから分かりやすいものというのはないのかなということを感じた次第です。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。2点の御質問がありましたので、事務局からお願いいたします。
○桃井訓練企画室長 訓練企画室長の桃井でございます。1点目の対象者についてですが、確かに非正規の方には雇用保険に加入されていない方もいらっしゃいますので、具体的な事業の要件につきましては今後検討していくこととなりますが、なるべく訓練を希望する非正規の方を幅広く受け入れられるように検討してまいりたいと思っております。
○風神委員 ありがとうございます。
○宇野人材開発総務担当参事官 総務担当参事官です。2点目のお尋ねに対して回答いたします。先生がおっしゃるとおり、今、様々な施策をリ・スキリングという名前で厚労省もやっておりますが、例えば経済産業省でも文部科学省でもやっていると思います。この分科会でも、前の体制のときから、「それぞればらばらにやるのではなくて、連携して、かつ、それを分かりやすいように示すことが重要なのではないか」という御意見は、公労使の三者から頂いていたところです。
 そのため、昨年度に作成した「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」において、厚労省だけではなくて、文科省とか経済産業省とか、政府全体でやっているリ・スキリング支援策、職業能力開発促進支援策を一覧にして整理すべきだということで、実際にそのような形の整理の資料を参考資料として作成しております。これについては、ホームページ等に掲載するだけではなくて、こういう形で令和6年度予算とか令和5年度の予算とか、各年度の予算があると、当然これは新しい事業ができますので、その新しい事業に応じて、これは毎回リバイスしております。ですので、今回、もし令和6年度要求が予算案となって、その予算を国会でお認めいただくような段階では、ガイドブックは改定して、また周知を進めていきたいと考えています。2点目の御回答については以上です。
○風神委員 ありがとうございました。
○武石分科会長 石﨑委員、お願いします。
○石﨑委員 石﨑です。資料の3ページ目に関わる質問となります。この中に、ハローワークの窓口職員のキャリアコンサルタント資格の取得促進が記載されています。資格の取得を促すに当たって、もちろん呼掛けはされていると思うのですが、そのほかに、どういった形でされているのか。例えば、資格を取るのに必要な講習を受けるに当たっての費用面であるとか、あるいは時間面での配慮も想定されているのかどうか。あるいは、取得することによる処遇の改善というか、インセンティブのようなものとしてどういったものを、既にそれがあるのか、あるいは今後入れていこうとされているのか。この辺りについて教えていただければ幸いです。
○佐藤キャリア形成支援室長 キャリア形成支援室長の佐藤と申します。ハローワークの職員のキャリアコンサルタント資格の取得促進については、主に職業安定局の所管にはなるのですが、把握している範囲でお答えいたします。
 職員の資格取得と、資格取得後の更新に向けた研修について、労働大学校で研修をしたり、労働局でも職員向けの研修を実施するなどして、職員の資格取得の促進、また更新のための支援をしていく方向にしております。
 御質問のもう一点の処遇のほうについては、具体的には引き続き検討とさせていただきたいと思います。
○石﨑委員 労働大学校等での研修をされているというのは、業務の一環として、そういった研修を受けられているとお伺いしてよろしいでしょうか。
○佐藤キャリア形成支援室長 そうです。労働大学校の研修については、業務の一環として受講することになります。受講者の選定において、従事している職務等を踏まえて、受講する職員を推薦する形になります。
○石﨑委員 リ・スキリングの支援に携わる職員の方自身が、リ・スキリングの良さのようなものを実感として持っていることが重要かなと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○武石分科会長 石﨑委員、ありがとうございます。それでは、会場の小林委員、お願いいたします。
○小林委員 小林です。私からは、2点発言いたします。1点目は、今御説明いただいた資料の17ページで、技能検定の関係です。今回の概算要求の中で、若年者入職促進措置というものを新たに創設していくという御説明を頂きました。現行の若年減免措置については、在職者に限るということで運用がなされているところですが、本日の資料の中には、対象として在校生というものが入っております。これは、新たな措置によって、現行よりもより広く若者に活用できるようにしたという理解でいいかという確認が1点目です。
 2点目は意見です。18ページの若年技能者人材育成支援等事業についての意見です。事業の目的の中でも触れられているとおり、若者のものづくり離れ、技能離れが、ますます進んでいる。こういう状況の中で、来年度に向けて増額要求をしていただいている、積極的に予算要求をしていただいたというところについては、非常に評価ができると思っております。
 このものづくりマイスターの派遣ですが、令和4年度から、2年連続での制度を活用した派遣というのはできない、より幅広く活用するために2年連続は不可だという運用がなされていると承知しております。ただ、学校については、2年連続の利用は不可という制限はなくなったと伺っておりますが、企業・団体についても、より幅広く活用できるようにすべきだと考えております。予算編成過程の中で、是非御検討いただきたいと思います。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。質問、御要望も含めてということでした。お願いいたします。
○安達能力評価担当参事官 能力評価担当参事官の安達です。2点御質問いただきました。まず1点目の若年者入職促進措置についてです。御案内のとおり、前年度から対象を雇用保険の被保険者に限定するという中で、典型的に言うと、在校生の方が外れたということで、工業高校の関係者の方を中心に、非常に強い要望がありました。そのことを踏まえて、予算が通ってからということになりますが、在校生の方も含めて、ここについては純粋に拡充ということで考えているという理解で結構です。在校生の方を支援することによって、若年者のものづくり分野などへの入職につながるというように考え方を整理させていただいて、新たに支援対象を広げるというように整理させていただいているものです。これが1点目です。
 2点目は、若年技能者人材育成支援等事業に関する話です。御案内のとおり、コロナ禍からの正常化が進む中で、ものづくりマイスターのニーズが現場で急速に広がっている状況にあります。そのニーズを踏まえて、来年度は増要求をさせているところです。その中で、このペーパーの①の3つ目のポツの【拡充】という所に、企業の支援を拡充するという文言を入れています。これについては、先ほどお話のあったように、企業については基本的には2年連続の利用はお避けいただくということで運用を始めているのですが、企業の皆さんのほうから、新規開拓するという必要性は分かるのだけれども、マイスターの活動の中で、例えば技能継承を行うためには複数年度なりにわたって計画的に行っていただく必要がある等、特段の事情がある場合には配慮いただけないかという声を頂いております。
 ということを踏まえまして、来年度要求が通ってからということになりますけれども、そういう人材育成を計画的に実施するために必要な場合には連続派遣を認めるということを含めて検討しております。なお、実施に当たっては、どういう場合には認めるということを具体的に示させていただき、運用に混乱がないようにしたいと思います。以上です。
○武石分科会長 小林委員、いかがでしょうか。
○小林委員 ありがとうございました。
○武石分科会長 オンライン参加の渡邉委員、お願いいたします。
○渡邉委員 予算の説明を頂き、ありがとうございました。毎回出る話なのですが、使わせていただく立場として発言させていただきます。リ・スキリングによる能力向上支援を継続的に強化していただいているということで、非常に企業側としては助かっております。これを有効に活用するようにということで、私どものグループの各社にも指導しているのですが、使い勝手の良さというところで、非常に貴重な原資ですから厳密に運営しなくてはいけないという点は分かるのですが、一方で、それを使うに当たって、使い勝手の良さというのも有効に予算を使うためには必要かなと思っています。
 そういった点で見ますと、残念ながら、事業所単位での申請ですので、県単位で申請をするとなると、その県の担当窓口によって、例えばDXリテラシーのリ・スキリングというカリキュラムについても判断基準が変わってきます。これはどうなっているのかと確認していくと、どんどんそれが細分化して各論になっていって、非常に限定的なものになっていってしまう。基本としてここを満たしていればいいのだということで、例えば経産省のほうでDXリテラシー標準というものを示されていますが、それを担保していればいいのだとか、ある程度の原則主義で運営することも必要なのではないかと。
 私どもの窓口から御省に問い合わせて、各県の水準を合わせてもらうような形で動いていただいているところもあるのですが、まだまだその点の県単位でのばらつき、また、案件ごとに判断基準が流動的に動いていくということで、最終的に、それは違いましたよねというような話が出てくるというところがありますので、大変かと思いますが、余り細かくがちがちに決めるよりは、原則として何をベースにされているのか、それに基づいたカリキュラムであったら、この助成金に該当すると。そのような方針を更に各県に共通の項目として持っていただければと思いますので、よろしく御検討のほどお願いいたします。
○武石分科会長 ありがとうございました。御要望も含めて、お答えできればお願いいたします。
○宇野人材開発総務担当参事官 総括的な御質問でしたので、私からお答えさせていただきます。恐らく渡邉委員が念頭に置かれているのは、人材開発支援助成金ではないかと推察しております。委員が御指摘のとおり、使っていただくことが非常に重要ですので、判断基準とか申請に当たっての手続については、公平、かつ分かりやすく進めていきたいと思っております。
 また御不明な点がありましたら、私なり、担当課室のほうに言っていただければと思います。また、担当課室のほうも、今、実際に各労働局の担当者とは常に連携しまして、各局によって、なるべく判断の差がないように調整はしているのですが、人間のやることなので、「そうでもなくても」という話があるかもしれませんが、そういったものは遠慮なく我々のほうに情報提供等をお願いできればと思います。
 渡邉委員がおっしゃるとおり、引き続き使い勝手の良いものにしていくように、我々としても精一杯努力していきたいと思います。以上です。
○渡邉委員 今、御指摘がありましたとおり、事業展開等リスキリング支援コースを今年度からグループで活用させていただいておりますので、またいろいろと御指導いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
○武石分科会長 お使いになる立場からの貴重な御意見をありがとうございました。冨髙委員、よろしくお願いいたします。
○冨髙委員 3ページのハローワークの相談支援体制整備と、4ページのキャリアコンサルタント向けの研修に関して意見を申し上げます。
 労働者の雇用安定と処遇の改善という観点からは、望ましい職業選択であったり、キャリア形成を支援するキャリアコンサルティングの実効性を担保することは非常に重要であり、その支援の中核を担うハローワークの機能強化は必要不可欠だといえます。第3回の雇用保険制度研究会のデータによれば、ハローワークは、職業安定機関の職員1人がカバーする労働者数が、主要先進国の中でも群を抜いて多いということです。ハローワークの職員にはかなり負荷が掛かっていることが想定されますので、是非ハローワークの人員強化も含めて、その機能を果たすに十分な予算の確保をお願いしたいと考えています。
 また、3ページのハローワークの相談支援体制整備において「リ・スキリング支援コーナー」の設置も予定されています。継続して相談支援を提供することは、労働者や求職者に対して選択肢を充実するという意味で非常に重要であり、在職者の職業生活を通じたキャリア形成にも有用だと思っておりますので、体制整備と分かりやすい周知をお願いしたいと考えております。
 また、4ページのキャリアコンサルタント向けの研修ですが、新たに「成長分野のニーズを踏まえた能力開発に関する専門研修」が取り入れられたと記載されております。我々も従来から申し上げているように、実効性担保という視点では、キャリコンの質の担保は非常に重要だと考えております。2024年は3分野に限るということですが、情勢等も踏まえて、適宜、拡充・見直しをしっかりとお願いしたいと考えております。以上でございます。
○武石分科会長 ありがとうございます。質問をされる方が多いようですので、3人まとめて御質問していただいた後に、事務局から御回答いただき、その後に、また質問ということにさせていただきます。平田委員、お願いいたします。
○平田委員 御説明いただいた2024年度の概算要求は、人への投資パッケージの拡充に資すると理解しております。渡邉委員からも御指摘がありましたが、人材開発支援助成金がその柱となると思っており、着実な活用に向けて、不正受給防止の観点も踏まえた上で、手続の簡素化を含めて、利用のしやすさの検討と周知・広報の徹底をお願いしたいと思います。その上で、PDCAサイクルで適切に事業を管理し、十分な成果が見られない場合には見直しを行うなどの不断の取組が必要なのではないかと思っております。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。オンラインの勇上委員、お願いいたします。
○勇上委員 神戸大学の勇上と申します。議論が集中している資料1の3ページと4ページに関連してです。私も意見ですので、特にお答え頂く必要はございません。
 大きく申し上げますと、リ・スキリングとかキャリアチェンジという際には、支援する側も御本人にも、自分が就いている仕事や職業の特性や、スキルの内容や水準、そして処遇を意識せざるを得ないと思います。
 そういう意味で、この資料にもあるように、職業情報提供サイトの情報が、ハローワークとかキャリアコンサルティングの場で活用されることは画期的だと思いますが、一方で、現状では必ずしも全ての情報が充足されているわけではないと認識しております。例えば処遇として非常に気になる賃金に関しては、厚労省の賃金構造基本統計調査で、かなりの職種について賃金情報が収集されるようになっているのですが、職業情報提供サイトの職種は500ぐらいありますので、必ずしも全ての職種をカバーできていないと思います。これは当分科会のマターではないのかもしれませんけれども、厚労省として将来的に職種別の賃金とか、処遇などの情報を網羅していただきたいと思います。
 また、仕事内容の情報に関しても、ほかの国の研究とかレポートによりますと、技術の進歩によってどんどん変わって来たし、これからも変わっていくだろうということが指摘されております。資料にあるように、これから職業情報が政策の場で活用されていくわけですけれども、その際には、定期的にアップデートされた情報をお使いいただきたいと思います。これも意見です。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。3人の委員から御質問、御意見等を頂きましたので、お答えいただけるところをお答えいただきたいと思います。お願いします。
○佐藤キャリア形成支援室長 キャリア形成支援室長の佐藤と申します。冨髙委員、勇上委員から、御質問、御意見を頂きました、リ・スキリング推進相談支援事業のほうですが、御指摘のとおり、ハローワークは相談者、求職者、支援している対象者を大変多く抱えているということで、多忙となっている中で、在職者の方の将来のキャリア形成に向けた相談という意味では、なかなか対応しきれない部分がありますが、その部分を強化する形で、委託事業によってキャリアコンサルタントを配置することで、一定、ハローワークの体制強化にも資するものになると思っております。御指摘いただいた部分も踏まえまして、今後も、この事業の強化を含め、体制強化に努めてまいりたいと思います。
 それから、この事業の分かりやすい周知というところについてです。在職者の皆さんの将来のキャリア形成についての御相談という意味で、ハローワークにお出かけいただくという意識は、まだ現時点では難しいところもあるかもしれませんけれども、御指摘いただいた点の分かりやすい周知に努めることによって、御利用の促進を図っていきたいと思います。
 それから、キャリアコンサルタント向けの研修についてですが、キャリアコンサルタントが労働市場の状況を踏まえた的確な支援をしていくという意味で、能力向上を図っていくということで、この研修を有効なものにしていきたいと思っております。来年度は成長分野として取りあえず3分野ということですけれども、状況も踏まえながら、御指摘いただきましたように、今後の拡充等も検討してまいりたいと思います。
 それから、御意見ということでしたが、勇上委員から頂きました処遇の状況についてのjob tagの情報の充実、アップデートについても、職業安定局のほうで主に検討が進められているところですが、私どもも連携しながら充実に努めてまいりたいと思います。以上です。
○武石分科会長 特に御質問を頂きました冨髙委員、よろしいでしょうか。追加はございますか。
○冨髙委員 結構です。
○秋山企業内人材開発支援室長 企業内人材開発支援室長の秋山と申します。人開金について御意見を頂きまして、ありがとうございます。御指摘のとおり、まだ人開金については認知している企業も少ないことは認識しておりまして、更に認識していただくために、本省、それから労働局において周知強化を図っているところです。リーフレットの活用だとか、労働局の幹部、ハローワークの所長がトップセールスをしている等、周知活動をしているところですが、更なる強化を図っていきたいと思っております。
 また、より利用しやすい制度とするために、御指摘のあったように、手続の簡素化等についても是非見直しを図っていきまして、より皆様が活用しやすいような制度にしていきたいと思っております。ありがとうございました。
○武石分科会長 先ほどからハローワークとの連携について多くの御意見を頂いておりまして、こちらの分科会の所掌を超える部分もありますので、担当の分科会とも御連携いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは岡野委員、お願いいたします。
○岡野委員 岡野でございます。私からは2点意見させていただきます。渡邉委員、平田委員からも意見がありましたが、9ページの人材開発支援助成金の活用促進について、労働者の立場から発言させていただきます。
 労働者の雇用安定とキャリア形成に向けては、企業は自らの責任において、労働者が能力開発に取り組みやすい環境整備を進めていくことが非常に重要であると認識しております。一方で、とりわけ中小企業においては、人員的、財政的な制約に加え、制度面での環境整備が遅れており、能力開発に十分に取り組めていないという実態があると認識しております。
 今回の拡充においては、長期教育訓練休暇制度に対する拡充が予定されておりますが、令和4年度に行われた能力開発基本調査の結果によると、この制度の導入予定がないとしている理由には、「代替要員の確保が難しい」に加え、「制度を知らない」といった回答も多い状況にあります。制度の周知の強化といったところが重要であり、助成金の拡充のみならず、制度の利用促進に向けた環境整備も進めていただきたいと思います。先ほどまでの質疑でも回答いただいておりますが、重ねて申し上げます。
 もう一点、11ページの外国人技能実習について発言させていただきます。外国人技能実習機構の機能強化については、今回、僅かですが、増額の要求がなされています。説明の中にもありましたが、現在、この技能実習制度については、制度見直しに関する議論が有識者会議で行われていると承知しております。この制度の適正な運用に向けては、これまで以上に人材確保、人材育成が必要ですので、所管省庁である入管庁並びに関係省庁と連携していただきながら、十分な予算を確保していただきたいと思います。以上です。
○武石分科会長 では松浦委員、お願いいたします。
○松浦委員 私からは、5ページの非正規労働者等への職業訓練試行事業に関連し、意見を申し上げます。1の事業の目的に記載されているとおり、令和4年度能力開発基本調査の結果によると、非正規雇用で働く方に対してOJT、OFF-JTを実施した事業所の割合は、正社員に比べて大幅に低い状況となっております。労側から従来より申し上げておりますが、雇用形態にかかわらず、事業主の責任において等しく能力開発の機会が確保されるべきであり、政府として、引き続き事業主への働き掛けを行っていただきたいと思っております。
 その上で、非正規雇用で働く方の能力開発機会が限られる中、こうした状況を転換させる一助とすべく、今般の非正規雇用で働く方を対象に職業訓練の試行事業が実施されることは、前向きに受け止めたいと考えております。したがいまして、関係機関の連携により試行事業が適切に実施されることはもとより、効果検証を行った上で、事業の本格実施への移行も視野に取組を進めていただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。
○武石分科会長 ありがとうございました。事務局から何かあれば、お願いいたします。
○堀海外人材育成担当参事官 海外人材育成担当の堀と申します。よろしくお願いいたします。岡野委員から御発言のあった外国人技能実習機構の予算についてです。今、御指摘いただきましたように、技能実習制度については、その制度の在り方に関する有識者会議において、最終報告書の取りまとめに向けた議論が開始されるところです。その中で、制度の運用を更に適正化していくことも含めて、議論がなされるものと考えております。今回、予算の増額要求をさせていただいておりますが、5月の段階で中間報告書が出ており、監理団体の適正化といったことも盛り込まれておりましたので、その内容も踏まえて予算要求をさせていただいております。しっかりとした体制で、制度の適正化を実施していけるように、予算を確保してまいりたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
○桃井訓練企画室長 訓練企画室長の桃井です。松浦委員から、5ページの試行雇用事業について頂いたことに対して、回答させていただきます。御指摘のとおり、雇用形態にかかわらず、職業訓練などを受講しやすくするように、事業主の方への支援をしていくことは必要かと思いますので、引き続き適切に働き掛けてまいりたいと思います。
 また、この試行雇用事業についても前向きに受け止めていただいて、とても有り難く思っております。こちらは、予算をしっかりと確保できましたら、適切に実施をして、効果検証についても、この研究会の中でも様々な御指摘を頂いておりますので、次の議題3でも説明させていただきますが、効果検証もしっかりとやっていきたいと思っております。御質問、御意見、ありがとうございました。
○武石分科会長 オンラインの美濃川委員、お願いいたします。
○美濃川委員 ハローワークの重要性はどんどん高まっていまして、そこに対する予算がいろいろ出ているのもよろしいと思うのですけれども、ただ、ちょっと見てみますと、フリーター等に対する就職支援で「わかものハローワーク」というのを21か所作っていて、しかも、コーナーが200か所あると、一方、新規学卒者へのハローワークを55か所作っているという中で、新規学卒と若者のハローワークはかなり重複する部分があると思うのですが、そういうところはうまくしっかりとやられているのか、それとも全く別にやっているのか。一方で、地域の若者サポートということで、民間に委託しながら177か所でやっていると。こういったものが本当にシナジーを作って、うまく運営されているのかどうか。その辺について分かれば教えていただきたいと思います。
○武石分科会長 御回答をお願いいたします。
○谷口若年者・キャリア形成支援担当参事官 若年者・キャリア形成支援担当参事官の谷口です。わかものハローワーク、新卒応援ハローワーク、地域若者サポートステーションに関しての御質問ですが、それぞれの施設によって対象が異なっております。新卒応援ハローワークは、新卒の方を応援、就職活動の支援をするものです。わかものハローワーク、わかもの支援コーナー等については、卒業後、非正規などのフリーター等を対象にしています。また、地域若者サポートステーションについては、若年の無業の方ということで、引きこもり等の経験者や、職業に就いていない方を対象にしています。そういった形で、それぞれの対象に応じた形で支援をしていくということで、こういった支援の仕方も分けているということです。当然、それぞれの施設間で関係するようなところがあれば、どちらの施設が適切かということで、連携して、こちらを紹介するとか、そういった連携はしています。以上です。
○美濃川委員 分かりました。
○武石分科会長 機能が違うので支援する中身も変わってくるということでのすみ分けだと思いますが、必要なところで連携いただいているということでした。ほかに御質問、御意見はございますか。会場もオンラインもよろしいでしょうか。特にないようであれば、この議題については以上とさせていただきます。
 次の議題に入ります。特定一般教育訓練給付の活用状況等についてです。内容について、若年者・キャリア形成支援担当参事官より資料の御説明をお願いいたします。
○谷口若年者・キャリア形成支援担当参事官 若年者・キャリア形成支援担当参事官の谷口でございます。私から、議題2について、資料2に基づいて御説明いたします。資料2を御覧ください。特定一般教育訓練給付の活用状況等についてということで、この制度が創設されました際に、適用開始後に効果検証を行うとされておりましたことから、今回、御報告するものです。
 1ページ、特定一般教育訓練給付の概要です。労働者が費用を負担し、厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講した場合に、その費用の一部を雇用保険により給付する教育訓練給付制度につきまして、令和元年10月に「特定一般教育訓練給付」が創設されました。特に、速やかな再就職及び早期のキャリア形成を支援することを目的としておりまして、比較的、訓練期間が短い講座を対象としております。給付の内容は、受講費用の40%(上限20万円)を支給するというものです。対象となる指定講座は、業務独占資格に係る養成過程などを中心に、本年10月1日時点で、合わせて573講座が指定されております。
 2ページは教育訓練給付の全体の概要です。詳細な説明は省略しますが、教育訓練給付には3つの種類があります。左側が、受講費用の50%に加えて、資格取得し就職した場合に20%を追加支給する「専門実践教育訓練給付」です。真ん中が、今回テーマとなっております、受講費用の40%を支給する「特定一般教育訓練給付」、右側が、受講費用の20%を支給する「一般教育訓練給付」となっております。今回は、この真ん中の特定一般教育訓練給付を取り上げます。
 3ページ、特定一般教育訓練給付の制定経緯です。平成30年6月の「人づくり革命 基本構想」ですとか、同時期の骨太方針に、教育訓練給付の拡充として、キャリアアップ効果の高い講座を対象に、給付率を2割から4割へ倍増するということが記載されております。それを受けまして、その後の人材開発分科会で、拡充に係る対象講座について御議論いただきまして、指定基準告示を改正の上、令和元年10月から特定一般教育訓練給付の講座指定が始まりました。その際、分科会において、制度全体については適用開始の2年後をめどに、また、当時制度が始まっておりませんでした文部科学大臣が認定する短時間の職業実践能力育成プログラム等については、1年後をめどに効果検証を行うこととされました。これについては、制度開始後、指定された講座数が非常に少なかったということから、効果検証の時期を延期しておりましたが、今般、適用開始から4年が経過しまして、講座数や受給者数の増加によりまして、一定の効果検証が可能になったということを踏まえまして、制度の活用状況について分析を行いました。
 4ページから、分析の結果について御説明していきます。検証に当たりましては、指定講座と受給者について、それぞれ分けて分析しておりますが、まず、指定講座の状況について御説明します。
 5ページ、特定一般教育訓練給付に係る指定講座の推移です。令和元年10月に150講座から始まりまして、直近の令和5年10月時点では573講座を指定しているということで、約3.8倍に増加しております。最初の指定から3年が過ぎた令和4年10月の時点で、指定期間満了による指定講座の廃止などによりまして少し減少しましたが、その後、少しずつ増加してきておりまして、おおむね横ばいから少し増の状況となっております。
 6ページは、目標資格別の指定講座数の推移です。直近では、大型自動車第一種免許が最も多くなっておりまして、80講座ということです。次いで、介護職員初任者研修が75講座ということで多くなっております。このような状況になっておりますが、類型ごとの講座数の変化について、次のページで整理しております。
 7ページ、新設時と直近の指定講座の分布です。講座類型ごとの指定状況を見ていきますと、令和元年10月時点においては、業務独占資格の養成課程などの第1類型が全体の97%となっております。特に、税理士ですとか社会保険労務士などの、いわゆる士業関係が全体の4割を占めていました。直近の令和5年10月時点では、士業関係は2%程度で、大幅に減少しておりますが、一方で、第1類型のうち、社会福祉関係が45%、運転免許関係が44%と増加しております。また、第3類型の職業実践力育成プログラムについても、8%に増加しています。
 8ページは指定講座の平均受講料の分布です。指定講座全体の平均受講料としては、約22.4万円となっております。特定一般は給付率40%で給付上限20万円ですので、逆算しますと、給付上限に対応する受講料の額は50万円になるわけですが、受講料が50万円を超えるような講座というのは、全体の約7%ということでして、それ以外のほぼ全ての講座が、この給付上限に対応する金額、50万円の枠内に収まっています。
 9ページ、指定講座の実施状況です。教育訓練について、在職者などが受講しやすくするために、土日・夜間やe-ラーニングなど、そういった講座を開設しているかどうかということですが、「土日又は夜間も実施」が約6割で、「通信で実施」が1割強、「e-ラーニング等で実施」が約2割ということで、全体の9割以上の講座において、土日・夜間とかe-ラーニングが行われているということです。また、第1類型の社会福祉関係では、通信やe-ラーニング等が多くなっておりまして、第1類型の運転免許関係とか第3類型の職業実践力育成プログラムについては、土日・夜間も実施される講座が多くなっています。
 次のページからは、受給者の状況についての分析を御説明していきたいと思います。11ページでは、受給者の分析に用いたデータに関する留意点などを記載しております。受給者の分析に用いた情報は2種類ありまして、1つは、ハローワークシステムの雇用保険被保険者情報の集計結果です。具体的には、令和元年10月から令和5年3月末までに特定一般教育訓練の講座の受講を修了し、給付金が支給された方、約7千名の方を対象にしております。当省において、ハローワークシステムのデータから独自に集計しております。もう1つは、受給者アンケートの集計結果です。こちらは、令和4年9月~11月にかけてアンケート調査を実施しました。対象は、令和元年10月から令和3年9月末時点までの特定一般教育訓練給付の受給者で、約2,500名です。ただ、回答を頂いたのが約300名強ということで、回答数が少なくて、回収率が低くなっておりますので、この後の分析結果を見る際には、その点を御留意いただきたいと思います。
 12ページ、受給者の属性です。まず、性別については、男性が50.9%、女性が49.1%で、男女比としてはほぼ同程度となっております。また、年齢階層については、40~50歳代の方が多くなっておりまして、特に女性のほうは、40歳以上が7割を超えています。受講開始時の雇用類型については、約8割強が在職者で、約2割弱が離職者となっております。
 13ページ、講座の類型別の受給者数です。講座によりまして大きな差がありますが、介護支援専門員ですとか介護職員初任者研修、あとは大型自動車第一種免許などの講座の受給者数が多くなっております。また、全体の在職者、離職者の割合と比べて、介護支援専門員では、受講開始時点で在職者であった方の割合が比較的高く、また、大型自動車第一種免許ですとか、介護職員初任者研修については、受講開始時点で離職者であった方の割合が高くなっているということです。
 14ページ以降を御覧ください。このページ以降は、受給者について、受講開始時点で在職者であった方と離職者であった方とを分けて分析しております。まず、14ページは在職者の状況です。在職者の講座受講後の雇用状況です。受講開始時点で在職していた方について、令和5年3月末時点の雇用状況を見てみますと、9割以上の方が引き続き雇用保険の被保険者となっている、つまり、在職者となっているということです。そのうち、5割以上が正社員となっております。
 15ページは受給者アンケートの結果です。受講開始時に在職していた方について、受講後の資格取得状況を尋ねたところ、資格を取得したという回答が91.9%で、9割以上となっております。また、受講に当たっての教育訓練給付の影響というのを尋ねたところ、給付金が支給されるので講座を受講したとの回答が53.4%で、半数以上となっております。
 16ページも受給者アンケートの結果です。講座受講の効果について尋ねたところ、処遇の向上に役立ったですとか、円滑な転職に役立ったといったような、何らかの受講の効果があったと回答した方が74.1%で、7割以上となっております。また、訓練受講後の賃金の変化について尋ねたところ、賃金が増加したと回答した方が26.3%で、約3割弱となっております。
 17ページ、このページからは、受講開始時に離職者であった方の状況です。まず、講座受講後の雇用状況です。受講開始時に離職していた方のうち、半数以上、52.9%の方が、令和5年3月末時点で雇用保険の被保険者で、つまり、再就職していたということです。また、再就職した方のうち、6割以上は正社員として再就職しているということです。
 18ページは、受講開始時に離職者であった方についての受給者アンケートの結果です。受講後の資格取得状況について尋ねたところ、資格を取得したとの回答が95.7%となっております。また、受講に当たっての教育訓練給付の影響について尋ねたところ、給付金が支給されるので講座を受講したという回答が60.8%で、約6割となっております。
 19ページは受給者アンケートの続きです。講座受講の効果について尋ねたところ、早期に就職できたとか、希望の職種業界で就職できたといったような、何らかの受講の効果があったと回答されている方が92.2%で、9割以上となっております。また、訓練受講後の賃金の変化について尋ねたところ、賃金が増加したと回答した方が43.6%で、4割以上となっております。
 20ページ、まとめのページです。1番と2番は、これまで御説明したことを再度挙げております。まずは1番の特定一般に係る指定講座の状況についてです。指定講座数は、創設時と比べて3.8倍に増加した。講座類型は、第1類型、業務独占資格等で9割以上を占めている。また、指定講座の9割以上でオンライン対応等が行われています。
 2番、特定一般の活用状況についてです。利用者の属性は、男女比は同程度、約8割が在職者、約2割が離職者となっています。受講開始時に在職者であった方の9割以上が引き続き在職していて、受講開始時に離職者であった方の半数以上が再就職している。うち、6割以上が正社員となっている。受給者アンケートからは、資格取得ですとか処遇向上、早期就職、賃金増加など、一定の受講効果が確認されました。
 最後3番です。今後の方向性について3点お示ししております。1点目は、教育訓練を希望する方が質の高い講座を受講することができるよう、更に指定講座の数を増やしていく必要があると思っておりまして、関係団体とか事業者等に対して、講座指定の申請勧奨を進めるということです。2点目は、労働者自らのリ・スキリングを後押しできるように、給付制度を知って活用していただくために、教育訓練給付制度の周知・広報を進めていくということです。3点目、教育訓練の効果の把握に関してです。今回、受給者アンケートの回収率が低くて分析に限界がありましたので、今後、講座ごとの受講効果などをより詳細に把握する方策を検討することとしております。私からの説明は以上です。
○武石分科会長 御説明ありがとうございました。制度創設4年がたったところで、制度の運用状況についてデータを御紹介いただきました。それでは、ただいまの御説明に対する御質問、御意見がありましたら、先ほどと同様に挙手をしていただき、指名された方はマイクをオンにして御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。会場で平田委員、田村委員、オンラインの風神委員の順番でお願いいたします。平田委員、お願いします。
○平田委員 教育訓練給付ですが、政府が推進するリ・スキリングによる能力向上に向けて、個人への直接支援として非常に重要と考えております。DX推進に対応できる人材の育成に向けて、講座の指定を適切に拡大していくことは必要だと考えております。
 最後に御説明がありましたが、講座指定要件等の見直しを適切に行うに際して、現状の受給者に対するアンケートの回収率の低さは課題があるのではないかと思っております。講座を実施する者をアンケート回収のプロセスに介在させるとか、回収率の改善に取り組んで、各講座の適切な評価に活用していくことが重要ではないかと考えております。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。まとめて御質問をお受けしたいと思います。守島委員からも手が挙がっていますので、後ほどお願いしたいと思います。会場の田村委員、お願いします。
○田村委員 資料の7ページ、新設時と直近の指定講座の分布を見ますと、新設時に比べて士業の割合が大きく減少しています。特定一般教育訓練給付の対象講座の指定要件にある合格率の達成が難しいため、継続して特定一般訓練に指定される講座が減少していることも要因の一つではないかと思っております。
 求職者、労働者の雇用安定とキャリア形成の観点から見ますと、ほかの資格と同様に、士業の資格を取得することによって、職業生活全体を通じて大きなプラスとなるものと考えます。合格率の要件によって、士業が特定一般教育訓練から排除されてしまう実態について、どのように考えているのか伺いたいと思います。
 また、特定一般教育訓練給付と異なる課題ですが、職業生活全体を通じて本人にとって望ましい選択を促進する観点からも、現在は専門実践教育訓練と特定一般教育訓練にのみ限定している訓練実施前のキャリアコンサルティングについて、一般教育訓練受講者のうち希望者は無償で受けられるようにすることを検討してはどうかと考えています。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございました。風神委員、お願いします。
○風神委員 風神です。私は2点あります。1点目は、田村委員と同じように中身についてですが、初めのときには士業やその他が多かったところ、最近では、介護職員初任者研修や大型自動車の第一種免許が非常に中心となっていて、この特定一般教育訓練の創設の目的のキャリアアップ、そのために2割から4割に給付率を増加するという、その当初の目的から、キャリアアップというよりも、どちらかと言いますと、失業対策的なものになっているのではないかと。当初の創設の目的と合っているのかどうかということは考える必要があるかと思いました。
 また、もう1つの目的であったIT関係、一定レベル以上の情報通信技術に関する資格取得を目標とするというものも、確かに専門講座に同じようなものがあるのですが、ある程度の時間を掛けないと、これらの資格が取れないのであるならば、今日議論になっている特定一般の目的や存在意義も考え直す必要がある。特定一般での職業訓練について、何に焦点を置くのかということを考える必要があるのではないかと思いました。
 もう一点としては、これから効果の検証が更に進められるということですが、Webのアンケートは、今日の御説明にもあったように、非常に回収率が低くて、かつ、答えてくださる方は、効果があったと思うから回答すると思いますので、かなり上振れもあるのではないかという印象を受けました。雇用保険データのほうで、本受給をしたのかどうか、また、今の就職状況はどうなっているのかということが分かると思いますので、この講座を受給しなくて再就職した人がどういう状況なのかということと照らし合わせないと、講座自体が効果があったかどうかということは正確には計れないのではないかと思いました。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。それでは守島委員、お願いします。
○守島委員 私も今の風神委員の意見とほぼ同じで、効果を計るという場合には、受講した人だけに聞いていても意味はないわけで、受講しなかった人との比較をしていかないと、なかなか真の効果は分からないのではないかと思いますので、今後、今回の検証を続けられるのであれば、方法論を工夫してやっていただきたいと思いました。特に賃金が上がったとか、就職がかないましたというのは、ちょうどこの時期は人手不足の時期とも重なっていますので、労働市場全体で、人が採られるような状況になっていたり、若しくは、賃金が上がるような状態になっていたという可能性もあるとは思いますので、効果の検証という意味では、先ほども風神委員もおっしゃっていましたが、受講した人だけで判断しては駄目であって、受講した人としなかった人の比較みたいなものを進めていただければと思います。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。石原委員、お願いします。
○石原委員 効果検証をきちんとするというのは、本当に授業が良い授業だったのか、良くない授業だったのか、あるいは、良いコンテンツを我々が選べているのかということも含めて、是非していただきたいと思います。一番の効果は、「何らかのスキルが身に付いた」ではないかと思います。今回の対象になっているものの中で、資格取得に結び付いているものは、正にスキルが身に付いたということが分かりやすいのですが、そうでない科目、そうでない技能もあるわけです。その場合に、やはり、講座を受けたらスキルがアップしたということが分かるというのが、私はまず第一に大事だと思います。その後就職できた、賃金が上がったももちろん次の効果として大事ですが、一番最初に出てくるのは「スキルが上がった」だと思います。これを実は十分検証できていないのではないか、あるいは、これをきちんと検証しなければ、この講座は良い講座だったかどうだったかというのが、来年も続けるべき講座なのかどうかは分からないと思いますので、是非、どんなスキルしか持っていなかった人が、これらの講座を受けてどんなふうにスキルが上がったというアセスメントのようなことを、簡単でいいのですが、受講前と受講後でやっていただきたいと非常に思っているところです。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。まとめて御質問等をお受けしたいと思います。冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 資料の20ページの3点目、今後の方向性を記載していただいております、受講の効果を詳細に把握して方策を検討していくとしているところに関する意見です。
 アンケートのサンプル数が必ずしも十分とは言えないという課題は、今、皆さんからもあったとおりで、是非、この回収の工夫はしていただきたいと思います。それとともに、引き続きデータの収集に取り組んで、適切に制度の効果検証を行っていただく中で、不断の見直しを行っていただきたいと思います。また、これは特定のみを対象とする調査結果ですが、一般や専門実践との比較を行うことで、より政策効果が明確になると思いますので、その他制度との比較についても御検討いただければと思います。
 次に、今回の受給者アンケートでは、訓練受講後のタイミングのみを調査対象としておりますが、訓練受講後、一定期間経過後の動向も継続的に把握することで、資格の取得等で賃金等に継続的な変化があったのかを把握できると考えます。こういった調査は、先ほど田村委員からも発言がありました士業の講座指定の在り方の判断根拠等にもなり得ると思いますので、継続的な調査という視点でも御検討いただければと思います。
 それから、そもそも特定と一般の違いを十分に理解していない方もいらっしゃるのではないかということを考えますと、やはり、本人にとって望ましい選択をするという視点で、教育訓練給付制度全体の周知を強化していただきたいと考えますので、更なる活用促進に向けて、他の審議会とも連携しながら取組を進めていただきたいと思います。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。ほかによろしいですか。いろいろと重なる御指摘もありましたが、事務局のほうからお願いいたします。
○谷口若年者・キャリア形成支援担当参事官 若年者・キャリア形成支援担当参事官です。多々御意見、御質問を頂きました。聞いている限りで非常に多かったのが、今回のアンケートの回収率が低かったことに関して、改善していくべきということだったかと思います。この効果を把握するための手法については、アンケートについて更に工夫していくということもありますし、また、教育訓練実施者、講座開設者の方を経由して受講生のその後の状況を把握するという手法も併せてやっていくような形で、更に詳細な効果の把握をしていきたいと考えております。
 また、制度当初に士業関係の指定講座が多かったのが大きく減ったということに関しての御指摘もありました。こちらについては、指定は申請が出てきてからになるのですが、再指定の際に申請がなかったということもありまして、大きく減ったということです。こちらは特定一般のほうで課している要件が難しいからではないかという御質問だったかと思いますが、合格率の要件自体は、それほど厳しいものではなく、一定のものということですが、そのほかの要件として、就職率等の要件も、特定一般や専門実践については課しています。キャリアアップ効果や再就職に資する効果の高い講座を高率の給付の対象としているということです。こういった要件をクリアできない場合は指定できないということですが、実際、講座開設者の方にお話を聞いてみたところ、経営の判断として、特定一般ではなくて一般教育訓練給付のほうを選んだという申請者の方もいらっしゃるということで、そこは申請者の判断に委ねられています。ただ、特定一般のほうが給付率が高いということですので、この講座についても、引き続き講座数を増やしていきたいとは考えております。
 あと、受講の効果などを計る際の工夫ということで、受講しなかった方との比較も必要ではないかという御意見もあったかと思います。今回の資料の中での説明は省略させていただきましたが、直接的に受講しなかった方との比較はなかなか難しいわけですが、一般的な統計データである雇用動向調査、全体のデータとの比較も参考として載せております。19ページ、令和4年度の雇用動向調査の前職からの賃金変動状況というもので、賃金の増加が約35%というデータ、これと比較して、受給者のアンケートでいきますと、賃金増加は43%というデータになっていると、このようなことも載せております。
 あと、現在、専門実践と特定一般に課しています訓練前のキャリアコンサルティングについて、一般教育訓練受講者にも受けさせるべきではないかという話については、講座指定の話を超える部分でもありますので、引き続き制度の所管とも検討させていただきたいと思います。
○武石分科会長 たくさんの御意見等に対応いただき、ありがとうございます。多分、皆様からの御意見には網羅していただいているとは思いますが、今、御質問、御意見を頂いた方も含めて、そのほかに追加で御質問、あるいは新しい御意見があればお願いします。よろしいですか。効果検証について、いろいろと御意見を頂き、今後工夫していただく必要があるということですが、特に、こういった新しいプログラムがどんなふうに使われているか、当初の目的が達成できているのかということは非常に重要なことだと思いますので、引き続き、このようなデータを示していただきながら、皆様と意見交換をしていきたいと思います。貴重な御意見をありがとうございました。それでは、この案件は以上とさせていただきます。
 次の議題に入ります。公的職業訓練の在り方に関する研究会報告についてとして、事務局から御報告を頂きます。
○桃井訓練企画室長 訓練企画室長の桃井です。議題3の報告事項ですが、今野浩一郎学習院大学名誉教授を座長とする、公的職業訓練の在り方に関する研究会の報告が取りまとめられ、9月5日付けで公表されましたので、御報告いたします。資料は、3-1の概要と3-2の報告書本体です。まず資料3-2で、本研究会について御説明させていただきます。
 報告書の14ページに開催要綱があります。目的や検討事項にあるとおり、技術の進展や経済的環境の変化、個人の働き方・職業キャリアに対する考え方の多様化等を踏まえ、企業及び個人のニーズに適切に対応した公的職業訓練を提供する必要があるとの認識の下、公的職業訓練制度の適正かつ効果的な運営の在り方などを検討するため、有識者で構成される研究会を開催することとしたものです。
 構成員については15ページにあります。今野座長、武石分科会長をはじめとして、リクルートワークスの大嶋主任研究員、政策研究大学院大学の黒澤理事・副学長、職業能力開発総合大学校の宮地准教授のほか、訓練実施主体として高齢・障害・求職者雇用支援機構や東京都にも御参画を頂いております。
 当面の議題として、非正規雇用労働者等が働きながらでも学びやすい職業訓練の具体的な制度設計について、5月から3回にわたり検討を頂き、その結果を報告書に取りまとめております。この報告書の内容ついて、資料3-1の概要で御説明いたします。
 まず、現状と課題です。DXなど、急速かつ広範な経済・社会環境の変化に対応していくため、労働者の自律的・主体的な学び・学び直しの支援が必要となる中で、能力開発基本調査などによれば、OFF-JTの実施事業所割合が、正社員に対しては70%、正社員以外は30%です。また、自己啓発についても正社員は44%、正社員以外は18%となっております。特に非正規雇用労働者は、正社員と比べて、企業を通じた能力開発機会が乏しいだけでなく、自己啓発の実施割合も少ないといった現状から、こうした非正規雇用労働者の主体的な学び直しを進めるためには、家事・育児が忙しいなどの時間的制約、正社員と比べて賃金が低いといった経済的制約、キャリアコンサルティングの機会が得られにくいといった情報等に関する制約の解消が必要となります。
 こうした課題認識の下、非正規雇用労働者等の将来にわたるキャリアアップがより効果的に実現されるよう、新たな支援の枠組みを実現することが適当であるとし、具体的な制度設計について、4つの視点から検討しております。1点目が一番左の枠、働きながらでも学びやすい職業訓練の内容として、離職者向けの訓練と同様の水準とすること、時間的制約の解消のために、通所日の思い切った柔軟化、通所不要なオンライン訓練、受講時間が自由に選択できるオンデマンドのe-ラーニングの活用、訓練期間の長期化を認めることが考えられます。経済的制約の解消のために、受講費用は無料又は低廉な費用負担とすること、そして、受講者同士や講師とのコミュニケーション機会の提供、学習支援者の配置、キャリア形成に関する相談機会の提供等を盛り込むこととされております。
 続いてページ中央の枠、受講対象者への周知方法、受講勧奨、受講申込方法についてです。周知方法については、対象者は必ずしもハローワークで把握できるわけではないことから、周知の主体は職業訓練実施機関とすることが考えられます。情報等に関する制約の解消のため、将来のキャリアや向上すべきスキルが分からない方に対応した相談支援や、職業訓練の受講によって得られる効果等の情報提供等を実施することを検討すべきとされております。
 次が、ページの右側の上部の枠です。職業訓練を実施する訓練機関としては、多様な訓練分野を提供し、柔軟な実施方法・日程で提供する必要があることから、民間の職業訓練実施機関を実施主体とすることが適当とされております。
 4つ目がその下の枠です。成果指標としては、在職者が対象であり、転職せずに現在の職場内でのキャリアアップのケースも考えられるため、就職率のほか、正規雇用労働者への転換割合、賃金水準向上の状況、習得したスキルの活用状況等が考えられるほか、受講者の主観的な評価の導入も検討すべきとされております。
 その上で、こうした職業訓練は新たな試みであることから、まずは試行事業として、報告書にも記載されている、兵庫県豊岡市や佐賀県、東京都などの先行事例を参考に、多様な手法等で実施すべきとされました。この研究会の報告を踏まえ、議題1にあった令和6年度概算要求の「非正規雇用労働者等が働きながら学びやすい職業訓練試行事業」の実施を、新たに盛り込んでいるところです。議題3の説明は以上です。
○武石分科会長 御説明、ありがとうございました。ただいまの御説明に対する御質問、御意見がありましたら、先ほどと同様に挙手をしていただき、指名された方はマイクをオンにして、御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。では宮田委員、お願いいたします。
○宮田委員 ANAホールディングスの宮田です。今の御説明の感想になってしまうのですけれども、正に働きながらでも学びやすい職業訓練ということで、コロナを経て、オンラインであったり、いろいろな対面ではない教育が進むことは素晴らしいことだと思っています。ただ、一方で、本当に技術的にキャリアを考えてスキルを上げていく中では、やはり寄り添い型のサポートは必須かと思っています。そういう意味では、先ほどの概算要求の中にもあったキャリアコンサルタントの重要性も言われていますので、教育・知識付与のオンラインでの活用と、正に必要なときに相談ができる、人の寄添いというところを両立しながらやっていくことが必要かと感じております。意見になりますが、以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。では、手が挙がっている守島委員、お願いいたします。
○守島委員 今の宮田委員の御意見とも関連しますが、このプログラムは、どういう内容を持っているのか。資料3-1の一番左の所を見た場合に、通所日の思い切った柔軟化や、オンラインやオンデマンドを活用していくよという話と、一番下の、例えばサポーターを置いていくとか、コミュニケーションを密に取っていくというのは、往々にしてバッティングする可能性があるのです。私が申し上げている中ではそう思います。したがって、もちろんお金の問題も関わってきますが、プログラムを選定する若しくはプログラムを作っていく上で、この2つをどうやって両立させていくかということに関しては、ポイントポイントで書いてしまうと、こういうように出てしまうのですが、この間の関連が実は結構重要だということを、事務局には是非お考えいただければと思います。意見なので別に答えていただく必要はありません。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。まとめて御意見等があればお聞きしたいと思います。会場の方、よろしいですか。オンラインの方も、現時点で手が挙がっている方はいらっしゃいませんね。御意見ということでしたけれども、もし何かあればお願いいたします。
○桃井訓練企画室長 宮田委員、守島委員、貴重な御意見を頂き、どうもありがとうございます。正におっしゃるとおり、こうした訓練を受けやすくするためには、オンラインの活用などが重要ということと、受講生に対する、キャリアコンサルティングも含めた相談支援やサポート体制が重要ということです。パッと聞くと、この2つは相反するようなことになっておりますけれども、オンラインの効率化だけでなく、しっかりと受講を継続できるように支援していくことも必要かと思っておりますので、その2つを両立できるような形で試行事業を進めていきたいと思います。
○武石分科会長 ありがとうございました。これから始まる事業なので、どのような状況かというのを適宜、御報告いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。特に御意見がないようであれば、この案件については以上とさせていただきます。
 その他について事務局から御報告がありますので、人材開発総務担当参事官から、参考資料の御説明をお願いいたします。
○宇野人材開発総務担当参事官 人材開発総務担当参事官です。前回の分科会で労使の各委員から評価の在り方、特に中間評価の実施時期について、御意見を頂戴したところです。事務局としては、関係部局とも調整をしながら検討した結果、幾つか改善を進めたいと思いますので、御報告したいと思います。
 まず、1点目として評価の時期の見直しです。評価の実施時期を早期化したいと思います。中間評価については、11月末時点で集計可能な実績を基に評価を記載して、12月頃の分科会において中間評価をお願いしたいと思っております。また、年度評価についても実績がそろう時期である6月頃の分科会で年度評価を行うとともに、翌年度の目標についても御検討いただきたいと考えているところです。
 これまでなぜ2月に開いていたかと言うと、9月までの指標が集まらないという技術的な問題がありました。中間評価を前倒しした場合、例えばジョブ・カード作成者数が8月分までしか出ないとか、特に職業訓練については、公共職業訓練の施設内訓練だと7月分までの結果、委託訓練だと6月分までの結果になってしまう。また、求職者支援訓練の就職率についても、本来は雇用保険適用就職率ですが、その雇用保険適用かどうかが未確認の数字のものが6月分までということで、そこしか出ないという制約はあります。そういった制約を御認識いただきつつ、12月の段階でその指標を見ていただいて、中間評価をお願いできればと考えております。また、評価シートについても、読みやすさを高めるための見直しを行いたいと考えているところです。
 大きな改善点の2点目は、実績を四半期ごとに提供したいと考えています。今までは年度評価とその間の中間評価という2回だったのですが、報告というか、資料配布という形で四半期ごとの数字もお配りしたいと思います。4~6月分、第1四半期であれば8月に取りまとめ、7~9月分であれば11月に取りまとめ、10~12月分であれば2月に取りまとめ、1~3月分であれば6月に取りまとめということで、それぞれ取りまとまった時期の直近の分科会に、資料配布ということで行いたいと思っております。
 実際に今日お配りしている参考資料は、前回、年度目標を定めていただいた7つの指標についての第1四半期、4~6月分の実績をお示しできるものについてお示ししたものです。この中では、目標を達成した所が分かるように、目標との差異を示しています。若しくは、評価率や進捗率を示した部分があります。例えば③の就職支援ナビゲーターによる新規学校等卒業者等の数だと、今のところ目標の19.1%の進捗率なので、今後、第2、第3、第4四半期で更に一層のてこ入れをして頑張っていかないと、目標は達成ができないということが分かるような資料として配布させていただきました。次回以降もこういう形で、四半期ごとの数値も資料としてお配りしたいと思っています。以上、目標関係の改善点について説明させていただきました。
○武石分科会長 中間評価のタイミングが遅いのではないかなど、いろいろな御意見があり、改善の方向でお答えいただいたということです。今の御説明に対し、御質問、御意見がありましたら、先ほどと同様に挙手をしていただき、指名された方はマイクをオンにして御発言をお願いしたいと思います。平田委員、お願いいたします。
○平田委員 昨年度の問題提起を踏まえて、第1四半期の実績をこの時期に提示いただいたことに感謝申し上げます。中間評価の適切な在り方については、引き続き検討していただきたいと思っております。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。ほかにありますか。冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 私も平田委員と同様で、今回の改善について感謝申し上げたいと思います。きめ細やかな検証は、その後の適切な施策の立案や改善にもつながると思いますので、引き続きの取組をお願いしたいと思います。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。ほかに御意見、御質問はありますか。よろしいですか。引き続きお願いしますということなので、どうぞよろしくお願いいたします。それでは、この案件は以上とします。
 議題については以上です。全体を通して委員の皆様から何かありますか。よろしいですか。特にほかにないようであれば、本日の議論は以上といたします。次回の開催日程については決まり次第、事務局から御連絡をさせていただきます。以上をもちまして、第42回労働政策審議会人材開発分科会を終了いたします。皆様、お疲れさまでした。ありがとうございました。