第187回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 議事録

日時

令和5年11月22日(水) 10:00~12:00

場所

厚生労働省 職業安定局第一会議室及びオンライン
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館12階)

議事

議事内容
○伊藤総括調整官 事務局でございます。
 開催に先立ちまして、御連絡を申し上げます。
 本日は、こちらの会場とオンラインの併用で開催いたしております。
 部会中は、オンラインの方は基本的にはカメラはオンで、マイクはオフでお願いいたします。
 また、発言される際には、会場の方は挙手、オンラインの方はZoomの「手を挙げる」機能を使用いただき、部会長から指名があった後に、御発言をお願いいたします。
 なお、傍聴は、別会場にてオンラインで行っております。
 進行に関する説明については、以上でございます。
○守島部会長 皆さん方、おはようございます。
 ただいまより第187回「雇用保険部会」を開催いたしたいと思います。
 本日の出欠状況ですが、労働者委員の古賀委員が所用のため御欠席と伺っております。あと、公益委員の水島委員が所用のため、10時20分頃に御退席の予定ということを伺っております。
(報道関係者退室)
○守島部会長 それでは、議題に入りたいと思いますけれども、議題1は「雇用保険制度について」でございます。
 異例なのですけれども、事務局からの資料説明の前に、この後、御退室される水島委員より御意見があるということなので、御発言をいただきたいと思います。
 では、水島委員、御発言をお願いいたします。
○水島委員 御配慮いただきありがとうございます。
 資料1-1の見直しの方向性について意見を述べさせていただきます。
 基本的に賛同いたします。特に週所定労働時間20時間未満の労働者について雇用保険の適用を拡大し、雇用のセーフティーネットを広げることに賛成です。労働者であれば誰もが仕事を失うリスクがありますし、共働き世帯が増加する中、たとえ生計の一端を担う労働に従事するにすぎない者であっても、その労働が失われれば、世帯の生計に支障が生じることが考えられます。
 また、雇用保険の適用を拡大することで雇用のセーフティーネットを確実なものにできると考えますが、仕事を失う場面だけではなく、教育訓練や育児休業の場面においても雇用保険の被保険者として適切な保障を及ぼすことができるのが重要と考えます。
 第185回部会の論点として適用拡大に当たり留意すべき点が挙げられておりました。私はその部会も欠席したため、そこで意見を申し上げられずすみません。求職者支援制度との関係を留意すべきではないかと考えます。雇用保険の被保険者や受給資格者は求職者支援制度の特定求職者から除外されます。求職者支援制度も雇用のセーフティーネットとして重要な役割を担っているところ、雇用保険の適用拡大により、雇用保険の被保険者となる者が当然に求職者支援制度から外れると、支援から抜け落ちてしまう人々が生じるように思います。将来的には雇用保険制度でカバーできる問題なのかもしれませんが、過渡期においては求職者支援制度を適用ないし準用する必要があるのではないか、少なくともそのことを検討する必要があるように思います。
 次に、資料2の財政運営ですが、育児休業給付につきましては雇用保険財政基盤の強化も重要ですけれども、少子化対策や共働き・共育ての推進を内容とする給付につきましては、雇用保険の保険料以外を財源として基盤を強化するよう、働きかけが必要と考えます。
 スライド12の育児休業給付資金は、失業給付の積立金とは別に安定的に運営されるべきと考えます。男性育休の大幅な取得増が見込まれるところ、育児休業給付が大幅に予想以上に増加することもあり得ます。あってはならないことですけれども、育児休業給付資金が枯渇してしまった場合に備え、最後の砦として、念のためという趣旨ですけれども、現在、令和6年度までになっている借入金の仕組みは継続しておくのがよろしいのではと考えます。
 以上でございます。機会をいただきましてありがとうございました。
○守島部会長 水島委員、どうもありがとうございました。
 それでは、元の順番に戻りまして、資料1-1「これまでの議論の整理と見直しの方向性」及び資料1-2「適用拡大関係資料」について、事務局より御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。
○鈴木調査官 雇用保険課調査官の鈴木でございます。
 それでは、資料1-1及び資料1-2に関しまして、雇用保険の適用拡大を御説明させていただきます。
 資料1-1を御覧ください。1ページ目は前回10月24日の第185回でお示しさせていただいた論点でございます。経済財政運営と改革の基本方針2023等において、週所定労働時間20時間未満の労働者に対する雇用保険の適用拡大について検討し、2028年度までを目途に実施されていることについてどう考えるか。
 2つ目でありますが、働き方や生計維持の在り方が多様化している中で、現行の適用範囲を拡充することの必要性についてどう考えるか。
 また、雇用保険の適用拡大を検討するに当たって、その範囲についてどのような考え方に基づいて設定するべきか。
 新たな適用対象に対する適用や給付の在り方をどう考えるか。
 その他、適用拡大に当たり留意すべきではないか、こういった点に関して御議論をいただきました。
 続きまして、2ページ目、委員の皆様からの主な御意見について順不同で掲載させていただいております。
 まず、適用拡大の必要性についてでございますけれども、上から順に、働き方や生計維持の在り方が多様化しており、これを踏まえて働き方に中立的な方向で適用拡大に向けた要件の在り方を検討することが必要ではないか。
 短時間労働者へのセーフティーネット拡大という観点から非常に重要な取組ではないか。
 新型コロナ禍からの回復は不十分で、人手不足の状態が続く中でなぜやるのかという説明が必要になってくるのではないか。
 半数以上の方が加入を希望していない中で、不安定な非正規アルバイトなどの短時間勤務の方々の加入のメリットが本当にあるかどうか、実施するのであれば周知方法を考えなければいけないのではないか。非正規雇用労働者が増加している宿泊、飲食、生活関連サービスなどの労働集約型産業では、20時間未満の短時間労働者が貴重な現場の担い手となっており、多様な働き方も増えていることを踏まえると、短時間労働者が安心して働き続けられる制度があることが望ましい一方、現状、中小企業はコスト高であり、業績改善が伴わない中においても賃上げに取り組むなど、非常に厳しい経営環境にある。適用拡大により保険料負担が増加する点を考えれば、事業主としては慎重にならざるを得ない。適用拡大を今後検討していくのであれば、保険料負担の増加が見込まれる点について、中小企業に対してどのように納得感がある説明を行っていくのかが重要ではないかといった御指摘がございました。
 続きまして、3ページ目、適用拡大の検討に当たっての留意事項でございます。
 適用拡大した際の適用や給付の在り方は、週所定労働時間数によって給付内容が不利益にならないような労働者を公平に保護する観点、また、制度の複雑化を防ぐ観点も含めて検討すべきではないか。
 働き方に中立的な制度設計という観点からは、全ての労働者に適用することが理想だが、労使の保険料と一部国庫負担による保険制度であることに鑑みれば、働き方によって失業等のリスクの程度が異なることも踏まえることが必要。こうした認識の上で、労働時間や収入にどのような基準を設けて適用除外を継続することが適切であるか、慎重に議論を重ねることが不可欠。新たに適用される被保険者が失業した際における給付についても、受給資格要件の在り方を含めた適切な制度設計の検討が必要ではないか。
 適用拡大する際の週所定労働時間数は、現在検討が行われている健康保険、厚生年金の加入条件の緩和との整合性を図るなど、関係労使が納得できる制度設計とすることが必要ではないか。
 育児休業給付とか教育訓練給付も併せて、現行の雇用保険適用労働者と同じ扱いにした場合、雇用保険財政にどのような影響があるのか、こうした点も整理しながら議論を進めるべきではないか。
 年収の壁と同様、加入の壁ができ、就業調整したり強制加入を嫌がってフリーランスになってしまう方が出る可能性もあるという課題もあるのではないか。
 被保険者が増えると中小企業の負担量が増大する。適用拡大を実施する際は、これに対する支援とともに、制度改正が保険料の引き上げにつながらないようにするべきではないか。
 65歳以上のマルチジョブホルダーに対する試行事業の結果の検証を行い、副業・兼業者への懸念、影響、想定される課題といったものを整理し、副業・兼業時における雇用保険の加入の在り方、失業の定義といったものを検討すべきではないか。
 雇用保険の強制適用事業から除外されている暫定任意適用事業(労働者5人未満の農林水産業)への適用義務化も検討すべきではないか。
 雇用と自営の中間の働き方、いわゆる曖昧な雇用で働く方が増加しており、コロナ禍において、こうした方々のセーフティーネットの脆弱性は明らかになった。こういった方々へのセーフティーネットについても給付と負担のバランスや労働者間の公平性といった観点から考えていく必要があるのではないか。
 以上のような御議論がなされてきたところでございます。
 続きまして、4ページ目、見直しの方向性(案)について、今回事務局からお示しさせていただきたいと思いますけれども、その前に、資料1-2ということで参考資料を配付させていただいております。こちらは若干の前回の振り返りと前回お求めのあったデータ等についてお示しさせていただいておりますので、まず、資料1-2のほうについて御説明させていただいた後に、見直しの方向性について御議論いただきたいと考えております。
 資料1-2を御覧ください。資料1については、雇用保険制度の概要・体系図でございますので割愛させていただきます。
 資料2以降、前回の若干の振り返りがございますので重複となりますが、簡単に御説明させていただきます。
 2ページ目、雇用保険は一部の事業(農林水産業の個人事業で常時5人以上を雇用する事業以外)を除き、労働者が雇用される事業を強制適用事業としているところでございます。雇用保険の適用事業に雇用される労働者を被保険者としているところでありまして、適用除外として1週間の所定労働時間が20時間未満である者、同一の事業主に継続して31日以上雇用されることが見込まれない者等について規定しているところでございます。
 続きまして、3ページ目、適用となった場合には、次の(1)から(4)の4つの被保険者の種類がございます。一般被保険者であれば給付方針は基本手当ということで、離職前賃金の50~80%を年齢と被保険者期間、離職理由に応じて90~330日の給付日数の間、失業認定を受けた日について支給するという方式となってございます。65歳以上の被保険者については高年齢被保険者ということで、高年齢求職者給付金として、一定の一時金が支給されるといった仕組みとなってございます。
 続きまして、4ページ目も前回の資料でございますけれども、過去の雇用保険の適用拡大の経緯について変遷をお示しした資料でございます。詳細な説明は割愛させていただきます。
 続きまして、5ページ目も前回お示しさせていただきましたが、平成19年改正で廃止されました短時間労働被保険者制度に対する概要でございます。こちらは平成元年に短時間労働者に雇用保険の適用拡大が行われた際、短時間労働者が一般の労働者に比べて単に所定労働時間数が短いのみならず、離職率が高く、一方で求人が豊富で就職が容易である等の特徴を持っていることから、基本手当の受給要件.所定給付日数等について、一般被保険者と異なる扱いをするという短時間労働被保険者という別の枠組みをもって、短時間労働者に対する適用拡大を平成元年に行ったところでございますが、産業構造や勤労者意識などの変化に伴い就業形態の多様化が進展、パートタイム労働者の比率の上昇といった経緯を踏まえまして、平成19年改正において、この制度が廃止されております。
 続きまして、6ページ目、こちらは今回適用拡大について検討させていただくに当たって、そのボリューム感について御検討いただく参考資料として配付させていただいております。短時間労働者(20時間未満)の状況でございますけれども、週所定就業時間が20時間未満である方の雇用者数は718万人、直近2022年のデータとなってございます。
 続きまして、7ページ目、今回適用拡大を行うとした場合、現行の所定労働時間の要件の下限である20時間を前提に設定されている各種基準を見直す必要があることから、若干細かくなりますが、関連し得る部分について、現行の取扱いについて説明させていただきたいと思います。
 まず、基本手当の受給要件に関してでございます。基本手当の受給に必要な被保険者期間が(ⅰ)(ⅱ)の場合、それぞれ離職から2年以内に被保険者期間が12か月、1年以内に被保険者期間が6か月といった要件となってございますが、この被保険者期間の算定というものは下の赤囲みにございます。被保険者であった期間のうち、離職日から1か月ごとに区切った期間に、賃金の支払いの基礎となった日数が11日以上、または賃金の支払いの基礎となった労働時間数が80時間以上であれば、1か月として計算しているところでございます。
 続きまして、8ページ目、基本手当の日額でございますけれども、賃金日額掛ける給付率という形で設定されているところでございます。この賃金日額の下限額、現状2,746円でございますが、こちらも週20時間というものを基準に設定しているところでございます。
 この考え方については10ページを御覧ください。この基本手当の賃金日額の下限額の設定についてございますけれども、右側にございますとおり、基本手当日額の算定基礎となる賃金日額の上下限額といったものは、賃金構造基本統計調査のデータに基づき法律に規定されているところでございます。その上で、毎月勤労統計の平均定期給与額の変化率を用いて毎年自動改定しているところでございます。
 賃金日額の下限額は平成29年改正において2,460円と規定されております。当該額は当時の賃金分布の第1十分位以下の中位数、いわゆる下位5%の金額の2分の1とされているところです。2分の1とされた理由は、雇用保険の適用基準である週20時間が労基法上の法定労働時間である週40時間の2分の1であることに基づいております。
 一方、平成29年改正の際に、最低賃金との逆転現象が生じないよう、自動改定された下限額が最低賃金日額、地域別最低賃金の全国加重平均額に20を乗じて7で除して得た額を下回る場合は、最低賃金日額を最低額とすることとされております。
 令和2年8月以降、自動改定された下限額が最低賃金日額を下回る状況が続いており、最低賃金日額が賃金日額の下限額として設定されているのが現状でございます。
 続きまして、11ページは自動改定された下限額と最低賃金日額の丈比べについて示した資料でございます。左側、平成29年8月に法改正でこの丈比べの仕組みが導入されましたが、令和2年以降、丈比べの結果、最低賃金日額のほうが高いという状況になっておりますので、これが賃金日額の下限額として設定されてきているという状況でございます。
 続きまして、12ページ目も適用拡大をした場合に影響を与え得る失業認定に関する基準に関する御説明でございます。失業認定を行う際には週所定労働時間の適用基準の下限である週20時間を基準とした取扱いをしております。すなわち1日4時間というラインをベースに、その1日の労働時間が4時間以上である場合は就職したと認めております。その日は失業認定の対象とならず、基本手当は支払われないことになっております。ただし、その分の所定給付日数は減らず、受給期間満了年月日(原則離職から1年)の範囲内で繰り越されるという仕組みとなってございます。
 一方、1日の労働時間が4時間未満の場合については、自己の労働による収入、内職等があったと認められる日と判断されまして、失業認定自体は行いますが、収入に応じて減額、または不支給となる内職減額という取扱いを講じているところでございます。内職減額の仕組みは下の枠囲みでございますけれども、失業認定に係る期間中に内職等で収入を得た場合、1日当たりの収入から控除額、現状1,331円ですが、これを控除した額と基本手当日額との合計額が賃金日額の80%相当額を超えるときには、その超える部分の額だけ基本手当の日額は減額されるということでございます。これが賃金日額の80%相当以上であるときは基本手当を不支給として、その分、残日数として繰り越すという取扱いとさせていただいてございます。
 以上が、現状の仕組みについての御説明でございます。
 13ページ目以降は、現状の65歳以上の複数就業者に対する試行事業に対する概要及び現状のデータについてお示しさせていただきたいと思います。
 13ページは現状の制度の仕組みでございますけれども、1の○の1つ目、同時に2つ以上の雇用関係にある労働者については、当該2以上の雇用関係のうち、当該労働者が生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける1の雇用関係についてのみ被保険者となる。これが原則でございます。
 一方、現在の65歳以上の試行中の制度については、65歳以上の方を対象として、本人の申し出を起点として、2つの事業所の労働時間を合算して適用する制度を試行するということで、令和4年1月から施行しているところでございます。こちらはA事業所、B事業所、それぞれでは要件である20時間を満たさない中でも、合算して20時間以上である場合には、労働者の申し出を起点として雇用保険を適用するという仕組みでございます。
 14ページ目以降、こちらの試行事業に関する現状のデータについてお示しさせていただきたいと思います。
 令和4年1月から令和5年9月までにマルチ高年齢被保険者となった方は219名いらっしゃいます。
 続きまして、15ページ目、取得時の年齢は平均69歳、男性が4割、女性が6割という状況となってございます。
 続きまして、16ページ目、週の所定労働時間は平均27時間となっており、約7割が30時間未満という状況でございます。
 続きまして、17ページ目、取得時年齢と所定労働時間の関係についてプロットしたものでございますけれども、こちらを御覧になるとお分かりのとおり、年齢と労働時間に相関が認められない状況となってございます。
 続きまして、18ページ目、職種に関してでございます。職種で見ると、サービス業が最も多い状況となってございます。また、被保険者の約5割が2事業所とも同じ職種であるという状況でございます。
 続きまして、19ページ目、就職経路、契約期間でございます。就職経路は2事業所のいずれについても自己就職が最も多く、全体の約5割を占めてございます。契約期間の定めは2事業所のいずれについても契約期間の定めなしが最も多く、全体の約7割を占める状況でございます。
 20ページ目、2事業所とも同じ雇用形態、賃金形態で働いている方が大半を占めてございます。いずれもパートタイムである方は約8割、いずれも時間給である方は約7割といった状況でございます。
 21ページ目、賃金の状況でございます。2事業所の賃金月額を合計した金額で見ると、10~11万円代が多くなってございます。被保険者の約7割が15万円未満という状況でございます。
 22ページ目、令和5年9月までに、このマルチ高年齢被保険者資格を喪失した方は54名となってございます。
 その内訳は、〇の1高年齢求職者給付金を受給した方は18人、今後2名も受給予定ということで、合計20人がこの一時金を受給する状況となってございます。
 〇の2単一事業所で引き続き高年齢被保険者となった方、いずれかが20時間以上を満たすことになったため、一本の雇用保険関係になった方が15名という状況でございます。
 〇の3副業先を変更して引き続きマルチ高年齢被保険者となった方、いわゆる2つのうち一方を離職して、別の20時間未満のところに就職されて、足して20時間以上というような状況の方が5名いらっしゃるという状況でございます。
 続きまして、23ページ目、受給状況でございますが、この高年齢求職者給付金を実際に受給している18名の方について、受給額は平均13万円となってございます。
 24ページ目からは、任意加入で資格取得時に任意のアンケートに協力いただいた方に対するアンケート結果についてお示しさせていただくものでございます。マルチジョブホルダーの働き方を選んだ理由別で見ると、収入のためが約7割、社会貢献や健康維持のためが約4割となっている状況でございます。
 25ページ目、雇用保険を加入した理由別で見ると、労働者の義務と考えたためと回答したのが約6割、今後に備えるためと答えた方が約3割という状況でございます。
 26ページ目、退職時期については、加入時には両方の事業所とも決まっていないと回答したのが約8割、雇用保険の手続についてほとんどの事業主が協力してくれたと回答してございます。
 27ページ目、この試行事業について知った経緯については、事業所による周知が約4割、厚生労働省、労働局、ハローワークによる周知といったものは合計で3割という状況となってございます。
 以上が、65歳以上の複数就業者に対する試行事業の現状に関するデータでございました。
 28ページ目以降は、暫定任意適用事業に関するデータでございます。雇用保険は労働者が雇用される事業を強制適用事業としているところでございますが、農林水産業のうち、個人事業で常時5人未満を雇用する事業を暫定任意適用事業としているところでございます。法人については従業員規模にかかわらず適用でございます。暫定任意適用事業の現状でございますが、事業所数は4,429、被保険者数は8,251名という状況でございます。
 29ページ目は、労働力調査から農林水産業における就業者数について引用しているものでございます。農林水産業に携わっている就業者数は204万人、このうち個人経営の自営業主は89万人でございます。その中で1人以上の有給従業員を雇っている雇有業主の方は17万人いらっしゃいます。この17万人の方は個人経営でありますけれども、事業規模というものは、ここからは分からないという状況でございます。
一番下、雇用者数でございますが、これは役員も含んだ数でございますが、63万人ということでございます。ただし、こちらは法人に雇われているか、個人経営の事業体に雇われているか、いずれかは不明といった状況でございます。
 30ページ目、前の資料で農林水産業における雇用者についてお示しさせていただきましたが、前ページから官公に雇用されるを除いた値に関するデータでございます。働いている事業所が属する企業の従業者規模別に見ると、従業員数1~4名の企業に雇用されている労働者の方は16万人いらっしゃいます。ただし、この16万人について個人経営であるか、法人経営であるかは不明といった状況となってございます。
 以上が、前回の御議論を踏まえて、今回改めて事務局から議論の参考として配付させていただいたデータでございます。
 こうした点を踏まえまして、事務局から今後の見直しの方向性ということで資料1-1の4ページ目に見直しの方向性(案)をお示しさせていただきたいと思います。
 上からでございますが、雇用労働者の中で働き方や生計維持の在り方の多様化が進展していることを踏まえ、従来適用対象とされてこなかった週所定労働時間20時間未満の労働者について雇用保険の適用を拡大し、雇用のセーフティーネットを拡げることとしてはどうか。
 2つ目、適用拡大の範囲については、給付と負担のバランスのほか、申請手続等を含め、事業主の負担や被保険者の増加に伴う制度運営コスト等も踏まえ検討してはどうか。※で、本年6月に閣議決定されたこども未来戦略方針に記載されているデータでございますが、仮に週所定労働時間10時間以上まで適用拡大した場合は最大約500万人が、15時間以上まで適用拡大した場合は最大約300万人が新規適用となると見込まれるところでございます。
 3つ目、新たに適用拡大により被保険者となる層の給付は、平成19年に廃止された短時間労働被保険者のように別基準とするのではなく、現行の被保険者と同様とし、適用要件を満たした場合、失業等給付(基本手当等、教育訓練給付等)、育児休業給付、雇用保険二事業の対象としてはどうか。週所定20時間以上の被保険者と給付対象を同様のものとする以上、保険料率等についても同水準として設定することとしてはどうか。
 4つ目、現状、週所定20時間の労働者を基準に設定されている被保険者期間の算定基準、失業認定基準、賃金日額の下限額、最低賃金日額等については、適用拡大の範囲に対応したものとして見直すこととしてはどうか。
 最後に、複数就業者に対する雇用保険の適用については、現在試行中の65歳以上の者を対象とした本人申請方式による任意加入制度が令和4年1月から施行されており、施行後5年を目途に、その効果等を検証することとされていることを踏まえ、引き続き検討することとしてはどうか。
 以上の見直しの方向性(案)を提示させていただきたいと思います。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの御説明に関しまして御質問・御意見等がありましたらお受けしたいと思います。
 大谷委員、お願いします。
○大谷委員 全国中央会の大谷です。
 まず、週10時間以上に要件緩和を検討されているとの報道がございましたけれども、こちらは既定路線なのでしょうかという御質問です。
 また、資料1-2の6ページにありますとおり、一番大きな層が15~19時間のところでございますから、15時間を挟むなど、段階を踏んで徐々に進めていってほしいという思いがあるところでございます。
 また、御説明いただいた将来的に20時間未満の労働者まで雇用保険の適用を拡大することにつきましては、現行の被保険者と同様の水準にするということ、また、多様な働き方を支えるセーフティーネットの強化の面とか、手続がシンプルになるといったようなことから事務局案に賛成いたします。ただし、負担に敏感な中小企業から一定の反発が予想されますので、骨太の方針では2028年をめどに実施するとされていましたけれども、今後のロードマップなどをお示しいただけるとありがたく思います。
 また、適用拡大により、財政に問題がないのかどうかということもしっかり検証する必要があると思います。
 施行に当たりましては、短時間労働者の方が働きやすい環境づくりがまず重要なのかなと思っております。中小企業の景気回復ですとか、大企業との格差是正ですとか、適用拡大の機運の醸成というのが今後の問題になってくるのではないかと思っているところでございます。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
 続きまして、清田委員、お願いいたします。
○清田委員 日商の清田です。前回の発言と重複する点がございますが、改めて発言をさせていただきます。
 今回の適用拡大の案につきましては、中小企業の現場の貴重な担い手である短時間労働者が安心して働き続けられる環境の整備という点においては、意義があるということは承知をしています。他方で、保険料負担の増加が見込まれる事業者、また、加入を望まない労働者への影響も考慮しなければならないと考えています。
 また、万が一にも、この適用拡大によって就業時間を減らす労働者が増えて、就業時間調整の新たな壁となることは避けるべきだと考えています。
 適用拡大の趣旨や考えられる影響などをしっかりと精査していただきながら、双方にとって納得できる説明が必要という点を改めて述べさせていただきたいと思います。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 続きまして、内藤委員、お願いいたします。
○内藤委員 まず、週所定労働時間20時間未満の労働者への適用拡大について、雇用保険制度は労働時間や就労形態などにかかわらず、本来は全ての労働者に適用されるべきであるということから、適用の拡大には賛同しております。
 一方で、見直しの方向性に示されています複数就業者に対する雇用保険の適用について引き続き検討とされていますが、複数就業者のうち、拡大によって新たに本業・副業がどちらも適用対象となる者も一定数いることが想定されます。現在は主たる賃金を受ける1つの雇用関係についてのみ被保険者となりますが、生活を維持するために副業している者も少なくないということを踏まえれば、本業以外では雇用保険加入資格がないという現在の取扱い自体が雇用保険の制度趣旨からして問題ではないかと考えています。
 また、2以上の雇用を合算することで既定の週所定労働時間数を超える場合、現在は65歳以上であればマルチジョブホルダー制度で適用対象となり、資料1-2の25ページで御説明いただきましたとおり、離転職や将来に不安を感じてマルチジョブホルダー制度で雇用保険に加入した方も一定数いると認識をしています。一方で、対象者数が少ないということを踏まえれば、対象を65歳以外にも拡充して対象者数を増やすべきではないかと考えています。
 適用を拡大した際に、現在の対象者や複数就業の労働時間数のパターンごとにどのような影響が想定されるかを整理し、いわゆる部分失業などの失業の定義の見直しを含めた丁寧な検討が必要ではないかと考えています。週所定労働時間数20時間の労働者を基準に設定されている基準や賃金日額の下限額などについても、雇用保険制度との整合性や被保険者間の公平性を踏まえ、影響を考慮する必要あると考えています。
 加えて、見直しの方向性に示されていない暫定任意適用事業について、農林水産業において暫定任意適用事業を含む1~4人の企業に雇用されている労働者は、資料1-2の30ページによれば雇用者の25%を占めており、また、現状も多くの事業者が申請をしており一定のニーズも想定されます。セーフティーネット拡大の観点や雇用者数で区別する妥当性の観点から、暫定任意適用事業の撤廃を含めて検討を行うべきだと思います。
 最後に、先ほど大谷委員からもありましたが、先日の育児休業給付に続いて、雇用保険の適用拡大となる週所定労働時間数に関して一部報道がなされています。また、本日の部会では具体的な数字も出ていないと認識をしています。部会で具体的に検討する前に、このような報道が出ることは遺憾だと思っておりますし、報道を利用した議論の誘導とも取られかねないと思っていますので、事務局には慎重な対応をお願いしたいということを最後に申し添えたいと思います。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
 平田委員、お願いいたします。
○平田委員 御説明ありがとうございました。
 資料1にもあるとおり、働き方や生計維持のあり方が多様化しているということであれば、20時間未満の労働者について適用拡大を進めるという検討の方向性に違和感はありません。適用拡大によって新たに被保険者になる者につきましては、現行の被保険者よりも失業等給付の受給頻度が増える可能性が高いという懸念もあるものの、4頁の見直しの方向性の4つ目の○に基準が3つ示されているとおり、現行と同様の基準とするなど、制度が複雑にならないようにすることが望ましいと思っております。
 ただし、被保険者期間の算定基準や失業認定基準、賃金日額については、給付と負担のバランスを図る観点からの見直しは必要だと思っております。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたか、大丈夫ですか。
 お答えになりますか。
○尾田雇用保険課長 事務局から幾つかお答えさせていただきます。
 まず、大谷委員、内藤委員から言及がございました報道についてですけれども、報道内容については当然我々の預かり知らないところでございまして、決して議論を誘導するという意図で意図的にそういう報道を誘導したということはゆめゆめございません。
 今回、見直しの方向性の2つ目に明記させていただいておりますけれども、適用拡大の範囲については給付負担のバランス、その他の考慮要素を踏まえて検討すべきではないか。そこで※で書いておりますけれども、10時間以上まで拡大した場合は最大500万人、15時間以上まで適用拡大した場合は300万人、これは今年の6月の閣議決定の中でもこういった※をつけておりました。
 今回あるいは前回の御意見の中でも適用拡大はすべきだという御意見が大半だったと認識しておりますけれども、その中でも一定の線引きが必要ということは皆様の御同意をいただいているところかと思います。その中で、どこで線を引くかということは最終的に御決断いただく必要がございまして、このような形で10、15と出しておりますが、それ自体についてどうかということも追加で御意見があればいただければと思っております。
 また、内藤委員から複数就業者の適用について重ねて御意見をいただきました。これにつきましては、今回マルチジョブホルダー、65歳以上の試行実施について現状について御報告いたしました。何分データが少なく十分ではございませんが、アンケート結果も含めて一定のニーズ、一定の状況ということは御確認いただいたかと思います。
 この点については施行5年後に検証するということとされておりますので、改めてその際に、このマルチジョブホルダーに対する適用の在り方ということは議論いただきたいと思っております。今回の適用拡大に合わせて労働時間の下限を下げるのであれば、複数就業者への配慮も同時に必要ではないかということは御意見としては賜りつつ、最終的にどうするかということは引き続き御議論をいただければと思っております。
 あと、暫定任意適用についても内藤委員から御指摘がございました。今回データをお示ししましたが、実態に関してはこれ以上のデータがないというのが実情でございます。農林水産業の個人事業の5人未満の事業ということにつきましては、現在一部を除いて労働時間法制も適用除外となっているという状況の中で、雇用保険の適用をどう考えていくかということは論点としては重要かと思いますが、私どもとしても今後は関係省庁と実態を把握しながら検討すべき課題と認識させていただいております。
 あと、大谷委員から財政影響について、以前、清田委員等からも御指摘がございました点、この点につきまして、最終的に他の論点も含めまして財政影響をまとめて我々としても提示した上で御確認いただきたいと思っております。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
 ほかに御意見・御質問等がおありになる方はいらっしゃいますでしょうか。
 ありがとうございました。
 それでは、この議題については以上とさせていただきたいと思います。
 事務局におきましては、これからの議論をまとめていっていただきたいと思います。
 それでは、次の議題に入りたいと思います。議題2「財政運営について」でございます。まず、事務局より資料の御説明をお願いいたします。
○伊藤総括調整官 雇用保険課の伊藤でございます。私から資料2「財政運営について」を説明させていただきます。
 1ページ目は現在の雇用情勢についてでございます。本年9月の有効求人倍率は1.29倍で前月と同水準、完全失業率は2.6%で前月と比べて0.1ポイントの低下、こうした結果を見ますと、現在の雇用情勢は、求人は底堅く推移しており緩やかに持ち直しております。ただし、物価上昇などの雇用に与える影響に留意する必要があるとしております。
 2ページ目、雇用保険制度の財政構造でございます。雇用保険では失業等給付、育児休業給付、雇用保険二事業を実施しており、これらを労働保険特別会計の雇用勘定の中で区分経理をしております。また、保険料負担は失業等給付、育児休業給付は労働者と事業主の折半で、雇用保険二事業については事業主のみに御負担いただいているところでございます。
 続いて、3ページ目は雇用保険制度における国庫負担でございます。国庫負担の基本的な考え方といたしまして、雇用保険の保険事故である失業につきましては、政府の経済政策、雇用政策と無縁ではなく、政府もその責任の一端を担うとの考え方から国庫の失業等給付に要する費用の一部を負担しております。
 具体的に申し上げますと、求職者給付は費用の4分の1、または40分の1、介護休業給付と育児休業給付は費用の8分の1、ただし、暫定措置として令和6年度まではその10%である80分の1、求職者支援事業は費用の2分の1、ただし当分の間はその55%である40分の11を国庫にて負担ということでございます。
 続いて、4ページ目が失業等給付に関する積立金などの推移でございます。積立金の額につきましては、新型コロナが拡大する直前の令和元年度末においては約4.4兆円でございましたが、令和4年度決算においては1.4兆円となっているところでございます。
 続いて、5ページ目が雇用保険二事業の保険料率や雇用安定資金残高の推移でございます。雇用安定資金残高についても、令和元年度では1.5兆円ございましたが、2年度以降はゼロとなっております。また、令和2年度以降、失業等給付からの積立金からの借り入れを行っておりまして、5年度の見込みも含めますと、累計で3.36兆円となっております。なお、4年度決算では累計約2.9兆円でございます。
 続いて、6ページ目、令和5年度の失業等給付関係の収支状況でございます。5年度の収支イメージを見ていただきますと、差し引き剰余は0.14兆円、雇用安定事業費への貸し出しとして0.46兆円計上しておりまして、この結果、4年度決算において、積立金残高は1.4兆円ございましたが、5年度の収支イメージにおいては1.12兆円としているところでございます。
 続いて、7ページ目は令和5年度の雇用保険二事業関係の収支状況でございます。5年度の収支イメージを御覧いただきまして、差し引き剰余がゼロでございまして、積立金への返還もゼロ、そして、安定資金残高もゼロとしております。なお、積立金からの借り入れの累計額が3.36兆円としているところでございます。
 続いて、8~11ページ目までは新型コロナの際に特例的に対応いたしました生活支援給付金と雇用調整助成金についてでございます。いずれもこうしたコロナの特例措置は終了しておりまして、少しページを飛びまして、11ページ目は雇用調整助成金の支給決定件数・支給決定額の推移でございます。雇用調整助成金の特例措置は経過措置として本年3月まで実施しておりました。また、その申請期限は5月末まででございまして、その後、下のグラフを御覧いただきますと、6月分の支給決定件数は2.2万件ございましたが、8月、9月は約1,000件となっております。このように、雇用調整助成金の支給状況は、直近で言いますと、平時の水準に戻っているところでございます。
 続いて、12ページ目、雇用調整助成金の財源についてでございます。ただいま申し上げたようなコロナへの対応のため、令和2年度の臨時特例法において特例的な措置を講じました。特に〇の4について御覧いただきたいのですが、この〇の4の措置は雇用安定事業に要する経費を積立金から借り入れることができるとしているものでございまして、これが先ほど申し上げました累計2.9兆円となっているものでございます。
 この借入金につきまして、その返還は雇用保険二事業収支の剰余を活用することと法律上されております。ただし、剰余額の2分の1の範囲内では雇用安定資金への積み立ても可能となっています。
 加えて、雇用保険財政や雇用保険二事業の実施の状況などを勘案しまして、厚生労働大臣が財務大臣に協議して、返済必要額から一定定額の控除、すなわち返済の免除をすることも可能となっております。
 こうした控除の在り方につきましては、令和6年度までを目途に、雇用保険財政の状況を踏まえまして検討するとされているところでございます。
 続いて、13ページ目以降は雇用保険料の弾力条項に関してでございます。
 失業等給付の雇用保険料は原則1,000分の8でございますが、労働保険徴収法の規定に基づきまして、財政状況に照らして一定の要件を満たす場合には、この雇用保険料率を大臣が変更することが可能とされております。
 下の枠囲みの内にあります数式のうち、下のものを御覧ください。分子ではN年度末の積立金にN+1年度の収支の見立てを加えまして、そこから、N年度における景気変動によって影響を受けない給付を控除して分子としまして、分母ではN年度の支出からN年度における景気変動によって影響を受けない給付を控除したものを分母とし、こうした計算結果が1未満の場合には、本労働政策審議会の意見を聞いた上で、N+2年度の保険料率を引き上げることが可能とされているところでございます。そして、直近の令和4年度の決算額に基づいて、この弾力条項を基に計算いたしますと、0.90となっておりまして、徴収法上は弾力条項を適用し、保険料率を引き上げることも可能という状況となっております。
 続いて、14ページ目は失業等給付の今後の収支の見込みでございます。収支の見込みについては一定の前提を置いておりまして、具体的には、雇用情勢の前提としましては、6年度以降の基本手当の受給者実人員は過去10年間の平均、すなわち43万人をベースとしております。
 また、収入の前提としまして、雇用保険料収入につきましては、令和4年度決算をベースとし、6年度以降の雇用保険料率を1,000分の8に換算の上、据え置いております。また、令和6年度までの暫定措置でございます介護休業給付の国庫負担を本則の10%とすることについては、法律の規定どおり終了するものと仮定しております。ただし、令和7年度以降は、法附則13条に基づきまして、本則の100分の55で計算しております。また、雇用安定資金から失業等給付の積立金への返済額につきましては、現時点で具体的な金額を見込むことは困難でございますので計上しておりません。
 支出の前提でございます。令和6年度以降の支出額については、令和4年度決算をベースとしつつ、教育訓練給付につきましては変動を反映しております。また、令和6年度までの暫定措置でございます教育訓練支援給付金などにつきましては、こちらも法律どおり終了するものと仮定しております。今後の制度改正の内容が確定しておりませんので、こうした制度改正に伴う支出額については計上しておりません。また、予備費相当額についても計上しておりません。
 そうした前提に基づきまして、令和10年度までの財政運営を試算したものが15ページ目でございます。ただいま申し上げました前提に基づいて試算した場合、令和8年度に弾力倍率が2倍を超えることになります。ただし、繰り返しでございますけれども、収入・支出については制度改正の内容ですとか、積立金返済額を見込んでないことに御留意いただければと思います。なお、この8年度の弾力倍率は2を超えていますので、10年度は料率の引き下げも可能でございますが、この資料上では機械的に料率は1,000分の8のままとしております。
 続いて、16ページ目は介護休業給付についてでございます。現在、支給額は令和4年度決算におきまして77億円、受給者数は3万人、国庫負担割合は令和6年度までの暫定措置により、本則の10%である1.25%となっております。この介護休業給付は注2に記載がございますが、失業等給付として基本手当と一体的に経理しているものでございます。
 続いて、17ページ以降が育児休業給付についてでございます。
 育児休業給付の各種推移をお示ししたものが17ページ目でございまして、収入額は令和2年度以降は7,700~8,000億円の間で推移しております。一方、支給額につきましては、令和2年度では約6,600億円であったところ、5年度の見込みでは7,800億円としております。また、同じく令和5年度の見込みとして、育児休業給付の資金残高は約3,300億円としております。
 支給について男女別にお示ししたものが右側でございまして、こちらを見ていただきますと、支給額の全体そのものに対して占める割合は、女性への支給が多くを占めているところでございますが、男性への支給額についても年々伸びているところでございます。
 18ページ目は令和5年度の育児休業給付の収支状況でございます。5年度の収支イメージとしましては、収入で0.80兆円、支出で0.78兆円でございまして、差し引き剰余で0.02兆円、資金残高で0.33兆円としております。
 続いて、19~20ページ目は、本年9月の第183回雇用保険部会で育児休業給付について御議論いただいたときの論点と、その際にいただいた御意見でございます。論点でお示ししたものは、現行の育児休業給付の在り方についてどう考えるかというものでございまして、財政関係でいただいた御意見について順不同で記載しております。
 1つ目として、支出は年々増加している。資金が不足することのないよう、育児休業給付の国庫負担割合を本則に戻し、負担がない財政状況にすべきという御意見。
 2点目として、育児休業給付の目的が少子化対策など、非常に多様化していることを考えると、雇用保険財政のみで支えることには限界がある。一般会計で措置することも検討するべきではないかという御意見。
 3点目としては、国庫負担の割合を本則に戻すことはもとより、さらなる負担も検討すべきといった御指摘。
 4点目としては、雇用保険財源以外の新たなこども・子育て財源から支出することで、雇用保険被保険者以外の方たちも含めた誰もが育児休業制度などの子育て支援を受けられるような制度にしていくことが重要ではないかといった御意見になります。
 続いて、20ページの1つ目、育児支援施策については国を挙げての重要な施策であれば、国がその責任を明確に示していくことが重要、少なくとも、まずは早急に育児休業給付の国庫負担割合を本則に戻した上で、一般会計からの新たな繰り入れやその方法についても検討すべきという御意見。
 2つ目として、介護給付がますます増加することが見込まれる中で、今後の制度の在り方の検討に当たっては、財政の見通しを示した上で議論を進めていくべきという御意見。
 3点目として、共働き・共育ての推進に取り組むのであれば、国庫負担割合を一刻も早く本則に復帰させて、政府としての意思を明確に示していくべき。
 4点目として、まず、働き方改革の徹底により、長時間労働是正や環境整備を行うことが必要であり、性別役割分担などの意識改革を強力に推進することが先決ではないか。
 こういった御意見をいただいたところでございます。
 次のページでは、財務省の下の財政制度等審議会 財政制度分科会が今月1日に開催した際の資料でございます。こちらは同審議会が考える改革の方向性として、既存の育児休業給付については男性の大幅な育休取得増などに対応できるよう、将来的な給付の増加の見込みを踏まえて、現在の保険料率、国庫負担割合の見直しも含め、早急に育児休業給付を支える財政基盤を強化すべきといった意見が出されました。なお、この内容につきましては今月20日に財政制度等審議会の建議としてまとめられております。
 22ページ目は、こども家庭庁が開催しました支援金制度の具体的設計に関する大臣懇話会でございます。この懇話会におきましては、こども家庭庁が支援金制度に関する具体的な論点を示し、関係の皆様から意見を聴取したものでございます。22ページ目は支援金を充当する事業についての論点と考え方でございます。
 〇の1として、支援金を充当する事業を法律上明確化・限定する必要性やその際の制度設計についてどのように考えるか。
 〇の2として、支援金を充当する事業について事業の例が記載されておりまして、4つ※がある中での2つ目、共働き・共育てを推進するための経済支援として、両親がともに一定期間以上の育休を取得した場合の育児休業給付の引き上げと育児時短就業給付の創設、これについても考えられる事業の例として書かれているところでございます。
 次の23ページ目も同じくこども家庭庁の大臣懇話会の資料でございます。こちらは新たな特別会計についてでございます。透明性の確保を図るための措置として、新しい特別会計、いわゆるこども金庫のイメージが示されたものでございます。このこども金庫の中には育児休業給付勘定と子ども・子育て支援勘定、この2つの勘定を設けるといったものが提出されていたところでございます。
 続いて、24~26ページ目までが、本年6月に閣議決定されましたこども未来戦略方針でございます。
 25ページ目を御覧いただければと思います。まず、制度面の対応の中で、男性の育児休業取得率の目標に言及がございます。男性の育児休業取得率については、現行の政府目標を大幅に引き上げる。具体的には2025年に公務員(1週間以上の取得率)を85%、民間は50%、2030年には公務員(2週間以上の取得率)で85%、民間でも85%、このようにされております。そして、給付面の対応の中で、財政の関係としましては、3つ目の○で、男性育休の大幅な取得増に対応できるよう、育児休業給付を支える財政基盤を強化するとされております。
 次の26ページ目でございますが、加速化プランを支える安定的な財源の確保のうちの見える化としまして、こども家庭庁の下にこども・子育て支援のための新たな特別会計、いわゆるこども金庫を創設し、既存の特別会計事業を統合しつつ、こども・子育て政策の全体像と費用の負担の見える化を進めるとされているところでございます。
 以上を踏まえまして、27ページ目に論点をお示ししているものでございます。
 1つ目としましては、令和6年度の失業等給付に係る雇用保険料率について、新型コロナへの対応として実施してきた雇用調整助成金の特例措置が終了したことや、今後5年間の積立金の推移の見通しを踏まえ、弾力条項の適用をどのように考えるか。
 2つ目として、失業等給付の積立金から雇用安定資金への繰り入れについては、4年度末で累計2.9兆円となっておりますが、今後5年間の積立金の推移や雇用勘定の財政状況、雇用保険二事業の実施状況も踏まえ、その取扱いについてどのように考えるか。
 3点目としまして、令和6年度に期限を迎える介護休業給付の国庫負担に係る暫定措置の取扱いをどのように考えるか。
 4点目として、育児休業給付は、男性育休の大幅な取得増などに対応できるよう、育児休業給付を支える財政基盤を強化することとされていることについてどのように考えるか。
 5点目として、この育児休業給付については、こども家庭庁の下にこども金庫を創設し、既存の事業を統合しつつ、こども・子育て施策の全体像と費用負担の見える化を進めるとされていることについてどのように考えるか。
 こうした5点について御議論をいただければと思います。よろしくお願いします。
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、議論に入りたいと思いますけれども、今回はちょっと長いので、今御覧いただいている論点の最初の3つと後の2つ、失業等給付に関する最初の3つと、育児休業給付についての後ろの2つということで議論させていただければと思います。
 まず、最初の3つに関しまして、御意見がある方、手をお挙げください。
 清田委員、お願いいたします。
○清田委員 日商の清田です。最初の3点について申し上げたいと思います。
 1点目が、令和6年度の失業等給付に係る雇用保険料率、弾力条項についてです。推計においても令和5年度以降収支プラス、積立金残高も積み上がり弾力倍率に基づけば、将来的な料率引き下げも可能という予測が示されていることを踏まえますと、令和6年度の料率引き上げの必要性は感じないと考えます。適用拡大ですとか、他の給付に係る保険料率も含めまして、トータルでの負担ができる限り増加しないように、また、失業等給付に関しては早期の料率引き下げが実現することを期待しています。
 2点目は、失業等給付の積立金から雇用安定資金への繰り入れに関してでございます。雇用保険二事業が雇用の安定、それから、能力開発という本来の機能を果たす上でも、財政の早期健全化への道筋を示すことは非常に重要だと考えてございます。コロナ禍で雇用調整助成金が失業の抑制に果たした役割というのは非常に大きかったと受け止めてございますが、結果として二事業の財源が枯渇することになってしまいました。日商ではかねてから、コロナ禍が国家全体の緊急事態であったことを踏まえると、雇用調整助成金は二事業ではなくて一般会計で措置するべきであったと繰り返し主張してきたところでございます。
 他方で、既に拠出されている現状を踏まえますと、失業等給付への一定の返済を行っていく必要性はあるということは理解をしております。返済方法の検討に当たっては、雇用の安定、能力開発という本来事業の安定的な運営を担保するために、一部免除による現実的な返済額を検討していくべきと考えます。例えば、求職者給付に要する経費について、約2.5兆円の一般会計が失業等給付関連に投入されているという中で、導入前後の失業等給付の収支、それから、失業率の推移を見ても、その大半が雇用調整助成金の原資になっていることも推察できることから、免除額については2.5兆円を目安に検討することも可能ではないと考えてございます。
 最後に3点目の、介護休業給付の国庫負担に係る暫定措置についてでございます。今後の人口推計を踏まえますと、高齢者人口は増え続け、介護休業給付の対象者も増加することが見込まれることから、本財政措置については令和6年度をもって終了、速やかに本則に戻すとともに、今後の国庫負担の引き上げについても検討するべきではないかと考えてございます。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 続きまして、冨高委員、お願いいたします。
○冨髙委員 1点目、論点として記載のある弾力事項の適用でございます。まず、保険料率を上げるというような議論の前に、今後の一般会計からの繰り入れや、国庫負担率について検討すべきではないかと考えます。今回お示しいただけていませんが、キャリアアップ助成金などのいわゆる「年収の壁」対策を含めたこども未来戦略方針に示されている施策に加えまして、教育訓練の拡充など、今後、雇用保険会計からどの程度の支出を想定しているのか、施策ごとの支出推計額をデータとして示していただき、そうした情報を基に議論するべきではないかと考えております。
 2点目、失業等給付の積立金からの雇用安定資金への貸し出しでございます。積立金からの貸し出しには、従来から申し上げているように労働者が負担する保険料も含まれておりますので、積立金の推移などにかかわらず、貸し出した積立金というのは最優先で保全されるべきと考えております。なお、今後の雇用政策上の不測の事態に対応するためには、一定額の積立金というのは不可欠であり、即効性・実効性の確保の観点から、雇用保険部会における公労使の合意によって遅滞なく一般会計からの繰り入れを実施できる在り方についても検討すべきだと考えております。
 最後に、介護休業給付の国庫負担に係る暫定措置でございます。資料2の16ページにあるように、介護休業給付の支出額も増加をしております。また、先日の岸田総理の発言もございましたけれども、仕事と介護の両立を推奨していくということであれば、令和6年度までの時限的な引き下げだけではなく、当分の間としていた引き下げも含めて解除し、本来の費用の8分の1に先に戻していただくことが重要だと考えております。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 平田委員、お願いいたします。
○平田委員 質問を含めて4点申し上げます。
 最初に、財政の見通し、収支状況について質問です。例えば資料2の6頁に失業等給付関係の収支状況として、5年度の収支イメージが出ております。貸出し額0.46兆円を想定しているということですが、この0.46兆円はコロナ禍が終わって雇用保険制の運営がほぼ正常化している現状において、本当に貸出し必要なのかどうか、教えてください。
 それから、意見を3点申し上げます。
 まず、弾力条項についてです。既に他の委員からご意見がありましたけれども、令和10年度に向けて健全な運営が見込まれる中、弾力倍率が形式的に0.90で1を下回りますが、直ちに弾力条項を適用する必要はないと思っております。
 2つ目は、積立金から雇用安定資金への繰入れについてです。令和2年からコロナ禍が始まったと理解していますが、この繰入れには、労使の保険料と若干の国庫負担で積み立ててきたものと、コロナ禍が長引いたことにより、一般会計から形式的に失業等給付の積立金を経由して雇用安定資金に流れたものの2つの種類があると思っております。このことを、当部会だけでなく、財政当局を含めて共有し、返済の在り方を検討していく必要があると思っております。
 最後に、介護休業給付の国庫負担に係る暫定措置についてです。以前の部会で申し上げましたが、暫定をいつまで繰り返すのか、暫定措置としてやっている本当の理由は何か、という視点に立ち返るべきだと思っております。暫定措置を安易に続けるのではなくて、期限がきたらきちんと本則に復帰させることが原則だと思っております。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ここで一旦、お願いします。
○尾田雇用保険課長 事務局でございます。まず、冨高委員から今後の雇用保険財政で見込まれる支出等をしっかり示した上で議論すべきではないかという御指摘がございました。これにつきまして制度改正の全体像を踏まえまして、改めましてどういう支出が考えられるかということはいずれかの段階でお示しした上で御議論いただきたいと考えております。
 また、平田委員から御指摘がございました6ページ目の収支に関する御指摘でございますが、先ほど資料2の説明の中で11ページでございますけれども、雇用調整助成金のこれまでの支出実績について御説明させていただきました。ここでお示ししておりますとおり、昨年度中に雇用調整助成金については特例措置をほぼ終了いたしまして、現在は通常の状態に戻ってきている。支出も過去3か月にはかなり低い水準になってきているという状況でございます。
 一方で、先ほどの7ページの雇用保険二事業の収支状況でお示ししております5年度の予算のイメージの中では、支出のほうで雇調金等ということで6600億の予算を組んでおります。この5年度予算を組んだ時期というのは、まだ雇調金の行方がはっきりと政府全体として方向性を示しきれていなかった時期でございますので、ここは安全を見て予算を組んだところでございます。
 ただ、その後の見直しで先ほど申し上げた状況になっておりますので、現在の支給実績を踏まえますと、ここまでの支出は恐らく生じないであろうと、そうしますと、ここの二事業の収支ですと、収入の最後の行でございます積立金よりの受け入れ、6ページ目の失業等給付の収支でございますと、下から3行目の雇用安定事業費への貸し出し、この4600億という金額のいわゆる貸し出しは必要なくなるのではないかと、我々としては考えておるところでございます。
 そのため、追加的に申しますと、15ページの推計をお示しいたしましたが、こちらは今申しました4600億円の貸し出しが生じる前提で積立金残高を推計しておりますので、こちらについても、もし、そういった貸し出しが生じないということであれば、その分積立金が増えるということで、それに伴いまして弾力倍率もその分上乗せになるということが見込まれるところでございます。
 事務局から以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに1、2、3に関しては、もうよろしいでしょうか。
 それでは、育児休業給付等に関する4つ目及び5つ目の論点に入りたいと思います。
 何か御意見のある方は、どうぞ御発言ください。
 大谷委員、お願いします。
○大谷委員 全国中央会の大谷です。先ほどの雇調金の部分にも係っておりましたけれども、雇用調整助成金の支出は平時に戻ってきたために、ここだけを見れば財政状況は徐々に回復していくようなデータになっておりましたが、それ以外の部分については支出増ということが想定されています。
 また、別途支援金充当を考えているという御説明もありましたけれども、その中で育児休業給付とか教育訓練給付、訓練期間中の生活を支えるための新たな給付とか、これまでの議論で国の責任で行うべきではないかというものが出ていたもの、それから、職業安定分科会で議論されておりました長期休暇中のリスキリングとか、こういった様々に検討されている新たな施策が多くあります。これらを一般会計で行わずに、雇用保険制度の中で行おうとすると、料率を引き上げずに財政基盤強化というのは難しいのではないかと思っておるところでございます。
 人手不足ですとか価格転嫁が思うように進んでない中小企業に今以上の負担を求めることは非常に難しいと思っておりますので、国庫負担割合を本則に戻すことはもとより、新たな施策は別財源、一般会計導入により行っていただきたいと思っております。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 続きまして、清田委員、お願いいたします。
○清田委員 4点目の育児休業給付の財政基盤の強化についてです。少子化対策を含むこども・子育て政策というのは社会全体で取り組むべき課題であるという点から、この財政基盤の強化につきましては社会で広く負担すべく、一般会計の導入を含めて検討することが妥当だと考えています。近年増加しております給付実績の理由が、雇用の安定よりも、いわゆる少子化対策に重点が置かれているという政策推進にあることを踏まえますと、国庫負担率を早期に本則に戻すことは不可欠であると考えてございます。
 また、安易に保険料率の引き上げに頼ることのないように、さらなる国庫負担率の引き上げというのも検討するべきと考えてございます。
 財政の強化につきましては、最新の統計、給付実績、財政状況などの将来推計も含めながらお示しいただいて、引き続き議論が必要ではないかと考えてございます。
 最後に、こども金庫についてでございます。こども政策全体に関わる財政が見えやすくなるという趣旨は理解いたしますが、現状は別立てとなっておりますが、育児休業給付や事業主拠出金など、あらかじめ使途が定められている勘定の収支が見えづらくなることは避けていただきたいと思ってございます。それぞれの収支、将来推計など、適切に管理をいただきたいと思ってございます。
 私からは以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 奥委員、お願いします。
○奥委員 育児休業給付の財政基盤の強化につきまして、兼ねてより本部会で労働側から申し上げておりますが、男性の育児休業の取得促進など、国を挙げての重要な政策であるならば、財源についても国の責任を示すことが重要ではないかと考えております。労使の保険料率の検討の前に、まずは国庫負担割合を本則の8分の1に戻した上で、一般会計からの新たな繰り入れの方法についても検討すべきではないでしょうか。
 もう1点、こども金庫の創設についてです。見える化を目的とするのでありましたら、現在の雇用保険特別会計に残したまま見える化を行い、こども家庭庁に適切に報告・連携すればよいのではないでしょうか。雇用保険制度の施策を検討する際、その財源を含めた検討が不可欠であり、財源だけ切り離してこども家庭庁に移管することは妥当ではないと考えております。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 平田委員、お願いします。
○平田委員 まず、育児休業給付を支える財政基盤の強化について、育児休業給付の国庫負担割合を早期に本則に復帰させることが不可欠であると考えております。それから、恐らく今後推計等が示されていくと思いますが、将来的な給付の増加の見込みを踏まえた負担の在り方につきましては、ただ今申し上げた、国庫負担割合が本則に復帰して初めて議論を始める環境が整うものと理解しております。保険料と国庫で相応の負担をしていくことが原則であるという認識を関係者で共有していくべきだと思っております。
 最後に、こども・子育て政策の全体像と費用負担の見える化を推進することについては異論ありません。見える化を通じて給付と負担のバランスの検証をしやすくした上で、不断の見直しに取り組んでいくべきだと思っております。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたか、大丈夫ですか。
 では、お答えをお願いします。
○尾田雇用保険課長 事務局でございます。こども金庫について、清田委員、奥委員から御指摘がございました。趣旨といたしましては、こども政策の財政について見える化をするという趣旨でございますので、清田委員が御指摘のような、かえって使途が不明確になって見えにくくなることがないようにという趣旨だと理解しておりますので、我々としてもそういった創設の原点が失われないような運用ということは、引き続き留意していきたいと思っております。
 この点については資料説明の際に御説明したとおり、こども家庭庁のほうの懇話会で支援金の中身、あるいは使途については議論中ということでございますので、引き続きその議論の推移を見守ってまいりたいと思っております。
 また、奥委員から、そもそもこども金庫に移管するのではなくて、既存の制度の下で連携をすればよいのではないかという御指摘がございました。雇用保険財政が雇用保険制度の事業にしっかりと使われることは当然でございますので、御指摘も受け止めまして、私どもとしてもそこのところは、もし、こういう制度ができましたら、運用上、しっかり留意してまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに御意見・御質問のある方はいらっしゃいますでしょうか。大丈夫ですか。
 ありがとうございます。
 事務局におかれましては、適用拡大及び財政運営について、本日の議論も踏まえて必要な整理を進めてください。
 それでは、これで議題1は終わりましたので、議題2に移りたいと思います。
 「雇用保険二事業について(報告)」でございます。まず、資料について事務局より御説明をお願いします。
○木原補佐 事務局でございます。資料3の「雇用保険二事業について」という資料でございます。
 1ページ目、雇用保険二事業に関しましては、事業主から拠出された保険料を基に運営されているものでございますけれども、その中で、この資料にございますように、それぞれの事業についてプランといたしまして目標を設定しまして事業を実施する。その上で、チェックといたしまして、その達成状況ですとか、執行状況を踏まえて評価を行って、アクションといたしまして、その評価を踏まえて事業の見直し等を行って、毎年の概算要求に反映させていくということとしてございます。今回は、その概算要求の内容等について、報告・確認させていただくものでございます。
 次のページが具体的な評価の方法でございます。ここにありますように、執行率が80%以上と高くて、かつ目標が達成できていればa評価、執行率が高いけれども、目標が未達成であればd評価というように、それぞれの事業について評価を行ってございます。この評価が悪い事業につきましては、その要因分析を行った上で概算要求を行うこととしてございます。
 次のページが令和6年度の雇用保険二事業の概算要求における二事業関係予算の全体像でございます。について、例えば求人・求職マッチング促進等、地域雇用対策等、雇用の維持・安定、労働移動支援、あるいは人材開発のように、その性質に応じてそれぞれの事業を分類した上で概算要求額などを記載したものでございます。
 まず、一番下の額を御覧いただきますと、二事業全体で見てみますと、令和5年度当初予算が約1.2兆円となってございましたけれども、令和6年度の概算要求額が6056億円となってございまして、全体で6227億円の減額となっております。こちらにつきましては先ほどの御説明にもございましたけれども、特例が終了いたしました雇用調整助成金などが含まれております、上から3つ目の「雇用の維持・安定」に関する事業で5864億円の減額となっていることなどによるものでございます。また、令和6年度の概算要求額といたしましては人材開発に関するものなどが高くなっています。
 次のページ以降が、それぞれの事業について設定された目標ですとか、評価が悪かった場合はその要因分析、あるいはそれを踏まえた令和6年度の概算要求に当たっての見直しの内容などをまとめたものとなってございます。資料が大部でございますので説明は割愛させていただきますけれども、例えばということで、下に1ページ目と振ってあるところを御覧いただきますと、事業の概要ですとか、各年度の予算額が記載されてございまして、それぞれの事業について目標を設定した上で評価をしておるものでございます。
 また、別冊になっております資料につきましても、それぞれの事業について、それぞれの目標とその達成状況、評価を記載した上で、未達成の場合には要因分析を行い、その要因分析を踏まえて、令和6年度概算要求においてどのような見直しを行ったかということを記載した上で、令和6年度の概算要求額、あるいは予算の増減額について記載しているものとなってございます。
 簡単ではございますけれども、資料の説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○守島部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に関しまして御質問・御意見等がありましたらお受けしたいと思います。
 千葉委員、お願いします。
○千葉委員 A3横の資料、「令和4年度評価の令和6年度概算要求への反映状況」のナンバー8にある就職氷河期対策費についてです。目標未達成であった4番目と5番目の施策については終了し、令和6年度の予算についても減額となっております。
 しかしながら、就職氷河期世代の支援につきましては、第2ステージの方針に基づき着実な実行に取り組んでいくことが求められていると認識してます。支援プログラムの中では、同世代の正規雇用者については30万人増やすことを目指すとされていますが、実績には遠く及んでいない状況を踏まえると、一層の支援が必要ではないでしょうか。単にニーズがなくなったから支援の廃止するのではなく、代わりの支援を検討すべきではないかと考えてますが、現在の検討状況についてお伺いをできればと思います。よろしくお願いいたします。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに御意見・御質問等のある方はいらっしゃいますか。
 では、お願いします。
○尾田雇用保険課長 事務局でございます。A3資料の2ページの8の就職氷河期対策費について御指摘をいただきました。御指摘いただきましたとおり、この事業のうち、2つの事業、概要のところで〇の4〇の5とございますけれども、不安定就労者再チャレンジ支援事業、就職氷河期世代の方向けの短期資格等習得コース、この2つの事業につきましては実施状況が芳しくないということで、本年度、あるいは昨年度をもって終了ということにさせていただいております。
 一方で、この事業費の中でハローワークでの支援窓口の設置、あるいは担当者によるチーム支援については引き続き実施することとしております。また、就職氷河期世代の支援につきましては政府全体で行動計画を定めまして、厚労省以外にも内閣府、経産省、あるいは文科省、その他各業種を所管する省庁において、政府全体で取組を行っているところでございます。
 また、厚労省でも、ここでは就職氷河期対策費というカテゴリーでくくっておりますけれども、このほかにも、例えば特定求職者雇用開発助成金という助成金の中でも、この世代向けの特別なコースを設けて雇い入れ助成を行っていたり、あるいは就職氷河期世代も含む非正規労働者対策として雇い入れ、能力開発、正社員転換、そういった助成事業等も講じているところでございますので、こういった各種施策を講ずることによりまして、就職氷河期世代の安定就労を政府として引き続き支援していくこととしているところでございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
 ほかに御質問とか御意見とかはございますでしょうか。大丈夫ですか。
 ありがとうございました。
 それでは、本議題はこれで終了させていただきたいと思います。
 本日予定されている議題は以上ですので、本日の部会はこれで終了とさせていただきたいと思います。委員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりいただき、どうもありがとうございました。