第5回 創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会 議事録

日時

令和5年11月15日(水)18:00~

場所

厚生労働省 専用第21会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

議事

議事録
○医薬品審査管理課長 それでは、定刻になりましたので、第5回「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」を開催させていただきます。お忙しい中、御参集いただきどうもありがとうございます。
 初めに、事務局から連絡事項を申し上げます。
 本日の会議は対面の会議とウェブ会議を併用しております。会議の内容はYouTubeでのライブ配信を行っております。発言される際は、オンラインで傍聴されている方に発言者が分かるよう、冒頭に名前をおっしゃった上で発言をお願にほんいいたします。
 続きまして、本日の検討会の構成員の出席状況でありますけれども、本日、全員に御出席いただいております。
 最後に、資料の確認ですが、議事次第もお示しのとおり資料1から3、参考資料1から2があります。ウェブで御参加の構成員におかれましては、ウェブ掲載された資料を御覧ください。直接お越しいただいている構成におかれましては、お手元のタブレットを御確認ください。
 それでは、以後の議事進行を清田座長にお願い申し上げます。
○清田座長 皆さん、こんばんは。清田でございます。
 これより本日の議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。よろしくお願いいたします。
(カメラ撮り終了)
○清田座長 それでは、議題1「有識者検討会の議論を踏まえた薬事監視の向上について」、につきまして、まず、柏谷さんから。
○柏谷構成員 それでは、私、柏谷から、製薬業界の意見として、GMP調査制度に関する提案を説明させていただきます。
 参考資料を含め15ページの資料を提出させていただいておりますけれども、本日は5ページまでの資料について御説明させていただきます。
 それでは、2枚目のスライドになります。
 本資料は前回4回目の検討会の資料の再掲になります。前回の検討会では、ここに記載の3項目について説明させていただきましたけれども、本日は2つ目のGMP調査制度に対する業界の考え方について説明させていただきます。
 業界としましては、GMP調査制度に関しては、前回同様に、1つ目に、リスクベースの調査の提案、2つ目に、5年ごとの定期調査を廃止し、そして、最後にリスクに基づく調査であることから、製造所単位ごとの調査に関して提案をさせていただきました。
 次のスライドをお願いいたします。
 本資料についても、前回4回目の検討会の資料なのですけれども、こちらは一部改変しております。前回はこの資料において、この20年間のサプライチェーンの変化、グローバル化の波にのっとった規制の在り方について説明させていただきました。今回の説明に際しては、下にあります2つ目のポチの2つの説明書きを少し改変しております。
 1つ目は、我が国の薬機法においては、承認取得前及び、その後、定期的に5年ごとに国内外の全製造所においてGMP調査を受けなければならないとされております。2つ目に関しては、非公式とはいえ現在グローバルではPIC/SがGMPの国際基準になってきていることをお書きしております。この2点からも日本が目指すべき姿というのは想定できるのではないかなと我々業界の人間は思っております。
 引き続いて次のスライド、4ページ目になります。
 このスライドは、GMP適合性調査の日本と欧米の比較を示したものになります。
 一番上にあります「調査機会」につきましては、日本は先ほどから申し上げていますとおり、承認前及び5年ごとの定期調査を品目に関連する全製造所で行っています。また、これに加えて、日本では69条で立入検査ができる体制になっております。しかし欧米では、承認前、定期、For-cause、いずれも当局の判断に基づいて調査を行える体制になっていると。
 1つ飛ばして3つ目「調査方式」は、PMDAは書面調査が、また、都道府県の地方庁においては実地調査が多数を占めているということが我々の調査において分かっております。これはPMDAと地方庁の調査の違いなのですけれども、PMDAが海外の調査も非常に多く行っているということもあって、PMDAとしてはどうしても書面調査が増えざるを得ないということも我々としては理解しております。ただ、欧米では実地調査が基本の調査になっておりまして、そこのところが日本の調査体制と少し違うのかなと感じております。
 4つ目のカラムですけれども「事前通告の有無」に関してです。
 事前通告に関しましては、日本は、先ほど申し上げましたように。
 ちょっと飛ばしました。「調査申請制度」というのがありまして、調査を受ける際には、申請した上で調査を受けるということもあって、無通告査察自体は69条で定められているのですけれども、調査のほとんどが事前通告という形にならざるを得ない。欧米は事前通告なしの査察が非常に多く占めていると。
 一番下に日本式の品目単位の調査の問題点を記載しております。
 1つ目は、承認品目の全ての製造所がGMP調査対象で、承認申請前及び5年ごとの定期調査を行う必要があると。
 2つ目は、先ほど申し上げましたように、PMDAでは書面調査が多くを占めている。
 3つ目は、多品目を製造している製造所では、このような体制ですのでどうしても高頻度にGMP調査を受けざるを得ない状況になっています。しかし、逆に、承認書に記載の少ない製造所は、調査を受ける機会が少ないという形になっております。
 最後の4つ目のポツですけれども、リスクベースによる調査と異なって、調査を受けた経験や品目固有の製造リスクなどが、調査実施の要否判断に反映されにくいということが日本の調査のこれは致し方ない部分かなと考えております。
 次のスライドに行っていただきまして、これが私からの最後のスライドになります。
 最後に、業界からGMP調査制度の課題解決に対する提案について説明させていただきます。
 業界としては、国内製造所に対する調査を強化するとともに、現在、グローバルで主流になっていますPIC/S等の規制当局間の国際協調を推進して、リスクに基づく調査の実施を目指すべきと考えております。このような調査を目指すことで、2つ説明しておりますけれども、上のほうの説明書きでは、当局判断としてリスクの高い製造所に高頻度で実地調査を行い、その結果として品質事案の再発防止、安定供給の解決課題につなげることができると我々業界は考えております。
 また、2つ目としましては、変更内容に応じて製造所のGMP調査の要否判断ができるので、変更申請の審査期間の短縮にもつながるのではないかなと考えております。
 図の矢印のところになりますけれども、最後に改めて業界の考えを述べますと、現状、制度が品目単位の調査が基本でありますが、この制度を短期的には製造所単位の調査に拡充して、最終的にはリスクベースによる製造所単位ごとの調査とすることがGMP調査の目指すべき姿ではなかろうかということで業界側は考えております。
 業界側からの説明は以上になります。
○清田座長 柏谷さん、ありがとうございました。
 そうしましたら、事務局から続きまして御説明をお願いいたします。
○事務局 資料2について御説明いたします。
 まず、タイトルからでございます。「有識者検討会」とつけておりますが、これは「医薬品の迅速・安定供給の実現に向けた総合対策に係る有識者検討会」を指しておりまして、有識者検討会におきましては、医薬品の迅速な安定供給に関しまして、後発医薬品の産業構造や薬価なども含めて包括的な議論がなされてまいりましたが、その中で、医薬品製造業者による不正事案への対応としまして、薬事監視の強化の必要性が指摘されておりますので、本日、その対応案について御議論いただきたいというのが本議題の趣旨となります。
 まず、4ページから、現状について御説明いたします。
 令和3年の小林化工への行政処分以降、現在までに計15件の行政処分事案がございまして、令和5年時点においても処分を受ける事業者が存在しておるという状況になります。
 続きまして、5ページに代表的な事例としまして小林化工の事案をお示しいたしました。
 一番上の下線部のところになりますが、本事案は、抗真菌剤に睡眠導入剤が混入したという事案でございました。
 2つ目の「違反事態等」の項の中で下線部を引かせていただきましたけれども、その背景には、法令遵守への意識の欠如や、経営層が必要な改善策を講じなかったことなどが要因として指摘されております。また、こうした事例におきましては、承認内容と異なる製造方法による製造や製造記録の二重作成などが報告されております。
 6ページは、イトラコナゾールの当時の製造実態をまとめたものになりますが、先ほど御説明しましたとおり、承認内容から逸脱した製造方法や試験項目の一部未実施などが行われておりました。
 続いて8ページ、日医工の事例でございます。
 こちらも承認書と異なる製造方法での製造や不適切な試験が行われたという事案でございます。「違反実態等」の下線部を引いた部分でございますが、その背景としまして、品質管理業務よりも出荷や安定供給を優先する風土やGMP違反を問題視しないような風潮、あるいは、生産体制が出荷量に見合っていないというような問題点が指摘されております。
 10ページは、品質確保につきまして、これまでの取組をまとめたものとなります。
 「対応方針」の列の部分でございますが、例えば、1、製造業者における管理の徹底や、2の必要な人員体制の確保、また、6でございますが、都道府県における立入検査の実施強化などに努めてきたところになります。
 続いて、スライド12、こうした状況を受けまして、有識者検討会から薬事監視の質の向上が求められておりまして、具体的には青字の3点でございます。
 1つ目が、製造所におけるGMP調査の調査項目の見直し。
 2つ目が、都道府県の薬事監視体制の強化。
 3つ目が、国と都道府県の情報共有も含めた連携体制の整備が指摘されたところでございます。
 本日は、この指摘に対する対応案について御議論をお願いしたいと考えております。
 次のスライド13、まず、①の対応でございます。
 令和3年に、小林化工などの事案を受けまして、GMP調査におきましては、製造品目数や製造量に見合った体制が確保されていることを確認するようにしております。今後は、さらにこれまでの知見を活用しまして、後発医薬品のGMP調査におきましては、重点的に調査すべき事項というものを整理しまして、それに基づいてより効果的な調査が可能となるようにしたいと考えています。
 ②につきましては、合同無通告立入の取組を拡充しようと考えています。
 現状でも都道府県とPMDAが合同で無通告立入を行うということはございますが、これを発展させる形で、国と都道府県が連携しまして、全国の製造所の中から、扱っている品目の種類や多さなどを踏まえまして、品質管理、製造管理上のリスクが高い製造所を抽出いたしまして、そこをPMDAと都道府県が合同で調査を行う「合同無通告立入検査」という取組を開始することで、より高度な立入検査を可能としたいと考えております。
 続いて、14ページ、③につきましては、令和4年度から予算事業としまして「GMP管理体制強化等事業」というものを実施しておりまして、下の「事業スキーム」のところでございますが、PMDAにおきまして、GMP調査員の確保や都道府県調査員の教育などを行っておるところでございます。令和6年度からはこの事業を拡充いたしまして、PMDAにおきまして、全国のGMP調査の情報の収集・分析を行う体制を構築することで、GMP上の全国的な課題を抽出したり、あるいは都道府県の調査能力の標準化といったものを可能にしたいと考えています。
 続いて、16ページ、ここからは有識者検討会の議論に加えまして、我々が追加で課題として考えていることへの対応についても御意見いただきたいという趣旨となります。
 タイトルに「上流問題」と書かせていただきましたが、行政処分を受けた企業の調査報告書の中で、共通する背景として、製造開始時における製剤開発や工業化の検討が不十分であった結果、承認書どおりの製造ができなかった可能性が指摘されております。
 次の17ページ、薬事監視の観点からの対応につきましては、ピンクの枠で記載したところになりますが、1つとしましては、承認申請時のGMP調査を強化いたしまして、製造前の検討がきちんとなされていることを確認するとか、あるいは下のピンクのところで、問題が判明するとすれば、製造が拡大した承認後早期だと思いますので、承認後初回の調査におきまして製造上の問題が生じていないことを確認するということを考えております。
 18ページ、当面の対応策としましては、先ほど御紹介しました無通告立入検査の強化、あるいは都道府県調査員への継続的な教育、後発医薬品の製造所において調査すべき事項の取りまとめなどを通しまして、承認時あるいは承認後初回のGMP調査の強化を図りたいと考えております。
 次に、中長期的な課題につきましては、本日結論を出していただきたいというわけではございませんが、今後の検討に向けまして広く御意見いただきたいという趣旨となります。具体的には、次の19ページを御覧ください。
 現在、製造所の調査につきましては、海外製造所やリスクが高い製造所の場合はPMDAが、それ以外の製造所は都道府県が実施しておりますが、後発品医薬品製造所に対する立入調査というのは都道府県が担当しております。
 次に、スライド20、県内のGMP対象施設数を色の濃淡でお示ししておりますが、都道府県により差がございます。また、スライドの一番下の赤枠の部分に記載いたしましたが、調査員数も2~33人という形で大きな差があるという状況でございます。
 このようにGMP調査の経験や調査員数に都道府県格差がある課題につきまして、どう対応すべきか御意見をいただきたいと考えております。
 スライド22、これまでの内容のまとめと今後の課題でございます。
 先ほど柏谷構成員から御提言がありましたが、リスクに応じたGMP調査に関しましては、現行、御紹介があったとおり、定期での適合性調査やあるいは非定期での立入検査というものを活用いたしまして、1年から3年ごとに原則実地調査を実施しておりまして、全ての製造業者に対する網羅的な調査体制が構築されております。品目や製造所の特性を踏まえ、製造、品質管理上のリスク評価を実施いたしまして、これまでもリスクに応じたGMP調査というものを推進してきましたが、さらなる一層の監視の強化を図ることとしております。書面調査はそのための補完手段という位置づけでございまして、現状のPMDA調査員のリソースで書面調査の縮小などを行った場合は、かえって監視体制の低下につながりまして、製造業者のコンプライアンスの低下や不正事案を招くおそれがございますので、現状において実現は困難と考えておりますが、リスクに応じたGMP調査制度の観点は重要だと思いますので、今後も具体的な部分につきまして検討していきたいと考えております。
 次の「GMPの調査主体」につきましては、中長期的な課題としまして、都道府県間の調査能力の偏りのお話をさせていただきましたけれども、都道府県の事情に応じてPMDAが調査を実施できるような制度の創出が必要ではないかと思っております。また、実地調査と関連しまして、PMDAのリソースの拡充についても御意見をいただきたいと考えております。
 最後の項目につきましては、23ページを御覧いただければと思います。
 先ほど御紹介しました予算事業の資料となりますが、GMP調査の都道府県間格差を踏まえまして、PMDAにおいて全国のGMP調査情報を俯瞰的な観点から収集、分析、活用を行うような体制の整備の必要性についても御意見をいただきたいと考えております。
 資料2の説明は以上となります。
○清田座長 ありがとうございました。
 それでは、幾つかの対応案、主に3つだったと思いますけれども、まず、資料2の12ページの対応案①、これに関しまして御意見を頂戴したいと思いますが、順番で御意見をいただいて、ここをこうしたらいいというのがありましたら御指摘をいただいてディスカッションをしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 どうぞ。
○佐藤座長代理 佐藤ですけれども、御説明ありがとうございました。
 リスクに応じたというお話なのですけれども、リスクは当事者ごとに考えている危害の重大性とか発生確率とかは多分認識が異なり得るので、ここで言うリスクは一体何かということは恐らく共有しておかないといけないと思うのです。柏谷構成員と厚労省さんの御説明の中に、製造工程のリスクと品目のリスクというお話がありましたけれども、ここも恐らく、リスクに応じたGMP調査の在り方を考える前に、それぞれの製造工程のリスクとか品目におけるリスクをどう考えるべきかという考え方を共有するとかガイドラインをつくるというのが必要だと思うのですけれども、柏谷構成員とかはいかがですか。
○柏谷構成員 柏谷です。
 佐藤先生のおっしゃるとおりだと思います。まず、そのようなところをガイドラインでちゃんと規定した上で、何がリスクなのかというのをちゃんと理解した上でお互い、業界と行政で考えながらやっていくというのがあるべき姿だと思っております。
○清田座長 どうぞ。
○監視指導・麻薬対策課長 監麻課でございます。
 今、柏谷さんから御意見があったところですが、本日の資料の22ページのところに、こちらのほうの取りまとめと今後の課題というところがあります。「リスクに応じたGMP調査の推進」というところですけれども、ここの2つ目のポチの注釈、※1、※2というのがあって、ここに書いてあるのが、いわゆる行政のほうで考えているリスクの具体的な中身であります。この話、このリスクを対象にしてやっているということは、これは言ってみればPIC/Sで求められているリスクベースのアプローチというものと整合するものであり、この件については、これまでも業界の方にお示しをしている中身だと思いますので、この辺りも踏まえて業界でもよく御検討いただければと思っています。
○清田座長 いかがでしょうか。
○柏谷構成員 おっしゃるとおりだと思います。
○清田座長 よろしいでしょうか。
○佐藤座長代理 とにかく、そこが認識が共通していないと、恐らく議論がかみ合わないと思いますので、まず最初にそこが必要かなと思った次第です。ありがとうございます。
○清田座長 ハイリスクの事業所についてのリストは、もう既につくりつつあると伺っていますけれども。
○事務局 資料としては、13ページのところで高リスクの考え方ですけれども、先ほど御説明させていただいたとおり、この13の一番小さい※の部分に少し書かせていただいたのですけれども、ちょっと読みにくいので御説明すると、例えば直近の立入調査からの経過期間とか品目数の多さとか、医療用医薬品とか後発医薬品を扱っているかとか、あるいは自主回収の情報など、そういったものからリスクに基づいて製造所を分類しているところでございまして、我々内部の検討資料にはなりますが、そういったリストは既に作成させていただいたところになります。
○清田座長 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。ハイリスクの定義ですよね。これはとても難しい問題で、例えば、厚生労働大臣が「せき止めの薬を増産しろ」と言うとすると、依頼されたところがハイリスクになるのではないかなと私などは単純に思いますけれども、そういう状況の変化というのも考えたハイリスクの定義ですよね。
○事務局 今後見直すことはもちろん考えております。例えば、今回問題になっておりますような後発医薬品を扱っているとか品目数が多いとか、そういったものを現状踏まえて考えさせていただいているところですが、あとは、座長がおっしゃるとおり、状況に踏まえまして、またそのリストの見直しというのはやっていくのだと思います。
○清田座長 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。
 川上先生、どうぞ。
○川上構成員 佐藤陽治先生から御指摘のとおり、リスクは何かということをきちんと考えることが重要かと、私も同じ意見です。
 例えば、資料2の22ページであれば、ここには明確に「品目の特性」「製造所の特性」、それぞれ踏まえたリスクと、両方が書かれているのですが、一方で、資料1の5ページの最後の提案のところですと、品目よりも製造上のリスクを中心に書かれていると思うので、業界の御提案と厚労省の今後の方向性が、リスクに応じたGMP調査の推進の中で御説明が十分合っていないのかという印象を持ちました。
 あとは「品目の特性」「製造所の特性」は分かるのですけれども、例えば、その製造所を保有して管理している、その会社の考え方も一つの重要なポイントではないかと思うのです。製造所にどういう仕事をさせているとか、それをどういう管理体制で会社として見ているかとか、経営方針も関わってくると思うので、その辺りも本当は検討が必要かと個人的には思う次第です。
 以上でございます。
○清田座長 ありがとうございます。
 いろいろな質のリスクがあるということですよね。それに応じて十把一絡げにハイリスクという定義がなかなかできないというお話でよろしいでしょうか。
 事務局のほうからはいかがですか。リスクの質ですよね。
○事務局 ありがとうございます。
 先ほど座長からもまとめていただきましたとおり、リスクの考え方は随時変わっていくものだと思いますので、御意見も踏まえてまた考えていきたいと思います。ある程度客観的な指標にしたいとは考えております。
○清田座長 会社の経営方針について御意見がありましたけれども、柏谷さんなどはどう思われますか。
○柏谷構成員 その辺のところは重要な指摘になると思います。というのは、やはりトラブル起こされた会社さんの調査報告書などでは、やはり経営陣のスタンスに対しても言及されているのが非常に多いということもありますので、その辺のところももちろん言及していくべきだとは思いますけれども、ただ、そこを追及し過ぎると、GMP調査は一体何だというところに行ってしまうというおそれもあって、なかなかその辺の判断が難しいところになるかなと思っております。
○清田座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○監視指導・麻薬対策課長 今の柏谷さんからのお話にも関連するのですけれども、例えば国際的な品質の様々な認証制度のISOというものがございます。ISOも、いわゆるGMPと同じような製造管理、品質管理の基準で、一般的な工業製品、医療機器などはISOに沿ってやっていますけれども、そういう中で、きちんと品質方針とかそういうポリシーを示すということが言われています。これはまさに経営陣が品質に対してどのように考えているかということを示すということ、それを文書化するということがまさに求められていて、さきのGMPの省令改正でも、その部分を日本のGMPの中にも取り入れさせていただいています。
 そういうことに基づいて、実際の、先ほどの様々な不正事案に対する対応の中で、実際、調査に行く際に、責任役員とか会社の経営陣の方に実際の査察の際に面会をお願いすることにしています。これは、まさに先生方おっしゃるように、その会社がきちんとした品質方針、経営方針の下でやっているかというのを、まさに経営者なり責任役員の口から確認をするということを含めて対応しているものでございまして、まさに先生御指摘の、その会社がきちんとした経営方針の下でやっているかどうかというものを確認するツールとして、この対策の中にも入れさせていただいている部分だと思いますので、ぜひ、それを企業の方も嫌がらずに受けていただきたいなと思っています。
○清田座長 ウェブから花井構成員から御質問があるようでございます。花井先生、いかがですか。
○花井構成員 花井です。
 これまで取りまとめられた課題というのは、ある種、かつてから厚生労働省においてもPMDAにおいても課題と認識して改善しようと努めてきた領域であるとは言えると思います。今回、質問が1つあって、つまり、査察ができるスペシャリストというか専門性というのはかなり高度な専門性であり、PMDAでもみんながみんなこれほどのレベルにあるかどうかというぐらい、やはり専門的な領域なわけです。そのリソースがそんなに多くないところもあって、例えば地方自治体、今回で言えばジェネリックに関しては自治体任せいうところの結果が今回を招いていると。
 質問は、自治体の査察官のキャリアパスというのはどうなっているのでしょうかと。自治体であれば、そこの人事で動いているわけだし、PMDAの査察官は、完全にキャリアパスとしては、例えば企業から来た人とか、もしくは、その査察官は、逆に企業でほかのキャリアを積んできて、専門畑を歩んでいく集団なわけで、根本的にキャリアも出所も質が違うのではないかと思うのです。
 質問として、自治体のキャリアパスがどうなっているかということと、多分、違うとすれば、やはりPMDAの直接査察を増やしていくしか質を上げる方法はないので、やはり人員を増やすとともに、例えばPMDA-WESTとかがありますけれども、全体のサイトというか、製造所の濃淡もあるのだろうから、やはりある程度、FDAみたいに全米みたいな感じは難しいかもしれませんが、やはり直下の査察体制というのを、今後、中長期的には目指していくのだということにして、先ほどプレゼンテーションでもございましたけれども、サイトごとにきっちりと行ったりすると。やはり専門家集団が査察できるという体制にしておくことが必要かと思います。
 質問と意見でした。以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。
 どうぞ。
○PMDA医薬品品質管理部長 PMDA審査医薬品品質管理部長の江野と申します。御指摘、ありがとうございます。
  私どもPMDAでは、花井構成員よりご指摘のありましたハイリスクの製造施設に対するGMP適合性調査を担当しております。私どもの現在の調査員は約40名ほどですけれども、うち半数が医薬品製造所等で勤務経験のあるベテランをリクルートし、PMDAの調査員として採用している状況でございます。その中で、これまで培った化学、製剤、薬学等の専門性を駆使し、GMP調査に当たっているという状況です。
 都道府県に関しましては、私どもから評価なり言及というのは難しいところでございますけれども、一方で、教育支援、都道府県もGMP調査員の教育というのをされておるわけでございますが、私どもの培った様々な調査技術等を教育支援という形で、ノウハウの移転も含めて提供するような取組を進めているところです。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 花井先生、よろしいでしょうか。
 どうぞ。
○監視指導・麻薬対策課長 都道府県体制について1点補足をさせていただきます。
 花井先生の御指摘の部分ですが、キャリアパスについては、我々、国のほうの立場なので分からない部分が多いのですが、例えば、今日の資料2のほうで示させていただいている20ページのところなのですけれども、都道府県別のGMP対象施設の数とGMP調査員の人数というところではあるのですが、人数の問題というわけでは必ずしもないのですが、製造所が多い都道府県というのは結構限られている状況があって、やはり製造所が多いところであれば、実地経験が都道府県の査察官も積むことができるのだけれども、製造所が少ないところだと、実際に見にいく施設がないということで、やはり技術的な集約をしていく上での実地経験というものがなかなか得られないという課題があります。
 そういうところが都道府県の調査能力の差にもなってくる部分なので、キャリアパスというのは置いておくとしても、少なくともそういう査察環境が実際に能力に与える影響もあるのではないかというところは指摘されているのではないかなと思っております。
○清田座長 ありがとうございます。
 花井さん。
○花井構成員 花井です。ありがとうございます。
 そうかなと伺って理解しました。ただ、やはり理想的には、例えばそういう都道府県で、まさに薬事査察に向いている人たちなどが、逆にPMDAがリクルートできて、直轄の調査員が地方で動けるとか、FDAのような体制を目指して、国も予算とかそういうのをつけていただいて、より質の高い調査ということになると、PMDAのガバナンスの下で調査員が働ける範囲を広げるというのが理想に近いのかなとは思いました。ありがとうございます。
○清田座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○柳本構成員 柳本でございます。
 川上先生と私は後発品のほうも入っておりまして、まさにおととい、本件に関しても少し議論がございました。
 後発品のほうは民間で監査を担われている企業の方も入られているのですけれども、そこの御経験をお伺いしたところ、例えば都道府県の調査では数十件しか見つけられなかったものを、その企業が監査したところ数百件の指摘ができたというか見つけられたとかということもあり、そういった、かなりの都道府県におけるばらつきというのもあるというところと、その中で、今、無通告で、しかも合同査察という話に関しては、後発品の検討会においてもとても好意的に受け止められておりました。
 ただ、22ページにもありますとおり、リソースの懸念は依然あるというように理解をしていますので、そういった際に、先ほど挙げたような民間企業もうまく使い、PMDAが全てやる、そこに人を雇い入れるだけではなく、一部外注も使い査察もするのもあるでしょうし、あとは都道府県に対しての教育なども担っていただくみたいなところで、PMDAのリソースがボトルネックになり過ぎずに今回の施策が実現できるといいのかなとは話しておりました。
 川上先生、何か補足はございますでしょうか。
○川上構成員 大丈夫です。
○清田座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○監視指導・麻薬対策課長 今の柳本先生の御意見は全くそのとおりでございまして、先ほど御指摘いただいた民間の調査会社の方が、たくさんいろいろな不正を発見できるということに関して申し上げると、実際、その方自身がもともと企業の製造部門におられて、企業の品質管理でどういうところで、言ってみればエラーを起こしたり不正を起こしたりしがちかということをよく御存じの方なのですよね。そういう方が見ると、企業でやっているところの無通告であるにせよないにせよ、欠けている部分がよく分かるということでありまして、ある種、そういう意味ではPMDAも企業出身の方をできるだけ採用させていただいて、製造現場の中身をよく知っている方ではないと見抜けないものというのもあるわけなので、そういうところで、できるだけそういう経験のある方を採用して査察部隊に入れていく。
 先ほど外注という話もありましたけれども、外注はいろいろな意味で公平性等の観点で検討するところはあるかと思いますけれども、まずはできるところとしては、そういう形で企業で製造・品質管理の経験のある方をできるだけ雇い入れて、企業のやりそうなところがよく分かるというような体制を構築していくように我々も努めていきたいと思っております。
○清田座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○中村構成員 成育医療教育センターの中村ですけれども、質問なのですが、PMDAは今何人ぐらいでやられているのでしょうか。都道府県の数は出ていますけれども、そもそも人員強化と言っていて、現在PMDAに何人いて、どこまでキャパがあるかというところをまず知らないといけないと思いました。
○清田座長 よろしいですか。
○PMDA医薬品品質管理部長 御質問、ありがとうございます。
 先ほども少し触れましたけれども、現在、調査員といたしましては約40名の調査員がおります。GMP調査の際には、それぞれの施設に対して2名ペアという形で調査に伺わせていただいてございます。
○中村構成員 それは、GMPを専属にやる人が40名。
○PMDA医薬品品質管理部長 はい。そのとおりでございます。
○中村構成員 ありがとうございます。
○清田座長 ほかに御質問はございますか。
 石井先生、どうぞ。
○石井構成員 国衛研、石井でございます。
 PMDAのレベルを上げつつリソースを増やし、都道府県のレベルも上げていくために、合同の査察に加えて、都道府県の職員の方に、例えば1年間など、長期にわたってPMDAでお仕事をしていただくようなシステムというのは組めないのでしょうか。
○清田座長 いかがでしょうか。
○PMDA医薬品品質管理部長 御質問、ありがとうございます。
 都道府県の御判断という形にはなるわけですけれども、県の職員の方が、出向というような形でPMDAにおいでいただき、私どもと一緒にGMP適合性調査の実地調査を行うというようなことは、現在も行ってございます。
○清田座長 よろしいでしょうか。
 余裕のある県、余裕のない県があるのではないかと私は思いますけれども、今の石井先生の御発言は理想形ということで、ぜひそういうシステムでやれればと思います。
 どうぞ。
○成川構成員 ありがとうございます。成川です。
 2つコメントと質問をさせていただきます。
 1つ目が、事務局の御提案で、GMP調査、特に承認取得後初回を強化するのは非常にリーズナブルな御提案だと思っていまして、ぜひお願いしたいと思っています。もちろん企業側の上流での検討をきちんとやっていくべきというのはそのとおりだと思いますけれども、GMPという視点では、御提案のような対応が必要であると思います。実際には都道府県が主体的な役割を果たしますけれども、その方々と足並みをそろえる必要がございますので、具体的な方策とか文書化とか、そういったことについて、今後御検討されるのかもしれませんが、何か具体的なことがこの時点であれば教えていただきたいというのが1点です。
 もう一点は、無通告の立入検査を増やすというのも、それもそのとおりだと思います。もちろん、製造業者のコンプライアンス向上というのがベースにあるべきですが、その上で無通告の検査を行うのは重要です。ただ、それをやっても悪意で隠されたものが見抜けるかというとそうでもないのかなと思いますので、内部通報というのはやむを得ず有力な情報源とせざるを得ないケースもあるのではないかなと思います。ですから、この点を何か今後システマチックに扱うような策のお考えがあれば伺いたいと思います。
 以上です。
○清田座長 いかがでしょうか。
○事務局 まず、文書化の部分につきましては、資料の18ページのところになります。
 上流問題のところに話を移させていただきますと、具体的な対応の中に「当面の対応策」ということで幾つか書かせていただいておりまして、文書化として考えているところに関しますと、3つ目のチェックがついているところで「重点的に調査すべき事項を整理・周知」と書いておりますけれども、例えばPMDAとか都道府県がGMP調査において重視しておる事項というものを取りまとめまして、これを文書化して周知しまして、それに基づいて実施していくというのを、今、イメージしているところになります。
 2つ目の無通告立入の部分でございまして、おっしゃるとおり様々なケースがあって、無通告立入で判明するような事例もあれば、御指摘いただいたように、事業者から自主的に報告してくるようなものとか、内部通報で報告してくるような事案というのがあります。ですので、実際、捏造のような悪質な事例に関しましては、無通告の立入りというものをやっていきますけれども、併せまして事業者向けの啓発というのも必要かなと考えております。
 例えば、資料のところでこれまでの取組を書かせていただきまして、10ページ目の「医薬品の品質確保に関するこれまでの取組」という資料で、1の「製造業者における管理の徹底」のところで4つ目のところです。例えば「GMP調査の指摘事項をPMDAウェブサイトで公開」とか、あるいは、ラウンドテーブル会議と我々は呼んでおるのですけれども、業界の方も集まって話をするような機会がありますので、こういう啓発の継続的な実施というのは我々も必要だなと考えております。
○清田座長 よろしいですか。
 ほかに御質問はございますでしょうか。
 中島構成員から御質問があるようでございます。
○中島構成員 ありがとうございます。
 先ほどの都道府県別の余裕がある、なしというところなのですが、資料2の20ページに、都道府県別のデータが出ていますが、ここでは調査員の数は2~33ということですけれども、これはもともとの対象施設数が濃淡があるので、これを施設数当たりの人数とすると、この濃淡がどれぐらい小さくなるのかということをお聞きしたいと思います。
 というのは、4ページに最近の行政処分のページがありますけれども、それの中で、富山を除いてほかのところはそんなに製造所が多くないところが結構あるのです。ということは、もしかしたら、そういう人数にも大分関連しているのかなと。それであれば、例えば製造所当たりの人数を規定することによって、かなり余裕が均一化されるかなと思ったのですが、その点はどのようになっているのかお聞きしてよろしいでしょうか。
○清田座長 どうぞ。
○監視指導・麻薬対策課長 監視指導・麻薬対策課です。御質問、ありがとうございます。
 この部分は、実は情報として非公表の部分なので各都道府県別には出していません。ただ、傾向からすれば、やはり製造所の多い都道府県は、調査員の数もそれなりの多い形になっている傾向であることには違いないです。2~33と書いてありますけれども、県内に製造所が数軒しかないところは2人でやっておられるとか、そういうような感じのイメージで見ていただければと思っております。
○中島構成員 分かりました。
 先ほど、それでちょっと少ないところは逆に経験が少ないために問題が起きやすいということですね。そういう面もあるということで理解してよろしいですか。
○清田座長 どうぞ。
○監視指導・麻薬対策課長 問題が起きやすい、起きにくいということでは必ずしもないと思います。製造所が多い都道府県ということであれば、より製造業として盛んにやっておられるところなので、逆に問題が起きやすいという側面もあるのだろうと思いますし、製造所が少ないところですと、監視の目が行き届かないというところで起きやすいという部分もあるのかもしれませんし、それは一概に多い少ないで議論できるところではないのかなと思っております。
○中島構成員 分かりました。
 ただ、大きな視点で言うと、やはり小さな県というか製造所があまりないようなところで、調査員が少ないようなところにあまり責任を負わせると、リスクがどうしても出てくるなと。つまり、都道府県の関与がこれまでは大きかったと思うのですけれども、都道府県の関与は検討したほうがいいのかなと、少し減らすほうがいいのかなと思いました。
 以上です。ありがとうございました。
○清田座長 ありがとうございました。
 宮川先生、どうぞ。
○宮川構成員 宮川でございます。
 今、お話がありましたけれども、では、都道府県のところで、GMPの対象施設が多いから職員が多いのかといったら、はっきり言うと全く事実はないですよね。つまり、県の職員はそれほど多くはないのです。県が予算を持って、都道府県が1つの県で役職をつくるので、対象施設が多いから爆発的に起こるということは絶対ないので、それは私も理解しています。だからこそ、都道府県を超えてある程度ブロック別でやるとか、それは知事とかそういうところが権限を持っているので仕方がないのですけれども、都道府県の中で担当課が非常に恵まれていないのです。それは私も重々よく知っております。それが今までの中で一番の問題点だったのです。だからこそPMDAがそうなのか、今言ったように民間が入るのか、そういうことをしないと、都道府県は実際に動けません。私もよく知っている人がいるので。だからこそ、今、御指摘があったようなところが重要かなと。
 都道府県はそれほど余裕がないというのがお分かりになっているはずなのです。だから、都道府県の職員という調査員をそんなに重要視してはいけないのです。実際に動けないのです。だからこそPMDAか、今、柳本構成員が言ったような民間を使うのかとか、そういう実際的なことを考えないと動けないのだということを前提で私たちは考えなくてはいけない。だから、頭の中で考えているだけではなくて、そういう実態をちゃんと理解しながら組み立てていくということが必要なのだろうなと。だから、この前提が結構間違えている部分が、PMDAの方はお分かりになっていると思うけれども、そういうところがあるのだということをみんなで理解しながらやらないといけないのかなと思っています。
○清田座長 よろしいですよね。今までの議論でも再三出てまいりましたので、マンパワーの問題ですね。都道府県は特に余裕がないだろうということを前提に、PMDAなり民間の活用なりというのをフレキシブルにしていくという趣旨だろうと思います。
 それでは、今までの御質問で、対応策、対応案につきまして、ほぼ全般的に御意見をいただいたようなので、今日の一応の御提案、これを皆様で御承認いただいてお話を進めていくというのでよろしいでしょうか。
(首肯する構成員あり)
○清田座長 ありがとうございます。
 それでは、同意をいただけたとさせていただきます。
 それでは、議題2、我が国の薬事制度に関する海外への情報発信につきまして、事務局から御説明をいただきたいと思います。
○次世代ワクチン等審査推進室長 医薬品審査管理課より、資料3「我が国の薬事制度に関する海外への情報発信について」を説明させていただきます。
 スライドの2ページ目、まず、こちらも有識者検討会での指摘事項に対する確認からになりますけれども、赤字で示したところ、ドラッグラグ/ドラッグロスの解消に向けた対策の一つとして、海外ベンチャー等に対し日本の制度を伝達していくべきことが指摘されております。
 この背景といたしましては、近年、新薬の多くが海外のベンチャー、特に米国のバイオベンチャーからシーズが生まれるケースが多くなっておりまして、そういったケースにおきまして、日本の市場を対象とした開発というのがなかなか進まないといったケースが増えてきており、それがドラッグロスの最近の一つの傾向であるということが指摘をされております。これに対応するために、彼ら海外のベンチャーに日本の市場を意識していただくために、日本から積極的に情報発信をしていくべきであるという趣旨で指摘をいただいているものです。
 3ページ、これまでのドラッグラグ/ドラッグロスの対策について簡単に説明いたします。
 これまでは、ドラッグラグの対策として審査を迅速化するということに努めてまいりました。その結果といたしまして、PMDAの体制強化などが進み、現時点では欧米の規制当局と比較しても世界最速クラスの審査期間を達成しているという状況になっております。
 左下の表ですけれども、ドラッグラグの試算として、開発ラグ、審査ラグに分け分析をしております。開発ラグというのは、企業が申請をするまでの時間についてのタイムラグ、審査ラグというのは審査機関が審査にかかる時間についてのタイムラグでございます。こちらは日本で承認された医薬品を対象に米国との時間の比較ということで分析をしております。「審査ラグ」というところを見ていただきますと、近年、0.1年ないし0.2年という形でほぼ解消されているということがお分かりいただけるかと思います。
 続きまして、右下のグラフですけれども、こちらは日米欧を含めた6つの主要な規制当局について新薬の審査期間の比較をしたものになります。横軸が年ごとの時系列、縦軸が審査期間、何日で審査をしたかというものを記載しております。日本は赤色のグラフで表示されておりまして、年ごとの多少のばらつきはありますけれども、おおむね審査期間の短いほうから1位もしくは2位ぐらいの位置をキープしているという状態になっております。
 左下の表について1点補足をさせていただきますと、こちらは、今申し上げたとおり、日本で承認されたものを対象に分析しておりますので、日本でまだ承認をされていないもの、例えばロスの対象になっているようなものは、このカウントに入ってきていないということを補足させていただきます。
 また、上側の水色のところに戻っていただきまして、2つ目の●ですけれども、これまでの取組として「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」という厚生労働省の会議がございます。こちらで、学会や患者団体からの要望を受け付けまして、医療上の必要性が高いものについては企業に対する開発要請、または開発公募ということを進めてきております。また、開発公募に関しては、国内に企業がいない場合もありますので、海外向けの情報発信というものも行ってきているところです。一方で、海外のベンチャーに対して、国内での開発に着手を促すような積極的な活動というのはこれまで行ってきておりませんでした。
 次に4ページ、これまでの海外への情報発信の取組についてです。
 これまでホームページを通じまして英語で様々な情報発信をしてきております。業務の概要のほか、主要な行政通知を英訳したもの、また、新薬について審査報告書の英訳、あるいは、添付文書の改訂などがあったときなど市販後の安全性情報についても、英語にしたものを日本語に遅れることなくタイムリーな発信に努めてきております。また、ICH等の主要な国際会議での成果物、ガイドライン等につきましても、体系的な情報の発信を行っているところです。
 一方で、先ほども申し上げましたが、海外ベンチャー等による日本での薬事開発、申請を促す観点から、薬事手続に関しまして、系統的、また、継続的な情報発信というのは行ってきておりませんでした。
ただ、最近のドラッグロスの指摘を受けまして、対応している部分もございます。例えば、下のほうに2つほど紹介しておりますけれども、左下は先ほどの医療上の必要性の高い未承認・薬適応外薬の検討会議のスキームにつきまして、英語で3ページほどのパンフレットを作成し、ホームページで公開しておるほか、JETRO等を通じて海外にも情報提供を行っております。
 また、右下は、PMDAのホームページに掲載しておりますけれども、ベンチャーに対するサポートということで30ページほどの資料を掲載しております。この中で日本の薬事制度に対する説明であったり、あるいは、薬価や市場についての魅力を発信するという形の情報提供を行ってきております。ただ、これらはいずれも部分的な対応にとどまっておりまして、組織的、継続的な形にまではまだ至っていないというところです。
 続きまして、5ページ、今後の取組について説明をさせていただきます。
 まず、PMDAの次期中期計画の方向性についてです。
 独立行政法人は5年ごとに中期計画を定めまして、業務上、重点的に取り組む事項を定めて、それに沿って業務を行っていくということになっております。PMDAにつきましては、ちょうど来年度、令和6年度から次期中期計画の時期となっておりまして、現在、それを作成している段階でございます。
 現在検討中の次期中期計画の方向性を一部抜粋させていただいております。「2.審査等業務」というところですが、赤字で記載をしております「④海外開発先行の革新的医薬品について日本での開発・導入に着手しやすくなる環境の整備と情報発信の強化」ということで、今回の課題を受けまして、業務の一つの柱として位置づけて取り組んでいくという方向性を打ち出しております。
 また「5.国際化の推進」というところについて、こちらは既存の取組の継続強化も含みますが、①では、PMDAの米国拠点、米国のオフィスの設置等を通じまして、海外ベンチャー等に対する我が国の薬事制度に関する情報発信を強化、また、②では、審査報告書の英訳版の作成強化など、引き続き取り組んでいく事項も記載をしております。
 続きまして、6ページです。こういった活動を実際に取り組んでいくためには、予算的な裏づけも必要となってまいります。こちらのスライドでは、来年度の予算要求の事業を書かせていただいております。「医薬品国内開発伴走事業」と銘打っておりますけれども、こちらは最近のドラッグロスの拡大に対応していくということをまさに目的としております。具体的には、海外の中小バイオ企業による日本での開発、薬事申請を促すため、米国等において英語で日本の薬事制度の情報発信や薬事の相談対応を無料で行っていくという、そのための必要な予算を要求しております。また、その一環といたしまして、米国のオフィスを設置するために必要な予算も一部盛り込んでおります。
 このような米国での拠点あるいは日本からの出張対応も含めまして、米国現地での学会やビジネス関係者が集まる場に行きまして、ブースの出展やプレゼンテーションの機会などを設けまして、日本の制度の発信や相談対応の窓口として取り組んでいきたいと思っております。
 次のスライド、7ページは、こちらも来年度の予算要求の内容ですけれども、アジア医薬品・医療機器薬事トレーニングセンター事業というものがございます。こちらは従来から取り組んでいるもので、必ずしもドラッグロスの解消というところに直接対応しているものではございませんが、PMDAの国際活動一つとして紹介をさせていただきます。
 アジアトレーニングセンターといいますのは、PMDAの職員がアジア各国の規制当局の担当者に対して、薬事に関する様々なトレーニングを提供するという活動です。これは各国から日本に来ていただくこともあれば、日本から現地へ出張して現地でトレーニングを行う場合もございます。
 この目的といたしましては、アジアの中での規制調和、これは国際的なICH等のスタンダードとなっている規制をアジアにも普及をして、アジアの中で規制の垣根のない場を目指していくという活動の一環であり、その結果として、日本で承認された医薬品等がアジア各国においてもスムーズに導入が進むことによるユニバーサル・ヘルス・カバレッジの向上という観点でも貢献するものとなっております。
 これに関しまして、来年度の要求事項としましては、1つはPMDAのアジア事務所、これはタイのバンコクを場所として想定しておりますけれども、これを設置いたしまして、そこを拠点としてさらに活動を強化していくこと。また、もう一つは、WHOとの協働ということで、先ほど申し上げた、日本で承認された医薬品が各国でスムーズに導入されていくというアライアンスという考え方ですけれども、これについてWHOがその仲介をするというプログラムがございます。このプログラムに日本も積極的に協力していくことによって、この活動をさらに押し進めていくということを目指しております。
 次のスライド、8ページ目以降は参考資料になりますけれども、簡単に説明させていただきます。
 まず「ベンチャー支援に関する厚労省の取組」ということで、薬事以外の面でどのようなベンチャー支援をこれまで行っているかを紹介させていただきます。
 次のスライド、9ページ目、まず、医療系ベンチャー・トータルサポート事業、「MEDISO」と呼んでいる事業がございます。これは医薬品医療機器等の開発を進めたいアカデミアやベンチャーに対して、様々な事業化に必要なサポート、支援を行っていくといった機能です。事業化のための戦略づくりとか知的財産関係、あるいはベンチャーキャピタルからの投資を持ってくるとか、大手企業とのマッチングなど、様々なサポート機能を持っておりまして、ベンチャーからの相談に対応しているというものです。こちらは、実際の相談件数としては年間200件ぐらい相談に対応しておりまして、ほとんどは国内のベンチャー企業なのですけれども、海外のベンチャーに対しても門戸を開いておりまして、海外からの相談実績もあると聞いております。
 次のスライド、10ページ目も、今申し上げた様々な支援が可能ということを示しております。
 11ページ目、このMEDISOについては海外も対象にしているということで、英語でのパンフレットなども作成をして海外への発信を行っているところです。
 12ページ目、ジャパン・ヘルスケアベンチャー・サミットというもので、平成29年度から毎年開催しております。これはベンチャー企業と製薬会社等のマッチング等を目的としたイベントでして、これは日本の企業だけではなく海外の企業も参加をしていると聞いております。こういった中で、海外の企業が日本で活動していく上での足がかりとなることも期待されるかと思っております。
 13ページ、医療技術実用化総合促進事業という事業の中の「医療系ベンチャー育成支援プログラム」というものがございます。これは日本の臨床研究中核病院が持つ研究開発支援機能、これを活用してベンチャーの活動を支援していくというものです。様々な臨床試験を実施する場合のプロトコルの作成とか薬事に関する相談対応、治験実施に関する協力など、そういった機能を提供しております。
 14ページ、今申し上げたこの医療系ベンチャー育成支援プログラムについても、海外からの問合せにも対応しておりますので、このような英語の資料を作成して、先ほど御紹介したヘルスケアベンチャー・サミットなどでも紹介をしているところです。
 15ページからは、もう一つの参考資料として、PMDAの国際活動についてです。
 16ページは、先ほど申し上げたアジアトレーニングセンターの説明となります。
 17ページも同様です。コロナが始まるまでは現地での対面でのトレーニングというものを基本としておりましたが、コロナの間、オンラインでの対応にならざるを得ない場面もございました。そういった経緯もありまして、オンラインでの様々な教材、eラーニングのツールなども拡充を進めているという形になっております。
 続いて、18ページ、日本が参照国制度の対象になっている主要国・地域ということで、一覧表をつけております。参照国制度というのは、先ほど少し申し上げましたが、ほかの国で既に承認されている場合に、その承認した審査結果を参照することによって、自国で簡略的な審査、迅速な審査を行う場合に、そのときに参照する国のことを参照国と呼んでおります。日本が参照国になっているということは、日本で承認されている場合、その医薬品等については、簡略的、迅速な審査が行われるということで、医薬品については、表の左側に記載したような国々で、このような日本を参照国とした制度が取り入れられております。
 続いて、19ページですが、これはアジアに限らず国際的な活動、様々な取組を紹介させていただいております。また、下半分からは、二国間のバイの関係でも、様々な国との間でシンポジウムや意見交換などを行ってきております。
 20ページも引き続き二国間の活動、あるいはアカデミアとの連携などを紹介させていただいております。
 以上、簡単ではありますけれども、今後の海外への情報発信について、このような形で取り組ませていただきたいと思っておりますので、御意見を頂戴できればと思っております。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございました。
 これに関しまして、先生方から御意見、御質問がございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。
 どうぞ。
○芦田構成員 芦田です。
 今、御説明がありましたように、PMDAがアメリカに事務所を設置して活動を始めるということについて、大変期待をしております。この点について2つほどコメントというか、お願いのようなことをしたいと思います。
 まず、1点目なのですけれども、アメリカの事務所に赴任される方々のマインドセットの切換えです。どういうことかというと、あくまでもこれは私の想像ですが、PMDAの方々は、これまで自らのことを売り込みに行くということはほとんどなかったのではないかと思います。しかし、これからはアメリカのベンチャー企業というかエマージングバイオファーマに日本の方に向いてもらわなければいけないということになりますので、受け身でそのような企業が来るのを待っているというよりは、むしろプロアクティブに出ていって日本のことを売り込んでいただくということが必要になると思います。そういう意味では、これまでとは180度違うような形になりますので、そのマインドセットの切換えが必要ではないかと思っています。
 2点目なのですけれども、ドラッグロスの原因になっているようなアメリカのベンチャー企業というかエマージングバイオファーマの方々にどんどん会って話を聞いていただきたいと思っています。ドラッグロスの大きな要因は、アメリカのエマージングバイオファーマが、アメリカでは開発するけれども日本では開発しないということです。それはそうだと思うのですが、では、これまでに多くのそのような企業に、なぜ日本に来ないのかということを直接会って話を聞いたことがどれくらいあるのかなと思うのです。
 6月に報告書がまとめられた有識者検討会でも様々な業界団体のお話を伺いました。日本の製薬協、アメリカのPhRMA、ヨーロッパのEFPIAなどにお話を伺いましたけれども、アメリカのエマージングバイオファーマの多くはどの団体にも所属はしていないのです。すなわち、直接そのような企業の話を聞いたということではないのだと思います。そういうこともあって、有識者検討会では、アメリカの希少疾患専門のアミカス・セラピューティクスの日本法人の方に来ていただいてお話を伺うことができました。メガファーマのお話と違うお話が聞けてよかったと思います。
 ただし、アミカス・セラピューティクスも日本法人を設立して、既に日本で開発をされているわけですから、日本にある意味コミットされた企業だと思います。これから我々が直接話を聞かなくてはいけないと思っているのは、まだ日本に来ていない、日本を向いていない企業ですので、アメリカに行かれた方々に、どしどしそのような企業に会っていただいて、彼らの考えを、直接生の声を聞いていただくということが必要ではないかと思います。今ここで議論されているような様々な対策についても、本当にどれだけ効果があるのかということについて、彼らに直接会って話を聞いて確認していただきたいと思っています。
 以上2点です。
○清田座長 ありがとうございました。
 この点につきまして、いかがでしょうか。
○次世代ワクチン等審査推進室長 それでは、まず医薬品審査管理課からコメントさせていただいて、必要があればPMDAからも補足をいただければと思います。
 まず、マインドリセットについては、御指摘の点は非常に重要かなと思っております。プロアクティブに積極的に外向きに情報発信、相談に乗っていくという姿勢は非常に大事だと思っております。
 海外についての対応はこれまであまり十分ではなかったのですけれども、国内の企業に対する対応としては、薬事戦略相談や、その後、名称をレギュラトリーサイエンス相談と変えておりますけれども、ベンチャーも含めて、どのような開発を、どのような試験を実施していけば、うまく薬事申請に結びつくかということを一緒に考えるといったような形の相談もこれまで取り組んできております。一昔前のように、申請されたものに対して単に良い悪いということを出すだけではなくて、相談に乗って一緒に考えていくという姿勢を、国内向けにはこれまでもある程度やってきたかと思っております。
 一方で、海外のベンチャー、日本に全く拠点がないようなところに対応していくということに関しては、これまで継続的な活動としてはなされていなかったと思いますので、今回、その点をしっかり強化していきたいと思っております。マインドを変えていくこと、その視点は非常に重要かと思っております。
 それから、実際に海外のベンチャーやEBPなどの声を聞くべしということも、全くそのとおりかと思っております。厚労省の職員も含めて、国内に全く拠点を持たない企業の方々と日常的にお会いして話をする機会というのは非常に少なかったのかなと思っております。海外のベンチャーといっても、日本に進出をしてきているところとはお話を伺う機会もありますけれども、全く我々が会社の名前も知らなかったようなところなどとは、やはり話を聞く機会はなかったと思っております。そういったところについては、日本で開発を進める上で何が支障になっているのかや、どういった取組が有効であるかというところについては、まさに彼らの本音をぜひ聞いていく、そういうことは非常に大事かなと思っておりますので、いただいた御意見を踏まえてしっかり取り組んでいきたいと思っております。
○清田座長 どうぞ。
○中村構成員 中村でございます。
 今月の頭、実はアメリカでI-ACT for Childrenという半官半民で立ち上げている小児のネットワークのトップが変わったのですけれども、その方は、実はもともと日本でグローバル企業の臨床開発をずっとやっていて、恐らくここの3分の2ぐらいの方は会ったことがある方なのです。その方が最初に言ったのが、日本にベンチャーは入ってきにくいよねと。だから、そこを何とか支援できるといいねというところで、私どもも厚労省の事業費で小児医薬品開発ネットワークをやっていますので、そこでも連携しますけれども、今話を聞いていて思ったのは、やはり日本で開発に関わったアメリカ人は、多分向こうに戻られた方もいっぱいいると思うのですけれども、そういう人たちは、いわゆる霞ヶ関文学を理解しているのです。どうやったら本当に日本で開発が進むかということを分かっていて、それはお役人とは話さないけれども、開発の人同士ではこういうことだよとかということを説明できるので、ぜひそういった方とコンタクトを取ってください。
 やはり日本に来たことがない人へ日本のことを説明するのは難しいのです。「日本人は全員朝御飯に納豆を食っているんだろう」とか平気で言われるので。そうではない、日本のことを知っている人にぜひ入っていただくのがよろしいかなと思います。もし、必要であれば、そのネットワークの方も御紹介します。恐らく協力してくれると思います。
 あと、PMDA米国事務所経費の補助率100分の50というのは、残りは相談料か何かで賄うということなのでしょうか。6ページのバイオテック・コンシェルジュ事業の拡充のところに、何か半分しか出さないみたいに書いてあるのですけれども。一番右下です。
○次世代ワクチン等審査推進室長 そうです。国費が50%ということで、半分はPMDAの自主財源です。
○中村構成員 PMDAの自主財源ですね。
○次世代ワクチン等審査推進室長 ただ、その原資は、遡れば手数料も含むということだと思いますけれども。
○中村構成員 あと、ぜひベンチャーの人が日本に来て相談したときも言葉の意味が分からないと勘違いして帰るということがあると思うので、そこは勘違いがないように、ぜひマインドセットを変えるというのは、おっしゃったとおり非常に重要だと思いますので、よろしくお願いします。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 ほかに。
 どうぞ。
○小川構成員 小川でございます。
 アメリカにPMDAの事務所をつくっていただけるということで、本当にありがとうございます。1回目、2回目の頃にお話しさせていただいた、一応相談に来たのだけれども断念したという海外のベンチャー企業がございましたけれども、実は、その企業はまだ諦めておりませんで、我々のところにコンタクトが最近ありまして、何とか日本にこれを入れたいのだけれどもどうしたらいいのかという相談を今月に入ってからまた受けたところでした。ですので、ぜひこれが進むように、私たちもできる協力をしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 今のはお礼ですけれども、一点だけ申し上げたいことがあります。
 日本が参照国になっているという18ページのところですが、日本が参照国制度の対象になっている医薬品という形で挙げていただいておりますが、日本自体が治験をしなくてよいと思っているわけでは全くございませんが、FDA、EMAで承認をされている極めて数の少ない患者さんに対する医薬品に関しましては、日本も米国や欧州を参照するということを少し御検討いただけるとありがたいと考えております。
○次世代ワクチン等審査推進室長 事務局から答えさせていただきます。
 日本が他国を参照する制度というのは、例えばパンデミックのときのような特例承認という制度はございます。これは欧米のような先進国で既に承認されているものについて、簡略的な承認の手続で日本に導入するというものでございます。ただ、一方、平時の制度としては、他国を参照するというものは現時点ではございません。一方で、この検討会の中で、ドラッグロス対策の観点から、これまでも様々な課題について御検討いただいてまいりましたし、今、小川先生から御指摘のありました、極めて患者数の少ないものについて、欧米で既にデータがあって承認されている場合、日本での治験がどの程度必要なのかといった議論については、一部、他国の承認実績とかデータを参照するという考え方に近いものがあるのかなと思っております。ですので、そのテーマを今後議論させていただく予定ですので、それも含めて実効性のある対策を進めていければと思っております。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○中村構成員 たびたびすみません、中村です。
 この参照国制度は、ここにも英語で同じものが載っているのですけれども、実際、日本のデータだけで承認されたケースはあるのでしょうか。あるいは大半がFDAとEMAが既に審査していて、その審査報告書がある後に、日本の審査報告書があっても、ほとんど多分実質上はFDAとEMAの審査報告書だけで、ついでに日本のものを見て承認みたいな、そのようにしかなっていないのではないかと勘ぐってしまうのですけれども、そこの辺りは実績としてどの程度参照されているか、何かデータをお持ちでしょうか。
○清田座長 データはありますか。
○次世代ワクチン等審査推進室長 事務局からお答えいたします。
 具体的にこういう医薬品でこういうことがあったとか、件数として何件あったかという情報は、今持ち合わせておりません。この参照国制度、いろいろな国で参照国制度があるのですが、日本だけを対象としているわけではなくて、日本と並んでアメリカとかEUとか、そういったものが並んでいる中に日本も入っているというケースもございますので、おっしゃるとおり、アメリカやEUでの結果を参照して導入しているケースも、それは当然あるかと思っております。
○清田座長 どうぞ。
○中村構成員 あと一つ、米国に事務所をつくって話すときに、日本でどんな治験が必要かというような御発言が先ほどありましたけれども、小児だとpediatric-cluster、FDAとかEMAと定期的に会議をしているわけで、でも、そこに審査チームが実際になかなか提案を上げてこなかったり、あるいは、日本で相談が来てないので、守秘義務があるので、日本は入れないとか、そういったことが大半だと聞いているので、そこ辺りまで踏み込んで、FDAとかEMAに相談するときに日本にも相談してよと。それだったら、FDAとEMAと協調してできるだけ負担をかけないようにするからとか、それぐらい踏み込んだことができると、かなりベンチャーにとって魅力的かなと思いまして、実際に運用は難しいかもしれませんけれども、ぜひ御検討いただければと思います。
○清田座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○PMDA国際部長 今の中村先生の御質問についてのお答えですけれども、資料の18枚目の右下に、医薬品簡略審査制度活用状況、ASEANの状況という記載がございます。ここにタイとインドネシアとフィリピン、それぞれ、3品目、1品目、3品目という記載がございますけれども、これらについては日本の審査報告書を参照しております。アメリカとかヨーロッパのものを全く参照していないかどうかというところはちょっと分からないですけれども、少なくとも日本の審査報告書を参照にしているというのがこちらの品目になります。
 あと、ここに記載はしていないのですけれども、台湾の場合は、日本と台湾の間で新薬審査スキームというものがございまして、これについては日本の審査報告書のみで使えるというスキームになっており、こちらについては、現時点で、4品目に対して使われているという状況でございます。
○中村構成員 ありがとうございます。
○清田座長 ほかに御質問は。
 どうぞ。
○柳本構成員 柳本でございます。
 PMDAの海外事務所は大変期待しております。芦田構成員がおっしゃったとおり、現地でお話を聞いていただければ出てくると思うのですけれども、やはり多くのベンチャー、資金も人的なリソースもグローバル展開のケーパビリティーもないという中で、ベンチャーだけに働きかけていても、実際、そこの意思を持ったところでやり切る力がないというところはあるかなと思いますので、そこを補完する、資金の出し手であるVCとか、あとは実際に展開を、導入も含めて代わりに担ってくれる製薬企業などにも働きかけるとか、そういったところのニーズもしっかり酌み上げていただけるといいのかなと思いますし、そういう企業の中には、当然現地だけではなく日系企業も対象に入ってくるのかなと思いますので、そういったところへの働きかけとか、ニーズの酌み取りというところも含めて広く対応いただけるといいのかなと思ってお伺いしておりました。
○清田座長 ウェブからの御質問が2名ございます。眞島構成員から伺います。
○眞島構成員 ありがとうございます。
 ワシントンDCにPMDAのオフィスが開くというのは大変うれしい話だなと思って聞いておりました。それで、日本企業の方が、やはりベンチャー系の方に日本市場を訴えて日本市場にぜひ商品を持ってきてくださいという話をされるみたいなのですけれども、ベンチャー系の企業にもいろいろあるかとは思うのですが、大変難しいという話を聞いております。先ほど小川先生のほうからは、そういっても欧米企業の中には日本市場に非常に興味あるところもあるんだというお話を聞いて、これはすばらしいなと思って聞いたのですが、やはり先ほど来お話が出ていますけれども、EMA、FDAと同じようにPMDAが米国にオフィスを開いて、すぐに相談に乗れるような、そういったような展開をしていかないと、ジャパン・パッシングは昔からありますけれども、ベンチャー系企業の方はなかなか日本を向いてくれないのではないかなということを我々は懸念しています。ぜひPMDAのワシントンオフィスは進めていただければなと思います。
 それで、1つ質問なのですけれども、以前からお話がありましたように、日本市場で承認を得れば、先ほど参照国制度のお話がありましたけれども、アジア市場がひらけるのですよといったようなスキームがあれば、まず最初に日本市場に働きかけてくれるのではないかなと我々は思ってしまうのですけれども、この制度を通して、そういったことが実現可能なのかどうか、ぜひ教えていただければと思います。
○清田座長 どなたがお答えしますか。
○次世代ワクチン等審査推進室長 事務局からお答えいたします。
 FDAやEMAとの連携が非常に重要だというのは全くそのとおりかと思っております。先ほど中村構成員からの御指摘にも、FDAとEMAが実施しているクラスター、いろいろなものがテレカンも含めて活動していると承知しております。小児がどうだったか、今、私は知識としてありませんが、その一部には日本も参加していると聞いておりますので、そういった形で引き続き欧米との連携は非常に重要かなと思っております。
 また、PMDAの米国事務所、ワシントンを、今、候補地として検討されていますけれども、その理由は、FDAとの連携強化という点も一つの要素として重視しているということがございます。また、EMAのほうには、PMDAからもリエゾンを派遣しておりまして、それぞれの当局との連携を強化するということは引き続き努めていきたいと思っております。
 それから、もう一点の御質問で、日本で承認された場合に、アジアに導入がしやすくなるということで、その結果として日本自体への海外製品の導入が進むということが期待されるのかどうかということですが、まさにこのアジアでの取組の一つはそういった効果も期待しているというところであります。
 今回の予算要求の中身の一つとして、7ページですけれども、先ほど2つの新しいことと申し上げたうちの一つは、WHOとの連携を強化するというところになります。これはまさに先進国で承認されたものを途上国が参照することによって自国に導入をしていくという、そこをWHOが橋渡しするプログラムでございます。これまでは、このプログラムにおいて、日本が積極的に参照される側として関わってはこなかったのですけれども、ここについても今後取り組んでいきたいということで、まさに構成員が御指摘のようなことが実現できるよう目指していきたいと思っております。
○清田座長 よろしいでしょうか。
○眞島構成員 ありがとうございます。
 前回、備蓄の利かない核医薬品に関しては、安定供給の観点からも国内での生産拠点の確保ということが重要で、海外企業に対して工場の誘致ができないかとお話をさせていただいたことがあったのですけれども、実は先週、企業が篠山工場に1000億ほど段階的に投資をして、日本での核医薬品の生産に乗り出すという報告がありましたので、シェアさせていただきます。
 私のほうから以上です。
○清田座長 ありがとうございました。
 もう一方、中島構成員から御質問がございます。
○中島構成員 ありがとうございます。
 私は、今、先ほどから話題なっているワシントンDCにいるのですけれども、現在、ワシントンでISOのTC215という医療情報の標準化の会議が行われていまして、たくさんのワーキンググループがあるのですが、私はその中で2つのワーキングループに出ています。いずれも日本から出ているのは企業、アカデミアだけなのです。それらは、自分たちの開発品のISO化に興味があるということで出ているのですが、全部を網羅しているわけではないです。ほかのワーキングループにどれぐらい行政の方がいるか分からないのですけれども、少なくともこの2つのワーキングループだけでも、特に中国は非常に優秀で、しかも、日本は、私のように年齢がいった人ばかりなのですけれども、若い人と高齢の人も含めて、明らかに戦略的に、自分たちで行くというよりは指示されてきている感じです。先ほどから、情報発信だけではなくて、プロアクティブに出ていってコミュニケーションをするということは非常に重要だと私も思います。
 例えば、今日などでも、今日というのは、今は既に朝の5時ですけれども、会議が終わったらみんなでビールを飲んで話すというようなことをやっているのです。そういうところからいろいろなことが生まれてくるのだろうと。情報発信も含めてですね。
 決してISOに行かないといけないと言っているわけではなくて、例えば国連とかWHOというのは国がかなりの予算を出しているわけで、そういうところはちゃんと派遣していると思いますけれども、このようにISOなどというのは、基本的には国際的にはボランティアでやっているわけですので、そういうところで、かつ、こういう創薬などで重要な会議体などに、ここにはなかなか、日本が予算化していないところにはあまり人を出していないのではないかと、これは私の偏見かもしれないのですけれども、そのように思います。
 一方で、中国のようなところは、標準を、まるで領地を取るかのようにどんどんどんどん進めていっている感じがして、そこのところがすごくこれから先不安であるとともに、日本はあまり若い人が来ていないので、中国はますます若い人がどんどん来て、どんどん経験を積んでいるということですので、ぜひ、そこの辺り、行政の考えをお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○清田座長 お答えできますか。
○次世代ワクチン等審査推進室長 事務局からお答えいたします。
 先生が御指摘のとおり国際標準を戦略的に取っていくというのは、産業政策としては非常に重要なところだと思っております。ISOということであれば、今、御紹介いただいたTCが具体的に何を議論している場というのは私は把握し切れておりませんが、医療機器などの分野では、国際標準について積極的に活動するような取組も行っております。そういったものがまだまだ足りないという御指摘かと受け止めさせていただきましたが、重要性を認識した上で、可能な対応を行ってまいりたいと思っております。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございました。
 中島先生、貴重な情報をどうもありがとうございます。
○中島構成員 私が来ているのは、まさに医療機器のTC215というところですけれども、残念ながらあまりそういう感じが。日本があまり優勢ではないので、ぜひこれからよろしくお願いします。
○清田座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○中村構成員 今、ワシントンの話が出たので、私も実は今月頭にワシントンに行っていまして、これはCritical Path Instituteというのがやっている、もともとは新生児の国際コンソーシアムだったのですけれども、今回はなぜかライソゾーム病とか1型糖尿病とか幾つかのワーキンググループを全部ごっちゃにしたサミットでしたけれども、残念ながらPMDAからは遠隔でお入りいただけただけで現地にお入りいただけませんでした。なぜかFDAのレギュレーターの中に一人私が入ってバイオマーカーの話を一生懸命しないといけないような状況になって非常に寂しいです。その場所はベンチャーの人がいっぱい来ているのです。やはり、この会議をきっかけとしてグローバルで日本も入った治験が前にも1つ、それから、今、もう一つ話がありますけれども、そういった話が出て、まさに中島直樹先生が言うように、TCじゃなくて対面で入って、その後、ネットワーキングをする中で「日本でもできるんだね」と、「じゃあ日本でもやろうか」という話が出てくるという意味でも、やはり規制当局の方にももっと出ていっていただきたい。漏れ聞くところによると、Critical Path Instituteは小児関係をの会議を来年度、日本でやりたいなと言っていますので、ぜひ前向きに御検討いただければと思います。やはり日本のプレゼンスが上がらないとベンチャーも日本に入ってこないと思います。
○清田座長 ありがとうございます。
 ほかに。
 どうぞ。
○柏谷構成員 柏谷です。
 コメントとお願いがございます。
 コメントとしましては、ワシントンオフィス、バンコクオフィスを開設して日本の薬事行政を世界に向けて発信していくというのはとてもすばらしい取組ですので、推進いただきたいと考えております。ただ、ここの検討会でも議論がありましたけれども、もオーファン指定の件とか、MRCT参画前の日本人P1の必要性というのは、これはグローバル的に非常に注目度の高い制度改正ということになります。こちらのところも積極的にインプットはしていただくものと考えておりますけれども、それだけ注目度の高い通知等になりますので、行政側の工数不足等々で、ふたを開けてみたら何らかの制限がかかっていたり、実施には時間がかかるということであっては、せっかくこのような舞台をつくっても結局無駄になってしまいますので、何とか工数不足によるような制限とか着手遅れということは避けていただきたいと考えております。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 よろしいですか。
○次世代ワクチン等審査推進室長 事務局からお答えいたします。
 御指摘のとおり、これまでこの検討会で様々なテーマを御議論いただいて、既に方向性を御了解いただいているものが幾つかございます。そういったものについて、通知等で明らかにしていくべく今作業しております。その作業は鋭意速やかに進めていきたいと思っております。
 また、そういった見直しの内容について、海外に発信していくことも、これも御指摘のとおり非常に重要な点だと思っております。単にアメリカにオフィスをつくれば、どんどん海外のベンチャーが来てくれるというわけではなくて、様々な取組を複合的に組み合わせることでようやく成果につながっていくものだと思っておりますので、御指摘の点を踏まえて必要な取組を進めていきたいと思っております。
○清田座長 ありがとうございます。
 佐藤先生。
○佐藤座長代理 佐藤ですけれども、英語で日本の薬事の情報発信というのは非常にすばらしいことだと思うのですが、あと、今から申し上げることは、国の仕事なのか薬事コンサルの仕事なのかというのはちょっと分からないのですが、日本の規制と海外の規制のギャップですね。両方の特定の国と日本の規制と比べて、個別事項におけるギャップを明らかにして、何が追加的に実施されれば日本で開発できるかということをあらかじめある程度共有しておくと、相談対応とか論点の整理とかがしやすいのではないかと思うのです。
 例えば6ページのところに、そういった分析みたいなところが計上されていないので、何かそういうのも考えていただいたほうがいいのかもしれないと思うのですけれども、ひょっとすると、それは薬事のコンサル会社の仕事なのかもしれなくて、その辺はどうお考えなのかなというところを確認したいのですけれども、いかがですか。
○清田座長 よろしいですか。
○次世代ワクチン等審査推進室長 事務局からお答えいたします。
 医薬品に関する規制で言えば、ICH等の国際的なガイドラインは日本も導入をしておりますので、大きなところではそんなに違いはないと理解をしております。その上でさらに違いがあるところという意味かと思いますけれども、そういったところを、例えば日米欧で比較したような資料、多分、民間の調査会社とかがつくったようなものは既にあるかもしれませんし、規制当局の内部においても、特定のトピックに関しては確認している部分もあるかと思っております。そういったものが海外のベンチャーに、日本での開発を進めていく上でどれぐらい有用なのかというところは、まだ私も肌感覚として分からない部分があるのですが、そこのニーズが高いということが、先ほど、御意見でいただいた海外からの生のベンチャーの声を聞いたり、そういうことを通じて、そういったニーズが高いということであれば、そういったものを作成していくということもあり得るのかなと思っています。
 今回の予算の中には、様々な広報・宣伝の資材のための予算を積んでおりますけれども、具体的にどういった中身のものをつくるかまでは、まだ特定しているわけではありませんので、その辺りは、確保できるリソースと、あとは、どういったものがニーズとして高いのかというところをよく見ながら、進めていきたいと思っております。
○佐藤座長代理 ありがとうございます。
 そうしたギャップについて、先ほどのベンチャーキャピタルのお話もありましたけれども、例えばベンチャーキャピタルもそうですし、それをベンチャーから引き継ぐ製薬会社もそうですし、あと、各国でベンチャーから当てにされているコンサル会社とかと共有していただくと話がうまく回るのではないかなという気はするので、御検討をよろしくお願いします。
○清田座長 ありがとうございます。
 どこまで国がやるのか大変だと思いますけれども、それを御検討いただくと。
 どうぞ。
○中村構成員 ちょっと別な話といいますか、関連してはいるのですけれども、参考資料のところで、例えばMEDISOの説明のところで、「海外のベンチャーからのコンタクト実績もあります」とさらっとおっしゃっているのですけれども、そこが具体的にどこまで支援ができて、どこまで行ったのか、あるいはどこで止まったのか、何が駄目だったのかという、現状のスキームでどこまでうまくいっていてどこが駄目かというところの分析はぜひ必要かなと思います。
 小川先生のお話を聞きながら、私も何度か小さい会社に付き合ったことがありますが、PMDAに行って、一度、駄目と言われたのではないかと勘違いしたみたいなことがあるので、そこの辺りがどういったように進んだかというのをしっかり現状分析をしたほうがいいと思います。なので、恐らく佐藤先生がおっしゃったところと似たようなところだと思います。
○清田座長 ありがとうございました。
○次世代ワクチン等審査推進室長 事務局からお答えいたします。
 MEDISOで海外の企業に対する支援の結果としてどういう成果があったというところまでは、今、情報は把握しておりませんが、確認しておきたいと思います。
 ただ、先ほど年間200件ぐらい相談があると申し上げたのですが、海外からの相談はまだ件数としては非常に少ないというところもございます。今後、薬事に関する情報発信をしていく中で、薬事に関する様々な相談には対応できても、それ以外の薬事以外のことについてはPMDAのみで対応できない部分も出てまいりますので、そういったところは、既存のこういったMEDISOなどにうまくつないでいくとか、そういうことによって包括的なサポートが実行可能ではないかと思っております。そういうところは、我々も横の連携を強めていく必要があると非常に感じておりますので、ぜひそういうことに注意して進めていきたいと思っております。
○清田座長 よろしいでしょうか。
 どうぞ。
○川上構成員 別の話になるのですけれども、海外向けの情報発信を強化されることは大いにやっていただければ良いかと思うのですが、海外でのよくある誤解というか、一方的な業界側からの見方になっている場合もあるので、情報発信も単なる制度の紹介だけでなく、誤解を解消するような説明も宜しいかと思います。
 具体的には、自分は薬食審で薬事承認の仕事もしていますけれども、中医協で薬価算定組織の仕事も10年ぐらいやっていたので、海外の方には、薬事規制のことのみならず薬価のこともよく聞かれます。その中で、「頑張って日本市場へ持っていっても、最類似薬と同じ薬価しか初回収載時はつきませんよね」とか、「その後も市場拡大再算定などで引き下げられて、企業として予見性がありませんよね」と、まさに言われることが中医協の薬価専門部会の業界ヒアリングの資料をそのまま英訳して、それが日本の真実だと思われているところがあるのです。
 「それは一つの見方かもしれないけれども、実態や制度はこうだよ」というように、日本の薬事制度と薬価制度に関して誤解されている部分をひもとくような追加的な説明があってもいいかと思うのです。制度紹介での情報発信の強化のみならず、積極的な能動的な情報提供も加えて行っていただくと、より日本のことを正確に御理解いただけるかと思う次第です。
 以上でございます。
○清田座長 ありがとうございます。
 難しいですね。
 どうぞ。
○次世代ワクチン等審査推進室長 事務局からお答えします。
 御指摘、ありがとうございます。おっしゃるとおり、教科書的な、一般的な情報発信だけではなくて、相手の誤解を解消する、あるいは、相手が必要としている情報を的確に届けるような上手なコミュニケーションが求められるのかなと思っております。そういうところは、新たに海外のベンチャーに対してこれから様々な取組を始めていこうという段階ですので、いろいろな試行錯誤をしながら情報発信の最適な形みたいなのがつくり上げられていくのかなと思っておりますので、御指摘のような観点をぜひ留意しながら取り組んでまいりたいと思っております。
 特に、日本の規制当局と関わりを持った一部の海外のベンチャーとかが悪い印象を持ったことが口コミで伝わって、それがかなり広がってしまうとか、そういうこともあるというのをこれまでのヒアリングの中で聞いたこともありますので、そういうところについては、まず、全体的な日本の情報発信の量を上げていくことと、あと、相手の誤解をうまく解消するような、相手に響くようなコミュニケーションの取り方とか、そういったことは非常に大事かと思っております。ありがとうございます。
○清田座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○PMDA執行役員 PMDAの田宮ですけれども、今、川上構成員からの御指摘に関連して、資料3の4ページでございますが、その右下のところにPMDAで作成した海外ベンチャー向けの国内開発紹介資料というのがございます。この中にも、まさに先生御指摘のとおり、薬事制度だけでなくて、例えば、日本における市場規模について特許のある新薬の市場であれば、全体の市場と違って増加傾向にあるとか、研究開発税制がどうなっているかとか、あるいは臨床試験を実施できる臨床研究中核病院がこういう活動をやっているとか、もちろん、先ほど御紹介あったMEDISOの話とか、そういった幅広い情報を盛り込んでおります。先ほど薬価制度の御指摘もありましたけれども、例えば日本の場合は、欧州などと違って承認されてから保険収載までの期間が非常に短いというところも一つ売りになろうかと思いますので、そういったことも含めて情報提供の資材等を作成していければと思っております。
○中村構成員 ちょうど読んできたのですけれども、今の資料の体裁だと、今の情報が、日本の魅力がパンパンパンと解りやすく箇条書きになっていなくて、あちこちに散らばっていて、むしろいろいろな日本語でつくった行政文書を英訳したのがばらばらって入っている中に時たま新しい情報が入っている状況なので、日本に来たらこんないいことがあるよみたいな、マーケティング的な宣伝も兼ねたような、昔のシンガポールの規制当局の人がうちで治験できるよと言っていたので、そこまではないにしても、そういった日本のメリットをもう二、三枚でばばっと出すようなものもつくっていただけるといいなと思います。
 これを見ていて、これはベンチャーのためと書いてあるのだけれども、それにしては本当にベンチャーが知りたいことがもしかしたら書いていないかとも思いました。
○PMDA執行役員 中村先生、そこはぜひサポートいただければと思います。
○清田座長 ほかにどなたか御意見はございますでしょうか。
 どうぞ。
○永井構成員 武蔵野大学の永井です。
 私も米国事務所の設置、もう一つタイでのアジア事務所の設置、とても期待しています。派遣に関して、人材的なことに関して、中島構成員からお話があったものと関係するのですけれども、PMDAは人事のキャリアパスも設定されているので、特に若手から中堅の背中をぜひ押していただいて、キャリアパスの中でも、米国等の事務所での勤務というのをしっかり位置づけていただけたらいいですし、若い人にはどんどん外に出ていってもらう。審査や相談等の経験を一通り積んだ人にどんどん出ていっていただくというのがいいのかなと思います。
 それから、もう一つ、この資料の中で、補助金の経費内訳として現地採用職員があるのですが、例えば、事務をやる人だけ採用するのではなく、米国に留学しているような方々で、例えば将来的には日本に戻るけれども、しばらくあちらで仕事をしてみたいというような人たちにとっては、PMDAの現地で仕事ができるというのも非常に魅力を感じるのではないかと思います。例えば、採用の上でも、専門的なことを習得した、現地の大学等でですね、そういう人も積極的に採用して、若い力でアメリカのベンチャー市場にも対応できるような体制にしていただけたらと思いました。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 ごもっともなことだろうと。
 まだですか。
○中村構成員 すみません。今日はしゃべり過ぎですけれども、中村です。
 いいのですけれども、日本のPMDAで審査しただけの人がアメリカに行っても、多分、向こうの人間をちゃんと説得できる英語をしゃべれないです。だって、ふだん審査のときに面談のときにそんな日本語を使っていない、審査報告書にもそんな日本語は使っていません。
 それから、アメリカに留学して短い日本人は多分無理だと思います。だから、そういった人を育てるのは大事だと思います。おっしゃっていることは非常に大事だと思うのですけれども、例えば、日本で開発の経験がある、日本でPMDAと何度も面談したことがあるようなアメリカ人の少し年配の方も入れるとか、セットにして指導して、そこで日本的なPMDAマインドだけではうまくいかない、グローバルだったらどうだというところを理解してもらう必要があると思います。だから、そこはぜひ混ぜることをお考えいただかないと無理だと思います。
○清田座長 話が壮大になってまいりましたけれども、今日はせっかく局長さんに御出席いただいておりますので、何か御意見をいただければと思います。
○医薬局長 城でございます。
 もとの、まさにグローバルからどうやって日本に来てもらうかということも含め、その検討会のところもやっていた関係で、この問題は非常に問題意識が高いところの一つではあるのですが、今お話しいただきましたように、どうやって日本に対して目を向けていないバイオベンチャーというか、向こうで少なくとも創薬に取りかかっている方たちに目を向けてもらうか。
 どうしたってアメリカの市場が一番で、彼らはアメリカで成功すればそれで成功なので、そして、その次に、当然、世界市場から見れば、イギリスが抜けましたけれどもEUに持っていって、それで世界の大半が押さえられるところで、自前で全部そこまでやる気は彼らはもともとないので、どこかと提携してやろうと思っていると。この人たちに、日本市場を、日本に最初から手をつけておくと後々お得だよ、高く売れるよでものいいのですけれども。高くてというのは会社自体がとか製品自体が売れると。
 このように思ってもらうためにどうするか、その足がかりになるというものの1つに、それだけではないのですけれども、それだけじゃないのですが、1つに、審査の体制の中身のやりにくさに対する誤解がまずあるだろうと。まず、この誤解を解くところからやらなくては駄目だよねという発想だったものですから、まずはPMDAで実際にアメリカに出ていって、直接話ができる。少なくとも、そこで日本の制度について間違いのない発信ができるというところから始めて、今日御意見いただいたみたいに、将来的には向こうでもっと手をつけてくればいいのですけれども、PMDAが日本へのリクルートをするというのは立場も違いますので、ここは審査当局ですから、そこは誤解を招かないようにはしつつですが、ほかの施策も相まってというところと、今日のお話をしっかりと実現できればなと思っております。
○清田座長 ありがとうございます。
 各方面からですね実りのある話を伺えたと思います。大体御理解いただいたという判断してよろしいですか。
 ありがとうございます。
 それでは、本日の検討会は以上ですけれども、事務局から何か御報告がございますでしょうか。
 活発な御議論をありがとうございました。
○次世代ワクチン等審査推進室長 次回の検討会につきましては、日程等が決まりましたら、また事務局より連絡をさせていただきます。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございました。
 それでは、これで終了といたします。