第26回 社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会 議事録

日時

令和5年10月23日(月) 15:00~17:30

場所

AP新橋
(東京都港区新橋1丁目12-9 新橋プレイス4F)
及び Web会議(ハイブリッド開催)

出席者(五十音順)

  • 朝比奈 ミカ
  • 池永 彰美
  • 浦野 正男
  • 大西 豊美
  • 岡部 卓
  • 奥田 知志
  • 勝部 麗子
  • 菊池 馨実
  • 五石 敬路
  • 駒村 康平
  • 佐保 昌一
  • 生水 裕美
  • 新保 美香
  • 竹田 匡
  • 堀 有喜衣
  • 宮本 太郎
  • 𠮷田 英人
  • 渡辺 由美子
  • 大江 賢一 (内堀雅雄委員の代理出席)
  • 出原 晋一郎(大森雅夫委員の代理出席)
  • 和田 秀幸 (岡崎誠也委員の代理出席)

議題

  1. (1)生活困窮者への自立相談支援及び被保護者への自立支援のあり方について
  2. (2)就労支援・家計改善支援等・居住支援・生活困窮者自立支援制度と生活保護制度との連携について
  3. (3)被保護者健康管理支援事業・医療扶助について
  4. (4)住宅確保要配慮者に対する居住支援機能の在り方に関する検討会における検討状況等について

議事

(議事録)
2023-10-23 第26回社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会
○河合室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより、第26回「社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会」を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、御多忙の折、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 初めに、事務局より本部会の取扱いについて御説明いたします。本部会の議事につきましては、公開となってございますが、会場での傍聴は報道機関の方のみとさせていただき、その他の傍聴希望者向けにYouTubeでライブ配信をしております。
 本部会では、これ以後の録音・録画を禁止させていただきますので、傍聴されている方々におかれましてはくれぐれも御注意のほどよろしくお願いいたします。
 会場の報道関係者の皆様におかれましては、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。
(カメラ退出)
○河合室長 ありがとうございます。それでは、以降の進行は菊池部会長にお願いいたします。
○菊池部会長 皆様、こんにちは。本日も大変お忙しい中、御参集いただきましてどうもありがとうございます。
 本日、新幹線の火災によって一時運転見合せがあり、複数の委員の皆様、予定変更を余儀なくされたと伺っておりまして、大変御苦労をおかけしております。
 それでは、最初に本日の委員の皆様の出欠状況ですが、今村委員から欠席の御連絡をいただいております。堀委員は30分程度遅れて御参加される予定と伺っています。また、会場にお越しの予定の勝部委員、奥田委員もまだ到着されていないようでございます。また、宮本委員におかれましては途中退席とお伺いしてございます。
 なお、内堀委員の代理として、福島県保健福祉部次長の大江参考人、大森委員の代理として、岡山市保健福祉局障害・生活福祉部生活保護・自立支援課長の出原参考人、岡崎委員の代理として、高知市健康福祉部福祉事務所長の和田参考人にそれぞれ御出席いただいております。
 また、本日の後半は「住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討会における検討状況等について」の議論を行うこととしており、検討会の大月座長及び国土交通省住宅局安心居住推進課の津曲課長に御出席いただく予定です。
 ということで、大江参考人、出原参考人、和田参考人、大月参考人、津曲参考人の御出席につき御承認いただければと思いますが、よろしいでしょうか。
(委員首肯)
○菊池部会長 ありがとうございます。出席委員につきましては、21名出席の予定となってございまして、社会保障審議令に定める定数を満たしておりますので、開催要件を満たしてございます。
 それではまず、議事に入らせていただきます。
 本日の議事は4つありまして、「生活困窮者への自立相談支援及び被保護者への自立支援のあり方について」「就労支援・家計改善支援・居住支援・生活困窮者自立支援制度と生活保護制度との連携について」「医療扶助・被保護者健康管理支援事業について」、そして、「住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討会における検討状況等について」でございます。
 やや盛りだくさんでございますが、進め方といたしましては、まず最初の3つの議題につきまして事務局からまとめて御説明をいただきまして、その後、質疑応答及び意見交換の時間とさせていただきます。
 その後、休憩を挟みまして、後半、居住支援機能等のあり方に関する議題について、大月参考人及び事務局からの御説明の後、質疑応答及び意見交換という流れで進めさせていただきます。
 それでは、まず初めに事務局から議事(1)から(3)までについて御説明をお願いいたします。
○河合室長 ありがとうございます。保護事業室長でございます。
 それでは、まず資料1から資料4をお手元に御用意いただけますでしょうか。
 まず、本日御議論いただく項目につきまして、資料1の「これまでの議論の整理(中間まとめ)の主なポイント」を用いて簡単に御説明させていただきます。こちらは前回の当部会でも参考資料としてお示ししております中間まとめの概要でございます。
 本日はこの資料の「II 各論」に赤字を付している部分に関する事項について御議論いただきたく存じます。資料2から資料4までをまとめて御説明させていただきますので、その際、適宜この資料1も併せて御覧いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、右肩に資料2と書いてある資料をお願いいたします。「生活困窮者への自立相談支援及び被保護者への自立支援のあり方について」という表題でございます。
 こちらは、おめくりいただきまして、「関係機関との連携の強化」といたしまして、生活困窮者自立支援制度における支援会議の努力義務化と生活保護制度における会議体の設置について御提案するものでございます。
 「見直しの必要性」を御覧ください。生活困窮者と被保護者に共通することといたしまして、多様で複雑な課題を有する方が多いと理解しているところでございますが、このような方々に対しては、地域の関係機関が連携し、情報を共有しつつ支援を行うことが重要であると考えております。
 その上で、このような機能を有する困窮制度の支援会議について現状を見てまいりますと、「設置済み」又は「設置予定あり」とする自治体は約4割にとどまっているところでございます。
 また、生活保護制度におきましては、ケースワーカーが被保護世帯全体の課題を把握した上で関係機関と調整し、必要な支援・サービスにつなげていくというコーディネート機能を果たしていくことが求められているところですが、現状、関係機関との支援の調整ですとか情報共有を行うための枠組みがない状況でございます。
 これらを踏まえまして、「見直しの方向性(案)」というところでございますけれども、困窮制度と生活保護制度それぞれについて考え方をお示ししております。まず、困窮制度でございますが、こちらの支援会議につきまして、全ての自治体での設置を目指し、まずは類似の会議体と同様に、その設置を努力義務化する方向で検討を進めていきます。これに加えて、現在、支援会議を設置していない自治体に対する支援といたしまして2つございますが、1つは、既に設置している自治体での立上げ経緯や、設置の際に創意工夫等を行った事例の収集・周知、もう1つが他制度に基づく同様の趣旨・目的の会議体との効率的な開催方法等についての周知などの取組を行うことを検討しております。
 続きまして生活保護制度でございますが、こちらにつきましては、専門的な支援を外部から取り入れることで支援の質が向上することを目指しまして、関係機関との支援の調整や情報共有を行うための枠組みとして会議体を設置することができる旨の規定を設けること。その際、被保護者の情報の関係機関での共有の際、関係者に対して守秘義務をかけることを検討しております。
 次に、その両制度における会議体の一体的運営という部分でございますが、困窮制度の支援会議につきましては、これまで生活困窮が疑われる者の情報共有や地域課題解決に向けた体制整備のために活用されてまいりましたが、支援開始後もより適切に関係機関と情報共有し、支援の質を高めるものとして、専門的な支援を外部から取り入れるといった機能についても併せて推進してまいります。
 次に、生活保護制度における新たな会議体の設置に当たっては、困窮制度の支援会議と一体的に運営することを推進していきたいと考えております。
 また、両制度における各会議体を運営していく上で重層的支援体制整備事業における支援会議を活用することに加え、令和6年度から設置される孤独・孤立対策地域協議会との連携についても検討することとしたいと考えてございます。
 資料2の説明につきましては以上でございます。
○米田室長 生活困窮者自立支援室長でございます。
 続いて、資料3を御覧ください。本資料では、就労準備支援事業、家計改善支援事業、一時生活支援事業、そして、生活困窮者自立支援制度と生活保護制度との連携について説明いたします。
 まず、1ページでございます。「就労準備支援事業・家計改善支援事業の実施の義務化」についてです。上の「見直しの必要性」のところですけれども、2つ目の○、令和6年度までに事業実施する予定がないとしている自治体に対して理由等をお聞きしたところ、事業を実施していない自治体でも、事業の対象となり得る生活困窮者は存在しており、事業の潜在的ニーズがあること。また、他の制度に基づく支援等では、支援内容や効果等が十分ではない場合があることから、就労準備支援事業、家計改善支援事業により適切かつ着実な支援を行う必要があると考えられることなどが確認できました。
 このアンケート結果も踏まえ、対象者が全国どこに居住していても、就労準備支援事業、家計改善支援事業による支援を受けられるようにするための方策を講じる必要があると考えております。このため、「見直しの方向性(案)」として、就労準備支援事業、家計改善支援事業については実施を義務化する方向で検討を進めていきたいと考えております。
 その際、事業を実施していない自治体に対する支援として、事業を実施する際の参考となるような事例の収集・周知、自治体コンサルティング事業、こちらは各地で先進的な取組をしていたり、長い経験を有する専門スタッフを国から自治体に派遣して、ノウハウの伝達やアドバイスの提供等の個別支援を行うという事業でございますが、この自治体コンサルティング事業の充実。また、都道府県に対する広域実施に向けた働きかけといった取組を行っていくことを考えております。
 続きまして2ページでございます。「シェルター事業又は地域居住支援事業の実施の努力義務化」についてです。上の「見直しの必要性」のところでございます。2つ目の○です。シェルター事業と地域居住支援事業についても、令和6年度までに実施する予定がないとしている自治体に対して、その理由等をお聞きいたしました。
 そうしますと、事業の潜在的ニーズがあること、また、他の制度に基づく支援等ではなく、シェルター事業と地域居住支援事業により適切かつ着実な支援を行う必要があると考えられることなどが確認できました。このため、地域の実情に応じて必要となる事業の実施を全国的に推進し、住まいのリスクに対するセーフティネットの整備が図られるようにしていくことが必要であると考えております。
 下の「見直しの方向性(案)」のところでございますが、一時生活支援事業については、地域の実情に応じてシェルター事業及び地域居住支援事業のうち必要な事業を実施するよう、努力義務化する方向で検討を進めていきたいと考えております。
 また、事業の名称については、シェルター事業と地域居住支援事業がパラレルの関係に位置づけられることから、「居住支援事業」に改める方向で検討を進めていきたいと考えております。その際、事業を実施していない自治体に対する支援として、就労準備支援事業、家計改善支援事業と同様でありますが、事業を実施する際の参考となるような事例の収集・周知、自治体コンサルティング事業の充実、都道府県に対する広域実施に向けた働きかけなどの取組を行っていくということを考えております。
 最後に3ページ、「生活困窮者自立支援制度・生活保護制度の事業の一体実施」についてです。まず、「見直しの必要性」のところでございますが、中間まとめでは、より多くの被保護者が就労準備支援事業、家計改善支援事業及び地域での居宅移行等に向けた継続的な支援を受けられるようにすること。被保護者就労準備支援事業等の実施に代えて、生活困窮者就労準備支援事業等の中で被保護者も支援できるようにする方向で検討を進めることなどが示されておりました。
 このため、「見直しの方向性(案)」として、まず、被保護者向けの就労準備支援事業、家計改善支援事業、地域移行に向けた居住支援については、任意事業として法定化する方向で検討を進めたいと考えております。
 その上で、自治体に対して、各自治体で生活困窮者向けの事業を実施している事業者において、被保護者向けの事業も実施することを推奨すること。それぞれ別の事業者が事業実施する場合には、両制度間の連携強化を図ることを推進することを行っていきたいと考えております。
 さらに、被保護者向けの事業の実施に代えて、生活困窮者向けの事業を被保護者に対しても実施することを可能とすることを検討していきたいと考えております。その際、被保護者が生活困窮者向けの事業に参加する場合でも、保護の実施機関である福祉事務所が継続して関与する仕組みを併せて検討することを考えております。
 資料3については以上でございます。
○河合室長 それでは、続きまして資料4を御用意ください。「医療扶助・被保護者健康管理支援事業について」でございます。
 こちらですけれども、医療扶助につきましては昨年より審議会で御議論いただいているとおりでございますが、生活保護費の約半分を現状占めている中で、これまでも後発医薬品の使用原則化ですとか頻回受診対策など様々な取組を進めてきているところでございます。一方、都道府県ごとに医療扶助費に大きな偏りがあることですとか、医療扶助や被保護者健康管理支援事業の取組状況について、各福祉事務所間において地域差が生じていることが分かっております。
 このような前提のもと、「見直しの必要性」を御覧いただければと思いますけれども、中間まとめにおきましては、都道府県から市町村に対する広域的な観点からの支援を行う必要があるとの認識のもと、都道府県の医療に係る専門的知識をバックアップし、市町村への支援を強化する体制整備として、現行の医療扶助審議会の機能や構成を見直し、都道府県の医学的な専門的知識を補い、広域的な観点から管内市町村に対する必要な助言その他の援助を行うための会議体を都道府県に設置する方向で検討していくことが必要であるとされたところでございます。
 中間まとめに至る議論の経緯ですとか、その後に実施した関係機関に対するヒアリングを踏まえた上で、「見直しの方向性(案)」のところでございますけれども、市町村における医療扶助や健康管理支援事業の適切な実施に向け、データによる課題分析、事業評価などPDCAサイクルを用いた効果的な運営を進めていくことが重要であるとの認識のもと、必要となる国と都道府県による支援といたしまして、まず、都道府県におきましては、広域的な観点から、市町村に対して取組目標の設定・評価やデータ分析に係る必要な助言その他の援助を行うこと。それに際し、国におきましては、必要な都道府県へのデータ提供ですとか分析等に係る体制整備の支援を行うことを推進することとしたいと考えております。
 都道府県から市町村に対する支援につきましては、中間まとめ以降、関係機関に対してヒアリングを実施したところでございますけれども、下のポツでございますが、有識者の知見も踏まえた分析データを都道府県から市町村に共有することは、当該市町村における特徴の把握につながるとともに、データに基づく優先的な課題を検討するに当たって有益な情報となるため、そのような体制整備を推進することが必要であるとの御意見をいただいたところでございます。
 その上で、医療関係者や学識経験者などの専門的知見を確保するための手法といたしましては、これまで当部会で御提案してまいりました会議体の設置につきましては、その開催自体が目的化し、形骸化するおそれがあるのではないかといったような御意見もあったことを踏まえ、都道府県による市町村に対する支援については必須化としつつ、各自治体の状況に応じて会議体の設置以外の手法も含めて選択できる方向で検討することとしてはどうかと考えてございます。
 また、国から都道府県に対する支援につきましては、データの提供のほか、データ分析等に係る体制整備の支援といたしまして、今年度、国の事業におきまして実施しております医療情報の地域差や経年変化を「見える化」するツールですとかデータ活用マニュアルの作成を行う予定であること。それを踏まえ、来年度でございますが、都道府県職員向けの研修を実施するための予算要求をしているところであること。また、都道府県による市町村支援に対し国として必要な支援も検討することとしたいと考えてございます。
 これら国と都道府県が医療扶助・健康管理支援事業の支援を行うことにより期待される効果といたしましては、最後の○のポツ3つでございますけれども、市町村における健診受診率の向上ですとか生活習慣病対策の取組がより進められること、また、多剤投薬の適正化などの取組が効果的に進められること、そして住民の健康課題の把握ですとか重症化予防につながるとともに、住民の適切な診療等につながることなどの効果が期待されると考えてございます。
 事務局からの説明につきましては以上となります。御議論のほどよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございました。
 それでは、これから質疑応答、意見交換の時間を設けさせていただきます。
 また、恐縮なのですが、御意見、御質問につきましては1回当たり3分を目安にいただけますようお願いいたします。3分経過した時点でベルを1回鳴らし、オンラインの方にはチャットでもお知らせしますので、御発言を速やかにおまとめいただけますと幸いでございます。
 なお、本日、議題前半と後半に分かれており、大月参考人には後半のみ御出席いただくこととしております。後半の時間も確保できるように、前半の意見交換は16時30分を目安に、最長でも16時40分までとできればと考えてございます。大月先生の御都合もございますので、どうか御理解・御協力のほどよろしくお願い申し上げます。議論の流れ次第ですけれども、前半でどうしても言い残したということがあれば、後半の議論を行った後、また戻って御発言いただくという機会も考えてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それではお願いしたいと思いますが、まず、いつものように、対面御参加いただいている委員の皆様、その後にオンラインの皆様という順で指名させていただきます。オンラインの皆様は挙手ボタンでお知らせください。それでは、対面参加の皆様、もしなければパスしていただいて結構ですが、勝部委員は来られたばかりなので、すみませんが、渡辺委員から時計回りにお願いできれば幸いでございます。
○渡辺委員 ありがとうございます。トップバッターをいただいて大変恐縮ですが、私は、この生活困窮者自立支援制度と生活保護制度事業の一体事業化について、これは非常にいいことだなと思っておりまして、私どもが支援している、いわゆる困窮する独り親家庭みたいなものは、何度も申し上げているように、生活保護以下の収入ですけれども、生活保護には絶対につながらないということがあって、これをどうしていくのだと。
 今も私どものほうに、仕事をクビになってしまったので、児童扶養手当と児童手当だけで生活していますみたいなことが来る中で、生活保護がいいのですよと言っても、その生活保護という名称ですとかそういったことで忌避される方がいる中で、ちょっとお困りだったら、まず区役所のくらしとしごとの相談センターに行ってくださいとか、それぞれの名称があると思うので、そういったところに相談に行ってみてくださいということで、相談に行った先から生活保護につながって、保護を受けながら就労支援とか家計相談とかで生活の立て直しをして、保護から抜けていく。
 ちょっと生活困窮の自立で見守りながら、自立していくまで見ていただけるみたいな流れができると、本当に何度も申し上げている入りやすく出やすい生活保護の端緒になるかもしれないなという可能性に期待を持っておりまして、本当に現金給付がないとどうしようもない方々がいる中で、その新しい現金給付の制度ができない中では、これをどううまく使っていくかということと、あと、残念ながら、生活保護制度は認知度が高いのですけれども、生活困窮者自立支援制度に関しては非常に皆様が認知されていない中で相談に行きづらいということがございますので、この認知をどうしていくか。生活困窮者自立支援というのはなかなか堅い名称なので、生活サポート事業とか生活応援事業とか、そのような名称にしていただいて、割と相談しやすく入っていって、実態に合わせて、保護を使ったりだとか、そうでなくしたりだとか、ということにつながるようになるといいなと期待を持って思っております。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。それでは、宮本委員、いかがでしょうか。
○宮本委員 前回、教授会と時間がぴったり重なってしまい、欠席になってしまって申し訳ございませんでした。今日もちょっと事情で、やや早く退出させていただくことになるのですけれども、本来、前回の会議の冒頭申し上げるべきことだったのかもしれませんけれども、少し大きな視点からのお話をさせていただきたいと思ってございます。
 今日の3つの資料でお話しいただいたことそれぞれについては、何ら異論がないばかりか、ぜひとも具体的な施策としてはこのような形でお進めいただければと思うのですけれども、同時に、生活保護と生活困窮者自立支援制度の連携を強めていくという際には、それぞれの制度の独自性、そして、もっと言うならば、日本の社会保障制度の全体の中での固有の役割をしっかり踏まえ、それぞれがその特徴を十分に発揮できるような形で進めていくべきではないかと思っております。
 そのように考えたときに、今日、日本の社会保障全体に関わる大きな改革が進行しているわけですけれども、その中で生活困窮者自立支援制度の独自のポジションが大変見えにくくなってしまっていて、生活保護と連携していくのはいいのだけれども、生困はもう一方で社会保険制度と、こういう言い方がいいかどうか分かりませんけれども、メインストリームの諸制度としっかり連携し、両者をつないでいくはずだったのだけれども、後者の接点というのがどうも見えてこない。
 といいますのも、御存じのように、この間、日本の社会保障に関しては、この6月にいわゆる異次元の少子化対策がまとめられた、こども未来戦略方針がまとめられたわけでございます。それに先立って、昨年の12月には、全世代型社会保障構築会議の報告書が公にされたわけですけれども、いずれの文書においても、「生活困窮者自立支援制度」という言葉は全く出てきません。正確にいうならば、生活困窮者自立支援制度、全世代型の報告書の最後のページに、住宅支援に関わって1回だけ出てくるのですけれども、その制度の役割を位置づけるようなコンテキストとしては出てこないわけであります。
 もちろん、問題の次元が全く違うならばこれはやむを得ない。ところが、そうは思えないのですね。ここでこそ生活困窮者自立支援制度が出てこなければいけないという場面になぜか登場しないわけであります。
 例えばこども未来戦略方針に関して言うならば、低所得で結婚できない世代が増大して、この経済的支援がなければ少子化にならないのだと。確かに現行の提案も有意義ではあるのだけれども、すみません、ちょっと今日は確信犯で、有意義ではあるのですけれども、しかしながら、その大前提として、若い世代の所得を上げていかなければいけない。方針にも書いてあります。リスキリングと書いてあるわけですね。
 ところが、リスキリングというのは、御存じのように、人材育成支援助成金600億円ついていますけれども、これは大きな会社で働いていて、新しい事業を展開する際の会社に対する支援であります。本当に地域で新しい技能を身につけて頑張らなければいけない人たちに届く制度というのはどうなのだろうか。例えば就労準備支援事業というのはここで出てこなければいけないのではないだろうかというときに、出てこないわけであります。
 それから、全世代型社会保障構築会議の報告書では、勤労者皆保険ということを言っていて、これも非常に重要なテーマであります。日本はもともと皆保険・皆年金であったわけで、その制度のほころびが、つまり、そこでカバーできない人たちが増えている、ここをいかに押し上げるかというところが問われているはずです。日本の皆保険・皆年金というのは、厚生労働省の先輩たちが大変な御尽力をされて、ある意味では、社会保険と公的扶助を部分的に連携させようという提起もある中で、さすがにレバレッジ的な二層制というのは維持されましたけれども、多額の税を投入して、本来社会保険に加入できないような人たちを下支えして皆保険を実現してきた、そこにほころびが見えているわけですね。
 ここでは当然、生活困窮者自立支援制度、これは社会保険と公的扶助をつなぐ第二のセーフティネットと位置づけられていたわけで、第一のセーフティネットのほころびに対しては、この第二のセーフティネットの出番であるはずなのですけれども、ここでも全く登場しないということになってしまっています。
 こうした中で、今、社会保障改革全体の中で、この生活困窮者自立支援制度、部会長は、例えば憲法13条的な制度と25条的な制度という形で役割分担を論じられていると思いますけれども、この13条的な制度がその固有の力を発揮する条件を示した上で25条的な制度との連携というのを進めていく。その枠がないと、繰り返しになりますが、一つ一つの御提案には賛同するのですけれども、だんだんこの生困と生保の境界線が曖昧なまま一体化してしまって、本当に少子化対策も全世代型社会保障も、そこを構築しなければいけない、そこを支えなければいけないというこの制度本来の役割が発揮できなくなっていくという懸念、これを思っております。
 大変抽象的な物言いで大変申し訳ないのですけれども、ぜひ中間まとめでは生困と生保との対象における固有の役割というのをしっかり打ち出していただけないかと思ってございます。
 確信犯的に時間を過ぎてしまって申し訳ございませんでしたが、以上であります。
○菊池部会長 ありがとうございます。いろいろ御指摘いただきましたが、全世代型社会保障構築会議で生困が余り出てきていない、これは私にも責任の一端があるなと思って、以後の議論で十分留意したいと思います。ありがとうございます。
 それでは、佐保委員、お願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。まず、全体的な話をさせていただきますと、生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の連携について異論はございません。ただ、今ほど宮本委員がおっしゃったように、それぞれの制度がしっかりした役割を果たしてこその連携だと思いますので、連携ということだけが前面に押し出されて、それぞれの制度がおろそかにならないよう、注意が必要ではないかと思っております。
 今日の資料の中で2点ほど具体的に申し上げたいと思います。
 まず1点目ですが、資料3の1ページ、就労準備支援事業と家計改善支援事業の見直しの方向性の中で、現在未実施の自治体に対する事業立上げの支援として「自治体コンサルティング事業」の充実が示されておりますが、このコンサルティングという言葉に少し違和感がございます。現在、そういったことはないと思いますが、以前、自治体の計画を外注したところ、同じ事業者が作成した計画があちらこちらで同じような内容になってしまった事象があったことを記憶しております。コンサルティング会社による支援が均一的なものではなく、地域の実態に合ったものになるよう、国としても十分配慮していただきたいと考えております。
 次に2点目です。資料4の1ページ、医療扶助・被保護者健康管理支援事業の見直しの方向性において、都道府県による市町村への支援が打ち出されておりますが、「平成の大合併」で市町村合併が進んだ地域では市町村の規模が以前よりぐんと大きくなった一方、都道府県の保健所機能がスリム化されたことにも留意する必要があるのではないかと考えております。こうした事業においては、生活実態を知るケースワーカーと市町村の保健医療専門職である保健師や保健部局との連携強化を図るべきであり、そのための後押しも国にお願いしたいと考えております。
 私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。それでは、サイドが変わりまして、池永委員、よろしければ、いかがでしょうか。
○池永委員 全国民生委員児童委員協議会の池永でございます。
 議事の1から3についてですけれども、前半の生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の連携に関することで私がお話ししたいことは、これまでと同様で、生活困窮者支援のための様々な制度や事業、関係機関との役割を分かりやすく説明していただきたいということです。制度や事業の概要を分かりやすく説明いただき、困っている方がより支援につながりやすい地域づくりのために私たち民生委員も力になりたいと思っております。
 続いて、資料4の被保護者健康管理支援事業、医療扶助についてです。今回の会議資料では、都道府県による、市町村に対する支援についての見直しの方向性案が示されていますが、本事業で重要なことは、スライドの2になると思いますけれども、下のほうに線が引いてあるとおり、被保護者の方が適切な診療につながることだと思っております。
 医療扶助については、令和5年度中にマイナンバーカードによるオンライン資格確認が導入されると聞いております。令和6年秋には健康保険証の廃止という話もありますが、福祉事務所が紙で発行している医療券の併用はそれからも続けられるのでしょうか。この会議であまりマイナンバーカードのことが出ていないということは承知しておりますけれども、被保護者の方と接している中では、マイナンバーカードの取得を望んだとしても、手続などが難しい方も多いように感じます。また、マイナンバーカードの取得自体を望まない方、そもそもの仕組みの変更が伝わっていない方もいると考えられます。
 いずれにしても、福祉事務所の事務手続の簡素化によって、被保護者の方が必要となる医療扶助を利用した適切な診療が受けられなくなることのないような仕組みづくりが望ましいと考えておりますので、よろしくお願いします。
 私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。それでは、岡部委員、お願いします。
○岡部委員 宮本委員の社会保障全体の中での議論が必要という点に私も賛同いたします。とりわけ貧困対策である生活保護制度の固有性、そして、主として低所得者対策としてある生活困窮者自立支援制度の固有性、そしてそれらがどのような領域、守備範囲で、協働、また連携していくのかを前段の議論が必要であると思います。またそういう議論ができれば、宮本委員が述べられた、第一のセーフティネットの社会保険の中で漏れたものは第二のセーフティネットがカバーする、そして最後はセーフティネットである生活保護制度がどうカバーするかにつながってきます。そういうことも含め全体でどう考えていくのかが必要と考えます。
 基本的には、今日御提案があったことについては、賛同いたします。その上で、生活保護と関連専門職、関係機関、団体との連携については、これまでいろいろと調査の結果も出されており、ケースワーカーの方は極めて業務の負担感を感じています。さらには、援助・支援についてもばらつきが見られます。その中で支援の質を高める、あるいは業務の効率化を図る上で連携を図っていく、また情報共有や相互調整を図っていく上ではそういう場が必要であると考えております。そこでどういうことを行うか、より詰めていかなければいけないと思います。基本的にこの方向で進めていただければと考えます。
○菊池部会長 ありがとうございました。たった今、奥田委員御到着ですので、ちょっとお休みいただくことにいたしまして、勝部委員、お願いします。
○勝部委員 まず、支援会議のことですが、前回も申し上げましたが、日本の社会保障制度が措置から契約に移ったことで、御自身でなかなかSOSを出せない人であったり、周りから困ったように見えている人たちへのアプローチというのが本当にしにくくなっているわけで、そういう意味では、本人の同意がなくても、周りから見て大変な人たちを支えていくというこの支援会議というのはとても重要なのですが、ここへの必要性がなかなか見受けられないとかあまり実感がないということは、ひょっとすると、断らない相談をつくっても、そこまで届いていない、住民力も含めてそういう現状があるのではないかと、発見力のところのいろいろな課題があるのではないかなとも思います。
 さらには、最近いろんな支援機関の会議や研修会に出させてもらう中で、支援会議の運営であったり、それから重層のほうの会議ですね。そういうところの多機関協働の会議などが、今度は自治体が先導してやるようになると、そこのコントロールによって会議が開かれたり開かれなかったり、そこでまたこぼれていくとか、必要性が現場とまた若干違う角度で運営されているということで、支援会議待ちみたいなことが起きているという実態も多々聞いております。ぜひここが現場に沿ったもの、当事者に寄り添った命を助ける支援会議であってほしいということを願います。
 2つ目は、就労と家計の問題、必須化はとても大事だと思うのですけれども、それよりも何よりも、自立も含めて、今、生活困窮者自立支援法は、格差が非常に広がっていて、同じ名前ですけれども、やっていることが随分違うとか、アウトリーチはうちはやってもらえませんとか、ひきこもりの問題でも、うちはそのような方針はありませんなどということが随分格差が広がっているということがあり、特にこの間、離島の方々などとお話しする機会があったのですが、移住者なども今どんどん地方へ移っていく中で、成功事例もありますが、やはり困窮されていく方々への、今まで経験のない対応みたいなことができていまして、できれば、こういうのは地域づくり、まちづくり協力員みたいな感じで、国から人材がなかなか確保できない問題があるようですので、応援隊が行くような、何かそういう方向もつくって、全体の底上げを図るような対応が必要ではないかなと思っています。
 3点目です。生活困窮者自立支援法と生活保護の一体的なということ、重なり合うはいいのですけれども、やはり独自性があるというのは先ほど宮本先生おっしゃったとおりで、アウトリーチをするとか、それから、予防的な人たちを支援していこうという生活困窮の立場と、申請主義で、来た人たちを最低限の保障をしていこうという発想では随分違いまして、8050などの支援でやっと社会参加ができて、これから独り暮らしをして頑張ろうというときに就労不可が出たら、もう働かないで、そのままでいいですということで、家でまた孤立化してしまうような、そういう連動が出てくると、やはり連携にはならないような気がするのです。
 そのためには、しっかりと、同じように考えていけるような研修体制を、歴史のある生活保護ですから、もう本気でやらないとなかなか、人も代わりますので、追いつかないような気がいたします。連携をするのであれば、同じ自立化に向けた研修体制をしっかり取るべきではないかなということを再度お願いしたいと思います。
○菊池部会長 ありがとうございます。それでは、奥田委員は後ほどということにさせていただきますので、次に、オンライン参加の皆様で御発言をお願いいたします。
 それでは、生水委員からお願いします。
○生水委員 生水です。今日は、会場に行けず本当に残念ですが、オンラインでも頑張りますので、お願いします。
 2点あります。1点目は支援会議についてですけれども、大阪市西淀川区の支援会議開催の状況についてという資料を西淀川区の御協力により提出しておりますので、御覧いただければと思います。西淀川区では支援会議を有効に活用されておりまして、毎回、会議後に参加者に対しアンケートを取られています。支援会議の謳歌について現場の声を紹介しますと、一人で問題を抱えることがない、事前調整できたことで気持ちが楽になった、会議開催に当たって抵抗なく受け入れてもらえたことで安心感につながった、など寄せられています。支援会議の目的は、支援を必要とする人の早期把握、そして支援のつなぎ、支援体制の検討等とされていますけれども、この西淀川区の資料にありますように、支援開始後にも活用されていること、そして、場に集まって情報共有、意見交換することによって、支援者支援の効果もあり、貴重な場づくりであると思います。ぜひこうしたメリットも周知いただいて、支援会議を全国に推進いただきたいと思います。
 また、生活保護制度における新たな会議体については、専門的な支援を外部から取り入れること、困窮法の支援会議と一体的な運営ができることについて大賛成です。9条の支援会議は、被保護者は対象外とされているのですけれども、一体的な運用をすることで被保護者かそうでないか、対象者の区別をすることなく協議ができるので、被保護者が生活困窮者制度の事業に参加可能となることも含めて、困窮制度と保護の機能的な重なり合う支援の実現に向けて整理が図られるのではないかと思っています。
 そこで質問ですけれども、資料2、地域課題を関係者が理解共有した上で、対応の検討も視野に入れつつというのは、保護制度に困窮制度と同じく地域づくりの視点が入るとの理解でよろしかったでしょうか。教えていただければと思います。
 2点目です。家計改善支援事業の必須化についてはぜひ実現いただくようお願いします。先日、全国ネットの家計改善支援部会において研修会を開催した際に、支援員の現場の悩み事としまして、相談者に同行して納税担当に行くけれども、話を聞いてくれない、資産があるかどうかは調査すれば分かる、あれば差し押さえができるので家計状況を聞く必要がない、と言われるなど、支援員が自治体の税務をはじめとする滞納部署との関係づくりに苦労されている状況が多くありました。
 何回も同行して、相談者の滞納について頭を下げて一緒に謝ったり、分納や支払猶予のお願いをされたり、2年3年と関係性をつくるため通われたりと本当に涙ぐましい努力をされています。公租公課の滞納はSOSであって、困窮者のアウトリーチ機能でもあります。納税等の滞納に係る部署に、生活を再建した上で滞納の解消にもつながる家計改善支援事業と連携することの必要性を理解してもらうためには、現場の努力だけでは限界があります。そこで、家計改善支援事業で作成した家計表等のツールを、分納相談、また支払猶予、徴収停止などの判断の際に参考となる意見書として提出することができるとした規定を設けていただくことで、家計改善支援員が堂々と納税等の滞納部署と連携ができる根拠になり、それが家計改善支援事業の必要性が理解されて、必須化に向けて役立つのではないかと思いますので、ぜひとも検討いただければと思います。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。質問がございましたので、事務局からお願いします。
○河合室長 保護事業室長でございます。
 生水委員から御質問いただきました資料2の両制度の会議体の一体的な運営のところで2つ目の○ですけれども、「地域課題を関係者が理解・共有した上で対応の検討も視野に入れつつ」という意味はどのようなことかというご質問と理解いたしました。こちらにつきましては、現状、多様で複雑な課題を抱える被保護者に関する全てをケースワーカーが今抱え込まざるを得ないという状況が発生しているものと理解しており、専門的な知見を外部から取り入れることで、今まではケースワーカーの一人で抱え込まなければいけなかったものをよりよい支援につなげていくということを考えております。そうしますと、まずは関係機関のフォーマルな支援というものが入っていくことが想定されますが、そのような支援を実施していく上で、もしかすると社会資源として新たにインフォーマルなものを使いながら支援していかなければいけないということも想定されるのではないかと考えており、そういった対応も今後は検討していく必要があるという認識のもとで、このような形で書かせていただいたということでございます。
 以上です。
○菊池部会長 よろしいでしょうか。
○生水委員 ありがとうございました。
○菊池部会長 それでは、浦野委員、お願いします。
○浦野委員 ありがとうございます。今日は、それぞれ資料1から資料3までで御提示いただいた見直しの方向性については、基本的に私もこれに賛同するというものでございます。その上で、若干お願いというか、意見を申し上げますと、まず、生困の制度と生活保護の一体的な運営、一体実施についてということでございます。これについて、当然、クライアントは生活保護と生活困窮としばしば行ったり来たりをするわけでございます。生活保護を脱してから、もう二度と生活保護には戻ってこないということはないわけで、行ったり来たりが発生する可能性は大いにあると考えております。
 そういう意味で、一体的に実施していくというのは非常に適切なことであろうと思うのですけれども、この中で、例えば介護保険の制度で私は大いに参考になるなと思うのは、要支援の方と要介護の方がある。要支援の方の場合、地域包括支援センターが支援をする。要介護の方の場合には、在宅であれば居宅介護支援事業所がケアマネジメントを行っているという役割分担が一応あるわけですけれども、例えば御家庭によっては、配偶者の一方が要支援、一方が要介護、そういった場合に、地域包括支援センターから居宅介護支援事業所に御夫婦合わせて支援してくださるように委託するというような仕組みもあるわけですね。
 そういう意味で、支援していくに当たって、例えば家計改善支援であるとか、あるいは就労支援であるとかの個々のメニューで一体的にやっていくということだけではなくて、ケースワークの場面でも、介護保険は社会保険であって、一方は公費でやっている事業だから同列には論じられないとは思うのですけれども、そういったケースワーク、ケアマネジメント的な側面でも相互乗り入れを含めて検討していただくことができればいいのかなと思っております。それが1点でございます。
 もう1点は居住支援のことでございますが、これも、前回も申し上げましたけれども、支援としては、福祉施設、大いに活用していただくということが必要なのではないかなと思っております。
 以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。それでは朝比奈委員、お願いします。
○朝比奈委員 朝比奈です。
 4点ほど申し上げたいと思います。今回、事前に会議の説明を受けて、もう一度、私、昨年4月にまとめられたこの部会の前段としての論点整理検討会の取りまとめのペーパーに目を通しました。というのも、論点整理検討会ではもっといろんなことが話されていたと思うのですが、今回、その成果、何を取り上げていくかとか、何を変えていくかということが非常に小さくまとめられてしまっている印象が否めないなと思っています。
 現場では、コロナ禍の相談ニーズの急増という量的な部分についてはもろちんかなり減ってきているのですけれども、質的に重くなっているというのは、今回この部会でも皆様から出されているところですし、それから、多様な相談ニーズに対応していかなければならないということについても論を待たないと思います。
 前半の部会では、若者たちはそもそも相談窓口を知らないし、相談しようと思ってもいないといったような厳しい指摘もありました。親族を頼れない10代後半以降の子どもたち、若者たちの支援というのは社会的なテーマにもなっていて、例えば児福法の改正ではアフターケアの年齢制限が撤廃されるとか、来年度から、若年支援、若い、困難を抱える女性支援の新法が施行されるなど動きもありますけれども、困窮制度としてその辺りにどのようにアプローチしていくかなど、何らか方向性を示していくべきではないかと思います。
 私たちの現場でも、遅ればせながら、平日の夜間や休日窓口の試行を始めていますけれども、そんなほんの僅かな取組でも様々に出会える人たちがいて、それもほんの一部だろうと推測しています。現場の工夫でできることにも限界があって、この多様な相談ニーズに対応するために、自立などをどのようにしていくのか。先ほど、ばらばらであるというような御指摘もありましたが、標準化していくということ、例えば夜間や休日対応を標準化していくためにも、やはり体制強化というところは非常に求められるところだと思っています。
 それから、宮本委員の御発言に意を強くいたしましたが、やはり自立相談支援、困窮制度の役割ということをもう1回ちゃんと語らなければならないのではないかと思います。前回の会議でも申し上げましたが、困窮制度のターゲットというのは、全国的に見ても30代、40代、50代というところが相談者として最多になっていて、ライフステージを考えると、子育てとか介護など、児童福祉や介護の分野でキーパーソンとして当てにされる年代です。だからこそ、包括的な体制づくりの構築の上で、この制度の役割が極めて重要だということになろうと思います。
 関係機関との連携について、もちろん支援会議等々重要なのですけれども、他分野の会議に自立相談が積極的に参加していくということももっと打ち出されていいと思います。児童福祉や高齢、障害など虐待防止の枠組みを持っているところは、守秘義務を課した会議体を既に持っていますので、そちらにも入っていくという発想も必要かなと思います。
 という前提で、困窮制度が何をしていくかというところで、就労準備と家計改善支援の必須化はもちろん大賛成ですけれども、そのあり方もさらに深めていく必要があるのではないか。例えば就労のゴール、経済的自立だけでいいのかといったようなお話は以前からあります。
 それから、家計改善支援についても、私たちの現場でもやればやるほど生活力を高めるといった家政学的なアプローチが必要なのではないかといったこと。もちろん現場の工夫でやられていると思いますけれども、その辺りももっと議論を深めていく必要があるだろうと思っています。
 最後です。住まいの支援についてですけれども、一時生活支援事業の名称変更については必要だと思いますが、居住支援事業と言ってしまうと、居住支援法人がやる居住支援とかなり混同されてしまうのではないかと懸念をいたします。むしろ地域居住支援事業の中に一時生活も入れてしまうというほうが、公共性をうかがわせ、名称としてふさわしいのではないかと考えますので、御検討いただければと思います。
 私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。いろいろいただいた中で、最初、検討会からこの部会の流れの中での議論の立て方というか、そういったかなり大きな問題提起もいただいたのかなと思っておりまして、今後、取りまとめに向けてその点を今の御指摘も踏まえてどうしていくかというのはちょっと事務局のほうで受け止めていただきたいなと思います。お願いします。
 それでは、五石委員、お願いします。
○五石委員 ありがとうございます。私のほうからは2点、時間がもしあったら3点申し上げたいと思います。
 1点目について、家計改善就労準備の必須化は賛成ですが、気になっているところがあります。資料3の7ページ目です。事業を実施しない理由として、「利用ニーズが少なく事業化しにくい」という数がかなりあります。実際に各自治体の利用者数を見ますと、全国的に一桁のところが結構多いです。大阪市も、毎年大体二十数件ぐらいなのですね。大阪市でさえその数字で、もし人口が少ないところで就労準備をやれば、年に数件で、支援員を配置したものの仕事がないということになりかねないということが、結構リアルな状況としてあると思います。その場合に、やはり広域化というのが1つの対応策として考えられます。私は、奈良県に住んでおりますが、奈良県では広域化を実施し、これがうまくいきました。その際に、県と県社協がかなり御尽力されました。それがないと実現できなかっただろうと思います。その意味で、広域化に際して、広域自治体に対して国から政策的なアプローチというのがやはりぜひとも必要になってくるのではないか、というのが1点目です。
 それから2点目は支援会議についてです。努力義務化は賛成ですが、ただ、会議の設置自体を目的とすると、形骸化を招くのではないかという懸念があります。と言いますのも、資料2の5ページ目に、支援会議を設置しない理由として、「既存の体制で連携が取れている」と答えていらっしゃるところが8割超えており、この点が非常に気になります。
 支援会議の設置目的は、そもそも、本人同意なしの情報共有です。支援会議を設置する際の理由の1つとして、千葉県銚子市の県営住宅の件があったわけです。また、2018年の1月に公表された総務省の行政評価では家賃滞納期間が3か月以上ある世帯のうち15.8%で滞納理由が未把握又は不明という結果が報告されています。そこで、家賃滞納者の状況を適時的確に把握し、住宅部局と福祉部局の連携促進を図るように勧告が出されました。ですので、支援会議自体を目的化するのではなく、ちゃんと情報共有ができているのかチェックが必要ではないかなと思います。その意味では、チェックする指標として例えばKPIの就労率等がありますが、それよりも、滞納への対応、情報の共有への対応ができているを政策目標として掲げチェックするという方法もあり得るのではないかなと思います。
 ちょっと時間過ぎてしまいましたので、以上です。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございました。五石委員、手短に御発言いただけるのであれば3つ目もいかがですか。
○五石委員 ありがとうございます。
 もう1つ目は医療に関わることですけれども、この資料3の33ページ目に生活保護制度から困窮者自立支援制度に移行するケースで、廃止したケースから困窮制度に移行されたケースというのが出ています。これは非常に重要な視点だと思います。保護の開始はよく注目されますが、保護の廃止に関しては余り注目されてこなかったわけです。保護から出やすい制度とするためには、やはり安心して生活保護を終えることが必要です。その意味で言えば、保護を廃止される方のなかには、医療に関してかなり不安を持っていらっしゃる方が多いと伺います。
 例えば、時間の関係で詳しくは申し上げられないのですけれども、国保と生活保護の連携をスムーズにするという方向が考えられます。また、先ほど受給世帯のデータ分析をするという項目がありましたが、ぜひ国保の滞納者の分析も併せて分析をして、どうすれば生保の入る前と出た後の対応をスムーズにできるかという分析を併せて実施していただけないか、と思います。
 すみません。ありがとうございました。以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。最後の御指摘、御要望ということもありますので、御検討いただきたいと思います。事務局で何か答えられる部分はありますか。これはデータ分析に係る。
○河合室長 保護事業室長でございます。
 五石先生おっしゃった最後の部分ですけれども、被保護者については、卒業後も国保とつないで見ていくことが大事だということではないかと思っています。おっしゃるとおりでございまして、福祉事務所におきましても、健康増進の担当部署との連携というのは非常に大事になってくると考えております。データ分析の中でどのように見られるかというのもありますし、卒業後の部分について、安定的な生活を送っていただくためにどのような支援をしていくか、そういう視点もあろうかと思いますので、いただいた御意見については、今後我々としても受け止めていきたいと思っております。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。よろしくお願いします。
 それでは、駒村委員、お願いします。
○駒村委員 事務局提案されたことはおおむね賛同いたします。その中で2つほど質問というか、意見を言わせていただきたいところがあります。
 資料2の1ページ目の自立支援制度の中で、支援会議を増やしていくということで、○の2番目の◆で「他制度に基づく同様の趣旨・目的の会議体との効率的な開催方法等について周知」。これはいいのですけれども、15ページには、同趣旨というのが一体どういうところなのかというのは出ているわけですが、当然ながら、それぞれの会議体、私が今想定しているのは、社会福祉法の重層的支援のほうの支援会議と、孤独・孤立のほうの新しい会議体ですけれども、それぞれ対象者もやはり違うので、そういう効率的な開催はいいのですけれども、逆に、生活困窮自立支援の支援会議の発想がそのまま重層とか孤独・孤立のほうに寄せていくというか、その発想が使われていくというのは、少しその2つの会議体の目的とまた違うわけですので、同じ部分と違う部分をはっきり自治体の方にも理解していただくということは大事ではないか。生困の発想で全部、例えば重層の話も、孤独・孤立も考えられてしまうと、対象者も対応方法も違うわけですから、そこは同じ部分と違う部分を明確にして効率的な開催ということをお願いしたいと思います。今、生活困窮の支援会議のガイドラインと重層のガイドラインも非常に似た部分があって、目的は決定的に何が違うのかとかいうことがちょっと分かりづらいと思いますので、それぞれの制度の違いも意識していただく必要があると思います。
 それから、資料4の医療扶助のデータ分析については、これは必要であるということはそのとおりだと思います。ただ、ちょっとよく分からないのは、このデータというのが何を指しているのかいま一つ分からないのですが、NDBを指しているとすると、かなり使いづらい資料、データとも言われていて、この辺はきちんとNDBとか使うデータのハンドリングを、あるいは使い方、そういったことをかなり自治体に政府のほうからサポートしてあげる必要があるのではないかと思っております。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。最後に、データに関して何か。
○河合室長 保護事業室長でございます。
 駒村先生、ありがとうございます。NDBのデータの部分につきましては、研究者の先生方から、使用するに当たってはいろいろ手続が必要で使いづらい面があるとのお話を伺っているところですが、今回の見直しでは、まず国が集計した都道府県別の結果を御提供することを考えています。その出元はNDBになるかもしれませんけれども、きちんと国のほうで内容を見て、あとは地域差がどうなっているかということを見た上で、都道府県が使いやすい形にして御提供していきたいと考えております。
 以上です。
○菊池部会長 駒村委員、よろしいでしょうか。
○駒村委員 現データはかなりクリーニングをしなければいけないという話もあるのですが、既にクリーニングをして、ちゃんとある程度の集計が行われているものであればそういう問題はないと思いますので、なるべく現場の負担をかけないで使いやすい形にしていただければということで、結構です。よろしくお願いします。
○菊池部会長 ありがとうございます。それでは、大江参考人、お願いします。
○大江参考人 ありがとうございます。福島県保健福祉部の大江と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、議題1に関してでありますが、生活困窮者自立支援制度に基づく支援会議設置の努力義務化に当たりましては、現状、設置は福祉事務所設置自治体とされていますが、福祉事務所未設置の町村も設置可能とするなど、より地域の実情に合わせた柔軟な支援体制の構築が必要と考えます。
 また、生活保護制度における会議体設置の規定を設けるに当たりましては、まず、重層的支援体制整備事業に係る支援会議の活用など、既存の会議体との関係性について整理することが重要と考えます。
 次に議題2に関してでありますが、就労準備支援事業と家計改善支援事業の義務化、それから、一時生活支援事業の努力義務化につきましては、生活困窮者に対する支援をより効果的に行っていく上で非常に重要であると考えます。
 ただし、これらを行うに当たりましては、先行する自治体の事例の収集や周知、専門スタッフによる個別支援などを確実に実施していただくとともに、自治体の財政的負担への考慮をお願いいたします。
 また、生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の事業の一体実施につきましては、その前提として、両制度を実施する機関が互いの制度を理解するため、研修制度の確立や自立相談支援機関と生活保護の実施機関の人員体制強化の取組が必要と考えます。
 次に議題3に関してでありますが、医療扶助等における都道府県から市町村への支援の実施につきましては、専門的な知識を有する人材の配置が難しいなどの課題があります。都道府県に丁寧な説明と意見を聴取する場を設けていただき、現場の意見を踏まえながら実効性のある課題解決策に向け、財源、人員体制の強化を含めた国による都道府県へのバックアップ体制のさらなる強化を検討願います。
 私からは以上であります。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございます。それでは、竹田委員、お願いします。
○竹田委員 ありがとうございます。本日御提案のあった内容について、私は、他の委員の皆さんと同じように、賛同させていただきます。その上で2点ほど手短に申し上げさせていただきます。
 1つ目は、支援会議の設置の努力義務化ですとか生活保護制度における会議の設置体についてですけれども、資料にありますとおり、専門的な支援を外部から取り入れる機能を推進するとございますし、また、エンパワーメントですとか本人の自立の支援という観点でいくと、可能であれば、本人の理解であったり、本人の参加というのも大切な視点ではないかなと考えております。
 任意の参画にはなるかなと思いますが、本人自ら参加を希望する場合は、交通費の支給も含めて併せて検討していただくと、より会議を効率的・効果的に実施できるのではないかなというのが1点あります。また、かなり制度ごとに会議体が増えていますので、それぞれの支援者がきちんとそれぞれの会議の機能と役割を理解できるよう、それぞれの研修の中でしっかりと理解を促していくということも併せてやっていくことが必要ではないかなと考えております。
 2点目でございますが、就労準備支援事業、家計改善支援事業の義務化という御提案のとおり、これもよろしいかなと思うのですけれども、一方で、未設置自治体へのサポートはもちろんですが、これから、実施を義務化することによって様々なニーズを把握していくことになると思いますし、また、それに対応する人材というのもしっかりと確保していく必要があるかなと思います。都市部に比べてどうしても地方ではそれほど多く社会資源があるわけでもございませんし、人材不足の中できちんと専門的な人材を確保するという視点も併せて必要ではないかなと考えております。
 私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。それでは、大西委員、お願いします。
○大西委員 生活保護と困窮者の現場での関連性、これはもう必然的に、以前にも発言したのですが、この一体的な運用というのは大変当たり前のように聞こえるのですが、宮本委員が言われたように、私も、これはずっと気になっておったのですが、それぞれの法の建前をしっかりと理解して、それぞれの立ち位置を支援者が認識した上での連携というのがどうしても必要ではないかと思います。
 端的にいえば、生活保護は措置で、支援制度は契約です。その大きな違いがあるわけですので、それぞれのサービスを提供する者同士がしっかりその立ち位置を認識しながら連携するということは、やはり押さえておいたほうがいいのではないかと思います。
 以上です。
○菊池部会長 それでは、堀委員、お願いします。
○堀委員 どうもありがとうございます。途中からの参加で申し訳ございません。私からは2点申し上げます。
 まず、これまでの議論がどのようだったか分からないのですけれども、困窮者支援と保護の一体的な運用につきましては、寄って立つ理念であるとか法律などが違っているということを踏まえた上で、小さな基礎自治体などでは現実的かなとも思いますので、おおむね賛成しております。
 第2点目ですけれども、就労支援事業や家計改善支援事業を義務化するということは大変重要だと認識しております。特に今回、様々な支援会議や事業体の連携ということが重要だと書かれているのですけれども、私もこれは本当にそのとおりだと思っておりまして、特に就労支援準備事業とこの家計改善支援事業の連携というのは大変重要だと思っております。
 例えば親が家計改善の相談をして、そして子どもは結果的に、例えば就労支援準備につながるという事例を聞くこともありますので、たくさんの会議体や事業が立ち上がっておりますけれども、その間の連携について一層拡充していただきたいと考えております。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。それでは、会場に戻りまして、奥田委員、お願いいたします。
○奥田委員 すみません。遅刻しまして。
 私のほうから4点ほど。1つは、前半のこの部会でも出ていましたが、知らない問題をどうするかという、これは具体的に手だてをはっきりさせるということはやはり大事だと思います。
 2つ目が、2018年の改正で孤立という概念が入ったのですけれども、実がない。書いたはよかったのですね。私はあのときすごく感動したのですが、では具体的に何に落としたのかというのがちょっと、せっかく次の改正に来ているわけですから、そこのところが何なのかということ。ある意味、支援会議なんかもそういうことかもしれませんけれども、連携を深めていくというか、広げていくというのはそうかもしれませんけれども、ちょっとそこはばくっとした印象として、やはり孤立ということ、特に孤独・孤立が内閣府のほうで別に動いていますから、そこのところとの連携も含めて、実際、困窮法における孤立の概念を中心に1つちゃんと明確に据えたということの意味をどう見るのか。これが2つ目。
 3つ目、そこに関わりますけれども、私は、すみません、居住支援事業でいいかなと。確かに混同するかもしれませんが、居住支援という概念自体が省庁またぎの概念になっていくだろうから、ここはある程度同じような言葉を使っていくというのはやむを得ないかなとは思います。
 その上で、地域居住支援事業の時間軸の問題で、生困法は支援開始から支援終了という枠組みで進んでいきます。しかし、居住支援という概念は、やはり暮らしとか生活、もともとこれは生活支援戦略みたいなところからこの議論も始まっていたはずなので、実は非日常が起こったときに、日常に戻すといういわば緊急支援的な枠組みとして困窮支援という、まさに自立支援ですね。自立支援という枠組み、時間の間隔が進んできましたけれども、今後、居住支援とか地域居住支援という概念からいくとちょっと合わないというのは前回から申し上げているとおりで、せめて、例えば1年ごとにするとしても、どう延長させていくのか、それをどう継続性を持たせるのかという手だてをはっきりさせないと、従来の地域居住支援事業を努力義務化で広げていくだけでは、私は、ちょっと内実を伴わないのではないか、それは居住支援と言えないのではないかと思います。
 というのは、シェルターから出てきた人が地域で安定するまでの見守りというのが地域居住支援事業だったのですね。今回はシェルターを前提としないということが選択肢として表れたわけですから、極めて暮らしの支援とか見守りの支援に近いわけですね。そうなると、時間軸が合わないのではないか。これが孤立・孤独対策においても同じように言える。
 もう1つだけちょっと、すみません、言わせていただきますと、あと2つあったのですけれども、1つだけ言うと、生活保護のほうで、これは3省合同の検討会議で国交省さんも言っているのですが、大家さんのマインドからすると、代理納付を進めるということは、こちらのチームももう一言ちゃんと添えたほうがいいのではないか。多分、国交省さんは何年か前から代理納付のことを大分おっしゃっていると思うのですけれども、厚労省サイドも、代理納付はやるのだということをちゃんと言っていったほうがいいのではないかというのが率直な感想です。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。もう1つということですが、住まい関係でしたら、この後、奥田委員は検討会の委員でもいらっしゃいますので、そこでまたかなり御意見伺えると思いますので、そのところでお願いできればと思います。
 それでは、新保代理、お願いします。
○新保部会長代理 先ほど宮本委員からお話のありました両制度の役割が曖昧なまま一体化を進めることの御懸念というのはそのとおりで、そこは多くの委員の皆様がおっしゃっていただいたように、しっかり議論をして、共通認識を持った上で検討するということの重要性、私も賛同いたします。
 その上でですけれども、資料2の1ページの支援会議については、見直しの方向性にありますように、困窮会議の努力義務化と生活保護の会議の設置についてもぜひ進めていただきたいと思います。御提案のように、両制度の支援の充実という観点から、一体的に進めていくということが重要かと思います。
 続いて、資料3の2ページの一時生活支援事業を居住支援事業に改めて、居住支援を充実させていくという観点から進めていくことについても、賛同いたします。一方で、朝比奈委員の御意見がありましたが、居住支援についてはもう少ししっかりとこの部会で、先ほど奥田委員がおっしゃったようなことも含めて議論していく必要があると思いました。
 3ページにありますように、就労準備、家計改善、居住支援事業を両制度で実施して、一体的に実施していくことについてもぜひ推進していただきたいと思います。そのためにも、1ページに書かれている就労準備、家計改善の実施の義務化は不可欠だと思います。居住支援事業も含めて義務化を進めていただきますとともに、生活保護とも一体的に実施して、全国各地で必要となるこれらの支援が利用できない自治体がないように整備していくことを検討していただきたいと思います。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 すみません。私からもちょっと意見、発言をお許しいただきたいのですが、様々、皆様から御意見いただきましたけれども、その中で、宮本委員からまず、各制度固有の独自性というものを考えるべきだと、生困制度のポジションが見えなくなっているのではないかという問題の御指摘があり、その後、岡部委員からも、固有性を踏まえる必要性ですね。あとは、佐保委員、勝部委員、朝比奈委員、そして大西委員、新保代理ですね。それから奥田委員からも、孤立概念を入れたことの意味という御発言、これも共通していると思うのですが、私も同じ問題意識で、共有できてよかったとほっとしていますが、少し法技術的にお話し申し上げると、今回の両制度の事業の一体実施について、より多くの被保護者が就労準備支援、家計改善支援、居住支援を受けられるようになるという方向性には賛成ですし、被保護者向けの3事業を任意事業として法定化するという方向性も賛成です。
 ただ、生活困窮者向けの3事業を被保護者に対しても実施することを可能にすることについて、2点、ちょっと懸念があります。1つは、生困法制定経緯からのこの両法の適用対象との兼ね合いです。そもそも法制定時は、生困法は被保護者と重ならない経済的困窮を適用対象としたのではなかったか。18年改正で、社会的孤立への適用対象の拡張は図られたものの、それは両法の適用対象の重なりを意味するものであったのか。今回、生困3事業を被保護者に利用可能とし、被保護者を生活困窮者とみなす規定を生困法に置くとすれば、こうした法律の制定、改正の流れとの関係で一貫性を持つと言えるのか。
 さらに言うと、これは内閣法制局の理解が得られるのか。派生する疑問として、3事業を被保護者に利用可能とするのであれば、規定さえ置けば、生困法上の全ての事業を被保護者に利用可能とすることができるのか。ケースワーク業務との兼ね合いはどうなるのか。できないということであれば、なぜ3事業は被保護者が利用可能なのか。相談援助、生保法の27条の2の本体とケースワーク業務の外部委託との外縁はどう理解すればいいのか。
 もう1つは、今回これまで検討不十分であった両制度の事業の一体実施という論点を立て、どこまでの一体実施が可能かという問題意識で現場のニーズを踏まえ、着地点を模索したこの事務局の御努力には大変敬意を表するものです。
 ただ、生困法のこれまでの展開と、これからの潜在的な展開可能性を考えた場合、今回の改正が将来のあり得べき改正の障壁となる危険性が全くないと言えるか。具体的には、被保護者に生困3事業を利用させ、被保護者は生活困窮者とみなす条文を設けるとすれば、そうした見直しが生困法を生保法と同じ次元、つまり、健康で文化的な最低限度の生活保障を目的とする憲法25条の次元で捉える方向に引っ張られるリスクがないと断言できるのか。
 先ほど宮本委員おっしゃっていただけたのですが、私は、将来的に生困法は経済的困窮に限定せず、社会的孤立に広く対応し、住まい支援、権利擁護支援、身元保証から死後事務の処理に至る日常生活課題に広く対応する普遍的な相談支援の一般法的な発展可能性があると。それが憲法13条を射程に入れた支援になると考えているのですが、それはともかく、今回の改正がいわば生保法に引っ張られることで、こうした生困法の潜在的な発展可能性の道を閉ざすものではないと断言できるのか。
 一体実施という個別論点、木を見て、法律全体、あるいは相談支援の法体系全体という森を見ないことにならないか、ちょっと懸念があるのですね。非常に法技術的な発言で申し訳ないのですが、多分、多くの皆様の問題意識の根源は、そのような理解がおありなのではないかと、私、勝手に拝察しているところでございまして、ちょっと大きな話ではあるので、ここでお答えいただくのは難しいかもしれませんが、ただ、多くの委員から同様の御指摘はあるところなので、今日の時点で何か事務局としてあればお伺いしておきたいなと思うのですが、いかがですか。
○米田室長 生活困窮者自立支援室長でございます。
 最初、宮本先生からのお話がありまして、先ほど菊池部会長から御発言いただきました点ですけれども、まず、2018年、平成30年の法改正で、生活困窮者という定義規定、第3条第1項の見直しを行った趣旨です。これについて、その当時、それまでの生活困窮者自立支援の実践を見ていく中で、「経済的に困窮し」ということについて狭く解する実践が幾らか見られたということもありまして、そうした生活困窮に至る背景事情というところまで明示した上で、関係者間において共有を進めるためということでございました。
 これ自体は、被保護者という方を適用対象とするということとは我々としては無関係だと思っていまして、こうしたこれまでの流れ、法制定時には被保護者というのを対象者から外しているということですとか、今回の平成30年改正の流れとは、一貫性に問題があるということは考えていないところでございます。
 また、そうした中で、今回、生活保護法の中で3事業を法定化した上で、生活困窮者の事業のほうに、被保護者の方にも利用できるようにするというこの見直しを法律によって行おうとしているわけですけれども、生活保護の3事業自体は現在でも外部委託を活用して行っているものでありまして、ケースワーカー以外の方が支援を行っているということでございます。
 そうしたこともありまして、一方で、中身自体は、生活困窮者の方向けに行っている事業と生活保護の方に行っている事業自体は、正直、ほぼ同一ということもありまして、ですので、同等の支援を今行っている中で、困窮者向けの事業を被保護者の方が利用できるようにするということとしても、ケースワーク自体の領域を侵すということにはならないのかなと考えております。
 あと、内閣法制局に対しましては、今回私どもが見直そうとしている立法事実だけではなくて、法制面についてもよく説明をして理解を得られるように今後努めてまいりたいと思っています。
 それと、2点目について菊池部会長から御指摘ありましたけれども、今回の見直しについて、自立相談支援事業を中核とする生活困窮者自立支援制度、自立支援法の根幹、いわば、宮本先生のお言葉を借りれば、独自性とか固有性というものは変えるものではないと考えております。ですので、こうした見直しを行うことで生活困窮者自立支援法が生活保護法の生存権保障といった次元に引っ張られるということにはならないと考えております。
 また、部会長の御指摘で、生活困窮者自立支援法の今後の発展可能性ということがありましたけれども、これについて、社会的孤立というものの対象とかその外縁をある程度明確化するという必要があるのですけれども、法制定のときですとか平成30年改正のときもそうした課題があったわけでありまして、その実現可能性ですとか、あと、負担力がある方について公費を投入するということの妥当性といった、議論すべき大きな課題があると考えております。
 ですので、今後議論すべきだと思うのですけれども、少なくとも今回の見直しがそうした今後の議論を邪魔するとか、発展の可能性を狭めるといったものにはならないと事務局としては考えております。
 以上です。
○菊池部会長 どうもありがとうございます。40分までということですが、勝部委員、それから岡部委員から手が挙がっております。どうぞ。
○勝部委員 今、菊池先生おっしゃったことは、今回の重なり合う最も重要な点で、私は、メモでは、重なり合うのか、飲み込まれるのかというようなイメージが非常に強くて、現場レベルで言うと、例えば本当にその人を尊重して、社会参加ができるようないろいろな手だてを考えてアウトリーチをしてつながってきた人たちが、例えばアートで頑張っているとなっても、生保の場合はやはり最低限度の生活というところになるので、アートでは食べていけませんよね。では就労してくださいという発想になって、本人の自己尊重みたいなところが、生きていくための就労に変えなさいという指導に入っていって、本人はそこですごく気持ちが途絶えてしまうみたいなことがあります。
 そもそものベクトルのところがどのように合わせていくのか。全体が困窮のところでアウトリーチして、予防的な人たちももっと把握しようという方向性に移っていくのであればそれは賛成ですが、どちらかというと大きなものに吸収されていくということがどうしても現場レベルではありますし、管理的なほうに進んでいくというふうになると、この10年近くいろんな皆さんとの議論の中で、現場でつくり上げてきたものがどうなっていくのかという懸念は非常にあるので、その辺りが、この場になってというのもおかしな話なのですけれども、皆でしっかりと考えていきながら方向性を決めていかないと、就労とか、家計の人数が少ないからそこ使えばいいだろうみたいな、そういうレベルではやはり全然違うような気がします。
○菊池部会長 ありがとうございます。岡部委員、どうぞ。
○岡部委員 菊池部会長のお話は、宮本委員から提起された問題の非常に根源的なというか、基本的なお話なのですね。理念、考え方、それと法の建て付けということで、憲法の25条と13条の話をされました。それと例えば、生活保護制度ですと法定受託事務と自治事務が、また生活困窮者自立支援法は自治事務という位置づけです。
 そうなったときに、最初に宮本委員が述べられたように、生活保護制度の固有性、生活保護制度の守備範囲はどこなのかでいくと、生活保護は2つの目的を持っていますので、最低生活保障と自立の助長、これは言い換えると対人サービス保障ですね。そうしますと、所得保障である最低生活保障、その次の最低生活保障に伴う対人サービスです。これはマストです。
 それともう1つは自治事務、例えば、生活保護では自立支援プログラムは自治事務で行います。そのことについて、生活困窮者自立支援法の中での各種事業を利用するということはどこまで可能かの話は、一定の汎用性を持っていると。そういう理解よいのか。また、一体的な実施の中身が、一番宮本委員が懸念された憲法の生存権保障と幸福追求権の話で、そこはどう折り合いをつけるのかということの話を最初にしなければいけないという大きなボールを投げられたと思います。
 これは部会長の御専門でもありますので、そこのところの整理を、建て付けの話をしていただければと思います。このことは、先ほど出ました飲み込まれる、飲み込まれないという話ではないと思っています。また将来的には、どのように考えるかは別なものだと思います。
 それと、私は、貧困・低所得領域の現場で、とりわけ生活保護に関わることが多く、生活保護は必ずしも管理的に行っているわけではなく、その人たちの自立・自律いわゆるインディペンデンスとオートノミーの両面から援助・支援でも考えております。そこは柔軟に考えていただいていいのではないかなと思っております。
 以上です。
○菊池部会長 どうもありがとうございます。すみません。私の長々とした意見で、おつき合いくださいまして。今日のところはこれ以上私の持ちネタというかはもうないのですけれども、すみません、ほぼ時間でございます。前半のパートはこの辺で一旦締めさせていただきますが、後半、宮本委員が退出されるということで、最初に今日問題提起いただきましたし、これまで、前部会長としてずっと引っ張ってこられたお立場でもありますので、もし何かあれば、それも含めて、あと後半部分について何かあればそれも併せてお願いして、そこで前半を締めさせていただきたいと思いますので。
○宮本委員 すみません。退出といってもまだしばらくは粘るつもりですけれども、米田室長のほうからお話あって、そのこと自体も異存はないというか、そのレベルでの議論をここでやっても、皆さん、基本的に課題意識としているところはそう大きく違っていないと思うのですね。やはり生活困窮者自立支援制度の固有性をしっかり踏まえつつ、その存在感を高めていくということに関しては、全くここで何らのディビジョンもないと思っております。
 もちろん、菊池先生のほうから細かい、そして精緻な法律論的な裏づけ、私がやや暴走したところを裏づけていただいたというところがあって、それに対して米田室長のほうから細かく丁寧に対応していただいたということになると思いますけれども、そこでごりごり議論を深めていくよりは、いかにこの生困と生保が、相互の強みを生かしながら、むしろ相互の強みを引き出し合っていくような連携に向かう手だてというのをみんなで知恵を出し合っていくということになるのではないかと思ってございます。
 実際、今の社・援局、実は朝川局長には、私、大学院で講義していただいたこともあって、本当にその見識、力量、リスペクトして、米田室長含めてベスト&ブライテストの社・援局で、そうした難しい課題を追求していただく。特に大西委員からお話あったところですけれども、やはり現場の理解や気持ちというのに寄り添っていくということが非常に重要ではないか。そこでそういう細かい議論、法律的な議論、もちろん大事なのだけれども、やはりもうちょっと大きなところでそれぞれの制度をきちっと踏まえて使い分ける、使いこなす、そうした現場の実現に尽力し、気持ちに寄り添っていくということが大事ではないかなと思います。
 以上です。
○菊池部会長 どうもありがとうございます。おまとめいただきまして、大変皆さんにとっても整理になられたのではないかと思います。今日、この議論の中で、少なくともこの両制度の事業の一体実施に関わって、それはまだ10年足らず、10年もたっていないこの生困法の将来的な発展可能性を狭めるものではないし、この生困についてさらに、全体としてのあり方とか、その方向性も含めてしっかり議論していくという、そういった部分を確認させていただけたと、米田室長のお話からも思いますので、今日のところはその辺りで、幕引きではないのですけれども、第一幕というか、また今後の議論につなげさせていただければと思いますので、ありがとうございました。
 それでは、ここで一旦休憩を挟ませていただいて、16時50分から再開とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
(休憩)
○菊池部会長 それでは、時間になりましたので、議事を再開させていただきます。
 後半は、議事の4つ目につきまして、本日お越しいただきました大月参考人から御説明を頂戴し、その後、事務局からの御説明、そして質疑応答・意見交換という流れで進ませていただきます。
 大月先生、今日はお忙しい中どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。それではまず、大月参考人から御説明をお願いします。その後、事務局からお願いいたします。
○大月参考人 東大で建築をやっております大月です。主に住宅の問題について研究しております。
 今、部会長から御説明がありましたように、国交省と厚労省と法務省、この3省の合同
で、住宅セーフティネット法に規定されている「住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討会」ということで、資料5-1、5-2が今から説明する資料です。今年度、この検討会が開かれまして、私が座長になって、資料5-1の右側に示されているようなメンバーで、この中に、こちらの委員であります奥田さんも出席されておりますが、これまで4回議論をしてまいりました。
 趣旨としましては、「検討会の概要」で書かれているように、住宅確保要配慮者という、住宅局の住宅セーフティネットでかなり広めに定義されておりますが、そうした幅広い人たちが今後住まいに困ったときに、生活の基盤である住宅の確保を目指した制度です。これを充実させようということで、3省が合同で住宅政策と福祉政策が一体となった居住支援を強化するための具体的な方策に向けて意見交換しているところでございます。
 この検討会は今まで4回行われました。9月21日に第4回が開かれまして、次回第5回が12月中に行われるということで、この第5回を踏まえて、中間取りまとめを出す予定です。今日の時点では、第4回で中間とりまとめの素案というものを事務局のほうから出していただいたものを検討したというところでの、途中の御報告となります。
 資料5-1の2枚目が「これまでの議論の整理の概要」ということで、「はじめに」と「現状・課題」「方向性」は書いておりますが、ちょっと時間の関係上、今後具体的にどのような議論になっているのかということを端的にまとめておりますのが3ページ目の「4.今後の取組」というところでございます。
 大きく4つのカテゴリーに分けて記載されておりますが、1番目が住宅確保要配慮者の観点で、この方たちが賃借人になるということで、借りる側への居住支援の充実を1つ目のカテゴリーとして充実したいという話。それから、右上にあります②、大家、これは貸す側ですね。賃貸人、貸す側が、現状では高齢者、障害者、母子家庭を受け入れないことが多い、という現実があります。これは大家さん御自身の問題でもあり、それを取り巻く不動産業者さんの問題でもあるのですが、そうした現実を踏まえて、住宅に困った人に住宅を提供しやすい市場環境の整備が2つ目のカテゴリーの議論になっております。
 3つ目が「住宅確保要配慮者のニーズに対応した住宅等の確保方策」。これにつきましては、今までの住宅の供給の仕方に加えて、もっと多様な住宅提供の構えをしようというカテゴリーでございます。
 4つ目が「地域における住宅・福祉・司法と連携した居住支援の体制づくり」。ここが、住宅関係者、不動産関係者以外の様々な支援の方々と地域においてどうやって関係づくりを強化しながら、地域が全体としてセーフティネットとして働けるかどうかというところの議論のカテゴリーで、全体的にこの4つをきっちり示した上で推進したいということになっております。
 具体的に、賃借人、借りる側への充実としましては、住宅局と福祉局の連携によって、今まで、住宅局はハード、福祉部局はソフトというふうに大まかに、あるいはきっぱりと分けてやってきたものを、ソフト、ハードに関する情報提供、相談体制の構築・充実を図ろうという話になっています。
 2番目のポツに関しましては、居住支援協議会というのが都道府県、市町村単位でできつつありますが、これを積極的に活用して、入居前から退居時まで切れ目なく対応できる体制の整備が議論されました。この資料は事務局のほうでまとめたものですが、我々が今議論しておりますのは、入居前から退居時までではなく、入居時から、看取りとか死後事務、あるいは残置物整理、そういうところまでを含めてサポートしようという点です。
 3つ目は既存の福祉相談窓口等における住まいに関する相談・支援の強化・明確化ということで、ここでも、まとめ方として、「既存の福祉相談窓口等における」と書いてありますが、これもそこに限らず、いろんな相談の仕方、総合的な相談の仕方、あるいはお困り事のキャッチの仕方、地域のコミュニティとか居場所におけるお困り事の発見、そうしたことも含めて、住まいに関する相談業務をより強化していこうという意図です。
 3つ目は、伴走型のサポートがすでに居住支援法人ですとか関連の組織で行われているのですが、それを積極的に推進し、それから、要配慮者をそうした支援につなぐことを前提とした新たな住宅の仕組みを構築したいというような議論がございます。
 最後に、一部の支援組織が取り組んでおりますサブリース事業をより円滑的に進めていくための仕組みの強化も議論されております。
 大家さんのほうの対策につきましてはより具体的な文言が書いてございまして、家賃債務保証制度が今いろんな形で実施されておりますが、それをより充実していくためにはどうしたらいいかというところ。それから、先ほどもこちらの議論でお話ありましたような生保の住宅扶助の代理納付、これは原則化したらどうかというお話。それから、賃貸人が安心して住宅を提供できるための前提として、見守りなどの入居サポートの充実、それから残置物処理が今いろんな形で課題となり、結局、大家さんに不利益になるケースも出ている。そういうものをどうやって軽減するのかということを考えていこうということ。あと、サ高住のときに導入された終身建物賃貸借というのは、死亡時に借家権が相続されないような規定がありますが、そうしたものがより一般的な形で普及できないかという話。こうした大家さんに対する対応策というのも考えられております。
 あと、3番目の、対象となる住宅をどのように増やしていくかということにつきましては、今、住宅局のほうでセーフティネット登録住宅という形で、ある一定基準を満たしたものに対して、改修費の補助とかをやっておりますが、例えば標準的に25㎡以上でないと対象にしないというような、今日議論のある生困とか生保よりちょっと上のレベルのものを狙っていて、実際居住支援の現場でそんなに活用されていないのではないかという反省から、これを見直したらどうかというような話も出ております。
 あと、今まで居住支援の枠組みの中では、民間賃貸住宅が主たる主戦場だったのを、公営住宅、あるいは公社・URといった公共住宅もその役割を担っていいのではないかという議論も進んでおります。
 あと、住宅だけではなく、住宅とセットして、居場所とかサードプレイス、そうしたものも一緒に提供するということも促進したいねという話も出ております。
 あと、4つ目が地域における連携したセーフティネットの体制をどう構築していくかにつきましては、居住支援法人とか居住支援協議会の拡充をはじめとして、その他、こちらの部会でも議論になっているような様々な地域のプレーヤーさんたちとどうやって連携しながら、地域をすき間なく完璧なパッチワークみたいに住宅セーフティネットで覆っていくかという議論がこれから大事になると思っております。
 今日は4つの領域としてまとめて表示しましたが、資料5-2が前回の、これまでの議論をまとめたほぼ全てのテキストであります。これを今後12月に向けてどうやって具体的に弾込めしていくか、弾込めの前提としての中間まとめをやっていくかということが今の宿題でございます。
 やや雑駁でございましたが、私からの報告でした。
○米田室長 続いて、事務局から説明させていただきます。生活困窮者自立支援室長でございます。
 資料6を御覧ください。こちらの資料は、ただいま検討会の大月座長から御説明がありました中間とりまとめ素案を踏まえまして、国土交通省、厚生労働省等において総合的・包括的な「住まい支援」のイメージ及び今後の主な検討事項を整理したものでございます。
 上の枠囲いのところには基本的な考え方を記載しております。まず、高齢者や低額所得者などの住宅確保要配慮者が民間賃貸住宅に円滑に入居して、安心して生活できるよう、賃貸人が住宅を提供しやすい市場環境を整備する。そして、相談からの切れ目のない支援体制の構築を図るため、国土交通省、厚生労働省等が連携して、総合的・包括的な政策を検討するとしております。
 また、都道府県・市町村の住宅部局・福祉部局等と地域の関係者による住まい支援の体制整備を全国的に推進するとともに、地域の実情に応じて、①総合的な相談支援、②入居前から入居中、退居時(死亡時)の支援、③住まいに関する地域資源開発・環境整備の推進方策を検討することとしております。
 下にイメージの図を掲載しておりまして、「検討」というところが主な検討項目でございます。例えば真ん中はサポートを行う住宅、左側は総合的な相談支援体制等、また右側が市場環境整備ということで、家賃債務保証等のことが書いておりまして、下のほうは居住支援協議会の設置活用、住宅部局、福祉部局の連携などが掲げられております。
 今後、検討会や本部会での御意見もお伺いしながら、このような方向性のもとで検討を進めてまいりたいと考えております。
 事務局からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
 それでは、質疑、意見交換に移らせていただきます。前半と同様、御意見、御質問につきましては3分以内を目安に御発言お願いいたします。
 なお、本部会、次回もこの住まい支援に関して議論を行う時間を設ける予定だと事務局からは聞いてございます。津曲課長にも次回御出席いただけそうでございますので、本日は、5時半ということですが、若干延長もあり得るということで、大月先生も時間を御予定いただいているということでございますので、本日は、せっかくお越しいただいておりますので、大月参考人、そして津曲参考人への、特に厳密に切り分けは難しいとは思いますが、資料5に関する御意見、御質問をまず優先でお願いできるとよろしいかなと思ってございます。
 それでは、会場の方はお手をお挙げいただき、オンラインの皆様は挙手機能を使ってお示しいただければと思いますが、宮本委員、よろしければ最初に。
○宮本委員 先ほど長くしゃべってしまったので簡単に。
 どうも御丁寧に説明をありがとうございました。また、ここまで密度の濃い議論を進めていただき、感謝申し上げたいと思います。
 2点ほど。1つは、基本的には、従来の住宅セーフティネットの仕組みというのを深化・発展させるという方向で議論が進められていると思いますけれども、これまでのこの制度が抱えていた課題、是正されるべきポイントなど、もしこれまでの議論の中で少し具体的に出てきたようであればお示し願えないかというのが1点でございます。
 もう1つ、従来の住宅セーフティネットの議論に加えて、やはりサードプレイス、それから公共住宅、恐らくこれに救護施設等、施設のリソースというのもいかに活用していくのかということが課題になるのではないかと思うのですけれども、こうした従来の枠組みから横に広げていくためのツール、道具立てというのはどんなことをお考えか、以上2点、お示しいただければと思います。ありがとうございました。
○菊池部会長 お願いいたします。
○大月参考人 ありがとうございます。これまでの検討会での議論の中で出てきたことと、それから、私の個人的な見解を踏まえてお答えすることにならざるを得ないのですけれども、まず、これまでの住宅セーフティネットの仕組みでの課題は本当に多々ありまして、それが必ずしも今日のレジュメに全部網羅されているわけではございませんが、例えば今日お出ししました資料5-1の2ページ目の「2.現状・課題」の下のほうに、セーフティネット制度の現状・課題というのがあって、1つは、居住支援法人が法制度上プレーヤーとして非常に重視されているのですが、これが全体の予算が変わらないのに法人が増えていくと、1法人当たりの予算が減っていくという矛盾がありまして、そうしたことはなかなか資料として表に出てこないですが、非常によく指摘されている事柄で、こうした法人とか協議会の運営のバックアップのための支援が少ないのではないのかというような懸念は出ております。
 あと、現場での課題としましては、居住支援のプレーヤーの方々は、現状では福祉系の法人の方々と、あと、株式会社系の不動産系の方々があって、コミュニケーションがうまく取れないという場面も散見されます。中には、社福さんの中に、宅建士の方を雇うとか、あるいは宅建業の中に社会福祉士の方を雇うとか、そうしたアドバンスなことも既に生じていて、そこをどうやって盛り上げていくのか、あるいは専門用語が通じないところをどうやって通じさせていくのかというのが大きな課題となっております。
 不動産系と福祉系のプレーヤーの方々の認識の違いによって、自分の仕事は入居の契約を結で終わりだとするケースがある一方で、入居の後の支援も本筋だとされているような方々もおられますが、その支援に対する費用をどうするのかという、事業継続性の課題も出てくるといったところが非常に大きな課題として認識されております。
 私からは、1番目に関してはそのことを指摘したいと思っております。
 2番目のサードプレイスという話は非常に重要な話であるとこのメモにも書かれておりますが、先生御指摘の既存の施設とのうまい連携、これはなかなか事例的にも少ないということもあって、まだこの検討会の中ではそんなに表立った議論にはなりませんが、私個人としては、非常に重要で、今まで20世紀中営々とつくり上げてきた施設が、ある意味で制度の中だけの施設になって、その中で制度疲労と、現場の建物もスタッフも疲労を起こしている。この機能を地域に広げながら、地域の中で本当に隣人に役に立つ施設になっていくにはどうしたらいいかというのは本当にこれからの重要な議論だと思っていますので、今、先生の御質問を重要な意見として考えたいなと思っております。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 それでは、会場参加の皆様で、御質問おありの方。
 岡部委員、勝部委員、奥田委員、佐保委員ですね。では、岡部委員からお願いします。
○岡部委員 3点お尋ねをしたいと思います。これから検討されるのかされないのか、分かりませんが、居住支援法人の現状ということは今お話しいただきました。居住支援法人は、例えば情報提供、相談、見守り、支援など、そこで行う機能をある程度定めることがされるのかどうかということが1点目です。これは今後福祉サイドで活用するときに、あるいは連携していくときにも重要なことになってきます。
 2点目ですが、生活保護の場合、住宅扶助の代理納付を原則化するということについてです。1つは、生活保護費というのは本人に手渡しを原則としています。その中で、消費の自由もありますし、また居住の自由もあります。これは先生のところで議論することではないのかもしれませんが、住宅扶助の代理納付を原則化するということは、居住の自由や消費の自由、そのことをどう考えるかということに踏み込む話になりますので、この辺りが2点目です。これは、先生のほうでお答えしていただくことではないのかもしれません。
 3点目は、現在、居住支援で、福祉系と不動産系の方たち、住宅系の方が入っているということが分かりました。そこで、居住支援法人ではないのかもしれませんが、生活保護であるとか、あるいは高齢者の中では、そういう方を囲い込んで、大規模住宅、アパート等に入って行うところがあります。そこで、ある意味では、そういう高齢者ビジネス、貧困ビジネスに関わるようなことに対して、報告書の中で、一定そういうことを規制する、あるいはそういうことに対しての何か御提言みたいなものがあるのかどうなのか、お尋ねしたいということです。
○菊池部会長 お願いいたします。
○大月参考人 ありがとうございます。まず1番目は、居住支援法人が今様々な仕事をやっていて、どっちかというと手探りでやっていて、基本的に相談に来られた方に対して、まず自分の持っている技を繰り広げていって、だめだったら他のプレイヤーにつなぐということで進んでいる感じです。そしてこの中で、一体、居住支援の仕事の枠組みとは何かということが今ようやく議論になってきている。これが本当に居住支援というプロフェッションとして成り立つためには、先生おっしゃるように、ある程度、こういう領域とこういう領域、これは、本当のスペシャリストはここにいるのだけれども、この人にこうつなぐとこうなるよということが全体的に分かるような仕組みを目指さなければいけないと本当に個人的には思っております。
 そうした意味で、居住支援専門員とかそういうことを仮にでもつくろうとする場合、どういうテキストブックがつくれるのか。これは全国居住支援法人協議会のほうでも鋭意やっているところでございますが、残念ながら、この検討会の中では、そこに余り突っ込んだ議論というのは今のところなされておりません。が、近々にこれは議論する必要があると感じております。
 2番目の生保の住宅扶助に関しましては、現場なんかを見ていても代理納付のほうが支援者にとってはやりやすいけれども、本当にそれが被支援者の自由を疎外しないのか、非常に微妙な問題で、それは3番目の貧困ビジネスにつながるような話とも絡んでいますので、原則化かどうかというところも微妙ですが、そこもテーマが非常に広いので、そこまで突っ込んだ議論にはなっていないということでございますので、先生からいただきました今の議論は念頭に置いていきたいと思います。
 ちなみに、貧困ビジネスにつきましては、資料5-2の8ページ目の一番上に、いわゆる貧困ビジネスにつながることのないよう留意する必要があると記してございます。これは実は私のほうの希望として入れていただいております。しかし、貧困ビジネスはどこで線を引くかというのは非常に困難なケースがあって、場合によっては、自治体のケースワーカーさんが非常に当てにされているというケースも多々あったりするので、それでもやはり、いわゆる貧困ビジネスにならないようにということは、文言だけはしっかり入れ込んでいこうという気持ちです。
○岡部委員 大変お答えづらい質問ばかりして申し訳ありません。どうもありがとうございました。
○菊池部会長 奥田委員、どうされますか。最後にしますか。ここで発言されますか。
○奥田委員 私も委員の1人なので、すみません、質問して、そのまま、また宿題持って帰るみたいな話で、申し訳ございません。
 1つは、この取りまとめの3ページ目の4の表は、私は、これは出てよかったなと思っています。居住支援とは何なのだという話をこの4つの領域で押さえたというのはよかった。
 一方で、できれば、これは誰が担当するのというのが何も書かれていないので、こういうこと必要だよねとみんなが言っているという状況なので、これはどこがやるのですかと。例えば相談にしても誰が受けるのですか。ここは生困の部会なので、例えば自立相談なのですか。自立相談になると、やはり先ほどの法概念の話も出てきて、自立支援という枠組みの中で、あるいは期間が限定されているというその時間軸の中で、自立相談でやっていくということ。ただ、現状では、相談は全て受けているのですね。生活困窮の自立相談の窓口は。だから、その後の例えば切れ目がない入居中から死後事務までという、この範疇は誰がするのですか。
 ちょっと印象としては、例えばここに出てくる住宅確保要配慮者のイメージですけれども、高齢者と出てくるのですが、私がちょっと現場で思っているのは、高齢単身者が1つボリュームゾーンで出てくるだろうと。ただ、これが必ずしも生活困窮者ではないだろうというところですね。そうなると、この方々がイコール、例えば介護の事業を使っている、介護認定を受けている人だったら、そっちのほうでカバーできるけれども、そうでもない。困窮者でもなくて、元気な単身高齢者。しかし、やはり家族はいなくて、何らかの見守りが要るというところは、多分、今のままいくとすぽっと落ちるのではないかと思うのです。
 この辺りは、対象者がすなわち居住支援とは何ぞやという話とドンピシャで来るところですけれども、やはり全体として、従来の厚労省の各制度の中でコミットできる人は救っていくとしても、それでもなお残る人が結構なボリュームとしていて、しかもそこが、全員ではないとしても、ある一定の、私の言い方でいうと、まさに従来家族が担ってきたような手前の支援ですね。日常的な支援の部分が必要になる。例えば制度とのつなぎにしても、やはりある程度家族が制度とのつなぎをやってきたわけですね。ですから、そこのところは一体誰がするのかというのは非常に大きな問題である。
 3つ目として、これは検討会議でも言っているのですが、そもそも住宅セーフティネット法自体を私は厚労省と国交省の共管にすべきだと。共管にしたときの共管の事項とは一体何かということです。何を共管するのかというところですね。相談が、例えば厚労省の各事業を使いますよという話で何となく進んでいるような気がするのですが、ますます、「居住支援法人、何するの?」というのが一方で抜け落ちていっているような気もする。
 私、居住支援法人の全国組織の代表でもありますので、別に居住支援法人守るためにいるわけではないのですが、せっかく700もつくったのに、この後どうなるのでしょうか。共管の中に相談とか云々は入ってくるとしても、その相談の中に居住支援法人という位置づけが両省の中で位置づけられていくのだろうかというのは、生困の議論を見ていても、今日の資料の中に居住支援法人という名前はほぼ出てこないわけです。この部会の中で。ですから、やはり範疇が違うのだろうなというのは見ていてよく分かるので、でも、それ言っていられないではないですか。だからこそ共管にして、居住支援法人ということにおいても、厚労省サイドからもちゃんと責任持ってそこを、使っていくというとちょっと語弊がありますけれども、まさに使っていくということをもうちょっと明確にしていただけないかということを思いました。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。大月先生から何かございますでしょうか。
○大月参考人 私もほぼ共感するところですけれども、私のほうで説明しそびれたのは、12月の最後の会議に向けて、大事なのは、それぞれの項目が誰の仕事なのかと。もっと端的にいうと、厚労省さんの仕事なのか、国交省さんの仕事かという仕分けを多分どこかでやらなければいけなくて、そのときに、やはり共管したらどうだという話は随分出てきていますので、それは積極的に、両省、もしくは3省の共管として居住支援という仕事を考えるべきだと個人的には考えております。
 あと、今日主として説明しました今後の取組の①、②、③、④に出ていない話が今奥田さんおっしゃったことで、対象となる方々をどう設定するのかということが実はちゃんと書かれていないというような気がいたしております。
 私自身は、全国居住支援法人協議会で包括的居住支援の研究会というのをまた別にやっておりまして、そこで包括性とは何かという議論の中で、時間と住宅と地域と対象だと思っております。時間の包括性というのは、入居前から死後事務まで切れ目なくというところの時間の継続性。それから住宅の包括性も、民間賃貸住宅だけでなくて、公共とか、場合によっては施設居住というのも含めた意味でのあらゆる種類の住宅を地域の中で動員していくという包括性。それから、地域の包括性というのは、④に示しております地域の中のいろんな資源を持ったプレーヤーさんたちが途切れなく連携していくことによって、完璧なパッチワークで住宅セーフティネットを形成していく。
 それから、対象の包括性というのは単に高齢者とか何とか者というものでなくて、例えばLGBTの方はどうなるのかとか、母子家庭の方もよく居住差別に遭うのだけれども、それは誰が救うのかとか、あるいはネグレクトによって家を出た方とか、いろんな方が実は新しい形で我々の前に、住まいに困った人として登場し、窓口に来られる。そうしたところにもれなく対応していくという包括性、そこの議論がまだ欠けているというのは認識しております。
○菊池部会長 ありがとうございます。それでは、勝部委員、お願いします。
○勝部委員 今のお話に関連するのですけれども、外国人の方はもちろんそうですし、それから、未成年の、できちゃった夫婦で、親との関係がとても悪くて、自立したいと思っていても住居がなかなか借りられないとか、現場では現実いろいろありますので、高齢者だけでなく、保証人の問題というのは住居の設定に非常に大きな課題があると思っていますので、こういう整理をしていただいたのはとてもありがたいなと思います。
 私たちの現場で言うと、年間70件、引っ越しさせています。それを言うと大体1週間に何人も何人もという感じで、住居を設定して、そして引っ越しをさせて、その後の支援ですね。引っ越しした後、物がそろわない人たちは、リユースをして、それから、手続ができないので全部手続をしてということで、生活高齢者自立支援法及び社協職員で、その対象でない人たちはそうやって、あと、ごみがいっぱいたまっている人のごみの片づけ、それから、日々の安否確認という、地域の人たちの動員でサポートするようなことをしているわけですけれども、これが、先ほど来から繰り返されているように、伴走的に絶対必要なのですね。引っ越しなんて簡単にできないので、そこを全体的に寄り添っていくのは、住居のサポートする人だけでも難しいというところの、そこの連携をどのように示されるのかというのが1点。
 それから、公的賃貸住宅の話で、8050問題が今言われているのですけれども、親が亡くなると権利が子どもたちにはそのままいかないので、出ていかないといけなくなるということで、息子さん、娘さんたちは家から出ていくということで、次の住宅を設定しないといけないのですが、例えば東京都内で、渋谷であるとか新宿であるとかの公営住宅に住んでいる人たちは、生活力が、その近辺でしか生活できないという状況の人たちだと、とてもではないけれども住める住宅はもう確保できないという話があったりというところで、そこのつなぎみたいなところが、親と一緒に住んでいた、そういう就労できない状況の人たちはどのように考えていくのかみたいなのが1つあったり。
 それから、この夏もとても暑かったのですけれども、公営住宅、エアコンもないしお風呂もついていないという状況のところがかなりありまして、この夏、そういう人たちで外国籍の人たちに、貸し付けも貸すことができずに、どうやって支えるのかというところでは、社貢研を使って応援するような制度、社会貢献事業というのを社会福祉法人さんがレスキューでお金を出してもらえる方法があって、そういうものを使っていたのですけれども、インフラとしてどこまでのものをするかということについても、またぜひとも、公的住宅のインフラ、何十年前のことを前提でやっていますので、内風呂がほとんどになってきている中で、いつまでもこの形でいいのかなというのはとても悩ましいなと思っているところです。
 現場の声です。すみません。
○菊池部会長 お願いします。
○大月参考人 ありがとうございます。1番目の、いろんな人々が居住支援で連携していく、特に不動産と支援のエキスパートの方々が、さっき言ったように、お互いの専門用語が通じていない。まず、それぞれの領域のお仕事のベクトルが相当に違っていて、福祉系と不動産系のそれぞれの業界の商慣行には相当に違いがあります。そうした中であっても、居住支援の場面で、どうやって互いの目標を一にしていくのか、あるいは、職種連携の中で、どこでバトンタッチできるのか、そのバトンは何かというのをやはり文言化していかないと、今本当に手探りで、言葉が通じない中でバベルの塔をつくっているような状態が現実にあると思いますので、やはり共通の言語、共通の価値、そういうものを現場ベースでつくり上げていく必要が、とてもあると思っております。
 あと2番目に、いろんな住宅を使うときに、例えばエアコンというのが基本的には、今までの考えからすると贅沢品とみなされる。住宅政策の中でも。だけど今や、夏場は特に生命維持装置として必需品であるので、その辺も、既存の住宅に昭和30年代のままで入居してもらうというのは、まさに基本的人権の問題にもなり、そこのイニシャルコストの負担を誰がどうするかという議論も併せて、居住支援の枠組みの中で議論していくことが重要なのではないかなと思っております。
○菊池部会長 ありがとうございます。それでは、佐保委員、お願いします。
○佐保委員 時間が迫っていますので簡潔に申し上げます。住宅確保要配慮者には色々な方がいらっしゃると思いますが、中でも、先ほど奥田委員がおっしゃったように、単身高齢者がこれから先、人口構造を考えるとどんどん増えていくだろうということです。そういった方でも、地方では、ほとんどの方が持ち家を持っています。何らかの事情で自分の家に住むことができない、住宅改修も難しいということになると、賃貸に写ることになる。ただ、賃貸だと、今まで払っていなかった家賃を払うようになって、生活に窮する。年金だけでは生活が苦しいのに、さらに家賃が発生して生活に窮するといったケースもこれから起こってくるのではないかと思っています。
 資料5-1の3ページの表は分かりやすく大変参考になりました。この中での公営住宅について、先ほど勝部さんのほうからもインフラの整備の話がございましたが、公営住宅は大体、誰でも住めるように部屋数もある程度用意されています。片や、単身高齢者が増えてくると、それほど部屋は要らないというか、部屋があるがゆえに部屋を持て余すような方も増えてくるのではないかと思います。ワンルームでもいいのではないか、それでバリアフリーにするとか、そういったニーズに応じた公営住宅の変化も必要ではないかと思うのですが、こうした点について、検討会の中で御議論があったのかどうか、もしあれば教えてください。よろしくお願いします。
○菊池部会長 いかがでしょうか。
○大月参考人 ありがとうございます。検討会の中で公営住宅、公共的な住宅に関して具体に議論する時間がなくて、基本的には検討していないのですけれども、非常に重要な論点だと思います。
 でも、今の住宅政策の枠組みの中では、公営住宅のストックはこれ以上増やさないという方針でやっておりますので、既存の住宅を使うというのが主眼となります。ただ、近年の傾向としては、古い公営住宅が建て替えられる際、継続居住を希望される高齢単身の方々向けに建て替えるということが多いので、小さい住宅がたくさん供給されているという状況です。ただ、高齢だからワンルームでいいかどうかについては個人的には疑問を感じます。例えば東日本大震災で公営住宅をつくるときに、高齢者1人暮らしは25㎡のワンルームでいいよという議論もあるのですけれども、高齢単身だからこそ、よそに住んでいる息子、娘が泊まりに来る時のために、プラス、4畳半でいいからワンルーム欲しいよねとか、そういう議論も片やあったりするので、単純に高齢者イコール小さい家というふうにはやらないほうがいいのではないかなと思っております。
○菊池部会長 ありがとうございます。私も、自治体とか地域によって、公営住宅に対する依存度って随分違うものだなと感じたりすることがございますが、それはさておき、ここでオンライン参加の皆様から御発言をお願いします。
 駒村委員からお願いします。
○駒村委員 これは福祉と住宅の問題がいよいよ本格的に大事になってきたのかとよく分かりました。これは福祉、住宅も学際的であり、省庁間、省際的と言うべきでしょうかね、幾つかの省庁にまたがる問題であり、もちろん業界、他業界を巻き込むという問題で、新しい見方を共有しなければいけないのかと今お話を聞いていて思いました。
 この中で突き詰めて一番大きな問題というか、深刻な問題は、やはり死をめぐる問題なのだろうと思いました。残置物とか、孤独死、死後事務、身元保証等々。今までは厚労省は、人生の4つの苦と言われているような、生まれてくるとか、病にかかるとか、老いるとか、こういうところをカバーしてきたわけですけれども、死亡問題をカバーするというのは誰の担当なのか、この問題がいよいよ大きくなる。というのも、2040年になると、1年間に亡くなる方が170万人。この中で該当するような方、つまり、単身のまま、そして賃貸に住んでいて亡くなっていくような方が、該当するような方がどのぐらい毎年出てくるのか。その人たちはどういう特性を持っているのかというのがどこまで分かっているのかどうなのかというのをちょっと教えてもらいたい。これは大月先生、あるいは事務局にそういう数字、予測があれば、見える化をしていく必要があると思うのですね。政策として前に進めるためには、見える化をしていく必要があると思います。
 最近も、海外のジャーナルですけれども、賃貸に住まれている方のほうが、バイオマーカーで測定するとかなり老化が著しいと。これは退居の不安とか家賃の引上げ、あるいは住宅機能の問題でかなりストレスを感じているためだとかいう研究もございますけれども、ここにどういう方が何人ぐらい、こういう状態で亡くなっていくのか。恐らくこれは人口問題研究所などの多層生命表というか、婚姻関係別生命表みたいなものも見ていかなければいけないと思うのですけれども、特に団塊ジュニア世代がこれからそういう該当に入っていく。未婚率高い、そして貧困率の高い世代がこういうタイミングに入っていく中で、数字面で分かっていることはどこまでなのか、あるいはそういう調査があるのかというのを教えていただきたいと思いました。
 すみません。大月先生、もしくは事務局にお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
○菊池部会長 いかがでしょうか。
○大月参考人 私はちょっと今持ち合わせておりません。そういうデータとか調査が本当にあるのかどうかも私は分からないのですが、どなたかお分かりですか。
○菊池部会長 事務局で何か。
○津曲参考人 国土交通省住宅局安心居住推進課長でございます。
 今、駒村先生からありました御質問に関して言えば、3省検討会におきましては、高齢者の世帯数の推移であるとか年齢別の単身世帯数の推移ということに関しまして、将来の推計も含めまして議論がなされているというようなところでございます。ただ、先生がおっしゃっていました、さらにそのうちの賃貸であるとか死亡というような別の要素というものも入れた上でのお話ということになりますと、そこまでの数字については議論には至っていないというところでございます。
○菊池部会長 駒村委員、いかがでしょうか。
○駒村委員 これはどのぐらいのインパクトを持つ、私は、170万人の方が亡くなるような時代になったときに、かなりの数になって、それが自治体負担等にもかなりつながっていき、死をめぐる政策、本気で考えなければいけない時期に入ってくるのではないかなと思いますので、国としてもぜひ調査研究をしていただきたいと思っております。見える化というのは大事だと思っています。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございます。それでは、五石委員、お願いします。
○五石委員 ありがとうございます。大月先生、御無沙汰しております。オンラインで失礼します。
 津曲課長に質問できればと思います。たまたま最近、他の仕事で住宅土地統計調査を調べていまして、その中で、年収200万円以下の借家居住者数が、ここ過去30年間で激増していることが分かりました。2018年で500万人近くいまして、これは1993年の数字から比べると、100万人以上増加しているのですね。一方で、公営住宅の入居者数というのは、管理戸数が200万ちょっとです。今日拝見した中間とりまとめ素案の3ページでは、セーフティネット住宅の専用住宅が5,000戸ということで、数として圧倒的に不足しているのではないかと思うのです。
 そうした場合に、現体系で果たして対応できるのか私は疑問です。合理的に考えれば、やはり家賃補助の話が出てくるのだろうと思うのです。建設省の頃から家賃補助は検討されていたと思うのですけれども、居住水準が保てるかどうか等の問題で見送られてきました。そこで伺いたいのは、現段階でどう考えられているのかなと。どこかの資料で家賃補助の話を拝見したような気がするのですけれども、今日の資料では、見当たらなかったかと思いますので、できれば、今検討されていることですとか何かあればお伺いできればと思います。よろしくお願いします。
○菊池部会長 では、津曲課長、お願いいたします。
○津曲参考人 御質問ありがとうございます。全体状況から申し上げますと、確かに公営住宅は200万戸程度というところでございますけれども、一方で、賃貸住宅に関しましては、現在、空家数、空家率に関しまして上昇しているような状況にございまして、住宅土地統計調査によりますと、新耐震基準制定以降に建設された住宅でも、280万戸近くが今現在、空家となっている状況でございます。そのような状況の中にありまして、賃貸住宅というものも活用することが可能ではないかと考えておりまして、このような御議論を行っていただいているというようなところでございます。
 一方、家賃補助ということに関しましては、国交省に対しても、この家賃補助についてどう考えるのかというような御質問もいただくところでございますけれども、私どもといたしましては、非常に大きな予算を必要とするような仕組みでもございますし、また、制度的にも非常に大がかりな準備も必要な仕組みになるであろうと考えておりますので、現段階においては、こちらについて具体化していくというよりも、現在全国にございますこの賃貸住宅ストックというものをどのように活用していくのかということについてを中心に議論を行っていただいているというような状況でございます。
○菊池部会長 五石委員、いかがですか。
○五石委員 ありがとうございました。
○菊池部会長 それでは、生水委員、お願いします。
○生水委員 ありがとうございます。大月先生、御丁寧な説明をいただきましてありがとうございました。
 今、五石先生のほうから家賃補助の御質問があって、私も同じ質問を大月先生にしようと思っていたところでした。今日お話はなかったのですが、住宅手当について検討会の中でどのような議論がされたのか、また今後議論を展開される予定があるのかというところと、困窮法のほうには住居確保給付金というのがありますけれども、住宅手当をもし検討なさるに当たって、大月先生は住居確保給付金とはどのような整理になるとお考えになられているか、教えていただければお願いします。
 希望としては、事務局からお話がありましたけれども、住宅手当についてはぜひ検討会のほうでも引き続き御議論いただきたいと思っているところであります。よろしくお願いします。
○菊池部会長 大月座長へということで、よろしくお願いします。
○大月参考人 私も、長期的には、ヨーロッパ諸国でやられているような家賃補助にシフトしていったほうがいいのではないかなと個人的には考えておりますが、ここ2~3年でそれが実現できるような状況とはほど遠いのではないのかなと思っております。せんだっての議論では、特に経済学者の委員から、住宅バウチャー制度、これはアメリカで実験的に幾つかやっておりますが、それをやるにも、日本でそれを普及させていくには、いろんな都市で実験的にやってみて、本当に日本の国にそれがなじむのかどうかを、慎重に見定めなければならないとのご発言がございました。誰が本当のお金持ちで誰が本当の貧乏人かすらも分からないようなこの状況でそれが可能なのかとか、住宅補助が成り立つための社会的な仕組みというのがもっともっと議論されないと難しいなとは思っております。
 ただ、コロナの中の住居確保給付金なんかがある意味で非常に功を奏した面もあるということは、私は高く評価したいと思っておりますので、そうした機動的な補助というのを、給付というのをどのようにするのか。それと、ここの部会の議論になるかと思いますが、住宅扶助の単給化みたいなものも併せて議論しないとなかなか難しいので、ちょっと気持ちはそうだけれども、なかなか3年、5年の話ではないのではないかと考えております。
 以上です。
○菊池部会長 生水委員、よろしいですか。
○生水委員 ありがとうございました。引き続きよろしくお願いします。
○菊池部会長 大西委員が先ほどお手を挙げていらっしゃいましたけれども、ございませんでしょうか。
○大西委員 いやいや、ちょっと出ましたし、時間の関係でも遠慮しようかなと思ったのですが。
○菊池部会長 どうぞ。
○大西委員 不動産関係の業者さんと、私ども参画している福祉関係者と相当やはり溝があるようなので、できるだけ福祉のことを理解していただけるような方向性というのをできたら構築していただきたいと思うのですが。
 それともう1点は、私は法人で居住支援協議会の事務局を大阪府でやっているのですけれども、運営費として補助金を1,000万ぐらい申請しても、実際に入ってくるのは4分の1ぐらいですので、事業を持続させるためにも資金についての御配慮をいただいたらありがたいなと思っています。
 以上2点だけです。
○菊池部会長 ありがとうございます。御意見、御要望ということかと思いますが、何かコメントいただけますでしょうか。
○大月参考人 今おっしゃった福祉と、特に不動産系の業者の方々がなかなか言葉通じない面も多々あるということもありますが、そういう業者さんの中にも、例えば社会的不動産業ということを自らおっしゃっている、非常に一緒に働くべき方というのが少しずつ増えておりますので、協議会なんかでの、こういうフォーマルなものでなくて、インフォーマルな活動も含めて、本当に気長につき合っていただくことが一番重要なのかなと思っております。
○菊池部会長 ありがとうございます。それでは、あと、奥田委員からもお手が挙がっておりますが、あと渡辺委員。他には、オンラインの方も含めてよろしいでしょうか。
 それでは、奥田委員からお願いします。
○奥田委員 住宅手当の話なのですけれども、これはこれで住居確保給付金の実績とか等々見たときに、やはり必要だなと。国交省のほうでも家賃低廉化の補助というのは実はありまして、ここにちゃんと書いていませんけれども、既にもう走っている。ただ、自治体負担がなかなかできないということで広がっていないというのが事実なのですが、ただ、私、あっちの検討会でも何回も言ったのですけれども、もう1つは、家賃をどう下げるかなのです。
 これだけ空家があるのに、なかなか市場の原理が働いていない。コロナで困窮状況になったときに、やはり切り詰めて生活せざるを得なくなったとき、例えばお肉食べていたけれども今日は豆腐にしておこうみたいな話は調整がきいたけれども、家賃だけはきかないのですよ。これは固定費だから。5万円の家賃だけれども、ちょっと収入減ったから3万にしておこうというわけにはいかないですね。
 ここのところを考えると、本当は空家がこれだけあるのに、なかなかそこの調整がきかない。そこのところに家賃補助入れると、家賃は高止まりします。必ず。そうではなくて、やはり大家さんにもメリットがある形で、例えば空家で置いておくよりかは使ってもらったほうがいいはずなので、こういう大家さんを安心させる材料も出しながら、家賃自体をどう下げるか。
 家賃というのは、日本では大体30%ルールと言って、実収入の30%というのが目安と言われているのですが、そんなむちゃくちゃな話ないわけで、収入が老齢基礎年金しかない人が30%出すのと、100万円ある人が30%出すのと全く意味が違うわけですから、私は、最終的には、これはそれこそ長期の議論になるかもしれませんが、ある意味、収入に見合った家賃というものが想定される物件をどうつくるか。これは実際には日本はやっているのです。公営住宅はやっているのです。その公営住宅でやってきたようなことを、それはやはり国がお金出してつくったからできたのですね。
 これを民間の、余剰になっている、いわゆる空家になっているところをうまくコントロールしていく、うまく社会的に活用していく、ある意味、コモンズ化していくことによって、家賃を一定の収入の範囲におさめていくということを一方で見ないと、ここの場所はやはり個別支援の場所ですよ。困窮者支援というのは。個別支援だから、本人に家賃をどう助けるかという話になるのですが、大本の家賃市場自体をどう見るか。
 大月先生よく言っているのは、低廉家賃の市場というものをつくったらどうかと。空いている物件をある一定のルールのもとに活用していくような社会実験をして、そこで一定大家さんが家賃下げてでも市場に出していくという、そのマインドコントロールみたいなものをできる仕組みが必要。だから、私は、個別に家賃手当、住宅手当とか生活保護の一部切出しとか、本当にできるかどうか、それはまた法概念の問題が出てくると思うのですけれども、そういうことがあるとしても、一方で大家サイドですね。オーナーサイドの家賃自体をどう見るかという議論をしないと、これは住宅手当だけでは、多分財源もないところでどうしていくかというのは大きな問題だとずっと思っています。
○菊池部会長 ありがとうございます。大月先生から何かコメントあれば。
○大月参考人 実は、日本にはたくさんの空き家アパートがあるのです。だけど、一方でどんどん新築アパートができているのです。税金対策で新築アパートが増えたりしいるので、需要があるから供給しているわけではないのがたくさんある。そうすると、今まで人が住んでいたのがどんどん空きになる。でも、その空きがなぜ市場に出てこないかという点こそが、重要な問題でありまして、そこで、老人を入れてしまうと孤独死してしまって大変かもしれないなんて思う心がすごい歯止めになっている。また、その懸念が去ったとしても、もう古いアパートだから、エアコン入れないと人が来ないよとなった時に、エアコンのイニシャルは誰が出すのだということが課題になってしまう。その辺の低廉民賃を市場に出すきっかけを誰も掘り起こそうと今までしてこなかったということです。また現在、住宅・土地統計調査の中で、空き家というのが物すごく問題になったり、空家特措法の特定空家の課題が時々クローズアップされますけど、大体それは戸建て住宅の空家なのです。
 しかしアパートの空き家は、数でいえば戸建住宅以上にたくさんあるのです。だから、そこを今度課題化していくのは、これは国民の財産として非常に重要な課題だと私自身は認識しておりますので、今、奥田さんがおっしゃったようなことは引き続き注視しながら、検討・調査しなければいけないと思っております。
○菊池部会長 ありがとうございます。それでは、最後の御質問とさせていただきますが、渡辺委員からお願いします。
○渡辺委員 すみません。本当にこの問題に全く詳しくない私が最後になってしまって、ちょっと不安なのですけれども、最初お伺いしていて、高齢の方の看取りとか、そういったことで言うと、私はいわゆる独り親家庭とか子どもとか、今でいうと、本当に独り親家庭を自立した、非常にお金のない若者とかをどうするかというところをやっているので、そこのところで、看取りとかだとちょっとなと思ってお話を伺っていたのですけれども、独り親家庭とか、勝部先生もおっしゃったような、外国にルーツのある方だとか、そこの家族だとか、若者でお金がない方たちがいて、そういった方がうまく使えるような仕組みになればいいなと思います。
 そういったときに、ここの中に地域の居場所とか見守りの支援というのがあるのですけれども、それが1種類で語られてしまうと、多分全くそういうところには魅力に感じないだとか、どちらかといえばそれを嫌がるような、例えば若い方たちだったら、知らない人が月1回来て、なんか見られるみたいなことを嫌がるような人たちもいる中で、もっと軽い支援みたいなほうがいいだろうというのでは、本当にこれをやるときに少しターゲットに合わせて見守りとかそういったものをしていくと、多分、コスト感も違う。若い人だったら、もしかしたらネットのSNSというのだけでも十分かもしれないというのが1つあります。
 あと、大家さんの側の負担軽減という中では、私が現場をやっていて使えるのかなと思うのは、住宅確保給付金を大家さん側が積極的に使うといいますか。やはり知らないのですよね。独り親とか若い人だとか、そういうものがあると知らない。例えばバイトができなくなって、来月の家賃が払えないといったときに、そこにセーフティネットがあると思わないので、それを申し込まないのですよ。結局私たちのところにも、コロナのときとかは、今月全く仕事ができていなくて、来月収入がないから家賃がないので、私は子連れホームレスになるのでしょうかということを言ってくるので、大家さん側に、もし独り親とかお金のない若者とか、そういった方たちを入れていて、家賃が払えないという事態が発生したときに、この制度が使えるから、どうぞこれを使ってくださいみたいな、大家さん側が家賃の見通しがちょっと立つようなことがあればもう少し貸しやすくなるかもしれないなというのは常々思っているので、そういったことをうまく入れられると、空家がある一方、住むところがないだとか、困っているという人はいますので、そういったところがうまくつながればいいなと思います。
 私のほうから以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。大月先生、何かございましたら。
○大月参考人 なかなかそういう方を明示的に議論したことはこの検討会の中ではないのですが、おっしゃるとおりに、私が先ほど説明しました包括性の中に、対象の包括性というのがあって、居場所サードプレイスを地域で実現していく中で、対象の包括性が汲み取れていくのが非常に重要です。家に居場所がない、職場に居場所がない、学校に居場所がないみたいな人びとが集まってきたりするような地域づくり、施設づくりというのも含めた形で、ちゃんとそこから相談につないくことが重要だと思います。若い人というのは経験とリテラシーがないことが多いので、その部分だけ、周りがちょっと後押ししてあげれば大丈夫とか、あと自殺志望者の方も随分いらっしゃって、その人を抱き込むような形で、大丈夫だよと言ってあげる人がいればいいという話もある。そこも含めて、居住支援の前段階でできることも、住宅提供とサードプレイス的なものの提供を一体的に行うというのが増えていけば、そういうことも随分増えていくのではないのかと思いますので、そういうことも明示的に今後深めていく必要があると思っております。
○菊池部会長 ありがとうございました。
 議論も尽きませんけれども、最大延長認められた時間がもうほぼ尽きてしまいましたので、この辺とさせていただきます。また、前半部分の議論も後で残りの時間でということを最初に申し上げましたけれども、申し訳ありません。そこの時間も取れませんので、何かあれば次回の部会でお願いできれば幸いでございます。
 本日は、大月座長に大変お忙しい中お越しくださいまして本当にありがとうございました。質問攻めにさせていただいて大変お疲れのことと思いますが、このテーマ、我々部会にとっても非常に大きな関心事でございまして、座長自らお越しいただき、お話を伺えたことで、表現はよくありませんが、かゆいところに手が届くというか、本当に実りの多い議論の機会を持たせていただきまして、改めて御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
 ということで、本日の議事についてはこれで終了させていただきます。
 最後に、次回の予定について事務局からお願いします。
○河合室長 本日もありがとうございました。
 次回につきましては、11月頃に開催を予定しております。正式な開催通知につきましては別途御案内いたしますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○菊池部会長 大月先生、それから津曲課長におかれましては、本当に今日はありがとうございました。皆様も、3時間という長丁場、どうも御苦労さまでした。
 それでは、本日の議事はこれにて終了させていただきます。どうもありがとうございました。お疲れさまでした。