第53回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 議事録

健康・生活衛生局 感染症対策部予防接種課

日時

令和5年11月22日(水) 11:00~

場所

WEB会議にて開催
(厚生労働省専用第14会議室:東京都千代田区霞が関1-2-2)

議題

  1. (1)令和6年度以降の新型コロナワクチンの接種について
  2. (2)その他

議事

議事内容
○溝口予防接種課課長補佐 事務局でございます。
部会に引き続きまして、第53回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の開催に入りたいと思います。
委員・参考人の入退室が確認できましたので、引き続き分科会を開催いたします。
本日は御多忙のところ、委員・参考人の方々には御出席をいただきまして誠にありがとうございます。
本日の議事につきましては、公開・頭撮り可としております。議事の様子につきましては引き続きユーチューブで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。なお、部会同様、事務局で用意しているユーチューブ撮影用以外のカメラにつきましては議事に入るまでとさせていただいておりますので、関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
また、傍聴の方におかれましては、「傍聴に関しての留意事項」の遵守につきまして、お願いいたします。
なお、会議冒頭の頭撮りを除きまして、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
次に、本日の出欠状況について御報告を申し上げます。本日は磯部委員、伊藤定勉委員、清元委員、合田委員、中野委員、本田委員、森尾委員から欠席の連絡を受けております。現在、委員17名のうち10名に御出席をいただいておりますので、厚生科学審議会令第7条の規定に基づきまして、本日の会議は成立したことを御報告申し上げます。
また、予防接種・ワクチン分科会の資料でございますが、あらかじめ送付させていただいております電子ファイルで閲覧する方式で実施いたします。番号01の議事次第及び委員名簿から番号08の利益相反関係書類までを用意しております。資料の不足等、御不明な点がございましたら、事務局までお申し出ください。
なお、申し訳ございませんが、冒頭の頭撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力のほど、お願い申し上げます。
(カメラ退室)
○溝口予防接種課課長補佐 それでは、ここからの進行につきましては、脇田分科会長にお願いいたします。
○脇田分科会長 皆様、おはようございます。基本方針部会から引き続きの委員の先生方、そしてここから分科会に御参加の先生方、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、まず事務局から審議参加に関する遵守事項等についての御報告をお願いいたします。
○溝口予防接種課課長補佐 事務所でございます。審議参加の取扱いについて御報告を申し上げます。
本日御出席の委員・参考人から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づきまして、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受け取り状況、薬事承認等の申請書類への関与について御申告をいただきました。委員・参考人からの申告内容については、番号08の利益相反関係書類を御確認いただければと思います。
本日の出席委員及び参考人の寄附金等の受け取り状況から、本日は議事内容に関しまして「退室」「審議又は議決に参加しない」に該当する方はいらっしゃいません。
また、毎回のお願いで大変恐縮ですけれども、各委員・参考人におかれましては、講演料等の受け取りについて、通帳や源泉徴収票などの書類も確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますようお願い申し上げます。
事務局からは以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
それでは、議事に入ってまいりたいと思います。今日の議題は、「令和6年度以降の新型コロナワクチンの接種について」ということで、それから、先ほど予防接種基本方針部会を開催しまして、そこでの御議論もございましたので、御報告をしたいと思います。
来年度の新型コロナワクチンの接種につきましては、この分科会は8月に開催しましたけれども、8月の分科会においても接種を継続する場合には安定的な制度の下での実施に向け、感染症の疫学的状況、ワクチンの有効性や安全性に関する科学的知見、費用対効果等を踏まえて接種の目的や対象者等について検討するということといたしまして、基本方針部会において9月8日と本日の2回にわたって御議論をいただいたところでございます。先ほど開催しました部会におきまして、来年度以降の新型コロナワクチンの接種について取りまとめたところですので、御報告いたしたいと思います。
その内容ですけれども、特例臨時接種につきましては、今年度末に予定どおり終了することとして、また、来年度の接種については、個人の重症化予防により重症者を減らすことを目的とし、新型コロナウイルス感染症を予防接種法のB類疾病に位置づけた上で法に基づく定期接種として実施し、接種の対象者はインフルエンザワクチン等と同じ65歳以上の高齢者及び一定の基礎疾患を有する者とし、接種のスケジュールについては年1回の接種を秋冬に行うこととして、用いるワクチンについては当面の間、毎年見直すという方向性を御了承いただきまして、部会として取りまとめたところでございます。
また、委員の先生方からいただいた御意見については事務局のほうで検討をしていただくということにしております。
それでは、詳しい内容につきまして事務局から御説明をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○和泉予防接種課課長補佐 事務局でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
先ほど脇田分科会長・部会長におまとめいただいたとおりでございますけれども、基本方針部会での資料や御議論等につきまして、少し事務局のほうで簡単に補足をさせていただければと思います。
部会におきましては、感染症の疫学的な状況であったり、ワクチンのエビデンスであったり、費用対効果の観点で御議論いただいたところでございます。まず資料1に入る前に参考資料ですけれども、参考資料1には国立感染症研究所におまとめいただきました新型コロナワクチンに関する知見として、当時の疫学的な状況であったり、ワクチンのエビデンスの基礎的なところをまとめいただいたところでございます。また、その後、夏から秋にかけて新たな知見も増えたところでございますので、参考資料2といたしまして、直近の知見も含めた事務局からのお示しとして資料をおまとめしております。参考資料2の4ページ目以降で、3月に本分科会で決定された方針を示してございます。
また、疫学的状況については参考資料2の7ページ目以降でございまして、流行の状況、株の情報について記載をしてございます。
また、10ページ目には感染症法上の位置づけが5類に移行した際の感染症部会等の議論といたしまして、オミクロンの亜系統を含めて重症化のリスクの増加につながる証拠がないといった御議論を御紹介しております。
また、11ページ目以降でございますけれども、オミクロンの年齢別の重症化率といったものにつきまして、アドバイザリーボードに提出されました資料を掲載してございまして、おおむね60代以降から重症化・死亡の上昇が見られているというところでございます。
こういったデータを踏まえまして、15ページ目にございますけれども、一つの県のデータではございますけれども、死亡の分布の状況をお示ししておりまして、死亡の大部分については65歳以上の方が占めているといったこと、また、16ページ目には年齢と基礎疾患等の死亡との関連性のデータを示しておりまして、年齢の関連性が非常に強いということをお示ししてございます。
それから、免疫の状況等につきましては、20ページ目、そして21ページ目にございます。抗体保有率の調査をしておりまして、感染歴を示唆する抗N抗体というものがより若い方を中心として陽性になってきていること、そして21ページ目には、経時的に抗N抗体保有率が上昇してきているということで、国民の方々の免疫の保有状態をお示ししているところでございます。
また、22ページ目以降はワクチンの有効性に関する知見でございまして、これまでの知見から、海外の報告ですけれども、重症化予防効果が12か月以上一定程度持続することが報告されるようになったことや、追加接種によりましてさらに効果の上乗せが見られるといったことも整理してございます。これは国内でも同様の知見が報告されておりまして、31ページ目に国内の疫学的研究の報告も収載してございます。
また、安全性に関しましては35ページ目以降に記載をしてございます。接種後の副反応が疑われる症状が、まれでございますけれども、一定の数報告されていること、そして副反応検討部会等で経時的に御議論いただいておりまして、その議論を踏まえた様々な措置を講じていること等をお示ししてございます。
そして、その他の周辺の環境といたしまして、39ページ目でありますが、治療薬の情報なども記載をしてございまして、治療薬については重症化予防効果がRCT等で確認されておりまして、治療薬が一般流通しているといった状況でございます。こういった状況も踏まえまして御議論をいただいたところでございます。
そして、資料3には、先ほど部会で池田先生から御説明いただきました費用対効果の評価の資料をおつけしてございます。中身は割愛させていただきますが、おおむね高齢者のほうが費用対効果が良好であったといった報告等をいただいたものと承知しております。
そして、参考資料4は、本日御欠席の清元先生からの提出資料となってございます。
以上の情報等を踏まえまして、部会で御議論いただいて、取りまとめでございますけれども、資料1にお戻りいただければと思います。先ほど脇田先生におまとめいただきましたので詳細は割愛させていただきますが、2ページ目には特例臨時接種についてということで、下方の取りまとめ案でございますけれども、令和6年度以降、新型コロナウイルス感染症の蔓延予防上緊急の必要があると認められる状況にはないと考えられるため、特例臨時接種を今年度末で終了するということで部会として御了承をいただきました。
ただ、病原性が異なる変異株の出現等の科学的な前提が異なる特段の事情が生じた場合については、改めて予防接種法上の位置づけについて検討することとして、引き続き流行状況等に関する情報収集及び評価を行うこととするということで御指摘をいただきました。
おめくりいただきまして、3ページ目以降は接種プログラムに関する各論点でございます。今、御紹介した現状のところを3ページ目にコンパクトにまとめております。
4ページ目が取りまとめ案でございます。先ほど脇田先生に御紹介いただいたとおり、接種の目的及び対象者、そのタイミング、そして用いるワクチンについて、記載のとおり部会で御了承いただいたところでございます。
事務局からの補足は以上でございます。よろしくお願いします。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
今日はこの取りまとめをしたいというところなのですが、基本方針部会でも様々な御意見をいただきました。救済制度が特例臨時接種から定期接種に変わるというところはしっかりと周知をするべきといった意見もありましたし、制度全体が大きく変更されるので、そこは広く国民の皆様に理解していただく必要があるのではないかというところが大きなところだったかなと思っています。
そのほかの流通の問題であったり、任意接種と定期接種が混在することになりますので、そこのところの周知ということも重要になってくるだろうというところが御意見としてはあったと思います。そこは事務局のほうで御対応いただくということでありました。
それでは、今、御説明がありましたけれども、委員の皆様から御意見、御質問等があれば、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 ありがとうございます。産経新聞の佐藤です。
この分科会ののりを超えるかもしれませんが、ちょっと気になりましたのでお尋ねとお願いを申し上げたいと思います。
まず、特例臨時接種を終了し、新型コロナを予防接種法のB類疾病に位置づけ、定期接種にすることについては異論はありません。それから、定期接種の対象を65歳以上と60歳~64歳の疾病負荷の高い人とすることについても異論はありません。
その上でのお尋ねとお願いです。実際にこのワクチンが使われるようになったときに、どのぐらいの価格で打てるのかということです。B類疾病になった場合、65歳以上の人も含めて接種する人には自己負担が生じ、費用は市町村によりまちまちになるとの理解です。このワクチンの価格は公表されていないわけですが、インフルエンザワクチンよりは高いものと承知しています。池田先生の資料によるとワクチン代が1万円になっており、接種費用が3,400円と仮定されています。その仮定に基づくと、65歳以上で定期接種の対象になる方は、3割が措置されても1万円ぐらいになるとの理解です。低所得の方にはさらなる補助がありますので、住民税非課税世帯だと費用がかからないとすれば、65歳以上については住民税非課税の方が半数ぐらいいらっしゃるので、半数の方たちは費用負担がないものと思いますけれども、仮にこの仮定に基づくと、住民税非課税から外れる方たちの自己負担は、65歳以上の対象の方で1万円弱になる。そして、任意の方は1万3,000円ぐらいの費用になるとの理解です。
まず、ここまでで大きな間違いはないでしょうかというのが一つのお尋ねです。
その上でのお願いで、この部分がこの分科会ののりではないと申し上げたところですけれども、1万円のワクチンというのはなかなか打ち難いものがあるという印象です。とりわけ65歳以上の方たちには打っていただくことが望ましいということを考えますと、そこの価格については、国がどの部分で頑張っていただくかというといろいろなフェーズがあるような気がしますけれども、少し国と自治体で御検討をいただければと思いました。
また、任意接種の方についても受けたい方はいらっしゃいますので、額についてはちょっと別かもしれませんが、ワクチンが準備されて打てるような環境を整えていただけるようお願いいたします。
以上です。ありがとうございました。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 ありがとうございます。
先ほどの基本方針部会も視聴しておりましたけれども、私としても有効性、安全性、それから費用対効果の観点から、来年度以降の新型コロナワクチンの定期接種への位置づけについて賛成はするところです。
その上で、先ほどの基本方針部会では議論に挙がらなかった事項について、特に研究者という観点から2つだけコメントさせていただきたいと思います。
1点目ですが、発症予防効果、それから感染予防効果の効果と期間については限定的ではありますけれども、あることはあるわけですので、現在の季節性インフルエンザワクチンとおおむね同程度には期待できると考えています。その意味で、定期接種の対象者以外の人についても、例えば医療・介護従事者であったり、あるいは基礎疾患のあるお子さんと接するような仕事をしている方々については流行拡大に先立って任意で接種することのメリットはあるのだということをしっかりと伝えていく必要があると思います。これは厚労省の仕事だけではなくて、医療界、あるいは学会もしっかり役割を果たしていくべきだろうと思っています。
同時に、まさに佐藤先生から御指摘があったように、そこが任意となった場合には価格も非常に重要になってきますので、そこの部分はぜひ行政としての役割も果たしてもらいたいと思います。
そして2点目ですが、今後、流行拡大を繰り返していきます。そうすると人口内での免疫保有状況がさらに変わってきますし、ウイルスのほうも変異を繰り返しているわけです。一方で、新たなワクチンも開発されてきています。こうした中で、今、まさに接種しているワクチンがどれだけ有効であるのか、安全であるのかということについては、引き続きしっかりモニタリングをしていく必要があります。今回のパンデミックまでは、例えば季節性インフルエンザワクチンの接種をするという国の仕組みはなかったわけです。実際のところ、片手で数えられるぐらいの研究者が小規模に研究していたというのが実情です。
今回のパンデミックの経験を踏まえて、新型コロナワクチンやインフルエンザワクチンだけではなくて、将来の新興感染症対策という観点からもしっかりと国としてワクチンの有効性、それから安全性をモニタリングしていく仕組みをつくっていくということに力を入れていただきたいと思います。
私からは以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
次に、日野参考人、お願いします。
○日野参考人 ありがとうございます。
まず、今回の御提案いただいている内容については全面的に承認という立場で、今、佐藤委員からも御指摘があった件ではあるのですけれども、2点ございます。
まず1点目が、一応B類疾病で高齢者のインフルエンザ等と同じような形で行われるとなりますと、実は自治体がやってくれる接種のときに、自己負担の額というのが都道府県や各自治体でかなり大きく差があるのですね。また、所得が低い方に対してのフォローなどについても、非課税の方については免除だよというところもあれば、非課税の方などは関係ないということで普通に取っている自治体もあって、それがかなりばらつきが出てきてしまう可能性があるので、臨時特例のときは全員にという形でやっていたにもかかわらず、定期になったらそういうばらつきがある状況というのが住民としては受け入れ難いというか、ほかの自治体では、例えば今、高齢者のインフルエンザは、私の住んでいる自治体では実は無料なのですよ。だけれども、ほかの自治体では、例えば2,000円とか、3,000円の自己負担があるのですね。こういったばらつきを何とかしてほしいということが1点目です。
あと、任意接種となった場合なのですけれども、これもインフルエンザを例にお話しするのですけれども、例えば私の働いているところでは、そういったハイリスクの方に接する立場にいるものですから、ちゃんと職場のほうで任意接種を無料でしてくれるという動きがちゃんとあります。その費用は全部職場が払ってくれているのですけれども、例えばそういうものがないところだと、健康保険のほうで免除をしてくれたり、費用を後から払ってくれるという制度がインフルエンザなどではあります。たしか国の政管のところではないのですけれども、大体企業がやっている健康保険組合とか、そういった業界団体の健保については、大体みんなインフルエンザの助成制度があります。それも全額負担するよというところもあれば、2,000円だけ、3,000円だけみたいな形で、ちょっとそれもばらつきがあるのですね。
だから、任意接種になった場合のそういった費用負担も統一的に、どこからかちゃんと全部補助がもらえるような形で、そこまで含めて御検討いただけるとありがたいなと思いまして、この2点をよろしくお願いします。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
それでは、坂元委員まで御意見を伺って、事務局に聞いてみたいと思います。坂元委員、お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。
今までの委員から費用に対する懸念が出ておりますが、私も市町村としてもっともな意見だと思います。例えば現在、帯状疱疹ワクチンが任意でやられていますが、5万円ほどするということで市町村にその補助等を市民の方が毎回求めているところでございますし、これを定期化するようにという働きかけもあるように聞いております。
それから、海外ではインフルエンザワクチンのメッセンジャーRNAワクチン、それからRSVなど、またそれらを混ぜ合わせたものが今後出てくると、予想される値段を見るとかなり高額になってくるということが考えられます。将来的には欧米でやっているように、予防接種というのは一つの医療保険で見ていくべきではないかと私は思っております。
今回のコロナワクチンも、池田先生等の研究で費用対効果があるということを考えると、医療保険で見ても決してマイナスにはならないのではないかと私は思っており、やはり今後のワクチンの発展、科学技術の高度化を踏まえると、今までの予防接種法の体制では応じ切れないのではないかと考えております。これは厚生労働省の責任ではないのですが、総務省は3割程度の補助を出していると言っていますが、地方交付税なので、御存じのように中身は全く見えていないということと、総務省が予防接種の単価を幾らで計算するかということも一切公開していないので、実質どの程度我々が補助をいただいているかというところも分からないところです。
こういう形ではなくて、予防接種というものを将来的にしっかり確立していくためには、やはり欧米並みに医療保険で見ていくということだと思います。よく予防は医療ではないといいますが、医療法の中には予防も医療であるということはきっちり明記されておりますので、その辺を将来に向けて私はしっかり考えていくべきだと思っております。
以上でございます。
○脇田分科会長 御意見ありがとうございます。
それでは、事務局からお願いします。
○和泉予防接種課課長補佐 事務局でございます。
まず、技術的な観点をお答えさせていただいた上で、費用等についてもお答えをさせていただきます。
鈴木先生から御指摘をいただいたところでございますけれども、こちらは感染発症予防効果が少し限られるところでありますけれどもということにつきましては、部会でもかなり御指摘をいただいたところでございまして、しっかりと情報を収集したり、発信するようにというのを御指摘いただいたところでございます。科学的知見の観点ではそういった収集等をやっていきたいと思っておりますし、これはまさに感染研の先生方とも連携させていただいてきたところでございますけれども、おっしゃいましたとおり、具体的にどういうレコメンドをするかというところは学会の先生、あるいは医学会の先生などとも連携をさせていただくのか、どういったことができるかも含めて考えていきたいと思っております。
また、ワクチンの有効性の評価、あるいは安全性の評価のモニタリングの仕組みということも御指摘をいただきました。今回、長崎大学の先生方や感染研の先生方のチームなどに有効性の評価をいただいたり、安全性につきましては、伊藤澄信先生の研究班でフォローいただいたりなど、様々な御協力をいただいたところでございますけれども、次に向けてということで御指摘をいただいたと思っておりますので、これもどういったことができるかということも含めてよく検討していきたいと思っております。
○鈴野予防接種対策推進官 続きまして、費用面のことで佐藤委員から御質問をいただきました。まず、来年度のワクチンの価格がどの程度になるのかということですけれども、今後、当省としても企業に確認をしていきたいと思っておりますが、具体的な数字は現時点で持ち合わせておりませんので、まずその点を御理解いただきたいと思います。
その前提で、池田先生の数字で1万円ということを前提にして手技料等を含めたらどうかという計算の考え方ですけれども、仮にワクチンの費用が1万円としまして、技術料が3,400円としますと、総費用としては1万3,400円となり、これについては坂元委員からも御指摘がありましたように、3割という地方交付税について、考え方としては、低所得者の方が無料で接種できるようにするための3割ということで積算しているというものであります。したがって、低所得ではない方の費用を3割見るためのものとして措置されているものではありませんので、低所得者の方は無料、それ以外の方は1万3,400円の自己負担が基本的な考え方でして、そこに佐藤委員も御指摘のとおり、各自治体において自治体の財政状況を踏まえて追加で自治体の財源を入れているところは価格がより下がっているということが制度の仕組みとなっております。そのように御理解いただければと思います。
質問に対しては以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
ということですが、それでは、さらに委員の先生方から御意見がありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
福島委員、お願いします。
○福島委員 ありがとうございます。
何人かの先生が将来的な方向性というところで述べられましたので、私も今、事務局に何かお答えをいただきたいということではないのですけれども、議事録に残しておくぐらいの感覚で発言させていただきたいと思います。
本日のスライドに提示されております事務局の取りまとめ案については、異存はございません。これまでの経緯からみて、現行の予防接種制度の中で特例臨時接種を終わらせて、どこに当てはめていくかというところでは極めて自然な流れだと思いますし、公費助成の在り方を考えるにあたり、池田先生から非常にきれいなデータをお示しいただきまして、非常に納得したところでございます。
事務局からお示しいただいた疾病負荷等のデータについても、もちろん完璧ではないところもあるかもしれませんが、一定サポートするデータをお示しいただいたと思っています。
しかしながら、例えば今、定期接種の類型がA類、B類の2種類でよいのかという議論も出ておりますし、私自身、行政の現場で実際に予防接種のロジスティクスに関わっているものではございませんけれども、市町村事業としてこれからも持続的に運営していけるのかというところについては、例えばもっと広域であります都道府県事業に位置づけたほうがいいのではないかと思ったこともございます。また、坂元先生からは医療保険で賄うべきだというもっと大きな意見もございました。
ワクチンによる予防という概念がなかなか日本で浸透しない理由の一つに、国民の皆さんの間で、そもそも病気の予防という概念があまり浸透していないことがあるのではないか、と常々感じております。これは医学教育の現場にも問題があるのかもしれませんが、治療のほうに重きを置いてしまう。もちろん日本の医療制度はすばらしいですし、医療の技術もすばらしいのですけれども、病気の予防というところにもっと重きを置いていただきたいというところで、将来的に予防接種制度を根本的に見直していただく機会があればと思っています。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
次に、白井委員、それから釜萢委員の順番でお願いします。
○白井委員 白井です。
私も今後のワクチンのシステムをどうするかということについて、先生方が述べたことに追加してということになりますけれども、私も自治体に属しておりますけれども、自治体によっての補助の違いというのがかなり大きいということは実感しておりますし、それが市議会の中でのいろいろな話題に関連して健康問題としてというよりは、争点になってしまうことがちょっと悲しい時があります。今回の新型コロナウイルスワクチンの定期への移行ということについて、基礎疾患があるとか、高齢者ということのリスクを出していただいたデータも含めまして、医療保険の中でやっていくと、基礎疾患があるような方は特に年齢も問わずということになり、そういう方々にも主治医の先生がきちんと判断して打っていただくということがやりやすくなるのではないかなと思います。
また、そういう仕組みづくりということを、特に新型コロナワクチンを皮切りに考えながら先行というか、ほかのワクチンもいろいろ問題があると思うのですけれども、感染症予防ということもありますし、逆に重症化予防ということもありますし、それぞれについて一つ一つでもいいので、ワクチンごとに目的や効果に応じて少し変えていくという方法もあるのではないかなと思いました。
自治体の中でどれだけの接種率があって、予算化をするかということになると、今のお話の中ではかなり難しいなというか、低所得者の人たちのための分だけの補助ですと言われると、市町村の予算もかなり圧迫されていくということで、制度の持続可能ということが難しいなとは思っていました。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
釜萢委員、お願いします。
○釜萢委員 脇田先生から冒頭の部会の報告の中で詳しく取り上げていただいたので、あまり重なってはいけないと思うのですけれども、やはりこれまで特例臨時接種として新型コロナのワクチンが国民の皆さんに幅広く受け入れられて、多くの方が接種を受けてこられたおなじみのワクチンであったわけですが、同じような形のものが今後は予防接種法のB類疾病に対する定期接種という形になりまして、このことが国民の皆さんに十分知れ渡るように周知をよろしくお願いしたいということを重ねて申し上げます。
先ほど鈴木基先生からもお話がありましたが、医療現場においてはこのワクチンを今後も積極的に医療従事者などに接種ができるようになるといいなと願っています。
そして、今回の分科会の議論の中で自治体と国のワクチン費用の負担、あるいはこれを医療保険の中に組み込むかどうかという御意見も出ました。その中で、我が国の予防接種に対する国民の皆さんの御理解がまだ十分でないという御指摘もありましたけれども、私は小児科医なので小児科の立場からしますと、小児の定期の予防接種の接種率は極めて高くて、諸外国と比べても非常に高い状況が継続して維持できているという領域があって、小児のワクチンの中では非常に多いというか、大部分のワクチンが接種率が非常に高い状態を維持できているわけであって、国民の皆さんの予防接種に対する認識がそんなに低いとは私は思っていません。ですから、成人用のワクチン、例えば先ほど御指摘のあった帯状疱疹のワクチンなどについては費用が高くて、まだそれほど希望者が増えないということは現実にありますけれども、今後、それは国民の皆さんの理解を得ながらということは考えなければならないと思います。
医療保険で担わなければ、あるいは見ていかなければならない領域が非常に多いので、財源がない中でどう考えていくかというのはとても難しい問題なので、何でも医療保険に取り込めばうまくいくというわけでもないような気が私はしております。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
それでは、事務局から何かレスポンスがあれば、お願いします。
○和泉予防接種課課長補佐 事務局でございます。
様々な御示唆をありがとうございます。今回の接種のプログラムというよりはかなり大きな話をしていただいたところでございますので、まず、直接的なお答えではございませんけれども、お答えをさせていただきたいと思います。
各先生方に御指摘をいただいたとおり、現行の予防接種制度での問題や課題、あるいはその予防をどう伝えていくかということについても御指摘をいただきまして、こちらについても事務局でも少し整理をさせていただいて、またこの部会、分科会の場で御議論に供して、制度の見直しをどうすべきかというところも御議論させていただければと思っております。
釜萢先生におまとめいただいたとおり、保険のところは論点が様々あると思いますので、まずよく整理をして議論させていただければと思ってございます。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
それでは、いかがでしょうか。さらに御意見があればと思いますが。
日野参考人、どうぞ。
○日野参考人 ちょうど今、幾つも議論の中に出ていたのですけれども、ちょうど帯状疱疹のワクチンについて、この分科会のほうにたしか2018年に案が出たときの各委員の方の議論の中で、今のA類、B類という規定、また、予防接種法の感染防止や重症化予防という観点だけでは予防接種については考えられないよねという御意見をどなたかがおっしゃっていて、いわゆる医療費の抑制効果であるとか、QOLの向上といった観点での予防接種というものを今後入れていかないと、帯状疱疹などは決めにくいねというお話を私は議事録で見た覚えがございます。
まさに今回のコロナのほうもそうですけれども、B類疾病全般で医療費抑制効果、高齢者の医療の確保のあれに基づいて、今、ナショナルデータベースがつくられて、ちゃんとそういった経済分析ができるようにつくられているので、ぜひともそれに基づいた医療費を抑制するためにやっていくのだということを、ぜひとも医療費のほうに入れるという以前に、医療費抑制効果が予防接種にはあるのだということをむしろ予防接種法自体に取り組んでいただくのが本当は一番簡単な解決の糸口になるのではないかなと思いましたので、ぜひ今後の検討の課題に入れていただければと思いますので、よろしくお願いします。
○脇田分科会長 御意見ありがとうございます。そこは事務局にお願いをして、今後、検討していただくということにさせていただきたいと思います。
そのほかは大丈夫でしょうか。大体御意見をいただいたと思います。
それで、最初に御報告したとおり、基本方針部会で取りまとめた来年度の接種プログラムについては、事務局案に大きな反対はなかったと理解をしましたので、事務局案どおりに進めていただくということで本部会の結論としたいと思います。
一方で、価格の問題を皮切りにして、様々定期接種、予防接種の在り方を今後どうするのだという議論に少し発展をしました。そこは将来的な課題として我々としてもぜひ考えていかなければいけない課題だと思っていますので、事務局ともよく相談をしてそういった議論を進めていくということをしたいと思います。
さらに、今回議論した接種のプログラム自体に対する御意見もございました。医療従事者であったり、リスクの高い人に接するような職場での接種をなるべく進められるような体制をつくってほしい、あるいは現在のワクチンの有効性・安全性のモニタリングもしっかり続けていくべきではないか等々、それから釜萢先生から再度この制度の変更に関して国民への周知をしっかりしていただきたいというところがございましたので、そこは再度事務局にお願いをしていきたいと思います。
それでは、来年度の接種について、こういう方向でこの分科会でも取りまとめたいと思いますが、いかがでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、来年度の接種につきましては、本日お認めいただいた方向性で、事務局におかれましては関連する規定の整備など、必要な準備を行っていただくようにお願いをしたいと思います。
それにつきまして、佐々木部長からコメントがあれば、お願いします。
○佐々木感染症対策部長 感染症対策部長の佐々木です。
本日は平成6年度以降の安定的な制度についておまとめいただき、ありがとうございました。私から2点申し上げたいと思います。
1点目が、今、分科会長からも御指示いただきました、必要な準備を進めるようにというのに関連してでございます。特に来年度につきましては大きな運用の節目となります。切替えどきとなります。そのためには、本日、委員のほとんどからいただきました、まず国民の皆さんに制度を理解していただいて、そして自分が接種をするという判断をするのに十分な情報を提供できるようにしなければならないということでございます。国民の皆さんへの周知・説明の徹底でございます。
あわせて、国民の皆さんが適切に接種いただくためには、当然ながら運用主体であります市町村、市長会や町村会、さらには実際に接種いただくのは医療機関ですので医療機関、そしてワクチンを生産・製造してくださる企業、流通に関わる皆さんと、十分にこの点については来年の制度の切替えどきにはみんな同じ理解に立って、同じ情報を持って、国民の皆さんが適切に接種いただけるような周知徹底を図ってまいりたいと思います。
これに関連してですけれども、流通についても御指摘いただきましたし、どの時期に始まるかだとか、どれぐらいの株選定をした後にいつから始まるというのもありますし、さらには費用の自己負担の点の御指摘もいただきました。その中には自治体間で接種費用のばらつきがあるのはいかがなものかという御指摘もありました。これらの点につきましては、関係するところともよく話をしたいと思いますし、どうすれば国民の皆さんが適切に接種するのに適切な自己負担額になるのかという点については、政府内でも様々議論・調整をしたいと思っております。
以上が来年度以降、特に来年度の安定的な運用に関する点でございます。
2点目が、将来的な予防接種制度に関する御指摘をいただきました。まず法律で申し上げますと、昨年の12月に予防接種法は感染症法や検疫法、医療法、地域保健法等の大きな法改正があったところでございます。ですので、まずはこの法改正を着実に施行に結びつけていく、さらには予防接種については、今年見直しを再開した予防接種基本計画の改定がございます。ですので、まずは将来的なことを見据えつつ、足元の適切な法の施行、さらには予防接種基本計画の見直しを進めることによって、その先につなげていきたいと考えております。
いずれにせよ、これは国民にとって極めて大きな影響を与える制度でございますので、引き続き我々は尽力したいと思いますし、また、適宜御指導、御意見をいただきたいと思います。
本日はありがとうございました。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
本当に住民の皆さんに不公平感が出てくるような状況というのは非常によくないと思いますので、ぜひその点はよろしくお願いしたいと思います。
それでは、本日の議事は以上になりますが、委員の皆様、あるいは事務局から何かございましたら、お願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、事務局にお返ししたいと思います。
○溝口予防接種課課長補佐 ありがとうございます。事務局でございます。
本日も活発な御意見、御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。
次回の開催につきましては、追って御連絡をさせていただきます。
事務局からは以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
それでは、本日の会議はこれで終了したいと思います。
今日も本当に活発な御議論をありがとうございました。これで失礼いたします。