第186回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 議事録

日時

令和5年11月13日(月) 10:00~12:00

場所

厚生労働省 職業安定局第一会議室及びオンライン
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館12階)

議事

議事内容
○伊藤調整官 おはようございます。事務局でございます。
 開催に先立ちまして、連絡を申し上げます。
 本日は、こちらの会場とオンラインの併用で開催しております。
 部会中は、オンラインの方は基本的にはカメラはオンで、マイクはオフでお願いいたします。
 また、発言をされる際には、会場の方は挙手、オンラインの方はZoomの「手を挙げる」機能を使用いただき、部会長から指名があった後に、御発言をお願いいたします。
 なお、傍聴は、別会場にてオンラインで行っております。
 進行に関する説明は、以上でございます。
○守島部会長 皆様方、おはようございます。
 それでは、ただいまより第186回「雇用保険部会」を開催いたしたいと思います。
 初めに、委員の改選がありましたので、御紹介いたします。
 労働者代表委員として、印刷情報メディア産業労働組合連合会副中央書記長の古賀初代様に御就任いただいております。本日は御欠席なので、この場にはいらっしゃいません。
 その他の委員の出欠状況ですけれども、公益委員の小畑委員、使用者委員の段委員が御欠席と伺っております。
 それでは、マスコミの方の頭撮りはこれまでとさせていただきたいのですけれども、よろしくお願いいたします。
(報道関係者退室)
○守島部会長 それでは、議事に入りたいと思います。
 議題1は「雇用保険制度について」でございます。
 それでは、資料1-1「これまでの議論の整理と見直しの方向性」及び資料1-2「育児休業給付等関係資料」について、事務局より御説明をお願いいたします。
○川端調査官 雇用保険課調査官の川端でございます。
 資料1-1に沿いまして、これまでの議論の整理と見直しの方向性(育児休業給付等)について説明を申し上げたいと思います。
 必要に応じて、資料1-2も参照しながら説明をさせていただきます。
 前回9月22日の部会では、育児休業給付、給付率の引上げ、時短給付の3つの項目について御議論いただいたところです。
 このうち、育児休業給付については、いただいた御意見のほとんどが財政あるいは財源の在り方に関するものでございましたので、今回の部会ではなく、財政に関する回で意見等をまとめさせていただきたいと考えております。
 つきましては、今回の部会において、育児休業給付の給付率の引上げと育児時短就業給付(仮称)の創設について御意見をまとめた上で、検討の方向性(案)をお示しさせていただきたいと考えております。
 それでは、1ページ目でございますけれども、育児休業給付の給付率の引上げの関係で、前回の部会にお示しした論点を掲載しております。育児休業給付の給付率を一定期間に限り、8割程度へと引き上げることについてどう考えるかということをお示しさせていただいたところです。
 これにつきまして、2ページ目以降でございますけれども、部会においては様々な御意見をいただいております。
 給付率の引上げの在り方については、男性育休の取得促進などが重要ということであれば、まずは働き方改革の徹底による長時間労働の是正、性別役割分担などの意識改革について、国を挙げて強力に推進することが先決ではないか。
 給付率を一定期間引き上げるという支援策が本当に適切か、男性が育児休業をためらう要因として賃金以外の声も多く、様々な視点から検討が必要ではないか。
 育休を取得したくても、職場で言い出しづらいなどという意見がかなり占めている。職場で一人でも育児休業を取得すれば、取得する人が増えていく実態がある。こうした観点から、給付率の引上げは、最初のスタートとして、男性の育休取得を促進するものとして考えてもいいのではないか。
 給付率の引上げは、育児休業中の経済的な支援として、男性の育児休業取得率の向上、共働き・共育ての推進に一定程度は資するものと推測できる。一方、支給目的が子育て支援・少子化対策へ変容していると受け止めている。基本手当の給付率の均衡に鑑みると、これ以上の給付率の引上げは被保険者の納得も得られないことを懸念して、慎重に検討していくべきではないか。
 給付率の引上げは、男性が育児休業を取得しやすくするために有効であることは理解。基本手当の給付率を踏まえて、育児休業給付の給付率を8割程度とすることは、雇用保険の最も重要な役割が失業時の保障にあることを考えると、相対的に手厚くし過ぎているのではないか。給付率を引き上げる目的に照らすと、引上げ分の財減は労使の保険料ではなく、国庫負担または支援金によることが妥当ではないかとの御意見をいただいております。
 給付率の引上げの対象となる育児休業については、産後パパ育休のみに限定するべきではないのではないか。
 給付率の引上げを産後パパ育休の期間に限定することについては、ある程度幅を持たせた制度設計を検討してもいいのではないかというような御意見をいただいております。
 3ページ目を御覧いただきまして、この加算の要件とする育児休業の期間につきましては、1か月はパートナーが家事・育児を担当することで、母体に負担がないようにすることが重要であり、少なくとも産後パパ育休の28日間を念頭に置く必要もあるのではないか。
 男性の育児休業の取得日数は2週間未満が約5割を占めている実態も踏まえながら、柔軟な設定が考えられるのではないかというような御意見をいただいております。
 一方の親が育児休業を取得することが不可能な場合の扱いについては、不公平感についても課題として整理する必要があるのではないか。
 フリーランス、自営業、専業主婦、配偶者がいない方など、様々なケースに配慮しながら制度設計をしていくことも一案ではないかとの御意見をいただいております。
 その他、給付率の引上げは当座の一時的な施策と捉え、男性の育児休業促進の目的が達成されたら、本来の給付率に戻すことを考えるべきではないか。
 引上げ期間はなるべく短くすべきだが、一方で、男性は28日間の産後パパ育休を取得すればそれで十分とのメッセージになることを懸念。給付率の引上げが共働き・共育ての推進とは逆のインセンティブにならないように、十分に留意する必要があるのではないかという御意見をいただいております。
 これを踏まえまして、4ページ目以降で、事務局として検討の方向性の案をお示ししております。
 必要に応じて資料1-2の4ページを手元に御参照していただきながら、御確認いただければと思います。
 まず、出生後一定期間内に両親ともに育児休業を取得することを促進するため、以下の方向で具体的な制度設計を検討することとしてはどうかということで、具体的な制度概要としては、子の出生後一定期間内に、被保険者とその配偶者がともに一定期間以上の育児休業を取得した場合、例えば男性が一定期間以上の産後パパ育休を取得するとともに、女性が産休を取得し、産休後8週間以内に育児休業を取得した場合には、28日間、これは産後パパ育休の期間と同じ期間でございますけれども、28日間を限度に給付率を現行の67%から8割程度(手取りで10割相当)へと引き上げるとした上で、具体的に「一定期間以上の育児休業」については、男性の育児休業取得者の約5割が2週間未満の取得にとどまっている実態を踏まえて、14日以上の育児休業を取得することを要件としてはどうか。
 本給付は、子の出生後の一定期間内に両親ともに育児休業を取得することを促進するものであることを踏まえ、育児需要が高い子の出生直後の一定期間以内(具体的には、男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内)に取得する育児休業を対象としてはどうか。
 給付率の引上げの対象となる育児休業については、子の出生直後から育児休業を取得する場合もあることから、産後パパ育休、出生時育児休業だけではなく、育児休業を取得した場合も対象としてはどうか。
 被保険者とその配偶者の両方が育児休業を取得することを要件としてはどうか。この場合、配偶者が育児休業を取得することができない場合は、配偶者の育児休業取得を要件としない取扱いとしてはどうか。例えば以下の場合が考えられるということで、配偶者がいない場合、配偶者が子との法律上の親子関係がない場合、配偶者が就業していない場合、配偶者が雇用労働者以外の働き方で就業している場合には、配偶者の育児休業を取得することを要件とせずに、加算、引き上げるということとしてはどうかということをお示ししております。
 また、共働き・共育てを推進する観点からは、配偶者が産後休業を取得している場合には、配偶者の育児休業取得を要件としない取扱いとすることとしてはどうかとしております。
 具体的には、ちょっと解説をさせていただきますが、資料1-2の4ページを御覧いただきまして、父親を被保険者とした場合、母親の育児休業取得が給付率の引上げの要件となるわけでございますけれども、本給付の趣旨を踏まえまして、配偶者、母が育児休業を取得しなくても、産後休業を取得している場合には配偶者の育児休業取得を要件としない、すなわち、被保険者の父親の給付率を加算するという御提案をさせていただいております。
 続きまして、資料1-1の5ページの育児時短就業給付の創設の関係に移らせていただきたいと思います。
 前回の論点として、時短勤務の活用を促すための給付(「育児時短就業給与(仮称)」)を創設することとされていることについてどう考えるかなどといった論点をお示しさせていただいたところでございます。
 これにつきまして、6ページ目以降でございますけれども、主な御意見ということで意見を記載させていただいております。
 給付創設の必要性については、職場には様々な理由で多様な働き方を選択する労働者がいることを踏まえると、労働者の分断にもつながりかねないと懸念。女性が働くこと、キャリア形成することに本当に有効なのか、職場・社会で支える機運を醸成していく視点で効果的なのかといった点を認識し、丁寧に検討していく必要があるのではないか。
 2つ目の○についても同様の意見でございます。
 時短勤務への収入が補填されることによって、育児休業からの早期職場復帰に効果があるのであれば、一定の意義はある。ただし、時短勤務の固定化や早期のフルタイム勤務への復帰を希望する労働者との公平性、深刻な人手不足に悩む中小企業への影響なども同時に考慮する必要があるのではないか。
 共働き・共育ての推進という観点からは、選択肢は多いほうが望ましい。時短就業によって早期の職場復帰を促すということは、雇用保険料を納める被保険者の増加につながり、制度の安定に寄与することが期待できるのではないか。
 本給付により、男性が時短勤務を選択しやすくなるとともに、女性は休業期間が短くなる、職場復帰しやすくなる効果も期待できるのではないか。
 労働者が休業や離職ではなく、働くことを選択しやすくするという点に注目することによって、雇用保険の趣旨・目的に沿うようにも考える。就業しやすくなる、就業継続を容易にすることで、男女問わずキャリアの妨げになりにくくなるのではないか。
 就業の継続が保たれるのであれば、雇用保険で給付することに正当性はあるのではないか。
 給付の創設について議論するに際して、まずは短時間勤務制度が機能しているかどうか検証していく必要がある。利用すれば仕事を続けられたと思う支援・サービスに関して、短時間勤務制度の回答割合が高いが、その理由をもう少し明確にした上で、給付創設について考えていくべきではないかとの御意見をいただいております。
 この最後のその理由をもう少し明確にした上でという御意見に対して、資料1-2の10ページ、11ページで資料をお示ししております。
 資料1-2の10ページ目を御覧ください。
 前回の部会で、利用すれば仕事を続けられたと思う支援・サービスについてお示ししております。上位の回答の中に短時間勤務制度、1日の勤務時間を短くする制度が挙げられているところでございます。
 これにつきまして、11ページにおきまして、利用すれば仕事を続けられたと思う支援・サービス、これは複数回答でございますけれども、短時間勤務を選択した回答者の方について、その具体的な理由を尋ねたところでございますが、複数回答であることに御留意いただければと思いますけれども、勤務先に短時間勤務制度などの両立できる働き方の制度が整備されていなかったですとか、勤務先に育児との両立を支援する雰囲気がなかった、これは他律的な理由によるものです。制度は整備されていたが、勤務先で短時間勤務制度などの制度を利用できそうになかった、あるいは利用できなかったという回答が多かったというものでございます。
 資料1-1の7ページ目に戻っていただきまして、具体的な設計(給付水準、給付期間)についての御意見を御紹介申し上げます。
 仕事と育児の両立に当たっては、周囲の理解が不可欠である。短時間勤務制度に限らず、フレックスタイム制度など多様な支援を行うことが求められている。個人の多様な選択を支援すべきではないか。
 時短勤務を選択する社員が増えると、要員の補充が大変であり、時短勤務が広がっていくと現場に負荷がかかるため、職場から不満の声が出ることを懸念。補充に回る社員からの不満による職場の分断などにより、時短勤務が選択しづらくなる可能性もあるため、制度設計は相当慎重に考えていく必要があるのではないか。
 育児休業で長期間仕事を離れると、キャリア形成にマイナスの影響を及ぼす側面があるため、職場復帰の早期化につながることが期待できるのであれば、導入ということが考えられるのではないか。一方で、時短勤務は長期化しやすく、給付によってそれが助長されるのではないかという懸念に対しては、給付額・給付期間に一定の制限をし、例えば2歳までとするなど、安易に時短を選択しない仕組みを検討する必要があるのではないか。
 制度設計に当たっては、時短就業者などのいる職場を支えている他の労働者への支援とのバランスも踏まえることが重要ではないか。
 雇用の維持・安定よりも、収入の補填を目的として制度設計をするのであれば、財源について、一般会計の繰入れなど既存の雇用保険とは別の枠組みによることも検討すべきではないかとの御意見をいただいております。
 そのほか、保育の量・質の充実など、仕事と育児の両立しやすい環境整備のほうが重要ではないか。
 時短勤務は多様な働き方の選択肢の一つであり、他の支援とセットで政策を打ち出すことで、男女ともに育児との両立を支援する制度にすることができるのではないかとの御意見をいただいておるところでございます。
 これを踏まえまして、育児時短就業給付(仮称)の創設に関する検討の方向性の案をお示ししております。8ページ目でございますが、柔軟な働き方として、男女ともに、時短勤務を選択し、所定労働時間(または日数)が減少することに伴う賃金の低下を補い、育児・家事を分担できるようにする観点から、以下の方向で具体的な制度設計を検討することとしてはどうか。
 制度概要でございますけれども、被保険者が、2歳未満の子を養育するために、時短勤務をしている場合に、賃金の低下を補い、時短勤務の活用を促すための給付を支給するとさせていただいた上で、被保険者の要件は現行の育児休業給付と同様としてはどうか。柔軟な働き方を支える観点から、給付対象となる時短勤務の労働時間(または日数)について、制限を設けないこととしてはどうか。男女ともに時短勤務を活用した育児とキャリア形成の両立を支援し、休業よりも時短勤務を、時短勤務よりも従前の所定労働時間で勤務することを推進する観点から、就業促進的な給付設計とし、時短勤務中の各月に支払われた賃金額の一定割合を支給することとしてはどうか。
 これにつきまして、資料1-2の14ページを御覧ください。
 就業促進的な給付とし、時短勤務中の各月に支払われた賃金額の一定割合を支給するということで、現行の給付で高年齢雇用継続給付というものがございます。右側中ほどの図を御参照いただければと思います。
 なお、本資料に記載している給付率とかほかの項目について、この場で参照する意図はございませんので、あくまでも右側中ほどの図を御覧いただければと思います。賃金に対して一定割合の給付を行うということで、この図のような給付設計のイメージをしていただければと思います。
 8ページ目に戻っていただきまして、給付水準を設定するに当たっては、以下の点を考慮することとしてはどうかということで、職場を支えている他の労働者の理解を得ながら、希望する者が気兼ねなく時短勤務を取得できるようにすること。他の給付と同様に、給付額と賃金額の合計が時短勤務前の賃金を超えないようにすることということをお示ししております。
 資料の説明としては以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの御説明に関しまして、御質問、御意見がありましたらお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 大谷委員、お願いいたします。
○大谷委員 ありがとうございます。全国中央会の大谷です。
 御説明ありがとうございました。
 前回、前々回の議論の内容が検討の方向性の中にかなり盛り込まれた内容となっているということで、基本的にはこの路線で賛成なのですけれども、財源については次回ということにはなっておりましたが、少し財源について心配なので、発言させていただきます。
 まず、育休のほうですけれども、8割程度から10割程度の手取りに引き上げるということ、それから、シングル等の方たちにつきましても要件としていくということになります。そうしますと、やはり財源的な不安、利用率、執行率が増えていくということに対する不安があるということ。
 それからもう一つ、時短のほうでございますけれども、こちらのほうはまだ補正予算が通っておりませんが、盛り込まれた内容の中に育休中等業務代替支援コースがございまして、これは通ればの話ですが、こちらのほうで他の労働者の理解という部分については一定程度進むのではないかと思うのですが、実際にはかなり短い期間、例えば14日という形になりますと、ピンポイントで本当に人手不足をカバーし切れるのかどうかというのは、相当計画的にやらないと難しいといったこともございます。
 また、この制度、給付のほうが増えるという形になりますと、やはり同じように財源の問題というのが出てきますので、こちら2つを合わせて、料率が高まらない、引き上げられないということを前提としたシミュレーションなどを行っているのか。それと、足りないということであれば、それは別財源で補填していただけるのかどうかということを教えていただきたいと思います。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 まとめてお答えになるということなので、では、清田委員、お願いいたします。
○清田委員 ありがとうございます。日商の清田でございます。
 今回御説明いただきました給付率の引上げ、時短就業給付のいずれの検討の方向性にも大きな異論はございません。
 運用の設計をするに当たって、企業の実務面で負担が生じないような配慮というのはお願いをしたいと思います。これは繰り返しになりますけれども、中小企業は深刻な人手不足に悩む企業が多いという現状を踏まえまして、育児の時短就業給付で早期の職場への復帰が促されるということに大きく期待します。
 また、同時に早期のフルタイム就業への復帰というのを阻害しないような制度周知と運用を期待したいと思います。
 さらに加えますと、育休や時短勤務の労働者がこの制度によって増加するということが見込まれますと、やはり両立に悩む中小企業への支援は充実をしていただきたいと思います。
 さらに、この制度が決まった暁には、この両制度が育休時短勤務者の取得率、期間にどのような効果があったのかというのをしっかりと見定め、検証していくということも必要だと思います。
 最後に、財源につきましては、雇用保険以外での財源を措置していただきますよう、重ねてとなりますが、お願い申し上げます。
 私からは以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたか。
 では、冨高委員、お願いいたします。
○冨高委員 ありがとうございます。
 今、おおむね問題ないというようなご意見もございましたけれども、そもそもこの審議会で議論する前に、育児休業給付の給付率引き上げについて、要件とする取得日数が14日間と、決め打ちのように報道されたことに大変違和感がございます。
 また、この14日間というのが適切なのかについて、前回、水島委員から発言もございましたが、これだけ取れば良いと見られることがないようにすることが重要であり、そういったことを踏まえると、14日間で良いのかというところがございます。現在5日未満の取得の方にとっては、長くするとハードルが高いというような懸念もあるかもしれませんが、育児休業だけではなく両立支援をいかにしやすくするかという環境整備のところに心を砕くべきであることと、政府の提唱する「異次元の少子化対策」の姿勢を見せるという意味では、母性保護の観点での発言も前回しましたが、少なくとも28日間がミニマムになるような形で検討するというのが本来望ましいのではないかと考えております。
 それから、育児時短就業給付の創設について、これは前回も申し上げましたが、介護や育児、治療との両立など様々な事情を抱える職場において、お互いに支え合って働いていくことの社会的な機運の醸成を考えると、本当にこの施策が効果的なのか、私としては違和感があるところでございます。
 短時間勤務を望む方が「選択しなかった理由」の中には、制度が整備されてなかったことや、自身や周りの理解がなかったというような回答をしている方も多いことを考えれば、そもそも給付制度を検討する前に、短時間だけではなく、様々な柔軟な制度を導入するということと、仕事と育児をきちんと周りも含めて両立していく、支え合っていくという機運を醸成することが非常に重要だと考えており、この施策については強く違和感を覚えているところでございます。
 また、先ほどから多くの委員の方がおっしゃっている財源について、別の回で議論という説明はありましたが、そもそも検討する施策と財源は切っても切れないもので、その部分については前段で議論をするべきですし、今回の施策につきましては雇用保険の趣旨の範疇に収まるものではないかと考えておりますので、より慎重に検討していくことが重要だと考えております。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたか御意見は。
 平田委員、お願いいたします。
○平田委員 ありがとうございます。
 5点申し上げます。
 まず、育児休業の給付率の引上げについて、以前も申し上げたとおり、基本手当の給付率との均衡に鑑みると、雇用保険制度の枠組みの中で引上げを行うことは適当ではないと思っております。
 次に、育児休業給付の給付率の引上げ、育児時短就業給付の創設に伴って発生する追加的費用の財源については、方向性が示されていません。今後、制度設計を進める中で、財源確保策を明らかにしていくべきだと考えております。
 3点目、男性の育児休業の取得日数の実態を踏まえて、2週間の育児休業の取得を要件として給付率を引き上げることについては、男性の育児休業の取得率向上に資するのではないかと理解しております。
 4点目、配偶者がいない場合等にも配慮しつつ、本人と配偶者両方の育児休業の取得を要件とすることは特に違和感はありません。ただし、両者が育児休業を取得しているということの確認について、申請者である企業に過度な負担がかからないように配慮いただければと思います。
 5点目、育児時短就業給付の創設に関連して、時短勤務の安易な選択や長期化を防ぐ観点から、2歳未満という対象期間を設定することに異論はありません。他方、ノーワーク・ノーペイの原則を踏まえつつ、他の被保険者の理解が得られる給付率はどの程度なのかという点については、慎重な検討が必要だと思っております。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたか。
 では、お答えをお願いします。
○尾田課長 それでは、事務局のほうから、今いただいた御意見、御質問についてお答えさせていただきます。
 まず、財源につきまして、大谷委員をはじめ、各委員から御意見をいただきました。今回の見直し全体の財政運営に関しましては、また別途機会を設けまして御議論いただきたいと思っておりますが、まず、今回御提案しております育児休業給付率の引上げと時短就業給付につきましては、先般9日にこども政策担当大臣の下で開かれた懇話会のほうで、新しく設けられます支援金制度の対象として想定される事業として明示されているところでございます。この議論自体は、まだ枠組みあるいは内容につきまして議論をスタートした段階でございますので、何ら決まったものではございませんが、並行してそういう議論が行われているということの御紹介をさせていただきます。
 また、育児休業給付の制度そのものの保険料率あるいは国庫負担といった点につきましては、改めまして今後のシミュレーション等もお出ししながら、どうすべきかということは御意見をいただきたいと思っております。
 また、清田委員から御意見がございました中小企業への支援という点でございます。大谷委員からも御指摘がございました。今般、補正予算で、両立支援等助成金におきまして、育児休業を取った人の業務を代替するために他の職員に負担がかかった場合、あるいは新規に雇用した場合の企業への助成金というものを拡充する予定としております。こういったもので職場における両立支援の機運が醸成されるということを期待しており、当面並行してこういった対策を講じていくこととしております。
 また、冨高委員から要件の14日以上という点について御意見を賜りました。また、平田委員からも14日でよいのではないかという観点からの御指摘をいただきました。私どもといたしましては、この制度がまずはより広く使われて、男性の育児休業の取得の突破口になるということを期待する観点もございますので、まずは14日ということで考えたいということで今回御提案をさせていただきました。
 ただ一方で、冨高委員から御指摘がございましたし、前回水島委員からも御指摘がございました。男性の育休がこれだけ短くていいというメッセージになることを懸念されるというところはごもっともでございますので、私どもとして施策の打ち出し方はしっかりと留意してまいりたいと思っております。
 また、清田委員、平田委員から企業の手続き負担という観点で御指摘がございました。今回、事務局からの御提案の中で男女両方で取得する、あるいは、どちらかの方が取得できない状況であれば、それを確認した上でどちらか片方で要件を満たしてよい、という御提案をさせていただいた結果、企業あるいは申請者の事務負担が高まるのではないかという御指摘をいただきました。確かにこの点につきましては、どういった点で要件を確認するかということは今、内部で事務的に検討を進めているところでございますが、できる限り行政の中で手続が完結するものについては、そのような方向で努力をいたしまして、申請者の事務負担が必要以上に高まらないような方向で検討を進めたいと考えております。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに御意見とか御質問は。
 では、冨高委員、お願いいたします。
○冨高委員 ありがとうございます。
 先ほど支援金制度については別のところで議論されているというお話がございましたけれども、この会議でも以前申し上げたように、雇用保険財源に関わる施策の部分について、我々の預かり知らぬところで議論が進むということ自体は望ましくないと思っておりますので、この審議会の中で結論づけていくということだけはぜひお願いしたいと考えております。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたか。大丈夫ですか。
 ありがとうございました。それでは、このテーマについてはこれで終わらせていただきたいと思います。
 続きまして、第2のテーマであるところの教育訓練給付等について移っていきたいと思います。
 まず、資料2-1「これまでの議論の整理と見直しの方向性」及び資料2-2「教育訓練給付等関係資料」について、事務局より御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○川端調査官 雇用保険課調査官の川端でございます。
 資料2-1と資料2-2で教育訓練給付関係の説明を申し上げたいと思います。
 資料2-1に沿って、これまでの議論の整理と見直しの方向性ということで御説明を申し上げたいと思います。10月3日の部会で御議論いただきました。その意見を踏まえて、見直しの方向性(案)をお示ししております。
 資料2-1の1ページ目を御覧ください。
 教育訓練給付等に関する論点として、幾つか挙げさせていただいておりました。
 教育訓練給付の在り方についてどう考えるか。
 個人の主体的なリスキリングへの直接支援を強化、推進する観点から、教育訓練給付の拡充を検討することとされていることについてどう考えるか。
 閣議決定で掲げられている高い賃金が獲得できる分野、高いエンプロイアビリティーの向上が期待される分野での給付率等の拡充を検討することとし、具体的な制度設計を行うこととされていることをどう考えるか。
 仮に具体的な制度設計を行う場合には、高い賃金が獲得できる分野、高いエンプロイアビリティの向上が期待される分野での給付率等の拡充をどのように教育訓練給付制度に反映し、その給付率等の拡充をどのように設計するか。
 また、令和6年度末までの暫定措置である教育訓練支援給付金の在り方、特に対象者や給付内容についてどのように考えるかといった論点をお示しさせていただいていたところです。
 これにつきまして、2ページ目以降で主な御意見を記載させていただいております。
 教育訓練給付のうち、指定講座、訓練内容の効果検証について、教育訓練やリスキリングなどの能力開発機会は、全ての労働者・求職者に対して等しく提供されることが重要。とりわけ、企業内で必要とされる業務の知識やスキルを習得するものについては、企業が主体となって実施されるべきではないか。
 このことを前提とした上で、労使保険料のみを財源としているため、指定講座については、例えば失業予防や早期再就職を目的としたものに限定すべきであり、訓練前の効果検証を行った上で、訓練メニューの見直しをすべきではないか。失業予防、早期再就職という目的を上回るような拡充については、一般財源で実施すべきではないか。
 訓練内容には様々な目的のものが含まれており、優先順位を決めてスクラップアンドビルドしていくことが重要ではないか。
 指定講座に地域ごと、類型ごとの偏りがあることも踏まえると、制度のさらなる周知・広報が必要ではないか。
 人材ですとか訓練の在り方としてエンプロイアビリティという場合には、スキル、技能だけではなく、基本的な働く姿勢やコミュニケーション能力のような非認知能力を高める必要があるのではないかといった御意見をいただいていたところです。
 3ページ目に行っていただきまして、教育訓練給付の拡充についての意見を紹介させていただきます。
 教育訓練でスキルを身につけたとしても、企業がスキルに見合った処遇改善を行わなければ、政策効果はなかなか上がらないのではないか。
 給付実績を踏まえ、3類型の訓練内容のどの分野に重点を置くかについてのさらなる検討が必要ではないか。
 中小企業では、個人への直接支援の強化により従業員の転職が促されるのではないかとの懸念が強く、企業への支援とのバランスに配慮すべきではないか。給付の拡充を検討するに当たっては、転職を前提としたものではなく、在職者の能力開発強化にも資する取組でもあることを政府として発信すべきではないか。
 教育訓練給付は、労働移動推進型のセーフティネットの一翼を担うのではないかと認識。高い賃金が獲得できる分野、高いエンプロイアビリティが期待される分野での給付率等を拡充するという方向性は理解している。
 教育訓練給付の存続・拡充に異論はないが、より優先されるのは失業回避や雇用の安定であり、失業の心配がない被保険者に訓練受講を後押しすることの優先順位は後になるのではないか。
 国の政策として雇用保険制度の目的を上回るような拡充をしていくということであれば、国の責任により一般財源で実施するべきではないか。教育訓練は特定の産業分野の人材育成というような産業政策的な側面でもあることを考えると、雇用保険財源だけに頼るのではなく、その分野での業所管省庁から一定の財政支援を受けることも考えていいのではないか。
 教育訓練給付には国庫負担が入っていないが、国を挙げてリスキリングや教育訓練の支援をするのならば、一般財源を投入するなどして、政府として人への投資に取り組む姿勢を示すべきではないかとの御意見をいただいております。
 一方、4ページ目以降で教育訓練支援給付金についての御意見も紹介いたします。
 受給者が受講する訓練内容などに偏りが生じていることも踏まえ、暫定措置の継続についてはさらなる議論が必要ではないか。
 2つ目も同様の御意見でございます。
 閣議決定に盛り込まれている訓練期間中の生活を支えるための給付、融資制度の創設に向けた議論もあることを踏まえ、それらの制度との整合性やバランスなど、併せて検討すべきではないか。
 前回の令和4年の制度改正では、コロナ禍からの回復途上にあったことを理由に暫定措置が令和6年度まで延長されたが、雇用保険制度の運営が平時に戻っていることも踏まえ、必要性を含め、検討すべきではないかとの御意見をいただいております。
 これを踏まえまして、5ページ目以降で教育訓練給付に関する見直しの方向性(案)ということでお示しをしております。
 まず最初に、教育訓練給付については、制度趣旨に沿ったより効果的な給付や講座指定の在り方の検討が可能となるよう、効果検証の手法を検討し、データ収集、分析に努める。また、地域ごと・類型ごとに指定講座の偏在が見られることも踏まえ、制度の周知・広報を積極的に進めるとさせていただいております。
 一方、給付につきましては、労働者の自発的な職業能力開発を一層支援し、労働者の中長期的なキャリア形成、速やかな再就職及び早期のキャリア形成、雇用の安定・就職の促進に資するため、現行、専門実践・特定一般・一般と3類型を定めておりますけれども、それぞれの対象講座の内容等に応じた形で拡充策を検討することとしてはどうかとさせていただいております。
 資料2-2の2ページを御覧いただきながら、次のところを御確認いただければと思いますけれども、例えば専門実践教育訓練給付金は労働者の中長期的なキャリア形成に資する専門的・実践的な講座を指定しております。他の給付金と比べまして、訓練修了後に賃金が増加する割合や就職率が高いといったことが示されておりますので、賃金の上昇が期待できる分野でございます。
 この専門実践教育訓練給付金につきましては、その訓練効果を高めつつ、より教育訓練の受講を支援するために、現行制度で資格取得し就職した場合には、受講費用の20%(上限額年間16万円)を追加支給しているところですけれども、これを前提として、さらに新たな追加給付を検討することとしてはどうか。その際、訓練効果として、賃金上昇等の処遇改善を評価する要件とする方向で検討することとしてどうかとさせていただいております。
 また、特定一般教育訓練給付金につきましては、有効求人倍率が高い職業に関連する講座も含め、速やかな再就職等に資する講座を指定しているものでございます。訓練後の就職率につきましては、専門実践よりは低いものの、一般教育訓練給付金と比べて高いということで、エンプロイアビリティの向上が期待できる分野でございますので、この特定一般教育訓練給付金につきましては、その訓練効果を高めつつ、より教育訓練の受講を支援するために新たな追加給付を検討することとしてはどうかと。その際、現行の専門実践教育訓練給付金のような、資格取得をし、雇用されていることなどを要件とする追加給付を設ける方向で検討することとしたらどうかとさせていただいております。
 6ページ目に行っていただきまして、教育訓練支援給付金(暫定措置)に関する見直しの方向性の案をお示ししております。
 教育訓練支援給付金(暫定措置)については、給付金を受給する者の受講する教育訓練が、訓練期間が長期にわたるものに偏っているというところもございますけれども、受講者へのアンケート結果によりますと、専門実践を修了した方のうち、給付金を受講していない同じ対象年齢の方と比較して、給付金受給者の就職率や追加給付率は高くなっているということが見られます。
 加えて、訓練修了後の賃金や就職率を見ますと、おおむね年齢が上がるにつれて賃金増加の割合や就職率が低くなっている。特に訓練修了後の賃金増加については、55歳以上でその割合が顕著に低下している。
 一方、教育訓練支援給付金の1人当たりの支給金額が、平均で約290万円となっている。
 これらの状況を踏まえまして、45歳未満とされている対象者や給付内容の在り方について検討した上で、暫定措置を延長するかどうかを検討することとしてはどうかとさせていただいております。
 御参考までに、それぞれ給付金受給者の就職率や追加給付率が高くなっているとデータにつきましては、資料2-2の17ページにそれぞれ給付金受給者の就職率等が高くなっているというデータをお示ししております。
 また、訓練修了後の賃金の変化については、戻っていただきまして恐縮ですが、資料2-2の4ページ目にお示ししております。こちらを御覧いただきますと、55歳以上になりますと賃金増加をしている方の割合が顕著に低下しているという状況でございます。
 あと、1人当たりの支給金額については平均で約290万円ということについては、また飛んで恐縮ですけれども、資料2-2の18ページ目で、前回お示しさせていただいておるとおりでございますけれども、これらの状況を踏まえて、対象者や給付内容の在り方について検討した上で、暫定措置を延長するかどうかを検討することとしてはどうかとさせていただいております。
 次に、7ページ目以降で、訓練期間中の生活を支えるための新たな給付や融資制度に関する論点、前回お示しした論点を掲載しております。
 教育訓練中に生ずる生活費等への不安なく、主体的にリスキリングに取り組むことができるよう、訓練期間中の生活を支えるための新たな給付や融資制度の創設を検討することとされていることについてどう考えるか。
 この場合、具体的な設計に当たり、以下の点についてどう考えるか。新たな給付については、訓練期間中の生活を支えるという趣旨・目的を踏まえた対象者、支給要件、給付内容。新たな融資については、新たな給付との関係や、趣旨・目的を踏まえた対象者、融資内容、事業の位置づけ。希望する教育訓練の受講を促し、その教育訓練の効果を高めるための仕組みというものをお示しさせていただいたところです。
 これにつきまして、8ページ目以降でございますけれども、様々な御意見をいただいております。
 新たな給付や融資制度の在り方につきましては、時間がなく、自己啓発ができていない者が多いため、長時間労働是正など、まずは働き方改革の徹底などが必要ではないか。教育訓練の重要性を正しく認識し、キャリアアップのための時間を確保していくような意識を、職場だけではなく社会全体で醸成すべきではないか。新給付や融資の創設については、他制度とのすみ分けをどうするかなどの検討が必要ではないか。
 経済的理由で教育訓練をためらう働き手を支援する仕組みとして、一定の評価をしたい。一方で、人材開発支援助成金の認知度を向上させることも効果的ではないか。詳細な制度設計においては、全ての働き手が活用できる仕組みにすることが必要ではないか。融資制度と併せて検討し、相互に補完できる仕組みにすべきではないか。
 給付や融資の対象者によって財源は変わるべきと理解。財源についての十分な議論も必要ではないか。
 訓練期間中の生活を支えるところまで雇用保険で行う必要があるのかは若干疑問ではないか。
 タイムパフォーマンスを重視する若い労働者の意識からすると、休業して教育訓練をすることが今後受け入れられにくくなるのではないかといった御意見をいただいております。
 具体的な制度設計につきましては、一般的には業務に必要な資格取得をする場合の訓練等は業務として行う場合が多いが、離職のための準備や会社に知られたくない内容の場合には使いにくく、かなり限られた対象者のみの給付になるのではないか。
 新たな給付や融資は一定の効果が見込まれる制度であると理解をする。ただ、取得者のリテンションが課題。休業中に資格取得をして復帰せずに退職する事例が発生する懸念を踏まえ、企業の中では一定の制限を加えるなどの工夫をされているということを踏まえまして、制度を検討するに当たっては、給付水準を一定水準に抑える、給付の一部は訓練の何か月後かに支給するといった、取得者の退職を抑制する制度設計をすべきではないかとの御意見をいただいておるところでございます。
 これらの御意見を踏まえまして、9ページ目以降で新たな給付や融資制度の創設についての検討の方向性(案)をお示しさせていただいております。
 まず、閣議決定と同様でございますけれども、生活費への不安なく主体的にリスキリングなどに取り組むことができるようにするため、訓練期間中の生活を支えるための新たな給付や融資制度を創設する方向で検討することとしてはどうか。
 その際、求職者支援制度などの他制度を踏まえながら、全ての働き手が活用等できる仕組みとして、具体的な制度設計を検討することはどうかとお示ししております。
 それぞれ10ページ、11ページ目で新たな給付と融資の方向性をお示ししているところでございますけれども、入る前に資料2-2で少し現行制度とこれからの給付と融資の全体像をお示しさせていただければと思います。
 資料2-2の20ページ目でございます。
 どちらかというと右肩のほうを御覧いただければと思います。これは前回お示ししたものでございますが、雇用保険を中心に厚生労働省所管分野の支援をまとめているものでございます。自発的な教育訓練を受けた場合の支援と教育訓練期間中の生活支援を被保険者ですとか人ごとにお示ししているところでございます。
 まず、雇用保険被保険者については、自発的な教育訓練を受ける際には、教育訓練給付ということで受講費用が給付されるという形になってございます。
 あわせて、事業主向けの助成ですけれども、人材開発支援助成金ということで、労働者が自発的に受講した訓練費用を負担する事業主に助成を行っているところでございます。
 この訓練期間中の生活支援でございますけれども、基本、給与はあるところですが、例えば訓練に専念するということで無給のような状態になった場合には、特段支援がないという現状でございます。
 一方で、事業主向けの支援でございますけれども、長期教育訓練休暇制度を導入して実際に適用した事業主の方に対して、有給休暇分の賃金を助成しているというところでございます。
 それ以外の雇用保険の適用がない方については、自発的な教育訓練ですとか、その期間中の生活支援の制度がないという状況でございます。
 一方、求職者のほうを御覧いただきまして、雇用保険受給者の方については、自発的な教育訓練については、離職後1年間であれば教育訓練給付が支給されるというところと、離職の際の基本手当が支給されております。
 受給終了後については、一定の方ではございますけれども、初めて専門実践教育訓練を受けられた方で45歳未満等の方については、教育訓練支援給付金がお支払いされているというところです。
 それ以外の雇用保険の受給資格を満たしていない方ですとか、フリーランス等で雇用者を目指す方については、自発的な教育訓練の費用負担ですとか生活支援がないといったところでございますので、新しい給付につきましては雇用保険被保険者の生活支援を、新しい融資については雇用保険被保険者以外の方、適用されていない方々などについての自発的な教育訓練費用ですとか生活支援をカバーしていくということで、資料2-1の10ページ目、11ページ目以降にそれぞれ検討の方向性をお示ししております。
 戻っていただいて恐縮ですけれども、新たな給付につきましては、教育訓練を受けるために休暇を取得した場合に必要な給付を行うことで教育訓練の受講を支援し、労働者の就業能力を高め、雇用の安定を図るために、以下の方向で具体的な制度設計を検討することとしてはどうか。
 この考え方でございますけれども、現行制度におきましては、リスキリング等のために教育訓練に専念するためには、離職せざるを得ないという場合がございます。その際には、基本手当を受給しながら教育訓練を受けるといった状況でございますので、在職中に教育訓練を受けるために休業等を行う場合に、基本手当に相当する給付を支給するという考え方に基づきまして、具体的な制度設計をお示ししているところでございます。
 対象者については、被保険者が教育訓練のための休暇を取得した場合に支給を行うということで、訓練期間中の生活を支えるという趣旨に沿った給付にするために、会社の休暇制度を利用して無給で自主的に教育訓練を受けるものに限ってはどうか。自ら保険事故を生じさせることができるという給付の性格ですとか、学び直しなどのために教育を受けるための支援ということなどを踏まえまして、被保険者であった期間が一定期間以上であること、例えば5年などを求めてはどうかとさせていただいております。また、冒頭申し上げました制度設計の考え方に鑑みまして、基本手当ではない一時金が支給される高年齢被保険者などを対象とせず、基本手当の支給を受ける一般被保険者のみを対象としてはどうかとさせていただいております。
 給付内容につきましては、基本手当に相当する給付とするということで、給付額につきましては、基本手当の計算によるとともに、所定給付日数については、正当な理由なく自己都合により離職した方と同じもの、具体的には被保険者期間に応じて90日、120日または150日としてはどうかとさせていただいています。
 この新しい給付を受給した後に離職した場合には、休暇取得前の被保険者であった期間は、基本手当を受給する際の受給資格の決定ですとか所定給付日数の算定に用いる期間から除く。過去の被保険者であった期間をリセットさせていただくということとしてはどうか。
 一方で、雇用保険の本来の目的を果たすために、新たな給付の受給に伴い基本手当の受給資格を満たさなくなる場合、本来であれば休暇取得前の被保険者期間はリセットされますので、給付が受けられないということにはなるのですけれども、倒産、解雇により離職した方などに限って、最低限の基本手当(所定給付日数が90日等)を支給することとしてはどうかとさせていただいております。
 11ページに行っていただきまして、新たな融資制度についての検討の方向性(案)をお示ししております。
 教育訓練を受けるに当たって教育訓練費用や生活費用を要する場合に、必要な融資を行うことで教育訓練の受講を支援し、労働者の就業能力を高め、雇用の安定を図るために、以下の方向で具体的な制度設計を検討することとしてはどうかとさせていただいております。
 対象者につきましては、先ほど申し上げましたとおり、雇用保険被保険者を対象として訓練期間中の生活を支える新たな給付を創設するということにしておりますので、この新たな融資制度については、求職者支援制度と同様に、雇用保険被保険者や受給資格者ではない方、具体的には雇用保険の適用がない雇用者ですとか、雇用保険の適用がなかった離職者、雇用保険の受給が終了した離職者の方ですとか、あるいはフリーランスなどから雇用されることを目指す方などで、自らが選ぶ教育訓練を受けようとする方を対象としてはどうかとしております。
 また、労働者のリスキリング等を図るために教育訓練を受けることを融資を通じて支援するという趣旨目的を踏まえまして、就業経験のある方など、一定の者に限ることとしてはどうかとしております。
 融資内容につきましては、教育訓練費用と生活費を対象とする。貸付上限額ですとか利率等につきましては、既存の融資制度を踏まえて、融資実施機関とも調整し、設定するということとしたいと思っております。
 融資制度の趣旨を踏まえた適切な利用となるよう、融資の対象とする教育訓練は、学校教育法に基づく大学などですとか、専修学校または各種学校が提供する教育訓練、教育訓練給付の指定講座を受けている法人が提供する教育訓練などに限ることとしてはどうかとしております。
 最後に、教育訓練をキャリアアップ等に結びつけていくなど、より教育訓練の効果を高めるために、教育訓練修了後、一定の要件を満たす場合には、残債務の一定割合を免除するインセンティブを設定することとしてはどうか。一定の要件として、受けた教育訓練を賃金などに反映させるため、訓練修了後に賃金が上昇した場合などを要件としてどうかとさせていただいております。
 御参考までに、資料2-2の22ページ目に既存の融資制度をお示ししているところでございますけれども、例えば上から3番目の就職促進資金融資につきましては、一定期間雇用された場合には融資した額を返済免除とすることですとか、新規受付は既に終了しておりますし、制度としては終了しておりますけれども、一番下の訓練・生活支援資金融資では、一定以上の雇用が見込まれる就職をして、雇用保険の一般被保険者資格を取得した場合には、貸付額の50%に相当する額を返済免除するという仕組みがございましたので、こういうふうなものを参考にしながら、インセンティブとして、訓練修了後に賃金が上昇した場合などを要件として、残債分の一定割合を免除するというインセンティブを設定することとしてはどうかとさせていただいております。
 資料の説明としては以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に関しまして、御質問、御意見等がありましたらお伺いしたいと思います。
 大谷委員、お願いいたします。
○大谷委員 ありがとうございます。全国中央会の大谷です。
 まず質問なのですけれども、暫定措置の教育訓練支援給付金につきまして、支給状況を見ますと、前回の説明と、参考資料のほうでありましたけれども、男女の別はあるのですが、年齢については分からないので、どのくらいの年代の方が給付を受けているのかというのを教えていただきたいと思います。
 また、看護師とか第4次産業革命等、比較的若手の方が利用するのかなというふうに見えたのですけれども、この給付金につきまして、果たしてどこまで行けばゴールになるのかというのを改めて教えていただきたいと思います。御説明いただいた部分については効果があると理解しておりますけれども、暫定措置というのが果たしてどこまで行われるのかということについて教えてください。
 それから、もう一つが、訓練期間中の生活を支えるための新たな給付や融資制度の創設に関する検討の方向性ということで、人材開発助成金等で対象とならない方について、今回リスキリングの部分の助成をしてはどうかということなのかなと思っておるのですけれども、会社の休暇制度自体がそもそも教育訓練に関しては非常に少ないという状況の中で、なおかつ無給であって、どのくらいの方が利用するのかといった部分について疑問があるので、どのぐらいの予算規模でどのぐらいの方が利用されるのかといった目安がございましたら教えていただきたいと思っております。
 また、育休と同様に、休暇を用いて制度を利用するということになりますと、やはり職場の理解ですとか余裕みたいな部分も非常に懸念されるところなのかなと思っておりますので、こういった部分がちゃんとカバーされるのかどうか。それから、やはり業務ならばこういう訓練というのは行きやすいという形になりますので、人材開発支援助成金にかかわらず、企業側が利用できるものについて、人材開発のほうだと計画書を作るのが非常に手続的に大変とかとありますが、企業側が利用する助成金のほうを手厚くしていただきたいなといったところを意見として述べさせていただければと思っております。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして清田委員、お願いいたします。
○清田委員 ありがとうございます。
 本件に関しても、財源の話で大変恐縮ですが、目的が構造的な賃上げということを踏まえますと、雇用保険財源のみで措置するのではなくて、一般財源も含めた措置を検討していただきたいと思います。
 加えまして、中小企業では、個人への直接支援の強化ということは、転職を促されるものとして強い懸念があるという点は前回申し述べたところでございます。賃上げを要件とすることで、さらにこの不安が高まる懸念がございます。少なくとも、企業に対してもこうした対象講座の具体的な訓練効果というのを適切に周知してもらいまして、自社の従業員の育成、それから、自社の付加価値の増加を後押しする制度でもあるということをご理解いただき、また、納得感も高まるような周知を期待したいと思います。
 最後になりますけれども、先ほど大谷委員がおっしゃられたとおり、企業経由の支援との拡充も含めて、個人支援とのバランスというところは御配慮いただきたいと思います。
 私からは以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに。
 平田委員、お願いいたします。
○平田委員 ありがとうございます。
 教育訓練給付について、高いエンプロイアビリティーの獲得が期待される分野として、専門実践と特定一般それぞれに追加給付を検討するという方向性は理解します。受給者の訓練修了後の賃金の変化に係るデータを踏まえつつ、追加給付の趣旨にふさわしい要件設定を御検討いただければと思っております。
 暫定措置である教育訓練支援給付金については、受給者の訓練内容に大きな偏りがあることに問題意識を持っております。前回の部会でも業所管省庁の支援が必要ではないかという御意見があったかと思いますが、そもそも暫定措置を講じたときに資料2-2の16頁のような結果を想定していたのかということも含めて、制度創設の趣旨に立ち返り、本当に暫定措置を延長するか否かを慎重に検討いただきたいと思います。
 また、教育訓練期間中の生活を支える新たな給付と融資制度について、資料2-2の20ページに個人向け教育訓練支援について整理されていますが、この新給付と融資制度の創設によって、これまで支援がなかった領域、すなわち資料で「バツ」がついている領域が埋まると理解しております。今後、求職者支援制度との役割分担、それから、対象者の設定、債務免除の在り方と制度の詳細を詰めていくことが必要だと思っております。
 最後に財源について、この新たな給付と融資制度にかかる費用につきましては、政府として「リ・スキリングによる能力向上支援」にしっかりと取り組む姿勢を明確にするためにも、一般財源で手当てすべきだと考えております。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 では、冨高委員、お願いいたします。
○冨高委員 ありがとうございます。
 まず、教育訓練に関する施策の充実自体は非常に重要なことだと考えております。
 また、5ページの見直しの方向性の1つ目に書いていただいている教育訓練給付に関して、様々なデータを収集、分析と書いていただいています。教育訓練給付の効果的な給付や、講座の指定のためには、受講後の受講者がどういう状況になっているのか、また、講座の効果について十分な検証、分析が必要だと考えておりますので、検証、分析を踏まえた上で、提案されている拡充等についての是非を検討すべきだと考えております。
 また、専門実践教育訓練給付金について、賃金上昇等の処遇改善を要件として検討とございますが、賃金上昇が訓練受講や資格取得の結果としてなされたということが重要であり、OJTの効果や、定期昇給などと異なることが分かるよう、工夫が必要なのではないかと考えております。
 また、特定一般教育訓練給付についても、2019年に新設され、実績が4年しかないということから、検証のためのデータが不足しているのではないかと考えています。
 拡充につきましては、単に「専門実践」や「特定一般」というカテゴリー単位での検討ではなく、講座ごとにこれまでの効果や実績を十分に検証した上で、真に効果があると認められた講座に限定すべきではないかと考えております。
 また、雇用保険制度の趣旨を超える国の政策としての拡充というところでございますので、一般財源や関係する省庁の予算も積極的に投入するべきだと考えております。また、教育訓練給付の指定講座につきましては、雇用保険制度の趣旨である失業の予防、早期再就職に資するものに限定すべきだと考えております。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたか。
 では、佐々木委員、お願いいたします。
○佐々木委員 どうもありがとうございます。
 先ほどの冨高委員がおっしゃったように、5ページ目の見直しの方向性の1つ目のところで、より効果的な教育訓練給付や講座指定の在り方を検討するために、効果検証の手法を検討し、データ収集、分析を行うということは非常に重要でありますし、EBPMの観点から推し進めることは非常に重要だと思いますので、ぜひ進めていただきたいと思います。
 次に、教育訓練支援給付金に関する見直しですけれども、暫定措置を延長するかどうかを検討する際に、費用対効果を検証する必要があります。ここで書かれているように、専門実践教育訓練を修了した人のうち、教育訓練支援給付金を受けていない同じ対象年齢の人に比べて、給付を受けた人の就職率や追加給付率は高いという報告があります。その一方で、教育訓練支援給付金の1人当たりの支給金額は平均290万となっております。
 このような教育訓練支援給付金の効果をはかる指標としては、就職率や追加給付率の違いだけではなく、教育訓練支援給付金を受けた人と受けなかった人でのその後の賃金の上昇率の違いやその後の勤務年数の違いを考慮してはどうかと思います。そうすることによって、ある程度教育訓練支援給付金の便益というのを把握することができ、それと先ほどの支給金額と比較することで、今後この暫定措置を延長するのか、または変更するのかという議論をする際の材料になると思います。
 私からは以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 続きまして、水島委員、お願いいたします。
○水島委員 ありがとうございます。
 お示しいただいた見直しの方向性について、本審議会の議論としては特段意見を述べるものではありませんが、1点意見を述べさせてください。
 第181回の本部会で、雇用保険制度研究会中間整理が報告されました。その中間整理では、教育訓練給付は、被保険者自らが保険事故を積極的につくり出し、それを保険が推奨しているもので、保険事故になじみにくいものではないか。また、政府が推進する人への投資は、雇用政策にとどまらず経済政策の側面があり、雇用保険のみが担うのではなく、省庁を越えた施策で行うべきではないかとの指摘がありました。教育訓練を雇用保険給付で対応すべきか、対応するとしてもどこまで対応すべきかは、引き続き議論が必要と考えております。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 続きまして、中窪委員、お願いいたします。
○中窪委員 ありがとうございます。
 先ほど、特定一般の給付金で、賃上げをしたことを要件として追加給付というのがありましたけれども、さっき冨高委員からもありましたように、本当にその効果として賃上げしたのかどうかは、なかなかはかり難いところもあると思います。そもそも、政府の方向として賃金の引き上げを強調しているのは分かるのですが、それをこういう労働者個人に対する給付の要件として、無理にと言うと失礼ですけれども、入れることが本当に適切なのか、私は個人的に疑問もあります。
 それから、例えばこの給付をもらって資格を身につけたので自営でやるという人も出てくると思うのですけれども、そういう場合は賃上げとの関係はどうなるのでしょうか。いちばん最後の融資制度についてもフリーランスを対象にやっているわけですが、それについても、資格や能力を身につけたのだけれども、やはりさらにフリーランスでやっていくときの賃金の引き上げはどういうふうにはかるのか、イメージを持つために教えていただければと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたか。
 内藤委員、お願いいたします。
○内藤委員 ありがとうございます。
 教育訓練支援給付金と、生活を支える新たな給付について発言します。
 まず、教育訓練支援給付金について、やはり受給者が一部の特定の訓練内容に偏っているため、偏りが生じないように調整して、広く活用されることが重要だと考えます。
 また、訓練費用以外の生活費も含まれた受講支援であることや、対象となる産業に偏りがあるということも踏まえると、本措置を延長する場合は、一般財源や関係する省庁の予算も投入されるべきではないかと考えます。
 生活を支える新たな給付について、既にある人材開発支援助成金は、有給の教育訓練休暇を導入した場合、企業に給付されるものですけれども、新たな給付については、無給の休暇を取得し、教育訓練を行う労働者に給付されるものだと認識しています。個人への支援が充実することは望ましいが、一方で、本給付によって、企業が自ら有給の教育訓練休暇などを導入する意欲を妨げることになってしまうという懸念もある。その点についてどう考えているのか、お尋ねしたいです。
 また、検討の方向性では、休暇を取得した場合とありますが、参考資料5の6ページを見ると、正社員でも教育訓練休暇を取得している方は少ないですし、非正規雇用についてはさらに少ないです。検討の方向性に、被保険者期間が例えば5年以上あることと記載がありますけれども、非正規雇用の方のキャリアにとってみれば非常に長く、活用できる方は限定的になるのではないかとも考えられますが、その点についても併せて確認をしたいと思います。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
 ほかにどなたか。
 千葉委員、お願いいたします。
○千葉委員 ありがとうございます。
 新たな融資制度について、資料2-1の11ページ目の検討の方向性において、求職者支援制度と同様に、雇用保険被保険者や受給資格者でない者も対象に入ると記載があるが、求職者支援制度とのすみ分けを明確にしておく必要があるのではないかと考えてございます。検討の方向性に記載はないが、例えば求職者支援制度と併用できるのかということであったり、求職者支援制度と比較した際の融資の水準であったり、講座への出席免除の要件など、慎重に検討する必要があるのではないかと考えております。
 それと、対象とする教育訓練につきましては、求職者支援制度は、訓練が限定的な中で、融資においては教育訓練給付の講座指定を受けている法人が提供する教育訓練とあります。そもそも法人が用意している講座のレベルにばらつきがあることを踏まえますと、求職者支援制度と同様に、受講者の就業能力を高め、雇用の安定に資する講座に限定すべきではないかと考えております。
 また、再三意見として上がっている内容ではありますけれども、雇用保険の適用がない雇用者、離職者、フリーランス等を対象にしていることを踏まえますと、融資残債務の免除につきましては、一般財源で実施すべきでないかと考えております。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに御意見とか御質問がおありになる方はいらっしゃいますでしょうか。大丈夫ですか。
○尾田課長 それでは、事務局でございます。
 多数御意見、御質問をいただきましたので、漏れがございましたら後ほど御指摘いただければと思います。
○川端調査官 1点目の大谷委員からの教育訓練支援給付金の受給者数の年齢別はという御指摘でございましたけれども、令和4年度の業務統計値によりますと、初回受給者数でございますが、全員で3,363人となっております。このうち、24歳以下の方が624人、25歳から29歳が1,129人、30歳から34歳が675人、35歳から39歳が524人、40歳から44歳までが411人と比較的年齢が若い方々となっております。
 以上でございます。
○尾田課長 大谷委員から御指摘がございました、今回の新しい給付制度の想定している予算規模や対象人員につきましては、改めてお示しした上で、また御意見をいただきたいと思っております。
 また、大谷委員、清田委員からございました、企業経由での助成を手厚くすべきという御指摘につきましては、引き続き、有給教育訓練休暇を通じた企業が本人の教育訓練を支援する取組につきましては、助成金で支援していく所存でございます。個人支援と企業支援はどちらも重要でございますので、引き続き充実してまいりたいと思っております。
 また、平田委員から御指摘がございました、教育訓練支援給付金に対象分野の偏りがあるけれども、これはそもそも想定されたものなのかという点でございます。もともと教育訓練支援給付金は、平成26年改正におきまして、専門実践の教育訓練給付金を創設した際に、これと併せまして創設されたところでございます。専門実践創設の趣旨といたしましては、より中長期のキャリア形成に資する訓練を手厚く支援することによりまして、非正規などの労働者がより安定した職に就けるようにということを念頭に置いた制度でございます。そういった観点から、より長い訓練を受講する際の生活支援として、基本手当の支給が切れた後の支援として、限定的ではございますけれども、そういった形で創設したと理解しております。ですので、その当時からこういった訓練分野の偏りを想定していたかということにつきましては定かではございませんが、趣旨としてはそういうことで、結果として今こういう状況が生じているということで理解しております。
 また、冨高委員、そして、中窪委員からも御指摘がございましたが、想定しております賃金上昇の上乗せに関して、訓練受講の直接的な効果としての賃金上昇のみを切り分けるべきではないかという御指摘がございました。こちらにつきましては、今、事務的な検討を進めているところでございますが、なかなか切り分けるところが難しいのではないかと考えております。そして、結果として賃金が上昇したことを訓練受講の効果ということで理解して支援するという方向性で今考えておりますが、引き続き御意見をいただければと思っております。
 また、中窪委員から御指摘がございました自営の場合の扱いでございますけれども、まず、教育訓練給付につきましては、今考えておりますのは、専門実践については、現状50%のベースの給付と追加給付20%がございますけれども、今回御提案しております賃金引上げの追加の給付につきましては、20%の追加給付を受けた上でさらに賃上げの要件を満たした場合に給付するということを想定しております。ですので、20%の部分というのが資格取得と雇用就業が前提でございますので、フリーランスで就業したような場合にはそもそも給付がなされないということで想定しております。また、融資においても同じく賃金引上げが要件になっておりますけれども、こちらの融資も、今考えておりますのは雇用就業を念頭に置いておりますので、雇用就業以外の形で就業された場合にはそもそも要件の対象外ということで考えております。
 また、内藤委員から御指摘がございましたが、新たな個人支援の無給の教育訓練休暇に対する生活支援給付を行うことによって、有給教育訓練休暇を制度整備する機運を低下させてしまうのではないかという御指摘がございました。ここは確かに悩ましいところでございますが、現状、教育訓練休暇制度は、前回も資料でお示ししましたが、企業の取組が約10%というところで、これは以前から傾向としては変わっておらず、企業の取組がなかなか進んでおりません。そうした中で、よりリスキリングを進めていくということで、こうしたところまで個人で取り組む方への支援ということを講ずべきではないかというところで考えたところでございますので、こちらにつきましては、併せまして、繰り返しになりますが、人材開発支援助成金での有給教育訓練休暇の支援ということも並行してやってまいりますので、そうした形で両輪で教育訓練休暇制度の導入を進めてまいりたいと考えております。
 また、同じく内藤委員から、現状、教育訓練休暇の取得が少ないという中で、5年という要件を設ければ非正規での活用が難しくなるのではないかという御指摘をいただきました。ここは給付制度の趣旨とのバランスになりますけれども、今までの経験を踏まえて、より長期の訓練を無給で受講することを支えるということから、一定の年数を要件とすることが必要ではないかと考えております。5年が適切なのかどうかというところにつきましては、引き続き御意見を賜れればと思っております。
 また、千葉委員から、融資制度について求職者支援制度とのすみ分けについて御指摘をいただきました。事務局から提案しております融資制度については、対象者としては、求職者支援制度と同様に雇用保険制度にカバーされている方以外の方を念頭に置いた制度でございます。趣旨としてはこういった自主的な教育訓練受講を支援するということでございますので、求職者支援制度はハローワークが関与した形で雇用保険以外の方に就職支援の一環として教育訓練の受講をお勧めし、その受講期間中の生活支援を行うということでございますので、趣旨としては重ならないと思っておりますが、制度間の調整については引き続き考えてまいりたいと思っております。
 また、同じく千葉委員から、対象訓練の範囲につきまして、求職者支援制度については認定された事業者が提供した訓練である一方、融資については、訓練講座を提供している法人とはいえ、訓練内容にばらつきがあるのではないかという御指摘がございました。自主的な教育訓練受講を支援するということで、教育訓練の範囲を限定するか否かについては御意見があろうかと思いますが、事務局の提案といたしましては、そこは一定幅広く見た上で、御本人の意欲を尊重し、それに対して支援するという形で、このような要件設定で考えさせていただいております。こちらについても引き続き御意見を賜れればと思っております。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 御質問、御発言なさった方、よろしいでしょうか。
 では、内藤委員、お願いいたします。
○内藤委員 制度設計の趣旨も含めて御回答いただいてありがとうございました。
 それを理解した上で、やはり、労働者の雇用形態にかかわらず、能力開発のための時間を確保し、人手不足といった状況の中でも教育訓練の重要性を認識したうえで、職場内で応援するような意識が必要だと思います。そのような意識の醸成が行われないと、こうした給付を導入したとしても活用されないと考えておりますので、ぜひそういった懸念点を払拭できるような仕組みの検討をお願いしたいと思います。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたか御発言されたい方、いらっしゃいますでしょうか。大丈夫ですか。
 ありがとうございます。それでは、このテーマについても、これで議論を終わらせていただきたいと思います。
 これで議題1については以上とさせていただきたいと思います。
 事務局におかれましては、育児休業給付等及び教育訓練給付等について、本日の議論を踏まえて、必要な整理を進めてください。
 それでは、本日予定されている議題は以上ですので、本日の部会はこれで終了させていただきたいと思います。
 委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただき、どうもありがとうございました。