第154回先進医療技術審査部会 議事録

日時

令和5年10月12日(木)16:00~18:00

場所

 日比谷国際ビルコンファレンススクエア「8D」(オンライン)

出席者

竹内座長、北川座長代理、天野構成員、一家構成員、伊藤構成員、上村(尚)構成員、上村(夕)構成員、掛江構成員、後藤構成員、坂井構成員、真田構成員、戸高構成員、飛田構成員、平川構成員、平田構成員、松山構成員、山本構成員、渡辺構成員


(事務局)
医政局研究開発政策課長
医政局研究開発政策課 治験推進室長
医政局研究開発政策課 課長補佐
医政局研究開発政策課 治験推進室長補佐
保険局医療課 先進・再生医療開発戦略専門官
医薬・生活衛生局医薬品審査管理課 審査調整官

議題

  1. 1.総括報告書の評価について
  2. 2.試験実施計画の変更について
  3. 3.協力医療機関の追加について
  4. 4.その他
     

議事

 
○竹内座長
 それでは、時間になりましたので、第154回先進医療技術審査部会を始めます。御多用の中、お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。本日はオンライン開催となりますので、よろしくお願いいたします。
 本日は18名の構成員のうち、掛江先生が御出席予定ですが、多分遅れて入られるかと思います。本会議そのものは、18名中、現在17名参加状態で、成立していることを申し添えます。
 早速、配布資料と本日の審査案件の確認を、事務局からお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 よろしくお願いいたします。傍聴者の方の撮影は、ここまでとさせていただきます。御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 配布資料の確認です。議事次第から、座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿と続きます。続いて、総括報告書の評価について、資料1-1~1-3、試験実施計画の変更について、資料2~5、先進医療Bの協力医療機関の追加について、資料6-1~6-2、会議資料の最終ページは52ページとなります。お手元の資料に乱丁、落丁等ありましたら、事務局までお知らせください。
(掛江構成員入室)
 続いて、利益相反の確認です。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業について、事務局から事前に確認させていただいております。今回、利益相反に該当する構成員の先生はいらっしゃいませんでした。事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がありましたら、この場で御報告をお願いいたします。それでは、該当なしということで、承知いたしました。
 また、今回は資料を事前にメールでお送りしております。会議資料と区別して、構成員・事務局限りの届出書類等を「タブレット資料」と御案内します。なお、会議資料とタブレット資料の内容は異なっておりますので、発言者は会議資料の何ページ、若しくはタブレット資料の何ページと、あらかじめ御発言を頂きますと、議事の進行上助かります。
 本日はオンラインでの開催となり、構成員の先生方には大変御不便をおかけいたします。御発言いただく際には、初めにお名前をおっしゃっていただくようにお願いいたします。また、Web会議ソフトには手挙げ機能が付いておりますので、こちらも適宜御活用いただければと存じます。以上です。

○竹内座長
 掛江構成員にお入りいただきましたので、本日は18名中18名全員おそろいです。それでは、早速議事に入ります。よろしくお願いいたします。
 まず、総括報告書の評価結果について、事務局から御説明をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 資料1-1の15ページを御覧ください。先進医療Bの総括報告書に関する御評価を頂くのは、告示番号旧24、「自家骨髄単核球移植による下肢血管再生治療」です。申請医療機関は、京都府立医科大学附属病院です。審査担当構成員は、主担当が真田構成員、副担当が上村夕香理構成員、松山構成員となっております。それでは、資料に沿って御説明いたします。
 閉塞性血栓血管炎(バージャー病)は四肢の末梢血管に閉塞を来し、四肢や指趾に虚血症状を引き起こす疾患である。四肢の主要血管に狭窄や閉塞が起こり、骨格筋への血流が低下するために、軽症状では四肢の冷感・しびれ、間欠性跛行等であるが、重症化すれば安静時疼痛が出現し、その後、四肢末梢部より皮膚の色調変化や爪の発育不良、さらには、難治性の皮膚潰瘍・壊死へと進行していく。
 バージャー病は、動脈硬化による血管閉塞と異なり、末梢ほど病変が強いために、血行再建手術が可能な症例は20%以下と少なく、また、バイパスの開存率も十分には期待できず、症状の再発を繰り返すことが多いのが現状である。
 本研究で用いる自家骨髄単核球細胞移植による血管再生療法は、自家骨髄液中から血管内皮に分化し得る未熟細胞を含んだ単核球細胞分画を取り出し、虚血症状のある骨格筋内へ移植することにより、新たな血管を作る治療法である。
 本研究では、バージャー病に対する骨髄単核球細胞を用いた血管再生療法の有効性と安全性を検討する。以上です。

○竹内座長
 それでは、本技術の評価については、主担当の真田構成員から御説明をお願いいたします。真田先生、よろしくお願いいたします。

○真田構成員
 よろしくお願いいたします。今回の技術は、四肢、主に下肢の虚血症状に対する改善効果を問うているものです。対象の疾患について若干説明を加えますと、四肢、主に下肢の虚血を伴うような、血流がベースの病態を示す疾患としては、大きく2つあります。1つは、閉塞性動脈硬化症、英語ではASOと略されますが、こちらは、動脈硬化が主になって、下肢あるいは四肢の虚血を来す病態になります。動脈硬化ですから、発症される患者さんは比較的年齢が高い方が多いですが、一方で今回の対象疾患となっておりますバージャー病については、こちらは英語ではTAOと略されますが、日本語では閉塞性血栓血管炎ということで、病態が少し閉塞性動脈硬化症とは異なることが分かっております。
 動脈硬化の特徴としては、主に大きな血管、本線の血管が狭くなって虚血に陥ることが多いですから、その大きな血管の虚血を解除することで、一定の病態の改善が期待できる状況なのですが、今回の対象疾患であるバージャー病は、血管炎の病態を含んでいる関係上、下肢を主に栄養する大きな血管とともに、末梢血管、細い分枝の血管にも狭窄症状が及ぶことになりますので、閉塞性動脈硬化症に比べると、バイパスその他の従来治療への反応性が厳しい状況があります。バージャー病については、例えば生活習慣、主に喫煙と関連した増悪が有名ですし、病態の関係上、閉塞性動脈硬化症に比べて若年の方に発症することが多いです。そのような背景を、少し頭の片隅に入れていただければと思います。
 今回の技術ですが、概要図が提供されており、この会議資料の29ページになります。かなりシンプルに書かれておりますが、まず、このバージャー病の方から全身麻酔下に骨髄を穿刺し、そこから骨髄液を600ml採取するわけです。この600mlという量は、かなり多いと思われる方がほとんどだと思いますし、今回の評価でも特異的に触れられた経緯がありますので、後ほどお話が出てくると思いますが、600mlを麻酔下に採取して、こちらを機械に掛けて分離・濃縮を行うわけです。その結果、600mlから大体40ないし80mlの単核球成分を含んだ血液を分画して採取します。この分離・濃縮機械が、今回薬事承認の対象ということで、先進Bで実施をされていると理解をしております。
 この40ないし80mlの濃縮された骨髄単核球細胞を、0.何某mlずつに分注して、足の虚血部位に満遍なく注射するわけです。そして、注射した部位で、注入された血液の中で血管内皮に分化あるいは分化誘導するような細胞成分の働きを介して、新生血管を形成し、虚血状態を改善しようという治療になります。
 この技術の詳細については、今回副担当をお務めいただいている松山構成員がかなりお詳しいですので、私からはこれ以上の説明は一旦控えさせていただきますが、まず、私からの評価は、会議資料の18ページになります。結論から申しますと、有効性についてはB、従来の医療技術を用いるよりもやや有効と判断をさせていただきました。コメントをお示ししますが、本試験は、先進医療Aで一応先行実施をされていたところから、さらに対象症例について、虚血症状の改善や切断回避に血流の回復が絶対的に必要な患者群であると一般的に評価をされている値、「登録時SPP値:30mmHg未満」と客観的に設定をされた症例群を用いております。その結果、これが主要評価項目になるわけですが、SPP値と経皮的酸素分圧の値、それから安静時の疼痛スケール、あるいはCTによる患肢の膝下血管の容積が、移植後180日目までに有意に改善し、ほかの幾つかの副次項目も改善傾向を認めておりました。
 この22例に最終的に実施をされた、サブグループ解析をしてみたところ、ベースラインのSPPの値と、Fontaine分類といって、これは臨床症候的な下肢虚血の重症度分類と考えていただければよろしいですが、その分類にかかわらず、移植後のSPP値が改善傾向を認め、中でも、ベースラインのSPPが20mmHg以上、又はベースラインのFontaine分類がⅢ又はⅣの群で顕著な改善を認めたとなっております。SPPが20に満たない群は、より重症ということになるのですが、これについては、今回の症例数が相対的に少なかったという影響もあり、180日目のSPP値改善は有意ではなかったものの、強い改善傾向が認められたと報告をされております。今回については、SPP30未満ということ自体が登録基準ですので、20より上か下かということについては、こちらはあくまでサブ解析ということになります。
 私のほうでは、こちらは単群試験でしたので、主に単群試験の結果と、ヒストリカルコントロールとの関係性、あるいは、後にお話しますが、現在利用可能となっている治療との対比について、主にお伺いをいたしました。私の質問に対して研究者から回答を得たものについては、回答その2、会議資料の25~27ページに記載されております。2つ質問事項を立てて、今申し上げたことをお伺いしております。
 ヒストリカルコントロールとして事後的にお示しを頂いたわけですが、血行再建術や薬物治療を含む標準治療実施後のバージャー病患者110人、23年間の長期成績がヒストリカルコントロールで報告されております。追跡期間内に、42.7%が大切断、又は小切断、これは、下肢が虚血になって回復不能であるために、生命の維持のために壊死に陥った部分をやむを得ず切断するわけですが、それから11.8%には大切断術が施行されました。生存率自体は、こちらにお示ししたような値になっております。この中では、バイパス手術を受けた患者は31名で、術後1年、5年、10年におけるグラフト開存率は、41%又は54%、32%又は47%、30%又は39%ということが示されております。こちらはグラフトの成績ですが、経皮的に下肢動脈の形成を行った患者さんについては、別の術式ですが、44名いました。この生存率と大切断回避率は、1年後、3年後、5年後とこちらの文書でお示ししたような値になっており、再治療の実施率は、1年後で27%、3年後で30%、5年後では41.8%と、やはり芳しいとは言えないという状況になっておりました。
 これらの成績と本試験の結果を比較したところ、本技術の実施22例における全生存率と大切断回避率については、本試験では1年後と3年後で各々95.5%及び95.5%、89.5%及び95.5%、小切断の発生率も研究期間中に1例が発生したのみとなっており、ヒストリカルコントロールに比べると切断回避できた率が高かったとなっております。
 また、現在、このバージャー病に適応を持つ薬剤として、同じく下肢に注射をする、虚血部分に注射をするベペルミノゲンペルプラスミド、商品名コラテジェンと申しますが、こちらも先進医療で評価された経緯のある薬です。こちらについては、既に薬事承認は閉塞性動脈硬化症及びバージャー病における「潰瘍の改善」で、効能・効果を取得しております。添付文書によりますと、初回投与後12週後で最大の潰瘍閉鎖は10例中6例で見られて、その潰瘍の大きさが平均15.9mm、閉鎖が得られた潰瘍の大きさは平均11.8mmであったと書かれております。
 こちらは潰瘍の大きさの成績ですので、今回研究者が得ている主な評価項目と直接に比較できるというわけではありませんが、この潰瘍の観点で本試験の成績を見てみますと、重症虚血の下肢で問題となる症例は、この切断に至るようなリスクの高い広範囲で深い皮膚潰瘍が起こっているような状況で、このような症例に対しては、添付文書上はコラテジェンは適応外で使用できないという状況であり、一般には比較できないと。つまり、今回の試験のほうがより重症を対象にしていると想定されます。客観的な重症虚血下肢を対象とする本試験の症例では、より大きな潰瘍を取り扱っていて、その場合でも潰瘍面積の縮小は得られたということになっております。
 本試験は、もともと血行再建の不可能、又は難治な症例を対象としている点から、病変や患者背景については、やはりこのコラテジェン等で評価された症例よりも、更に不利な傾向であったと考えられることを鑑みますと、本技術によって、従来の標準治療よりやや高い安静時疼痛の改善、肢切断の回避等の効果が得られたと考えてよいと、私は判断をいたしました。
 次に、安全性の評価になります。こちらは、あまり問題なし、Bと判断をさせていただいております。恐らく、後ほど松山構成員からもお話があるかと思いますが、技術の実施により、一過性のヘモグロビン値の低下、消耗性のアルブミンの低下が少数例に出現しておりましたが、こちらは回復をしています。患肢の感染等のリスクについては、原病の経過を特段上回るものではないと考えました。
 技術の成熟度については、私はBと判断をしております。こちらについては、恐らくハードなポイントになるのが、自己骨髄液の採取量が多いことと、重症下肢虚血の的確な管理ができるということ、これらが恐らくこの治療の肝になるかと考えており、これらに習熟している医師又は施設の環境であれば実施可能と考えて、このように付けております。私からの説明は、一旦ここまでとさせていただきます。

○竹内座長
 真田先生、ありがとうございました。続いて、副担当の上村構成員から御説明をお願いいたします。

○上村(夕)構成員
 上村です。それでは、私の評価についてコメントさせていただきます。真田構成員からの御発言と重複するところもございます。本試験は、血行再建術が困難なバージャー病による難治性重症虚血肢において、骨髄単核球細胞を用いた血管再生療法が組織治癒評価項目に及ぼす有効性と安全性を評価することを目的とした単群試験です。対象者については、Fontaine分類Ⅲ~Ⅳ度、登録時のSPP値が30mmHg未満の患者さんで、保険収載された標準治療を施行して回復がないことが確認された患者さんです。
 当初、この試験については、標準治療を対照群として設定するRCTが計画されていましたが、第53回本技術審査部会において審議されたようですけれども、もろもろのデザイン調や倫理的な観点からの評価を踏まえて、当時は継続審議となり、その後、引き続き試験計画等の詳細な議論がなされ、第58回の部会において今回提出された試験デザインで「適」となっています。先ほど申し上げたとおり、当初はRCTを計画していましたが、標準治療を実施しても効果がない症例を対象としていますので、その対象者に対して、標準治療群において更に6か月間、標準治療を実施して効果を見ることに対する倫理的な観点への考慮、そして、本対象者に対し、引き続き標準治療を施行してもSPP値の30mmHg以上への改善はほぼ見込むことができないことを踏まえて、単群試験として実施されたと理解しています。
 今お話したとおり、標準治療では治療後のSPPの改善はほぼ認められないことが過去の先行研究から想定されることより、主要評価項目は登録から移植後6か月時のSPP変化量と設定され、登録時からの変化量が0以下を帰無仮説、変化量が改善することを対立仮説として有効性が評価されています。その結果、中央値については、ベースライン時25から6か月時の17まで改善しており、片側検定の結果、統計学的に有意な改善が見られています。また、登録された患者さんのうち21例について登録、6か月時でSPP値が測定されており、組織治癒に必要なSPP値は30mmHg以上とされているのですが、各症例の変化を見ると、21例中20例において30を超えている、30以上を達成しているという結果も出ています。臨床的な評価項目についても、事後的な比較になりますが、真田構成員から御説明があったとおり、同等以上の結果が提示されています。
 以上より、主要評価項目の結果の仮説がメットしており、また、副次評価項目の多くについても、それをサポートする結果であったことから、標準治療よりも有効であったと考えています。一方で、RCTの実施は困難であり、大幅な有効性があったかまでは判定が困難であるため、Bとの評価に至っています。
 安全性に移ります。安全性については、多くの症例で副作用の発現はありましたが、その多くは軽度のものでしたので、今回はBと判断しています。技術的成熟度については、今回は判断が難しいため、主担当の評価に委ねたいと考えています。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。続いて、副担当の松山委員から御説明をお願いいたします。

○松山構成員
 病態生理に関して、真田構成員からかなり丁寧に御説明いただきました。ありがとうございます。私から、まず有効性に関しては、B.従来の医療技術よりも、やや有効であると。マインドとしてはAに限りなく近いのですが、ダブルブラインドとか、なかなか現実的には難しいし、細胞非投与群というものは置けませんので、今回はBとさせていただいています。閉塞性動脈硬化症と病態が異なっているバージャー病で細胞治療の有効性を示したと言える、非常に貴重な研究であると思います。細胞治療、再生医療で統計的に有意差が出るケースは非常にレアであると思うのですが、今回、細胞治療の有効性を示し得た数少ない治療法プロトコルであると考えられており、社会実装を強く期待したいところです。
 私は、主に次の安全性の所、29ページ以降で議論させていただきました。先ほど真田構成員にも触れていただきましたが、600ccという骨髄を採ることの是非です。やはり全身麻酔下で採るということがあって、ベースに心不全とかがあると、患者さんはむしろ悪くなります。しかも、600ccの骨髄を採ると、ヘモグロビンがかなり低下することが多くて、心不全の患者さんではかなりリスクがあるだろうと思います。一方、今回、バージャー病の患者さんに関しては、血管に関しては病状があるけれども、全身的に問題となるような病態生理ではないということもあります。そこで今回、的場先生からお答えも頂きました。術式に起因するヘモグロビン低下あるいは消耗性アルブミン低下は確かにあるのですが、一過性であったということでして、大きな有害事象もないということです。閉塞性動脈硬化症と異なり、重篤なバージャー病の患者さんでの600mLの骨髄液の採取リスクとベネフィットをトレードオフで考えたときには、許容できる範囲ではないかと考えたところです。
 技術的成熟度に関しては、どうしても骨髄液採取が全身麻酔管理下で行われるということがありますので、数多くの経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できると考えたところです。以上です。ありがとうございます。

○竹内座長
 ありがとうございました。バージャー病の病態生理、単群試験になった背景、安全性について、それぞれコメントを頂きました。1点、事務局から少し御報告があります。

○医政局研究開発政策課長補佐
 事務局です。真田先生にコメントさせていただきたいのですが、本研究は、申請医療機関の意図としては、薬事承認ではなく保険収載を目指したものであると事務局は認識しています。御説明の中で、分離・濃縮機械が薬事承認の対象という内容のコメントを頂きましたが、今回の総括報告書の2ページに、使用医療機器については適応内と記載されていて、本試験に使用した一般名称が「血液分離装置」以外の適応外のものに対するコメントということでコメントされたかどうか確認させていただきたいのですが、お願いできますか。

○真田構成員
 こちらが適応内と読まれている機器であるという解釈の限りにおいては、私が申し上げたことは放念いただいて結構です。

○医政局研究開発政策課長補佐
 承知いたしました。ありがとうございます。

○竹内座長
 事務局からの確認でした。それを踏まえて、真田構成員から追加のコメント、あるいは総括のコメントなどを頂けますか。

○真田構成員
 ありがとうございます。私が恐らく確認不足だったということで、御迷惑をお掛けいたしました。総合的なコメントを19ページの末尾にお示ししています。先ほど松山構成員からも御説明があったように、重症下肢虚血を生じる末梢動脈疾患の中でも、閉塞性動脈硬化症とは病態が異なって、現状で有効な治療選択肢がかなり少ないバージャー病において一定の有効性・安全性を示し得た、選択肢としては貴重ということで、今後、技術の実施水準を担保しつつ、更に実装に向けて歩みを進めることを期待いたします。
 その下のコメントについては、私の認識不足という御指摘を頂いたと理解していますので、こちらは適応外である場合ということでコメントしていますけれども、適応内でしたら、その範囲内で本技術自体の有効性・安全性を加味した保険適用に向けた評価となりますので、技術としての評価は今まで述べたとおりです。私からのコメントは以上とさせていただきます。

○竹内座長
 ありがとうございました。そうしますと、20ページにある薬事未承認という所は、少し変更ということになるかと思います。事務局のほうでも確認していただいて、文書を残していただければと思います。
 ただいまの御説明について、何か御質問等はございますか。構成員の先生方、御質問、コメント等はございますか。よろしいでしょうか。コメントはないようですので、告示番号旧24については、ただいま御審議いただいた結果を取りまとめて、先進医療会議に報告させていただきます。ありがとうございました。
 続いて、試験実施計画の変更について、事務局から説明をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料2の31ページを御覧ください。東京西徳洲会病院からの申請で、告示番号B29、「腎悪性腫瘍手術により摘出された腎臓を用いた腎移植」です。適応症は、末期腎不全(慢性維持透析が困難なものに限る。)です。
 御審議いただく主な変更内容については、32ページを御覧ください。主な変更内容としては、実施期間の延長です。変更申請する理由として、当初の研究実施期間を2029年6月までとしており、術後5年間のフォロー期間とその予備期間としての約半年に加え、臨床研究登録から手術実施までの待機期間を約2か月と見込んでいたため、登録期間を2023年10月までと規定していた。2020年からの新型コロナウイルス感染症のまん延により、対象となるレシピエント候補患者の移動制限に伴い登録作業が滞ったこと、協力医療機関の追加に時間を要したこと、新型コロナウイルス感染症に対する院内対応により医療機関での人的余裕がなかったこと等、当初の予定どおりに研究活動が実施できなかった。上記の影響は、第5類感染症へ変更されるまでの約3年続いたことから、研究実施期間及び登録期間をそれぞれ3年間延長した。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。本変更内容について、御意見等はございますか。いかがでしょうか。よろしいですか。現在、登録状況は0例ですが、3年間の登録期間、そして期間延長をお認めしてよろしいですか。ありがとうございました。それでは、告示番号B29の変更については認めることとさせていただきます。
 続いて、次の試験実施計画の変更について、事務局から説明をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料3の33ページを御覧ください。東海大学医学部付属病院からの申請で、告示番号31、「自己軟骨細胞シートによる軟骨再生治療」です。適応症は、変形性膝関節症です。
 御審議いただく主な変更内容については、34ページを御覧ください。主な変更内容としては、患者登録期間及び予定試験期間の延長です。変更申請する理由としては、新型コロナウイルス感染症による影響前の計画では、年間4、5例程度の移植実施が見込まれたため、解析対象からの脱落例を考慮し、予定症例数を20例と設定していた。新型コロナウイルス感染症のまん延による患者の来院控えの影響を受けて症例登録が遅延し、現時点で二次登録症例数は15例である。現在はコロナ禍前の診療状況に戻っていることを考慮し、1年期間を延長することで、年間4、5例の患者確保が可能と見込まれる。若干の脱落を考慮し、解析対象必要症例数である17例は確保できる見込みと判断し、症例登録期間を1年間延長して5年とし、総じて10年の予定試験期間とした。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。本変更内容について、御意見等はございますか。コロナの影響が大きかったと。ただし、コロナ後、症例数が回復しているということで、今回の変更の申請を頂いています。よろしいですか。ありがとうございました。それでは、告示番号31の変更については認めることとさせていただきます。
 続いて、次の試験実施計画の変更について、事務局から説明をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料4の35ページを御覧ください。湘南鎌倉総合病院からの申請で、告示番号B32、「自家末梢血CD34陽性細胞移植による下肢血管再生療法」です。適応症は、下肢閉塞性動脈硬化症です。
 御審議いただく主な変更内容については、37ページを御覧ください。主な変更内容としては、1つ目は、「先進医療実施届出書、試験実施計画書及び同意説明文書にCD34陽性細胞移植後の発熱のリスクを追記した」とあります。変更申請する理由としては、当医療機関にて実施しているほかの再生医療等提供計画「慢性腎臓病に対する自家末梢血CD34陽性細胞移植治療」において、細胞移植後に発熱が認められたことによる。すなわち、4例の被験者のうち1例にて、2回の腎動脈経由の細胞移植時それぞれ2度とも、移植後1週間前後で一過性の発熱を認めた。感染症によらない細胞移植後の生体反応によって発熱したと考えられ、今後、細胞移植により同様の事象が生じる可能性が考えられる。当該疾病等の報告が特定認定再生医療等委員会にて審議され、意見書にて、慢性腎臓病以外の再生医療等提供計画に関しても、同意説明文書に細胞治療による発熱の可能性について追記するよう指示があったため、同意説明文書を変更し、併せて研究計画書及び先進医療実施届出書の該当箇所を変更したとございます。
 変更内容の2つ目として、先進医療実施届出書、試験実施計画書及び同意説明文書に、G-CSF製剤のその他の副作用として髄外造血を追記し、また、試験実施計画書及び同意説明文書に、眼底検査は糖尿病患者のみが実施することを明示したとあります。G-CSF製剤の副作用については、添付文書の改訂に伴い、新たに髄外造血が追記されたためであり、眼定検査については、糖尿病患者のみに行う計画でしたが明記できていなかったためです。以上です。

○竹内座長
 御説明ありがとうございました。何か御意見、コメント等はございますか。よろしいでしょうか。渡辺先生、どうぞ。

○渡辺構成員
 ただ今、事務局から説明のあった変更内容の2番目に関して内容は理解はしたのですが、文書としては変更申請する理由を記載しなくてもよい立て付けなのですか。

○医政局研究開発政策課長補佐
 事務局です。おっしゃるとおり、文書として資料を作成するほうが、より分かりやすいと考えています。文書だけでは足りないと考えましたので、口頭で説明させていただきました。

○竹内座長
 よろしいでしょうか。お答えになっていますか。

○渡辺構成員
 意図は、変更するときに文書に書かないで、事務局が解釈した説明をこの審議の場でやれば、手続きとしては完結すると考えてよいかという質問だったのです。これで承認していい、文書としてはこれで構わないという解釈でよろしいということなのですね。

○医政局研究開発政策課長補佐
 事務局です。一応、変更理由については、医療機関に確認して、私が口頭で説明した内容でよろしいという意見を頂いています。

○渡辺構成員
 はい。

○竹内座長
 先生の御質問のお答えになっているでしょうか。先生の御質問は、添付文書の変更について追記すること、例えば、今回の変更理由の所にきちんと文書として残すべきであるという、そういうことでしょうか。

○渡辺構成員
 書いていただくほうが審査するときに分かりやすいです。書いていないと、事務局が忖度されたというのはよく分かるのですけれども、文書としてこれで完成形と考えていいのか疑問があったので確認をしたのです。

○竹内座長
 ありがとうございます。先生の御指摘のポイントは、資料の37ページの変更申請する理由という所に、(2)についての理由が書かれていないということでよろしいですか。これを書くべきではないかと。

○渡辺構成員
 書かなくてもいいのかなと思っただけです。書いたほうがきれいだよなと思っただけなのですが。

○竹内座長
 そうですね。御指摘はよく分かります。いかがですか。

○医政局研究開発政策課長補佐
 事務局としても資料に明記するべきだと考えています。御意見ありがとうございます。

○竹内座長
 ありがとうございました。大変貴重な意見で、確かに37ページの変更の理由の所に、(1)についてはかなり詳しく書いてありますが、(2)については触れられていないように思われるので、何らかの形で文書に残しておいたほうがいいだろうという御意見だと思います。よろしいですか。それでは、事務局のほうでただいまの御意見を取り入れさせていただいて、何らかの形できちんと変更理由の文書を(2)についても残すようにさせていただきます。渡辺先生、それでよろしいでしょうか。

○渡辺構成員
 はい、よろしくお願いします。

○竹内座長
 ありがとうございます。より明確になると思います。大変貴重な意見でした。それでは、それを踏まえて告示番号B32は変更をお認めしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、認めることとさせていただきます。
 続いて、次の試験実施計画書の変更について、事務局から説明をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料5の39ページを御覧ください。国立成育医療研究センターからの申請で、告示番号B63、「タクロリムス投与療法」です。適応症は不妊症です。
 御審議いただく主な変更内容については、40ページを御覧ください。主な変更内容としては、研究期間の変更、スクリーニング期間の定義の修正、その他、誤記の修正等です。変更申請する理由としては、1つ目の研究期間の変更については、2023年1月に実施前会議を行い、各施設での管理者許可を得、スクリーニングは2月、登録は5月から開始された。2月から6月末までの期間内に19人のスクリーニングが行われているが、15人が脱落した。脱落の主たる理由は、除外基準の1つである慢性子宮内膜炎の診断基準が、通常診療で行われている基準より厳しかったこと、スクリーニング期間が短かったことが挙げられた。これらの改善により登録数は増えることが期待され、慢性子宮内膜炎の診断基準及びスクリーニング期間の変更申請を行い、第149回の当部会で承認されている。現在改訂されたプロトコルで研究を遂行しており、広報に力を入れる予定であることから、月2症例の登録が見込まれ、約10か月で26症例を達成できる見通しである。また、臨床研究法での研究終了日の定義に合わせて、研究終了日についての記載を修正した。
 2つ目のスクリーニング期間の定義の修正については、スクリーニング期間にスクリーニング検査を行った場合、全ての結果を得るまでに21日間必要であるため、スクリーニングに行う検査期間は同意取得後、胚移植84日前から21日前までの期間とした。一方、全ての結果を得るまでの過程をスクリーニング期間とした場合の定義として、「同意取得後、胚移植84日前から登録までの期間」としたが、齟齬があるため、スクリーニング期間を明記した。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございます。ただいまの変更の御説明について、何か御質問等はございますか。よろしいですか。御意見はないようですので、告示番号B63の変更については認めることとさせていただきます。ありがとうございました。
 続いて、先進医療Bの協力医療機関の追加について、事務局から説明をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 資料6-1の43ページを御覧ください。告示番号14について1施設、告示番号60について1施設、告示番号65について1施設、告示番号71について6施設の協力医療機関の追加申請がありました。資料6-2の45ページ以降を御覧ください。事務局において、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件(様式第9号)を満たしていることを確認いたしました。協力医療機関の追加として御了承いただきたく存じます。特に御意見がなければ手続を進めさせていただきます。以上です。

○竹内座長
 よろしいでしょうか。よろしければ、事務局のほうで手続を進めていただくようにいたします。
 本日の議題は以上ですが、構成員の皆様、全体を通して何か御意見、コメント、御質問等はございますか。よろしいですか。御意見はないようです。それでは、次回の日程を事務局からお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 次回は、令和5年11月9日(木)の開催とさせていただきます。時間は16時から18時までの予定で、詳細については別途、御連絡させていただきます。また、本日の議事録については、作成し次第、構成員の皆様に御確認をお願いし、その後、公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。

○竹内座長
 ありがとうございました。それでは、これをもちまして、第154回先進医療技術審査部会を終了させていただきます。どうも御協力ありがとうございました。
 
(了)