第3回後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会 議事要旨

日時

令和5年9月19日(火)15:00~18:00

場所

AP虎ノ門 C+Dルーム

議題

  1. 1.安定供給等のための企業情報の可視化について②
  2. 2.少量多品目構造の解消について②

議事要旨

      
はじめに
○ 製造業支援の観点から、経済産業省がオブザーバーとして出席した。
○ 日本ジェネリック製薬協会が参考人として出席した。(プレゼンテーション実施の後、退出)
 
日本ジェネリック製薬協会によるプレゼンテーション
○ 資料1に基づき、によるプレゼンテーションが行われ、構成員からの主な意見・質問は以下のとおりであった。
・   OD錠の製造について、効率化の観点から、通常錠のどちらかに一本化した方がいいのではないか。
・ 品目整理を行ったときのあるべき姿としてどのようなイメージを持っているか。
・   規格揃えや共同開発について団体としてどう考えているのか。
・   ニーズが少ない医薬品が単ロット生産になっていると思われるが、それ以外の要因についてどう考えているのか。
・   設備投資で135億錠分、業界として新設が見込まれているということだが、今後、市場は上向いていくのか、それとも生産量で機器設備の更新などを図っていくのか、業界はどのように考えているのか。
・   出荷調整や出荷停止の要因は、業界全体として見たときには、そもそも品質管理であったり、製造の能力に余裕がない状況、あるいは場合によっては能力を超えて、多くの製品について、製造販売承認を取得し、製造し、販売していることではないのか。
 
議題1  安定供給等のための企業情報の可視化について②
○ 資料2の前半について事務局から説明があり、構成員からの主な意見・質問は以下のとおりであった。
・ 可視化する情報には、企業情報や品目情報などさまざまであるが、どのように情報公開していく予定なのか。
・ 例えば、安定供給マニュアルの有無は、ありとなっていても意味がなくて、実際にちゃんと運用されているのか、見直しがされているのかといったことが非常に重要になってくると考える。
・ プッシュ型で情報提供が来るなど、自分から取りに行かなくても周知されるようにならないと、なかなか医療関係者の方には認知されないのではないか。
・ 安定供給体制、もしものときの緊急時の対応は、コストがかかる、企業努力が必要になってくる。今までは、そういう企業努力をしている会社でも、そうではない会社でも、薬価を含めた評価が全く同一だったところが問題なので、そこに何か差をつけるような検討と理解した。
・ 企業にとって、本来であればあまり出したくない、言いたくない情報が出てくるのが、恐らく、情報の公開という制度に関してはポイントになってくる。この辺りにリスクがありそうですという情報が出てくると、まさに安定供給のところで、逆に言えば、消費者側からも少しリスクを担保するような動きができることが大事ではないか。
・ 評価結果の見せ方によってはあまり企業の情報開示のモチベーションにならず、うまく機能しないおそれがある。
・ 品質トラブルによって、他社がどんどん供給停止してしまうことが続いてしまうと、今回、可視化していっても、根本的な問題が解決しないのではないか。
・ 安定供給体制に関する情報のところで、製造管理・品質管理がまず大本にあるので、ここで担保されるのではないか。
・ 後発医薬品の安定供給には、長期収載品がきちんと作られて、安定供給されていることも当然影響するので、将来的には情報の可視化は長期収載品(企業)にも同様の取組みを進めるべきではないか。
・ サプライチェーンの問題も含めて、これからあり得る不確実性に備えられている供給体制を構築されることが理想である。
・ 製造管理・品質管理について、例えばGMP調査を行うPMDAや都道府県の調査結果を活用できるのではないか。
・ 足下の供給問題の根源は、製造すべきメーカーが品質の担保された医薬品を製造できなかっただけである。
・ 構造的な問題は、品質の根が深くて、人材が足りない中で、スペシャリストをどのように入れていくか、育てていくかが大きな課題で、多分、人材と品質があってこそのハードウエアと生産能力だと考える。
・ 海外と日本の品質の違いについては、海外ではEP(欧州薬局方)やUSP(米国薬局方)に準拠しているが、日本ではJP(日本薬局方)に従ってください、試験方法もJPに従ってくださいとなると、手間や時間がかかるかもしれないが、上下の関係にはない。
・ 量の少ないものをはかり取るとか、きれいに攪拌するとか、JPに沿って正確な分析業務ができていないところが品質管理のジェネリックの大きな問題である。
・ 品質保証を担えるような人材育成の体系的な仕組みが日本になく、人がいればいいということではない。そういうGMP人材がいて、初めて適切な製造ができるというところを目指すべき。
・ 非公開情報である供給計画を活用できるのであれば、結果を企業へフィードバックできるとよいのではないか。
・ 提出された情報のモニタリングを行う必要があるのではないか。
・ 共同開発の有無だけではなくて、共同開発の親なのか、子なのかというのは、大切な情報であるため、確認してはどうか。
・ 委受託の関係や製販業における製造所の有無も確認してはどうか。
・ 後発医薬品業界は、新規参入がほぼ絶望的なまでに難しい既成産業になっているので、新しいアプローチも否定しない枠組みづくりになることが望ましい。
 
 
議題2  少量多品目構造の解消について②
○ 資料2の前半について事務局から説明があり、構成員からの主な意見・質問は以下のとおりであった。
・ 共同開発、委受託の話は、まさに産業構造に極めて密接に関係しているので、これはかなり大きな柱として、少し時間をかけて検討したほうがよい。
・ シェア率が低い品目の製造場所を集約し、それによって他の企業の生産ラインが空いてきて、効率化を図れるという観点から、そうしたシェア率が低い品目の製造場所の集約も考えてはどうか。
・ 医療現場でニーズの少ない品目の市場からの供給義務の免除は盛り込んでもよいと考える。
・ 採算が悪いから撤退したいとなったときに、品目撤退・薬価削除で品目数を適正化しますよ、ということになってしまうと、かえって現場に混乱をもたらしかねないので、そこのプロセスについては慎重に行っていく必要があると考える。
・ 安定供給に係る責任者の指定や継続的に供給実績を報告させる仕組みは、最終的には法令に基づく仕組みとしてはどうか。
・ そもそも日本でどの医薬品がどの程度足らないのかという実態をどうやって把握するかというところも課題である。
・ 業界団体のプレゼンでは、供給責任には、医療上本当に必要なので、供給責任があるという意味と、医師から言われているので、供給責任があるという2つの意味があるのではないか。後者は、個々の企業の戦略なので、それを薬価制度などで何かするのは筋が違う。
・ 規格揃えを続けていく必要があるのか。
・ 独禁法との関係について、もう少し明確になると、次の議論に踏み込めるのではないか。血液製剤やインフルエンザワクチンが参考になるのではないか。
・ 利益の出る品目は販売する一方、それ以外は、やめやすくなったから、すぐにやめますと言った、悪循環を助長しないように考える必要がある。
・ 品目統合と事業再編をセットで考える必要があることに加えて、現実問題として、現状のジェネリック医薬品メーカーの収益構造を前提にCMOビジネスに移行して、長くやっていけるというのは結構厳しいのではないかと考えており、例えば移行期間を考慮して、税務上の優遇措置を設けるなり、方策も同時並行で考える必要がある。
・ ジェネリックメーカーといえども、まずは製造業なので、事業を継続していくために、まずは自社の効率性をあげることが必要である。例えば、原薬の共同購入を促進するようなことはできないか。
・ 日本の製造販売承認書は、コモン・テクニカル・ドキュメント、CTDのモジュール1に位置づけられているので、非常に厳格にそれが捉えられている。また、企業側はノウハウ不足で、ドキュメントをいかにフレキシブルに作成するかという方法論ができていない。
・ 製造委託で作っていて、中身は途中まで一緒で、刻印とかパッケージのところで違っているので、そういうことが非常に非効率ではないか。屋号まで押さえておく必要があるのか考えても良いのではないか。
・ 供給停止・薬価削除プロセスの合理化は非常に重要だが、具体案はあるのか。
 
 
おわりに
○ 事務局から、第4回は10月11日(水)15時を予定していることを案内し、散会となった。