第15回今後のがん研究のあり方に関する有識者会議(議事録)

健康・生活衛生局 がん・疾病対策課

日時

令和5年9月27日(水)13:00~15:00

場所

オンライン開催

議題

(1)報告書(案)について
(2)その他

議事

 
○扇屋推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより「今後のがん研究のあり方に関する有識者会議」を開催いたします。
 構成員・参考人の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 事務局を務めます、厚生労働省健康・生活衛生局がん・疾病対策課の扇屋でございます。よろしくお願いいたします。
 なお、本有識者会議はYouTubeにて配信しておりますので、御承知おきください。
 また、健康・生活衛生局長は、公務のため欠席させていただいております。
 本会議におきましては、前回に引き続き、6名の参考人に御出席いただいておりますので、御承知おきください。
 構成員・参考人の出席状況ですが、末松構成員、間野参考人、宮園参考人より、御欠席、阿久津構成員より、途中より御参加と伺っております。
 事務局からは、厚生労働省のほか、内閣府、文部科学省、経済産業省からそれぞれ出席しております。
 続いて、資料の確認をさせていただきます。資料は、厚生労働省のウェブサイトにも掲載しております。
 議事次第、資料1及び参考資料1から6がございますので、御確認ください。資料に不足、落丁等ございましたら、事務局までお申し出ください。
 以降の進行は中釜座長にお願いいたします。
○中釜座長 中釜です。構成員の先生方、また参考人の先生方、本日もよろしくお願いいたします。
 それでは、早速、本日の議事に入りたいと思います。
 議題1は「今後のがん研究のあり方について」の報告書(案)が提出されておりますので、事務局から資料1の説明をお願いいたします。
○扇屋推進官 資料1を御覧ください。前回会議で報告書(案)の暫定版をお示しし、御議論いただきました。皆様の御意見等を踏まえて修正したものを報告書(案)として、今回お示ししております。前回からの修正点が赤字となっております。主な修正箇所について御説明いたします。
 まず、目次を御覧ください。前回会議での御意見を踏まえ、目次を整理しております。
 「Ⅰ はじめに」の1に、これまでのがん対策とがん研究の推進に関する経緯を記載し、前回、IIとなっていた「今後のがん対策の方向性」は、Ⅰの2に記載しております。
 また、「II 日本において推進すべきがん研究の方向性」として、1に「これまでの研究成果と残された課題」を記載し、2に新たに「推進すべきがん研究の方向性」を記載しております。
 IIIは「今後の推進すべきがん研究(具体的な研究事項等)」として、1に「求められる研究」、2に「研究の効果的な推進のための環境整備」としています。
 続きまして、8ページを御覧ください。IIの1の研究成果の具体例について、前回のがん研究10か年戦略の中間評価の項目立てに沿った形で整理しています。
 続いて、10ページを御覧ください。研究成果に加えて、残された課題についても追記しています。
 続いて、11ページを御覧ください。いただいた御意見を踏まえて、「推進すべきがん研究の方向性」について、新たに記載を追加しています。
 続きまして、12ページを御覧ください。「1.求められる研究」の各項目について、全体の方向性が重要という趣旨で、現状・課題を枠囲みしています。
 そのほか、いただいた御意見を踏まえて、細かい記載ぶりを修正していますので、御確認ください。
 簡単ではございますが、資料1の説明は以上です。
○中釜座長 説明ありがとうございました。
 資料1に関しては、前回の報告書の素案を、皆様の御意見を基に修正したものであります。具体的な研究事項等の細かい部分については、既におおむね御意見いただきましたので、本日は、今後のがん研究のあり方の大きな方向性について御議論いただければと思います。具体的には、今、説明がありました目次のところのⅠとII、それからIIIの枠組みの部分について、主に御意見があればお願いしたいと思いますが、そういう進め方でよろしいでしょうか。途中、何かコメント等ありましたら、御意見いただければと思います。
 今、説明がありましたところで、特段、目次ごとには区切らないで、枠組みの部分について何かありましたら御意見いただければと思います。特に8ページ、9ページ以降の大きなところでの現状・課題の部分、12ページ以降の現状・課題の部分に関して、記載漏れやコンセプトとして書き込んでおいたほうがよいことがありましたら、御意見いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。特に順番にこだわりませんので、御意見のある方々からいただきたいと思います。御質問、御意見ございますか。よろしいですか。前回、かなりいろいろな御意見いただき、それを基に事務局として加筆・修正させていただきましたので、多くの構成員からの御意見は取り入れていると思うのですが、石岡構成員から。
○石岡構成員 最後にお話ししようかと思ったのですけれども、おおむね賛成です。中身に関しましては、委員の先生方が発言されたこと、私が発言したことをうまくまとめていただいたと思います。
 最後に言おうと思ったのは、非常に些細なところかもしれません。前も非常にこだわったところです。8ページの下の「難治性がん」のところです。「難治性がん」とはのところに「特定のがん種に限定されず、治療が奏効しない抵抗性のがんをいう」ということでありますが、前から、ここは「難治がん」と同じ意味なので、私からのお願いは、これまでのがん対策推進基本計画3期から「難治性がん」を政策的に使ってきたので、ここでも「難治性がん」と使うのはやむを得ないと判断しました。
 ただ、何度も申し上げましたように、学会では「難治がん」を使う人が多いし、先週開催された癌学会でも、多くの方が質問のときに「難治がん」はどうなっていますかということで、「難治性がん」ということを使われた方もいますが、「難治がん」のほうがアカデミアでは一般的です。あとは、患者のがん情報サービスにも「難治がん」というふうに、患者さん向けにも用語の説明をしております。
 お願いは、1つは、ここで書かれている意味は、一般的に言う「難治がん」と同じ意味なので、「いわゆる難治がん」というか、「難治がん」という言葉とほぼ同義語、私は同義でいいと思うのですが、同義語ということの説明を追記してほしいと思います。それが社会あるいはアカデミアとの異同に関する混乱を防止するためには重要だと思います。これは多分10年間、このままだと思います。
 それと、その後にもう一つ気がついたのですが、ここで注釈のある「難治性がん」というのは「特定のがん種に限定されず、治療が奏効しない抵抗性のがんをいう」と書いてありますが、もう一度、もともと初めて厚生労働省が「難治性がん」と記載した第3期のがん対策推進基本計画に立ち戻って文章を見ますと、いろいろ書いてあったのですが、「いわゆる難治性がんは、有効な診断・治療法が開発されていないこと」を難治性と定義しています。
 すなわち、治療が奏効しない難治性という意味だけではなくて、早期発見が困難であるということとの2つの意味をもともと持たせているのですね。治療抵抗性と早期発見が困難である。そのために、5年生存率などの治療成績がよくないという注釈を、第3期のがん対策推進基本計画には明記されています。そうすると、ここでの「難治性がん」の注釈が、第3期のがん対策推進基本計画から使われているはずの意味ともまた違ってしまうという状況になります。
 私からの提案ですが、この注釈に、さらに例えば「早期発見が困難で、治療が奏効しない抵抗性のがん」という言い方と、その後に「いわゆる難治がんと同義である」というようなことを追記してほしいというのが私からのお願いです。
 以上です。
○中釜座長 石岡構成員、御指摘ありがとうございました。
 今の御指摘に対して、事務局、お願いいたします。
○扇屋推進官 御指摘ありがとうございます。
 今、2点、追記箇所を御指摘いただいたと考えております。こちらにつきましては、座長の中釜先生とも相談し、記載ぶりについては検討させていただきたいと思います。
○中釜座長 よろしいでしょうか。事務局と相談して対応させていただきます。
○石岡構成員 ぜひお願いします。
○中釜座長 それでは、古関構成員、お願いいたします。
○古関構成員 ありがとうございます。
 同じく8ページ、9ページですけれども、ここにあたかもタイトルのように、がんの本態解明、シーズ探索とかと並んでいるのですけれども、それぞれの単語の粒度とかダイレクションが個人的に大分違っているような印象があります。実際にその下にある文を読むと、そこで何を言いたいのかというのが分かってくるのですけれども、その一方で、タイトルの部分で、そこで一体何だったのかというところがちょっと伝わってきていないというのが個人的な印象であります。
 かといって、これらを網羅する、すごくいいキーワードを今、ひねり出せるかと言われても、なかなか難しいところもあるのですけれども、もう少し分かりやすく、1つの粒度で示せるような、それぞれの項目についてもある程度粒度が合っているような形で、サブタイトルといいますか、その辺、示していただけるといいのかなと思いました。あまり建設的でなくてすみません。
○中釜座長 御指摘ありがとうございます。
 確かに各タイトルの粒度という点では、少し異なる面もあるかと思うのですけれども、いろいろな項目をまとめて表現したときに、先生御指摘のように、なかなかよい言葉が思いつかないということもあり、説明的ではありますが、こういう表現になっていると思います。もう少し検討させていただきますが、なかなか難しい面もあるかと思います。事務局、いかがでしょうか。
○扇屋推進官 御指摘いただき、ありがとうございます。
 今回のグルーピングというのが、がん研究10か年戦略の中間評価の項目立てに沿う形で記載しているところになります。ですので、このグルーピングについては、一定程度、御理解いただければなというところでございますが、いかがでしょうか。
○古関構成員 ありがとうございます。
 例えば、ほぼ1つのサブタイトルのがんの本態解明と、それぞれ文章が対応しているようなところも見受けられるので、いっそのこと、本当にばらばらにしてもいいのではないかというぐらいかもしれないですけれどもね。
○中釜座長 その点については、前回の委員会の中で、少しばらばら過ぎるので、まとめるということだったかと思います。申し訳ありません。
○古関構成員 いえ、申し訳ないです。あまりコンストラクティブでない。
○中釜座長 それでは、大井構成員、お願いいたします。
○大井構成員 ありがとうございます。
 新しくいただいたものの一番最後、「おわりに」のところです。赤字で記載いただいた「がん研究全体として、長期的視点を持って研究成果を産み出すためには、省庁連携のみならず、産官学が連携し」云々という文章がそこに記載されていますが、今回の第4期がん対策推進基本計画においては「全ての国民とがんの克服を目指す」という記載があります。この研究の分野においては、患者・市民参画ということが初めにトピック的に取り上げられてきたという歴史的な経緯を考えると、この記載の中にも、産業界の方たちも国民であるし、学術界の方たちも国民であるし、行政機関の方たちも国民ではあるのですけれども、患者さんの方たちも国民であるわけですから、患者さんを含むすべての国民と連携しながら、研究にはサバイバーシップといった研究テーマも含まれているので、すべての国民が関心を持って取り組むということの記載が加えられないかという指摘です。
○中釜座長 御指摘ありがとうございます。
 この点について、例えば産官学民とするのか、産官学と国民とするのかという御指摘かと思いますが、事務局、いかがでしょう。
○扇屋推進官 御指摘いただき、ありがとうございます。
 座長の先生と御相談しまして、表現ぶりについては御意見を反映する方向で考えております。
○中釜座長 文言を何とか検討したいと思います。よろしいでしょうか。すぐには明快な答えはないですけれども、幾つか候補があるかと思いますので、少し検討させていただきます。
 続きまして、安川構成員、お願いいたします。
○安川構成員 御指名ありがとうございます。
 11ページに新しく加えていただいたまとめの部分がありまして、2つコメントがあります。
 1つ目は、この間、事務局の方にも申し上げたことなのですが、2つ目の段落の6行目、「医療AI等を含む」というところからの文章ですが、2つのことが書いてありまして、「医療AI等を含む新たな医療技術の開発」に資する研究というほうはよく分かるのですが、2番目の「や」から後、「研究開発の新たな展開に資する研究」というのが、読んでいて意味が分からない。おそらく、レギュラトリーサイエンスのことをおっしゃっている。あるいは、難治がんでプラセボを入れないような話とか、プラセボ群の代わりにリアルワールドデータを使うとか、そういうことを言っているのではないかなと思いますが、ここでの議論を聞かないで、これだけ読まされた方にはちょっと分からない文章だろうなと思っていますので、ここはもうちょっと言葉を加えたほうがよろしいのではないかと思います。
 また、この11ページはサマリーが書いてあって、ここに書いたことのもっとかみ砕いたことが後のほうに出てくるはずでありますが、その後、「国際共同臨床試験の環境整備を含めた国際連携」という言葉があるのですが、これについては、同じ粒度の言葉しか出てこないのですね。
 例えば25ページの真ん中ちょっと上にあります「国際連携」というところを見ますと、「国際共同臨床試験の環境整備」と、同じ程度の説明しかないので、どういうことをすれば環境整備につながるのかというのを、こちらではもう少し言及すべきではないかなと思っております。
 以上です。ありがとうございます。
○中釜座長 御指摘ありがとうございます。
 2点の指摘について、事務局、よろしいでしょうか。
○扇屋推進官 まず、1点目の「研究開発の新たな展開に資する研究」という言葉についてですけれども、こちらにつきましては、例えば免疫療法やがんワクチン、ビッグデータを利用した開発など、いろいろな研究開発があると思いますが、こういったものがベースとなって、新たな研究開発につながるようなものをイメージしているところになります。ですので、何らかの特定の分野に限定するものではないというものになります。
 続きまして、「国際連携」の部分ですけれども、25ページ目の「国際連携」の部分にもう少し説明が必要なのではないかという御意見だったと思いますが、具体的にどういった例を入れていけばいいのかというところについて御意見を伺えればと思います。
 以上です。
○安川構成員 分かりました。
 1つ目は、特定の部分ではないというのはよく分かりますが、例を2~3個入れるのであれば、大した分量でもないので、入れていただいたほうが読み手には分かると思います。
 2個目の国際共同臨床試験ですが、付録の現行制度のほうに行ってしまうかもしれませんけれども、カルタヘナも一例ですけれども、国際的に求められているものよりも、日本だけ、より多くのデータを提出しないと臨床試験に入れないような規制が幾つもありますので、それが残っている限りは、要するに国際共同試験をやれるタイミングに日本が乗り遅れるという状況が多くございますので、この辺の薬事規制の整備がなされないと、幾ら口先で国際共同試験をやりたいと言ってもやれないというのが実情でございます。
 そのため、こういう日本独自の要求をなくすとか、あるいは国際共同試験をやる前に、日本人での忍容性とか、日本人での用量設定とか、こういう要請が多くありますと、結局は国際共同臨床試験に日本は乗り遅れるという現状は変わりませんので、この辺を総合的に考えていただく必要があるのではないかと思っております。
○中釜座長 今の説明、いかがでしょうか。
 最初の点の粒度の細かい表記に関しては、具体的には22ページからの先端的な科学技術のところに、先進的な異分野融合に関する、割と粒度の細かい記載がなされているので、ここで読めるのかなと個人的には思っていたのですけれども。この全体の取りまとめの中に事例的に示すのがよいのか、その点については少し迷うところではあるのですが、事務局、まず最初の点についていかがですか。
○扇屋推進官 全体のバランスを見たときに、この11ページのほうは、割と大まかな記載をさせていただいておりまして、後半部分、中釜先生おっしゃったとおりで、細かなキーワードなども盛り込んでいるという状況でございます。
○中釜座長 2点目の国際的な共同研究の環境整備等々についての記載ですが、これについて安川構成員から具体的な事例を説明いただきましたが、いかがですか。
○扇屋推進官 御意見ありがとうございます。
 この点につきましては、これまでの会議でも御意見、様々あったかと思いますので、その点を踏まえて記載を充実させる方向で、座長の先生と相談させていただきたいと思います。
 以上です。
○中釜座長 基本的には、このあり方というのは大きな考え方の方向性を示すもので、それに沿って、具体的な事業が立てられていくと理解しますので、今、御指摘の日本の中でのという記載がここにフィットするかどうか、少しまた事務局のほうとも検討させていただきたいと思います。御指摘ありがとうございました。
○安川構成員 よろしくお願いします。
 特に文言として、国際的な研究をするではなくて、国際的な共同臨床試験という言葉がありましたので、それを実現するためには、相当いろいろな薬事的なハードルもあると思います。ここで厚労省の方々が明快な回答ができないというのは、重々承知しておりますけれども、引き続き検討していただきたい項目であります。
○中釜座長 分かりました。御指摘ありがとうございます。少し検討させていただきたいと思います。
 それでは、黒瀨構成員、お願いいたします。
○黒瀨構成員 ありがとうございます。
 全体を通しまして、非常に分かりやすく、かつ内容もさらに充実していただきまして、ありがとうございます。私たちも支持させていただきたいと思います。
 また、11ページ、「推進すべきがん研究の方向性」をしっかりと明示していただいて、私はこの記載を支持したいと思います。
 ただ、1点、できれば追加で発言させていただきたいのですが、26ページの「研究の効果的な推進のための現行制度に関する意見」ということで、「製薬・薬事」についての記載がございますが、この中で、御承知のとおり、高齢化社会において、現在よりもさらに非侵襲的な治療法の開発が望まれている中でございます。そして、その流れから言いますと、画期的な創薬の開発が我が国の中でも行われていくということが重要かと思いますが、一方で、残念ながら我が国の現在の創薬力というのは、世界的に見て低下してきているということは明らかでございます。
 その改善策として、適切な創薬のエコシステムの構築に向けた検討あるいは研究も我々は行い、さらにそれを政府に適切に提言していく必要があるのではないかと思います。アカデミアのシーズから始まる研究、そしてベンチャーによる開発。最終的には、大手製薬メーカーによる製造・供給といった流れをしっかりとエコシステムとして確立していくための、我々もお手伝いをしていかなければいけないのではないかと考えております。
 以上、私の追加発言でございます。
○中釜座長 ありがとうございます。
 創薬のエコシステムの構築という文言について、いかがでしょうか。
○扇屋推進官 御意見いただき、ありがとうございます。
○中釜座長 非常に重要な御指摘と理解しますが、現状案の中で、それぞれに文言としては含まれているのかなと思いますけれども、明確な文言として追記するかどうかについて、また事務局と検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
 ほかに御意見ございますか。
 石岡構成員。
○石岡構成員 25ページの「人材育成」の記載の中で、私が今、思うのは、海外との交流、国際連携と書いてありますが、御承知のとおり、今、内閣府のイノベーションの戦略的国際展開に向けた検討会の資料の中にかなりに強く書かれているのは、1つは、日本は海外の研究者の流入が、アメリカなどから見て非常に少ない。それが研究競争力の低下と関係がある。
 それから、逆に日本人の研究者が海外に出ていく割合が少ない。これは海外流出の問題もあるかもしれませんが、どちらかというと若手の、将来、日本の研究を担う人材が、以前のように海外に留学に出ていない。ここについては、大学などのアカデミアでも相当大きな議論になっていると思います。これは国の内閣府でそういった指摘もありますので、今後のがん研究のあり方に関しての人材育成に関しては、そういった日本人の若い研究者の海外留学者を増やすとか、あるいは海外の優秀な人材を日本に入れて、がん研究の発展につなげるというような視点の書きぶりが、どこかに1行ぐらい入る必要があるのではないかと感じております。
 それと全く別の視点です。例えばAMEDとかCGPテストとか、訳語は全て最初にどの意味か書いてあるのですが、AIに関してはいきなりAIと出てくる。今は、もうAIは社会用語になっていますけれども、この文章を10年あるいは50年後に見たときに、AIというのは別な意味で使われているかもしれません。実際、私、今朝の診療の会議では、AIという言葉が使われましたが、これはアドリアマイシン/イホマイド併用化学療法のことを言っています。ということで、一般の人がこういった文章を、最近は以前よりも読みますし、医学以外の他の業種の方も興味がおありのようですので、用語には必ず最初に、AIとはアーティフィシャル・インテリジェンス、人工知能(AI)と書くようにしたほうがいいと思います。
 最後のほうにPDCAというのがあって、PDCAも大概の人は知っているのですけれども、一般の患者の会の方とか、あるいは高校生・大学生でPDCAを知らない人がいるかもしれないので、それもちゃんと最初に出てきたときは注釈をつけて、「(PDCA)」と書くべきだと思います。
 以上です。
○中釜座長 御指摘ありがとうございます。
 2点ほど大きなご指摘と思います。最初の国際的な人材の件の記載についての御指摘ですが、いかがでしょうか。
○扇屋推進官 御意見いただき、ありがとうございます。
 まず、1点目の日本人の留学とか海外の人材というところにつきましては、25ページ目の人材育成の項の1パラグラフ目の最後のほう、人材の国際化という言葉で表現しているところになります。
 続きまして、御指摘いただいたAIとPDCAなど、初出の単語につきましては、注釈をつける方向で記載したいと思います。
 以上です。
○石岡構成員 すみません、ありがとうございます。古いほうを見ていました。事前に送られたものは直っていたのですね。前はそこの数行がなかったので。
○中釜座長 よろしいでしょうか。略語に関しては、DCTも初見だったので、そこもお願いいたします。
○扇屋推進官 承知いたしました。
○中釜座長 ほかに。
 郡山参考人、お願いいたします。
○郡山参考人 ありがとうございます。
 今、御意見があったところと少し関連するのですけれども、専門用語が結構出てくるので、ところどころ注釈がありますけれども、もう一度、例えば一般の方が読んでも本当に意味が分かるだろうかというような、特に片仮名で書かれている部分などは、少し補足が必要なところがあれば、ぜひ御検討いただきたいというところがまず1点と。
 それから、17ページの下から見ていくと、(3-1)の最後のポツ、「がん教育の質及び国民のヘルスリテラシーの向上に資する研究」という文章がありますけれども、昨今では、ヘルスリテラシーというのは、単に国民の側だけの問題ではなくて、伝える側のほう、むしろ専門家のほうがいかに分かりやすく伝えるかというところも重要になってきております。ですので、これは国民だけの問題ではないので、国民及び専門家とか、何かそういった補足をちょっとしたほうがいいのではないかなと思います。
 以上です。
○中釜座長 御指摘ありがとうございました。
 今の点について、事務局、よろしいでしょうか。
○扇屋推進官 御意見いただき、ありがとうございます。
 まず、1点目の一般には難しい言葉が幾つか出てくるという点については、一通り全体を見直しまして、必要な箇所については注釈をつける方向で考えております。
 続きまして、17ページ目の3-1のヘルスリテラシーの向上の部分ですけれども、こちらについては座長の先生と相談しまして、文言を検討させていただきたいと思います。
 以上です。
○中釜座長 今の回答、よろしいでしょうか。国民という中に専門家も含めた表記で含められるか、あるいはもう少し分かりやすい説明にするか検討と理解しました。
 中村構成員、何か御意見ございますか。
○中村構成員 すみません、海外にいてネットが不安定なので、顔は出していません。
 先ほど先端技術のところでいろいろな議論があったと思うのですけれども、今、ある程度の技術に絞っておくと、これから5年間、10年間の間に、また新しい技術が出てくることはあると思いますので、最初の部分ではあまり限定しないほうがいいと思います。
 それから、人材育成、私は前から言っていますけれども、久しぶりに海外に来て思うことは、日本に対する魅力がなくなっているので、今まで来ていた東南アジアの学生とかが日本に来なくなった。人材育成する前に、まず、日本のレベルを高くしないと、日本に行って何か学びたいというような状況ではなくなってきているので、そこは次の10か年を通して、再び輝ける日本をつくるということがまず大事で、そうすると人材は入ってくると思います。いろいろな先生方が海外に行って呼びかけない限り、日本の影はだんだん薄れてきていることを、今、久しぶりに海外に来て実感していますので、育成するのであれば、国内の活性化を図らない限り、次はないと思います。
 それから、国際共同治験に関しては、ある意味制度的な問題が大きいので、今、次期の10か年計画の中の研究として、どこまで入れていくのかというのは、中釜先生がおっしゃるように、曖昧な書き方しかできないのだと私は思いますし、ここに細かいことを入れると、なじまないと思います。
 全体としてですけれども、本当に形としてしっかりまとまってきたと思いますし、これで報告書の原案とすることに私は賛成ですので、あと細かいことは事務局にお任せしたいと思います。
 以上です。
○中釜座長 御指摘ありがとうございます。特に日本のプレゼンスを示せるかは、このあり方案をいかに実現できて、国全体として、あり方案に基づく事業をさらに花開かせることができるかにかかっているだろうと思いますので、その文言はなかなか書きづらいところもあるかとは思いますが、ぜひその方向で、このあり方案を土台に次のステージに進めることが重要だと思います。それに伴って国際的な人材も育っていくのだろうという構成員の御指摘でした。ありがとうございます。
 先ほどの郡山参考人からの質問に対しては、こちらのほうで対応させていただく形でよろしかったでしょうか。ありがとうございます。
 続いて、土岐構成員、お願いいたします。
○土岐構成員 ありがとうございます。
 これはその他のところになると思うのですけれども、医師の働き方改革というものが進んでおりまして、多くの臨床研究は現場の医師がデータを取っていく部分が大きいのですが、こちらのほうが、現在、働き方改革によると自己研さんというところに分類されることになると思います。昨今、若い医師が過剰な自己研さんで自殺したという事例もございまして、医師がこういう臨床研究を進めていくことで、自己研さんである部分の研究も、それは労働と取るか、自己研さんをどう解釈するか、難しいところであるのですけれども、それをきちんと評価して、逆にそれが過度にならないようにサポートできるような体制を少し考えていただけると、臨床研究というものが進みやすいかなと常日頃感じております。これはどこかに記載していただけるのであればありがたいなと思っております。
○中釜座長 ありがとうございます。働き方に関する部分の記載を研究計画の中に書き込めるかということですが、いかがでしょうか。
○扇屋推進官 御指摘いただき、ありがとうございます。
 少し制度に関する内容となってきますので、現在ですと25ページの「人材育成」の項目のところで、「若手の研究者・博士号取得者や女性研究者の活躍の場の拡大」という文言を入れているところです。まさに活躍するには何が必要かというのが、先生、今、御指摘の点だと思いますので、この文言で読み込めていると考えておりますが、いかがでしょうか。
○中釜座長 今の事務局の説明でいかがでしょうか。
○土岐構成員 おおむね了解いたしました。これは結構難しい問題なので、研究のあり方にストレートに書き込みにくいところであると思いますので、そのような表現でもよろしいかと思います。ありがとうございます。
○中釜座長 私も全体を見直して、先生の御意見について考えたいと思いますけれども、今の段階では事務局の説明でおさめられるかどうかということを中心に検討したいと思います。ありがとうございます。そのような方向で土岐構成員、よろしいですか。はい。
 それでは、ほかに御質問、御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。本日もあり方の案につきまして、いろいろな御意見いただきました。文言の説明や重要な御指摘もあったと思いますので、いただいた御意見を踏まえて報告書をまとめることになるかと思いますが、まとめ方に関しては、事務局と座長で相談して進めていきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。座長に一任していただければと思いますが。
(委員首肯)
○中釜座長 ありがとうございました。
 それでは、本日の会議が一応最後となるわけですけれども、この報告書の内容に限らず、これまで6回の会議全体を通して、各構成員・参考人の方から、できればお一人ずつお願いしたいと思います。特に順番を設けずに手が挙がった方からと思いますが、それとも順番で御指名したほうが発言しやすければ、その方向でやりますが、よろしいですか。では、私の手元にある名簿順に一人一人の御意見を伺いたいと思います。
 まず最初、阿久津構成員。順番でいつも前になって申し訳ないですが、お願いいたします。
○阿久津構成員 阿久津でございます。本日は遅参いたしました。大変申し訳ございませんでした。
 私自身、この議論の中で、様々な格差とか、社会において早期発見によってがん患者がどんどん増えていくというところから、様々な課題が出てきているというところをどのように解決に導くかということで議論に参加させていただきまして、非常に勉強させていただきました。
 今回も最後のまとめの文章のがんとの共生についてはというところに、がん経験者の一層の増加が予定されているとか、社会的支援、医療的提供における地域間と医療機関等の格差についても研究ということを入れてくださったというところで、遠方の北海道に住んでいる身といたしましては、患者さんの思いを届けられたのではないかなと思っております。
 意見の中では言えなかったところであるのですけれども、大井さんともかぶるのですけれども、がんとがん患者さんの市民参画というものがここに明確に記されているというのは、エポックメイキングなことだと思っておりますので、結びの部分にも、がん患者を含めた国民参画の下というような文章を入れていただいて締めていただけるということが非常にありがたいなと思っております。ありがとうございました。
○中釜座長 貴重な御意見ありがとうございました。
 続きまして、石岡構成員、お願いいたします。
○石岡構成員 今回はこの有識者会議に参加させていただきまして、どうもありがとうございました。大変勉強になりました。
 まず、1つは、先ほども出ましたけれども、これは国民が見る貴重な資料で、今後のがん研究のあり方をどのようにしていくかという研究の方向性ですので、国民のコンセンサスと税金を使って、これを成し遂げようというものですので、先ほどたしか郡山参考人がおっしゃられたように、分かりやすい文章にすることが必要だなと痛感しました。用語に関しましては、私もいろいろこだわりましたけれども、例えばバイオロジーと書く必要があるのか。これはれっきとした生物学という用語があるのに、生物学とバイオロジーというのは違う言葉かと考える方がいると思います。また、バイオロジーという言葉を理解していない国民はそこそこいると思います。生物学は皆、知っていると思います。
 どうしてあえて横文字にしなければいけないか。バイオレポジトリ、それからリバーストランスレーショナルリサーチ。一般の人が全く理解不能な用語がたくさん並んでいるわけです。これは我々アカデミアの責任でもあるし、行政の責任があるのだなと。自分たちだけで理解できる文章を作成して、今まで自己満足してきたのだろうと、私もアカデミアの一員として非常に反省しております。
 あと、国際性については今日も議論になりました。日本はがん研究、それ以外の領域も恐らくそうだと思いますが、かなり海外に遅れをとっているという状況に関しては、どちらが先か、お金が先か人が先かと、いつも大学でも議論になるのですが、私からは、こういった研究費、研究のあり方の審議会の意見を通じて、人件費も含めて、ぜひ研究予算を十分に配分していただきたいと申し上げます。それと、そういうことを通じて若い研究者ががん研究の領域に入ってきて、海外で活躍し、また海外の若手の研究者が、日本のために新しい医療や医学を開発するというのに貢献できるような枠組みをつくってもらいたいなと思います。
 雑駁ではございますけれども、私の感想というか、御礼でもございますけれども、意見申し上げました。ありがとうございました。
○中釜座長 ありがとうございます。特に最初の御指摘の国民への理解を深めるための全ての関係者の努力については、今後PPI活動を通じて理解を深めていく、あるいはリテラシーをいかに高めていくかという課題があるという御指摘でした。まさにそのとおりだと私も思います。ありがとうございます。
 続きまして、内堀構成員、お願いいたします。
○内堀構成員 内堀です。今回、この会議に参加させていただき、ありがとうございました。アカデミアの方々、学会の方々、企業の方々あるいはがん患者の皆様、そういった方々の御意見を伺って、現在のがん研究の状況、あるいは今後10年、何が行われていくかということを勉強できて、非常によかったと思っています。
 当方からは、放射線や量子科学技術を活用したがん研究について、狭い分野ではありますけれども、御紹介させていただき、今回、報告書に入れていただいたと思っております。特に重粒子線がん治療であったり、核医学治療といったものについては、非常に大きな装置や施設が必要になるということで、なかなか普及が難しいところですけれども、今後、小型化であったり、様々な分野との協力で研究開発を進めていきたいと思います。
 特に重粒子線がん治療については、小型化に関して日本が世界的に見て先頭を走っているに近い状態だと思っておりますので、こういった治療法を世界にも普及するということで、医療装置が世界に日本から出ていくというのもあまりないと思いますけれども、世界に展開していければと思っております。また、今後もさらなる研究開発を進めていきたいと考えています。そして、量子科学技術というものが我々の生活の中にも入っていくと考えていますが、がんの研究の中にも、診断であったり、治療であったり、そういったところに役立っていくのではないかと考えておりますので、全国の皆さんと協力して進めていきたいと思いますし、ぜひ御支援いただければと思っております。
 今回はどうもありがとうございました。以上です。
○中釜座長 ありがとうございました。
 続きまして、大井構成員、お願いいたします。
○大井構成員 まず、この会議に参画させていただきまして、本当にありがとうございました。どういった状況で国が進めてきたのか、それから、これからどのように進んでいこうかというところに参画できたことは非常に勉強になりました。
 患者・市民という立場から参画させていただいております。当初の計画の中では、どうしても研究の方向性として、さらに詳しく、さらに広くという形でどんどん進展していったということは重々理解しているのですけれども、最終的に適用されるのは患者さんであったり、国民の検診のことであったり、そういった社会に資するということが研究の本分だと思います。今回、このように予防とか治療という形で研究を社会と結びつくところの医療から掘り下げていくという形で整理いただいたことは、社会にとっても国民の立場としても非常に分かりやすいものになったのではないかと思っております。
 引き続き研究が進んでいくことを願って、感想とさせていただきます。
○中釜座長 ありがとうございました。
 続きまして、黒瀨構成員、お願いいたします。
○黒瀨構成員 日本医師会の黒瀨でございます。今回、この会議に参加させていただきまして、大変有意義な議論を拝聴することもできました。また、構成員の先生方、あるいは関係各位、さらには事務局の皆様方に心から御礼申し上げたいと思います。
 私ごとといいますか、先般、がん対策推進会議の議長も務められ、そしてがんの研究から医療に関してまで大活躍された日本医学会の門田会長が急逝されました。門田会長が生前、最後の日本医師会の常任理事会に出席された際に、今後の日本のがん医療、そしてがんの研究について大変心配されていたことを思い出します。御冥福をお祈りいたしますとともに、この報告書で取りまとめられた内容がしっかりと実現され、我が国のよりよいがんの医療につながり、国民のウエルビーイングに貢献することを心から祈念させていただきまして、お礼の言葉とさせていただきます。ありがとうございました。
○中釜座長 ありがとうございました。
 続きまして、古関構成員、お願いいたします。
○古関構成員 この会議に参加させていただいて、非常に多くのことを勉強させていただき、深く御礼申し上げます。特に私たち基礎医学の研究者にとりまして、実社会の意見というのを伺う機会というのがなかなかないところで、自分たちの研究が一体どの方向に向かっていくべきなのかというのを、もう一度考え直すという個人的な観点からも非常に勉強させていただきました。
 その一方で、私たち、ネズミですとか、そういうモデル動物で研究しているわけですけれども、そちらの場合には、摂動といいますか、刺激を動物に加えることで、いろいろな生物学的な原理というのを見ることができるわけですけれども、それを一度、人間のほうに落としていこうとすると、人間に加えられる摂動というのは基本的には治療行為しかございません。そうしますと、治療行為の後の情報というのをどれぐらい集められるのか。あるいは、逆にその治療行為に行くまでにも、それが生物製剤であれ、分子標的薬であれ、相当いろいろなケースがあると思いますけれども、とにかくいろいろな情報をベースに判断しながら、しかもそこである意味、治療介入の結果というのを一つ一つ見ているわけです。
 何を申し上げたいかというと、この後、人間について、人間の周辺のデータをいろいろな階層でしっかり集めていくことが、私たちの世代の人間がこの次の世代の人たちに向けて残していけるものなのではないか。その仕組みをしっかりつくり込んでいくというところが本当に大事なところではないかと、この会議を通じて特に感じました。
 その中で、がんの研究には、そういういろいろ違う階層や分野の方々が集まって、しかも同じ目標を共有していると感じました。ですので、今後、医療系のデータサイエンスというのを実装して、なおかつ、それを本当に社会に返していけるのは、恐らくこのがんの研究の中なのではないかと、この会議を通じて強く感じましたので、とにかく今回の答申をベースに、次の世代のための何か礎というのをつくっていければ、本当にすばらしいのではないかと感じました。
 以上であります。ありがとうございました。
○中釜座長 ありがとうございました。ここに書き込まれたものを有機的につなげることによって、いかに今の古関構成員の御指摘の解決の方向に向かっていけるかということだと理解いたしました。重要な御指摘ありがとうございます。
 続きまして、佐谷構成員、お願いいたします。
○佐谷構成員 どうもありがとうございました。
 私は、日本癌学会理事長として、昨年ありました第4期のがん対策推進基本計画の立案にも関わらせていただいた後、この有識者会議に参加させていただいて、様々な角度から、今後のがん研究戦略、それから推進すべきがん研究がどういうものかということを一緒に皆さんと議論させていただけたこと、本当にすばらしい機会であったと思っております。最終的にでき上がりました報告書、あり方についてに関しましても、かなり新しい部分が書き込めたのではないかと思っておりまして、これを基に次の10年のがん研究が進むことを望んでおります。
 これまで研究の価値が、特に80年代から90年代は物事を発見するということにありました。それが2000年ぐらいから、いわゆる発明に移ってきて、様々な新しい研究分野での発明などがあって、それによって、最終的にこの20年ほどは、社会を革新するイノベーション。がん研究で言えば、患者さんに対して誰も取り残さないがん医療を展開するための新しい診断法や治療法を開発するという、社会を変えていくような革新に移ってきて、研究の価値というものが非常に実践的になってきた。いわゆる実装化されてくるようになってきたわけですが。
 それが日本で若干遅れた1つの大きな原因としては、政策とか経済とか、いわゆる研究の分野以外のものの要素が、研究の中に十分入り込んできていなかったのではないかと思っています。今回のあり方の中には、最後のまとめの中にも、政策研究や産学官の連携ということが入っていて、社会を革新してイノベーションすることによって、本当に診断や治療に研究を直接つないでいこうという文言がたくさん組み込まれていますので、何とか研究の部分にもこういった政策や経済、先ほどもお話が出ていましたが、エコシステムというものを研究者自身もきちんと意識しながらすることによって、新しいがん診断やがん治療が行われることを念じて、私の最後の感想としたいと思います。どうもありがとうございました。
○中釜座長 ありがとうございました。
 続きまして、土岐構成員、お願いいたします。
○土岐構成員 ありがとうございます。
 私は、今回、日本癌治療学会の理事長として、このがん研究のあり方の会議に参加させていただきました。大変勉強になりました。私、最初のほうのこの会議で申し上げましたように、これまでがんの本態解明に関する研究というのが、長年、がん研究のトップだったのですけれども、今回、がん対策推進基本計画の項目に沿って行われるということで、そこから大きく変わったことが大変な驚きでございました。いわゆるバイオサイエンスとしてのがん研究から、メディスン、医療を強く意識したがん研究に変わる大きなターニングポイントだったように思っております。
 そのような大変契機となる方向転換ではあるのですけれども、一方で、今後、がん対策推進基本計画のほうも、中間指標の設定が大変難しく、それをいかに項目立てして、それを実現するかというのが必要でございました。がん研究に関しても、適切な指標を設定して、それに向けて我が国一丸となって、今後、頑張っていくものと期待しております。
 私からは以上でございます。
○中釜座長 ありがとうございました。
 続きまして、中村構成員、お願いいたします。
○中村構成員 皆さん、おっしゃったように、がんの本態解明という言葉が40年間、キーワードとして使われた中で、今回、予防・診断・治療といった形で、患者さん目線で、患者さんが求めていることを中心に案がまとめられて、非常にいいことだと思います。この会議の初めの頃にかなり厳しいことを申し上げましたけれども、ここまで中釜座長を筆頭に、事務局の方がしっかりとまとめていただいたと思います。税金を使ってやるプロジェクトですので、最終的にエコサイクルではないですけれども、患者さんにどう還元するのかを考えた方向性というのは非常に大事ですので、その観点では非常に立派なものができ上がったと思っています。
 1つ残念なのは、私はずっと言い続けてきましたけれども、もともとがん対策課からスタートした全ゲノム解析研究をどう活用していくのかというのは、今後の10年のがん対策の中で非常に重要な役割だと思うのですけれども、そこをうまくリンクするような言葉があまり出てきていないというのが非常に残念だと思います。
 それで、日本は本当に世界の最先端なのかというと、私は今、台湾にいて、昨日、スマートホスピタルの会合に出て、今朝、アカデミアシニカに行ってきたのですけれども、AIとかデジタルという分野では、日本は台湾より勝っているとは到底言えません。逆に、台湾はいろいろなICチップをはじめ、この分野の産業が活発ですので、いろいろな意味で我々があっと驚くようなことを考えておられるような人もいますし、がん研究の中で、AI、生成AIの活用というのはもう不可欠だと思いますので、そこはこれから具体的な計画を練る段階でしっかりと考えていく必要があると思っています。
 それから、アカデミアシニカの横にベンチャーのインキュベーション施設ができていて、既に50近い会社が入っています。その中には、mRNAをGMPグレードで製造する会社もできていました。もちろん、彼らのゴールはネオアンチゲン治療ですけれども、そういった観点で、かつて抗体を産生する場所がないといって問題になって、結局、アカデミックなところで抗体を産生する施設ができませんでしたけれども、今回も同じで、核酸医薬、mRNA医薬あるいはペプチド医薬という形で、いろいろな新しいモダリティーができてきています。
 ですので、それをアカデミックな分野で支えていくということも、今後、国の課題として必要なので、キーワードは盛り込まれていると思いますので、それをしっかりと肉づけしていくのが、今後も行政当局や我々の責任だと思いますので、せっかくつくった、いい案を肉づけしていくというところで、今後、中釜座長をはじめ、厚労省の方々には頑張っていただきたいと思いますし、もっと患者さんの声を酌み上げて、患者さんとともにやっていくという姿で新しい情報網を入手することができると思いますので、これで終わりではなくて、これからどう肉づけしていくのかというのが非常に大事だと思いますので、よろしくお願いします。
 以上です。
○中釜座長 重要な御指摘ありがとうございます。最後に中村構成員がおっしゃったように、ここに書かれたものをいかに広げて肉づけしていくことができるかということが、確かに重要だという御指摘をいただきました。ありがとうございます。
 続きまして、谷島構成員、お願いします。
○谷島構成員 ありがとうございます。
 私は、一般国民目線、今、新たな治療を待ち望んでいる患者目線で、市場原理だけに任せていると、どうしても取りこぼされてしまうところ、基本計画の全体目標である、誰一人取り残さない、いわゆる格差の部分にフォーカスして意見を述べてまいりました。そこを多分に取り入れていただいたまとめになり、大変感謝しております。
 一方で、新たな治療の登場を待ち望んでいる身としては、世界のニュースに触れていると、今、この環境にいてベストな治療が受け続けられるのかと不安になることもあります。議論の中では、国際的な動きの中での課題も指摘されました。これからも多様な全ての人がこの国に住んでいることを後悔しない、この国に住んでいてよかったと思える、そんながん対策につながる研究が進むことを願っております。本当にありがとうございました。
○中釜座長 ありがとうございました。
 それでは、安川構成員、お願いいたします。
○安川構成員 御指名ありがとうございます。安川でございます。今回は、本有識者会議に製薬協の代表として参加させていただきました。この研究会に産業界に1つ席をいただきましたことを、まず感謝申し上げます。
 私としては、これは製薬協もそうでしょうし、各製薬個社、ベンチャーも含めて、みんなそうだと思いますけれども、国民が科学の進歩から生まれるイノベーションの価値を享受できる段階がゴールだと思っております。そういう意味で、薬物を創っていく、あるいは新しい治療法を創っていくという、その一番上流にある基礎研究の充実というのは、必要条件ではあると思っておりますけれども、必要十分条件ではない。死の谷間という言葉がよく使われますけれども、優れた研究から生まれたシーズが一刻も早く臨床段階に入れることが重要です。
 ドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスの問題が最近は言われておりますけれども、日本が顧みられない市場ではなくて、日本で積極的に開発が行われ、なおかつ一刻も早く当局からの製造承認許可をいただいて、初めて国民がイノベーションを享受できるので、それが可能になるような観点から多く発言させていただきました。主に4番の研究の効果的な推進のための現行制度に関する意見というのも多く言わせていただきましたし、先ほど、国際共同試験をやるためにも、掛け声だけじゃなくて、いろいろなレギュレーションの整備も必要ですということも申し上げました。
 ゴールを達成するためには、基礎研究への投資、人材の充実ということも重要ですけれども、レギュラトリーサイエンス、それから、薬を創るほうの技術も非常に進歩しております。例えば毒性の評価、至適な薬効の予想とか、PK-PDシミュレーションの技術などは、この10年、15年で物凄い進歩を遂げておりますので、薬事規制というのもそれに従って進歩していただかないと、日本だけが世界から取り残され、孤立化し、ガラパゴス化していってしまうことを非常に危惧しております。
 という観点で、今回、厚労省のほうで音頭を取って、これをやっていただいているわけですけれども、是非とも基礎研究のほうと、レギュラトリーサイエンスのほうの進歩、規制のほうの改革を併せてやっていただくことによって、より早くイノベーションが国民に届くものと私は期待しております。
 以上でございます。ありがとうございました。
○中釜座長 ありがとうございました。
 続きまして、山本構成員、お願いいたします。
○山本構成員 山本でございます。私は、医療機器産業界の立場で今回参加させていただきました。いろいろ勉強させていただきまして、本当にありがとうございました。
 私は、今回、社会実装ということをメインに話をさせていただきましたが、推進すべきがん研究の方向性のところに、「その成果を広く国民に還元する」という言葉で大きく入れていただきましたことに関して、社会実装と捉えることができますので、非常に感謝申し上げます。全体としても、非常にいいものができてきているのではないかなと思っております。
 これから大事なのは、今後の戦略実行に当たりまして、行政の施策だけにとどまらないで、本文にも書かれているとおり、それぞれの立場で連携して推進するということが重要で、例えば我々医療機器産業界の立場としましては、医療機器に関するルールの整備等協力させていただききたいと思っています。また、医療機器の研究開発に関しても、産業界として貢献していきたいと考えております。
 以上であります。今回はどうもありがとうございました。
○中釜座長 ありがとうございました。
 続きまして、大賀参考人、お願いいたします。
○大賀参考人 小児・血液がん学会の理事長として、小児領域の代表として、この研究の会に参加させていただきましたこと、御礼申し上げます。大変広い立場から勉強させていただくことができました。
 今回、最初のところでも少し申し上げましたけれども、省庁間を超えて、経済産業省や文科省がこの会に入っていただいてリードしていただいたこと、本当に御礼申し上げます。それから、関係各位の皆様に深く御礼申し上げます。
 ヘルスチェックということで考えますと、子供はがんになって、それから治療して、その後が長うございますので、がんにならないようにしていくということが、この10年の間に、この国から何か研究で見つかることが非常に重要だと考えております。環境省で進んでおりますようなコホート研究なども、リアルワールドのデータとして実装し、これが役に立つような形に還元されるようになりますと、大変うれしいことと思っております。そのような言葉も入れさせていただきましたこと、本当にありがとうございました。今後とも子供たちのためにがんを克服していきたいと考えております。
 以上でございます。
○中釜座長 ありがとうございました。
 続きまして、郡山参考人、お願いいたします。
○郡山参考人 このたびは、このような機会をいただきまして、本当にありがとうございました。私は、がん予防、それから疫学という立場で、今回加わらせていただいたわけですけれども、予防に関しましては、1つの大きな罹患率の減少を目指すためにおいては、重要な分野になってまいります。自分の周りだけで考えていると思いつかないような御意見、コメントとかありまして、非常に勉強になりましたし、こういう多様な視点で議論するということの重要性を、また改めて認識した次第です。
 疫学におきましては、これから先はビッグデータと呼ばれるリアルワールドデータなどを活用していくということ。それから、デジタルの技術を活用していくということは、臨床の現場でもどんどん進んでいくわけですけれども、これは今後のお話になりますけれども、がん研究にとどまらず、例えばAIの研究者であったり、あるいはデジタル分野の専門家の方をこういった場に招くということもいいのかなということを、多様な視点が重要ということを認識して、ちょっと感じた次第です。このたびは、本当にありがとうございました。
○中釜座長 引き続き、よろしく御指導、お願いいたします。
 続きまして、直江参考人、お願いいたします。
○直江参考人 直江です。今回、私はAMEDでがん研究をサポートするファンディングを行うという立場から参加いたしました。これまで皆さんの貴重な御意見を聞く機会がありまして、私も大変勉強になりました。
 私の立場としては、今後のがん研究のあり方を来年度以降のAMEDの次世代がん、あるいは革新がんというファンディングにどのように生かしていくのか、それを担う立場ということでありますので、この御意見をしっかり反映させていきたいと思います。
 皆さんからもいろいろいただいておりますけれども、日本のこれまでの10か年どうだったのか。皆さん御存じのように、ゲノムを中心として本態解明は随分進みましたし、たくさんの標的薬、抗体薬が出てまいりましたし、免疫治療も非常に進歩しました。ただ、創薬において日本は先進国であったはずなのですが、日本から真にイノベーティブな創薬というのは、残念ながら、この数年間、出ておりません。
 それから、皆さん御指摘のように、いろいろな情報系、特にデータサイエンスを使ったようなAI技術等も、先ほどもお話がありましたように、他国の後塵を拝してしているところでございまして、今後10年は、本当に日本が世界でリードしていくためにはどのような問題があったのか、そこをこの議論でもう少し皆さんと一緒に詰めることができたらなと思いました。
 制度の問題、規制の問題が1つは大きいことと。それから、これも既に指摘されていますが、異分野の融合というのが真の形でうまく進んでいないということかと思います。そういう意味で、課題は少なくはないと思いますけれども、少なくともがん研究が、基礎・臨床、それから最後の提言にありますように、産官学、それから患者さんを中心として進んで、この日本全体の医学研究をぜひ再びリードしていきたいと私は思っているところであります。どうもありがとうございました。
○中釜座長 ありがとうございました。
 続きまして、西川参考人、お願いいたします。
○西川参考人 名古屋大学の西川と申します。私は、腫瘍免疫の研究者、そして日米がんムーンショット事業の研究代表者という立場で参加させていただきました。様々な意見をお伺いすることができて、とても勉強になりました。またいろいろな立場の先生からの御意見を伺うことで、次の研究をどのように進めていかなければいけないか、また、どういうことが我々に足りていないのかということもいろいろと考えることができました。
 私が研究代表者を務めておりますムーンショット事業には、私たちのような免疫学者、ゲノム学者、そしてAI研究者を含めて、様々な領域の研究者が入っています。この研究班の参加者の大半は、私および後に続く若い世代の研究者を含めて研究を始めたときにはヒトゲノムが読まれたあとのポストゲノム時代から研究を開始しています。そういった次の世代、もしくは次の10年、もしくはその次の10年を担っていく次の世代の研究者に向けて、本指針は様々な要素が十分に盛り込まれており、とても参考になる資料と感じます。また今後のがん研究の進め方を教えていただいたと感じております。
 もう一つは、国際化という点で海外に留学する人間が減っているということも御指摘がありました。そういったことに対する提言もありましたので、我々の研究班でもそうですが、今後の日本のがん研究を発展させていくために今回の指針を参考にして、社会への還元ということも忘れずに研究を進めていきたいと考えております。どうもありがとうございました。
○中釜座長 どうもありがとうございました。
 続きまして、野田参考人、お願いいたします。
○野田参考人 ありがとうございます。今、お聞きしていても、皆様の意見は様々ですし、それを全部まとめるには、もう一度あり方会議を始めなければいけないような感じにもなりますので、なるべくまとめてポイントを絞ってお話しできればと思います。
 土岐先生も言っておられますが、私は本会議の中盤までと後半とで、自分の立ち位置を変えました。従来の戦略における項目立てでは、がん研究はがんの本態解明がスタート地点であり、我々、がん研究者ががんの理解を進めれば、その結果として、がんを治すことができるという図式で立てられていました。そのため、本会議でも、最初は、前回、参加させて頂いた時と同様に、従来の項目立てに沿って、そこに提示された諸課題に関して、今後のあるべき対応について考えて提案する形で参画させていただきました。しかし、後半になって新たに提示された研究戦略案においては、その項目立ては、その出口から、がん研究をもう一度見直し、その課題を洗い出さなければいけないという書き方に変わっていました。そのため、私もその時点から、自分たちがん研究者の役割を、何をやるかというよりは、全体の中でどういう役割が求められるのかという視点で、多様な立場の方たちのお話を聞きながら、もう一回見直すということ考えで発言させて頂きました。基礎研究の立場に関しても、これまでの戦略では項目(1)で記載されて来たのが、今の案では、項目(5)での記載になっていますが、その辺に関しても、問題点などを出させていただきました。
 それに対して、全ての分野で全ての角度からいろいろな意見が出て、それが意味するものを、中釜座長、そして厚労省の担当者の方たちが本当に丁寧に酌み取りながら、ここに入れていただいたと思っています。その点では、全体の方向性やあるべき姿を示しながらも、各分野において重要な課題を落とすことがないように、きちんとカバーされており、この両方を満たしているというところでは、非常にすばらしいものができ上がったと思います。
 ただ、そうは言っても、前回までであれば、さあ、これで各分野でやるべき研究も決まったので、ここから皆さん、各々の分野に帰って頑張りましょうという流れになり、そして5年たったところで中間評価を行えばよかったのですが、今回は、ここでの議論にもあったように、今後も継続的な努力により解決していかなければいけない課題が、併せて示されていることは大変に重要であると考えます。安川構成員が言われたように、エコシステムをはじめとする、いわゆるシステムそのものがきちんと構築され機能していかなければ、それぞれの分野がいくら頑張っても、それが目にみえる成果にはつながらないという部分などは、その代表的なものと思います。
 そして、今回、前回に比べて非常に大きかったのは、今後の日本における科学研究の立ち位置が心配される中で、やはり、がん研究においても人材育成という点を、真剣に考え直さないといけないということが出てきたところは、非常に大きかったと思います。そして、これら研究システムの問題と人材育成の問題に加えて、今回の新たな切り口として、すべての研究領域における情報科学の積極的な取り込みがあり、これらの3つの課題は、ここで計画を立てたら、後は誰かがやればいいというのではなくて、それぞれが常に問題を意識して、継続的に厚労省、そして文科省に働きかけて、その効果的な推進に努力していかなければいけない問題だと、改めて認識しました。
 ただ、本会議での議論では大変にいい経験をさせていただきましたし、基礎研究者は、がんの本態解明という部分が、探さないとどこにあるのかなかなか分からない形の戦略となったことを強く意識して、もう一度、本態解明がいの一番に来るよう、優れた研究成果創出を頑張りたいと思います。ありがとうございました。
○中釜座長 ありがとうございました。
 続きまして、福田参考人、お願いいたします。
○福田参考人 福田でございます。今回、この会議に参加させていただきまして、どうもありがとうございました。本当に勉強になりました。
 私、医療経済というのを専門にしているのですけれども、改めて会議のお話を伺って感じたのは、今後、新しい優れた技術がいろいろ開発されて、さらにそれが安定的に国民に届けられる、これが重要なのだなと改めて認識した次第です。そのような視点を忘れずに、今後も取り組んでいきたいと考えているところであります。
 多分、私で最後だと思いますので、一言、ちょっとだけ残念だなと思ったのは、昨今、効率的な運営のために対面ではなくてオンライン形式の会議が多いですけれども、1回ぐらい対面で、終わった後、個別にお話しとかできたらいいなというのを率直に感じたところです。別の機会等でコンタクトが取れればと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○中釜座長 ぜひそういう機会があればと私も思います。ありがとうございました。
 最後に、私も座長として、この有識者会議を進めさせていただきましたけれども、一言、最後に皆さんにお礼を兼ねてお話しさせていただきたいと思います。この6回の議論を踏まえて、構成員の先生方、参考人の先生方から、貴重な御意見、活発な討議をいただいたと理解いたします。
 何人もの構成員の先生方が御指摘になっていますが、この10年間で科学技術の大きな進歩があり、基礎研究の成果を開発につなげ、さらには医療実装するところが見えるような段階に来ました。その間にも、新しいモダリティーの開発が行われ、10年間の進歩は非常に大きかったかなと思います。一方で、構成員・参考人の先生方が御指摘のように、まだまだいろいろな課題は残っているということも事実で、それが浮き彫りになり、本当に真摯に皆さんからご指摘をいただいたと思います。
 それを踏まえて、今後の10年どうあるべきか。これまでの議論によって大きな柱ができたのは事実ですけれども、何人かの構成員の先生方が御指摘のように、例えば全ゲノム解析、あるいは情報等とのリンクや、このあり方案を土台にして、どういうふうに実をつけていくのかという課題があります。単にこの報告書ができただけでなく、さらにいかに展開していき、有機的につなげていくのかという活動が非常に重要であり、人材育成という大きな課題もその中から生まれてくるだろうということであります。
 ですので、構成員の先生方、参考人の先生方は、いろいろな局面において活躍されている、日本をリードする先生方だと思いますので、この報告書を土台にして、ぜひ多方面において、これを有機的に活用し、さらに大きく展開し、多くの人材が育ち、日本が研究開発の場として、もう一度、さらに魅力的な場となるようなことが展開できればと思います。本当に短い間でしたが、先生方の貴重な御意見をいただき、私もいろいろ学ぶことができ勉強になりました。ここで改めてお礼申し上げたいと思います。
 私からは以上です。
 最後に、議題2が残っていまして、「その他」になっていますが、事務局、何かございますでしょうか。
○西嶋課長 がん・疾病対策課長でございます。今回の第15回「今後のがん研究のあり方に関する有識者会議」の閉会に当たりまして、一言御挨拶を申し上げたいと思います。
 このたびは、中釜座長をはじめ、構成員の皆様方に、令和6年度からの新たな総合的ながん研究戦略の策定に向けまして、合計6回にわたって非常に活発な御議論いただきまして、誠にありがとうございます。先ほど皆様方からもいろいろお話ございましたけれども、それぞれの領域、そしてそれぞれの学会・専門分野を代表する先生方にお集まりいただいて、あるときには大局的な観点から、あるときは個別具体的な御意見等を細かくいただきまして、大変感謝申し上げるところでございます。
 この報告書、本日、おおむね取りまとめることができましたので、この報告書の内容を基に、今後、内閣府、文部科学省、厚生労働省、そして経済産業省、共同で新たながん研究戦略の策定ということを進めてまいりたいと思います。先生方からも御指摘ございましたけれども、がん研究戦略そのものもそうですけれども、策定の後、どのようにして進めていくのか、さらにがん研究をどう進めればいいのかということについては、進捗を我々としてもきちんと把握しながら進めていくことが大事だと思っております。したがいまして、今後とも皆様方ともより一層の連携を図りながら、がん研究、がん対策の充実を図ってまいりたいと思いますので、引き続き御協力を賜りますようお願い申し上げて、私からの挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございました。
○中釜座長 どうもありがとうございました。
 ここで最後の最後に、私から座長として一言申して全体を締めるのでしょうが、先ほどかなりコメントさせていただきましたので、改めてとなりますけれども、本当に短い間でしたが、構成員・参考人の先生方から貴重な御意見、活発な討議をいただき、ありがとうございました。改めて、今後取り組むべき課題が認識できましたし、さらにこれを土台に、これを起点として、次の展開へ大きく、力強く向かう勇気をいただいたと思います。構成員・参考人の先生方には、貴重なお時間をいただき、有識者会議の中で活発な御議論いただき、どうもありがとうございました。改めて感謝申し上げます。
 以上で私からの挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。
 

照会先

健康・生活衛生局 がん・疾病対策課

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