第169回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和5年10月27日(金)15:58~17:49

場所

全国都市会館 第1会議室

議題

  1. 1.令和6年度診療報酬改定の基本方針について
  2. 2.国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について
  3. (報告事項)
  4. 1.全世代型社会保障について
  5. 2.医療費における保険給付率と患者負担率のバランス等の定期的な見える化について
  6. 3.オンライン資格確認について

議事

議事内容
○池上課長 それでは、定刻より少し前ですけれども、皆様おそろいになりましたので、ただいまより第169回「医療保険部会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、御多忙の中、御参加いただきまして、大変ありがとうございます。
 まず、委員の異動がございましたので御紹介いたします。
 これまで委員を務めていただいておりました羽田健一郎委員、安藤伸樹委員が御退任なさり、新たに、全国健康保険協会理事長北川博康委員、それから、全国町村会理事、愛媛県久万高原町長河野忠康委員が就任なさってございます。後ほど御挨拶を賜れればと思います。
 次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
 本日は、内堀委員、河野委員、原委員、横本委員より御欠席の御連絡をいただいております。
 また、菊池部会長代理、前葉委員より、途中退席されるとの御連絡をいただいております。
 それでは、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきますので、御退室をお願いいたします。
(冒頭カメラ撮り終了)
○池上課長 それでは、以降の議事運営は、田辺部会長にお願いいたします。どうぞよろしくお願いします。
○田辺部会長 まず初めに、先ほど事務局から御紹介がございましたように、新たに委員が就任なさっております。
 北川委員より、一言御挨拶を賜れればと思います。よろしくお願いいたします。
○北川委員 全国健康保険協会の北川でございます。
 新任でございますので、皆様の御指導を仰ぎながら、議論に参加させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 次に、欠席される委員の代わりに出席される方についてお諮り申し上げます。内堀委員の代理として伊藤賢一参考人、原委員の代理として井上誠一参考人、横本委員の代理として井上隆参考人、以上の3名につき御承認賜れればと思いますが、いかがでございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○田辺部会長 ありがとうございます。
 それでは、早速でございますけれども、議事のほうに入ってまいります。
 本日は「令和6年度診療報酬改定の基本方針について」と「国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について」を議題といたします。
 では、まず「令和6年度診療報酬改定の基本方針について」を議題といたします。
 それでは、事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。では、よろしくお願いします。
○竹内課長 医療介護連携政策課長でございます。
 それでは、お手元の資料1「令和6年度診療報酬改定に向けた基本認識、基本的視点、具体的方向性について」の資料について御説明をいたします。
 まず、1ページを御覧いただきたいと思います。1ページから2ページにかけまして「改定に当たっての基本認識について」ということで、4つの項目を立ててございます。前回、9月29日の部会におきまして、この基本認識につきましては4つの例を掲げて御議論をいただきました。そこで、委員の皆様から様々な御指摘をいただきましたので、それを踏まえた形で、この4つの項目について、その関係性も含めまして分かるように文章を書き足す形で整理をさせていただいたのが今回の基本認識の案ということでございます。
 まず、1つ目の柱でございますけれども、「物価高騰・賃金上昇、経営の状況、人材確保の必要性、患者負担・保険料負担の影響を踏まえた対応」でございます。
 1つ目の○のところで、現下の物価高騰の状況、30年ぶりの高水準となる賃上げの状況がサービス提供や人材確保にも大きな影響を与えており、機動的な対応が必要であること。
 また、その上で2つ目の○でございますが、令和6年度改定では物価高騰・賃金上昇、経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性、患者負担・保険料負担への影響を踏まえ、患者が必要なサービスが受けられるよう、対応が必要である旨を最初の認識として掲げてございます。
 2つ目が「全世代型社会保障の実現や、医療・介護・障害福祉サービスの連携強化、新興感染症等への対応など医療を取り巻く課題への対応」でございます。
 1つ目の○は、75歳以上人口の増加と生産年齢人口の減少という人口構造の変化の中で、健康寿命の延伸により高齢者をはじめとする意欲のある方々が役割を持ち活躍のできる社会を実現し、「全世代型社会保障」を構築することが急務の課題であること。
 また、2つ目の○では、令和6年度の改定は6年に一度の診療報酬、介護報酬及び障害福祉サービス等報酬の同時改定であり、ポスト2025年のあるべき姿を見据えた各サービスの連携が重要であること。
 そして、3つ目の○では、新興感染症等に対応できる医療提供体制を構築することをはじめといたしまして、引き続き、質の高い効率的・効果的な医療提供体制の構築に向けた取組を着実に進める必要があること、こうした直近の医療を取り巻く課題について掲げてございます。
 2ページにお進みいただきまして、3つ目は「医療DXやイノベーションの推進等による質の高い医療の実現」でございます。
 1つ目の○で、医療情報の利活用が個人の健康増進、医療現場の業務効率化、質の高い医療を行っていく上で非常に重要であり、医療DXを推進することで、地域医療連携の円滑化、個々の医療機関等の負担軽減を図り、安心・安全で質の高い医療サービスを実現していく必要がある旨を記載してございます。
 それから、2つ目の○でございますが、新型コロナにより、医薬品等の存在意義や創薬力の重要性が改めて注目をされました。イノベーションの推進により、創薬力・開発力を維持・強化するとともに、革新的医薬品を含めたあらゆる医薬品等を国民に安定的に供給し続けるということを述べてございます。
 4つ目の基本認識でございますが、「社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和」でございます。
 国民皆保険を堅持するため、経済・財政との調和を図りつつ、より効率的・効果的な医療政策を実現する。具体的には、骨太方針あるいは成長戦略なども踏まえつつ、対応していくといったことを書いてございます。
 3ページからは「改定の基本的視点について」ということでございます。
 前回、9月29日の部会では、4つの例を出して御議論をいただきました。この4つの例を今回の改定の基本的視点としてはどうかと考えております。
 また、前回の議論の際、医療分野における人材確保の重要性について多くの御指摘をいただきましたので、現下の雇用情勢を踏まえた人材確保・働き方改革等の推進を重点課題としてはどうかと考えております。
 それぞれについて簡潔に御説明いたします。4ページにお進みいただきたいと思います。
 「視点1 現下の雇用情勢を踏まえた人材確保・働き方改革等の推進」でございます。
 最初にこの視点の考え方を書いてございます。
 1つ目の○では、今年の春闘などを通じて賃上げが行われているものの、医療分野では賃上げが他の産業に追いついていない状況であり、医療分野における人材確保の状況が厳しいこと。
 その上で、2つ目の○でございますが、必要な処遇改善等を通じて、医療現場を支えている医療従事者の人材確保のための取組を進めることが急務であり、その際、特に医師、歯科医師、薬剤師及び看護師以外の医療従事者の賃金の平均が全産業平均を下回っていることや、このうち看護補助者については介護職員の平均よりも下回っていることに留意した対応が必要であること、こうしたことを書いてございます。
 3つ目の○では、これまでも様々な取組を進めてきた働き方改革につきまして、2024年4月から医師の時間外労働の上限規制が適用される中、引き続き取組を進めていく必要性について記載をしてございます。
 また、その下の箱の【考えられる具体的方向性の例】でございますが、委員の先生方からの御指摘を踏まえまして、前回から追加した部分を中心に御紹介いたしますと、2つ目の○でございますが働き方改革に向けての取組の推進、こちらの下に書いてございます黒ポツの部分を追加しております。
 5ページにお進みいただきたいと思います。「視点2 ポスト2025を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DXを含めた医療機能の分化・強化、連携の推進」でございます。
 1つ目の○では、2025年以降も人口減少・高齢化が進む中、質の高い医療を適切に受けられるよう、介護サービス等と連携しつつ、切れ目のない提供体制が確保されることが重要であること。
 2つ目の○では、そのためにも医療DXを推進し、医療機能の分化・強化、連携を着実に進めることが必要であることを記載してございます。
 下の枠囲いの中ですが、【考えられる具体的方向性の例】といたしましては、下から4つ目の○になりますけれども、外来医療の機能分化・強化等、また一番下の○になります質の高い在宅医療・訪問看護の確保、こちらの項目を追加したほか、黒ポツの部分について加筆・修正をいたしております。
 続きまして、6ページにお進みいただきたいと思います。「視点3 安心・安全で質の高い医療の推進」でございます。
 1つ目の○では、食材料費をはじめとする物価高騰を踏まえつつ、患者にとって必要な質の高い医療を確保する取組を進めること。
 2つ目の○では、患者の安心・安全を確保しつつ、医療技術の進展等を踏まえ、イノベーションを推進し、新たなニーズにも対応できる医療の実現に資する取組の評価を進めること、こうしたことを記載してございます。
 また、【考えられる具体的方向性の例】といたしましては、今回追加した部分でございますが、2つ目の○でございます。患者にとって安心・安全に医療を受けられるための体制の評価。また、2つ飛びまして下から2つ目でございます。生活習慣病の増加等に対応する効果的・効率的な疾病管理および重症化予防の取組推進。さらに7ページに続きますけれども、地域の患者・住民のニーズに対応した機能を有する医薬品供給拠点としての役割の評価、こうした項目について追加をしたほか、黒ポツについて加筆をしてございます。
 最後に8ページでございます。「視点4 効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上」でございます。
 1つ目の○でございますが、医療費が増大していくことが見込まれる中、国民皆保険を維持するため、制度の安定性・持続可能性を高める不断の取組が必要であり、2つ目の○でございますが、医療関係者が協働して、医療サービスの維持・向上を図るとともに、効率化・適正化を図ることが求められる旨を記載してございます。
 下の箱の中、【考えられる具体的方向性の例】でございますが、今回追加した部分といたしましては、下から3つ目、医療DXの推進による医療情報の有効活用、遠隔医療の推進。また、その下でございます患者の状態及び必要と考えられる医療機能に応じた入院医療の評価、一番下の外来医療の機能分化・強化等。また、9ページに続きますけれども、生活習慣病の増加等に対応する効果的・効率的な疾病管理及び重症化予防の取組推進。その下でございますが、医師・病院薬剤師と薬局薬剤師の協働の取組による医薬品の適正使用等の推進、こうした項目について追加をしたほか、黒ポツについて加筆をしております。
 また、本日、参考資料1-1といたしまして、前回の医療保険部会における各委員の先生方からの発言要旨、また、参考資料1-2として、前回の医療部会における各委員の発言要旨、さらに参考資料1-3といたしまして、医療を取り巻く状況等についての参考資料をおつけしてございます。
 本日も幅広い御意見をいただきながら、さらに肉づけ・修正の作業を進めていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 私からの説明は以上でございます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
 それでは、御意見等ございましたら、挙手にてお願いいたします。オンラインで御参加の委員におかれましては、挙手ボタンを押してお知らせくださいますよう、お願いいたします。
 では、佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。
 まず、今回示された具体的な方向性について、視点1では「患者や保険者の視点」を踏まえること、視点2では「医療機能の分化・強化、連携」を着実に進めること、視点3においては「第三者による評価やアウトカム評価」など客観的な評価を進めること、視点4においては「効率化・適正化」を図ることが記載されておりまして、前回私どもがお願いした部分が明記されたことは評価したいと思います。
 ただ、一方で、重点課題が「人材確保・働き方改革」だけというのは、保険財政に関する危機感が乏しいと言わざるを得ません。今後も生産年齢人口の減少が続く一方で、団塊の世代が後期高齢者になり、引き続き医療費の高騰が見込まれる中においても、新たな医療技術や高額な医薬品を確実に保険給付するためには、医療保険制度の安定性と持続性の向上は大前提になると思いますので、これまで以上にめり張りのある診療報酬とするためにも、視点4については重点課題とすることが不可欠であるのではないかと考えております。
 特に今回は新たな課題として、食材料費をはじめとする物価高騰を踏まえた対応や、長期収載品等の保険給付の在り方の見直しなどが挙がっておりますけれども、保険財政を維持するためには、患者が個人で負担するものと公的保険で給付するものを明確に切り分ける必要があるのではないかと考えております。
 その上で、視点1について2点コメントしたいと思います。
 まず、資料1の4ページの三つ目の○にある「患者や保険者の視点等を踏まえながら」という部分は極めて重要だと思っております。限られた人材を有効活用するためには、全体として賃金を上げるということではなくて、医療資源の適切な配置によって生産性を高め、医療を効率化・最適化するべきだと考えます。
 つぎに、参考資料1-3の13ページに医療関係職種の給与の推移が示されておりますけれども、この点、前回も指摘申し上げたのですが、あたかも医療関係職種の給与水準が低いという誤解を招くのではないかと思います。他の産業においては、ここに書かれている職種よりも賃金水準が低い方は相当数いらっしゃると思います。このグラフに書かれていない医療職の方も含めて、実態を正確に表す必要があるのではないかと考えております。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、猪口委員、よろしくお願いいたします。
○猪口委員 ありがとうございます。
 それでは、私のほうから何点か意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、2ページの基本認識についてですけれども、下から2行目のところに、無駄の排除というのが書かれております。無駄な医療とはどのようなものか。別に定義があるわけでもありませんし、何が無駄かということは分かりません。無駄な医療はないと考えますと、この記述はいかがなものかなと考えております。
 
 5ページの専門性の高い看護師の活用というのが一番下に別記載で書いてありますけれども、現時点では、専門性の高い看護師というのはまだまだ人材育成過程であり、人数がそろっておりませんので、別記載はせず今のところ質の高い在宅医療・訪問看護の確保という記載にとどめておくことでよいと考えているところであります。
 また、視点1ですけれども、現下の雇用情勢を踏まえた人材確保・働き方改革の推進を重点課題にしていただいたということは、非常にうれしく考えております。とにかく令和6年度診療報酬改定においては、従来の改定に加えて、物価上昇・賃金上昇を十分反映させるものであってほしいと思っております。
 5ページの視点2ですけれども、医療機能の分化・強化、連携の推進とあります。中医協の調査等におきまして、増加する高齢者の急性期医療の対応が課題という指摘がある中、患者の状態に即した病棟の選択、急性期の状態が落ち着いたら後方転送するといったことへの評価なども必要ではないかと考えております。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、伊藤参考人、よろしくお願いします。
○伊藤参考人 ありがとうございます。
 まず、基本認識については、物価高騰や人材確保、新興感染症等への対応、医療DXの推進など、現下の社会情勢を踏まえ、必要な事項が盛り込まれているものと考えます。
 また、基本的視点について、事務局案の4点とすること、視点1の人材確保・働き方改革等の推進を重点課題とすることに賛同いたします。
 さきに挙げた物価高騰や人材確保、新興感染症への対応、医療DXの取組については、医療機関において、従来の診療報酬だけでは十分な対応が難しい状況であることを踏まえ、適切な評価の検討をお願いいたします。
 私のほうからは以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、井上隆参考人、よろしくお願いいたします。
○井上隆参考人 ありがとうございます。
 まず、具体的方向性の視点3、視点4につきまして前回発言をさせていただきまして、かなり記載の中に盛り込んでいただきました。特に効率化・適正化の視点に薬価以外の記載も含めていただいた、医療全般の効率化・適正化ということを含めていただいたことを感謝いたします。
 その上で、基本認識、基本的視点について、まず、基本的視点として今回、雇用情勢、人材確保・働き方改革が重点課題というふうに1点だけ取り上げられておりますけれども、中長期的な視点を踏まえると、前回、一番頭にありました医療機能の分化・強化、連携の推進等々も非常に重要なものではないかなと認識をしておるところでございます。
 その上で、人材確保・働き方改革の推進ですけれども、処遇改善につきましては前回の改定でも行われたところでございますが、1ページ目の最初の表題にありますように、骨太方針にも書かれておりますけれども、患者負担、保険料負担の影響を踏まえた対応が重要になってくると思います。
 賃上げと物価対応というのは、性質が別だと思います。
 まず賃上げにつきまして、我々支払い側としては、そもそも医療制度は公費、保険料で賄われているわけでございますから、我々は民間よりもよりしっかりとしたガバナンスや効率化が図られているのかでありますとか、賃金引上げに関しましては、しっかりと本当にその目的を達して賃金の引上げにつながっているのかというようなことを、丁寧に透明性を持って検証した上で検討していくべきだと思います。
 例えば医療法人の経営情報データベースにつきましては、職種別の給与等々は任意項目とされておりますけれども、この辺りにつきましては全てを公開する必要はありませんが、必須で集めた上で、しっかりとした検証を行いながら検討していくことが必要ではないかなと思います。
 2番目に、物価高騰につきましては、医療分野のみならず、社会全般の課題でございます。もちろん医療を含む事業者に対しましても地方創生臨時交付金等々の活用が既に行われているところでありますし、昨今の政府与党で検討されている経済対策でも何らかの手当てがなされていくと理解しております。
 こういった一般的な物価高騰への対応に加えて、この医療分野で何をすべきなのかということはちゃんと切り分けて、診療報酬で対応すべきもの、一般の対策として対応すべきものをしっかり切り分けて検討する必要があるのではないかなと考えております。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほか、いかがでございましょう。
 渡邊委員、よろしくお願いします。
○渡邊委員 ありがとうございます。渡邊です。
 今回の基本方針について、具体的に数点意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、物価高騰とともに人材を確保するに当たっての賃金の上昇の部分ですけれども、規模の小さい薬局ほど影響が大きく出る状況になっています。したがって、特に医療資源の乏しい地域にある薬局には深刻な問題になっています。
 また、今朝の中医協でも議論があったかと思いますけれども、処遇改善・働き方改革の視点から見ても、健康に働き続けるための環境の整備を確保することが厳しい状況になることも踏まえて、実効性のある対応が必要なのかなと思っています。
 次に、医療DXに関して、医療DXの中でマイナ保険証に関しては医療情報の利活用という部分の根幹をなすシステムでもありますので、薬剤師会としても使用促進に努めてまいりたいと思っています。
 そのためにも、医療現場で混乱・トラブルが起きないような信頼回復に向けた対応とともに、医療DX全体像を見渡して、現場へのシステム導入のタイミング、時期も考慮して、現場で使いやすい、かつ、導入しやすいタイミングでもって全体的な導入をしていく時期を見ていくべきだと思います。それに向けて、既にイニシャルやランニングという部分でのコストが発生してしまっていますので、その辺に関しても、それを踏まえた対応が必要だと思います。
 また、地域包括ケアシステムにおけるかかりつけ機能の推進ですけれども、地域における医薬品提供体制は欠かすことのできない状況ですが、長引く医薬品の供給問題は患者に多大な不利益がもたらしています。必要な医薬品を必要な量だけ調達するということだけをもっても、そのために業務が増大して、現場が大変な負担に陥っているという状態になっています。後発医薬品の使用促進に関しては、現状の使用量を維持するだけでも現場が手いっぱいになっていることには十分な御理解と御配慮をいただきたいと思います。
 加えて、このような状況を早々に解消していくためには、医薬品産業そのものの在り方であったり仕組みであったりに対する手当てが早急に必要ですので、政策の責任部局におかれましては、必要な対応を進めていただきたいと思っております。
 また、在宅ですけれども、在宅での医療を必要とする患者さんが増大している中にあって、導入に至るまでの初期段階での対応をすることも非常に多くなっております。特に認知症であったり、がんであったりする患者さんにおいては、さらに密な医療・介護の多職種の連携が必要となっていて、患者さんの状態に応じた質の高い在宅医療の提供体制の構築という部分への検討が必要と思います。
 また、タスク・シェア/タスク・シフティングの部分に関しては、ドクターの負担軽減だけではなく、それに加え、より質の高い安全・安心な医療の提供につながります。そのためにも、地域における薬剤師の確保も必要であり、また、病院薬剤師の業務の評価、それを通じた人材の確保などについて、医療計画を踏まえた検討が必要であると考えています。
 最後になりますけれども、かかりつけ医機能を評価する上においての敷地内薬局に関しては、適切な医薬分業の推進という部分のためにも、今回の改定においてもさらなる適正化は検討を考えていく必要があると思っています。
 私のほうからは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほか、いかがでございましょう。
 横尾委員、お願いします。
○横尾委員 ありがとうございます。幾つか述べさせていただきます。
 毎回基本的なベースの話になると、いろいろな多岐にわたる項目があるのですけれども、うまく整理していただいて、大きく4つ、5つぐらいに整理して、それぞれ観点、視点、そして方向性を大きく捉えたたたき台を作っていただいている事務局にお礼を申し上げたいと思っています。それを拝見し、また、今日も説明を聞いた上での意見を述べたいと思います。
 まず、最初に掲げていただいている現状認識についても、人材のことや物価等の経済の状況のことが書かれていますけれども、地方におきましては私自身も感じますが、医師の確保、医療の確保が極めて重要な課題だと思っています。大都市において人口の集中を避け地方に分散移転するとしても、そこには良質な教育と医療がなければ、子育ての人が移ろうとはしないと思いますし、年配の皆さんもそこで安堵して暮らすにも、医療というのは欠かせないと思いますから、医師の確保、医療の確保をぜひ基本のところに考えていただきたいと思っています。
 2つ目は、繰り返し何遍か言っていますけれども、ヘルスリテラシーの向上が欠かせない時代だと思っています。先般の厚生労働大臣への三師会と全ての保険者が集まってのマイナンバーカード、あるいはマイナンバーカードと健康保険証の一体化ということに関する「一度使ってみませんか」というキャンペーンに関する意見交換会がございましたけれども、そこでもやはりヘルスリテラシーの重要性を改めて感じたところでございます。今後とも、そういった観点も入れていただくといいかなと思っています。これは漢方薬のように効いて、医療費全体を適正化していくと思います。
 次に、イノベーションでございますが、もう欠かせないと思います。本当に今後人口も減っていくでしょうし、人材も不足しがちになりますし、かといって医療や介護に関する手間はどんどん増えていくことになっていきますので、合理的な作業、仕事、あるいはケアのやり方を考えていかないと間に合わないと思います。
 例えば、私も試しに受けてみましたが、緑内障の検査を専門医の方にかかるとしたら結構な列になってしまうと思いますが、AIを使った機械を使うと、何百万件というデータベースを基に、あなたはその疑いがあるかないかというのが数分で分かりまして、それをベースに、専門医に行ったほうがいいよというアドバイスになっていくわけです。こういった対応は海外では結構されていると聞いていますので、このような、より合理的なもの、もちろん医学の科学的知見をベースにしなければなりませんけれども、こういったことも併用することが重要ではないかなと感じています。
 次に、4点目は口腔医療に関することでして、これも繰り返し何遍か言っていますが、感染症の今回の問題やがんの予防にもなるという効果もあることも聞いたり、あるいは歯のかみ合わせが全身の神経をおかしくしてしまって痛みが出ることになってしまうのです。具体的な例で言いますと、歯並びをよくしたら体の痛みが消えたという人もおられます。こういったことも若いうちから教えたほうがいいなと思います。ヘルスリテラシーの一環ですけれども、併せて全ての国民の皆さんが毎日のブラッシング等で歯のケアでできることですから、もっともっと啓発する必要があるなと思っています。
 そして、最近のことで気になることです。それは、何となく今、世の中的には減税と給付の話になっていますけれども、給付型の話がどんどん増えてきていますので、受けること、もらうことに慣れてしまわないかなという危惧を持っています。そういったことの思考回路だけ残ってしまいますと、あまりよろしくないなと思うのです。大事なことは、一人一人が受けるだけではなくて、そのことによる価値を生まなければいけないのです。そのためには、一人一人の生産性の向上ということも一方では考えていく必要があると思っています。それはすなわち働き方の改革にもなるのですが、これは単純に休み時間が長くなるという意味ではなくて、働き方と同時に働きがいを持って仕事ができる、そういった環境とかもつくっていかなければならないと思っています。
このことはすぐ今回の議論とは直結はしませんけれども、使命感を持って仕事をすると、人は自分が思っている以上の能力を発揮することができます。有名な海外の事例ですけれども、レンガ積みの話です。レンガ積みをする人がいる。通りを通って、「あなたは何をしているの」と聞いたら、「レンガ積みです」と言う人は大して働きに熱が入りませんが、「僕はここに子供たちが喜ぶ学校をつくります。」「僕はここにみんなが心を癒やす教会をつくります。」「そのための仕事でレンガを積んでいる」という人は、本当に嬉々として仕事ができるという典型的な例を数か国で私は聞いたことがあります。まさにそういったミッションに基づく仕事ができるような環境を一方でつくりながら、医療の充実、医療に必要ないろいろな財政とかいろいろな制度を整えていくことも極めて必要だろうと思っています。
 加えて言うならば、後期高齢の例でございますが、1人平均の医療費を計算していきますと、およそ100万円という数字が出てくるのです。大変大きな金額です。でも、これは平均です。ということは、元気でほとんどかからない人もいれば、かなり負担を生んでしまっている方もおられるわけです。そうすると、どっちが多い少ないという議論ではなくて、健康で健やかに年を重ねていくことができるようにするためにはどうしたらいいか。そのために予防とかが必要です。冒頭にも少し触れたヘルスリテラシーが当然必要なのです。けれども、こういったことも地道に、着実に広げていかないと、金が足りなくなったから財政負担する、足りなくなったから保険料を上げる、それでも足りないからどこかから持ってくるということだけでは、本当にみんな立ち行かなくなるでしょう。複数の首長も、このまま医療費財政は大丈夫か、その先の自治体財政は大丈夫かという危機感を持っておりますので、ぜひ一人一人が健康をどうするかということを真剣に考えていくということも育まなければいけないだろうと改めて思っています。
 そのことが一人一人の健やかな人生をつくっていくとともに、医療費的に言うならば適正化ができるし、医療費財政、ひいては全世代型社会保障制度がちゃんと立ち行くためにも必要なことになっていくだろうと改めて思っています。
 最後になりますけれども、私どもの市にも保健師がいます。保健師は今、生活習慣病の回避や糖尿病の改善、あるいは特定健診に基づく指導などを懸命に行っているわけです。保健師の活躍というのは、意識を変えていくわけです。検査を受けて「これぐらいのことはいいよ」と考え、少し酒を飲んでもいいからとか、暴飲暴食もたまにはいいだろうとかいうふうについなりがちです。けれども、「そうではいけない。それだと自分の体がぼろぼろになるよ。健診によれば、あなたの数値でこのままいくと5年後には足を切り、その5年後には目を失うことになりますよ」と言われて初めて目が覚める方もたくさんおられるのです。そして初めて自分の健康データを見て、よかったら何年前に戻りたいとみんな思うわけですけれども、それは不可能です。
こういった意識を早く持ってもらって、自分の健康は自分で守る、そのためにもヘルスリテラシーを高めていく。診療報酬から直結はしないのですけれども、ぜひこういったことをしていかないと、大きな意味での医療費の適正化や医療費財政、ひいては社会保障制度の確立をよりよくしていくためにはとても大切なことだと思っていますので、ぜひこういったことを皆さんと一緒に議論をしたり意見を出したりして、よりよい未来をつくっていけるように尽力をしたいと改めて思いました。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、藤井委員、よろしくお願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。
 まず、資料1の1ページでございますが、健康寿命の延伸、それから、高齢者など意欲を持つ人々の活躍の必要性ということを書いていただきまして、誠にありがとうございます。また、医療と介護の連携の重要性についても、分かりやすくまとめていただいたものと思います。
 続きまして、2ページ目でございますが、医療DXにつきましては、セルフメディケーションの推進という観点を踏まえれば、情報連携の輪に、医療機関のみならず、国民を加えるのが重要なポイントではないかと思います。
 医療DXを進めるに当たり、マイナンバーカードの活用をはじめとする国民への働きかけも重要である趣旨を追加していただくと、同じ段落に記載されている個人の健康増進に寄与にもつながると考えます。
 他方、医薬品についてでございますが、イノベーションを推進して創薬力等を強化し、革新的医薬品を国民へ安定的に供給することの重要性はそのとおりだと思います。課題は、前回も申し上げたとおり、そのために必要な医療資源をどのように確保するかであります。医薬品全体に視点を広げた場合、薬価の構造的な引下げや、近年における人件費や原材料費の高騰が続く中、後発医薬品を中心に供給体制をどう維持するか、既に現場から悲痛な声が寄せられております。医薬品に言及されている2ページ目の上から2つ目の○のところに、ぜひOTC医薬品の活用も含めた生産供給体制の再構築が必要である旨を追記していただければと思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 あまり大きなことではないのですが、4ページ目の2つ目の○のところで、看護補助者については介護職員の平均よりも下回っていることに留意した対応が必要であるというところはちょっと引っかかるのですが、介護職員というのは全部の介護職員を含めている数字なのでしょうか。例えば今、国を相手にして訪問ヘルパーさんが訴訟をしていますけれども、訪問のヘルパーさんは非常に低いわけです。だから、どういうところでこれが言えるのかということと、それから、ほかの職種、なぜ看護補助者だけがここで突出しているのかというのが気になるのですが、医師、歯科医師、薬剤師及び看護師以外の医療従事者と書いてありまして、例えばソーシャルワーカー、MSWの方とか、PT、OTとか、いろいろな職種があるのです。なぜ看護補助者だけがここに特出しているのかということが違和感を覚えます。
 その次の○のところは、タスク・シェアリングとかタスク・シフティング、チーム医療とかという言葉の中に含まれるのかもしれませんが、素人考えかもしれませんが、日本の場合、医師に非常に権限が集まり過ぎていると思うのです。これをもうちょっと分散したらいいのではないか。例えば看護師とかソーシャルワーカーに委ねたらいいのではないかと私はかねてから思っていて、医師が忙し過ぎるというのは、必ずしも医師がしなくてもいい仕事まで全部やってしまっているということではないかという気がするので、この辺のところ、今回ここに入れるのは難しい、タスク・シェアリングというのは曖昧な言葉でいいのかもしれませんが、基本的には医師に集中し過ぎている権限をもう少し分散化したほうがいいのではないかと、これは私の個人的な意見でございます。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 前半の御意見のところで、何で看護補助者だけというところは、何かコメントはございますか。
○竹内課長 医療介護連携政策課長でございます。
 今、袖井委員から幾つか御質問いただいたかと思います。今、手元で御説明できる資料ですが、参考資料1-3を御覧いただきたいと思います。そこに書かせていただいた記述の背景になっているデータでございますけれども、資料の13ページでございます。医療関係職種の賞与込み給与の推移についてということで、上の箱書きに書いてございますけれども、コメディカルの給与の平均は全産業平均を下回っており、うち看護補助者については全産業平均を大きく下回っている状況と書いてございまして、このグラフの中では看護補助者がいわゆる点線で示されておりまして、一番下のグラフということになります。
 他方、介護職員についてはグレーの折れ線グラフでございまして、そういう意味では、看護補助者は介護職員を下回っているというのがこのデータから見てとれるわけでございますけれども、先ほど袖井委員のほうから、介護職員が果たしてどの範囲の介護の職種を含んでいるものなのかという御趣旨での御質問であったかと思います。ヘルパーさんのお話もされたかと思います。ここでは介護職員の定義が注書きのところにも特に明示的には書かれておりませんので、そこでいう介護職員というのが、いわゆる介護の現場でのどの職種、どの範囲の者を含んでいるのか含んでいないのか、改めて確認をした上でお答えをさせていただければと思っております。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、池端委員、よろしくお願いします。
○池端委員 ありがとうございます。
 まず、私もこれに関して1件意見を出させていただくのと、今、袖井委員からあったことについて私自身もコメントさせていただかざるを得ないかなと思います。
 まず基本認識について、最初に物価高騰・賃金上昇等々についての対応、もちろん患者負担、保険料負担の影響も踏まえた上での対応ということですが、ここを書き込んでいただいた、そのまま残していただいたことは非常にありがたいと思いますし、それを重点課題に入れていただいたことも非常にありがたいと思っています。
 一方で、先ほど各委員もおっしゃっていたように、持続可能な医療保険制度を維持することのために、効率化・適正化、DX、生産性の向上、予防等が必要であることはもちろんそのとおりだと思いますので、そこを併せてこの4つの視点の中でいかにバランスよく進めていくかということになるかと思います。
 ただ人材確保については、今、世の中はどんどん賃金上昇にかじを切っています。一方で医療従事者による医療サービスの対価というのは御存じのとおり公定価格があって、本当に価格に転嫁したくても転嫁できないのが医療保険のサービス事業者であって、どちらを取るかというのは鶏か卵かという議論になってしまうかもしれませんけれども、医療保険、介護保険のサービスというのは、半分以上人がそのサービスの主体とならざるを得ない状況の中で、保険があってもサービスなしという状況にならないようにするためには、やはりこれだけ周囲が賃金上昇にかじを切っている中で、医療従事者だけが賃金を上げられない状況というのはどうしても避けなければいけない。
 特に今ありましたように、医療従事者の入職超過率がマイナスになろうとしている状況、ここは何としても食い止めなければいけない。そのためには一定程度の賃金上昇を原資としての診療報酬、あるいはそれ以外の方法もあるかもしれませんけれども、必要ではないかということを申し上げたいと思います。
 そして、その中のグラフとして今、職種毎の給与の推移が13ページにありました。看護補助者と介護職員の違いということですけれども、事務局のほうでもご回答されるかと思いますが、恐らく介護職員というのは介護保険制度の介護職員であり、看護補助者というのは医療法上の人材の中には介護職というのは存在しない事になっており、看護補助者の中に介護を主たる業務としている方々も全部含まれているので、この看護補助者の中の一定の数というのは、介護を担っている職員、具体的には介護職員とか介護福祉士とかもここに入っているのでこの差がどんどん広がっているのではないかと思います。
 なぜなら、介護福祉士というのは、介護保険上のサービス提供するのは処遇改善で10万近く上がってきているけれども、医療保険サービスの中で働いている介護職というのは、実は処遇改善が全くなされていない。これが十数年で2万円から4万円に格差が広がっているという、ここの現状もあることもしっかり御理解いただければと思います。
 もちろん制度として介護職というのはいないことになっていないというか、名称としては挙がっていないということになるので、そこでこの差が出ているのではないかと私自身は感じています。
 もう一つ、医師のタスク・シフトに関して、もう少し他の職種に渡したらいいのではないかという御意見がありました。もちろん医師でなくてもできる仕事、事務的なこととかはIT化とかDX化してさらにどんどん広げていかなければいけないし、一部は、特定看護師の看護師さんたちにお願いしている部分もあり、少しずつ広がっています。ただ一方で、命の責任を取るという医師の役目、こことの線引きは非常に難しいところがあって、これはもう少し十分検討しながら、少しずつタスク・シフトはしていけるはずなのですけれども、なかなか難しいところがある。医師の指示というのは、医師は最終的に命の責任を自分で取るという中でやっている仕事はどうしても渡せないところがありますので、そこの線引きは簡単にはいかないということがありますけれども、それを広げていくことに対して、少しずつ進んでいることもまたご理解いただければと思います。
 一方で、どなたかの委員がおっしゃっていましたが例えば診療報酬を上げても本当に確実にそこの給与に行っているのかどうか、これが担保できないのではないかという御意見がありました。これに関しては、このやり方を今回次も踏襲するかどうかは別として、看護職の処遇改善に対して1万2000円弱上げるということに対して今、データ的にも1万1000幾らもう上がっているという数字が出ていますので、確実にこういう方法でやっていれば、直接そこに行くということは、介護保険上もそれができているし、そういう方法はあるのではないか。
 最後に私の個人的な感想として言わせていただきたいのは、今までずっと診療報酬の議論になると必ず経済的な大手新聞社は、「医師の給与等の診療報酬を改定」と、「医師の給与等」が必ずと言っていいほど枕言葉についているのです。それが非常に誤解されて、診療報酬を上げると医師のポケットに給料として入るのではないかと思ってしまう。ここはもうそろそろ変えていただきたい。診療報酬はあくまでも医療サービスについての報酬だということを、ここにいらっしゃる方は皆さんよく御存じだと思いますけれども、いつも新聞を読むと枕言葉にそれが書いてあるので、そこを何とか払拭したいなというのは個人的な思いです。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、大杉委員、よろしくお願いいたします。
○大杉委員 ありがとうございます。
 まず、基本認識についてでございますけれども、現下の食材料費をはじめとする物価高騰の状況、30年ぶりの高水準となる賃上げの状況ということで、歯科医療機関においても物価高騰、賃金上昇への対応は喫緊の課題と考えております。また、冒頭に記載していただいたことに本当に感謝をいたします。
 一方で、歯科診療所では、食材料費はかかってきませんけれども、光熱水費や日々の診療で使用する歯科材料費や医療機器の価格や、さらに委託費等の価格も高騰をしております。先ほど池端委員のほうからもありましたけれども、公定価格で診療を行う中で、これ以上の対応をするにも限界があり、診療報酬による対応は必須であることから、食材料費だけでなく光熱水費なども明示的に記載していただければと考えます。
 4ページ目の視点1の2つ目の○には、看護師以外の医療従事者の賃金平均は全産業平均を下回っているということが記載されていますが、歯科においても、歯科衛生士、歯科技工士の賃金は、過去から低い状況が続いています。日本歯科医師会が独自に実施いたしました物価高騰に関する調査の結果では、歯科診療所における物価高騰への対応として、人材確保の観点からも、スタッフの給与の増額は実施されている状況が伺えましたが、歯科衛生士の手当について十分とは言えない状況であります。
 また、既に給与の低さ等の問題から、歯科衛生士、歯科技工士が他業種に転職する事例も報告されており、歯科医療においても人材確保が難しい状況になってきております。歯科衛生士、歯科技工士は、国民の健康寿命延伸やQOLの改善のために重要な口腔健康管理の推進にとって欠かせない職種であり、歯科衛生士、歯科技工士の確保は、歯科における重点課題と認識をしております。これ以上、歯科医療現場から人材の離脱が進まないようにするためには、歯科衛生士、歯科技工士の処遇改善は喫緊の課題と考えております。ほとんどの診療所で提供されている歯科医療の実情を御理解していただき、適切な対応をよろしくお願い申し上げます。
 視点2におけるリハ、栄養、口腔の連携推進や、かかりつけ歯科医の機能や、視点3の口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応の充実、生活の質に配慮した歯科医療の推進については、資料に記載のとおり、確実に進めていただきたいと考えております。よろしくお願い申し上げます。
 私の意見は以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほか、いかがでございましょう。
 では、村上委員、よろしくお願いいたします。
○村上委員 ありがとうございます。
 具体的な方向性の視点1、2、3それぞれについて意見を申し上げたいと思います。
 まず、視点1、先ほど来御議論があった医療従事者の人材確保や賃上げに向けた取組、また働き方改革に向けての取組の推進は大変重要です。今回の改定で着実な前進を図ることができるようにしていただきたいと考えております。人材確保のためには、働きに見合った処遇改善が欠かせません。人材の面でも持続可能な医療提供体制が構築できるよう、看護職員をはじめ医療従事者全体の賃金、労働環境の改善につながる報酬改定にしていただきたいと考えております。
 また、働き方改革としては、医療従事者の負担軽減や勤務間インターバル制度の導入などに資する体制整備に加えて、一人一人が専門性を十分に発揮できるよう、業務負担の軽減と効率化に資するICTなど医療DXの活用促進も重要です。
 視点2について、記載は特段見られないのですが、入院医療については、医療機能や患者の状態像に応じた評価による機能分化をさらに進めていくことが必要と考えます。
 また、外来医療についても、機能分化と連携強化が重要であり、そのためにもかかりつけ医機能を現行の体制評価から実績評価へ転換を進めていく必要があります。
 視点3について、今回、周産期医療について記載がございます。周産期医療を担う医療機関の連携強化とハイリスクの周産期医療を担う医療機関の集約化・重点化を図り、安心・安全の周産期医療を確保することが重要です。その際、メンタルヘルスの不調など複合的な課題を抱える妊産婦への支援の充実を図ることも必要と考えます。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、北川委員、よろしくお願いいたします。
○北川委員 ありがとうございます。
 今回はトリプル改定ということで、DXやかかりつけ医療機能、地域包括ケア、働き方改革の推進、医薬品の安定供給、医療・介護・障害・福祉の連携等、論点が多岐にわたっております。いずれの論点につきましても共通するのは、質の高いサービスを国民が等しく享受できるようにしつつ、医療・介護資源の効率化・適正化を図ることにより、少子高齢化の中でどう世代間公平を確保し、持続可能な社会保障制度を構築していくかという視点でございます。
 高齢者のピークを迎える2040年に向けまして、協会けんぽは、全都道府県支部が活動の中核をなしておりますことから、6年に一度の大規模な改定となる今回の機会に、医療・介護・障害・福祉分野を取り巻く諸課題につきまして、地域一体となって取り組んでいける体制を構築できるよう、総合的な見直しをお願いしたいと思っております。
 各論につきまして、視点1でございますけれども、これに重点を置いて議論するということに異論はございません。特にサービスの質の確保と制度全体の持続可能性を担保する、この大きな目的が論点になると考えておりますので、重点的な議論をお願いしたいと思います。
 他方で、視点3、7ページにございますけれども、論点のうちに医薬品の安定供給の確保を挙げていただいております。こちらにつきましてもぜひ積極的な議論をお願いしたいと考えております。
 協会としましては、ジェネリック医薬品の使用促進については、平成21年度から加入者に軽減額の通知をお送りするなど、この分野においてフロントランナーとしてジェネリック医薬品の使用促進に取り組んでまいりました。後発医薬品の供給不安をめぐる課題がフォーカスされており、単に薬価を見直すのではなく、品質が確保された後発品を安定的に供給できる能力・体制を確保している企業が、見える化等によりまして市場が評価できる仕組みも確立し、結果的に優位になることで、業界の構造的な課題である規模の拡大に向けた再編等を促す仕組みの構築が必要ではないかと考えております。
 関連する検討会の議論を注視しながら、年末に向けまして積極的に議論を進めていただき、将来の礎になるような制度の見直しを図っていただきたく、お願い申し上げます。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 兼子委員、よろしくお願いいたします。
○兼子委員 ありがとうございます。
 前回もちょっと体験を含めてお話ししたのですけれども、働き方改革、人材確保のところですが、そこにどう当てはまるかよく分からない点もあるのですが、地方の医療体制というのが十分確保されているのかどうか、その辺については大変疑問があるといいますか、いろいろマスコミ等でもそういったことを取り上げる、医師がいない、要するに診療科目が一定の地域で必ずしも十分確保されていないとか、そういう問題もあるわけですので、そういった医師の不足する地域をどう解決していくのか、医師全体が足りているのか、あるいは偏在なのか、いろいろな議論がありますけれども、そういったところまで踏み込んでいただくようなことが必要ではないかなということと、私どもは地域で高齢者の老人クラブ活動、高齢者五、六十名ぐらいの小地域で活動をやっておりますけれども、ときたま地域包括センターのほうから、軽度の認知症の方とか、あるいはそのまま独りだけの生活で人のつながりがない方だとフレイルの問題が出てくるということで、そんなに頻繁にあるわけではないですけれども、会員として引き受けていただいて、やっていただけないかというようなお話もございます。
 先ほどタスク・シフトというお話がありましたけれども、こういった点では、お医者さんもある意味ではケースワーカー等にお任せするという領域もあるのではないかと思います。高齢者の場合、退職した後、地域での人間関係がなかなかつくれなくて、その中で孤立化して健康を害するというようなこともありますので、そういった点で、お医者さんで対応していただく面と、社会、人間関係、同じ世代の者の場を活かしていくというようなところも考えていただければと思います。
 今の点がこの課題とどう結びつくか、ちょっとよく分かりませんけれども、以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、ほかに御意見等なければ、本議題についてはこれまでとしたいと存じます。
 本日の意見も踏まえつつ、さらに議論を深めていければと存じます。
 次に「国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について」を議題といたします。事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。では、よろしくお願いします。
○笹子課長 国民健康保険課長でございます。
 お手元の資料2に基づきまして、御説明申し上げます。
 1枚目をお開きいただきまして、基礎事項がございます。ここに書いてございますとおり、保険料を負担能力に応じた公平なものとする必要があるということでございますけれども、被保険者の納付意欲に与える影響であるとか円滑な運営を確保する観点から、被保険者の保険料負担に一定の限度を設けている、これが賦課限度額というものでございます。
 アスタリスクに書いてございますように、令和5年度、今年度の限度額につきましては104万円という水準になってございまして、これは因数分解いたしますと大きく分けて医療分と介護分、医療分につきましては基礎賦課額と後期高齢者支援金の賦課額という合計額になっておりまして、政令でございますけれども、それぞれ法令に規定されているということになっております。
 いろいろ書いてありますけれども、下のイメージ図を御覧いただきますと、一番左のグラフです。横軸が所得で、縦軸が保険料額あるいは税になりますが、これを医療費が増大した場合にどのように保険料収入額を確保するのかということになります。イメージ1というのは、単純に保険料率を引き上げるということになりますと、5割とか2割の保険料の軽減額がかかっているような世帯に対しても保険料率が上がるということでございますので、イメージ1をやってしまうと中間所得層の被保険者に負担が来るということになります。
 一方で、我々が考えているのはイメージ2というものでございまして、青いグラフ、限度額を上げることによって中間所得層の負担に配慮した保険料率の設定が可能になるということでございますので、②の方針でこれまでも定期的に改定を行ってきたというものでございます。ただ、引上げに当たっては様々な御意見がございますので、市町村の御意見を踏まえまして、引上げ幅や時期を判断するといった取組をさせていただいております。
 2枚目を御覧いただきますと、これまでの限度額の改定の推移でございます。左の軸が年度でございまして、一番右に赤囲いしているところを御覧いただきますように、一部改定しなかったときもありますけれども、ほぼ定期的に改定を行わせていただいているというものでございます。
 その考え方でございますが、3ページ目で御覧いただきますように、平成25年の社会保障改革プログラム法などを踏まえまして、医療保険部会の議論を経て、引上げを行っているというものでございます。プログラム法等につきましては、4ページ目にございますが、ここに法律事項として国民健康保険の保険料の賦課限度額の上限額の引上げについて検討し、必要な措置を取るということになってございます。
 その際の考え方でございますけれども、3ページ目の2つ目のポツにございますように、被用者保険におけるルールとのバランスを考えるということ。もう一つが、先ほど申し上げた因数分解した場合の医療、後期高齢者支援金分、介護納付金分、そのばらつきがなるべく少なくなるようにという観点、それと2ページ目にございましたように、過去20年間で最大の引上げ幅が4万円ということ、こういったことを考慮しながら、自治体の意見なども踏まえて設定しているということでございます。
 方針案でございますけれども、5ページ目になります。令和6年度においては、後期高齢者支援金の賦課額分が、超過世帯割が2%を超えており、前年と比較して大幅に増加しているということでございまして、ばらつきも拡大しているということでございます。こういったことを踏まえまして、令和5年度と同じ割合の世帯が令和6年度においても賦課限度額到達世帯に該当するように、医療分の賦課限度額を2万円、後期支援金等分の2万円ということでございますけれども、引き上げることとしてはどうかと考えているところでございます。
 真ん中にグラフがございます。点線が令和5年度でございまして、令和5年度の点線を追っていただいてプラトーになるところが、給与収入約1140万円の世帯、ここから限度額がかかっているということでございます。御提案しているのは実線部分でございまして、これを引き上げることによって、給与収入額が1160万円の方が引き上がるということでございます。点線と実線のところを見ていただきますと、令和5年度よりも令和6年度のところが中間所得層については、赤で矢印がございますように配慮がされるということでございますので、より高所得の世帯の方々に御負担をいただきたいというのがこの趣旨でございます。
 これを裏づけるように、一番下の表でございます。いろいろ書いてあるのですが、下から2段目、年収400万円の世帯を右側にスライドして、赤囲いのところを見ていただきますと、令和5年度と同じ料率だった場合には収入等は増えますので、3.2%の保険料の増になるということでございますけれども、今回の措置をすると33.2万円ということで、その伸び率は抑えられるということでございまして、一方で、限度額の該当世帯、下の欄でございますけれども、ここは2万円引き上げるということでございます。
 私からの御説明は以上となります。どうぞよろしくお願いいたします。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
 それでは、御意見等ございましたら挙手にてお願い申し上げます。それから、オンラインで御参加の委員におかれましては、挙手ボタンでお知らせいただければ幸いです。
 前葉委員、よろしくお願いします。
○前葉委員 ありがとうございます。
 資料の5ページ、今、御説明を頂戴いたしました。令和6年度の国保の賦課限度額106万円、非常にこれは我々地方にとってももちろんデリケートな議論があるわけでございますが、これまでもかなりいろいろな状況を厚労省御当局にも御説明申し上げて、地方との協議も踏まえて示されたものでございますので、一定の理解をさせていただくものでございます。厚労省におかれて引上げをこのような形で行う場合には、十分な周知をお願い申し上げたいと思いますが、ただ、これも以前にも発言をした記憶がございますけれども、賦課限度額につきましては、特に保険料の比較的高い地域で限度額到達世帯が多くなる傾向がございます。それから、賦課限度額そのものの在り方についても、保険者、つまり自治体によって様々意見がございますので、丁寧な議論が必要な事項でございます。住民、すなわち被保険者の負担に直結する議論でもございますので、今回同様、引き続き国保基盤協議会の事務レベルのワーキンググループ等において私ども全国市長会をはじめ地方側との協議の継続、今後ともよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、伊藤参考人、よろしくお願いいたします。
○伊藤参考人 ありがとうございます。
 私のほうからも、今回提案のありました国保保険料の賦課限度額引上げに対する受け止めについて述べさせていただきたいと思います。
 負担能力に応じて高所得層により多くの負担をいただく一方で、中間所得層の被保険者の負担には配慮をするものであり、国と地方のワーキンググループにおける議論を踏まえた内容となっているものと認識しております。
 私のほうからは以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、ほかに御意見がなければ、この方向性に関しましてはおおむね御了承いただいたということでよろしゅうございますでしょうか。
 ありがとうございました。
 それでは、本議題につきましてはこれまでとしたいと存じます。
 次に、事務局のほうから別途報告事項があるということでございますので、総務課長、調査課長、それから医療介護連携政策課長から御説明のほうをお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
○池上課長 総務課長、池上でございます。
 私のほうからは資料3について御説明いたします。
 「全世代型社会保障について」ということになりますけれども、1ページ目を御覧ください。こちらは10月2日に開催されました第7回こども未来戦略会議における岸田総理の発言を掲載したものでございます。関連する部分もありますので、御紹介をさせていただきます。
 まず、上から3段落目、「本日も」で始まる段落でございますけれども、スピード感ある実行のため、できるところから取組を実施することが重要という話があります。その中で3行目ですけれども、この会議のありましたその前の週には「年収の壁・支援強化パッケージ」を決定したというところに言及されてございます。
 それから、5段落目、下線が引いてある段落の上のほうになりますけれども、「加速化プラン」に掲げる各種施策について、法制化が必要なものは、来年通常国会での法案提出に向けて準備をし、制度設計等の具体化を急がなければならないという旨が書いてあります。ただし、出産の保険適用の関係につきましては、加速化プランの中で2026年度をめどに検討とされておりますので、そちらのスケジュールを念頭に、今後も議論を進めていくことになろうかと思います。
 6段落目、下線が引いてある段落の下のほうになります。「加速化プラン」の実施に当たっては、全世代型社会保障の構築の観点からの改革も進めてまいります。この点についても、「全世代型社会保障構築会議」において、「経済財政諮問会議」と連携した改革工程の年末までの策定を新藤大臣にお願いしたいと思いますという旨が述べられております。年末までに、全世代型社会保障構築会議において改革工程表が作成されることとなります。
 あとは参考資料になりますけれども、2ページ、3ページは6月に固まりましたこども未来戦略方針の抜粋となってございます。
 最後、4ページは、こども・子育て政策の強化(加速化プラン)の財源の基本骨格のイメージの図となっております。この図で示されておりますように、社会保障改革を行うことによって社会保障関係の経費の伸びを抑え、歳出改革及び支援金での財源確保を図るイメージ図となっているところでございます。いずれにいたしましても、今後の議論をよく注視してまいりたいと考えてございます。
 まずは資料3については以上となります。
○鈴木課長 続きまして、調査課長でございます。
 資料4でございます。「医療費における保険給付率と患者負担率のバランス等の定期的な見える化」について、御説明をさせていただきます。
 まず、1ページ目でございます。こちらの事項について、そもそもどういった経緯でこのようなものを始めたのかという説明になっております。従来、医療保険制度におきましては、以前御報告させていただきました医療費の動向でありましたりとか、そういったものを定期的に公表したり、また、制度改正等の財政影響等についてその都度公表させていただき、御説明をしたりといったことをしているわけでございますけれども、広く国民の皆様に対して、通常、日々の医療保険の財政がどうなっているのか、特に保険料、公費、患者負担、こういったもののバランスを分かりやすくお示しする、公表することによって、国民の皆様に医療保険制度をより理解していただく、そして安心して御利用いただくということで、令和2年度より医療保険部会の場で御説明をさせていただいた上で、毎年、厚生労働省のホームページ上で公表をさせていただいているところでございます。
 続きまして、2ページが令和2年度の医療保険部会で整理いただきました対応方針となってございまして、①から④が具体的な内容ですけれども、ここにお示ししている内容について、年1回、この医療保険部会において御報告するとともに、ホームページ上で公開すると。資料については、分かりやすさを重視するというような方針となっております。
 次のページ以降が今回御用意させていただいた資料となっております。4ページを御覧いただければと思います。
 4ページ、医療費の財源構成となっております。こちらは「(令和2年度)」となっております。今回の資料は全て数字のベースは令和2年度の数字ということになっております。今は令和5年度ですので、若干遅いということでお叱りを受けるかもしれないところではあるのですけれども、各制度の決算状況でありますとか、そういった確定データをいろいろと集めて、集計をして、分析をしてというところがありますので、ちょっと時間を要するというところはあるのですけれども、今後、できるだけ限り早くこういったものは公表できるように努力してまいりたいと思っております。
 数字であります。こちらの医療費の財源構成ですけれども、図のほうを見ていただければと思うのですが、一番上の棒グラフが医療保険全体になっております。左側に40.2兆円とありますけれども、これが医療保険における医療費全体ということ。この中で14.5%が自己負担で、一方で、医療保険から支払われる額、いわゆる実効給付率と申し上げておりますけれども、85.5%となっております。
 医療保険から払われるもののうち財源はどうなっているかというと、公費が33%、保険料が52.5%という形になっております。こちらを後期高齢者と後期高齢者以外の方で分けたものがその下の図になっております。自己負担の割合を見ますと、後期高齢者の方で約8%、それ以外の方で約19%となっておりまして、いわゆる自己負担率と言われている例えば1割負担とか3割負担と言われているものより少し低い水準ですけれども、高額療養費制度等ありますので、実際の負担額は1割とか3割とかいうよりも少し低く、例えば後期高齢者であれば8%程度という形になってございます。
 続きまして、5ページでございます。こちらについては制度別に財政の構造を見たものになっております。医療保険制度では、制度別に年齢構成が違うということでして、調整の制度がございます。まず、後期高齢者以外の制度の間では前期調整という形で財政調整を行っておりまして、また、後期高齢者に係る給付費の一部は支援金という形で他制度が負担をしているという仕組みになっております。こちらの図はそういった各制度間の調整の状況を表したものという形になっております。この図の中に矢印がございますけれども、紫色で示したものが前期調整の流れで、緑色の矢印で表しているものが後期支援金の流れというような形になってございます。
 続きまして、6ページでございます。先ほど実効給付率の御説明をさせていただきましたけれども、それを年次推移で見たもののグラフがこの図となっております。真ん中の緑色のラインが医療保険全体のラインなのですけれども、基本的には高齢化の進展等に伴って実効給付率は上昇傾向にあり、その中で制度改正等によって若干上下しているというような形になってございます。
 続きまして、7ページでございます。今見ていただいた実効給付率について、給付のうち公費と保険料で賄われているわけなのですけれども、保険料と公費がどのように実効給付率に影響しているのかというのを見たものでございます。全体としては、実効給付率は上昇傾向と申し上げましたけれども、保険料、公費、それぞれの動きがございます。こういった動きについては、例えば高齢化によって後期高齢者が増加をするということになると公費の割合が増えたり、逆に被用者化が進んで、国保の加入者が減少して、被用者保険の加入者が増えたりすると公費負担が減ったりというような、そういった要因、そのほかにも様々な制度改正等が影響して、このような動きになっているという形になってございます。
 続きまして、8ページでございます。こちらは少し目線が変わりまして、年齢別で医療費がどのように違うかを示したものになっております。上の青い部分が年齢別の医療費、先ほどもありましたけれども、こちら平均の医療費ということになります。下に出ている部分が負担になりますけれども、赤い斜線の部分が自己負担、緑色の部分が保険料という形になっております。こちらを見ていただくと、保険料はもちろん現役世代の方々の保険料が比較的高くなっておるわけですけれども、上側の医療費については高齢になるほど高くなっているというのがこの図でお分かりいただけるかと思います。
 続きまして、9ページでございます。こちらは生涯医療費という医療費の概念がございまして、そちらのものを御説明したものになっております。
 生涯医療費というのは、我々でたまに出てくる平均寿命というのがありますけれども、0歳の方が平均的に何年生きるか、それの医療費版と考えていただければと思うのですが、0歳の方が平均的に生涯でどの程度医療費を使われるかという金額を表したものがこの生涯医療費という概念になっております。
 10ページが実際の生涯医療費の数値を表したものになっております。このグラフの中に生涯医療費の数字がありますけれども、2584万円ということで、生涯医療費は約2600万円となっておりまして、この2600万円のうち約85%に当たる約2200万円は、医療保険から賄われるというような形になっております。
 ちなみに、昨年は2700万円でして、それよりも今年は若干低い金額になっておるのですけれども、こちらは令和2年度ベースということで、令和2年度はコロナの影響で医療費が若干減少した年ということもあって、この生涯医療費も若干減少しているという形になってございます。
 最後に11ページでございます。
 生涯医療費は0歳の方が平均的に生涯にかかる医療費ということですけれども、それを特定の年齢でスタートしたときに見たときにどうなるかというのが、余命にかかる医療費というものになります。例えば今、50歳の方がいたとして、その方がこれから平均的にどれぐらい医療費がかかるかというのを見たい場合には、このグラフの50歳のところを見ていただく。そこを見ていただくと、50歳のところをずっと上がっていただくと一番上に2017とあります。これは50歳の方がこれから生涯平均的に2017万円医療費がかかる、そのうち保険給付によって賄われる部分が1769万円という形になっております。
 こちらも生涯医療費と同様、実際、死亡の状況であったり、医療費の状況というのは様々なのですけれども、平均的に見たときにはこのような形になるというところで御理解をいただければと思います。
 以上、こちらの資料が見える化の資料ということで、昨年同様、厚生労働省のホームページの見える化のページにも掲載をさせていただければと思っております。
 私からの御説明は以上でございます。
○竹内課長 続きまして、医療介護連携政策課長でございます。
 資料5「オンライン資格確認について」を御覧いただきたいと思います。
 報告事項といたしまして、オンライン資格確認に関する直近の状況、対応について御報告をさせていただきます。
 まず、資料の1ページから3ページにかけましては、直近のオンライン資格確認の導入、利用状況をお示ししてございます。
 2ページのグラフを御覧いただきますと、マイナンバーカードによるオンライン資格確認の利用件数、水色で示されておりますけれども、ここ数か月漸減傾向にあることが見てとれるかと思います。このような状況にございますので、厚生労働省といたしましては、来年秋に向けまして、一人でも多くの国民の皆様にマイナ保険証を御利用いただく取組を進めることが喫緊の課題であると認識をしております。
 そこで4ページの内容になりますけれども、現在、厚生労働省ではデジタル庁と連携をいたしまして、「マイナ保険証、1度使ってみませんか」キャンペーンを実施しております。先ほど横尾委員からも御紹介いただきましたけれども、例えば今月の5日には医療関係団体、保険者団体に御参加をいただきまして意見交換会を実施し、5ページにおつけしているようなポスターを作成したところでございます。引き続き、医療機関等でのマイナ保険証利用が進むよう、医療機関等を通じたアプローチ、被保険者の皆様へのアプローチの両面で取組を行っていきたいと考えております。
 また、今般の経済対策におきまして、マイナ保険証の利用促進に取り組む医療機関、薬局、保険者を後押しするような方策を検討しております。今後、具体的な内容がまた固まりましたら、改めて御報告をさせていただきたいと思っております。
 次に、6ページ、7ページでございますけれども、先月、29日の医療保険部会で御説明した資料を再掲しております。オンライン資格確認結果と保険証の負担割合等が異なる問題につきましては、各保険者で実施をした調査結果を踏まえまして、11月末を目途に各保険者で同様の負担割合等の相違がないか点検いただいているところでございます。この保険者点検につきましては、結果が取りまとまりましたらこの部会のほうで御報告をしたいと考えております。
 また、7ページを御覧いただきまして、オンライン資格確認結果とレセプトコンピューターの表示の相違に係る対応についてでございますが、レセプトコンピューター事業者に対しまして、自社製品の仕様についてアンケートを行い、その結果に基づき、オンライン資格確認のデータと同期している事業者名及び製品名の公表を行った旨を前回の医療保険部会において御説明をしたところでございます。
 今週25日に、独自算定の仕様となっていて今後の改修時期が検討中となっている事業者に対しまして、改めてオンライン資格確認のデータと同期した表示がなされるよう、レセプトコンピューターの改修の要請と具体的な改修時期の回答を求めたところでございます。
 医療現場におきまして、オンライン資格確認を円滑に御利用いただけるよう、引き続き、必要な対応を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
 それでは、こちらは報告事項ではございますけれども、御意見等ございましたらよろしくお願いいたします。
 では、横尾委員、よろしくお願いします。
○横尾委員 ありがとうございます。
 先ほども御紹介いただいたマイナ保険証関係でございます。先般、大臣もおっしゃっていたのですけれども、医師の皆さんや歯科医師の皆さんや薬局の皆さんが「保険証を見せてください」ではなくて、「マイナ保険証を出してください」というのを先に言っていただいたら良いと思うのです。これは極めて大事で、「保険証」と言うと素直に保険証しか出しませんので、「マイナ保険証を出してください。ということをぜひ奨励をいただきたい」と大臣も直接、最後の締めのところでもおっしゃっていただいたので、三師会の皆さん、ぜひお願いしたいと思います。そのことによってマイナンバーカード活用によるデジタル行政の利用が高まっていきます。先般の会議で私は申し上げたのですけれども、既に29の医療ケア行政に関するデータや確認をできるようになっているのです。それがなかなか周知されていないので「サービスがない」とかいう話ばかりなのですけれども、そういったことも広報していただきたいというのが1点目です。
 もう一つは、資料4のデータに関することで、10ページです。平均値の誤謬があると私は思っています。かつて初婚は何歳ですかというのを調べたデータがあったのですけれども、ざっくりした数字で記憶しているのは大体27.5とか28歳というデータが出ました。でも、これは平均値の誤謬で、実際は違うのです。実際は2つのピークがあって、いわゆる22、23歳と30~31、32歳なのです。平均すると27.5とか8になるのです。そうすると、28歳前後で結婚するにはどうしたらいいかという議論をしますが、違うのです。現実は22、23歳と30歳の入り口ぐらい。そうしたら、考え方は実は事実とは違うことになってしまいますので、よく平均値はミス認識をしてしまうのです。
 それから考えていくと、この生涯医療費についても、これはあくまで平均だと思うのです。私が知りたいのは、保険者でもあり、首長だから知りたいのですけれども、ミニマムの方は生涯医療費が幾らぐらいなのか、マックスの方は幾らぐらいかかっているのか、昔だったら手計算で大変ですけれども、今はもうデジタルでデータベースを使ってちゃんと処理すれば出てきます。スーパーコンピューター京まで使わなくても大丈夫だと思います。それで、ミニマムは幾らぐらい、そのばらつきを知りたいのです。何人ぐらいの方が何百万円とか何十万円という階層にどれぐらいいらっしゃるか。その数値は恐らく違う認識を私たちに教えてくれると思っていますので、既に厚労省ではそういうのを御覧になっている方がいらっしゃるかもしれませんが、ぜひ広く知っていただくようにしていただければいいかなと思っています。
 そうしないと、これで見ていくとどんどん上がっていくだけの話になったり、平均という言葉で、平均は正しいように思ってしまうのですけれども、先ほど御紹介したように、ちょっと事実と違う認識があったりしますので、そういった調査というかデータの処理もぜひお願いしたいと思います。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。
 まず、資料3『全世代型社会保障について』、今さら言うまでもございませんが、我が国にとって少子化対策は待ったなしの重要政策であると認識しています。一方で、全世代型の社会保障構築に当たっては、現役世代の負担軽減を図ることも不可欠であると思います。
 その上で、今回、こども・子育て政策強化の財源について2点コメントいたします。
 まず1点目、資料3『全世代型社会保障について』の中で、少子化対策に係る財源について御報告をいただいたのは、資料3の4ページにも記載の通り、徹底した歳出改革が大前提になるからだと認識をしております。徹底した歳出改革を通じて公費の節減、社会保険への負担軽減によって、実質的な追加負担を生じさせないということは、今さら言うまでもないですけれども、現役世代の負担軽減につながりますので、ぜひとも実行をお願いしたいと思います。
 この歳出改革の具体的な内容につきましては、骨太の方針で示されたところの「かかりつけ医の推進」や「保険給付範囲の見直し」、さらには「診療報酬・介護報酬改定」などを通じて実施すべきものと考えております。これらを具体的にどのように進めていくのかという工程もぜひ示していただきたいと思います。
 また、歳出改革の議論とは別に、全世代型社会保障の構築に向けては、現役世代の負担軽減は極めて重要だと思っておりますので、今までも何度も申し上げておりますけれども、「現役並み所得者である後期高齢者の医療費に対する公費投入」といった課題も併せて検討いただきたいと思います。
 それから、2点目ですけれども、4ページにも示されております仮称の支援金でございますが、ここのところについても、3ページに「賦課対象者の広さを考慮しつつ社会保険の賦課徴収ルートを活用すること」と示されております。この支援金については、社会保険とは異なる性質のものだと思われますので、社会保険の賦課徴収ルートを活用するとしても、いわゆる代行徴収にとどめるべきであると思っております。
 その上で、今後、この枠組みを検討するに当たっては、社会保険の賦課徴収ルートを活用するということについての趣旨、また理由については合理的な説明が必要と思っております。
 また、代行徴収である以上、負担についての説明責任は、保険者ではなく国が負うということを明確にしていただきたいと思います。
 なお、支援金の検討に当たっては、同じく代行徴収の位置づけであるにもかかわらず、医療保険者が現在説明責任を負っている介護保険料の在り方についても、併せて見直しをお願いしたいと思っております。
 最後に、資料5『オンライン資格確認について』でございますけれども、お示しいただいた利用促進のキャンペーンについては、健保組合、健保連としても、ポスター、リーフレット等を活用して利用促進に努めているところでございます。今後とも関係団体と連携しながら、一層取組を強化しなければいけないと考えておりますので、国のほうにおいても種々御支援をお願いできればと思っております。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、伊奈川委員、よろしくお願いいたします。
○伊奈川委員 伊奈川でございます。オンラインから参加しております。
 資料4になりますけれども、医療費の見える化について希望を2点ばかり申し上げたいと思います。
 いずれも全世代型社会保障に関わるわけですけれども、世代別の実効給付率のところになります。6ページを御覧いただきますと、細かい話で若人と医療保険独特の用語があるのですけれども、私など大学で教えている立場から言いますと非常に分かりにくい。恐らくこれは後期高齢者以外という意味かと思いますから、その辺り少しホームページに載せる際には分かりやすくしていただければと思います。
 それと6ページになりますけれども、子供の一部負担を引き下げましたので、そういう点から言いますと、子供の部分については実効給付率は上がっているはずだと思いますし、実際この図でもそこを境に少し上がっておりますので、せっかくそういった少子化対策的なところも医療保険の中でやっているわけですから、アピールする意味でも、もし可能であれば、若人全体だけではなくて子供については特出ししていただくと、国民向けには分かりやすいのではないかと思います。
 以上、要望であります。ありがとうございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、伊藤参考人、よろしくお願いいたします。
○伊藤参考人 ありがとうございます。
 1点、報告事項1の全世代型社会保障について発言いたします。
 こども未来戦略方針において、こども・子育て政策強化の財源の一環とされている支援金制度については、社会保険の賦課徴収ルートを活用することとされておりますが、制度の検討に当たっては、国保の運営に支障を及ぼすことがないよう、十分な配慮をお願いいたします。
 私からは以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、猪口委員、よろしくお願いします。
○猪口委員 ありがとうございます。
 先ほどマイナ保険証の利用促進についてお話がありました。医療機関におきましても、さらに一層利用促進をするように皆で努力してまいりたいと思います。
 全世代型社会保障について1点、こども・子育ての政策の評価についてコメントさせていただきます。少子化対策、子供対策については大変重要な政策であると考えます。しかし、その政策に用いる財源を確保するために、病気や障害に苦しむ方々のための財源を切り崩してはならないと、一貫して主張してまいりました。社会保障の財源をしっかり確保することは不可欠であります。また、少子化対策、子供対策の財源は、社会保障財源とは別に確保することも必要だと考えております。政府には、社会保障と少子化対策、子供対策の両方の視点を持って取り組んでいただきたいと要望いたします。
 以上です。ありがとうございました。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 伊奈川委員から御指摘がございましたけれども、今回の資料では後期高齢者以外という形で、恐らく委員の指摘を受けて直しておりますので、その点を含みおきくだされば幸いです。
 では、井上誠一参考人、よろしくお願いいたします。
○井上誠一参考人 私のほうからは、報告事項1の全世代型社会保障について1点意見を述べたいと思います。
 資料3の3ページ、4ページに出てまいります支援金制度(仮称)についてでございますけれども、3ページに掲げられています注の一番最後の行に、「賦課対象者の広さを考慮しつつ社会保険の賦課・徴収ルートを活用すること」と書かれていることからしますと、社会保険の中でも医療保険の賦課・徴収ルートを活用するという方向で検討が行われる可能性がかなりあるのではないかと思われるところであります。この支援金制度につきましては、こども家庭庁を中心に検討が行われるものと思いますけれども、医療保険の賦課・徴収ルートを活用するという方向で検討が行われるということになった場合には、医療保険制度を所管する厚生労働省におかれては、国保をはじめとする医療保険制度の運営にマイナスの影響が及ぶことがないよう十分留意して、こども家庭庁との協議に当たっていただきたいと考えております。
 特に国保の運営に関わっている立場から申し上げますと、保険料の収納率にどのような影響があるのか、また、保険者が新たに支援金を徴収することになることに伴い発生する様々なコストをどのように賄うのかなど、気になる点が多々ございますので、先ほど申し上げたことにつきまして、よろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほか、いかがでございましょう。
 では、藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。
 まず、資料3の全世代型社会保障についてコメントいたします。
 先ほど、佐野委員からも同様の意見がございましたけれども、加速化プランの財源につきましては、国民の理解を得るため、歳出改革等の徹底により、実質的に追加負担を生じさせないことを目指すという方針が明確に打ち出されておりますので、政府には、ぜひ、歳出改革の具体的道筋を明らかにしていただき、国民に開かれた形での丁寧な議論を、強く期待したいと思います。
 続きまして、資料4の12ページの下から2つ目の○に積極的に教育するという視点も重要と記載されていることについて、一言申し上げたいと思います。
 教育という視点は大変重要だと思います。学校教育ということも視野に入れているのであれば、中学生や高校生の理解を進めるための手法と内容について、教育現場や若者の意見を積極的に取り入れていただきたいと思います。また、以前も御紹介いたしましたけれども、全国法人会総連合では、小学校で租税教育セミナーというものを実施しているところでございまして、そこに、既にカリキュラムの中に医療というものが書いてあるわけです。実際、現場でやってみますと、医療についてもっと教えてほしいという意見をいただくこともございます。これはぜひ、国税庁とも話し合っていただき、こういったキャリアカリキュラムの中で、医療という内容をもっと充実していただくということは、それほど難しいことではないのではないかなと思いますので、検討していただければと思います。
 加えまして、この資料は過去のデータが中心となっておりますけれども、若い世代の人たちにとってより重要なのは、将来はどうなるのか、自分たちはどう裨益するのかということではないでしょうか。可能な範囲内で、将来の見通しに関する情報を追記すると良いのではないかと思います。今後の検討課題としていただければと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、村上委員、よろしくお願いいたします。
○村上委員 ありがとうございます。
 まず、資料3についてです。ほかの関係する会議でも私どもの考えを述べており、繰り返しになりますが、この場でも述べさせていただきます。
 こども・子育て政策の推進においては、良質で安定した雇用を確保し、その雇用を維持することを通じて生活の基盤を支えるとともに、固定的な性別役割分担意識からの脱却や働き方改革を推進し、子育て世代を問わず誰もが仕事と生活の両立を図ることが可能となる社会の構築が極めて重要です。そのために財源が必要であれば、社会全体で子供や子育てを支えるという考え方に基づいて、税や財政全体の見直しを排除することなく、幅広い財源確保策を検討すべきと考えています。
 支援金制度(仮称)については、税でも社会保険でもなく、広く子育て世代を支える新しい仕組みとしながら、その法的性質が不明確ではないかと考えております。また、支援金の運営体制や責任の所在、拠出する側からの意見反映などがどのようにされるかなど課題は山積しており、国民の理解と納得が得られる仕組みとはなっていないと考えています。
 資料3については以上ですが、資料4についても一言申し上げます。今回、大変分かりやすい資料を作成いただき、ありがとうございます。先ほど藤井委員からもございましたけれども、この見える化を進めるために、資料を作成していただいたところですが、どれだけ見ていただけるかということも大事でして、このホームページのビューなどは把握されているのか伺わせてください。もしあまり見られていないようであれば、より見ていただけるように方策も考えていただくことが必要と思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ビュー数とか、今、手元にございますか。
○鈴木課長 ホームページが今、具体的に何回見られているかというのは把握しておりません。ただ、ホームページの構成を、この見える化のものをつくったときに、医療保険に関するページのほうを、少し見えづらかったというのもあって、少し体系的に整理をしたということでございます。それでどれぐらい実際に見られているかという部分に関しては今、手元にございませんけれども、そういったものにも留意しながらやっていければと思っております。
○田辺部会長 それでは、井上隆参考人、よろしくお願いいたします。
○井上隆参考人 ありがとうございます。
 昨年末の全世代型社会保障構築会議の報告書の副題が、全世代で支え合い、人口減少・超高齢社会の課題を克服するというものでありました。本年のこども未来戦略方針の基本理念の第1は、若い世代の所得を増やすということでありました。また、骨太方針の副題は、未来への投資の拡大と構造的賃上げの実現というものでございました。
 現下の日本経済で一番重要なのは、30年代のデフレを脱却する国内投資及び賃上げを構造的に継続させていくということであると認識をしております。社会保障の負担に関しましては、皆で支え合っていかなくてはならないのですけれども、実態としては、賃上げのモメンタムと逆方向に働いてしまう面がございます。したがいまして、今申し上げたようなこれまでの報告書の基本的な考え方を踏まえた全世代型社会保障の実現を目指していただきたいと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほか、いかがでございましょう。
 では、北川委員、よろしくお願いします。
○北川委員 資料4と5について簡単にコメントさせていただきたいと思います。
 資料4につきましては、少子高齢化が急速に進行する中で、医療保険財源が直面する大変厳しい現状について、国民に対してより分かりやすい形で公表していくことが大変重要だと思います。国民全体に医療保険制度の全容についてよく御理解をいただきたいという思いは非常に強く抱いておるところでございます。
 特に自己負担につきまして、一般にまず個人負担は3割ということで承知されていると思いますけれども、全体を見てみますと、この資料のように、実際には15%という形になっておりますので、ぜひ今回のホームページの公表にとどまらず、機会を捉えて広く周知啓発を図っていただきたいと念じておりますので、よろしくお願いいたします。
 資料5につきましては、先般のキャンペーンの際にも申し上げたのですけれども、私どもとしても、今後の医療DXを進める上での重要な基盤になると思っております。これは何としても乗り越えなければいけない大きなハードルだと認識しております。そのためにも、ぜひ多くの方が賛同して、そこの比率を高めていけるように、私どもとしても全力で推進させていただきたいと思っておりますので、コメントさせていただきました。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございます。
 ほか、いかがでございましょう。
 では、池端委員、よろしくお願いします。
○池端委員 ありがとうございます。
 時間がありそうなので、今、藤井委員、村上委員がおっしゃったことなのですが、私も資料4の見える化というのは、3年前にこの医療保険部会で出てきて、非常にいい資料だと思います。私は地元の福井大学の医学部で、臨床研修医の初期研修のスタートアップのオリエンテーションのところの講義を1つと、それから4年目の学生の講義でこの内容をいつも出しているのですけれども、なかなかそこにまだあまり知られていないのです。こういうことは医療を提供する側も知っておくべきではないかと思うので、医学教育とか初期臨床研修医の教育などでもぜひこういうデータを入れて、少しその辺の徹底した教育をやっていただけるといいのかなと思いまして、文科省管轄もあるかもしれませんけれども、私、実体験としてすごく感じましたのでコメントさせていただきました。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございます。
 では、藤井委員、どうぞ。
○藤井委員 今、御意見がありましたので。私は経営者向けのセミナーに結構呼ばれまして講演することがあるので、こういうことを経営者の皆さんにお伝えするのですけれども、大体ほとんど知りません。それでは困るのですけれども、こんなにお金を使っているのとか、生涯医療費はこんななのということで、全然分かっていません。我が国の医療がこうなっているということは、まず経営者からしっかり分かってもらわないと困るのではないかと思います。
 この資料を見つけるのは難しいのです。私もこれを使うのですが、結構古い議事録から持ってくるのは大変なのです。今、最新の状況はこうなっているとどこかにボタンをつけていただくと物すごく分かりやすいのではないかと思いますので、ぜひお願いいたします。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほか、いかがでございましょう。
 よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、ほかに御意見等ないようでございますので、本日はこれまでといたします。
 次回の開催日につきましては、追って事務局のほうより御連絡いたします。
 本日は、御多忙の折、御参加いただきまして、ありがとうございました。
 それでは、閉会いたします。