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- 第25回 社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会 議事録
第25回 社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会 議事録
日時
令和5年9月22日(金) 15:00~17:30
場所
AP日本橋
(東京都中央区日本橋3丁目6-2 日本橋フロント6F)
及び Web会議(ハイブリッド開催)
(東京都中央区日本橋3丁目6-2 日本橋フロント6F)
及び Web会議(ハイブリッド開催)
出席者(五十音順)
- 朝比奈 ミカ
- 池永 彰美
- 今村 英仁
- 内堀 雅雄
- 浦野 正男
- 大西 豊美
- 大森 雅夫(途中退席後は出原晋一郎参考人が代理出席)
- 岡部 卓
- 奥田 知志
- 勝部 麗子
- 菊池 馨実
- 五石 敬路
- 駒村 康平
- 佐保 昌一
- 生水 裕美
- 新保 美香
- 竹田 匡
- 堀 有喜衣
- 𠮷田 英人
- 渡辺 由美子
- 和田 秀幸 (岡崎誠也委員の代理出席)
議題
(1)「生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の見直しに関するこれまでの議論の整理(中間まとめ)」において示された検討事項への検討状況等について
議事
- (議事録)
- 2023-9-22 第25回社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会
○河合室長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第25回「社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、御多忙の折、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
まず、前回の会議から委員の御異動がございましたので、御紹介いたします。前回の令和4年12月の第24回の開催以降、長島委員、宮脇委員が御退任されまして、新たに日本医師会常任理事 今村英仁委員、鳥取県八頭町長 𠮷田英人委員が任命されてございます。
続きまして、事務局に異動がございましたので、御紹介させていただきます。朝川社会・援護局長、駒木大臣官房地域保健福祉施策特別分析官、乗越総務課長、大場保護課長、金原地域福祉課長、三浦自立推進・指導監査室長、職業安定局総務課 岡田訓練受講支援室長でございます。
それでは、事務局を代表いたしまして、社会・援護局長の朝川より一言御挨拶を申し上げます。
○朝川局長 皆さん、こんにちは。社会・援護局長の朝川でございます。第25回「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」の開催に当たりまして、一言御挨拶申し上げます。
昨年度から御出席いただいております委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、本年度も御出席いただきまして、誠にありがとうございます。また、特に菊池委員、新保委員におかれましては、昨年に引き続き、部会長、部会長代理としてよろしくお願いいたします。
また、今回、新たに御就任いただきました2名の委員、先ほど御紹介ありましたが、日本医師会の今村委員と鳥取県八頭町長の𠮷田委員におかれましては、快くお引き受けいただきまして、改めて感謝申し上げます。
さて、生活困窮者自立支援制度と生活保護法の見直しにつきましては、昨年6月から本部会において御議論いただきまして、12月に委員の皆様の御尽力の下、中間まとめを取りまとめていただきました。私も今年の夏、異動してまいりまして、早速読ませていただきまして、幅広く論点を押さえていただきまして、現状、課題の整理、そして進むべき方向性、詳しくまとめていただいておりまして、まとめていただくに当たりましては大変な御尽力をいただいたものと思いました。
また、昨年末には、同時並行的なのですけれども、全世代型社会保障構築会議という政府全体の会議がございますが、こちらにおいて共生社会の実現に向けた住まいの確保についての議論も行われておりまして、部会長である菊池先生もメンバーでいらっしゃるわけですが、そこで報告書がまとめられています。
その後、今年の7月から国交省と法務省と共同で検討会を開かせていただいておりまして、奥田委員にも入っていただいているわけですが、ちょうど昨日、中間まとめ素案という形で提示されています。具体的には、住まいに関する総合的な相談機能の充実でありますとか、入居後の総合的な生活支援など、政策の強化を一層進めていくということが求められているところです。これらも踏まえまして、本部会で生活保護制度、困窮者制度、両制度の見直しに向けて活発な御議論をお願いしたいと考えています。
委員の皆様におかれましては、忌憚のない御意見を賜りますようお願い申し上げて、私の挨拶といたします。よろしくお願いいたします。
○河合室長 続きまして、事務局より、本部会の取扱いについて御説明いたします。
本部会の議事につきましては公開となってございますが、会場での傍聴は報道機関の方のみとさせていただき、その他の傍聴希望者向けにユーチューブでライブ配信をしております。本部会では、これ以後の録音・録画を禁止させていただきますので、傍聴されている方におかれましては、くれぐれも御注意のほど、よろしくお願いいたします。
それでは、会場の報道関係者の皆様におかれましては、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。
(カメラ退出)
○河合室長 それでは、以降の進行を菊池部会長にお願いいたします。
○菊池部会長 皆様、こんにちは。お久しぶりでございます。当部会も再開ということで、どうぞよろしくお願いいたします。
最初に、本日の委員の皆様の出欠状況ですが、宮本委員から欠席の御連絡をいただいております。後ろ盾をなくしてしまったようで、私、今日、非常に不安なのですけれども、頑張りたいと思います。大森委員は遅れて出席される予定です。また、内堀委員と大森委員については、途中退席される予定とお伺いしております。
大森委員の御退席後は、代理として岡山市保健福祉局障害・生活福祉部生活保護・自立支援課課長 出原参考人に御出席いただく予定とお伺いしています。
また、岡﨑委員の代理として、高知市福祉事務所長の和田参考人に出席いただいています。
出原参考人、和田参考人の御出席につき、御承認いただけますでしょうか。
(委員首肯)
○菊池部会長 ありがとうございます。
社会保障審議令に定める定足数3分の1を満たしておりますので、開催の要件を満たしていることをお伝えさせていただきます。
また、先ほど事務局から御紹介がありましたとおり、今回から今村委員と𠮷田委員が新たに委員に任命されてございます。恐れ入りますが、一言ずつ御挨拶いただければ幸いです。
今村委員、お願いできますでしょうか。
○今村委員 日本医師会常任理事の今村です。
長島常任理事に代わって就任することになりました。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 お願いいたします。
それでは、𠮷田委員、お願いできますでしょうか。
○𠮷田委員 鳥取県の八頭町の𠮷田でございます。
宮脇委員の後任ということで、いろいろとお世話になりますが、よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 よろしくお願いいたします。
それでは、早速議事に入らせていただきます。
本日の議事は、「生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の見直しに関するこれまでの議論の整理(中間まとめ)」において示された検討事項等と、その検討状況についてでございます。
進め方としましては、まず、事務局から資料についてまとめて御説明いただき、その後、質疑応答及び意見交換の時間とさせていただきます。なお、本日、17時30分までを予定しておりますので、途中一度休憩を挟ませていただく予定でございます。
それでは、初めに事務局から説明をお願いいたします。
○米田室長 生活困窮者自立支援室長でございます。
資料2、資料3について説明いたします。
まず、資料2を御覧ください。本資料では、昨年12月の中間まとめで示された対応の方向性に対して、それ以降に行った対応や検討状況等を整理して記載しております。
まず、1ページでございます。自立相談支援機関の機能強化についてです。以降は、時間の都合上、特に1回1回言及はいたしませんが、真ん中の検討事項への対応状況等について、主なものを中心に説明してまいります。
まず、2つ目の○(ポツ)のところでございます。「令和5年度社会福祉推進事業における調査研究」ということでございますが、良質かつ多様な委託先の確保、ICTを活用した効果的な支援の取組、SNS等による効果的な制度の広報を一層進めていくため、今年度、調査研究を行い、自治体の先進的な取組を把握し、ガイドライン等を作成することとしております。
また、その下の○にあるとおり、令和6年度概算要求に自立相談支援事業等の補助体系の見直しについて盛り込んでおります。
続いて、2ページ、生活困窮者自立支援制度における支援会議につきましては、努力義務化の方向性が示されていましたが、2つ目の○にありますとおり、令和6年度までに支援会議を設置する予定がない438自治体に対し、その理由・背景等に関する調査を実施いたしました。
調査の結果、設置しない理由として、多くの自治体が「既存の体制で関係機関との連携が取れている」と回答する一方、設置していない自治体のうち、約86%の自治体で、生活困窮が疑われる方について関係機関と情報共有をしたり必要な支援体制について検討をしたりする機会が「あった」ということでした。
また、支援会議を設置するために必要な支援としては、「ガイドライン等の文書による設置方法の明確化」や「ノウハウや事例の提供」といった回答が多く、これらの支援があれば、約77%の自治体で支援会議を設置する意向が「ある」または「検討したい」といった回答でございました。
続いて、3ページ、ケースワーカーの役割及び関係機関との連携についてでございます。多様で複雑な課題を抱える被保護者の援助に関する計画や会議体の制度化に向けまして、1つ目の○でございます、今年度、ケースワーカーと関係機関の連携に関する現状・課題等の把握、計画の効果的な策定方法や、会議体の設置・運営方法の整理といった調査研究を行っております。
続いて、4ページ、自立支援プログラム等の各種事業についてです。
1つ目の○にありますとおり、自治体向けの各種会議等において、日常生活自立、社会生活自立を目的とした自立支援プログラムの策定状況を提示するなど、3つの自立の概念の趣旨や内容の浸透を図ることとしています。
また、昨年の改革工程表において、経済的自立だけではなく、3つの自立を念頭に置いた新たなKPIを設定しています。
続いて、5ページ、生活困窮者に対する就労準備支援事業についてです。
必須事業化する方向で検討を進めると示されています。
このため、6ページの2つ目の○、令和6年度までに事業を実施する予定がない106自治体に対し、その理由・背景等に関する調査を行いました。
調査の結果、実施しない理由としては、「利用ニーズが少なく事業化しにくい」との回答が最も多かった一方、実施していない自治体のうち、約76%の自治体で、これまでに事業の対象者となり得るような相談者が「いた」ということでした。このような場合、自立相談支援事業における就労支援などの他の施策での対応が行われていますが、約半数の自治体で支援内容や支援効果等について困難や課題を感じたことが「あった」との回答がありました。また、事業を実施していない自治体の多くが広域実施についての検討を行っていないことも分かりました。
事業の実施に向けて必要な支援については、「ノウハウや事例の提供」や「委託先の開拓・調整等に関する支援」との回答が多く、必須事業化してほしいといった回答もありました。そして、約82%の自治体で、これらの支援があれば、事業を実施する意向が「ある」または「検討したい」といった回答がありました。
続いて、8ページでございます。被保護者に対する就労インセンティブにつきましては、就労自立給付金の算定方法を就労期間に応じてメリハリをつける見直しを行い、自立への意欲を喚起するために必要な予算を要求しています。
9ページ、生活困窮者家計改善支援事業につきましては、必須事業化する方向で検討といった指摘をされておりました。
就労準備支援事業と同様に、事業を実施する予定がない82自治体に対し、その理由・背景等に関する調査を実施しました。調査の結果については、就労準備支援事業とおおむね同様の傾向が見られています。
続きまして、11ページです。被保護者に対する家計改善支援等については、金銭管理能力に課題がある被保護者に対する支援のために必要な予算を要求しています。
12ページ、子どもの学習・生活支援事業についてです。
3つ目の○のところにありますとおり、今年度の予算において、ヤングケアラーや不登校・ひきこもりの子ども等への個別かつ長期的な支援を実施するための加算を創設いたしました。
また、事業に従事する職員への研修を新設することとしておりまして、現在、その研修のカリキュラムを作成しています。
14ページです。生活保護受給中の子育て世帯全体への支援につきましては、1つ目の○、訪問等により、学習環境の改善や進路選択等に関する必要な情報の提供及び助言を行う事業について必要な予算を要求しています。
また、学習支援費のさらなる活用を図るため、福祉事務所に対し、制度活用に向けた周知徹底を改めて依頼するとともに、その周知状況について自治体への調査を実施しました。
調査の結果、対象者がいる福祉事務所においては、案内が実施されたことを確認しております。
続いて、15ページ、生活保護受給世帯の子どもが高校卒業後に就職する場合の対応につきましては、新生活の立ち上げ費用に係る一時金を支給するための予算を要求しています。
16ページ、生活保護世帯における大学等への進学の支援につきましては、生活保護の枠組みにとらわれず、修学支援新制度等の教育に関する政策の中で幅広く検討すべきと示されていました。
これを踏まえ、2つ目の○にありますとおり、文部科学省から発出した、高等教育の修学支援新制度等の周知等に関する通知の内容を含め、福祉事務所に対し、改めて奨学金等の周知を行っております。
また、1つ上の○に戻っていただきまして、実施要領を改正し、令和5年4月1日から、大学等の前期授業料相当について収入認定除外となる運用を開始しております。
18ページでございます。生活困窮者の一時生活支援事業につきましては、2つ目の○にありますとおり、本年10月より運用を見直し、シェルター事業の実施の有無にかかわらず、地域居住支援事業の単独実施を可能といたします。
また、事業に従事する職員への研修も新設することとしており、現在、研修のカリキュラムを作成しております。
さらに、5つ目の○のところでありますけれども、一時生活支援事業については、努力義務化の方向性が示されておりましたが、それぞれの事業の実施予定がない自治体に対し、その理由・背景等に関する調査を実施しました。調査の結果については、さきに御紹介した就労準備支援事業、家計改善支援事業とおおむね同様の傾向が見られています。
また、19ページの1つ目の○にありますように、住宅確保要配慮者の円滑な住まいの確保や、住宅政策と福祉政策が一体となった居住支援機能等の在り方を検討していくため、本年7月より、国土交通省、法務省と合同で検討会を開催し、現在、議論を行っています。
20ページ、住居確保給付金についてです。職業訓練受講給付金との併給を可能とするといった、いわゆるコロナ特例の一部恒久化。児童扶養手当、児童手当等を収入算定から除外するといった支給要件の見直しなどを本年4月に行っております。
続いて、22ページです。生活保護における居住支援等については、救護施設等における個別支援計画作成の制度化に向けた調査研究を実施しています。
23ページ、無届けの無料低額宿泊所への対応につきましては、令和4年度の調査研究の結果等を踏まえ、対策の在り方について検討を行っています。
また、日常生活支援住居施設と保護の実施機関との連携推進のため、日住の管理者等を対象とした研修に自治体職員の参加も可能である旨を再度周知しています。
さらに、一時生活支援事業と生活保護制度の関係について示している手引きについて、各種会議等で再度周知するということを検討しています。
24ページ、被保護者健康管理支援事業につきましては、1つ目の○にありますとおり、今年度、都道府県等で健診・医療等情報を「見える化」するための分析支援ツールの開発及びデータ活用マニュアル作成に向けた調査研究を実施しています。
なお、少し先の29ページにも再掲しておりますが、医療扶助においても同様の調査研究を実施しています。
また、25ページでありますが、頻回受診者の背景として、社会的孤立や精神的不安に起因する方も多いことなどを踏まえ、居場所づくりなどの相談支援を充実するなど、被保護者健康管理支援事業の機能強化を図ることを検討しています。
26ページ、医療扶助の適正化についてです。2つ目の○にあるとおり、本年3月、重複投薬・多剤投与者に対する医薬品の適正使用のための取組の推進や、その際の医療関係者との連携について自治体に依頼しています。
また、オンライン資格確認システムの仕組みを活用した頻回受診の傾向がある方への早期の助言等のモデル実施や、27ページの多剤投薬の適正化に向けた支援強化の取組等に係る予算を要求しております。
28ページ、医療扶助に関する都道府県等の関与についてです。
2つ目の○のところにありますとおり、都道府県が行う管内市町村への後方支援の役割等について、自治体等の意見等も考慮しつつ、検討を行っています。
30ページです。生活困窮者自立支援制度と生活保護制度との連携につきましては、1つ目の○にありますとおり、被保護者就労準備支援事業、被保護者家計改善支援事業、地域での居宅移行等に向けた継続的な支援を行う事業について、生活困窮者の就労準備支援事業等の中で被保護者も支援できるようにする具体的な方法等を現在検討しています。
以降のページでは、施策の連携や人材育成などについて記載しておりますが、時間の都合上、説明を割愛させていただきます。
また、これまでの説明に関して、制度の詳細やデータ等の資料を参考資料1として、お配りしておりますので、併せて御参照ください。
続いて、資料3、本部会の今後のスケジュール(案)を説明いたします。
本部会につきましては、本日を含め、年内に4回程度の開催を予定しており、次回の10月の回と次々回、11月の回で、各論のうち、さらに議論を深めていただきたい、制度改正につながる論点について御議論いただき、年内に部会としての最終的な報告書を取りまとめていただければと考えています。
また、本日、参考資料4として、「住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討会」の中間とりまとめ素案をお配りしております。これに関しましては、次回の10月の回で検討会の大月座長と国土交通省住宅局にお越しいただきまして、検討会での検討状況等について御報告いただくことを予定しております。
説明は以上です。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
それでは、これより質疑応答、意見交換の時間を設けたいと思います。本日は、再開後の初回であり、また、特定の論点について議論を深めるというよりは、全体を通じての議論となりますので、恐らく皆様、何らかの御意見、おありかと思いますので、私のほうから指名させていただき、各委員の皆様方から、それぞれ3分程度、御意見いただければと思います。御質問等も併せてお願いいたします。恐縮ですが、3分を経過した時点でベルを鳴らしますので、おまとめいただけますと幸いでございます。
なお、事務サイドの話ですと、オンラインの皆様にベルが聞こえづらいかもしれないという話を伺っておりまして、恐縮ですが、その場合、口頭でお伝えすることがあるかもしれません。すみませんが、よろしくお願いいたします。
まず、本日、内堀委員が途中退席される予定と伺っておりますので先に御発言をお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。
○内堀委員 菊池部会長、ありがとうございます。
まず、認定就労訓練事業についてです。就労準備支援事業利用者に対する交通費の支給に加えて、税制の優遇、助成金等の経済的支援等による事業者に対するインセンティブや、生活困窮者の就労インセンティブを増やす方策について、さらに検討が必要と考えます。
次に、生活困窮者自立支援制度における就労準備支援事業と家計改善支援事業の必須化においては、未実施自治体の背景や理由等を踏まえた上で、実施までの経過期間を設けることや、実施に向けた環境整備を行うなどの配慮が必要です。また、国庫補助率の引上げなど、財政面での措置が重要と考えます。
生活困窮者家計改善支援事業の中で生活保護受給者も支援できるようにすることについては、自立相談支援機関及び福祉事務所が適切なフォローアップを行うための、一体的、具体的な仕組みの構築が重要です。引き続き、具体的な制度構築に向けた検討をお願いします。
また、子どもの学習・生活支援事業については、実施率が低い原因の一つとして、国庫補助率が2分の1であり、自治体の財政負担が大きいことが考えられます。実施率を向上させるためにも、補助率の引上げ等の財政面での措置について検討が必要です。
また、医療扶助における都道府県のガバナンス強化の取組や、医療扶助審議会等の会議体の設置については、事務負担を考慮していただき、都道府県と十分協議の上、制度の具体化を進めていただきますよう、改めてお願いします。
最後に、生活保護現業員等の標準数についてであります。現在の基準になって以降、福祉事務所が担う業務が増加しています。効果的・効率的な業務実施のため、標準数の見直し等により、適正な人員が確保されるよう検討を行うことが重要です。
私からは以上です。どうぞよろしくお願いします。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
それでは、他の委員からお願いできればと思います。今日、17時30分までですので、時間の許す限り、二巡目以降の時間を取りたいと思いますので、よろしくお願いします。途中で一度休憩を挟むと思います。
まず、会場参加の委員から、恐れ入ります、五十音で恐縮ですが、朝比奈委員からお願いしてよろしいでしょうか。
○朝比奈委員 ありがとうございます。
千葉県の中核地域生活支援センターがじゅまるから、市川市の重層事業を活用した、よりそい支援事業がじゅまる+として、この7月にスタートいたしました。多機関協働・アウトリーチ・参加支援の事業を私どもの法人で委託を受けておりますけれども、改めてその現場実務に携わって、困窮制度の重要さということを痛感しております。メニューだけにとらわれずに、自立相談そもそもの力、役割、機能をどれぐらい発揮して、いわゆる狭間と言われる部分に手を伸ばしていけるのか。それを新しい社会資源を生み出す地域づくりにいかにつなげていくかということが、改めて非常に問われている。
ただ、これまでは現役世代を中心的に支援する困窮制度が、狭間のかなり重要な役割を担っていたと思うのですけれども、サブシステムとしての重層事業・多機関協働の事業がスタートしておりますので、そうしたものとまさに重ね合わせながらやっていく必要があるだろうと思っています。もちろん、困窮制度が始まって以降、様々な新しい課題が困窮制度の仕組みによって顕在化したと言っていい部分もあろうかと思いますが、それぞれの特定のテーマが、また特定のテーマとして制度化されるというベクトルだけでよいのかどうかということも非常に疑問を持っていまして、新たな縦割りが生み出されることで、困窮制度が持っていた柔軟性とか幅の広さといったところが失われないような、全体としての制度設計が必要なのだろうと思っております。それが1つ目です。
それから、今回の部会では、とりわけ生活保護をめぐる議論が非常に多く出されてきたなと感じておりまして、それにつきましては、当然その必然性があったのだろうというふうにも思っています。
一方で、制度設計とか財源的な構成でやむを得ないと思うのですけれども、重層事業自体が4分野、子ども、障害、高齢、困窮ということで説明され、強調されているがゆえに、生活保護があたかもそこから異質の扱いをされているような印象もあって、現に私たちの地元で働く生活保護の所管の方々はそのような印象を持っていらっしゃいます。
一方で、生活保護申請に至る背景というのは、それなりの課題があってのことですので、そこをしっかりと酌み取っていくという仕組みづくりが求められているのだろうと思います。
1巡目は以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
岡部委員、お願いいたします。
○岡部委員 明治大学の岡部です。よろしくお願いいたします。
生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度は、国民・住民生活を支える大事な制度です。この2つの制度が十分機能することによって、国民・住民は安心して生活を送ることができます。これはある意味では、社会保障の制度の根幹を支えると同時に、私たちの国民・住民生活の最も基本になります。このことを周知していただくとともに本部会では両制度がどう有効に機能していくかを議論できればと思っております。
私は、中間報告が出た後、この両制度について、フィールドで、利用者・相談者、支援者と関わることが多くあります。相談者・利用者がより充実した生活を送りたいという声と、直接支援や援助に携わっている機関・団体等の方々の声をしっかりと聞き、また、先ほど局長が少しお話しされましたが、社会保障制度の今後に向けての議論を視野に入れながら、議論ができればと思います。
私は、参加することができ非常に光栄に、また身の引き締まる思いでいます。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、奥田委員、お願いします。
○奥田委員 ありがとうございます。対応への進捗状況もありがとうございました。
1周目なので、ちょっとぼやっとしたことになるかもしれませんけれども、一番最初の基本的な考え方で、ベースになるのは地域共生社会の実現なのだと。私はそれはそうだと思いますし、ここに入ったこともよかったと思うのですが、とはいえ、この制度自体は、当初、これを立ち上げていく、みんなで議論してつくり上げていくときに、私の中で印象的だったのは、対個人を中心としつつ、対社会ということをどう実現するか。いわゆる社会資源をつくるというようなことも含めて、当初議論してきたと思うのですね。
けれども、開いてみると、これは生活保護も一緒で、個人に対する支援というところが当然軸になるわけですけれども、共生社会のこの部分で、人と人、人と社会のつながり云々というところが言及されているのですが、だからどうするのかと逆に聞かれるとぼやっとしてしまうのですけれども、個別支援という領域のみならず、私は社会復帰と言ってきたけれども、復帰したい社会なのかということをずっと自ら問うてきましたので、もうちょっとあるべき社会、緊急事態、非日常、通り過ぎればおしまいという感覚じゃなくて、どう日常化するかということも必要なのではないか。
その中において、一時生活支援事業の名称的にも一時生活とわざわざ銘打っているわけですけれども、現状からすると違和感があって、昨日の3省合同の居住支援の会議で言うと、時間軸がずれてきている。一時的な時間でカバーできるということから、今、居住の支援という、出会いからみとりや死後事務の話まで議論しているのです。そういう時間軸、自立支援という支援開始から支援終結という時間軸で考え、動かしてきた、この制度ですが、共生社会ということや居住支援ということ、あるいは就労支援も本当はそうなのですが、時間軸のずれというものが、リーマンショックの後、これができた時代と、定常経済化した、これからずっとこういう状態が続いていく社会の中で、共生社会におけるこの制度のポジション、役割は何なのか。
その辺、ちょっと深掘りしたほうが、ばんそうこうを貼るような支援ではなくて、本当に人と社会をつくっていくという支援制度に、私は今回の改正が理念的にも一歩近づいていくということがすごく大事なのではないか、そんなふうに思っています。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
勝部委員、お願いします。
○勝部委員 豊中社協の勝部です。
この夏、物すごく暑くて、毎日、天気予報をつけると、命に関わる暑さです。エアコンを必ずつけてくださいと言っているのを見るたびに、エアコンのない家がどれほどあるかというのを、困窮世帯のところや、特に外国人の世帯、コロナの後、我々、たくさんの方と出会って、公営住宅に住んでいますけれども、そういうところにそもそもエアコンがついていないというところからのスタートで、子どもの熱が出る。体温が熱いので保育園が預かってくれなくて、それで生活がまた困窮していくみたいなことが日々行われているという実態がある中で、生活必需品とは一体何なのだろうかとか、こういう社会の温暖化に伴って、命に関わる危険であれば、こういうものはどんなふうに考えていくのか。
それから、どんどん外国人が増えていく社会で、伴走型支援で、生活困窮で我々、関わっていくのですけれども、生活の再建ということだけじゃなくて、日常生活の生活支援や地域との関わりが孤立を支えるみたいなことをトータルでやることが物すごく増えています。実は、これから私たちが向かっていく社会は、こういう問題をもっと包含していかないと、社会の中で本当に孤立した人たちが、労働者として使うだけ、そういう人たちの生活者としての支援ができないままになるのではないかと、この夏、とても強く感じていました。
それから、今回のところで、アウトリーチや地域づくりの研修ということがさらに強化されることはとてもいいなと思っているのですけれども、先ほど朝比奈委員がおっしゃった、自立支援事業のところでは、いわばソーシャルワークそのものなので、トータルにずっと支えていくということを、個別支援から地域づくりまでみんな一緒、一体に捉えていたのですが、重層になってから、アウトリーチだけの人、参加支援だけの人、多機関だけやる人と地域づくりみたいなものがばらばらになってきて、支援が縦割りになっているのですね。
アウトリーチした人が心を開いても、次の人にバトンタッチしたら、そこでまた切れてしまうみたいなことが、このままだと起きてしまうような気がして、トータルにどうしていくかということも、重層のほうも、我々がやってきた自立支援事業のところともうちょっとタイアップしていただかないと、せっかくつくったものがぶつ切れになってしまうのではないかという懸念があります。
支援会議について、先ほど説明がありましたが、既存の会議で成り立っているというところは、きっと助けてくださいと言う人だけを助けているという範囲で、困り感のない人とか、孤立している人とか、SOSを出せない人たちに向かっていこうとすると、関わっている人はたくさんいますが、最近、私たちの支援会議、20人ぐらい会議に出ていて、担当者という人はいっぱいいるけれども、誰一人出会っていないような事例がたくさんあります。本人に向き合うことができていない事例がたくさんあります。そう考えると、支援会議が必要ないということは、まだまだ本当のところまで見えていないというか、もう一歩踏み込めていないと思うので、ぜひそこへのバックアップをしっかりつくっていくことが必要だと思います。
不登校のことは言いたいですが、次、言います。
○菊池部会長 次にお願いします。
それでは、駒村委員、お願いします。
○駒村委員 ありがとうございます。
私は、1巡目なので、資料2に即して議論したいと思います。
まず、2ページの支援会議、今、勝部さんも触れられていました。参考資料は6ページで事例が出ているのですけれども、参考資料のほうは支援調整会議と支援会議の違いがよく整理されて、大事な部分だと思いますが、主な目的のところで、早期把握や支援体制の検討というのがその目的になっている。それが、既存の体制でと84%も答えているけれども、本当なのでしょうかというのはもうちょっと調べてみたいなと思っておりまして、大変重要な役割を果たしている割には、普及がいま一つ遅いかなというのが心配なところです。
それから、5ページは、広域連携について参考資料は27でしょうか。これもあまり芳しくない。たしか勝部さんのところは広域連携をやられていて、いろいろ工夫されていたということなので、もう少しよい事例をどんどん発信して想像力を高めていただく必要があるのではないかと思いました。
それから、8ページになりますけれども、自立給付金の計算を変えるというのは、非常に興味深いというか、大変重要な取組かなと思うのですけれども、36ページに参考資料がついていますけれども、これが本当に効くのかどうか。ちゃんと分析しないと、エビデンスベースドの政策が求められている中で、ちょっと効きそうな気もするし、本当に効くのかなという気持ちもあるので、これをちゃんとフォローアップ調査できるようにしておいたほうがいいのではないかなと思います。
9ページは、私の記憶が曖昧だったので、後でもう一度、復習のために思い起こしたいと思うのですけれども、日自と成年後見制度の権利擁護との連携、どういった議論だったのか、ちょっと後でフォロー、教えていただければなと思っております。
それから、28ページ、審議会の話は、後でまた議論できるのではないかと思っておりますし、気候変動によって困窮世帯のエネルギー費用がかなり大きくなって、先進国ではエネルギー貧困というのが大変重要なテーマになってきています。そういった中で、いきなり生活保護における夏季手当を提案することは難しいかもしれませんけれども、地球温暖化のことも考えて、貧困の問題を少し広めに考えたほうがいいのではないか。最後のところは今日の資料にはございませんけれども、感想として、以上です。
また2巡目で加えたいと思います。ありがとうございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
今後のフォローアップについての御依頼等もありましたが、それは検討していただくことでいいですか。
○米田室長 例えば生活福祉資金制度との連携強化ということで申し上げますと、生活福祉資金制度を利用するときに家計改善支援事業も一緒に利用することを促していくといったことを検討していきたいと考えております。
○菊池部会長 ちょっとずれがあったようですけれども、いいですか。
○大場課長 就労自立給付金の見直しを今、検討しているところでございますけれども、見直し後につきまして効果の調査ということは検討していく必要があると考えております。今回の見直しにおきましては、就労期間が短めの方々の支給実績が少ないのではないかといったことで、この辺りの給付を手厚くできないかといったことを検討させていただいておりますが、御指摘を踏まえて対応を検討していきたいと考えております。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
では、生水委員、お願いします。
○生水委員 生水です。後半戦もどうぞよろしくお願いいたします。
資料2の検討事項に沿ってお伝えします。
まず、1ページにあります適切な人員体制の確保についてですが、検討会や前半戦でもお伝えしたように、生活困窮者自立支援制度の包括的な運用を行うには、自治体において所管する担当課に、肝となる専任職員の配置が絶対必要だと思います。現場の実情をお伝えしますが、私が属していた野洲市では、私が在職中であった令和3年度の生活困窮を所管する課の職員体制は、職員5名、相談員6名でした。けれども、1年5か月たった今年の8月には、相談員は6名ですが、この間職員が3名異動して減員されて、現在、課長と主査の2名となりました。この主査の職員が、生活困窮、重層事業、消費生活、法律相談等々、予算等の事務もろもろ1人で全て兼務して行っている状況です。
このような状態では手が回らないため、効果的な広報・認知、また相談へのアクセスを高めていく取組というのは難しくて、これが原因か分かりませんが、相談件数も令和4年度、令和5年度と減少しています。
困窮制度は、人が人を支援する制度です。だからこそどんなにいい制度をつくっても、それを育てて役立てる人材がいないと、絵に描いた餅になってしまうと思います。このような状況が全国の自治体現場で起こってしまわないようにするためにも、生活困窮者自立支援制度を効果的に活用して、事業計画を立てて、予算を確保して運用し、庁内外の関係者の連携の肝となる、そうした人材が自治体現場で確保されるように、専任職員配置の位置づけをぜひ御検討いただきたいと思います。
次は、2ページの支援会議についてですが、こちらは勝部委員、駒村委員の御指摘に私も同感です。支援があれば設置する意向がある等の回答が77%の337自治体あるということですので、国は自治体への支援会議の理解を深めるために支援強化を図っていただきたいと思います。併せて、生活保護での新たな会議体、そして困窮法9条の支援会議、社会福祉法106条の6の支援会議については、これらの会議体を縦割りに縛るのではなくて、うまく組み合わせて、現場で柔軟に活用できるような方策とか、参考となる取組の情報提供を積極的に行っていくことが必要ではないかと思います。
次に、20ページの住居確保給付金についてですが、一人親家庭の支援の成果が出ています。幼い子どもさんと生活する24歳の女性ですけれども、離婚後、不安定な収入でした。でも、4月に児童扶養手当、児童手当が収入算定から除外されたことで住居確保が決定して、モチベーションが上がったのか、就労活動を頑張られて、見事、正社員の仕事に決まりました。一人親家庭を支援する子育て家庭支援課との連携も強化することができましたし、ここは本当に見直していただいてよかったと思います。
本当はもっといっぱい言いたいのだけれども、2巡目にさせていただきます。よろしくお願いします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、渡辺委員、お願いします。
○渡辺委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
私のほうから、子どもの貧困について参考資料をつけさせていただいたので、少しそれに触れながらお話しさせていただきたいと思います。カラーの調査結果があるのですけれども、今年の6月に、夏休み、大変だろうからということで取りました。
長いのでポイントだけ言いますと、2ページをお願いできますでしょうか。2ページの下のほうに、家族全員の1か月の食費というのがありますが、2人家族、お母さんと子ども1人というところで、1万円以下が8%もいて、1.5万円以下が15%いて、2万円以下が19%いて、要は1人当たりの1か月の食費が1万円ないという方ですね。3人家族だと、それが53%にまでなるということで、本当に悲惨な生活をされています。非常に問題なのは、要は、この方たち、ほとんどの方が生活保護を受けていらっしゃらないですし、生活困窮の自立のほうにもつながっていらっしゃらない方たちなのですね。
こういう方がすごく苦しいのだけれども、相談する場所がない。上のピンクのところ、4つ目に「いつか死ぬかも」と、お母さんが一言書いているのですけれども、そう思いながらも、なかなか自分がここから抜けられないというところで、これをどうしていくのかということを考えなければいけないと思います。
5ページへ行っていただけますでしょうか。5ページの真ん中辺りの赤枠で囲っている一番下、「経済的に厳しいことを誰かに相談しても解決策はほとんどないので、さらに精神的にもしんどくなります。安心して相談できるところがあるといいと思います」ということで、ずっと議論してきた、要は現金給付のようなものがない中で、生活保護にならないとなかなか解決されない中で困っていらっしゃるのではないかと思う中で、こういう人たちをどうしていくのかということを、本当にどこが考えるのかということも含めて重要かなと思います。
後ろのほうには、おかげさまで寄附を集めて夏休みに食料品を送ったので、お礼の葉書がありますが、ここでも切々と、物価が上がって、ほとんどの方が、収入は増えない中で物すごく生活費が厳しくなっているけれども、どこにも相談のしようがない中でひたすら耐えて、こういうNPOとか、国のほうでも食料支援をやってくださっているので、そういったことを探して支援を受けているような状況です。そういう中で、本当に頑張らなければいけないなと思いますし。
その中で、子どもの貧困の対策では、12ページのほうで国庫補助率の引上げというのを先ほど言ってくださったのですけれども、要は、こういう学習支援につながるとほかの支援にもつながっていくので、これを広げるためにも補助率をちゃんと引き上げて、自治体がやりたいようにできるようにすることが重要だなと思います。
私のほうから、一旦以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
続きまして、オンライン参加の皆様からお願いしたいと存じます。
まず、大森委員が途中退席されると伺っておりますので、よろしければ大森委員からお願いできますでしょうか。
○大森委員 大森です。岡山市長ですが、政令指定都市の市長会を代表して参加させていただいております。
今年の4月、また昨年の7月も、厚労省をはじめ、関係の皆様、具体的に迅速な対応を取っていただきまして、まず、感謝申し上げます。
我々も、特に生活困窮者等々に関しては、コロナの対応での助成をいろいろとやらせていただいているところであります。ただ、なかなか彼らの生活実態が向上しないというところがあります。根本的な何らかの要因をどうかしないと駄目という感じになっていると思います。この審議会で議論するのかどうか、よく分からないのですけれども、生活困窮者とか生活保護の実態と大きな課題、政府全体としてどう扱っていくのかといった議論をしていただいた上で、各論という形にしていただいたほうが分かりやすいのではないかなと思います。
概算要求も令和6年度に向けてのものを出されたと聞いております。様々な有益なものが入っているところであり、ぜひ実現を求めるところでありますが、全体論といいますか、そういったところを整理していただければありがたいなと思います。
最後に、我々、財源問題がどうしても避けて通れません。政令市、非常に厳しい状況が続いておりますので、十分な財源措置をしていただきたいと思います。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、恐れ入ります、五十音に戻らせていただきます。池永委員、いかがでしょうか。
○池永委員 全民児連の池永でございます。よろしくお願いいたします。
私がお伝えしたいことは、生活困窮者支援のための様々な制度・事業や、関係機関の役割を、民生委員・児童委員に分かりやすく説明していただきたいということです。そして、民生委員の役割を連携・協働する関係機関・団体の方や行政職員の方に、正しく知っていただきたいということです。関係機関の方にも知っていただいて、私たちもどういう方と連携していったらいいかということを知らないといけないと思っております。
少し古いデータですが、平成28年に、全民児連が全国の民児協を対象に行った調査では、地域に不足していると感じるサービスや社会資源について、生活困窮者に係る相談窓口、サービスと回答した民児協が17.3%でした。回答した民児協の中には、地域の相談窓口、サービスの情報が伝わっていないために、不足していると感じていることもあると考えられます。
民生委員は、地域で様々な地域住民と接する機会があり、お話ししています。見守り訪問活動なども行っています。見守り訪問活動は、主な私たちの用務です。お困りの方に出会ったとき相談を受けて、私たちでお答えできることはお答えしますが、支援機関のチラシをお渡ししたり、専門の相談窓口や支援につないだりしています。地域包括支援センターや、高知市社協の地域福祉コーディネーターに相談、支援につないでいます。
私が活動している高知市では、被保護者の方には、担当の民生委員の氏名などが伝えられる仕組みとなっております。例えば手元に届いた公的文書の内容が理解できないなどでお困りになって、担当の民生委員に聞きに来られる方もいます。民生委員として、文書の内容を説明したり、ときには福祉事務所などに詳細を確認したりなどの対応をしています。このような対応ができるのは、私の地域では、毎月開催しております定例会に福祉事務所の方、先ほどお話ししました地域包括支援センターや社協の地域福祉コーディネーター、保健師さんなどに来ていただくことでお互いの役割を知っており、関係ができているからできるのかなと思っております。
民生委員に制度や事業の概要を分かりやすく説明していただき、民生委員と関係機関の方々がお互いのことをよく知ることで、生活困窮者自立支援制度の各種サービスを活用して、お困りの方の支援に向けて、民生委員としてさらなるつながりやすい地域づくりの力になれることを考えています。
私からは以上です。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、今村委員、いかがでしょうか。
○今村委員 日本医師会の今村です。
今回、初めて参加させていただきまして、本当にたくさんのステークホルダーの方々が、それぞれ専門性を持って様々な御意見があるのだなということを、また改めて、今、お聞きしているところです。私のほうは、そのような中で、医療提供者として、この分野においてどのような役割を果たすべきか、改めて、また考えさせていただきながら、引き続き発言させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、浦野委員、いかがでしょうか。
○浦野委員 全国社会福祉法人経営者協議会の浦野でございます。
実は、昨日から今日の午前中にかけて全国社会福祉法人経営者協議会の全国大会が神戸市で行われまして、私は、とんぼ返りで今、東京に戻ってきておるのですけれども、今日の会議の議場には参加できませんで、申し訳ありません。その大会の中で、私も1人の社会福祉法人経営者として非常に勉強させられたという思いを抱いておりますので、ちょっとその御紹介をしたいと思います。
キーワードは、ごちゃまぜということだったと思います。この生活困窮者や生活保護の話に限らず、従来の日本の福祉制度は、どうしても専門分化ということで、縦割りで進めていく。そのことが個々の分野の専門性を高めるという意味もあったわけですし、今でもないわけではないと思うのですけれども、新しい考え方として先進的な実践事例も幾つか聴講させていただいたのですけれども、共通してごちゃまぜという言葉。つまり、それぞれの地域において、あらゆる人たちが1つの場所に、居場所としてそこで相談もできるし、そこでほかの人たちとの接点も持てるし、そこで何らかの支援・サービスも受けられるしというものを実践されている幾つかの事例を、この全国大会で私、勉強させていただきました。
そういう意味で、既存の社会福祉法人は、従来の高齢、障害、児童、保育あるいは生活保護の縦割りで仕事をしてきたわけですけれども、そこを一旦ごちゃまぜにしていくというような、これは非常に大がかりな話で、センチュリー単位の話になるのかもしれないのですけれども、そういうことを福祉政策全般として考えていくべき時代になってきているのかなと。そういう意味で、既存の制度にこだわらずに、縦横無尽に横につながっていく福祉制度をつくっていくということが、結局は生活困窮者を地域で孤立させないことにもつながるのだろうと、私も本当に勉強させてもらったという感想文を述べているようなところですけれども、そんな思いを今、抱いております。
その上で、既存の社会福祉資源としての福祉施設をどう活用していくかというのは、引き続き重要な課題だろうと思っております。就労準備支援では、社会福祉法人が50%ぐらいを占めているということで、これは大変結構なことなのですけれども、まだ全体数がそんなに多くない中での50%でございますので、これをいかに拡大していくかというのは1つ重要であり、社会福祉施設はその支援の提供元となれるファンダメンタルズは持っているのだろうと思っておりますので、そこを一層啓発していくことが必要かなと思っております。
もう一つは、例えば一時生活支援事業など、短期の居住確保、1週間だ、10日だという単位での居住確保ということですけれども、これも社会福祉法人制度改革の一連の流れの中で、福祉施設の職員の常勤・専任というようないろいろな規制が、地域における公益的な取組の中ではかなり緩和されてきているのですけれども、例えば特別養護老人ホームの居室を一時的な宿泊場所として提供できるかというと、実際にはやっている法人もあるのですけれども、法令上、そこがなかなかクリアにはされていないということがあります。
特別養護老人ホーム、稼働率が高いところでも100%ということはまずないわけです。どなたかが入院されて、2~3週間、施設のお部屋が空くということは当然あるわけですね。そういうものを積極的に活用していくという、既存の社会資源としての福祉施設を、この生活困窮者の事業にも積極的に活用していくということも、さらに進めていく必要があるかなと思います。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、大西委員、お願いします。
○大西委員 私も社会福祉法人の大会がありましたので、今日はオンラインで失礼します。後半戦もどうぞよろしくお願いしたいと思います。一応、肩書は社会福祉法人の理事長ということになっていますが、保護施設をさせていただいていますけれども、そういった観点から2点ほどお話ししておきたいなと思います。
1点目は、先ほどもちょっと触れておったのですが、必要な人員体制を確保できる補助体系の見直しということで、参考資料1の5ページ辺りで出てくるかと思います。現場の職員から、あまり件数に頼ってばかりの評価もちょっとどうかなという話が出ております。では、どう評価するのだということで、私もちょっとぴんとこないのですが。というのは、件数はさほど上がっていないけれども、大変に手厚い支援が必要なケースを取り扱って、労力を要しているのが困窮者支援の現場ではないかということを言っておりますので、取扱い件数重視ということであまり言及しないようにしてほしいという話が出ております。
もう一点は、これは長い間の懸案事項で、保護施設、とりわけ救護施設と福祉事務所の情報共有ということを長く言われておったわけです。中間まとめでも、ようやくそういったことを、今後、支援計画をつくっていく中で、しっかり情報共有しましょうという文面をまとめていただきました。ここは積極的にやらなければいけないなということで、私どもの法人では福祉事務所のケースワーカーを対象とした救護施設の見学会というのを開催しており、今まではずっと大阪市内の福祉事務所だけに御案内しておったのですが、今年度は広げて大阪府下の全福祉事務所に案内を出させていただきました。何とびっくりしたのですが、4分の3以上の福祉事務所、ケースワーカーの数にすると300人近い方が私の法人に見学に来られました。アンケートを取っておるわけですが、まとまれば、また御披露したいと思うのですが、大変好評でした。
全国の救護施設に対して私どもの法人がやっているような見学会を開催するなど、積極的に福祉事務所のケースワーカーに施設に来ていただくよう働きかけをしたいと思いますので、国としても福祉事務所に対して積極的に施設現場を見に行くように声掛けをお願いしていただきたいなと思います。
以上2点、どうぞよろしくお願いします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、岡﨑委員の代理の和田参考人、お願いします。
○和田参考人 よろしくお願いします。高知市の岡﨑誠也市長の代理で、高知市福祉事務所長の和田でございます。
私のほうからは、勝部委員さんからも幾つかお話がございましたけれども、資料2ページ、支援会議の設置について。支援会議へのバックアップ、またノウハウの提供というのも非常に重要かと思います。生活困窮者自立相談支援事業で支援会議を立ち上げるとしても、どういった形のもの、どういったモデル的なものがあって、こういった形で立ち上げを進めていけばいいというガイドライン的なものがあれば、非常にやりやすいのかなという考えを持っております。
もう一つ、3ページ目でございますけれども、生活保護者に対する自立支援のケースワーカーの役割及び関係機関との連携というところで、この中でも支援会議の例を参考に会議体を設置できるようにする方向でというお話になっておりまして、その中でも事務を実施するケースワーカーや自治体の業務負担に配慮が必要だということ、この配慮の点はありがたいと思います。と言いますのも、ケースワーカーは非常に多忙を極めておりまして、高知市も保護率が33パーミルということで、全国的にも中核市の中で非常に上位のほうであります。ケースワーカーは、この多忙な中で会議体を設置して、その中に入って話しをするというところ。
いろいろな方の話を聞きながら、多様な職種の知恵を集めて、ケースのことを考えて支援していくというところは非常に重要で、経験の浅いケースワーカーが多くなっていますので、専門的な方のお話を聞く場を設けていただくのは非常にありがたいと思いますが、できましたら、こちらのほうは既存の会議体を活用して、そういった会議としていただけると現場としては助かるかなと思います。
それと、生活保護の会議体については、縦割りではなく、いろいろうまく組み合わせてというお話もありました。また、浦野委員からはごちゃ混ぜというキーワードをいただきました。確かに縦割りではなく、いろいろなところが集まって話をして支援のことを考えていくことは非常に大事だと思います。そういった中で、ケースワーカーも助けてもらう。ケースワーカーの経験の浅い人も、困りながら、悩みながらケースワークをやっておりますので、その辺については、ケースワーカーへの支援というところにおいても、既存の会議を活用していくということが、生活保護の関係機関との連携では有効ではないかなと考えております。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、五石委員、お願いいたします。
○五石委員 後半戦もよろしくお願いします。本日は参加できず、申し訳ございません。オンラインで失礼いたします。
まず、資料2のほうで申し上げていきたいと思います。1ページにある、そもそも生活困窮者自立支援事業が認知されていないのではないか、という問題。これを議論したほうがいいのではないかと思います。なぜ認知されていないのか、資料ではその対応策を書いていただいています。では、その対応をして、結果として、どれぐらい認知が上がったかという評価の作業を、今後していったほうがいいのではないでしょうか。
そもそも生活困窮者自立支援制度は、複雑かつ多様な課題を抱えている方の支援をすることが目的ですが、それとともに、制度も複雑かつ多様なものになっているのではないか。そのため、利用者にとっては非常に分かりにくくなっています。分かりにくいという点は、先ほど池永委員からも御意見がございました。朝比奈委員と勝部委員からも、重層についてでしたけれども、縦割りになっているのではないかというご意見がありました。それから、浦野委員からも縦割りの問題を指摘されました。利用者にとっての制度のインターフェースは、シンプルかつ分かりやすくというのを方向性として考えるべきではないかなと思います。
そのために、これは例えばですけれども、自治体が中心になってコントロールタワーを持つべきではないでしょうか。資料の3ページに、福祉事務所における多機関連携支援というのがございますけれども、福祉事務所の機能強化というところで、ユーザー、利用者の方の市民のインターフェースをより分かりやすくシンプルにするということを考えてもいいのではないかと思います。
それから、2つ目ですけれども、生活困窮者自立支援事業が使われていないのではないか、という問題。これは特に就労訓練事業とか就労準備相談についてです。また、先ほど支援会議の話もございました。実際には、就労準備や就労訓練をやっていないわけではなくて、自治体の裁量で独自にやっていらっしゃるところはたくさんあります。ところが、制度の規格に合わなかったり、あるいは手続が大変だったりということで制度を使わないという事例が全国にたくさんあります。これらのことを考えれば、新しい制度をつくって、そこに補助金をつけるというよりも、自治体がやっていることに対して、その裁量を評価してお金をつけるほうが財政的に効率的なのではないかと思います。
また、生活困窮者自立支援事業が、そもそも第2のセーフティネットたりえているのか、という問題があると思っています。本部会の前半では、もやいの大西さんがワーキングプアに対してほとんど対応できていないのではないか、という問題提起をされていましたけれども、これは考えたほうがいいのではないか。
もう一つだけ言わせてください。就労インセンティブのところで、資料の8ページに就労自立給付金についての記述がございました。これは質問なのですが、事前に問合せもさせていただいたのですが、生活保護を廃止する際の勤労基礎控除額が、改正前と比べて低くなっています。例えば収入が月10万円程度であれば、1万円ぐらい低くなっています。これはどういうことを意味するかというと、生活保護の廃止に至る収入水準が改正前より低くなっているということなのですね。それと併せて就労自立給付金が導入されているわけです。駒村先生はエビデンスとして検証したほうがいいのではないかと先ほど言われたのですけれども、理論的に考えて控除率を下げることはインセンティブを弱めることになっているのではないかと思います。
そこで私が伺いたいのは、なぜその控除額を下げたのかという理由をぜひ教えていただきたいと思っております。よろしくお願いします。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、お答えをお願いします。
○大場課長 平成25年当時の改正ということでございますので、10年近く前でございますので、事実関係を整理させていただきたいと思います。当時、就労自立給付金の創設と併せて、そういった控除額の見直しを行っておりますので、給付金で促進しつつということで見直しを行ったのかなというような推察はいたしますけれども、いずれにしても整理させていただきたいと考えております。
○菊池部会長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
今、チャットで3分をお伝えするという技を編み出しましたので、よろしくお願いいたします。
それでは、佐保委員、お願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。佐保です。後半戦もよろしくお願いいたします。
私からは、3点意見を申し上げます。
まず、1点目です。就労準備支援事業や家計改善支援事業、一時生活支援事業について、中間まとめでは、未実施の小規模自治体に対し、「広域連携による事業実施に向けた支援を行う」ことなどを検討するとしています。これらの事業の必須化・努力義務化を進める上で、近隣自治体との広域連携を検討する必要性は理解できます。ただ、自治体が地理的に離れている場合、支援員が自治体間を移動するのに半日以上を要してしまうようなケースも想定されます。広域連携の検討に当たっては、このような地理的な事情も考慮し、支援する必要があると考えます。
2点目です。就労準備支援事業、家計改善支援事業を実施していない自治体への調査で、事業を実施するために必要な支援策として、「事業実施の法的根拠の明確化」、つまり必須事業化を求めている自治体もあることが明らかになりました。この中には、必須事業化されたほうが任意事業よりも予算を確保しやすいといった自治体の事情も背景にあると考えられます。こうしたことも踏まえ、改めて、いずれも必須事業化を目指すべきと考えます。
3点目です。生活困窮者向けの事業の中で、被保護者も支援できるようにする方向性が示されていますが、行財政改革による職員定数削減の結果、マンパワー不足に悩む自治体もあります。生活困窮者自立支援制度と生活保護制度、両方の人員体制の強化と、そのための国の財政支援を講じるべきであると考えます。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
竹田委員、お願いいたします。
○竹田委員 後半戦もどうぞよろしくお願いいたします。
後半戦が始まるに当たって、今回、まとまりました中間まとめを、改めて、昨日、ずっと確認していたところですけれども、基本的な考え方の中で1ページにあるとおり、新型コロナウイルス感染症拡大による生活困窮への対応の経験も踏まえた課題への対応ということで、中間まとめがなされていて、2ページにもあるとおり、そこから見えてきた課題を踏まえつつ、実際の伴走型支援を実現していく必要があるということでまとめはされているかなと思うのですけれども、感染症の拡大の状況も議論していた当時と少し変わって、今後の考え方というのも少し変わってくるのかなというのを、改めて中間まとめを見て感じたところでもございました。
続いて、3ページのほうにも書いてあるとおり、制度の外側にある他制度との連携とか、支援の質や量を充実させていく観点が大切だということで、中間まとめの中では基本的にはまとめられていたのかなと理解しています。
本日の資料の1ページにある自立相談支援機関の機能強化について、今後、人員体制の確保を含めて具体的な指標を示していくということになっておりますが、福祉分野に限らず、人材の確保というのはかなり難しくなってきている側面もありますので、より具体的な検討が必要であろうと考えています。
2点目ですが、先ほども出ていたとおり、ケースワーカーの役割及び関係機関との連携ということで、新しい会議体の設置も含めて、現在、検討を進めているところかなと思いますけれども、中間まとめの中で確認しますと、ケースワーカーが実質的なコーディネート機能を適切に発揮していくことが必要というふうに、このまとめの中でもされていますので、実際、この会議体の運営の中で、こういったコーディネート機能を発揮できるかどうかというところも、今後、運営方法を考えていく上では重要なポイントではないかなと考えておりますので、いずれにしろ、中間まとめでまとめたところも踏まえつつ、今後、さらに議論していくことが大切なのかなと思って、改めて確認させていただきました。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、堀委員、お願いいたします。
○堀委員 どうもありがとうございます。労働政策研究・研修機構の堀です。後半戦もどうぞよろしくお願いいたします。
中間取りまとめ、誠にありがとうございました。私からは、生活保護と困窮支援について申し上げたいと思います。
まず、生活保護について、子どもの貧困のことですけれども、子どもといいますと、義務教育以下の年齢と受け取られることが多いと思いますが、貧困の連鎖を断ち切るためには、高校段階も大変重要ではないかと思っております。無事に高校を卒業できれば様々な道が開けていくわけですけれども、高校を卒業していないとアルバイトも難しいという現実があるわけです。
そこで、第1に、保護家庭の高校中退率は一般家庭に比べて高くなっているわけですが、ぜひ高校を卒業できるような支援をさらに拡充していただければと思っております。
第2に、就労自立給付金の対象を、高卒で就職し、一人暮らしのために世帯から独立する者へ拡大することを検討していただけるとのこと、ありがとうございます。ぜひ実現することを祈念しております。
第3に、若者と困窮者支援について、もし議論できる機会があれば大変ありがたく思っております。若者は困っていないわけでもないのにもかかわらず、現在の困窮者支援ではあまり若者を救い上げられていないように感じております。どのようにリーチができるのかについては検討が必要なのですけれども、ぜひ議論の機会をいただければとお願いしたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、お待たせしました。𠮷田委員、お願いいたします。
○𠮷田委員 鳥取県の𠮷田でございます。今回、初めて参加させていただきました。
それこそ皆様方からいろいろな分野で御意見を伺っておりますが、まず、事務局より冒頭、中間まとめで示されました検討事項と、その対応状況等の説明をいただきました。今後、必須事業化される方向で検討されております就労準備支援事業、また家計改善支援事業につきましては、未実施の自治体で事例やノウハウの提供を求めているというところでありますが、事業の実施形態は直営や委託と様々な状況にあるというところであります。そういった面で申し上げますと、それぞれの課題を解決するような事例でありますとかノウハウ等を提供していただく必要があると思っているところであります。
また、必須事業化を全ての福祉事務所で実施したといたしましても、費用対効果が薄く、逆に職員の負担増につながるのではないかという懸念も持っているところでありまして、自治体の立場で申し上げますと、そういった気持ちであるということであります。
それから、今日の参考資料2にも記載がありますように、基本的な考え方として、法制上の措置が必要な事項は運用で対応できる。可能なものから順次対応していくと記載してございます。福祉事務所を持ちます町村は、専門職員や予算が必ずしも多くないのが現状だろうと思いますし、人材の確保でありますとか予算の確保といった裏づけがなければ、十分な運用につながらない可能性があると考えております。十分な財源確保をお願いできたらと考えております。いずれにいたしましても、その制度化におきましては、希望する自治体が円滑に事業を進められるよう、十分な検討をいただければと思います。
それから、申し訳ないのですが、後半戦のお話、いただきました。急遽公務が入りましたので、失礼させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
以上です。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
それでは、新保部会長代理からお願いいたします。
○新保部会長代理 明治学院大学の新保です。よろしくお願いいたします。
中間まとめにおいて示された検討事項について、この間、取組を進めていただき、感謝申し上げます。
生活困窮者自立支援制度については、任意事業の実施率を少しずつでも高めてきているのは、都道府県、福祉事務所設置自治体の努力の賜物と受け止めております。一方で、制度が実施されて一定の年数がたちますと、今、それぞれ実施している事業の在り方が制度のスタンダードみたいになってしまいがちであると思うところです。制度の司令塔と言われている自立相談支援事業については、高度な相談支援を担う人材を確実に配置できるような体制整備が求められます。
また、各事業を制度の理念や本来の事業の考え方を踏まえたものにするために、その内容や質を担保するための工夫も必要になると思います。家計改善支援事業は家計を入口にした本人に寄り添う支援、就労準備支援事業は本人の状態や希望に合わせたオーダーメイド型の支援、それから、子どもの学習・生活支援事業は、前の法改正で生活支援が加わりました。子どもと家族への支援を支援の機会として、自立相談支援事業や他機関との連携によって行っていくことが大切ではないかと思います。
実施があまり伸びていない一時生活支援事業、そして地域居住支援事業については、今般、住居確保要配慮者に対する居住支援機能等の議論が進められている中で、本部会でもしっかりと議論が進められるよう願っております。
支援を充実させていくために必要なのは、自治体の体制強化と人材養成かと思います。人が人を支援する、この制度における人材養成は、まさに制度を支える根幹だと思います。人材養成については、国が責任を持って充実する形で進めていただいていることに心より感謝しております。
次に、生活保護制度についてお話しさせていただきます。中間まとめでは、生活保護制度と生活困窮者自立支援制度の連携の在り方が課題として浮かび上がりました。これについては、両制度の一体的な支援・連携の推進に向けて検討を進めていただいていることは、とても重要なことだと思っております。中間まとめでは、ケースワーカーの役割が関係機関等からなかなか理解されず、被保護者に対するあらゆる対応を抱え込まざるを得ないというような課題も明らかにされました。
ケースワーカーや査察指導員の専門性を高めるために、研修等の効果的・効率的な実施を図ることが検討事項となっていますが、生活保護担当職員の人材養成について、国が人材養成指針を示す中で、着実に国や都道府県が人材養成研修を実施するとともに、各福祉事務所ごとのOJTをよりよく進められるような仕組みづくりをぜひ進めていただくことをお願いいたします。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
非常に多くの御意見をいただきまして、ありがとうございます。また、進行に御協力いただきまして、感謝申し上げます。
それでは、ここで一旦休憩を取らせていただきまして、2巡目の議論に移りたいと思いますが、16時40分再開とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
(休 憩)
○菊池部会長 それでは、時間になりましたので、再開させていただきます。
一わたり、皆様に御意見いただきましたが、続きまして、さらに御意見おありの方につきまして、オンラインの皆様は挙手機能を使ってお示しいただければと思います。
最初に、何人ぐらいの方が御発言予定かを把握させていただきたいので、挙手機能を使ってお示しいただければ幸いです。それから、会場の方は手を挙げていただければ。会場で5人いらっしゃいました。オンラインの皆さん、おられませんか。お一方、いらっしゃいました。それでは、すみませんが、お一人4分ということで、1分ボーナスということで、差し当たり2巡目を進めさせていただこうと思います。会場は6人ですか。分かりました。
それでは、勝部委員からでよろしいですか
○勝部委員 それでは、先ほど言いたかったことのもう一つなのですけれども、この間、8050問題というのにたくさん対応してきていたのですが、よくよく考えてみると、この夏、不登校が物すごく増えていて、コロナの後ということもあるのですが、豊中でも、ある中学校は2割、学校に来ていないところが出てきたりということがある。
実際、8050まで待って、そこからやっと助けるみたいなことよりも、もっと予防的にやろうと思うと、小学校・中学校との連携が必要だと思って学校連携を始めたのですが、学校にほとんど来られていない人たちに、例えば今回の生活保護の学習支援のプログラムとか中学校・高校への支援といっても、九九が言えない16歳ですから、そんな状態になって義務教育期間が切れて、そこからどこにも行けないという人たちがこれからどんどん増えていくような気配があります。もう既にそういう人たちのところと、私たち、160世帯つながって、毎週フォローし始めているのです。
よく考えてみると、この人たちに例えば高校に行き直すということを言おうと思ったら、どこから勉強していいか分からないぐらいになるので、例えばこの夏、その子たちにプログラミングをマイクラを使ってやるようなのを提案したら、すごく頑張れたとか、アニメーションをiPadで描くような講座をつくったら、初めて自分の大好きに出会えたと出てきて、30人出会えているのですね。そんなふうに考えると、学習支援のいろいろなお金を、生活保護の中でももっとこういうものに当てられるような、継続的に関わっていくときの費用に当てられるようなものにできないか。高校に行くとか中学に行くだけのことに限定してしまうと、クラブとか部活どころではないという人たちがいる。
ですので、この不登校の問題というのは、もう一つ大きなテーマとして学校連携で考えていくというのを、教育委員会とも連携して困窮者支援、生活保護の問題はやっていかないと、1学期に1回の安否確認をしましたということをやっていると、大量に子どもたちの貧困の連鎖が高まる。次回、またその話ができるかなと思いますが、そこがあります。
もう一つが、コロナでホームレスになっていた人と、この3年間で37人出会った、37人助けた。でも、その人たちが、この間、勝部さん、僕、20万稼げるようになったんだと連絡してきてくれて、あのとき助けてくれてありがとうと言われた。ただ、20万稼ぐと、いっぱい税金取られるようになったんだ。保護から脱却のところで、そのぎりぎりまでいい感じで来られたのが、いきなりがくんと生活費が足りなくなって、貯蓄ができてと思っていたことがなかなか難しいように思うということを言っていたので、さっきの自立給付金の辺りがもうちょっとなだらかに生活できるような応援。過保護ではないかみたいなのではなくて、もう少し何かできると助走がつくのになというのを感じたところでした。
3つ目が、先ほど駒村先生がおっしゃっていた日常生活自立支援事業と成年後見と家計支援の関連ですが、成年後見については国連が人権侵害ではないかという話が出ていて、お金を代わりに全部意思決定していくことがどうなのかみたいなことが出てくる中で、なかなか進んでいっていないという問題もあるのですが、我々の生活保護の人たちの関わりの中でも、ギャンブル依存とか。結局、お金をもらってもすぐなくなるという人たちには、家計支援で伴走してあげるのがすごく大事で、分割でお金を渡すだけでは、その日使って、次の日ないという繰り返しなので、丁寧な関わりがないと難しいなと思いますので、ここのスキームがうまくできればいいなと思います。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、駒村委員、お願いいたします。
○駒村委員 ありがとうございます。
今の勝部さんのことに関わるとすると、ギャンブル依存、様々な精神的課題を持って、ちゃんとした家計支援から見ると合理的なお金の使い方ができない人に対して、踏み込んだ支援をやる必要はもちろんあって、そこに対する何らかの科学的なエビデンスが必要なのかなと思います。
それで、先ほど報告書として紹介されているだけで、あまり深い御紹介がなかったのですが、住宅確保要配慮者の報告書でありますけれども、単身の高齢者が増えるということで、これからもっと状況は悪くなっていくのではないかなと思っています。まず、この間の経済財政白書を見ると、男性の30代の婚姻率は、所得との相関関係が非常にきれいになっていて、低所得者ほど結婚できていないということ。一方、女性が男性に期待する賃金が現実とのギャップがかなり大きいということで、これはジェンダーギャップの問題が背景にあると言われますけれども、男性の生涯未婚率、50歳時点で30%に接近するという状態で、この人たちがどんどん入ってくることになります。しかも低所得ということになる。
しかも、これは本当はもう少し丁寧に多相生命表というものを見て分析しないといけないのですけれども、特に男性未婚者の健康状態がどうもよろしくない。データの見方によりますけれども、寿命も決して長くないということで、この象限の中では70代前半で死亡事故と言われている死亡問題が大きく出てくるのではないかと思って、この報告書の死亡退去とか死亡事故のところをよくよく見させていただいて、この検討会ではどういう議論があったのか。
特に、よく分からなかったのが、7ページの18行目に「要件を緩めてしまうと」云々という記述があるのですけれども、これは奥田さんが参加されているので、この辺、どういう議論が行われたのか、少し詳しく御紹介いただければなと思って、この死亡退去の問題。あるいは、終身建物賃貸の要件緩和をめぐる議論、これは後で教えていただければなと思っています。これから極めて重要になってくる、借りるという問題から死亡で退去していくという問題。それに伴う様々な残置物の問題とか、大変重要になってくるかと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
生水委員、お願いします。
○生水委員 ありがとうございます。
駒村委員がおっしゃった死後事務に関するお話なのですけれども、野洲でも重層事業の中で死後事務について検討して、実施に向けて準備を進めているところです。教えていただきたいのが、この居住支援の検討の中で死後事務が含まれていて、そこの中で、法律もしっかりと検討されていくのかどうか。ぜひとも法律の整備が必要ではないかと思いますので、ここも教えていただきたいなと思っております。
あと、人材育成の検討事項についてお話しさせてください。32ページにゲートキーパー研修との連携というのが挙げられています。これはぜひ実現いただきたいと思いますし、31ページの関連施策との連携にも関係していることなのですけれども、特例貸付の返済免除において、死亡による返済免除があります。滋賀県社会福祉協議会の令和5年3月末時点での集計ではありますけれども、死亡免除申請93件のうち、自殺による死亡が少なくとも13件あったとのことです。これは添付された死亡診断書から確認されたということですが、中には12月28日頃に低体温・低栄養のため死亡という診断書があって、担当者は悲惨な状況に、つらくてたまらなかったとおっしゃっていました。
特例貸付は、借受人が生活困窮状態にある世帯なので、さらに生活困窮に追い込まれての自殺ではないかと思われます。だからこそ、早い段階でそうしたSOSに気づいて支援の手を差し伸べることが重要だと思っています。
国は、3月20日付事務連絡で「生活困窮者自立支援制度と自殺対策施策との連携について」を発出くださいましたけれども、社協、そして自治体現場において、生活困窮と自殺対策の連携が進んでいるとはまだまだ思えないです。また、9月8日には、厚生労働大臣、文部科学大臣、こども政策担当大臣から、各自治体のトップへ「こどもの自殺対策の推進のために」と題したメッセージが送られました。困窮者、子どもたち、誰もが自殺に追い込まれないような社会の実現が大事だろうし、各自治体の困窮と自殺対策が一体的に取り組めるように、もっと対策を講じていただくことが必要だと思っております。
先ほど米田室長がおっしゃっていた中で、生活福祉資金貸付において、家計改善支援事業を利用するようにするという御説明があったかと思いますが、これは今、社協さんが対応されている償還計画等を含めて想定なされているのかということを、もしお分かりなら教えていただきたいと思います。
最後に、重層事業のことなのですけれども、先ほどから御意見がいろいろ出ているように、地域づくり、参加支援、アウトリーチが別立てになっているので、これは使いにくさがあります。ここの検討が必要だろうと思うのと、福祉事務所未設置町村による相談体制において、例えば愛知県武豊町さんは、令和5年から生活困窮者支援一時窓口の設置を行われて、重層事業を本格実施され、包括的な相談体制を構築されています。この重層的支援会議において、県の福祉事務所のケースワーカーさんも参加されておりまして、「被保護者が地域でどのように生活されているか、どのような生活課題があるのかを町と情報共有して一緒に連携して支援ができるのは大変ありがたいし、助かる」とおっしゃっていました。
このように福祉事務所未設置町村が重層事業をうまく活用することで、福祉事務所のケースワーカーの負担軽減につながるのと、被保護者へのケースワークが機能的かつ効果的にできるのではないかと思いますので、現場が柔軟に動くことができるような重層事業の検討をぜひともお願いしたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
お問合せがございましたので、お願いします。
○米田室長 生活困窮者自立支援室長でございます。
家計改善支援事業について、今の社会福祉協議会の特例貸付の償還計画のことですか。
○生水委員 ごめんなさい。先ほど室長のほうが生活福祉資金についてとおっしゃっていたかなと思うのですが。
○米田室長 失礼いたしました。まだ私どものほうで検討中ということであるのですけれども、家計改善支援事業を今後必須化するに当たって、生活福祉資金を貸し付けるときに、その事業の利用というのを促していくということを考えているということでございます。
○勝部委員 それは懲罰的に家計支援を受けさせるみたいな感じの発想を今、考えているのですか。ちょっと聞き捨てならない。社協職員とか民生委員さんでずっとやっていることですから。
○米田室長 もちろん懲罰的ということではございませんで、生活福祉資金を借りた後は、その方が償還していく必要がありますので、そのための支援として家計改善支援事業の利用というのも考えられるのではないかと考えております。
○菊池部会長 生水委員。
○生水委員 10秒で終わります。勝部さんに尋ねたいのだけれども、社協さんが、通常はこの償還計画とか、その生活を支えながら返済できるようにしていくというのを見守ってやっていくとされているのですね。
○勝部委員 そうです。そういうふうにやっていますし、コロナの特例の貸付けについても、ずっとプッシュ型で応援もしていますし、そもそもそういう伴走でやっていくという体制で人員体制もずっとつかないまま来ていたのもあるのですけれども、コロナのことで、どういう関わりをするかというのは、市町村社協もノウハウもかなりしっかりできてきていると思いますし、そもそもこの事業は世帯更生運動で民生委員さんたちの運動からできた事業でもあるので、民生委員の皆さん方が償還のところで関わっていただいている地区もたくさんありますから、それを家計支援事業にぽんというのは、もう少ししっかり議論した上のほうがいいと思います。
御本人が例えばギャンブル依存があるとか、何らかの課題があって、そういうふうに管理していくほうが適切であるということであれば、また別なのですけれども、必須みたいな形にするのは少し違うような気がします。
○菊池部会長 米田室長。
○米田室長 御意見いただきまして、ありがとうございます。私どもとしても、今後検討を進めていくということでありますので、今の御意見を踏まえながら、引き続き検討していきたいと考えております。
○菊池部会長 御検討をお願いします。
それから、先ほど、駒村委員、生水委員、続けて、住まい支援の検討会についてのお問合せがあったのですが、事務局のほうで把握されていることで何かお答えできることはありますか。
米田室長、お願いします。
○米田室長 先ほど駒村委員からありました、参考資料4の7ページの16行目からの記載でございます。資料では青い文字になっていますけれども、ここは各委員から出された主な意見ということです。ここの「終身建物賃貸借は」というところで、「その要件を緩めてしまうと入居時に最後までリスクを見据えて借りることが出来なくなってしまうのではないか」といった御意見があったということですが、その要件というのはバリアフリー要件のことかと思います。終身建物賃貸借を行える部屋の要件というのが幾つか決められており、その中にバリアフリーの要件があるのですけれども、そのバリアフリーの要件があるがゆえにハードルが高くなって、かえって終身建物賃貸借が進まなくなるのではないかという御意見があった一方で、同じ部屋に住み続けるにはバリアフリーというのが必要ではないかといった観点からの御意見もあったと理解しております。
○菊池部会長 ありがとうございます。
奥田委員は後でよろしいですか。ここで何か。唯一、奥田委員がその検討会委員なので。
○奥田委員 さらにボーナストラックでいただけますか。バリアフリーのこともありますし、そもそも借地借家法が相続されてしまうという問題があって、亡くなったときに借地借家上の権利が相続の対象になるということで、相続人がすぐさま分からない場合に関して大家さんが処分できない状態になる。それで、終身でやると、その代で終わるので、そこで全ての区切りが来るということも1つある。
ただ、これは借地借家法の中では異例というか、特例みたいな形で、従来の借地借家法からしたら途中解約の事例になるので、途中解約ということに関しては、最終的にはたしか知事の判断か何かが必要になるという、ちょっと特殊な条項として、これが認められているのです。これをもうちょっと一般化したらどうかという意見が一方では出ているということです。
○菊池部会長 ありがとうございます。
ひとまずここで止めさせていただいて、渡辺委員のほうに移らせていただきます。
○渡辺委員 ありがとうございます。
では、私のほうから引き続き、子どもの貧困の学習支援・生活支援事業について2点お話しさせていただきたいと思います。
まず、1点目ですが、先ほど勝部委員から不登校が増えているというお話がありましたけれども、本当に不登校ですとか、様々な障害がございます。今回、ヤングケアラーや不登校、ひきこもりの方への長期的な関わりを支援するために加算があるみたいなことがあるのですけれども、不登校とかヤングケアラーだけではなくて、外国にルーツのあるお子さんとか発達障害のあるお子さんとか、様々な課題を抱えるお子さんが、いわゆる貧困の学習支援のほうにつながってきて、現場のスタッフの方が物すごく努力しながらやっているという状況です。
本当に多くの事業者の方がそういったところを一生懸命丁寧にやっているので、細かくいろいろ定義するよりは、場所によって違うので、自治体の方がやりやすい形、現場に即した形でお金が使えるといいのかなと思いますし、そういう意味では、細かいところに加算するよりは、自治体の方もずっと言っていらっしゃいますが、ずっと言い続けていますが、補助率をそろそろせめて3分の2に引き上げるという形でやっていただければと思います。コロナの後の物価高騰ですごく大変になってきていて、自治体でやらせていただいている、私たちがやっている事業でも、キャンセル待ちということでニーズに応えられないところがたくさん出てきています。
キャンセル待ちという言葉はきれいですけれども、そこに入れないお子さんたちというのは、学びが確保されない中で非常に困っている状況が、このままいくとずっと続いてしまうということです。自治体のほうでは、やりたくても財政のことでなかなかできないというのであれば、ぜひそれはやっていただけるといいのかなと思っております。
2点目が、こども家庭庁ができまして、こども家庭庁でも居場所の議論が進んでいて、あちらでも予算がつくという中で、これをどうやっていくのかというのがあるかと思うのですけれども、こども家庭庁のほうの議論にも出させていただいているのですけれども、ユニバーサルで誰でも来られるということを大事にするような考え方の下でやられていて、それはそれですごく重要だなと思うのですけれども、生活困窮の学習支援・生活支援事業で、そういう子どもたちが来るからこそ、そういう子しかいないからこそのよさみたいなものはすごくあるのではないかと思っています。
例えば今回もやっていただいた生活困窮とか生活保護家庭のお子さんが進学する際に、授業料まで全部というと、40万とか50万とか、それぐらいまでプラスアルファでバイト、貯金できますよというのは非常に重要なことで、高等教育の就学支援制度ができたので、生活保護家庭のお子さんで東京辺りだと大学進学する子が多いのですけれども、進学後の学費が用意できるのかということの不安を物すごく抱えていらっしゃる中で、こういうものがあるよというのをお伝えすることはすごく重要なのですけれども、ユニバーサルな居場所になったときに、こういった情報をちゃんと必要な人に届けられるのかどうかということがあると思います。
先ほどから、困っている方が利用しないとか、利用につながらないという中で、この学習支援・生活支援事業というのは、自立相談には行かない家庭の方たちが子どもの学習支援ということで来ていて、そこから様々なところにつながっていくとか、必要な情報を得て、自立相談を受けなくても、何とか自立を家庭で保っていけるような効果があると思うので、そういった中で、居場所は本当に大事なのですけれども、居場所と困窮の事業ということをよく考えていただければなと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、奥田委員、お願いします。
○奥田委員 すみません、最初のところで言ったことの続きみたいな話なのですが、居住支援がこの社会というか、国全体のテーマとして、この間ずっと来ている。実際、これから先、進んでいく上で、私は新たな体系、新たな法律ができれば、それは一番いいかもしれませんけれども、なかなかそういうのは難しいかもしれない。そのときに実際の長期にわたる生活の支援を誰が引き受けるのかということに関しては、そのうちの一つの候補は生活困窮者自立支援制度であろう。何よりも自立相談が必須事業として全基礎自治体に配置されている。これは非常に強みだと思います。重層はさらに幅があるけれども、手挙げなので、なかなか一斉にこうというわけにもいかない。
ただ、私は法律の専門家ではありませんけれども、例えば第3条の、現に経済的に困窮し、最低限の生活を営むことができなくなるか、できなくなるおそれのある者というのが対象に、その前にいろいろ説明がついている。地域の状況、身体の状況、いろいろあるのですけれども、もともとの法文自体は残っているのです。だから、現に経済的に困窮し、最低限の生活を営むことができなくなるおそれのある者ということになると、この対象は、文字どおり生活困窮者ではなくて経済的困窮者ですね。だからこそ、この制度というのは就労支援に相当力を入れてきたし、就労何人、増収何人というところを1つの目安、成果軸にもしてきたということだった。
こうなると、対象者像は比較的若いと言えるかどうか分かりませんけれども、就労層であったり、支援期間も半年とか1年という時間軸で動いていくということになると、居住というワンポイントから見てもちょっと合わない。居住支援で話している事柄を生困に当てはめようと思うと、相当無理があるのです。では、生困を使わないかというと、ほかに代わるものが、例えば老健局関係の制度を使うのだったら、これこそ年齢制限が入ってきたり、あるいは介護度みたいなものが前提になっていくので、なかなかこれは難しいということ。
こんなことを今頃言っても難しいかもしれませんが、正直、第3条をどう考えるのかというのは、実は今後の例えば地域共生社会とか孤立・孤独とか、あるいは居住支援ということを本気で考えていく上では、もしその受け皿として生活困窮者自立支援制度というものがあると考えていこうとするならば、実際のところ、私、第3条を議論するということをどこかでやらない限りは、最終的にはこの法律の対象者は、例えばお金はあっても家に入れない、お金はあってもお葬式を出してくれる人がいない生活困窮者は対象じゃないのですね。けれども、実際、現場はそういう人たちをもう既にやっていると思います。
地域の孤立・孤独の人たちとか一人暮らしの人たちとか、今、駒村先生がおっしゃった、まさに男性の生涯未婚率3割となってきたら、あと20~30年したら全く身内のいない70代の男性が全体男性の3割以上を占めてくる。これは物すごい状況になると思うのです。そのときにどの法律・制度を使うのということでいうと、縦割りの話がさっき出ていましたけれども、この際、縦割りのウイングをこれからどれだけ広げられるかというのは、それの一つの試金石としての議論は、僕は居住支援だと。居住支援の議論が一つの試金石になって、名前どおり生活困窮者、しかもそこに孤立という概念が2018年以降入ったという、その強みを今、生かせるかというのは大事なのではないかなと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、オンラインから浦野委員、お願いいたします。
○浦野委員 支援に当たる従事者の育成ということについて、一言申し上げたいと思うのですが、教育メニュー、研修メニューを充実していくということももちろん重要なのですけれども、彼らの賃金を含めた労働者としての処遇ということをもうちょっとしっかり考えないといけないのではないかなと思います。これは、この生活困窮や生活保護に限らず、福祉全般、そうなのかもしれませんけれども、従事者がエッセンシャルワーカーとして社会に不可欠の仕事の担い手であるという中で、決してそれに見合う処遇を受けていない。そういう中で、この生活困窮者自立支援のために自分も働こうというような優秀な人材を獲得できるかというと、なかなか困難だろうと思います。
そういう意味で、独りこの生活困窮の問題だけではないのですけれども、今や福祉従事者、エッセンシャルワーカーの労働条件というのを、それこそ異次元で見直していくようなことを、この部会の守備範囲をはるかに超えたことを言っているということは百も承知ですけれども、政府全体としてしっかりやってもらいたいなと思っております。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、新保代理からもおありということですので、お願いいたします。
○新保部会長代理 すみません、第1ラウンドで岡部委員がおっしゃっていたことですけれども、支援者や当事者の方の声を聞くことが重要というお話がありまして、支援者の声はもとより、利用者の声については、本当に必要な支援ができているのかという視点から、ぜひ調査研究などを進めていただきたいと思います。
生活困窮者支援のほうは、平成29年度に、社会福祉推進事業「生活困窮者自立支援制度における支援効果の評価に向けた利用者意見の収集・分析に関する調査研究」を既に実施されています。それによって、支援が理念や基本指針を踏まえたものになっていることの検証ができたことは、とても意義があると思っています。
同じく、生活保護制度のほうは歴史がとても長いのですけれども、当事者が制度やケースワーカーの支援をどう受け止めているのかということを知る機会がなかなかありませんでした。不服申立制度等がありますので、どこが使いづらいかとか課題があるのかということは把握できるのですけれども、実際に、自立支援を平成17年度から始めていますので、それがどう利用者に届いていて、制度がどうあることが役立つのかという観点から、ぜひ今後の制度の見直しに当たっては、生活保護についても当事者の声をお聞きいただけるとありがたいと思うところです。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。
駒村委員から手が挙がっています。どうぞ。
○駒村委員 先ほど奥田委員からお話があったこと、実は大変強く感じることがありまして、この8月から内閣府のSIPの事業を受託しておりまして、研究内容は、認知機能が低下した方の経済活動をどう支えるのかということで、お金の管理などもテーマになってきています。その中で、これは生水さんにもいろいろ御相談させていただいて、例えば金融機関の店頭などで認知機能が低下しているのだけれども、御自身にその認識がないようなケースにおいて、行政と連携したいのだけれども、御本人がなかなか同意してくれない場合、個人情報の制約上、それはなかなか難しい。
これを回避する方法としては、重層の支援会議を使うとか、消費者安全法のネットワークを使うという方法もあるのですけれども、お金があると困窮者ではないと言われてしまう。ただ、これはいろいろな問題が起き得るわけです。認知機能が低下してATMが自分でうまく使えなくなる。特に女性の場合は、代わりに家族が下ろして使った場合、経済的虐待の発生確率が大きくなる。それから、8050で、50の子どもさんを80のお父さん、お母さんが支えている。しかし、ATMを自分でコントロールできなくなって、代わりに子どもが行くようになると力関係が逆転して虐待が発生する。
お金はありますから、困窮ではないですかいと言われてしまうと、そういうふうに取られてしまうと対象から外れてしまうのかなと思っていて、第3条の問題というのは、奥田さんがおっしゃるように、現役世代思考で、この問題は物すごく広がっていきますので、この第3条はちょっと見直さないと、現に経済的云々というところは、いろいろな困窮問題にまた壁をつくってしまうような話になるのではないか。ただ、大きい話になることだと思いますので、ぜひとも今後議論したいテーマかなと思って、かねてから考えていたのですけれども、奥田さんがおっしゃったので、これは言っていいのだなということで言わせていただきました。どうもありがとうございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
岡部委員、どうぞ。
○岡部委員 発言する予定はなかったのですが、どうしても発言したくなりました。
各論でいろいろと議論すると思いますが、私はキーワードとして、つながり、連携をどう進めていくかを、本部会でより深めていただければと思っています。相談者・利用者の生活課題が多様化・複雑化・広範化しています。そのためこれらの課題解決を図ることになりますが、生活困窮者自立支援制度あるいは生活保護制度の中で自己完結することは、どのような相談であってもないと思います。
例えばこの中でテーマがありましたが、生活保護の実施機関と保護施設について、どのように情報の共有化を図り個別の支援計画を立て、また地域移行をどう進めていくか。生活困窮では、先ほど家計支援と生活資金の貸付けの話が出ましたが、実はいろいろな関連機関・団体等に関連してきます。とりわけ生活困窮で、これは駒村委員からもお話があったかと思いますが、駒村委員、菊池部会長が関わっていらっしゃる全世代型の社会保障の中で生活困窮者自立支援制度、生活保護制度をどう考えるかを、大きな視野で考えていかなければなりません。他の制度との関連をどう図っていくかということになります。生活保護制度の中で自己完結的に行った場合には、十分な生活再建ができないですし、生活困窮者自立支援制度も同様です。
子ども・若者の学習支援・養育支援や高校・高等教育等については教育部局、それから、就労について稼働年齢層や高齢者雇用では就労支援の関連で労働部局へとウイングを広げることになります。奥田委員の発言は、居宅生活の前提になる住まいをどう考えるかは最も基本の話だと思います。そういった場合に、居住支援の関係で住宅関連の部局だけではなく、民間事業者とどう協力していくか、その中で、例えば一時生活支援事業をどう位置づけていくか、どう連携を取っていくかが大事になってきます。これらのことも念頭に置きながら連携していく必要があります。情報共有をどう行うか、どのように役割分担を行っていくかです。
そこで、話を広げ申し訳ないのですが、そのことを行う会議体をどうつくるかをぜひ議論していただきたいと思います。これは菊池部会長や駒村委員に、例えば個人情報保護の問題、援助・支援の総合調整を行うコーディネート機能をどこが持つかを考えたときに、そういう会議体をつくり組織的に行っていかないと、援助・支援の展開ができないのではないかと思って聞いておりました。
少し長くなって申し訳ありません。以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
勝部委員、どうぞ。
○勝部委員 すみません、先ほど来の困窮者支援。大きなおうちに住んでいて、親御さんが亡くなって生活力がない息子が1人でいて、家の管理もできず、近隣といろいろトラブルが起きる。こんなのはいっぱいあるわけです。先ほど外国人の話もさせていただいていますが、生活文化が違ってということで、いろいろな処理ができない方々もいっぱいいる。要は、生活困窮もですけれども、生活困難な人がたくさん出てきていて、その人たちが孤立していて、相談する相手が周りにいないということが、介護の世界はケアマネジャーをつくったわけですけれども、それ以外の世帯の人たちにも伴走してくれる人たちがどこかに出てこないといけないということが、困窮者支援のことでだんだん明確になった。
孤独対策のところで孤立ということが、本当にそこの根本なのだということが明らかになってきたというところもあるので、今回、生活困窮で第2のセーフティネット、もちろんその機能がきっちりここで果たせることは大切なことなのだけれども、社会から孤立していることに対して、誰がどう寄り添って、誰がどうそこを支えていくかみたいなことがしっかり議論されていかないと、子どもだって、子育て世帯のお母さんだって、誰かに相談できないからどうしていいか分からないわけだから、そういうことをしっかり打ち出していくことが重要なのだろうなと思います。
10秒超えました。すみません。
○菊池部会長 ありがとうございます。
オンラインの皆様でも御発言がおありであれば、合図をお願いします。よろしいですか。会場はいかがですか。
生水委員、渡辺委員ですね。生水委員。
○生水委員 すみません、勝部さんに刺激を受けて。
先ほど奥田委員と勝部委員が言われた3条のところが、例えばお金がある方でも孤立している方、ひきこもっている方の支援を実際現場ではやっているのです。それは、3条がこのままでも実際やっている。これはアウトなのか、オーケーなのか。
○菊池部会長 アウトではないと私は思います。
○生水委員 ですね。結局、現場に即したものに法律がなっていくということが必要なのかなと思うのですが、そうした考え方を持っていても大丈夫ということでしょうか。
○菊池部会長 私は責任を持って答えられないので。
○勝部委員 でも、生水さん、自治体によっては、それを困窮者ではないからと断っているところがたくさんあるのです。
○岡部委員 1点だけいいですか。
○菊池部会長 岡部委員、どうぞ。
○岡部委員 今の件ですが、ソーシャルワーカーの役割は、実践対象、制度対象の観点からとらえることができます。本来の生活課題に対して、実践として、それを発見して関わっていきます。制度化された対象層だけに関わっていくのではないということです。そういう意味では、ソーシャルワーク実践で関わったものをいかに制度化されたものを超えていくかという側面をもっています。それが総合相談機能をもっていることだと思います。制度対象、例えば生活保護とか生活困窮の制度対象かの振り分け的なことだけを行っていたならば、これはある面、ここで行っている対人サービスの機能、とりわけ総合相談機能というものが極めて限定され、本来の生活困窮者自立支援制度とか生活保護制度の理念や目的からは外れていると考えたほうがよいのではないでしょうか。
○菊池部会長 生水委員。
○生水委員 岡部委員のお話を伺うと、現場のほうが進んでいるという理解になることですね。現場が実際動いていて、法律のほうが追いついてきていない。3条が。
○岡部委員 社会資源を活用して実際のソーシャルワーク実践を行うわけですから、制度資源の中でだけ仕事するわけではないでしょう。この点、菊池部会長が法律的に整理していただけると思いますが、社会福祉学からすれば、それは制度の枠の中で、例えば解釈と運用でどこまで行えるのかという議論がもう一方であるのですが、当然相談を受けて、ほかのところに振り分けをするのは、その運用を超えていることにはならないと思います。
○菊池部会長 今日、宮本先生がおられないので、そういう振りはないと思っていたのですけれども、この3条の解釈については、事務局としてはなかなか答えづらい部分がありますね。そこは、実践、区切れないですね。3条は2018年改正があって、その前にいろいろ文言が付加されて、そこで大きく広がったという解釈になっていて、それを使って現場で対応されているという。だから、3条違反ではないと思いますけれども、違反だから罰則があるとか、そういう話でもないわけですし、そこは実践が進んでいて、そこにある意味で解釈がついていくというか。これは私の個人的な見解なので、政府の解釈ではないですけれども、そこから政府というか、事務局、国のほうも地方の実践から学んで、いろいろな組立てを考えていくという。
なので、これ以上やったら3条違反になるかならないかと、あまりお気になさらないでいいのではないかと言うと無責任ですかね。朝川局長もうなずいておられますから、よろしければどうぞ。
○朝川局長 お伺いしていて、奥田委員がおっしゃったのは、今の3条の定義が狭いがゆえに、次に一歩大きく踏み出そうとすると、例えば住まい支援で単身高齢者に踏み出そうとすると、生活困窮者制度は今の3条を前提にすると窮屈なので、踏み出せないということを多分おっしゃって、だからこそ3条をそもそも見直していかないといけないのではないかという問題提起をされたはずです。
私が生水委員のお話を聞いて思ったのは、今、現場で運用しているときに、はみ出すのはいいのかという、ちょっと局面が違うことを多分おっしゃっているので、生水先生のおっしゃっている範囲で対象を超えてしまうのは、しばしばあるのは当然のことだと思いますので、多分そういうことではないか。
ただ、奥田さんのことに対して我々が答えるのは、ちょっと準備不足ですし、すごく大きい問題なので、重い課題を負ったという感じがします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、渡辺委員。
○渡辺委員 ありがとうございます。
最後に、今の議論と全く違う話で、堀委員がおっしゃった高校生の支援が重要だということで、これは本当にそう思っておりまして、自殺の問題でいきますと、昨年、子どもの自殺がすごく増えたのですけれども、高校生がすごく増えているのです。高校生の自殺の原因というのを調べると、学業に関する悩みが多くを占めておりまして、例えば全日制でいくと学業不振が28%で、入試の悩みが10%で、進路の悩みが19%で、57%が学業の悩みですし、定時制・通信制でも出ているのですけれども、定時制・通信制でいくと41%が学業不振で、入試の悩みは11%で、進路の悩みが22%で、74%の自殺の要因として学び関連が出ている。
この子たちが、要は行くところがないわけです。相談する場所がないので、こういった方たちの受け皿ということで、学習支援・生活支援事業、皆さん、自治体で頑張っていただいているのですけれども、高校生というところになかなかリーチできていない。高校生の実施率が低いというのもありますし、高校生、難しいのです。高校受験の勉強を教えようというのと違って、中退しないようにとか進路をどう考えるかというところでは、ちょっと違うスケールを私たちも随分やらせていただいているのですけれども、ある中で、こういったことをどう支えていくのかとか。
大きなところであれば、高校生の居場所とか高校生向けの学習支援みたいなことをつくっても成り立つのかもしれないですけれども、例えば定時制とか通信制でそういう子が多いのであれば、定時制の学校の中でやるとか、そういうことが有効なのではないかなと思うのですけれども、これが教育委員会との壁という中で、生活困窮の事業の枠組みでできづらくなっていて、逆に教育委員会の中でやろうとすると、それは予算が全くないとか、すごく難しいことがある。
ただ、物すごく増えると思います。もう一つ、私が資料で出させていただいたように、困窮家庭のお子さんたちが大学受験をするときに、どうしたらいいのだろうとか悩みが深まる中で、これはできるだけ早くやったほうがいいかなと思いますので、ぜひその辺りも考えていただければと思います。
私のほうから以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
ちょうど時間が参ったようでございまして、いろいろ御議論いただきました。また、委員同士の議論などもいただきまして、深まったかなと思います。
恐縮ですが、私から2点ばかり感想めいたことですが、1点、皆様からの御意見を拝聴していて、1つは、勝部委員、生水委員から、困窮と重層の関係という論点をお示しいただいたかなと。重層における分断というお話が勝部委員からもあったかと思いますし、生水委員からも別立ての使いにくさというお話がありました。
私は、自治体の方とお話しをしていて、一生懸命やっていらっしゃるところで、困窮を一生懸命考えながらやってきた、そこで重層をやることになったのだけれども、重複感というか、同じような、これもやるのというような。そういう意味で、困窮をきちんとやってきて、重層をやることの重なり感というか、そこに違和感がある自治体の方のお話を複数伺ったことがあって。いずれにしても、今回議論しているのは、生保と生困の連携という意味で、法律改正も含めて議論されていますけれども、その次に議論する必要があるのは、困窮者制度と重層の関係をきちんと議論しなければいけないのではないかなと私も感じた次第です。次の課題になるかもしれませんけれどもね。
もう一つは、これは多くの方から、奥田委員、駒村委員、勝部委員、岡部委員からもありましたけれども、私も同じことを感じまして、一方で、判断能力あるなしで、不十分であれば成年後見普及促進室でしたか、そこで後見制度、それから、日自事業を中心に据えた検討がされていて、私も関わっていますが、問題は、判断能力の有無にかかわらず、奥田さんからもありましたけれども、一人暮らしで日常の身元保証から死後事務に至るまで非常に不便を感じておられる方々もおられて、そこを住まい支援、居住支援のところでどこまでできるかということで、今、制度改正に向けた議論が始まっていると思うのです。ただ、居住支援だけで、全部それができるかというと、そうではないのではないか。
だから、そういう意味で、もちろん判断能力不十分の場合の後見制度というのは、これから民法改正も控えていますので、充実していきますけれども、判断能力の有無にかかわらない、まさに奥田さんの言葉で言えば、長期にわたる生活支援という、そこをどう考えていくのかというのは、今日、皆さんの御議論の中でもかなり浮き彫りになってきたのかなと。ただ、3条の話が出ましたけれども、これを改正するかしないかというのはあると思いますが、困窮制度でそこを支えていく。困窮が基本になって支えていくのか、あるいはそうでないとすれば、どこでやるのかという、そこも考える必要があるのかなと。
それは、これも議論がありましたけれども、どこでやればいいのかという問題ですね。法律の制度はそれぞれに立っている。別にまた何か立てる必要があるのかという議論もありますが、いずれにしても、そこも次の課題として、今回は住まい支援中心にされると思うのですが、その次に考えるべき課題というのがだんだん見えてきたのかなと、私は皆様の御意見を伺って意を強くした次第であります。
ただ、どこで受けるにしても、社会局が中心になって、社会局として受けるべき課題ではないかと思うのですが、朝川局長から、もしよろしければ一言いただけるとありがたいのですが。
○朝川局長 ありがとうございます。その覚悟を持って臨んでいきたいと、まず思います。
菊池部会長に今、整理していただいたとおり、まずは、来年の制度改正に向けて動いていきますので、そこは身寄りのない高齢者を中心とした身元保証とか死後事務に至るまでの課題の一部ではありますが、住まいに着目して、そこはしっかりとした前進を図っていきたいというのが、まず、来年に向けた話です。
もう一つ、政府の中で、別途、住まいと直接結びつけずに、一般論としての身寄りのない高齢者が増えてきて、身元保証の問題とか死後事務の問題に至るまでの、いろいろ課題が生じているということは、既に政府の政策課題として認識され始めていて、それは一周遅れにはなると思いますけれども、どこかが取り組んでいく必要があるというのが今の状況です。そこで、いろいろな論点があるので、全てを社会局ということではないと思いますが、特にいわゆる困窮、経済的困窮に限らないかもしれませんけれども、困窮している世帯を中心とした支える仕組みは、主に社会局が担っていくべきものと、そういうふうに認識しています。
○菊池部会長 ありがとうございます。やや無茶振りだったかもしれませんが、ありがとうございました。
というわけで、大変大きな宿題も見えてきましたが、この再開された部会は、予定されているのがあと3回という限られた回でございまして、あり得るのは、大森委員からも全体論が必要だという話がございましたけれども、総論部分か、あるいは最後のまとめの部分に、今後に向けた必要とされる視点とか、そういったものを入れておくということが大事かなと思いまして、その辺りも皆様からいろいろお知恵をお出しいただいて、最後に報告書のまとめがありますので、それに前段階でそういうものを盛り込んでいただいて、最後、まとめていくという、差し当たり今回、今期というか、そういうことになるのかなという気がした次第でございます。
そういう面でも、大きな総論的なお話も含めて、最後のまとめの段階というよりは、その前の段階で事務局のほうにいろいろお伝えいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、少し時間を取ってしまって申し訳ございませんでした。この辺で本日の議事については終了させていただきたいと存じます。
最後に述べた点も含めて、次回の開催予定も含めて、河合室長、お願いできればと思います。
○河合室長 ありがとうございます。
本日もありがとうございました。次回につきましては、10月頃ということで開催を予定しております。正式な開催通知につきましては、別途御案内させていただきますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○菊池部会長 それでは、本日の議事はこれで終了させていただきます。長時間にわたりまして、どうもありがとうございました。